第九条:外部からの衝撃による損傷の防止【竜巻】 - 原子力規制委員会

資料14
六 ヶ 所 再 処 理 施 設 に お け る
新 規 制 基 準 に 対 す る 適 合 性
【設計基準】
第九条:外部からの衝撃による損傷の防止【竜巻】
平成26年12月15日
竜巻に対する設計基本方針
【外部からの衝撃による損傷の防止(竜巻)に係る規則要求】
安全機能を有する施設は、想定される自然現象が発生した場合においても安全機能を損なわな
いものでなければならない。
【外部からの衝撃による損傷の防止(竜巻)に係る設計基本方針】
安全機能を有する施設は、「原子力発電所の竜巻影響評価ガイド」(平成26年8月6日 原規技
発第1408064号 原子力規制委員会決定)(以下「竜巻影響評価ガイド」という。)に基づき、再処
理施設の敷地で想定される基準竜巻・設計竜巻及びそれらから導かれる設計荷重に対して、安
全機能を損なわない設計とする。
Ⅰ.設計対象施設
 安全機能を有する施設のうち、設計竜巻から防護する施設(以下「竜巻防護施設」という。)は、
竜巻影響評価ガイドに基づき、設計竜巻荷重は基準地震動Ssによる地震荷重と同様に施設
に作用するものと捉え、耐震設計上の重要度分類におけるSクラスの設計を要求される施設と
し、これらの施設を竜巻による風圧力、気圧差、飛来物に対する設計対象施設として選定する。
 また、建屋・構築物の高さと、竜巻防護施設又は竜巻防護施設を内包する施設との距離を考
慮し、転倒等により竜巻防護施設に波及的影響を及ぼして安全機能を喪失させる可能性が否
定できない施設を、竜巻防護施設に波及的影響を及ぼし得る施設として選定する。
<竜巻影響評価ガイド(抜粋)>設計竜巻荷重は、基準地震動Ss による地震荷重と同様に施設に作用するものと捉え、設計
対象施設は、耐震設計上の重要度分類を引用して、耐震S クラス施設及び耐震S クラス施設に波及的影響を及ぼし得る施
設とした。ただし、竜巻防護施設の外殻となる施設等(竜巻防護施設を内包する建屋・構築物等)による防護機能によって、
設計竜巻による影響を受けないことが確認された施設については、設計対象から除外できる。
1
竜巻に対する設計基本方針
Ⅱ.設計竜巻の設定
 基準竜巻・設計竜巻は、竜巻影響評価ガイドに基づいて、竜巻発生の特徴、再処理施設が立地する地域の
気候、IAEAの基準(再処理施設を中心とした10万km2の範囲を目安とする)、分水嶺、気候区分、再処理施
設の立地地点を踏まえて設定した竜巻検討地域を対象として、過去に発生した竜巻による最大風速(VB1)及
び竜巻最大風速のハザード曲線による最大風速(VB2)を踏まえて設定する。
 過去に発生した竜巻による最大風速(VB1)については、竜巻影響評価ガイドに基づいて、日本で過去に発生
した竜巻による最大風速を原則とする。ただし、竜巻検討地域で過去に発生した竜巻の最大風速を十分な信
頼性のあるデータ等に基づいて評価できる場合においては、「日本」を「竜巻検討地域」に読み替える。
 竜巻最大風速のハザード曲線による最大風速(VB2)については、竜巻影響評価ガイドに基づいて算定し、年
超過確率10-5に相当する風速を設定する。
 基準竜巻の最大風速(VB)は、竜巻影響評価ガイドに基づいて、上記のVB1及びVB2のうち、より値の大きい方
とし、さらに地形効果による増幅を考慮して、科学的見地等から基準竜巻の最大風速(VB)の適切な割り増し
等を行い、設計竜巻の最大風速(VD)を設定する。
Ⅲ.設計荷重の設定
 設計上考慮する竜巻の特性値は、竜巻影響評価ガイドに基づいて、設計竜巻の最大風速(VD)、並びに竜巻
検討地域において過去に発生した竜巻の特性等を考慮して適切に設定する。
Ⅳ.竜巻による施設への影響評価及び対策の検討
 建屋に内包され防護される施設については、建屋による防護により設計荷重の影響を受けない設計とする。
 建屋に内包されるが防護が期待できない施設や屋外施設については、必要な箇所に竜巻防護対策を施すこ
と等により、安全機能を損なわない設計とする。
 航空機に対して防護設計を行っている再処理施設の特徴を踏まえ、竜巻に対する影響評価を行う。
2
竜巻影響評価フロー
竜巻影響評価ガイドを参考に、施設の供用期間中に極めてまれに発生する突風・
強風を引き起こす自然現象としての竜巻及びその随伴事象等によって、施設の安
全性を損なうことのない設計であることを確認する。
Ⅰ.設計対象施設
Ⅱ.設計竜巻の設定
