逆行ツナは見守りたい 犬伏アオイ ︻注意事項︼ このPDFファイルは﹁ハーメルン﹂で掲載中の作品を自動的にP DF化したものです。 小説の作者、 ﹁ハーメルン﹂の運営者に無断でPDFファイル及び作 品を引用の範囲を超える形で転載・改変・再配布・販売することを禁 じます。 ︻あらすじ︼ id=610794 p i x i v に て 完 結 済 み。↓ h t t p:/ / w w w.p i x i v.net/novel/show.php 1 これってネットの小説とか 意識不明の重体だった︵奈々の︶3つ下の弟であることが判明。 詳しく事情を聞けば、自分は︵奈々の︶両親と事故に遭い、今まで らを覗き込んでたりして更にビックリ。 しかも超見覚えのある女性、母の奈々が記憶よりも若い容貌でこち たはずが、ある日目を覚ますと病室に。 ボンゴレ解体を目指しつつ、守護者の皆とわちゃわちゃ過ごしてい 歳。 ボンゴレ十代目としてイタリア裏社会を率いていた沢田綱吉40 ? イヤでもこの身体俺本人ですらないよ 俺に伯父さんなんかいなかったよね でよくある逆行って奴 !!? !? やがて、生まれてきたかつての自分自身を見て、大変だった日々を と、生まれてくる俺大変だろうなぁ⋮としみじみ思うようになる。 しかし、当然の如く現れたかつての父・家光との結婚話がでてくる 分、死ぬ気で奈々を守ろうと決意。 まぁ逆行しちゃったのはしょうがないし、今まで守ってもらった 実だと認識。 激しくツッコみたかったが、何故か今なお付属している超直感で現 !? 思いだしそれとなく手助けしてやろうと決意。 まとめれば、イタリア裏社会を支配していたツナ君が、逆行して一 般人の平穏を甘受しつつ、奈々を守ろうと奮闘するお話。 原作前 目 次 ││││ │││││ 1 気づいたら叔父になるそうです。⋮ちょっと待て 気づいたら俺が生まれるそうです。⋮って早くない 気づいたら俺はイタリアに留学するそうです。⋮行きたくねえ ││ ││││││││││││││││││││││││││││ 気づいたら憤怒の暴君に殺されかけました。⋮危ねえ 気 づ い た ら 虹 の 大 空 に 道 案 内 し て も ら っ て ま し た。⋮ え っ !? !! 気づいたら赤髪の青年に骨董品の説明を受けてました。⋮アレ ││││││││││││││││││││││││││││ │││││ │││ │││││││ 気づいたら浅利一味が来日してました。⋮帰れ 気づいたら勧誘されてました。⋮だが断る 気づいたら初代が祝われに来てました。⋮謹賀新年 │││ │││││││ 気づいたら海の大空とぶつかってました。⋮うげっ 気づいたら夜が明けてました。⋮んん゛っ ││││ 気 づ い た ら 晴 の 兄 妹 を 助 け て ま し た。⋮ イ ロ イ ロ と 眩 し い 気づいたら大地が蹂躙されていました。⋮くそっ 原作開始 │ ││ 気づいたら家庭教師が家にいました⋮久しぶりだなぁっ 気づいたら野球少年が病院にいました。⋮諦めないで │││ │││││ 気づいたらご飯を振るまってました。⋮召し上がれ 気づいたら眼鏡少年を助けてました。⋮ん゛っ 15 28 44 48 61 70 !! !! 76 気づいたら、母が姉になってました。⋮なんで │││ 4 ! !! 7 !! !! 80 !! !? !! !? 90 112 106 100 96 !? !! !? !! !? ? 37 86 │ 気づいたら毒蠍に手料理を振るまわれてました。⋮って死ぬ !! │││││││││││││││││││││││││││ い ││││││││││││││││││││││││││ ! ││ │││││││││││││││││││││││││││ 気づいたら弟分たちに囲まれてました。⋮皆幼いなぁ 気づいたら右腕がしょげ返ってました⋮落ち込んでるなぁ │ 黒曜編 気 づ い た ら 黒 曜 中 に 転 入 生 が 来 て ま し た。⋮ 面 倒 事 の 予 感 │ 136 132 127 152 気 づ い た ら 並 中 生 が 襲 わ れ て ま し た。⋮ 骸 の 馬 鹿 や ろ ー っ 気づいたら甥っ子が反撃しに来てました。⋮が、頑張れ !! ! わーん ││││││││││││││││││││││││ ! 気づいたら右腕に助けられてました。⋮ほんっとありがとう 156 │││││││││││││││││││││││││││ │││││││││││││││││││││││││││ 気づいたら後日談をまとめられていました。⋮っておいコラー !! 169 気づいたら大地にお小言を言われまくりました。⋮ごめんってー 165 気づいたら黒曜戦が無事終わったようです。⋮ツッ君ありがと│ ! 気 づ い た ら 風 紀 委 員 長 に 噛 み 殺 さ れ そ う に な っ て ま し た。⋮ う !! !! 気づいたら跳ね馬に世話を焼いていました。⋮相変わらずだなぁ 125 気づいたら女子組の買い物に付き合わされるようです。⋮帰りた 121 気づいたら風紀委員長に武器をつきつけられていました。⋮怖っ 117 !! ! 142 149 161 ! !! │ ││││││││││││││││││││││││││││ 指輪編 たー │││││││││││││││││││││││││ 気 づ い た ら 侍 少 年 と 傲 慢 鮫 が 戦 っ て ま し た。⋮ ま た 巻 き 込 ま れ 174 181 │ │││││││││││││││││││││││││││ 気づいたら憤怒の暴君が玄関にいました。⋮帰れテメェ │││ !! │││││││││││││││││││││││││ 199 未来編 気づいたら10年の月日が経ってました。⋮はっや 気 づ い た ら 基 地 を 脱 走 し て ま し た。⋮ な ん で バ レ な い ん だ ││ !? │││││ 気づいたら家政夫やってました。⋮その視線やめない 気づいたら鬼教官が倒れてました。⋮ッ大丈夫 !? え ││││││││││││││││││││││││││ │││ │││ 226 246 238 !! 気 づ い た ら ボ イ コ ッ ト が 開 始 し て ま し た。⋮ ふ、フ ァ イ ト 気づいたら暗躍してました。⋮仕込みは上々ってね 気づいたら色々と打ちのめされてました。⋮あれー !! !? 気 づ い た ら 驚 き の 暴 露 話 に な っ た よ う で す。⋮ あ っ は っ は !! 気づいたら基地攻略が終わってました。⋮ってまだ切るんじゃね 216 212 ! 気 づ い た ら 襲 撃 が 始 ま っ た よ う で す。⋮ い っ て ら っ し ゃ い !? !! !! りー │││ 203 気づいたら打ち上げに参加してました。⋮すいませーん、おかわ 193 187 184 気づいたら父に跳び蹴りかましてました。⋮いっぺん死んで来い !! 気づいたら甥っ子に相談されてました。⋮そっかぁ !! !! 208 222 !! 231 │ 気づいたら戦略撤退をしてました。⋮逃亡開始ぃ ││││ │││ 気 づ い た ら 詰 め 寄 ら れ て ま し た。⋮ う ん 一 旦 落 ち 着 こ う か 気づいたら応戦してました。⋮正当防衛じゃゴルぁ 気づいたら代わってました。⋮ごめんね │││││││││ シモン編 気づいたら立ち止まっていました。⋮一休みってことで ││ 気づいたらへこたれてました。⋮情けないなぁ ││││││ ││ 261 278 271 さぁ │││││││││││││││││││││││││ 気づいたら墓参りしてました。⋮久しぶり、親友 │││││ ! 気 づ い た ら 継 承 式 に 乗 り 込 ん で ま し た。⋮ 真 打 登 場 っ て ね 313 309 │││││││││││││││││││││││││││ 気づいたら大地に吊るしあげられてました。⋮静まり給えー 320 る ││││││││││││││││││││││││││ !? │││││││││││││││││││││││││││ 336 気づいたら初代霧に愚痴ってました。⋮俺の酒が飲めないってぇ 330 気づいたら家庭教師が大空を見守ってました。⋮なんか悪寒がす !! 気づいたら浅蜊に宣戦布告してました。⋮後は野となれ山となれ !! 気 づ い た ら 大 地 に ぶ っ 飛 ば さ れ て ま し た。⋮ 針 千 本 も 嫌 だ け ど 298 295 289 !! 気づいたら大地が大空を嫌っていました。⋮マジでか ! 気 づ い た ら 甥 っ 子 を 泣 か し て ま し た。⋮ い、い じ め て な い よ !? !? !! 255 267 302 317 !! 324 !? │ ││││││││││││││││││││││││││ 341 気づいたら初代霧が思考してました。⋮馬鹿にされてる気配を察 知 ム │ ││ ││││││││││││││││││││││││││ 気づいたら大地が動くようです。⋮さぁ、行動開始だ 気づいたら霧を召喚してました。⋮とりあえず落ち着け !! !! 気づいたら復讐者に邪魔されました。⋮ここでリタイアかよ 351 347 345 うにね │││││││││││││││││││││││││ なぁ │││││││││││││││││││││││││ !! 気づいたら大空が決意したようです⋮俺の代わりに頑張って 365 る ││││││││││││││││││││││││││ 375 気づいたら大地が大空と和解してました。⋮あれっ、嫌な予感がす !! 気 づ い た ら 初 代 霧 が 大 地 と 対 峙 し て ま し た。⋮ ぶ っ 飛 ば し た い 360 気づいたら大地が覚悟を決めたようです。⋮抱え込みすぎないよ !! 気づいたら見せしめを懸念されていたようです。⋮ノープロブレ !! !! 355 371 !? │ 原作前 気づいたら、母が姉になってました。⋮なんで 沢田綱吉 ﹂ ﹁ひー君 ││││その、はずなのに ていた フィア界の浄化を目的とし、日夜書類と抗争と守護者の争いに奮闘し マフィアの業をこれ以上引き継がせない為に、ボンゴレ解体とマ ス イタリア全土を掌握する世界最大のマフィア・ボンゴレの十代目ボ !? ︶でいるわ え、ナニコレどーなってんの リボーンの質の悪い悪戯 たことはない ﹂ 忘れたことはない⋮けども ﹁ひー⋮くん⋮⋮ ツッ君、やツー君じゃ、なくて ﹁そうよ、貴方は私の3つ下の弟のひー君でしょう ガツンッ ﹂ ? ? いくら駄目ツナと言われた俺だって、自分を生んでくれた親を忘れ 分かってます。そりゃもう超分かってます ﹂ ﹁ひー君、私が誰だか分かる ? ? ﹁よかった、目を覚ましたのねっ﹂ 尚且つ、涙目でこちらを覗き込んでいるわ ど あるより若々しい容貌︵そりゃ俺に遺伝するほど強力な童顔だったけ イタリアに行った時に縁を切ったはずの母さんが、明らかに記憶に わ 書類を片付けて、転寝していたかと思えば、何故か病院で寝ている ﹂ ﹁⋮⋮ぇ ! ? ? 1 ? ! それくらいの衝撃が上手く動かない頭に訪れる ﹂ ﹂ ﹂ リボーンに蹴り飛ばされたくらいのダメージがあった ﹁お⋮とうと ﹁もしかして⋮⋮記憶喪失⋮ イヤ違うけど でも、そうした方がいいと、超直感が訴えてる ﹁そう⋮かも⋮﹂ なんで俺母さんの弟 ﹁そう⋮それなら、とりあえず先生呼んでくるわね どうなってんの はずじゃ ていうかそれならボンゴレの血は流れてないんだから超直感ない そもそも母さんに弟なんていなかったよね ? やった││││ まぁ、ともかく なんて誰が予想できようか まさか過去の自分じゃないポジションに記憶持ったまま収まるだ そりゃあ中学生の頃は未来いったりなんだりもしたけど 現実だと訴えかけてくる でも、長年俺の相棒・超直感はこれが骸の幻覚でも夢オチでもなく 次から次へと浮かんでくる疑問 ? !!!!! !!! について だったんだろう その続きは言わなくても分かった。恐らく、助かったのは俺だけ ﹁ひー君は⋮お父さん達と一緒に交通事故に遇ったの⋮⋮それで⋮﹂ その答えも衝撃を受けるものだったけど にいるのか その後、俺は一先ず現状確認をした。まず第一はどうして俺が病院 *** 内心で、そう狂喜乱舞してしまったのはしょうがないよね、うん 平々凡々な一般人ライフゲット これでマフィアに関わらずに済む ! 2 ? ? ! ? ? ? ︶だと言うのに、母さんは気丈にも決して泣かなかった それでも両親を失い、残された弟は記憶喪失︵イヤまぁ嘘なんだけ ど それよりも、記憶喪失の俺が不安にならないよういろんな事を話し たりしてくれて。只でさえ、上がらない頭がますますあがらなくなっ た。きっと俺は一生母さんに敵わないんだろうな、なんて実感した。 でも、だからこそ母さんを守りたいと決意したんだ *** それから、親という保護者を失った俺と母さんは親戚に引き取られ た。といっても名ばかりで、結局は二人暮らしのようなものだったけ ど それで一番精神的にキツかったのは、俺がここじゃ中学生だったこ と。母さんを楽させようと思っても、世間がそれを許してくれない バイトをしようと思っても基本的に高校生からなのだ ︵恐らく逆 行前の俺たちが屋台とか出せたのはリボーンか雲雀さんのおかげだ ろう︶ これじゃ中学生の俺は結局母さんに負担を掛けることになってし まう。コレは不味い、と決意して中学生でも出来る新聞配達をやった り、家の家事を肩代わりしていた ︵一度やりすぎて過労で倒れ、めっ ちゃ怒られたけど︶ と思った矢先に、だ そしてようやく高校生になって本格的にバイトを掛け持ち出来る 母さんに楽させてやれる ﹁はじめまして、 宙 君。俺は沢田家光と言う﹂ ひろし ﹁ひー君あのね、私この人と結婚しようと思うの♪﹂ ! てーか母さん、コイツだけはやめた方がいい 拝啓、天国のご両親。今日から兄が増えるそうです。 ⋮⋮ふざけんな !! 3 ! 内心で、盛大にそうツッコんだのは許して欲しい !!! ! 気づいたら叔父になるそうです。⋮ちょっと待て それは晩秋に差し掛かろうという頃 私、できちゃったっ﹂ ⋮⋮⋮⋮⋮ちょっと待てぇえええええ ﹁ええ、あのね ﹁⋮⋮ごめん、姉さん。もう一回言ってくれる ﹂ 予告なく訪れた母さんが、爆弾発言をかましてくれた もなくまったりしていた時だった 新婚生活に配慮し、高校近くの下宿屋で暮らしつつ、珍しくバイト !! 止めた方がいいって 初の言葉はこれだった 〟胡散臭いよこの人 〟 あの内心のツッコミの後、俺がこの世界の父さんに向かって言った わらせる可能性はぶっちゃけ止めてほしいと願うわけで しか印象に残って無いし、苦労してきた母さんをマフィアなんかと関 うなるだろうなってのは思ってた。思ってたけども、正直グータラ姿 そりゃあ、俺が生まれてる時点で遅かれ早かれ母さんと父さんはそ 婚相手として連れてこられた 半年前、高校入学して一ヶ月も経たない内に逆行前の父・家光を結 少し、回想しよう *** 脈絡前置きすっ飛ばして、我が母上様はそう申されたのだった ? !! 使ってないだけマシと思え︶ 飛 ば し た。超 直 感 フ ル に 使 っ て 不 意 を 突 き、鳩 尾 に 拳 を 決 め た。炎 た挙句、作業服という有りえない格好で式に出やがった父さんはブッ のが確か先々月だったはずだ︵因みによりによってその結婚式に遅れ それでまぁ、法的手続きを終え、母さんの夢だった結婚式を上げた 開の母さんの笑顔に絆されちゃったんだけど しかし、結局は逆行してからほとんど見たことのない幸せオーラ全 さんに軽く頭をはたかれた︶ さんはその場で笑顔を盛大に引きつらせたわけだが︵ついでに俺は母 途端、マフィアボンゴレ関係者という後ろめたさがあったからか父 ! 4 !!? ! まぁとにかく、それで新婚生活に邪魔するのも悪いと思い、高校近 くの安い下宿屋で暮らし始めて早数か月 との申し出を丁重に断り︵そういえばイーピ 母さんに大学は出ておいた方がいいのよ、と言われ、父さんにいく らでも資金援助するぞ ﹂ くたって母さんがどんな意味で言ってるのかは分かってるんだけど 流石に、流石に、これは受け入れられない。いや、超直感なんてな ﹁できちゃった⋮⋮て⋮ これが約半年で起こったことなわけだが⋮⋮ トを掛け持ちすることで日々の生活費と大学のお金を溜める日々だ ンもそれでらーめん屋でバイトしてたんだよな、と思いだした︶、バイ ! ? ﹁うふふ、ひー君ったら。あの人との赤ちゃんが出来ちゃったのよっ﹂ 幻覚でもないのに、母さんを中心にハートが乱舞している気がする ナー ﹁まだあの人には言ってないんだけどねっ﹂ よし、歯ぁ食いしばれあの野郎 ﹂ さて、思い立ったら吉日とゆーすばらしき日本の格言がある訳です 俺、この後用事があったんだった それなら話し込んじゃってごめんなさいね﹂ ! し ﹁あ、いっけない ﹁あらそうだったの ! ﹂ ? 姉さん、そこまでおっちょこちょいじゃない ! ﹁じゃ、合鍵で鍵閉めてくれればいーから。それじゃね﹂ いつぞやはスリに遭ったこともあったんだし ﹁えー、でも姉さん結構ヌケてるとこあるだろ﹂ のにっ﹂ ﹁酷いわ、ひー君ったら らく・れ・ぐ・れ・も走ったり転んだりしないよーにね ﹁折角だから姉さんはここでゆっくりしてきなよ。子供がいるんだか いで、と言いつつ出かける準備を開始 すっくと立ちあがってサラリと嘘をつくが、謝る母さんに気にしな ? 5 ! なんてやり取りをしつつ、俺は笑顔を浮かべて下宿を出た 世話好きの母さんのことだ、これでしばらくは俺の部屋を片付けた り、ご飯の作り置きをしたりするはず。好意の利用は気が引けるけ ど、今は兎にも角にもあの男に会うのが先決だ ﹁さて⋮超直感は家にいる、と教えてくれてるし﹂ 一発、ぶん殴りに行きますか ぶっちゃけ、逆恨みもいいとこだと理解してはいるが⋮ ﹂ 6 ﹁毎日会ってる癖に妊娠に気付かなかったとか⋮⋮許せん 俺は高らかに決意すると、拳を思いっきり握りしめた !! 気 づ い た ら 俺 が 生 ま れ る そ う で す。⋮ っ て 早 く な い 本格的な寒さが襲ってくる10月14日 髪ぐしゃぐしゃだ ﹂ その日の俺は珍しく本気で焦りながら、並盛中央病院へと向かって いた ﹁ああくそっ ! 日というオチ 忘れるなんて俺の馬鹿││││ ﹁は⋮着いた⋮ ﹂ なんて情けないにも程がある 先へ向かう。こんな時に限って所持金50円というドジをやらかす と内心で己を罵倒しつつ、バイト先に事情を話して全力疾走で搬送 !! 慌ててカレンダーをめくれば、かつての自分が生まれた10月14 痛へと入ったという連絡だった バイト先へ来た一本の電話。それは予定日よりも早く、母さんが陣 ! 自然、大したストレスもなく、体力切れがイコールで死につながる 漆黒のヒットマンだとかは当然今の俺の周りにはいない ちはすでに40を過ぎてるのに無茶苦茶な任務を任せてきたりする 雲の守護者だとか、なにかと憤怒の炎を周囲に撃つ暴君だとか、こっ また、顔を突き合わせたら幻術とトンファーを持って戦い合う霧と えて作られているので比較的無理はしないですむのだ でいい。その為に労働するものの、基本的に日本の労働法は人権を考 なにせ今では自分一人分だけの生活費と大学費用を貯めればそれ ぱりマフィア生活と比べると運動不足だよなぁ⋮ 逆行してから前ほどダメダメな人生は送ってないんだけど⋮やっ た そう思いながら目的地についたころには、軽く息切れを起こしてい ! わけでもない今の生活ではやはり運動面で衰えがあるというものだ 7 !? マァ別に今はそれでいいんだけど ﹂ ﹁宙 ﹂ !? そりゃあまだ20代駆け出し若造の父さんからすれば、俺の落ち着 えば俺この時代の九代目と同い年だし イヤだって、俺的には父さんといえば年上だけど、精神年齢的に言 思わず沈黙したのは仕方ないだろう ﹁⋮⋮﹂ 気分だ﹂ ﹁いやはや⋮なんだか、年下とは思えないな。まるで俺の方が年下の な俺の様子に父さんはどこか感嘆したような表情になった だからこそ、冷静に事態を受け入れていたのである。すると、そん いうのは何かの折で聞いていた 産に立ち会ったことだってある 。それに以前、母さんが安産型だと 産に立ち会うのは初めてだが、その前にはラルやその他知り合いの出 対して、俺はというとさほど慌てはしない。逆行した今では人の出 らそう心配は要らないだろ﹂ ﹁陣痛が来てるってことはもうすぐだな。姉さんは比較的安産型だか ハッキリ言って超情けない姿だ でもないのに、病院の廊下をクマのように行ったり来たりしている 供が生まれるとなると落ち着かないらしい。うろうろと何が出来る 門外顧問として、散々人を殺めたことはあるのだろうが、自分の子 放り出したかのような表情で完璧に狼狽えていた と、そこで。母さんの様子を聞いた俺に対し、父さんが常の様子を ﹁先程、分娩室に入ったところだ⋮大分痛がっていたが⋮﹂ で呼んで貰っている︶ つての父に〟君〟よばわりされることに寒気がした今では呼び捨て 言わずもがな、今や俺の義兄となった父さんである︵余談だが、か が気付いて俺に声を掛けてきた なんて横道に逸れた思考の最中に、こちらを待っていたらしい相手 どうですか ﹁あ ! き払った態度は年上に見えるかもしれない 8 ! なんとなく、理屈は分かるがイヤしかし ﹁はは⋮冗談が上手いね相変わらず。俺なんか、日々の生活費を稼ぐ だけで必死になってる唯の若造だって﹂ だからといってよりによって父さんに尊敬の目とかまかり間違っ ても見られたくない。そんなことになったら超直感がどれだけ警報 ならしても氷漬けにしてしまうこと間違いなしだ ︵まぁ、なんかもう手遅れになってる気がするけど⋮︶ 逆行後の初対面から、それまでの鬱憤込めたりなんだりでぶん殴っ たりぶっ飛ばしたり嫌味を言ったりしているうちに、何故か父さんは 俺を頼れる義弟と認識したらしい マフィアとは違う、大天然・母さんとも違う、一般人としての常識 とツッコみたくなったが、やはり極めつけは母さん を身に着けて教えてくれる指南役と言ったところか ちょっと待て の妊娠が分かった直後の奇襲のせいだろうな、とは自覚している 何があったかというと⋮⋮まぁ、つまりは、だ 軽ぅーく、カマをかけてみちゃった☆ ただ、それだけである *** ﹂ それは遡ること半年前 ﹁ぐぼふぉっ は殴り飛ばした こういう時、対人において最高の精度を誇る超直感はやはり便利 だ。