エグゼクティブサマリー ベライゾン2015年 ペイメントカード業界 コンプライアンス調査報告書 ペイメントセキュリティ(安全な決済)を通して企業のリスク管理を後押しします。 2014年には、3分の2の企業は、 PCI DSSの対象となるシステムの セキュリティについて、全システムを 適切にテストしているわけでは ありませんでした。 ペイメントセキュリティ (安全な 決済) :その重要性がこれまでに なく高まっています 60% 米国の大企業の60% が、最近発生した一連 の高度なサイバー攻撃 を踏まえてサイバー セキュリティ関連予算 を増額すると回答して います1。 安全な決済の確保及びこれに関連する管理基準への準拠は専門家のみが 対処すべき事柄のように捉えられがちです。 しかし、 これは組織にかかわる 重要な課題であり、各企業の対処方法によっては、継続的なセキュリティが 実現できるか、あるいは単にコスト・リスク要素となるか、 という結果に大き な違いが生まれます。 貴社の評判が重要 多大なる代償 貴社の顧客は、貴社への信頼を拠り所にして毎 回の購入手続きを行っています。 米国を例に取ると、企業間取引でも企業対個人取 引でも、3分の2以上(金額ベース)の購入にクレ ジットカードやデビットカードが使用されていま す 。そ し て こ の 割 合 は 今 後 数 年 間 で さら に 増加すると予測されています2。 顧客は、貴社を含む企業が製品やサービスを提供 してくれるだけでなく、顧客に関わる詳細な情報 を安全に保管してくれると考えています。 しかし、データ漏洩/侵害に関する報告が新たに公 表されるたびに、個人情報が漏えいしていないか どうかという顧客の懸念が増大します。 データ漏洩/侵害は重要な問題 —貴社の戦略は? 次に犠牲になるのは自分たちでは?そうなった場 合、企業ブランドや売上見込み、株価にはどのよう な影響があるでしょうか。CSOでも、またCISO、 CEO、CMO、CIO、CFOでも、役職を問わず、安全 な 決 済 処 理 は 企 業 に とっ て 重 要 な 意 味 を 持ちます。 ペイメントカードデータは現金化が容易なため、 犯罪者にとっては魅力的なターゲットです。その ため、小売業者や銀行をはじめとする企業はたえ ずサイバー攻撃を受けています。データ漏洩/侵 害の開示を義務付ける情報公開法が普及するに つれて (米国の47州とアジアの多くの国々ですで に法制化され、EUでも導入に向けて真剣に検討 されています)、 どれほど多くの企業がサイバー攻 撃を受けているのかが明らかになってきました。 4,300 万件 2,300 2,500 2,900 万件 万件 万件 900 万件 2010 2 2011 2012 2013 2014 PwCが9,700社を対象に 実施した調査によると、2014 年には4,300万件近いセキュリ ティインシデントが発生し、2009年 以降は年平均66%増加しました。3 2015年度ペイメントカード業界コンプライアンス調査報告書 エグゼクティブサマリー PCI DSSへの準拠がセキュリティとリ スク管理を強化 ベライゾン2015年ペイメントカード業界 コンプライアンス調査報告書について 複雑なシステムの場合は、それが完全に安全な状 態にあると保証するのは不可能です。したがって 企業は、 「合理的に保証された」セキュリティを実 現して自社が直面する特定のリスクのバランスを 取るために、セキュリティに関する取り組みを行 う必要があると考えるべきです。 ベライゾン2015年ペイメントカード業界コンプ ライアンス調査報告書は、カード会員データのセ キュリティを確保するために企業が採用している 手法に着目し、決済セキュリティの現状について 詳細な評価を実施したものです。 こうした状況ではコンプライアンスにどのように 対応できるのでしょうか。PCI DSS(PCIデータセ キュリティ基準)のような基準では、カード会員 デ ー タ の 保 護 を 目 的として 、標 準 化 さ れ た 一 連の要件が体系化されています。 カード会員データに固有のリスク に対して「合理的に保証された」 セキュリティを実現する上では、 PCI DSSはおそらく現時点で最も 有効な基準です。 しかし、基準に準拠しても決して完全なセキュリ ティは実現できないということを忘れてはなりま せん。そのためベライゾンでは常に、包括的なリス ク管理戦略の一環としてPCI DSSコンプライア ンスに取り組むことを企業に推奨しています。 ただしPCI DSSへの準拠に取り組めば、極めて貴 重な別の事項も見えてきます。