骨折 寝たきりにしない きほんのき 教えてくれた人 増 子 達 也 さん とのつき合い方 ◉ 増子整形外科まり皮フ科 院長 骨折というと「ギプスをつけて安静に」というイメージがあります が、最近は術後すぐのリハビリはあたりまえ。痛みへの対応や手 術法も進化しています。在宅医療にも詳しい整形外科医の増 子達也先生にうかがいました。 どうして骨折するの ? 要介護や寝たきりのきっかけになる骨折。 高齢者であれば、もれなくついてくるリスクといっても過言ではありません。 認知症の人では、病院から手術やリハビリを断られることもあり、 悩ましいところです。 でも慌てないで。 最近では手術も進化し、治療の選択肢も増えています。 術後の生活、再び転倒しないコツなど、 転ばぬ先のための「 情報 」と「 知恵 」を集めました。 教えて 先生! 特集 1 だいたいこつけいぶ 今さら聞けない ! ? て ん し ぶ 東京都町田市で、整形外科、皮膚科、内 科の常勤医 3 名が所属するクリニック を営む。自身の専門は整形外科。地域 ケア会議にも積極的に参加するなど、 地域の在宅療養状況に詳しい。町田市 医師会理事 在宅ケア委員会委員。 転倒は大きな要因。まずは「 転ばないように」が一番です 高齢者の骨折で特に重症度が高いのが、 だいたいこつけいぶ も転倒が原因で起きやすい骨折といえます。 せきつい 「 大腿骨頸部骨折 」です。大きな骨なので若い 「 脊椎圧迫骨折 」も重症度としては高い部類 人はめったに骨折することはありませんが、高齢 に入ります。背骨が押しつぶされたように変形し 者は転んだときにとっさにかばったり上手に受け てしまう骨折で、部屋で尻もちをついたり、重いも 身を取ったりできないため、直接床や地面に打ち のを持ち上げるなどして起こることが少なくありま つけて骨折してしまいます。 せん。後述しますが、骨粗しょう症と深くかかわっ とうこつ ほかにも、手首の骨折である「 橈骨骨折 」も 高齢者に多く見られます。また、ひじや肩をつい じょうわんこつけいぶ たときに起こる「 上腕骨頸部骨折 」など、いずれ ています。 これら4つの骨折を合わせて、 「高齢者の四大 骨折 」と呼ばれます。 とうこつ ❸ 橈骨骨折 ❶大腿骨頸部・転子部骨折 手首も高齢者に多い骨折。 太もものの付け根の部分の骨折。 転ん 転んでとっさに手をついた だときにとっさにかばうことができず、地 らというパターンが多い。 面に打ちつけて骨折してしまう。高齢で 腕やひじを打ちつけて肩が も手術することが多く、手術後は翌日に 折れることも。 は起き上がりリハビリを行うことが大切。 大腿骨転子部 ますこ たつや 大腿骨頸部 ❹ じょうわんこつけいぶ ❹ 上腕骨頸部骨折 せきつい ❷ 脊椎圧迫骨折 ❷ 尻もちをつくなど、椎体に力がかかって 起きる骨折。胸椎と腰椎の境界部分でよ く起こる。背中や腰の痛みで気づくこと が多いが、痛みの程度は個人差が大き い。骨粗しょう症が大きく関係している。 6 月刊ケアマネジメント 2017.3 ❸ ❶ 月刊ケアマネジメント 2017.3 7
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