第4章 生活排水処理基本計画 4.1 船橋市の生活排水処理の現状 4.1.1 船橋市のし尿・浄化槽汚泥の処理の流れ 本市のし尿・浄化槽汚泥は、西浦処理場で処理しています。し尿・浄化槽汚泥の処理に伴って発 生する脱水汚泥の一部は、最終処分量の削減及び環境負荷の少ない循環型社会の実現の観点から、 業者委託により堆肥化を実施しています。堆肥化以外のし尿・浄化槽汚泥の処理については本市清 掃工場及び業者委託で焼却処理しています(図 4-1) 。 清掃工場・業者委託 (焼却処理) 1,063t し尿 4,711 kL 西浦処理場 業者委託 (堆肥化) 1,572t 浄化槽汚泥 56,344 kL 平成27年度実績値 図 4-1 本市のし尿・浄化槽汚泥の処理の流れ 63 4.1.2 処理形態別人口 処理形態別の人口の推移は平成 27 年度現在、浄化槽処理人口は 184,722 人(29.4%) 、くみ取り 人口は 5,462 人(0.9%)となっています(表 4-1、図 4-2) 。 表 4-1 処理形態別人口の推移 公共下水道人口 浄化槽処理人口 くみ取り人口 自家処理人口 総人口 H18 294,067 279,780 12,381 0 586,228 H19 308,987 274,563 11,058 0 594,608 H20 331,463 260,838 10,000 0 602,301 H21 373,376 226,695 9,264 0 609,335 単位:人 H22 395,038 209,553 8,503 0 613,094 公共下水道人口 浄化槽処理人口 くみ取り人口 自家処理人口 総人口 H23 411,650 194,932 7,801 0 614,383 H24 424,024 185,182 6,670 0 615,876 H25 430,101 183,923 6,365 0 620,389 H26 434,624 183,780 5,992 0 624,396 H27 437,632 184,722 5,462 0 627,816 ※出典:公共下水道人口 水洗化済人口 浄化槽人口 総人口-水洗化済人口-くみ取り人口-自家処理人口 くみ取り人口・自家処理人口 千葉県ホームページ 清掃事業の現況と実績 総人口 住民基本台帳+外国人登録(各年3月末日) ※生活排水編は「東京湾流域別下水道整備総合計画」に基づき、各年3月末日を基準日としているため、人口の将来予測 には各年4月1日を基準日とする「船橋市人口ビジョン」を1年前倒しして使用しております。 (人) 700,000 600,000 2.1% 1.9% 1.7% 500,000 43.3% 47.7% 46.2% 1.5% 1.4% 1.3% 1.1% 1.0% 1.0% 0.9% 29.4% 31.7% 30.1% 29.6% 29.4% 37.2% 34.2% 400,000 300,000 200,000 50.2% 52.0% 55.0% 68.8% 69.3% 69.6% 69.7% 61.3% 64.4% 67.0% 100,000 0 H18 H19 H20 公共下水道人口 H21 H22 H23 H24 浄化槽処理人口 図 4-2 処理形態別人口の推移 64 H25 H26 くみ取り人口 H27 (年度) 4.1.3 し尿・浄化槽汚泥処理の経緯 昭和 40 年6月に清掃法の一部改正が行われ、し尿処理は自治体の直営又は委託方式で行わなけ ればならないこととなり、自治体のし尿処理の責任が明確化されました。このため、昭和 43 年4 月から本市のし尿収集は委託方式に切替え、さらに同年7月には公共性の確保、市民サービスの向 上の見地から、 (社)船橋市清美公社が設立され、公衆衛生の向上が図られました。 近年では、生活環境の向上に伴い、下水道が整備されていない区域については合併処理浄化槽に よる水洗化が普及しています。 本市では、昭和 63 年度には、生活衛生の向上と、公共用水域の水質汚濁防止を図るため、合併 処理浄化槽の設置に対する補助金の交付を開始し、平成 16 年度からは単独処理浄化槽から合併処 理浄化槽への転換に対し補助金の上乗せを行うとともに、窒素・リン除去タイプの高度処理型合併 処理浄化槽の設置に対する補助金の交付を加え制度を拡充しました。なお、平成 13 年度に、浄化 槽法の一部改正に伴い、浄化槽を設置する際は、合併処理浄化槽の設置が義務付けられました。 