1.設計竜巻から防護する施設
2.竜巻防護施設を内包する施設
3.竜巻防護施設に波及的影響を及ぼし得る施設
1.竜巻検討地域の設定
2.基準竜巻の最大風速の設定
3.設計竜巻の最大風速の設定
Ⅲ.設計荷重の設定
1.設計上考慮する竜巻の特性値の設定
2.設計飛来物の設定
3.荷重の組合せと許容限界
Ⅳ.竜巻防護設計
1.建屋の構造健全性等の確認
2.設備への影響評価
3.竜巻防護対策
3
第九条:外部からの衝撃による損傷の防止【竜巻】
審査会合(第34回)における
指摘事項に対する回答
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外部からの衝撃による損傷の防止(竜巻)に関するコメント回答(1/23)
Ⅳ-2 設備への影響評価
主排気筒モニタの連続監視機能を維持する必要性について事業業指定基準規則第24
条を踏まえて説明すること。また、代替設備が使えることについて説明すること。
•
•
•
第二十四条(監視設備)では、運転時、停止時、運転時の異常な過渡変化時及び設
計基準事故時において、当該再処理施設及びその境界付近における放射性物質の
濃度及び線量を監視することが要求されており、主排気筒の排気筒モニタは本要求
を満足するための監視設備として放射性希ガスの監視を行うこととしている。
竜巻により、主排気筒の排気筒モニタの機能が喪失した場合には、竜巻の影響を受
けないように保管している代替品による監視等の措置をすみやかに行うことにより、
監視機能を維持することができる。
なお、主排気筒の排気筒モニタは、臨界事故時の放射性物質の放出量の監視機能
として安全上重要な施設に選定しているが、臨界事故は竜巻が起因となって発生す
ることはない。
<第二十四条 抜粋>
再処理施設には、運転時、停止時、運転時の異常な過渡変化時及び設計基準事故時において、当該再
処理施設及びその境界付近における放射性物質の濃度及び線量を監視し、及び測定し、並びに設計基準
事故時における迅速な対応のために必要な情報を制御室その他当該情報を伝達する必要がある場所に表
示できる設備(安全機能を有する施設に属するものに限る。)を設けなければならない。
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外部からの衝撃による損傷の防止(竜巻)に関するコメント回答(2/23)
Ⅳ-2 設備への影響評価
•
•
•
•
•
主排気筒の排気筒モニタは、主排気筒管理建屋に設置されて
いる。
竜巻荷重に対する主排気筒管理建屋の構造健全性の確認の
うち、建屋全体の評価においては、耐震壁のせん断ひずみの
評価により、問題ないことを確認している(表-1参照)。
主排気筒管理建屋の局部の評価においては、飛来物の衝突
による貫通限界厚さが、外壁及び屋根スラブの厚さを上回る
結果となっている。
以上より、主排気筒管理建屋は、飛来物の衝突によって局所
的に破損する可能性はあるが、建屋全体が崩壊することはな
いため、主排気筒の排気筒モニタが破損したとしても代替品を
設置することにより監視機能を維持することが可能と考える。
なお、代替品は竜巻によって破損することのないよう保管する。
表-1 建屋全体の評価結果(主排気筒管理建屋)
せん断ひずみ評価値
判定基準
評価結果
0.072×10-3
2×10-3
○
主排気筒管理建屋(点線部)
部については、設工認申請にて示す。
6
外部からの衝撃による損傷の防止(竜巻)に関するコメント回答(3/23
Ⅳ-3 竜巻防護対策
フジタモデルを適用することの妥当性について説明すること。また、フジタモデルの評
価における保守性の取り込みについて説明すること。
申請書
(H26.8.29補正)
添六:1.7.10.6
(車両の)運用にあたっては、より正確に竜巻の特性値や飛来物の特性値(飛散距離、飛散高さ
等)を算出したうえで適切な対策を実施することを目的として、フジタモデル等の高度な数学的モ
デルの導入を視野に入れた新たな知見の収集等に継続的に取組むものとする。
<竜巻影響評価ガイド(抜粋)>
解説3.4.2.2 設計竜巻の特性値の設定に係る基本的な考え方
竜巻に関する観測データが不足している等の理由により、観測データ等に基づいた十分に信頼
できる数学モデルの構築が困難な場合は、米国NRCの基準類を参考としてランキン渦モデルを
仮定して竜巻特性値を設定する。 (中略)
