1 情報化時代の医療広告 堂 前 洋 一 郎 インターネットの発達した現代社会では数限り 討することは不可能である。 ない情報が我々のところに舞い込んでくる。これ 厚生労働省は平成24年9月美容医療サービスな らの情報の取捨選択は利用者に任されており、情 どの自由診療に関する医療機関のホームページに 報の取捨選択によっては全く違った結論に結びつ 掲載されている情報を契機に発生するトラブルか くことさえある。 ら、医療機関のホームページの内容の適切なあり方 病院の選択についても同じことが言える。患者 に関する指針(医療機関ホームページガイドライ さんはインターネットを利用し、各病院の情報を ン)を出した。これはインターネット上の医療機 収集して、病院に来られることが多くなってきて 関のホームページの内容に関する規範であって、 いる。特に専門的な治療に関してはその傾向が強 各団体などは自主的に取り組みを促すものとされ くなってきているようだ。 ている。これによると医療法で限定的に認められ しかし、それらの情報は果たして正確なものと た事項以外は広告が禁止され、取り上げるべき事 言えるであろうか。いろいろな検索方法があると 項と掲載すべきでない事項が具体的に挙げられて 思われるが、ちなみに整形外科関係で○○の病気 いる。 の治療と打ち込んで検索すると、その1ページ目 改めて各病院のホームページを見てみると、指 にはまずサプリメントの宣伝、その次には柔整、 針では掲載してはいけない他との比較などにより 接骨師などの宣伝となり、その次は患者さんの体 自らの優良性を示したもの(たとえば最高の医療 験談などである。病院にアクセスできる情報など を提供します、日本一の手術件数です。 )や病院 はかなり後ろのページにしか出てこない。しかも 名と併記し○○センターなどとしているものが多 これらの情報源は発信源が特定できないものが多 く見られた。 くあり、その信用性も疑問である。あまり専門的 厚生労働省は指針の前文で、原則として病院の 知識のない患者さんが1ページ目から目を通して ホームページを法の規制対象とみなさないと記載 いくと正しい方向性が歪められてしまうかもしれ している。法の規制から外されているとはいえ、 ないし、自分で情報を収集し、都合のよい情報の ホームページを作成するときには圧倒的多くの情 みを組み立てた場合は間違った選択となるかもし 報を持っている病院側には的確な情報を患者さん れない。 に送る義務があり、また病院の自律と真摯な態度 そこで情報収集に有効なのは各病院のホーム が求められるのである。 ページであろう。しかし、各病院のホームページ 一方では、これら氾濫するインターネット上の を見てみるとその様式は様々であり、いろいろな 広告に対して、患者さん保護の立場から新たにホー 診療情報はその病院の独自のスタイルで表現され ムページや医療広告を監視する何かしらの機関を ている。患者さんが各病院のホームページを見て、 つくる必要があるかもしれない。 その病院の概要は判断できても病院間の比較、検 (県医理事) 新潟県医師会報 H29.2 № 803
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