NEWS RELEASE

平成29年2月21日
No.17−043
株式会社 いよぎん地域経済研究センター
―存在感が高まる
新しい買い物のカタチ
―
株式会社いよぎん地域経済研究センター(略称 IRC、社長 重松 栄治)では、この
たび標記の調査結果を取りまとめましたので、お知らせします。なお、本調査は 2017 年3
月1日発行の「IRC Monthly」2017 年3月号に掲載しています。
記
【調査要旨】
1. 愛媛県内の消費者を対象にアンケートを実施した結果、約7割がインターネットショッ
ピング(以下、ネットショッピング)の利用経験があると回答した。
2. 年代別では
デジタルネイティブ世代
に当たる 30 歳未満が9割を超えており、最も
高くなっている。3年前と比較すると、全年代で利用経験のある割合が伸びており、な
かでも 30 歳未満の増加が顕著である。
3. 昨今の女性の社会進出を反映して、共働き世帯の利用率が高くなっている。共働きで時
間がない家庭には、自宅で手軽に買い物ができる点がプラスに受け取られているようだ。
4. ネットショッピングの際の利用端末は、3年前には「パソコン」が8割を超えていたが、
「スマートフォン」が急激に伸び肉薄している。「タブレット端末」の利用も増えてお
り、 どこからでも
買い物できる端末が支持されている。
5. ネットショッピングの利用頻度、利用金額はともに増加している。本アンケートに基づ
いて推計したところ、県内ネットショッピング消費額は約 426 億円、県民1人当たりに
換算すると年間約 3.1 万円となった。
6. ネットショッピング利用者の裾野が確実に広がり、新しい買い物のカタチとして定着し
ている。その存在感は今後もますます高まるものと思われ、実店舗を持つ業態は時代に
マッチした方向性を模索し、その対応を急ぐ必要がある。
以
私たちはチャレンジします。みなさまの笑顔のために。
株式会社
伊予銀行
上
NEWS RELEASE
愛媛県松山市南堀端町 1 番地 〒790-8514 TEL(089) 941-1141
はじめに
図表-2 ネットショッピングの利用経験(年代別)
近年 ICT 化が進み、買い物においてもインターネ
ある
ない
ットをうまく利用する消費者が増えている。手軽に
全体(13年)(n=638)
69.9
30.1
商品が購入できるインターネットショッピング(以
全体(16年)(n=662)
70.5
29.5
下、ネットショッピング)は、いまや社会的インフ
30歳未満(13年)(n=113)
ラとなっている。そこで、ネットショッピングの利
用動向についてアンケート調査を実施した。
【調査要領】
時期
2016 年11 月下旬∼12 月上旬
対象
愛媛県内在住の個人 1,600 名
伊予銀行本支店でアンケート票を配布し、
方法
郵送で回収。無記名方式。
有効回答数
17.7
82.3
5.2
94.8
30歳未満(16年)(n=115)
30歳代(13年)(n=110)
86.4
13.6
30歳代(16年)(n=92)
88.0
12.0
40歳代(13年)(n=154)
74.7
25.3
40歳代(16年)(n=141)
78.0
22.0
50歳代(13年)(n=137)
71.5
28.5
50歳代(16年)(n=151)
72.2
27.8
60歳以上(13年)(n=121)
34.7
65.3
60歳以上(16年)(n=158)
34.8
65.2
0
662(有効回答率 41.4%)
20
40
60
80
100
(%)
1.ネットショッピングの利用実態
(3)共働き世帯、高い利用率
(1)約7割が利用経験あり
未婚と既婚で比較すると、未婚のほうが利用率は
ネットショッピングの利用経験を尋ねた
高かったが、既婚者のなかでは、
「夫婦共働き」が
ところ、70.5%が「ある」と答えた(図表−1)
。
72.5%で最も多くなった。
「片方が働いている」夫婦
は 65.4%、
