アジ ア インドネシア

インドネシア
による、北スラウェシ州 buyat 湾の汚染をめぐ
り環境担当国務相が同社に対し 1 億 3,300 万
US$の損害賠償請求(民事)を提訴するととも
に、環境保護法違反で同社社長を刑事訴追する
など政府と鉱山会社の関係が悪化した。また環
境非政府組織を交えた地域住民らによる訴訟も
相次いだ。環境担当国務相による民事訴訟は、
2005 年 11 月 15 日、南ジャカルタ地方裁判所
が、政府と Newmont 社との係争は、事業契約
(COW)に基づき国際司法裁判所による調停で
解決すると定められていることから管轄権が及
ばないとして提訴を棄却した。原告側は、環境
汚染はビジネス上の係争の対象外として控訴す
る意向を示していたが、2006 年 2 月 16 日、
Newmont 社が 3,000 万 US$の和解金を支払うこ
とで合意が成立した。刑事訴訟については未だ
係争中である。
第二は、米系 Freeport Indonesia がパプア
州で操業する Grasberg 鉱山において、2005 年
末、インドネシア国軍幹部への資金提供疑惑が
表面化するとともに、2006 年 2 月に入り鉱山
地内における不法採掘者と鉱山警備員との衝突、
地域住民らによる利益還元要求運動が激化し、
環境問題の深刻さと相まって、事業契約
(COW)の見直しまで問題が深刻化している。
2006 年 2 月 21 日、違法採掘業者が警備隊と衝
突した後、鉱山、選鉱場に通じる道路を閉鎖し
たため、鉱山側は予防的措置として 2 月 22 日
か ら 4 日 間 操 業 を 停 止 し た 。 2 月 27 日 、
Grasberg 鉱山の操業中止を求める抗議活動は
ジャカルタ、ティミカ、マッカサルなどに飛び
火し、3 月 16 日、パプア州ジャヤプラでデモ
隊と治安部隊が衝突し 4 人の死者を出す事態に
発展した。これを受けて、3 月初旬、政府高官
が Grasberg 鉱山の事業契約(COW)の見直しを
示唆し問題が顕在化した。3 月 23 日、鉱山山
頂部で大規模な地すべりが発生し、現場作業員
世界の鉱業の趨勢
2006
45
インドネシア
1. 非鉄金属一般概況
2005 年の経済成長率は 5.60%となった。アジ
ア経済危機以降で最大の成長率を記録した。
2004 年ベースで、鉱業製品が GDP に占める
割合は約 2.8%を占め、鉱業が地域社会の開発
に投じた金額は 4,660 億 IDR で、雇用人口は
2003 年の 3 万 3,620 人から 6%増加して 2004 年
は 3 万 5,800 人と雇用機会を創出するとともに
経済、地域社会開発に貢献している。
一 方 、 2006 年 1 月 、 Price water house
coopers(PwC)が、同国鉱山会社 27 社を対象
に行ったインドネシア鉱業動向レビューによれ
ば、2000~2004 年の鉱山開発投資額は 4 億
8,300 万 US$で、1996~1999 年の 5 年間の投資
額 15 億 1,400 万 US$に比べ 32%まで落ち込んで
いる。
カ ナ ダ MEG ( Metals Economics Group ) の
2004 年探鉱投資調査では、世界全体の投資額
は前年比 58%増の 38 億 US$になっているが、イ
ンドネシアにおける探鉱支出は全体の 1.5%に
過ぎず低迷し続けている。
また、フレーザー研究所(Fraser Institue)
が 世 界 鉱 山 企 業 259 社 を 対 象 に 行 っ た
2004/2005 アンケート調査でも、インドネシア
の鉱物資源プロダクティビティー(生産潜在性)
は 100 ポイント中 97 ポイントで 64 地域中 6 位
となり、ペルー、チリと並ぶ資源国として評価
されている。鉱業投資インデックスでは、2005
年の 23 ポイントから更に悪化し 12 ポイントと
なり、コンゴ、ジンバブエに続き鉱山開発が困
難な国として評価されている。これはインドネ
シアの政情不安、鉱区のセキュリティー、税制
に加え、政府監督当局の重複した規制や国内法
の未整備などが大きな要因となっている。
2005 年の鉱業を取り巻く環境は、上記鉱業
投資インデックスの悪化を象徴する出来事が重
なった。第一に、米系 Newmont Minaha Raya 社
アジア
<2005 年の注目すべきポイント>
2005 年 は 、 新 鉱 業 法 の 改 正 と 、 政 府 ・ 地 域 住 民 ら に よ る Newmont Minahasa Raya、 Freeport
Indonesia に対する環境訴訟と利益還元要求、鉱山操業停止運動に揺れた 1 年であった。新鉱業法は、
5 月 20 日にエネルギー鉱物資源省から議会に上程され審議されているが、成立の見通しは立ってい
ない。
アジア
3 人が死亡、4 人が負傷し、更に問題をクロー
ズアップさせることになった。3 月 23 日、環
境担当国務相が Grasberg 鉱山における環境調
査結果を公表し、現在、政府の監査チームが
Freeport Indonesia 社の 5 分野(生産面、地
域開発基金面、歳入面、環境面、安全・治安
面)にわたる事業活動と実態調査を行っている。
インドネシア
2. 鉱業政策の主な動き
(1) 新鉱業法
新鉱業法は、2005 年 5 月 20 日にエネルギー
鉱物資源省から議会に上程され、6 月には議
会・第 7 委員会(エネルギー・鉱物資源、技術
調査、環境担当)と政府代表(エネルギー鉱物資
源省)との協議が重ねられ、7 月の議会本会議
において同法案を特別委員会で審議することを
