null

平成 28 年度電子情報通信学会東京支部学生会研究発表会
講演番号: 73
マルチパスフェージングチャネルにおけるOFDM/OQAMの
受信ダイバーシチの効果
B-5
Effect of Receive Diversity for OFDM/OQAM in Multipath Fading Channel
福島 佑樹†
山田 雄基†
齊藤 敬佑††
Yuki Fukushima†,
Yuki Yamada†,
Keisuke Saito††,
†
††
東京都市大学
Tokyo City University
佐和橋 衛†
Mamoru Sawahashi†
株式会社 NTT ドコモ
NTT DOCOMO, INC.
1. まえがき
本稿では,直交周波数分割多重(OFDM: Orthogonal Frequency Division
Multiplexing)/ オ フ セ ッ ト 直 交 振 幅 変 調 (OQAM: Offset Quadrature
Amplitude Modulation)[1]のマルチパスフェージングチャネルにおける
受信ダイバーシチ効果を計算機シミュレーションにより評価する.
4. まとめ
本稿では,マルチパスレイリーフェージングチャ
ネルにおける,帯域制限を行った OFDM/OQAM
を用いたときの目標の平均 BLER を満たすための
所要平均受信 SNR の低減に,受信ダイバーシチの
アンテナ数の増大が有効であることを示した.
2. OFDM/OQAM 送信部構成
各サブキャリア信号を帯域制限する Filter bank multicarrier (FBMC)は, 参考文献
OFDM に比較してサイドローブを低減できるため,ガードバンドを狭 [1] Proc. IEEE, vol. 83, no. 6, pp. 982-996, June 1995. [2]
IEEE Signal Process. Mag. vol. 28, no. 3, pp. 92-112, 2011.
くして周波数利用効率を向上することができる[2].本稿では,図 1 に [3] FBMC physical layer: a primer, PHYDAYS, June 2010.
示す周波数領域のオーバーサンプリング(周波数領域拡散)を用いる [4] Proc. IEEE VTC’99-Fall, pp. 1565-1569, Sept. 1999. [5]
帯域制限法を用いた[3].OFDM における IFFT の段数を M で表わすと, 3GPP TS 45.005 (V11.3.0), March 2013.
di
di+2
Data symbols
各サブキャリア信号を K 倍にオーバーサンプリングする.本稿では,
Root raised cosine ロールフィルタを用いた.直列/並列変換後の情報シ
ンボルに次式で示すようにフィルタ係数 Hk を乗算する.
Hf 
  
 
k 
k  
H k  sin   f 
 MK sin   f 
 
MK
MK

 
k   K 1
 
  
K 1

(1)
IFFT のサイズは M x K であり,帯域制限後,及び IFFT 処理後の OFDM
信号は,前後に K OFDM シンボル分だけ広がり,シンボル間干渉(ISI:
Inter-Symbol Interference)を及ぼす.
図 2 に,OFDM/OQAM の送受信機のブロック構成を示す.1 ms 長
の 1 サブフレームは,14 個の 66.67 s 長の OFDM シンボルに相当する
FFT ブロックから構成される.サブキャリア間隔は 15 kHz である.情
報ビットを符号化率 R = 1/2 及び拘束長 4 ビットのターボ符号によりチ
ャネル符号化を行った.チャネル符号化後のビット系列をインタリー
ブし,QPSK 変調マッピングした.シンボル波形を周波数領域でオー
バーサンプリングし,フィルタ係数を乗算後,IFFT により時間領域の
OFDM 信号を生成する.IFFT 後の信号を Overlap/Sum 処理を行い帯域
制限された OFDM/OQAM 信号を生成する.受信機では,FFT で周波
数領域信号に変換する.周波数領域の M x K サンプル値信号にチャネ
ル応答の複素共役を乗算する.本稿では,チャネル応答の理想推定を
仮定した.その後,Root raised cosine ロールフィルタ係数を乗算後,
加算して情報シンボルを生成する.情報シンボルの各ビットの対数尤
度比(LLR: Log-Likelihood Ratio)を計算し,NRx 受信アンテナ数分合成し
た[4].LLR をデインタリーブ後,Max-Log-MAP 復号器で復号した.
Quadrature
・・・
・・・
In-phase
f
IFFT (M x K points)
P/S conversion, Overlap/Sum
OFDM/OQAM signal
図 1. 周波数領域のオーバーサンプリングを用いる
フィルタ構成
Transmitted
bits
Turbo
encoder
Bitinterleaver
Transmitter
Received
signal
OQAM
mapping
Pulse
shaping filter
Pulse
shaping filter
FFT
Modulation
mapping
OQAM
demapping
IFFT
Deinterleaver
Receiver
Transmitted
signal
LLR
computation
*
Channel response
(Ideal estimation)
Overlap
/Sum
Recovered
bits
Max-Log-MAP
decoder
図 2. OFDM/OQAM の送受信機構成
0
10
-73-

NRx
Average BLER
3.計算機シミュレーション評価
図 3 に OFDM/OQAM を用いたときの平均受信 SNR に対する平均ブロ
ック誤り率(BLER: Block Error Rate)特性を示す.ロールオフ率は = 0.5
及び 0.7 とし,受信アンテナ数 NRx をパラメータにした.伝搬チャネル
モデルは,GSM 6 パス Typical Urban (TU)チャネルモデル (r.m.s.遅延ス
プレッドはrms = 1.06 s) [5]を用いた.各パスは,独立なレイリーフェ
ージング変動を受けるものと仮定し,最大ドップラ周波数は,fD = 5.55
Hz とした.受信アンテナ間のフェージング相関は無相関を仮定した.
図より,NRx を増大するに従って,ダイバーシチ利得に起因して平均
BLER が改善している.NRx = 4 及び 8 のとき,平均 BLER が 10-2 を満
たすための所要平均受信 SNR を NRx = 2 の場合に比較して,それぞれ
約 6 dB, 11 dB 低減できている.また, = 0.5 の場合は,0.7 の場合に
比較して若干,BLER が劣化している.これは,前後の OFDM シンボ
ルに与えるシンボル間干渉が増大したためと考えられる.
10
-1
10
-2
10
-3
0.7
0.5
2
4
6
8
QPSK
R = 1/2
fD = 5.55 Hz
Six-path TU model
-10
-5
0
5
10
Average received SNR per receive antenna (dB)
図 3. OFDM/OQAM の平均受信 SNR に対する
平均 BLER 特性
Copyright © 2017 IEICE