相場展望レポート (2017 年 3 月) 2017.2.28 水上 紀行 氏(元インターバンク・ディーラー) 2017 年 3 月の予想レンジ ドル/円 110.00〜116.00 ユーロ/ドル 1.0000〜1.0800 ユーロ/円 115.00〜121.00 豪ドル/円 84.00〜89.00 ドル/円 ドル/円 月足 昨年の⽶⼤統領選挙で、トランプ⽒が当選し、その時点の 103 円台からドル/円は急騰し、12 月 15 日には、 118.66 円をつけました。 しかし、それからは軟化傾向となり、現在は 112 円から 115 円近辺のレンジ相場となっています。 1 相場展望レポート (2017 年 3 月) 2017.2.28 しかも、今回のレンジ相場では、膠着化する場面も多い一方、動く時はそれなりには動く一面もあり、レン ジ相場の中では、陽性の相場だと、個⼈的には⾒ています。 とは言え、動かない時には、時間をつぶすのにも困るのがレンジ相場ですので、早く通過して、トレンド相 場に戻ってほしいものですが、やはり、以前にも申し上げましたように、今一番世界が注目しているトラン プ⽒が⽶⼤統領となっているアメリカに対して、世界の投資家達がどのような投資判断を下すのかを待たね ばならないと思います。 そして、投資判断が下されるまでは、レンジ相場は続くと心得るべきではないかと思っています。 ここでいう投資家とは、政府系ファンド、年⾦の運⽤機関であるペンション・ファンド、機関投資家、 そして中央銀⾏などが挙げられます。 彼らは、公的あるいは準公的な組織ですので、いわゆるお堅い⼈達です。 従って、投資判断を下すまで、4〜5 ヶ月かけることもあります。 今回も簡単には結論が出ない状況だと思われますので、やはり 4〜5 ヶ月ぐらいは、少なくともかかり、そ の期間はレンジ相場が続くものと⾒るべきではないかと⾒ています。 さらに、年間のマーケットのスケジュールに照らし合わせてみると、⼤統領就任が 1 月 20 日ですから、そ れから 5 ヶ月とすると 6 月末となります。 そして、6 月末は、欧⽶の中間決算となっており動きづらく、さらに 7 月・8 月は夏休みということになる と、現実的に動き出すのは、欧⽶勢の実質的な下期のスタートとなる 9 月になることも想定しておいた方が 良いように思います。 そうすると、その間、ある一定の水準でのレンジ相場が延々と続く可能性があります。 レンジ相場で言えることは、上記でもお話ししましたように、一方向に動くトレンド相場を作る投資家筋の 動きがなく、マーケットにいるのは、投機筋だけです。 投機筋であるトレーダーは、基本的に裁量トレードをしていますが、トレーダー達の考えていることは、非 常に似通ってくることは、想像以上だと思われます。 その結果、ポジションが一方向に偏り、その反動で相場は逆方向に簡単に動いてしまい、損失ばかりが残る ことになるということです。 2 相場展望レポート (2017 年 3 月) 2017.2.28 そうした、損を出しやすいマーケットが続くと、マーケットも荒んで(すさんで)きて、さらにリスキーな 相場になっていくわけです。 ですので、トレードをするにも、先⼿必勝で⾏き、さらに、欲を⽋かずに、利⾷えたらさっさと利⾷って、 マ―ケットから⽴ち去るというスタンスを崩さないことが⼤事です。 レンジ相場は、⼈間修養の場と心得えるべきかと思います。 レンジ相場で、うまく⽴ち回れるようになれば、トレンド相場は、それほどの難しさはないと思います。 まずは、今の相場がレンジ相場かトレンド相場であるかを⾒極められるようになることが⼤切です。 ユーロ/ドル ユーロ/ドル 月足 流れとしては、下げを⾒ていますが、なにしろ動きづらい相場になっています。 その⼤きな理由が、2008 年に起きたリーマン・ショックで、多くの欧州系銀⾏が、未だにそのダメージに よる傷から癒えていません。 3 相場展望レポート (2017 年 3 月) 2017.2.28 むしろ、最近でも、経営危機をささやかれる銀⾏がたえません。 そうした銀⾏が、トレーディングに対して強化しているのは、コンプライアンス(法令順守) 、規制、そして さらにトレーダーのリストラも増えています。 したがって、マーケットの活⼒が失われてきていて、相場が動かなくなっているというのが、実際のところ のようです。 しかし、昨年の⽶⼤統領選挙後、ドル⾼ユーロ安傾向にはなってきており、トレンド的には、ユーロは下が っていくものと⾒ていますが、既に、1.0500 ドル近辺におり、これがしっかりと割り込むと、1.0000 ドル (パリティー、等価)を目指すものと⾒ています。 そういう意味から、今年続けて⾏われる、欧州各国の選挙には注目です。 ユーロ/円 ユーロ/円 月足 昨年の⽶⼤統領選後のドル/円の急騰を受け、上昇したものの、ここに来て反落してきています。 