愛媛県・松山市野生鳥獣肉衛生管理 ガイドライン 平成 29 年3月 愛媛県・松山市 目 Ⅰ 次 基本的事項 ...................................................... - 1 - 第1 目的 ................................................................................................................................ - 1 第2 基本的な考え方.............................................................................................................. - 1 第3 コンプライアンス(法令遵守) .................................................................................... - 1 1 法律 ................................................................................................................................ - 1 2 関係条例......................................................................................................................... - 2 3 食品衛生法に基づく営業許可の取得 ............................................................................. - 2 第4 用語の定義 ..................................................................................................................... - 2 第5 HACCP(危害分析・重要管理点方式)に基づく衛生管理 .................................... - 3 第6 記録の作成及び保存 ...................................................................................................... - 3 - Ⅱ 衛生管理 ........................................................ - 4 - 第1 動物由来感染症対策 ...................................................................................................... - 4 第2 衛生管理に係る工程 ...................................................................................................... - 4 第3 捕獲、飼養、運搬及び搬入における衛生管理 .............................................................. - 5 1 捕獲段階における衛生管理 ........................................................................................... - 5 2 運搬・搬入段階における衛生管理 ................................................................................ - 7 第4 食肉処理における衛生管理 ........................................................................................... - 8 1 食品衛生法に基づく施設の基準 .................................................................................... - 8 2 野生鳥獣肉処理における衛生管理基準 ......................................................................... - 8 3 野生鳥獣肉処理施設における取扱い ............................................................................. - 8 第5 野生鳥獣肉取扱者が守るべき衛生上の基準 ................................................................ - 12 1 野生鳥獣肉の仕入れ時における確認事項 ................................................................... - 12 2 野生鳥獣肉の加工、調理提供、販売時における取扱い ............................................. - 13 第6 野生鳥獣肉の消費時(自家消費を含む)における取扱い .......................................... - 14 - Ⅰ 基本的事項 第1 目的 本ガイドラインは、野生鳥獣肉を地域の有効な資源として活用するに当たり、 衛生的で安全な食肉として流通させることを目的としています。 第2 基本的な考え方 シカやイノシシなど野生鳥獣の肉は、人による飼育管理がされていないこと、 屋外で捕獲及び捕殺されること、並びにと畜場法(昭和 28 年法律第 114 号)第 14 条に基づく規制を受けることなくと殺及び解体処理されることから、家畜の食 肉に比べ、ウイルス、細菌、若しくは寄生虫等を原因とする食中毒や動物由来感 染症等の危害が発生する可能性が高くなります。食肉の衛生管理については、食 品衛生法や関係条例で、必要な事項が定められていますが、上記等の理由により、 野生鳥獣肉を食用として活用するには、より一層衛生面に留意しなければなりま せん。 本ガイドラインでは、国が策定した「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガ イドライン)」 (以下「厚生労働省ガイドライン」という。)を参考に、野生鳥獣を 捕獲、食肉処理、販売・提供、消費等、捕獲から消費に至るまでの各段階別に、 衛生面で配慮すべき事項を提示しています。関係者の方々は、本ガイドラインを 参考に、衛生的で安全な野生鳥獣肉を供給してください。 なお、本ガイドラインは、新しい知見が得られた場合などに随時見直すことと します。 第3 コンプライアンス(法令遵守) 野生鳥獣肉を食用として取り扱う場合は、様々な法令の規定があります。消費 者に衛生的で安全性の高い野生鳥獣肉を提供するためには、捕獲、食肉処理、販 売・提供等、野生鳥獣肉に関わる全ての関係者が法令を十分理解し、遵守しなけ ればなりません。 主な関係法令は次のとおりです。 1 法律 ・食品衛生法(昭和22年法律第233号) ・と畜場法(昭和28年法律第114号) ・食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律(平成2年法律第70号) ・動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号) ・鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第88号。 