なお、ランキン渦モデルに比べてより複雑な竜巻渦を仮定した数学モデル等を使用して竜巻特
性値を設定する場合は、その技術的な妥当性を示す必要がある。
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外部からの衝撃による損傷の防止(竜巻)に関するコメント回答(4/23)
Ⅳ-3 竜巻防護対策
<再処理事業所の車両に対してフジタモデルを適用することの妥当性>
• ランキン渦モデルは、上昇流が地表面から上層まで一様に存在し、飛来物が落下しにくいモデルであり、実現
象に比べて保守的な結果を与える。一方、フジタモデルは、地表面の風速場をより的確にモデル化しており、
過去の竜巻被害実績の再現性も検証されている。このように、飛来物影響評価においては事業者が両モデル
のいずれかを選択することができる(原子力発電所の竜巻影響評価について -設計風速および飛来物速度
の評価- 改定4(抜粋)、2014年9月9日 日本保全学会 原子力規制関連事項検討会)。
• 再処理事業所は平坦な地形に立地しており、かつ敷地内の車両は全て地表面にあることから、再処理事業所
における車両の浮き上がりの有無や浮き上がった場合の飛来距離の算出については、フジタモデルを用い
る。
飛来物評価モデルの比較
出典:原子力発電所の竜巻影響評価について -設計風速および飛来物速度の評価- 改定4
2014年9月9日 日本保全学会 原子力規制関連事項検討会
8
外部からの衝撃による損傷の防止(竜巻)に関するコメント回答(5/23)
Ⅳ-3 竜巻防護対策
<車両に対する飛来対策区域の設定>
• 当該区域にある車両が竜巻により防護施設に衝突
する可能性がある範囲を「車両に対する飛来対策区
域」として定める。
• ただし、防護施設のうち、車両よりも質量及び衝突速
度が大きい航空機に対して貫通が防止でき、かつ、
航空機による衝撃に対して健全性が確保できる堅固
な建物・構築物については、車両による衝突でも健
全性を確保できることが確認できた場合は、「車両に
対する飛来対策区域」として考慮しない。
• 「車両に対する飛来対策区域」の範囲の根拠となる
車両の飛来距離はフジタモデルを用いて算出する。
• 「車両に対する飛来対策区域」の範囲の設定にあ
たっては、車両の飛来距離の算出結果に余裕を考慮
し設定する。
:屋外施設
:竜巻防護施設を内包する施設
:竜巻防護施設に波及的影響を及ぼし得る施設
再処理事業所における竜巻防護施設、竜巻防護施設を内包する施設、
竜巻防護施設に波及的影響を及ぼし得る施設
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外部からの衝撃による損傷の防止(竜巻)に関するコメント回答(6/23)
Ⅳ-3 竜巻防護対策
<フジタモデルを用いた車両の飛来距離の算出>
• フジタモデルを用い車両の飛来距離を算出する。
• 車両はプラントウォークダウンにて調査した車両を対象とする。
• 算出条件は、以下のとおりとする。
使用モデル(風速場):フジタモデル
竜巻の特性値:100m/s
飛来距離:地上にある車両が竜巻により飛来する最大距離を飛来距離とした
車両の種類ごとの飛来距離算定結果
車両の種類
長さ
幅
高さ
質量
空力パラメータ
飛来距離
(m)
(m)
(m)
(kg)
CDA/m(m2/kg)
(m)
大型バス
12
2.5
3.8
12100
0.0047
125
トラック
8.5
2.2
2.5
3790
0.0080
160
乗用車 普通
4.4
1.7
1.5
1140
0.0097
150
乗用車 ワゴン1
4.8
1.8
1.5
1510
0.0082
90
乗用車 ワゴン2
5.2
1.9
2.3
1890
0.0092
165
軽自動車1
3.4
1.5
1.6
840
0.0102
160
軽自動車2
3.4
1.5
1.5
710
0.0116
165
• 算出した結果、飛来距離が最大である165mに余裕を考慮し、保守側に200mを車両の最大飛来距離とする。
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外部からの衝撃による損傷の防止(竜巻)に関するコメント回答(7/23)
Ⅳ-3 竜巻防護対策
<車両の運用について>
• 「車両に対する飛来対策区域」内での駐車を原則禁止す
る。止むを得ず駐車する場合は、予め竜巻により飛散し
ないよう固縛しておくか、竜巻により飛来しない場所に駐
