紫電改実物大展示模型設計及び製作業務委託仕様書 1 目 的 鶉野飛行場跡地周辺には、滑走路、エプロン、防空壕、機銃座など、姫路海軍航空隊基地や 川西航空機工場に関連した多くの歴史遺産が点在し、今日まで地域により残されてきた。 本業務は、かつて川西航空機鶉野工場で組み立てられた紫電改の実物大展示模型を製作し、 観光まちづくりに活用することを目的とする。 本仕様書は加西市が発注する紫電改実物大展示模型設計及び製作委託業務に適用する。 2 履行期間 契約締結の日から平成 31 年3月 22 日(予定)まで ただし、各業務の履行予定期間は次のとおりとし、詳細については、契約締結時に決定する。 (1)紫電改実物大展示模型設計 契約締結の日から平成 30 年3月 23 日まで(予定) (2)紫電改実物大展示模型製作 平成 30 年4月上旬から平成 31 年3月 22 日まで(予定) 3 納入場所 (1)紫電改実物大展示模型設計 加西市都市整備部 (2)紫電改実物大展示模型製作 本市が指定する加西市内の場所 4 業務の進め方 一般社団法人鶉野平和祈念の碑苑保存会(以下「保存会」という)よりの情報提供と監修を 受けながら業務を進めるものとする。 5 紫電改の主な概要 (1)実機紫電改(川西 N1K2-J)の概要 全幅:11.99m、全長:9.35m、翼面積:23.5 ㎡、総重量:3,800kg 発動機:中島「誉」21 型 1,990 馬力/離昇 1,625 馬力/6,100m、 最大速度:596km/h/5,600m、武装:機銃 20mm×4、乗員:1 名、 外装:板超超ジュラルミン (2)模型機紫電改の概要 全幅:11.99m、全長:9.35m、翼面積:23.5 ㎡、総重量: 2,000 ㎏以下とする。 発動機:中島「誉」21 型を外観から見える部分のみ模型製作し、再現する。 外装:純アルミ板 搭乗:座席に一般客が搭乗して着座が可能とする。 走行:主輪2脚と尾輪1脚で、大人3人程度の人力で格納庫から屋外に走行し、かつ屋外 から格納庫に戻すことを可能とすること。 尾輪が 360 度水平に回転し容易に模型が左右への方向転換を可能とする事。 風防:風防は透明アクリル板を三次元に曲げ加工し、サッシに装着する。 風防は可動式レールなどを使い開閉する。一般客が搭乗し開け閉めをする為に耐久性 を備えること。 展示方法:常設屋内展示とするが土日・祝祭日に雨天以外に屋外展示する場合もありうる。 6 調査・設計 この仕様書の設計とは実施設計製作図の作成を示し、手書き図面、PCソフトでのデータ 編集・制作図、原寸原稿製作図のことである。 (1)設計概要 委託者と受託者で協議し実機に近い外観の設計をすること。 一般客が搭乗可能で、実物大模型が人力で移動可能な設計をすること。 「安全で耐久性」のある実物大模型を設計する。万が一に安全が劣る構造部分は“実機に近 い外観の形状”とし、その場合は実機と同等で無くてもよい。委託者と協議し設計すること。 防水の施しは必要ないが雨天以外の屋外展示に耐える構造と外観とすること。 (2)参考図書や資料の購入や借用 受託者が自ら紫電改の図書、写真集、図面等などを準備し購入、又は借用するために必要 な費用は受託者が負担すること。 (3)実機の写真撮影と取材 受託者が自ら実機の写真撮影と取材を行い、採寸などをする。 なお、このために必要な費用は受託者が負担すること。 (4)実物大模型の分割 主に胴体、発動機部、プロペラ、主翼2枚、水平尾翼2枚の合計7分割とし分割点数はな るべく少なくすること。 ただし、道路交通法の範囲以内で運搬可能な分割点数に設計すること。 (5)動的部分と固定部分 動的部分は「風防の開閉」 ・ 「主輪の前進と後進」 ・ 「尾輪の 360 度の方向回転と前進と後進」 「自動フラップ左右2枚」の4点とする。 プロペラ、方向舵は組立時に適正な位置にて固定する。 他の補助翼、昇降舵などは工場内にて固定済みとする 動的構造部品について、動的部分 (主にキャノピー開閉用ベアリング、主輪タイヤ、主輪 ホイル用ベアリング、尾輪キャスターなど)に不具合が発生した場合に容易で遅滞なく交換修 理できる市販品を取替えられる設計にすること。 