こちら - NPOれきけん

歴史は生きる「ちから」
北海道の歴史的地域資産を活かすための活用ガイドブック
れきけん
活用ガイド
※れきけん活用ガイドは、公益財団法人 秋山記念生命科学振興
財団のネットワーク形成事業の助成を受けて作成しています。
特定非営利活動法人 歴史的地域資産研究機構
歴史は生きる「ちから」
北海道の歴史的地域資産を活かすための活用ガイドブック
れきけん活用ガイド
Q1
私の家はとても古いのですが、価値はあるのでしょうか?
建築から50年以上を経過しているものは歴史的価値の対象と
なります。
古くなった建物に不動産としての価値はあるのでしょうか?
A1
Q2
通常、約20年を経過すると資産価値がなくなると言われてい
ます。しかし、有名建築家の設計であったり、特殊な工法など
でつくられている場合は歴史的価値があると言えます。
A2
Q3
近所に古い建物が残っています。とても素敵な建物なので残し
てほしいと思っていますが、どうしたらよいでしょう?
建物の所有者が誰か、また現在、利用されているのかなどを調
べる必要がありますね。
古い建物を実測調査したいと思っていますが、どこに相談した
らよいのでしょう?
建築士会や学芸員、大学やNPO、北海道ヘリテージ・マネー
ジャーにご相談ください。(P19を参照)
A3
Q4
A4
2
Q5
古い建物を保存活用した事例を知りたいのですが?
活用ガイドブック(本書)のP14〜17をご覧ください。道内
A5の活用事例を掲載しました。
Q6
建物を活用したいのですが、どこに相談したらよいですか?
歴史的建造物に関する活動をしているNPO法人や北海道ヘリ
テージ・マネージャーなどにご相談ください。(P19を参照)
改修や保存に必要な資金を支援してくれるところはあります
か?
所有者が負担したりボランティアに協力してもらっているのが
現状です。
改修費用の見積りなどは、どこに相談したらよいでしょうか?
A6
Q7
A7
Q8
北海道建築ヘリテージサロンにご相談ください。
(P19を参照)
A8
3
はじめに
歴史的建造物や近代化遺産、産業遺産などを含む歴史的地域資産の保存活用
の重要性は全国的に認識され、北海道でも歴史的地域資産が保存活用されつつ
ある一方で、多くの資産を失ってきました。
また、東日本大震災では、多くの命とともに、記憶や歴史の痕跡も流されて
しまいましたが、被災地では奇跡的に残った神社や古墳、歴史的建築物などの
地域資産を、復興のよりどころとしている例も見られます。
いま見直されるべきは、歴史的地域資産がもつ可能性です。生きる力、人と
人をつなげる力、地域活性化の力となる歴史的地域資産を、どのように有効活
用できるかが、喫緊の社会課題ともなっております。
私たち特定非営利活動法人歴史的地域資産研究機構(略称:れきけん)は、
北海道内の研究者や専門家、保存活用団体のネットワーク化をめざし、歴史的
地域資産の調査・評価、改修工事への助言や専門的判断など、まちづくりや地
域づくりに寄与することを目的に、専門的な相談窓口として設立いたしました。
これまでに、1)歴史的地域資産の保存や活用に関わる団体の意見交換の場を
目次
Q & A………………………………………………………… 2
はじめに……………………………………………………… 4
1.歴史的地域資産を守るひとたち……………………… 6
2.歴史的地域資産とは…………………………………… 8
3.歴史的地域資産の価値を知る…………………………10
4.歴史的地域資産の活用事例と活かし方………………14
5.歴史的地域資産チェックシート………………………18
6.れきまち・ネットワーク………………………………19
設け、2)歴史的地域資産の保存や活用を進めるための課題の整理、3)歴史
的地域資産の保存や活用の社会実験を実践して参りました。
このたび、こうした経験を基に、歴史的地域資産の所有者や、日頃気になっ
ている方々が、宝物ともいえる資産を次世代に遺したい、今後も活用維持して
いきたいと思った際に、その悩みを少しでも解消できる相談役としての活用ガ