たとえ相手が裏の世界の若獅子なんて呼ばれてる人間でも、俺が ﹂ 今は一般人だとしても、外すことなく急所の鳩尾を殴り飛ばせるのだ から ﹂ いきなりなんなんだ ﹁さーて⋮遺言はあるか ﹁ちょ、ちょちょ !? ? 後日、この時を振り返った父さんは生まれて初めて走馬灯を経験し !? いきなりも何も⋮一緒に暮らして毎日顔つき合わせてる癖に 9 !! 母さんの妊娠に気付けなかったダメ男を思いっきりバキィッと俺 !? たと述べている ﹁はっ ! ﹂ ⋮⋮⋮⋮て、え に⋮妊娠 姉さんの妊娠に気付かなかったダメ男をちょっと絶命させようかと 思ってるだけだが ﹂ ﹁それって暗に俺を殺すってことだよな ⋮ ? は ﹁ぐはぁっ ﹂ そして、その表情でやはり気づいてなかったんだな、と確信した俺 り間抜けな顔になった 汗を垂らして抗議していた父さんであったが、最後の方になるとかな 最初こそ、 ︵一般人レベルに抑えてるとはいえ︶殺気満々な俺に冷や !? ? ﹁ぐへぇっ ﹂ ﹂ なんて良い日だ ゴキュッと俺はもう一発殴っておいた ﹂ ああ、こう これは妊娠に気付きもしなかったことに対する俺と、姉さ んと、生まれてくる子供の分だかんな ありがとうな宙 ﹂ ! た そんなこんなで、俺は今度こそ駆け出した父さんを見送ったのだっ ﹁あ⋮ああ ﹁行けよ。姉さんは俺ん家にいるから﹂ こは一先ずおいといて まぁぶっちゃけ、自分の分は通算2個ある計算になるわけだが。そ ! ﹁いーか !! ついで 俺と奈々の子供か ﹁そ⋮か⋮そうか ! 急いで奈々の元に行って⋮ しちゃいられねえ ! 喜色満面で立ち上がり、走りだそうとする父さんを ! ! すると、漸くその顔に驚きと喜びの感情がにじみ出る ﹁子供⋮俺と⋮⋮奈々の⋮﹂ の。あんたと自分の子供が出来たってな﹂ ﹁そ う だ よ 妊 娠 だ よ。さ っ き 姉 さ ん が 嬉 々 と し て 俺 に 報 告 し て き た 説明してやる 腹部を抱えて蹲る父さんを絶対零度の視線で見下しつつ、懇切丁寧に 遠慮容赦なく、ゲシィッと父さんの腹部を蹴り飛ばした 。そして !? !? ? ! 10 ? *** そして、それから数日後の夜 ﹁よっ、お邪魔するぞ﹂ ﹁⋮⋮何しに来たんだよ﹂ 唐突に、狙ったかのように︵実際狙ったんだろうが︶、父さんが俺の ところに尋ねてきた。しかもその手には一升瓶を握って ﹁まぁ、ちょっと腹を割って話そうと思ってな♪﹂ ﹁⋮⋮あんた、相変わらず常識ないな﹂ と言われてし そりゃあ逆行前は4 俺まだ未成年だぞ、と返せば細かいこと気にすんな まう ﹁うん ﹂ ﹁家光さんって、なんの仕事してるんだ どうだ、答えられまい ﹂ ﹁⋮⋮聞こう聞こうと思ってたんだけど﹂ しばしの葛藤の後、俺は軽い嫌がらせをすることにした いたりなんだりすると母さんが悲しむ 飛ばして部屋の外に追いだしてやりたいが、それをした挙句風邪を引 か感謝の言葉なのか分かんないことを言い始めた。正直、今すぐ蹴っ 気づけば、いつの間にやらスッカリ出来上がった父さんは愚痴なの ないときも奈々の事見てくれるし⋮﹂ ﹁いやぁ∼⋮しかし、宙にはホント助かってるんだよ⋮俺が仕事でい で、結局なし崩しに酒盛りが始まってしまう訳で せてたからこれに関してはもう下がる株はないんだけど らランボが5歳だったりフゥ太が10歳だったりする頃に酒を飲ま 0代のおっさんで、お酒もそこそこイケた口だけど。ついでに言うな イヤだから俺まだ高2の17歳なんだけど ! などとほざいたらすぐさま寒い外に追いだしてやる。子供の俺や天 然な母さんは騙せても、それなりに常識のある義弟にもそれを貫こ うってんならそれ相応の覚悟しろ ﹁よく海外や出張に行ってるみたいだけど⋮ヤバい仕事なんかじゃな 11 ? もし過去に言ったように世界中で交通整理の仕事をしているんだ、 ! ? ? いだろうな ﹁⋮⋮⋮﹂ ﹂ まぁめちゃくちゃヤバい仕事なんだろうが 流石にこの若年でチュデフの門外顧問トップを務めることはなく とも、血筋と実力から見てそれなりのポストにはいるんだろうし ﹁もしアンタがそーゆー危ない仕事に関わってて、姉さんを不幸にす るなら許さないからな﹂ そう予測を巡らせつつ、ここぞとばかりに釘を刺しておく 母さんを巻き込んだ、といえるのは主に未来に行った時位なものだ けど、それでも日常的に殺し屋が4人も居候したり何かと爆発物が飛 来したり毒殺されかかったりするのはやはり幸福とは言えないだろ う ぶっちゃけ、ザンザスが他のボス候補者を殺したりなんだりしなけ れば俺にお鉢が回って母さんが巻き込まれることもなかったんだけ ど⋮まぁ、元をたどれば自分の立場を分かっているはずなのに一般人 と結婚した父さんに非がある、と思えなくもないが ︵⋮⋮けどなぁ︶ 正直、俺だって気持ちが分かるのだ。自分がマフィアのボスだって 言われたあの時から、何度も死ぬ目に遭って、巻き込んで、それでも 京子ちゃんを好きだと想い続けて諦めきれなくて 結局、こちらの世界に巻き込んでしまった。だから本当は⋮俺に父 さんを断罪する権利なんてない ﹂ ﹁⋮⋮でも﹂ ﹁⋮ ﹂ られて幸せだって笑うんだろうけど﹂ ﹁ ていたのに怒らなかったものだ 5歳の子供とは言え、かたや人間爆弾、かたや手榴弾やらバズーカ やらをとりだす子牛。料理を作れば食材器材関係なくポイズンして 12 ? ﹁それでも⋮もし巻き込まれたとしても、姉さんはきっとあんたとい ? 今にして思えば、よくまぁあれだけのトラブルメーカーが居候とし !! しまう毒サソリに、ランキングといっては家具を浮かべてしまう星の 王子様 そして極め付けに世界最高にして最強・最恐・最凶なヒットマン・ リボーン これだけのメンツだけでなく、他にもいろいろと出入していたの に、何時だって母さんは変わらなかった。ただ温かく受け入れてき た。ある意味、大空だなんて謳われた俺以上に、どこまでも暖かく慈 愛をもって接していた ﹁姉さんは天然で、底抜けのお人好しだ。たとえあんたがマフィアと 〟なーんて受け入れるんだろうし﹂ かヤクザとか⋮そーゆー危ない人間だったとしても、関係なしに〟で も家光さんは家光さんでしょ それに俺がどれだけ勉強も運動も人付き合いも駄目駄目だったと しても、一度だって目を吊り上げたことはなかった。ただ、仕方ない わねえ、なんて笑って 〟マフィア〟の単語で少しだけ動きが止まったのを敢えて見逃し て、そんなことを何とはなしに呟いてやる ﹁⋮⋮ああ、知っている。奈々が、そういう人間だってことは﹂ だから、そう小さく呟いた言葉も聞こえなかったふりをして ﹁だからさ、覚悟しとけよ。幸せの定義は姉さんが決めることだけど、 姉さんを泣かせたら問答無用で離婚届を出すからな﹂ ﹁ああ﹂ 俺はただぶっきらぼうに、父さんにそう言ったのだった ⋮⋮⋮⋮そしてこれ以降、何故か俺は父さんに頼りにできる義弟ポ ﹂ ジションを認定されることになるわけだが。解せぬ *** ﹁│││ぉぎゃああああ けたたましい泣き声が分娩室から聞こえてきた ﹁奈々ッ﹂ 途端に父さんがそこへ駈け込もうとするけど、まぁすぐに看護婦に 追いだされていた。ちょっとは落ち着けよ 13 ? なんて回想に耽っていた時だった !!! あぁーん ﹂ 少しばかり冷めた目でそれを眺めつつ、母さんの無事を確かめる父 うぎゃあああ さんはひとまずおいといて ﹁おぎゃあああ ! アのボスとしての道を ダメツナと呼ばれ、中学生になった途端リボーンと出会い、マフィ これから⋮この子は俺と同じ道を歩むんだろうか ⋮⋮この世界の、俺 未だ泣いている赤ん坊を、何とも言えない感情で見る ! たとき⋮⋮影ながらでも、君を手助けしよう 俺が大変だったとき、仲間が大変だったとき、守りたい人を見つけ ﹁君のことは⋮俺が守るよ﹂ そっと、赤ん坊である己を抱きあげて優しく声を掛ける ﹁綱吉⋮いや、ツッ君﹂ やってこれていた。それを忘れたことはない。だから 取っても俺はまだまだダメツナのままで、皆に助けられてなんとか 自分一人で全てを背負えるなんて、己惚れるつもりはない。年を うにうまく行くか分からない たちシモンファミリーの事を考えればそうなった場合、自分の時のよ でも、トゥリニセッテの仕組みとリボーンたち赤ん坊、それに炎真 の候補者にでも譲ってしまえばいい 出来うることなら、そんな道を歩ませたくない。ザンザスにでも他 ? ただ静かに、俺は決意を固めて腕の中の赤ん坊を見つめた 14 ! 気 づ い た ら 俺 は イ タ リ ア に 留 学 す る そ う で す。⋮ 行 きたくねえ ﹂ 教授がある話を持ちかけてきたのだ ﹁交換留学 ﹂ 貴方、たしか語学系の教員になりたいんでしょう 留学してみるのも悪くないんじゃない ﹁そう ? ﹁勿体ないわ ﹁え﹂ ﹂ それなら その特技は活かすべきよ ﹂ !! ! ! ﹁貴方のその完璧なネイティブ発音⋮ 交換留学だってトラブルも少なくなる それがあれば外国の大学との だから、それなら母国語である国語にしようと考えていたのに⋮だ 教師でイタリア語を教える場所は少ない イタリア語ならまだ書くのも得意なんだけど⋮悲しいかな、学校の 正直、話せるだけで英語の文法などは怪しい部分がある ﹁あのー⋮俺、国語の教員免許を取りたいんですが⋮﹂ てはいますけども 語その他諸々の諸外国語は覚えさせられましたので語学系を目指し いえ、確かに前回のボス業で英語、イタリア語、フランス語、中国 ? にでも行こうっかなー、なんて思っていた俺に、よく話をする大学の 漸く長い試験も終わり、開放的な気分で久しぶりに母さんのところ 事の起こりは去年の定期末試験の頃 *** な ん で こ う な っ た 元沢田綱吉こと宙20歳、只今イタリアに留学しに来ました に過去形なんだけどね に追われるそれなりに充実していた日々を送っていた。⋮⋮そう、既 そんな事を思いながら、日々バイトと学業と姉さんとツッ君の世話 俺は早くも日本の国籍で成人し、それでもあと数年は気楽な学生 !! ! 15 !? ? ! えぇー⋮ なんでそこまで俺なんかに留学進めてくるんだよー⋮ ﹁えーっと⋮それに俺、留学するほどのお金もないですし⋮﹂ ﹂ ﹁大丈夫、今年度から新たな助成金制度が設けられてね。留学費用も ﹂ 生活費も丸っと大学側が負担できるわ ﹁随分太っ腹ですね ﹂ 今年から始まる試験みたいなものだから後学の子 たちのために是非とも成功させなくちゃいけないのよ ﹁それが本音ですね先生﹂ ロと複雑らしい ﹂ ﹁はあ⋮。⋮⋮⋮本当に、生活費留学費まるっとタダなんですね ﹁ええ。悪い話じゃないでしょう 確かに、悪い話じゃない ﹂ ? が選ばれちゃったわけね。やはりどこでもお金が絡む問題はイロイ 今後も国にお金を出させるためにも、安全パイとして発音完璧な俺 成る程、つまりは大学ぐるみの運用実験みたいなものか ! ﹁とにかくお願い お金なんてないと思ったんだけど⋮ おかしい、自分が通っているのは平々凡々な国公立のはず。余分な !! めた そう言ってくれて助かるわ ! ﹁分かりました。お受けしますよ﹂ ﹁本当 ﹂ ならぶっちゃけ今の生活よりラクになるかもしれない⋮⋮⋮よし決 それでも異国とはいえ、生活費も留学費用も全部援助してもらえる 怖い︶ 父さんが育児に参加しないと、ツッ君の父親が認識が俺になりそうで ども、これは父さんに任せても大丈夫なはずだ ︵というかそろそろ 母さんやツッ君たちを日本に置いていくという不安要素はあるけ ? そして後に、留学先がイタリアだと知り顔面が盛大に引きつったの は言うまでもない 16 !? ! 俺はその場で先生の提案を承諾した ? 上手い話には裏がある。いい事尽くしだなんてそんなの有り得な 元マフィアボンゴレ十代目・沢田綱吉だったひー君だよ いって身に沁みてたはずなのに *** Ciao 只今、前回 の人生を半分以上過ごした懐かしの地・イタリアにて暮らしてます ! あっれぇ なんでこうなった ﹂ よりにもよって何でここ 留学って言うならアメリカとかの方がメジャ│じゃん ﹂ 思わず長い長ーい溜息が口から零れてしまう 外国に いい加減分 ぼうに上手い母さんほどじゃないけど⋮それでも男の一人暮らしに 余談だが、今の俺はそこそこに料理ができる。主婦業を極め、べら に頻度は3日に一回程度︶を止めて、朝ご飯の支度を再開する なんて、この2週間余りで日課になってしまった朝の雄叫び︵因み ﹁⋮あ、パン焼けた﹂ チーンッ ⋮ああ、よりにもよってこの体たらく。ああ体たらく フィアであった俺であればもっと身に沁みてわかってたはずなのに 上手い話には気を付けろ。一般人ですら知ってるこの標語を、マ で殺されかけるな⋮⋮ これ⋮絶対リボーンが知ったらねっちょりお仕置きどころか本気 !! も暮らさないけないんじゃ││││ かってますよそんな事 よ く 確 認 せ ず に 承 諾 し た 俺 が 悪 い ん で す よ ね え え ﹁うんそうだね俺のミスのせいですね ! !!! 何が嬉しくてこんなマフィアのメッカともいえるイタリアで一年 !! !? ﹁⋮⋮⋮っっなんでだ││││││ !? !!!??? 今回は大学生で、留学中なんだけど⋮まぁ大人の事情って奴でね☆ ! の弟として人生をやり直してた俺なんだけど⋮⋮なんと 何の因果か、数十年前の世界に逆行してかれこれ6年近く。母さん ! !? ﹁はぁあああああ∼∼∼∼﹂ !! 17 ! してはまだいい方だろう 日本にいた頃は自家食や賄いの出るバイトを優先して選んでいた ︵若しくは母さんとこにお邪魔させてもらってた︶が、ここでは生活費 を稼ぐことはしなくていい。自然と、時間に余裕が出来た俺は勉学の 傍らどうせだからと料理を始めたのだ︵まぁ、最初こそダメツナの名 に恥じぬ駄目っぷりを披露したが。生卵を電子レンジに入れると爆 発する、というミスをしてめっちゃ怒られた︶ ともかく、そんなこんなで朝食を作り終えた俺は比較的ゆっくりと 食べる 今日の授業は昼からなので午前は丸々開いている。空いた時間は またこの辺の散策でもしようか、なんて考えながら まぁ、そんな感じで俺は︵時々情緒不安定になりながらも︶結構イ タリア生活に順応していた *** プライドを考えて泣けばいいのか。非常に迷う選択肢である。いく 18 さて。唐突だけど一つ思い出話をしようか 前回の俺は、自他共に認める童顔だった。そりゃあもう、母さん譲 りの見事な童顔って奴だ で、おかげで学生でいる間は同年代の女子には可愛い小動物的な目 で愛でられ︵特に京子ちゃんからが。ハルは嬉しいことに〟俺はカッ コイイ〟というフィルターを張り付けていた︶、成人を超えても学生 に見られることなんてしょっちゅうあった しかし、俺にとっての不運はこれで終わらない。なんと、30、4 0を超えてようやく20代という印象しか受け取ってもらえないの だ 年を取るごとに差し引かれる年齢が倍になるってどゆこと 30過ぎてそんな年齢に見られるなんて⋮ なため、お忍び中は絶対に観光目的の学生に見られたんだ ることは出来たが、基本的に俺は気を張りっぱなしという状態が苦手 ボスとして威厳を出していれば、それでも敵対ファミリーを跪かせ ? 敵対ファミリーに気付かれないことを喜べばいいのか、男としての ! らアジア系が若く見られるといっても、これは如何なものか。 実はこれが沢田綱吉でいた時、プライベートで一番悩んでいた問題 だったわけだが⋮ さて、ここで問題である 昔、俺︵沢田綱吉︶は母さん譲りの童顔でハタチを超えてもかーなー り若く見られた そして今、逆行して母さんの弟となった俺︵ひー君︶も、やはり兄 弟だからかその童顔をしっかり受け継いでいる訳で⋮⋮ ﹂ 如何にもなカモが歩いてるように見えて、そりゃあ ﹁さっさと有り金出せよ小僧 ? ら│││﹁しゃ、喋りません ﹂⋮良い子だ﹂ ﹁⋮⋮そこのお前ら、命が惜しかったらさっさと行け。ただし喋った ⋮明らかにマフィア関係者だ らは項がチリチリするような殺気がビシバシ発せられていた いたチンピラが怯えながら俺の背後を見ている。そしてその背後か チャキ、と冷たいものが後頭部に当てられ、さっきまで俺を脅して が、しかし。そんな事を考えていられた余裕はそこまでだった ﹁おい﹂ まぁ、これがマフィア関係者でないだけ、適当に蹴散らせば⋮⋮ わざるを得ない 堂々、観光者︵勘違い︶を恐喝してるんだからやはり治安が悪いと言 だ っ て 確 か こ こ っ て ボ ン ゴ レ の シ マ で し ょ それがこんな白昼 尤も、当の本人である俺はこんな事をのほほんと考えている訳だが ︵治安、悪いなー⋮︶ 思ってるのだろう あれば言葉が分からないからとにかく大声&早口で喚けば怯えると まではいかないが地元の人間じゃ無いのは一目瞭然。あと、外国人で い線の細い若い優男にしか見えないだろう。しかも物珍しそう⋮と ︵あんまり嬉しくないが︶対外的にみれば、女といっても通用するくら 絡まれるよね││││ だよね│││ !!! ! 19 !!! !! ぶるりと、寒気がする嗤い方 ⋮⋮コイツ、絶対見逃す気ないだろ。視界から消えた途端、仲間に でも殺らせる気じゃん 今ここでやらなかったのは、標的である俺に何か用があったから か。一般人︵と思いこんでる︶である俺がいきなり死体を見れば、最 ︶ 悪会話ができなくなるとでも思ってるんだろう ︵ていうか何で俺命狙われてんの ︶相手の妻の弟だも 初代の血を継いで尚且つ門外顧問の ⋮⋮⋮っっっアイツのせいか│││││││ 考 え て み れ ば そ う だ よ ね トップに収まるであろう︵若しくは収まってる マフィア式に見ればバッチリ関係者、抹殺対象だもんね ! ﹁⋮⋮若獅子⋮﹂ というのに何で狙われなくちゃいけないのか 今回はマフィアとの関係を自分から作ったことは一度もない。だ !? ていうかオイ どうした門外顧問 なに普 めっちゃ セキュリティザルすぎだろ どうしたボンゴレ 情報漏れしちゃってんじゃん ! 保ったな世界最大の名 よくこれで俺がボンゴレ継ぐまで !? 心で決意を固めつつコイツどうしよー、と思う とりあえず今度会ったら問答無用でぶっ飛ばそうそうしよう、と内 ﹁Arrivederch﹂ !!! リーに流出させちゃってんのぉ 通にマフィアの弱点ともいえるプライベートな極秘情報、敵対ファミ !! ! ﹁お前に罪はないが⋮あの男の親戚になったことを恨むんだな﹂ けで脅してくる輩のなんと可愛いことか 何より、リボーンや雲や霧の守護者との戦いに比べれば、こんな銃だ だがこちとらマフィアのボスを務め、幾度も死戦をくぐった身だ。 い男が、そんな笑いを零す ぶるぶると怒りで震える俺を恐怖に怯えていると受け取った勘違 ﹁⋮ふ、自分がなぜ殺されるのか分からないと言ったところか﹂ 構ってられない 思わず内心の叫び口調がかつての弟分である雷の守護者になるが んね !!!!! ? ! !! ! 20 ! あ、でもお兄さんや山本︵雲雀さんは含 リングや匣無くても倒せると思うが、日本でぬくぬく過ごしてきた 一般人が倒してOKな感じ ﹂ て│││ ﹁⋮⋮ーン⋮⋮ ﹂ ついで、俺の前に逆光を浴びながら銃を持った小さな影が下りてき ﹁そこまでだ﹂ ズガンッと鋭い銃声と共に、男が右手を押さえて俺から離れる ﹁ぐあっ 気に考えていた時だった なんてつらつらつらつら今にも引き金を引かれそうなのにそう呑 OKかな まれない。あの人は更に普通じゃない︶普通に渡り合ってたな。じゃ ? が違う、と告げてくる !! てことも ! ! なにそう礼を述べる ていうかそっかー 坊のままだよな まだ虹の呪い解けてないだよなそりゃあ赤ん 面。だから俺は突然の出来事に呆けているかのようにワザと言葉少 俺的には知り合いでも、相手からしてみればこうして会うのは初対 ﹁えー⋮と、Grazie﹂ それはともかく。 た かなり酷い酷評だと、分かってはいたが否定要素は見当たらなかっ ⋮⋮ああ、成る程。父さん、一応物考えてたんだな に一つの思いが広がる 意外性のない捨て台詞を吐きながら男が去ってゆくのを見て、内心 ﹁くっ⋮覚えてろ ﹂ て、彼女が門外顧問の命を受けて、俺を護衛していたんだろうな⋮っ 男 ら し い 口 調 な が ら も、彼 女 が 女 性 で あ る こ と は 分 か る 。そ し ﹁これ以上こいつに手を出すというなら、容赦しないぜコラ ﹂ 咄嗟に、口をついて出たカテキョーの名前。しかしすぐさま超直感 !? ! 21 ? !? ﹁⋮ああ、気にするな﹂ 厳密には彼女はアルコバレーノとは言えないが、一般人︵と思わせ てる︶の俺には奇妙な赤ん坊が銃を持った相手を倒したようにしか見 えない。だから、敢えて困惑の表情を浮かべているのだ ⋮⋮ああ、ボス業で鍛えた演技力がこんな所でも役に立つとは。リ 〟と叫ぼうかどう ボーンには散々実力が足りねえだなんだと言われていたが、一先ずは 誤魔化せそうである ︵因みに初めてリボーンを見たように〟赤ん坊│ かとも悩んだが、流石にそれはやった後自身の恥になるので止めてお いた︶ ﹁えっと⋮君は凄く強いんだね﹂ そんなことを考えつつ、いつまで経っても立ち去る気配のない彼女 ⋮⋮ラルにそう話題を出す そうなのだ。父さんに言われて、マフィア関係者が俺を襲ってきた 護衛任務ってこんなもんだっけ 触する気だったってことか 般人である 思わず、前回で部下に下し しかし⋮何故 くどいようだが俺は一 ? からこそ接触する理由が分からない。護衛するだけならそれこそ今 までのように俺にばれないようにすれば⋮ ︵⋮⋮ま、いっか︶ と、そこまで考えて俺は思考を放棄した 元々ダメツナと呼ばれるだけあって頭脳プレイは得意じゃないし、 十代目になってからは益々獄寺君に頼るようになっていた。更に言 えば、超直感という根拠も理屈もすっ飛ばすというチート能力が冴え て以来、その傾向は強い 22 !? 時に護衛の任務を果たしてくれたラルなのだが、一向に立ち去らない あれ ? いくらチュデフが対外的には表の会社という顔を持っていても、だ ? あ、返事返ってきた。