1.92MB - トッパンホール

P
R
E
S
S トッパ ン ホールプレス
Vol.77[ May 2015]
隔
月
発
行
77
ジャン=クロード・ペヌティエ(2014.5.9)
© 大窪道治
トッパンホールから羽ばたいた世界の俊英
日下紗矢子
ヴァイオリンの地平 2 ― 古典
熱度を増す進化 柴田克彦
〈エスポワール シリーズ 11〉
山根一仁
Vol.2 — 等身大の魅力
ハ
タ
チ
ヴァレリー・アファナシエフ(ピアノ)
音楽家、アファナシエフ 北村朋幹
マーティン・ヘルムヘン(ピアノ)
4つの変奏曲が結びつき形成する小宇宙 伊熊よし子
[ Schedule 2015.5〜2015.8 ]
[ Information ]
2015/2016シーズン主催公演ラインナップ発表!
ランチタイムコンサート Vol.77 宮﨑貴子
(フォルテピアノ)
GREAT ARTIST SERIES モーリス・ブルグ・トリオ
ト ッ パ ン ホ ー ル か ら 羽
日下紗矢子
熱度を増す進化
柴田克彦
アーティストがホールと連動しながら進化を遂げる─その稀
にして幸せな一例が、日下紗矢子とトッパンホールの関係だ。
ムがまた周到だ。昨年の“バロック”は、結論めいた無伴奏曲で
はなく、次代に繋がるチェンバロとの「ソナタ」で閉じられた。
日下は、パガニーニ国際コンクール2位、日本音楽コンクー
従って“古典”は、同一線上に位置するモーツァルトのソナタで
ル1位等を獲得した俊才ながら、その後もドイツで研鑽を積み、
始まる。一時期
「ヴァイオリン伴奏付きのクラヴィーア・ソナタ」
2008年ベルリン・コンツェルトハウス管の第1コンサートマス
と化していた同ジャンルが「二重奏ソナタ」へ向かう端緒となっ
ター、09年には指揮者を置かない同室内オケのリーダーに就
たのが、通称
「マンハイム・ソナタ」
。プログラム最初のK303は、
任。13年からは驚くことに読売日響のコンサートマスターをも
その一角を成す実験的な作品だ。2曲目のK526は、三大ソナタ
兼務し、併せて充実したソロ活動を行っている。
の最後を飾る円熟期の傑作。モーツァルトの二重奏ソナタの到
、10
トッパンホールでは、08年〈ランチタイム コンサート〉
達点である。次に彼を受け継いだベートーヴェンのソナタが来
年3月∼ 12年7月の〈 エ ス ポ ワ ー ル シリー ズ 〉
、13年1月の
る。意外にも第4番だが、同曲は最初の短調ソナタであり、彼の
〈ニューイヤーコンサート〉に出演。特に〈エスポワール〉では、
個性が強く打ち出された転換点を成す作品。とそこにパガニー
デュオ、トリオ、六重奏の各形態で、高い音楽性と顕著な進化を
ニの《カプリース》が挟まれる。これまた意外だが、ウィーン古
披露した。演奏者とホールが共同で練り上げる当企画において
典派の時代に、違った形で一世を風靡し、ロマン派音楽に影響
は、どの奏者も全力を発揮するが、日下のシリーズは、両者のベ
を与えたのがこのイタリアの鬼神だった。またここでは、
「技巧
クトルが見事に一致し、とりわけ手応えを感じさせた。
を披瀝しない」日下が、技巧曲の極致にどう挑むのかも興味深
そこでホール側もさらなる展開を嘱望。14年7月から新たに
。ヴァイオリ
い。そして最後にシューベルトの《ロンド ロ短調》
シリーズが始まった。今度は、
〈日下紗矢子 ヴァイオリンの地平〉
ンには珍しい調性で書かれたこの曲は、ドラマティックな協奏
〈エスポワール〉
バロック、古典から20世紀まで時代を追う内容。
曲風の音楽。713小節の長大な単一楽章の中で多様に変化する
