原子力規制委員会記者会見録 ● 日時:平成29年2月15日(水)17:30~ ● 場所:原子力規制委員会庁舎 ● 対応:田中委員長 記者会見室 他 <質疑応答> ○司会 それでは、時間になりましたので、ただいまから原子力規制委員会の定例会見を 始めたいと思います。 皆様からの質問をお受けします。いつものとおり、所属とお名前をおっしゃってから 質問の方をお願いします。 それでは、質問のある方は手を挙げてください。シゲタさん。 ○記者 NHKのシゲタです。 昨日の審査会合の中で、東京電力が柏崎刈羽原発の免震重要棟のことについて、試算 結果が3年前に出ていたのに、異なる説明をしてきたと。そのことについて謝ったとい う経緯があったのですけれども、まず、この経緯について、委員長はどう受けとめてい らっしゃるか、お伺いしてもよろしいでしょうか。 ○田中委員長 東京電力の姿勢が、少しきちっとしていただかないと困るなということで すね。社内的な情報の連絡が大事なところで抜けているというのは、かなり重症だとい う認識です。 ○記者 この情報共有という話は福島の事故の一因という指摘もあったのですけれども、 その辺、福島と絡めてどうお感じでしょうか。 ○田中委員長 以前から、そういう体質がまだ残っているという指摘をうちの職員も言っ ていましたけれども、そこのところがどういう状況なのか、きちっと見ていく必要があ るのだろうと思います。 ○記者 もう一点なのですけれども、今日、新潟県知事と地元の柏崎市の市長が会見をし まして、この問題について相当不信感を示したという話があるのですけれども、率直に、 地元の不信感がこの問題で高まりかねないと御認識でしょうか。 ○田中委員長 そうでしょうね。要するに、皆さんも含めて、免震棟神話みたいなのがあ ったのだけれども、実際には今の地震動には耐えられないということだと、まさかそん なことはないと思っていたのだと思いますよ、皆さんは。それが今になって、実際に新 しい地震動が設定されて、再評価したのが3年ぐらい前ですか。それで耐えられないと いうことがわかったら、その時点できちっと報告すべきですね。そのことをずっと、事、 ここに至るまで何も言わなかったというのが問題ですね。九電とかはもう、免震ではで きませんと言って耐震に切りかえたわけですから、そういうことをもっと謙虚にやって もらわないと、我々としても審査できないですね。そこのところは、そういう意味では 1 非常に重症だと思っています。 ○司会 ほかにございますでしょうか。ナガノさん。 ○記者 新潟日報のナガノと申します。 今の関係なのですけれども、審査への影響というところで、今のところ、東京電力が 免震棟と、今度、5号機につくる緊対所を組み合わせて、対策本部を置くというような 手順になっていると思うのですけれども、今回の結果を受けて、このあたりの議論が今 後変わってくる可能性はあるのでしょうか。 ○田中委員長 細かいところまでは私も承知していませんけれども、もともと、今回、津 波というか、そういうものの遡上とか何かを考えて、新たに5号機を緊対所に使うとい うことで、緊対所としての要件を満たせば、そこはそこで通じるのだろう と思 いま す。 だから、既存の免震棟が使えないから、そういう意味でだめかどうかということは、こ れからの判断だと思います。ただ、信義の問題ですね。信用できないということになる と、これはちょっと別の問題、質の違う問題になりますので、そこのところが今回、私 どもとしては、相当きちっと受けとめていかないといけないと思っています。 ○記者 繰り返しですけれども、今の信用というのは、会社としての体質の問題というこ となのでしょうか。 ○田中委員長 それもあるかもしれないし、マネジメントの問題もあるかもしれないし、 体質といってもいろいろありますので。ただ、安全上重要なこととか、こういったこと について、きちっと社内で情報が共有されていないというところは、体質の問題と言え るかもしれないですね。 ○記者 ありがとうございました。 ○司会 ほかにございますでしょうか。ナガマツさん。 ○記者 西日本新聞社のナガマツです。よろしくお願いします。 次の土日に鹿児島県に委員長は入られて、防災対策指針について考え方を説明される と伺っておりますが、三反園知事ともお会いになるということなのですけれども、どう いうポイントをお伝えになりたいかというあたりについて伺えますでしょうか。 ○田中委員長 愛媛県に行ったときと同じなのですけれども、愛媛県の資料とかを御覧に なっているかどうかわかりませんけれども、要するに、新しい規制基準、厳しいと言う だけ、それが今の防災計画とか防災指針との関係においては余り議論され てい ない し、 理解されていないので、もともと人と環境を守るということですね。1Fの事故の経験の 反省のもとにどうあるべきかということで、とにかく周辺住民に福島のような状況を作 らないためには、どういう規制が要るかということで規制が決まっているわけですから、 そこのところを正しく理解してもらうということ。皆さんも是非理解していただきたい のは、むやみに避難行動を起こすと、かえっていろいろな、別の意味の事故が起きると 2 いうことです。