イドブックを作成いたしました。
本ガイドブックが、有効に利用され、貴重な歴史的地域資産が少しでも多く
次世代に継承できる一助になれば幸いです。
特定非営利活動法人 歴史的地域資産研究機構
代表理事 角 幸博
4
5
1.歴史的地域資産を守るひとたち
【れきまち・ネットワーク】
歴史的地域資産を保存活用するためには、所有者や地域に住む人が大切にし
たいという「強い思い」とその「価値を共有」することが重要です。そのうえ
で建物を「なおす人」や新たな「価値をみつける人」、それらを大切に使いな
がら「育む人」、保存活用を温かく「見守る人」など、専門家のネットワーク
や地域の人たちの協力など、たくさんの人の関わりと力を得ながら保存活用を
進めていきましょう。れきまち・ネットワークは歴史的地域資産を大切にする
みなさんのお手伝いをしていきます。
れきまち・ひろば
みつ
ける
人
育む
人
×
なお
す人
見守
る人
※北海道ヘリテージ・マネージャー
歴史的建築物や土木構造物、シンボルツリーや防
風林、地域の伝統文化など、各地に残る歴史的地域
資産の価値を評価し、守り育てていく専門職。平成
26年度より育成プログラムがスタートしました。
地域が元気になる
地元が好きになる
人と人がつながる
人と地域がつながる
豊かな社会になる
■ネットワーク1:れきまち・ひろば
北海道の歴史的地域資産の保存活用に関わる活動団体や専門家、学識者や
NPO法人、個人などをつなぐフォーラムを開催しています。情報交換や交流、
協力関係を築く場として、1年に数回、不定期で開催しています。
■ネットワーク2:北海道建築ヘリテージサロン
建築施工に関わる建設会社や工務店、レンガ工、石工、瓦工、塗装工、左官
など、あらゆる建築技能を有する職人の専門家集団です。道内の歴史的建造物
等の補修や改修などのご相談にお応えします。
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■ネットワーク3:北海道ヘリテージ・マネージャー
平成27年2月現在で36人のヘリテージ・マネージャーとヘリテージ・コー
ディネーターが全道で誕生しています。それぞれの地域で歴史的地域資産の価
値評価や保存活用についてアドバイスしてくれる強い味方です。
■ネットワーク4:活動団体
道内には歴史的地域資産の保存活用に関わるNPOなどの団体がいくつかあり
ます。活動についての相談や活用の事例として参考になるとともに、これから
何かをはじめたいときに大いに役立つでしょう。
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2.歴史的地域資産とは
北海道にはこれまでの人々の営みや歴史を伝える歴史的地域資産がたくさん
残っています。地域に根付き、くらしや文化を感じさせるもの、地域の顔と
なっているもの、住民から愛され、愛着をもって地域の誇りとなっているもの
など、そのありようはさまざまです。しかしながら、経済効率等が優先される
あまり、その多くは消失や崩壊の危機に面しています。
北海道の魅力を後世に伝える歴史的地域資産を保存活用しながら豊かな社会
をつくっていくため、文化財保護法や、道市町村などが定める条例等に基づき、
地域資源を文化財に指定、登録、選定・選択することで保護していく方法もあ
ります。
有形文化財
重要文化財
道内の歴史的地域資産の例
ニッカウヰスキー北海道工場
:余市町(登録有形文化財)
函館プレーリーハウス:函館市
(登録有形文化財)
松久園:芽室町
(とかち田園空間博物館サテライト)
住友奔別炭鉱立坑櫓:赤平市
三谷牧場牛舎・サイロ:札幌市
(札幌景観資産)
旧佐藤医院:士別市朝日町
国宝
登録有形文化財
無形文化財
重要無形文化財
記録作成等の措置を
講ずべき無形文化財
民俗文化財
重要有形・無形民族文化財
登録有形民族文化財
凡例
記念物
指定
登録
選定
登録有形文化財は築50年以上のものを登録
の要件としていますが、近代の建築は築25年
程度で歴史的価値をもつことがあります。
記録作成等の措置を
講ずべき無形の民俗文化財
