東京理科大学の中長期計画

東京理科大学の中長期計画
(6 ヵ年計画)
―2015 年度~2020 年度―
(公開版)
学校法人 東京理科大学
目
次
1.東京理科大学 2015 中長期計画 OVERVIEW………………………………………P1
2. 学校法人東京理科大学のあるべき姿(中長期スタッフ戦略と計画の策定)……P3
Ⅰ.理科大ビジョン 2015……………………………………………………・……P4
Ⅱ.中長期計画サマリー…………………………………………………………P13
Ⅲ.ビジョン実現のための施策…………………………………………………P14
1.法人のガバナンス…………………………………………………………P14
2.事務総局のあるべき姿……………………………………………………P15
3.教育組織・制度及び人事に関する事項…………………………………P20
4.財務…………………………………………………………………………P22
5.収益事業………‥…………………………………………………………P26
6.管財(キャンパスに関するポリシー)…………………………………P27
7.海外展開……………………………………………………………………P32
8.広報…………………………………………………………………………P34
9.ICT………………………………………………………………………P38
3.東京理科大学における教育・研究のあるべき姿……………………………P45
Ⅰ.目標……………………………………………………………………………P46
Ⅱ.策定にあたっての重点基本方針……………………………………………P46
Ⅲ.世界の理科大の実現に向けて………………………………………………P47
Ⅳ.
「あるべき姿」に基づく実施計画の実行と検証体制………………………P52
4.東京理科大学
研究戦略中長期計画(2014~2020 年度)…………………P53
1.東京理科大学 2015 中長期計画 OVERVIEW
1
2
・教員人事構成の改善
・次世代を担う部局長人材の開発
・キャンパスのマネジメントシステム確立
・志願者数、入学者の質の確保
・ブランド力向上
・持株会社による収益事業の抜本的改革
・世界的に認知される研究の展開
・グローバル化への対応
(海外進出‐アジア校、米国大学提携)
・教育の次世代化
(ICT環境整備、教員の教育能力開発)
・教員養成体制の強化
中長期計画実施
2015-2019
理事長トップダウンターゲット
・大学院進学率
70%
・女子学生比率
30%
・女性教員比率
15%
・セメスター化
100%
・海外協定校
20校
・帰属収入
500億円
・繰越支払資金(含む運用)600億円
~世界で最も魅力のある大学を目指して~
日本の理科大から世界の理科大へ
ビジョンの実現
2020
2.学校法人東京理科大学のあるべき姿
(中長期スタッフ戦略と計画の策定)
3
学校法人東京理科大学のあるべき姿(中長期スタッフ戦略と計画の策定)
Ⅰ.理科大ビジョン 2015
日本の理科大から世界の理科大へ
-世界で最も魅力のある大学を目指して-
~我が国の発展を担う人材を育成してきた伝統を基盤に、世界で通用し、
世界で最も魅力のある教育力・研究力を持ったグローバルな大学となる~
4
理科大ビジョン2015
めざせエベレスト!
山は登ろうと思わないと登れない
理科大のあるべき姿:世界で最も魅力のある大学
5
5つの魅力
魅力
何を学べる大学か?
魅力
どのような先生がいる大学か?
魅力
どのような文化・経営方針の大学か?
魅力
校友・父母との関係は?
魅力
一言でいうとどんな大学か?
6
魅力
何を学べる大学か?
教養(学問、幅広い知識、精神の修養などを通して得られる創造的活力や心の
豊かさ、物事に対する理解力)を身につけてくれる、内面を磨いてくれる大学
科学の基本を学べる大学
社会・産業のニーズを捉えた専門知識を学べる大学
充実した大学院があり研究が学べる大学
デザイン、ソフトウエアを強調している大学
International Professional の基本を体得できる大学
大学院生数が学部生数より多い大学
体育会等の課外活動にも積極的な学生と、応援・支援に熱心な大学
7
魅力
どのような先生がいる大学か?
教えるのが世界一うまい大学
学科主任が専門領域と関連産業将来ビジョンを持っている大学
融合先端学問領域の取り組みに熱心な大学
先端研究に学生も参加できる大学
あの先生 に教えてもらったと自慢できる先生が各学部・学科にいる大学
ノーベル賞を本気で目指している先生が多い大学
教員輩出数 No. 1の大学
就職率 No. 1の大学
海外企業求人人気 No. 1の日本の大学
理系企業トップマネジメント Top-5に入っている大学
研究を中心とした収益事業が大きな大学
卒業してからも一生つきあえる大学
8
魅力
どのような文化・経営方針の大学か?
キャンパスは質素だが、機能的で、グローバルで、最先端 IT・TeachingWare が常に最新バージョンで導入されている大学
女性にも若手にも十分な自己実現の
チャンスが開かれている大学
先生をとても大切にする大学
大学の人財の教育・研修に常に投資をしている大学
教育、研究、教員開発(FD)に重点的に投資し続ける大学
Professional standards の高い大学
Professionalism の強いスタッフに溢れる大学
理事会(理事長)
・学長室(学長・副学長)
・学部長室(学部長・副学部長)
・教授会(主
任教授・教授)間に深い相互信頼の絆がある大学
自由闊達でありながら TUS チームとしての纏まりと協力・協調の姿勢に溢れる先生・
スタッフが多い大学
目標・評価・結果責任・権限の委譲が明確に各組織マネジメント階層毎に規定されて
いる大学
中間計画を基に実行計画が策定され、予実管理をもって経営・執行が lean・speedy に
行われる。結果として あるべき姿 が着実に実現され進歩し続ける大学
出口のない不採算事業を垂れ流しにしない大学
予算、資源、権限、組織、人事、法人経営、大学業務執行のあらゆる面を、何人も私物
化する心配のない経営を行っている大学
情報・プロセス・意思決定の透明性があり、コンプライアンスと情報・プライバシー
管理が徹底している大学
実力を二の次にした年功序列優先人事を行わない大学
外国の教育者、研究者が是非就職したいと願う大学
World-class なマーケティングとブランディングを行っている大学
産業・企業・国家が R&D パートナー(収益事業)に指名したいと欲する大学
世代間の公平性を担保して経営している大学
9
魅力
校友・父母との関係は?
卒業生がその大学の卒業生である
ことを誇りに思っている大学
卒業生が母校と後輩の将来に一生懸命な大学
先生が校友会に熱心な大学
校友会の支援に一生懸命な大学
父母が、子供が通う、あるいは卒業したことを誇りに思っている大学
子供達が、お父さんやお母さんが卒業した大学に自分達も入りたいと思う大学
10
魅力
一言でいうとどんな大学か?
世界が一目置く大学
11
12
学生/科学者/プロフェッショナル
産学官/マーケティング
Go to ASIA/Go to USA
収益事業の成長
国際競争力の強化
何を/誰が/誰と/X-Discipline
研究の世界的卓越性
女性活躍の徹底推進
何を/どのように/誰が/何処で
教育の革新
日本の理科大から世界の理科大へ
Rolling 6 years Strategic Planning Cycle:
部局別6年後のあるべき姿
Ⅱ.中長期計画サマリー
1.教育
2014~2019 年度
2014 年度
2014 年度
2015~2020 年度
計画
計画
実績(見込)
計画
70%
50%
50%
70%
30%削減
*1
修士課程への進学
率の向上
一般科目の精査・
30%削減
整理
セメスター制の導
学部
80%
学部
34%*2
大学院
69.5%*2
100%
入
大学院
80%
100%
*1 2014 年度開講科目に基づき、各学部の理念・目的・教育目標・教養教育の編成方針等に基づいて、
科目の精査・整理の検討を開始
*2 2014 年度計画の目標値に到達しなかった理由を明確にし、改めて各部局に対して検討を依頼する予定
2.研究
外部研究費
2014~2019 年度
2014 年度
2014 年度
2015~2020 年度
計画
計画
実績(見込)
計画
研究戦略中期計画策定(2014.9)
25.5 億円
前年度比 15%
研究戦略中期計画策定(2014.9)
0.3 億円
前年度比 15%
(公的・民間)
技術移転
研究戦略中期計画に基づき研究を推進し、
研究活動
研究戦略中期計画策定(2014.9)
進捗の評価を行い、次年度の計画に反映す
る。なお、重点的な研究については特別に
予算を配分する。
3.女性活躍推進
2014~2019 年度
2014 年度
2014 年度
2015~2020 年度
計画
計画
実績(見込)
計画
女子学生割合(学部)
30%
20%
20.8%
30%
女子学生割合(修士)
30%
18%
17.6%
30%
女性教員割合
15%
10%
10.2%
15%
2014~2019 年度
2014 年度
2014 年度
2015~2020 年度
計画
計画
実績(見込)
計画
4.収益事業
外部研究資金の獲
公的資金獲得倍増、
得増
企業連携倍増
収益事業会社
持株会社の設立、
URA センター設置
持株会社の設立
事業会社3社の設立
URA センター
外部資金獲得額
設置、研究戦略中期
前年度比 15%増、60
計画策定
億円(2020)
(株)TUS ビジネス
事業会社 4 社の設
ホールディングス設
立、連結売上高 40
立
億円、営業利益 8 億
円(2020)
13
5.国際競争力
2014~2019 年度
2014 年度
2014 年度
2015~2020 年度
計画
計画
実績(見込)
計画
28 人
15 人
17 人
30 人
短期海外派遣
300 人
160 人
180 人
310 人
大学院留学生受入
100 人
45 人
52 人
105 人
協定校等への派遣
学生数
れ数
Ⅲ.ビジョン実現のための施策
「世界の理科大-世界で最も魅力のある大学-」となるために、2021 年 3 月までに分野・項目
毎にあるべき姿を設定し、それを実現させるための施策を行っていく。
1 法人のガバナンス
わが国では、昨今の知識型社会の到来によって、加速度的に国際化・グローバル化・情報
化が進み、社会・経済・文化に大きな影響を与えている。このような社会状況の変化に伴
い、本学を取り巻く状況の変化に対応して、グローバル人材の育成、経済再生への貢献等
がこれまで以上に求められているだけでなく、状況の変化を予測して社会をリードする力
を有し、イノベーションの創出ができる人材の育成が求められている。
こうした社会の期待や学術研究の進展に対応するためには、これまで以上に大学の機能を
永続的に発揮し、発展していくことが必須であり、早急に学内の資源配分の最適化、社会
との連携強化等を迅速に実行に移すことのできる新しいガバナンス体制を構築する必要が
ある。
その一方で、私立大学のガバナンスは、経営側(法人)と教学側(大学)とが違った法体
系で規定されており、それぞれの法体系に基づき法人運営(理事会、常務理事会等)と大
学運営(学長室会議、部局長会議等)が行われていること、さらには、大学は、高い公共
性を有する機関として法令に基づき設置・運営されているため、社会的な存在としての責
任ある経営が求められている。
これらの状況の変化に的確に対応するとともに、新たな変化を創造するために経営側と教
学側が共通の認識を持って、特に次の点について法人及び大学のガバナンスを改善し、さ
らに、最適なガバナンス体制で運営がなされるように見直しを行っていく。
①
経営組織と教学組織との権限と責任を明確にする
② 法人役員の業績評価制度を確立し、全ての役員の能力向上を図ることで、中長期の
理科大の成功を着実に実現する
③
効果的な意思決定を行うため、法人と大学との協力体制を強化する
④
経営組織と教学組織において、将来、指導的な立場に就くことが期待される者に法
14
人及び大学の管理運営に関する職務経験を積ませる(後継者を育成する)ための体制を
構築する
⑤ 学校教育法の一部改正(2015 年 4 月 1 日付施行)に伴い、学長のリーダーシップを
発揮できる体制を構築する
⑥ 法人及び大学のガバナンスのチェック機能(監査機関)として、三様監査体制を構
