ST template WORD - STMicroelectronics

Backgrounder
「Life.augmented … in the Car」
STと車載アプリケーション
1886年、カール・ベンツが世界初の自動車の特許を取得した際、彼は電子機器が自動車にもたらす大きな進
展を予見することができませんでした。1960年代までの自動車の発展は、多くがが機械工学の進歩によるもの
で、乗用車における主な電子機器はカー・ラジオに過ぎませんでした。
しかし、過去50年間、電子機器は、燃費の改善や環境影響の低減、ドライバーや搭乗者の安全性・快適性・利
便性の向上に至るまで、自動車のあらゆる側面の発展に貢献してきました。
その結果、車載アプリケーションは電子機器市場の中で最もエキサイティングな領域で、年間収益成長率
(2014年~2018年)は6.8%(1) と予測されています。また、現在、新車に搭載される半導体の平均コストは約
300ドル(2)に上ります。自動車生産の継続的な伸びや、自動車の性能を向上させる電子機器および技術に加
え、ハイブリッド自動車や電気自動車、自動運転技術などの新しいコンセプトが登場により、車両プラットフォー
ムに電子機器を搭載する動きはますます高まっています。
世界中の大手自動車メーカーに車載用半導体を提供し、同市場で3位(3)のSTマイクロエレクトロニクス(以下
ST)には、品質に対する確固たる取り組みに裏付けされた先進的な技術プラットフォームと、主要顧客との緊
密な協力関係を通して得た自動車市場に対する専門性があります。STの車載用ソリューション・ポートフォリオ
は、セーフティ、パワートレイン、カー・ボディおよびインフォテイメントなど、自動車の主要アプリケーションを全
てカバーしています。
セーフティ
STは、エアバッグ、アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)、トラクション制御、電気式パワー・ステアリング、サ
スペンション・システムなど、搭乗者の安全性を高めるアプリケーションに幅広いソリューションを提供していま
す。STは、エアバッグやABS向けチップの主要サプライヤです。エアバッグやABSは、自動車の安全確保に向
けた電子機器で最も大きな割合を占めています。
STは、交通事故による影響を回避または最小化する先進的なセーフティ・システムの分野でも、市場をリードし
ています。例えば、STは、Mobileye社と協力し、車線逸脱警告、前方衝突警告、ビジョン・レーダー・フュージョ
ン、歩行者検出など、視覚ベースの運転支援システム用ICを開発・製造しています。これらのソリューションは、
ヨーロッパ、米国および日本の車載機器メーカーならびに自動車メーカーが採用しており、約1000万台の自動
車に搭載されています(4)。
その他、STの適応型照明システム用ICも道路交通の安全性向上に貢献しています。このシステムは、車両の
現在の姿勢に基づいてヘッドライトの水平化、配光可変型照明、および適応型前方照明を制御・調整します。
詳細については、http://www.st.com/web/en/catalog/apps/SE3/AS304 をご覧ください。
パワートレイン
STは、バイクやスクータから非常に高度な電子制御ソリューションに至るまで、幅広いエンジン・マネージメン
ト・システムに向けて半導体を提供しています。エンジン・マネージメントの進歩は、政府による排ガス規制とエ
ネルギー問題によって牽引されてきました。STは、これまでも長年行ってきた様に大手自動車メーカーとの緊
密な協力を続け、VVT(Variable Valve Timing)やGDI(Gasoline Direct Injection)等、多くの先進的技術を活
用して燃費の向上に取り組みます
STの高度な技術は、ジャンクション・ボックス、ドアゾーン・モジュールおよびボディ制御用モジュール向けの構
造・電子回路・演算能力を組み合わせたメカトロニックなソリューション等、自動車の洗練されたイノベーションを
可能にします。また、STは、アクセル・ペダルとスロットル間の従来のケーブルを電子制御や高度なターボ・チャ
ージャ制御システムに置き換える電子スロットル等、様々なメカトロニック電子制御アプリケーションもサポート
しています。
詳細については、http://www.st.com/web/en/catalog/apps/SE3/AS206をご覧ください。
カー・ボディと利便性
今日のボディは、ルーフ・ドアゾーン制御、HVAC(Heating, Ventilating and Air-Conditioning:暖房・換気・空
調)、およびシート制御からワイパーおよび照明制御まで、ネットワーク化された無数の電子システムで構成さ
れています。優れた信頼性と診断機能に対するニーズにより、自動車の電子化は、常に進行しています。
STは、自動車のインテリジェントなパワーおよびスイッチングの中心であるスマート・ジャンクション・ボックスに
取り組んでいます。この概念は、アップグレード可能なハードウェアとソフトウェアのモジュールで構成される完
全なアーキテクチャにより、照明からワイパーに至る機能を統合するものです。
STは、独自のVIPower半導体技術と、アプリケーションに対する深い理解を有する車載照明用ICの主要サプ
ライヤです。白熱電球からLEDまたはHID(High-Intensity Discharge)ベースのシステムまで、車内外照明用
ソリューションを提供しています。
ドアゾーン用高集積スマートパワー・デバイスは、電動ミラー、電動ウィンドウ、電気式ドアロック、ランプ、制御
パネル等、自動車ドアの制御機能と回路の全てを統合します。STはドアゾーン用ICで市場をリードしており、ア
