第九条:外部からの衝撃による損傷の防止 【火山

【公開版】
資料1-1(2)
M O X 燃 料 加 工 施 設 に お け る
新 規 制 基 準 に 対 す る 適 合 性
【設計基準】
第九条:外部からの衝撃による損傷の防止
【火山(降下火砕物)】
平成29年2月15日
主な変更内容
①第118回核燃料施設等の新規制基準適合性に係る審査会合の反映
 降灰後の対策として,降下火砕物を仮置き場に集積する際に袋に入れる旨を追加
②第170回核燃料施設等の新規制基準適合性に係る審査会合の反映
 降下火砕物シミュレーションの解析コード「Tephra2」のバグ修正に伴い,降下火砕物の
設計層厚を30cmから36cmに変更
③第175回核燃料施設等の新規制基準適合性に係る審査会合の反映
 加工施設の特徴及び降下火砕物に対する対応方針(加工運転,全換気設備及び非常用所
内電源設備の停止)の記載追加並びにその方針に基づく記載内容の適正化
④第43回原子力規制委員会の反映
 セントヘレンズ山の噴火で得られた観測データを用いた影響因子を追加
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目 次
Ⅰ.火山に対する設計基本方針
Ⅱ.加工施設に影響を及ぼす火山影響評価の概要
Ⅲ.加工施設に影響を及ぼし得る火山事象の抽出及び
降下火砕物の特性の設定
Ⅳ.降下火砕物の影響評価の流れ
Ⅴ.評価対象施設の選定
Ⅵ.降下火砕物による影響モード
Ⅶ.影響モードによる加工施設への影響因子
Ⅷ.降下火砕物防護施設の設計方針
Ⅸ.手順等
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Ⅰ.火山に対する設計基本方針(1/3)
【外部からの衝撃による損傷の防止(火山)に係る規則要求】
 安全機能を有する施設は,想定される自然現象が発生した場合においても安全機能を損な
わないものでなければならない。
【外部からの衝撃による損傷の防止(火山)に係る設計基本方針】
 加工施設は想定する火山事象に対し,以下に示す加工施設の特徴を踏まえて安全機能を損
なわないようにする。
○加工施設の特徴
加工施設は,以下に示す特徴を考慮すると,仮に全ての動的機器が機能喪失したとしても,
核燃料物質はその場でとどまることから,公衆に著しい放射線被ばくのリスクを与えることはない。
なお,貯蔵設備は核燃料物質を安定的に貯蔵することを目的としていることから,異常事象に
対して影響を受けるまでに時間猶予がある場合は,核燃料物質を貯蔵設備に貯蔵することが望
ましい。
• 加工工程は,単位操作ごとに処理(バッチ処理)するため,各処理は独立している。
• 取り扱う核燃料物質は化学的に安定な酸化物であり,焼結処理,焙焼処理及び一部の分析作業を除いて過
渡的変化を伴う化学プロセスはない。
• このため,異常が発生したとしても,事象の範囲は当該処理単位に限定されること,工程設備が停止すること
で停止前の状態が維持され,それ以上の事象進展がない。
加工施設の特徴を踏まえ,降下火砕物の影響が予見される場合には,加工運転を停止し,施設
を安定な状態とする。
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Ⅰ.火山に対する設計基本方針(2/3)
【外部からの衝撃による損傷の防止(火山)に係る設計基本方針】
Ⅰ.想定する火山事象
 火山事象としては,降下火砕物を対象とする。
Ⅱ.降下火砕物に対する防護対象安全機能の選定
 事業許可基準規則 第十四条において,「安全機能を有する施設は,その安全機能の重
要度に応じて,その機能が確保されたものでなければならない」と要求されていること
を踏まえ,その機能の喪失により,公衆又は従事者に過度の放射線被ばくを及ぼすこと
を防止する観点から,安全上重要な施設の安全機能を防護対象安全機能とする。
Ⅲ.降下火砕物防護施設の選定
 防護対象安全機能を有する設備及び機器のうち,降下火砕物の影響*を考慮し,防護対
象安全機能が損なわれるおそれのあるものを防護対象設備とする。
 加工施設には屋外に防護対象安全機能を有する設備及び機器が存在しないことから,加工施
設における防護対象設備は,建屋内に収容され防護される設備及び建屋内に収容されるが
外気を直接取り込む防護対象設備に分類される。
 そのため,防護対象設備を収容する建屋及び建屋内に収容されるが外気を直接取り込む防
護対象設備を降下火砕物防護施設として選定する。なお,選定に当たっては降灰時の対応を
考慮する。
*
構築物への荷重,粒子の衝突,閉塞,磨耗,腐食,大気汚染,水質汚染及び絶縁低下並び
に外部電源喪失及び交通の途絶の影響を想定する。
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Ⅰ.火山に対する設計基本方針(3/3)
