12月26日 第183号 NEW - 総務省

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近畿総合通信局
e- かわらばん近畿
2014年12月26日
第183号 1/5
∼多言語音声翻訳の社会実装∼
けいはんなオープンラボシンポジウム2014
大阪市北区のグランフロント大阪で「けいはんな 情報通信オープンラボシンポジウム201
4」が12月8日に開催されました。
けいはんな情報通信オープンラボ研究推進協議会の最近の取り組みやICT(情報通信技術)の
最新動向について、関⻄地域の企業・団体や研究機関等の皆様に広くご理解いただくために、多
言語音声翻訳システムやそれを活用した関連技術開発及び観光などの新規ビジネスの可能性につ
いて講演やパネル展⺬を⾏いました。
近年、訪日外国人の数は1000万人を突破しましたが、オリンピックが開催される2020
年までにさらに倍増させる目標を政府は掲げております。
しかし、そこで問題となっているのが言葉の壁です。外国の方に宿泊していただくホテルの
キャパシティ不足もさることながら、外国語の対応が出来ないために訪日客を受け入れられない
といったホテルも数多く存在しているのが現状です。
そういった場合にも、今回紹介された翻訳システムは大変大きな役割を果たすことになると予
想されており、スマートフォンで、いつでも手軽に低価格で使える翻訳システムのニーズは今後
非常に大きくなっていくと思われます。
このようなグローバルコミュニケーションの推進と合わせて、放送コンテンツの海外展開によ
る観光情報の積極的な海外発信や観光地等におけるWi-Fiの整備促進といった、インターネット
の利用環境の整備を通じて、さらなる関⻄の観光ビジネスの発展に貢献していくことを目標とし
ております。
けいはんな情報通信オープンラボ研究推進協議会
http://www.khn-openlab.jp/
総務省 大臣官房総括審議官 武井俊幸
総務省が推進している「グローバルコミュ
ニケーション計画」について説明、言葉の壁
をなくし、自由な交流の実現について、東京
オリンピックを目指した取り組み目標につい
て講演いたしました。
多言語音声翻訳アプリ VoiceTra4U
VoiceTra4Uデモンストレーションもあわせて
⾏いました。
本アプリの詳細については以下をご覧ください。
http://www.ustar-consortium.com/app_ja/app.html
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近畿総合通信局
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2014年12月26日
第183号 2/5
∼電波のことをもっと知っていただくために∼
「電波の安全性に関する説明会」を開催
なった実験の内容
の紹介、人体への
適用にあたっての
留意点、安全率の
考え方等について
この説明会は、携帯電話の普及をはじめとし
詳しい説明があり
て、電波の利用が身近になっている中、電波が
人体や医療機器などに与える影響などについて、 ました。
一般の方を対象に電波に関する正しい知識を提
供し、電波の安全性について正しく理解してい
ただくことを目的として、平成16年度から全
国で開催しています。
「電波の健康リスク」
今回の説明会には、61名の参加がありまし
一般財団法人電機安全研究所 電磁界情報センター所⻑
た。
大久保 千代次氏
近畿総合通信局は、12月10日(水)、滋
賀県大津市において、「電波の安全性に関する
説明会」を開催しました。
「電波の安全性に関する総務省の取り組み」
近畿総合通信局 電波監理部⻑ 鈴木 克昌
電波の基礎的な性質、各国政府・国際機関や
総務省のこれまでの取組について説明があり、
現⾏の電波の安全基準(電波防護指針)は、国際
的な基準に沿って十分な安全率を付加して策定
されている旨の
説明がありまし
た。
また、植え込
み型医療機器や
病院内での携帯
電話の使用ルー
ルに関する指針
についても説明
がありました。
「電波防護指針の根拠と測り方」
独立⾏政法人情報通信研究機構 電磁波計測研究所
電波環境研究室 研究マネージャー 渡邊 聡一氏
電波防護指針の工学的な観点から、根拠と
医学的な観点
から、WHO(
世界保健機関)
の取組や公式見
解の詳しい紹介
があり、リスク
の感じ方はよく
知らないものほ
ど大きくなる傾
向にあるため正しい知識を持つこと、情報は氾
濫するネット情報に惑わされずに信頼できる公
的機関のデータを活用すること等の助言があり
ました。
総務省では、安全で安心な電波利用環境を確
保し、電波の安全性に関する情報を提供するた
