「企業の労働分配率」 ~増加する付加価値と減少する賃金~

〈「民間税調シンポジウム」
第3回資料〉
「企業の労働分配率」
~増加する付加価値と減少する賃金~
2015年4月27日
日本大学国際関係学部
教授
水野和夫
1
『21世紀の資本』
• 重役たちがレジに「手を突っ込んでいる」と非難す
るのは行き過ぎかもしれないが、このたとえはアダ
ム・スミスの市場の「見えざる手」というよりはたぶん
適切だ(p.354)
• 役員報酬が最も急上昇するのは、売り上げと利潤
が外部要因で増えたときのなだ。これはとく米国企
業の場合に顕著だ。バートランドとムライナタンはこ
の現象を「ツキに対する報酬」と呼んでいる(p.348)
2
2014年10-12月の労働分配率(大企業・製造業)
は第一次石油危機以前の水準へ
(%)
製造業・大企業の労働分配率
80.0
75.0
労働分配率
1959/2Q~73/3Q
73/4Q~89/4Q
90/1Q~2001/4Q
70.0
65.0
60.0
02/1Q~14/4Q
55.0
50.0
45.0
43.5
44.4
40.0
(注)1.大企業=資本金10億円以上の企業
2.労働分配率=人件費/付加価値
3.付加価値=人件費+経常利益+減価償却費+支払利息
(出所)財務省「法人企業統計季報」
3
1997年と2014年の比較・・・付加価値0.5兆円増加、
うち人件費5.0兆円減、経常利益7.7兆円増
製造業・大企業の付加価値と人件費
(10億円)
16,000
14,000
12,000
10,000
付加価値
8,000
人件費
6,000
4,000
2,000
20133
20103
20073
20043
20013
19983
19953
19923
19893
19863
19833
19803
19773
19743
19713
19683
19653
19623
19593
0
(注)1.大企業=資本金10億円以上の企業
2.付加価値=人件費+経常利益+減価償却費+支払利息
(出所)財務省「法人企業統計季報」
4
製造業・中小企業
(10億円)
製造業・中小企業の付加価値と人件費
10,000
8,000
6,000
付加価
値
4,000
2,000
0
‐2,000
(注)1.大企業=資本金10億円以上の企業
2.付加価値=人件費+経常利益+減価償却費+支払利息
(出所)財務省「法人企業統計季報」
5
全産業・全規模(製造業・大企業は除く)
(10億円)
全産業・全規模(除く製造業・大企業)の付加価値と人件費
60,000
50,000
40,000
付加価
値
30,000
20,000
10,000
0
(注)1.大企業=資本金10億円以上の企業
2.付加価値=人件費+経常利益+減価償却費+支払利息
(出所)財務省「法人企業統計季報」
6
上昇する産出額中間投入比率
(兆円)
(%)
産出額と産出額中間投入比率
920.0
55.0
913
(2008年)
900.0
53.0
887
(1997年)
880.0
860.0
50.2
840.0
51.0
49.0
(2002年)
830
820.0
47.0
産出額(左メモリ)
800.0
46.5
産出額中間投入比率(右メモリ)
45.0
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
780.0
(出所)内閣府「国民経済計算年報」
7
P/L、人件費の最終項目化(残余)
28.0
25.5
23.0
(%)
資本と労働への配分率(対売上高比率)
y = ‐0.1742x + 27.368
R² = 0.6366
雇用者報酬
資本減耗+営業余剰
20.5
y = ‐0.0003x + 21.793
R² = 9E‐06
18.0
1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013
(出所)内閣府「国民経済計算年報」
28.0
産出高雇用者報酬比率
(%)
中間投入と人件費の関係
(1999年)
27.0
26.0
25.0
(2013年)
24.0
y = ‐0.6517x + 56.924
R² = 0.7938
23.0
22.0
46.0
47.0
48.0
49.0
50.0
51.0
52.0
産出高中間投入比率
(出所)内閣府「国民経済計算年報」
8
2013年の家計貯蓄率、マイナスへ・・・金融
資産の増加はキャピタルゲインのみ
(%)
貯蓄・投資バランス(対GDP比)
15.00
10.00
(2013年度)
6.1
5.00
家計
非金融法人企業
0.00
‐0.02
‐5.00
‐10.00
(出所)内閣府「国民経済計算確報」
(年度)
9