Ⅳ.降下火砕物の影響評価
 設計に当たっては,加工施設の特徴を踏まえた上で,「原子力発電所の火山影響評価ガ
イド」(平成25年6月19日 原規技発第13061910号 原子力規制委員会決定)(以下,
「火山影響評価ガイド」という。)に準拠し影響を評価する。
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Ⅱ.加工施設に影響を及ぼす火山影響評価の概要
 火山影響評価の概要を以下に示す。
 加工施設に影響を及ぼし得る火山事象の対象の抽出を行う。(地震・津波安全対策の審査範囲)
 抽出された火山事象に対する設計対応を行う。(今回の審査範囲)
<地震・津波安全対策の審査範囲>
<今回の審査範囲>
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Ⅲ.加工施設に影響を及ぼし得る火山事象の抽出及び
降下火砕物の特性の設定(1/2)
 加工施設に影響を及ぼし得る火山事象については,第91回核燃料施設等の新規制基準適合性
に係る審査会合の説明を踏まえて,以下のとおり「降下火砕物」を対象とする。
加工施設に影響を及ぼし得る火
山事象は「降下火砕物」を対象と
する。
「第91回核燃料施設等の新規制基準適合性に係る審査会合 資料2 再処理施設,MOX燃料加工施設火
山の影響評価について(コメント回答)」より抜粋
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Ⅲ.加工施設に影響を及ぼし得る火山事象の抽出及び
降下火砕物の特性の設定(2/2)
 降下火砕物の特性の設定
加工施設に影響を及ぼし得る火山事象に選定された「降下火砕物」の特性について,第170回核燃
料施設等の新規制基準適合性に係る審査会合の説明を踏まえて,以下のとおり設定する。
「第170回核燃料施設等の新規制基準適合性に係る審査会合 資料1-1 再処理施設,廃棄物管理施設,MOX燃料加工施設火山の影響評価について(コメ
ント回答及び追加説明)」より抜粋
項目
条件
堆積厚さ
36cm
密度
粒径
乾燥状態 0.7g/cm3 ~ 湿潤状態 1.5g/cm3
2mm以下(95%以上)
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Ⅳ.降下火砕物の影響評価の流れ
降下火砕物防護施設の選定
降下火砕物の影響モードの選定
降下火砕物防護施設に対する影響因子の抽出
降下火砕物防護施設に対する影響評価
防護対象安全機能
が損なわれること
はないか
No
防護対策
Yes
火山事象に対応可能
降下火砕物の影響評価の基本フロー
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外部からの衝撃による損傷の防止(火山)に係る設計基本方針の具体
的説明を次ページ以降に示す。
【凡 例】
:補正予定の内容を示す範囲
枠線なし
:事業変更許可申請書( H28.6.30補正)の記載又は補正予定の内容の補足説明を示す範囲
:設工認申請にて示す範囲
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Ⅴ.評価対象施設の選定(1/4)
 降下火砕物に対する防護対象安全機能の選定
 事業許可基準規則 第十四条において,「安全機能を有する施設は,その安全機能の重
要度に応じて,その機能が確保されたものでなければならない」と要求されていることを踏
まえ,その機能の喪失により,公衆又は従事者に過度の放射線被ばくを及ぼすことを防止
する観点から,安全上重要な施設の安全機能を防護対象安全機能とする。
 降下火砕物防護施設の選定
 防護対象安全機能を有する設備及び機器のうち,降下火砕物の影響*を考慮し,防護対
象安全機能が損なわれるおそれのあるものを防護対象設備とする。
 加工施設には屋外に防護対象安全機能を有する設備及び機器が存在しないことから,加
工施設における防護対象設備は,建屋内に収容され防護される設備及び建屋内に収容さ
れるが外気を直接取り込む防護対象設備に分類される。
 そのため,防護対象設備を収容する建屋及び建屋内に収容されるが外気を直接取り込む
防護対象設備を降下火砕物防護施設として選定する。なお,選定に当たっては,降灰時
の対応を考慮する。
* 構築物への荷重,粒子の衝突,閉塞,磨耗,腐食,大気汚染,水質汚染及び絶縁低下
並びに外部電源喪失及び交通の途絶の影響を想定する。
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Ⅴ.評価対象施設の選定(2/4)
 降下火砕物防護施設の選定に当たっては,加工施設の特徴を踏まえた以下の降灰時の対応を