それが福島の教えるところですから。そういう意味で、屋内退避という のは非常に有効だし、大事だということ。そういうことについてを中心にお話ししたい と思っています。その上での避難計画なのですね。 ○記者 今回、甑島にも行かれるということなのですが、離島に行かれる狙いというのは いかがでしょうか。 ○田中委員長 伊方のときも、佐田岬の先の人が避難できないではないかという話もあっ たので、そんなにあわてて避難しなければいけないような状況ではないと、そういうこ とをきちっと理解していただこうと。甑島も、島だから逃げるところがないとか、海が 荒れたらどうする、そのときはじっとしていただければ十分ですと。あれだけ離れてい るのだし。そういうことをお話しして、少しでも安心していただければと思います。 ○記者 離島といえば、玄海原発の周辺も離島が数多くありまして、避難計画上の課題と も言われているのですが、その辺を念頭に置かれて、今回、甑島に行かれるという感じ でもないのですか。 ○田中委員長 いやいや、これはメディアの影響、皆さんの影響もあるのでしょうけれど も、ああいう佐田岬みたいなところとか、離島の場合は逃げられないとか、避難できな いとか、複合災害のときどうするのだという話ばかりが喧伝されているの だけ れど も、 そういうことではないと。要するに、1Fの事故が起きたけれども、放射線によっての急 性の影響はいまだ、サイト内とか、サイト外も含めて出ていないわけですね。今後も多 分、確率的な影響はほとんど心配しなくていいというのが、国際機関の評 価も 含め て、 そう言われているわけです。そういうことをきちっと理解した上で、だけれども、逆に あわてて避難したことによって、長期の避難をしたことも含めて、1,000人とか2,000人 とかいう犠牲者が出た、そっちの方がはるかに影響が大きいわけですから、そういうこ とをトータルとして判断してもらうことが大事だということ。その上でいろいろお考え いただくのは結構だと思いますけれども、まず、基本的な認識をきちっと持っていただ くことが大事だと思います。 ○記者 わかりました。ありがとうございました。 ○司会 ほかにございますでしょうか。ヒラガさん。 ○記者 新潟日報のヒラガと申します。 柏崎刈羽の免震棟の話に戻るのですけれども、先ほどの体質の話と重なる部分がある かと思うのですが、東京電力の審査では、液状化の問題ですとか、免震棟以外でも、手 戻りが発生するような事態が何度か起きていると思うのですけれども、規制庁側のリソ ースが限られている中で、そうやって手戻りが何度か発生している、このことについて はどのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。 ○田中委員長 一言で言えば、私よりも、審査している人たちが一番怒っていますね。も っと悪い言い方、ひどい言い方すれば、審査をしている人たちがおちょくられているの 3 ではないかという気持ちすら持っているのだと思います。そういう意味では、信義に反 するようなことが、大体、終結に近くなったかなと思うと、そういう問題がぽこっ、ぽ こっと起きていますね。耐震計算のところもそうだったし、何度かそういうのは繰り返 されていますので、そういう状況を深刻に捉えなければいけないという気がします。 ○司会 ほかにございますでしょうか。ミヤジマさん。 ○記者 同じく東電の免震棟のお話でございますが、先生おっしゃるとおり、非常に重症。 その重症は、山形審議官から言うと、何か組織のセクショナリズムみたいなことをおっ しゃっているのですけれども、本当にそうなのか。基本的に今の柏崎の稼働というのは、 東電の経営の問題なのですね。それを急いでいるわけであって、だから、現場が不都合 な事実を言えないような体制の中で、あえて規制庁はこの柏崎を優先審査していること 自体が、私は実は余り理解できない。だから、本当に不都合なことを言わないような経 営状況になるまで、それだけの経営の安定性がある電力会社になるまで、急いで審査す る理由がどこにあるのかと思うのです。本当に問われているのはセクショナリズムでは なくて、経営の問題だということを御認識なのかどうか。その重症の質を改めて伺いた いのです。 ○田中委員長 おっしゃるような判断というか、考えもあるから、今後どうするかという ことは、また少し中で相談したいと思っています。優先審査というわけではなくて、何 となく流れの中で柏崎刈羽が先行しているような状況になったのですが、ほかの事業者 がきちっと、PWRのときは関電の方がと思っていたら、九電の方がそれを乗り越えてき たということがありますので、そういう動きが今、BWR関係では見えないのですね。だ から、そういうところがあれば、当然そういうふうにすることについては、我々として は何ら予断を持っているわけではないということは申し上げられると思います。 ○司会 ほかにございますでしょうか。よろしいですか。 それでは、本日の会見は以上としたいと思います。お疲れさまでした。 -了- 4
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