以下「鳥獣保護管理法」という。) ・鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律(平 -1- 成19年法律第134号) ・食品安全基本法(平成15年法律第48号) ・食品表示法 (平成25年法律第70号) ・不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号) ・農林物資の規格化等に関する法律(昭和25年法律第175号) ・水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号) ・廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号) 2 関係条例 愛媛県内で、処理、流通させる場合には愛媛県及び松山市における次の条例が 関係します。 ・食品衛生法施行条例(平成12年条例第16号。以下「県条例」という。) ・松山市食品衛生法施行条例(平成12年条例第32号。以下「市条例」という。) 3 食品衛生法に基づく営業許可の取得 野生鳥獣の処理を行う場合は、あらかじめ管轄保健所(松山市の場合は松山市 保健所)にご相談ください。 と殺、放血及び解体を含む野生鳥獣肉の処理を行う者は、県条例第3条で定め る食肉処理業の施設基準を満たす野生鳥獣の処理を行う専用の施設を設け、食品 衛生法第 52 条に基づく営業許可を得なければなりません。 既に食品衛生法第 52 条に基づく営業許可を得た者が、新たにと殺、放血及び 解体を含む野生鳥獣の処理を行う場合は、野生鳥獣の処理を行う専用の施設を設 け、既に得た許可とは別に許可が必要となることがあるため、あらかじめ管轄保 健所(松山市の場合は松山市保健所)にご相談ください。 なお、自家消費に限り食肉処理を行う者については許可を得る必要はありませ ん。 第4 用語の定義 本ガイドラインで使用する用語の定義は、次のとおりとします。 1 野生鳥獣 シカ及びイノシシをいう。 2 野生鳥獣肉 野生鳥獣を解体処理し、食用として流通させる肉等 をいう。ただし、自家消費を行う肉は含まない。 3 捕獲 鳥獣保護管理法第9条及び第 11 条に基づき野生鳥獣 を捕獲又は狩猟する行為をいう。 4 放血 野生鳥獣の血液を抜くことをいう。 5 はく皮 野生鳥獣の皮をナイフなどで剥(む)くことをいう。 6 枝肉 と体のはく皮後に頭、内臓を取り除いた状態の肉を いう。 -2- 7 捕獲者 鳥獣保護管理法第9条による許可を得て野生鳥獣を 捕獲する者及び同法第 55 条による狩猟者登録を受け て野生鳥獣を狩猟する者をいう。 8 飼養者 野生鳥獣を食用とする目的で飼養する者をいう。 9 搬入者 野生鳥獣を野生鳥獣肉処理施設に搬入する者をい う。 10 野生鳥獣肉処理業 食品衛生法第 52 条に基づく許可を得た営業所におい て、野生鳥獣を食用とする目的でと殺、放血及び解 体を含む処理を行う業をいう。 11 野生鳥獣肉処理業者 野生鳥獣肉処理業を営む者をいう。 12 野生鳥獣肉処理施設 野生鳥獣肉処理業者が野生鳥獣処理業を行う施設を いう。 13 野生鳥獣肉取扱業者 野生鳥獣肉に関係する事業者で、野生鳥獣肉処理業 者以外の者をいう。 第5 HACCP(危害分析・重要管理点方式)に基づく衛生管理 食品の衛生管理手法の国際標準であるHACCP(ハサップ:Hazard Analysis and Critical Control Point)による衛生管理手法にフードチェーン全体で取り組 むことによって、捕獲から搬送、処理、加工、販売、提供に至るまで、各段階の衛 生管理が可視化され、食中毒の発生及び食品衛生法に違反する食品の製造等の防止 につながる等、食品の確実な衛生管理による安全性の確保につながることから、野 生鳥獣肉の処理についても、HACCPに基づく衛生管理を行うことが望まれます。 第6 記録の作成及び保存 捕獲者、飼養者、搬入者、野生鳥獣肉処理業者、野生鳥獣肉取扱業者は、野生 鳥獣肉が原因と疑われる健康危害発生時に、食中毒の原因若しくは原因と疑われる 食品又は違反食品等を早期に特定し、流通からの排除を行う等、被害拡大防止策を 迅速かつ効果的に実施することを目的に、捕獲から食肉処理、販売、提供に至るま での各段階において、記録の作成及び保存を行うよう努めてください。 -3- Ⅱ 衛生管理 第1 動物由来感染症対策 動物由来感染症は、動物から人に感染する感染症のことで、野生鳥獣では病原 体に感染しても症状が軽いものや、全く症状を示さないものもあります。病原体は、 ウイルス、細菌、寄生虫と多岐にわたります。