決定した。特別委員会委員は 10 会派を代表す
る 50 人が任命され、委員長にはゴルカル党の
アグスマン・エフェンディ(Agusman Effendi)
議員、副委員長には闘争民主党(PDIP)のサルジ
ャン・タヒル(Sarjan Tahir)議員が選出された。
特別委員会は 9 月にインドネシア鉱業専門家協
会(Perhapi)及び業界団体であるインドネシア
鉱 業 協 会 (IMA:Indonesian
Mining
Association)の代表を招聘し公聴会を開催し、
関係者(国会議員、政府(中央・地方)、大学、
NGO、専門家、産業界)の意見を聴取し、特別
委員会は同法案の各条項に関する各会派の意見
リスト(DIM)のとりまとめを行ない、400 項目
に及ぶ質問が寄せられた。
また、議会外の活動として、2006 年 2 月、
インドネシア大学法学部法律グットガバナンス
研究所(CLGGS FHUI)においてエネルギー鉱物
資 源 相 も 参 加 し て 、「 徹 底 討 論 ・ 鉱 業 法 案
(Kajian Kritis Terhadap RUU Minerba)」と
題するセミナーが行われたが、鉱業許認可の地
方分権化、事業契約(COW)の廃止、事業許可
への移行、税制、地域住民の権利と環境保全分
野に関し、種々の意見があり関係者間の溝を埋
めることはできず現在に至っている。
石炭鉱物資源地熱総局シモン・スンビリン
(Dr.Simon F. Sembiring)によれば、議会に
おける DIM リストの審議は、2006 年 4 月現在、
90/400 項目に留まっている。
46
世界の鉱業の趨勢
2006
(2) 森林法(保護林内の操業凍結)
森林法(1999 年法律第 41 号)は、林業の発
展・森林保全のため、旧森林法(1967 年法律
第 5 号)を代替すべく制定された。同法により、
森林は、①保全林、②保護林、③生産林に分類
され、保護林に指定された地域における露天採
掘が全面的に禁止された。このため、法律施行
以前に操業許可を得ている 22 社の操業が凍結
に至った。この問題に関しては、大統領の指示
により経済調整担当相の下に新たな省庁間委員
会が 2003 年 3 月末に設置され、検討が進めら
れ、2004 年 3 月 11 日に、『2004 年第 1 号緊急
政令』が閣議決定され、森林法の施行以来、全
国の保護林で操業停止を命じられていた鉱業会
社のうち 13 社に事業再開を認める方針が示さ
れた。緊急政令においては、「森林法施行以前
の鉱業認可および契約は、期限が終了するまで
有効とみなす。」旨が規定されている。5 月 12
日には、緊急政令を受け 13 社を明確にするた
めの、「2004 年第 4 号大統領令」が署名され、
鉱業会社 13 社の保護林での操業を許可した。
緊急政令は、2004 年 7 月 15 日に議会で採決さ
れ、賛成 131 票、反対 102 票で承認された。
しかし、個人 82 名と環境比政府組織(NGO)
11 団体は、本緊急政令の違憲性を主張し憲法
裁判所に提訴したが、2005 年 7 月 7 日、憲法
裁判所は、森林法施行以前の許可や契約の効力
を保護する法改正には違憲性はないとし、森林
法 38 条が禁止した露天掘り採掘を含む同法案
施行以前の保護林内の鉱業契約は合憲であると
の判決を下し、一様の決着を見た。
しかし、実態面では、現在、稼動中の鉱山を
除き、地方政府機関における法解釈等の違いか
ら実際のプロジェクト活動の再開に至っていな
いものもある。
3. 主要鉱山物の生産・輸入・消費・輸出動向
-銅-
2004 年 の 銅 生 産 量 は 84 万 t で あ る 。
Freeport Indonesia 社の Grasberg 鉱山からの
生産量が 52 万 t、Newmont Nusa Tenggara 社の
Batu Hijau 鉱山から 32 万 t である。
-金-
2004 年の金生産量は 93t である。主なもの
は、Grasberg 鉱山の銅精鉱からの金生産量が
主要鉱物生産量、会社別生産量、国内販売量、
輸出量は以下のとおりとなっている。
主要鉱物生産量(2000~2005)
2000
2001
2002
2003
2004
2005*
銅精鉱(dmt)
3,266,367
3,289,499
3,786,695
3,238,306
2,810,333
1,857,391
銅(ton)
1,012,054
1,048,694
1,171,726
1,005,837
840,318
555,123
金(kg)
123,994
162,605
142,238
141,019
92,936
69,901
銀(kg)
255,443
269,825
293,520
285,206
262,935
176,770
錫精鉱(ton)
55,654
61,863
88,142
71,694
73,079
42,687
錫地金(ton)
47,129
53,796
67,445
66,284
60,697
33,181
1,150,776
1,237,006
1,283,485
1,262,705
1,330,827
700,459
55,589
63,471
60,319
71,211
73,283
36,472
3,038,809
3,619,141
4,366,235
4,395,429
4,095,478
1,646,931
フェロニッケル(mt)
47,749
47,769
42,306
43,894
39,538
13,623
ニッケル(ton)
10,111
10,302
8,804