PCI DSSには12 の要件があり、それらに対する企業の準拠状況に 着目すると、企業の決済セキュリティシステムがど れだけ有効に運用されているのかを前年比でグ ローバルに比較し、わかりやすく標準化して概観 することができます。 ベライゾンでは12の幅広い分野で、決済データ のセキュリティを評価するためのフレームワークと してPCI DSSを利用しており、今回の調査報告書 では2012年から2014年にかけてのPCI DSS コンプライアンス評 価 から得られた 定 量的なデータが使われています。 このデータに対して、データ漏洩/侵害発生後に フォレンジック調査を行ったベライゾンの調査対 応チーム (DBIRと呼ばれるデータ漏洩/侵害調査 報告書を作成しているチーム)による分析が加え られています。この分析作業を支援する目的で、 企業が総合的な情報ガバナンス/リスク管理戦略 の一環としてどのようにコンプライアンスの持続 可能性に取り組めるか、ベライゾンではさまざま な分析情報やガイダンスを提供しています。 45% 「米国では45%の人が、 自分か家族の誰かが クレジットカード会社 か金融機関、小売店 からデータ漏洩/侵害 によってクレジットカー ド情報が盗まれた可能 性があると通知された ことがあると述べてい ます」4。 このエグゼクティブサマリーは、PCI DSS準拠状況に関してベライゾン が行った調査結果の一部を要約した ものです。 69% 消費者の69%が、 データ漏洩/侵害が 見つかった企業の 利用を控える傾向に あります5。 verizon enterprise solutions 3 主な調査結果 80%の企業は暫定的なコンプライアンス評価に合格していない 18PP 2014年にIRoC(コンプライアンスに関する中間報告書)で準拠状態にあると評価された企業の数は、 2013年と比較すると2倍近くに増えています。 しかしこれは喜ばしいことではありません。なぜなら、それ でも80%の企業が合格していないからです。 中間評価での準拠状況(2012年~2014年) 2013年と2014年の 準拠状況を比較する と、PCI DSS の12の 要件のうち11の要件 で準拠率が上昇し、平 均上昇率は18%でし た。 52.9 93.7% 85.2% % 7.5% 11.1% 2012 2013 20.0% 完全に準拠している 2014 準拠していない 80.0% 88.9% 92.5% 平均準拠率 図1:全産業におけるPCI DSS準拠状況(2012年~2014年) PCI DSSに対しては「準拠状態の検証に重点を置いているため、実際はセキュリティの実現に向けた取り 組みを阻害しているのでは」という意見がありますが、 これは他の多くのセキュリティ基準にも共通するも のです。 しかしほとんどの企業にとってDSSは有効な基準であり、検証に合格してもハッキングを免れると いう保証はありませんが、非準拠の状態のままだとリスクが高まることは間違いありません。 準拠状況は全体的に改善に向かっている 全体的には、2014年にPCI DSS評価を受けた企業の60%以上が、いずれの要件にも準拠していまし た。これは2013年と比べると劇的な改善です。PCI DSS要件の準拠率は12の要件のうち11で上昇 し、平均上昇率は18%でした。 しかし、担当する認定セキュリティ審査機関(QSA) が適切に設定されていないWi-Fiホットスポットを1つ見 つけたり、あるいは暗号化されていないカード番号を1つ見つけたりすると、評価そのものに合格できませ ん。そして評価を完璧にクリアする企業はわずかです。 中間評価における要件別完全準拠状況(2013年と2014年の比較) 準拠している企業の割合 (%) 89% 82% 71% PCI DSSの12の要件 1. ファイアウォールを導入・維持する 2. 安全な設定にする 44% 67% 42% 62% 64% 80% 76% 67% 64% 82% 60% 60% 49% 44% 76% 69% 44% 40% 33% 3. 保存するカード会員データを保護 する 64% 33% 4. 伝送するデータを保護する 5. ウィルス対策ソフトウェアを最新の 状態に保つ 6. 安全なシステムを維持する 7. データへのアクセスを制限する 1 2 3 4 5 6 7 PCI DSS要件 8 9 10 11 2013 12 2014 図2:中間評価における要件別PCI DSS完全準拠状況(2013年と2014年の比較) 8. アクセスを認証する 9. 