野生鳥獣は、愛玩動物や家畜と違っ て衛生的な管理がされておらず、どのような病原体を保有しているか不明なため、 捕獲者や処理業者等は感染しないよう特に注意が必要です。日本において野生鳥獣 肉を介して感染、発症した感染症として、加熱不十分な野生シカ肉や野生イノシシ 肉を食べたことが原因とみられるE型肝炎、腸管出血性大腸菌 O157、イノシシ肉 の生食による寄生虫(ウェステルマン肺吸虫)が報告されています。 野生鳥獣肉を取り扱う者は、特に以下の事項に注意してください。 (1)血液等を介する感染症を予防するため、周囲を血液等で汚染しないよう運搬時 に覆い等をすること。また、ダニ等の衛生害虫を介する感染を予防するために、 野生鳥獣を取り扱う際には、長袖、長ズボン、手袋等を着用して、できる限り 直接野生鳥獣に触れないようにすること。なお、ダニ等の衛生害虫に刺された 後に体調を崩した場合、医療機関を速やかに受診すること。 (2)血液等の体液や内臓にはなるべく触れないようにし、触れる場合はゴム・ビニ ール等合成樹脂製手袋を着用する等、体液等と直接接触しないよう留意するこ と。特に、傷がある場合は、体液等が傷口に触れないようにすること。 第2 衛生管理に係る工程 衛生的で安全な野生鳥獣肉の流通を図るためには、捕獲から販売、提供に至る まで、野生鳥獣肉に関わる全ての関係者が、それぞれの工程において各々責任を持 って守るべき事項をよく理解し、情報を共有しながら連携して適切な取扱いを行う 必要があります。 このガイドラインで想定している野生鳥獣の捕獲から食品としての流通までの 作業工程区分は、次のとおりです。各区分の関係者がそれぞれ自覚を持って責務を 果たすよう努めてください。 -4- 野生鳥獣肉処理業者 捕獲・運搬・搬入者 捕 獲 放 血 内 臓 摘 出 運 搬 ・ 搬 入 受 入 解 体 前 処 理 解 体 加 工 保 管 出 荷 飼 仕 入 れ 養 飼 養 者 販 売 調 理 ・ 加 工 ・ 製 造 野生鳥獣肉取扱業者 第3 捕獲、飼養、運搬及び搬入における衛生管理 1 捕獲段階における衛生管理 (1) 捕獲方法及び記録 捕獲者は、厚生労働省ガイドライン「第2 1食用とすることが可能な捕獲 方法」及び次の(2)に記載された事項を遵守するとともに、次の事項につい て記録し、搬入者又は野生鳥獣肉処理業者に伝達すること。また、記録は3年 間保存すること。 なお、捕獲に当たっては、農林水産省「野生鳥獣被害防止マニュアル-シカ、 イノシシ(捕獲獣肉利活用編)-」(平成 23 年3月作成)も参考とすること。 ア 捕獲者の氏名及び免許番号 イ 捕獲者の健康状態 ウ エ オ カ キ 販 売 ・ 提 供 捕獲した日時、場所、天候等 捕獲方法 被弾部位、くくりわなのかかり部位、止め刺しの部位・方法等 損傷の有無や部位 第3 1(2)捕獲した野生鳥獣に関する異常の確認に係る事項 -5- ク ケ コ サ シ 推定年齢、性別及び推定体重 放血の有無、方法、場所及び体温の異常の有無 内臓摘出の有無、方法、場所、内臓、臭気の異常の有無等 運搬時の冷却の有無、冷却開始時刻及び冷却方法 放血後から食肉処理施設に搬入されるまでにかかった時間 (2) 捕獲した野生鳥獣に関する異常の確認 捕獲者は、既に死亡している野生鳥獣及び捕獲した地域において野生鳥獣に 家畜伝染病のまん延が確認された場合は、当該野生鳥獣を食用に利用しないこ と。 また、捕獲した野生鳥獣(わなで捕獲した個体及び捕獲後に飼育した個体を 含む。)の外見及び挙動について以下に掲げる異常が一つでも見られる場合に おいても、食用に利用しないこと。 ア 足取りがおぼつかないもの イ 神経症状を呈し、挙動に異常があるもの ウ 顔面その他に異常な形(奇形・腫瘤等)を有するもの エ ダニ類等の外部寄生虫の寄生が著しいもの オ カ キ ク ケ 脱毛が著しいもの 痩せている度合いが著しいもの 大きな外傷が見られるもの 皮下に膿を含むできもの(膿瘍)が多くの部位で見られるもの 口腔、口唇、舌、乳房、ひづめ等に水ぶくれ(水疱)やただれ(びらん、潰 瘍)等が多く見られるもの コ 下痢を呈し、尻周辺が著しく汚れているもの サ その他、外見上明らかな異常が見られるもの (3) 放血時における衛生管理 放血は、野生鳥獣肉処理施設で行うことが望まれるが、野生鳥獣肉処理施設 以外で実施する場合は、厚生労働省ガイドライン「第2 3 屋外で放血する場 合の衛生管理」に記載された事項を遵守するとともに、できる限り捕殺後ただ ちに放血を行い、速やかに処理施設に搬入すること。