平成26年度 都立工芸高等学校(全日制課程)学校経営報告

平成26年度 都立工芸高等学校(全日制課程)学校経営報告
1 今年度の取組と自己評価
本校は100年を越える伝統のもと、日本の工業・工芸・デザイン教育をリードし、専門高校の
可能性を拓くモデル校を目指している。各種競技会。コンクール参加による受賞・入選を果たす高
い専門技術の習得はもとより、大学進学実績も伸ばし、山岳部(女子)がインターハイ出場を果た
すなど多岐に渡る生徒の活躍は目覚ましいものがあった。また、工芸祭(文化祭)には6115名(昨
年は6014名)の見学者が来校し、卒展も2780名の参観者を得た。更に、保護者会・授業参観、
OBの話を聞く会、ものづくり体験教室等を加えると年間12000名を超える来校者を迎えるな
ど都民に開かれた学校となっている。
(1)教育活動の取組と自己評価
① 学習指導の取組
(90点)
進路選択として就職から工芸・デザイン系大学等の進学を志望する生徒・保護者の要望に応
えるため、基礎的・基本的な学力の充実と個々の生徒に対応できる幅広い選択科目の設置を盛
り込んだ教育課程を展開した。更に、長期休業日中における進学対策講座や補講講座等を開講
して、個に応じた指導の充実に努めた。その結果、「考える力や創造力・表現力をはぐくむ授業
を行っている。」と感じている生徒や保護者が95%という高い水準を保った。
② 生活指導の取組
(80点)
HR活動や生徒集会をとおして基本的な生活習慣の確立に向け指導の充実を図った。また、
セーフティ教室などを実施し、日常生活の安全に対する意識の向上に務めた。更に、担任と保
護者との連絡を密にして、遅刻や欠席の多い生徒の指導に留意した。その結果、生徒の学校生
活への充実度は88%(昨年度92%)、保護者の学校生活の充実度は94%(昨年度97%)
と多少下がったが、高水準を維持した。
③ 進路指導の取組
(80点)
キャリア教育の全体計画に基づき、年度末の春季休業中に第2学年でインターンシップ(2
日~3日間・37社55名)を実施し、昨年の29社・35名を大きく上回った。デッサン・
プレゼンテーション・ポートフォリオ講習会の実施、保護者向けの進路講演会、就職講座、各
教科の補習補講講座、美大卒業制作展の見学会等の取組み、多様化する進路希望に対応するた
めの長期休業中に45講座開講し、受講者は延べ参加人数2000名以上となった。その結果、
進路指導の満足度は、86%(昨年度83%)と高評価を維持することができた。本年度の就
職内定率は100%、4年制大学の進学先は下記のとおりである。
埼玉大学(1 名)、県立静岡文化芸術大学(1 名)、工学院大学(1 名)、女子美術大学(4 名)、
拓殖大学(1 名)、玉川大学(1 名)、多摩美術大学(5 名)、千葉経済大学(1 名)、千葉工
業大学(5 名)、デジタルハリウッド大学(3 名)、東京家政大学(4 名)、東京家政学院大学(1 名)、
東京工芸大学(12 名)、東京造形大学(14 名)、東京電機大学(1 名)、東北芸術工科大学(1
名)、日本大学(9 名)、日本工業大学(9 名)、文化学園大学(1 名)、武蔵野美術大学(12
名)、目白大学(1 名)、ものつくり大学(3 名)、横浜美術大学(1 名)、大正大学(1 名)
④ 特別活動などの取組
(85点)
生徒の工芸祭や体育祭等の特別活動への取組は非常に活発で、学校組織及び教職員の対応も
充実しており、これらの取り組みの成果は外部からも高い評価を得ている。その結果、教職員、
生徒・保護者の満足度は平均で91%であった。更に、生徒の自主的・実践的な態度を育てる
指導として、各種競技会・コンクール等への参加、検定。資格取得にも積極的に取り組み、実
績もあがっている。
その主な結果は以下のとおりである。
- 1 -
A:アートクラフト科
・クラウドゲート主催 crafeイラストコンテスト
・Memories of GUMI イラストコンテスト
・高校生イラストコンテスト「日本のイメージキャラを作ろう」
・第5回どくしょ甲子園
クラウドゲート賞 1 名
採用1名
優秀賞1名
奨励賞4名
・第9回全国ジュエリー・アクセサリーデザインコンテスト
高校生デザイン画賞 1 名
・ヒコみづのジュエリーカレッジ高校生ジュエリーデザインコンテスト2014
ストーンマーケット賞1名(ジュエリー部門)審査員特別賞1名・準グランプリ賞1名
