UPF 評価システムによる日焼け防止繊維製品の評価

UV application data
新しい紫外可視分析情報
Date 2015/04/16
070-UV-0036
UPF 評価システムによる日焼け防止繊維製品の評価
日焼け防止繊維製品の紫外線遮蔽性能を示す指標として UPF 値 (紫外線保護指数) が用
いられています。UPF 値は、その値を示す衣服を着用して紫外線を浴びた場合に、衣服を
着用しない場合と同程度の日焼けをするためにかかる時間の倍率を示しています。例えば、
UPF 50 の衣服を着用して 10 分間紫外線を浴びた場合、衣服を着用しないで 10 分間紫外
線を浴びた場合と同程度の日焼けをするためには、50 (UPF) ×10 分=500 分かかることを
意味します。UPF 値は、AS/NZS 4399:1996 を始め、BS EN 13758-1:2002、AATCC Test
Method 183:2010、GBT18830:2009 などで紫外可視分光光度計を用いた試験方法が規定さ
れています。
ここでは、紫外可視分光光度計の UPF 評価システムを用いて AS/NZS 4399:1996 で定
められている 日焼け防止繊維製品の UPF 値、UPF 等級、UVA 透過率、UVB 透過率を評
価した例をご紹介します。また、繊維製品は紫外光を照射すると蛍光を発することがある
ため、分光蛍光光度計で試料の蛍光特性を調べた結果もご紹介します。
<Keyword> UPF、日焼け防止繊維、AS/NZS 4399:1996、BS EN 13758-1:2002、AATCC
Test Method 183:2010、GBT18830:2009
測定システム
透過率スペクトル測定
V-750
紫外可視分光光度計
ISV-922
積分球ユニット※1
VWUP-967
[UPF 測定] プログラム
※1
AATCC Test Method 183:2010 の試験を行う場合には、ILV-924 150mmΦ積分球ユニットを使用します。
3D 蛍光測定
FP-8500
分光蛍光光度計
FLH-809
フィルム測定ブロック
ESC-842
副標準ハロゲン光源
ESC-843
副標準重水素光源
計算方法
UPF 値
UPF 値は (1) 式から計算します。
400
UPF値 =
∑ E(λ ) ⋅ S(λ )
290
400
∑ E(λ ) ⋅ S(λ ) ⋅ T(λ )
× 100
(1)
290
E(λ ) : CIE参照紅斑作用スペクト ル
S(λ ) : 太陽光の放射強度分布
T (λ ) : 拡散反射率スペクトル (%)
本社・工場 192-8537 東京都八王子市石川町 2967-5 TEL 042(646)4111 代表 FAX 042(646)4120
東京 03(3294)0341/北海道 011(741)5285/北日本 022(748)1040/西東京 042(646)7001/筑波 029(857)5721/
神奈川 045(989)1711/名古屋 052(452)2671/大阪 06(6312)9173/広島 082(238)4011/九州 092(588)1931
UPF 等級
UPF 等級は、同一試料の透過率スペクトルを 4 箇所以上測定し、(2) 式を計算した後、
得られた値を 5 の倍数に切り捨てて求めます。
UPF等級 = UPFAVE − E
UPFAVE =
E=
t k,α
N
(2)
UPF1 + UPF2 + L + UPFN
N
× SD
UPFi:
i 箇所目の UPF 値
tk,α :
t 分布において片側確率が 0.5% となる境界値を与える値
α:
片側確率 (0.005)
k:
自由度 (N-1)
2
N
SD =
∑ (UPF − UPF
i=1
i
AVE
)
N −1
UPF 等級が各 UPF 値の最小値よりも小さい場合は、(3) 式を計算した後、得られた値を
5 の倍数に切り捨てます。
UPF等級 = lowest UPF
(3)
UPF 等級が 50 よりも大きい場合は、50+ とします。
UVA 透過率、UVB 透過率
UVA 透過率 (%) は 315 ~ 400 nm の、UVB 透過率 (%) は 290 ~ 315 nm の透過率の算
術平均で、(4) または (5) 式から計算します。
T315 + T320 + T325 + L + T400
18
T + T295 + T300 + L + T315
UVB = 290
6
UVA =
試料
T シャツ (黒):
スポーツシャツ (黒):
アームカバー (黒):
(4)
(5)
ポリエステル 100%
ポリエステル 100%
レーヨン 55%, ポリエステル 45%
測定
3D 蛍光測定
繊維製品は、紫外光を照射すると蛍光を発することがあるため、分光蛍光光度計で 3D 蛍
光測定を行い、290 ~ 400 nm で励起した場合に蛍光を発するかを確認しました。※2
透過率スペクトル測定
(1) 標準白板でベースラインを測定しました。
(2) 各試料につき 4 箇所の透過率スペクトルを測定しました。
※2
試料が 450 ~ 650 nm で蛍光を発する場合には、積分球に蛍光カットフィルターブロックおよび蛍光カットフィルタ
ー (U-330) を設置する必要があります。
測定結果
3D 蛍光測定結果
T シャツ の 3D 蛍光スペクトルを図 1 に示します。290 ~ 400 nm で励起しても蛍光は確認
されませんでした。また、スポーツシャツ、アームカバー についても同様に蛍光は確認され
ませんでした。
図 1. T シャツ の 3D 蛍光スペクトル
透過率スペクトル測定結果
各試料の透過率スペクトルを図 2 に示します。
― T シャツ
― スポーツシャツ
― アームカバー
図 2. 各試料の透過率スペクトル
測定条件
分光蛍光光度計
励起側バンド幅
走査速度
データ取込間隔
5 nm
5000 nm/min
0.5 nm
紫外可視分光光度計
UV/Vis バンド幅 5.0 nm
レスポンス
0.96 sec
蛍光側バンド幅
レスポンス
スペクトル補正
5 nm
10 msec
ON
走査速度
データ取込間隔
100 nm/min
1 nm
解析結果
解析結果画面を図 3 に、解析結果を表 1 に
示します。図 3 に示すように、[UPF 測定] プ
ログラムは、日焼け防止繊維製品の性能を数
値化するため、客観的に製品の紫外線防止性
能を比較することができます。また、AS/NZS
4399:1996 の他に、BS EN 13758-1:2002、
AATCC Test Method 183:2010、
GBT18830:2009 といった様々な国や地域の規
格にも対応しています。
図 3. [UPF 測定] プログラム画面
試料名
T シャツ
スポーツ T シャツ
アームカバー
表 1. AS/NZS 4399:1996 に基づいた解析結果
番号
UPF 値
UPF 等級
UVA 透過率 [%]
1
2
3
4
1
2
3
4
1
2
3
4
30.0
30.0
30.0
30.0
114.3
114.2
114.1
114.4
68.2
68.0
68.1
68.0
25
50 +
50 +
4.4
4.4
4.3
4.4
1.2
1.2
1.2
1.2
2.1
2.1
2.1
2.1
UVB 透過率[%]
3.1
3.1
3.1
3.1
0.8
0.8
0.8
0.8
1.3
1.3
1.3
1.3