JICA モンゴル事務所ニュースレター 2017 年 2 月号 トップニュース 第4火力発電所向け連続排ガス監視システム(CEMS)の引渡式実施 引渡式の様子(引渡文書を交換) 技プロ「ウランバートル市大気汚染対策能力強化プロジェクトフェーズ2」ではウランバートル市 大気汚染削減局を主なカウンターパートとして、大気環境のモニタリング、ボイラやバスなど排 出源のモニタリングと汚染物質の分析能力の強化に取り組み、人材育成を支援しています。2 月8日、同 PJ を通じてモンゴル国内最大の発電所である第4火力発電所に設置・供与した連 続排ガス監視システム(CEMS)の引渡式が開催されました。CEMS の活用により同発電所 から排出される煤塵や窒素酸化物(NOx)、二酸化硫黄(SO2)などの適切な測定が継続的に 行われていくことで、ウランバートル市におけるさらなるモニタリング体制の強化や汚染状況の 正確な把握につながり、汚染対策に活かしていくことが期待されます。 政治・経済動向 モンゴル政府、国際通貨基金(IMF)ミッションと支援枠組みについて合意 2 月 19 日、モンゴル政府は国際通貨基金(IMF)から Extended Fund Facility(EFF/拡大信用供与)により 4 億 4 千万 米ドルの融資を受けることに合意するとともに、アジア開発銀行や日本、中国等からの支援を含め総額 55 億米ドルの財政支 援を受ける見通しであることを発表しました。モンゴルは鉱物資源価格の下落等を背景に経済が低迷する中、最近では、 2017 年 3 月に償還期限を迎える政府系のモンゴル開発銀行の社債 5 億 8 千万米ドルについてデフォルトリスクが囁かれて いました。他方、IMF 支援条件には、燃料等の増税や関税引き上げ、年金受給年齢引き上げ等が盛り込まれているとされ、 市民の受け止め方が注目されます。 プロジェクトの動き 公共投資プログラム(PIP)全体プロセス課題整理ワークショップ開催 ワークショップの様子 1 月 31 日に、モンゴル開発政策・公共投資にかかる基礎情報収集・確認調査の一環とし て、国家開発庁と大蔵省の参加を得て公共投資プログラム(PIP)全体プロセス課題整理ワ ークショップが開催されました。現政権によって新設された国家開発庁は PIP 策定・実施モ ニタリング・評価レビュープロセスの責任官庁として位置付けられています。本ワークショップ は、2017 年 5 月の閣議提出に向けて PIP を策定している国家開発庁が、現段階で、ある いは PIP 策定後の実施段階において直面する課題を参加者とともに整理・共有するととも に、PIP の一連のプロセスにおける NDA と大蔵省の役割を整理したほか、今後想定され る JICA 支援の方向性について、モンゴル側意向を確認する場にもなりました。 「馬の解剖マニュアル(モンゴル語翻訳版)」の贈呈式 贈呈式の様子 モンゴルで初となる地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)案件 「家畜原虫病の疫学調査と社会実装可能な診断法の開発プロジェクト」が 2014 年 6 月か ら 5 年間の予定で実施されています。同 PJ は、モンゴル国立生命科学大学獣医学研究 所と帯広畜産大学の共同研究による疫学調査および簡易迅速診断法の開発を通して、 獣医学研究所の家畜原虫病(トリパノソーマ病、ピロプラズマ病)の早期摘発および予防・ 対策のための研究開発能力の向上を目指しています。同 PJ ではその活動の一環とし て、帯広畜産大学で作成された「馬の解剖マニュアル」をモンゴル語に翻訳した教科書を 作成し、1 月 24 日に 300 冊を生命科学大学獣医学部に贈呈しました。今後は、この教科 書がモンゴルの獣医師育成および地方獣医師の能力強化に役立てられることが期待され ます。 「社会保険実施能力強化プロジェクト」年金数理研修の実施 自分の推計について専門家に説明する研修生 1 月 30 日~2 月 10 日の 2 週間にわたり、「社会保険実施能力強化プロジェクト」の一環 で、モンゴルにて年金数理研修が実施されました。昨年12 月に引き続き、年金数理研修 は 2 度目になります。研修では、関係省庁の行政官等を対象に、モンゴルの将来推計人 口や年金の将来見通しをモンゴルのデータをもとに作成したほか、保険料率の引き上げ や支給開始年齢の引き上げを行った場合のシミュレーションを実施するなど、高度な内容 となりました。また同プロジェクトでは、他にも研修講師養成のための研修や、社会保険行 政官のための接遇研修なども実施されており、モンゴルの年金行政の能力強化に向けた 活動が本格化しています。 