築する
2. 事務総局のあるべき姿
事務総局は「大学の発展に貢献する『力のある組織』」を目標に掲げ、管理運営方針に基
づき的確な企画立案を行うとともに、施策実現のために迅速かつ正確に業務を遂行しこれ
らを適切にマネジメントすることを通して、大学の発展に積極的に貢献する活気ある組織
体を目指している。
2. 1 事務組織について
<2014 年度の振り返り>
事務総局における経営組織として、それまで総務部、財務部、管財部を置いていたが、
これに加え広報統括部を 2014 年 10 月に新設し、2015 年 4 月に人事統括部を設置すること
を決定した。
①
広報統括部の新設・・2014 年 10 月
広報部門が担う world-class なブランドの形成とコミュニティとの深い相互信頼の
リレーションシップ形成の機能を強化するため、広報課、校友支援課、父母支援課、
CEPS 課(Community & Event & ProgramSupport 課)を内包した広報統括部を設置し
た。
②
人事統括部の新設・・2015 年 4 月
従来からの人事関係事務処理、事務総局の人事管理に加え、教員の人事管理の機能
を強化するため、人事統括部の設置を決定した。
③
学務部と教務部の統合
教務系の事務組織は 2013 年 4 月に学務部と教務部に分割したが、業務遂行上必ずしも有
効に機能していないとの指摘もあり、統合する方向で検討した結果、2015 年 4 月は、部の
統合に先立ち、教務課(野田)と学務課(野田)の統合を行うこととした。
また、より機能的な組織の構築を目的として、2015 年 4 月に教務課及び学生支援課の室
の設置、図書館事務課の本部事務機能を葛飾へ移管することを決定した。
<2015 年度以降>
引き続き、事務総局に課せられた目標達成のため、以下の改編を適宜行う。特に、2015
15
年度は、学校教育法の改正の趣旨を踏まえて、学長室からの要望に配慮しながら大学の管理
運営や教育研究支援を行う事務組織の強化及びキャンパス横断型組織での問題点を解決す
るための検討を行う。
改編にあたっては、適正な人員配置数の検討を行うとともに、命令系統や責任の所在の明
確化と迅速で効率的な業務を遂行できる組織を目指し検討する。
① 大学の管理運営や教育研究支援を行う事務組織の強化
学校教育法の改正に伴い従来の学務部と教務部の体制を見直し、学長室の強化を図っ
た上で学長室を筆頭部署とした教学統括部(仮称)を新設する方向で検討する。また、
教学に関する IR 機能を学長室に分掌して担当する専従の職員を配置し、学内外の様々
な情報の収集、分析及び管理等を通じて学長の意思決定や大学運営の計画策定、教育
改善の推進等を支援する。将来的には、経営 IR 機能を含めた法人 IR 室を設置する。
② 新財務システム導入に伴う担当部署の新設等
購買発注管理を行うにあたり、購入依頼業務・発注業務・入庫検収業務の職務分離
を実現させるため、葛飾に発注機能を持つ購買課(仮称)を新設し、各キャンパスに
入庫検収機能をもつ組織を現状組織の統合等により改編する。
③ 学科事務室の再構築
より機能的な組織の構築を目的として、学科事務業務の一元効率化を図る。
2. 2 事務総局における人事管理について
<2014 年度の振り返り>
職員給与体系の見直し、役職定年制度の導入、昇任試験制度等のあり方等を包括した、
事務総局における職員の人事制度を全面改定し、2015 年 4 月より順次適用することを決定
した。改定にあたっては、本学を取り巻く環境の変化を捉えたうえで、今後本学が目指す
姿を実現するために必要となる事務職員の役割・能力を明らかにし、職員の能力開発に向
けた人事制度の基本的な考え方や具体的な人事制度を下記のとおり設計した。
①
あるべき事務職員像及び役割定義、職能要件の設定
大学が目指す姿を実現するため、
「大学の発展に貢献する『力のある組織』」の構成員
に求められるあるべき事務職員像(「TUS-JIM になろう」)を定めた。また、あるべき
事務職員像の具体的な行動を示す各役職の役割定義や職能要件を明確化した。
②
人事制度の理念と各制度の設計
職員の能力を開発し、組織を活性化することで、本学の発展に貢献できることを人事
制度の基本的な考え方とし、以下の 4 つの観点が一連のサイクルとして機能し、正の
スパイラルを生むよう、各人事制度の設計を行った。
・意識を高めるきっかけ作り
職員が自らの能力を把握し、能動的に能力開発に取り組むよう、キャリアデザイ
ンの考え方や面談等を実施することで、意識を高める取り組みを行う。
16
・能力を育成する制度の充実
職員が自らの意識や能力を高めていけるよう、階層別・業務別の研修等を充実さ
せ、更なる活用を促すことで、職員の能力を育成していく。
・能力を発揮できる職場環境の整備
職員同士がともに学びあう職場風土を作るとともに、意欲をもっていきいきと働
くことができる職場環境を整備するため、キャリアチャレンジ制度やステージに
応じたジョブローテーション制度を導入する。また、組織活性化施策として役職
任期・定年制度を導入することにより若手の登用機会を増やし、職場の活気作り
を目指す。
・行動・成果に応える評価の推進
評価・目標管理制度のより効果的な運用及びその結果を処遇や昇任資格試験へ反映
させることで、能力の向上に努め成果を挙げた職員を適正に評価し、職員の意欲向
上を目指す。
<2015 年度以降>
① 改正人事制度の導入
2014 年度に設計した人事制度の具体案について、2016 年度までに全面導入を目指
す。特に 2015 年度については、導入期として、各制度の周知や移行の措置を行う。
・意識を高めるきっかけ作り
職員ポートフォリオの導入
キャリアチャレンジ面談の導入
・能力を育成する制度の充実
研修育成制度の更なる体系化
ライセンス制度の導入
・能力を発揮できる職場環境の整備
キャリアチャレンジ制度の導入
ジョブローテーション制度の導入
役職任期・定年制度の導入
満足度アンケートの導入
・行動・成果に応える評価の推進
現行の評価・目標管理制度のブラッシュアップ
ブラッシュアップした評価・目標管理制度の結果反映の見直し
(期末手当、昇任資格試験等への反映)
② 女性活躍推進
2014 年の本法人の事務系職員の女性比率は以下の表のとおりであり、多くの女性
職員が各部署で活躍しているが、係長以上の指導的な地位に占める女性の割合は、
23 名(17.2%)である。
17
2014 年
役職
女性数
(全体)
女性比率
課長職以上
6
67
9.0%
課長補佐・係長
17
66
25.8%
主任
59
113
52.2%
一般
144
252
57.1%
全体
226
498
45.4%
2014 年度に設計した人事制度の中のキャリアに関する制度や研修等の整備を通じ
て、意識の醸成を図りながら、引き続き女性活躍推進会議における議論を踏まえつ
つ、3~5 年を目途に数名を管理職に昇任させる等の努力を継続し、2020 年までに指
導的な地位に占める女性の割合を 40 名(30%)にすることを目指す。
③ 超過勤務の削減
事務総局では、
「次世代育成支援対策推進法」に基づき策定した「学校法人東京理
科大学一般事業主行動計画」において、
「超過勤務の年間時間数が前年比を上回らな
いようにする」ことを目標に掲げている。職員一人ひとりが職業生活と家庭生活を
両立し、安心してやりがいや充実感を感じながら、各人の能力を最大限に発揮して
働ける環境の整備を目的として、前述の人事制度の整備とともに、超過勤務削減の
ための各種施策に取り組む。2014 年度においては、管理職が各職員と面談を実施し、
各部署の実情に応じた削減対策や目標値を設定することで超過勤務の削減に取り組
んだ。このことは、管理職の意識改革や職員一人ひとりがコスト意識を持って仕事
のやり方等を見直す機会となっている。2015 年度においても継続して管理職のマネ
ジメント強化、職員の意識改革を行うとともに、前述の組織改編のなかで人員配置
や所属間の業務量等のバランスを図り、超過勤務の削減に努める。
具体的には、2014 年の超過勤務時間数は 58,124 時間であり、1 人当たり 143 時間
であったが、2015 年は、前年比約 5%削減(年間超過勤務時間数 55,200 時間、1 人当
たり 136 時間)を目指し、3~5 年内に 2014 年比約 10%削減(年間超過勤務時間数
52,300 時間、1 人当たり 120 時間)を目指す。
18
2.1-2.2 事務総局のあるべき姿実現のための事務組織及び人事管理 計画案
スケジュール
項目
平成26年度
(2014年度)
平成27年度
(2015年度)
平成28年度
(2016年度)
平成29年度
(2017年度)
平成30年度
(2018年度)
平成31年度
(2019年度)
2014年4月
2014年10月
2015年4月
2015年10月
2016年4月
2016年10月
~2014年9月 ~2015年3月 ~2015年9月 ~2016年3月 ~2016年9月 ~2017年3月
事務組織改編(2015年4月から適用)
(1) 人事統括部の新設
(2) 機能的な組織の構築
・教務課及び学生支援課の室の設置
・学務課(野田)と教務課(野田)の統合
・図書館事務課の本部機能の移管
1
事
務
組
織
4月~
検討開始
(Project設置)
12月
完了
4月
適用
事務組織改編(2016年度から適用)
(1) 教学統括部の新設
(2) キャンパス事務部の設置
(3) 新財務システム導入に伴う担当部署の新
設等
(4) 機能的な組織の構築
(5) 適正な人員配置数の検討、命令系統や責
任の所在の明確化と迅速で効率的な業務を行う
ための権限委譲
検討開始→
随時適用
→
上記以降は、法人・大学の政策等に応じ、それ
を実現するための機能的な事務組織への改編
を随時検討・実施する
随時
検討・適用→
→
→
→
→
→
→
→
→
→
→
→
→
事務職員の人事制度の全面改定案の作成
(1)人材要件の明確化及び評価制度の確立
(2) 組織の活性化施策(役職定年制度等)の立
4月~
案
検討開始
(3) 給与体系の見直し
(Project設置)
(4) キャリアプラン、キャリアモデルの策定
(5) その他
事務職員の新人事制度の導入
12月
完了
12月~
各施策の導入は
検討開始
下記のとおり
(Project設置)
4月
適用→
(1) あるべき事務職員像及び役割定義、職能
要件の明示
(2) 意識を高めるきっかけ作り
10月
適用→
職員ポートフォリオの導入
→
→
→
→
→
4月
適用→
→
→
→
→
→
→
→
→
→
→
10月
適用→
→
→
→
→
→
4月以降
適用→
→
→
→
→
キャリアチャレンジ面談の導入
(3) 能力を育成する制度の充実
4月以降
順次適用→
研修・育成制度の更なる体系化
ライセンス制度の導入
2
人 (4) 能力を発揮できる職場環境の整備
事
管
キャリアチャレンジ公募制度の導入
理
ジョブローテーション制度の導入
4月以降
適用→
→
→
→
→
→
→
役職定年・任期制度の導入
4月以降
適用→
→
→
→
→
→
→
10~11月
適用→
→
→
→
→
→
→
→
→
→
→
→
10月
適用→
→
→
→
→
→
→
1月
適用→
→
→
→
6月
移行期間→
→
6月
適用→
→
→
1月
移行期間→
→
1月
適用→
→
→
→
2015年度実施
分より適用→
→
→
→
→
→
満足度アンケートの導入
(5) 行動・成果に応える評価の推進
4月
適用→
役職と級の連動
(新)評価・目標管理制度の導入
1月
移行期間→
(新)評価制度による結果の反映(昇給)
(新)評価制度による結果の反映
(期末手当への反映(一般職))
(新)評価制度による結果の反映
(職務手当への反映(管理職))
昇任資格試験の改正
※灰色網掛部は完了
19
3 教員組織・制度及び人事に関する事項
3.1
2014 年度における教員人事関係実施項目と達成度評価
実施項目
達成度評価
1. 定員枠内の教員採用人事の学長への権
備考
A
2014 年 4 月より実施
A
人事委員会採用審査規程を明確
限委譲
2. 教員採用責任の明確化
化
3. 公募採用に際しての採用手順の明確化
A
採用要領に手順を記載
4. 昇任人事に際しての資格の明確化
A
各学科の資格基準を作成
5. 教員研修制度による教員の質向上
B
2015 年度より実施
