社会福祉法人がおこなう地域公益事業を 積極的に広報活動することで得られる効果 社会福祉法人一誠会 デイサービスセンター初音の杜 鷹 野 賢 一 抄録 <取り組んだ課題> 社会福祉法人における、地域公益活動の義務化を想定し、 平成25年度より地域交流会を開始した。それまでも地域とのつな がりを意識して、施設運営をしていたはずであったが、参加者も少 なく、地域への認知度が低いことが明らかとなり、広報に課題があ ることが浮彫りになった。 広報活動を見直すことで、地域の認識がどのように変化するのか を検証した。 <具体的な取り組み> ホームページやブログも開設していたが、更新が定期的でないこ とや、広報誌も字が多く、読みやすいものとはいえず、一般の方へ むけた広報が適切におこなえていなかったため、各部の管理職を含 めた広報委員会を設立し、次の取り組みをおこなった。 1. ホームページを刷新、フェイスブックもおこなう。 2. 事業所毎にブログを開設、行事の案内や施設での活動を週単位 で発信。 3. 広報誌は文字を大きくし、読みやすいものにし発行を年4回か ら6回に増刷し、配布方法を見直し、ポスティングも実施。 4. チラシを作成し、回覧板を活用。 5. 電話連絡にて呼び込みを実施。 6. 広報活動にかかる経費について事業計画にもとづいて予算をた てた。 <活動の成果と評価> 上記の結果から、地域の方から「広報誌見てます」という声や 事業者や入職希望者から「ブログで施設の取組みが良くわかる」と いう声もあり、以下のような効果を得た。 1.地域交流会の参加者が増加。 2.配食サービスや介護予防教室の登録者が増加。 3.ホームページやブログの閲覧数が増加。 4.ボランティアの増加。 5.メディアからの取材の増加。 さらに相乗効果として以下のことについても効果を得た。 1.数年来の懸案だった地域との防災協定が施設への理解が深まり 締結に結びついた。 2.年間の平均利用率が特別養護老人ホームでは前年比 1%増の 99.74%、デイサービスでは 25%増の 81.06%と向上した。施設 が見えることによる安心感が利用率向上につながった。 取り組みの結果から、積極的な広報活動は有効であったといえる。 施設からの一方的な発信だけではなく、地域でどんな問題を抱えて いるかを知り、広報活動をおこなうことが大事であるとわかった。 さらには、地域包括ケアシステムの構築には、介護施設が制度内 のサービスを提供するだけでなく、専門性を活かした幅広い活動に 取り組むことで、顔なじみの関係を築いていくことも重要なことで ある。 <今後の課題> 本研究で広報活動の大切さを感じ、取り組みに関わった職員の意 識に変化があったが、全体で取り組み「広報に対する意識」をシェ アし、より多くの職員が関わるということが課題として残された。 併せて社会的に問題視されている社会福祉法人の課税問題や介護報 酬見直しについて、もっと地域や社会に対して実情や取組みに対し てご理解をしていただかないとならない。その為には自施設のみな らず、社会福祉法人全体が広報活動の充実に努め、積極的な情報発 信を行なう必要がある。 <参考資料など> 全社協・社会福祉施設協議会連絡会、 “社会福祉法人であることの 自覚と実践『地域における公益的な活動』の一層推進、発信を”
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