文化財
史跡
特別史跡
名勝
特別名勝
天然記念物
特別天然記念物
登録記念物
文化的景観
伝統的建造物群
重要文化的景観
伝統的建造物群保存地区
重要伝建地区
そのほか、今後、新たに発見し、価値を知り、大切にしていくべきものがま
だたくさんあります。身近にある歴史的地域資産を発見してみましょう。
まだ見つかっていないもの
時間の経過とともにこれから価値が高まるもの
地域の誇りとなって愛されているもの
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茅部の栗林:茅部町(天然記念物)
北海道立根釧農業試験場 種苗倉庫:中標津町
(登録有形文化財)
北海道大学厚岸臨海実験場:厚岸町
■将来資産の発掘と保存活用を進めましょう
現段階ではまだ歴史が浅く、法や条例による指定はされていないも
のでも、これから時間の経過とともに歴史的価値が高まってくるもの
があります。また、地域の誇りとなって愛され、地域コミュニティや
観光の拠点となっているものがあります。これらを地域で共有し、大
切にしていくことが重要になります。
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3.歴史的地域資産の価値を知る
歴史的地域資産は、建物そのものの建築年代が古いこと、建築様式などにそ
の時代の特徴があること、また建物だけではなく、地域固有のくらしや文化を
物語っているものや事柄、樹木、土木構造物など幅広いものが対象となってい
ます。歴史的地域資産の価値は、以下のような6つの視点から読み取ることが
できます。
(1)歴史的価値
歴史的地域資産は、北海道の歴史の中においてさまざまな価値をもっていま
す。その価値は、建築物であれば、建設年代(築50年以上)が古いことによっ
て生じる歴史的価値を基本とします。また特別な由緒・由来があり、特徴的な
工法や材料が用いられている、著名な設計者や施工者、職人の関わりがあるこ
となども評価の基準となります。
歴史的価値
地域的価値
旧室蘭駅舎:室蘭市
(登録有形文化財)
文化・芸術的価値
■評価の視点
・建設年代が古く、時間の経過によって加えられた
価値がある
・建築様式が時代の特徴を伝えていて、特徴的な工
法、材料が用いられている
・再現が容易でない技術、技能が用いられている
・著名な設計者や施工者、職人の関わりがある
・入植者の母村の建築様式でつくられている
・樹齢が長い
・地域材料を使った巨大な土木施設である など
環境的価値
(2)地域的価値
活用価値
思い入れ価値
北海道は先住民族のアイヌおよび開拓の歴史を基礎とし、市街地を中心に農
業、林業、鉱業、酪農業、漁業などが発展してきた地域です。そのため、地域
の基幹産業の歴史を伝える建物が住宅を含め、多く見られます。沿岸部の漁家
建築、農村部の農村住宅、都市部の文化住宅や工場施設などの近代化遺産など、
地域の歴史と密接に関わる由緒・由来のある施設や環境が地域的価値として評
価されます。
ニッカウヰスキー北海道工場
:余市町(登録有形文化財)
10
■評価の視点
・市街地形成の歴史を物語っている
・地域固有の建築種別の典型例となっている
・産業と地域の発展に寄与している
・地場産業の歴史を伝えている
・地域の歴史と密接に関わっている
・入植者の母村に伝わる郷土芸能等が残っている
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(3)文化・芸術的価値
(5)活用価値
文化的価値とは、歴史的地域資産の背景となるくらしや地域にあるもので、
まちの成り立ちを物語るもの、地域固有の素材が活かされているもの、特徴的
な景観を形成しているものをさし、地域全体をその範囲とします。
芸術的価値は、外観・内観の意匠やデザインが優れている、構造物としての
魅力や迫力があるなど、その時代の空間表現や構造美、造形美などをさします。
これらの客観的な価値評価は専門家の判断も重要ですが、絵やスケッチ、写
真におさめたくなる魅力など、主観的、心情的な住民の評価も重要です。