施設面では昭和 40 年に運転を開始した、本市初のし尿処理施設である旧西浦処理場が稼働 30 年 を経過し、施設の老朽化と浄化槽普及に伴い、浄化槽の設置数が増え浄化槽汚泥の処理量が増加し たことにより、平成 11 年には新たなし尿・浄化槽汚泥処理施設として、西浦処理場が稼働し、現 在に至っています。 65 4.1.4 浄化槽の設置数の推移 浄化槽の設置数は公共下水道の普及により、年々減少傾向にあります。 また、平成 13 年度の浄化槽法の改正により、単独処理浄化槽の新設が禁止されていることから、 合併処理浄化槽の比率が増加しています。 平成 27 年度における浄化槽の設置数は 34,081 基で、うち合併処理浄化槽の設置数は 13,348 基 (39.2%) 、単独処理浄化槽は 20,733 基(60.8%)となっています(表 4-2、図 4-3) 。 表 4-2 浄化槽の設置数の推移 合併処理浄化槽 単独処理浄化槽 合計 H18 13,318 41,732 55,050 H19 14,450 40,247 54,697 H20 15,345 39,103 54,448 H21 14,991 35,352 50,343 単位:基数 H22 14,719 32,924 47,643 合併処理浄化槽 単独処理浄化槽 合計 H23 14,486 30,404 44,890 H24 13,538 30,175 43,713 H25 13,408 23,774 37,182 H26 13,253 21,932 35,185 H27 13,348 20,733 34,081 ※出典:平成 27 年度 清掃・環境衛生事業概要 船橋市環境部 (基数) 60,000 50,000 40,000 41,732 40,247 39,103 35,352 30,000 32,924 30,404 30,175 23,774 21,932 20,733 13,348 20,000 10,000 13,318 14,450 15,345 14,991 14,719 14,486 13,538 13,408 13,253 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 0 合併処理浄化槽 単独処理浄化槽 図 4-3 浄化槽の設置数の推移 66 H27 (年度) 4.1.5 収集・運搬の現状 (1) し尿・浄化槽汚泥の収集体制 ア) し尿の収集体制 し尿の収集は、 (公社)船橋市清美公社に委託しています。し尿収集に使用している運搬車両は バキューム車2tが1台、3tが7台です(表 4-3) 。 表 4-3 運搬車両の状況 台数 バキューム車 2t 1 バキューム車 3t 7 合計 8 ※出典:平成 27 年度 清掃・環境衛生事業概要 船橋市環境部 イ) 浄化槽の清掃及び汚泥の運搬 浄化槽の清掃及び汚泥の運搬については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び浄化槽法に 基づき、4業者に許可しています。 67 (2) し尿・浄化槽汚泥の推移 し尿及び浄化槽汚泥の合計収集量は年々減少しており、平成 27 年度の収集量は 61,055kL とな っています(表 4-4、図 4-4) 。 表 4-4 し尿・浄化槽汚泥の推移 し尿 浄化槽汚泥 合計 H18 9,965 90,726 100,691 H19 8,959 88,990 97,949 H20 8,138 87,009 95,147 H21 7,381 84,250 91,631 単位:kL H22 6,843 77,614 84,457 し尿 浄化槽汚泥 合計 H23 6,377 68,350 74,727 H24 6,316 64,684 71,000 H25 5,545 62,104 67,649 H26 5,261 57,559 62,820 H27 4,711 56,344 61,055 ※出典:平成 27 年度 清掃・環境衛生事業概要 船橋市環境部 (kL) 120,000 100,000 80,000 60,000 90.1% 90.9% 91.4% 91.9% 91.9% 91.5% 91.1% 91.8% 91.6% 92.3% 40,000 20,000 0 9.9% 9.1% 8.6% 8.1% 8.1% 8.5% 8.9% 8.2% 8.4% 7.7% H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 (年度) し尿 浄化槽汚泥 図 4-4 し尿・浄化槽汚泥の推移 68 4.1.6 中間処理の現状 (1) 西浦処理場の概要 本市で発生するし尿・浄化槽汚泥は、西浦処理場で処理しています。