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Ⅲ
提案を具体的に考えたい
2. 他の地方公共団体における提案募集方式の検討・推進体制
提案主体である地方公共団体においては、提案に当たり、首長を含め関係部局間で十分な議論を重ねるととも
に、提案内容が一団体の事情によるものでなく複数団体で共通のものとして一定程度の広がりをもつよう地域間
の連携を図るなど、それぞれの地域の実情に即した説得力ある提案を行うための工夫が重要です。
ここでは、平成 26 年に提案募集方式が導入されて以降、毎年提案を続け、提案実現の主だった成果を上げて
いる団体の独自の工夫による持続的かつ効果的な取組を紹介します。
事例
連続最多の提案! 庁内外の連携による提案募集への対応
(兵庫県/企画県民部広域調整課)
Point ①地方分権担当課が分権の観点から提案できそうな事例を掘り起こし
②関係団体等からの要望や住民の声は支障事例を見つける糸口
兵庫県
③現場で住民や事業者と接している市町村との連携が大切
取組の背景
兵庫県の場合
県知事が連合長を務める関西広域連合や兵庫県の地方 6 団体が結束して地方自治の諸課題に対応する兵庫
県地方分権自治代表者会議等を含め、地方分権改革に積極的に取り組んでいる。
一方、実態として、地方分権担当課と事業担当課との間には提案募集に対する認識のギャップがあり、機
械的に庁内へ依頼するだけでは良い提案が集まらないと判断。
地方分権担当課の悩み
例)●提案が出されても具体的な支障事例がなく、べき論に終始してしまう。
●無理やり提案を出してもらっても、その後の対応では事業担当課からの協力が得られにくい。
事業担当課の本音
例)●制度改善は求めたいが、具体的な支障事例がなかなか見当たらない。
●提案を出せば国からの質問や資料要求があり大変なうえ、所管省庁との関係が悪くなることを懸念。
過年度では
自ら提案しないが共同提案には応じるといった市町が見られ、こうした市町は現場での支障事例はあるも
のの、自らが提案することに躊躇しているものと考えられる。
取組の概要
① 地方分権担当者が自ら提案のアイデアを探し、庁内へ依頼
【提案のアイデアの探し方】
●議会や関係団体からの予算要望や政策要望から探す
要望の背景や課題等から、支障事例の掘り起こしにつながる。
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平成28年は
地方分権担当課にて計25の
提案を発案
ここから
提案募集の取組や
進捗状況を確認 !
●国への予算要望や特区提案から探す
地方分権の観点でも共通した支障となっている可能性がある。
Ⅲ 提案を具体的に考えたい
●知事の定例記者会見や講演内容から探す
重要施策や政策的な課題に関する発言等から提案を検討。
②地方分権改革に関する事業担当課の理解を促進
庁内説明会の開催
⇒過去に実現した提案のポイントを共有、事業担当課の検討を促進
庁内で情報を効率的に共有する「地方分権改革掲示板」の設置・活用
地方分権推進掲示板
③県独自の「県・市町連携提案」を実施
県が、各市町から支障事例を募り、提案可能なものは県と市町が共同提案する仕組みを構築
⇒提案を躊躇する市町も、県との共同であれば前向きに考えてもらいやすい。
県・市町間で相互派遣している職員が窓口となれば、調整がスムーズに進む場合もある。
・積極的な提案
・支障事例の提出
提案
市町が提案主体
県から市町へ依頼
※可能な限り県も共同提案
各市町で検討
内閣府
県・市町連携
等
支障事例を県に提出
県・市町連携提案の仕組み
他の地方公共団体における提案募集方式の検討・推進体制
2
取組の成果
注 目
過去 3 年における兵庫県の提案実績
平 成 26 年 以 降、 兵 庫 県 は 3 年
①提案総数
連続で提案し、共同提案を含む提
出数は、全地方公共団体の中で平
953
76(15.0%)
〔 107(10.4%)〕
7〔9〕
H27
334
48(48.5%)
〔 100(14.2%)〕
4〔14〕
H28
303
29(34.9%)
〔 83(14.3%)〕
5〔12〕
正 さ れ た 法 律 15 本 の う ち 5 本が
兵庫県
(共同提案を含む)からの提
③
②のうち提案実現数
H26
成 27 年、28 年と 2 年連続で最多。
第 6 次地方分権一括法では、改
②兵庫県の提案数
案(平成 26 年提案を含む)による
※
( )
内は全都道府県の提案数のうち、兵庫県の提案数が占める割合
ものとなっている。
〔 〕
内は共同提案を含む数値
MESSAGE
兵庫県 企画県民部 広域調整課長 竹谷
昭宏
地方創生を実現するためには、住民に身近で地域の課題を把握している地方が主体的
に取り組めるよう、国から地方への権限移譲と自由度の高い財源の充実が不可欠です。
平成 26 年度から地方の発意に根差した地方分権改革を進める
「提案募集方式」
が始ま
りました。私たち地方公共団体職員からの声が地方分権を進める原動力となります。
今後も、住民の皆さんに地方分権の成果を実感していただけるよう、積極的に提案を
行っていきたいと思っています。
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Ⅲ
提案を具体的に考えたい
2. 他の地方公共団体における提案募集方式の検討・推進体制
事例
「国へのチャレンジ提案」で、
『地方分権改革』
『人材育成』
『職場風土づくり』の一石三鳥!(豊田市(愛知県)/経営戦略室)
Point 3 つのカイゼン
①提案へのハードルを極力下げる
愛知県
豊田市
②現場の意見を引き出す仕組みへ見直す
③ボトムアップ型のアイデアを活かせる風土へ変えていく
取組の背景
豊田市の場合
①チャレンジを大事にする風土づくり
●
「改革・創造思考に根ざした挑戦する職員」をめざす職員像とした人材育成
●改善を奨励する職員提案制度の実施(50 年程度継続。年間 1,300 件以上(平成 27 年))
●規制改革・先進実証への取組の参加
②新たなチャレンジ
●
「国にも意見を言い、枠にとらわれず仕事を変える職員と職場風土」を育てる観点から、上記の職員
提案制度の一環(特別版)として、提案募集方式を活用
取組の概要
①職員提案制度
「国へのチャレンジ提案」としての提案の庁内募集
【目的】
●地方分権改革
●人材育成、職場風土の改革
【主な工夫点】
●従来の職員提案制度の一環
(特別版)
として実施
●提案のハードルを下げるため、所属としての意見だけでなく職員個人の意
見を募集
意見の提出に当たっては、意見に係る事業担当課の課長審査で 3 段階の評価
(A:すばらしい、B:修正の余地あり、C:よくない)
を実施。
いずれの評価の意見も幅広く受け付けることとしている。
●幹部会議等での周知・協力依頼、庁内メール・掲示板、意欲ある職員へ
の個別の呼びかけ など
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庁内の募集告知