後に新シリーズが続くのも、日本人弦楽器奏者を冠したシリー
作りは、まさにロマン派を示唆している。
ズも初めてゆえに、
“弦のトッパン”
の期待度は限りなく高い。
日下は、これ見よがしに技巧を披瀝せず、虚飾を排して楽曲
15年前後の間を置いて生まれた作曲家の、約10年ごとに間を
置いた作品が順に並ぶプログラムは、バロックとロマン派の歴
の本質を聴かせる。一音一音に芯と実があり、完璧なテクニッ
史を繫ぐ“古典”の進化と、作曲家の個性を同時に浮き彫りにす
クをもち、集中力を絶やさない。近年は公演ごとに表現の幅と
る、意味深い内容だ。また、これはシューベルトのロンドで締め
深みと熱度を加え、スケール感を増している。
ることを最初に決めた上で組まれたとの由。その真意も聴けば
そして「楽曲の本質を聴かせる」真価を示したのが、昨年の
納得できるに違いない。
だった。ビーバー、ヴェスト
〈ヴァイオリンの地平 1―バロック〉
加えて、ベートーヴェンの演奏で日本でも評価を上げたドイ
ホフ、シュメルツァー、ピゼンデル、J.S.バッハの作品を並べた
ツの名手、マーティン・ヘルムヘンのピアノが心強い。これも
プログラムは、ピリオド楽器のテリトリーだ。しかし彼女は、弦
トッパンホールが仲を取り持ったという。共同作業の意義が反
や弓も含めた全てをモダン楽器で演奏し、説得力抜群の名演を
映されたこのコラボの成果にも注目が集まる。
展開。フレージングやアーティキュレーションを吟味し、造型
ヴァイオリン音楽を愛する者なら、日下紗矢子の公演は絶対
確かに奏すれば、ピリオド楽器の使用や奏法の模倣
(それを踏ま
に逃せない。それにこれまで聴いて来なかった人も、
“古典”
を弾
えた奏法は成されていた)なしに楽曲の本質を伝え得ること=
く今回は、彼女を知る格好の機会となる。
本質が音楽そのものにあることを、まざまざと知らしめた。
ヴァイオリンの地平 2 ― 古典
(しばた・かつひこ/音楽評論家)
となれば今回の“古典”にもいっそう期待がかかる。プログラ
日下紗矢子 ヴァイオリンの地平 2 ― 古典
2015 年 7月31日(金)19:00
マーティン・ヘルムヘン(ピアノ)
モーツァルト:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ ハ長調 K303
モーツァルト:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ イ長調 K526
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第 4 番 イ短調 Op.23
パガニーニ:24 のカプリース Op.1より
シューベルト:ロンド ロ短調 D895
6,000 円/学生 3,000 円 全席指定
特別協賛:株式会社 安藤・間
音楽家、ヴァレリー・アファナシエフ
芸術を聴く、見るなどという行為は、作品を通してその芸術
家の内面世界を覗き見るという事だと思う。故に、彼らの解釈
(interpretation)そのもの自体は気に入らなかったとしても、最終
的にはその世界から感銘を受けるという事は大いにあり得る。
ヴァレリー・アファナシエフは確かに、特異な演奏家であると言
えるだろう。大胆なテンポ設定などに代表されるエクストリーム
な解釈は、
常に話題を呼ぶ。しかしその話題のほとんどはあくまで、
その演奏の表面的な部分、方法のみを好奇心に満ちた目でなぞり、
「普通ではない」
事態に興奮しているだけであり、果たして我々はど
れほど、彼の演奏、彼という人間を理解できているのであろうか?