物理アクセスを制限する 10.ログを取りアクセスを追跡・監視 する 11.セキュリティシステムをテストする 12.セキュリティポリシーを整備する 4 2015年度ペイメントカード業界コンプライアンス調査報告書 エグゼクティブサマリー 過去3年間の平均準拠率は53%から94%に上昇しており、上昇率は77%です。12の要件のうちの11の 要件で平均準拠率が上昇し、上昇しなかったのは96%から92%に低下した要件5でした。現在は要件11 を除くすべての要件で平均準拠率が90%を超えています。 29% 中間評価における要件別PCI DSS準拠状況(2013年と2014年の比較) 平均準拠率 1 2 3 4 5 6 7 8 PCI DSS要件 9 10 11 2013 12 準拠状態の検証に合格 してから12カ月以内 に再度中間評価を実施 したところ、完全準拠 の状態を維持していた 企業は3分の1未満で した。 2014 図3:中間評価における要件別PCI DSS平均準拠率(2013年と2014年の比較) 持続可能性は低い 今年は、企業が準拠状態の維持に最も失敗しやすい分野に注目しました。1年間の検証期間中に完全準拠 状態を維持した企業は3分の1に届かず(28.6%)、単一の要件について準拠状態を維持した企業も最大 でも74%にすぎませんでした。 要件別の持続可能性 再評価時も準拠状態にあった企業の割合(%) 67% 74% 61% 48% 47% 37% 1 2 3 4 5 69% 70% 49% 6 69% 72% 11 12 46% 7 PCI DSS要件 8 9 10 図4:要件別持続可能性(2014年) 準拠状態の管理と継続的な検証のためのしっかりとした手順を持たない企業は、実に簡単に準拠状態を維 持できなくなってしまいます。準拠状態の検証に合格すること自体を目的としてセキュリティ管理を設計す ると、別のサイトやシステムをサンプルとなった場合に再評価では合格できない可能性が高くなります。管 理 環 境 は 、年 間 を 通 し て デ ー タ を 効 果 的 に 保 護 で き る よ う に 設 計 し 、導 入 と 維持管理を行う必要があります。 データセキュリティは依然として不十分 過去12カ月間に発生したデータ漏洩/侵害の件数と規模から判断すると、現在のセキュリティ手法では攻 撃者を阻止できていないことは明らかです。 したがって、全体的なセキュリティへの取り組みが予防的手段 だけに依存する状況は避けなければなりません。ファイアウォールやアクセス制御の導入は、決済データを 処理するすべての企業にとって防御のための重要な基盤です。その一方で、成功させてしまった攻撃を可 能な限り早い段階で検知し、損害を軽減し、残存リスクを見極めることも不可欠です。 verizon enterprise solutions PCI DSS評価を年1回 実施すればギャップが 明らかになりますが、 それはその時点を輪切 りにしただけであり、 包括的かつ継続的な ITセキュリティやリスク 管理戦略の代わりには なりません。 5 セキュリティはプロセスでなければならない 全体的な準拠レベルがこれほど低いのはどうしてでしょうか。企業はいまだに、管理できるPCI DSS準拠 対象範囲の定義に苦慮しています。範囲の特定を適切に行うためには、まずはビジネスプロセスの分析か 70% ら始まり、詳細なデータの流れをマッピングして終了しますが、 この作業を試してみることがPCI DSSへ の準拠やペイメントセキュリティの取り組みすべての基本となります。なぜなら、十分に持続可能なセキュ リティやリスク管理に関係する活動は極めて広範囲に及ぶからです。 例えばデータの保護には、単に暗号化やファイアウォール、アンチウィルスソフトウェアを利用するだけで はなく、範囲の特定や設定の維持管理、ID管理、ロギング、監視、スキャン、テストを継続的に実施すること が求められます。セキュリティは、貴社が何かを行うことであり、貴社が持っている何かではありません。要 準拠率が最も低かった 20件のサブコント ロールのうち14件は、 要件11 ( 「セキュリティ システムをテストする」 ) のサブコントロール でした。 件11(「セキュリティシステムをテストする」)の評価結果が低かったことは、多くの企業がこの点を認識 していないことを示しています。 セキュリティシステムがしっかり導入され有効に稼働していることを確認するためには、定期的に脆弱性ス キャンを実行する必要があります。