7章 発 生(解答)【STEP 2】 *浜島書店 1. 発生の初期では,卵割により細胞数が増加するが,同様に細胞数が増加する体細胞分裂とは大きく異なる点があ る。その違いを説明しなさい。 [解答] 体細胞分裂では,細胞は分裂後に成長するが,卵割では,成長する前に次の分裂が始まり,細胞はしだいに小 さくなる。(54 字) ▶ 生物図表 p.184 Point 卵割では,分裂した細胞が成長せず,通常の体細胞分裂よりも分裂速度が大きい。 2. 分裂に際して,遺伝情報はほぼ正確に自己複製されるにも関わらず,1 つの受精卵から筋肉や神経といった異なっ た組織が形成される。そのしくみを,極性,誘導,転写,維持といった用語を用いて説明しなさい。 [解答] 受精卵には極性があり,細胞質に含まれる物質の濃度には偏りがある。この偏りが維持されたまま卵割が起 こるため,各割球はそれぞれの位置によって,含まれる物質の濃度に違いが生じ,それに応じて特定の遺伝子の転 写が誘導され,タンパク質が合成される。合成されたタンパク質に応じて,さらに遺伝子の発現が調節され,さま ざまな細胞に分化し,異なった組織が形成される。(173 字) ▶ 生物図表 p.201 Point 細胞質の偏り(極性)がもとになり,体軸が形成されていく。 3. カエルの胞胚から,動物極側の領域と植物極側の領域を切り出し,別々に培養すると,内胚葉性の組織と外胚葉性 の組織はできたが,中胚葉性の組織はできなかった。通常のカエルの発生ではどうやって中胚葉が生じるか説明しな さい。 [解答] 植物極側の領域から動物極側の領域への誘導によって,赤道面付近の組織が中胚葉性の組織に分化する。 (47 字) ▶ 生物図表 p.201 Point 植物極側の細胞が動物極側の細胞を誘導し,中胚葉が形成される。 4. イモリの胚をトリプシン処理すると,なぜ細胞がばらばらになると考えられるか,説明しなさい。 [解答] 細胞間をつなぐタンパク質が分解するため。(20 字) ▶ 生物図表 p.202 Point トリプシン(タンパク質分解酵素)で処理すると,細胞間をつなぐタンパク質が分解されるため,細胞 間の結合が弱まり,細胞がばらばらになる。 5. ヒトの一卵性双生児では 2 人の遺伝子は同一である。しかし,実験的につくり出したクローンであるマウスと体細 胞を供与したマウスの間には,一卵性双生児には見られない遺伝情報の違いがある。その違いについて述べなさい。 [解答] ミトコンドリアがもつ遺伝情報は,ヒトの一卵性双生児の場合,母親由来で共通だが,クローンマウスの場 合,卵を供与したマウス由来になるため,体細胞を供与したマウスとは異なる。(84 字) ▶ 生物図表 p.210 Point ミトコンドリアは,卵由来であるため,母親のものを引き継ぐ。 6. イネの種子は,種子貯蔵物質の蓄積の様式が,エンドウの種子とは異なっている。その違いを述べなさい。 [解答] イネの種子は胚乳に養分を蓄積しているが,エンドウの種子は胚乳がなく,子葉に養分を蓄えている。(46 字) ▶ 生物図表 p.212 1 Point カキ,イネなどのような有胚乳種子は,胚乳に養分を蓄える。マメやクリのような無胚乳種子は,子葉 に養分を蓄える。 2
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