DN538 - デジタルPWM信号からの、高精度、高速

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デジタル PWM 信号からの、高精度、高速セトリングな
アナログ電圧生成
デザインノート538
Mark Thoren および Chad Steward 共著
はじめに
ウン状態に移行する必要がある場合はこれが問題になる可能
性があります。
PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)は、マイ
クロコントローラや FPGA などのデジタル・デバイスからアナ PWM/アナログ変換の欠点を改善
ログ電圧を作り出すための一般的な技法です。ほとんどのマ
これらの欠点を改善する試みを図 2 に示します。 出力バッ
イクロコントローラには専用の PWM 生成ペリフェラルが組み
ファにより、高インピーダンスのフィルタ抵抗が使用可能にな
込まれており、わずか数行の RTL コードにより、FPGA から
ると同時に、低インピーダンスのアナログ出力が提供される
PWM 信号を生成できます。これは、アナログ信号のパフォー
ようになります。高精度リファレンスにより駆動される外部の
マンス要件が特に厳しくない限りは、単純かつ実践的な技法
CMOS バッファを使用することで、利得が正確になります。
2
です。必要な出力ピンは 1 つだけで、
SPI や I C インターフェ
この高精度リファレンスは、
PWM 信号がグランドと正確な
“H”
イスを使用する DAC(Digital-to-Analog Converter:デ
レベルとの間で振幅するよう設定されます。この回路は実現
ジタル /アナログ変換器)と比較して、コードのオーバーヘッ
可能ですが、部品点数が多くなり、1.1 秒のセトリング時間を
ドも非常にわずかです。 標準的応用例を図 1 に示します。
短縮する方法がなく、連続的な PWM 信号を送り続ける以外
デジタル出力ピンにフィルタを使用することで、アナログ電圧
にはアナログ値を「保持」する方法がありません。
が生成されます。
20MHz
CLOCK
12-BIT
PWM
µC
5kHz
PWM
ANALOG
VOLTAGE
OUTPUT
PRECISION
REFERENCE
20MHz
CLOCK
1.2Hz FILTER
12-BIT
PWM
µC
DN538 F01
図 1. PWM/アナログ変換
–
+
100k
5kHz
PWM
CMOS
BUFFER
1.3µF
RLOAD
1LSB RIPPLE
1.1 SECOND
SETTLING
この構成には多くの欠点があることは、それほど深く分析し
なくても明らかです。12 ビットのアナログ信号は、理想的に
図 2. 欠点を改善した PWM/アナログ変換
はリップルが LSB 未満であるべきで、5kHz の PWM 信号
の場合には 1.2Hz のローパス・フィルタが必要です。 電圧
出力のインピーダンスはフィルタ抵抗によって決定され、フィ PWM/アナログ変換の問題を解消
ルタ・コンデンサを妥当なサイズに抑えるには、この抵抗は LTC2644 および LTC2645 は、
PWM 入力 /電圧出力のデュ
非常に大きくなることがあります。このため、出力は高イン アルおよびクワッドの DAC で、10ppm/℃のリファレンスを
ピーダンスの負荷の駆動のみに使用する必要があります。 内蔵し、デジタル PWM 信号から真の 8、10、または 12 ビッ
PWM/アナログ変換の伝達関数の勾配(利得)は、マイクロ ト性能を提供します。LTC2644 および LTC2645 は、入力
コントローラの(おそらくは不正確な)デジタル電源電圧によ された PWM 信号のデューティ・サイクルを直接測定し、立
り決定されます。より微妙な影響として、線形性を維持する ち上がりエッジごとに適切な 8、10、または 12 ビットのコー
ため、デジタル出力ピンの“H”状態における電源への実効 ドを高精度 DAC へ送信することで、上述の問題点を克服し
抵抗と、
“L”状態における接地抵抗との差異が、フィルタ抵抗 ています。
の値と比較して小さい必要があるということが挙げられます。
L、LT、LTC、LTM、Linear Technology および Linear のロゴは、リ
最後に、出力電圧を一定の値に維持するため、PWM 信号 ニアテクノロジー社の登録商標です。その他すべての商標の所有権は、そ