「2人とも働いていない」夫婦は、高齢
図表-1
ネットショッピングの利用経験
者が多いこともあり、19.4%にとどまった。
(図表−
3)
。
ない
29.5%
図表-3
ネットショッピングの利用経験(夫婦就業別)
ある
ある
70.5%
夫婦共働き
(n=269)
(2)デジタルネイティブ世代、9割超が利用
年代別にみると、学生時代からインターネットや
パソコンがある生活環境で育ってきた、
いわゆる デ
27.5
72.5
片方が働いている
(n=104)
(n=662)
34.6
65.4
2人とも働いていない
(n=31)
80.6
19.4
0
ない
20
40
60
80
100
(%)
ジタルネイティブ世代 に当たる 30 歳未満が9割を
超えたのをはじめ、60 歳以上を除く世代で高い割合
2.ネットショッピングの利用動向
となっている。13 年の調査と比較すると、すべて
(1)端末はパソコンからスマートフォンへ
の世代で増加しているが、伸び幅には差があった。
ネットショッピングの際によく使う端末を尋ねた
なかでも、30 歳未満は 12.5 ポイント増(13 年調査
ところ、
「パソコン」が 62.7%、
「スマートフォン」
82.3%)と大幅に増加している(図表−2)
。
が 56.7%と続いた。13 年には「パソコン」が8割を
-2-
占めていたが、ここ3年でスマートフォンが急激に
伸びている。また、
「タブレット端末」を利用する人
も増えている。
(図表−4)
。
図表-4
33.9
10万∼30万円未満
30万円以上
18.5
2016年
5.6
(n=466)
56.7
4.0
8.4
タブレット端末
1万∼5万円未満
0
5万∼10万円未満
45.4
2013年
12.6
(n=428)
81.4
62.7
スマートフォン
1万円未満
2010年
(n=260)
よく使う端末〈複数回答〉
パソコン
図表-6 過去1年間の利用金額
37.6
19.2
35.6
20
18.8
28.3
40
60
3.1
14.2
19.2 11.5
20.2 10.3
80
13年(n=425)
4.9
0.6
その他
0
100
(%)
16年(n=467)
20
40
60
80
100
(%)
∼県内のネット消費額は約 426 億円∼
今回のアンケート結果をもとに県内のネット
ショッピング消費額を推計したところ、約 426
(2)利用頻度は年々増加
1ヵ月にネットショッピングを利用する頻度は
億円となった。2013 年の県内の家計最終消費支
年々増えている。1ヵ月に1回以上利用する人は、
出(除く持家の帰属家賃)2.45 兆円の 1.7%程
10 年に 53.9%であったのが、16 年には 63.7%とほ
度を占めることになる。人口1人当たりに換算
ぼ 10 ポイント増加している。
(図表−5)
。
するとネットショッピング年間消費額は約 3.1
万円となる。
図表-5 1ヵ月の利用頻度
ほとんどない
1回
2回
3回
【推計方法】
4回
5回以上
最新の国勢調査結果(2015 年)の性別・年代別の人口
(※1)に、本アンケート回答者の性別・年代別のネッ
2010年
(n=260)
28.5
46.2
15.0 8.1 1.5
トショピング利用経験率(※2)を乗じて、県内のネッ
1.2
2013年
(n=427)
30.7
41.2
13.6 5.6 7.7
トショッピング利用者数を性別・年代別に算出。本ア
ンケート回答者の性別・年代別のネットショッピング
2016年
(n=468)
15.8
29.7
36.3
9.2
6.6
年間利用額(※3)を県内ネットショッピング利用者数
に乗じて、県内のネットショッピング年間消費額を性
0
20
40
60
80
100
(%)
別・年代別に算出、それぞれを合算した。
☆ネットショッピング年間消費額=
(3) ついで買い 、増加する年間利用額
過去1年間の利用金額を尋ねたところ、
「1万∼5
万円未満」が 35.6%、