6. 教員業績評価システムの充実
C
教育スキル,人物評価が未完
A: 達成済み B: 次年度に達成予定 C: 検討中で次年度での達成が難しい
3.2 学校教育法改正と教員組織体制の見直し
[教員組織構築の基本方針]
1. 理事会(理事長、理事)、学長室(学長、副学長)、学部長室(学部長、副学部長)、教
授総会(主任教授、教員)の間に深い相互信頼を構築できる教員組織体制の実現を目指
す。
2. 各組織階層において、責任と権限の委譲が明確に規定され、定義されている組織を目指
す。
3. 各組織階層の長の資質及び資格を明確に規定し、次期を担う長の育成を行える組織とす
る。また各組織階層における目標設定とその評価を実施し、継続的な改善を実現できる
教員組織の構築を目指す。
[学校教育法改正条項]
<副学長の職務について>第92条第4項関係
1. 副学長は、学長を助け、命を受けて校務をつかさどることとする
<教授会の役割について>第93条関係
1. 教授会は、学長が教育研究に関する重要な事項について決定を行うに当たり意見を述べ
ることとする
2. 教授会は、学長及び学部長等がつかさどる教育研究に関する事項について審議し、及び
学長及び学部長等の求めに応じ、意見を述べることができることとする
20
[教員組織体制]
学長
上記のように学校教育法が改正されたことに
伴い、本学の学長のガバナンス体制の見直しを
副学長
学長のもとで行い、理事長、理事会の承認後、
2015年度より実施する。現在、キャンパスごと
学部長
のガバナンスを行う組織体制を検討している。
また5学科以上の学科で構成される学部におい
副学部長
教授総会
ては、学部長のほかに副学部長を置き、学部長
学科主任
の命により学部校務の実施を助ける体制を検討
する。なお理工学部においては、学部長と研究
学科会議
科長を同一人とする。
3.3
2015 年度における教員人事関係実施項目
副学長,副学部長を含む教員組織
3.3.1 副学部長の設置及び教員採用に関する実施項目
実施項目
1. 5 学科以上の学科で構成される学部においては、学部長のほかに副学部長を置き、学部
長の命により学部校務の実施を助ける。また、すべての学部において、原則として、学部
長は研究科長を兼務する。
2. 講師以上の職位において本学出身の教員を現在の 30%から 50%程度とすることが望まし
い。(教員採用人事要綱既記載事項)
3.3.2 教員資質向上に関する実施項目
実施項目
1. 新任教員及び各学科が定める資格要件を満たす助教に対して、教育スキル研修を実施す
る。
2. 助教の教育経験を増すため、授業科目の担当を促進する。
3. 在職教員の教育スキルの評価とその向上のための研修制度の導入を検討する。
4. 部局長に対するリーダーシップ研修を実施する。
3.3.3 教員業務改善、労務管理、時間管理に関する実施項目
実施項目
1. 各部局長と主任に対する年度始めにおける業務目標(研究、教育)の設定・実施及び学
長による年度末における目標達成度評価の実施。
2. 教員ワークロードの計測を数十名の教員を選んで実施し、教育職員の研究・教育以外の
労務内容を把握し、消費時間を測定する。
21
3. カリキュラムの見直しによる非常勤講師数と TA 数の最適化、学部長に対する授業数減
免措置の実施及び在外研究員のための非常勤講師措置の促進を図る。
4. 各種委員会の人員構成の見直しを行い、委員会業務の削減を図る。
5. 各学科に置く FD 幹事の廃止、少人数 FD 委員会の設置及び教育職員の FD 行事への参加
を促進する。そこで、学科主任を FD 活動の責任者とするが、FD 活動の実施に際しては教務
幹事が執行を代行できるものとし、FD 活動の一層の推進を図る。FD 委員会教育開発セン
ター教育研究会議学部長教務幹事(学科主任)。
6. 教育職員の兼職規定についての学内規程の見直しを実施する。(服務に関する内規及び
ベンチャー企業の支援等に関する規程における兼職条項の統一)
3.3.4 教員評価システムと教員給与体系の見直しについて
1. 教員業績評価システムの充実、特に教育スキル評価及び人物評価の具体的手法について
検討する。
2. 教員業績評価結果の教員給与への反映方式の見直しを実施する。給与号俸アップから期
末手当アップへの変更を検討する。
3. 採用後の業績が優秀と認められる助教については、採用年数の延長と嘱託講師への昇任
制度を検討する。(学長室にて検討中)
4 財務
4.1 財務のあるべき姿
(1)
経営目標
① 資金収支を財務の基本尺度とし、健全経営維持のために繰越支払資金を 200 億
円以上保持する。
②
追加投資を行う場合は、部局ごとの収入増をもって決定する。
③
収入に占める授業料収入の割合を現状の 7 割から 10 年以内に 5 割とし、授業料
への依存度を下げる。
(2)
方策
① 収入の増加
・学生数の増加
昼間部学生定員の増加(2015 年度に工学部+60 名、2016
年度に経営学部+240 名)等を進める。
・収益事業の成長
URA 体制を強化し外部研究資金の獲得増に取り組むとと
もに、収益事業を行う子会社を活用して、本法人 6 年後
の年間外部資金獲得額(子会社からの収入を含む)を 60
億円までもっていく。
22
・資産運用収入の増加
安定した資産運用収入の増加を目指す。毎年 3%(リス
ク 10%以下)のリターンを目標とする。
・寄付募集の強化
IT を活用した小額寄付募集の強化
② 不採算事業・部門の見直し
・2013 年度に不採算事業・部門に係る事業継続検討会の実施し、その中で早期
に見直しを図るべき事業の廃止検討に入る。
(2015 年度から付属研修保養施設の
一部廃止
等)
③ 2015 年度よりグローバルスタンダードである SAP を有効活用して全体最適な基
幹システムを構築し、特に購入・支払に関する業務プロセスの改善を図ることで、
コンプライアンスを強化し、不正防止の環境を構築する。
④ コスト見直し
・雑務と手作業の追放(特に伝票処理の効率化の実施)
・生産性の向上
・2015 年度から発注・購買システムを新たに導入
(3)
予算及び最終年度数値目標
予算及び最終年度数値計画
予算
実績
帰属収入
帰属収支差額
(同率)%
繰越支払資金
(単位:億円)
計画
2013
2014
2015
2020
(H25)
(H26)
(H27)
(H32)
368.8
361.7
369.2
500
10.8
△ 8.3
△ 11.0
50
2.9
△ 2.3
△ 3.0
10
334.6
219.1
189.0
200
4. 2 実施にあたってのスタッフ提案
(1) 教育事業、研究事業への投資ポリシー
1)目的
「建学の精神ならびに教育研究理念のもと、世界的研究・教育拠点大学の構築を目指して、
各キャンパスの地域性・特色を生かし、ハード・ソフト両面で充実した教育研究環境の整
備を図ること」としている。老朽化する教育研究環境の基盤整備を年次計画で実施する必
要があるため、必要な財源を特定資産化(積み増し)する。現状の教育研究を維持充実発
展させ、教育研究の質保証に努める。
23
2)対象範囲
東京理科大学の全ての学部・大学院研究科、機構・研究所、独立センター及び山口東京理
科大学、諏訪東京理科大学とする。
3)体制
①
管理責任者
学校法人東京理科大学経理規程第 4 条に規定する財務担当理事(理事長を補佐し、経
理に関する指示及び統制を行う。) とする。
②
検討及び検証機関
中長期的財政計画との関連から、財務委員会で行う。
③
大学側における検討及び検証機関
大学側に配分される予算(教育研究費)について、具体的な配分等を審議検討し、執
行状況の確認等効率的な活用を行うため、大学に「予算委員会」を設置する。
4)制度
①大幅な権限委譲
理事長から学長に教育・研究投資に関する権限を大幅(約 8 割程度)に委譲する。
②半期決算制度の導入
権限の大幅委譲に伴い、管理(決算)の頻度を上げる。
年度を前期・後期に分けて、前期終了後に仮決算を行う。後期終了後は後期決算と本
決算を行う。
③各教員が自ら研究計画(予算執行計画を含む)を策定した上で、研究活動と予算執行
を行うように改める。
5)方針
①教育研究費予算配分
(ア)総額
配分研究費全体額を各大学における学納金収入等(前年度実績)の一定の割合を頭打ち
として総額決定し、その額の範囲内で各学長に研究費の配分を行う。
(イ)配分方式の見直し
・現状の枠組みを見直す。例えば、教研費全体の 1/2 程度を、一律配分方式から重点配
分方式に変更し、学長がリーダーシップをとれるように裁量枠の拡大を図る。
・従来の教研費繰越は廃止することを前提に、各学科等で必要な実験実習用機器の取替
え購入については、過去の繰越額を特定資産化した上で、学長からの予算要望に基づき
配分(重点共通経費予算に充当)使用できるようにする。部局要望事項についてはその
中で対応する。
24
・学内配分への依存度を下げて、積極的な外部資金獲得を促す。そのため、前年度の科
学研究費補助金、その他の公的研究費または民間の研究助成金に申請しなかった教員に
ついては、教研費の配分を規定の 50%とする(工学部方式の全学への拡大)。
・上記の取組みにより発生する差額については、教員個人への配分はせず、学長裁量分
として、「社会が大学に対して求めている事項」として重点的に投資するための財源とす
る。
a)「大学のあるべき姿」で掲げられている重点事項
b)「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」(文科省答申)、「大学にお
ける教育内容等の改革状況等について」
(文科省)、及び「第 4 期科学技術基本計画」
(文
科省)に掲げられている事項
・運用の収益のうち 1.5 億円分を学長宛てに別途配分し、重点研究課題取組支援の原資に
充てる。
・カリキュラム、非常勤講師数及びティーチングアシスタント数などの最適化を行う。
(2) 授業料値上げに関するポリシー
1)目的
学生納付金収入(2013 年度帰属収入の約 69%)の大半を占め、学生及び保証人の影響が大
きい授業料について、増額改定する場合の基本的な考え方を定める。
2)対象範囲
東京理科大学の全ての学部、大学院研究科及び山口東京理科大学、諏訪東京理科大学とす
る。
3)体制
①
管理責任者
学校法人東京理科大学経理規程第 4 条に規定する財務担当理事(理事長を補佐し、
経理に関する指示及び統制を行う。
)とする。
②
検討及び検証機関
中長期的財政計画との関連から、財務委員会で行う。
4)方針
①
基本方針
法人としては定員増、収益事業等の増収、経費節減等を基本に自助努力することを基本
とし、消費税増税等予想外の大幅な支出増が見込まれ、収入とのバランスが保てない場合
25
に、必要最小限のご負担をお願いする。また今後の教育に必要となる国際化のための予算
や各キャンパスの環境整備、学生用奨学金の利用利便性の向上など、学生のために整備が
必要となる事項が新たに生じた場合には、必要に応じてその負担をお願いする。
②
今後の授業料値上げ見通し
2015 年度新入生の授業料は、理学部第一部、工学部第一部、理工学部、基礎工学部は、9
万円の値上げを行った。改定年度から 4 年目以降に値上げ効果(約 10 億円/年)が現れる。
なお、薬学部(4 年制)
、経営学部(2016 年度神楽坂移転)については、2016 年度に改定を
行うこととし、学部間で授業料の差があった同一系統学科については統一する方向で調整
する。
2016 年度以降については、値上げ幅及び値上げ対象学部等は競合他大学の授業料(初年
度納付金を含めて)を参考にその都度決定する。3 年ごとに向こう 6 年間の消費収支バラン
スを予測した場合、基本方針の目標値(繰越支払資金 200 億円以上)を下回る見込みであ
れば、新入生の授業料の値上げ検討を行う。
5 収益事業
5.1 2014 年度振り返り
10 月 2 日に学校法人東京理科大学 100%子会社として(株) TUS ビジネスホールディン
グス を設立した。
①資本金
②所在地
48 百万円
(本社) 神楽坂 (事務所) 葛飾
③事業内容
・学校法人東京理科大学の収益事業戦略の立案
・(株)TUS ビジネスホールディングスグループの経営戦略の立案
・事業会社の管理
④傘下の事業会社
(株)TUS ダイニング(100%出資、学食の運営)
5.2 今後設立予定の事業会社
(1) IT 事業 (TUS グローバル IT)