人と人とが完全に理解しあえるという事はまずあり得ないよう
に、やはり、誰かの芸術作品(そこには演奏も含まれる)について、
全てを理解出来るという事はあり得ない事なのだろう。芸術家が
作品との距離を詰めるほど、作品は芸術家自身の形へと変貌して
いく。その姿が万人から理解されるなどという方がおかしい。
そして現代ではさらに、作曲家の姿をした作品を、他人が音に変
換する事によって初めて、我々聴衆の前に
「音楽」
が現れる。その他
人が音に迫れば迫るほど、音は演奏家の姿をまとっていく。その音
Valery Afanassiev
が、たとえ他人の目にエキセントリックに映ったとしても、それが
作曲家という人について理解しようとしている、彼その人の姿な
のだ。
ピアニスト
北村朋幹
その意味でアファナシエフは、もっともシンプルな方法で芸術
と対峙していると言えるかもしれない。作曲家が遺した作品に、た
だ心の赴くまま触れていく。作曲家と彼の間に他の何物が介入す
る余地もなく、どんなに残酷な音も、どんなに長い静寂も、それが
彼自身の姿であるかのように揺らぐ事はなく、そして
(恐らく)
彼の
中ではただただ音楽は前へと進んでいく。それが彼の作品であり、
即ち彼という人間なのだろう。
それを好き嫌い思うのは、人それぞれ。
コンサートホールで演奏家を聴くというのは、誰かの事を理解
しようと努める事なのかもしれない。ヴァレリー・アファナシエフ
の演奏を聴くと、そんな事を思う。
ヴァレリー・アファナシエフ(ピアノ)
2015 年 6月25日(木)19:00
J.S. バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻より
第1番 ハ長調 BWV846 /第 8 番 変ホ短調 BWV853 /
第 22 番 変ロ短調 BWV867
シルヴェストロフ:オーラル・ミュージック
シルヴェストロフ:サンクトゥス/ベネディクトゥス
J.S. バッハ:平均律クラヴィーア曲集第 2 巻より
第 5 番 ニ長調 BWV874 /第 7 番 変ホ長調 BWV876 /
第 8 番 嬰ニ短調 BWV877 /第 9 番 ホ長調 BWV878 /
第14 番 嬰ヘ短調 BWV883 /第16 番 ト短調 BWV885
10,000 円/学生 5,000 円 全席指定
特別協賛:株式会社 安藤・間
羽 ば た い た 世 界 の 俊 英
ハ
タ
チ
等身大の魅力
でもリーダーの彼が、若いアンサンブルをきっちりまとめ、同
家の真の成熟を願い立ち上げたプロジェクトだ。現状、若手の
時に音楽全体に生気を漲らせてくれることだろう。とりわけ、
演奏の場はそれなりに用意されているが、どうしても集客を考
同じカルテットの三原久遠、富岡廉太郎ともども、室内交響曲
えた安易な名曲プログラムに偏りがちだったり、反対に無理に
の世界をどのように牽引し、まとめ
(原曲:弦楽四重奏曲第8番)
ハードルの高い曲を用意して受けを狙ったりと、若手自身が自
てくれるかにも興味がそそられる。瀧村依里、門脇大樹、上野
分と向き合いプログラムを作るという環境にまでは、なかなか
通明、N響の飛澤浩人らトッパンホールに出演経験のあるメン
至らないケースが多い。
〈エスポワール〉は、3年3回という継続
バーも多数集い、頼もしい。飛澤はコントラバスの山崎実らと、
した場を提供し、準備時点から4 ∼ 5年先の自分の姿までを視
しっかりとアンサンブルを引き締めてくれるに違いない。山根
野に入れ、そこから逆算して、いま何が必要か、どんな課題を設
と同年代の音楽仲間も参加、彼らとの出会いも楽しみのひとつ
定し、夢を実現させるかを考えてもらった上で、様々な角度か
だ。さらにシュニトケ、ヴィヴァルディでカギを握るチェンバ
ら話し合ってプログラムを作る。時にはその時点の本人の力量
