別紙1 ■第3回課題研究班別テーマ <記入欄> 班 テーマ 後発事象について 1 金商法監査及び会社法監査の対象会社を前提に、会社法の監査報告書日後に発生した修正後発事 象に関して、あなたの考えを述べなさい。 ① 修正後発事象と開示後発事象の違い ② 開示後発事象について、事象の発生時期に応じた開示方法 ③ 後発事象に関する監査手続 設問 ④ 以下事例について検討しなさい。 あなたが現場主査を担当するA社(会社法、金融商品取引法適用会社)では、会社法の監査報告書 日が5月18日でした。6月上旬に有価証券報告書の監査を実施している中で、5月25日に開催された取 締役会議事録を通査していた所、重要な自己株式の償却に関する決議を見つけました。監査上どの ような対応をとるべきか論じなさい。 テーマ 有形固定資産の減価償却方法の変更 2 有形固定資産の減価償却方法を定率法から定額法に変更している会社が増加しています。背景に は、中期経営計画の策定や、海外への生産拠点移管を契機に、固定資産の減価償却方法を見直す 場合等があげられます。そこで、以下の(1)~(4)についてあなたの考えを述べなさい。 設問 (1)減価償却の方法を変更するのはどのような理由が考えられるか。 (2)減価償却方法の変更により、有価証券報告書上、どのような影響があるか。 (3)監査上、どのような点に留意すべきか。 (4)減価償却方法を変更した際の会計処理について、IFRSと日本基準で相違する点があるか。 テーマ 不祥事事例の分析 3 粉飾決算事件を1つ取り上げ、その概要を述べなさい。 概要には、①粉飾決算が行われた背景②手口(仮説でもよい)③粉飾が明らかになった理由(仮説で 設問 もよい)に言及すること。 これをふまえ、当該事例に関して監査人として粉飾決算を見逃さないためにどのような対応をすべき であったかについて、あなたの考えを述べなさい。 テーマ 売掛金の残高確認手続について 4 売掛金残高確認に関し、以下について述べなさい。 1.確認によって監査証拠を入手することができる監査要点 2.残高確認手続の各作業における監査上の留意点 ①確認対象のデータ収集、抽出 ②確認状の作成、発送、回収 設問 ③差異調整 ④未回収分の対応 3.残高確認の基準日を期末日以前とする場合 ①原則は期末日を基準日とするのに対し、期末日以前を基準日とする理由 ②期末日以前の基準日で残高確認を行うに際し留意すべき事項 ③残存する監査リスク及び事後的に実施しなければならない監査手続 別紙1 ■第3回課題研究班別テーマ <記入欄> 班 テーマ 監査等委員会設置会社 5 平成27年5月15日現在で約150の上場会社で監査等委員会設置会社への移行が決定していますが、 以下について述べなさい。 ①監査等委員会設置会社の特徴 ②多数の上場会社が監査等委員会設置会社への移行を決定している理由 設問 ③ガバナンスの観点から従来の監査役制度に比べて監査等委員会設置会社が優れている点、及び 実効可能性についてのあなたの考え ④従来の監査役制度から監査等委員会設置会社に移行した場合に、監査上与える影響の有無と、そ の理由 テーマ 監査調書の品質について 6 あなたは、期末監査期間中に、上司であるマネージャーと経理部長の間におけるこのような会話を耳 にしました。 (マネージャー)「来年度の監査報酬なんですが、監査法人内の品質管理の強化や当局からの指摘へ の対応により、監査調書の文書化に係る時間がここ数年増加してきているので、監査報酬を増額して いただけませんか?」 設問 (経理部長)「報酬を払う側である我々としては、きちんと監査はしていただきたいものの、文書化はで きる限り簡潔にして作業時間を削っていただきたいんですがね。また、財務諸表利用者である投資家 の立場からしても、監査調書の文書化の精度を上げることを期待しているわけではないと思いますし、 それは顧客のニーズに合ったことなのでしょうか?監査法人の考える顧客満足度とは何ですか?」 ①このような意見の相違はなぜ生じるか、あなたの見解を述べなさい。 ②経理部長を納得させるためには、誰がどのような説明をするべきか、あなたの見解を述べなさい。 テーマ 後発事象について 1.後発事象に関する監査手続(4つ以上)を、具体的に述べなさい。 