証券ポストトレードへのブロックチェーン技術検証と今後の課題 [PDF

2017年 2月28日
株式会社 みずほ銀行
富士通 株式会社
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本プレゼンテーションには、出願中の特許(2件)の内容が含まれております。
Copyright 2017 Mizuho Bank, Ltd.
Copyright 2017 FUJITSU LIMITED
目次
1.これまでの取組み
・証券ポストトレードでのフェイルを低減
・証券ポストトレードの実証実験の流れ
2.今回の取組み
・BitcoinとHyperledger Fabricの違い
・アプリケーション開発における課題
・参加者管理、認証局における課題
3.今後の取組み
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これまでの取り組み
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【振り返り】
Blockchainで約定内容を共有し、フェイルを低減。
外国投資家
買手
海外銀行
(海外運用会社)
国内口座管理機関
(グローバルカストディアン)
2 決済指図
(サブカストディアン)
2 決済指図
分散
台帳
フェイル
低減
分散
台帳
1
照
合
本
分散
台帳
約定内容と決済状況の情報を
ブロックチェーン上に登録
各関係者の持つ分散台帳に情報を反映
分散
台帳
分散
台帳
3
4
照
合
決
済
関係者全員が約定内容を共有出来る
分散
台帳
分散
台帳
(○○証券NY)
売手
2
決済指図
外国証券会社
(○○証券東京)
国内口座管理機関
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証券ポストトレードの実証実験の流れ
 多くの実証実験が行われているコンソーシアムチェーンを用いて、
業務課題を見出す
 汎用性の高いHyperledger Fabricに注目
2016年8月23日
第一回FinTechフォーラムにて
デモンストレーション実施
2016年6月
2016年3月8日
プレスリリース
2016年4月
秘匿化機能
2016年9月
基盤移設:
Hyperledger Fabric
ワークフロー機能
2016年2月
情報共有機能
2015年12月
開発開始
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今回の取り組み
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BitcoinとHyperledger Fabricの違い
 証券ポストトレードシステムをBitcoin(ColoredCoin)、
Hyperledger Fabric v0.6.1に実装して比較
項目
Bitcoin
Hyperledger Fabric
種別
• パブリック
• プライベート/コンソーシアム
基盤の特性
• 仮想通貨基盤
• 汎用基盤
合意形成
• Proof of Work
全ノードによる競争
• PBFT
検証ノードによる合議
• すべての参加者に公開
• 公開範囲の制御が可能
データの
公開範囲
Bitcoin基盤には制御機能はなく
アプリケーションに制御機能を実装
Fabricの機能を使って実装
アプリ
• データサイズに制約あり、工夫必要
ケーション開発
• いわゆる”スマートコントラクト”となる
アプリケーション(“チェーンコード”)を
汎用言語で実装可能
参加方法
• 認証局に許可されたノードのみ
参加可能
• 誰もが参加可能
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アプリケーション開発
Bitcoin
Hyperledger Fabric
 データの格納サイズや利用方法など、
制約が大きい
 スマートコントラクトを実現する
チェーンコード(アプリケーション)を
汎用言語(Java、Go)で実装可能
 ワールドステート(KVS)にデータ保管
ノード
ノード
ブロック
ブロック
ブロック
ノード
チェーンコード
(アプリケーション)
ノード
トランザクション>
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・XXX■■■
ブロック
<
トランザクション>
チェーンコードID
パラメータ
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・
<
ノード
トランザクション情報の余白(OP_RETURN)に
約定情報・承認情報を追記
ノード
ノード
ワールドステート
XXX ■■■
YYY ■■■
ZZZ ■■■
ノード
トランザクション情報とは別に
ワールドステートに約定情報・承認情報を保持
約定情報・承認情報は
複数のトランザクションを分割して登録
約定情報・承認情報はワールドステートに登録
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アプリケーション開発における課題(Fabricの場合)
 アプリケーション(チェーンコード)は汎用的、自由度が高い
 様々なアプリケーションを実現可能
 ソフトウェア技術者のハードルが低く、ブロックチェーン活用を促進
 一方で、アプリケーションの品質担保が課題
 各ノードで実行されるアプリケーションの実行結果は必ず同じになるように注意
必要(時刻や乱数等、ノードごとに異なる情報を利用しない)
 Fabric V1.0に向けて“Next Consensus Architecture”でノード間の整合性は保た
れるが、アプリケーションの実行結果が正しいことを証明できるか
従来のシステム開発と同じく、品質確認の仕組みや制度が必要
 アプリケーションの品質検証と担保
 アプリケーションの配備を承認する制度
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参加者の管理
Bitcoin
Hyperledger Fabric
 オープンな環境
 誰でも参加可能
 接続さえすれば全員が情報共有可能
 クローズドな環境
 限定されたメンバーのみ参加可能
 認証局から承認されたメンバーのみ情報
共有可能
認証局
ノード
ノード
ノード
ノード
ノード
ノード
ノード
ノード
決済機関
銀行
決済機関
Bitcoinネットワークにより、誰もが情報共有可能
銀行
限定されたメンバーだけで安全に情報共有可能
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認証局に関する課題(Fabricの場合)
 公開鍵基盤(PKI)の仕組みにより、高いセキュリティを実現
 鍵管理をHSM(ハードウェア・セキュリティ・モジュール)を利用する等、
高い安全性が確立された従来技術を適用
 運用上、認証局が重要な位置づけを担っている
 コンソーシアムへ参加する時
認証局の許可(ECert)なくして、コンソーシアムチェーンに参加できない
コンソーシアムの中でも、認証局の運営主体が重要になる
 個々のトランザクションを発行する時
認証局が発行するトランザクション証明書(TCert)を付加する必要あり
使い方によっては、認証局がシングルポイントとなってしまう
(Hyperledger Fabric V1.0では認証局を二重化できる予定)
認証局
発行
ECert
TCert①
クライアント
(決済機関)
ECert
発行
ノード
ECert
アプリケーション
(チェーンコード)
TCert①
TCert②
ブロック
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ワールドステート
ノード
ECert
ノード
ECert
ノード
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今後の取り組み
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今後に向けて
 ブロックチェーン基盤の特徴に応じて、使い分けていく必要あり
 今後も、他のブロックチェーン基盤での実証を進めることにより
実用化に向けた見識を深めていく
2016年8月23日
第一回FinTechフォーラムにて
デモンストレーション実施
2016年6月
2016年3月8日
プレスリリース
2016年4月
秘匿化機能提供
2017年
2016年9月
基盤移設:
Hyperledger
Fabric
更なる向上に
向けて
ワークフロー機能提供
2016年2月
情報共有機能提供
2015年12月
開発開始
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