8,933
7,945
2,715
489,132
469,376
378,587
245,409
89,664
24,275
ボーキサイト(mt)
ニッケルコバルトマット(ton)
ニッケル鉱(wmt)
砂鉄(wmt)
*
暫定データ
世界の鉱業の趨勢
2006
47
インドネシア
みで、Antam 社がニッケル鉱石及びフェロニッ
ケ ル を 生 産 し 、 International Nickel
Indonesia 社がニッケルコバルトマットを生産
している。2004 年のニッケル鉱の生産量は 409
万 5,478wmt で、Antam 社の Pomalaa、Gebe、
Gee、Buli の 4 鉱山から出鉱された。フェロニ
ッケルは同 3 万 9,538t。ニッケルコバルトマ
ットは 7 万 3,283t である。
-ボーキサイト-
2004 年のボーキサイト生産量は 133t である。
Aneka Tambang 社のリアウ州 Bintan 島 Kijang
鉱山から産出されるだけである。
アジア
48.6t 、 Batu Hijau 鉱 山 ( 銅 精 鉱 ) か ら の
22.4t 、 Rio Tinto 社 ( Kelian Equatorial
Mining) の Kelian 鉱 山 か ら の 10.2t 、 Aneka
Tambang 社 の Pongkor 鉱 山 か ら の 4.0t 、
Minahasa Raya 鉱 山 か ら の 2.0t で あ る 。
Minahasa Raya 鉱山は 2004 年 8 月に閉山、
Kelian 鉱山も 2005 年に閉山される。
-銀-
2004 年の銀生産量は 263t である。主なもの
は、Grasberg 鉱山の銅精鉱からの銀生産量が
148t、Batu Hijau 鉱山(銅精鉱)からの 70.3t、
Pongkor 鉱 山 か ら 28.6t 、 Kelian 鉱 山 か ら
9.2t である。
-ニッケル-
ニ ッ ケ ル の 生 産 者 は 、 Antam 社 と
International Nickel Indonesia 社の 2 社の
会社別生産量(2000~2004)
単位
2000
2001
アジア
インドネシア
Aneka Tambang Tbk, PT
ニッケル鉱石
高品位鉱石
低品位鉱石
フェロニッケル
ニッケル(フェロニッケル中)
金
銀
ボーキサイト
砂鉄
Timah Tbk, PT
錫精鉱
錫地金
Freeport Indonesia, PT
銅精鉱
銅
金
銀
Koba Tin, PT
錫精鉱
錫地金
International Nickel Ind. Tbk,
ニッケルコバルトマット
Kelian Equatorial Mining, PT
金
銀
Newmont Minahasa Raya, PT
金
Newmont Nusa Tenggara, PT
銅精鉱
銅
金
銀
Nusa Halmahera Mineral, PT
金
銀
銅(t)
金(kg)
銀(kg)
錫地金(t)
ニッケル(t)
砂鉄(wmt)
48
世界の鉱業の趨勢
2006
2002
2003
2004
wmt
wmt
wmt
mt
t
kg
kg
mt
wmt
3,038,809
2,107,454
931,355
47,749
10,111
4,210
28,587
1,150,776
489,132
3,619,141
2,498,163
1,120,978
47,769
10,302
4,263
29,614
1,237,006
469,376
4,366,235
3,640,705
725,530
42,306
8,804
4,093
26,868
1,283,485
378,587
4,395,429
3,306,733
1,088,696
43,894
8,933
4,497
29,855
1,262,705
245,409
4,095,478
3,152,420
943,058
39,538
7,945
3,953
28,558
1,330,827
89,664
t
t
40,050
35,550
40,535
38,081
55,038
43,528
43,948
45,906
37,212
34,644
dmt
t
kg
kg
2,522,670
776,048
77,121
136,931
2,418,110
756,385
109,178
163,803
2,851,190
873,414
97,844
192,574
2,306,200
718,203
99,682
183,093
1,803,234
520,118
48,560
147,973
t
t
PT
t
15,604
11,579
21,328
15,715
33,104
23,927
27,746
20,378
35,868
26,054
55,589
63,471
60,319
71,211
73,283
kg
kg
10,516
10,145
14,100
10,502
16,779
10,839
14,583
10,786
10,191
9,179
kg
11,395
10,155
4,803
3,092
1,990
t
t
kg
kg
743,697
236,006
9,948
37,797
871,389
292,309
16,064
54,962
935,505
298,312
15,319
56,184
932,106
287,634
18,688
60,320
1,007,099
320,200
22,359
70,307
kg
kg
7,803
4,688
8,845
10,944
3,400