7 2.あなたの担当しているクライアント(東証1部上場、決算日:2015年3月31日)は、決算日以前より、 特許権侵害に関する訴訟を提起されていたが、決算日後に和解により解決することに合意し、同日、 和解が成立し、和解金を支払った。 ※会社法の監査報告書日:2015年5月14日 設問 ※金融商品取引法の監査報告書日:2015年6月26日 ※決算短信の発表日:2015年4月30日 ※クライアントの経理は和解を想定しておらず、費用計上は行っていません。 当該状況において、和解の成立日が、(1)と(2)の場合、計算書類及び有価証券報告書に与える影響、 そして、監査上の取り扱いについて、あなたの考えを述べなさい。 (1)和解の成立と支払:2015年6月19日 (2)和解の成立と支払:2015年5月13日 テーマ 残高確認について 8 あなたは期末監査において売掛金の残高確認手続を実施することとなりました。以下の事象が発生し た場合に監査人としてあなたのとるべき対応を述べなさい。 設問 ①あなたが選定した確認先に対し確認状の送付を会社に拒否された場合 ②返送された確認状に確認差異が発生していた場合 ③確認状が返送されてこない場合 別紙1 ■第3回課題研究班別テーマ <記入欄> 班 テーマ 会計上の論点 9 あなたは3月決算のクライアント(任意監査)の主査を担当しています。会社経理担当者は、会計の知 識に乏しく、新規の会計上の論点については特に、監査人であるあなたの指導・指摘を求める傾向に あります。 上記の状況下において、あなたは、平成27年3月期決算における会計監査を行うにあたり、平成27年 度税制改正のうち、法人税率の引下げ(および外形標準課税制度の見直し)に伴う個別財務諸表へ の影響を経理担当者に伝える必要があります。(本問においては、平成27年3月決算におけるその他 設問 の会計上の論点及び連結財務諸表への影響について言及する必要はない。) どの時点(往査開始前、往査時、往査後等)において、どのような内容のコミュニケーションをクライア ント担当者と行うことが監査を有効かつ効率的に進めることにつながるかあなたの考えを述べなさい。 なお、コミュニケーションの内容を記載するにあたって、コミュニケーション手法に言及する必要はなく、 会計上の論点(税制改正)と、一連の監査の流れの中で経理担当者に伝達すべき事項を具体的に説 明すること。 テーマ 特別な検討を必要とするリスクに関するリスク評価手続と対応手続の設計 10 以下について答えなさい。回答に際しては関連する会計基準や監基報を参考にすること。 ・特定の業種を選定し、その業種に係る企業の財務諸表の特徴とその背景を明確しなさい。 ・当該業種に属する企業において、想定される特別な検討を必要とするリスク(アサーションレベルか 設問 (何のアサーションか)、財務諸表全体レベルか)を特定し、その理由を述べなさい。リスクに不正リス クを特定するか否かも検討すること。特別な検討を必要とするリスクは最低3つ以上特定すること。 ・上記において特定された特別な検討を必要とするリスクに対する対応手続を設計しなさい。 テーマ 会計上の見積り 11 設問 会計上の見積りは、将来の不確実性に関する判断をともなうとともに経営者(会社)の意思が反映され ることが容易に想定される監査エリアです。そのため監査上の判断は慎重になるべきです。 以下の科目について①監査上の留意点②より強力な心証を得るために実施すべき監査手続、更に、 ③過去の監査の失敗事例を紹介しどのような課題があったのかをあなたの意見を述べなさい。 ① 固定資産 ② 繰延税金資産 ③ 引当金 テーマ 法人税の欠損金の繰越控除制度の改正について 12 平成27年度の税制改正における、法人税の欠損金の繰越控除制度の改正について、 (1)その改正の概要 設問 (2)法人税の欠損金の繰越制度改正を巡る歴史的経緯と背景 (3)会計・監査上の留意点 について論じてください。 別紙1 ■第3回課題研究班別テーマ <記入欄> 班 テーマ 税効果会計 13 現在、ASBJでは、現行の監査基準委員会報告第66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する 監査上の取扱い」において、様々な検討を行っています。 