︻ ア ︼ あまんき み こ

【ア】
藤田のぼる の
﹁ 童話作家の ﹂
︻ア︼あまんきみこ
ん
さ
あまんきみこの名を知らなくても、4年生
覚まそう、
という感じでしょうか。
き合う心になろう、自分の中の子どもを呼び
ます。名前を仮名で書くことで、子どもと向
き手が少なくないことに気づかれると思い
前や、
︵僕もそうですが︶
下の名前が仮名の書
ると、あまんさんの他にも、全部平仮名の名
エピソード自体、ひとつの童話のようです。
えたのがそのままタイトルになったという
は何色ですか?﹂と聞かれ、﹁空色です﹂と答
﹁車の色
さん︵﹁一つの花﹂などの作者︶から、
タイトルが決められず、先輩作家の今西祐行
ました。松井さんの話をまとめて本にする時
から通信制の大学に学び、童話の勉強も始め
あまんさんはお子さんが幼稚園に入って
か り で す。お 子 さ ん と 一 緒 に 読 み 合 う の に
い出させてくれるような、味わい深いお話ば
しみてくるような、忘れてしまったものを思
﹁幼年童話﹂ですが、なにか心の深いところに
は、1年生から3年生くらいで出会わせたい
図書館にあるあまんさんの本のほとんど
平和への願いが見事に凝縮された作品です。
を生かした、そしてやはり空へのあこがれ、
いちゃんのかげおくり﹂でも、空は大切な役
で勉強する﹁白いぼうし﹂の作者といえば思
あまんさんはご自身のエッセイ﹁空の絵本﹂
は﹃車のいろは空のいろ﹄という本の中の一
い出される方も多いでしょう。タクシー運転
︵同 タ イ ト ル の エ ッ セ イ 集 に 所 収︶の 中 で、
童話作家を五十音順に紹介していくこの
手の松井さんが道端で見つけた白いぼうし。
﹁童話を書くようになってあるとき、私はふ
目を果たしています。
旧満州で生まれ、
育った
持ち上げてみると、中からもんしろちょうが
いに気がつきました。幼いときみていた窓の
編で、どれも松井さんが出会ったちょっと不
飛び出します。ぼうしをかぶせておいた子に
形 に 区 切 ら れ た あ の 空 は、私 の 大 き な 絵 本
連載、第1回はもちろんアからで、あまんき
悪かったなと思いつつ、タクシーに戻った松
だったということを。病弱な一人っ子はあた
あまんさんは、平和への想いも強いものがあ
井 さ ん。そ こ に 女 の 子 が 乗 っ て き ま す。と こ
たかい蒲団の中で空の絵本をみながら時を
思議なお客さんにまつわる物語です。
ろが、菜の花橋にやってくると、女の子はい
過ごしてきたのだということを﹂と書かれて
みこさんを紹介します。子どもの本を見てい
なくなっており、小さな野原の上をたくさん
いますが、そういえば、もう一つの代表作﹁ち
1 9 5 0 年 秋 田 県 生 ま れ。児 童 文 学 評 論 家・作 家。日 本
児童文学者協会副理事長。聖学院大学他講師。著書に﹃児
童 文 学 へ の 3 つ の 質 問﹄
︵て ら い ん く︶
、
﹃少 年 少 女 の 名 作
︵共編、自由国民社︶
﹃﹁場所﹂から読み
案内 日本の文学﹄
解く世界児童文学事典﹄︵共編著、原書房︶など、創作作
品に﹃山本先生新聞です﹄︵岩崎書店︶、
﹃錨を上げて﹄︵文
溪 堂︶
﹃み ん な の 家 出﹄︵福 音 館 書 店、2 0 1 4 年 度 産 経
児 童 出 版 文 化 賞 フ ジ テ レ ビ 賞︶な ど が あ る。小 学 校 国 語
教科書編集委員、NHK学校放送企画委員なども務める。
◇藤田のぼる︵ふじた のぼる︶
も、ぴったりだと思います。
り、近作の絵本
﹃鳥よめ﹄
は、民話のモチーフ
のちょうたちが飛んでいたのです。このお話
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『車のいろは空のいろ』
ポプラ社文庫 あまんきみこ/作
北田卓史/絵)