当面は金融緩和が続く見込みだが、政治リスクや米国の動きに警戒

2017年2月28日
(No.2,692)
〈マーケットレポートNo.5,284〉
最近の欧州の指標とマーケット(2017年2月)
緩やかな景気回復が続く見込みだが、政治リスク等に注意
企業景況感は改善傾向
消費者物価も上昇基調
 2月のユーロ圏PMI(速報値)は一段と改善しており、
製造業は55.5、非製造業も55.6に上昇しました。
ユーロ安などによる好調な輸出や、ドイツなどの堅調な
雇用環境が景気回復を支えています。
 また、景気回復に加え、エネルギー価格上昇などの影
響でユーロ圏の消費者物価指数は上昇基調で推移し
ています。17年1月は前年同月比で+1.8%となり、
欧州中央銀行(ECB)が物価安定の目途としている
+2.0%に近づきました。
金利は低水準だが、底入れ
【ユーロ圏のPMIと消費者物価指数】
(ポイント)
57
 ただし、景気回復やインフレ率の上昇、米国債利回り上
昇の影響などから、ドイツの国債利回りなども2016年
10月以降は緩やかながら上昇に転じました(2017年
2月は再び低下)。
2.5
製造業(左目盛)
サービス業(左目盛)
消費者物価指数(前年同月比、右目盛)
56
55
2.0
1.5
54
1.0
53
0.5
52
0.0
51
▲ 0.5
50
▲ 1.0
49
14/3
14/9
15/3
15/9
16/3
16/9
▲ 1.5
17/3
(年/月)
(注)データ期間は2014年3月~2017年2月。
消費者物価指数は2017年1月まで。
(出所)Bloomberg L.P. で取得したIHS Markitデータを基に三井住友
アセットマネジメント作成
政局不安や米国の動向などがリスク
 ECBによるマイナス金利政策や国債買取など緩和的な
金融政策の影響などにより、ドイツの10年利回りは一時
マイナスの領域に達するなど、ユーロ圏各国の長期金利
は全般的に低水準で推移してきました。
(%)
【ユーロ圏の債券市場動向】
(%)
2.5
イタリア10年国債の対ドイツ国債利回り差
2.0
1.5
1.0
フランス10年の対ドイツ国債利回り
ユーロ圏投資適格社債の対ドイツ国債利回り差
0.5
0.0
ドイツ10年国債利回り
▲ 0.5
16/1
16/3
16/5
16/7
16/9
16/11
17/1
 相対的に高利回り債券は投資家需要が強く、社債は (注)データ期間は2016年1月1日~2017年2月27日。
堅調でしたが、イタリアなど政治不安などを抱える国の国 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
債は足元で対ドイツ国債の利回り差が拡大しています。
(年/月)
当面は金融緩和が続く見込みだが、政治リスクや米国の動きに警戒
 ECBは、景気やインフレ、政治不安などを抱える国の状況、あるいは米国の新政権の動きなどを注視しながら、
当面は現状の金融緩和的な姿勢を続ける見通しです。このような環境下で、ユーロ圏各国の長期金利は低
水準に止まる見通しです。
 しかし、景気回復やインフレ上昇、米国で財政拡大や利上げの継続が見込まれるなか、ECBの金融緩和姿
勢は徐々に緩み、緩やかながらもドイツなどユーロ圏の国債利回りは上昇する見通しです。
2017年2月11日 ユーロ圏のGDP成長率(2016年10-12月期速報値)
2017年1月26日 最近の指標から見るユーロ圏経済(2017年1月)
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