クチュエータとパワーマネージメント機能を統合した次世代デバイスを開発しています。
詳細については、http://www.st.com/web/en/catalog/apps/SE3/AS295 をご覧ください。
カー・インフォテインメント
カー・インフォテイメントおよびナビゲーション向け製品ポートフォリオには、デジタル・ラジオ、ナビゲーション、テ
レマティクス、および車内のワイヤレス・コネクティビティを実現する完全なターンキー・ソリューションが含まれま
す。STは、専門性と広範なIPポートフォリオにより、運転体験を向上させる将来のあらゆる統合サービスをサポ
ートします。
AM・FMラジオ分野で20年以上の経験を持つSTは、デジタル・ラジオ用ICの世界的サプライヤとして、これまで
に1億個以上の製品を出荷してきました。STは、チューナからベースバンド、マルチメディア処理、再生まで、カ
ー・マルチメディア用のあらゆる半導体を製造しています。STのカー・マルチメディア用ICは、厳しい受信環境に
対する最適化と消費電力の最小化を実現しています。
また、STは、車載用パワー・アンプと電圧レギュレータの主要サプライヤでもあります。電気自動車向けのアイ
ドリング・ストップ機能に対応した製品を含め、B級、AB級、SB(高効率)級、およびD級機器の車載用パワー・
アンプの幅広い製品ポートフォリオを展開しています。
さらに、ナビゲーション機器向けの製品ポートフォリオには、複数の衛星ナビゲーション・システム(GPS、ガリレ
オ、グロナス、準天頂衛星など)に対応した、業界初のモノリシック・デバイスであるシステム・オン・チップ(SoC)
が含まれています。このSoCは、高層ビル群などの衛星見通し率が悪い条件下での測位制度やナビゲーショ
ン性能を向上させます。その他にも、車載ナビゲーション・システムやテレマティクス等、運転中に利用する新旧
アプリケーションの多くに適した正確な測位機能と強力な演算機能を独自に組み合わせた製品を提供していま
す。
詳細については、http://www.st.com/web/en/catalog/apps/SE3/AS297 をご覧ください。
オートモーティブ・グレード
車載用半導体は、防衛用製品に近い品質と信頼性をコンスーマ機器向けの価格で提供することが求められま
す。車内の環境は、動作温度が-40℃~150℃の範囲にわたり、高エネルギー過渡や偶発的なバッテリ反転、
はんだ接合部が損傷する可能性のある振動など、特に過酷な環境です。さらに、半導体の不良によるわずか
な電子機器の不調も、ユーザの利便性・安全性・快適性を損なう可能性があります。
STのオートモーティブ・グレードに準拠した製品は、自動車業界が要求する厳しい仕様に対応するよう設計さ
れています。認定基準は、製品の認定と特性、安全生産部品の承認、統計的歩留まり解析、PAT、および製造
プロセスにおける特定のふるい分け方法、試験方法に及びます。STは、オートモーティブ・グレードの方針とし
て不良ゼロを目指しており、自動車業界におけるクラス最高の地位を確立しています。また、その取り組みは、
自動車メーカーや車載機器メーカーとのパートナーシップの広がりによって実証されています。
今後の展望
自家用車や交通・輸送機関に使用されている内燃エンジンは、100年以上の間、私たちの暮らしで重要な役割
を果たしてきました。この状況は、電子機器の登場により、ますます加速することが考えられます。
まず、今日、自動車に搭載されている電子機器は、価格・性能・電力効率が継続的に改善されています。当初
はハイエンド車種向けに開発されたエンターテインメント、利便性および安全性の機能が、中・低位車種へ導入
されるようになります。この導入プロセスは、発展途上国での普及において特に重要で、交通事故による負傷
を抑えることが難しい地域で非常に重要な役割を果たします。
次に、自動車業界全体で、燃費改善、CO2排出量削減および安全性強化に向けた革新的な取り組みに注力し
ていることが挙げられます。そのため、車線逸脱検知、歩行者・障害物検知、接近検知、ナビゲーション、テレ
マティクス、エンジン制御、アンチロック・ブレーキ、回生ブレーキ、車車間・路車間通信など、多種多様な技術を
活用する自動運転車が実現しつつあります。
短期的に自動車の安全性を高める技術

天候、周辺光および対向車に合わせて、照度や方向を自動調整するスマートヘッドライト

休憩時間を知らせるためにドライバをモニタする車内カメラ

ナビ情報やドライバが認識していない前方障害物を表示する拡張現実フロントガラス
現在STは、大手自動車メーカーと協力し、これらの技術をはじめとする多くのプロジェクトに携わっています。
STは、30年以上にわたって車載用半導体をリードしており、技術、製品設計スキル、高度な製造能力および自
動車業界における主要プレーヤとのパートナーシップをフルに活用しています。これにより、自動車をより環境
に優しく、経済的で楽しく利用できるものにするだけでなく、持続可能な世界へさらに融合させるために役立っ
ています。
(1)
Strategy Analytics社「Automotive Semiconductor Demand Forecast 2012 – 2021」(2014年10月)
(2)
同上
IHS社「The automotive semiconductor supply chain unchained, Competitive Landscaping Tool – Automotive, Q3, 2014」
(4)
「Mobileye and STMicroelectronics Deploy One-Millionth Driver Safety Device」
(3)
2014 年 11 月