西浦処理場の概要は表 4-5に示すとおりです(図 4-5) 。 表 4-5 西浦処理場の概要 施設名 ごみ 西浦処理場 し尿・浄化槽汚泥 処理方法 処理能力 膜分離高負荷生物脱窒素処理方式 第 1 系列:180kL/日 嫌気性硝化方式 第 2 系列:200kL/日 西浦処理場 船橋市西浦 1 丁目 4 番 1 号 図 4-5 西浦処理場の位置図 69 (2) 西浦処理場の脱水汚泥・し渣・沈砂の発生量 西浦処理場の第1系列では、し尿・浄化槽汚泥を処理しています。第2系列では下水処理場か ら発生する汚泥と合わせて、し尿と浄化槽汚泥を処理しています。前処理のスクリーンからし渣 (布・木くず等) 、遠心脱水機から繊維汚泥(紙類を含む汚泥) 、フィルタープレス機から脱水汚 泥(脱水ケーキ) 、貯留槽等の清掃作業から沈砂が発生します。第2系列では下水処理場のもの と合わせ処理されます。第1系列から発生する脱水汚泥等の推移は以下のとおりです(表 4-6、 図 4-6) 。 脱水汚泥は平成 17 年度までは、本市の北部清掃工場及び南部清掃工場で焼却処理し、焼却灰 は他県の最終処分場に運搬し埋立処分していましたが、平成 18 年度からは繊維汚泥及び脱水汚 泥の大部分は民間委託により堆肥化しています。それ以外の繊維汚泥及び脱水汚泥と、堆肥化に 不適なし渣、沈砂は市の北部清掃工場及び南部清掃工場と民間処分場で焼却処理し、焼却灰は最 終処分場に埋立処分しています。 今後も西浦処理場から発生する脱水汚泥等については、衛生的な処理に努めると共に減容化及 び資源化を進めていきます。 表 4-6 西浦処理場の脱水汚泥・し渣・沈砂の発生量 H18 西浦処理場の脱水汚泥・し渣・ 沈砂発生量(第1系列) H19 3,372 3,486 H23 西浦処理場の脱水汚泥・し渣・ 沈砂発生量(第1系列) H20 H24 3,101 3,218 H25 2,989 2,749 H21 3,078 H26 2,531 (t) 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 (年度) 西浦処理場の脱水汚泥・し渣・沈砂発生量(第1系列) 図 4-6 西浦処理場の脱水汚泥・し渣・沈砂の発生量(第1系列) 70 単位:t H22 3,030 H27 2,644 4.2 人口及びし尿・浄化槽汚泥の将来予測 4.2.1 処理形態別の人口の将来予測 公共下水道の整備に伴い、浄化槽処理人口及びくみ取り人口は、減少するものと予測されます(表 4-7、図 4-7) 。 また、浄化槽処理人口のうち合併処理人口と単独処理人口の比率については新たな単独処理浄化 槽の設置が禁止されていることから合併処理人口の比率が増加すると予測されます。 表 4-7 処理形態別の人口の将来予測結果(推計分のみ) 単位:人 公共下水道人口 浄化槽処理人口 くみ取り人口 自家処理人口 総人口 H28 452,143 171,850 5,044 0 629,037 H29 467,166 159,082 4,630 0 630,878 H30 482,050 146,168 4,212 0 632,430 H31 496,788 133,135 3,789 0 633,712 H32 511,371 119,996 3,364 0 634,731 公共下水道人口 浄化槽処理人口 くみ取り人口 自家処理人口 総人口 H33 525,789 106,772 2,936 0 635,497 H34 540,038 93,482 2,506 0 636,026 H35 554,046 80,131 2,074 0 636,251 H36 567,830 66,743 1,641 0 636,214 H37 581,473 53,343 1,208 0 636,024 H38 594,974 39,943 775 0 635,692 ※公共下水道人口は水洗化済人口を指します。 ※生活排水編は「東京湾流域別下水道整備総合計画」に基づき、各年3月末日を基準日としているため、人口の 将来予測には各年4月1日を基準日とする「船橋市人口ビジョン」を1年前倒しして使用しております。 (人) 700,000 2,936 5,462 600,000 775 39,943 106,772 184,722 500,000 400,000 300,000 594,974 525,789 437,632 200,000 100,000 0 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 実績 公共下水道人口 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 推計 浄化槽処理人口 くみ取り人口 図 4-7 処理形態別の人口の将来予測結果 71 H36 H37 H38 (年度) 4.2.2 し尿・浄化槽汚泥の将来予測 し尿・浄化槽汚泥の将来予測については、図 4-7に示す処理形態別の人口にし尿・浄化槽汚泥 の1人1日あたりの発生量を乗じて求めます。し尿・浄化槽汚泥の発生量は、今後減少することが 予想され、平成 38 年度には約 12,851kL になると予測されます(表 4-8、図 4-8) 。 表 4-8 し尿・浄化槽汚泥の将来予測結果(推計分のみ) 単位:kL し尿 浄化槽汚泥 合計 H28 4,351 52,418 56,769 H29 3,994 48,523 52,517 H30 3,633 44,584 48,217 H31 3,268 40,609 43,877 H32 2,902 36,601 39,503 し尿 浄化槽汚泥 合計 H33 2,532 32,568 35,100 H34 2,162 28,514 30,676 H35 1,789 24,442 26,231 H36 1,415 20,358 21,773 H37 1,042 16,271 17,313 H38 668 12,183 12,851 (kL) 120,000 100,000 80,000 60,000 40,000 56,344 32,568 20,000 12,183 4,711 2,532 668 0 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 実績 H29 H30 H31 H32 H33 H34 推計 し尿 浄化槽汚泥 図 4-8 し尿・浄化槽汚泥の将来予測結果 72 H35 H36 H37 H38 (年度) 4.3 し尿・浄化槽汚泥処理の課題 4.3.1 普及・啓発の課題 (1) 生活排水に関する情報提供 公共下水道あるいは合併処理浄化槽への切替え事業は、生活環境の保全と公衆衛生の向上の観 点から必要な事業であり、事業を進めていくにあたっては、公共下水道の整備等を迅速に行うこ とはもちろん、切替えの必要性を市民に理解してもらうことが不可欠です。 排水処理施設の切替え事業を円滑に進めていくために、今後とも、市民へ排水処理に関する情 報の提供及び切替えの呼びかけを行っていく必要があります。 4.3.2 収集・運搬の課題 (1) し尿及び浄化槽汚泥の収集運搬 し尿及び浄化槽汚泥の収集運搬については、将来の収集量の減少を考慮し、効果的で効率的な 収集運搬を検討する必要があります。 4.3.3 処理・処分の課題 (1) 生活雑排水 本市では、単独浄化槽が平成 27 年度時点で 20,733 基も利用されており、生活雑排水の未処理 放流が課題となっています。 この課題に対処するため、公共下水道の整備を急速に進めているところですが、市全域へ公共 下水道が普及するまでには相当な期間を要するため、それまでの間は、単独処理浄化槽から合併 処理浄化槽への転換や高度処理型合併処理浄化槽の普及・促進を図る必要があります。 (2) 西浦処理場 西浦処理場では、平成 11 年4月に稼働してから、市内のし尿・浄化槽汚泥を処理してきまし たが、公共下水道の整備や合併処理浄化槽への転換により、搬入されるし尿・浄化槽汚泥の減少 や質の変化が課題となっています。 そのため、現在の稼働状況や公共下水道の普及率の見通し等を踏まえ、今後の西浦処理場のあ り方について検討する必要があります。 73 4.4 計画の基本フレーム 4.4.1 基本理念 平成 13 年に循環型社会形成推進基本法が施行されたことにより、従来の生活環境の保全と公衆 衛生の向上に加え、循環型社会を構築することが求められるようになりました。そのため、生活排 水処理においても、適正処理だけではなく、できる限り資源循環を図っていくことが求められてい ます。 よって、生活排水処理基本計画の策定にあたっては、ごみ処理基本計画の基本理念と同様に、 『循 環型社会実現に向けたステップアップ』を基本理念として掲げます。 なお、全県域汚水適正処理構想(船橋市原案)によって、ほぼ市内全域公共下水道処理区域となる 予定であることから、以下のとおり基本方針を定めます。 