は連続的である必要があり、プロセッサを低電力のシャットダ れぞれの所有者に帰属します。
DN538 F02
05/15/538
1.25V の内部リファレンスにより、フルスケール出力が 2.5V
に設定されますが、別のフルスケール出力が必要な場合は外
部リファレンスを使用できます。独立の IOVCC ピンによりデジ
タル入力レベルが設定されるため、1.8V の FPGA、5V の
マイクロコントローラ、またはその中間の任意の電圧に直接
接続できます。DC 精度仕様が非常に優れており、オフセット
5mV、最大ゲインエラー 0.8%、最大 INL 2.5LSB(12 ビッ
ト)です。出力セトリング時間は、
PWM 入力の立ち上がりエッ
ジから、最終値の 0.024% 以内まで(12 ビットで 1LSB)に
8µs です。PWM の周波数範囲は、12 ビット版で 30Hz か
ら 6.25KHz までです。
ダンス(マージニングなし)になり、入力が継続的に“H”レベ
ルである限り、
出力は無期限に値を保持します。継続的な
“L”
レベルにより、出力は高インピーダンス状態になります。こ
のため、PWM バーストで電源オンを行い、その後で“H”レ
ベルにすれば、電源をトリムできます。PWM 信号を“L”にプ
ルすると、回路はマージニング動作を簡単かつ確実に終了し
ます。IDLSEL を GND に接続すると「透過モード」が選択さ
れ、
入力が継続的に“H”レベルになることで出力がフルスケー
ルに設定され、継続的に“L”レベルになることで出力がゼロ・
スケールに設定されます。
多用途な出力モード
典型的な PWM/アナログ変換技法の制限は、解決不能なも
のではありません。LTC2645 により、パルス幅変調された
デジタル出力を元に高精度で高速セトリングなアナログ信号
を生成しながら、部品点数を抑えてコードを単純にすること
が可能です。
LTC2644 のもう 1 つの独自機能を活用した、電源のトリミ
ング /マージニングを行う標準的なアプリケーションを、図 4
に示します。IDLSEL を“H”に接続すると、
「サンプル /ホー
ルド」動作が選択され、スタートアップ時に出力が高インピー
まとめ
PWM INPUTS
1.7V TO 5.5V
INA
VOUTA
INB
VOUTB
INC
VOUTC
IND
INA
2V/DIV
VOUTD
LTC2645
IOVCC
0.1µF
BUFFERED
VOLTAGE
OUTPUTS
REF
PD
INPUT: 1V TO 5.5V
OUTPUT: 1.25V
2.7V TO 5.5V
VCC
GND
IDLSEL
0.1µF
REFSEL
0.1µF
VOUTA
500mV/DIV
GND
DN538 F03b
20µs/DIV
DN538 F03a
図 3. 4 チャネルの PWM/アナログ変換
5V
C3
0.1µF
C4
0.1µF
0.1µF
4.7µF
2.2k
IOVCC
VCC IDLSEL REFSEL
PD
INA
INB
0.1µF
DAC A
VOUTA
10k
ILM
143k
DAC B
VOUTB
PGOOD INTVCC
LTC3850EUF
10k
0.1µF
PWM TO
BINARY
VIN
RJK0305DPB
TG1
BOOST1
FREQ
0.1µF
2.2µH
0.008k
SW1
VOUTB = Hi-Z
1nF
CMDSH-3
100k
REF
LTC2644-12
PWM TO
BINARY
VIN
6.5V
TO 14V
3.32k
VOUT
3.3V ±10%
RJK0301DPB
BG1
PGND
GND
FOR NO MARGINING, KEEP INA LOW. (VOUTA = Hi-Z)
TO MARGIN 10% HIGH, SET INA DUTY CYCLE TO 1/4096. (VOUTA = 0V)
TO MARGIN 10% LOW, SET INA DUTY CYCLE TO 2621/4096. (VOUTA = 1.6V)
1nF
10k
10k
SENSE1+
ITH1
500kHz
100pF
MODE/PLLIN
RUN1
1nF
SENSE1–
TKSS1
10nF
10k
VFB1
SGND
15pF
63.4k
20k
図 4. マージニング・アプリケーション
DN538 F04
データシートのダウンロード
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