7 基本構造と材質 基本的な構造部分はスチール、外装板は純アルミ板とする。 機体の外装板の張り位置や分割は実機と同等サイズ、同等位置とする。 沈頭鋲の位置や大きさ数量は実機と同様にするが、沈頭鋲については、アルミ板に“窪み” などで表現をし、実物の沈頭鋲の使用はしなくても良い。 外装板などの補修メンテナンスが必要な部分はブラインドリベット又は丸頭ビスなどで外装 板を装着すること。 (1)スピナー部 卵型のため、FRP での製作とする。 (2)プロペラ部 ボンデ鋼板 1.2 ㎜程度の叩き鈑金成型とし防錆塗装を施す。 (3)発動機カバー、冷却空気取入れ口 純アルミ板 0.8 ㎜程度の叩き板金とし、実機に近い曲面形状を製作し再現する。 (4)風 防 ア 風防有機ガラス 透明アクリル板を熱加工し実機に近い曲面形状を製作し再現するが、透明アクリル板 の厚みは製作可能な板厚として良い。 イ 風防サッシ枠 操縦席内側はスチール枠で強度を維持し、外側はアルミとする。内側サッシと外側サ ッシでアクリル板を挟みサンドウィッチし透明アクリル板を固定する。 ウ 風防の開閉 風防は開閉が可能で、レバーやラッチなどで開閉時の固定ができる構造とする。 (5)胴 体 ア 胴体隔壁(骨格) スチール枠組みで構成し溶接にて接合し実機に近い隔壁位置や寸法とする。 防錆塗装後に仕上げ上塗り塗装を施す。 イ 胴体外装(板金) 純アルミ板を使用する、アルミ板厚みは 0.8 ㎜、0.6 ㎜程度とし、実機に近い寸法と 分割の張り分けとする。沈頭鋲の様な窪みを施しスチール骨格に装着する。フィレット 位置に実機に装着されていた実物フィレットを取付ける。 搭乗用足掛けを実機の様に製作、取付け、収納可能なこととする。また、実際に搭乗 時に使用するため、強度を維持すること。 (6)操縦席内 ア 座 席 スチール板を使用し、実機に近い形状にする。 座席の突端は丸め加工、背板にはすり鉢状の軽め穴を開けること。 成人男性が座われる寸法とすること。 イ 計器類 文字盤と針と透明カバーの3層の構造にして実機に近い雰囲気をだすこと。 計器盤下地パネルはネジ止めとすること。 ウ ノブや装備品 実機に近い形状であれば市販品の流用や改造をしても良い。 定位置に固定し、盗品防止すること。 エ 操縦桿、足踏桿などは安全な位置に固定とすること。 オ 配線、配管などは実機に近い素材を施し装着すること。 (7)主 翼 ア 桁及び小骨 桁は実物大模型の自重を脚部から受け継ぐため、その強度以上の剛性を保ち、材質は スチールとし防錆塗装を施すこと。 小骨は外装アルミ板を取付けるためにスチールで製作し、幅 15 ミリ程度の鍔をひと回 り溶接し、形状を整える。 イ 翼端灯 透明樹脂を成型し赤と青で施すこと。 ウ 補助翼 小骨はスチールで構成し溶接にて接合。防錆塗装後に布を展張りし保護のために樹脂 を塗布する。 エ 外 装 純アルミ板 0.6 ㎜厚み程度を曲げ加工し取付け、沈頭鋲の様な窪みを施し、スチール 骨格に取付けをする。 実機に近い寸法と分割でアルミ板を張り分けする。 オ 自動フラップ 純アルミ板 0.6 ㎜厚み程度を曲げ加工し装着する、沈頭鋲の様な窪みを施し、スチー ル骨格に装着すること。 (8)主 脚 ア 主脚支柱 スチールパイプで実機と同等寸法を使用し、パイプ厚みは実物大模型の荷重に耐えら れる厚みの構造とする。 イ 油圧シリンダー部分 ステンレスパイプを使用し、パイプ厚みは実物大模型の荷重に耐えられる厚みの構造 とする。鏡面磨き仕上げとする。 ウ 主車輪 動的展示の際に抵抗なく潤滑に動く市販タイヤを購入し、装着すること。 また、パンクや劣化の場合には遅滞なく交換が出来るものとする。 主輪は折りたたみ格納はしなくてもよい。 (9)水平尾翼 ア 桁及び小骨 桁は水平尾翼の剛性を保ち、材質はスチールとし防錆塗装を施すこと。 小骨は外装アルミ板を取付けるためにスチールで製作し、幅 15 ミリ程度の鍔をひと回 り溶接し、形状を整える。 