4.4.2 基本方針 方針 1 生活排水処理事業における循環システムの向上を図る し尿・浄化槽汚泥の処理によって発生する脱水汚泥の資源化をより一層促進していくとともに、 し尿・浄化槽汚泥量の減少等、公共下水道や合併処理浄化槽の整備に伴う課題等に総合的に取組み、 生活排水処理事業における循環システムの向上を図っていきます。 方針2 生活雑排水の適正処理化を目指す 単独処理浄化槽が現在でも 20,733 基利用されているため、生活雑排水が未処理のまま公共用水 域へ排出されています。このため、生活雑排水を適正に処理する公共下水道あるいは合併処理浄化 槽に転換することにより、身近な水域の水質保全を図っていきます。 方針3 効率的な生活排水処理事業を推進する 全県域汚水適正処理構想(船橋市原案)によって、ほぼ市内全域公共下水道処理区域となる予定 ですが、整備が完成するまでの当面の間は、公共下水道の整備、合併処理浄化槽の設置、及び西浦 処理場の今後の運転や整備方針等について、経済性を十分に考慮し、効率的で適切な生活排水処理 事業の推進を図っていきます。 74 4.5 個別施策 4.5.1 普及・啓発計画 (1) 施策項目 1.水質浄化に対する意識啓発 2.地域に根ざした普及・啓発活動の推進 (2) 施策の内容 1-① 公共下水道の整備状況 継続 公共下水道の事業計画区域内の整備を計画どおりに促進させるとともに、公共下水道の整 備済み区域内での未接続家庭を減らすように努めていきます。 2-② 高度処理型合併処理浄化槽への転換の推進 継続 東京湾や印旛沼など閉鎖性水域の窒素・リンによる富栄養化を防止するため、くみ取り・単 独処理浄化槽から高度処理型合併処理浄化槽へ転換する場合を対象にした設置補助事業を実 施し、より処理能力の高い高度処理型合併処理浄化槽への転換を推進していきます。 3-③ 水質浄化に対する意識の高揚 継続 身近な水路・側溝等の水質を改善していくためには、くみ取り・単独処理浄化槽から合併 処理浄化槽へ転換していくことが必要であるということを認識してもらえるように、市民・ 事業者に対し広報・啓発を行い、水質浄化に対する意識の高揚に努めていきます。 4-④ 浄化槽の保守点検・清掃及び法定検査の実施に対する指導 継続 浄化槽が期待される処理能力を発揮するためには、定期的な保守点検・清掃及び法定検査の 実施が必要であり、法的にも浄化槽管理者に対して義務付けられています。 広報・ホームページ掲載及びイベント等で浄化槽パンフレットの配布を行う等、浄化槽管 理者に対し適正な維持管理の重要性について、周知徹底を図っていきます。 75 4.5.2 収集・運搬計画 (1) 施策項目 1.安定的かつ経済的な収集・運搬体制の確保 (2) 施策の内容 2-① 効率的な収集体制の見直し 継続 公共下水道の普及がさらに進み、し尿・浄化槽汚泥の発生量は、今後減少することが予想 されるため、収集量の減少に併せて、効率的に収集ができるように、収集車両及び人員配置 等の収集体制について随時、検討していきます。 76 4.5.3 処理・処分計画 (1) 施策項目 1.資源循環の促進 2.効率的な中間処理体制の検討 (2) 施策の内容 3-① 脱水汚泥の資源化 継続 し尿・浄化槽汚泥の処理に伴って発生する脱水汚泥については、平成 18 年より堆肥化によ る資源化を行っており、今後も最終処分量の削減及び循環型社会の実現の観点から、積極的 に資源化を進めていきます。 3-② 西浦処理場の整備計画 新規 ア) 西浦処理場の現状 西浦処理場は昭和 44 年より稼働しており、平成 11 年4月の建替えからも 17 年経過しているこ とから、施設の老朽化が進んでおります。 また、公共下水道の整備により、公共下水道人口(水洗化済人口)が増加する一方で、浄化槽 処理人口及びくみ取り人口は減少傾向にあります(図 4-9) 。 その結果、西浦処理場で処理するし尿・浄化槽汚泥量は年々減少しています。 (人) 800,000 95.0% 700,000 97.5% 82.0% 600,000 567,830 594,974 511,371 500,000 100.0% 90.0% 80.0% 437,632 60.0% 400,000 300,000 40.0% 200,000 20.0% 100,000 0 0.0% H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 H38 実績 (年度) 推計 公共下水道人口(水洗化済人口) 公共下水道の整備済み区域内人口普及率 図 4-9 公共下水道整備済区域内人口普及率及び公共下水道人口の将来予測結果 77 西浦処理場の1日あたりの処理可能下限量は 60kL となっていますが、し尿・浄化槽汚泥発 生量の将来予測をみると、平成 37 年度には、1日あたりの発生量が 54kL となり、処理可能 下限量を下回る結果となっています(表 4-9、図 4-10) 。 