歴史的地域資産がまちや地域のイメージを高めるものとなっており、文化・
コミュニティ施設や飲食施設として活用されたり、商品開発などの経済活動に
橋本家:寿都町
■評価の視点
・まちの成り立ちやくらし文化を物語っている
・意匠、デザインが優れている
・構造物としての魅力や迫力がある
・地域固有の素材が活かされている
・特徴的な景観を形成している
・地域に伝わる文化芸能活動がある など
(4)環境的価値
歴史的地域資産が周囲の景観や良質な居住環境を形成するのに寄与している
ものが環境的価値です。たとえば、並木や防風林が特徴的な街なみや田園景観
を形成しており、ランドマークとしての役割りを果たしているなどがあげられ
ます。歴史的地域資産の保存活用は、地域の景観や環境の維持に極めて重要な
役割を果たしているといえます。
■評価の視点
・特徴的な地域景観や居住環境を提供している
・豊かな緑環境を提供している
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三谷牧場牛舎・サイロ:札幌市
(札幌景観資産)
■評価の視点
・文化・コミュニティ施設として活用されている
・商業、飲食施設として転用されている
・住民の憩いの場となっている
・地域ブランドとなっている
・観光名所となっている
・商品開発などに活用されている
和光荘:小樽市
(6)思い入れ価値
函館プレーリーハウス:函館市
(登録有形文化財)
三菱美唄炭鉱原炭ポケット
:美唄市
利用されているなど、地域の活性化に寄与しているものを活用価値として評価
します。
歴史的地域資産はそのものに価値があることに加え、地域に住む人が愛着を
もって保存や活用の取り組みをしていることが重要です。
住民が保存活動をしているもの、特別な愛称で呼ばれているもの、まちづく
りや地域活性化のきっかけとなっているもの、地域住民に深く愛されているも
のは思い入れ価値として評価することができます。
歴史的地域資産は公共性を持ち、地域のくらしを支えるものとして大きな価
値があるといえます。
旧佐藤医院:士別市朝日町
・地域景観のランドマークとなっている
・地域や地域の歴史を物語っている など
旧小熊邸:札幌市(札幌景観資産)
■評価の視点
・住民の愛着がある
・特別な愛称で親しまれている
・まちづくりや地域活性化のきっかけや拠点と
なっている
・絵画や写真の題材となっている
・地域のランドマークとして親しまれている
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4.歴史的地域資産の活用事例と活かし方
(1)旧佐藤医院:士別市朝日町
士別市朝日町内に建つ、白い外壁と赤い寄せ棟屋根のモダンな洋風意匠の
旧佐藤医院(1930(昭和5)年建築)を、市民有志である「あさひ郷土の資
源を活かす会」が保存しました。2008(平成20)年6月から建物内部の清
掃活動を開始し、一般公開、石庭「松陰庵」の復興活動、屋根や外壁の塗装な
どに取り組みました。現在は、誰もが気軽に立ち寄れる「公共のたまり場」と
して活用しています。 (3)坂牛邸:小樽市
1927(昭和2)年、田上義也氏の設計で建てられた坂牛邸を、「NPO小樽
ワークス」が管理運営し、一般公開 (毎週金土日(冬期は土日)の10~15
時)をしています。坂牛邸内部は田上義也記念室として活用し、建物を拠点に
小樽アートプロジェクトや小樽再発見ツアーなど、さまざまなまちづくり活動
を展開しています。 所在地、連絡先等
・〒047-0021小樽市入船5丁目8-15
・NPO小樽ワークス
・URL:www.otaru-works.com
所在地、連絡先等
・〒095-0401士別市朝日町中央3811
・あさひ 郷土の資源を活かす会
・E-mail:[email protected]
・担当:塚田郁子
坂牛邸:小樽市
(小樽市歴史的建造物)
旧佐藤医院:士別市朝日町
(2)太郎吉蔵:滝川市
(4)和光荘:小樽市
彫刻家・五十嵐威暢氏の祖父、五十嵐太郎吉氏が1926(大正15)年に、酒