イ 外 装 純アルミ板 0.6 ㎜厚み程度を曲げ加工し取付け、沈頭鋲の様な窪みを施し、スチール 骨格に取付けをする。 実機に近い寸法と分割でアルミ板を張り分けする。 ウ 昇降舵 小骨はスチールで構成し、溶接にて接合する。防錆塗装後に布を展張りし、保護のた めに樹脂を塗布する。 (10)垂直尾翼 ア 小 骨 材質はスチールとし、防錆塗装を施すこと。小骨は外装アルミ板を取付けるためにス チールで製作し、幅 15 ミリ程度の鍔をひと回り溶接し、形状を整える。 イ 外 装 純アルミ板 0.6 ㎜厚み程度を曲げ加工し取付け、沈頭鋲の様な窪みを施し、スチール 骨格に取付けをする。 実機に近い寸法と分割でアルミ板を張り分けする。 ウ 方向舵 小骨はスチールで構成し、溶接にて接合する。防錆塗装後に布を展張りし、保護のた めに樹脂を塗布する。 (11)塗 装 純アルミ板に密着する塗料を塗布すること。 色合いは委託者と協議のうえ決定し調色することで、日本塗料工業会の番号で指示をする。 8 組 立 (1)実物大模型の組立は本市と協議の上、組立場所を確保し、受託者が作業専用できる面積 及び日数を加西市側が確保する。 ア 作業専用面積 約 15m×約 30m 程度 イ 日 数 10 日間程度 (2)本市は屋外組立場所(クレーン作業)と屋内組立場所(細部調整)の2つを確保する。 (3)受託者は既存施設の床などを養生し、破損や汚れを防止しなければならない。 (4)組立に必要とする重機、工具、足場などは全て受託者が手配用意しなければならない。 9 保証期間 納入後1年間の保証期間をもうけることとする。 ただし、行為による破壊、いたずら、盗難、天災、火災などは保証しない。 10 催 事 外装板張り作業の前に「鋲止め式典」を受託者側で行う。 なお、これに要する経費は受託者側で負担すること。 11 打合せ協議及び記録 (1)打合せは原則として、設計業務、製作業務ともに着手時、中間(2回)、成果品納入時の 計4回とする。なお、打合せ等を行った場合は、速やかに記録簿を作成し、その都度、本 市に文書で報告すること。 第1回打合せ及び成果品納入時には、管理技術者が立ち会うものとする。 また、新たな業務が発生しない限り、打合せ回数は設計変更の対象としない。 (2)受託者は製作から納入までの写真撮影をし、その写真画像をデジタルデータにして、本 市に提出する。各作業工程の全体、細部の写真撮影とする。 12 提出物 (1)契約時(契約毎) 委託業務着手届、会社経歴書、業務担当者(管理技術者、現場代理人)届、経歴書、業 務計画書、工程表、その他担当職員が必要と認めた書類。 (2)設計完了時 委託業務完了届、成果品 なお、本業務の成果品は次のとおりとする。 ア 報告書 A4版カラー印刷 2部 イ 設計図 A3版カラー印刷 2部 ウ 電子データ(上記のデータ)CD-R 2枚 ※図面データはSFC形式またはJWW形式とし、PDFデータも合わせて納品する こと。 (3)製作完了時 委託業務完了届、成果品 なお、本業務の成果品は次のとおりとする。 ア 報告書 A4版カラー印刷 2部 イ 変更設計図 A3版カラー印刷 2部 ※初年度の設計から変更があった場合のみ ウ 電子データ(上記のデータ)CD-R 2枚 ※図面データはSFC形式またはJWW形式とし、PDFデータも合わせて納品する こと。 エ 紫電改実物大展示模型本体 1機 13 その他 (1)業務の実施にあたり疑義が生じた場合は、速やかに本市と協議のうえ決定するものとす る。 (2)受託者は保存会と連携しながら、本業務を進めること。 (3)受託者は、本業務で知り得た事項並びに関連資料を当該業務に係る者以外に漏らしては ならない。 (4)本業務の成果品については、本市が著作権を有するものとする。 (5)設計、製作条件等に関しての軽微な変更については、受託者は本市の指示により作業を 進める。この場合、委託契約書の規定に関わらず「契約金額」及び「履行期限」の変更 はないものとする。
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