第1章 計画策定の基本的事項

第1章 計画策定の基本的事項
1.1 計画改定にあたって
一般廃棄物処理基本計画は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下、
「廃棄物処理法」と
いう。
)第6条第1項の規定に基づき、市町村が一般廃棄物処理に係る長期的視点に立った基本方
針を明確にするものです。計画の策定にあたっては、廃棄物処理をめぐる今後の社会情勢、一般廃
棄物の発生の見込み、地域の開発計画、住民の要望などを踏まえた上で、一般廃棄物処理施設や体
制の整備、財源の確保等について十分に検討する必要があるとされており、「ごみ処理基本計画策
定指針」
(平成 28 年9月 環境省)において、目標年次を 10 年から 15 年先において、概ね5年ご
とに計画を改定するほか、計画策定の前提となっている諸条件に大きな変動があった場合には、計
画の見直しを行うことが適切であるとされています。
本市においては、平成 24 年2月に「船橋市一般廃棄物処理基本計画 ~ふなばし『循環型社会
実現へのチャレンジ』プラン~」
(前計画)を策定し、中間目標年度を平成 28 年度、最終目標年度
を平成 33 年度に設定し、
『総排出量』
、
『リサイクル率』
、
『最終処分量』を数値目標として掲げてい
ますが、総排出量以外の数値目標は達成するのが難しい見込みです。総排出量についての数値目標
は達成しているものの、最終処分量を減らすためには、さらにごみを減量していく必要があり市民
や事業者の方の、より一層の協力が必要となります。
一方、国においては、今までの廃棄物の減量に加え、廃棄物から有用資源を回収、天然資源の投
入を抑制するという、物質循環に重きを置いた低炭素社会の形成に向けての新たなステージに突入
していることを指摘しており、平成 25 年5月に循環型社会の形成に向け「2R(リデュース:発
生抑制・リユース:再使用)の取組みがより進む社会経済システムの構築」や「使用済製品からの
有用金属の回収と水平リサイクル1等の高度なリサイクルの推進」を掲げた「第三次循環型社会形
成推進基本計画」及び「災害対策や地球温暖化対策の強化を目指し、広域的な視点に立った強靭な
廃棄物処理システムの確保」などを方針とした「廃棄物処理施設整備計画」を閣議決定しました。
以上のことを踏まえ、本市のごみ処理についての現状を十分に把握し今後を見通した上で、国の
方針を踏まえた新たなステージにおける船橋市としての目標及び施策を検討することを目的とし
て、本計画の改定を行いました。
本計画では、このような背景をもとに基本理念、基本方針を定め、循環型社会の実現に向けた、
より一層のステップアップのため『ふなばしチャレンジ7プロジェクト』をスローガンとして掲げ、
市民・事業者・行政が協力して挑戦していくこととします。
1
使用済製品を原料として用いて同一種類の製品を製造するリサイクル。リサイクルに伴うエネルギー使用量と残渣を抑
制できれば、同一製品を作るために繰返し使用できることから、持続可能性が高い。これを普及するためには、確実な
リサイクル回収ルートの整備、低コスト化、エネルギー使用量の低減などを図る必要がある。
1
1.2 計画の策定体制とその流れ
本市では、一般廃棄物処理基本計画の進捗状況を検証するとともに、具体的な実施手法を示した
行動計画を作成、実行することで、ごみ減量等の基本計画の目標を成し遂げることを目的とした、
「一般廃棄物処理基本計画推進委員会」を平成 21 年5月に設置しました。本計画の策定において
は、一般廃棄物処理基本計画推進委員会での審議内容や、国や県の動向、近隣市や中核市の状況か
ら見た本市のあるべき姿、市民アンケート調査結果等を踏まえ市民意見を反映したものとしました
(図 1-1)
。
船 橋 市
一般廃棄物処理基本計画推進委員会
・ 前計画の実績評価
・ 現状の課題分析
素 案
・ 本計画の基本フレームの検討