車する。ただし、速やかに車両の移動が可能な場合はこ
の限りではない。
• 再処理事業所全域に竜巻準備の指示を受けた時に、「車
両に対する飛来対策区域」内を走行または停車している
車両の運転手は、速やかに退避または固縛を行い、その
後、運転手は近くの建物、構築物の屋内に退避する。
• 退避または固縛は以下のいずれかで行う。
-「車両に対する飛来対策区域」外にある予め定められた
駐車区域へ退避する。
-「車両に対する飛来対策区域」内に、予め定められた竜
巻により飛来しない車庫内に退避する。
-「車両に対する飛来対策区域」内に予め固縛装備が備
えられた駐車区域へ移動し、固縛装備で確実に固縛す
る。
• 周辺防護区域内に入域する車両には、核物質管理部門
(警備課)の審査・許可が必要となっているが、審査時に
は車両の飛来距離の評価を行い、飛来距離が165m以
下であることを確認できた車両のみに対し許可する事項
を追加する。(管理規定に定める)
• 周辺防護区域内への入域が許可された車両の運転手に
は、許可時に車両の退避、固縛等に係る事項を周知する。
また、既許可の車両の運転手に対しても同内容の周知を
実施する。
□:警備上の観点から公開できません
:「車両に対する飛来対策区域」設定対象施設
:「車両に対する飛来対策区域」設定対象施設
:車両の退避場所
「車両に対する飛来対策区域」(赤線の内側) 11
外部からの衝撃による損傷の防止(竜巻)に関するコメント回答(8/23)
Ⅳ-3 竜巻防護対策
<竜巻襲来時の車両の退避時間について>
• 「車両による飛来対策区域」内を走行または停車している車両の
• 予測の実績等から竜巻発生15分程度前には竜巻発生の予測
退避場所までの距離について、構内配置図及び現地確認により
実施した。
が可能であることを考慮して、竜巻襲来時の車両の退避時間
の現実性について確認した。
• その結果、右図に示すとおり、最大でも740m程度であることから、
退避距離を保守側に800mと設定する。
• 「車両による飛来対策区域」外への車両の退避としては、以下
のとおり想定する。
-車両台数は、保守側に60台を想定(社有車;20台、警備車
両;20台、一時的に入構する作業車両;20台)
退避ケース①
-構内走行速度を保守側に10km/h、退避距離を保守側に
(約720m)
800mとして、走行時間は約5分と想定
-周知・連絡のための時間を2分とし、保守側に50m間隔(6秒
に1台)で順次退避することを想定
• 気象庁による竜巻発生確度2発表から車両の「車両による飛
来対策区域」外への退避完了までの時間を以下のとおり算
出する。
-2分+6秒/台×60台+5分=13分
気象庁ナウキャスト 1台目
発生確度2発表 移動開始
60台目が車両に
60台目 対する飛来対策区
移動開始 域外へ移動完了 竜巻襲来
周知・連絡
順次発車
走行時間
0分
2分
8分
退避ケース②
(約550m)
13分
15分
図 車両退避時間イメージ
• したがって、竜巻襲来までの最短時間を15分と想定した場合には、
「車両による飛来対策区域」外への退避時間が13分であることか
ら、退避は可能であると考える。
• また、運転手は「車両による飛来対策区域」外への退避後、堅固な
建屋、構築物に避難する。
• 車両の退避の実現性については、訓練により確認する。
退避ケース③
(約740m)
:「車両に対する飛来対策区域」設定対象施設
:車両の退避場所
車両の退避ルート及び退避距離
12
外部からの衝撃による損傷の防止(竜巻)に関するコメント回答(9/23)
Ⅳ-3 竜巻防護対策
<退避車両について>
• 運用にあたっては、周辺防護区域内へ入構する車両を制限し、極力入構台数を減らすことを基本方針とするが、
運用上、周辺防護区域内に入構せざるを得ない車両がある。
• 周辺防護区域内にある車両は、「車両に対する飛来対策区域」内への駐車の禁止、駐車する場合の飛来防止対
策を行うことにより、退避の対象となる車両を極力減らすことを基本方針とする。
• 周辺防護区域内にある車両を調査した結果を基とし、①社有車、②警備車両、③一時的に入構する作業車両(
一時入構車両)について退避対象台数を以下のとおりとして退避時間の算定に用いた。
①社有車
【使用目的】:周辺防護区域内で業務に従事する運転員等が、現場巡視等を目的として移動する手段として使用
する車両。
【運用管理】:使用していない社有車は、「車両に対する飛来対策区域」外に駐車するか、飛来防止対策を施した