ということは最初から護衛対象である俺と接 ﹁⋮⋮まぁな﹂ たその内容を反復してしまう ? だからだろう ﹁じゃあさ、お礼がしたいから俺の家に来ない と本気で聞いた てそう思ったのだ ﹂ し始めて2週間経過した時、その不穏な情報をオレガノから連絡され であっても、全ての敵を排除できるわけじゃ無い。だから、彼が暮ら リアで暮らすことになってしまった。いくらここがボンゴレのシマ 現に彼の義弟は留学という理由で、マフィアの本拠地でもあるイタ 守ると誓っても、それが全て叶えられるほど世の中は甘くない。 リアに一年間滞在すると聞いたとき、やはりか、という感情を持った。 そして今回の⋮彼の義弟である宙という青年が大学の留学でイタ なってしまうのかが自分には不安だった だからこそ、もしその誓いが叶えられなくなった時⋮家光がどう も知っている 妻と、その弟。家光が本気で彼らを守ろうとしているのも、その覚悟 今でもそう強く思えるほどに、あまりに暖かく太陽のような家光の だ。一般人として暮らしているから大丈夫、だなんて楽観視だ。 イタリアから遠く離れた極東の日本であれば大丈夫、だなんて戯言 彼女に、マフィアの業は似合わない も強く思ったものだ が生まれる前、沢田奈々の護衛を陰ながらして、実際に見聞きした時 だというのにどうしてそんな決断をしたのか、と。それは家光の子供 マ フ ィ ア と し て の 闇 の 深 さ を 見 た こ と の な い 幼 子 で も あ る ま い。 気か が流れているにも拘らず一般人の妻を迎える。それを聞いたとき、正 何を考えてかは理解できんが、マフィアでも業の深いボンゴレの血 最初にその仕事を家光から下された時、正直やはりか、と思った ラルSide *** たのだった 俺は思いきりのよさと考えなしの超突猛進さが、磨きがかかってい ? そして予想は的中。最初はチンピラに絡まれていたが、彼は敵対マ 23 ? フィアに拘束されてしまった。勿論、護衛としての任務は果たしたが ⋮ ﹁えー⋮と、Grazie﹂ ⋮⋮随分、落ち着いているな たが、次の言葉には流石に声を失った ﹁じゃあさ、お礼がしたいから俺の家に来ない ⋮⋮なんでそうなる ? ﹁紅茶でいい ﹂ だからか、俺はごく普通に態度でいた に荒唐無稽な話、そうそう信じられるものじゃない どうせ相手はよく知った相手だ。正体がバレるにしたってあまり 一緒に出しちゃおっかな 何だかんだでもう早めのお昼時だし、スコーンとかサンドイッチも えずお茶の用意をしていた あれから、やや強引にラルを借りている寮に連れてきた俺はとりあ *** ﹂ そう微かに違和感を感じつつ、二言三言会話を交わしていた俺だっ ﹁⋮ああ、気にするな﹂ 失っても仕方がないと踏んでいたが⋮ 平和ボケしている日本育ちの青年なら、銃を向けられた時点で気を ? ればラルはまだ赤ん坊。そう考えて2人分の紅茶をポットに注いで 護衛対象︵である俺︶に最初か いれば、それでいい、と短く返ってきた ﹁よかった。はい、どうぞ﹂ ﹁⋮ああ﹂ あー、これもしかして戸惑ってる ﹁あと、よかったら昼食も食べていってよ。お手軽であんまりお礼に 言葉が続く だとしたら失敗したよなぁ⋮なんて軽く考えつつ、でも、と否定の ら接触するつもりだったのかと思ったけど、実は違ったかもしれない ? 24 ? リボーンみたいにエスプレッソも飲めるんだろうけど、常識的にみ ? ならないかもしれないけど﹂ ﹁いや⋮そんな事はない﹂ 今回の件でハッキリしたことは、ボンゴレが実は結構頼りにならな いってこと。2週間足らずで情報が漏れて、暗殺者が送り込まれてく るならこれからの1年間はだいぶきつくなる ﹁それはよかった﹂ そりゃ、一般人と思ってやってくるんだからブッ飛ばすのには異論 はない。実際、リングなしでも炎は灯せるわ︵火傷はしたけど︶初代 零地点突破︵凍傷になりかけたけど︶は出来るわで負けるとしたら 精々油断してくらいだし。 ボンゴレ血統持ってないのにつくづくどうなってんだか ﹁さっきは本当にありがとうね。おかげで命拾いしたよ﹂ ﹁⋮⋮ここいらは治安が悪い。あまり一人で歩かない方がいいぞ﹂ ただ、それをマフィア│││特にボンゴレ関係者に知られるのは である ﹁あっ、そうだ﹂ という訳で 俺、留学するためにイタリアに来たばかりだから全 ﹂ ? 25 非っ常にマズイ。知られた時点で俺の平凡な一般人ライフは終了だ ﹁うわ、そうなの ﹂ ? だからまぁ。ここでいっそ発想の転換をすればいいかなと思うの ﹁⋮⋮﹂ ﹁参ったなぁ⋮俺、やってけるかな ⋮⋮敵を返り討ち、ていうのはどう考えても無理ゲーだ 落ちてるのが問題だ。このままだとラルに知られないよう配慮して けで。あと、一般人レベルにしても体術とかはどうもやはりレベルが だからこそ、それだけは絶対にばれないようにしないといけないわ 然知らなかったや﹂ ? ﹁もしよかったらさ、君の時間が空いたときでいいから俺に強くなる ﹂ 特訓してくれない ﹁⋮⋮は ? あ、酷いラル。そこまで心から怪訝そうな顔しなくても ﹂ ﹁だって君、さっきも銃を持った相手に余裕で勝ってたでしょ ら俺にもそれ、教えてくれない だか ? いだろ ﹂ ﹁だから⋮⋮駄目かな ﹂ だったら、その時のために今から鍛えておくのも悪いことじゃない 庭を放り出した際、母さんとツッ君︵俺︶を守れるのは俺だけになる。 ここまでボンゴレが頼りにならないと分かった時点で、父さんが家 んだよね﹂ し⋮せめて自衛手段くらいは持っていても間違いじゃないと思った ﹁それに、イタリアじゃなくても絡まれるっていうのはありえそうだ 時点でこうなるのは予測しておくべきだったとは思うけど いやまぁボンゴレ関係者の父さんと母さんの結婚止めれなかった ⋮﹂ ﹁う ー ん ⋮ で も 別 に 俺 が 何 か し て 狙 わ れ る っ て わ け じ ゃ 無 い し な ぁ ど⋮ あ、そう来たか。確かに平穏を望む一般市民ならそう思うだろうけ ﹁⋮⋮留学を取り止めようとは思わないのか ﹂ ﹁これからどうせ、俺絡まれるんだろうし⋮強くなっておいて損はな なり信憑性がある。うん、考えてみればかなりの名案に思えてきた あのラル・ミルチに鍛えてもらったことがある、という言い訳はか ⋮︶ ︵⋮特に将来絶対やってくるリボーンとかリボーンとかリボーンとか なり動きやすくなる いい。ついでに俺の鈍ってる体術やらを鍛え直してもらえば今後か いっそのこと、ラルには最初から俺の目が届く範囲にいてもらえば ? ﹂ ︵この方が護衛もしやすいしな⋮それにしても久しぶりに骨のある奴 俺の望む返答をくれたのだった ﹁うんっ、それは勿論 ﹁⋮⋮弱音を吐いたらその場で止めるぞ﹂ そう思いつつ尋ねると、ラルは暫しの沈黙の後 ? ! 26 ? ? 第一関門突破 ! 27 を見つけたぜ。鍛え甲斐がありそうだな︶ よっし ! 気 づ い た ら 憤 怒 の 暴 君 に 殺 さ れ か け ま し た。⋮ 危 ね え イタリアに留学して早半年 それでもラルが護衛してくれているおかげか、一般人として違和感 のないレベルで自力で逃げられるようになったおかげか、マフィア関 係のトラブルはこれと言ったものがほとんどなく、平穏に過ごせた半 年だった イタリアにいるのももう折り返し地点だし、このままなんとかなる ﹂ かなー、なんて考えて。ぶっちゃけ油断してたんだなと思う ﹁⋮⋮あぁ るわー⋮な、強敵中の強敵がいらっしゃった まだコイツ10代だよね何この強面 ﹁何見てやがる、カスが﹂ てーか目つき悪っっ ﹂ あと そして当然のように憤怒の炎 こちとら平々凡々な一般人だっ ギロッて睨むな顔が引きつる怖いわ をスタンバイしてるんじゃねえよ !! ﹂ 突っ込みたいことは沢山あるが、兎に角今やるべきは⋮ つの !! !! ﹁⋮⋮そのチンピラ、やりすぎじゃないのか ﹁⋮あぁ !! の座を奪ってやると公言されるわ機嫌が悪いと憤怒の炎大奮発しす そして目の前では、かつて死闘を演じるわ隙があればいつでもボス ? ? だったら、見過ごす訳にはいかない。いくらマフィアに関わりたく が、あのチンピラはそこまでじゃない ンピラは死ぬ。救うことのできない悪党というのは確かに存在する 遭遇する自分の運の悪さには涙しか出ないが、これ以上やればあのチ 偶々、運悪く自分のご褒美用にお酒を買った帰り道でこんな場面に あった に返り討ちに在ったチンピラはそろそろ顔の原型がなくなりそうで きっと不幸にも絡んだ相手が誰か知らなかったんだろう 。見事 ? 28 !! !! なくても、人を見殺しにはできないんだ そう思いつつ、こちらに意識を向けさせながらも微妙に距離はとっ ザ ておく。憤怒の炎という飛技の反則スキルは超直感で避けるとして、 憎らしいほどのあの体格で殴られたらちとキツイ ﹂ 今日は用事あるって言ってたけどヘルプ│ ﹁テメェ⋮俺に指図する気か ていうかラルー ンザス相手じゃ今日護衛してくれてるッポイ人じゃ即死ー るよ﹂ って、ちょぉ ﹂ 何いきなりコォオの威力強めてんのぉ カッ消す ﹁沸点低ぅうううう ﹁カスが ﹂ ともその沸点の低さは生まれつき ﹂ るだけあるね☆ ﹁ぎゃああああ ワア !? それ さっすが憤怒の名を冠す !!? !!? ﹁いい度胸だ⋮この俺に指図しようなんざテメェを先ずカッ消してや に貧乏神辺りに呪われてるんじゃないか俺 こんなとこにも運の悪さは健在である。ボンゴレリングの代わり ﹁⋮指図って言うか⋮それ以上やったらその人たち死んじゃうだろ﹂ ! ? ! で偶然を装ってその攻撃を避ける ズルッ ﹁うぎゃっ﹂ ﹁チッ⋮殺れなかったか﹂ 九代目 なんでこんな危険人物一人 マ ジ で 殺 す 気 だ っ た ん か い やだもうコイツ危険すぎる ﹂ もっと護衛というかストッパーつけとけよぉ ! どんだけ指図されんの嫌いなんだよ で放し飼いしてんの おおお ﹁気ぃ短すぎだろ !! ! !? !? ﹁ハッ⋮俺は全ての頂点に立つ男だぞ。当然だろう﹂ ! なんてふざけてる場合でなく。必死に超直感を働かせつつ、あくま !! 29 ! ! !! !!! !? お前実は既に実の息子じゃないって知ってるんじゃないの ! !!! ﹁これが噂の帝王学か ﹂ この頃から暴君気質あんのかよ スクアーロ⋮これの怒りに惚れ た っ て 言 っ て た け ど ⋮ よ く 今 ま で D V で 死 な な か っ た な ⋮ 真 実 知ってからは更に横暴になるんだし⋮うわぁ⋮前回の俺、そんな暴君 相手にホントよく生き残れたな⋮ 思わずかつての死合を思い出して遠い目になってしまうが、すぐさ まそんなことをしていられる相手じゃないのを思いだして頭を振る 今の最重要課題はどうやってこいつから逃れてあのチンピラを助 ﹂ けるかだ。勿論炎も使えないし、玄人すぎる動きもNG。あくまで偶 ﹂ 然を装いつつ一般人として対応しなければならない ﹁チッ⋮ちょこまかと避けやがって⋮ ﹁当たったらヤバい予感しかないんだから全力で避けるよそりゃ ﹂ 相手一般人でも !! ⋮⋮⋮⋮何この無理ゲー ザンザス相手に炎なしって !! ! 争いは何も生まないヨ ! 容赦なしで繰り出して来てんですけどぉ ﹁てーかちょっとは落ち着こうって !!? 条件が厳しすぎる !!?? 言ってしまう俺 ﹂ ﹂ ﹁カスが⋮本気で死にたいらしいな ﹁最初から殺す気全開だったよな ! いっそ一回復讐者に捕まって一通 つか今更だけど一般人相手なのに全力出すなよなマジで アとしての教育どうなってんだ り習って来い マフィ 焦りのあまり絶対に相手を止められない⋮寧ろ怒りを増す台詞を !? !! !? !? な仕組みになってんの レーザー光線でも入ってる義手か何かか ﹂ !? と疑われるのはマジ勘弁 そんでいい加減憤怒の炎に突っ込んでおかないとな。当然のよう に憤怒の炎受け入れてマフィア関係 ﹁カス相手に教える筋合いはねえな ﹂ ! !? 30 ! !! !! !? ﹁あとさっきから凄い不思議だったんだけどお前のその手は一体どん !! ﹁だよね ないよね そんな親切な人だったらまず声を掛けただけで殺そうとし ﹂ 寧ろお前がそんな善人だったらひたすら恐ろしいわ。骸の六道輪 ﹂ 廻を余裕で超える悪夢だよ絶対 だが断る│ ﹁カスが⋮いい加減カッ消えろ ﹁何という理不尽 ﹂ !! !!! 硝煙の匂い Q、さて問題です。ここはどこでしょう ﹁先程まで私の息子が失礼したね、宙君﹂ ﹁⋮⋮っあ、いえ﹂ なんで俺ボンゴレ本部にいるの め っ ち ゃ 帰 り た い なんで まさかのこの チェデフの人が呼ん 今までどんだけここに 来るフラグを回避しまくってたと思ってんの だ応援でようやく助けが来たと思ったらまさかの ルートかよ ! !? !? A、嬉し懐かしかつての本拠地・ボンゴレ城 ? 絢爛豪華な調度品、周りにはぐるりと黒スーツの男、微かに香るは *** 呼んだ応援によって助けられるまで軽く3時間は続いたのだった 俺とザンザスの死ぬ気の鬼ごっこは、その後チェデフの護衛の人が ! んですけどぉおおおおお ﹁チッ⋮なんで俺がこんなカスに⋮﹂ 下手なこと言えないじゃん ﹁ザンザス、客人に失礼なことを言うものじゃない﹂ やだよこの人も超直感有るんだよ ﹁あ、いえ。こちらこそ大人げな⋮く⋮⋮﹂ ﹁すまないね。まだ12歳で生意気盛りなもので⋮﹂ !? ﹂ ある単語に思わず目を点とした なんて内心で悶えながらも、平静を装っていた俺は九代目の放った ! !!? しかも一番会いたくないボンゴレのトップ・九代目が目の前にいる !? ガキ扱いすんじゃねえよ﹂ ? 31 !! ! !? ﹁⋮⋮⋮⋮⋮12歳 ﹁あ ? この尊大さと体格で12歳 ﹂ 見えねえええ !? ﹂ !!! いやいやいや ﹁うっそだろ ﹁カッ消すぞテメェ !? ス ⋮⋮うん、めっちゃ助かった よかった る前で身体能力披露する羽目にならなくて 九代目とその守護者がい って目ぇ だって九代目、こんなん いい人材見つけた ⋮⋮多少、手遅れかもしれんが でもリボーンの知り合いなんだもの つけられたくねえ ! ﹁ハン⋮こいつが礼を欠くのが悪い﹂ ﹁﹂ お 前 に は 負 け る よ な態度じゃん いつだって俺様を崇 気に入らなきゃすぐさま物投げる乱 それこそお前年上に敬意払ってね│じゃん めたてやがれ 暴者じゃんんんんん ! 俺だって12歳に見えなくて叫んだのは悪いと思っ ! ! それどころか殺す気だったよな ふざけんなこのクソガキ でもお前だって年上︵俺︶に大して最初から礼を欠いて そりゃあね !!! ! ! ﹁重ね重ねすまないねぇ⋮。ほらザンザス、君も謝りなさい﹂ ! ! それから九代目の制止で事なきを得て再び座りなおす俺とザンザ *** でもない 怒の炎をスタンバイして鬼ごっこ二回目に突入しかけたのは言うま そして落とされた爆弾に俺の叫び声が響き、ザンザスがすぐさま憤 !!! !! けたお愛想笑いをここぞとばかりに張り付けた ﹁⋮そうだね、子供相手に大人げなくて悪かったよ。子供相手に﹂ ﹂ ナンカ口が勝手ニ動イタヨ テメェ⋮精々俺の4つか5つ上だろう ? ﹁⋮あぁ ⋮⋮⋮⋮アッレ ﹁⋮誰が子供で誰が大人だと が﹂ ? ? ? 32 ! ! !!? てるけども たよな !? そんな内心の百万語をなんとか押しとどめて、俺はボス業で身に着 !! ﹁⋮⋮へぇ ﹂ ⋮⋮あ、やばい。もう止まらんなコレ ﹁⋮さっき自分の年齢間違われた時は怒った癖に、相手の年齢も見抜 ﹂ けないんだ⋮ 下に見られてるってことなんだよね ⋮⋮ちょっと待て 俺はこれでも20 ﹂ 今年で21だよ馬鹿やろう ﹂ もっと年上 ! ﹁テメェどう見たって16か多く見積もって17だろうが ﹁ふざけんな 敬えってのこの野郎 ﹂ 大体年齢詐欺だっていうならお前だって12歳に見 ﹂ 察せ ﹂ それ位考えろテ この童顔は東洋系だからだよ !! ﹁ガ キ だ っ て 舐 め ら れ な い 為 に 決 ま っ て ん だ ろ う メェ ﹁だったらお前こそ考えろ ! ﹁嘘じゃねーし !! 由でザンザスの怒りを買い、今まさに攻撃されていると スの住民への乱暴を止めようと声を掛けたという。そしてそれが理 しく話を聞けば、なんと家光の3年ほど前に迎えた妻の弟が、ザンザ 別口から、ザンザスと止めてほしいと懇願の言葉が来たのは 。詳 時だった えたのかと思うと悲しくなりながらも回収を急がせようとしていた それはザンザスが街で暴れていると知り、守るべき住民に危害を加 九代目Side *** いが約一時間は続くことになった 故かストップが入ることはなく。この果てしなく低レベルな言い合 ぎゃあぎゃあ喚く俺とザンザスはさぞかし喧しかっただろうに、何 ! ! えないだろうが ﹂ そして精神年齢だけで言えば九代目と同じ60だよ ! ﹁嘘つくにしてももっとマシな嘘を付け !!! ! ! !! !! イヤだってさ、ザンザスの言葉通りなら俺の年齢4つか3つくらい ﹂ ﹁⋮なんだと ? !! ! それを聞いた周囲の反応⋮⋮特にザンザスの制止役としてよく動 33 ? ? !! いていた私の守護者などは一気に緊張をしていた あの子は幼いながらも死ぬ気の炎を扱える。それも、憤怒の炎と呼 ばれるレアな炎を。それを制止できるのは同じ炎を扱える者しかい ない。だとしたら今頃その青年は⋮⋮考えるまでもない また、ただの一般人ならここまで緊張はしなかっただろうが、前も 述べたようにその青年はいわば家光の身内。もしこれでその青年が 死に、⋮⋮最悪、家光が敵に回るようなことになればボンゴレは危機 に陥るだろう 争いは何も生まないヨ ﹂ だからこそ、それを懸念した守護者が急いでその現場へ行ったのだ が⋮ ﹁てーかちょっとは落ち着こうって !? 確に示す、そんな叫び声だった ﹂ ﹁カスが⋮本気で死にたいらしいな な仕組みになってんの レーザー光線でも入ってる義手か何かか ﹂ ﹁あとさっきから凄い不思議だったんだけどお前のその手は一体どん とだ バレーノであるラル・ミルチに鍛えられたのだとしても、驚くべきこ 一人でザンザスの攻撃を躱しきっていたらしい。半年前からアルコ どうやら、チェデフの者が我々を呼んでくるまでの間、その青年は ﹁最初から殺す気全開だったよな ﹂ 聞こえてきたのは予想外の⋮⋮青年が生きていることを何より明 ! ! !? 般人で間違いはないのだが⋮ ﹂ ひろし ﹂ そんな親切な人だったらまず声を掛けただけで殺そうとし ﹁カス相手に教える筋合いはねえな ﹁だよね ないよね ! ﹂ ⋮⋮それにしてもあの青年⋮宙 君⋮と言ったかな だが断る│ ﹁カスが⋮いい加減カッ消えろ ﹁何という理不尽 ﹂ !! !!! 34 !? 憤怒の炎をレーザーと言っている辺り、やはりマフィアではなく一 !? あの青年は随分肝が据わっているようだ。12歳といえど、子供と ! ? !! ! 思えないあの子の怒気にも臆せず、平然と言い返しているのだから ﹁⋮ガナッシュ﹂ それを見て、超直感が告げる。あの青年は、我々にとって大事な人 物になると ならば ﹁あの青年を、お詫びも兼ねて本部に招いてほしい﹂ なんとしても、家光の義弟というだけではない強力な縁を結ばなく ては *** それはザンザスとの言い合いを終え、お互い美味しい紅茶で喉を潤 している時だった ﹁ふふ⋮君たちは随分仲がいいんだね﹂ ﹂ ﹂ 九代目が突然、爆弾発言をかましたのは ﹁⋮⋮⋮はっ ﹁⋮⋮既に耄碌したか、爺 思わず持っていた紅茶を落としそうになる俺。思いっきり怪訝そ うに九代目を睨みつけるザンザス。反応はだいぶ違うが、俺も一瞬そ う考えてしまった ﹁ふぉっほっほ⋮酷いのぅ、ザンザスよ。私はただ見たままに言って るだけじゃよ﹂ ﹁今すぐ眼鏡をもってこい爺﹂ あ、前言撤回。全力でザンザスの意見に賛成したい どう贔屓目に見たってお互い嫌 てっきりいい友人になれたのかと思ったわい﹂ ﹁じゃが、ザンザスが一日でここまで感情を露わにしておるのも珍し いことじゃろう ﹂ ﹁いやいや待ってくださいお爺さん い合う間柄でしかないですよ 際、俺も友人だなんて認めたくないんですが⋮﹂ ﹁前 半 は 思 い っ き り 抗 議 す る。あ と で 覚 え て ろ こ の 野 郎。⋮ で も 実 ﹁誰がこんな若作りと⋮⋮俺はコイツが友人だなんて認めねえ﹂ 思ってるならちょっと今すぐ病院に行った方がいいと思う 何 を ど う 見 て そ の 関 係 に な っ た と 思 っ た の か。も し 本 気 で そ う !? ? ? 35 ? !? それなんて冗談 お互い殺し合ったんです ?? 私はいい友人関係になれると思うがのぅ⋮﹂ しかも初対面時どっちも一方的に殺されかかったんですけど 俺とザンザスが友人 けど ? 父 親 だ っ た ら ⋮ 確 か に ち ょ っ と ク ー デ タ ー 起 こ し た く な る か も ⋮。 俺とザンザスは図らずも同時に諦めたようにそう呟いた。これが ﹁⋮これが世に言う狸⋮﹂ ﹁⋮人の話を聞きやがれ﹂ ラガラと崩れて⋮ なんていうか⋮前の初対面と違うからか⋮九代目のイメージがガ ⋮⋮うっわー ﹁そうかのう ? 前だったら絶対に思わなかったことを、俺はそっと内心で思うのだっ た 36 ? ! 気 づ い た ら 虹 の 大 空 に 道 案 内 し て も ら っ て ま し た。 ⋮えっ ︶を必死に断り︵一般人じゃ無かったら無理だったな、うん。マ フィアだったらそれこそ問答無用だった︶ 庶民の生活に戻ってこ と お家訪問☆が待ってたり︵本気 豪華なボンゴレ城を後にして漸く、漸っく れたかと思えばザンザスによる突撃 ︶ どうやって俺の家知ったの いうかなんでわざわざ俺んとこに来るのぉ で驚いた。お前どうやって来たの ! ? ﹂ ︵バレるか否かのヒヤヒヤもん︶な日々だった 平穏な日々 だがしかし ﹁ビバ ﹂ 今日ばかりは絶対にそんな奴らは来ない !! キリスト様 今日ばかりは ﹁ありがとう ! !! !! ともかく、まるで前の人生のようにハチャメチャでデンジャラス 一体どれだけ凍らせて黙らせてしまおうかと画策したことか まるでそれまでの半年が嘘のようなボンゴレ率の高さ だったっけマジで︶ そ う な お 爺 さ ん ↓ お 茶 目 す ぎ る 狸 爺 さ ん へ と 変 わ っ た。