ロには、山根の盟友、北村朋幹がベルリンから駆けつける。これ
や知名度では実現不可能な共演者を用意し、多くのお客さまを
もファンの注目を集めることだろう。今年のニューイヤーでの
呼んで、コンサートを成立させていこうという、アーティストと
フォルテピアノに次いで、チェンバロ演奏も今回が本邦初披露
ホールが二人三脚で形にするプロジェクトである。したがって
となる。
選定にあたっては、こちらもアーティストの将来の「のびしろ」
一瞬の閃きによる演奏がその瞬間から未踏の領域に突入する
をかなり意識している。ほかのコンサート以上に時間も手間も
こともままある山根のステージ。今回は、それを感度のいいア
エネルギーもかかるプロジェクトだ。だが、有能な若手アーティ
ンサンブルが受け止め、新たな化学反応を引き起こし、刺激的
ストが成長し、羽ばたいていく姿をみることはなにより嬉しい
なライヴになることだろう。徹底したこだわりと自由な精神の、
のもまた事実。やっている時間は苦しいが、終わってみるとま
高いレベルでの共存。そして表現への並々ならぬ研ぎ澄まされ
た取り組みたくなる麻薬のようなプロジェクトでもある。
た意欲が、いまの山根の大きな魅力だ。ちなみにこの日、山根一
日本人には珍しく強固な個性が際立つ山根だが、その実、音
楽へのアプローチは柔軟でもある。楽譜をまっさらな視点でみ
仁は20歳を迎える。
(西巻正史/企画制作部長)
つめ、感じたままを音にする。19歳の若さにして、ひとつの曲
*エスポワールVol.1の模様は、ハイレゾ音楽配信サイト
「e-onkyo music
/トッパンホール・トライアングル」
で、お聴きいただけます。
に複数のアプローチの方法をもって作品に向き合える多様性
〈エスポワール シリーズ 11〉
は、彼の知られざる才能、魅力のひとつでもある。そんな山根
の最初の〈エスポワール〉は2014年3月。彼は共演者もピアノも
ない、まっさらなステージに立つことを望んだ。ビーバー、タル
ティーニからJ.S.バッハ、パガニーニ、イザイ、エルンスト、ベ
リオまで多岐にわたるプログラムを一度に弾き分けるという高
いハードルを自らに課した。結果は、みなさまご存知のとおり。
18歳の若さと類稀なセンスで、勇猛果敢にこのハードルを飛び
越えて見せた。こうなると続く第2回は展開が難しい。そこで
当初の予定を変更し、ステージには多士済々の若手が集うとい
う、第1回とは対照的な形を提案。山根がいま思うように演奏す
る場が欲しいに違いないヴィヴァルディの《四季》
、そして彼が
強く惹かれている作曲家ショスタコーヴィチとシュニトケを取
山根一仁(ヴァイオリン)Vol.2
山根一仁
3年間3回にわたる若手シリーズ〈エスポワール〉は、若手演奏
完売
2015 年 7月29日(水)19:00
トッパンホール 弦楽アンサンブル
コンサートマスター:﨑谷直人
ヴァイオリン:瀧村依里、
山田麻実、
三原久遠、
直江智沙子、
福留史紘、
菅谷 史、
毛利文香
ヴィオラ:飛澤浩人、
鈴木慧悟、
田原綾子、
野中友多佳
チェロ:門脇大樹、
富岡廉太郎、
上野通明、
伊東 裕
コントラバス:山崎 実
北村朋幹(チェンバロ)
シュニトケ:ヴァイオリンと室内オーケストラのためのソナタ
(原曲:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第 1番)
ショスタコーヴィチ(バルシャイ編)
:室内交響曲 ハ短調 Op.110a
(原曲:弦楽四重奏曲第 8 番 ハ短調 Op.110)
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集《四季》Op.8-1 ~ 4
5,000 円/学生 2,500 円 全席指定
「い
り上げることにした。5年後、10年後とはまったく異なる、
〈エスポワール シリーズ 11〉Vol.2
ま」