・ 本計画のキャッチフレーズの検討
・ 数値目標に関する検討
廃棄物減量等推進審議会
・ 目標達成のための施策の検討
パブリックコメント
事業者ヒアリング
船橋市一般廃棄物処理基本計画
市民アンケート調査
図 1-1 船橋市一般廃棄物処理基本計画の改定体制とそのフロー
2
1.3 計画の位置づけ
1.3.1 各種法体系の整理
平成 13 年に循環型社会形成推進基本法が施行されたことにより、各種リサイクル関連法も改正、
施行され、平成 25 年5月には「第三次循環型社会形成推進基本計画」が策定されました(図 1-2)
。
この計画は、環境基本計画に基づいた、環境への負荷を最小にする「循環型社会」を創り上げるた
めの基本的な計画と位置付けられています。
環 境 基 本 法
H6.8 完全施行
自然環境
環境基本計画
環境
H24.4 全面改正公表
社会の物質循環
循 環 型 社 会 形 成 推 進 基 本 法( 基 本 的 枠 組 み 法 )
H13.1 完全施行
社会の物質循環の確保
天然資源の消費の抑制
環境負荷の低減
〇 基本原則, ○ 国,地方公共団体,事業者,国民の責務, ○ 国の施策
循環型社会形成推進基本計画
[国の他の計画の基本]H15.3 公表
H25.5 改定
〈 廃棄物の適正処理 〉
〈 リサイクルの推進 〉
廃 棄 物 処 理 法
資 源 有 効 利 用 促 進 法
H27.7 一部改正
<廃棄物の適正処理>
①
②
③
④
⑤
H13.4 全面改正施行
<リサイクルの推進>
廃棄物の排出抑制
廃棄物の適正処理(リサイクルを含む)
廃棄物処理施設の設置規制
廃棄物処理業者に対する規制
廃棄物処理基準の設定 等
環境大臣が定める基本方針
①
②
③
④
廃棄物処理施設整備計画
H17.5 改正 H28.1 変更
H25.5 公表
再生資源のリサイクル
リサイクル容易な構造・材質等の工夫
分別回収のための表示
副産物の有効利用の促進
(1R→3R)
H25~H29の5か年計画
基本理念:
①3Rの推進
②災害対策や地球温暖化対策の強化
③強靭な廃棄物処理システムの確保
〔 個別物品の特性に応じた規制 〕
容器包装リサイクル法
H12.4 完全施行
H19.4 一部改正
H20.4 完全改正
・容器包装の市町村による分別収集
・容器の製造・容器包装の利用業者による再商品化
びん,ペットボトル,紙製・
プラスチック製容器包装
家電リサイクル法
H13.4 完全施行
H16.4 一部改正
H21.4 一部改正
・廃家電を小売店等が消費者より引取り
・製造業者等による再商品化
エアコン,冷蔵庫・冷凍庫,
テレビ,洗濯機,衣類乾燥機
食品リサイクル法
H13.5 施行
H19.6 一部改正
H19.12完全改正
食品の製造・加工・販売業者が食品廃棄物等の再生
利用等
食品残渣
建設リサイクル法
H14.5 完全施行
H22.4 一部改正
H27.4 一部改正
・工事受注者が建築物の分別解体等を実施
・工事受注者が建設廃材等の再資源化等を実施 等
木材,コンクリート,
アスファルト
自動車リサイクル法
H15.1 一部施行
H17.1 完全施行
H24.2 一部改正
・関係業者が使用済自動車の引取り,フロンの回 収,解体,破砕
・製造業者等がエアバッグ,シュレッダーダストの
再資源化,フロンの破壊
自動車
H25.4施行
・市町村が小型家電を収集し、認定業者へ引渡し
・認定事業者が分解・破砕選別
小型電子機器等
小型家電リサイクル法
H13.4 完全施行
グ リ ー ン 購 入 法 ( 国 が 率 先 し て 再 生 品 な ど の 調 達 を 推 進 )
図 1-2 各種法体系の整理
3
出典:環境省(一部改定)
[関連計画、法規の主な改定の概要]
環境基本法
○平成6年8月の完全施行以降、環境基準の項目や測定方法など逐次改正を実施
循環型社会形成推進基本計画
平成 25 年5月全面改正