・本学情報システムの企画、開発、運営(IS 業務の切り出し)
・VLE/VRE(Virtual Learning/Research Environment)の販売
(2)教育事業 (TUS ティーチャーズ)
・教員派遣
26
・本学客員教授による本学授業の実施
・生涯学習事業
(3)不動産事業(TUS リアルエステート)
・本学不動産資産の活用、メンテナンス事業
(4)ベンチャー事業(TUS ベンチャーズ)
・起業支援(資本の提供、企業設立のサポート)
・IPO 等サポート
(5)その他
・事務処理業務の受託、オフィシャルグッズ販売など
5.3 目標
(株)TUS ビジネスホールディングス連結ベースで、2020 年度に売上高 40 億円、営業利益
8 億円を目指す。
6 管財 (キャンパスに関するポリシー)
本学は建学の精神として「理学の普及を以って国運発展の基礎とする」、教育研究理念と
して「自然・人間・社会とこれらの調和的発展のための科学と技術の創造」を掲げている。
この建学の精神並びに教育理念のもと、世界的研究・教育拠点大学の構築を目指して、各
キャンパスの地域性・特色を生かし、ハード・ソフト両面で充実した教育研究環境の整備
を図ることを方針としている。
6.1 神楽坂キャンパス再開発に関するポリシー
① 経営学部の移転について
経営学部(1~4 年次)及び大学院経営学研究科について、2016 年 4 月より久喜キャンパ
スから神楽坂キャンパスに全面移転することが決定した。このことにより、千代田区富士
見町にある「東京富士見ビル」を賃借し、経営学部使用の施設として 2015 年に全面改修を
行い、2016 年 4 月からの開設を目指している。
賃借する東京富士見ビル(地下1階、地上7階建)は事務所建築として確認申請されて
おり、大学が使用する場合は「学校」としての用途変更が必要である。1階は階段教室(228
名)
・図書室(席数 80 席程)
・事務室等、2 階は食堂(340 席程)・厨房・学生ホール・売店、
27
3~5 階が教室・ゼミ室、6,7 階が経営学部研究室として改修を行う。
使用する学生は経営学部生(1~4 年次)及び大学院経営学研究科生であるが、学部 1 年
生の教養科目については神楽坂キャンパスを使用する計画であり、また図書館・体育館・
部室等についても神楽坂キャンパスを使用することになる。
近年の大学図書館のあり方は従来の機能の他に、学修支援の場としての空間が求められ
ており、1号館図書館は、2014 年に 11 階の理事会管理室 4 室を、多目的室 4 室(席数 90
席程)に変更し改修を行った。
2015 年には 10 階から 9 階へ降りる廻り階段を廃止し、幅員の広い階段を新設する計画で
ある。同時に 9・10・11 階図書館は全面改修を行い、学生・教職員のための利用しやすい施
設充実を試みている。
② 神楽坂キャンパスの再編について
2016 年 4 月に工学部第一部経営工学科、工学部第二部(建築・電気・経営工学科)、大学
院工学研究科経営工学専攻が葛飾キャンパスへ移転することにより、それまで使用してい
た神楽坂キャンパスに空きスペースが生じ、その空間の利用方法について、検討を始めて
いる。今後の神楽坂キャンパスは理学部と経営学部が主体となり、より一層の充実が図ら
れることになる。
③ 神楽坂キャンパスの現状分析
施設の老朽化
2 号館(1956 年竣工)築 57 年(2010 年改修)
3 号館(1965 年竣工)築 48 年(2009 年改修)
7 号館(1963 年竣工)築 51 年(2010 年改修)
8 号館(1964 年竣工)築 50 年(2011 年改修)
9 号館(1975 年竣工)築 38 年(2010 年改修)
上記建物は 2009 年から 2011 年の間に耐震診断・耐震補強、設備全面改修を施し、今後
10 年から 15 年間程度は、構造・設備面において、大きな改修は必要ない状態である。一方、
神楽坂キャンパスにおける敷地面積による建物許容延べ面積は飽和状態にある。この地域
は商業地域、第一種住居地域にあり、法律で定められた床面積を最大限に使用しているの
が実情である。また、1・6 号館においては建直した場合、現在の法律では面積が現状より減
少することが判明している。この実態を踏まえて、再開発計画を検討することとなる。
28
施設の分散
神楽坂キャンパスでは神楽坂一丁目、四丁目、若宮町、船河原町、市谷田町他などの地
区に施設が分散している。分散していることを良しとして、街の中に校舎が点在、街に溶
け込んで、街全体が大学の一部というかたち、街との関係を大切にし、立地に合わせたキ
ャンパスづくりを行い、学生や教職員が使用しやすい環境づくりを大切にしたい。
交通の利便性(通学に便利)+ファシリティマネジメント
通学に便利な神楽坂キャンパスは施設(特に教室等)の有効利用を考えるべき時である。
少子高齢化、並びに人口減という社会的背景の中では理科大の魅力を高め、子どもや社会
人など、事業対象(範囲)を広げていく必要がある(子ども、主婦、高齢者。年齢の枠にと
らわれない学習機会の創出。異業種交流と人脈づくり、生涯学習。幼い頃からの科学教育。
インターネットの利用)
。
また、利便性の高い立地から、休日・夜間利用、未使用スペースの有効利用(レンタル
会議室、理科大生による塾など)を推し進めていくべきと考える。
④
神楽坂キャンパスの再開発
神楽坂キャンパスの再開発については、過去幾度となく計画案が提出され、検討を行っ
ている。結果、限られた敷地面積の中では、容積は現状よりもあまり増えないことが過去
の計画案から判明している。一方、既存の施設も先に述べたように、ここ数年かけて改修
工事が行われたが、老朽化は否めず、10 年から 15 年程の期間内に再開発を行うことが急務
である。
神楽坂キャンパスに掛かる建築制限は商業地域(容積率 600%・400%)と第 1 種住居地
域(300%)、高さ制限は商業地域 40mと第1種住居地域 20m、そして隣接する近隣住居に
対する日影規制等が存在する。再開発にあたっては、この建築制限を緩和し延べ面積を増
やす必要があり、そのためには地域近隣住民の賛同を得ることのできる再構築案を作成し、
再度、新宿区と交渉を行うよう検討を進める。
大学周辺の容積率について
再開発は喫緊の課題であるが、延べ面積を少しでも多く確保することが必要である。特
に商業地域は容積率 600%と延べ面積が多くとれ、キャンパス計画の増床に欠かせないエリ
アである。
29
図中、ピンク色が商業地域 600%、イエロー色が第一種住居地域 300%を示す。
30
アグネスホテルとその周辺の容積率について
今あるアグネスホテルは容積率制限近くまで床面積を使用しており、建替えても同様の
床面積しか確保できない。また、その周辺の土地は第一種住居地域で容積率は 300%であり、
コストパフォーマンスはあまり良くない。再開発を行う場合、如何に少しでも多くの容積
を確保できるかの検討が必須である。
⑤ 課題等
・延床面積の増加
・再構築中の代替施設の確保
・学部再編の検討
・新宿区との交渉と地域との共存
6.2 葛飾キャンパス拡大開発ポリシー
葛飾キャンパスは、工学系を集約した「工学スクール」として整備する。2016 年度には、
神楽坂校舎から経営工学科が移転する。経営工学科の研究室面積は、当面は 90 ㎡とするが、
将来的には 120 ㎡とすることを検討する。なお、工学部工業化学科の移転についても検討
を開始する。
また、生命科学系を集約した「生命科学スクール」として、葛飾第二キャンパスの設立
を目指す。この葛飾第二キャンパスの展開については、周辺土地の活用も含めて検討する
こととする。
葛飾区等との連携事業については、引き続き様々な分野での連携を協議・検討し推し進
めることとなる。
6.3 野田キャンパス再開発に関するポリシー
① 野田キャンパスの現状分析
野田キャンパス、特に理工学部区域は 1966 年に1号館が建設されてから現在まで 50 年近くの
歳月が経ち、これまで各号館の耐震補強や屋上防水・シーリング・空調設備等の部分的な改修工
事でしのいできた。
そのような状況の下、3 号館理工学部工業化学科は個人研究室が分散し、実験室も1号館、実
験棟と点在しているため安全性と事故防止を考慮して再編成を計画し、当初計画では基礎工学部
移転後の 11 号館理事会管理室を一時借用して 3 号館の研究室、実験室を移転させ、空いた研究
室から順次改修するということが常務理事会にて了承され必要な予算措置がなされた。
しかし、野田キャンパスの将来計画を考慮すると工業化学科だけの問題に留まらず、老朽化した
実験系学科研究室の改修及び葛飾校舎、薬学部校舎と比較して狭隘な研究環境の解消、減価
31
償却期間が過ぎた建物・構築物の改修または建替えなどの長期的な展望が必要であることから、
工業化学科の部分的な改修ではなく新築またはリニューアルを含めた野田キャンパス全体の将来
計画を策定した。
第 1 次計画として、最重要事項である工業化学科の再編成として 11 号館と 3 号館の一部を改修
することとし、第 2 次計画は葛飾、神楽坂校舎を含めた法人全体としての将来計画や諸般の情勢
等を勘案しつつ慎重に進めることとした。
② 課題等
・野田地区の各校舎老朽化に対応するための FM 導入と改修計画等の策定
・大学院生等の増員を考慮した狭隘な研究環境解消のための野田地区全体の再構築
7 海外展開
7.1
GoToUSA
タスク
(1) タスクの目的と特徴
東京理科大学では、米国への学部生の留学を通して、「海外進出を加速する我国の企業
に対する質の高い理工系グローバル人材の供給」、「専門的な知識を英語で理解し、英語で
考える能力の涵養」、「他国の学生の価値観を理解し、自己表現力とコミュニケーション力
の向上」を目指す。留学先としてはテキサス州立大学アーリントン校(UTA)とし、現在は、
2015 年秋期からプログラムを開始するための準備段階にある。将来的には毎年2千名を留
学させ、卒業生の過半数が留学経験を有することを保証する。
本プログラムの特徴は、留学希望の学生に対する英語力の向上を語学研修センター(仮
称)ではかり、渡米直後にも ESL 教育を実施するとともに、履修するべき専門科目のアド
バイスなど新たに導入する学籍管理システムによってシームレスな単位認定を保証するこ
とにある。また、全寮制の環境を与えることで自然に自己表現力とコミュニケーション力
を身につけられる環境を提供する。
以上のほか、UTA に生命科学の研究拠点も構築し、我国の生命科学のリーダーシップをと
れる研究者を同時に輩出するとともに、シリコンバレー(SV)にもイノベーション人材を
育成する大学院の教育・研究拠点を構築する予定である。
(2) 本タスクのゴールとタイムライン
本学のブランド力の向上と「教員・学生の国際化レベル」に関わる評価点を上げるため
に、下記 2 点の実現をゴールとし、タイムラインを定める。
①
2015 年秋から学部学生の UTA への留学を開始し、2021 年までに年間 2000 人程度の学
部学生を半期もしくは通年留学させる。
32
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
★理事長訪問
2014
★担当理事訪問
2015
単位互換制度確
第 1 期留学募集
対象 2 年生以上
第 2 期留学募集
ESL 開始
第1期
留学:30 名
第 3 期留学募集
第2期
留学:100 名
第 4 期留学募集
第3期
留学:180 名
第 5 期留学募集
第4期
留学:270 名
第 6 期留学募集
第5期
留学:540 名
第 7 期留学募集
第6期
留学:1080 名
第7期
留学:2000 名
立
☆学長協定締結
2016
2017
2018
2019
2020
2021
②
2015 年度中に SV に大学院学生を対象とする教育研究拠点を整備し、2016 年度以降 30
人~60 人の大学院学生のキャリア形成、起業家育成などを北加理窓会のご支援の下で
行う。併せて、教員を対象とする研究拠点をスタンフォード大学内に整備し、イノベ
ーションとビジネスを結びつける。
(3) 今後の調査項目
①
UTA 関係
a.UTA 側の学生の受け入れ能力
授業料、ハウジング、食費、渡航費、移動手段、セキュリティ
b.TUS 側の学生のハンドリング体制
単位互換制度の確立(英文シラバス、ナンバリング、履修条件の確認、登録方法など)