これはどちらかといえば単純な作業ですが、次のような状況で適切に 実行されていない可能性もあります。 • 外部のスキャンだけを実行し、社内のシステムの脆弱性を見逃す。 • 担当するIT管理者が退職し、そのタスクを誰も引き継いでいない。 • スキャンに関する資料を誰かがサプライヤーのポータルからダウンロードし忘れる。 要件11(「セキュリティシステムをテストする」)は前年比で準拠率が 唯一低下しており、準拠率が最も低い20のサブコントロールのうち14は この要件のものでした。 10年間 でゼロ ベライゾンのフォレン ジックチームが過去 10年間に調査した ペイメントカードデータ 漏洩/侵害事例のうち、 その発生時にPCI DSSに準拠していた 企業は皆無でした。 PCIコンプライアンスが安全な決済を推進する PCI DSSのような基準に準拠する努力は、実際にセキュリティの改善というかたちで報われるのでしょう か。答えは「Yes」です。データ漏洩/侵害が発生してベライゾンのフォレンジック調査担当者が調査を行っ た企業の場合、そのPCI DSS準拠レベルは、通常のPCI DSSコンプライアンス評価の一環として認定セ キュリティ審査機関(QSA) による評価を受けた企業をはるかに下回っていました。ベライゾンのフォレン ジックチームが過去10年間に調査したすべてのデータ漏洩/侵害事例で、その発生時にPCI DSSに準拠 していた企業は皆無でした。言い換えれば、非準拠とデータ漏洩/侵害が発生する可能性の間には明確な 相関関係があります。データ漏洩/侵害が発生した企業では特に、ロギングやパッチ適用、テスト、そしてガ バナンスなど、準拠状態を維持するために継続的に行う必要のあるタスクが適切に実施されていません でした。 中間評価の時点と漏洩/侵害発生後におけるPCI DSS準拠状況の比較 準拠している企業の割合 (%) 9pp 62pp 0pp 44pp 44pp 3pp 64pp 26pp 76pp 42pp 55pp 24pp 36% データ漏洩/侵害が 発生した企業では、 要件全体では準拠率が 平均36%低くなって いました。 6 1 2 3 4 5 6 7 PCI DSS要件 8 9 10 中間評価 11 12 漏洩/侵害発生後 図5:中間評価の時点と漏洩/侵害発生後におけるPCI DSS準拠状況の比較(2014年) 2015年度ペイメントカード業界コンプライアンス調査報告書 エグゼクティブサマリー ペイメントカードデータのリスクを より効果的に管理する方法 ベライゾンはこれまでの経験に基づいて、PCI DSS準拠プログラムの合理化と投資収益率(ROI)の 向上を目指す企業に次の4つの方法を推奨しています。 1.作業の規模を理解する 初めてPCI準拠プログラムを実施する場合、例えば対象範囲や人的・ 2.範囲を特定する 企業がPCI DSSプログラムを効果的に実施するには、 まずはカード 物的資源、所要時間など、その影響を十分に認識しないままプログラ 会員データの取り扱いや保存、伝送に関わったり、他のかたちでカー ムを開始する企業が大多数であるのが実情です。PCI DSSに準拠す ド会員データのセキュリティに影響を及ぼしたりする可能性のある人 るには、多数のプロジェクトで構成され、十分に管理されたプログラ 員やプロセス、 テクノロジーを明確に定義する必要があります。この ムが必要です。最終的には、 プログラムを確実に成功させて、高い代 範囲はできるだけ小さいほうがよく、その主な理由は次の3つです。 償につながる過ちを避け、 プラスのROIを実現し、実際にセキュリティ • リスクの軽減。限られた場所に少ない量のカード会員データを保 を高める成果を生み出すためには、 こうした多数のプロジェクトを緊 密に連携させる必要があります。 必要な作業の範囲を正確に調べるには、ギャップ分析や改善プロジェ クトを実施する前にビジネスインパクト分析を行います。企業のCISO (情報セキュリティ管理責任者) は、 この予測に基づいて、準拠作業で 最も陥りやすい2つの落とし穴、つまり 「取締役会による支持と予算 の確保」に自信を持って取り組むことができます。必要になるリソー スが判明すれば、社内のスタッフにはすべての作業を実施するスキ ルや時間的余裕がないことに気づくかもしれません。そのような場合 存すれば、データ漏洩/侵害が発生する機会を減らし、それによっ て生じる損害も限定することができます。 • 作業負荷の軽減。範囲から除外できるシステムが1つあれば、準拠 状況を検証しなければならないシステムの数が1つ減ります。