フィンランド共和国ヨウツェノ学院でフィンランド語研修を実施 2017 年 2

フィンランド共和国ヨウツェノ学院でフィンランド語研修を実施
2017 年 2 月 13 日から 17 日まで,フィンランド共和国南カレリア県にあるヨウツェノ学院 Joutsenon Opisto
にてフィンランド語の語学研修がおこなわれました。天候にも恵まれ,美しいフィンランドの冬を楽しみながら
学ぶことができました。
「自主企画ゼミナール」は,学生が自主的に企画・立案をおこなう外国語学部の特徴的な科目です(*注)。自
主企画ゼミとして,2016 年度前期には「現代フィンランド語の基礎」が,後期には「現代フィンランドの言語と
社会」が開講されました。その学習成果の確認と,フィンランドの社会の文化の実地研修を兼ねて今回の研修旅
行は計画されました。
学院の建物
ウェルカムスライド
本学は,フィンランドの国民学校 kansanopisto の一つであるヨウツェノ学院 Joutsenon Opisto と交流があ
り,現在,別科日本語研修課程でヨウツェノ学院の推薦を受けたフィンランド人留学生一名が勉強しています。
今回の語学研修では,ヨウツェノ学院の協力を得て,初歩のフィンランド語の授業と,ヨウツェノ学院で英語を
学ぶフィンランド人クラスとの合同の英語の授業を中心としてプログラムが組まれました。
フィンランド語が未習の学生でも参加は可能,ということで,自主企画ゼミナールの受講者有志に加え,北欧
地域の社会と文化を学ぶ「EU 地域研究」
(外国語学部)の授業履修者からも参加希望者を募り,合計 7 名の学生
が今回の研修に参加しました。
フィンランド語ネイティブの教師によるコミュニケーション重視のフィンランド語の授業には,自主企画ゼミ
ナールでフィンランド語をある程度学んだ学生も,フィンランド語を初めて学ぶ学生も,それぞれ一生懸命取り
組み,大いに楽しみました。総まとめとして,習った表現を使って学院の教職員をグループで尋ね,フィンラン
ド語でインタビューをして交流を深めました。また,フィンランド人と合同の英語の授業では,英語を使って外
国人としっかり話し合うのは初めて,という学生もいて,丁寧に話を聞いてくれるフィンランド人学生やフィン
ランド人英語教員の姿勢に感銘をうけるとともに,自分の英語力をもっと磨かなくちゃ,という意欲をもらった
ようです。
フィンランド語の授業のようす
フィンランド語課題 (インタビュー)
フィンランド語の授業を終えて
英語の授業のようす (グループワークとペアワーク)
フィンランドらしい社会と文化の学習の機会として,
「カレリア風パイ作り」
「初等学校訪問」
「ウィンターアク
ティビティ」
「サウナ体験」
,また学院の芸術コースの設備を利用した美術作品の制作実習も盛り込まれました。
このような充実したプログラムはヨウツェノ学院の前面的な協力で実現しました。参加学生は大いに満足したよ
うです。
カレリア風パイ作り
焼き上がったカレリア風パイ
ウィンターアクティビティ
サウナ
芸術作品制作体験
さらに,参加学生はヨウツェノ学院の「日本語・日本文化コース」の生徒さんによるスピーチコンテストの審
査員役を務めたり,ヨウツェノ学院で開講されている日本語の授業に参加したりしました。短期間に驚くほど上
達した彼らの日本語への驚きは,自分の語学学習への反省や発憤の材料になったようです。また,先生役として
フィンランド人に日本語の指導をする体験は,自分たちの母語を振り返る貴重な機会になりました。
スピーチコンテスト
以下,研修参加者の声をいくつか紹介します。

「何よりも日本語コースの学生さんのスピーチコンテストにはとても驚かされました。日本からとても離れ
たフィンランドで日本語を勉強しとても上手に話せるからです。見習わらなきゃいけないところが沢山あり
ました。しっかり勉強しようという気持ちにもなりましたし、
(自分の専攻言語である)英語が上手に話せな
くても伝えようとする気持ちが大切なんだと気付きました。しかし、伝えようとすることは緊張や焦るもの
です。それでも話そうとすれば相手は聞こうとしてくれると学びました。
」

「ヨウツェノ学院での英語の学習について 参加型の授業でとても勉強になりました。フィンランドの学生
さんたちはすらすらと英語を話すので、英語力の乏しい自分は大丈夫かなと最初は不安になりましたが、自
分が話すとき言葉が出てくるまで待っていてくれて一生懸命聞こうとしてくれました。」