そこで、以下の点について、論じなさい。 設問 ①繰延税金資産の回収可能性は、一般的に、監査上の固有リスクが高いと考えられていますが、そ の理由とともに、必要となる監査手続について説明しなさい。 ②繰延税金資産の回収可能性について、現行の日本基準とIFRSとの違いを述べなさい。 テーマ 株式上場時の公認会計士の責任について 14 昨今上場直後に業績予想を大幅に下方修正するケースや粉飾決算が発覚するケースが問題となっ ています。 設問 株式上場時の監査人の責任と監査人が取るべき行動についてあなたの考えを述べなさい。 (記載にあたっては具体的事案を想定する等各自工夫すること) テーマ 売掛金の残高確認手続について 15 確認によれば、一般的に証明力が強い監査証拠が入手可能とされています。そこで以下の点につい てあなたの考えを述べなさい。 ①確認によって一般的に証明力が強い監査証拠が入手可能とされている理由、及び確認によって証 明力が強い監査証拠が入手できたか否か判断する際に考慮すべき事項を述べなさい。 設問 ②あなたの監査チームは売掛金の実在性について特別な検討を必要とするリスクを識別しています。 当該状況を踏まえ、売掛金の残高確認の監査計画において、考慮すべき事項を述べなさい。 ③被監査クライアントが売掛金の残高確認の実施を拒否した場合、どのように対応する必要があるか 述べなさい。 テーマ コーポレートガバナンス・コードの導入 16 2015年6月より上場会社においてコーポレートガバナンス・コードの適用が始まります。 ①導入の経緯と概要を述べなさい。 設問 ②企業に与えるメリットとデメリットを述べなさい。 ③②を踏まえ、企業はどう対応すべきか会計監査人としての立場から考えを述べなさい。 別紙1 ■第3回課題研究班別テーマ <記入欄> 班 テーマ 固定資産の監査上の留意点について あなたは、スタッフとしてクライアントの固定資産を通期で担当することになりました。 (設問1) ①固定資産に対する内部統制で整備・運用されるべき統制手続について述べなさい。 ②固定資産の取得、除却および、売却の各取引の詳細テストを行う際にあなたが考える留意点 (チェックポイント)を、理由と共に述べなさい。 ③固定資産の評価におけるあなたが考える留意点(チェックポイント)を、理由と共に述べなさい。 17 (設問2) クライアントから連結財務諸表上の固定資産の減損のグルーピングの考え方について以下の相談が ありました。あなたなら、どのような回答をクライアントにしますか。理由と共に述べなさい。 ~クライアントからの質問~ 当社グループは、部品製造子会社工場で製造した部品を当社が仕入れ、当社工場で組み立てを行い 販売しています。 各子会社では、当社製品のみで利用できる汎用性のない部品を製造しており、当社との取引価格は 設問 外部仕入を行った場合の金額を参考にして決定しています。 また、当社も含め各社の固定資産は、本社の建物および土地と、工場の建物、機械設備および土地 のみであり、各社の固定資産のグルーピングは工場単位とし、本社は共用資産としています。 当期に子会社のABC工場で固定資産の減損損失を計上することになり、もう一度、グルーピングにつ いて考え直している際に、「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第10項」で連結財務諸表で は連結の見地からより大きなグルーピングもあり得るという記述がありました。 そこで、会社間の取引価格はあるとはいえ、相互補完的な関係にある当社と部品製造子会社の実態 を踏まえると、連結財務諸表上は当社および部品製造子会社全体を1つのグルーピングとし、ABC工 場で計上した減損損失を連結財務諸表上では戻入れを行う必要があると考えているのですが、問題 ありますか。 なお、今まで子会社で減損損失が発生しなかったので、連結財務諸表上の固定資産のグルーピング に関する明確な社内ルールがありませんでした。 本件をきっかけに連結上のグルーピングに対する社内ルールの明確化を行いますので、検討を宜しく お願いします。 