車庫内に駐車することで、竜巻襲来時の退避対応を必要としない運用とする。社有車を使用して現
場巡視先へ移動する場合は、飛来防止対策を施した駐車区域(車庫または固縛装置)に駐車する
ことで、竜巻襲来時の退避対応を必要としない運用とする。
【退避対象】:上記の運用をすることにより、退避対象となる社有車は、「車両に対する飛来対策区域」を移動中
の車両とすることができる。
【退避対象車両の想定】:調査結果より、周辺防護区域内にある社有車は約60台であるが、ほとんどの社有車は
駐車区域に駐車している。しかしながら、退避時間の算定にあたっては、保守的に約20台の社有車
が同時に「車両に対する飛来対策区域」内を走行していることとし、退避の対象車両として想定する。
13
外部からの衝撃による損傷の防止(竜巻)に関するコメント回答(10/23)
Ⅳ-3 竜巻防護対策
<退避車両について(続き)>
②警備車両
【使用目的】:警備車両は、周辺防護区域内において警備員が周辺防護区域内のパトロール、立入制限区域への入退域管理の対応
のために移動する手段として使用する車両。
【運用管理】:使っていない警備車両は、 「車両に対する飛来対策区域」外の駐車区域に駐車することで、竜巻襲来時の退避対応を
必要としない運用とする。使用中の警備車両については、常時警備員が乗車するか、または警備員がすぐに車両に戻れ
る状態にすることで、竜巻襲来時には速やかに退避することができる運用とする。
【退避対象】:上記の運用をすることにより、退避対象となる社有車は、「車両に対する飛来対策区域」を移動中か警備中の車両とす
ることができる。
【退避対象車両の想定】:調査結果より、周辺防護区域内にある警備車両は約30台であり、このうち使用中の車両は約15台である。
しかしながら、退避時間の算定にあたっては、保守的に約20台の警備車両が同時に「車両に対する飛来対策区域」内を
走行または警備で使用されていることとし、退避の対象車両として想定する。
③一時入構車両
【使用目的】:一時入構車両は、周辺防護区域内で作業を行う一時立入者(工事作業員、燃料油の給油作業員等)が、工事用資機材
の搬出入や燃料油の給油等を行うための車両。
【運用管理】:工事用資機材の搬出入作業や燃料油の給油作業にあたっては、車両の運転手と作業員を別とすることで、速やかに退
避することができる運用としている。工事の休止時(夜間、休日等)には周辺防護区域内より退去し、退避対応を必要とし
ない運用とする。
上記以外の一時入構車両としては、自動販売機への飲料の補充、事務用品の搬入を行う車両等があり、これらの作業
員は運転員を兼ねることも考えられることから、これらの車両に対しては、「車両に対する飛来対策区域」外に駐車する
か、飛来防止対策を施した駐車区域に駐車することで竜巻襲来時の退避対応を必要としない運用とする 。
【退避対象】:上記の運用をすることにより、退避対象となる一時入構車両は、「車両に対する飛来対策区域」内で工事用資機材の搬
出入を行う車両とすることができる。
【退避対象車両の想定】:調査結果より、退避対象となる一時入構車両の1日の入構台数は約40台である。退避時間の算定にあたっ
ては、その半数である約20台の一時入構車両が同時に「車両に対する飛来対策区域」内で作業を行っていることとし、
退避の対象車両として想定する。
⇒以上より、退避対象車両を ①社有車(20台)、②警備車両(20台)、③一時入構車両(20台)の合計60台とし、
退避時間の算定に用いる。
14
外部からの衝撃による損傷の防止(竜巻)に関するコメント回答(11/23)
Ⅳ-3 竜巻防護対策
<退避対象車両の退避速度について>
• 周辺防護区域内における車両の制限速度は30km/hであるが、退避時間の算定にあたっては、保守的に移動
速度を10km/hと想定し、退避時間に余裕を見込んでいる。
• また、上記の車両の移動速度は、冬季(積雪や凍結)を考慮しても余裕のある速度である。
<退避対象車両の退避行動について>
• 車両の退避場所を複数設定しており、車両の場所に応じて最も近い退避場所に退避を行うことから、同時並
行で退避行動をとることが可能と想定されるが、退避時間の算定にあたっては、保守的に1台目~60台目が
順次退避行動を開始するものと想定した。
60台目
1台目
退避場所
①へ
・・・
2台目
60台目
退避場所
②へ
3台目
2台目
1台目
・・・
車両の場所に応じて最
