ウチの商標に類似する呼称が巷で無秩序に広まってる そんなとき、どんな対応策が考えられるでしょう? 2016年7月 伴昌樹特許事務所 背景 依頼者は、 「ラーメン五郎」の登録商標の下、東京近郊でラーメンを提供する本店店主で ある。ラーメン五郎は、本店を頂点とし、本店での一定期間の修行により、秘伝のノウハウ を学び、 「五郎」の神髄を会得することを前提として「ラーメン五郎」の商標を使用しての れん分けを許される。 ところが最近、 『五郎系』と称するラーメンが無秩序に広まってきた。この背景には、い わゆるネットの口コミグルメサイトのブロガーが、ラーメン五郎を外観上模したラーメン について、 『五郎系』なる呼称で一括りにしたことに一因がある。この『五郎系』ラーメン は全国各地に圧倒的な速度で広まったことから、風貌はともかく、味の面で『五郎』とは大 ... きく異なるものにまで『五郎系』なる呼称がなされることとなり、『五郎系』を食べただけ .. で『ああ、これが五郎か・・・』と評価され、『五郎』直営の評価を落とすおそれも生じて いる。 問題点 ラーメン五郎の店主が仮に「五郎系」の商標権を取得できたとしても、ブロガーの口に蓋 はできず、グルメサイトに対して口コミ削除も申し立てられない(∵非商標的使用) 。 また現状では、 「五郎系」のなかでも特に味の悪い店により、ラーメン五郎の見込み客が 失望し、直系店舗に来店する機会を奪われている格好になる(収益機会の喪失) 。 そこで、ラーメン五郎の店主は、 「五郎系」の呼称のもと実質的に五郎ブランドに便乗し てきた「五郎系」店舗群により奪われた収益機会の一部を取り返しつつ、 「五郎」の評価を 落とさないような仕組みを構築していきたいと考えている。 弊所の一提案 ラーメン五郎の事業主に対し、直営店主一同を集めて、「ラーメン五郎」でも「五郎系」 でもないが、五郎のエッセンスを取り入れた「五郎伝承」という新ブランドの下で新たな標 準規格を構築したうえで、五郎系と呼称される店舗に呼びかけ、標準規格に従うものに「五 郎伝承」のお墨付きを与える仕組みを提案する。 「五郎系」 「五郎インスパイア」 直営 収 益 ブロガー 直営店主による 五郎っぽい ラーメン群 標準規格策定 五郎伝承 【五郎系の切り崩し】 新ブランド「五郎伝承」の概要 新ブランドには、ラーメン五郎の中毒性をもたらすノウハウの一部を移植することになる。 「ラーメン五郎」は直営店でも店毎に多少の違いがあり、またそれを事実上容認してきてい ることから、 「五郎のエッセンス」とは何かについては、様々な定義がなされうるが、直系 店主間で話合って定める。例えば、以下の8つを含めることができる。 1.厚み2cm以上の厚切り豚 4.極太麺 2.きざみ生ニンニク 5.醤油様化学調味料Kを使用 3.ゆでもやし&少量のキャベツを麺上に山盛り 6.旨味調味料Gを大量投入 7.KとGとの比率および最低使用量 8.大枠のレシピ マネタイズ 新ブランドについて商標登録を行い、商標使用料によって収益を得ることもできるが、 「五 郎伝承」店舗のKおよびGの購入量に応じた、K製造会社およびG製造会社からのリベート を得る場合は、商標使用料を無料にすることも可能である。商標使用料を無料にする場合は、 商標使用権許諾契約の際、 「五郎伝承」の各店舗に対して、標準規格の遵守、ならびに、K およびGの使用量の定期的な申告を義務づける。万一ごまかした場合は、K製造会社および G製造会社からの報告との照合でわかる。 メリット (ラーメン五郎側のメリット)新たな登録商標「五郎伝承」のもと、自らの管理下で最低限 の品質レベルの維持ができ、「ラーメン五郎」へのイメージダウンが回避されるとともに、 五郎ブランドに基づき直営店舗に不労所得が生み出される。ブロガーも「五郎伝承」が直系 のお墨付きを得た呼称であることを知り、「五郎系」と区別して使用するようになるので、 その読者も「五郎伝承でなければ五郎のお墨付きはないのだな」と認識することになり、 「ラ ーメン五郎」へのイメージダウンも回避される。 (商標を使用する側のメリット)「五郎伝承」の商標を使用したい者は、ラーメン五郎が決 めた「五郎伝承」の技術標準を守る限り、ある程度の五郎らしさを保ちながら、一定程度味 の自由度が与えられる。この「自由度」と「商標使用料無料」という要素が、「五郎伝承」 メニューを出して売上げを伸ばすことを狙う店舗の商標使用を促進することになる。 以上はあくまで一例にすぎず、他にも様々な対抗策が考えられるかと思います。 弊所は、お客様の抱える課題に対して、お客様とともに対応策と考えてまいります。
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