テーマ 我が国の財務諸表の表示・開示制度について 18 我が国の財務諸表の表示・開示制度では、例えば「経営者が会計方針を適用する過程で行った判 断」や「見積りの不確実性の発生要因」など、財務諸表利用者にとって有用性が高い情報については 開示を充実させるべきだという意見がある一方、有用性が低い情報については開示の簡素化や省略 など開示の内容を見直すべきだという意見があります。また、複数の法制度の下で異なる財務諸表の 設問 開示が求められる我が国の実務は現状でも極めて煩雑であるとの意見もあります。 このような状況を踏まえ、我が国の財務諸表の表示・開示制度としてどのような形が望ましいか、あな たの意見を述べなさい。 なお、意見を述べるにあたっては「我が国の財務諸表の表示・開示に関する調査・研究」 (http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/main/post_1800.htmlから閲覧可能)を参考にすること。 別紙1 ■第3回課題研究班別テーマ <記入欄> 班 テーマ 減損会計について 株式会社X社は、A、B及びC事業を営んでおり、これらをそれぞれ報告セグメントとして取り扱ってい る。また、株式会社X社は当連結会計年度末からちょうど9年前にA事業を営むY社を買収しており(み なし取得日も同日である)、Aセグメントに含めて開示している。 Y社の取得に際し、のれんの償却期間は10年としており、これは適切なものと認められた。また、計 上された連結財務諸表上の「のれん」に重要性が認められ、当連結会計年度末の未償却残高につい ても重要性が認められる。 Y社は継続して営業利益を計上しており、Y社取得時の見込に比して著しい業績悪化はないものの、 利益水準は低下している状況にある。 19 【①】 X社は、当連結会計年度末において減損損失を認識し、その全額をのれん に配分した。これが適切であると認められるとするとき、その論拠を会計基準 設問 等に触れつつ述べなさい。 また、この場合、監査手続において留意すべき点を述べなさい。 【②】 X社は、当連結会計年度末において減損損失を計上していない。これが 適切であると認められるとするとき、その論拠を会計基準等に触れつつ 述べなさい。 また、この場合、監査手続において留意すべき点を述べなさい。 『会計基準等』 : 「固定資産の減損に係る会計基準」 及び 「固定資産の減損に 係る会計基準の適用指針」を想定しているが、これ以外を根拠 としても問題ない。 テーマ 会計上の見積り 20 2015年5月8日株式会社東芝は過去に不適切な会計が行われたとして2015年3月期連結決算の公表 を6月以降に延期すると発表したが、これを踏まえて以下の設問に答えなさい。 ①本件でいう「不適切な会計」の内容につき知るところを述べなさい。 設問 ②本件と監査人の責任との関係について論じなさい。 ③会計上の見積りに関して、監査上の留意点を述べなさい。 ④会計上の見積りに関して特別な検討を必要とするリスクを設定する可能性がある勘定科目を2つ挙 げこれに対する監査手続を述べなさい。前提条件は各自設定すること。 テーマ 同業種の会社の財務分析及び業種特有の監査上の留意点について 21 東証一部上場の同業種2社を自由に選択し、有価証券報告書や会社HP等の公開情報を参考にし て、以下の点について論じなさい。 ①各社の属する産業、規制等の企業環境 ②各社の財務分析による比較(収益性、安全性、効率性、成長性など) 設問 ③各社の事業活動、重要な会計方針・会計処理の比較 ④上記を踏まえて、各社の監査を行う上で留意すべき事項 なお、記述に当たっては「企業及び企業環境の理解を通じた重要な虚偽表示リスクの識別と評価(監 査基準委員会報告書315)」を参考にすること。 別紙1 ■第3回課題研究班別テーマ <記入欄> 班 テーマ 経営者による内部統制を無効化するリスクへの対応 22 監査基準委員会報告240『財務諸表監査における不正』において、「30.経営者は、有効に運用されて いる内部統制を無効化することによって、会計記録を改ざんし不正な財務諸表を作成することができ る特別な立場にある。経営者による内部統制を無効化するリスクの程度は企業によって異なるが、全 ての企業に存在する。