新定番USBタイプCの全体像

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新定番 USB タイプ C の全体像
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野崎 原生
表 1 USB に関するさまざまな規格
規格名
USB 2.0
アプリケーション
通信プロトコル
接続・切断検出
USB 3.1
各種デバイス・クラス規格
例:HID デバイス・クラス,
マス・ストレージ・クラス
ロー/フル/ハイ・スピード
スーパ・スピード通信
スタンダード A/B
(マイクロ A/B)
スタンダード A/B
マイクロ A/B
コネクタ・ケーブル
デバイス間の機器認証
USB に関するさまざまな規格を表 1 に,タイプ A/
B(従来 USB)とタイプ C(Type-C)に分けたとき,そ
れぞれのコネクタの守備範囲を図 1 に示します.
狭い意味でタイプ C といった場合は,コネクタの裏
表が区別なく使えるようになる,コネクタやケーブル
を規定している部分のみを示します.
電力供給機能(パワー・デリバリ;Power Delivery)
や 映 像 信 号 伝 送 機 能( オ ル タ ネ ー ト・ モ ー ド;
Alternate Mode)は,タイプ C 上でなければ実現でき
ない機 能 で, 広 い 意 味 で は こ れ ら の 機 能 も 含 め て
(図 1 のタイプ C の範囲すべて),タイプ C という場合
もあるでしょう.
USB 3.1
USB 2.0
バッテリ・チャージング
タイプC
USB
機器認証
映像も通せる
特殊モード
(オルタネート)
新給電規格
パワー・
デリバリ
図 1 従来 USB(タイプ A/B)と新定番タイプ C の守備範囲
タイプ C では,新給電規格パワー・デリバリや HDMI 映像信号なども通
せる特殊モード(オルタネート・モード)が追加された
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パワー・デリバリ
規定なし
VBUS の電圧・電流の制御
オルタネー ト・ モー ドの
制御
BMC 通信
USB タイプ C 規格
規定なし
USB 機器認証(USB Authentication)
● タイプ C はコネクタ規格だけじゃなくて新機
能も含めた総称
従来USB
(タイプA/B)
USB タイプ C
● おさらい…従来の USB 規格
従来の USB は,接続されたデバイスを PC などのホ
ストから使用するのが目的で,USB 2.0 および USB
3.1 は,ホストと各種デバイスとの間の通信プロトコ
ル,デバイスの接続・切断検出,そしてスタンダード
A/B(Standard-A/B)やマイクロ A/B(Micro-A/B)と
いったコネクタ・ケーブルの仕様を規定しています.
その通信プロトコルの上に,アプリケーションのと
して各種デバイス・クラス,例えばキーボードやマウ
ス な ど の 動 作 を 規 定 し た HID(Human Interface
Devices)クラス,ハード・ディスクや CD/DVD など
の動作を規定したマス・ストレージ(Mass Strage)ク
ラスなどがあります.
なお,これらのデバイス・クラスは USB 2.0 や USB
3.1 とは別となっていて,USB 2.0 でも 3.1 でも共通と
なっています.また USB 2.0 のマイクロ A/B がカッコ
付きになっていますが,これはマイクロ・コネクタ・
ケーブルが USB 2.0 よりも後からできたため,USB 2.0
本体の規格とは別になっているためです.
● コネクタ規格としての USB タイプ C
USB が普及するにつれ,コネクタ形状が複数(スタ
ンダード A/B,マイクロ A/B)あり,しかもプラグの
形状が表か裏か分かりにくく挿し込みにくい…といっ
た声が聞かれるようになりました.そこで,コネクタ
形状を 1 種類に統一し,プラグの表裏の区別をなくし,
しかも従来のマイクロ・コネクタ並みの小ささを実現
した新しいコネクタ規格として,USB タイプ C が登
2017 年 4 月号