長野県内製造業におけるIoT導入状況調査

一般財団法人長野経済研究所プレスリリース
2017 年 3 月 8 日
長野県内製造業におけるIoT導入状況調査
本調査は、県内の企業経営者に対し四半期ごとに行なっている「四半期別業況アンケート調査(2016 年 10-12 月)
」の付
帯調査として実施したものです。調査実施内容については次頁をご覧下さい。
調査結果のポイント
1.県内製造業の IoT 導入は2割にとどまる

県内製造業に IoT の導入状況を尋ねると、「全社的に運用している」と回答した企業の割合は 0.6%
となっている。また、
「一部で運用している」(14.6%)、「試験的に運用している」(1.9%)、「シス
テム構築を進めている」
(3.8%)などを含めても、IoT の導入に動いている企業は全体の2割にとど
まっている。
2.現在と今後の IoT の導入形態

IoT の導入を既に進めている企業に導入形態について尋ねると、
「販売先との生産情報の連携」の回
答が 35.7%と最も高くなっている。このほか「生産設備同士の情報連携」(32.1%)、
「製造現場から
得られる新たな種類のデータ取得」
(28.6%)の回答が高くなっている。

今後の IoT の導入形態を尋ねると、
「生産設備情報と基幹システム(生産管理システム等)の連携」
が 68.8%と最も高く、次いで「製造現場から得られる新たな種類のデータ取得」
(40.9%)
、
「自社工
場間の生産設備の情報連携」
(32.3%)
、
「生産設備同士の情報連携」(26.9%)となっている。
3.IoT で期待している効果

IoT の導入により期待する効果を尋ねると、
「生産性の向上」が 83.0%と最も高くなった。次いで「生
産設備や保守メンテナンス費用の削減」
(27.7%)
、
「人件費削減」
(25.9%)となっている。
人材不足が叫ばれる中、製造業においても生産性の向上は待ったなしの状況にあるが、県内では中小
企業を中心に IoT の導入は遅れている。ただ導入効果が「生産性の向上」にあると回答した企業が8割を越え、
また、今後の導入形態は「生産設備情報と基幹システムの連携」であると回答した企業が7割近くになるなど、
導入の具体的なイメージを持つ企業も相当数存在している。費用対効果など他にも検討課題があるが、情報収
集の段階から一歩抜け出し、具体的な検討を進めていくことが求められる。
照会先 一般財団法人長野経済研究所 調査部
電話 026-224-0501
1
担当 : 粂井、久保田
【
調
査
の
概
要
】
実施時期
:
2016 年 12 月中旬~2017 年 1 月上旬
実施方法
:
業況アンケート調査(2016 年 10-12 月期)の付帯調査
として実施(郵送方式)
対象企業
:
県内製造業
291 社
回答企業数
:
158
回答率
※
社 (
54.3%
)
グラフ等の回答割合については四捨五入して表記したため、合計が 100 に
ならないことがある
2
1.IoT の導入状況

県内製造業企業に IoT の導入状況を尋ねると、既に導入して「全社的に運用している」と回答した
企業の割合は 0.6%となっている。また、
「一部で運用している」
(14.6%)、
「試験的に運用している」
(1.9%)
、
「システム構築を進めている」
(3.8%)などを含めても IoT の導入に動いている企業は全
体の2割にとどまっている。
図表1 IoT の導入状況
全社的に運用している,
0.6%
一部で運用している,
14.6%
分からない, 13.3%
試験的に運用している,
1.9%
システム構築を
進めている,
3.8%
システム導入を
検討している, 5.1%
導入予定はない, 29.1%
情報収集・研究中,
31.6%
3
2.現在の IoT の導入形態

IoT の導入を既に進めている企業に導入形態について尋ねると、
「販売先との生産情報の連携」との
回答が 35.7%と最も高くなっている。このほか「生産設備同士の情報連携」
(32.1%)
、
「製造現場か
ら得られる新たな種類のデータの取得」
(28.6%)の回答が高くなっている。
図表2 IoT の導入形態
0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
販売先との生産情報の連携
35.7%
生産設備同士の情報連携
32.1%
製造現場から得られる
新たな種類のデータの取得
28.6%
仕入れ先との生産情報の連携
21.4%
生産設備情報と基幹システム
(生産管理システム等)の連携
21.4%
自社の複数工場にある設備の一元化
17.9%
販売先の発注情報の
リアルタイムでの繁栄
14.3%
(複数回答:n=28)
自社工場間の生産設備の情報連携
14.3%
4
今後の IoT の導入形態

今後の IoT の導入形態を尋ねると、
「生産設備情報と基幹システム(生産管理システム等)の連携」
が 68.8%と最も高くなっている。次に「製造現場から得られる新たな種類のデータ取得」
(40.9%)
、
「自社工場間の生産設備の情報連携」
(32.3%)
、
「生産設備同士の情報連携」
(26.9%)となっている。

今後、IoT の導入を一層進めることで自社の基幹システムと連携し、生産性を高めようとする企業の
動きがうかがえる。
図表3 今後の IoT の導入形態
0.0
20.0
40.0
生産設備情報と基幹システム
(生産管理システム等)の連携
80.0
68.8
製造現場から得られる
新たな種類のデータの取得
40.9
自社工場間の生産設備の情報連携
32.3
生産設備同士の情報連携
26.9
自社の複数工場にある設備の一元化
20.4
仕入れ先との生産情報の連携
18.3
販売先との生産情報の連携
18.3
販売先の発注情報の
リアルタイムでの繁栄
60.0
(複数回答:n=93)
14.0
5
3.IoT で期待している効果

IoT の導入により期待する効果を尋ねると、
「生産性の向上」が 83.0%と最も高くなった。次いで「生
産設備や保守メンテナンス費用の削減」
(27.7%)、
「人件費削減」
(25.9%)となっている。
図表4 IoT で期待している効果
0.0%
20.0%
40.0%
生産性の向上
60.0%
80.0%
100.0%
83.0%
生産設備や保守メンテナンス費用の削減
27.7%
人件費削減
25.9%
仕掛品の削減
24.1%
歩留まりの向上
23.2%
システムやサービスなどが停止している
時間の削減
21.4%
受注予測の精度向上
16.1%
売上高の拡大
14.3%
技術・技能の伝承
8.0%
(複数回答:n=112)
その他
0.9%
以上
6