野生鳥獣肉処理施設以外 で放血を行った者は放血の方法、場所及び体温の異常の有無、その他必要な情 報を搬入者又は野生鳥獣肉処理業者に伝達すること。 (4) 内臓摘出時における衛生管理 内臓摘出は、原則として衛生管理された野生鳥獣肉処理施設で行うこと。た だし、捕獲場所から野生鳥獣肉処理施設への運搬に長時間を要し、腸管内微生 物の著しい増殖が懸念される場合や急峻な地形での運搬で個体が損傷し、体腔 -6- 内部の汚染が起こることが危惧される場合等、捕獲後の迅速適正な衛生管理の 観点からやむを得ない場合に限り、野生鳥獣肉処理施設以外で内臓を摘出する こと。その場合には、厚生労働省ガイドライン「第2 4屋外で内臓摘出する 場合の衛生管理」に記載された事項を遵守するとともに、内臓摘出の実施状況 について記録を作成し、搬入者又は野生鳥獣肉処理業者に伝達するとともに、 3年間保存すること。 摘出した内臓は、厚生労働省ガイドラインのカラーアトラスを参考に異常の 有無を判断し、記録すること。 (5) 捕獲した野生鳥獣を一時的に飼養する場合における衛生管理 ア 飼養者は、野生鳥獣肉処理施設に出荷する前に、前述の「第3 1 (2) 捕 獲した野生鳥獣に関する異常の確認」の各項目について確認し、異常が認め られた場合には出荷しないこと。 イ 飼養者は、飼養した野生鳥獣について、以下に示す事項について記録を作 成し、搬入者又は野生鳥獣肉処理業者に伝達するとともに、3年間保存する こと。 (ア) 飼養期間 (イ) 飼養者の氏名、電話番号 (ウ) 飼養期間中における疾病の有無、疾病の症状、発症年月日 (エ) 飼養期間中における動物用医薬品の使用の有無、投薬した動物用医薬品名、 投薬年月日 2 運搬・搬入段階における衛生管理 搬入者は、必要に応じて冷却する等の措置により温度の上昇を抑え、速やか に処理施設へ搬入すること。また、搬入後の処理を円滑に行うために、搬入前 に野生鳥獣肉処理業者と搬入時刻等を調整すること。 季節、捕獲場所、運搬時間、冷却措置の有無などから、食肉としての利用に 適さないと判断される場合には、野生鳥獣肉処理施設への搬入は行わず、廃棄 処分等、適切な措置をとること。 運搬・搬入者は、厚生労働省ガイドライン「第3 野生鳥獣の運搬時におけ る取扱い」に記載された事項を遵守するとともに、規定される事項のうち、運 搬に関する事項について記録し、3年間保管すること。また、それらの運搬・ 搬入に関係する情報及び捕獲者から伝達された情報(記録等)を食肉処理業者 に的確に伝達すること。 -7- 第4 食肉処理における衛生管理 1 食品衛生法に基づく施設の基準 新たに野生鳥獣の処理を業として行う場合、行政手続きが必要となりますの で、あらかじめ管轄保健所(松山市の場合は松山市保健所)にご相談ください。 と殺、放血及び解体を含む野生鳥獣の処理を行う施設は野生鳥獣専用とし、 県条例第3条で定める食肉処理業の施設基準を満たすことに加え、以下の設備 を設置するよう努めること。また、同一営業所内において野生鳥獣以外の食品 を取り扱う場合は、他の食品への汚染を防ぐため、野生鳥獣のと殺、放血及び 解体を行う区域は隔壁等により明確に区画し、適切な衛生設備を設けること。 (ア) 野生鳥獣の体表面の汚れを洗浄するための洗浄区域 (イ) 摂氏 83 度以上の温湯供給設備 (ウ) 吊り下げた際に頭部が床に触れない十分な高さを有する懸垂設備 2 野生鳥獣肉処理における衛生管理基準 野生鳥獣肉処理施設における衛生管理は、県条例第2条若しくは、松山市に 施設が所在する場合は市条例第4条に基づき行うこと。また、必要に応じて、 と畜場法施行規則(昭和 28 年厚生省令第 44 号)第3条も参考とすること。 3 野生鳥獣肉処理施設における取扱い (1) 受入時における捕獲・運搬・搬入に係る記録の確認 野生鳥獣肉処理業者は、野生鳥獣の受入時に捕獲・運搬・搬入に係る記録の 確認を行うとともに、以下に示す事項について記録(参考様式1を参照するこ と。)し、3年間保管すること。 なお、違法に捕獲されたもの、死亡した状態で発見されたものや確認に際し て不適切な事項が確認された野生鳥獣は、汚染防止の観点から施設内に受入れ ることなく、適切に廃棄し、その際に使用した機械器具等は、速やかに洗浄・ 消毒すること。 (ア) 管理番号 野生鳥獣の個体ごとに管理番号を設定すること。 (イ) 受入の状況 ・ 受入日時 ・ 受入れた動物の種類・体重・性別 ・ 捕獲・飼養・搬入者の氏名、電話番号 ・ 捕獲方法・日時・場所 (ウ) (エ) (オ) (カ) 第3 第3 第3 第3 1 1 1 1 (1) (2) (3) (4) 捕獲方法及び記録に係る事項 捕獲した野生鳥獣に関する異常の確認に係る事項 放血時における衛生管理、放血日時、場所に係る事項 内臓摘出時における衛生管理に係る事項、内臓摘出 -8- 日時、場所(内臓摘出済み個体受入時) (キ) 第3 1 (5) 捕獲した野生鳥獣を一時的に飼養する場合における衛生管 理に係る事項(飼養された個体受入時) (ク) 第3 2 運搬・搬入段階における衛生管理に係る事項 (2) 受入時における異常の有無の確認 野生鳥獣肉処理業者は、野生鳥獣の受入に際し、以下に示す項目について異 常の有無を確認・記録し、3年間保管すること。 (ア) (イ) (ウ) (エ) (オ) (カ) 内臓が不適切に摘出されているもの 運搬状況が不適切なもの 腹部に着弾したもの 外傷があるもの 天然孔、排出物、可視粘膜に異常があるもの 衛生的な見地から、品質、鮮度に問題があるもの なお、体表の汚染が著しい個体は、受入前に、可能であれば懸垂した状態で、 流水を用いて体表を十分に洗浄すること。流水は、水道水又は食品製造用水を 使用し、洗浄水が放血時の開口部を汚染しないよう注意すること。内臓が摘出 された個体で体表の汚染が著しい個体は廃棄すること。 (3) 野生鳥獣肉処理時における確認事項 解体時には、摘出した内臓、筋肉について、衛生管理の知識及び技術を有し ている者が、厚生労働省ガイドラインのカラーアトラスを参考に望診及び触診 により異常の有無を確認、記録(参考様式 2 を参照すること。)するとともに、 3年間保管すること。複数の臓器に異常を認めたもの、全身的な異常を認めた もの、以下の異常を認めたもの、食用として問題がないと判断できないものは 全部廃棄すること。臓器に肉眼的異常が認められた場合はその臓器を全て廃棄 し、微生物汚染の拡大を防ぐ観点から、部分切除、病変部の切開等は行わない こと。なお、内臓は肉眼的に異常が認められない場合においても、可能な限り 廃棄するように努めること。 (ア) (イ) (ウ) (エ) リンパ節に異常はないか 腹水・胸水の貯留はないか 腫瘍はないか 臭気の異常はないか (オ) 筋肉に異常や腫瘤はないか (カ) その他異常はないか -9- (4) 野生鳥獣肉処理工程ごとの作業手順及び衛生管理 工程ごとに以下のことに留意して行うこと。 ア 放血(放血されていないものに限る。) (ア) 使用するナイフ等は、柄の材質は合成樹脂製とし、サビ等がないように 十分に整備し、使用する直前に摂氏 83 度以上の温湯等により消毒する こと。 (イ) ゴム・ビニール等合成樹脂製の手袋を使用し、軍手等繊維製の手袋は使 用しないこと。手袋が血液等により汚染された場合は、その都度洗浄・ 消毒すること。 (ウ) 切開部は最小限とし、床、壁、その他器具等に接触、汚染させないこと。 (エ) 放血された血液による生体及びほかの個体の汚染を防ぐこと。 (オ) 放血効率を高めるため、頭部を低くすること。 (カ) 放血後、血液の性状を観察するとともに、足の付け根等に触れることに より、速やかに体温を調べ、異常を認めた個体は食用に供さないこと。 (キ) 放血後、消化管の内容物が漏出しないよう、食道を胃の近くで結さつし、 又は閉そくさせること。 (ク) 個体に直接接触するナイフ、結さつ器その他の機械器具については、1 頭を処理するごとに(外皮に接触すること等により汚染された場合は、 その都度。)摂氏 83 度以上の温湯を用いること等により洗浄・消毒する こと。 イ はく皮 (ア) 獣毛等による汚染を防ぐため、必要最小限度の切開をした後、ナイフを 摂氏 83 度以上の温湯等で消毒し、ナイフの刃を手前に向け、皮を内側 から外側に切開すること。 (イ) はく皮した部分は、外皮による汚染を防ぐこと。 (ウ) はく皮した部分が外皮により汚染された場合、汚染部位を完全に切り取 ること。 (エ) 肛門周囲の処理に当たっては、消化管の内容物が漏出しないよう肛門を 合成樹脂製の袋で覆い、直腸を肛門の近くで結さつするとともに、肛門 部による個体の汚染を防ぐこと。結さつに当たっては、紐やゴム、結束 バンド等を使い、二重に結さつすること。 (オ) はく皮した部分が消化管の内容物により汚染された場合、迅速に他の部 位への汚染を防ぐとともに、汚染された部位を完全に切り取ること。 (カ) 手指が外皮等により汚染された場合、その都度洗浄・消毒すること。 (キ) 個体に直接接触するナイフ、動力付はく皮ナイフ、結さつ器その他の機 械器具については、1頭を処理するごとに摂氏 83 度以上の温湯を用い ること等により洗浄・消毒すること。洗浄の際は洗浄水の飛散等により 枝肉を汚染しないようにすること。 - 10 - (ク) 体表の被毛には病原性微生物やダニ等の寄生虫が付着している可能性 が高いので、ナイフや手指と被毛との接触については細心の注意を払う こと。 (ケ) はく皮の作業終了時、エプロン、長靴を外し、ブラシ等で帽子、衣類等 に付着した被毛を十分に払い落とした上で、清潔なエプロンや長靴を着 用すること。その際、払いおとした被毛や外したエプロンが枝肉を汚染 しないように、十分に注意すること。 ウ 内臓摘出(内臓摘出がされていないものに限る。) (ア) 食用とする部位が消化管の内容物により汚染されないよう適切に行う こと。 (イ) 枝肉、内臓が床、内壁、長靴等に接触することによる汚染を防ぐこと。 (ウ) はく皮された部分が消化管の内容物等により汚染された場合、迅速に他 の部位への汚染を防ぐとともに、汚染された部位を完全に切り取ること。 (エ) 手指が消化管の内容物等により汚染された場合、その都度洗浄・消毒す ること。 (オ) 個体に直接接触するナイフ、のこぎりその他の機械器具については、1 頭を処理するごとに(消化管の内容物等に汚染された場合は、その都度。) 摂氏 83 度以上の温湯を用いること等により洗浄・消毒すること。洗浄 の際は洗浄水の飛散等により枝肉を汚染しないようにすること。 エ 背割り(上記アからウの処理を行った野生鳥獣を、脊柱に沿って左右に 切断する処理をいう。) (ア) 枝肉が床、内壁、長靴等に接触することによる汚染を防ぐこと。 (イ) 使用するのこぎりについては、1頭処理するごとに摂氏 83 度以上の温 湯を用いること等により洗浄・消毒すること。 オ 枝肉の洗浄 (ア) 洗浄の前に、着弾部位(弾丸が通過した部分を含む。)の肉は、汚染さ れている可能性があることから完全に切り取り、食用に供しないこと。 被毛又は消化管の内容物等による汚染の有無を確認し、これらによる汚 染があった場合、汚染部位を完全に切り取ること。 (イ) 十分な水量の水道水又は食品製造用水の流水を用いて行うこと。 (ウ) 洗浄水の飛散による枝肉の汚染を防ぎ、洗浄水の水切りを十分に行うこ と。 カ 枝肉及び食用に供する内臓の管理 (ア) 食用とする部位は、廃棄する部位や他の枝肉、床、壁、他の設備等と接 触させないこと。 (イ) 食用とする部位は、速やかに摂氏 10 度以下となるよう冷却すること。 (ウ) 設定した管理番号により、捕獲、運搬及び処理の記録と枝肉等が紐付け られるようにすること。 - 11 - (エ) 食用に供さない内臓などの廃棄する部位、消化管内容物、はく皮した皮、 脱骨した骨は、密閉できる容器に入れ、処理室から速やかに搬出し、関 係法令に基づき適正に処理すること。 キ その他の推奨事項 野生鳥獣肉処理業者は、以下のことを行うよう努めること。 (ア) 食用とする部位について、金属探知機等を用いて残存する銃弾がないこ とを確認すること。 (イ) 処理した野生鳥獣肉及び施設の設備・器具等の細菌検査を定期的に行う こと。 (5) 野生鳥獣肉処理業者が記録すべき事項(上記(1)~(3)以外) 野生鳥獣肉処理業者は、野生鳥獣の受入時、解体処理時及び販売時(譲渡時 を含む。)に以下に示す事項についての情報を把握し記録(参考様式 2 及び参 考様式 3 を参照すること。)するとともに、3年間保管すること。 また、当該野生鳥獣肉の流通時において、管理番号及び流通先に食品衛生上 必要な情報を伝達すること。 (ア) 筋肉の部位又は臓器別に食用の適及び不適 (イ) 除去を行った部位(着弾による除去部位を含む。) (ウ) 販売(譲渡を含む。)