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Experian Mosaic Japan
ケーススタディ
Mosaicデータによるライフスタイル情報を加えた
ビッグデータ分析で「生きた都市」の生態を把握
Experian Mosaic Japanのライフスタイルデータを活用して、リアルな都市生態の把握に取り組む東京大学の産学共同研究
「都市は生き物」と表現されるように、都市はそこに住む人々の属性や経済活動、インフラ、歴史、近接エリアとの関係性など、
様々な要素の影響を受けながら変化し続けています。こうした複合的な要素の分析を通じて、都市の実態を把握することは、従来
から建築学の分野における大きなテーマとされてきました。東京大学 建築学専攻 Advanced Design Studies(T_ADS)はNTT
都市開発、新建築社と共同で、こうした研究成果の都市デザインへの応用を目的として、2015年4月に「Design Think Tank
(DTT)」を立ち上げました。DTTでは、消費者のライフスタイルを14分類でセグメント化したエクスペリアン「Experian
Mosaic Japan(以降、Mosaic)」のデータを活用して、2015年の秋から東京都港区の青山エリア、台東区の三筋・小島・鳥越
エリアにおいて街の分析調査を開始。この目的や手法、そして今後の展望について、東京大学大学院 工学系研究科で助教を務め
る木内俊克氏と、同大学院 小渕研究室の小見山陽介氏にお話を聞きました。
都市を構成する要素の関係性から都市デザインのプロセスを探求
近年、建築学の分野では「BIM(Building Information Modeling)」というシステムが大きな注目を集めています。BIMは都市
を構成する建築物やインフラといった「単位」に、意匠や構造、設備、維持管理などの様々な情報を持たせ、これらの情報を関係
者間で共有することで、設計の段階から建築・維持管理に至るまで、長期的なスパンで最適化を図っていくためのツールです。設
計上で設定した情報を、建築のIoT化により管理の上でも一貫して計測、把握、運用していくこの手法によって、近年は設計・建
築工事の迅速化やインフラ整備、エネルギー利用の効率化など、様々な成果が報告されるようになっています。
「しかしながら、現在進めている研究においてDTTが着目したのは、データマイニング的な解析手法がもたらす純工学的な効率化
ではなく、『クリエイティブな都市デザイン』という最適解の存在しないプロセスへのデータの応用です。都市を小さな個や共の
集まりと、その営みが相互作用し合う場として捉え、その生態としての働きを促進するためにデータを役立てようと考えました。
そこで、まずその前段階として都市生態を可視化し、問題を提起するための研究をスタートしたのです」(木内氏)
また、この研究では都市デザインにおける「発見的なデザインツール」としてのデータ活用も模索しています。その手がかりとな
るのが、都市と環境が呼応してできる「状況」や「風景」といったイメージ的な要素です。ここには個人や企業なども含まれ、そ
れぞれが別々の意志を持って関わり合いながらも、結果として互いに影響を及ぼしあって都市が形成されています。その意志を決
定づけるものが何なのかについて、すでに存在している人や都市要素に関するビッグデータを活用して、都市生態としての関係性
やつながりの可視化を目指しています。
Mosaicのライフスタイルデータで都市生態の「弱いネットワーク」を可視化
DTTが最初に考えたのは、ある時点における街の姿をデータにより可視化することでした。ここではゼンリンが提供する商業ビ
ル・オフィスビルなどのデータを用いて建物の属性を色分けし、さらにAgoopの流動人口に関するデータを用いて人の行動する速
度や移動方向を分析。そして、この両方のデータを組み合わせて、街を俯瞰したイメージの可視化を図りました。また、地図上の
ベクトルの色で移動する方向と期待することを表したり、人の出入りを同心円の大きさで表したりすることで、人の動きやその目
的も明らかにしようとしました。
次に、人の出入りや動きを統計データで分析することで、午前中や夕方といった時間帯ごとの街の変化を調査しました。ここでは
NTTドコモの「モバイル空間統計」のデータで、その時、その場にいる人口を把握し、それにMosaicのライフスタイル属性デー
タを加えることで、「ライフスタイルが異なる人々の行動パターン」について、エリアや時間帯別の違いを見いだそうとしました。
「こうした調査・分析で見えてくるのは、まさに街が創り出す曖昧な雰囲気であり、それを創出しているのは決して明確な意味の