「短期間でしたが初めての留学経験になりました。この 2 年間、大学で英語を勉強してきましたが、自分が
こんなにも積極的に英語を話そうと思ったのは初めてかもしれません。むしろ英語が母語ではない人同士で
あるからこそ文法などのミスを気にせずに話せたと思います。そして日本語専攻の学生は 1 年未満であるに
も関わらず、あれだけ日本語を理解し話せていることに感銘を受けて、私も今以上に勉学に真剣に向き合お
うと思いました。」

「小学校訪問ではフィンランドと日本のノートに対する考え方の違い、が特に印象に残った。日本人は、ノ
ートはきれいに書くもの、先生の書いた黒板の文字をきれいに板書するものという考え方を持っている。フ
ィンランド人は、ノートはきれいに書かれていないことが多いが、自分で考えノートに書き入れるものとい
う考え方を持っている。そのため、学びが自主的なものとなり、頭に入りやすくなっているのだ。また、ク
ッションやバランスボールで授業を受けている生徒さんが何名かいることに驚愕した。日本では考えられな
いことであり、特にクッションに横たわりながら授業を受ける姿は、一見やる気がなさそうであったが、手
を挙げて発言をしており、決してやる気がないわけではなかった。こうした風景は他のクラスでも見られた。
また、授業は先生の講義に時間を多くとらず、生徒さんが先生から与えられた課題を授業内でこなし先生に
提出する、ということに時間をとっていた。各自課題が終わると、廊下にあるパソコンをとりに行き教室で
それを用いて自習をしていた。生徒が授業内で立ち歩いても、こちらでも先生の注意はなかった。主体的な
学びが重視されていると感じた。
」

「ネット上やテレビで言われている情報だけではわからないものを肌で感じることができました。『フィン
ランド人はこんな人、無口でおとなしい』という性格だということは、それはいい意味で違いました。例え
ば、先生が前に立って話している時に恥ずかしがらずに意見を言い、当てられたときも堂々と意見を言って
いました。テレビやネット上に書かれていることや持っているイメージといった固定観念を持って接するこ
とは良くないことであると再確認しました。日本人はおとなしいというのにも、おとなしい人やパワフルな
人もいますが、それと同じです。また、フィンランド人の学生が意見をしっかりと発言し、当てられたとき
も堂々と発言している姿を見て、私ももっと意見を言えるようにしようと感じました。心のなかでは意見を
持っていても発言しないことがあるので、変わろう!と決意できました。
」

「ヨウツェノ学院から徒歩 15 分ほどにあるフィンランドで一番大きなサイマー湖で日本語専攻の学生数名
と一緒にフルーツバスケットで遊び、ソーセージを焼きながら会話できたのが一番印象に残ったプログラム
でした。いつ割れるか分からない(注:実際には研修時の湖の氷は充分に厚く、割れることはありません)
凍った湖の上をドキドキしながら歩いて、走り回るのは初めてだったので貴重な体験をさせていただきまし
た。そして日本語専攻の生徒と親睦を深めることができた 1 日になりました。
」

「職員のみなさんも学生のみなさんもとても優しく親切でした。校長先生は、何かあったら言ってねと気さ
くに話せる方で、フィンランドの伝統のパイ作りをした際にはわかり易く丁寧に教えてくださりとても楽し
く作ることができました。学生のみなさんも、雪遊びのときや寮についてわからなくて聞いたら一つも嫌な
顔せず、丁寧に教えてくださり、最後のパーティーも多くの方が来て、日本からのお土産もすごく喜んでく
れました。また、料理もおいしく、キッチンも豊富で、言語にも困らず、掃除も行き届いており、夜も静か
でした。また、ジムでトレーニングできることも良い点です。何一つ不自由なく過ごすことができました。
」
さよならパーティーのようす
寮の部屋のようす。清潔で快適
みんなで朝食
2017 年度からは,外国語学部の外国語科目に新たに「フィンランド語」が正式科目として加わります。一年の
学習を積んだ学生が,来年ヨウツェノでフィンランド語を本格的に学ぶ,という機会が来ることを期待したいと
思います。
最後になりますが,このような素晴らしい研修の実現に協力いただいたヨウツェノ学院の教職員スタッフの皆
さま,また気持ちよく私たちを受け入れてくれた学院の生徒さん一人ひとりに改めて感謝申し上げます。Kiitos!
「ありがとう!」
(*注) 2017 年度からは経済学部でも自主企画ゼミナールが開講されます。