(ジュエリー部門)佳作5名
・危険物取扱者乙種4類(財団法人消防試験研究センター)
・カラーコーディネーター検定(東京商工会議所検定センター)
・基礎製図検定(公益社団法人全国工業高等学校長協会)
・ガス溶接技能講習修了(厚生労働省認定 社団法人日本溶接協会)
・色彩検定・冬期(文部科学省後援 公益社団法人色彩検定協会)
B:マシンクラフト科
・ジュニアマイスター(公益社団法人全国工業高等学校長協会)
・ジュニアマイスター(公益社団法人全国工業高等学校長協会)
1名
1名
62名
24名
3級5名
ゴールド賞4名
シルバー賞6名
・アマダ第27回優秀板金製品技能フェア 優秀賞「潜水艦 深行」
金賞1名・銅賞1名・奨励賞1名
・第43回機械製図検定(公益社団法人全国工業高等学校長協会)
合格3名
・第70回計算技術検定(公益社団法人全国工業高等学校長協会)
1級3名
・第71回計算技術検定(公益社団法人全国工業高等学校長協会)
1級6名3級29名
・第26回基礎製図検定(公益社団法人全国工業高等学校長協会)
30名
・危険物取扱者乙類第1類(財団法人消防試験研究センター)
14名
・危険物取扱者乙種第2類(財団法人消防試験研究センター)
6名
・危険物取扱者乙種第3類(財団法人消防試験研究センター)
7名
・危険物取扱者乙種第4類(財団法人消防試験研究センター)
17名
・危険物取扱者乙種第5類(財団法人消防試験研究センター)
20名
・危険物取扱者乙種第6類(財団法人消防試験研究センター)
8名
・ガス溶接技能講習修了(厚生労働省認定 社団法人日本溶接協会)
32名
・アーク溶接特別教育修了(厚生労働省認定 社団法人日本溶接協会
10名
・色彩検定・夏期(文部科学省後援 公益社団法人色彩検定協会)
21名
C:インテリア科
・第8回ものづくりデザインコンテスト(クラフト部門)
優秀賞1名 優良賞4名
(インテリデザイン部門) 優秀賞1名 優良賞2名
・平成26年度住まいのインテリアコーディネーションコンテスト
(高校生部門)
インテリア産業協会会長賞2名
・第28回デザイン甲子園(全国高等学校インテリアデザイン展)
日本家具産業振興会会長賞1名 福岡県家具工業組合理事長賞1名
読売新聞社賞1名 毎日新聞社賞1名
・第27回丹波の森ウッドクラフト展
佳作1名
・第3回全国合板1枚・作品コンペ
合板1枚賞1名 審査員特別賞1名 佳作1名
・第28回日本工業大学設計競技
奨励賞1名
・秋田県立大学全国高校生建築提案コンテスト 2014
優秀賞1名 佳作1名
・東京都建設系高校生作品コンペティション 2014
会長賞1名
(設計製図部門)
最優秀賞1名 審査員特別賞1名
(家具部門)
最優秀賞 1 名 審査員特別賞1名
CCI東京特別賞1名
- 2 -
(建設模型部門)
CCI東京特別賞1名
・第56回建築 CAD 検定試験(一般社団法人 全国建築 CAD 連盟)4級の部 最優秀団体賞
・レタリング検定(文部科学省後援 公益財団法人国際文化カレッジ)
3級30名
・色彩検定・夏期(文部科学省後援 公益社団法人色彩検定協会)
2級2名 3級5名
・色彩検定・冬期(文部科学省後援 公益社団法人色彩検定協会)
2級2名3級13名
・第56回建築CAD検定試験(一般社団法人 全国建築CAD連盟 2級5名 3級2名
・第59回建築CAD検定試験(一般社団法人 全国建築CAD連盟)
4級19名
・第27回基礎製図検定(公益社団法人全国工業高等学校長協会)
36名
・第33回福祉住環境コーディネーター検定試験(財団法人東京都商工会議所) 3級8名
D:グラフィックアーツ科
・第18回全国着物デザインコンクール
・いきいきシニアの集い(主催 文京区)
・元気生活のための体力アップフェア(主催 文京区)
銀賞3名 入選2名
デザイン採用1名
デザイン採用1名
・高校生書評合戦 ブックカバー
デザイン採用1名
・第10回IPAひろげよう情報モラルセキュリティコンクール(ポスター部門)
優秀賞1名
・未成年者喫煙防止ポスター
最優秀賞1名 優秀賞3名
・平成26年度8020運動ポスターコンクール
優秀賞1名 入選1名
・第33回川の写真コンクール
金賞1名 銀賞2名 佳作3名
・第27回 道のある風景写真コンクール
カメラ賞1名 努力賞3名
・警視庁非行防止啓発ポスター
最優秀賞1名 優秀賞2名