新ウランバートル国際空港開港に向けてモンゴル側関係者が招へい事業で訪日 2 月 6~13 日にかけて、道路・運輸開発省航空政策課長やモンゴル民間航空庁副長官 等、計 5 名が招へい事業により訪日し、羽田・成田両空港、空港移転を経験した中部空 港や新石垣空港、貨物ハブ機能を持つ那覇空港を訪問しました。招へい参加者は、各空 港で空港移転作業や空港運営手法に数多くの質問を投げかける等、高い関心を持って 精力的に視察を行い、円借款で建設中の新ウランバートル国際空港の開港準備作業を 加速化させるために貴重な機会となったとの声が寄せられました。JICA は今後も技プロ で新空港の運営・維持管理能力向上を支援する等、ハード・ソフト両面から新空港の供用 開始を後押ししていきます。 新石垣空港視察時の様子 その他の事業の動き等 ・ 世界 HOT アングル記事掲載:磯部陽子専門家(ウランバートル市における障害者の社会参加促進プロジェクト) 「モンゴルの母親たち」 https://www.jica.go.jp/hotangle/asia/mongolia/20170217_01.html ボランティア事業の動き ボランティア活動紹介 (日本とモンゴルをつなげる交流) 1 月 26 日,ドルノド県チョイバルサンにあるハーンオール統合学校配属の後藤 JOCV(小 学校教育)が,自身の所属先である東京都江戸川区西一之江小学校の五年生とモンゴル の生徒達とで Skype を使い交流をしました。子供達はお互いの自己紹介をモンゴル語や 日本語で行い、各地の時間や気温の紹介等をしました。モンゴルの子供達はとても緊張し ていましたが、食いつくように日本の子供達の様子を見聞きして、「先生同士の交流もした い」「日本の学校や教育について色々と聞きたい」「モンゴルの文化も紹介したい」との声も 上がり大好評でした。各地方で活躍しているボランティアは、今後もインターネットを活用 し、日本との交流を広げて行きます。 スカイプで交流するモンゴルの小学生 その他のボランティア事業の情報 ・ 世界 HOT アングル記事掲載:兼村優子 JOCV(H27-2 次隊/観光/ドルノゴビ県庁) 「体感!モンゴルのパワースポット」 https://www.jica.go.jp/hotangle/asia/mongolia/20170217_01.html 研修・帰国研修員同窓会 2017 年度帰国研修員同窓会総会の開催 2月17 日、JICA 帰国研修員同窓会総会が開催されました。当日は、ゾルボート事務局長 が 2016 年度の活動報告と 2017 年度の計画を発表したほか、帰国後に研修成果を広く普 及している研修員 4 名に対するグッドプラクティス賞の表彰が行われました。今年度の活動 報告の中では、例年のようなフォローアップセミナーや同窓会ニュースレター発行といった活 動に加えて、JICA 専門家や JDS 帰国留学生との交流イベントや、フードイベントやスポー ツイベントなど、研修員同窓会が自ら工夫して実施した交流活動が紹介されました。今後も 同窓会活動の更なる活性化が期待されます。 グッドプラクティス賞の授与式 事務所ナショナルスタッフが日本語で執筆! コラム ~モンゴルの文化・生活事情紹介~ 「モンゴルのラクダ」 モンゴルでは、ラクダは昔から家畜として飼育され、乗用だけでなくミルクな どの乳製品も親しまれてきました。ラクダのミルクには多くの栄養素が含まれ ているとのことで、国連食糧農業機関(FAO)によれば、ビタミンCは牛乳の 3倍、鉄分や不飽和脂肪酸、ビタミンB群も豊富で、食品アレルギーや糖尿 病、B型肝炎、自閉症や自己免疫疾患といった多くの病気に治療効果があると 指摘されています。ドルノゴビ県サインシャンド市近くには遊牧民が共同して 運営するラクダ牧場がありますので、モンゴル訪問の機会があれば是非足を運 んでみてください。(アンダ所員) ラクダ牧場のフタコブラクダ 独立行政法人 国際協力機構 モンゴル事務所 Bodi Tower 7th Floor, Sukhbaatar Square 3, Ulaanbaatar, Mongolia (Central P.O.Box 682, Ulaanbaatar 211213, Mongolia) Tel:+976-325939, 311329 Fax:+976-310845 E-mail: [email protected]
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