Page 1 Page 2 下らは, これらのミ ラーを用いて0-ー5umの線幅をもっパ

誰濃塾
多層膜軟X線ミラー小史II
−90年代における多層膜軟X線ミラーの発展状況と将来の動向一
竹中久貴
NTTアドバンステクノロジ(〒180東京都武蔵野市緑町3−9−11)
:BriefH量storyofMultilayerMirmrsforSoftX・R即OpticsII
DevelopmentofMulti蓋ayerMirmrsfromtheLate1980,stothePresent&ndFutureTre唄s
Hisataka TAKENAKA
ルfα∫6万α13Z)6v610ρ1η8n∼&AnαZyπoαZ7セoh1¢oZogy C8n∫8rハ177A4vαn(7847セohlloJogy Coηワoπzだon
3−9−11ル五40π一〇ho,〃配5αsh∫no7わκyo/80
(Received Apri口9,1997)
The history of multilayer mirrors for soft x−ray optics from the late1980電s to the present is brie∬y reviewed.
This introduces the h量story of fabrication techniques,improvement of multilayer performance,applications
and x−ray optical devices,adding these introduces future trends and future plans of severai researchers.
KeyWords:Multilayermirrors,Softx−rayoptics,History,Futureplans
1.はじめに
NTT以外に例えばAT&T,LLNL,SNL,ニコン,SORTEC,日
立などで研究が進んでいた王の.この研究では多層膜ミ
前報で,多層膜軟x線ミラーの始まりから発展の時代に
ラーについて高反射率化以外にミラーの大型化,ミラー表
かけて紹介した.これを簡単に述べると,E.Spmerに始ま
面の無欠陥化(無付着粒子化)などが要求され,それによっ
り,T.W,Barbee,Jr,A。V.Vinogradov,」.H.Underwoodらに
て多層膜ミラーの機能の向上がはかられた.
よって発展の基礎が築かれ,その後,多くの研究者達がこ
マ観察,X線縮小露光などへの適用,あるいは,X線ビーム
多層膜ミラーが大面積化されると大型の結像光学系が
でき,大面積露光が可能となる.この多層膜ミラーの大面
積化には広い面積に均一な周期構造(厳密には結像のため
面内でわずかに周期構造を変化させる)を形成することが
要求される.このため,堆積粒子源を大きくする方法や堆
の多層膜軟X線ミラー研究や軟X線ミラー応用研究に加わ
り,ミラーの高品質化はもちろん,放射光分光・集光,X線
望遠鏡,X線顕微鏡,X線レーザー,レーザー核融合プラズ
スプリッタ,多層膜回折格子,スーパーミラー,軟X線偏光
積粒子の分布を調整するマスクを使用する方法などが採
子など,これらに利用する様々な素子開発が進められるよ
用された.例えば,Kortrightら,あるいは,AT&Tの
うになった.これらの開発の努力が実をむすび,1990年代
Waskiewiczらがマスクを使用する方法について詳しく述べ
になると多層膜軟x線ミラーの品質,特に,大型化,耐熱化,
ている3−5).
無欠陥化が大きく改善され,軟X線ミラー応用技術がます
ます発展することとなった.以 に主として1990年代の
NTTのグループでは1980年代の終わりから筆者らがX線
多層膜軟x線ミラーおよびこれに関連する歴史を紹介す
120mm程度などの非球面の凹面ミラーに均一に多層膜を
成膜すると共に100mm径の多層膜利用反射型マスクを作
製するようになっており,このようなミラーやマスクパ
る.
2.ほぼ1990年代以降の多層膜軟X線ミラー研究
縮小露光用の大型非球面ミラー作製のため,直径75mm∼
ターンを利用してx線縮小露光で大面積露光実験を行って
いた6・7).さらに,1991年には150mm径∼玉80mm径の多層膜
1980年代の多層膜ミラーの応用研究の流れを受け,1990
形成が可能なスパッタリング装置を開発し,1994年には,
年代に入って実用レベルをめざした研究が進められて
150mm径の縮小露光用に精度良く磨かれた非球面基板上
いった.この時期,代表的なものの一つがX線縮小露光の
に多層膜を形成して凹面鏡にするなど,結像光学に必要な
研究であった.(最近はX線縮小露光のことをEUVL:Ex−
ミラーおよび反射型マスクを作製していた.Figure1に筆
treme UltravioletLit紅ographyと呼ぶようになっている.)
