さんのことを気にかけてくれた。ク ラスの授業では「おい、眞樹、ちょ っと前来てこの問題解いてみい」 。 えたいこと。それは、 「1人の人間として患者さんを含め、 転して、目立つ存在になり、ついに る時期からはいじめられっ子から一 “三流薬剤師”でもできる! このような経験を経て、大森さんへ いろんな人とかかわりながら仕事をしてほしい」というメ のいじめはだんだん減っていき、あ 「 自 分 は〝 三 流 薬 剤 師 〟 で す か ら 」 と 何 度 も 繰 り 返 し た 薬剤師の大森眞樹さん(きらきら薬局) 。熊本県山鹿市の はクラスのまとめ役になった。 薬剤師の活動や地域医療で薬剤師以外の職種との多職種連 流薬剤師でもやれるんやから、みんなにもやれる」という 分にはまだできない』とは思わんでほしい。僕みたいな三 て病気の人を治す、そんなイメージ が子どもの頃からあった。 小学校低学年の頃、いじめを経験 した。2月の早生まれで同級の子ど もたちに比べて体が小さかったこと も災いし、 「学校にも行きたくない」 と何度も思った。そこで始まったお 兄さんたちが計画した「眞樹のいじ めをなくす作戦」 。いじめる子に対 抗しようと、夏休みには練乳をたく さんかけた食パンを毎日食べ、痩せ 細った体は前とは比べものにならな いくらい大きくなった。 ちょうど担任の先生が産休に入 り、臨時で入った男性の先生が大森 大森 眞樹さん 熊本・きらきら薬局 ラ ( ページへ続く) ってやってきて、本当によかったと ましたね。九州から仕事の合間をぬ 出 さ れ た。「 す ご く 泣 き そ う に な り とを忘れないでほしい」と手を差し も先生の名前忘れないから、俺のこ 未来に役立つことが分かったよ。俺 しい。先生の言っている言葉が俺の ん の も と に 歩 み 寄 り、「 握 手 し て ほ 講演を終わると、ツカツカと大森さ よ う に 体 操 座 り で 自 分 を 見 続 け る。 が話を続けるうちに他の生徒と同じ りもない態度だったのが、大森さん 学生が1人。最初は講演を聴く素振 神奈川の中学校にボランティアで 講演したときのこと。やんちゃな中 とメッセージを送る。 俺は秘密を厳守して助けに行くよ」 には「大森眞樹に連絡してくれれば、 さ い 」。 そ れ で も 相 談 で き な い と き 「家族や学校の先生に相談してくだ 決できない問題があったときには と訴え続ける。自分たちだけでは解 さ い 」「 自 分 を 大 事 に し て 下 さ い 」 教 室 で は、「 自 分 の こ と を 愛 し て 下 校、高校を飛び回り、薬物乱用防止 今では晴れて念願の薬剤師とな り、学校薬剤師として小学校、中学 ーズアップさせることを心がけた。 ってもらえるよう、集団の中でクロ の少ない人を見つけたら、輪に加わ で も な く し た い 」。 大 人 し く て 口 数 い思いや寂しい思いをする人を1人 と が 大 森 さ ん を 成 長 さ せ た。「 悲 し 験してクラスのまとめ役になったこ 臨時の男性の先生が自分を気にか けてくれたこと、そしていじめを経 ッセージだ。 「自ら率先して体験してほしい。そして、 『自 人として何がやれるかが大事 薬局に勤めて 年目、地域の人たちと交流しながら、学校 携、そして昨年4月に起こった熊本地震を経験し、薬剤師 激励の言葉だった。 10 になる」と言ってきた。薬をつくっ 歳年が離れたお兄さんも薬剤 師。だから小学校の頃から「薬剤師 としてではなく、1人の人間として困っている人に何をす 15 べきかを考え、行動してきた。大森さんが今、薬学生に伝 他の医療職の人たちとも交流 19 ・ ヒト ト・ ル シゴ タイ ス イフ 2017(平成29)年 3 月 1 日 水曜日 薬 事 日 報 薬学生新聞 第 60 号 ( 20 )
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