7,054
477
1,151
5,883
6,118
主要鉱物国内販売量
2000
2001
188,876
198,447
17,159
30,093
36,708
63,725
2,142
1,940
9
403,101
439,327
(2000~2004)
2002
2003
217,407
125,381
24,464
17,783
76,836
30,318
2,362
4
340,459
108,555
2004
118,612
10,340
31,171
1,967
107,937
主要鉱物輸出量 (2000~2004)
2001
2002
2003
2004
銅(t)
844,763
826,919
918,633
855,018
717,911
金(kg)
91,938
122,931
103,563
112,154
86,771
銀(kg)
230,233
160,766
192,194
215,529
226,589
43,504
55,652
62,031
54,987
59,555
錫地金(t)
ボーキサイト(mt)
ニッケル鉱(wmt)
1,423,859 1,217,643 1,260,007 1,093,965 1,326,559
54,083
61,293
62,780
71,521
6,003
インドネシア
ニッケルコバルトマット(t)
アジア
2000
2,037,765 2,860,643 3,428,946 3,239,598 3,907,042
フェロニッケル(mt)
47,311
46,854
37,086
40,976
36,122
ニッケル(t)
10,200
10,274
8,218
8,288
7,157
-
-
-
-
103,328
砂鉄(wmt)
Source: Ministry of Energy and Mineral Resources
4. 鉱山会社活動状況
インドネシアは国営鉱山会社を有し
TimahTambang 社が錫生産を、Aneka Tambang 社
が錫以外の金属鉱物の生産を行っている。銅鉱
業では Freeport Indonesia 社、Newmont Nusa
Tenggara 社、ニッケル鉱業の International
Nickel Indonesia 社等の民間企業が、鉱山の
開発を行っている。
Aneka Tambang 社
2005 年の売上累計は 3 兆 2,070 億 IDR で、
前年の 2 兆 8,580 億 IDR に比べ 12%の増収で、
ニッケル部門は売上全体の 76%、金は 18%、ボ
ーキサイトは 6%を占めた。フェロニッケルの
売上は 9,260 億 IDR で前年比 5%の減収となっ
た。減収要因は、フェロニッケル第 2 製錬所の
長期補修のため生産累計が 7,338t となり、前
年の 7,945t に比べ 7.6%の減産となったためで
ある。金の売上は前年比 9%増の 5,070 億 IDR、
ボーキサイトは 1,870 億 IDR となった。
2005 年のサポロライト鉱石生産量は前年比
8%増の 340 万 8,252wmt で、Pomalaa 鉱山が 107
万 4,579wmt、Gee 鉱山が 117 万 7,589wmt、
Buli 鉱山が 103 万 5,089wmt、Mornopo 鉱山が
12 万 995wmt となっている。
2005 年のリモナイト鉱石生産量は前年比 29%
減の 67 万 2,548wmt で、Pomalaa 鉱山の LGSO
(Low Grade Saprolite Ore)が 51 万 529wmt、
Buli 鉱山が 16 万 2,019wmt となっている。
2005 年の金・銀生産量は金が前年比 22%減の
2,911kg、銀は同 11%減の 24,605kg となってい
る。減産要因は Pongkor 鉱山で実施した安全強
化と出鉱能力増強工事によって操業が制限され
たためである。
2005 年のボーキサイト生産量は、前年比 8%
増加して 144 万 1,899wmt となっている。
同社の合弁会社は以下のとおり。
- PT Cibaliung Sumber Daya ( Antam
10.25%):Austindo 社との金鉱開発プロジェ
クト、2006 年第 4 四半期から建設着工予定。
- PT Dairi Prima(Antam 20%) : Herald
Resources 社と 2005 年 11 月に共同開発する
ことで合意し、資金調達完了後にインドネシ
ア政府・エネルギー鉱物資源省に開発申請を
行なう予定。
- PT Sorikmas Mining(Antam 25%):Opra 社
と 2005 年 10 月、North Sumatra・Tambang
Hitam で金鉱開発を行なうことで合意し、12
月から掘削を開始している。
Freeport Indonesia 社
FI はパプア州 Timika で Grasberg 鉱山を操
業 す る 。 同 社 の 権 益 は Freeport McMoran
Copper & Gold が 90.64% ( Indocopper
Investma 分 9.36%を含む)、インドネシア政府
が 9.36%所有する。2005 年の売上累計は 40 億
1,210 万 US$となり、前年の 19 億 8,030 万
US$に比べ倍増した。
世界の鉱業の趨勢
2006
49
アジア
インドネシア
2005 年、同鉱山の選鉱場の粗鉱処理量は前
年度比 17%増の平均 21 万 6,200t/日で 2004 年
は 18 万 5,100t だった。これは、2003 年第 4