者らの作製したx線縮小露光用の多層膜凹面鏡を示す.木
348
レーザー研究 1997年5月
下らは,これらのミラーを用いて0.15腓mの線幅をもつパ
を使用する方法を併用することによって,設計値どおりの
ターンを10mm×12。5mmの大面積の露光を成功させてい
膜厚で,直径300mm程度までの非球面多層膜ミラーが形成
る8).Figure2にこの光学系と描画パターンを示す.
に移ってX線縮小露光用の多層膜ミラー開発を担当してい
できるものである.この装置により,彼はすでに直径
250mm程度の多層膜ミラーを形成し,これがX線縮小露光
に使用されている.彼の装置は現在のところX線縮小露光
たWindtは,レーザープラズマ線源を利用した軟X線反射率
用としては世界最大の多層膜ミラーが形成できる装置で
測定装置の開発などを行っていたが,1994年頃になると大
ある9).
型の多層膜ミラーを形成するスパッタリング装置を開発
しつつあった.この装置は基本的には大型ターゲット上
を基板が自公転し,基板上に多層膜が形成されるものであ
縮小露光のマスクにおいて重要になる多層膜ミラーの
るが,基板直上に基板形状に合わせて特殊な形状のマスク
で大半が微粒子)を多層膜ミラー上で3x10−3個/cm2以下に
1989年にLockeedPalo A至to研究所からAT&TBell研究所
無欠陥化についてLLNLのVemonらが研究を進めた.彼ら
はX線縮小露光では0.05μm径以上の欠陥(微粒子や微細孔
することが必要と考え,欠陥の低減をはかった.彼らはま
ず,成膜方法依存性を見出すためDCマグネトロンスパッタ
リング,MBE,イオンビームスパッタリングの各方法で多
層膜を作製した場合の欠陥量の評価を行った.彼らのDC
マグネトロンスパッタリング装置では,5×104個/cm2∼2×
105個/cm2,イオンビームスパッタ装置で1×105個/cm2,MBE
装置で5×104個/cm2の欠陥が存在していることを明らか
にした10).Figure3に1994年に開催されたOSAのX線縮小
露光に関する会議でVemonがこれについて発表をしてい
たのを筆者が書き移したデータを示す.その後,彼らはイ
オンビームスパッタリング装置で多層膜ミラーを形成し,
その真空を破らず,x線縮小露光装置にミラーを装着する
Fig.l An example ofmu玉tilayer coating m韮rror for EUVL,
方法を用いると付着粒子が大幅に低減し,多層膜ミラー上
(Concave mirror,150mm diameter)
で0.05豚m径の欠陥を彼らのゴールである3×10弓個/cm2以
下にできることをを見出したll).
Maskstage Reflectionmask
癖叢嚇
1∼》捗』燕 、ギ・…
RingfieId 癌 ξ、噺
3.最近の多層膜ミラー研究の動向
M3:0sc淵ating
cylindricalmirror
100×α2㎜丁認p_1蝦∫毒穫ゼ、∼ Co桝imatedbeam
mirrorsystem 詣φ
NA:0。1 Waferstage
Magniflcatlon:1/5×
㌣
M2:Convex
toroidal mirror
MllConcave
toroidal mirror
SR
,縫,
(a)
Stage ring
(
’、蟹拳一『麟i麟隠.、
(b)
Fig.2Schematic view of the NTT’s EUVL system and an exposure pattem,(a)Optical Configuration ofEUVL system using
synchrotron radiation,(b)A sample of the exposure pattem in the large area,
第25巻第5号 多層膜軟X線ミラー小史II
349
1000000
100000
10000
O
O
DCmag・1。nbeam
ギー省),SEMATECH,SIA,AT&T,lntel,AMD,LLNL,SNL,
MBE DC mag.2
ぐ
日
『
多層膜ミラーの応用研究ではX線縮小露光が米国のDOE
プログラム(DOE(U。S.DepartmentofEnergy:米国エネル
O
○
CRADAなどの共同のグループ),日本の日立(伊東らのグ
1000
o
ループ),ニコン(村上らのグループ)において積極的に進め
乞
100
0・05μmdefects
られている玉2”15).さらに,姫路工大に移った木下らのグ
あ
自
o
10
ループが放射光利用の新たなビームラインを建設中であ
℃
o
o
o
り
1
り,また,最近,欧州においてもロシアのグループを含め,多
∩
くの研究機関が共同で研究を開始するなど,研究が継続し
て進められている16).特に米国のDOEプログラムではこ
.1
Goa璽
.01
⑫
の方法でMOS半導体作製まで行っているなど著しく進展
.001
している17).Figure4に木下がまとめた日本および米国で
Machine
のX線縮小露光研究の動向を示しておく.