こ ん な 人 出会ってお茶につき合わされたり︵おかげで俺の九代目の印象は優し ちょっと散歩をすれば、お忍びで来てるであろう九代目とばったり 不意を突き、とりもちをお見舞いしてやった。くらえ、日本の伝統食︶ たりして俺のレポートが消炭になったり ︵2人には超直感駆使して 父さんが様子見に来た時にうっかりザンザスと蜂合わせしちゃっ ? い なんせ、なんとか九代目のトンデモ提案︵ザンザスの友人になんな ﹁ふ、ふふ⋮﹂ うやくあるべき平穏をその手にゲットしていた 衝撃というか、激動の接触をなんとか乗り越えて早2ヶ月。俺はよ !? クリスマスひゃっほい ! ! ! 37 ! !? ? マフィアだろうと曲がりなりにもキリスト教徒が多いイタリアだ。 今日は色んなマフィアがパーティを開いたりして、九代目は言わずも がな。ザンザスも父さんも絶対にこちらに来ることはない ﹁ふんふんふ∼ん♪﹂ ﹂ と促した ﹁大学もクリスマス休学だし⋮やーっぱ本場の食事でも食べようかな 朝から上がりっぱなしである そんな訳でチェデフの監視も大分やりやすい相手だし、俺の機嫌は ので今頃はきっとコロネロの元だろう。喧嘩してなきゃいいけど ラルもラルで昨日それとなく好きな相手と過ごしたら !! ? 年甲斐もなく、ウキウキしながら俺は母さん手作りのマフラーを巻 いて買い物に出かけたのだった そして、俺は自分の認識がとてつもなく甘かった事を知る *** それから一時間後 ﹁⋮⋮ここ、どこ﹂ 俺は一人、見たことのない通りで途方に暮れていた。クリスマスの この年で迷子とか⋮ ﹂ 人込みに流れに流されて、気づけば知らない場所だとか ﹁⋮嘘だろ⋮ ! ﹂ 帰還方法は楽観視することにし、辺りをぐるりと見渡した時だった ﹁どうせだし、ここら辺も歩いてみようかな﹂ それよりも⋮ り帰れたりもする 意識下の五感による情報からもたされるものもあるので、案外あっさ いざとなれば超直感任せに歩けばいい。超直感の判断材料には無 ﹁⋮まぁいっか﹂ め息を一つつくだけに留めた 軽く絶望したくなるが、絶望したって状況は変わらないので俺はた !? ? ﹂ ﹁あら、迷子 ﹁え ? 38 ? 背後から、若い女性の姿が聞こえたのは。気配に気付けなかったこ そういうの ﹂ とに僅かに驚きつつ後ろを振り返ると、そこには見たことのない女性 がいた ﹁⋮えーと、分かるの 下に小さなオレンジの花⋮ ﹁そうなんだ⋮﹂ どこかで見たことあるよーな⋮ 俺こう見えてもハタチ超えてるから ﹂ 子ども 黒髪に綺麗な青い目、右目の ﹂ うーん⋮ 年齢は俺と同じか⋮少し下なくらい ﹁ええ。だって貴方、この辺で見ない顔だもの﹂ ?? ﹁それで、どうしてこんな所で迷子に ﹁えーと⋮って待って ﹂ 私より年上 扱いはヤメテ ﹁え、嘘 ? ? ? ? ? ﹂ というかまた年下に見られたパターン ﹁嘘じゃないよ ﹂ ﹁ごめんなさい⋮。てっきり16か17くらいかと⋮﹂ ﹁貴女もデスカ え、ここでも俺そんな ちょっと本気で怖くなって来たなこの童顔 それ、とある憤怒の暴君にも言われた年齢 に若く見えてるの ! *** 俺は冬の冷たさだけでない寒さに背筋が冷えた !? ﹂ 行く⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮えっ ﹁おしゃ⋮ぶり⋮ ? !? それでなんとなく自己紹介して、ふと女性⋮⋮アリアの胸元に目が ﹁いや、俺も叫んだりしてごめん。俺は宙っていうんだ﹂ ﹁本当にごめんなさいね。私はアリアって言うわ﹂ 着きを取り戻した そんなコントみたいな出会いから数分後。俺たちはようやく落ち !! 最近年取ったばかりだけど 因みに詳しくは21、だ。今回の誕生日は12月2日なので本当に !? 内心で大いに首を捻りつつ、看過できない言葉に思わず突っ込む。 ! ? ! !!? !! ! !!! 39 !? ﹁ああ、これ つまり大空のアルコ もしかして⋮もしかしなくても⋮⋮アル ちょっと親の形見なのよ﹂ え、待って待って待って コバレーノぉ けどそれって確かユニじゃ⋮ ででで、でもおしゃぶりの色はオレンジだよ バレーノだよね ﹂ あっでもユニって 短命の呪いの代わりに体のサイズは変わらなかったんだっけそう言 えば ﹁⋮⋮あの ということは⋮このアリアって人もしかしてユニのお母さん⋮ 考えてみればソックリじゃ ﹂ ちょっと最近似たようなおしゃぶりを どうしました なんで今まで気づかなかったんだ俺 うわーっそりゃ見覚えあるはずだよ ん ﹁えーっと⋮ヒロシさん ﹁⋮ あ ⋮ え っ と す み ま せ ん 持った子と知り合ったので⋮﹂ ﹂ ? !! ! ﹁その子⋮どんな子なのかしら ﹂ ? ? マフィア関係者 って感じで探られてるぅうう 僅かに鋭くなった。⋮⋮墓穴掘ったかもしれない に我に帰る。それで慌てて適当な誤魔化しをすると、アリアの視線が 思わず自分で自分を殴りたくなっているところで、アリアからの声 ﹁え ? ? !? 俺一般人なのに ! リョネロファミリーのボス=ばっちしマフィア関係者 ラル・ミルチって言うんだけど、俺が住ん 疑うよね警戒するよね探るよね誰だってぇえええ ﹁あ、もしかして知り合い !!! ? ない。この生活を守りたいなら、尚更 ﹁⋮最近出会ったってことは引っ越してきたってことかしらね ﹂ ボーンに繰り返し言われていた事だった。その為にも演技は欠かせ 情 を 作 る。冷 静 さ を 取 り 繕 え な く な っ た 奴 は 死 ぬ。そ れ は よ く リ なんて、そんな内心はおくびにも出さず、ちょっと驚いたような表 でる近くに住んでるらしくてよく会うんだよ﹂ ? 40 !? !? !? ? !? ? ! ? ! ? そらそうだ。ユニのお母さん=ミルフィオーレ⋮じゃない、ジッ !! 俺、日本人で一年間だけイタ ﹁あはは、最近といってももう半年も前だけどね。あと引っ越してき たのはどっちかって言うと俺の方かな リアの大学に留学してる最中なんだ﹂ 骸が得意なんだけどなぁ ﹂ アリア ﹂ ? ﹁そうだったのね。⋮ ﹁うん。⋮ってあれ 何を驚いてるの 信憑性を増すのには、虚実を上手く混ぜること。⋮⋮こーいうのは いう風に笑う さらりと、アリアによる探りをなんなく避けて、小さな種明かし、と ? ならいいけど⋮﹂ ﹁え、いいの ⋮じゃあ、お言葉に甘えて﹂ 道へ送るがてら、この辺を案内させて頂戴﹂ ﹁そうだわ、こうして出会ったのも何かの縁だし⋮。貴方の知ってる 思わないけど。実際、話してみてもそう思うし ⋮まぁ、ユニのお母さんならあんまり誰かを傷つけるような人だと ﹁そう が反応しないってことは、害はないってことだろうし 変わったことに驚くも、本人の申告を素直に受け取っておく。超直感 こっそり内心でそんなことを思いながら、ふとアリアの様子が一瞬 ? !! ﹁あ、いえ何でもないわ﹂ ? 知り合いだったのも驚いた いっても本当に本人自体は一般人のようだが︶であるラル・ミルチと また、一般人にしか見えない彼がどうやらボンゴレの関係者︵と た目と反して高かった事だ︵正直私より年上と思わなかった︶ イタリア語を流暢に話していた。特に驚きだったのはその年齢が、見 日本人だという彼は、あまり日本人らしくない色彩をしていたり、 しばかり息抜きに街に繰り出した私は不思議な青年に出会った クリスマスである12月25日。ファミリーの皆の目を盗んで、少 アリアSide *** もらうことにした そんなことを思いつつ、俺はアリアの提案に甘えて、道案内をして ? 41 ? それでも、慣れない土地で道に迷った彼をすぐさま大通りへ返さ ず、しばらく一緒に行動したのは一瞬だけ見えたあの予知のせいだろ う 私の血筋は代々シャーマンだ。母も、会ったことはない祖母もそう だったと聞く 私の母・ルーチェは予知でアルコバレーノとなるのを知っていなが らも、それが星の定めと受け入れていた。そして私も、母の後を継ぎ、 ジッリョネロファミリーのドンナとアルコバレーノの大空としての 運命を受け入れている 数多ある予知、星の定め それらを見極めて、出来るだけ良い未来を作ることが私たちに求め られること。⋮⋮たとえそれで、個を押し殺さなくてはいけないとし ても 守りたいものがある。それは、予知という力がなくとも己を奮い立 の皆も呪われてなんかいなくて。私も当然のようにそれを生きて、そ の目で見て笑っていて ﹁⋮あら、ちょっとボーッとしちゃったみたいね。なんでもないわ﹂ たった一瞬。そんな狭間の瞬間に見えた未来は⋮⋮望んでも手に 入れられないだろうと諦めていた幸福そのもので。私らしくもなく、 悪魔のように魅力的なそれに揺れ惑ってしまうのだった *** ﹁じゃあ、また縁があったら会いましょ﹂ ﹁うん、今日はありがとうアリア﹂ あれから2時間後。思ったより長く道案内をしてもらった俺は見 知った道に出た、ということでアリアと別れていた 名前を名乗る以外は自分のことを話さなかったけど、それはアリア 42 たせる価値がある。だからこそ、今まで私はより良い未来のために、 ﹂ 迷ったことなど無かった。 どうしたの だけど ﹁アリア ? 娘がいて、愛する夫がいて。大事なファミリーも、アルコバレーノ ? のいる世界から考えれば当然の事で。連絡先などもやはり交換はし て い な い。⋮ 本 当 は 最 初 か ら 関 わ ら な い 方 が よ か っ た ん だ と 思 う。 俺の前がなんであれ、今は一般人なのだから それでも⋮将来︵俺と同じ道を辿るとすれば︶、現れるであろうユニ に、今日の事を思い出話として話してあげられたらいいなと思ったの だった ﹁⋮⋮久しぶりに心から楽しめたなぁ﹂ マフィア関係者と思わなければ、本当に心臓に優しい︵銃で脅され たりなんだりがない︶時間だった そう考えると、ボンゴレ関係より付き合ってもいいな、と思える。 まぁ、もう仮定の話でしかないけど ﹁さーて、帰ろーっと﹂ ぐいーっと体を伸ばしてそう一人ごちると、俺は今度こそ帰路に向 かって足を動かした 43 気づいたら赤髪の青年に骨董品の説明を受けてまし た。⋮アレ だった 様々な品々に無意識に感嘆する アンティーク⋮っていうんだっけ く、良い物だって分かるな ビスクドール⋮だったかな 古いんだろうけど⋮なんとな 西洋系の人形は何というか本当に魂 ﹁う⋮でもこういう洋風人形はちょっと怖いかも⋮﹂ ? いながら見た目通り重かったドアを押す。そして視界に入ってくる キィ⋮と押さえきれなかった好奇心に背を押され、そんな言葉を言 ﹁⋮お、お邪魔しまーす﹂ るで引かれるかのようにその店が気になってしまう いつもだったら気にも留めないだろう店。だけど何故か、今日はま 見るに、どうやらその店は開店時間らしいが⋮ ふと、目の端に入ったある店が意識に残る。ショーウィンドウから ﹁⋮⋮アレ ﹂ り、暇つぶしと見納めを兼ねて街並みをブラブラを散歩していた時 それは本来の目的であったイタリアでの大学での授業も大体終わ ? ﹁⋮あれ、もしかしてお客さんだったかい ﹂ てくる足音の主に、声を掛けられるまで全く気付かなかった そんな事を思いながら遠い目をしていたからだろう。俺は近づい たのか、と少なからず思ったし クロウにまで憑依したって聞いたときはとうとうそこまで人を捨て 一番身近な例で言えばアレだ、骸。生身の人どころか、匣兵器のム ﹁⋮⋮まぁ、人形じゃ無くても憑りつく奴は憑りつくだろうけど﹂ うで 下手に人を模したものは、やはり怖いのだ。何かが憑りついていそ ﹁おもちゃとかだったら割り切れるのになぁ⋮﹂ が宿ってそうで怖い。というか基本的に人形全般が怖いんだけど ? ? 44 ? ﹁うわっ ﹂ 思わず、ドッキィッ と心臓が跳ねる。 恐らく今も外で護衛をしてくれるだろう教官に知れたら怒られそ しまった、ラルに鍛え直してもらってたのに全然気づかなかった⋮ ! !? うだな、と思いつつ振り返ると、どこかで見たことあるような赤い髪 が一番に目に入った ﹁おや、すまない。驚かせてしまったみたいだね﹂ ﹁あ、いえ。こっちこそ返事もまたないで入ってしまいすみません﹂ それに既視感を覚えつつ、とりあえず謝罪しておく。声を掛けたと はいえ、やってることは軽く不法侵入に近い 。下手に出ておくのが 一番だろう ﹁気にしなくていい。滅多に客が入らないからつい作業に没頭してい た私が悪いんだしね、こういう場合﹂ ﹁そういってもらえると有難いです﹂ と、そこで。ふと相手の困ったよな笑みがまた既視感を呼び起こ ﹂ す。知 っ て い る、俺 は、こ の 笑 み を。こ ん な 風 に ど こ か 悲 し そ う に ﹂ 笑っていた、彼を ﹁⋮⋮っ ﹂ 目の前の相手と同じ⋮赤髪の、大事な親友を ﹁どうかしたかい ﹁あの⋮俺は宙って言います。貴方の名前を窺っても⋮ ああ、そうか⋮。目の前の彼は⋮ ? ザァート。彼はD・スペードの策略のせいもあり、自らマフィア界の そ の フ ァ ミ リ ー を 起 こ し、ジ ョ ッ ト の 友 人 で 在 っ た シ モ ン・コ きっかけを起こした人物のファミリーだ それはボンゴレ初代⋮ジョットがその先駆けとなる自警団を作る シモンファミリー。 *** 間違いなく、俺の親友・古里炎真の⋮⋮⋮父親だ る、古里真と言います﹂ ﹁ああ、これは私としたことが失礼しました。この骨董店を営んでい ? ! 45 ! 影となることを選んだ その道はとても辛く、子孫である炎真たちも沢山苦しんでいた。そ れでも、デーチモの時代である俺たちの時代で、漸くその存在を公に することが出来るようになった 初めて炎真に会った時は、昔のいじめられっ子の自分みたいだな、 と思って。同じマフィアの人間だって分かった時は、それでも自分と 同じ争い事が嫌いな彼の様子に親近感を抱いて。家族の仇だと告げ られた時は、信じられない気持ちになって、でも仲間を傷つけられて も憎むことは出来なくて。真実を知って和解できた時は、背中を預け られる戦友にも思えた ファミリーを率いるボスなのに、争い事が嫌いで。でも仲間のため には立ち上がってしまう なんだかんだで、似たところが多くて。お互いよく相談をしたりし ていたんだ ﹂ ボンゴレのせいで、シモンファミリーは家族を喪った。ボンゴレの せいで、炎真は目の前で家族を殺された。それを行ったのは主にD・ スペードだったけど、でもボンゴレを継いだ以上、その罪の意識は絶 対に持ち続けなければいけない 〟 〟こんな間違いを引き継がせるくらいなら、俺がボンゴレをぶっ壊 してやる 信念を、一重にずっと持ち続けてこれたのはやはり罪悪感のせいもあ 一部の者だけが笑って、その陰で誰かが泣かないように 。そんな 強者によって、弱者が虐げられることにならないように マフィア界の浄化とボンゴレの解体を く思うようになった でも何よりも、炎真たちの存在を知って、苦しみを知って、より強 未来で、ボンゴレの業を見せられた時に宣言した気持ち !!! 46 *** ⋮ど、どうしたのかな⋮ ⋮⋮だけど ﹁ ? それでも、心の中には消えない罪悪感があった !? るんだろう ﹁すみ⋮ませ⋮ ﹂ どうしてか、涙が零れる 目の前にいるのは、存在を知った時には既に殺されていた人。俺 ﹂ ︵宙︶が俺︵ツナ︶であったなら、絶対に会えなかった人 ﹁埃が⋮目に⋮入っちゃ、った⋮みたいで⋮ ボンゴレが関わっていなければ、自分に関係なければ、知ったこと として裏社会を率いていたのだから に性格が引きずられてるとはいえ⋮俺は30年近く、マフィアのドン 学生のあの頃のような自分では、既にない。当たり前だ。若干、外見 ああ、やっぱり俺は変わってしまったらしい。なんだかんだで、中 責の念を感じなかった アも同じ。だけど、ボンゴレが関わっているかいないかで俺はその自 俺が知るより前に死んでしまった、という条件だけで言えば、アリ ! かと。どこかでそう割り切ってしまう。ユニが、時折寂しそうな笑顔 ﹂ を浮かべていたことを知っていたのに ﹂ ﹁⋮⋮一先ず、お茶でもどうかな ﹁⋮っはい⋮ ? そんなことも考えられずに、俺は困ったように笑う相手の言葉にた だ頷いた ⋮⋮⋮⋮⋮もし、俺が時間を遡っていることに意味があるのなら 47 ! どうして涙が流れるのか。どうすれば涙が止まるのか ! ⋮⋮⋮⋮⋮彼らの死を、変えたいと思うことはいけないことなのだ ろうか ? 気づいたら浅利一味が来日してました。⋮帰れ 物が立ってんだから ﹂ なんでいんの なんでいんの そりゃあ誰だって思考停止くらいおかしくないよね ﹁⋮⋮遅ぇ、カス﹂ 現実逃避してぇええええ イタリアじゃなくて日本ですよぉおおおおお ここは 更に言えば平凡よりやや質素な下宿屋の前に、なんか見たことある人 い や だ っ て 待 っ て。こ こ 日 本。ジ ャ ッ ポ ー ネ。N O T イ タ リ ア。 う 俺はその瞬間、きっとこの上なく絶望した表情をしていたことだろ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮え﹂ なことを思いながら、ふかふかお布団に焦がれていた時だった ていうか今日が三徹目でそろそろ脳細胞が真面目にヤバい。そん も今日とて堅実に日夜お金を稼ぐためバイト三昧である それでもやっぱり庶民平凡並なライフコースを選択する俺は今日 ﹁⋮よしっ、帰って寝よう 力になれるように連絡を取り合っている でその幸せが続くか。だから俺は真と親友になって、いざという時は ファミリーは酷い迫害は受けてないみたいだけど⋮それでも、いつま け ど 俺 は、や っ ぱ り 真 を ⋮ 大 事 な 親 友 を、助 け た い。ま だ シ モ ン はいないんじゃないかとか⋮難しいことはいっぱいある 過去の世界だとか、パラレルワールドのこととか、もしかしたらD イチで連絡とり合ってる︶を助けること それは、真︵あれから凄い気があって親友にまでなった。今でも月 意を加えたりもした さて。濃ゆいイタリア留学を終えた俺は、行く前より若干新たな決 !! !? ? 一度止まった思考が、リバウンドと言わんばかりに脳内で目覚まし ない 幻聴だ幻覚だ幻術だ。俺は何も見てない何も聞いてない何も言わ ﹁⋮⋮あ、俺疲れてんだな﹂ !? !!? 48 ! !!! く動くが、俺は敢えて遠い目をして相手から必死に視線を逸らした はっはっは、大丈夫大丈夫。俺は何も見てませんよー。人の下宿屋 ﹂ の前で突っ立ってるザンザスなんて見てませんよー ﹁無視すんじゃねえカス あまつさえスルーされまくったことで憤怒の炎をスタンバイしよ うとするザンザスなんて⋮⋮うぇえええええ ﹂ !!! ぐったりと疲れ切っていた ! なんだかんだで、コイツの突撃 お宅訪問☆はイタリア留学中、月 そんな事を思いつつ、最早諦めて家の中に入るよう促す ﹁あーもう⋮とりあえず家に入れよ畜生⋮﹂ うだけ無駄だったか、うん れこそ50過ぎても大して変わって無かったねこの体力お化け。言 お前、10代と20代の体力の違い舐めんなよ⋮ あ、でもお前そ 数分にわたる愉快でバイオレンスな半強制鬼ごっこを終え、俺は ﹁舌打ちすんな。てーかそもそも殺ろうとすんな﹂ ﹁⋮⋮チッ、殺れなかったか﹂ るらしい フィアの御曹司でも、暴れることが不味いという事は一応分かってい だがしかし。ここは平和で平凡なジャッポーネ。いくら自分がマ のを感じた ずこいつの死ぬ気の炎えげつねえー。俺はヒクリと口元が引きつる な謝罪も束の間、コォオッと、一瞬でビール缶がなくなる。相変わら た。すまん、手ごろな重さを持った水はお前だけだった。しかしそん 俺は大慌てで手に持っていたコンビニ袋からビール缶を投げつけ ﹁だったらお前はすぐその光球浮かべるんじゃねえ !!??? し合いに発展するので仕方なく受け入れざるを得ないのである してるとわざわざ探しに来て、ぎゃんぎゃん喚いて殺気をぶつけて殺 が、居留守を使っても何故かバレ、超直感で来てるのを察して寄り道 まぁ、︵正直めちゃくちゃ︶関わりたくはない。関わりたくはない んて迷惑行為を繰り返してんのか知らないけど に一回か二回の頻度であった。今に至るまで何の理由でお宅訪問な ! 49 ! つまりは慣れである、慣れ。⋮⋮⋮こんな慣れは要らない ﹁⋮安っぽくて狭ぇな﹂ ﹁見 れ ば 分 か っ た だ ろ う よ。口 に 出 さ な い 謙 虚 さ を 取 得 し ろ い い 加 減﹂ イヤもう本当コイツ何考えてんのか分かんない。そりゃ確かにザ ンザスに恐れを持たないで平然と話してるのが凄いってよく︵迎えに 来た九代目の守護者の人に︶言われた︵そして着々とボンゴレとの縁 が結ばれてるようで怖い︶けど⋮ ﹁⋮おい、喉乾いた。なんか持ってこい﹂ ﹁人 ん 家 で 堂 々 と く つ ろ ぐ な。そ し て 当 然 の よ う に 王 様 し て ん じ ゃ ねーよ。どこのお坊ちゃんだテメェ﹂ ﹁ボンゴレだが文句あんのか﹂ 俺一回︵無理矢理に︶お前ん家連れて行かれて実物 ﹁すいません、テンプレだけの台詞を真面目に返されると二の句がつ けません﹂ そうでしたね 見てるもんね とでも言いたげな眼差し止めろこ 知ってて当然っていうのは分かってるからその痴ほ う症にでもなったのかテメェ⋮ の野郎 ﹁ほい、お茶﹂ まお帰り下さいお坊ちゃん﹂ ﹁その苛つく口調止めろ。お茶ぶっかけるぞ﹂ ﹁言いつつ既にぶっかける体勢になるの止めてくんない 誰が後片付けすると思ってんだテメェええええ ﹁ハッ⋮最初からそうしてりゃいいんだよ﹂ ﹂ !? オカシイナ、コイツと最後に会ったの1年か2年くらい前だったと ? !!! ﹁お爺さーん、この暴君気質はどうあっても治らないんですかー ﹂ ﹁貧乏人の身体にも経済にも優しい麦茶です。文句があるならすぐさ ﹁⋮⋮こんな茶、見たことね│ぞ ﹂ も貧乏学生には失くして構わない余分なものなど無い 震えて手元が狂わないようにする。いくら単価がほぼ無いといって パックで購入済みの手作り麦茶を2つのコップに注ぎつつ、怒りで ? ? 50 ! ! 思うんだけど。性格が全く温和になって無い。寧ろ増している気が する 相も変らぬ喧嘩口調のやり取りをしながら、遠い目をして麦茶をす する ﹂ あー、水分美味しい。