内部統制の無効化は予期せぬ手段により行われるため、不正による重要な虚 設問 偽表示リスクであり、それゆえ特別な検討を必要とするリスクである。 」との記載があります。 では、経営者による内部統制を無効化するリスクに対応するための『特別な検討』としてどのような手 続を実施するべきだと考えますか。監査基準委員会報告の要求事項等を踏まえつつ、自分の考えを 具体的に述べなさい。 テーマ 監査手続(確認)に関して 23 近年、残高確認書の電子化に向けた動きが活発化しており、一部の監査の現場においては既にそれ が導入されています。このような状況を踏まえ、以下について論じなさい。 設問 論点①「残高確認書の電子化の進展による功罪を、監査人・被監査会社・確認先(取引先)の三者の 観点から比較しなさい」 論点②「残高確認書の電子化の進展に関して、あなたの意見を述べなさい」 テーマ 監査役等とのコミュニケーションについて 24 監査基準委員会報告書260「監査役等とのコミュニケーション」においては、監査人と監査役等との連 携や双方向のコミュニケーションが求められています。 ①監査役等との連携や双方向のコミュニケーションが重視される理由について、あなたの考えを述べ 設問 なさい。 ②改正会社法において、監査役等に会計監査人の選任権が付与されるなど、会計監査に関する監査 役の理解を更に深めてもらう事が重要になると考えられます。会計監査人に期待される監査役等との コミュニケーションについてあなたの考えを述べなさい。 テーマ 収益認識の基準について 25 日本基準における収益認識の基準について述べたうえで、どのような場合に総額表示とし、どのよう な場合に純額表示とすることが妥当であると考えるかについてあなたの考えを述べなさい。 設問 なお、IFRSやUSGAAPなどの国際的な会計基準においては、収益認識基準の統一化が行われてお り、当該基準において収益を総額で表示するか純額で表示するかについての指針が提示されてい る。 テーマ 監査報告書について 26 近年、監査報告書の記載内容について国際的な議論が行われており、今後、日本においても本格的 な議論が行われる予定です。 これに関する以下の(1)~(3)について論じなさい。 (1)監査報告書の記載内容について、「監査上の主要な事項(Key Audit Matters :KAM)」の導入が議 設問 論されています。導入の趣旨について述べなさい。 (2)(1)の導入の趣旨を踏まえたうえで、現行の監査報告書の記載内容に関する問題点を論じなさ い。 (3)監査報告書の記載内容にかかる議論について、あなたの考えを述べなさい。 別紙1 ■第3回課題研究班別テーマ <記入欄> 班 テーマ コーポレートガバナンス 27 会社法が昨年6月に改正され5月1日から施行されています。また、3月には「コーポレートガバナン ス・コード原案(以下:「原案」)」が金融庁と東京証券取引所により公表されました。このようにコーポ 設問 レートガバナンスの強化が進む過程で、会計監査人のみならず、広く公認会計士に期待される役割 (公認会計士の活躍の場)としてどのような場面があると思いますか?会社法改正の背景(日本の コーポレートガバナンスの問題点)や内容を含め述べなさい。 テーマ 売上高の監査手続 商社A社は、国内では市場が成熟している商品を取り扱っており、競合他社との間での競争が厳しい 環境に置かれています。一方で、A社は上場会社であり、黒字決算とすることに強いプレッシャーを受 けています。 また、A社は海外に関連会社を有しており、近時、当該関連会社への海外売上を伸ばしています。 28 (1)あなたはA社の経営者です。A社は3月末決算であり、2月末時点での当期の着地見込みは売上 設問 高が計画に対して未達であり、経常赤字となる見込みです。あなたはなんとか計画通りに黒字決算に したいと考えています。売上高についてどのような会計不正をする余地があるか簡潔に述べなさい。 (2)あなたはA社の監査人です。(1)で挙げた経営者が関与した会計不正について、その兆候を把握 するためにあなたが実施すべきと考える監査手続を述べなさい。また、認識した不正リスクに対応す る監査手続を立案しなさい。 なお、回答にあたってのその他の前提は各自設定すること。 