○最終処分量の削減など、これまで進展した廃棄物の量に着目した施策に加え、循環の質にも着目し、
1.リサイクルに比べ取組が遅れているリデュース・リユースの取組強化
2.有用金属の回収
3.安心・安全の取組強化
4.3R国際協力の推進
等を新たな施策の柱とする。
○新たな目標の設定
廃棄物処理法
平成 27 年 12 月(施行令、施行規則)
○水銀又はその化合物が使用されている製品が一般(産業)廃棄物となったものから回収した水銀等を
新たに特別管理一般(産業)廃棄物に指定する。
○特別管理一般(産業)廃棄物の収集運搬に係る処理基準及び保管基準を追加する。
平成 27 年7月(法律、施行令、施行規則)
○災害により生じた廃棄物について、平時の備えを強化するため、関連規定の整備
・災害により生じた廃棄物処理に係る基本理念の明確化
・国、地方自治体及び事業者等関係者間の連携・協力の責務の明確化
・国が定める基本方針及び都道府県が定める基本計画の規定項目の拡充等
○災害時における廃棄物処理施設の新設又は活用に係る特例措置の整備
・市町村又は市町村から災害により生じた廃棄物の処分の委託を受けたものが設置する一般廃棄物処
理施設の設置の手続きを簡素化
・産業廃棄物処理施設において、同様の性状の一般廃棄物を処理するときの届け出は事後でよいこと
とする。
平成 25 年6月
○特別管理産業廃棄物の追加及び判定基準の変更
○産業廃棄物及び特別管理産業廃棄物の埋立処分基準
○廃棄物最終処分場にかかる放流水の基準改正
など
環境大臣が定める基本方針
平成 28 年1月変更
○「廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び災害対策基本法の一部を改正する法律」により非常災害時
に関する事項を追加することとされたこと等を踏まえ、所要の変更を行う。
[非常災害時に関する事項について下記の事項を追記]
1.施策の基本的考え方
2.災害廃棄物対策に係る各主体の役割
(1)市町村の役割 (2)都道府県の役割 (3)国の役割 (4)事業者及び専門家の役割
3.災害廃棄物対策として処理施設の整備及び災害時の運用
4.災害廃棄物対策に関する技術開発と情報発信
など
4
1.3.2 船橋市一般廃棄物処理基本計画の位置づけ
本計画は、各種法体系やその他関連する各種計画を踏まえて、策定しました(図 1-2)
。また、
これら国の計画・方針に加え、本計画は、県の計画及び市内の上位計画(船橋市総合計画、船橋市
環境基本計画)に基づいています(図 1-3)
。
「循環型社会形成推進基本計画」及び「千葉県廃棄物処理計画」の概要は図 1-4及び図 1-5
に示すとおりです。
国の計画・方針
・環境基本計画
・循環型社会形成推進基本計画
・環境大臣が定める基本方針
・地球温暖化対策計画
・環境基本法
・循環型社会形成推進基本法
・廃棄物処理法
・資源有効利用促進法 等
整合
千葉県の計画
整合
千葉県廃棄物処理計画
千葉県災害廃棄物処理計画
協調
船橋市の計画
・船橋市総合計画
・船橋市環境基本計画
具体化
具体化
船橋市一般廃棄物処理基本計画
連携
・船橋市地球温暖化対策実行計画
・船橋市災害廃棄物処理計画
実施・管理
(単年度計画)
・船橋市一般廃棄物処理実施計画
・船橋市一般廃棄物処理基本計画行動計画
図 1-3 本計画の位置づけ
5
基本的方向
■質にも着目した循環型社会の形成
① リサイクルより優先順位の高い2R(リデュース・リユース)の取組がより進む社会経済
システムの構築
② 小型家電リサイクル法の着実な施行など使用済製品からの有用金属の回収と水平リサイクル等
の高度なリサイクルの推進
③ アスベスト、PCB等の有害物質の適正な管理・処理
④ 東日本大震災の反省点を踏まえた新たな震災廃棄物対策指針の策定
⑤ エネルギー・環境問題への対応を踏まえた循環資源・バイオマス資源のエネルギー源への活用
⑥ 低炭素・自然共生社会との統合的取組と地域循環圏の高度化