四半期に同鉱山で発生した露天掘りスロープの
斜面崩壊により 2004 年は上期まで操業を停止
したため減産となったもの。2005 年の粗鉱処
理量は Grasberg 露天掘りから 17 万 4,200t/年、
Deep Ore Zone から 4 万 2,000t/年を出鉱した。
2005 年 は 鉱 石 の 平 均 品 位 が 銅 1.13% 、 金
1.65g/t で、2004 年度の銅 0.87%、金 0.88g/t
に比べ大幅に改善した。同社の 2005 年の銅の
販売量は前期比 46%増の 14 億 6,000 万 lb、金
は 280 万 oz となった。
2005 の銅の販売実現コストは 2005 年度より
35c 上昇して 1.85US$/lb、金は同 11%上昇して
456.27 US$/oz となった。ロンドンメタルマー
ケットのスポット市場での販売価格は、銅が
2.08US$/lb、金が 513US$/oz となった。
Deep Ore Zone は 2007 年までに破砕機、ベ
ンチレーションを増設し粗鉱処理能力を 5 万
t/日までに増強する。
同社は 2004 年から未開発の坑内掘り鉱区、
Grasberg Block Cave 、 Kucing Liar 、 Mill
Level Zone、Deep Mill Zone、BigGossan を開
発するために、既設坑道の 400m 下にトンネル
を 建 設 中 で あ る 。( Common Infrastracture
Projects と称されている)
同社は地方コミュニティーの利益のために同
社の歳入の一部をフリーポート・パートナーシ
ップ基金(Freeport Pertnership Fund)に拠
出することを誓約している。同基金は地元リー
ダーの役員会が管理し地域開発のために基金が
使用されている。2005 年の拠出額は 4,200 万
US$で、基金創設以来、同社は約 1 億 9,400 万
US$を拠出してきている。
International Nickel Indonesia 社
スラウェシ島の Soroak 鉱山を運営している。
同社の権益は、カナダ Inco 社、住友金属鉱山
㈱が保有し、権益比率は 60.80%、20.09%とな
っている。1968 年 7 月にインドネシア政府と
第 2 次世代事業契約(COW)を締結し、1996 年
1 月に COW を更新し 2025 年までの期間延長を
行っている。同社は自鉱区の鉱石を半製品であ
るニッケルマットに加工し全量を日本向けに輸
50
世界の鉱業の趨勢
2006
出している。
2005 年の売上高は、前年比 12%増の 8 億
8,509 万 US$、純利益は前年比 5%減の 2 億
6,892 万 US$となった。2005 年のニッケルマッ
トの生産は、前年比 6%増の 1 億 6,840 万 lb と
これまでの最高を記録した。同社は、Soroako
のニッケル生産の目標を 1 億 6,000 万 lb とし、
2009 年までに 2 億 lb まで引き上げる計画であ
り、これに必要となる電力確保のため、新たな
水力発電所(90~100MW 規模)の建設準備に取
りかかっている。
また、2005 年 7 月に東南スラウェシ州東
Pomalaa から 100 万 t のサプロライト鉱石を
Antam 社のPomalaa の FeNi III 工場へ出荷し
た。
Kelian Equatorial Mining 社
PT-KEM は Rio Tinto の子会社で、東カリマ
ンタン島 West Kutai 地域で Kelian 金鉱山を操
業する。同社の権益は、Rio Tinto 社が 90%、
Harita Jayaraya 社が 10%となっている。
Kelian 鉱床は 1976 年に Rio Tinto によって
発見され、1985 年にインドネシア政府と第 3
次世代事業契約(COW)を締結し、本格的探鉱を
実施。同社は 1989 年に FS 調査を完了し、1990
年にインドネシア政府より環境許可を得て、
1992 年 1 月から商業生産を開始していたが、
2003 年 5 月、鉱量枯渇のため終掘。2005 年 2
月まで貯鉱を処理し閉山を決定した。同社は現
在、2008 年までに跡地の環境修復工事を行い、
モニタリング調査を 2013 年まで実施する予定
である。
Newmont Minahasa Raya 社(PT-NMR)
PT-NMR は、Newmont Indonesia 社の子会社で、
北 Sulaweshi 島 Minahasa Raya 金鉱山を操業し
た。1986 年に設立され、インドネシア政府と
第 4 次世代事業契約(COW)を締結。同金鉱山は
1996 年から金の生産を開始したが、2004 年 8
月に鉱量枯渇のため閉山した。開山から 9 年間
かけて生産した金量は 1.9 百万 oz と報告され
ている。2005 年、同社はインドネシア政府か
ら 同 金 鉱 山 で 行 っ た 深 海 鉱 さ い 堆 積 (STP :
Submarine Tailing Placement)が Buyat 湾を汚
染し地域住民の健康被害と海洋汚染を引き起こ
Nusa Halmahera Mineral 社
Halmahera 島北マルク州にある Toguraci 鉱
山を操業する。同社の権益は Newcrest 社と
Antam 社が保有し、権益比率は 82.5%、17.5%と
なっている。Toguraci 鉱山の 2006 年第 1 四半
期の鉱石生産量は 73,000t で金 4 万 9,730oz を