も近い退避場所に同
時並行で移動する。
6秒
6秒
6秒
退避場所
へ
1台目から6秒おきに順次退避開始
(60台目の退避開始は1台目の退避開始の6分後)
退避場所
③へ
想定される実際の退避行動(イメージ)
退避時間の算定にあたっての退避行動(イメージ)
15
外部からの衝撃による損傷の防止(竜巻)に関するコメント回答(12/23)
Ⅳ-3 竜巻防護対策
【参考①】フジタモデルについて
<フジタモデルの概要>
• 米国NRCの要望により藤田博士が開発した竜巻風速場の工学モデル。
• ランキン渦と同様に代数式で風速場が表現されるが、やや複雑。
• 半径方向に3つの領域(内部コア・外部コア・最外領域)に分割して風速場をモデル化する。
• 接線風速Vθはランキン渦モデルと同様であるが、高さ依存性がある。
• 上昇流(VZ)は外部コアのみに存在する。
• 地面付近で竜巻中心に向かう強い流れ(Vr)がある
<フジタモデルのメリットと問題点>
• メリット
-観測に基づき考案されたモデルであり、実際の風速場に近い。
-比較的簡単な代数式で風速場を表現しうる。
-米国NRCガイドでもランキン渦モデルと並列に参照されている。
• 問題点
-ランキン渦モデルと比較して、風況をモデル化する上で解析プログラムが複雑。(近年の計算機能力向上と
竜巻評価コードの高度化により、問題点は解決された)
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外部からの衝撃による損傷の防止(竜巻)に関するコメント回答(13/23)
Ⅳ-3 竜巻防護対策
• 竜巻の風速場モデルとして利用されている「ランキン渦モデル」、「フジタモデル」の風況イメージを以下に示す。
出典:原子力発電所の竜巻影響評価について -設計風速および飛来物速度の評価- 改定4
2014年9月9日 日本保全学会 原子力規制関連事項検討会
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外部からの衝撃による損傷の防止(竜巻)に関するコメント回答(14/23)
Ⅳ-3 竜巻防護対策
• 竜巻の風速場モデルとして利用されている「ランキン渦モデル」の風況イメージを以下に示す。
出典:原子力発電所の竜巻影響評価について -設計風速および飛来物速度の評価- 改定4
2014年9月9日 日本保全学会 原子力規制関連事項検討会
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外部からの衝撃による損傷の防止(竜巻)に関するコメント回答(15/23)
Ⅳ-3 竜巻防護対策
• 竜巻の風速場モデルとして利用されている「フジタモデル」の風況イメージを以下に示す。
出典:原子力発電所の竜巻影響評価について -設計風速および飛来物速度の評価- 改定4
2014年9月9日 日本保全学会 原子力規制関連事項検討会
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外部からの衝撃による損傷の防止(竜巻)に関するコメント回答(16/23)
Ⅳ-3 竜巻防護対策
<フジタモデルの適用の可能性について>
• Fスケールの風速条件で自動車の浮上・飛散を計算し、各Fスケールにおける被災状況との整合性を評価する。
• 竜巻による自動車飛散実績(Fスケール別)
Fスケール
風速
自動車の被災状況
F2
50~69m/s
cars blown off highway(自動車が道路からそれる)
F3
70~92m/s
cars lifted off the ground(自動車が地面から浮上する)
F4
93~116m/s
cars thrown some distances or rolled considerable distances
(自動車がある距離飛ばされる、または、かなりの距離を転がる)
よく一致しており、フジタモデルは実現象の再現性がある
• フジタモデルによる自動車の飛散評価結果(江口ら※1)
計算結果
Fスケールと
の対応
最大水平風速
VD[m/s]
竜巻接線速度
Vm[m/s]
竜巻移動速度
Vtr[m/s]
速度
距離
高さ
F2(静止)
69
59
10
1.0m/s
1.4m
0m
F2(走行)
89※2
59
30※2
23m/s
25m
0.9m
F3(静止)
92
79
13
23m/s
34m
1.1m
F4(静止)
116
99
17