ならではのアプローチ・演奏を、させたい、聴いていただき
たいと思ったからだ。同時に、シュニトケとショスタコは、取り
上げる作品に変化をもたせた。これによって、共演するメンバー
にも一段と映える場を用意できたと思う。これらを並べて、い
まの山根がどこまで自分の感ずる音楽を自在に深く演奏できる
か、勝負の場は整った。
集まってくれたアンサンブルのメンバーも個性と魅力に富ん
でいる。リーダーを務める﨑谷直人。ウェールズ弦楽四重奏団
4つの変奏曲が結びつき形成する小宇宙
多くのピアニストが新鋭として国際舞台に彗星のごとく登場し、
華やかな活動をするなかで、マーティン・ヘルムヘンはデビュー当初
から常に落ち着いた雰囲気、静けさあふれる演奏、こだわりのプロ
グラムで真のピアノ好きの心をとらえている。
ヘルムヘンのピアノは、詩的で清涼で、心にゆったりと浸透して
くる不思議な魅力を備えている。彼の生み出す音は、いずれの作品
においても自然体で、クラシックの深淵な森にスーッといざなわれ
ていくような感覚に彩られているため、聴き手は至福のときを過ご
すことができ、感極まる思いにとらわれる。
ヘルムヘンを聴く喜びはプログラムの妙を味わうことにもある。
2008年のトッパンホールの演奏は「スピリチュアル」と題し、復活祭
がテーマ。神聖で威厳に満ちた世界が広がった。次いで2011年には
ベートーヴェンの《ハンマークラヴィーア》をメインに据え、明晰で
知的で個性的な演奏を披露した。
この年は東日本大震災のため海外のアーティストの来日中止が相
次いだが、その時期にヘルムヘンは来日し、音楽で日本人を勇気づ
けてくれた。
「自分に何ができるかを考え、いまは日本に行くべきだ
と思った」
と語っている。
彼は1982年ベルリン生まれ。2001年のクララ・ハスキル・コン
クールで優勝の栄冠に輝き、以来ベルリンを中心に各地で活発な活
動を展開し、室内楽でも定評がある。
来日ごとにヘルムヘンのピアノは進化と深化を遂げ、響きの余韻
が残る個性的なピアニズムを披露しているが、もっとも印象に残る
のは彼の手にかかると、いずれの作品もいま生まれたかのようなみ
ずみずしさを放つことである。そして今回の来日公演では、4人の
伊熊よし子
作曲家の変奏曲に焦点が当てられている。こだわりのプログラムで
勝負するヘルムヘンならではの選曲で、それぞれの作品が有機的に
結びつき、最後のベートーヴェンの《ディアベリの主題による33の
変奏曲》
で大きな物語が完結するような様相を呈している。
まず、シューベルトの親友のひとりといわれる、作曲家アンセル
ム・ヒュッテンブレンナーの主題を用いた作品からスタート。聴き手
を「シューベルティアーデ」のサロンへといざなうような親密な空気
を生み出す。次いでウェーベルンの今日演奏される唯一のピアノ作
品が登場。200年以上前の作曲家たちと現代の聴衆との間に位置す
るウェーベルンが、両者をつなぐ役割を果たす。さらに幻想曲風味
わいが濃厚なシューマンの作品へと歩みを進める。最後の
《ディアベ
リ変奏曲》
は、素朴な主題を幾重にも変容させていくベートーヴェン
の傑出した才能が堪能できる作品。主題が自由に飛翔し、小宇宙を
形成するため、聴き手も天上へと招かれ、音楽に心から酔える。
なんと考え抜かれたプログラムだろうか。ピアノ好きをとらえる
静謐さが宿る特有のピアニズムがひとつの主題から変奏へと移り変
わっていくとき、私たちの心の内なる感動も静かに変化し、最後は
深い感銘へと導かれる。 (いくま・よしこ/音楽ジャーナリスト)
マーティン・ヘルムヘン(ピアノ)
2015 年 8月2日(日)17:00
シューベルト:ヒュッテンブレンナーの主題による13の変奏曲 イ短調 D576
ウェーベルン:ピアノのための変奏曲 Op.27
シューマン:アベッグ変奏曲 Op.1
ベートーヴェン:ディアベリの主題による33の変奏曲 ハ長調 Op.120