テーマ 会計監査について 29 多くの方が会計監査人として初めて経験した期末監査だと思いますが、そこで得たあなたの経験を述 べなさい。(具体的なクライアントが特定できる情報まで詳しく述べる必要はありません。) 設問 さらに、そこから得た経験をもとに、今後のあなたが目指すべき公認会計士への課題点、改善点等を 具体的に述べなさい。 テーマ 30 (1)改正会社法における機関設計 (2)会計上の見積もり (1) 改正会社法(「会社法の一部を改正する法律案」)では、「監査等委員会設置会社」という新たな機関 設計の選択が可能となる制度の創設が盛り込まれています。 ①「監査等委員会設置会社」とは何か、説明しなさい。 ②現在の会社法のもとでは、大会社である公開会社のほとんどの会社が監査役会設置会社を選択し ている。監査役会設置会社が監査等委員会設置会社に移行する意義について述べなさい。 設問 (2) 会計上の見積もりは一般的に監査リスクが高いと考えられていますが、これについて、以下の点を論 じなさい。 ①会計上の見積もりに関する、監査上の一般的な留意点を述べなさい。 ②会計上の見積もりに関して特別な検討を必要とするリスクを設定する可能性がある勘定科目を3つ 挙げ、その理由について述べなさい(なお、個々の前提条件等は最近の不正事例等を参考に自由に 設定して良い)。 ③②で挙げた勘定科目に対して、どのような監査手続きを実施する必要があるか述べなさい。 別紙1 ■第3回課題研究班別テーマ <記入欄> 班 テーマ 後発事象に関する監査手続について 後発事象について以下の点を論じなさい。 ① 修正後発事象と開示後発事象の違い ② 開示後発事象について、事象の発生時期に応じた開示方法 ③ 以下事例について監査上の対応を論じなさい。なお、会社への説得方法についても述べること。 31 a. あなたが現場主査を担当するA社(3月決算)で4月30日に重要な得意先に対する売掛金に貸倒れ が発生しました(監査上は重要性があると判断できる金額です)。経理部長と協議したところ「翌日(5 設問 月1日)に決算発表を控えているので数値の修正はしたくない。このまま何もしない方向でなんとかな りませんか?」と相談されています。監査上どのような対応をとるべきか論じなさい。 b. あなたが現場主査を担当するB社(3月決算)で4月の取締役会議事録を通査していた所、重要な事 業譲渡の合意がなされた旨の報告を見つけました。経理部長と協議したところ「先方との関係がある ので、まだ開示後発事象として開示はしたくない。なんとかなりませんか?」と相談されています。監査 上どのような対応をとるべきか論じなさい。 テーマ ローテーション制度 32 各国において監査人のローテーションに関する制度が定められています。(例えば、EUにおいては 2014年5月に監査事務所の定期的交代が求められる法令が制定されています。) 設問 そこで、各国におけるこのような監査人のローテーション制度が定められている理由、当該制度のメ リット・デメリット及びあるべき制度の姿についてあなたの見解を述べなさい。 テーマ 社外取締役・社外監査役に関する会社法改正について 33 平成26年6月27日法律第90号として公布された「会社法の一部を改正する法律案」において、社外取 締役及び社外監査役に関する会社法の改正が行われています。この改正に関連して、以下の設問に 回答しなさい。 設問 (1)本改正の内容と趣旨について論じなさい。 (2)本改正が行われた背景について、改正前の問題点を論じなさい。 (3)本改正のメリットとデメリットについて、(1)、(2)の回答を踏まえたうえで、あなたの考えを論じな さい。 テーマ 会社法改正について 34 平成26年6月20日に、会社法の一部を改正する法律が可決・成立しました。 そこで、(1)「社外取締役及び社外監査役に関する規律」(2)「監査等委員会設置会社制度の創設」 設問 (3)「会計監査人の選任等に関する議案の内容の決定」の3つについて、それぞれ①制度の概要②制 度導入の背景③会計監査に及ぼす影響及び留意すべき事項を述べなさい。 テーマ 残高確認 35 監査チームの作業分担において、あなたは現預金勘定と、売掛金勘定、買掛金勘定について確認状 を発送・回収する監査手続を担当することになりました。 