Flg.3Comparison of defect density for multilayers and
天体観測では例えば,山下ら名古屋大のグループが
deposition machines.(by S.P Vemon)
Finc Pa鵬m 一伽Large fidd ゆP載o電Line Machine
1.0
ハ
ε
蚤
㎜
Schwar鵯:chi聖d
贈
2−asphorical mirτor Illumi“aIion sys肥m
O.8mm x O.量5mm
20mrnx O,6mm &
∀
.§
【zl Sca轟而ng sys匙cm
の
R
四
AT&T
schwa虞zchi重d
§
図 圏
O。05μm
50μm x25μ
・畠
0.1
Sandia&AT&T8猟》回p
Scwa蹴childoI麗ics
恥solutioo:く0』μm
Niko罰
LLNL Group
㊥ o㊥
Two mirror−Four鴨flecこio“sys象em
Hi匙achi
Field sizα1.3mm x5mm
Resoiution:0。35μm
OP電ics
1989
1986
1995
1992
1995
量998
1998
2001
2004
Ye紅
(a)
1992
SDcvicci論墓996
Schwa認zchild
F董dd size=α4mmφ
1983
O
2004
200畳
2007
2010
NX EUV
NXε一beam roO ction
NX Io費ro−ec皇ion
Na汀ow opti㎝s
E・beao hi h!h豹Du h ut
lx Proximk X−m
轟
Dc侃o“Sl『ate lOmmx12,5mm in I995
P闘01Line
.!um Generatlon
A
−
16Gbit DRAMCircuitIntegratlon
Device fabrica猛io吟董馳1996
Prototypesystem o
Sys1cm1“{egration
NTT
Two・asphericai傭rorsystem
Resolu量io鋒0.15um
Dcpth of郵o{=us l.6um
Fidd size20mm貰25mm
H監丁
3・Asphcrical mirmr system
R¢so1繍!iooく0.1繍m
Ficld si2¢:26mm x44mm
ScanniagSこage&A甕i8nmc飢
Sa費dia&AT&T group
Schwar㏄hiId oP電ics
Resdu竃lon:く0.lum
Field size:0.4mm fai
Mag員i蝕ca艦io累1110
LLNLGroup
Twomiπor−FourrcGcqioπsys電em
Aτ&T&Sa“dia
U臨derco胸s電ruc塾ion
4aspherica監mlrror
Rcso量utio糎く0.13um
Fiolδsize:25mmκ>30mm
Dcp!h of蛋㏄us2um
Magu蹄lfica竃i㎝:藍14
Fic置d si鴎:1.3mm x5mm
Resolu【ion:0,14um
Magne竃ica”y lev醜ated$象age
Depthof5㏄us:3。2um
and digi麟al癌図back con跡o竃
lntc㎡cromcにrpositioosensor
£》cmons電ra璽e O.35uπ塾in1994
(b)
Fig.4States ofEUVL research(mainly in Japan)and strategy for EUVL research,(a)state of EUVL research,(b)strategy for
EUVL research.(by H.Kinoshita)
350
レーザー研究 1997年5月
NASAIGoddardSp&ceFightCenterと共に将来の人工衛星搭
渡辺などのグループ,などで従来の空間分解能0.1μm,エネ
載を目指して,多層膜スーパーミラーを用いた硬x線まで
ルギー分解能0.2eVを越えるべくますます活発に研究が行
集光・結像できるX線望遠鏡の開発を進めている.1999年
われている2牛29〉.さらに最近,中国科学院長春光学精密機
に,多層膜スーパーミラー硬X線望遠鏡を気球に搭載し,20
械研究所においても曹健林らが多層膜ミラー利用のx線顕
∼40keVのエネルギー領域での活動銀河核、銀河団等の撮
像観測を予定して研究を進めている18−20).(スーパーミ
微鏡開発を進めている.最近のX線顕微鏡システムや分解
ラーについての詳細は本誌で山下が詳しく解説してい
まとめらた走査型X線顕微鏡の分解能例を示しておく.