「5万∼10 万円未満」が 28.3%
人口(※1)×ネットショッピング利用経験率(※2)×
ネットショッピング年間利用額(※3)
となった。過去の結果と比較すると、5万円未満が
減少傾向にあり、1年に使う金額は年々増加してい
(4)幅広い商品をネットで購入
過去1年間で購入した商品について尋ねたとこ
る(図表−6)
。
ろ、
「衣類・靴・バッグ・アクセサリー」が 58.7%
と最も多く、次いで「書籍・雑誌」
(45.2%)
、
「ホテ
-3-
ル・航空券・旅行」
(36.4%)となった。幅広い商品
を日常的に購入するためにネットショッピングを利
図表-8 購入頻度を増やしたいもの〈複数回答〉
(%)
用する消費者が増えているようだ(図表−7)
。
0
5
10
15
20
25
30
衣類・靴・バッグ・アクセサリー
図表-7
過去1年間で購入した商品〈複数回答〉
(%)
0
10
20
30
40
50
衣類・靴・バッグ・アクセサリー
38.8
45.2
37.9
36.4
書籍・雑誌
ホテル・航空券・旅行
17.9
健康食品・サプリメント
9.4
一般食品
飲料・酒類
グルメ食品
文具・事務用品
ソフトウェア
その他
健康食品・サプリメント
イベントチケット
17.6
玩具・子ども用品
13.9
17.3
台所・生活雑貨
家具・インテリア
家電・AV機器
24.6
台所・生活雑貨
11.8
15.0
9.9
13.3
11.1
13.1
7.8
8.0
12.8
12.8
家具・インテリア
2013年
(n=425)
2016年
(n=467)
一般食品
飲料・酒類
パソコン・周辺機器
12.0
12.6
10.4
12.4
文具・事務用品
ソフトウェア
3.8
6.6
2.6
3.9
その他
27.9
19.0
11.1
2.7
15.4
8.4
9.5
7.7
8.2
5.7
8.0
9.5
7.4
6.7
7.5
6.4
6.0
4.1
7.0
2.7
26.5
24.5
7.4
グルメ食品
16.2
20.3
家電・AV機器
玩具・子ども用品
化粧品・美容用品
28.2
27.9
28.8
18.1
13.0
13.3
ホビー・趣味用品
17.9
24.4
ホビー・趣味用品
15.1
音楽CD・ビデオ・DVD
26.1
30.6
音楽CD・ビデオ・DVD
イベントチケット
59.3
58.7
20.4
21.6
書籍・雑誌
70
27.1
31.9
化粧品・美容用品
パソコン・周辺機器
60
22.7
ホテル・航空券・旅行
35
13.6
5.8
7.4
5.8
3.4
7.0
5.6
4.8
6.0
5.3
3.0
4.2
1.3
2.9
3.4
2.7
2.2
5.4
0.7
0.7
0.7
0.7
特にない
全体
(n=450)
10.2
10.2
男性
(n=147)
女性
(n=299)
27.6
22.4
30.1
今後ネットショッピングで購入頻度を増やしたい
と思うものの上位3つは、
「衣類・靴・バッグ・アク
おわりに
ネットショッピングは、 デジタルネイティブ世
セサリー」
(28.2%)
「ホテル・航空券・旅行」
、
(22.7%)
、
代 を中心に利用者の裾野が確実に広がっており、
「書籍・雑誌」
(21.6%)で、過去1年間で購入した
新しい買い物のカタチとして定着していると言える
商品の上位3つと符合している。
だろう。今後も、消費活動におけるネットショッピ
男女別にみると、男性は「書籍・雑誌」
(男性 27.9%、 ングの存在感はますます高まるものと思われ、実店
女性 18.1%)や「ホビー・趣味用品」
(男性 24.5%、
舗を持つ業態は時代にマッチした方向性を模索し、
女性 7.4%)などで女性を大きく上回っており、女
その対応を急ぐ必要がある。
性は「化粧品・美容用品」
(男性 2.7%、女性 15.4%)
や「台所・生活雑貨」
(男性 2.7%、女性 7.4%)な
どで男性を上回っている(図表−8)
。
-4-
(二宮 秀介・加藤 あすか)