生産した。鉱山は 2004 年 2 月に開山し、わず
か 2 年 4 か月で終掘する。PTNMH は、同鉱山に
隣接する Kencana 鉱床の開発に着手し、2006
年第 4 四半期の金生産を目視している。既に斜
坑(512m)の建設を終了し 3 月に着脈、3 月 24
日に最初の鉱石を搬出した。投資額は 5,000 万
US$が見込まれ、現在の進捗率は 71%となって
いる。
Timah 社
2005 年は錫地金価格の低下と生産コストの
上昇により、純利益は前年度に比べ 40%減の
Austindo Resources 社
12 月、バンテン州 Chibaliung 金鉱開発に向
け、ANZ インベストメント・バンクから 2,600
万 US$の融資契約を調印した。同金鉱は坑内掘
鉱山で 2006 年後半に生産を開始する予定で、
粗鉱処理量 22 万 t で金 7 万 oz/年の生産を見
込んでいる。投資額は 3,700 万 US$。採掘はカ
ット&フィル法、金はカーボン・イン・リーチ
法により回収される。生産コストは 200US$/oz。
鉱 山 ラ イ フ は 6 年 。 2005 年 5 月 10 日 、
Pandeglang 県当局から同金鉱の開発に必要と
なる環境許可を取得した。2005 年 12 月末現在、
同 金 鉱 の 権 益 89.75% を 保 有 す る 。 残 る 権 益
(10.25%)は Aneka Tambang 社が保有する。同
鉱山に設置される選鉱設備は、西オーストラリ
ア州 Mount Olympus 鉱山で使用していた設備を
Sipa Exploration NL.より購入したもの。
このほか Austindo Resources 社は、中部ジ
ャワ州 Pekalongan、東ジャワ州 Trenggalek で
浅熱水性金鉱床の探鉱を手掛ける。Pekalongan
は、2005 年 5 月に鉱区(5618ha)を取得。
Trenggalek は 、 Surabay の 南 西 に 位 置 し PT
Sumber Nusantara Mineral(権益 5%)との共
同 探 鉱 で 、 2006 年 に KP ( 17,384 ha ) を
Trenggalek 県当局より取得した。KP 所有者は、
PT Sumber Mineral Nusantara Mineral である。
同 地 区 は 、 Austindo が 2005 年 始 め に SKIP
(Reconnaissance Permit Letters)を取得し、
概査、地質図作成、河床堆積物調査 (290 サ
ンプル)、転石分析(107 サンプル)を行い、
17 有望地区を抽出したもので、Dalang Turu、
Sentul、Paces の 2 地区については地質図作成、
サンプリング調査を実施している。
なお、同社は 2005 年 5 月 20 日、パプア州、
西イリアンジャヤ(West Irian Jaya)におけ
世界の鉱業の趨勢
2006
51
インドネシア
Newmont Nusa Tenggara 社(PT-NNT)
PT-NNT は Batu Hijau 銅鉱山の事業主体とし
て 1986 年 に 設 立 さ れ た 合 弁 会 社 で 、 Nusa
Tenggara Partnership が 80%の権益を保有し、
残る 20%を現地法人 PT Pukuafu が保有する。
Nusa Tenggara Partnership は 、 Newmont
Indonesia 社と日本法人 Nusa Tenggara Mining
Corporation か ら 構 成 さ れ 、 権 益 比 率 は 、
56.25:43.75 となっている。
PT-NNT は 1986 年 12 月にインドネシア政府
と第 4 次世代事業契約(COW)を締結し、10 年
間の探鉱期間を経て、18 億 US$を投じる鉱山建
設が 1997 年から始まり 1999 年に完成し、試験
操業の後、2000 年 3 月 1 日に本格的商業生産
に移行している。約 7,000 人の従業員を雇用し、
その約 6 割が West Nusa Tenggara の出身であ
る。
1,075 億 ル ピ ア 、 売 上 高 は 同 21% 増 の 3 兆
3,962 億ルピアを計上した。錫の通年の精鉱生
産量は同 15%増の 4 万 2,615t、地金は同 20%増
の 4 万 1,799t となり、販売量も同 20%増の 4
万 2,227t に伸びた。
しかし、錫地金の販売実現価格が前年に比べ
12%低下し 7,502US$だったことから減益決算と
なった。2005 年の精鉱生産は海域が 9,373t で
全体の 22%を占める。
アジア
したとして損害賠償請求、刑事訴追請求を受け
た。世界鉱業メディアはこれを Buyat 湾論争と
して広く海外に報道し、インドネシアの投資環
境が以前不透明であることを象徴する一つの出
来事として紹介された。民事訴訟については
2005 年 11 月、同社が 3,000 万 US$の和解金を
政府に支払うことで決着したが、刑事訴追につ
いては未だ係争中である。
アジア
インドネシア
る 斑 岩 銅 鉱 床 の 開 発 に 関 し 、 the Anglo
American Group の 一 員 で あ る PT Minorco
Services Indonesia (“Minorco”)と Strategic
Alliance Agreement (“Alliance”)を締結して
いる。
ーリング調査(10 本延べ 1,575m)が実施され、