考慮する。
<降灰時の対応>
○大規模な火山の噴火があり,降灰予報が発表され,降下火砕物の影響が予見される場合
 加工運転を停止する。
 全換気設備を停止する。※1
 非常用所内電源設備は,稼動しないように措置を講ずる。
※1:建屋の全換気設備が停止した状態にあって,燃料加工建屋内の作業環境が悪化した場合においては,屋外の降灰状況や
外部電源の復旧状況に応じて換気を間欠的に再開する等の操作を行う。
 防護対象設備を収容する建屋である燃料加工建屋は,降下火砕物が取り込まれることはないため,降下火砕
物の影響のうち,閉塞,磨耗,腐食,大気汚染及び絶縁低下の考慮は不要である。※2
 建屋内に収容されるが外気を直接取り込む防護対象設備である非常用所内電源設備は,降灰時に降下
火砕物が取り込まれることはなく,防護対象設備へ影響を与えることはないことから,降下火砕物防護施設に
選定しない。※3
※2:ただし,燃料加工建屋の外気取入口には,防雪フード及びフィルタを設けることで,降下火砕物が侵入しにくくなっている。
また,運転員は,適切な防護具を着用し,必要最低限の人員により,加工施設の監視を継続できるようにする。
※3:ただし,非常用所内電源設備の外気取入口には,防雪フード及びフィルタを設けることで,降下火砕物が侵入しにくくなっている。
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Ⅴ.評価対象施設の選定(3/4)
 降下火砕物防護施設の選定結果を表1にまとめる。
表1 降下火砕物防護施設の選定結果
降下火砕物防護施設
防護対象設備を収容する建屋
燃料加工建屋
建屋内に収容されるが外気を
直接取り込む防護対象設備
該当なし
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Ⅴ.評価対象施設の選定(4/4)
 降下火砕物防護施設の配置図(防護対象設備を収容する建屋:燃料加工建屋)
降下火砕物防護施設
防護対象設備を収容する建屋
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Ⅵ.降下火砕物による影響モード
降下火砕物による影響モードは,降下火砕物の特性による直接的影響及び施設外部で発生する降
下火砕物による影響を施設が間接的に受ける間接的影響がある。
 降下火砕物の特性を踏まえ,想定される直接的影響を表2にまとめる。
表2 降下火砕物の特性から想定される直接的影響
降下火砕物の特性
火山ガラス片及び鉱物結晶片からなり,粒径2mm以下
濃度33,400μg/m3
(セントヘレンズ山の噴火で得られた観測データ)
堆積厚さ36cm,乾燥密度0.7g/cm3,湿潤密度1.5g/cm3
腐食性ガスの付着による腐食
(金属腐食研究結果※1より急激な腐食が生じることはない)
水に濡れると電導性を生じる
湿った降下火砕物は,乾燥すると固結する
降下火砕物粒子の融点は,一般的な砂に比べ約1000℃と低い
影響モード
粒子の衝突,閉塞,磨耗,大気汚染,水質汚染
閉塞(降下火砕物の濃度による影響)
荷重
腐食,大気汚染,水質汚染
絶縁低下
―
(流水等で除去可能のため影響なし)
閉塞
※1:出雲茂人,末吉 秀和他, 火山環境における金属材料の腐食,1990,防食技術VOL.39,pp.247-253
 降下火砕物における間接的影響としては,加工施設外部で発生する送電網への影響を踏まえ,
長期間(7日間)に亘る外部電源喪失を想定する。また,加工施設内外で発生する交通の途絶も想
定する。
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Ⅶ.影響モードによる加工施設への影響因子(1/5)
 想定する直接的影響によって発生する加工施設への影響因子を表3にまとめる。
表3 直接的影響によって発生する加工施設への影響因子
影響モード
影 響 因 子
荷重
降下火砕物防護施設に対して,降下火砕物が建屋の上に堆積し,静的な荷重負荷を与えることを考慮する。
降下火砕物の荷重は,層厚36cmの湿潤密度1.5g/cm3を想定する。
なお,評価に当たっては,考慮すべき火山以外の自然現象として,風及び積雪による荷重を適切に組み合せる。
粒子の衝突
降下火砕物防護施設に対して,加工施設に到達する粒径2mm以下の降下火砕物が降灰時に衝撃荷重を与える
ことを考慮する。
閉塞
全換気設備の停止の措置及び非常用所内電源設備が稼動しないような措置を講ずることから,降下火砕物は防
護対象設備を収容する建屋に取り込まれることはないため,閉塞の影響を受けない。
また,同上の措置を講ずることから,セントへレンズ山の噴火事象と同様の高濃度の降下火砕物に対しても,防
護対象設備を収容する建屋が影響を受けることはない。
磨耗