以下について、必要に応じて各勘定に関する確認のケースに分けて述べなさい。 ①手続きとして確認状を選択することにより証拠づけることができる主要な監査要点。 設問 ②上記主要な監査要点をふまえ、確認状送付先の選定方法、留意すべき点。 ③確認状基準日の設定において留意すべき点、基準日を期末日前に設定した際の必要手続。 ④確認状の回答に差異がある場合、確認状が未回収の場合に必要な手続。 ⑤同じ連結グループ会社へ確認状を発送する場合の留意点。 別紙1 ■第3回課題研究班別テーマ <記入欄> 班 テーマ 繰延税金資産の回収可能性の判断について 繰延税金資産の回収可能性の判断について、日本の会計基準には、「繰延税金資産の回収可能性 の判断に関する監査上の取扱い(監査委員会報告第66号)」や「その他有価証券の評価差額及び固 定資産の減損損失に係る税効果会計の適用における監査上の取扱い(監査委員会報告第70号)」等 の詳細な判断指針があるため、国際財務報告基準とは会計基準差異があると言われています。これ について、以下の問いに答えなさい。 36 設問 ① 日本の会計基準と国際財務報告基準との間に、どのような差異が生じているのか説明しなさい。 ② 日本の会計基準と国際財務報告基準の長所と短所について、それぞれ4つ以上挙げて、あなた の考えを述べなさい。 ③ ②をふまえて、日本の会計基準を改正するべきか否か、また、改正するとすればどのような基準 に変更するべきか、改正すべきでないと考える場合においても理由とともに、あなたの考えを論じなさ い。 テーマ 成長戦略における公認会計士の役割(日本再興戦略) 37 平成26年6月に改訂された「日本再興戦略」(以下、「改訂版日本再興戦略」という。)において、緊急 構造改革プログラムとして「コーポレートガバナンスの強化」、我が国の金融・資本市場の活性化策と して「IFRSの任意適用企業の拡大促進」、また、地域創生にも繋がる企業の競争力強化に向けた取 組の1つとして、「監査の質の向上、公認会計士資格の魅力の向上に向けた取組の促進」が盛り込ま れました。 これに関して、以下の問に答えなさい。 (問1)改訂版日本再興戦略が公表された背景及びその内容について簡単に要約して述べなさい。 設問 (問2)問1の回答を踏まえ、我が国の成長戦略に会計専門家としてどのように関与すべきなのか、あ なたの考えを述べなさい。なお、記述に当たっては、最低限、「コーポレートガバナンスの強化」、 「IFRSの任意適用企業の拡大促進」及び「監査の質の向上、公認会計士資格の魅力の向上に向けた 取組の促進」の3つの論点に触れなさい。 (参考資料) 「日本再興戦略」改訂2014-未来への挑戦-: http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/honbunJP.pdf テーマ 不正リスクに対応した監査手続について 38 設問 以下の財務諸表項目について、不適切な会計処理の事例も参照しながら、不正リスクに対応した監 査手続の計画立案、実施について述べなさい。なお、記述に当たり、業種等の前提条件は自由に設 けてよい。 ①売上、売掛金、棚卸資産 等の主要な業務プロセスに係る諸勘定 ②引当金 等の会計上の見積り テーマ 不正リスクと監査上の対応 39 「監査における不正リスク対応基準」が設定され、一層深度ある監査手続が求められています。そこ で、「不正リスク対応基準」及び関連する監査の基準を踏まえ、業種を任意に選択して、考えられるリ スク及び監査上の対応について具体的に述べなさい。 設問 その際に、以下の内容の一つ以上に、必ず言及すること。 ・収益の認識 ・資産の評価 ・会計上の見積り 別紙1 ■第3回課題研究班別テーマ <記入欄> 班 テーマ 売掛金の残高確認手続について 40 監査手続の一つに「確認」手続がありますが、確認手続の監査上の意義と目的について述べたうえ で、売掛金の残高確認に対する以下の設問に答えなさい。 ① 期末日以前の日を基準日として残高確認を実施する場合の、監査上留意すべき点について説明し なさい。 ② クライアントから特定の取引先に対して、発送を断られた場合の対応策と監査上留意すべき点に 設問 ついて説明しなさい。 ③ 残高確認先から回答が得られない場合の、代替手続に関し監査上留意すべき点について説明し なさい。 ④確認状回答と会社帳簿との差異調整は重要な虚偽表示発見のきっかけになる場合が多いとありま す。差異調整に際して監査上の留意点を説明しなさい。 テーマ 会計参与と会計監査人との違い 41 公認会計士であるあなたに、かつて会社法上の会計参与に就任していた会社から、今度は会計監査 人に就任してもらいたい旨の打診がありました。会計参与としての会社に対する指導的機能と会計監 設問 査人としての指導的機能とは、どのように異なりますか、あなたの考えを述べなさい。なお、会計参与 等の定義・要件についての詳細な記述は不要です。 テーマ 社外取締役・監査役の社外性に関する会社法改正について 42 今年5月の会社法改正に伴い、取締役・監査役の「社外性」の要件が改正されました。社外取締役に 関しては、親会社の在籍者、兄弟会社の業務執行者、又は当該会社の一定の業務執行者等の近親 者は「社外性」を満たさないこととなりました。そして、社外監査役に関しても社外取締役と同様の改正 が行われました。 この改正に伴い、社外役員になれない人的範囲が拡げられ、これまでより一層社外性が求められるこ 設問 とになったと言えます。 しかしその一方で、過去に会社関係者となった者が永遠に社外取締役や監査役になれないということ を防ぐため、期間制限も設けられました(改正法2条15号)。 そこで、本改正についてその概要をまとめたうえで、会社及び一般投資家に与えるメリット、デメリット をまとめなさい。 テーマ 負債項目(買掛金・未払金等)の残高確認について 61 負債項目(買掛金・未払金等)の残高確認について、以下の問いに答えなさい。 (1)負債項目の残高確認を行う意義・目的について、あなたの考えを説明してください。 (2)残高確認先の抽出を行うに当たっての留意点を説明してください。 設問 (3)残高確認の結果、確認金額と回答額に多額の差異が検出されました。このような場合に想定され る監査リスクについて、現在あなたが関与している等、特定の業種(卸売業・建設業など何でも構いま せん)を例に挙げて説明してください。 別紙1 ■第3回課題研究班別テーマ <記入欄> 班 テーマ 株式上場直後の粉飾事例について 62 近年、株式上場直後の粉飾決算事件が社会的に問題となっています。 具体的な事例を1つ挙げ、当該粉飾決算の概要とその動機、機会等に対するあなたの意見を述べな さい。 設問 また、会社の立場から当該粉飾を防止するために必要であった対応、および監査人の立場から当該 粉飾を防止・発見するために必要と考えられる手続についても述べなさい。なお、株式上場直後の粉 飾事例特有の事情(他の上場企業の粉飾事例と比較して)についても触れること。 テーマ 棚卸資産と売上原価の監査手続 63 64 65 あなたは上場中規模メーカーの監査メンバーです。新人時代からがむしゃらに努力し、自己研鑽を重 ねてきた甲斐もあり、監査現場にも慣れてきた新年度は棚卸資産・売上原価の監査を担当するよう主 査から命じられました。クライアントのビジネスモデルの十分な理解とともに、各科目の監査手続につ いてあらためて確認しているところです。そこで以下の設問についてあなたの見解を述べなさい。 設問 (1)主査はどうして棚卸資産と売上原価をセットであなたの割当にしたと考えますか。 (2)棚卸資産並びに売上原価の監査を実施するに当たり、どのような点に留意すべきか時系列にわ かりやすく述べなさい。 (3)主査から「J-SOX導入後は監査チームの原価計算への理解が浅くなりがちだから気をつけて」と 注意を受けました。この主査の発言の背景を推察しなさい。 テーマ 「収益認識」の不正リスク 66 67 68 一般に推定される「収益認識」の不正リスクに関し、業種を1つ特定したうえで、次の点について述べな さい。 設問 ①不正の3要素に当てはめたリスク分析 ②会社が整備・運用すべき内部統制 ③監査人が実施すべき実証手続
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