これらの応用以外にも多層膜ミラーあるいはこれを部
品とした装置を使用して,例えば分子研の宇理須らによる
能の参考例として,Fig5に清倉らの光学系と彼らによって
る2i).)また,村上らニコンのグループにおいてもX線望遠
鏡用の多層膜ミラーとしてAl/SiC,MoSi2/Si多層膜の開発を
進め,東大,国立天文台と共同で太陽観測用のX線望遠鏡を
光反応,東北大の柳原らあるいは東大の尾嶋らによる分光
開発しつつある.
分析,高工研の兵藤,河田らによる冠状動脈診断など様々
X線レーザーの分野では,理研の安藤らや豊田工大の原
な研究が活発に進められている.
阪大学レーザー研の加藤らが日中共同でX線レーザーに関
このような応用に適用する多層膜ミラーの高反射率化
等に関して前報で述べたように多くの研究が進められ,こ
係する研究を進めている2223).
れまでに様々な多層膜ミラーが開発されてきた.参考ま
X線顕微鏡や光電子分光に関する分野では例えば
でに1994年に開催されたOSAのTopicalmeeting“Physics of
Attwood,Underwood,CerrinaらのLBNLとWisconsin大学の
X−RayMultilayerStructute”の第3回目の会議期問中に山本
らが小型のX線レーザー装置の開発を進めており,また,大
グループ(MAXIMUM project),ドイツのHeinzmamらのグ
らが中心になってまとめた,会議参加者らの作製した様々
ループ,電総研の富江らのグループ,ニコンの村上らのグ
な多層膜の反射率とピーク波長の関係をFig.6に示してお
ループ,理研の青柳らのグループ,大阪大学の加藤らのグ
く30).(この山本らがまとめたものがきっかけとなり,その
ループ,オリンパスの堀川,池滝らのグループ,NTTの清倉,
後,LBNL(Lawrence Berkeley Nat三〇nal Laboratory:旧LBL)
1・Undulator beamline(BL−16U》.
f−Submicron−area PES apParatus1
’ Schwarzschild
C・ndense−6inわ。le
l Photon
Sampb 。
Objectives
コ
i Faα・ツe+ ・ptics
l.s睡t
⑧
i 皿皿
⑳
⑧⑫㊥
⑯
l Undulator MOn㏄わromatOr
⑨
⑱
⑳
e
Det㏄tor
Pわotoel㏄tron sp㏄tra 〈
EleCtron energy ana聖yzer
Biπdingenergy
(a)
10
9
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XIA−SPEM
(FZP》
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(Schwarzsch髄d》
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o
眉
3
PISAM’
(troida唐condenser》
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…
Unlv,Hamburg
1漕!一羅灘
田
50nm
0.01
0.0鷹
0.1 1 10 100
Spa髄al resolution伽m》
(b)
Fig.5NTT−Olympus−PF group’s photoe玉ectron spectroscopy(PES)system and thepe㎡ormance ofscaming microspectroscopes,
(a)PES system,and(b)the resolulution of scannning microspectroscopes.(by T Kiyokura)
第25巻第5号 多層膜軟X線ミラー小史II
351
学領「に
80
画些劃㌦團
ロ
目
省60
6ご
.9
のHeinzmamのグループ25),琉球大の石黒,名古屋大の山下
ら,NTTのグループ,日本航空電子の潟岡,伊藤,西田らの
グループ37)などでも開発が進められている.ビームスプ
リッタではNTTの芳賀,Tinoneらのグループが優れた特性
のものを開発している40).彼らのビームスプリッタでは
波長13.4㎜で反射X線,透過軟X線ともに27%の値が得られ
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18 22 26 30
λ(顧m)
ることからX線偏光子などいくつかのX線応用への実用素
子として期待されている.また,フレネル回折を利用した
透過型波長分散集光素子であるゾーンプレート(あるいは
反射型のブラッグフレネルゾーンプレート)を多層膜の断
面を利用して作製し,硬X線を集光する研究が大阪工業研
究所の上条,田村,日立の鈴木らのグループ,電総研の小
池,鈴木らのグループなどで進められており41踊),例えば
Fig。6Current reflectance trends ofvarious multilayer mir−
大阪工業研究所と日立のグループでは芯線に直径47μmの
rors.Solid curves show the theoretical maximum
expectedwithideal structure。(by M.Yamamoto)
金ワイヤを用いて,銀とカーボンの多層膜を50層させたも
のCenterforX−rayOpticsのE.Gulliksonらの努力で,このデー
の集光実験を行い,また,最高はほぼ0.5μmの集光ビームを
タに最新の反射率のデータを加えたものがlnternetで常時
見ることができるようになった31).この図からも明らか
なように,多層膜ミラーの反射率についてはMo/Si多層膜で
得ることにも成功している.このように多層膜利用のい
くつものX線光学素子の高品質化が進んでおり,これらを
利用する応用技術の高性能化や新たな応用技術の開発に
60∼66%の直入射反射率が得られるなど実用上充分な値が
貢献している.