全換気設備の停止の措置及び非常用所内電源設備が稼動しないような措置を講ずることから,降下火砕物は防
護対象設備を収容する建屋に取り込まれることはないため,磨耗の影響を受けない。
腐食
全換気設備の停止の措置及び非常用所内電源設備が稼動しないような措置を講ずることから,降下火砕物は防
護対象設備を収容する建屋に取り込まれることはないため,腐食の影響は受けない。
大気汚染
全換気設備の停止の措置を講ずることから,降下火砕物は防護対象設備を収容する建屋に取り込まれることは
ないため,大気汚染の影響は受けない。
水質汚染
加工施設は水を使用する防護対象設備を有しないため,水質汚染の影響を受けない。
絶縁低下
絶縁低下の影響を受ける電気及び計測制御に係る設備は,屋内に収容され防護される防護対象設備であるが,
全換気設備の停止の措置を講ずることから,絶縁低下の影響は受けない。
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Ⅶ.影響モードによる加工施設への影響因子(2/5)
 想定する間接的影響によって発生する加工施設への影響因子を表4にまとめる。
表4 間接的影響によって発生する加工施設への影響因子
影響モード
外部電源喪失
影 響 因 子
加工施設外で発生する送電網への降灰影響により発生する長期間(7日間)の外部電源喪失を考慮したとしても,
加工施設の特徴を踏まえると,公衆に著しい放射線被ばくのリスクを与えることはない。
加工施設敷地外 加工施設敷地外で交通の途絶が発生した場合には,非常用所内電源等の燃料油の供給が受けられないが,非
常用所内電源設備が稼動しないような措置を講ずることから,防護対象安全機能を損なうことがないため影響は
の交通の途絶
ない。
加工施設敷地内 加工施設敷地内に降下火砕物が堆積し,敷地内の交通が途絶した場合においても,防護対象設備については交
の交通の途絶
通の途絶の影響を受けないことから,防護対象安全機能を損なうことがないため影響はない。
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Ⅶ.影響モードによる加工施設への影響因子(3/5)
影響モード:荷重
降下火砕物防護施設
屋外に設置
されている
か
No
Yes
建屋で防護
対象設備を
守れるか
No
該当設備なし
Yes
評価対象
①燃料加工建屋
降下火砕物
が積もるか
Yes
No
該当設備なし
評価対象
該当設備なし
① 防護対象設備を収容する建屋
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Ⅶ.影響モードによる加工施設への影響因子(4/5)
影響モード:粒子の衝突
降下火砕物防護施設
評価対象
屋外に設置
されている
か
No
Yes
建屋により影
響を無視で
きるか
No
該当設備なし
Yes
①燃料加工建屋
鋼構造物で
あり,影響を
無視できる
か
評価対象
No
該当設備なし
Yes
該当設備なし
① 防護対象設備を収容する建屋
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Ⅶ.影響モードによる加工施設への影響因子(5/5)
 降下火砕物防護施設の影響評価
評価すべき影響モード
降下火砕物防護施設の選定結果
防護対象設備を
収容する建屋
燃料加工建屋
荷重
粒子の
衝突
閉塞
磨耗
腐食
○
*1
*2
*2
*2
大気汚染 水質汚染 絶縁低下
*2
*3
*2
*1:建屋により影響を無視できるため考慮不要
*2:降灰時の対処により外気の取り入れがないため考慮不要
*3:水を使用する防護対象設備を有しないため考慮不要
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Ⅷ.降下火砕物防護施設の設計方針(1/2)
 直接的影響によって発生する影響因子に対する設計方針を以下にまとめる。
(1)荷重
○設計方針
防護対象設備を収容する建屋については,許容荷重が降下火砕物による荷重に対して安全裕度を有することにより,構造健
全性を失わず防護対象安全機能を損なわない設計とする。
○降下火砕物の堆積荷重
・湿潤密度:1.5g/cm3(降下火砕物の層厚1cm当たり150N/m2)
・堆積厚さ:36cm
降下火砕物荷重=150(N/m2・cm)×36(cm)=5,400(N/m2)
○降下火砕物及び火山以外の自然現象を組み合せる場合
① 降下火砕物
・湿潤密度:1.5g/cm3(降下火砕物の層厚1cm当たり150N/m2)
・堆積厚さ:36cm
降下火砕物荷重=150(N/m2・cm)×36(cm)= 5,400 (N/m2)
② 積雪
・密度:0.3g/cm3(積雪の単位荷重は1cm当たり30N/m2)※1
・堆積量:150cm※2
