農大有機 NEWS 第4号

農大有機 NEWS
第4号
発行;平成29年2月
島根県立農林大学校
〒 699-2211 大田市波根町 970-1
電話;0854-85-7118
HP: http://www.pref.shimane.lg.jp/nourindaigakko/
福間、松原(有機農業専攻)
あいさつ
春待ち遠しい季節となりました。農林大学校有機農業専攻の状況をお伝えします。
今年度 の専攻学生 は13名です が、水稲部 門と野菜部門 に分かれ、 一生懸命に取り組んでく
れました。
水稲 部門では、 除草に汗して がんばりま したが、初夏 の水不足や 、収穫時期になると降る
雨など、 気まぐれな お天道様に悩 まされなが らの実習とな りました。野菜部門では、土づく
りに励み、天敵を活用しながらの栽培を行いましたが、品目によっては苦しみました。
そして 暮れには、 圃場でとれた ものをそれ ぞれが工夫し て料理し、おいしくいただきまし
た。楽しい「収穫祭」でした。
日々、農大生がんばってます。
島 根県立 農林 大学校
校長
中村純 一
今年度の専攻学生
学生数
1年生7人(水稲2、野菜5)、2年生6人(水稲2、野菜4)
研修生
有機農業実践研修 2人(男1、女1)
合計
13人
実習の研究課題から
有 機水 稲で一 番の課題は除 草です。従 来、田車と水 田
草削り 用具 はった んなどで除 草していま したが、今年 は
チェーンを引っ張って除草する試験を行いました。
今回 使用 したチェーンは、新潟 農業総合研 究所で開発さ れ
たチェーン除草器の 設計書を参考 に自分たち で作りました 。
チェーンが 従来品よ り短く、その ため軽くて 水田で引っ張 り
チェーン除 草 の様 子
やすくなりました。
試験では 、除草効果と作業時間を田車・はったんと比較しました 。結果は表1のとおりです。
チェーンは 1回 の 除 草 に つ き 1往 復 行 い 、 田 植 え か ら 17日 ま で に 3~ 4回 除 草 し ま し た 。 田 車 ・ は
ったんは従来どおり2回除草しました。
チェーンで 3~ 4回 も 除 草 に 入 り ま し た が 、 予 想 以 上 に 作 業 時 間 が 短 縮 で き ま し た 。 1回 の 除 草
時間 は 平 均 約 55分 /10aで し た。 田 植え 後 3日目 か ら除 草 した た め、 欠 株率 は 田車 に比 べ てや
や高くなりましたが、残草は田車に比べてかなり少なくなりました。
次年度は、本格的な試験を行い、卒論にまとめたいと考えています。
【表1】作業時間と残草量及び欠株率の比較
残草量
欠株率
(/10a)
(乾物g/㎡)
(%)
チェーン 4 回
3 時 間 45 分
0.97
3.3
チェーン 3 回
2 時 間 47 分
2.48
3.1
14 時間 06 分
8.02
0.5
田車・はったん
チェーン除草器
作業時間
[研修部門]「有機農業実践研修」2人受講
今 年 度 で 3 年 目 と な る 、「 有 機 農 業 実 践 研 修 」 を 5月
か ら 10月 ま で の 半 年 間 週 1回 、 計 23回 開 催 し ま し た 。
今 年 は 、 2人 の 方 が 受 講 さ れ ま し た 。 基 本 的 に 午 前 中 は
教室 で 専 門 分 野 の 講 義、 午 後 は 研 修 ほ 場で の 農 業 実習 を
行いました。
10月 23日 に は 閉 講 式 を 行 い 、 無 事 2人 と も 研 修 を 修
了されました。
今後は、地元で学んだ事を実践されることと思います。
[トピックス]
エゴマの定植の様子
卒業論文発表会が行われました
1月 16,17日 に 卒 業 論 文 発 表 会 が 行 わ れ ま し た 。 1年 間 、 各 々 の 研 究 課 題 に 取 組 み 、 この 日
の た め に 準 備 を 進 め て き ま し た 。 2年 生 6名 の 課 題 は 表 2 の と お り で す 。 野 菜 の 課 題 は 、 日 頃
悩まされてい る病害虫対策 から「コンパニオンプランツの忌避効果の検証」や土づくりの課題から「有
用微生物の効 果の検証」な どの研究成果 を発表しまし た。水稲で は、雑草量と収量・食味・品
質の 関 係 、 施 肥 が 及 ぼす 雑 草 の 発 生 量 、食 味 へ の影 響 につ い て発 表 しま した 。 皆、 1年 間 の成
果を上手く伝えることができました。
な お 、 有 機 水 稲 の 課 題 に 取 組 ん だ 学 生 が 、 校 内 で 高 い 評 価 を 受 け 、「 中 四 国 ブロックプロジェクト
発表会(松山市開催)」に出場することが決まりました。
【表2 】今年 度の 卒論 課題
・有機パプリカ栽培におけるコンパニオンプランツを用いた害虫忌避効果の検証及び
野 菜
品種比較
・有機メロン栽培におけるコンパニオンプランツを用いた害虫忌避効果の検証及び菌
根菌の導入による生育促進効果
・有機野菜栽培の収益性検討
・有機栽培ミディートマトの有望品種、適正かん水量及び有用微生物の効果検証
水 稲
・有機水稲における除草と施肥の有無による食味等の変化について
・有機水稲における安定した食味、収量、品質の米生産のための除草方法の検証
[連携農業者情報]
地域農業実習
「いわみ地方有機野菜の会」「木村有機農園」
農大有機農業専攻では有機栽培農家6戸と協力協定を結び 、「サテライト校 」として設置し 、
講師として招いたり学生の実習先としてお世話になっています。
今 年 度 は 6月 21日 に 、「 い わ み 地方 有 機 野 菜 の 会 」の 大 畑会 長 のほ 場 と三 島 淳寛 氏の ほ 場を
見せ てい た だき ま した 。主 に葉 物野菜 を周 年で 栽培さ れ、 収
益性 の高 い 経営 を 実践 され てい ました 。土 づく りのほ か、 販
売や経営についても詳しく教えていただきました。
10月24日には、
「木村有機農園 」を視察させていただき、
山間 地で の 有機 農 業に つい て学 びまし た。 冬場 はほと んど 作
物が 育た ず 、播 種 が少 しで も遅 れると 収穫 がで きない など 、
山間地ならではの問題点を聞かせていただきました。
大畑氏ほ場見学