7 特集:中部だより(330.4 KB)

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NAGANO
中経連事務局員が、担当するエリアでお聴きした、
各県の最新トピックや地域特有の情報を紹介するコーナーです。
好機到来!北陸新幹線延伸を活かした長野の観光戦略
2015年3月14日、北陸新幹線が金沢まで延伸した。長野県では今回の延伸を好機と捉え、誘客拡大に向け
様々な取り組みが行われている。本コーナーでは、長野県が取り組む新幹線延伸効果を活かす観光戦略に
ついて紹介したい。
周回軌道を描く北陸新幹線
上越妙高
一見、危機とも思われる新幹線の延伸がなぜ好機
③
といえるのか。
その答えは北陸新幹線の軌道に見出す
妙高戸隠連山
国立公園
ことができる。北陸新幹線と他の新幹線の大きな違い
富山
は、軌道が周回していることである。長野県から北の
新潟に抜け、西の北陸方面に伸びる北陸新幹線はま
金沢
るで長野県を包み込むような軌道を描く。一直線型の
新幹線では沿線地域のみが恩恵を受けるが、北陸新
幹線においては周回軌道内においても延伸効果が発
北陸新幹線
バス等の二次交通
高山
立山黒部
アルペンルート
②
①
上高地
長野
松本
至東京
生する可能性を多分に有し、長野県はその効果を最
国立公園−長野駅間を予約型広域観光タクシーで
も享受しうる優位な立場にある。長野県ではこの優位
周遊するルートが商品化されている。
性を最大限に活かすために、北陸新幹線周回軌道内
において魅力がある観光資源を高度に活用した広域
広域観光周遊ルート形成に向けて
観光ルートが整備されつつある。
昨年、政府が策定した
「まち・ひと・しごと創生総合
戦略」では、地域産業の強化の一つに観光産業の振
県境をまたいだ広域連携
【長野 富山】
( 図:①参照)長野・富山両県にまたが
ンルートに集中している訪日外国人観光客を地域に
る
「立山黒部アルペンルート」を基点とした観光ルー
呼び込むために、テーマ性・ストーリー 性を持った
ト。富山駅−立山黒部アルペンルート−長野駅の間
一連の観光地を、県境を越えてネットワーク化する
を通過する旅客拡大のための各種対策の検討が行
「広域観光周遊ルート」の形成が打ち出されている。
われている。
国が考える
「広域観光周遊ルート」形成に向けた連携
近くに位置する
「上高地」
を基点とした観光ルート。昨
の機運が高まりつつある。
この流れの継続とともに、
年から金沢−高山−上高地−松本間の高速バス路線
南北軸の流動強化による東海道新幹線との連携が
が拡充され、利便性が格段に向上している。二次交
加われば、多種多様なニーズに応えられる
「広域観光
通を活用した3県にまたがる広域の観光ルートで、
周遊ルート」が完成されるのではないだろうか。今後、
新幹線沿線県だけではない幅広い効果が期待される。
中部 圏と北 陸 圏が観 光 客に地 域の魅力をより深く
たがる
「妙高戸隠連山国立公園」が全国で 32 番目の
国 立 公 園として指 定された。これを受け、長 野 市や
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中経連 2015.4
中部圏と北陸圏は、北陸新幹線を活用することで、
【長野 岐阜 石川】
( 図:②参照)岐阜県との県境
【長野 新潟】
( 図:③参照)
3月、長野・新潟両県にま
図の出所/(公社)日本臓器移植ネットワーク
興が掲げられている。
その中で、東京周辺やゴールデ
妙高市などが連携し、上越妙高駅−妙高戸隠連山
提供するエリアになることを期待したい。
(長野担当 和田 耕一朗)
取材協力/(一社)信州・長野県観光協会
長野市商工観光部観光振興課
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