積雪荷重=30(N/m2・cm)×150(cm)=4,500(N/m2)
降下火砕物の堆積荷重,降下火砕
物及び火山以外の自然現象を組み
合せた堆積荷重に対して構造健全
性が維持され安全機能を損なわな
いことの評価結果を設工認申請書
に示す。
※1:青森県 建築基準法施行細則に基づく積雪の単位荷重を用いた。
※2:青森県 建築基準法施行細則に基づく六ヶ所地域の積雪深さを用いた。
③風
・基準風速:34m/s※3
・水平力として考慮
※3:平成12年5月31日建設省告示第1454号に示される青森県の基準風速を用いた。
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Ⅷ.降下火砕物防護施設の設計方針(2/2)
(2)粒子の衝突
○設計方針
防護対象設備を収容する建屋については,降下火砕物が加工施設に到達するものの大部分が微小な粒子であり,また,砂よりも
硬度が小さく,粒子の衝突により構造健全性を損なう可能性は考えにくいことから,設計上考慮しない。
なお,粒子の衝撃荷重による影響については,竜巻の影響に包絡される。
○降下火砕物の特性
・降下火砕物の特性:粒径2mm以下,湿潤密度1.5g/cm3
・降下火砕物の特徴:降下火砕物は,砂等に比べて破砕し易く※1,硬度が低い※2
※1:武若耕司(2004):シラスコンクリートの特性とその実用化の現状,コンクリート工学,vol.42,№3,pp.38-47.
※2:恒松修二・井上耕三・松田応作(1976):シラスを主原料とする結晶化ガラス,窯業協会誌84[6],pp.32-40.
燃料加工建屋の外壁は,120cm以上のコンクリート壁であることから,直径2mm以下の粒子の衝突により構造健全性を損なう可
能性は考えにくい。
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Ⅷ.降下火砕物防護施設の設計方針(まとめ)
 降下火砕物防護施設の影響評価
基本方針
降下火砕物防護施設の選定結果
防護対象設備を
収容する建屋
燃料加工建屋
荷重
粒子の
衝突
閉塞
磨耗
腐食
A
-
-
-
-
大気汚染 水質汚染 絶縁低下
-
-
-
A:堆積荷重に対する構造健全性を確認
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Ⅸ.手順等
 降下火砕物の因子に対する設計方針上必要となる対処及び降灰後の設備保全管理上実施される
対処を手順等として定めるものとする。
<降灰前に実施する手順>
 大規模な火山の噴火があり,降灰予報が発表され,降下火砕物の影響が予見される場合には,加工運転を停
止し,全換気設備を停止する。
 非常用所内電源設備については,降下火砕物を取り込まないようにするため,稼動しないように措置を講ずる。
 建屋の全換気設備が停止した状態にあって,燃料加工建屋内の作業環境が悪化した場合においては,屋外の
降灰状況や外部電源の復旧状況に応じて換気を間欠的に再開する等の操作を行う。
 可搬型重大事故等対処設備等,緊急時に必要となる設備のうち屋外に保管・配備される設備は,降灰予報が発
表された場合には,シートで覆い降下火砕物の影響を受けない運用とする。
<降灰中に実施する手順>
 作業前に,ガス濃度検査等を実施し,作業可能な環境であることを確認する。
 作業に当たっては,降下火砕物による健康被害を避けるため,保護具(防塵マスク,ゴーグル等)を着用する。
<降灰後に実施する手順>
 作業前に,ガス濃度検査等を実施し,作業可能な環境であることを確認する。
 作業に当たっては,降下火砕物による健康被害を避けるため,保護具(防塵マスク,ゴーグル等)を着用する。
 防護対象設備への影響を確認するため,点検を実施する。
 点検において,降下火砕物の堆積が確認された箇所については,ほうき,ホイールローダ等を使用し除去を行う。
 降下火砕物は,袋に入れて仮置き場に集積し,最終的には産業廃棄物として処分する。
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<参考>燃料加工建屋 管理区域 給気概要図
防雪フード
建屋
送風機
:給気フィルタ
:手動ダンパ
:逆止ダンパ
(建屋・工程室へ)
:強制閉止ダンパ
管理区域への給気概要
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<参考>非常用所内電源設備 非常用発電機 給気概要図
防雪フード
燃料加工建屋
非常用発電機
機関冷却用空気系
非常用発電機
:給気ファン
非常用発電機
燃焼用空気系
:給気フィルタ
:手動ダンパ
非常用所内電源設備 非常用発電機 給気概要図
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