ある強制力や強い関係性ではなく、むしろ小さく弱く無意識に発生するものです。機能や働きというよりも、その環境の気配やイ
メージとも言えるこの弱いつながりを、DTTでは『Internet of Behavior=弱いネットワーク』と定義し、これらによる相互作用
のメカニズムを解明・把握することで、街づくりへの可能性を
探ろうとしているのです」(木内氏)
ライフスタイルデータが明らかにする
よりリアルな都市の変化のイメージ
DTTがこの研究で試みた手法は、いずれも街にあるモノや人
を直接的に扱うのではなく、「人の営み=Behavior」を介し
て対象を捉えることです。つまり、流動するモノや人の動き
(得られるデータの時間的な差分)に視点を置き、その分布
を捉えることによって、人々が抱く地域イメージのベースと
なっていると思われる「弱いネットワーク」の偏りや変化を
明らかにしようとしました。「そこで、比較的容易に入手で
きる一般統計データや流動人口データ、歴史研究の定量化
データなどを活用して、イメージを可視化、抽出する作業に
着手しました。ここで有用だったのが、消費者のライフスタ
イル属性を持ったMosaicのデータです。今回、エクスペリア
ンから提供していただいたこのデータは、性別や年齢などの
属性に限られた行動データにはないメリットを備えています。
Mosaicのデータを用いることで、どのようなライフスタイル
の人がどこに集まり、また移動しているのかといった、より
生き生きとした街のイメージを浮かび上がらせることができ
ます」(小見山氏)たとえば、青山では昼と夜とでは通りを
歩く人の属性が変わり、それによって街の雰囲気もがらりと
変わるエリアがあります。それが単に「30代の男女の増減」
ではなく、「都市部の社会人が増えた」「大都市のエリート
が減った」といったように、よりリアルな都市の変化のイ
メージとして見えてくるということです。
商業施設のプロモーション活用など
分析結果がもたらす様々な可能性
DTTの研究はまだ過程の段階ですが、今後の展望として2017
年から浅草・蔵前・上野近辺の駅不在エリアへのコミュニ
ティサイクル導入による流動人口の変化、および新しい流動
人口のもつ振る舞いがどのように街に変化を与えていくのか
といった予測を、一連の研究の延長上で計画しています。
「直近の試みとしては、現存する施設の世代別指向性とビ
ジュアルの分析を踏まえたマップを活用して、街に人を呼び
込むイベントも開催する予定です。こうした活動によって外
部からの人の流動を喚起することで、街にどのような変化が
起きるのか。新旧の住民の交流を活発化することも試みられ
ないかと考えています」(木内氏)
さらに、DTTでは分析によって得られた知見を現実世界に活
かすことも課題として捉えています。たとえば、その街の傾
向をマーケティングの指標としたり、娯楽・商業施設への人
の誘導プロモーションに活用したり、様々な可能性が期待さ
れます。建築学からの観点からは、建築物を建てるだけでな
く、建ててからの使われ方まで意識したデザイン設計が不可
欠であり、ソフト(活用・運営)とハード(実際の建物)を
併せ持ったデザインスキームの提案も視野に入れています。
同様のスキームは、空間やイベントのデザインにも活用でき
るだけに、都市の生態を踏まえた「ボトムアップ」の都市づ
くりにつながっていくはずです。
全町丁目を220セグメントに分類できる
Mosaicの高精細なデータ分析に期待
今回のような研究において不可欠なデータに対する要望とし
て、小見山氏は次のように話します。
「Mosaicに限らず、マクロな都市データではどうしても微妙
な誤差が切り捨てられてしまうことから、スケールが小さく
なった時に特殊性が消えてしまう傾向にあり、それがDTTの
研究にとっては悩ましいところでした。それと、各データ提
供会社のデータ集計単位が異なるケースがあり、統合して分
析する際に苦労しました。こうしたデータの標準化は様々な
シーンでのビッグデータ活用における課題だと思います」
また、木内氏も「Mosaicのデータは日本全国の1億3,000万人、
5,300万世帯を地理統計学的にクラスタリングし、大分類14、
中分類52、小分類220のセグメントで人々のライフスタイルを
把握することができます。DTTでは今回、大分類の14属性を使用しましたが、これから先の研究では中分類や小分類のセグメン
トでより詳細な分析もぜひ試してみたいと思っています」と期待を寄せます。今回のDTTのような最先端の研究においても、新た
な価値が実証されつつあるエクスペリアンのMosaicデータは、今後も産学を横断した様々な分野において、ますます大きな可能
性を発揮していきます。
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