ので,外径80μm,最外層の膜厚0.25μmの構造のフレネル
ゾーンプレートを用い,PFのBL−8C2で波長0.15nmの放射光
得られるようになってきている.しかも軽元素層にBeを
使用する多層膜ミラーの高品質化がはかられ,波長が11㎜
を越えたあたりで70%近くもの直入射反射率が得られるよ
4.終わりに
うになってきている32).
Spiller,Barbee,Vinogradovらあるいは表にでなかったで
現在,反射率向上が難しいのは短波長側で,これには短
あろう研究者,技術者達によって始められ,その後,多くの
周期で界面が平滑な一周期長に比べはるかに小さな界面
粗さとなるような平滑さが要求されている一多層膜作製
技術が必要である.このため,例えば,VerhoevenやWie1の
研究者達によって特性の高められた多層膜軟X線ミラー
グループがイオンエッチングしながら成膜する方法で33・34),
鏡,X線レーザー,放射光分光,光反応,医療応用など様々
また,理研の熊谷らや,石井(現在高輝度光科学研究セン
な分野の光学素子としてますます必要とされるように
は,軟X線利用研究の発展に伴って,その高い反射率,結像
機能,分光機能を活かすX線縮小露光,X線顕微鏡,X線望遠
ター)らが原子層堆積法や原子層成長法で原子層を1層づ
なっている.
つ形成して短周期の多層膜を作製する方法で研究を進めて
平滑な数原子層レベルの層の形成,超平滑な基板研磨技
いる(これについて熊谷が本誌で詳しく紹介している35)).
術,超精密な形状創製技術,精度計測技術など,応用技術が
多層膜ミラーの構造設計にはデータの豊富さからほと
んどのところでバルクの値が適用されていたが,多層膜ミ
進めば進むほど多層膜ミラーにより難しい課題が与えら
れるが,今後,新たな歴史がどんどんとつけ加えられてい
くことであろう.10年後,20年後の多層膜ミラーの研究状
ラーの構造を正確に設計するには多層膜の1層の厚みの超
薄膜の光学定数を使用することが必要である.しかも,現
況がどのようなものであるか楽しみである.
時点では13nm程度以下のバルクの光学定数はHeikeらに
長波長側のデータが極めて少なく,このような長波長側用
最後にこの分野で活躍してきた数名の研究者の多層膜
ミラー研究の今後の進め方と彼らからの日本の多層膜研
究者への言葉を紹介し,2回にわたって述べさせていただい
の多層膜ミラーの設計も困難な状況にある.このため東
た多層膜軟x線ミラーに関する歴史の紹介を終えたい.
よって多くのデータが測定されているが,13nm程度以上の
北大学の柳原らがPFのBLllAに精密な薄膜の反射率計を
これから進めていくこと
設置し,このような超薄膜の光学定数を測定を行いつつあ
る36).
一方,軟X線利用の分析,加工などを目指した多層膜利用
万oyWBαめ68,/7
のX線光学素子の研究も進み,多層膜X線偏光子,多層膜回
−Ultra−High Resolution Spectroscopy,
折格子,多層膜ゾーンプレート,多層膜ビームスプリッタ
一Very Stable Multilayer Optics,
などの開発研究が広がっている.例えば,東北大の山本,柳
一lnte㎡ace characterization and interface engineering in mul−
原のグループやLBNLのKortrigtのところ(あるいは彼らが
tilayer structures at the O.01monolayer level,
共同で)多層膜軟X線偏光子を開発している37・38).B飢beeら
一Advance(l imaging concepts and systems,
などの行っていた多層膜回折格子については,Bielefeld大
一New Materials
352
レーザー研究 1997年5月
r ・*
j・/..^. :・(,i・・
Alexander V Vinogradov
ideal Mo-Si and Mo-Be MLS are 74% and 78% respectively.