実際 に、範囲を縮小しなければ準拠状態の維持に途方もないコストを 要するか、それ自体が不可能になることさえあります。 • コストの削減。実際に範囲を縮小してみると、 システムの統合や環 境の再構築が可能であることが分かる場合もあり、結果的に準拠 に要するコストを削減できます。 は、セキュリティテクノロジーとビジネスプロセスの両方を管理する ための慎重かつ綿密なアウトソーシング戦略を立てることを推奨 します。 3. コンプライアンスをチャンスと捉え て活用する 4.コンプライアンスを持続可能にする ベライゾンでは、実際に業績を後押しできる投資としてコンプライア PCI DSSへの準拠作業をセキュリティ部門が行う一回限りの火災訓 ンスを捉えることを推奨します。セキュリティプログラムを緊密に連 練のように考え、他部門はしぶしぶ従うというケースも多くの企業で 携させることで、以下の成果を実現し、そのメリットを数字で把握 見られます。こうした姿勢は、 コストが高くついたり、業務の中断につ できます。 ながったりするだけでなく、PCI-DSS評価機関のはざまに行われる • 社員のセキュリティに対する意識や慎重な姿勢が全社的に高まり、 データ漏洩/侵害のリスクを抑え、罰金やフォレンジック調査、改善 も含めてデータ漏洩/侵害に起因する費用を削減します。 • セキュリティやデータ保護、 リスク低減、ガバナンス、その他のセ キュリティコンプライアンス要件を効果的に調整することで、社内 のさまざまな部署でばらばらに行われていた投資やコストの重複 を抑えることができます。 • データの流れを見やすくし、ベストプラクティスを導入することで、 ビジネスプロセスやビジネスプロセスの管理が改善されます。 PCI DSSへの準拠やセキュリティがカスタマーエクスペリエンスに 与える影響が見落とされることも少なくありません。長期にわたっ て企業の評判が損なわれ、それに伴って顧客の信頼が失われる事 態は、データ漏洩/侵害がもたらす影響の中で最も深刻です。人々 の間でも詐欺や個人情報盗難の危険が広く認識されるようになっ てきており、大規模なデータ漏洩/侵害が発生した企業から製品や サービスを購入するのを躊躇したり、そうした企業への投資に慎重 になったりするのは無理もありません。 verizon enterprise solutions プロセスやインフラの変更に起因するデータ漏洩/侵害を受けやすく してしまいます。 これを回避する方法は、GRC戦略 (ガバナンス、 リスク、 コンプライア ンス) という 「より大きな枠組み」に準拠作業を完全に統合し、通常業 務の一部として実施することです。PCI DSSへの準拠をプロセスや テクノロジー、全社的な社員教育という観点から「通常業務」に組み 込んでしまえば、 リスク管理を企業文化として認識させ、自社の業務 環 境 やリスクプロファイ ル に沿った か た ち で 準 拠 プログラム のすべての活動を実施できます。 ベライゾンの経験では、 こうした取り組みを行う企業は、準拠の実現 と維持という点で特に優れています。こうした見解を持つのは私ども だけではなく、PCIセキュリティ基準審議会(PCI SSC) や業界の主 要アナリストも、 リスク管理や準拠作業を長期にわたって支援し続け る企業文化の必要性を強く訴えています。本報告書の完全版には、 初めて取り組む企業にも使いやすい「コンプライアンスカレンダー」 が付属しています。 7 ベライゾンのPCIセキュリティ 関連サービスについて ベライゾンはセキュリティコンサルティング会社として高く評価されており、 PCIコミュニティでも信頼されています。セキュリティ審査を行うベライゾン のQSAチームは世界最大級の規模を誇り、多くの国や地域に配置されていま す。持続可能な管理を導入してコンプライアンスを実現するために必要な、ベ ライゾンが持つ知識と経験は、他社の追随を許しません。 インフォメーションアシュアランス (情報保証)の分野では知識こそ力であり、それは数字を見れば明らか です。2009年以降、ベライゾンは5,000件以上のPCI DSS評価を実施しました。対象となった企業は、 多くがフォーチュン500企業や規模の大きな多国籍企業です。その他のカード会員データセキュリティ サービスも、ベライゾンは2003年から提供しています。世界最大規模のグローバルIPネットワークの運 2009年以降5,000件 以上のPCI評価を実施 してきたベライゾンは、 ペイメントカードデータ セキュリティに関しては 他社の追随を許さない 視野を持っています。 