・第59回全国学芸サイエンスコンクール
入選1名
・第8回メディアユニバーサルデザインコンペティション
優秀賞6名
・OAC学生広告クリエイティブワーク2015
OAC奨励賞1名
・平成26年度第12回NHKミニミニ映画大賞
ファイナリスト2名
・グラフィックデザイン検定(公益社団法人全国工業高等学校長協会)
2級36名 3級36名
・色彩検定・夏期(文部科学省後援 公益社団法人色彩検定協会) 2級6名
3級1名
E:デザイン科
・「平成27年度東京都立高等学校に入学を希望する皆さんへ」冊子
表紙原画作成1名 挿画作成2名
・平成26年度版学校要覧表紙
表紙原画作成1名
・文京区社会を明るくする大会
ポスター・パンフレット原画作成 1 名 パンフレット原画作成1名
・都立学校外部指導員バッジ
デザイン採用1名
・都立学校外部指導員資格証
デザイン採用1名
・第13回全国高校生ポスターコンクール
入選6名
・横浜税関ポスターコンクール
税関長賞5名 入選40名
・第66回明るい選挙啓発ポスターコンクール 公益財団法人明るい選挙推進協会会長賞1名
東京都優秀賞1名
東京都入選2名
文京区優秀賞9名 文京区佳作11名
・かわさき産業デザインコンペ2014高校生部門
優秀賞2名 入賞1名
奨励賞1名 審査員賞2名
・緑化運動ポスター原画
入賞1名
・文京シビックオペラチラシデザイン
イラスト採用1名
・(冊子)「翔」専門高校生徒体験発表文・作文・研究文集表紙原画
作成1名
・レタリング技能検定(文部科学省後援 公益財団法人国際文化カレッジ)
1級の部 優秀賞1名 2級の部 優秀賞1名 優良賞1名
・高校生デザインコンテスト2015(ジュエリー部門)
審査員特別賞1名
・レタリング技能検定(文部科学省後援 公益財団法人国際文化カレッジ)
- 3 -
1級1名 2級6名 3級35名
・色彩検定・夏期(文部科学省後援 公益社団法人色彩検定協会)
2級9名 3級4名
・色彩検定・冬期(文部科学省後援 公益社団法人色彩検定協会)
2級2名 3級4名
F:英語科
・2014第1回実用英語技能検定(公益財団法人日本英語検定協会)
準2級 4名
・リスニング英語検定(公益社団法人全国工業高等学校長協会)
1級
1名
・リスニング英語検定(公益社団法人全国工業高等学校長協会)
2級 28名
⑤ 健康づくり
(75点)
カウンセリング等の必要な生徒の支援を行う相談体制の整備を進め、1学期に1学生徒全員に
対し面接を実施し、スクールカウンセラーの活用が進んだ。さらに組織化された体制を構築して
いく必要がある。
⑥ 募集・広報活動の取組
(90点)
本校の特色ある専門学科と競合する総合芸術高校が開校したことから、7年前より募集対策を
最優先重点課題として取り組んだ。都内公立中学校を対象とした体験学習、学校説明会・授業公
開、個別相談会等従来の取り組みに加え、8年目の小中学生対象の夏休み工作スタジオ、創造も
のづくりフェアなどを活用した宣伝活動を実施した。また、生徒による学校説明会の実施、更に
は懸垂幕の積極的活用、ホームページの更新、訪問授業など積極的な広報活動を展開した。
その結果、応募倍率は若干上がり、学力検査に基ずく選抜の入学応募倍率は昨年度を若干上
回り5学科平均で1.4倍以上となった。今後も本校を取り巻く環境は厳しい状況にあるため、
更なる広報活動の充実に努めていく。
⑦ 学校運営への参加
(70点)
現主幹教諭の育成と人材の掘り起こしを継続的にすすめている。管理職選考や4級職選考の受
験者を輩出し意識の向上や主幹教諭を中心とした組織づくりを行っている。
重点課題とした募集
対策において、
募集対策を専門に行う分掌として設置した総務部の活動が7年目で軌道に乗って
きた。
(2)重点目標への取組と自己評価
① 進学対策・検定資格取得・補講(75点)
長期休業日の進学対策講座・検定資格取得講座・補講講座等として、長期休業日中の講座を
45講座開講(昨年度48講座)開設した。
② 7時間目の自由選択講座
(70点)
7時間目の自由選択授業として各学年で2講座、6講座開設、工学系大学志望者向けに学校
設定科目「数学C」を開設した。
③ 5つの満足
平均85%(昨年度平均89%)
ⅰ授業満足度
87%(昨年度80%)
生徒による授業評価等を反映した改善・工夫を行い、多様な進路希望に沿った学習指導
を展開した。