め、今後も説明会を開催してまいります。
また、総務省Webサイトにおきましても常
に最新動向を掲載しておりますので、是非ご覧
になり、電波の安全性にかかる知識を深めてい
ただければと思います。
http://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/ele/index.htm
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近畿総合通信局
2014年12月26日
第183号 3/5
FPU・特ラの最新動向&最新気象レーダを紹介
「放送技術セミナー」
近畿総合通信局、近畿受信環境クリーン協議会
近畿総合通信局は、12月10日(水)、大阪市中
央区のKKR HOTEL OSAKAにおいて、「放送技術セ
ミナー」を開催いたしました。講師の方も含め、84
名の方々にご参加いただきました。
会場の様子
会場の様子
まず最初に、有賀 寿(ありが ひさし)氏(日
本放送協会技術局計画部 副部⻑)より「周波数再
編におけるFPU及び特定ラジオマイクの最新動向に
ついて」というテーマでご講演がありました。
FPU(Field Pick-up Unit)とは、テレビジョン
放送番組素材伝送用の可搬型無線伝送装置であり、
報道、スポーツ、番組制作など放送番組素材を高品
質に取材、中継現場などから放送局へ伝送する移動
無線回線のことであり、特定ラジオマイクとは、放
送や舞台、コンサートなど、無線局免許が必要な業
務用ワイヤレスマイクであるという旨の説明がなさ
れました。
周波数の再編により移⾏するFPUと特定ラジオマ
イクについての最新の動向についてご紹介いただき
ました。
有賀 寿
(ありが ひさし)氏
ひさし)氏
(日本放送協会技術局
日本放送協会技術局
計画部 副部長)
次に、花土 弘(はなど ひろし)氏(独立⾏政
法人情報通信研究機構電磁波計測研究所センシング
システム研究室 研究マネージャー)より「フェー
ズドアレイ気象レーダー・ドップラーライダー融合
システム(愛称PANDA)の開発」についてご講演
がありました。
フェーズドアレイ気象レーダは、従来のパラボラ
アンテナの気象レーダに比べ、高頻度観測が可能で、
降雨の3次元構造の動的な変化を捉えます。これに
ドップラーライダーによる風の観測を組み合わせ、
近年頻発している局地的大雨による災害の防災・減
災を目的とする、新しい観測システムの開発を開始
したという説明がなされました。
花土 弘(はなど
弘(はなど ひろし)氏
ひろし)氏
(独立行政法人情報通信
独立行政法人情報通信
研究機構電磁波計測
研究所センシングシステム
研究室 研究マネージャー
研究マネージャー)
マネージャー)
近畿総合通信局では、今後も放送や電波に関する
講演会を開催してまいりますので、近畿総合通信局
のHPをご覧いただき、是非ご参加いただければと思
います。
ケーブルテレビの
デジアナ変換サービスは
2015年3月までに
終了します
一部の地域では2月に終了する所もあります。
引き続き地上デジタル放送をご覧いただくため
に地デジの準備をお願いします。
お問い合わせは
総務省地デジコールセンター
0570−07−0101
編集・発行
近畿総合通信局
総務部総務課
企画広報室
〒540 -8795
大阪市中央区大手前1-5-44
大阪合同庁舎第1号館
TEL: 06(6942)8508
http://www.soumu.go.jp/soutsu/kinki/
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2014年12月26日
第183号 4/5
第
第10回
南極・昭和基地だより
第55次日本南極地域観測隊越冬隊通信担当として昨年の12月から昭和基地に滞在の久保田
弘(くぼた ひろし)さん(元近畿総合通信局職員)から南極・昭和基地での職務の状況や
生活に関する貴重な体験等をご紹介頂いています。
「南極・昭和基地だより」は、久保田さんの滞在期間の来年2月まで本紙で連載します。
皆さま、こんにちは。
第55次日本南極地域観測隊(JARE55) 越冬隊通信
担当の久保田です。
第10回目の「南極・昭和基地だより」は、昭和基地の
周りにいる生き物について御紹介します。
昭和基地の周りにいる生き物
南極大陸の大部分は、一年中雪や氷に覆われていま
す。しかし、季節によっては雪や氷がなくなる露岩地域も
存在しています。露岩地域や大陸を取り囲む海には、極
寒の厳しい自然環境にもかかわらず、生き物が暮らして
います。
雪や氷がない露岩地域
や氷がない露岩地域
(ラングホブデ・長頭山)
ラングホブデ・長頭山)
手前は海氷
手前は海氷
昭和基地の周りでは、哺乳類としてはウェッデルアザ