造米倉庫として建築した石蔵をアートスペースとして改修しました。デザイン
小樽市潮見台の高台に、北の誉酒造株式会社の2代目社長・野口喜一郎邸と
して建てられた和光荘は、1922(大正11)年創建の歴史的建造物で、北海道
を代表する邸宅建築です。1954(昭和29)年8月18日には、昭和天皇、皇
后両陛下の宿泊場所としても使用されました。現在は一般公開されていません
が、所有者や行政、建築史専門家とれきけんが共に保存活用を考え、一般公開
やアートの力による、魅力あるまちづくりを実践するための拠点として活用さ
れています。建物の保存改修、活用のための管理運営は「特定非営利活動法人
アートチャレンジ滝川」が行っています。 所在地、連絡先等
・〒073-0031滝川市栄町2-8-9
・特定非営利活動法人
アートチャレンジ滝川
・Tel・Fax : 0125.22.7337
・E-mail:tarokichi-gura@
act-takikawa.or.jp
・URL:www.act-takikawa.or.jp
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太郎吉蔵:滝川市
(滝川市指定有形文化財)
する方向で検討しています。
所在地、連絡先等
・〒073-0031小樽市潮見台2-4-1
・所有者:株式会社秀映社
代表取締役 野口禮ニ
和光荘:小樽市
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(5)伝成館:中標津町 (7)松久園:芽室町
道東の町、中標津町のシラカバ並木道を抜けたところに、中央に塔屋がつい
た重厚な鉄筋コンクリート造の建物があります。北海道庁の営繕事業の初期の
もので、かつての根釧農業試験場本館(1927(昭和2)年創建)です。もと
もとは北海道庁の所有でしたが、町民の粘り強い保存活動の後、地域の活動の
場、歴史の掘り起こしの場として活用することができました。現在は「特定非
2014年度に帯広の隣町である芽室町で、町内の美しい農村景観を創りだし
ている古建築の維持・活用をめざす「めむろ歴史的風致維持調査実行委員会」
が立ち上がり、町内の建物を調査しました。その中で築96年になる松久園をモ
デルに、断熱性などの調査をし、建物の保全手法などを検討しました。今後は、
建物の実験的な修繕などを視野に入れ、他の建物についても活動していきます。 営利活動法人伝成館まちづくり協議会」が管理運営をしています。
伝成館:中標津町
(登録有形文化財)
所在地、連絡先等
・〒086-1153
標津郡中標津町桜ヶ丘1−1伝成館
・特定非営利活動法人
伝成館まちづくり協議会
・Tel・Fax:0153.73.4301
・E-mail:[email protected]
・URL:denseikan.jp/npo/
(6)角十佐藤家、橋本家:寿都町
角十佐藤家は、1852(嘉永5年)年以降、歌棄、磯谷の場所請負人を勤め、
維新後は駅逓取扱人を命ぜられた同地方随一の名家です。漁場建築と前浜の
「袋澗」、裏手の丘上にある「干場」など、浜・海・丘に鰊漁の関連施設が
揃っているのは道内でも佐藤家だけです。
橋本家は、商家および「仕込屋(しこみや)」の遺構です。鰊漁の支度や製
品の流通には、仕込み屋の存在は無くてはならないものであり、鰊の生産流通
システムをとらえる上で、大変貴重な産業遺産ともいえます。
一連の施設は、歴史を活かしたまちづくりを進める上で貴重な存在です。 角十佐藤家:寿都町
(北海道指定有形文化財)
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所在地、連絡先等
・〒082-0076河西郡芽室町美生1-20
・所有者:活魚専門料理 松久園 松久大樹
・Tel : 0155.65.2321
・営業時間:4月~10月 11時~20時
・URL:www.nijimasu.net
橋本家:寿都町
松久園:芽室町
(とかち田園空間博物館サテライト)
(8)駅前中央倉庫群:ニセコ町 大正から昭和にかけて、ニセコ駅(当時・狩太駅)周辺には、羊蹄山ろくの