Our plans are associated with further development of x-ray
We can hope to approach these values in the future by continu-
microscopes and sliced multilayer gratings and their application
ing to optimize the deposition conditions and the design of the
in material science. I expect that in future what will be impor-
ML structure.
tant for us are: (a) technology of multilayer deposition and slic-
2 (o)
ing, (b) x-ray detection with high spatial and spectral resolu-
: ; '
X ,
-
sfLi o) =
tion.
Troy W Barbee, Jr
The field of multilyer optics for shortwavelength radiation is
Eric Ziegler
Further development of multilayered-based optical elements
still an active research area. Although substantial work has al-
ready been done the range of applications has also expanded.
while pushing the limits of technology.
In the realization of a x-ray optics all steps are of great impor-
The result is that there is an increasing opportunity for applied
tance. It is necessary to think in term of the full device, rather
and not yet applied research directly related to specific areas of
than separating the tasks.
science and technology rather than being centered on multilayer
structures. The point I seek to make is that multilayers are now
Jeffrey Kortright
a reliable experimental tool in science and technology. The paths
In the future I plan to become a researcher utilizing soft x-
for extending the range of application have at least been out-
rays at the ALS and new optical techniques including multilayers
lined and thus, opportunities for satisfying and productive ca-
and various lenses (zoneplates, Schwarzschilds, etc) to improve
reers exist in this area of science and technology.
our ability to characterize electronic and magnetic properties of
Alexander V Vinogradov
materials of fundamental importance. Various types of corelevel spectroscopies will be applied to provide element-specific
My dear Japanese multilayer mirror researchers ! Let us unite
information about electronic structure of complex materials.
for better and successful application of multilayers in space and
Magneto-optical techniques will be applied to provide element-
material sciences!
resolved magnetic information in complex materials. X-ray miJeffrey Kortright
croscopies will be utilized in conjuntion with these spectroscopies
If I were to tell Japanese researchers anything, it would be the
to provide spatial resolution to these characterizations.
following. In the last I .5 decades, very much has been learned
Daniel G. Stearns
about the structure and performance of x-ray multilayers. Many
EUV Iithography is an area of tremendous potential, and is by
groups who have studied multilayers world-wide have provided
the far the largest potential market for ML coated EUV optics.
an infonnation base that allows a reasonable assessment of how
In the U.S. both Sematech and Intel have stated that EUVL is a
we can expect multilayers to function in various applications.
major candidate for the follow-on technology to deep UV Ii-
The performance limits of multilayers are now well-established,
thography in the 2005 time frame. The future of EUVL in a
and at most we can anticipate incremental improvements in per-
large part depends on further improvements in the ML coating
formance into the future. The most interesting developments
technology. There are several areas that pose significant prob-
relating to x-ray multilayers in the future will be in their appli-
lems at the present time. One problem is that the high-reflec-
cation.
tance Mo-Si coatings have large residual stresses. If the residual
f 7*
stress is not eliminated or managed effectively, it will lead to
deformation of the figure of the optical substrates. Very little
)l
figure error can be tolerated in EUVL optics: at most I nm peak-
-
I ,
< i
f,_-O C
:
f
f
fy J
,f'* -'
L
Eberhard Spiller . Troy W. Barbee, Jr. ;, Jan Verhoeven :,
to-valley.
Another area of concern is the nonspecular scattering from
Jeffrey Kortright
:. Eric Ziegler
, David L. Windt :,
the ML coatings. Scattering is undesirable in lithography be-
Alexander V. Vinogradov :, Daniel Stearns ,
cause it lowers both the contrast and the resolution. Our under-
T
standing of the growth and structure of Mo-Si ML coatings in-
:ill
;, LLI c
:}C'L・ '
,*.
f
,
nl
1 L Ji
f i :,
EI
]
l
:, LLI
;,
tJi
t.
dicates that the roughness of the interfaces will increase slightly
from the roughness of the substrate. Hence it is important to
;
''*,
:
start with extremely smooth substrates, typically having rms
1 ) J. E. Bjorkholm, J. Borker, L. Eichner. R. R. Freeman, J. Gregus, T.
roughness of < 2nm.
Finally, since throughput is always a major factor in lithogra-
phy, there will always be a strong motivation to increase the
reflectivity of the ML coatings. The theoretical reflectivities of
i 2 5
5
: Ji =
X,
'*,
-・J・
:II
E. Jewell, W. M. Mansfield, A. A. MacDowell, E. L. Raab, W. T.
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353
i ;
#
;tS '
:;
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