ケアマネージャの確保、留学エコシステムの制度化、TOEFL550 のための研修センタ
ーの設置、モチベーション維持策、収支モデルの検討
c.UTA 側の教員受け入れ能力(オフィス、研究室、ハウジング)
協定校としての締結で数名派遣予定
33
③
SV 関係
a.現地コンサルとの打合せ
b.スタンフォード大学研究所との打合せ
c.北加理窓会との打合せ
(4) 語学研修センター(仮称)の設置
学生の語学力向上(TOEFL550)を中心に据える
国際化推進センター委員が中心となって検討中
7. 2 GoToASIA
18 歳人口の減少が言われて久しいが、大学進学率の上昇により、4 年制大学への進学者
数はこれまで漸増し続けてきた。しかし、2018 年を境に、その数は減少に転ずる見込みで、
2018 年は 65 万人であったものが 2031 年には 48 万人になると予測されている。
このような状況に対応し、国内での大学進学者数減少を補い、かつ日本の理科大から世
界の理科大へと飛躍するため、成長市場であるアジアに進出し、教育事業を行う。進出先
としては、一人当たりの GDP がアセアン諸国第 3 位で、2020 年には先進諸国入りを目指し
ているマレーシアを第一候補とする。
設置するのは、最先端工学の教育研究を行う大学院 TUS-Advanced Institute=ASIA (仮称)
である。東京理科大学とも連携し、イノベーション創出や製品開発に貢献できる人材を育
成する。また、日本人が持つ職業道徳等を伝えるための特別のプログラムも設ける。学生
数は、当初 100 名程度を予定している。
2015 年度は、学科構成や資金計画をより具体的なものとし、詳細な Feasibility Study
を行うとともに、マレーシア側と交渉を進め、開設場所を決定する。同時に、本プロジェ
クトの Critical Success Factor (CSF)の成否を見極める。その結果を受け、2016 年度以
降は、大学設置の申請・登録の手続きを行うとともに、校舎の設計・建築やプロモーショ
ンを行い、2018 年度あるいは 2019 年度からの学生受入れを目指す。
8 広報
8.1 広報のあるべき姿
広報業務を整理し、世界的に魅力ある大学を目指すため、受験生、在学生、教職員、父
母・保証人、卒業生、企業、研究機関、地域、中学高校教員、海外など各ステークホルダ
ーに向けた広報活動を統括して行うことができるよう、2014 年 10 月に広報組織の改編を実
34
施した。今後さらに内外リソースの具体的な活用を検討し、世界の理科大に向けた広報戦
略をスピーディーかつダイナミックに展開する。
さらに、大学に関連する全ての人が、大学の広報(情報発信者)であるという形を目指
す。そのため、全ての人がリアルタイムに広報素材にアクセスしやすい環境を整える。
Goal
世界の理科大へ(世界的な教育力・研究力を持つ大学)
Mission
①World-class なブランドの形成
②コミュニティとの深い相互信頼のリレーションシップ形成
Change
Professionalism の強いスタッフへ
8.2 あるべき姿に向けた広報組織の構築(2017 年度までに完成させる)
今後起こりうる事項に対し、先回りできる広報組織体制を作ることを目指すとともに、
組織内(学内教職員含む)の意識改革を行う。また各キャンパスのシームレス化を遂行し、
物理的にも組織的にも壁がない状態とする。
①広報統括部内
IT 等も活用しつつ時間的、空間的な壁の解消を図る
・広報統括部の事務室の一体化
・常時接続のビデオ会議システムの導入
・クラウド活用により、広報素材データベースが一元管理できる仕組みの構築
・共有タブレット端末等導入により情報がスピーディーに活用できる体制の構築
など
②広報統括部外
学内の各部局、各キャンパスに広く根差した組織への転換を図る
・各キャンパス、各事務室広報担当者との連絡会の設置
・学長室や教学関係の会議・委員会などとの連携により、教育関係の情報が集約で
きる体制の構築
・学内ネットワーク及び共有タブレット端末等の活用による情報の共有と、随時情
報発信が可能な体制の構築
など
8.3 あるべき姿に向けた広報計画
(1)広報ツールの刷新
①印刷物の統廃合
・学報(TUS Journal)と理科大 today の統合(2015 年度)
・学報(TUS Journal)と理科大 today の統合版の電子化(グループウェアの利用率
が 50%を超えた段階)
・Conscience の電子化(2015 年度)
35
原則は各課が CENTIS に掲載する形を目指すが、教職員のコミュニティ機能を電子
版の Conscience として独立させる。
・Factbook の電子化(2015 年度)
②英語版ホームページのリニューアル
日本語ホームページと同じく、PC とタブレット・スマホでデザインを共有化しつつ、
内容を充実させたものにリニューアルを行う。様々なメンバーで構成されたワーキ
ンググループを設置し、留学生・学生生活・入試関係情報のみならず、研究・教育
関係の情報も強化する。
(2015 年度)
またリニューアル後も順次アップデートし、海外向けの主要部分については日本語
と同レベルの内容とし、最新の教育・研究情報をさらに発信する。その他の言語に
ついてもフロントページを制作し、順次アップデートを行う。
③大学紹介動画(DVD)のリニューアル(2016 年度)
2016 年 4 月の学部・学科の再編の内容を反映し、なおかつビジョンやブランディン
グ戦略に基づいた大学紹介動画を新たに制作する。
④女子学生向け広報パンフレット及びホームページのリニューアル
パンフレットについてはキャリアモデルがイメージできる内容にリニューアルする。
またホームページは動画を多く取り入れた内容にリニューアルする。
⑤従来の制作物の刷新・ブランドイメージの統一化
・科学フォーラムを高校生をターゲットとした内容にリニューアル(2016 年度)
・その他の既存印刷物についてもビジョン及びブランディング戦略に基づき、イメ
ージの統一化を図る。(順次)
⑥新たな SNS メディアの活用(LINE・LinkedIn など、利用者数やその推移などで検討)
(2)新規の広報制作物・ツール
①2016 年度の学部・研究科再編に関わる広報パンフレットの制作(2015 年度)
②2016 年度の学部・研究科再編に関わる特設サイトの制作(2015 年度)
③経営学部広報用媒体(2015~17 年度)
あわせて、学部・研究科再編に関することについては、広告などを順次展開する。
またこの他、「長万部キャンパスで学ぶ基礎工学部」「ドボジョ・けんせつ小町(土木
系女子)」など、まだ認知度が高いとは言い切れないが、一定のブランド力向上に寄与
すると思われるものについて、動画・WEB などを利用しつつ、広報媒体を制作する。
(3)広報データベースの構築
①学内スケジュール(イベント・会議・学会等、法人・教学・学生主体など問わず、
広報的価値のあるもの全て)を管理可能なデータベースの構築(2019 年度)
②世界中どこからでも広報物等の閲覧、使用できるシステム構築(順次)
36
・制作物のペーパーレス化
・制作物のクラウド管理
③理科大「人」データベースの構築(2019 年度)
東京理科大学に関わる学生、卒業生、教職員などの情報について、ネットワーク構
築に必要な情報を一元化するためのデータベースを構築する。順次、情報システム
課・校友支援課・父母支援課・学生支援課・人事課・広報課などが協力して一元化
を図る。
④過去情報のアーカイブ化
広報課及び各課に散在している過去の広報材料をアーカイブ化する。(順次)
(4)国内外における広報対象の拡大
①2018 年問題を見据え、日本国内での広報展開だけでなく、海外での展開も早い段階
から検討に入り、実行に移す。
・海外向け情報発信のため外部コンサルティング会社、外部業者等と契約(2016 年
度)
・光触媒をはじめとしたグローバルな研究成果の情報発信の強化(順次)
・海外拠点での広報活動及び人員配置の検討(順次)
・本学への留学希望者向け広報システム(ツールの開発・イベント実施)
②志願者 5 万人を維持するための入試戦略をバックアップする広報施策(順次)
・本学への志願度(第一志望の割合)を高めるための広報媒体の制作
・首都圏以外の高校生をターゲットとしたイベントの実施、広報媒体の制作
など
(5)各メディアとの関係性を途切らせない有機的なつながりの構築(2016 年度)
これまで散発的であった各メディアとの関係性を構築する活動について、恒常的に
良好な関係が構築されるよう、下記の施策等を計画的に実施する。
・記者クラブ、既接触記者への定期的な訪問
・各キャンパスへの取材ツアーの実施
・女性活躍推進、FD 推進、ICT 化、各種フォーラムなど特徴的な取り組みの積極的
な情報発信
・定期的な記者懇談会の実施
など
(6)卒業生、保証人との継続的な関係性の構築
卒業生、保証人をファミリーと捉え、継続的な関係維持を図る。
・IT を活用した卒業生とのつながり施策
グループウェアの利用率を卒業生の 50%程度まで向上させる。(2020 年度)
既に卒業生メルマガなどをスタートさせたが、卒業生専用インターネットグルー
37
プウェアサービスの導入状況により、さらに配信情報やコンテンツを充実させる。
・在学生が卒業する際に、関係性を絶たない広報施策の展開(順次)
メールアドレスの切り替えや、住所登録などが手間なくできる仕組み・システム
の構築。また卒業する学生が母校を誇りに思えるようなブランディング広告の実
施など、関係性が断続しない広報施策を展開する。
(7)地域連携・科学啓発事業の拡充(順次)
①各キャンパス所在地の行政と連携事業に係る事項について明文化、組織化
②数学体験館の教具・ツールの開発及び販売の検討
③数学体験館の日曜日開館の検討(2015 年度)
④全国主要都市における科学啓発イベントの開催
札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、福岡等の候補からいくつかの都市で順次開催を
行う。
9 ICT
9.1
目標
(1)ICT Revolution
経営・教学・事務・同窓会に ICT 化の波を与え、精度の高い経営予測、教員の雑務
負担の軽減、教育の質の向上、学生と教員のグローバル化支援、事務処理の簡素化、
事務経費の圧縮、コミュニティの形成など様々な改革を実現する。
(2)Process Revolution
新たな ICT 利用を踏まえ、各業務運用プロセスを見直し、簡素化していくことで、
従来の処理時間の短縮とコストの低減を実現する。
9.2
経営に関する ICT とプロセス改革
(1)財務・調達システムの再構築、自動化による伝票入力作業の削減、出張や立替精算の
簡素化、リアルタイムな予実管理の実現を行い、規程改正も含めて業務運用プロセ
スの改革を実現する。
2013 年度
SAP ERP の構築
2014 年度
第 1 フェーズ:財務・調達プロセスの改革
2015 年 4 月
第 1 フェーズ運用開始
(伝票入力の自動化、リアルタイムな予実管理など)
2015 年度
第 2 フェーズ:旅費精算・立替精算のプロセス簡素化など
2016 年 4 月
第 2 フェーズ運用開始
38
(旅費精算・立替精算のプロセス簡素化など)
(2)新たに経営管理システムを導入し、リアルタイムな予実管理、経営戦略・事業計画立
案のための客観的な財務データの可視化を実現する。
9.3
2013 年
Oracle Hyperion の構築
2014 年
経営企画室の分析用ツールの開発
2015 年
経営系・教学系のための新たなダッシュボードの開発
教育研究に関する ICT とプロセス改革
(1)VLE フロントシステム開発
反転学習や e-Portfolio 等に代表される、教育現場で必要とされる新しい教育、
学修、指導方法をサポートし、アクティブラーニングと呼ばれる学生自身や学生同
士 に よ る 活 発 な 学 び の 場 を 提 供 す る ICT 環 境 で あ る VLE (Virtual Learning
Environment)を構築する。eTUS Portal と名付けた VLE のフロントシステムでは仮
想環境における学生同士の新しいコミュニケーションと大学生活に必要な日々の情
報とサービスを提供し、学生と教員の間のより緊密なコミュニケーションも可能と
する。Connected Device を中心としてユーザインタラクション環境を構築する事に