農産物の集積場として、多くの石造倉庫群やでんぷん工場などが建ち並んでい
ました。現在もニセコ駅前には、1927(昭和6)年に建てられた石造り倉庫
や、昭和30年代に建てられた旧でんぷん工場などが残っています。これらはニ
セコの農業の歴史を伝える、大切な産業遺産といえます。現在は地元の有志が、
建物の見学会やパネル展などを開催し、広く町民に働きかけ、活用への模索が
はじまりました。
※写真はニセコ町のHPより
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5.歴史的地域資産チェックシート
対象物件
■思い入れ価値
場所
構造等
価値評価
※案件ごとに
□欄にチェッ
クをしてみま
しょう
■歴史的価値
□建設年代が古い
□時間の経過によって加えられた価値がある
□建築様式が時代の特徴を伝えている
□特徴的な工法、材料が用いられている
□再現が容易でない技術、技能が用いられている
□著名な設計者や施工者、職人の関わりがある
□入植者の母村の建築様式でつくられている
□樹齢が長い
□地域材料を使った巨大な土木施設である
■地域的価値
□市街地形成の歴史を物語っている
□地域固有の建築種別の典型例となっている
□産業と地域の発展に寄与している
□地場産業の歴史を伝えている
□地域の歴史と密接に関わっている
□入植者の母村に伝わる郷土芸能等が残っている
■文化・芸術的価値
□まちの成り立ちやくらし文化を物語っている
□意匠、デザインが優れている
□構造物としての魅力や迫力がある
□地域固有の素材が活かされている
□特徴的な景観を形成している
□地域に伝わる文化芸能活動がある など
■環境的価値
□特徴的な地域景観や居住環境を提供している
□豊かな緑環境を提供している
□地域景観のランドマークとなっている
□地域や地域の歴史を物語っている など
■活用価値
□文化・コミュニティ施設として活用されている
□商業、飲食施設として転用されている
□住民の憩いの場となっている
□地域ブランドとなっている
□観光名所となっている
□商品開発などに活用されている
※案件ごとに
□欄にチェッ
クをしてみま
しょう
□住民の愛着がある
□特別な愛称で親しまれている
□まちづくりや地域活性化のきっかけや拠点となっている
□絵画や写真の題材となっている
□地域のランドマークとして親しまれている
6.れきまち・ネットワーク
■ネットワーク1:れきまち・ひろば
事務局:特定非営利活動法人 歴史的地域資産研究機構
連絡先・住所:〒060-0004
札幌市中央区北4条西4丁目1番地 加森ビル3 3階
・電話番号:090.3468.3741
・メールアドレス:[email protected]
・URL:nporekiken.com
■ネットワーク2:北海道建築ヘリテージサロン
事務局:北海道建築ヘリテージサロン
連絡先・住所:〒060-0004
札幌市中央区北4条西4丁目1番地 加森ビル3 3階
・電話番号:090.3468.3741
・メールアドレス:[email protected]
■ネットワーク3:北海道ヘリテージ・マネージャー
事務局:北海道文化遺産活用活性化実行委員会
連絡先・住所:〒060-0004
札幌市中央区北2条西7丁目かでる2・7ビル9階
北海道文化財保護協会内
・電話番号:011.271.4220
・メールアドレス:[email protected]
・URL:hhm.jpn.com
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れきけん活用ガイド
発行日:平成27年2月28日
編集・発行:特定非営利活動法人 歴史的地域資産研究機構
〒060-0004
札幌市中央区北4条西4丁目1番地 加森ビル3 3階
E-mail:[email protected]
URL:nporekiken.com
印刷:北海印刷株式会社
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