■国際的取組の推進
① アジア3R推進フォーラム、我が国の廃棄物・リサイクル産業の海外展開支援等を通じた
地球規模での循環型社会の形成
② 有害廃棄物等の水際対策を強化するとともに、資源性が高いが途上国では適正処理が困難な
循環資源の輸入及び環境汚染が生じないこと等を要件とした、国内利用に限界がある循環資源
の輸出の円滑化
■東日本大震災への対応
① 災害廃棄物の着実な処理と再生利用
② 放射性物質によって汚染された廃棄物の適正かつ安全な処理
図 1-4
物質フロー指標
第3次循環型社会形成推進基本計画(平成 25 年5月)の概要
発生抑制、再使用、再生利用、熱回収、適正処理等の各対策が一層進展した循環型社会を形成していくための指標
平成22年度
計画期間
平成12年度
計画策定の趣旨
25
県内の廃棄物に関する施策の基本方針を示す
資源生産性(万円/トン)
計画目標
循環利用率(%)
37
46(+85%)
平成28年度から32年度までの5年間
10
一般廃棄物の目標
最終処分量(万トン)
5,600
区分
排出量(t)
15
基準年度
(平成25年度)
2,180,000
17(+7ポイント)
1,900
1,700(▲70%)
目標年度
(平成32年度) 注)( )内は平成12年度比
1,960,000以下
1人1日当たりの家庭系ごみ排出量(g)
542
再生利用率(%)
23.5
30以上
163,000
130,000以下
取組指標
最終処分量(t)
平成32年度目標
500以下
※再生利用率は、再生利用量÷排出量×100で求められ、本計画のリサイクル率と同じことを指す。
各主体の循環型社会形成のための取組みの進展度合を計測・評価し、更なる取組みを促すための指標
再生利用量には直接資源化量、焼却施設からの資源化量、焼却以外の中間処理施設からの資源化量、集団回収量が
含まれている。
平成22年度
平成32年度目標
平成12年度
展開する施策
一般廃棄物の減量化
976
890(▲25%)
1,158
(g)
「3Rの推進」、「適正処理の推進」及びこれらを進めるための「適正処理体制の整備」を3本の柱に据
1人1日当たりの家庭系ごみ
え、依然として高い水準にある廃棄物排出量や根絶に至らない不法投棄などの課題を克服するため、
660
540
500(▲25%減)
実効性のある施策を展開する。
排出量(g)
事業系ごみ排出量
第9次計画における新たな取組例
(万トン)
1,297
1,799
1,170(▲35%)
注)( )内は平成12年度比
(1) 2Rの取組強化
(2) 災害廃棄物の処理体制の整備
(3) 産業廃棄物再生品(再生土)の適正利用の推進
図 1-5 第9次千葉県廃棄物処理計画(平成 28 年3月)の概要
6
1.4 計画の期間及び進捗管理
本計画の計画期間は、平成 29 年度を初年度として平成 38 年度までの 10 年間とし、5年後の平
成 33 年度を中間目標年度と捉え、平成 38 年度を最終目標年度とします(図 1-6)
。
平成 32 年度には、上位計画の船橋市総合計画の改定が予定されており、この改定を踏まえて本
計画は平成 33 年に見直すこととします。
また、本計画で設定した数値目標の達成状況や施策の進捗状況等については、次回の計画見直し
まで、毎年度、一般廃棄物処理基本計画推進委員会にて確認を行うものとします。(→p61)
24~26
27
28
29
30
31
32
(平成 12~32 年度)船橋市総合計画
33
34
35
36
37
38
(平成 33 年度~)次期総合計画
後期基本計画
前期基本計画
後期
前計画期間
本計画期間
中間目標
年度
最終目標
年度
次回計画見直し
計画改定
【本計画の進捗管理】
28
29
30
31
32
33
一般廃棄物処理基本計画推進
委員会にて計画の進捗管理を
行う
次回計画見直し
計画見直し
図 1-6 計画の期間及び進捗管理
7