より、学生がいつでもどこでも大学の情報や仲間にアクセス出来るようにする。ま
た、LETUS に e-Portfolio 機能を追加し、学生自身による積極的な学びの計画、実行
及び振り返りを促すとともに、教員によるより高度な学生指導を可能にする。さら
に、留学を支援するツールも組み込み、学生のグローバル化を支援する。
(2)学籍管理システム(SIS)再構築
VLE のバックエンドシステムとして、従来の CLASS/GAKUEN に替わる新たな学籍管
理システム(SIS:Student Information System)を構築し、学生一人一人を受験か
ら卒業~同窓生までを一貫して情報管理し、データ分析できるようにし、大学の各
部門が知りたい情報をリアルタイムに抽出でき、各部局の事業戦略に活かせる仕組
みを作る。SIS 再構築にあたっては同時に、現在の事務総局内の業務プロセスの改善
と標準化を行い、今後の理科大のグローバル展開をサポートし、学生及び教員への
迅速かつ高品質なサポートを可能とする。
2014 年度
VLE フロント
eTUS Portal プロトタイプ構築
2014 年 12 月~2015 年 3 月
VLE バックエンド(SIS)Fit&Gap、RFP 作成、業者
選定、プロセス改革検討
2015 年 4 月
VLE フロント Version1.0 稼働開始
(Portal + e-Learning + e-Portfolio)
2015 年 4 月~2016 年 9 月
VLE バックエンド(SIS)システム構築、プロセス
39
改革検討
2016 年 10 月~2017 年 3 月
VLE バックエンド(SIS)システム移行、プロセス
改革準備
2017 年 4 月
VLE バックエンド(SIS)システム稼働開始、プロ
セス改革実施
※VLE フロントシステムについては、ユーザからの要望を取り入れ、毎年バージョ
ンアップしていき、将来的には TUS 発の製品化・外販を目指す。
(3)VRE 開発
研究業績や研究費の可視化、研究コラボレーション環境(コミュニケーションツー
ルやオンラインクラウドストレージ)、本学 URA による外部資金等の獲得や管理を強
力にサポートするため VRE(Virtual Research Environment)を構築する。
2015 年 1 月
VRE プロトタイプ構築
2015 年 2 月
VRE プロトタイプの試験運用
2015 年 4 月
Version1.0 稼働開始
(研究業績、研究費予実、特許情報などの照会、
グループウェア機能等)
2015 年 4 月~2015 年 8 月
Version2.0 開発
(企業コラボレート、事業化パイプライン管理
機能等)
2016 年 4 月
Version2.0 稼働開始
※VRE においてもユーザの要望を取り入れ、毎年バージョンアップしていき、VLE
同様に将来的には TUS 発の製品化・外販を目指す。
(4)研究クラウドの整備
現在は、制限のある研究環境及び教員ごとに研究環境を構築し管理している状況
にあるが、これらをクラウド化し、研究に必要な IT リソースを瞬時に提供でき、研
究環境全体をクラウド化によるセキュアでどこからでも利用できる環境を提供する。
また、ハードウェアの更新・保守等の管理もクラウド保有ベンダーに委託するこ
とで、従来 5 年に 1 回程度発生するハードウェアの更新費用をなくし、年度ごとの
ランニングコストを平準化し、中長期的な財務計画を立てやすくする。
2015 年度
研究クラウド計画の検討・立案・業者選定・予算化
2016 年度
クラウド環境の構築・運営方法の確立、学内への利用説明会の実施
2017 年度
研究クラウドの提供開始
(5)PC 教室のシンクライアント化
いつでも、どこにいても学生の個人所有 PC 等から本学の「PC 教室」環境を利用す
ることができるように検討すべきだが、現在は大型アプリケーションの処理能力の
問題、シンクライアント化による動作遅延等で授業の実施自体が妨げられるリスク
40
がある。一方、大学の中に「PC 教室」環境が今後も必要との見解が教員サイドから
示されており、従来どおり「PC 教室」を存在させる必要がある。しかしながら、
「PC
教室」環境のアプリケーションの更新や新規導入には授業繁忙期を避けて作業しな
ければならないこと、また、個々の PC に対してアプリケーションを導入していく作
業に膨大な時間がかかることから、スピーディーな対応ができていない。これをシ
ンクライアント化し、稼働時でもアプリケーションの更新や新規導入を即時化する。
2015 年度
9.4
全地区 PC 教室のシンクライアント環境構築・稼働開始
事務に関する ICT とプロセス改革
(1)紙による処理から電子データ処理へ移行し業務の効率化を進める。業務を電子的に行
うことで処理の流れを可視化し、更なる業務プロセス改革に結びつける。
2013 年度
FASE(決裁電子化)稼働開始、一部の会議でペーパーレス
会議を実施
2014 年~2015 年度
FASE による事務申請の電子化促進、ペーパーレス会議の拡
大、掲示板の電子化
(2)各システム上の業務情報(ビッグデータ)を各部署がリアルタイムに必要な情報とし
て抽出し、分析できるツールを開発する。
2015 年 4 月
QlikView を活用した「入試情報分析システム」の稼働開始
2015 年 5 月
就職・教務・人事・財務等の業務情報を利用した情報分析システ
ムの開発及び順次稼働
(3)Web 出願
現在、受験生は紙の受験願書等に氏名・住所等の内容を記載し、それを郵送して
いる。これらの願書提出処理についてインターネット上で出願申請が行えるように
する。これにより受験出願時の人的入力による誤りの排除、合格後の事務手続きに
おいても手書きデータの入力処理やエラーチェックの自動化による業務効率・デー
タの正確性の向上を図る。2016 年度入試からの導入を目指す。
9.5
2014 年 3 月
システム検討・選定
2015 年 4 月
構築・2016 年度入試より稼働開始
同窓に関する ICT とプロセス改革
コミュニケーションツールを利用した同窓と在校生、教員、職員をつないだ様々な
カテゴリでのコミュニティを形成し、理科大の情報発信を積極的に行い、同窓に積
極的に大学とかかわってもらうことで、OB 企業とのコラボや寄附金活動の促進を狙
う。
2014 年 2 月
Office365 の無償提供(済み)
2015 年 1 月
小規模コミュニティへのコミュニケーションツール(グループウ
41
ェア)の無償提供開始
2015 年 4 月~
同窓、在校生、教員、職員をつなぐコミュニケーションツールの
構築・稼働
9.6
IC カード(学生証・教職員証)の電子マネー化
学生証・教職員証で TUS ポイントや電子マネーを扱えるようにし、学生へのプロモー
ション(インセンティブ付)や食堂・生協等での利用サービスの向上を図る。
2014 年 12 月~2015 年 9 月
TUS ポイント・電子マネー導入検討・食堂での利用
構築
2015 年 9 月
食堂での利用開始
2015 年 4 月~2016 年 3 月
食堂での運用拡大、生協での利用構築。インセンテ
ィブ付プロモーションの検討・実施。
2016 年 4 月
全面稼働開始
42
43
研
究
力
向
上
支
援
教
育
改
革
支
援
経
営
改
革
支
援
項目
2015年度
2016年度
2017年度
2018年度
経営企画室
分析ツール開発
伝票入力自動化、 リアルタイム予実
管理等
経 営 ・ 大 学サイド
へ の 財 務 ダッシュボード・シュミ レーショ ン
の開発
旅費精算、立替精算プロセスの簡略
化等
更 なる 戦 略 的な計 画立 案のための 見える化 の推 進
更なる雑務削減・業務標準化・簡素化のための改革の推進
Fit&Gap、RFP作成、業者選定、プロセ
ス改革検討
Version1.0構 築 ( e‐Portal,e‐Learning,
e‐Portfolio)
検討・ソリューション選定・予算化
シス テム構築、プロセス改革検討
Version2.0構築
全面稼働開始
Version3.0構築
システム移行、
プ ロ セス改革
準備
システム運用開始、業務プロセス改革の実行
利用者からの要望の取り込み・新規機能の開発による定期的なVersionUp
研究
クラウド
整備
VRE
開発
プ ロ ト タイプ
構築・ 試行
検討・ソリューション選定・予算化
Version1.0稼 働 ( 研 究 業績、 予実管 理、特
許 情 報 照 会 、グループ ウェア機能等 )
構築・運用試行・全体説明会等
Version2.0稼 働 ( 企 業 コーポレート、事業化
パ イ プ ライン管理 等)
全面稼働開始
利用者からの要望の取り込み・新規機能の開発
研究実績の見える化、研究グループコミュニケーションの充実、教員の雑務削減、共通リソース利用によるセキュリティ管理強化
シンクラ
イアント化
PC教室
学籍・
教務
管理
システム
(SIS)
VLE
開発
anywhere,anytime,anyway学ぶことのできる環境、グローバルスタンダードアプリケーション利用による業務標準化、教育環境の充実
(Hyperion)
経営
管理
システム
財務・
調達
システム
(SAP)
調達・発注管理、業務プロセス改革、グローバルスタンダードアプリケーション利用による業務標準化、雑務削減、財務情報の見える化による戦略的な経営の実現
2014年度
2019年度
44
そ
の
他
事
務
改
革
支
援
項目
2015年度
順次継続的に実行
2016年度
同窓コミュ
ニケーショ
ンツール
ICカード
電子
マネー化
WEB
出願
小規模コ
ミュニケー
ションツー
在 校 生 ・ 同窓・教 職員をつなぐ
コミ ュニケーショ ンツール の構築・稼 働開
始
2017年度
利用者からの要望の取り込み・新規機能の開発
食 堂 運 用 の 拡大 、生協 との連携 、
イ ン センテ ィブ付 プロモーショ ン検討・実 施
構築・2016年度入試から実施、さらなる受験者の利便性向上の検討・実装
電子マネー化・検討・構築
検討・ソリューション選定・予算化
受験者・学生・父母・同窓生等へのサービス付加(受験者数確保・学生生活充実・同窓とのコネクション強化)
事務申請電
子化・ペー
検討・ソリューション選定・予算化
パレス会
議・
掲示電子化
事務業務の標準化・簡素化・ペーパレス化の促進
2014年度
2018年度
2019年度
3.東京理科大学における教育・研究のあるべき姿
45
3.東京理科大学における教育・研究のあるべき姿(2015 年度版)
Ⅰ
目標
「日本の理科大から世界の理科大へ」
~我が国の発展を担う人財を育成してきた伝統を基盤に、世界で通用し、世界から認めら
れる教育力・研究力を持ったグローバルな大学となる~
Ⅱ
策定にあたっての重点基本方針
本学が日本国内で社会的に高い評価を得ている「実力主義」の学風を将来に亘っても継承し、
理工系総合大学として、各学部・研究科がそれぞれの特色を活かしつつ、魅力あるグローバルな
頭脳循環拠点として教育・研究の両分野において国際競争力を持つ「世界の理科大」となるため、
学長の強いリーダーシップのもとで諸施策を着実に実行していきます。
昨年、
「東京理科大学における教育・研究のあるべき姿(2014 年度版)
」を策定し、ここで掲げ
た実施計画を推進するため、2014 年 1 月、学長のもとに「学長重点課題検討専門小委員会」を設
置しました。この専門小委員会において「教育」、「研究・産学連携」、「人財・人事」に関する事
項を中心とした諸課題について検討を行い、計画的に実施策を推進しています。
本年度の「教育・研究のあるべき姿(2015 年度版)」の策定にあたっては、まず、これまでの
実施状況を検証し、昨年度に策定した各施策を見直した結果、新たに、以下の 5 項目を重点基本
方針として定めました。
1
学長がリーダーシップを発揮できるガバナンス体制の構築
学長がリーダーシップを発揮して、
「あるべき姿」に掲げる各施策を着実に実行していくため、
2015 年 4 月の学校教育法等の改正を踏まえ、これまでの意思決定プロセスを見直し、ガバナン
ス体制を強化します。
2
教育・研究環境の充実
各キャンパスが抱える教育・研究環境の諸課題を改善するため、学部・大学院を一体として