用や4,000社以上の顧客ネットワークの管理からも、貴重な知識と経験を蓄積しています。さらに、大規模 調査プログラムにも投資し、さまざまな業界屈指の調査報告書を継続的に発行しています。またサイバー トラスト社の買収など、先進的なセキュリティ企業に狙いを定めた投資も行ってきました。 こうした豊 富 な 経 験と専 門 知 識 の す べ てを活 用し、ベライゾンは以 下 の 4 つ の 分 野 で サ ービスを 提供しています。 • アドバイザリーコンサルティング:決済セキュリティやPCI DSSコンプライアンスで世界をリードするベ ライゾンのセキュリティコンサルタントは、規模や業態は問わず、あらゆる企業が情報セキュリティやコン プライアンスに関する複雑な課題を解決できるよう支援します。 • 評価・維持サービス:PCI DSS準拠状況のレビューや検証作業に加えて、 コンプライアンスメンテナンス プログラムやデータディスカバリ、脆弱性スキャン、ペネトレーションテスト等のサービスを通して企業の セキュリティや準拠状態の維持を支援します。 • 改善サービス:広範なセキュリティ関連製品・サービスを活用し、さまざまな目標に対応した改善ソリュー ションを提供します。 • アウトソーシング:ベライゾンのホスティング/クラウド/マネージドセキュリティサービスをご利用いただ くことで、主要なITサービスの運営や保守、確保に要する負荷を軽減し、セキュリティコンプライアンス の容易な実現と継続を支援します。 ベライゾンのPCIセキュリティ関連サービスは、PCIセキュリティ基準審議会(PCI SSC)からQSAやPCI PA-QSA、PCI QSA(P2PE)、PA-QSA(P2PE) として認定されています。またベライゾンは、PCIフォ レンジック調査(PFI)機関としても認定されています。セキュリティ認証と同様に、ベライゾンのQSAチー ムには小売やサービス業、金融サービス、ヘルスケアなどの各業界で長年にわたって蓄積してきた豊富な 業界関連知識があります。ベライゾンのセキュリティプロフェッショナルはこうした経験を生かして、企業の 課題を正しく理解し、業界固有のセキュリティ基準や規制に合わせてコンプライアンスを実現します。 本調査報告書の関連資料、 またベライゾンのPCIセキュリティコンプライアンスサービスの詳細については、 v e r i z o n e n t e r p r i s e.c o m/j p/p c i r e p o r t/2015/をご参照ください。(一部英語版のみの提供 となります。) 脚注: 1. 「最近発生した一連のサイバー攻撃の 後、米国企業の60%がサイバーセ キュリティ支出を増額(60% Of US Businesses Have Increased Cyber Security Spend Following Recent Wave Of Cyber A t t a c k s )」( B A E S y s t e m s Applied Intelligence社、2014年 2月) 2.The Nilson Report( Nilson社、 2014年5月) 3. 「相互接続された世界におけるサイ バーリスク管理(Managing cyber risks in an interconnected world)」 (PwC、2015年) 4. 「アンケートから読み取れるサイバー 攻 撃 の 広 範な影 響( P o l l S h o w s Broad Impact of Cyberattacks) 」 (Wall Street Journal、2014年 12月17日) 5. 「クワークズマーケティングリサーチ レビュー( Q u i r k ’ s Marketing R e s e a r c h R e v i e w)」 (R a d i u s G l o b a l M a r k e t R e s e a r c h社、 2014年6月) 詳細 ベライゾン2015年ペイメントカード業界コンプライアンス調査報告書は、 ペイメントカードデータのセキュリティとコンプライアンスに関してデータに 基づいた客観的な情報が得られる、業界関係者必見の資料です。 詳細はhttp://www.verizonenterprise.com/pcireport/2015/を ご覧ください。 verizonenterprise.com/jp © 2015 Verizon. 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