ラシを見ることができます。体長は雄が約280cm、雌が
約330cmで、体重は400kg~450kgもあります。春や夏に
は海氷上に現れますが、冬期間は海氷に呼吸孔を開け
て海氷の下で生活しています。現存数は75万頭と推定
されています。
また、鳥類ではアデリーペンギンをよく見かけます。
ユーモラスな体型や行動で観測隊員を楽しませてく
れます。体長は約70cmで、体重は3.7kg~4.0kgです。
オキアミ類を主食にしています。雪や氷が溶けた地
表に小石を積み上げて巣をつくります。現存数は、少
なくても260万つがい、幼鳥1,000万羽と推定されてい
ます。南極大陸や周辺の島々の露岩に集団で巣をつ
くり、ヒナを育てます。この集団の巣のことを「ルッカ
リー」と呼んでいます。昭和基地付近には、数羽程度
のものから1,000羽を超えるものまで、いくつかのルッ
カリーがあります。
ユーモラスな
ユーモラスな
アデリーペンギン
延々と続く北の海から
のペンギンの足跡
のペンギンの足跡
毎年10月中旬ごろになると、北の海から巣づくりに
戻ってきたアデリーペンギンが昭和基地に迷い込ん
できます。昭和基地には、雪上車とペンギンとの接触
事故を起こさないように、動物注意の標識が建てら
れています。
ウェッデルアザラシ
昭和基地内にある動物
昭和基地内にある動物注意の
ある動物注意の標識
注意の標識
ウェッデルアザラシの親子
ペンギン以外の鳥類では、早春にナンキョクオオトウ
ゾクカモメや純白のユキドリが昭和基地の上空を飛ん
でいるのを見かけます。
3ページに続く
近畿総合通信局
2014年12月26日
第183号 5/5
ナンキョクオオトウゾクカモメ
魚類では、ショウワギスやライギョダマシという魚
が海氷の下に生息しています。
ルンパ島にあるルッカリー ペンギンの数
ペンギンの数1,000
の数1,000羽
1,000羽以上
ショウワギス
ペンギン個体数センサス
観測隊では、アデリーペンギンの個体数を毎年同
じ時期に調査しています。これが「ペンギン個体数
センサス」です。
ペンギン個体数センサスを行う観測隊員
ペンギン個体数センサスを行う観測隊員
毎年第1回目の調査は、11月15日頃に10か所の
繁殖地でルッカリーの脇からカウンター(数取器)を
使ってペンギンの数を数えます。3人以上でそれぞ
れ3回数えることになっています。昭和基地から30
㎞ほど離れたところにあるルンパ島には、1,000羽
以上のペンギンが生息するルッカリーがあります。
さすがにカウンターでは数えられませんので、写真
に写ったペンギンの数を数えています。
第2回目の調査は、12月初旬に5か所の繁殖地で、
やはりカウンターを使って数えます。ただし、第2回目
の調査では、抱卵巣数(親鳥が腹ばいになっていたり
両足の間に卵が見える巣の数)と非抱卵巣数(卵はな
いが石を集めた巣の脇に親鳥が立っている巣の数)
を数えますので、根気が要るかなり大変な調査です。
ペンギン個体数センサスは、隊員が交代して行って
います。筆者も調査に参加しましたが、ちょこまかと動
き回るペンギンの数を数えるのには苦労させられまし
た。
南極地域の環境の保護
南極地域の環境の保護を図るために「南極地域の
環境の保護に関する法律」という法律が制定されてい
ます。この法律により、次の行為は原則として禁止さ
れています。
・石などの鉱物を採ったり持ち帰ったりすること。
・アザラシなどの南極哺乳類、ペンギンやカモメ、ユキ
ドリなどの南極鳥類を捕獲したり殺傷したりすること。
また、南極鳥類の卵を採取したり損傷したりすること。
・生きている生物やウイルスを持ち込むこと。
・南極地域に生息、生育する動植物に影響を及ぼす
こと。具体的には、ルッカリーやコケの群生地にむや
みに立ち入ること。また、ペンギンやアザラシの群れ
を乱したり、餌を与えたり、触れたり、接近して驚かす
こと。
観測隊員は、これらの規定に違反しないよう細心の
注意を払って観測活動を行っています。
※本稿における「禁止されている行為」は、分かりや
すく記述したものです。正確には、法令の条文を参照
してください。
JARE55は、「
JARE55は、「The
は、「The 55th Japanese Antarctic Research Expedition」の略
Expedition」の略。
」の略。
[国立極地研究所]http://www.nipr.ac.jp/
国立極地研究所]http://www.nipr.ac.jp/
[国立極地研究所 南極観測のホームページ]
南極観測のホームページ]http://www.nipr.ac.jp/jare/index.html
ホームページ]http://www.nipr.ac.jp/jare/index.html