本当はビール飲んでお布団にINしたかった 一応聞くけど、ザンザスなんで日本にいんの んだけど⋮ ﹁⋮で 件を尋ねる↑今ここ ﹁⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮、﹂ ⋮⋮⋮⋮なんだけどぉおおおおおおお そりゃね 沈黙が 眼光が お前は でもやっぱり 俺の識ってる大人ザンザスから考えれば雲泥 14歳でもめっちゃ怖いんだってお前ぇええええ ﹁⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮、、﹂ いやね ﹁⋮⋮いちゃ、わりぃのかよ﹂ その目つきの悪さをどうにかして睨むの止めろぉおおお 恐怖も威圧感もダンチなんだけど ! ﹁俺が⋮⋮テメェのいる場所に来ちゃいけねぇのかよ﹂ ⋮⋮ん スが漸くこぼした言葉に、すぐさま反応できなかったのは なんて、内心でめったくたに叫んでいたからかもしれない。ザンザ !!! の差なんだけど ! 既に立派な体格になりやがって目つきも悪いから その外見の凶悪さをもっと自覚しろぉおおおお !!! 屋の前で佇んでいる。いつもの喧嘩を済ませた後、渋々家にあげ、用 徹3日目。なのに家に帰ると、イタリアにいるはずのザンザスが下宿 さて、ここでもう一度状況を整理してみよう。俺はバイト三昧で貫 ﹁⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮﹂ そこまで考えて、俺はジト目でちゃぶ台向こうのザンザスを睨んだ ? !! めっちゃ怖い !!! ! !!! !! ! ! ? 51 ? ﹁﹂ ﹂ つー こんな辛そうにしながらも自分の本音素直にぶ こ れ 誰 っ す か いや、は⋮ ﹁⋮⋮テメェも⋮俺を⋮﹂ ﹁え⋮ ちまけるザンザスなんて知らないヨ え、俺知らないヨ ? ﹁⋮⋮っっ﹂ どぉぉおおお かこんな弱いとこ見せるザンザスなんて俺本当に知らねぇんだけ ⋮⋮もしかしてコイツもう、真実知っちゃってるんじゃねー ? ? ? ﹁は⋮ ﹂ ! ﹂ どうしてもってんならマフィアと お前のポカン顔なんて見たくなかったなぁあああ て欲しくないけどもぉおおおお ! ⋮俺がたまたま帰らない日だったらどうすんだよ ? の縁切ってから来いぃいいい ﹁ンン⋮ てか実際は来 ﹁⋮来ちゃ悪いとは言わねーが、せめて連絡して来い﹂ してるとザンザスが︵俺を︶殺害しそうなんで声を掛けよう マジで心中ブレブレ&荒ぶりまくりな俺だが、なんかこれ以上沈黙 !!?? もりだったのか 絡はしろ﹂ と続ける ? ﹁なっ⋮ そんな事言って、俺が連絡したらやっぱり逃げるんじゃな ﹂ ﹂ ﹁逃げていいならそりゃ勿論﹂ いのか ﹁ハッ⋮ 悪い。⋮⋮うん、閑話休題 く音沙汰なかったしで油断してたとこに現れられたから心臓に悪い イヤもうこれ本当切実にね 今回は特に日本帰ってきたし2年近 トが変わることだってあり得たんだから、やっぱり来るなら事前に連 ﹁そんな所で金に糸目をつけないでいんなや。バイトによってはシフ ! ? ﹁⋮っテメェのバイト事情なんざ保握してる⋮ ﹂ とはいえ、やはり内心の嘆きは押し隠して、一晩中突っ立ってたつ ! ! !? 52 ? ? ? ? ちょっと待て タンマ ﹂ ストッ あれ、捻くれたこと言ってるザンザスに思わずあっさりと返してし まったぞ ﹂ お前待て ! ﹁テメェもやっぱり⋮ っ て ぎ ゃ ぁ あ あ あ プぅうう ここで憤怒の炎出すんじゃねぇええええ ! ﹂ ﹁⋮⋮テ、メェ⋮ ⋮⋮⋮あっれ ﹂ ﹁⋮⋮どーしたよザンザス ﹂ と、思っていたんだけど ﹁⋮⋮ ﹁⋮⋮﹂ 時進行で走馬灯が流れております短い人生でしたねうむ 内心思いっきりテンパりつつ、表面は平静を装ってそう言う俺。同 ? ! ﹁だって、お前は結局、今までみたいに探しに来てくれるんだろう !!! !! !! ? !! や九代目に見せたらどうなるんだろうな│コレ ⋮⋮っっ ﹂ !? だった。その頃の俺は、マフィア界最大と言われるボンゴレの御曹司 最初にそいつに会ったのは、引き取られて数年が経った12の頃 ザンザスSide *** ザンザスが行動再開するまで、あと10秒 ﹁⋮⋮っ、⋮⋮ 意地の悪いことを考えつつ、再び麦茶をすすり│││ ? よし、これで未来用に脅すための材料が手に入ったぜ。スクアーロ 何枚か収めた。 俺は一つ頷くと、今だ停止状態にあるザンザスの赤面姿をスマホに パシャリ ﹁⋮⋮ふむ﹂ 難みもないし前回からすればホラーだなこれ 微動だにしないで、顔真っ赤にしてるぞコイツ。レア過ぎて逆に有 ?? ? !? !? 53 ? ということで大いに持ち上げられていた 増長していた、といっても過言じゃない だから気に入らない分家の人間や、爺の守護者、喧嘩を売ってきた 相手は悉くぶん殴った。本気で殺す気はなかったが、逆にそれで死ん でもその程度だと考えていた ﹄ けど、そんな日々を過ごしていたある日。何故か、そんな俺を制止 してくる奴が現れた ﹃⋮⋮そのチンピラ、やりすぎじゃないのか ﹄ 句も言うし、こちらの攻撃を避けられて苛つくことがあっても、だ けれど、それもムカつきはしたが不快感はなかった。相変わらず文 家を訪れていた。⋮⋮⋮心から嫌そうな顔をされたが い。だからか、気づけばボンゴレの情報網を使って、何度かそいつの 舐められてる、と思ってもいいはずなのに、何故か居心地は悪くな い合えたりも出来た く変わらないムカつく態度に。それどころか、本気で殴り合ったり言 城に招かれた時点で俺が相当の地位にいると分かっただろうに、全 認めるのは癪だが、確かに興味を覚えた の守護者に捕まって城に戻されたころには頭も冷えていた。そして その時は俺の意志に反抗するムカつく奴としか思わなかったが、爺 るよ﹄ ﹃いい度胸だ⋮この俺に指図しようなんざテメェを先ずカッ消してや た 平然と。何の恐れも気負いもなく、そいつは次の言葉を言いはなっ ﹃それ以上やったらその人たち死んじゃうだろ﹄ だからこそ、最初は威嚇して追い返そうと思った。なのに ﹃⋮⋮⋮⋮あぁ 点から俺を恐れるものは多かった 頃にはもう、俺の持つ九代目の息子という地位と、憤怒の炎という観 のどれも、裏社会の人間じゃ無いことはすぐに分かった。そしてその 見る限り、平凡な奴だった。顔も、雰囲気も、身のこなしも⋮⋮そ ? ここまでムカつく態度をされていても、自分から関わるのは何故だ 54 ? いう自問自答に答えが出たのは、皮肉にもそいつが母国のジャッ ポーネに帰ってからだった そいつは⋮宙は、いつも〟俺〟を見て接していたからだと 九代目の息子じゃない。憤怒の炎を持った人間じゃない 文句言うのも、怒るのも、嫌そうにするのも⋮⋮全部、〟俺〟とい う人間をまず見ていた。だからだったんだろう、と妙な喪失感を覚え ながら納得していた時に、ふざけた事実を知った それは、己の存在価値の崩壊だった 爺の部屋に行って、偶然目にしてしまった手紙。その内容は、俺の 母親と爺の面識があの日まで全くなかったという事 つまり、俺は爺の実の息子じゃない。ブラッド・オブ・ボンゴレも 持っていない。ただ、ボンゴレにしか出せないはずの死ぬ気の炎⋮そ れも憤怒の炎というレアなものを持っていたから。他のマフィアに わたると困るから、という理由で囲われた馬鹿な道化 怒り、憎しみ、恨んだ。そんなことはねぇ、と。俺は選ばれた人間 なんだ、と。 必死に自分に言い聞かせ、爺への⋮周りの全てへの憎悪をたぎらせ た そんな折だった。自分を避けるようになった爺が、ジャッポーネに 行くから一緒に来い、と言ってきたのは。ふざけるな、と思ったけれ ﹄ ど何故か、あいつの顔が浮かんだ。ジャッポーネに行けば会いに行け る。それに気づいて、俺は爺の言葉に二つ返事で了承していた そして、結論 ﹃だって、お前は結局、今までみたいに探しに来てくれるんだろう こいつはどうしようもないお人好しバカだった いる。馬鹿以外の表現が見当たらねえ と、逃げると言いながら、拒絶はしない甘さ。⋮⋮本当にどうかして 一歩間違えば殺されていた相手に、何信頼してやがる。俺が面倒だ ? 55 ? 俺は思わず額に手を当てて深い溜息をついた *** なにやらザンザスの葛藤は終わったらしい。あ、らしいと言うのは 半分以上寝てましたハイ。だって最初こそぎゃんぎゃんと騒いでた けど、俺が無視してたら諦めたのか無言で葛藤し始めてるんだもんよ 俺にどうしろと ﹁⋮⋮おい﹂ ﹂ ﹂ ? ﹂ メチャクチャ眠いんだって俺ぇええええ ﹂ もぉおおおお ﹁⋮何故に ﹁⋮テメェが寝たら俺が暇を持て余す﹂ 構 っ て ち ゃ ん か ﹂ ﹁⋮じゃあ貫徹3日目の俺に起きてろと ﹁⋮そうだ﹂ ﹁⋮っふざけんなぁあああ やだ何このザンザス で来やがった ﹂ 5W1Hをハッキリ てーかそもそも本当どうやって日本ま 用件は !? !! いつまで滞在すんだ してから出直して来い !? ﹁おーれーは眠いーんーだー ツンデレなお前なんて見たくねーし可愛くねーわ !!! !!! という訳で案を出したらすぐ却下された。解せぬ。⋮寝させろよ ﹁⋮駄目だ﹂ ﹁⋮⋮用件無いなら一先ず俺寝ていいよな お、肩こってる。やっぱちゃんと布団で寝た方がいいな ハイ無言止めましょーねー。なんて思いつつ、身体を伸ばす俺。う ﹁⋮⋮﹂ ﹁ふぁ⋮何 お前にしちゃ随分と優しいなオイ で、この一言と共にクッションが俺の頭に降ってきて目が覚めた。 ? ︵What︶、なぜ︵Why︶、どのように︵How︶ これがなきゃ話 いつ︵When︶、どこで︵Where︶、だれが︵Who︶、なにを !!! !! ! ? !!! !? ! 56 ? ? ﹂ すら出来ねーよ ﹁な⋮ ﹁な、じゃねぇよ ホラ答えろ まずなんで日本に来た ﹁じ⋮爺が部下の顔を見るつって⋮一緒に⋮﹂ のザンザスがたじたじとなる ﹂ 最早やけくそである。そしてそんな俺のキレように驚いたのか、あ !? 部下ってどんな ﹂ それもまた珍しい姿だが、その瞬間超直感が嫌な予感を告げる ﹁⋮あのお爺さんが プツン 九代目来ちゃってんのー いか│││││ バカ親父││││ ﹂ !! 俺が寝不足に陥るハメになったのはお前のせ ﹁あ、あぁんのぉおおお⋮⋮⋮ ザンザスの言葉に拳を握りしめる ? ちょっと待っ﹂ ﹂ ? とかそんなツッコミもすっ飛ばし、俺は ﹁⋮⋮沢田家光とか言う⋮﹂ ? !! 待てテメェ おいっっ ﹂ !? *** ﹁おいっ ! 俺はわき目もふらず父さんのもとへ全力で向かったのだった ﹁待ってろクソが ﹁⋮⋮⋮おい !!! !!! ? 俺の睡眠 そんなものとっくにな 待っていろクソ親父ぃいいいいいい 理性 !!! たら怖いんだよ。という訳で 当人にとっては自分と同じサイズの獣に好意だろうとのっかかられ ⋮チワワに怖がることを、情けないって思うんだろうな 。でも、 ﹁⋮⋮﹂ で、仕方ないという風に呆れている父さんの声も な ん て 哂 っ て い る と、不 意 に ツ ッ 君 の 泣 き 声 が 聞 こ え た 。つ い ? ふっははははっ 時間を無くした罪は重いぜぇえええ くなってますが何か ? ﹂ ﹁うわぁああああん ! !! ! ザンザスの驚いた声をBGMに、俺は一路、我が家へと疾走する ! 57 ! !!! ! ! ﹁おーいツ﹂ ﹁お覚悟ぉおおおおお ゲシィッ ﹂ ﹂ !! ﹂ !!? ﹁き、君は宙くん⋮ ﹂ ﹂ ﹁ほぉらツッ君、落ち着いて ひ、ろ⋮にぃ⋮ ? !? ?? それで兄呼びはちょっと⋮ね ひろにぃ∼∼∼∼ !!! ﹁うんうん、ひろ兄だよ∼﹂ ﹁ふぇええええっ ﹂ 生になるまでに伯父さんに改めさせないとなー。その頃30代だし、 因みにオレはツッ君にひろ兄と呼ばれている。これ、ツッ君が中学 にいて泣いてたツッ君を泣き止ませる そんでなんか聞いたことあるよーな声はスルーし、まだチワワが傍 ﹁ふぇ⋮ 大丈夫大丈夫、怖くないよ﹂ 獅子さまは生垣まで無様に吹っ飛ばされた。ふぅ、スッキリ そして本来なら気づいて防御するなりしなきゃいけないだろー若 ﹁いっ、家光っ バキバキバキィッ 跳び蹴りした 俺は走っていた勢いのまま、かつての父・今の義兄の顔面を狙って ﹁ぶげぇ ! ﹂ ﹂ ? る。瞬間、その顔が恐怖に引きつったが見ないふり見ないふり。んで 自画自賛しながら、膝を折ってツッ君とチワワを再びご対面させ ﹁ぐすっ⋮⋮ヒッ ﹁大丈夫だよツッ君、ほら見てごらん し手榴弾投げないし暴言吐かないし我ながら超良い子 なにより泣く子どもなんてランボで慣れたしねー。我儘言わない とか思うが、ここは成人したいい大人 ま だ 泣 き 止 ま な い か な ー。そ ろ そ ろ 服 が 冷 た く な っ て 来 た な ー。 れさせる なんて蛇足的なことを考えつつ、ツッ君をチワワから抱き上げて離 ! ? 58 !!? ? ﹁ツッ君は、わんこの事怖い ﹁う、うん⋮﹂ ﹂ ﹂ ﹂ ﹁でもねぇ、わんこはツッ君のこと、嫌いじゃないみたいだよ でしょ ﹁う゛⋮で、でも⋮こわい⋮ 分かる ﹁うーん、そっかぁ。でもツッ君がそうやって怖いなー、近づきたくな ﹂ いなー、って思ってばっかりだとわんこにもそれが伝わっちゃうよ ﹂ ﹁え⋮ いやねぇ、これマジなんだよ。獣はいくら品種改良とかされて人間 に懐きやすくしてても、獣としての本能で相手の感情の機微はよく察 知する。ここら辺は超直感も似たよーなものだけど もしかしたら仲良くなれるかもしれないよ ﹂ ﹁だからさ、せめてジーってみてあげて、本当に怖いか怖くないか、考 えてみない ? ﹁うぐっ ﹂ ドスゥッ ﹁死に晒せ﹂ ﹁いきなり何するんだい宙く﹂ という訳で うん、そうだな。やるべきことはやっておかねば もここに来ることになった元凶を思いだす俺 それに気づいて若干嫌な気分になりつつ、嫌な気分イコールそもそ ﹁お∼⋮いてて⋮﹂ するなー。白蘭みたいなナルシストになった気分 近づいて見事仲良くなっていた。⋮なんか今日は自画自賛多い気が そして言葉を重ねて説得していると、元来素直ーなツッ君は徐々に ﹁⋮⋮うん﹂ ? あああああ !!! テメェのせいで俺の睡眠時間が減ったじゃねぇかぁ ! ﹂ ﹁こんのアホが プションで低いドス声も忘れずに 無防備に近づいてきた父さんを拳に力を入れて鳩尾へ入れる。オ !? 59 ? ? ! ? ? ? そしておどろおどろしく怨念をふりまきながらただ淡々とその腹 ﹂ 恨みはらさでおくべきかって奴 部をぐりぐりと踏み踏みする なんだっけあれ ﹁ひろにぃ何してるのー ﹁⋮⋮いやはや、驚いたねえ﹂ ﹁それやればお父さん、よくなるの ならおれもやるーっ﹂ ﹁⋮⋮お前、ガキになんて嘘教えてんだよ﹂ てあげてるんだよー﹂ ﹁うんとねー、家光さんの背中が凝ってるからこうして踏んでほぐし ? そんな事を思いつつ、俺は最初の一撃で気を失っている父さんを ? ツッ君と共に踏みまくったのだった 60 ? ? 気づいたら勧誘されてました。⋮だが断る ﹂ ﹁うん、ひるよー、ツッ君﹂ ﹁ひろにぃ、おはよ∼もうおひるだよ∼ ﹂ 売ってんじゃねーよ。つかなんでまだいるんだよオイ あとザンザス、やはり化物じみた童顔だな⋮とか意味不明なケンカ ぼーっと、布団の上で胡座かいた状態で現状確認する ﹁⋮おはよぉー、姉さん⋮﹂ 活しちゃダメよ ﹁あらあら、ひー君やっと起きたのね。もう、若いからって不規則な生 さて。気づけば俺は客間でまるっと一日寝ていたようである !! 六腑に染み渡る⋮ ﹂ ﹁そうそう、ツッ君もザン君も何か飲む ﹁ぶふぉっっっっ ジュースでいいかしら ﹂ 母さんマジ聖母。しばらくまともな食事とってなかったから五臓 るっちゃったわ﹂ ﹁ふ ふ っ、最 近 は ひ ー 君 が 来 て く れ な か っ た か ら 久 し ぶ り に 腕 を 振 ﹁いつもありがとう姉さん﹂ ﹁ほらほら、簡単だけどごはん用意したから食べなさいね﹂ しゃする。しっかし久しぶりにガッツリ寝たわ、ホント そ れ に 眉 を よ せ な が ら 軽 い タ ッ ク ル し て き た ツ ッ 君 を わ し ゃ わ ? いた ﹁じゅーすのむー ﹂ ﹁ゲヘッ⋮ガホッ⋮ゴホッ⋮ ﹂ ツッ君は今更だけどザン君 ﹁⋮⋮お前の姉、なんとかしろ﹂ !? そうだよね、下に父さんと九代目いるもんね 何より母さ 鬱陶しそうにしながらも怒ら 母さんにザン君呼ばわりされてるだと⋮ 待て待て待て待て !! しかもザンザス対応に困ってるー !? こうなると暴力は勿論、暴 ! !? んもツッ君も一般人で悪意ゼロだもんね ないんだ あのザンザスが なんて母の有り難みを味わった瞬間。俺は意外な奇襲に思わず吹 ? ! ! 61 ? !!? ? !? ! !? 言も吐けないもんな ﹁ふっ⋮くっ⋮ぶふっ お前の出来ること無くなっちゃったもんなー ﹂ だってザン君って 母さん ザンザスのアイデンティ それに思い至った瞬間、込み上げた衝動を押さえられなかったのは 許して欲しい イ ヤ イ ヤ だ っ て ! 二人ともなんで俺が爆笑してんのか不思議そうに ! ! ティーであるダブルXがサラッと略されちゃってんだもん に悪気ないけど してるけども ! ﹁﹂ ﹂ ? ザンザスが憤怒の炎スタンバろうとして ⋮⋮っっっアウトぉおおおおおお やっべからかい過ぎた るぅぅううううう !! ﹁んぐっ ﹂ ﹁ソォイッ﹂ 勿論こんなところで戦闘なんざゴメンだ。てなわけで !!! !!!!! ﹁テメェ⋮そんなにカッ消えてぇのか⋮ チハしながらも笑いながらザンザスに向かってサムズアップす⋮ そこまで考えて俺はもう堪えきれなかった。行儀悪く床とコンニ ∼っ﹂ ﹁おまっ⋮お前っに、その⋮ザン君呼び⋮っ似合わねぇえええええ∼ ! るな、うん の心配をし忘れたのか。⋮⋮後者なら危機感大丈夫かと疑いたくな 元々俺用だったから毒味の心配をしなかったのか、最初からその手 沈黙の中。ザンザスは目を白黒させながらも大人しく食した ﹁⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮﹂ のが俺は好みです 先手必勝。ザンザスの口に卵焼きをお届けしました。因みに甘い !? 何しやが﹂ 閑話休題 ﹁お前 ! 62 ! !! !! ﹂ ﹁旨いか ﹁は ﹁旨いか な﹂ ﹂ なんてったって俺の姉さんの作った料理だから ? ﹂ ! ﹂ ? りと呟いた しをしていると、いつの間にやら隣に並んでいたザンザスがそうぽつ なんてそう遠くない将来に実感するだろう甥っ子に生暖かい眼差 ﹁⋮⋮胸やけするほどここは居心地がわりぃな﹂ こんなもんじゃないんだぜ ごめんな、ツッ君︵俺︶。でもアレの怖さも目つきの悪さもまだまだ なった みがデフォルトな︶ザンザスが怖いとツッ君が泣き出したのでこう は俺とツッ君の位置は逆だったのだが、最後尾にいる︵俺に対して睨 順番的には母さん、ツッ君、俺、ちょっと離れてザンザスだ。最初 けにしろ。それなら許す︶ は一緒であった。おい待て成長期、お前これ以上成長するなら座高だ いた。︵この時気付いたのだが、ザンザスの足の長さと俺の足の長さ 楽しいお食事タイムも終了し、俺は改めて着替えて階下へと降りて *** 昼食を味わったのだった そのまま俺はツッ君と︵あと時々ザンザス︶一緒にお喋りしながら もその掌に炎が灯ることはなかった。ふぅ、一安心 そして後は放置。毒気が抜かれたようでめっちゃ顰めっ面ながら ﹁ん、ツッ君は何食べたいんだー ﹁⋮あ、あの⋮ひろにぃおれも⋮⋮ ﹁分かったんならありがたく食べとけ。俺の分だったんだからな﹂ い 怒るな∼怒るな∼。あ、今めっちゃ沈静化するために雨の属性欲し 旨いだろ 漸く食べ終えたザンザスが口を開いた途端に食い気味に遮り、問う ? ? 奇遇だな。俺もお前がこういう空気で暴れもせずに大人しくして 63 ? いるのは気味が悪いぞ。じゃなくて これって、コイツなりに戸惑ってるってことか でも、お爺さんと一緒にいる時みたいな⋮いや、あの人相 ﹁俺は結構ドライよ ⋮おい、なんだその信じて無い目﹂ をいく。よく今まで呑気に生きてこれたもんだ﹂ ﹁⋮⋮テメェも甘っちょろい人間だと思ってたが、こいつらはその上 目が口程に物を言うを此処まで実現するのはコイツ位だ 因みにそんな俺の言葉に無言で肯定してくるザンザス ﹁⋮⋮﹂ たけど。マフィアのボスだし 100%ではございません。⋮⋮いやまぁそんないい人でもなかっ 今のあの人は単なる狸爺です。前の時みたいに優しさオンリー善人 そ う 思 い つ つ 九 代 目 と 一 緒 に い る 時 を 思 い 浮 か び ⋮⋮ 訂 正 し た。 手だと結構腹立つもんな﹂ ﹁⋮ふーん ? えだけを持ってるわけないだろー 俺以上にドライな人はいっぱいいたけどさ︶ ︵⋮⋮そりゃ、骸とか雲雀さんとかリボーンとかお前︵ザンザス︶とか ? 仮にもマフィアのボスとして数十年いたんだ。いつまでも甘い考 ? コール同一人物と思える人間の方が少ないだろ ﹁まぁ、お前がどう思おうが関係ないけどさ﹂ なんて密かに拗ねつつ、気にしないふりで言葉を続ける ﹂ ﹁もし、お前が俺のこの幸福を壊そうってんなら、覚悟しろよ ﹁っ ﹂ ? 思ってたのか てくれると いざとなれば反撃すらしないと そんな訳ないだろう 何をやっても許し ? ﹁覚えておけよ、ザンザス。お前が俺の大事なもんに手ぇだそうって ? ? ? ⋮⋮ そ こ ま で お 前 に と っ て の 俺 は い つ で も カ ッ 消 せ る 相 手 だ と ンザスの身体が目に見えて強張る 初めて、俺が︵一般人並みとはいえ︶殺気を向けたからだろう。ザ !? 64 ? だが、それこそこの目の前にいる幼き頃の俺と今の俺を見て、イ ? んなら、俺はお前を殴り飛ばすからな﹂ ﹁⋮⋮っ﹂ ま、尤も俺がやるよりツッ君がやりそうだけど。コイツの盛大な反 抗期って、結局ゆりかご事件とリング争奪戦だけだし。俺︵というか 沢田家︶に関係するの後者だけだし ﹁⋮⋮﹂ ⋮⋮それに、こんな〟事情も知らない一般人〟の脅し程度で、コイ ツのアイデンティティでもある憤怒を損なえるとは思えない どんなに時間が経っても、理解する人間がいたとしても、止めてく れる者がいたとしても。