考え、資源(人事、予算、スペース)の確保と配分の最適化を推進し、教育・研究の一層の充
実を図ります。
3
国際化の戦略的推進
「世界の理科大へ」を標榜し、国際競争力を持つ大学となるため、基盤の整備、世界の主要
大学との連携強化等の戦略的な国際化を推進します。その前提となる教職員の意識改革、FD
の強力な推進、学生の国際化を支援する体制の整備を着実に実行します。
4
多様な人財の登用と環境整備
若手、女性、外国人など多様な人財を積極的に登用し、本学構成員が意欲と希望を持って自
己の能力を高め、大学の一層の発展に寄与できる環境の整備と諸制度の検証及び見直しを推進
します。
46
5
キャンパス単位の教育と運営への転換
各キャンパスがその特色を活かした教育と運営を実施できる体制を整備します。
Ⅲ
1
世界の理科大の実現に向けて
教育
方針
○ 科学・技術に関連する分野において、基礎能力をもち、世界で通用するプロフェッ
ショナルとなる人財を育成します。
○ 教育の次世代化を推進し、理工系教育の革新モデルを構築します。
○ 教育の国際化を推進し、国際競争力を向上させます。
○ 教職課程の質保証の確保と教員養成体制の強化を図ります。
<目標1>
学部の学生数は当面、現在の水準を維持しますが、大学院では、修士課程と博士課
程の進学率を現在の各専攻それぞれの状況を鑑みた上で、向上させます。大学全体と
しては修士課程では、進学率を現在の 50%から 70%に向上させ、また、博士課程に
おいても、大幅に進学率を向上させます。
具体的実施計画
・ 後述する「TUS6年一貫モデル」の構築により、大学全体として大学院進学率 70%を目指
して大学院学生を増加させます。
・ 博士課程に入学する社会人学生を増加させるため、技術者・研究者が博士の学位を持つこ
との意義を産業界に発信する等、本学修了者を中心にした重点的な広報活動を実施します。
<目標2>
教育の質を保証し、専門分野の基礎能力と豊かな教養を身に付けて世界で活躍でき
る人財となるように、学生の資質を高める教育の実施体制を確立します。
具体的実施計画
① 「基礎能力」を重視する教育の実施
・ 基礎能力の充実を図るため、基幹基礎科目の教育に使用するための TUS オリジナル教科
書「理工系の基礎」の作成を、2014 年度から順次開始し、本学の学問分野における教科
書をシリーズとして刊行します。
・ 基幹基礎科目等において、所定の課題に対して積極的に取り組むためのレポートを課し、
事前・事後学習の大切さを理解し、自発的に学習する姿勢を身に付けさせます。
② 「教養教育」の充実とキャンパス単位での教養教育の実施
・ 教養教育は学部・研究科の枠を越えてキャンパス単位で実施します。
・ 専門分野に偏りがちであったカリキュラムを見直し、人文科学や自然科学などの幅広い知
識を身に付け、論理的思考や国際性を身に付けさせるための教養教育の充実を推進します。
・ 全学共通の教養科目としての「生命科学」と「科学技術と社会」は、2014 年度の工学部
47
第一部での試行結果を踏まえ、2015 年度から、全ての学部での開講を推進します。
・ 大学院においても教養教育科目を開講導入し、その必修化を検討します。
③ 卒業研究の必修化
・ 学部学修の集大成としての卒業研究は学生に真の実力をつけさせるために不可欠である
との認識に基づき、卒業研究を全学科で必修とします。
④ 「TUS6年一貫モデル」の構築による教育の充実と履修の弾力化
・ 授業科目の見直しに基づく整理と削減を行い、質重視のカリキュラムを構築します(段階
的に 30%程度の削減を達成します)
。
・ 学部と大学院修士課程の 6 年間を一貫した教育期間と捉えた本学独自の教育を「TUS 6 年
一貫モデル」として構築します。この教育モデルにおいては、6 年の教育期間を柔軟に捉
え、学生の志向や進路に応じた弾力的な履修(学部高学年や大学院での教養科目の履修、
留学の奨励等)を容易にする教育システムを構築します。
⑤ 品質保証(「学生自身による学修の PDCA サイクルの確立」)
・ 学修ポートフォリオ・システムやルーブリックの導入による学修成果の可視化と授業収録
配信システムの整備によるアクティブ・ラーニングの促進という 2 つの方策を連携させ、
「学生自身による学修の PDCA サイクル」を確立します。
〈目標3〉
学生の国際経験を推奨・支援してグローバル人財を育成します。
具体的実施計画
① 国際通用性を高めるための教務システムの整備
・ GPA 制度を実質化して対外的な通用性を高めます。その前提となる成績評価の厳格化・標
準化を進めます。
・ 有効なナンバリングシステムを導入します。
・ シラバスの英語化を進め、本学と海外大学での科目の単位互換を容易にします。
② セメスター制・クオーター制の拡大
・ セメスター制、クオーター制を着実に推進し、短期間で集中的に学ぶことによる学修効果
の向上と柔軟な履修計画を可能にする体制を構築します。
③ スキルとしての英語力を身に付けるための実用英語教育の充実
・ 学生の英語力を TOEFL、TOEIC スコアで評価し、目標を定めて在学中にクリアする仕組
みを構築します。(卒業時の英語力アセスメント)
・ 「TUS オリジナル TOEIC テキスト」を利用した実用英語教育、ネイティブ教員による授
業、習熟度別クラス編成を実施します。
④ 双方向型の学生・教員の交流を促進する海外大学との連携の強化
・ 世界各地区における重点大学を選定し、実質的かつ継続的な交流活動を行う協定校を増や
します。
・ 協定校を相互に学生、教員の派遣・受入れを行う実質的なパートナーと位置づけ、アジア
圏の大学との連携強化とアメリカへの拡大を推進します。
・ 全ての学生が、留学、海外での学会発表、インターンシップ等の国際経験を在学中に体験
する仕組みを構築します。
・ 留学前、留学中及び留学後に至るまで、教育・研究、生活及びメンタルケア等を含めた一
貫した留学生のサポート体制を構築します。
⑤ 教員の国際化
・ 教員の在外研究を推進するために在外研究を義務化し、各学科において、人事計画と連動
48
した在外派遣計画を策定します。
・ 海外協定校との教員交換制度を利用した教員の交流(授業視察や授業参加)を奨励し、教
員の FD を通じた教育能力の向上を図ります。
・ 教員の公募にあたっては、国際公募を奨励し、海外からの外国人教員の応募を促進して、
外国人教員及び海外での教育・研究経験が豊富な日本人を積極的に採用し、英語による授
業の拡充を図ります。
〈目標4〉
教育内容及び教授法を改善して教育の次世代化を推進します。
具体的実施計画
① ICT 環境の整備
・ 社会のニーズや国際化を念頭に、理事会と大学が協働して迅速に ICT 環境を整備し、教育
の国際競争力を向上させるため ICT の活用を推進します。
② 教育能力の開発
・ 大学の教員が教授法を学ぶ機会は極めて限定的であり、教育能力の開発が十分行われてい
るとはいえない状況にあり、新しい教授法・講義技術の修得のための継続的研修や新任教
員に対する教育等を義務化し、組織的に実施します。
・ 現行の FD セミナーの充実と体系化(プログラム化)を進め、教授法の研修に活用します。
③ 教育方法
・ 対面講義、実験、実習等は本学の教育の根幹をなしますが、ICT を活用した教育への取り
組みは不十分であり、今後は ICT を活用した授業の効率化、教育効果の向上を検討します。
・ VLE 機能を活用して学生の学びを可視化すると共に、学生の学習意欲の向上や教員の教育
方法の改善を図ります。
・ PBL(Project-Based Learning/課題解決型学習)とアクティブ・ラーニングを取り入れ
た教育を推進します。
<目標5>
「教員養成の高度化」を目指した教育、教員養成体制及び支援組織の強化を推進しま
す。
具体的実施計画
① 「教員養成の高度化」を目指した教育内容の見直し
・ 教職課程のカリキュラム、指導体制、FD、教職志望者への支援等の全般に亘って検証を行
い、教職課程の質保証を行うための意識改革、体制の整備を進めます。
・ 教職課程を置く学科と教科の全学的な見直しを行い、再編も視野に入れた本学における教
員養成体制の再構築を推進します。
② 教員養成体制の充実
・ 理数系教員養成の拠点校である本学の役割を維持・発展させるため、教員志望者及び現職
教員の支援体制を強化します。
・ 教職支援センターの組織及び構成を見直し、新たに 2015 年 4 月に設置する「教職教育セン
ター」を核として、各学部と連携し、教員養成体制の充実を図ります。
49
2
研究・産学公連携
研究・産学公連携のあるべき姿については、「東京理科大学研究戦略中期計画(2014
~2020 年度)」(P.53~P.59)において公開します。
3
入学試験
方針
多くの志願者を確保し、質の高い学生を選抜することは本学の発展と充実の根幹で
あるとの認識を再確認し、強い危機感を持って入試戦略を策定し、長期的な発展基盤
を構築します。
<目標>
・ 「教育・研究のあるべき姿」に掲げる計画を着実に実行し、本学の魅力を向上させ、
特色を強く打ち出すことにより、本学を第一志望とする優秀な志願者を増やし、志
願者数を将来も維持します。
・ 将来に亘ってグローバルに活躍できる人財を確保する入試制度を確立します。
具体的実施計画
・ 「教育」と「入試」を一体的に改革する観点から、入試形態(推薦を含む)、入試問題、入
試日程など、入学試験の諸課題について学長のもとで総合的に検証すると共に、2018 年問
題への対応についても検討し、中長期的視点に立った入試戦略を立案します。
・ グローバル化に対応した人財となるためには「聞くこと」、「話すこと」、「読むこと」及び
「書くこと」の 4 技能を総合的に学ぶ必要があり、各技能を適切に評価する英語力の試験
(TOEFL、TOEIC、TEAP 等)の利用について具体的な導入の方策を検討します。
4
女性活躍推進
方針
○「女性活躍推進のための行動指針」に基づき、「優れた女性理工系人財から選ばれ
る大学」、「女性人財を積極的に育成、活用し、支援する大学」を目指します。
○ 優れた女性理工系人財を育成するための基盤整備を推進します。
〈目標1〉
計画的に女子学生を増加させ、女子学生を現在の 20.3%から 30%にします。
<目標 2>
教員公募における女性の応募者数を倍増させ、策定された総合的な評価基準に基づき、
積極的に女性教員を採用します。
女性教員を現在の 9.9%から 15%にします。
具体的実施計画
・ 女子学生の増加目標と併せ、各学科に 1 名以上の女性教員を採用します。
50
<目標 3>
女性教員が安心して教育・研究を行える環境を整備します。
具体的実施計画
・ 女性教員が産休、育休等で教育・研究活動を中断する場合の支援制度(代替教員の確保、
restart 支援)を確立します。
・ 任期付雇用の女性教員が産休、育休を取得した場合、その任期を延長します。
・ ワークライフバランスを考慮した業務分担や拘束時間の見直しを図ります。
5
人財
方針
基礎教育と教養教育を担う教員、先端的研究成果を期待する教員等の役割を明確に
した新たな採用基準を策定する等、教員配置の最適化を推進して、教育と研究の質を
高めます。
<目標>
教員の増員枠を戦略的に活用して教育・研究の活性化を図ります。
具体的実施計画
① 大学院教員定員数の明確化
・ 大学院における教育・研究の充実を図るため、大学院学生の定員数を考慮した教員の増員
を「大学院教員枠」として明確化します。
② 優れた教員の確保
・ 各学科・専攻における教育と研究の質を高めるための基本になるバランスのとれた教員構
成の維持を念頭に、毎年、人事計画の見直しを実施します。また、教員採用時の評価基準
に、海外経験、英語での授業実施、教育能力等、より具体的な条件の明示を検討します。
・ 優れた研究実績を有し国際的に活躍する教員・研究者を時限的に採用し、講義負担を抑え
て研究成果を創出するための環境整備を推進します。
③ 外国人教員の採用
・ 多様な人財を積極的に登用する方針のもと、任期制など柔軟な雇用形態による教員の採用
を推進します。
④ 嘱託助教の任期延長制度
・ 嘱託助教の 5 年任期制を見直し、中間評価で優れた業績が認められる場合に、一定期間の
任期延長を可能にする制度を策定します。
6
経営組織
方針
学長の強いリーダーシップにより迅速な大学の意思決定を行い、責任を明確化して各
学部・研究科が特色を発揮しながら教育・研究を遂行できる体制とします。
51