の状況 ・販売日、販売先、電話番号 (エ) 販売個体の管理番号、販売部位及び数量 (オ) 完売日又は廃棄した日 (カ) その他処理に関する情報 第5 野生鳥獣肉取扱者が守るべき衛生上の基準 1 野生鳥獣肉の仕入れ時における確認事項 野生鳥獣肉取扱者は、野生鳥獣の仕入れに際し、以下に示す項目について確 認し異常が認められた場合には、原材料の安全性を確保するために仕入れを中 止すること。また、野生鳥獣肉処理業者等から、当該野生鳥獣肉に関する捕獲、 処理等に係る情報(当該野生鳥獣肉に係る処理等の記録を添付しておくこと。) を受け取り、3年間保管すること。 (1) 当該野生鳥獣肉は、食肉処理業の許可を得た者が適切に処理を行ったも のであること (2) 色や臭気等の異常や異物の混入の有無 (3) その他記載すべき情報 - 12 - 2 野生鳥獣肉の加工、調理提供、販売時における取扱い (1) 野生鳥獣肉取扱者に共通する留意事項 ア 野生鳥獣肉の加工に使用する器具及び容器は、専用品とし、他の物品と 区別すること。 イ 野生鳥獣肉の加工に使用する器具及び容器は、使用ごとに洗浄、摂氏 83 度以上の温湯又は 200ppm 以上の次亜塩素酸ナトリウム等による消毒を行 い、衛生的に保管すること。 ウ 野生鳥獣肉の加工又は調理の途中で色や臭気等の異常が見られた場合、 直ちに取扱いを中止し、廃棄するとともに、その旨を仕入元に連絡するこ と。 エ 野生鳥獣肉は、摂氏 10 度以下(冷凍食肉は摂氏マイナス 15 度以下)で 保存すること。 オ 家畜の食肉を含む他の食品と区別して保管すること。 (2) 飲食店営業者等が留意する事項 ア 十分な加熱調理(中心部の温度が摂氏 75 度で1分間以上又はこれと同等 以上の効力を有する方法)をすること。 イ ウ 生食用としての提供は決して行わないこと。 野生鳥獣肉を原材料に用いた食肉製品を提供する場合は、食肉製品製造 業の許可を得た者が製造した製品を使用すること。 (3) 食肉販売業者が留意する事項 ア 野生鳥獣の種類を明示し、野生鳥獣肉であることが分かるようにするこ と。 イ 加熱加工用であることを明示すること。 ウ 健康被害を防止するため食品表示法に規定された表示に加えて健康被害 を防止するための情報を明示して販売するよう努めること。 (4) 野生鳥獣肉取扱者(加工者)が記録すべき事項 野生鳥獣肉を加工し、製品を製造する者は、野生鳥獣肉の仕入れ時及び加工 時に係る以下の情報を把握し記録(参考様式4を参照すること。)するととも に、3年間保管すること。 ア 仕入の状況 ・仕入日、仕入元の業者名、電話番号 ・動物種、部位及び量 イ 使用の状況 ・使用日、使用部位、使用量 ・製品名、製造数 - 13 - ・販売日、販売先 ウ 出荷完了日又は廃棄した日 エ その他記載すべき情報、管理番号 (5) 野生鳥獣肉取扱者(調理提供を行う飲食店営業者等)が記録すべき事項 飲食店営業者等は、野生鳥獣肉の仕入れ時及び調理時に係る以下の情報を 把握し記録(参考様式5を参照すること。)するとともに、3年間保管するこ と。 ア 仕入の状況 ・仕入日、仕入元の業者名、電話番号 ・動物種、部位及び量 イ 提供の状況 ・提供日、提供部位、調理方法、提供数 ウ エ 完売日又は廃棄した日 その他記載すべき情報、管理番号 (6) 野生鳥獣肉取扱者(販売業者)が記録すべき事項 食肉販売者は、野生鳥獣肉の仕入れ時及び販売時に係る以下の情報を把握 し記録(参考様式6を参照すること。)するとともに、3年間保管すること。 ア 仕入の状況 ・仕入日、仕入元の業者名、電話番号 ・動物種、部位及び量 イ 販売の状況 ・販売日、販売部位、販売先数、把握できる販売先 ウ エ 完売日又は廃棄した日 その他記載すべき情報、管理番号 第6 野生鳥獣肉の消費時(自家消費を含む)における取扱い (1)中心部の温度が摂氏 75 度で1分間以上又はこれと同等以上の効力を有する 方法により、十分加熱して喫食すること。 (2)まな板、包丁等使用する器具を使い分けること。また、調理・加工終了ご とに洗浄、消毒し、衛生的に保管すること。 (3)生で喫食しないこと。 - 14 -
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