5,500 円/学生 2,500 円 全席指定 特別協賛:東急建設株式会社
PRESS 77
Martin Helmchen
日時
公 演
(ピアノ)
(ピアノ)
(ピアノ)
特別協賛:株式会社竹中工務店
(ピアノ)
特別協賛:株式会社 安藤・間
〈エスポワール シリーズ 11〉
山根一仁
Vol.2
7/ 29 (水)
19:00 トッパンホール 弦楽アンサンブル/北村朋幹
(ピアノ)
究極のショパン
※やむをえず、
曲目・出演者などが変更になる場合もございます。あらかじめご了承ください。 ※開場は開演の30分前となります。
※未就学児のご入場はご遠慮ください。なお、全主催公演で託児サービスをご利用いただけます[有料・要予約]
。お申し込み・
お問い合わせは(株)マザーズ 0120-788-222まで。
2015年4月中旬現在
(チェンバロ)
詳しくは、
オフィシャルWebサイトでご案内しています ※チケットもお申し込みいただけます
INFORMATION
今秋、トッパンホールは15周年を迎えます。そこで、これまでの
歩みと今後の展望がより色濃く感じられる、例年以上に力の入っ
たラインナップをご用意いたしました。トップバッターを担うのは
もちろん、ハーゲン・クァルテット。全4夜のモーツァルト・ツィ
クルスでホールのアニヴァーサリーを彩ってくれます。そのほか、
発表!
ジュリアーノ・カルミニョーラ、アンドレアス・シュタイアー、ティ
ル・フェルナー、クリストフ・プレガルディエン、クリスティアン・
テツラフ…、トッパンホールお馴染みの顔ぶれが続々と登場しま
す。また次の時代に向けて、長く語り継がれるステージをみなさま
に。2015/2016シーズンもどうぞご期待ください。
2015年
2016年
10 / 1(木)〈トッパンホール15周年 バースデー企画〉
4/ 12(火)〈エスポワール シリーズ 10〉
北村朋幹(ピアノ)Vol.3 ― solo ふたたび
19:00
ハーゲン・クァルテット
10 / 2(金) モーツァルト・ツィクルス
ハイドン セットⅠ
ハイドン セットⅡ
10 / 3(土) プロシア王 セット
5/26(火)発売
[会員:5/23(土)]
19:00
17:00
10 / 4(日) mit イェルク・ヴィトマン(クラリネット)
17:00
6/2(火)発売
15:00
6/18(木)発売
[会員:6/13(土)]
19:00
★
10 / 23(金) ジュリアーノ・カルミニョーラ(ヴァイオリン)
19:00
with ヴェニス・バロック・オーケストラ ★
12 / 8(火)〈アンドレアス・シュタイアー プロジェクト 9〉
6/2(火)発売
[会員:5/30(土)
]
7/16(木)発売
[会員:7/11(土)
]
アンドレアス・シュタイアー(ピアノ)
2016年
9/25(金)発売
[会員:9/19(土)]
19:00
10/22(木)発売
[会員:10/17(土)]
ラモン・オルテガ・ケロ(オーボエ)
3 / 27(日) 四戸世紀(クラリネット)
お昼のひとときに本格的な演
奏会が楽しめるトッパンホール
の〈ランチタイムコンサート〉
。
若い演奏家の熱演を聴きにい
らっしゃる多くのお客さまで、毎
回、賑わっています。6月に登場
するフォルテピアノの宮﨑貴子
は、日本だけでなくドイツでも活
動を展開中で、地元新聞にも取
り上げられるほどの人気ぶり。ま
たソロだけでなく、リート演奏に
も力を入れており、2013年シュー
ベルト国際リートデュオ・コンクール優勝の実力者でもありま
す。翌14年には、
同コンクールの優勝記念のコンサート
(貸しホー
ル公演)をトッパンホールで開催、今回ついに主催公演の舞台
に立ちます。プログラムは得意とするC.P.E.バッハを含む、いず
れも演奏者の力量が問われる作品。作曲家が曲に託した想いが