ザンザスは、騙されプライドを傷つけられた ことを決して赦しはしない 誇り高き憤怒の暴君なのだから *** と てなことを考えて︵後ろからの妙な空気はスルー︶いると、あっと いう間に居間についていた。今日の夕飯はハンバーグだからね 喜々として言う母さんが︵後ろと対比して︶眩しいナー ﹂ ﹁お、宙起きたみたいだな。昨日はいきなり跳び蹴りされたからビッ クリしたぞ 念。そっちで二人だけでお話しててよ面倒くせぇ ﹁いやいやこっちこそ、昨日は悪かった。徹夜続きで錯乱してたとは いえ、随分な態度とっちゃったみたいだし⋮。お爺さんも、久しぶり でしたのにすみません﹂ ﹂ おいこら後ろのザンザス。気色わりぃな⋮とか呟くなぶん殴るぞ ﹁はっはっは、気にすんなってことよ でもブラック企業ならぬブラックマフィアのボスとその2番目が ﹁肝に銘じます﹂ よ﹂ ﹁家 光 の 言 う 通 り だ ね。若 い か ら っ て あ ま り 無 理 を し ち ゃ い け な い ! 65 ! なんて思ってると、いやぁなお二人から声かけられちゃったなぁ無 ﹁やぁ宙くんおはよう。昨日は挨拶できなくてすまなかったね﹂ ? いうことじゃないよねー。上はともかく、下はかーなーり悲惨だよ ねー ヤクとか人体実験とかまでは行ってないけど⋮そこまで堕ちきっ てはいないものの、日本の法律にあてがったら確実に引っかかるだろ う ﹂ て ﹁ふふっ、なんだか私も宙くんみたいな家族が欲しいねえ。どうだい ﹂ ザンザスの兄として養子に来ないかな ﹁きゅ⋮何をっ とか思ってたら爆弾発言キター 家族枠 いつもどおり傲岸不遜 しかもまさかの勧誘内容が部下とかじゃ無くて養子 いうかザンザスのあーにーぃー ﹁は⋮っ⋮お前、が兄だな⋮て⋮⋮⋮﹂ おいコラザンザス、お前なに動揺してんだ に鼻で笑い飛ばせよ !? ? もしもーし 俺、貴方と仲良くした記憶は今回全くありませんよー 思っていたんだ﹂ しっかりした青年なら是非とも息子⋮は無理でも仲良くなりたいと ザンザスも宙くんといるとよく楽しそうだし、私としてもこんなに ﹁いやねえ、2年前に仲良くなった時からずっと考えていたんだよ。 !? !? 一方的に近づかれた︵しかも下心あるよね、多分︶記憶しかない ? ですよー ﹁⋮⋮﹂ イコール、会話に気付かれることはない ﹁⋮⋮あのですね﹂ 俺は服を掴んでひろにぃどっか行っちゃうの ? とうるうるしているツッ君を撫でることで気を静め ? どうしようもな ? いですけど⋮。でも、俺はイタリアのあのお城に連れて行かれた時か 光さんはもう姉さんの夫で、俺の義兄なわけですし ﹁俺は正直、貴方たちとお近づきになる気はないんですよ。そりゃ家 ながら努めて冷静に口を開く と会えないの おれ、もうひろにぃ ちらり、と背後を窺うと母さんはまだ料理に夢中の様子 ? 66 !! !? !? !? ? ? ら、アンタたちが少なくとも俺から見て、真っ当な仕事をしてる人間 じゃ無いんだろうなって感じました﹂ あー、くそ。知らないふりしてられればよかったのに⋮。口調も思 わず荒くなっちまった ﹁俺 は 至 っ て 庶 民 的 な 人 間 で す。豪 華 絢 爛 な 衣 食 住 も 権 力 も 要 ら な い。あれだけの地位を築くなら、その分犠牲も多いはずだ。そしてそ の犠牲に、姉さんたちが巻き込まれないとは限らない。⋮⋮本音を言 ﹂ うなら、お爺さんと上下関係にある家光さんだって離婚届を今すぐ承 その話はもう終わったんじゃ 諾させたいくらいですしね﹂ ﹁ちょ、宙 けど、それだけじゃないはずですよね あの城にいる連中は、明らか ﹁お爺さん、貴方は俺が欲しいと⋮ザンザスを理由にして言いました レであろうと敵とみなすぞ ザンザスにも言ったけど、この平穏を壊そうって言うなら俺はボンゴ けど、今回わざわざ九代目自身がこちら側に踏み込んできたんだ。 !? と問うてみる。 ? ﹁⋮⋮ は は っ す ま な い、気 が 急 い て し ま っ た よ う だ。今 の 話 は な ある限り⋮きっと 結局、そこだけは変わらない。変われない。俺︵宙︶が俺︵ツナ︶で くのは嫌なんだよなぁ るかと思ったけれど⋮⋮⋮でもやっぱり、大事な人が、家族が、傷つ 前は叶わなかった、一般人として生きる道。今度こそは、叶えられ それは嫌なんだけどなぁ⋮ それによって今後の動き方も変わってくる。変わって⋮しまう 知られてるとなったら、超直感が教えてくれるはず ここで腹の探り合いをして⋮⋮もし、この時点で俺が不利な情報を バッサリと、裏があるんじゃないのか 言葉を、善意100パーセントだけで頷けるはずがない﹂ に貴方をトップと認識してた。だったら、そんなトップの人間のいう ? く笑う そう僅かに自嘲してそれでも覚悟していると、不意に九代目が明る かった事にしてくれ、宙くん﹂ ! 67 !? そして謝罪の言葉を言ってくれたわけだけど⋮。穏やかに、じゃな くて明るく、な時点で老獪な印象しかしないんですがー、ヤダー 軽くうんざりしながらも、九代目ってこんな人だったっけー、と遠 い在りし日に想いを寄せてしまう あ、やっぱこんな人だったかも。十代目正式就任祝い、とか言って ボスだけが知ってる秘密の抜け道︵書類逃亡用︶を嬉々として教えて くれたのこの人だったあっはっは⋮⋮⋮笑えない ﹁ハッ⋮こっちこそ、テメェみたいな甘ちゃんが兄だなんてお断りだ﹂ ﹂ つるまない そんなお前が と、そこで。ザンザスが嫌そうに眉根を寄せながら俺を睨んでそう 言っていた うっわ ﹂ 俺もそう思う ﹁ありがとうザンザスありがとう カス 慣れ合わない ⋮手ぇ握るんじゃねえ 離せ ﹁ これでこそザンザス ! 閑話休題 出来れば以後関わりなく ﹂ ﹁と い う 訳 で ザ ン ザ ス も こ う 言 っ て ま す し、俺 は 貴 方 の 養 子 に は 絶っっっ対になりませんから ! し ﹁ああ、分かっているよ﹂ てめっ⋮勝手に⋮ ﹁な⋮ それは⋮ ﹂ ﹂ まさかーありえ お前さっき自分で言ってたじゃ に宣言しておく。流石にサムズアップはしない、不敬罪になりそうだ そんなこんなでテンションが上がった俺は、良い笑顔のまま九代目 ! もしや俺と本気で兄弟になりたかったとか ? ! なんでザンザスが口挟む ﹁う ん ﹁⋮っ え ! ん﹂ ! なーい ? ? ? !! 68 ! 寧ろそのまま孤高の浮雲⋮あ、いかん混じった。お前は憤 !! 怒の暴君だ 大好きさ ! ! ! ! !! ! ! !? ﹁∼∼∼っとりあえずカッ消えろカス ﹂ ﹂ ﹁っていきなり拳を握りしめるな振りかぶるな ああああ ﹁避けんじゃねえ ﹂ ま、いきなり何しやがる あぶねぇだろうがぁ なんて呆けていると、突然ザンザスが上記の行動を起こした。お ! !! ﹂ 本日二度目。母さんによる爆弾発言が投下され、俺とザンザスがぴ ﹁あらあら、ひー君もザン君も仲良しねえ﹂ おいなんで止めないんだ︶と ずに︶、理不尽な暴力に抗議している︵因みに九代目と父さんは傍観。 なんとか一般人枠で避けつつ︵超直感仕込みの運のよさ演出も忘れ ﹁当たったらいてぇだろ !? !? ! たりと動きを止めたのは言うまでもない 69 !!! 気 づ い た ら 初 代 が 祝 わ れ に 来 て ま し た。⋮ 謹 賀 新 年 えー、皆様あけましておめでとうございます。俺は今、毎度の如く 父さんが仕事の都合で不在のため、母さんに乞われて沢田家にお邪魔 しています ﹂ ﹁あけましておめでとう、ひー君。今年も宜しくね﹂ ﹁あけましておめれとー、ひろにぃ きながら俺たちを見てるなんてそんな光景知らないよ ﹂ ﹁という訳ではい、お年玉だよツッ君﹂ ﹁ありがとーっ、ひろにぃ ? 俺に似た顔で金髪の豪華なマントを着た人が、空中にプカプカと浮 見てない見てない。俺はなーんも見てない ︽む、目があっていて視線を外すとは酷いではないか、宙よ︾ をずらしてツッ君へと目線を合わせる 行儀よく向かい合わせで挨拶しながらフ、と俺はある人物から視線 ﹁うん、あけましておめでとう、姉さん、ツッ君﹂ ! ﹁まぁ、ひー君ったら。安全祈願のお守り嬉しいわ﹂ ﹁あとこれ、よかったらだけど姉さんにもお年賀どうぞ﹂ 度は母さんへと向き直る そんな事を思いながら、たーっと駆けていったツッ君を見送り、今 聞こえない聞こえない。俺にはなーんも聞こえない ︽⋮⋮ふむ。やはりデーチモは愛らしいな︾ いる。ごめんね、経済力の無い伯父で らいの時あったけど、ツッ君にはないので、喜ぶものを適当に入れて なにせツッ君にお金という概念が無いからなー。ランボはこんく ﹁おもちでまいてたべるーっ﹂ せていた。うむ、可愛い。中身はお金じゃ無くて単なる味海苔だけど そしてお年玉袋にいれたものを手渡すと、ツッ君はとても目を輝か ! 70 !! そして母さんに渡すのは来るときに神社で買ってきた安全祈願の お守りだ。神頼みでもいい。母さんには平穏を贈りたい ﹂ ﹁それじゃ、お雑煮よそってくるから待っててね﹂ ﹁うん、手伝わなくて大丈夫 ひろにぃ⋮ ﹂ !? これ ﹂ !? 貴方の場合、死んでも魂が残ってるだけで長生きじゃないでしょう ︽そこはほれ、俺はこの通り長生きだからだな︾ くひょい、と肩をすくめて笑った リーモへじとりとした視線を送る。すると相手は気を害した風もな そう謝罪しつつ、諦念の思いで声のする方向の人物││ボンゴレプ ⋮驚かせてすまん、ツッ君 んを落とす なかったのだ。隣でおせちを堪能していたツッ君が驚いて栗きんと 思わず、魂レベルに沁み込んでしまったツッコミが内心に抑えきれ ﹁ふぇっ ﹁⋮っっなんで初代様がそんな漫画のネタ知ってるんだよ ︽いかんぞ、宙よ。諦めたらそこで試合終了だというだろう︾ もしれない なんて、僅かに遠い目になって意識を逸らしたのが敗因だったのか ﹁ん、りょーかい姉さん﹂ ﹁ふふっ、平気よ。その代わりツッ君を見ててくれると嬉しいわ﹂ 穏ないとかどっかで諦めてね ⋮⋮⋮ヤバいなー、俺。この考えって去年のザンザス訪問でもう平 ? ? まぁ、プリーモがこういう態度を見せるのは身内だけって知ってはい るけどさ。そりゃあボスがこんなお茶目さんだなんて、部下に示しが つかないもんねえ ︽ふむ、さすが世界が違ってもデーチモなだけはあるな。そうだ、俺た ちはアクマでボス、上に立つものだからな。それなりの威厳がなけれ お前 この ! 自由人に ! よく従ってた ばならんと⋮⋮よく霧がくどくど言ってきおった。姑か、全く︾ ディモォオオオオオンン !!! !! 71 !? も う や だ、こ の プ リ ー モ。狸 爺 の 祖 と さ れ る に 相 応 し い よ。い や !? な いやだからこその謀反か 甘いプリーモが嫌だとか言ってたけ ⋮⋮⋮⋮仕様のない奴 ヤバい、俺も今物凄く賛同し なんだ、俺とやりあいたいというのか 内心でかつての敵に猛烈に同意していると、空中にいる初代様がバ だ、心を込めて相手してやろうぞ︾ ︽む たい ど、こんな自由人だから反抗したのか !? あんた〟やる〟の内容勝手に脳内変換してな サリと優雅にマントをからげて両腕を広げた おい⋮⋮⋮⋮おい いか !? ﹂ ? 現実逃避 ナンノコトデスカネ ? ﹂ ︽お、起きたか︾ ﹁う⋮ だった なるだろうけど︶で眠ったのちの日が出た│││所謂、元旦の朝の事 屋を沢田家に作っている。とはいえ確実に将来ツッ君︵俺︶の部屋に も自分の部屋︵何だかんだで来ることが多いので、母さんが俺用の部 それは、年越し蕎麦を食べて母さんたちが寝たのを確認した後に俺 *** ん 入ってみようと思う さて。ここまでで戸惑った方もいるだろうと思い、ちょっと回想に な顔をしているツッ君の口元へ黒豆を入れる。勿論誤魔化すために ︵独り言を言っているようにしか見えない叔父に大して︶不思議そう 俺 は 打 ち ひ し が れ る ポ ー ズ を し た プ リ ー モ を 視 界 か ら 追 い だ し、 ﹁あーん﹂ ﹁なんでもないよー。ほらほらツッ君あーん﹂ ﹁⋮ひろにぃ じゃなくて むしろ当然だ ︽何故だ︾ ﹁あ、ノーサンキューで﹂ !? ? ? 72 ? !? !? ? !!! ﹁﹂ 目が覚めると、金髪バージョンの自分が寝転がってる自分の真上に !? いました☆ ていうかぁ ! ﹂ ていうか ? !!!?? 目の前の人が俺がハチャメチャな人生送るハ 、⋮⋮だれ、ですか ⋮⋮なんでだぁあああああ ﹁⋮っっ いや知ってますよ てますよ でも いるんデスカ 何で そんな人が目の前に ! ふわふわ ! 浮いて ! メになったすべての元凶│││ボンゴレプリーモだってことは知っ !? !? !? ﹁⋮⋮っ﹂ !! だからな︾ ? ﹁え プリーモ 今なんて⋮ ていうか何で ﹂ !? 俺の再来とまで言われたブラッド・オ デーチモが40代という早すぎる若さで死んだ ? 時、子供がいなかっただろう ? ︽覚えておらぬのか なんかサラッと聞き逃せないこと聞いた気がするんだけど えええちょっと待ってちょっと待ってちょっと待ってぇえええ ? 瞬間、間抜けな顔になったのは許してほしい。じゃなくて ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮は ﹂ ︽なに、簡単なことだ。そもそもデーチモをここに連れてきたのは俺 落として下さった すると、俺の疑問にプリーモは優雅な笑みを浮かべて特大の爆弾を たんだけど⋮ のようなもの。であれば、知られるとすれば白蘭かユニかなと思って 明らかに俺がデーチモとしていた世界のことはパラレルワールド が横の時間軸のこと知ってるんですか﹂ ﹁⋮っはぁ。お久しぶりです、プリーモ⋮⋮なんで縦の時間軸継承者 レてるやーん⋮ アウトぉ これ完全に俺が沢田綱吉︵ボンゴレデーチモ︶だってバ ボンゴレに戻してくれたお前を忘れたことはないというのに︾ ︽⋮ふむ、忘れたフリとは酷いではないか。俺は一度たりとて、始めの ! ? 73 !? ! !? !? ? ブ・ボンゴレの血を此処で絶やすのも勿体ない。何より俺たち歴代の ボスは皆デーチモの事が気に入っておった故、こうして最終奥義で時 間を巻き戻してやったのだ︾ てかやっぱり俺あっちで死んでたんだ イヤマァもう ﹁待 っ て。イ ロ イ ロ 待 っ て。ち ょ っ と 理 解 も 感 情 も 追 い 付 か な い ん で﹂ それ理由 ? じゃあ何 この不可思議現象ってプリーモたちによる⋮﹂ ? ﹂ 作戦名ェ⋮となった俺は悪くない。⋮ってか ﹁何考えてんですかあんたらぁあああああ なに俺のために最終奥義とか使っちゃってんの ですよね完全に だって仕方ないじゃん というか歴代ボ でも内容って要は 安全のために我慢 下手に手を出して妊娠したらそりゃあ嬉 しいけどいつ抗争が起きるか分かんなかったし 京子ちゃんが俺の弱点なのは結構バレテルし、狙 !? てたんだよ││ なんとかなるだろう︾ ﹂ まさかのそんな理由 ﹁死角なしですね嬉しくねえ まさかの られちゃったよ !! !! ﹁てかそんな理由だったんならなんで今まで説明に来なかったんです !! 俺のダメダメさに保証までつけ ブ・ボンゴレを付けておいたからだ。これでもしどちらかが駄目でも ぜ今も超直感やら死ぬ気の炎があるかといえば、宙にもブラッド・オ ︽ついでに今のデーチモ⋮ふむ、紛らわしいから宙と呼ぼう。宙にな !! うならか弱い女子って︵胸糞悪いけど︶常套手段だから神経とがらせ してた俺偉くない ! ! !! 俺が京子ちゃんと付き合って子どもを産んでもらうために恋愛ゲ│ スが力を合わせると逆行できるんだ、スゴイナ│ !? ! !!? !! ︵ツッ君︶を上手く育ててみせるのだ〟という作戦だ︾ ︽そうだ。〟デーチモよ、子供を作れ。子孫繁栄万歳。その為に自分 ﹁え なーって思うくらいだけど よく考えなくても発見した後が阿鼻叫喚で後始末大変だったろう こっちの生活に慣れちゃったしそこはいいけど ? ! 74 ? か 機会は認めたくないけど結構ありましたよね ﹂ ﹂ !? そりゃ説明されてもされなくても今後の ︽疲れ果てて寝ていたのだ︾ ﹁流石お爺ちゃん そんな理由でアゲイン !! ですか 元旦早々 ﹂ ? ﹂ ? と胡乱げに眺めていると そして冒頭に戻る 酷く愉し気にそう笑う初代様がいらっしゃったのであった が見えておらん。故に宙に祝ってもらおうかと思ってな︾ 本部にいてもノーノは新年のあいさつで忙しそうにしていて、第一俺 ︽前に伝えていなかったか 一月一日⋮元旦は俺の誕生日だ。だが、 一人脳内ツッコミをしながら、じゃあ何しに来たんですかアンタ、 ナー。⋮んな訳ないない 本 日 二 度 目 の 脳 内 停 止。今 年 一 年 は 退 屈 し な さ そ う だ ウ レ シ イ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮は ︽いや、違う。祝われに来たのだ︾ は 素でいられる相手に対してはとことんマイペースなのだ、プリーモ この人に自主的に話の続きを促すという事は無駄だろう 盛大に溜息をつきつつ、次の質問をする ? ﹁はぁあああ∼∼∼⋮⋮それで、今になってようやく説明しに来たん 行動はそう変わんないけどさ ! ? 75 !! !? 気 づ い た ら 海 の 大 空 と ぶ つ か っ て ま し た。⋮ う げ っ やってしまった それが今、俺の心中を占める感情だった 時間にしてほんの数分前。けれど、中々に致命的なミスを俺はした *** ドンッ ﹂ そんな、軽い衝撃を体に感じるとは反対に、心に来た衝撃は中々の もの ﹁⋮っScusi 簡単だ。ぶつかった少年に、も ? とかとにかくやったらめったら綺麗な顔だち。 ? どうして たらしい なんで マフィアなの ! ﹁⋮⋮っっ﹂ ? 白蘭は後になってマフィアになるタイプ つまりは今の内 今までは確かに全員マフィアだった。だが 俺結構気を付けてたつもりだったのに イタリアに来ただけでなんなのこの遭遇率│││ !!! しいことに、⋮⋮⋮⋮⋮白蘭の幼少期である少年にぶつかってしまっ ここまで言えばわかるだろう。俺はどうやら、よりにもよって、悲 ない全身白系の服装 さ。そして極め付けというか、ある意味こいつを象徴するこれ以上は 猫みたいな目をしていて、本当に男かよって思いたくなるまつ毛の長 幼いながらもV系 どこかぼんやりと〟気にしないで〟とだけ言う白髪の少年 ﹁⋮⋮Non fa niente﹂ んのすごぉおおおおおく見覚えがあったからだ るのに必死だった。どうしてかって 咄嗟に謝罪したものの、俺は内心の動揺を外に漏らさないようにす ! い、いやいや落ち着け しかし !! !!? ! ! ! 76 !? に方向修正しておけばいろいろと大丈夫なはず くね││││││ でも正直関わりた !! ﹂ ﹂ あの白蘭︵何を考えてるかよく分からな ? それも表情をどこかに落としてきたような⋮⋮⋮いや、これはつま い男だったけど︶が、生気の無い目でこっちをぼんやり見てくんだぞ イヤだって、誰が思うよ 途端、思わず目を見開く ﹁っ に思って膝を折り、白蘭に目を合わせた俺だったが⋮ 未来の白蘭を知る俺としては、非常に不気味で⋮ある。だから怪訝 ﹁⋮ 一言もしゃべっていない それどころかこの白蘭、ぶつかった時の俺の言葉に返したっきり、 と気づく ぶつかった少年︵白蘭︶がいつまで経っても身じろぎしないことにふ 俺は、胸中にてもんのすごぉおおおおく葛藤した。が、そこでふと、 !!! らなそうにしている、のか⋮ 正直、俺は白蘭が苦手だ。何考えてるか分かんないし、笑いながら 誰かを傷つけることに躊躇いが無い部分も、理解できない 骸も雲雀さんも、何だかんだで行動は分かりやすかった。でも、白 蘭はどこか2人とは違う だからだろう。俺はいくら味方にすれば頼もしいと知っていても、 プライベートで白蘭と会うのは物凄く苦手だった。ぶっちゃけ、ユニ が同席してなかったら心から遠慮していた。⋮っと、話が逸れた ︵⋮甘いも 兎にも角にも、俺は白蘭が苦手だ。プライベートであれば会うのは 遠慮したいくらいに苦手だ。苦手⋮⋮だけれども ﹂ ﹁ragazzo︵少年︶﹂ ﹁⋮ ︶﹂ ﹁⋮Fare le cose dolci come のは好きか だからって、こんな死んだ能面みたいな顔してる子供を放っておけ ? ? ? 77 ? !? あまりの予想外な表情に、思わず眉根がよる ? ? ︵⋮うん⋮ る性分じゃない ﹁⋮si⋮ Iro aspettare un ︶﹂ ﹁O cos .⋮Cos ì ? ﹁S , fatto aspettare︵ほい、おまたせ︶﹂ ﹂ d i v e n t a t o u n a s e n s a z i o n e ﹁⋮⋮っdelizioso⋮ ⋮⋮うん ︵美味しい⋮ ︶﹂ ! しいもの、初めて食べた⋮ ︶﹂ iato per la prima volta⋮ ︵こんな美味 ﹁Q u e s t a c o s a d e l i z i o s o, h o m a n g ! うなオーラを出しながらもマシュマロに口をつけた 思わず遠い目になりながらも再度促すと、白蘭は何故か戸惑ったよ える リボーンの横暴、骸のチョコレート⋮とにかく、確実にそれだけは言 獄寺君の忠犬、山本の天然、了平さんの極限、雲雀さんの咬み殺す、 訳がない そりゃあもう確実に。お前が白蘭ならばこの菓子に食いつかない るから︶﹂ felice︵とりあえず甘いもの食べてみろ。幸せな気分になれ o r a g i a r e q u a l c o s a d i d o l c e. E a l l ﹁P e r o r a, h o i l c o r a g g i o d i m a n のだけど ばいい、がミルフィオーレの慣例になった、と聞いたときは笑ったも 様子がおかしい白蘭がいたらとりあえずマシュマロを与えておけ ﹁⋮⋮ 耳タコができるくらいには言われている んで、勿論かったのはマシュマロ。白蘭といえばマシュマロだと、 ì 択だから楽だよな ジェラートのお店に行く。こういう時、骸と白蘭は好きな食べ物が一 俺はいきなりの質問に戸惑う白蘭の頭を数回撫でて、近くに在った po ︵そうか。⋮じゃあ少し待ってろ︶﹂ ì ? è è ? ! ! 