ユーロ/円を構成する、ドル/円とユーロ/ドルについて、既に個別にお話ししてきました。 ドル/円は、まだまだ、レンジ相場が続く、ユーロ/ドルは徐々に下がるということで、ユーロ/円はやはり下 がるのではないかと思います。 4 相場展望レポート (2017 年 3 月) 2017.2.28 106 円から 116 円に掛けてが、サポート・ゾーンとなっています。 これを、割り込んでくると、下げが速まるものと思われます。 その時には、ドル/円は、⼤幅安になっているものと思われます。 豪ドル/円 豪ドル/円 月足 2010 年以降の月足チャートを⾒る限り、90 円を上抜いた時期(2013 年〜2015 年、アベノミクスの最盛 期)もあります。 しかし、基本的に、90 円を目指して買い上げるものの、90 円近辺が天井圏になっていることが多いと言え ます。 したがって、目先も、90 円を目指す可能性はないとは言えませんが、90 円を突破してというほどの⼒強さ はないものと⾒ています。 基本的には、75 円から 90 円の間で、往ったり来たりの相場になるのではないかと思われます。 5 相場展望レポート (2017 年 3 月) 2017.2.28 ■ 水上 紀行 氏 氏プロフィール 1978 年三和銀行(現、三菱東京 UFJ 銀行)入行。 1983 年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。 1995 年より在日外銀に於いて為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジスト として広く活躍中。バーニャ マーケット フォーカスト代表。 長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。 公式ホームページ:「Banya Market Forecast」 ■ ご留意いただきたい事項 マネックス証券(以下当社)は、本レポートの内容につきその正確性や完全性について意見を表明し、また保証す るものではございません。記載した情報、予想および判断は有価証券の購入、売却、デリバティブ取引、その他の 取引を推奨し、勧誘するものではございません。当社が有価証券の価格の上昇又は下落について断定的判断を 提供することはありません。 本レポートに掲載される内容は、コメント執筆時における筆者の見解・予測であり、当社の意見や予測をあらわす ものではありません。また、提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更又は削除されること がございます。 当画面でご案内している内容は、当社でお取扱している商品・サービス等に関連する場合がありますが、投資判 断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。 当社は本レポートの内容に依拠してお客様が取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。投資に かかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。 本レポートの内容に関する一切の権利は当社にありますので、当社の事前の書面による了解なしに転用・複製・ 配布することはできません。 当社でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品 等には価格の変動・金利の変動・為替の変動等により、投資元本を割り込み、損失が生じるおそれがあります。ま た、発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込み、損失が 生じるおそれがあります。信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引をご利用いただく場合は、所定 の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元 本)を上回る損失が生じるおそれがあります。 なお、各商品毎の手数料等およびリスクなどの重要事項については、「リスク・手数料などの重要事項に関する説 明」をよくお読みいただき、銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身のご判断で行ってください。 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 165 号 加入協会:日本証券業協会、一般社団法人 金融先物取引業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会 6
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