2015 年度AO選抜 政策科学部「政策科学セミナー方式」

2015 年度AO選抜
政策科学部「政策科学セミナー方式」
専攻等
1次
最終
合格者数 合格者数
35
12
11
志願者数
政策科学専攻
【選考講評】
1.実施状況
第一次選考
・実施日・会場:9月21日・京都(本学)
・テーマ:日本は原子力発電(原発)をやめるべきか、続けるべきか
・志願者数35名 受験者数32名 合格者数12名
第二次選考
・実施日・会場:10月12日・京都(本学)
・テーマ:日本は原子力発電(原発)をやめるべきか、続けるべきか
・志願者数12名 受験者数12名 合格者数11名
2.試験内容
(1)第一次選考
2015年度政策科学部のAO選抜「政策科学セミナー方式」入学試験の第一次選考は、
政策科学部教員が約50分間の講義を行い、その上で講義内容に関する理解度や意見
を問うレポートを60分で作成してもらう形式の入試です。
レポートは次の4つの設問に答える形式でした。問Ⅰと問Ⅱは、講義資料から指定
された数値を算出する問題でした。問Ⅲは、エネルギー政策の3原則(経済性・安全
性・環境性)について、講義の内容に基づいて要約する問題でした。問Ⅳは、日本は
原発をやめるべきか・続けるべきかについて、自分の意見を明記し、時間、空間、効
果の3つの視点からその理由を述べる問題でした。
(2)第二次選考
第二次選考は、政策科学部教員が司会を行う60分間のグループ・ディスカッション
により、「日本は原子力発電(原発)をやめるべきか、続けるべきか」をテーマとし
て、多元的な視点からの政策について議論し合ってもらう形式の入試でした。
3.出題の意図
(1)第一次選考
問Ⅰは、表から指定された数値を算出する数的処理能力を問う問題でした。
問Ⅱは、エネルギーの概念と数値の単位など、講義の内容を理解したうえでの数と単
位的処理能力を問う問題でした。
問Ⅲは、講義および資料の内容を理解し、論理的に要約する能力があるかを問う問題
でした。
問Ⅳは、講義の内容を理解したうえで、与えられた論題に対して、多元的、多様的な
視点から政策提言を行い、論理的に表現できるかを問う問題でした。
(2)第二次選考
「日本は原子力発電(原発)をやめるべきか、続けるべきか」という現実の切実な
政策的課題について、自分の意見を多元的、多様的な視点から、論理的に表現すると
ともに、他人の意見を理解し、議論を建設的な方向に進めることができるかをメイン
にみました。
4.評価のポイント
(1)第一次選考
問Ⅰでは、正しく計算ができたかを評価しました。問Ⅱでは、単位の換算を含めた
計算が正しくできたかを評価しました。問Ⅲでは、講義で説明したエネルギー政策の
3原則(経済性・安全性・環境性)を明記した要約ができているか、また、解答の文
章力および論理構成を評価しました。問Ⅳでは、解答者の意見と理由の内容を時間、
空間、効果の3つの視点から明記できているか、また、解答の文章力および論理構成
を評価しました。
(2)第二次選考
グループ・ディスカッションを通じて以下の点を評価しました。①与えられた論題
に対して、自分の意見を指定された時間の範囲で的確な根拠を持って、論理的にわか
りやすく表現できていたか。②他人の意見を理解したうえで、的確な質問や意見表明
を行えたか。③議論を通じて、政策課題をより深める方向へと議論をリードできたか。
5.解答状況
(1)第一次選考
問Ⅰでは、大半が正解でした。図表を正しく読み取り、指定された数値を算出する
という基本的能力を有していることが伺えました。問Ⅱでは、正答率が低く、単位の
互換を含めた計算能力が十分でない受験生が多くみられました。問Ⅲでは、講義で示
したエネルギー政策の3原則(経済性・安全性・環境性)を明記しており、講義をお
おむね理解していることが伺えました。ただ、なかには講義の要点の整理ができてい
ない解答もみられました。問Ⅳでは、大半の答案が自分の意見とその理由を明記でき
ていました。ただし、その理由については、時間、空間、効果の3つの視点から説得
力のある記述という点で十分でない答案も少なからずみられました。
(2)第二次選考
グループ・ディスカッションでは、大半の受験生が決められた時間の範囲内に自分
の意見を積極的に表明できていました。とくに、多元的な視点からの課題提起と政策
提案の試みが多く見られました。また、他人の意見を理解しようとする姿勢も多くの
受験生が心がけており、他人の意見に対して理解を深めるための質問も適宜行われ
ました。全体として議論を建設的な方向に進めようという意欲がみられたことは評
価できます。ただし、議論の焦点を明確にし、論点を整理する点では不十分さが残り
ました。
6.次年度以降の受験生へのアドバイス
政策科学は、総合で文理融合的な学問であり、自然科学や複数の社会科学の分野に
も跨っています。そのため広範な知識の取得を心がけてください。自分の意見をまと
め、わかりやすく表現し、意見の違う人と討議しながら解決策を求めていくという力
も政策科学部で学ぶ重要な目標です。人の話や資料などを先入観にとらわれずに客
観的かつ正確に理解する力を養って下さい。また、そうして理解したことを、話者や
筆者の主張や意図を踏まえつつ、多角的視野から批判的に検討したうえで、自分の考
えを論理的かつ建設的に積み上げていく力を身に着け、それを適切に文章表現でき
るように日頃から精読や文章の執筆を心がけてください。
以上