42m/s
59m
3.1m
※1 出典:江口 譲,杉本聡一郎,平口広丸,竜巻による物体の浮上・飛来解析コードTONBOSの開発,
電力中央研究所 研究報告N14002,2014
※2 竜巻移動速度に対する自動車の相対走行速度を20m/s(72km/h)と仮定し、竜巻の移動速度に加えた場合
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外部からの衝撃による損傷の防止(竜巻)に関するコメント回答(17/23)
Ⅳ-3 竜巻防護対策
<フジタモデルの適用の可能性について(続き)>
• 過去に発生した竜巻による被害状況とフジタモデルによる再現計算との比較を文献調査した。
出典:原子力発電所の竜巻影響評価について -設計風速および飛来物速度の評価- 改定4
2014年9月4日 日本保全学会 原子力規制関連事項検討会
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外部からの衝撃による損傷の防止(竜巻)に関するコメント回答(18/23)
Ⅳ-3 竜巻防護対策
<フジタモデルの適用の可能性について(続き)>
• 過去に発生した竜巻による被害状況とフジタモデルによる再現計算との比較を文献調査した。(続き)
出典:原子力発電所の竜巻影響評価について -設計風速および飛来物速度の評価- 改定4
2014年9月9日 日本保全学会 原子力規制関連事項検討会
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外部からの衝撃による損傷の防止(竜巻)に関するコメント回答(19/23)
Ⅳ-3 竜巻防護対策
<フジタモデルの適用の可能性について(続き)>
• 過去に発生した竜巻による被害状況とフジタモデルによる再現計算との比較を文献調査した。(続き)
出典:原子力発電所の竜巻影響評価について -設計風速および飛来物速度の評価- 改定4
2014年9月9日 日本保全学会 原子力規制関連事項検討会
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外部からの衝撃による損傷の防止(竜巻)に関するコメント回答(20/23)
Ⅳ-3 竜巻防護対策
<フジタモデルの適用の可能性について(続き)>
• 過去に発生した竜巻による被害状況とフジタモデルによる再現計算との比較を文献調査した。(続き)
出典:原子力発電所の竜巻影響評価について -設計風速および飛来物速度の評価- 改定4
2014年9月9日 日本保全学会 原子力規制関連事項検討会
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外部からの衝撃による損傷の防止(竜巻)に関するコメント回答(21/23)
Ⅳ-3 竜巻防護対策
<フジタモデルの適用の可能性について(続き)>
• 過去に発生した竜巻による被害状況とフジタモデルによる再現計算との比較を文献調査した。(続き)
出典:原子力発電所の竜巻影響評価について -設計風速および飛来物速度の評価- 改定4
2014年9月9日 日本保全学会 原子力規制関連事項検討会
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外部からの衝撃による損傷の防止(竜巻)に関するコメント回答(22/23)
Ⅳ-3 竜巻防護対策
<フジタモデルの適用の可能性について(続き)>
• 過去に発生した竜巻による被害状況とフジタモデルによる再現計算との比較を文献調査した。(続き)
出典:原子力発電所の竜巻影響評価について -設計風速および飛来物速度の評価- 改定4
2014年9月9日 日本保全学会 原子力規制関連事項検討会
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外部からの衝撃による損傷の防止(竜巻)に関するコメント回答(23/23)
Ⅳ-3 竜巻防護対策
<フジタモデルの適用の可能性について(続き)>
• 過去に発生した竜巻による被害状況とフジタモデルによる再現計算との比較を文献調査した。(続き)
出典:原子力発電所の竜巻影響評価について -設計風速および飛来物速度の評価- 改定4
2014年9月9日 日本保全学会 原子力規制関連事項検討会
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