78 ? ⋮⋮んんんっ あっれ、もしかしてコレ、俺が白蘭がマシュマロ厨 になる原因になっちゃった系 ? 俺はその瞬間、やってしまった感が半端なく胸中に広がっていたの だった 79 !!? ﹂ 気づいたら夜が明けてました。⋮んん゛っ その日の夜 ﹁ぷはーっ、食べた食べた !? なんでホテル内で食べないのかって ところで適当に腹を満たしていた え ? もおかしくないし 超直感駆使して逃げ切って見せますよ イタリアだし、ザンザスとか九代目とかボンゴレ関係が徘徊してて 知ってんだー、こうゆう時にフラグって回収されるって 速足駆け足で進む俺 暗闇の路地、というのはいかにもーなトラウマが蘇ってきそうなので ついつい、お店のおっちゃんたちと話が盛り上がってしまった。薄 ﹁しかし⋮ちょっと遅くなっちゃったな﹂ に明るいし この辺りは俺が前に留学していた頃の場所なので地理にはそれなり それくらいなら多少歩いてでも安いとこで食べた方がいい。幸い、 結構金かかるんだよね ⋮⋮あーゆーとこって うっかり引きこもりすぎて夕食を頼み忘れた俺は、ホテルから近い ! ドンッ ﹁あ、すみませ⋮ ﹂ と思ったらめっちゃ見覚えある顔 ﹂ ﹂ ﹁こっちこそ⋮あっ ﹂ なんかぶつかったー ﹁ひ、ヒロシくん ﹁あああアリアっ !? よ︶しまうが、それくらい驚いた なにこの今日のミルフィオーレ遭遇率││││ 俺は内心で悲しみに満ちた絶叫をした の気配を探るような動作の後、パシ、と俺の腕を握ってきた しかし、予想外の再会に驚き固まるのも数分。突如、アリアは背後 !!? 思わず指差して︵人に指差しちゃいけないよ。リボーンに折られる !! そんな訳でめっちゃ警戒しながら気を張ってたんだけど⋮ ? !? ! !? !? 80 ? わ、分かった ﹂ ﹁すまないけどヒロシくん、ちょっと匿ってちょうだい ﹁え ﹂ ! これ ? ﹂ わわっ、ちょっと待って ﹁⋮こっち ﹁え ﹂ ルが目前、というところまで近づいたときだった 今でも変わって無いらしい。そんな自分に少し苦笑しつつ、もうホテ ネタの一つとして持ちだされることが多かったけど、どうやらそれは 頼まれたら断れないランキング、第一位。よく、皆で集まった時に なぁ⋮︶ ︵⋮⋮⋮ こ ん な だ か ら、フ ゥ 太 の ラ ン キ ン グ に 載 せ ら れ る ん だ ろ う 俺なんかを頼ってきたアリアの様子を見れば、否やは言えなかった でも、そうだとしても。あそこまで必死に、一度しか会っていない マフィアという、一度はまれば逃れられない人生に 以上関われば、それこそ芋づる式に巻き込まれるかもしれない もし、アリアがマフィアの誰かに追われているのだとしたら さを求めたあまりだが、そんな事実が今ばかりは恨めしくもある ここで繰り返すが、此処からホテルまでは実は少し距離がある。安 向かう その必死な様子につい頷いた後、咄嗟に俺が泊まっているホテルへ ! ⋮ ﹂ ﹁⋮⋮こ、行っち⋮ったんだ⋮⋮ス ﹁こっちにはいねえよ⋮⋮ぞ ﹂ ﹁⋮⋮あのー、アリア ﹁あら、なぁに 一つ聞いてもいい ﹂ そこで、聞こえてきた声に、むくり、と疑惑が首を ! い⋮⋮よね ﹂ ﹁もしかして⋮家族とか、心配してくれる相手から逃げてたりしてな ? もたげる。これってもしかして⋮⋮ ? ? ? ⋮⋮⋮んんん ! ﹂ んだな、と理解すると同時にこちらも警戒を引き上げてた、んだけど リア。しかもかなり警戒した様子で⋮本当に何者かに追われている ふと、ホテルの正門がある大通りではなく裏通りへと道を抜けるア !? ! ? 81 ? ? そんなまさか。ユニのお母さんのアリアに限って。微かな希望に 掛けてみるが、だがしかし。アリアは暫しだけキョトンとした顔をし ﹂ たのち、にっこりと微笑んだ ﹁⋮⋮あら、バレちゃった その瞬間、俺は思いっきり現実逃避をしたくなったのだった *** 目に沁みる眩しい日差し。爽やかな初夏の風が寝起きの身体をさ らりと撫でて。ぐわんぐわんと激しく自己主張する頭痛と共に視界 には転がった酒瓶が見えて ││││││うん、一つ問おう。 何 が 起 き た ﹁待って待って待って⋮ ﹂ がくり、とベッドの上で顔面を両手で覆いつつ、必死で昨夜の状況 を思いだす 昨日、夕飯を外で食べた帰り道、偶然アリアと遭遇した 。│││ OK,ここまではいい 何やら追手に追われているらしく、必死な様子のアリアに言われそ のままホテルに匿う流れに。│││OK,ここまでもあってる しかし、追手の台詞に違和感を覚えアリアに質問すると、実は自分 のファミリーから逃亡中なだけだったとかで脱力した。│││OK, ﹂ ここまでも覚えてる ﹁それで⋮⋮⋮ あれ、何があったんだっけ に疑問が湧き上がって⋮⋮ 確か脱力したのと同時に安心して、次 ﹃⋮分かってるの、これが私の選んだ道で、運命だって。だけど⋮ね、 折角会ったんだしと言わんばかりに晩酌が始まって⋮ そうだ、思いだした。結局、アリアの逃亡に付き合うことになって、 ﹁⋮⋮あ﹂ そこまで考えた瞬間、ふと脳裏に昨夜のアリアの声が蘇る ﹃⋮少しだけ、期待されるのに疲れちゃってね﹄ ? 82 ? !? ? と、そこまで考えて記憶が曖昧なことに驚く ? ⋮ちょっと疲れちゃったのよ﹄ 見たことも無い︵といってもまだ会って二回︶ほど弱々しい笑みを 浮かべたアリアがそう語り始めたんだ 勿論、どれだけ酔ってもアリアはマフィアのマの字も出さなかった けど、この年で一ファミリーを率いるという重圧にアリアが疲れてい るのは容易く見て取れた 考えてみれば、アリアと言いユニと言い、その細い体に凄まじく重 い運命を背負っている 短命の呪い付きである大空のアルコバレーノとしての運命、歴史と 伝統あるマフィアのボスという重責、他人の、仲間の、自分自身の未 来を知りながら思うように行動できないという柵 どれ一つとっても、重いものだろう。俺は精々ボンゴレのボスとい う地位しか受け継がなかったけど、これだけのものを抱え込んでいか なくてはいけないアリアの苦労はどれほどのものだろう ﹄ アリアの守りたいものはないし、俺に出来るのは︵晩酌に︶付き合う ﹄ くらいだけど⋮好きなだけ、弱音を吐いていい﹄ ﹃ヒロ⋮シ⋮くん⋮ ﹃⋮⋮っ、そうね⋮ ﹄ どうせアリアがこれから言うこ お酒の上の戯言だもの⋮ ともぜーんぶ酔ってるから忘れちゃうしね﹄ ? ﹃そうそう。アリアの単なる独り言で、俺は何も聞いてないからさ﹄ ! せ2回会っただけの殆ど他人だし ﹃いっぱい溜め込んだもの、出しちゃって構わないよ。ほら、俺はどう ? ! 83 俺のようにリボーンといった先人役はいない。俺のように最初が ダメダメだったから、ダメ元で行動⋮なんてのも出来ないだろうし それに俺自身、 ︵自分で最終的には決めたとはいえ︶ボス業で感じる 無性な倦怠感には嫌ってほど身に覚えもあった。 だからだろう だから必死で⋮頑張ってるんだよね ﹃⋮よく、分かんないけどさ。アリアは⋮それでも守りたいものがあ るんだよね ? ﹃頑張って頑張って⋮疲れちゃうのは仕方ないよ。だから、ここには ﹃⋮⋮っっ﹄ ? 気が付けばそんな会話をして、くしゃくしゃに顔を歪ませるアリア めっ に気付かないふりをして、ただ交互にお酒を飲みほしていって ﹂ なにゆってんの俺ぇええええ 酔ってたとはいえこれ でも問題はそ ていうか何にも知らない一般人がうっかりそっちの世界に 羽ばたいちゃいそうじゃんあっぶね│││ いやまぁ実際アリアの弱音は覚えてないんだけど こでは無くて ﹂ そりゃアリアが俺の︵借りたホテルの︶ベッドで寝るのはいいよ 俺はとうとう現状一番の謎について突っ込んだ ﹁なんでアリアと俺、同じベッドで寝てんのぉおおおおお ! は酷い !? ﹁⋮⋮あぁあああぁああ∼∼∼∼ う わ ぁ ⋮ な に や っ て ん の !!! ちゃ恥ずかしい台詞のオンパレードじゃん ? んなまさか なんで俺が一緒に同衾してるかなぁぁああああ 俺実は夢遊病の気があったとか ! ! お ていうか記憶ない え、えと⋮ カムバック俺の記憶力 ハイ、オハヨウゴザイマス⋮ ﹁⋮⋮ん、おはよぅ、ヒロシくん⋮﹂ ﹁へっ ﹂ ? ! とねヒロシくん﹂ ﹁ん∼∼、久しぶりによく寝たわー。本当、昨日は泊めてくれてありが アリアは、特に何かに焦ってるようには見えない そう思いながらも、 ︵困惑する俺に構わず︶起き上がってのびをする た。何故だ、解せぬ なんて内心めっちゃビクビクしていると、至ってフツーに挨拶され ? !!! を開けながらこっちを見ていて⋮え、あ、なんて説明しよぉおおおお それに驚いて隣を見ると、眠そうにしているアリアがうっすらと瞼 リアが睡眠の世界から戻ってくる気配がした 悶々と頭を抱えていると、俺の︵叫び︶声に︵当然のことながら︶ア ! だけど⋮だけど としては当然の措置だ だって女性だし、イタリア紳士としての教養マナーを叩き込まれた身 ? !!?? !! ﹂ え、何 ﹂ ﹁⋮⋮ん⋮ !!? ﹁わっ ? !? ? 84 ! !!! ! ? !? ﹁いやいやそれは別に⋮っていうかちょっと待ったぁ ﹂ !!! しかし思わずそのまま流されそうになるが咄嗟にストップをかけ ﹂ じゃなくてね !? アリア、今俺と君がどういう状態 る。というか何でアリアそんな平然としてるのぉ ﹁あら、どうかした ﹂ ﹁いやどうかした か分かってる ! ? ? もうちょっと危機感とかもとうよ !! ﹂ ? しかし ﹁寧ろそっちの方がよかったかな ﹂ 停止するかと思った マジで心臓 と続けて言われるがだが ? !! るでしょ ﹂ ﹁ダイジョブダイジョブ、お互い服着てるし、してたらなんとなく分か !! 朝の起き抜けに飛び込んできたあの衝撃と言ったら !? に私もそこに潜り込ませてもらったのよ だから先に貴方が沈没しちゃったことだし、ベッドに入れてついで ファで寝かせる訳にはいかないでしょう ﹁いくら泊まらせてくれるって許可は貰っても、まさか部屋の主をソ い笑みで見事にブロックされてしまう しかし、俺の世間一般的な常識のツッコミはにこりとした邪気の無 ﹁あら、だってベッドが一個しかなかったんだもの﹂ よ 2人とも服は着てるけどさ、同じベッドで男女が寝ちゃってるんだ !? ヤメテ ﹂ ﹁例えそうだとしてもなんか生々しいから女性がそういうこと言うの ? 事実はどうあれ同衾した時点で殺されるじゃん トまっしぐらじゃぁあああん 死亡ルー ! だのだった ︵何故か︶酷く愉し気なアリアとは対照的に、俺は再度、頭を抱え込ん !!! じゃん て い う か コ レ 絶 対 ジ ッ リ ョ ネ ロ の γ と か に 知 れ た ら 俺 殺 さ れ る !! ! 85 !? 気 づ い た ら 晴 の 兄 妹 を 助 け て ま し た。⋮ イ ロ イ ロ と 眩しい ﹁⋮ ﹂ 家へと向かっていた時だった それはツッ君の誕生日パーティに呼ばれ、手早く仕事を終えて沢田 !! ││ガッ │││││バキッ ﹁│││おにーちゃ⋮⋮ ﹂ ! ﹁あ゛ ﹂ ﹁って、やばい先公だ ﹂ あいつヤバいのと繋がりがあるって聞いたことがあるぞ ﹁こんなクソガキに構ってる場合じゃねえ ! ﹁∼ぐっ ﹂ ﹂ ﹂ ﹂ !? !! !! ﹁でっ ﹁だぁっ ﹁うがっ ゴンゴンッッ しかもこいつら、俺の学校の生徒じゃないですか、ヤダー !! ﹁逃 げ ろ ﹂ 蛛の子を散らすように逃げようとするが、勿論逃がすはずがない その光景を見た瞬間に、俺は怒鳴り声をあげる。途端に、不良が蜘 ﹁何をしているんだっっ﹂ こでは数人の不良が1人の小学生を袋叩きにしていた そしてススキ野原をかきわけて人気のない空地へと辿り着けば、そ ﹁ ﹂ 別に理由はない。ただ、超直感が警報を鳴らした 方へ行く じる。それを怪訝に思いながら、つられるように血の匂いの濃くなる ふと、平穏な街に相応しくない血の匂いが風に混じっているのを感 ? ﹂ ! ? !! 86 !! !! ﹁でぇっ ﹂ てなわけで問答無用で鉄拳を振り下ろし、地に沈める。前世の経験 しかも人質使うなん と超直感を駆使することで気絶はできないけどもんどりうつくらい の威力だ。しっかり味わえ ﹂ ﹁年下相手に多対一で情けないと思わねーのか てテメェらの男が下がるだけだろう !? 先公だからって偉そうにすんじゃねえ けど、これは明らかに質が悪い ﹁∼っるせぇよ ﹂ !! ﹁は⋮ ﹂ ﹁アンタ⋮先公のくせに⋮おかしいんじゃねーの⋮ ﹁誰が変人だ誰が﹂ ﹂ もあるし、訳もなくムシャクシャすることもあるだろう ホントに言葉ですむならそれでいいんだけどな。けど、反抗期とか 言葉ですむなら一番だがな﹂ 文句があるなら、気に食わないんだったら、まずは一対一でやり合え。 ﹁だからってなぁ、お前らのやってることは格好悪いにも程があるぞ。 敵意なんて可愛くなるんだけどね が飛んでくる。ま、尤もかつての強敵たちと比べたらそれこそ大体の すると相手の中でもイキがいいのか往生際が悪いのかそんな罵声 ﹁そのガキがムカつくのが悪いんだよ ﹂ 力を完全否定する気はない︵というか前世からしたら結構出来ない︶ そんなことを思いながら、ガッチリと説教は降らしておく。別に暴 !! !! ! こうやって年下の相手に人質使って 他人に迷惑をかけないのが基本だけど ﹁あとな、お前ら気づいてるか ﹁⋮あ⋮﹂ け││ 言うだけ言うと、俺は意識をそいつらから外して小学生組の方へ向 ﹁﹁⋮⋮﹂﹂ 負けを認めてんだ。その事をよく考えろ﹂ 袋叩きってのは、そうでもしないと勝てないってお前ら自身がすでに ? 87 !? それを発散する方法で、力任せを否定する気はねーよ。ただし極力 ? ? ポカン ﹂ きっとこの瞬間の俺は間抜けな顔だったに違いない ﹁うぐっ⋮京子⋮ぶじか⋮ ﹁う、うんっ⋮うんっ⋮﹂ いやでも同じ町で住ん だって、これまたものすごぉく見覚えのある顔だったからだ ⋮うわちゃー、白蘭に引き続きまたかー、 だったし ! いくら京子ちゃんといえ では今回でもその娘を嫁に迎えるのか みたいだし﹂ ︽ほう 言う奴か︾ ﹁⋮⋮ん゛っ ﹂ ど、こんな小さな子にそう言った感情は抱かないからね ちょ、流石にもう恋愛感情はないからね ふむ⋮光源氏計画と ﹁ううん、当然の事だから。それよりごめんね、少し待たせてしまった ﹁あ、あの⋮お兄ちゃんをたすけてくれてありがとうございます ﹂ そ り ゃ ま ぁ 嬉 し い ん だ け ど。頼 れ る 仲 間 だ し、⋮⋮⋮⋮ お 嫁 さ ん ﹁⋮手当てが遅くなっちゃってごめんね。今、救急車は呼んだから﹂ でるんだからよくぞ今まで会わなかったというべきか ! ? ﹂ 体の動きが停止した。もしかしたら心臓も止まってたかもしれない ﹁お兄さん 当大事 ! ﹁⋮⋮⋮うん、これでよし﹂ ﹁う、む⋮たすかった、ぞ⋮ ﹂ 頭部は本当にちょっとの怪我でも血が出やすい。だから止血は本 ける るし超便利なんだよね︶を血をぬぐったお兄さんの割れた額に縛りつ 枚あると色んなもの包めるし、簡単に人形になってツッ君喜ばせられ 京子ちゃんの心配そうな声に返事をしつつ、持参の風呂敷︵これ、一 ﹁ナンデモナイヨー﹂ ? 88 ? と、反射的にそう言い返した俺は、聞きなれたある人物の声に数拍 !? !? !? ? そんなこんなでちょっと現実逃避しながら手早く処置を終え、大人 しく救急車を待つ。因みに連絡してからまだ5分も経ってないので もうちょっとかかるだろう あ、あと母さんにも遅れるかもしれないって連絡しとかなきゃなー ︽これ、これ宙よ。俺の事を無視するとは酷いぞ︾ なーんて、考えていられたのもそこまで。再度かけられた妙な威圧 感を込めてくるトアル初代様に内心で深ぁい溜息をつく や だ な ー、無 視 し た か ら 絡 む の め ん ど い な ー。そ う 思 い つ つ、い やぁな予感と共に目線をちょっとあげた ︽お、漸く視線を合わせてくれたな︾ 途端、全力で目を逸らしたくなった俺は悪くない 89 気づいたら大地が蹂躙されていました。⋮くそっ 嫌な予感がした 2年ぶりに来た、直接会って話がしたいという旨の手紙 ﹁っ ﹂ ガシャンッ ﹂ その記憶を頼りに走って走って走って しい住居の事 襲撃された場所。そして2年前に直接会った時に教えてもらった、新 前回に一度だけ資料を見たことがある。シモンの⋮炎真の家族が てくる。そこじゃない、と 待ち合わせ場所は、そこそこ有名なホテル。けれど、超直感が訴え ﹁はっ⋮はっ⋮ 出来事を予感していたからかもしれない に休職届けを出して日本を発ったのはやはりうっすらとその最悪の 記されていた約束の日時には一週間もあったけど、急かされるよう だけど、その手紙を受け取った瞬間。ひたすらに嫌な予感がして のも常々言い合っていたことだった 送り主は親友といって憚らない相手で、家族に会わせたい、という !! ﹂ サッと血の気が引く音がする ﹁真っっっ ﹁おや ﹂ 〟の姿 そしてそれらを見下すように、中央に君臨する見慣れた〟沢田家光 の女性に抱かれるようにしてくたりと力なく地に横たわる幼子の姿 散乱する家具。血にまみれた真と、恐らく奥さんの⋮女性の骸、そ 瞬絶句する バンッと鍵のかかっていなかった玄関から押し入り、中の様子に数 !!! 90 ! ようやくたどり着いたその場所で、既に戦闘音が聞こえることに !! 遅かった。間に合わなかった。助け⋮られなかった。 ? こんな所で会うなんて奇遇 その事実に呆然とする間もなく、この惨状を作りだした張本人が俺 の姿を見て口を開く ﹁││やぁ、宙くん久しぶりじゃないか だなぁっ﹂ その姿らしい声音で、その姿らしい口調で、あっけらかんと、今日 日本にまだいると思ってたんだが⋮﹂ の天気でも話すような朗らかな笑みで ﹁⋮⋮っっ﹂ やめろ ﹁一体どうしたんだ やめろ ちょっと仕事でね。掃除してたんだが⋮まぁ、宙く ﹂ ﹂⋮おや、これは驚きました ﹂ ? ﹁なっ ﹂ その激情のまま、額と拳に炎を灯し、真っ直ぐとDを見据える ボウッッ ﹁││黙れ。お前はただ俺に殴られろ﹂ ているといい、貴方は何者なんでしょうねえ ﹁私の幻術を見破るとは⋮その姿と言い、初代霧の守護者の名を知っ の中で煮だっているのを感じる 嗚呼くそ、不甲斐なさで眩暈がしそうだ。怒りが、ぐらぐらと自分 ねぇ﹂ ﹁それより││﹁っっその口を閉じろD やめろ んが気にすることじゃあない ﹁ああ、コレらか ? ﹂ 探っている。だが、そんな相手の都合なんか知ったことか ﹂ ﹁馬鹿な⋮貴方にその血が流れているはずは⋮ ﹂ ﹁戦闘中に動揺している場合か ﹁││っ ? !? ! ﹁ヌ゛ハ ﹂ 殴った振動が拳から腕に伝わる 当然の如く出来た隙を俺が見逃すはずもなく、バキィッと確かな !? !? 91 ! !!! ! ? 途端に驚きのあまり目を見開くD。その目が雄弁に、俺が何者かと !!? ﹂ 実体を殴られた、と気づいたDが態勢を整えるより早く、次の一撃 を││││ ﹂ ﹁⋮⋮ぅ⋮⋮ ﹁ ⋮っ待て ﹁くそっ⋮ D ﹂ ﹂ これはこれは手酷くやられました⋮っ⋮貴方と今戦 ﹂ 追う声も虚しく、今度はこちらが隙をつかれて逃げられてしまった ﹁ うのは分が悪い⋮お暇させてもらいましょう⋮ ! !!! ! ﹁ヌフフフフ⋮ 振り返ろうとした途端だった 瞬間、生きた人の呻き声が耳朶を打つ。ついで、その事実に思わず ! ! とだ ﹁⋮誰か意識があるのか まだ意識が⋮ ﹂ って、あぁあっ動くなっ動くなよっ今救急車 よく魘されている。真は真で、傷跡と出血量が多すぎる、ということ 炎真は比較的重傷ではなかったものの、あの夜の恐怖が悪夢となって あの駆けつけた時点で分かってはいたが、真の奥さんは既に死亡。 Dによる襲撃は、多くの爪跡を残していった 顔を静かに見つめる 規則正しく点滅音を繰り返す病室で、俺は親友の血の気の失った横 ﹁⋮⋮⋮﹂ ピッ⋮ピッ⋮ピッ⋮ あれから一夜が経過した *** 俺は慌てて真に駆け寄ると、救出作業へと意識を向けた ! ﹁⋮あぁ、宙か⋮﹂ ﹁真っ ? 頭を切り替えろ⋮呻き声がしたという事は生存者がいるというこ 識的に深呼吸して怒りを逃がす 普段なら絶対に出さないような低い声で一度唸るが、そこからは意 ! よぶからなっっ﹂ !? 92 !! !? で今日が峠と言われている ﹁⋮⋮真⋮⋮﹂ 〟生きてくれ〟 そう、言葉を、祈りを、願いを紡ぎたいのに。無駄に冴えわたる超 直感が、助からないとだけ訴えてきて嫌気がさす あの子も⋮助かったんだぞ⋮ ﹂ こんな予感は要らない。心底そう思うが、その勘に今回も救われて いる ﹁⋮真美ちゃん、だったか⋮ ? 真が⋮お前が⋮っ彼らを置いていくのか⋮ ていたが、それ故に真美ちゃんには酷い傷がなかった ﹁│││っなのに⋮ !? いられない ! ﹁真⋮すまない⋮ すまない⋮助けられなかった⋮ ﹂ マンがいないというだけで、随分と俺は弱くなってしまった 傍に彼らが⋮ファミリーがいないというだけで、あの黒衣のヒット ずなのに 強さも、経験も、知識も。中学生だったあの頃より段違いにあるは ﹁⋮ああくそ⋮ッ⋮弱く⋮なったなぁ⋮ ﹂ 語りかけても返ってこない。それを分かっていて、言葉にせずには ﹂ 真の奥さんが、正に体を張って助けた命。その身体に銃弾が埋まっ ていた通り可愛い声で話すんだろうな⋮﹂ ﹁まだ目は覚まさないけど⋮確実に助かるそうだ⋮きっと、真が言っ 前回では助けられなかった命。けれど、奇跡的に今回は助けられた ? !! その自責の念に、思わず視線が下がった時だった ⋮真っ ら零れる ﹂ ﹁起きられたのか ﹂ !? 93 ! 助けたかった。今度こそは、今度こそは助けたかったのに ! ﹁⋮そ⋮なこと⋮な、い⋮﹂ ﹁ !? かすれた声ながらも、しっかりと意志のこもった言葉が親友の口か ! ﹂ それ以上喋るな 今医者を呼んで⋮﹁なぁ宙、頼みがある⋮﹂ ﹁はは⋮情けない、なぁ⋮宙が来てくれなかったらとっくに⋮﹂ ﹁いい ⋮なんだ ! わせたくはない⋮⋮ ﹂ ついで、言われた言葉はあまりにも衝撃的なもので。知って⋮ !! ﹂ 関係者だと⋮分かっているなら尚更襲撃者が誰なのか !? 炎真たちを⋮シモンファミリーを⋮⋮守ってほしい⋮ そうして告げられた願いに、いよいよ喉が震える ﹂ │││││││嗚呼、リボーンに今の顔を見られたら ! │││││││ボスとしてのポーカーフェイスが出来てねぇ な ﹁それでも⋮お前に⋮俺の知っている宙という青年に⋮⋮託したい⋮ た その思いが、顔に出ていたのだろうか。