瑞々しい生命力をもって繰り出されるさまに、ご期待ください。
〈ランチタイムコンサート Vol.77〉
宮﨑貴子(フォルテピアノ)
“5オクターヴ”
の小宇宙
2015年6月3日
(水)12:15
C.P.E.バッハ:ファンタジア 変ホ長調 Wq.58
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第12番 ヘ長調 K332
クレメンティ:ソナタ ト短調 Op.7-3
入場無料(要予約/お一人様2席まで)
5/ 22(日)
受付期間・お申し込み方法:
[一般]4/30
(木)
~5/11
(月)*ハガキ(抽選制・当選者のみ通知)
6/ 3(金) トーマス・ヘル(ピアノ)
[会員]4/27
(月)
~5/11
(月)*窓口・電話・Web
15:00
6/ 21(火) ジャン=ギアン・ケラス(チェロ)
19:00
19:00
11/19(木)発売
ベルリン古楽アカデミー Ⅰ&Ⅱ
[会員:11/14(土)] 6/ 27(月)
19:00
7月
〈エスポワール シリーズ 11〉
山根一仁(ヴァイオリン)Vol.3
11/26(木)発売
[会員:11/21(土)] ※発売日は変更になる可能性があります。
※★印は会員限定セット券があります。
※最新情報はオフィシャルWebサイトをご確認ください。
14:00
〒112-0005 東京都文京区水道1-3-3「ランチタイムコンサート Vol.77」受付係
(住所、氏名
(フリガナ)
、電話番号、希望席数を明記ください。
)
オーボエの神様、ふたたび!
2012年、主催公演に登場した巨匠モーリス・ブルグ。永く彼の音
楽に魅せられてきたファンをはじめ、オーボエを学ぶ学生からプロ
奏者まで多くの聴衆が目を輝かせた圧巻の演奏を、ご記憶の方も
多いことでしょう。今回はトリオで登場、緻密な音づくりで多彩な
プログラムをお届けします。
モーリス・ブルグ・トリオは、メンバーチェンジを経て2011年か
らはファゴットのセルジオ・アッツォリーニ、ピアノの今仁喜美子
という個性豊かな名手とともに絶妙なアンサンブルを紡いでいる
注目のトリオ。歳を重
ね、ますます円熟の極
みを感じさせるとと
もに、とまらない進化
をも聴かせるブルグ
の 至 芸。香り立 つ 音
楽、そして歌ごころを
是非ご堪能ください。
GREAT ARTIST SERIES モーリス・ブルグ・トリオ
2015年5月29日
(金)19:00
モーリス・ブルグ・トリオ
[モーリス・ブルグ
(オーボエ、コールアングレ)/
セルジオ・アッツォリーニ
(ファゴット)/今仁喜美子
(ピアノ)
]
C.P.E.バッハ:トリオ・ソナタ ヘ長調 Wq.163(コールアングレ、ファ
ゴットとピアノのための)
/ W.F.バッハ:ファゴットとピアノのためのソ
ナタ ハ短調/ C.P.E.バッハ:オーボエとピアノのためのソナタ ハ短調
Wq.78 /ハイドン:ピアノ三重奏曲第29番 ト長調 Hob. XV-15 /グリ
ンカ:悲愴三重奏曲 ニ短調/プーランク:オーボエ、ファゴットとピア
ノのための三重奏曲 FP43
編集後記
ついに今秋からはじまる2015/2016シーズンのラインナップを発
表しました! 新シーズンは15周年を迎えることもあり、
ハーゲンQ、
カルミニョーラ、
シュタイアー、
フェルナー、
プレガルディエン&ゲー
ス、
ケラス…、
トッパンホールと縁深いアーティストが、
たくさん登場
します。
来年の 5月には室内楽フェスティバルを開催。
詳細は今秋発
表しますので、
こちらもどうぞ楽しみにお待ちくださいね。 (雪)
チケット料金:6,000円/ユース3,000円 全席指定
*ユースは1990年4月2日以降生まれの方。公演当日必ず生年月日を確認でき
る書類をお持ちください。