ⅱ進路指導への満足度
86%(昨年度83%)
キャリア教育の全体計画にもとづきながら、家庭と連携した進路指導を推進し、進路ガ
イダンスにはのべ105名の保護者が参加した。
ⅲ生活指導への満足度
76%(昨年度97%)
担任の連携を強化し、スクールカウンセラーを中心とした相談体制の充実を図った。
ⅳ特別活動の満足度
88%(昨年度94%)
ⅴ 学校生活の満足度
88%(昨年度92%)
5項目の満足度は、ほぼ全ての項目で昨年並みの高いレベルで維持することができた。生
活指導への満足度を落としているのは、生徒側からすれば服装・頭髪指導の強化などが影響
しているものと考えられる。次年度以降も生徒の変化を踏まえた取り組みについて引き続き
検討が必要である。
- 4 -
④ 学校説明会・学校見学会(95点)
学校説明会・学校見学会の参加者は3303名(昨年度3544名)で昨年度よりわずか少
なくなったが、近年の来場者は多くなり本年度は入学応募倍率も若干あがった。
⑤ 企業・大学との連携
(75点)
企業等の学校説明会・授業公開における本校来校者数 大学3名・ 企業10名(昨年度9名)
⑥ 中学校への出前授業
(70点)
中学校訪問授業は積極的な体制をとり、14校で展開できた。(昨年度10校)
⑦ 中学校訪問
(80点)
教職員による訪問として1人5校を目指した結果、168校(昨年度223校)、生徒による
母校訪問を79名(昨年度142名)で実施した。
⑧ 求人企業の拡大
(90点)
求人企業数371社(昨年度257社)。
⑨ プレゼン講習会・デッサン講習会等(90点)
プレゼンテーション講習会1回20名、デッサン講習会2回(前・後期)67名(昨年度2回
76名)、ポートフォーリオ講習会1回(昨年度 1 回)198名(昨年度198名)を実施した。
⑩ 地域行事への参加
(80点)
湯島天神梅まつり、千代田区児童館「いずみ子どもプラザ」、文京区選挙管理委員会・ボラン
ティアセンター等への参加及び作品提供を通じ地域行事へ参加した。
⑪ 入試応募倍率の確保
(95点)
推薦に基づく選抜3.6倍、学力検査に基づく選抜(一次)1.5倍(昨年度推薦3.2、一
次1.4)で学校経営目標値(推薦3.0倍、一次1.5倍)をほぼ達成した。
2 次年度以降の課題と対応策
① 学習指導では、多様化した生徒一人一人のニーズに的確に応えられる授業の改善・工夫をさら進
める。
・進学を志望する生徒への普通教科授業を充実させるため、放課後や長期休業日を活用した補習
補講を計画的に展開する。
・就職や進学などに対応するため、専門教科の授業を一層充実させる。
・生徒一人一人の多様な進路実現支援を目指して、必修選択や自由選択、横断的な選択講座の設
置など、カリキュラムの改善を追求する。
② 生活指導では「心の相談体制」の充実を図る。
・スクールカンセラーと校内における「相談体制」を充実するとともに、積極的に外部機関との
連携を図るなどきめ細やかな指導を展開する。
③ 進路指導では、キャリア教育の全体計画に基づく、3年間の系統的な指導の充実を図る。
・インターンシップを拡充する(協力企業の開拓と就職希望者の全員参加)
・進路指導部とホームルームとの連携による進路ガイダンスなどを計画的・効果的に実施する。
・進路情報は進学へとシフトしていることを踏まえ、的確な情報を生徒・保護者に伝えるため、
引き続き「進路の手引き」等の充実を図る。
④ 募集・広報活動は、総務部を中心に活動の精選と安定的な取り組みを推進する。
・今年度の課題を整理分析し次年度以降の活動計画を立案し、デザイン・芸術系の都立学校や普
通高校と違いなどを中学生・保護者に説明するなど広報活動の改善と実践を試みる。
⑤ 学校運営への参加では、OJT機能が発揮できる運営に務める。
・分掌活動計画のもとに、具体的な活動内容と課題に効果的に取り組み、学校全体の統一的対応
が可能な各分掌でのマニュアル作りを進め、次年度の引継ぎや校務分掌による教職員間による
人材育成を図る。
⑥ 新学習指導要領を踏まえた、将来構想プロジェクト委員会や教育課程委員会などの委員会が連
携しながら、学科改編も含めて将来を展望する。
・今年度、学力スタンダードに基づく指導により都民から信頼される学校づくりを進める。
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