表 4-9 西浦処理場における1日あたりのし尿・浄化槽汚泥発生量(推計分のみ) 単位:kL/日 H28 し尿 浄化槽汚泥 合計 H29 14 161 175 H33 し尿 浄化槽汚泥 合計 H30 13 149 162 H34 8 100 108 H31 12 136 148 H35 7 88 95 H32 11 124 135 H36 6 75 81 9 113 122 H37 5 62 67 H38 4 50 54 3 37 40 (kL/日) 300 250 200 150 西浦処理場の処理可能下限量 【60kL/日】 100 54 50 40 0 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 H38 (年度) 実績 推計 し尿 浄化槽汚泥 図 4-10 1日あたりのし尿・浄化槽汚泥発生量と西浦処理場の処理可能下限量の比較 これらのし尿・浄化槽汚泥の発生量はあくまで推計であるため、平成 37 年を待たずして処 理下限値を下回ることも考えられます。一方で、下水道の普及率があがっていっても、少量 のし尿・浄化槽汚泥は必ず発生するため、その分については継続的に処理を行っていく必要 があります。 イ) 西浦処理場の前処理施設化 このような現状を踏まえ、効率的で適切なし尿・浄化槽汚泥処理が行えるよう、西浦下水処理場 の運用と併せて、西浦処理場の今後のあり方について検討を続けてきました。 その結果、今後は、市内で発生するバイオマスの資源化、温室効果ガスや最終処分量の削減の観 点から、西浦下水処理場をバイオマスエネルギー利活用施設として活用していくこととしました。 ついては、下水汚泥と併せて、し尿・浄化槽汚泥や給食残渣等の生ごみといった地域バイオマス 78 をバイオマスエネルギーとして利活用していくことも検討していきます。 また、環境省のごみ処理基本計画策定指針を踏まえ、バイオマスエネルギー利活用施設の整備と 併せて、西浦処理場をバイオマスエネルギー利活用施設(西浦下水処理場)で処理を行うためにご みを取除いた後、機械で濃縮し水分調整を行う前処理施設として活用することとします。 西浦処理場を現行の施設のまま運転継続した場合とバイオマスエネルギー利活用施設(西浦下水 処理場)の前処理施設として利用した場合の施設運転・維持管理費を比較しました(図 4-10、図 4-11) 。 西浦処理場を現行の施設のまま運転した場合、西浦下水処理場で受入れ可能になる 82kL/日を下 回る平成 35 年度の維持管理費は年間約 26.7 千万円になると見込まれています。一方で、前処理施 設化を実施した場合の維持管理費は年間約 10.0 千万円と見込まれています。 よって、平成 33 年度以降の運転を継続した場合と前処理施設化した場合の維持管理費を比べて みると、33 年度と 34 年度は年間約 2 千万円の維持管理コストの削減が可能で、35 年度以降は年間 約 60%の維持管理コストの削減が可能であると試算しました。 なお、前処理施設化にあたっては、工事費等の初期費用が必要となりますが、維持管理コストの 削減により、初期費用を考慮したとしても、現行の施設のまま運転した場合と比較して、費用を抑 えられると考えられます。 表 4-10 現行の施設のまま運転を行った場合と前処理施設化を行った場合の 施設運転・維持管理費の内訳 単位:千万円(税込み) H27 現行の施設のまま運転を行った場合の 施設運転・維持管理費 H28 H29 H30 37.1 37.1 37.1 維持管理費 8.4 8.4 運転管理委託費 8.0 8.0 汚泥処理費 その他運営費 H32 35.6 32.8 30.0 8.4 8 7.3 6.6 8.0 7.7 7.2 6.6 5.4 5.4 5.4 4.5 3.0 1.4 15.3 15.3 15.3 15.4 15.3 15.4 H33 現行の施設のまま運転を行った場合の 施設運転・維持管理費 H31 H34 H35 H36 H37 H38 29.1 28.6 26.7 26.6 24.7 24.7 維持管理費 6.4 6.3 5.3 5.2 4.2 4.2 運転管理委託費 6.5 6.5 5.8 5.8 5.1 5.1 汚泥処理費 0.8 0.5 0.3 0.2 0.2 0.2 15.4 15.3 15.3 15.4 15.2 15.2 26.8 26.6 10.0 10.0 10.0 10.0 維持管理費 5.3 5.2 6.6 6.6 6.6 6.6 運転管理委託費 5.8 5.8 3.1 3.1 3.1 3.1 その他運営費 前処理施設化を行った場合の 施設運転・維持管理費 汚泥処理費 その他運営費 0.3 0.2 0.3 0.3 0.3 0.3 15.4 15.4 0.0※ 0.0※ 0.0※ 0.0※ ※前処理施設化の工事費は含まれていない。 ※前処理施設化を行った場合の平成 35 年度以降のその他運営費は 20 千万円程度かかる予定。 79 (千万円) 40 37.1 37.1 37.1 35.6 35 32.8 30.0 30 29.1 28.6 26.6 26.6 26.7 26.8 25 24.7 24.7 20 年間約60%の 削減 15 10.0 10.0 10.0 10.0 10 5 0 H27 実績 H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 H38 (年度) 推計 現行の施設のまま運転を行った場合の施設運転・維持管理費 前処理施設化を行った場合の施設運転・維持管理費 ※前処理施設化の工事費は含まれていない 図 4-11 現行の施設のまま運転を行った場合と前処理施設化を行った場合の 施設運転・維持管理費の比較 以上の結果を踏まえると、平成 37 年を待たずにできるだけ前倒しして、バイオマスエネルギー 利活用施設の導入と併せて、西浦処理場の前処理施設化を進めていくことが望ましいと考えられま す。 ウ) 施設整備にあたっての課題 西浦下水処理場及び西浦処理場は下水道事業またはし尿・汚泥処理事業として都市計画決定を行 って事業許可を受けていますが、バイオマスエネルギー利活用施設の整備や前処理施設化を行うに あたり、その設備(建屋等)を新設する場合には、都市計画の変更手続きを行なわなければなりま せん。 また、生ごみや調理くず、売れ残りや食べ残しの食品廃棄物を処理するために、その処理施設を 新設する場合は、一般廃棄物処理施設設置の許可が必要となりますが、西浦処理場の前処理施設化 のように、既存のし尿浄化槽汚泥処理施設にて生ごみの受入れを行うための関連施設を増設する場 合は、過去の一般廃棄物処理施設変更届にて対応がなされている事例もあるため、都市計画手続き と併せて、対応を行っていく必要があります(表 4-11) 。 80 表 4-11 区 分 対 象 し尿・ 浄化槽 汚泥 一 般 廃 棄 物 西浦下水処理場及び西浦処理場における地域バイオマスの処理に関する法的要 件 搬入者の 要件 廃棄物処理施設の 該当性 都市計画施設の 位置づけ 【西浦処理場】 【西浦処理場】 「汚物処理場」の位置づ 一般廃棄物処理施設設置 けあり 一般廃棄物 届対応済み 収集運搬 【西浦下水処理場】 許可業者 【西浦下水処理場】 (昭和47年の建設省通達 一般廃棄物処理施設設置 に基づく区域内し尿の受 届対応済み 入れによる対応とみられ る) 5t/日以上の場合、一般 廃棄物処理施設設置許可 が必要(生活環境影響調 調理くず・ 一般廃棄物 査結果を添付) 残飯等の 収集運搬 生ごみ 許可業者 ただし、5t/日未満の場 合、都市計画決定は不要 だが、一般廃棄物処理施 設設置届が必要 産 業 食品加工 廃 残渣 棄 物 備考 5t/日以上の許可施設で 投入口等の関連施設を建 築物として設置する場 合、「その他処理施設」 として都市計画決定する 必要があるとみられる - 西浦処理場内の既存設 備、既存搬入形態で受け 入れる場合は、軽微変更 扱いでの対応とみられ る。 ただし、廃棄物処理施設 ただし、増設を伴う場合 設置許可が不要であれ は、変更届が必要となり ば、都市計画手続きも不 うる(要事前確認) 要(要事前確認) メタン発酵処理の場合、 設置許可を必要としな い。 産業廃棄物 収集運搬 ただし、有償で食品加工 許可業者 残渣を処理する場合は、 産業廃棄物中間処理業の 許可が必要とみられる (事前要確認) バイオガス発電に利用す ることを前提に、有価物 (逆有償または無償)と して受け入れる場合で も、産業廃棄物のため、 許可業者による搬入とな り、引き取り側でマニ フェストを交付しなけれ ばならない。 - (3) 施策実施工程 実施施策名 短期 中期 長期 (2 年以内) (5 年以内) (10 年以内) 西浦処理場の整備計画 81
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