<目標>
国際競争力の向上を目指した質の高い教育・研究を促進し、「世界の理科大」となる
ため、学長がリーダーシップを発揮して大学の意思決定の迅速化と業務の効率化を図
ります。
具体的実施計画
2015 年 4 月に学校教育法等が改正されることを踏まえ以下の施策を実施します。
① 学長室体制の見直しと強化
・ 学長の職務の代理及び代行を行う副学長を明確にし、その職にあたる副学長 1 名を「総括
副学長」とします。
・ 副学長に学長の権限の一部を委譲し、迅速な意思決定を図る体制を整備します。
・ 学長、副学長のサポート体制を強化するため、学長室の事務局体制を整備・拡充します。
② 学部長(研究科長)選考方法の見直し
・ 学長が掲げる方針を共有して学部・研究科の管理運営を実行できる資質を持つ学部長を選
考するため、学長の意見を取り入れられる選考方法を策定します。
・ 研究科長は、基礎となる学部の学部長が務め(独立研究科を除く)、これにより、学士課程
と修士課程を連続した一つの課程と捉えた教育を行う「TUS6年一貫モデル」を推進しま
す。
③ 学部長の補佐体制の整備
・ 学部長の業務を補佐する副学部長職を制定し、学部の規模に応じて 1~2 名の副学部長を置
きます。
・ 学部長が管理運営に集中できるように、在任中の教育負担を軽減します。
④ 人財の育成
・ 大学経営に関する教職員の意識を高め、戦略的な人員配置を進めて、責任をもって管理運
営を行うことができる人財を継続的に育成する仕組みを構築します。
Ⅳ
「あるべき姿」に基づく実施計画の実行と検証体制
東京理科大学の教育・研究のあるべき姿は、本学の目標である「日本の理科大から世界の理科
大へ」に照らして、それぞれの実施計画の達成状況とその効果を常に検証し、毎年度、必要な見
直しと改善を行わなければなりません。
併せて、常設の「大学評価委員会」
(自己点検・評価担当副学長、自己点検・評価担当理事、財
務担当理事、部局長等から構成)と「各部局の自己点検・評価実施委員会」において“PDCA サ
イクル”を実行し、
「国際競争力」を着実に向上させていくことに積極的かつ計画的に取り組んで
まいります。
以
52
上
4.東京理科大学
研究戦略中長期計画
(2014~2020 年度)
53
4.東京理科大学
研究戦略中期計画(2014~2020年度)
はじめに
本学が掲げるビジョン“
「日本の理科大から世界の理科大へ(国際競争力)」~我
が国の発展を担う人財を育成してきた伝統を基盤に、世界で通用し、世界から認めら
れる教育力・研究力を持ったグローバルな大学となる。~”を研究面から具現化し、
「理科大ならではの研究」をグローバルに展開するため、ここに「東京理科大学 研
究戦略中期計画(2014~2020 年度)」を定める。
1
基本認識
1.1 理念
1.1.1 目指すべき姿
理科大ならではの研究を世界レベルで展開し、
「日本の理科大」から「世
界の理科大」へと発展することを目指す。
1.1.2 基本目標
 理科大ならではの研究を推進し、研究力の観点から国際的に評価され
る大学としての地位を確立することを目指す。
 グローバルな産学連携体制及び地域資源・技術・人財を活かした地域
の産学公金連携体制を構築・強化し、研究成果や知識を広く社会に還
元することを目指す。
1.2 目標実現に向けた基本方針
(研究力の強化)
 次世代の研究の芽を育む独創的な研究を長期的な視野から推進すると
ともに、そのような研究の中から育成されてきた、「理科大ならでは」
の強みとなりうる特に優れた研究や、社会の要請に対応する研究を重点
的かつ戦略的に推進する。
 「世界の理科大」として特に世界レベルで推進すべき研究を集中的に実
施するため、総合研究院に「国際先端研究院(仮称)」
(理科大版世界ト
ップレベル研究拠点(WPI))を設置する。
(産学連携・地域連携の強化)
 グローバルな産学連携体制を構築するとともに、産学連携プロジェクト
等の規模の大型化を進め、インパクトの大きな産学連携活動の展開、特
許のライセンス化・事業化を目指す。
 キャンパス立地周辺を始めとする地域における産業界・公的機関・金融
機関(産・公・金)との連携体制を強化し、地域の産業発展に寄与する。
54
(優れた研究者の確保・育成)
 多様な人財が活躍でき、優れた業績を挙げた人財が相応の評価を受けら
れる仕組みを構築するとともに、若手研究者のキャリアパスの形成、女
性研究者の活躍推進、学生の博士課程への進学の支援等によって、次代
を担う優れた研究者を育成する。
(研究推進のための資源の確保)
 外部資金獲得金額を本計画期間中に倍増することを目指すとともに、学
内研究費の戦略的な配分を進める。
(研究支援体制の強化)
 上記の基本方針に基づく具体的施策を実行に移すため、研究戦略の立案
やそれに基づく大型プロジェクトの企画・推進支援、外部資金獲得支援
等を担う、研究戦略・産学連携センターの体制の整備・充実、機能の強
化を図る。
1.3 研究戦略中期計画の位置付け
本中期計画は、
「東京理科大学の中長期計画(6 カ年計画)」
(2014 年 4 月)
及び「東京理科大学における教育研究のあるべき姿について」
(2013 年 12 月)
に基づき戦略的な研究を推進するための、2014 年度から 2020 年度までを対
象とする具体的な計画を示すものである。
なお、本中期計画は、ローリングプランとし、進捗を確認しながら、毎年
見直しを行うものである。
2
理科大ならではの研究の推進
本学ではこれまで、各研究室における独創的な研究をベースとして、総合研究院に
おいて、教員の発意に基づく部局を超えた連携による研究を推進するユニークな取組
を行ってきたところである。このような独創的な研究は、大学の使命である次世代の
研究の芽を育む上で重要なものであり、引き続き推進していく。
一方で、先端的な研究によって社会に貢献していくことは大学に課せられた重要な
使命の一つであり、本学の研究成果によってグローバルな課題の解決や我が国産業の
発展への貢献を目指すため、本中期計画では新たに4つの重点課題を設定し、戦略的
に研究を推進していくこととする。
2.1 独創的な研究の推進
各研究室における教員の自由な発想に基づく研究を基盤とし、そこから生み出
される研究の芽を、学内外との連携を通じて「理科大ならでは」の強みに育て上
55
げる。このために、分野や学部・学科等を超えた教員間の交流を促進するととも
に、連携研究の芽を育成するための総合研究院の部門制度をより効果的に運用す
るなど学際研究を進める。
2.2 戦略的な研究の推進
2.2.1 戦略的に研究を推進する重点課題
グローバルな課題の解決や我が国産業の発展への貢献を目指して戦略的
に研究を推進する重点課題は、これまでに培ってきた本学の強みを活かす
観点、及び未開拓のフロンティアに挑戦して新たな強みとする観点から、
以下の 4 つを設定し、関連研究のうち強力な推進が必要なものは、研究費
の配分や研究戦略・産学連携センターによる支援を重点的に行う。
(1)強みを活かして取り組む重点課題
 環境・エネルギー(クリーンで経済的なエネルギーシステムの実現)
 ものづくり・計測技術(ものづくり・計測技術の発展による我が国産
業への貢献)
(2)新たな強みとするべく取り組む重点課題
 医療・生命科学(健康長寿社会の実現)
 農水・食品(食品を始めとする農林水産物の高機能・高付加価値化や
生産・加工・流通システムの高度化)
3
研究力の強化のための具体的施策
3.1 「国際先端研究院(仮称)」の設置
 インパクトの大きな世界レベルの卓越した学術研究、又は4重点課題関連
研究のうち特に世界レベルで展開すべきものを集中的に推進するため、
「理
科大版 WPI」の仕組みを構築する。
3.2 研究戦略立案機能の強化
 研究戦略立案に必要な学内の研究に関する情報を集約し、研究戦略・産学
連携センターが中心となって、各学部・学科等とともに国内外の他機関と
の共同研究や、学内の部局を超えた連携研究の提案を行う。
3.3 外部資金獲得の拡大
研究活動のアクティビティを高め、研究力を強化するために必要な研究費を
確保するべく、本中期計画期間中に、外部資金獲得金額を倍増する。このた
めに、前年度比 15%で拡大することを目指し、外部資金の獲得が部局や教員
56
のメリットにつながる仕組みを検討・構築する。
3.4 研究支援機能の充実
(研究戦略・産学連携センターの体制整備・機能強化)
● 研究戦略の立案やそれに基づく大型プロジェクトの企画・推進支援、外部
資金獲得支援等の機能の強化を図るため、研究戦略・産学連携センターの
リサーチ・アドミニストレーター(URA)を倍増するとともにスキルアッ
プを図り、体制の整備及び機能の強化を図る。
(研究戦略・産学連携センターによるサポート)
 専門性を有する URA が、異分野の教員の連携による研究の提案など、新
たな研究プロジェクトの構築や外部資金の獲得に向けた支援を行う。
3.5 研究力強化のための環境の整備
(学内における質の高い研究と教育の両立)
 大学の重要な使命である教育の質を維持・向上させつつ研究力を強化するた
め、大学院の教育研究を重視した教員の増員や、教員の業績評価において教
育と研究がそれぞれ適切に評価される評価指標等を検討する。
(研究力強化を支えるインフラの整備)
 4 重点課題関連研究に必要な設備機器の優先的な導入、本学の特徴になりう
る大型の設備機器の計画的な導入など、最先端設備機器を戦略的に整備する
とともに、学内外への共用化を促進する。
 研究の学際化や国際化を加速するため、学内外の研究者間のスピーディーな
情報共有、ネットワーク構築を実現するための ICT 環境の整備・活用促進
を進める。
3.6 大学間の連携・国際連携の強化
 国内外の外部有識者から構成される研究戦略に関する会議の創設を検討
する。
 海外との共同研究を推進するために、在外研究員制度の活用の促進、国内
外の大学との連携関係の構築など、教員の国際化や国際的なネットワーク
の形成を進める。
3.7 研究成果の発信・理解増進
 研究成果の積極的かつ効果的なプレス発表、大学主催の国際シンポジウム
の開催等によって、本学の研究成果を世界に発信する。
3.8 研究活動における不正行為等の防止
57

4
研究費の不正使用、研究活動の不正行為、産学連携活動における利益相反
等を未然に防ぐため、ルールの周知徹底、コンプライアンス教育の実施・
受講管理等、教職員及び学生の意識向上のための取組の充実や不正行為を
抑止する環境整備を図る。
研究成果の社会への還元
4.1 産学連携の強化
 グローバルに展開する国内外企業との連携の強化等により、企業との共
同研究や受託研究、知的財産のライセンスや事業化等につなげる。
 海外企業を開拓するとともに、海外企業との連携を行おうとする教員に
対し、研究戦略・産学連携センターが強力に支援する。
4.2 事業化の推進
 研究戦略・産学連携センターが、事業化に必要なポイントや事業化のタ
イミング等をアドバイスする相談窓口としての機能や、シーズの発掘等
の機能を強化するとともに、有望なシーズに対する支援を充実させ、新
規事業の立ち上げを促進する。
4.3 地域連携の推進
 本学のキャンパス立地周辺地域において、産学金連携協議会・地域活性
化推進会議等の枠組みや、ビジネスフェア・シンポジウム等の開催等を
通じて、自治体・金融機関・企業等との連携を強化する。また、地域連
携(オープンイノベーション)拠点を設立し、地域企業の競争力強化に
つながる新たなイノベーションを創出する基盤の整備を行う。
5
優れた研究者の確保・育成
5.1 優れた研究者が評価され、活躍できる制度の整備
 優秀な教員の昇任の早期化や業績評価の結果の待遇への反映等、優れた研
究者が評価され、活躍できる仕組みを検討する。
5.2 若手研究者・女性研究者の育成・支援
(若手研究者の育成・支援)
 優れた若手研究者を確保し、育成するためのテニュアトラック制度や、ポ
スドクを増員するための方策等を検討する。
(女性研究者の育成・支援)
 女性教員の割合を 2019 年度までに 15%にすることを目指し、各学部・
58
学科等における女性教員の採用を促進するとともに、女性教員の産休・育
休期間中の学科への支援や復帰後の研究支援等を検討する。
(大学院生に対する教育・支援)
より多くの学生が経済的な不安を抱えずに博士課程に進学できるよう支
援を充実するとともに、博士の学位取得後のキャリアパス形成の支援を行
う。
59