1993 ~ 1997 年 に は Newcrest Mining 社
(Newcrest)が詳細地質図の作成を行っていた。
Asia Golds 社の主要株主は Ivanhoe Mine Ltd
で 47.3%、BHP Billiton が7%を保有する。
PT Meares Soputan Mining 社
同社は Archipelago Resources and Ausindo
の系列会社で、北スラウェシ州 Minahasa 県、
Bitung 県で金鉱山の開発を行っている。2005
年 12 月、同社は両地域の金鉱開発に今後 6 年
間で 2~3 億 US$を投資する計画を明らかにし
ている。金の年間生産量 16 万 2,000oz を見込
むが、同社は鉱滓処分に深海鉱滓堆積法(STP:
Submarin Tailing Replacement)の採用を検討
している。
5. 鉱山・製練所状況
-銅-
Grasberg 鉱山
ニューギニア島パプア州の中央山脈の南側に
位置し、標高 4,000m 以上の急峻な地域にある。
鉱床は磁鉄鉱と金に富む斑岩銅鉱床である。PT
Freeport Indonesia 社 が 操 業 す る 。 鉱 山 別
2005 年生産実績ベースで銅は世界 2 位、金は
世界 1 位に位置する。Graberg 鉱山の発見は、
Ertzberg 鉱山を閉山しようと計画していた 1
年 前 の 1988 年 に 発 見 さ れ 、 Freeport
Indonesia 社が 1991 年 12 月、インドネシア政
府と第 5 次世代事業契約(COW)を締結し、ブ
ロック A(100km2)とブロック B(26,050km2)
に分けて本格探鉱を行い、Grasberg、Kuching
Liar、DOZ、IOZ、Big Gossan、DOM などを発見
し、今日に至っている。埋蔵鉱量 30 億 t、銅
品位 1.07%、金品位 0.92g/t となっている。
2005 年の生産量は銅が 76 万 6,000t、金が
107t となっている。
Weda bay Minerals 社
北マルク州 Halmahera 島でニッケル・コバル
ト鉱山開発プロジェクトを手掛ける。埋蔵鉱量
は 3 億 4,000 万 t、鉱石品位はニッケル 1%、コ
バルト 0.1%と推定され、世界有数のニッケル
鉱山と期待されている。潜在埋蔵鉱量は 5 億 t
とされている。同社は、ニッケルは年産 6 万 t、
コバルトは同 5,000t 生産する計画である。同
鉱山の持分は PTWBN 社 90%、PT Antam 社が 10%
となっている。2006 年 3 月 29 日、仏 Eramet
社は、PTWBN 社を 2 億 7,000 万 US$で買収する
提案を行い、PTWBN 社の取締役会はこの提案を
受託している。
Asia Gold 社
Asia Golds 社は 2006 年 1 月、PT Harita
Multi Karya Mineral(HMKM)(HaritaGroup)
と Maluku 州 Bacan 島における Kaputusan 斑岩
銅金鉱床の開発に関し覚書を締結した。同鉱区
は、2005 年 1 月、HMKM が取得した KP 探鉱許可
の地域(25,775ha)内にあり、海岸から 15km
以内であり、道路も整備されている。覚書では、
Asia Gold が 、 合 弁 事 業 の 最 初 の 年 に
US$300,000 の探鉱費を投じることによって、
Kaputusan の権益 85%を取得する。残る 15%は、
HMKM のフリーキャリー権益となる。Kaputusan
斑岩銅金鉱床は、1977〜1979 年に発見され、
1983~1984 年にトレンチ調査(5,550m)とボ
52
世界の鉱業の趨勢
2006
Batu Hijau 鉱山
スンバワ島の南西部端の海岸より東約 15km
に位置する。PT Newmont Nusa Tenggara 社が
操業する。斑岩銅鉱床である。2005 年の生産
量は、銅が前年比 17%減の 5 億 9,600 万 lb と
なった。(前年は 7 億 1,693 万 lb)金は同 2%増
の 73 万 1,800oz と な っ た ( 前 年 は 71 万
8,800oz)。2003 年 12 月末の確定埋蔵鉱量は銅
115 億 lb、金 1,260 万 oz と推定されている。
鉱 山 ラ イ フ は 2025 年 。 事 業 契 約 鉱 区 内 の
Elang 地区で探鉱を行っている。2006 年の販売
予想量は、銅が 5 億 6,500 万 lb、金が 5 万
7,500oz となっている。
Gresik 製錬所
東ジャワ州 Surabaya の北 30km に位置し、Pt
Smelting 社が 1999 年 5 月 28 日に商業生産を
開始した。Pt Smelting は三菱マテリアル㈱、
6. 我が国との関係
・Antam 社は 2006 年 5 月 2 日、Tayan アルミナ
プロジェクトに関し、昭和電工(株)、丸紅
( 株 ) 、 シ ン ガ ポ ー ル 企 業 Staits Trading
Amalgamated Resources Private(STAR’s)社
の 3 社と、年産 30 万 t のケミカル用途のア
ルミナ工場を建設する JV 契約を 3 月 31 日に
締結したことを明らかにした。2003 年、み
ずほファイナンシャルグループが実施したバ
ンカブル・フィージビリティー・スタディー
(BFS)の時点に比べ事業費が増大してきてい
ることから、経済性の確認を再度行なった上