主催・お問い合わせ:Sony Music Foundation 03-5227-5233
チケットのお申し込み:トッパンホールチケットセンター
※当紙に掲載している内容について、許可なく複製あるいは転用することを固く禁じます。
3 / 24(木)〈歌曲の森〉∼詩と音楽 Gedichte und Musik ∼ 第19篇
クリストフ・プレガルディエン(テノール)
15:00
6/ 23(木)
★
3 / 2(水) アレクサンドル・タロー(ピアノ)
19:00
19:00
日下紗矢子、
久保田 巧(ヴァイオリン)/
原 麻理子(ヴィオラ)/
レイチェル・ロバーツ、
鈴木 学、
5/ 19(木) ターニャ・テツラフ、マリー=エリザベート・ヘッカー(チェロ)/
19:00
ラルス・フォークト、
マーティン・ヘルムヘン(ピアノ)/
アンドリュー・ステイプルズ(テノール)
5/ 21(土)
19:00
19:00
2 / 16(火) ティル・フェルナー(ピアノ)
19:00
〈トッパンホール15周年 室内楽フェスティバル〉
5オクターヴで奏でる可能性
©TOPPAN HALL 2015.5 KⅠ
1/ 8(金) 〈トッパンホール ニューイヤーコンサート 2016〉
トッパンホール アンサンブル Vol.9
19:00
2 / 23(火)
5/ 16(月)
5/ 18(水) クリスティアン・テツラフ、
10 / 21(水) ジュリアーノ・カルミニョーラ(ヴァイオリン)
シューマン・プロジェクト
2 / 18(木) Ⅰ ソロ
Ⅱ with マーク・パドモア(テノール)
19:00
5/ 15(日)
]
★ [会員:5/30(土)
19:00
19:00
5/ 7(土) ジャン=クロード・ペヌティエ(ピアノ)
17:00
★
10 / 5(月) ピーター・ゼルキン(ピアノ)
19:00
4/ 16(土) 大村博美(ソプラノ)、
リカルド・タムラ(テノール)、小森輝彦(バリトン)
18:00
http://www.toppanhall.com/
http://www.toppanhall.com/ 制作:株式会社トッパングラフィックコミュニケーションズ 印刷:凸版印刷株式会社
2015/2016シーズン
主催公演ラインナップ
19:00
(フォルテピアノ)
“5オクターヴ”
の小宇宙
〒112-0005 東京都文京区水道1-3-3 (03)5840-2200
25 19:00 ヴァレリー・アファナシエフ
[全席指定]
6/ 3 12:15 Vol.77 宮㟢貴子
Vol.78 小林海都
8/ 7 (金)
12:15
(水)
特別協賛:東京ガス株式会社/東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社
(ヴァイオリン)
特別協賛:東急建設株式会社
トッパンホールが選んだ若手ホープによる30分のミニ・コンサート
(ピアノ)
(木)
特別協賛:株式会社 安藤・間
〈ランチタイムコンサート〉
ミヒャエル・ゲース
(ピアノ)
ルノー・カプソン(ヴァイオリン)
6/
公 演
マーティン・ヘルムヘン
8/ 2 (日)
17:00
クリストフ・プレガルディエン(テノール)
ダヴィッド・カドゥシュ
8 (月)
19:00
03-5840-2222
日下紗矢子 ヴァイオリンの地平 2 ― 古典
7/ 31 (金)
19:00 マーティン・ヘルムヘン
特別協賛:鹿島建設株式会社
〈歌曲の森〉∼詩と音楽 Gedichte und Musik ∼ 第16篇/第17篇
15 (金)
19:00
(10:00〜18:00 日祝休
[主催公演日は営業]
)
日時
ジャン=クロード・ペヌティエ
8 (金)
19:00
5 / 13 (水)
19:00
トッパンホールチケットセンター
主催公演
発行日:2015 年5月1日 発行・編集: 広報部
SCHEDULE 2015.5 〜 2015.8