でプロジェクトの成否を判断し、経済性が確
保できる場合は、プロジェクト実現に向け 3
社が必要な措置を講ずることとしている。
Antam 社は 2009 年末の生産開始を目指して
いる。事業費総額は 2 億 2,000 万 US$以上が
世界の鉱業の趨勢
2006
53
インドネシア
Pomalaa 鉱山
Pamalaa 鉱山は、東 Sulawesi 州 Kolaka の南
30km の海岸沿い及び Namiang 島に位置する。
Pamalaa 鉱床は 1909 年に発見され探査は 1934
年から開始された。本格生産は 1962 年から始
まり現在に至る。Pomalaa は Antam ニッケル事
業 部 門 の 中 心 地 で 、 3 箇 所 ( North 地 区 、
Central 地区、South 地区)の採掘エリアと、3
製錬所(FeNi Ⅰ・FeNi Ⅱ・FeNi Ⅲ)を有す
る。鉱石輸送は沖合に停泊する船に、はしけ船
で 運 搬 さ れ る 。 Pomalaa 鉱 区 対 象 面 積 :
8,314.4 ha。
Antam のフェロニッケル生産能力は、現在、
FeNiⅠ(5,500t)・FeNi Ⅱ(5,500t)・FeNi Ⅲ
(15,000t)から生産されている。
FeNi Ⅱは、2005 年 3 月、炉内の金属レベルと
炉内温度の異常を検知しため、約 700 万 US$を
アジア
-ニッケル-
Soroako 鉱山
同鉱山は露天掘ラテライトニッケル鉱床で、
製錬所は水力・火力発電所を有し、道路、空港、
港などインフラも整備され、世界的にもニッケ
ル生産コストが安い鉱山として知られる。1988
年、住友金属鉱山㈱は資本参加を決定した。埋
蔵鉱量は、1 億 4,700 万 t、ニッケル品位 1.8%
と推定されている。
投資して電気炉の耐火煉瓦の補修を行い、10
月下旬から生産を再開している。
FeNiⅢは 2006 年 5 月から本格生産を開始し
た。
また同社は Halmahera 県知事の要請に基づき
製品付加価値を高めるため、ニッケル鉱石は
Pomalaa へ出荷せず FeNi Ⅳを建設しフェロニ
ッケルを生産することとしている。韓国製鉄メ
ーカーPOSCO と MOU を締結済み。年生産能力
30,000t、稼動目標 2010 年、投資金額 6 億
5,000 万 US$を見込む。また、新たに高圧酸浸
出法(HPAL)の適用の可能性を、現在、豪州/
アジア企業に打診中である。年生産能力
50,000t、稼動目標 2010 年、投資金額 10 億
US$を見込む。
北マルク州の Gebe、Gee 及び Tanjung Buli
の 4 鉱山のうち、Gebe 鉱山は、2004 年 11 月
で採掘を終了した。同鉱山は 1979 年に操業を
開始、年 間 Saporite 鉱 70 万 ~100 万 t、
Limonite 鉱 50 万~100 万 t を生産していた。
閉山処理に伴う費用は 590 億ルピアとされてお
り、閉山プログラムの一環としてリハビリテー
ション及び環境モニタリングを継続するととも
に、地元地域社会や漁業振興のための協力を行
うこととしている。同鉱山の閉山に伴い、2005
年 5 月、北マルク州 Mornopo 鉱山の操業を開
始した。
三菱商事、日鉱金属、Freeport Indonesia が
権益を保有し、その比率は 60.5%、9.5%、5%、
25% と な っ て い る 。 同 製 錬 所 は 、 Freeport
Indonesia とインドネシア政府との Grasberg
鉱山開発の第 5 次世代事業契約交渉において付
加価値化を求める政府の指導を受けて
Freeport Indonesia 社が建設に合意し、日本
企業の参入により実現したもの。原料は、パプ
ア州 Grasberg 鉱山から受け入れている。2001
年 6 月、LME の A 級銅カソード製錬所として指
定される。銅カソード連続鋳造装置に
Hazelett-MannesmannContilanod システムを採
用する。2005 年の生産量は、26 万 3,100t であ
った。
なお、PT Smelting 社は Gresik 製錬所の処
理能力を現在の 25 万 5000t から 6%増の 27 万 t
に引き上げる計画を明らかにしている。
アジア
インドネシア
見込まれ、権益比率は Antam 社 49%、残り 3
社が 51%を保有。
・アサンアルミは 2005 年で事業化から 30 周年
記念となる。
・我が国政府は、インドネシア政府と自由貿易
協定(FTA)を含む経済連携協定(EPA)交渉
を行っている。インドネシアは、我が国の鉱
物エネルギー資源の重要な供給先であり、同
分野における日本企業の投資も多いため、は
じめて EPA 交渉において鉱物資源・エネルギ
ー分野がスコープとなり、現在、7 の大筋合
意にむけ交渉が進められている。
・JOGMEC では、2003 年度よりチコトック地域
及びフローレス島地域において共同資源開発
基礎調査を実施している。
54
世界の鉱業の趨勢
2006
7. 国際会議等の実績
インドネシア鉱業協会が主催するインドネシ
ア鉱業大会が 2005 年 9 月 21 日から 24 日にか
けてジャカルタ Kemayoran 国際会議場にて行わ
れている。基調講演は、経済省、森林省、環境
省産業省の 4 閣僚が、鉱業投資の促進、鉱業と
森林政策、鉱業と環境政策、産業政策について
講演を行い、国内鉱業関係者が鉱物資源探鉱プ
ロジェクトの事例紹介、鉱山の拡張計画など紹
介を行なっている。
(2006.5.31/ジャカルタ事務所 池田 肇)