真は少しだけ苦笑してみせ かっていたのなら くしゃり、とみっともなく顔が歪む。Dが、ボンゴレが、敵だと分 も⋮ ﹁どうして⋮ である沢田家光の義理の弟、ということを知られているのは⋮ けれど、俺がボンゴレの⋮⋮若獅子と呼ばれるボンゴレナンバー2 い。だって彼は間違いなくシモンのボス9代目なのだから 真が、シモンファミリーの本当の歴史を知っていてもおかしくな いう疑問は声にならずに宙へと解けていく と ⋮⋮だが⋮これ以上⋮⋮炎真たちに⋮子供たちに⋮先祖の業を背負 ⋮⋮⋮さらに、こちらの世界に入るのを避けているのは知っている ﹁お前がボンゴレの⋮それも結構重要な⋮関係者と推測はついていて 真っ直ぐと、見据えた目でそう真は頼み込んできた ﹁⋮⋮頼む、炎真たちを守ってくれ﹂ もった声音にこちらも思わず真剣になると け ど、茶 化 し て と か そ う い っ た も の で 無 い ⋮⋮ 静 か な、決 意 の こ がら医者を呼ぼうとするが、当の本人に止められた それに気づいて慌てて意識を向け、存外元気そうな口調に安堵しな ? ! ! 94 ? ! ! んて、蹴られただろうか 頭のどこかでそんなことを考えながら、それでも必死に言葉を紡い 守って、みせる⋮ ﹂ 何があっても⋮俺は⋮シモンを⋮炎真たちを⋮真の守 で、返答する ﹁⋮っ誓う⋮ ろうとしたファミリーを⋮守る⋮ ﹁⋮⋮うん、任せた﹂ して。託された彼らを守る為に尽力してもいいだろうか │││││││ボンゴレのボスじゃない、一人の青年として、友と │││││││それでも今だけは。今の宙という人生でだけは │││││││きっと、今の俺の顔は凄く情けないだろう !! 白くなるほど拳を握りながら、俺は静かに息を引き取る親友にそう 誓ったのだった 95 ! ! 原作開始 気づいたら家庭教師が家にいました⋮久しぶりだ なぁっ それは、ツッ君が中学生になってしばらくも経たない内の事だった ﹁姉さん、ツッ君、来たよー﹂ ﹂ いつもの如く母さんに夕食に呼ばれ、沢田家へお邪魔した正にその 瞬間 ﹁ひろ兄助けてぇええええ どうしたツッ君 ﹂ お前のせいで今日一日最悪だよもう !! 途端、内心大いに動揺した いい加減帰れよ ﹂ !!!!! 家庭教師ならひろ兄で間に合って そんな相変わらずの辛辣な言葉と共に、小さな影が階段前に出来た ﹁逃げるんじゃねーぞ、ダメツナ﹂ なんて、呑気に思っていた俺だけれども てことはかなり内心テンパってるよねこれ つ、受け止める。つーか最近は呼ばなくなって来たひろ兄呼びするっ 玄関を開けた瞬間にダイナミック突撃してきたツッ君を押さえつ ﹁うおっ !? !!! ﹁いきなり現れて訳分かんねーよ るし !! ころじゃ無かった ヒットマンの証、とニヒルに笑っていたその特徴の黒いスーツに身 を包み、帽子のつばの部分に緑のカメレオンを乗せ、つぶらな︵その 見た目に反して大いに恐ろしいという印象しか抱けないけど︶黒い瞳 でこちらをじっと見つめてくる黒衣の赤ん坊 ﹂ ﹁お前がツナの叔父の宙か。ママンから話は聞いてるぞ﹂ ﹁え、あ、あぁうん⋮。えっと、君は⋮ 恐怖で表情筋が強張る。けど、それを必死に内心に押しとどめて真っ 懐かしくて、愛おしくて、ちょっぴり︵過去のスパルタ経験により︶ ? 96 !! !? ツッ君がぎゃんぎゃん怒鳴って反論しているけど、正直俺はそれど !! 直ぐとその視線を受けて立つ ││││内心で後ろ暗さがある時こそ真正面から受けて立て 昔、読心術に対抗する術として教わったこと 目を逸らしたり、言動が怪しくなったら自白しているようなものだ からと。人の上に立つものならば、厚顔レベルで嘘を付けるようにな らないとやっていけないからとと。ミスったらその分ねっちょり死 ぬ気で特訓だぞ☆⋮⋮なーんて無茶ぶりも当たり前に行われたりし て ﹁俺はリボーン。今日からツナのカテキョーになったヒットマンだぞ ☆﹂ ああ、だめだ。やっぱり懐かしくて仕方がない 虹の呪いが解けてから、ゆっくりではあるものの成長した姿を見慣 れていたから。久しぶりに目にするその姿は、正に青春時代を⋮⋮一 番輝いていたあの時代の象徴のようでもあって ⋮⋮っ年のせいか目頭が熱くなりそうだなぁ⋮ が、そんなしみじみとした感傷は次のツッ君の言葉に跡形もなく吹 き飛んでいった 俺は家庭教師なんて要らないって お前みたいな赤ん坊に教わるくらいならひろ ﹁ちょっ、何勝手に言ってんだよ 何度も言ってるだろ ﹂ ルにヒットマンの事口走らないでツッ君 母さんだってひろ兄がい ﹂ それ聞いちゃったら俺も ﹂ !!!!! !! ﹁俺は母さんみたいに安い口上で騙されないからな 巻き込まれるタイプ てかナチュラ カテキョーだとかヒットマンだと リボーンを追い返すための口実で俺を使うの止め れば家庭教師なんて要らないっていうし や め て ー っ か赤ん坊が何言ってんだ ﹁てゆーかお前怪しすぎるんだよ てーっ !! !!!! ﹁ひろ兄はちゃんとした教師なんだからな あ゛ぁああああああああツッ君ンンンンンンン ﹂ !? !! まぁ確かに常識的にみれば赤ん坊だしねリボーン !!! 97 ! !!!!???? !? !! !! 兄に教わるし !!!!! ! あああああツッ君の言い分も間違っちゃいないんだけど ﹁⋮成程な﹂ に聞こえる訳ですよ その としてのプライドやら矜持やらがどんどん傷つけられていく音が俺 言葉でリボーンの、優秀な家庭教師として、世界最高峰のヒットマン !!! のだから ﹁それがツナの意見なわけだな﹂ だからさっさと出て行けよ !!! だから│││ ﹁なら宙、お前はどう思う ﹂ なってあげたい、と考えるのは至極当然の事だ それを思うとあまりに不憫な甥っ子︵もといかつての自分︶の力に 決定づけられてたけど れを九代目どころか初代にまで把握されてる時点でツッ君の未来は まぁ、そもそもブラッド・オブ・ボンゴレを強く継いじゃって、そ んな俺より幼いツッ君なんて、勝てるはずもない こんな様子の時のリボーンに勝てた覚えはないのだ。イコール、そ あ、これツッ君詰んだ は意地悪そうに口角を上げニヤついてそれを見ている 鬼の首を取ったように出てけコールをするツッ君だけど、リボーン ﹁そうだよ ﹂ 世界最高なら、性格の悪さも三本の指に入るであろう家庭教師さまな 言いきったツッ君だが、なにせ相手が悪い。だってヒットマンとして ふふん、とドヤ顔︵ただし相変わらず俺の腰に引っ付き虫状態︶で !!! よな ﹂ ﹁ひろ兄もこんな訳分かんない赤ん坊の家庭教師なんて納得いかない ? てこう答えたのである ﹁勿論⋮⋮⋮⋮家庭教師さんに賛成かなっ﹂ 間。 ﹁うぇえええええひろ兄│││││ ﹂ !!!??? 98 ! 当時者の一人として、2人に話題を振られた俺は、ニッコリと笑っ !? ひろ兄が俺をウラギルなんて 瞬間、ツッ君の魂からの絶叫が我が家に響いた ﹁そんなぁ│││っっ ﹁決まりだな﹂ ﹂ !!!! ブンだと思うよ ﹁ひろ兄なんで 大変だけど ﹂ ﹂ ﹁え、だってちっちゃい子のなりきりみたいなモノなんでしょこれ ﹁全く違うよ なんて思いつつ、山本節をマネしてすっ呆ける俺 ﹂ ごめんね、ツッ君☆でも大変だけど、大切な仲間ができるからイー !! 売るよマジごめん 昔ながらの光景を俺は生暖かい目で見守った !? ﹁ほらツッ君もよくやったじゃん、ヒーローごっことか﹂ ﹁ヒットマンなんかに扮して遊ぶ赤ん坊なんて世も末だよひろ兄 それもそうだね ﹂ こっちにその銃向けんじゃね│││っっっ﹂ ﹁おい、なんかってのはどういう意味だダメツナ ﹁ぎゃーっ ? ﹂ 俺ん家の最後の砦のひろ兄が突破されたらもうお終いだぁ │││││ ﹁うわー ﹂ 本当にゴメンねツッ君。俺は我が身可愛さにツッ君をリボーンに ? !? ? ⋮⋮⋮それにしてもツッ君、俺が国語教えてたから昔の俺より語彙 が多いなぁ 99 !? ﹁うーん、仲いいなぁ﹂ ! !!! ! 気 づ い た ら 野 球 少 年 が 病 院 に い ま し た。⋮ 諦 め な い で それは、リボーンと再会し、かつての自分に生暖かいエールを送っ てから数日後のことだった ﹁うっわ、派手にやったね八木沼君﹂ ﹁⋮チッ、テメェかよ⋮﹂ やんちゃしたことで病院に運び込まれた八木沼君は、両親とも不仲 なうえ学校一の不良生徒。まぁぶっちゃけ関わりたくない生徒ナン 俺 バーワンなわけで よく生きてたなー﹂ そりゃあ新人にこれ幸いとぶん投げられるよネー ﹂ ﹁相手、質の悪いチンピラ複数人だったんだって ﹁うるっせぇよ、センコーに関係ねーだろ ﹁こらこら、病院では静かに﹂ ? ものだし ﹁ガキ扱いすんじゃねーよ ⋮⋮たく、テメェはんとに調子狂う⋮﹂ いいけどさー、別に。ザンザスと比べれば日本の不良なんて可愛い !! ﹂ 死んだら見栄も何もないんだからさ﹂ ﹁指図じゃ無くてお願いだよ﹂ ﹁だっからセンコーの指図は受けねえっての 気を付けなよ ﹁ま、それだけ喚ければ大丈夫っぽいね。今度からはもう少し怪我に 子。粋がってるとか、元気でいいよね。平和な証 それに悪態ついてるけど本気で殺そうとはしないし、いい子いい ! ﹁ケッ ただのおくびょーもんじゃねーか﹂ 痛くてしょうがないの﹂ ﹁俺、痛いの駄目なんだー、だから痛そうな八木沼君の姿見てると俺も いや。⋮⋮思考逸れた なー。多分、もうツッ君のとこに来てるんだろうけど、まだ会ってな それにしてもこの八木沼君って、ホント獄寺君みたいなトコあるよ !! ? 100 !! ! ﹁そ。俺、臆病者なんだ。だから、出来れば八木沼君は無理しないよう にね﹂ そう言いつつ頭を撫でると、やはり悪態はつくものの、手を振り 払ったりはしない辺り可愛いよねぇ。ザンザスとかこんな可愛げま るでないし。あったら怖いけど そんなことを思いつつ、八木沼君を大人しくさせた後は医者に今回 の医療費などの必要な事を聞く。といっても、やっぱり学校としては 保険が適用できるかどうかって辺りに焦点を絞らなくちゃいけない から世知辛いとこだけどね ﹁⋮⋮分かりました。ではそのように﹂ ﹁はい、お願いします﹂ 通ります ﹂ そうして話を終えて、さて帰ろうかと思った時だった ﹂ ﹁どいて下さい ﹁わっ !! ﹁⋮っっ ﹂ ガラガラと、新たに怪我人が搬送されてきた ! ﹂ 病院についたぞ ﹁う⋮ぐぅ⋮ ﹁武 ﹂ そして、その怪我人は !! !! ︵⋮⋮山本⋮ ︶ ︵⋮⋮リボーンの事だから、もう山本には目をつけてたんだろうなー︶ に山本を巻き込むきっかけにもなった 日。これがきっかけで山本と仲良くなれたのもあるけど、それは同時 前回、俺の考え無しな言葉で山本が腕を折ることになってしまった 〟今日〟だったんだ ︵⋮⋮⋮⋮⋮⋮あぁ、そっか︶ れば、骨折したのだと分かる ていた。パッと見であったものの、通常ではありえない色になってい 既に通り過ぎ去ってしまった彼は、脂汗の浮いた状態で腕を押さえ !! 101 !? とても見覚えのある、黒髪の少年で ! ! 多分、体育が山本の得意な野球の時に獄寺君が外国に行ったのは、 俺が一人で山本と話せるようにだろうし。それに、マフィアとして生 きていかせるなら、腕の一本や二本失いかけた程度で逃げ出すような 奴は⋮ ﹁⋮⋮⋮⋮はぁ﹂ あーもう、やだなぁ⋮。すっかりマフィアとしての考え方が身につ いちゃってるよ も し か し た ら リ ボ ー ン だ っ て こ こ ま で の 大 事 に す る つ も り は な かったかもしれない。でも、リボーンだからこそ俺をボスにするため に多少のリスクを敢えて行ったかもしれない どこまでいっても予測でしかないけど、それもありえない話じゃな いと納得してしまっている俺がいて ︵⋮⋮⋮ツッ君には見せられないなぁ︶ 102 なんでか、ツッ君は俺をものすごぉおおおく尊敬した目で見てく る。そりゃあまぁ、父さんと比べたら大体の大人はまともに見えるだ ろうけどさ。 キラキラした、純粋な目は薄汚れた大人には時々キツいんだよネ ⋮﹂ 閑話休題 ﹁⋮⋮ まった山本を、励ます言葉を ︵⋮⋮⋮駄目だ、冷静じゃないな︶ ? ⋮⋮⋮ 声 を、か け る べ き だ ろ う か。〟 俺 〟 の せ い で こ う な っ て し ﹁⋮⋮﹂ が見ても、消沈している様子が伝わってきた 心配そうにかけられた言葉にも、山本はぼんやりと返すだけで。誰 ﹁⋮ああ⋮分かってる、親父⋮﹂ ﹁⋮武、あんま⋮気を落とすんじゃねえぞ﹂ 包帯で覆われていて ふらりと一人の少年が出てきた。予想通り、その片腕は痛々しい白い そんなことをうだうだと考えていると、先程運び込まれた部屋から ! 声を、掛けて。何を言うんだろう 山本の起こした音で 何を言えばいいというのだろう ! ﹁ちくしょお⋮ ﹂ 大人 〟ツナ〟としても、〟宙〟としても ともだち ︵⋮⋮どっちにしても、放っとけないな︶ り続けていれば拳が痛んでもおかしくない 片腕が使えない故に対した威力はないまでも、繰り返し繰り返し殴 ﹁ちくしょうっ⋮ちくしょう⋮ちくしょう⋮ ﹂ 鈍い打撃音が、近くの壁から聞こえてきた。気配を探れば、それは ﹁⋮ちくしょう⋮っ﹂ ゴッ そう、一歩を踏み出すのを躊躇った時だった さえ、山本は知らない。お互いがまだ、そこまでの知り合いじゃない 今の山本にとって、俺は赤の他人、見知らぬ大人。ツッ君との接点 ? ﹂ きた ﹁何なん⋮スか⋮ ﹂ く俺の存在に気付いた山本が大きく目を見開いてこちらを凝視して パシリ、と振り下ろされた拳を掴み、自傷行為を止める。途端に、漸 ﹁ ﹁そこまでだよ﹂ !! 介でいいよ﹂ ﹁⋮そうだね、関係ない。だからこれから俺が話すことは単なるお節 知らない〟と言われるのはやはり辛い ズキ⋮と、僅かに胸が痛む。仕方がないことだけど、仲間に⋮⋮〟 ﹁⋮⋮誰か知んないスけど⋮⋮関係ないじゃねーすか⋮﹂ ﹁何があったかは知らないけど、自分を傷つけるマネは感心しないな﹂ いだ あ、やっと目の焦点があってきた。大分危ない精神状態だったみた ? 103 ? !? でも、それはこれからずっと覚悟していかなきゃいけない事だ。イ チイチ、気にしてなんていられない ︵⋮⋮仮に本当の事を話したとしても、ツッ君がいる以上は同じ関係 にはなれないし、ね︶ それはもう、俺が沢田綱吉でない代償のようなものだから。それな らば、赤の他人である今だからこそ、出来ることを だったら、余計 ﹁⋮君は今、若い身空で怪我をして、自棄になってるんだろうね﹂ ﹁⋮⋮﹂ ﹁健康的な体だし、何かスポーツでもやってるのかな にその怪我は恨めしいものかもしれない。│││夢を、見失って絶望 したかもしれない﹂ ﹁⋮⋮﹂ ﹁だけどね、〟自分にはもう、何もない〟なんて⋮⋮⋮諦めるのだけは 駄目だよ﹂ ﹁⋮⋮え⋮﹂ ﹁辛いし、苦しいし、諦めた方が楽かもしれない。でも、〟自分を諦め ること〟だけはしちゃいけない﹂ 自分で、自分の価値を見失っても。どうすればいいのか分かんなく なっても │││││山本には、山本を心配してくれる、親父さんやクラスメ イトがたくさんいるんだから 誰かに必要とされていることを、決して忘れないでほしい。ダメツ ナ、と呼ばれた俺なんかとは比べ物にならないくらい、山本は愛され てきたんだから ﹁⋮君はまだ若いんだから、簡単に諦めないで。本当に自分には何も ないのかを、ちゃんと考えるんだよ﹂ 山本なら分かるはず。だって、ずっと自分はダメツナだからって卑 屈な俺を、獄寺君と一緒に引っ張り上げてくれたのはいつだって山本 だったんだから ﹁⋮⋮じゃ、大人の説教はこれで終わり。ごめんね、いきなりこんな話 をしちゃって﹂ 104 ? ﹂ ﹁え、あ、いや⋮その⋮﹂ ﹁おおい、武 そこまで言って、山本と視線を合わせると大分戸惑った様子だっ た。このまま、何事もなければいいけど⋮そうはいかなそうだって、 超直感が言ってるんだよねー ﹂ ﹁じゃ、また縁があったら﹂ ﹁あ、あの⋮ そう思いつつ、俺は山本の頭をぽん、と撫でるとその場を後にした ⋮⋮⋮⋮⋮山本のお父さんに不審者扱いされてないとイイナー 105 ! !? ﹂ ﹂ ﹂ ﹂ 気 づ い た ら ご 飯 を 振 る ま っ て ま し た。⋮ 召 し 上 が れ それはとある金曜日。俺は│││ ﹁はーい、じゃんじゃん持ってってねー﹂ ﹁うわわ、待って待って兄さん作るのはっや と罪悪感で禿げそうだし それ俺の分のハンバーグだろ ﹂ そんな訳で俺はニッコリ笑って引き受けたのだった ﹁あっ、こらランボ ﹂ !? よりにもよって十代目のものに手ぇつけるだなんて ! ! ! ﹁ランボさんが食べるんだもんねー ﹂ ﹁テンメェ たす ﹂ !! 果 俺が断るはずもない⋮⋮というか、前回のことを思えば引き受けない だって、一気に世話する人数が増えて大変な母さんの頼みだもの。 ﹁もちろん、大丈夫だよ姉さん﹂ ま、人数が増えていようと答えなんて決まってるけどね とイーピンもいる可能性が高い めて呼んでしまう。つまりはツッ君、リボーン⋮この時期ならランボ 母さんは2人くらいまでなら名前で呼ぶが、それ以上となるとまと の居候もいるんですね⋮である まず、これを聞いて思った事。ああ、既に我が家にはリボーン以外 ﹁ひー君、今日のツッ君たちの夕飯づくりお願いしてもいいかしら それは、なんてことのない母さんの一言がきっかけだった *** かつての仲間たちに、手料理を振る舞ってましたとさ !? ! 本当に俺も食ってっていいんスか ﹂ 宙さんって料理上手いんですね ﹁え、あっ、あの ﹁スッゲー ! ﹁ぜーんぶ俺っちのものだもんねー ! ! ﹁おい、しー !!! 106 ? ! !! ! ﹁喜んで貰えて何よりだよ﹂ そうそう、ランボとイーピンには不思議なことに既に懐かれた そんな子供心を掴むようなことなんてしてない 精々、部下発言も笑って受け流したり、飴あげたり おっかしいな∼ と思うんだけど ︵うーん ︶ ﹂ で、それはともかく と仲良くなったならまぁいっかな、と思ったり 俺の言葉じゃ引き止めるまで行かなかったのは残念だけど、ツッ君 言った言葉が残っていたらしい なんでも、やっぱり屋上ダイブはやったそうなんだけど、ずっと俺の 因 み に 山 本 は あ の 病 院 以 来 会 わ な か っ た 俺 の こ と を 覚 え て い た。 とくみつけておかわりを促す 内心でそう首を傾げつつ、カラになっていた山本のご飯茶碗を目ざ ﹁あ、その、ど⋮どーもっす﹂ じゃ足りないだろ ﹁ほ ら、山 本 君 も 食 べ て 食 べ て。育 ち ざ か り な ん だ か ら こ れ く ら い なー からまだツッ君と母さん以外に警戒心を抱いてると思ったんだけど この頃の2人って、小さいけどそれなりに裏社会を生きてきた身だ したくらいで ? ? そうにするツッ君と獄寺君に事情説明をして ツッ君からは幼い頃からお馴染みの〝やっぱりひろ兄ってすごい ﹂ 〟というキラキラ目線をいただいたりしたのはまぁいい。いい、ん 俺の顔に何かついてるかな ﹂ ? だけどー⋮ 山本君 ﹂ あ、いえ、その⋮何でもないッス ﹁⋮⋮獄寺君 ﹁ハッ ﹁え、あ、スッゲー旨いです !! ? う 107 ? そんなこんなで俺に再会して驚いた山本と、そんな山本を見て怪訝 ? なーんか妙に2人が挙動不審なんだよね∼。はてさて、なんでだろ !! ! ? ! 山本はまぁ、さっきも言った通り自分が弱ってるとこ見られたから ? 恥ずかしいって思うなら分かる ﹂ でも獄寺君は今回、今日が初対面。てっきり、年上の男は皆敵 箸止まってるけどどうかした 神で嫌われると思ったんだけど⋮ ﹁兄さん ﹁んーん、なんでもないよー﹂ ⋮⋮ま、嫌われてないならいっか 俺はのほほーんとそう結論を出した *** 山本Side 精 ! 驚いて言葉を失くす俺に、 ﹁よかった、元気になったんだね﹂って言 た。獄寺も石化してたし︶ 薄暗かったしまともに顔見てなかったからツナそっくりにまず驚い だけど、だからこそツナの言う兄さんがその時の人で︵病院の時は 結局、混乱したまま名前も聞けずにその場で別れてしまったけど した 当てられて、なんで、どうして、初対面なのにわかるんだ、って混乱 一番に響いたのはこの言葉。何よりも自分が思ってたことを言い ﹃〟自分にはもう、何もない〟なんて⋮⋮⋮諦めるのだけは駄目だよ﹄ でもなくただ静かに諭してきた。そして、 だけど、そんな態度悪い俺にも関わらず、その人は怒るでも苛つく 発する なってた時に、見知らぬ大人にそんな事言われればいくら俺だって反 正直、何だコイツ、と思ったのは仕方ないことだと思う 。自棄に な﹄ ﹃なにがあったかは知らないけど、自分を傷つけるマネは感心しない の人だった なったと思いこんでいた馬鹿な俺に、わざわざ声を掛けてきたのがあ 運ばれた時。野球の神さんに見捨てられて、もう生きる理由すらなく その人に会ったのは、練習のやりすぎで腕をやっちまって、病院に ? 葉じゃ無く雄弁な眼差しで言われて、ツナに頼られてる人、って事実 108 ? で 一 方 的 に 燃 え 上 が っ て た 対 抗 心 が 見 る 見 る う ち に 消 え て い っ た。 代わりに情けないところを見られた羞恥心とか、色んな感情がごちゃ まぜになって⋮なのに、そんな俺の変な様子も気にかけず受け入れて くれるし、ツナの言う通りめっちゃ優しいし、頼れるオーラ出てるし でも全然姉さんには敵わないんだ 相変わらず兄さん料理上手いよね∼﹂ ⋮⋮あぁあもう俺自分でも何言ってんだか分かんねえ ﹁ごちそーさま ﹁ま、これでも一人暮らしですし てか、いいなぁツナ。俺兄弟居ないけど、こんな兄なら確かに欲し な、なんて思ったり んは、正直顔も雰囲気も似てるので叔父甥というより兄弟みたいだ 食べ終わった食器を片付けながらそんな会話をするツナと⋮宙、さ けどね∼﹂ !!! 味付け薄いとか量が足りなかったとか無 い⋮ツナがあんだけ嬉しそうに話すのも納得だぜ⋮兄ちゃん⋮なー んて⋮ ﹂ ﹁あ、二 人 は ど う だ っ た かったかな ? ﹂ 本人の目の前で何言ってんだよ あ、えっと、スッゲー旨かった兄ちゃ⋮⋮⋮⋮あ゛﹂ 俺はこのあと、とんでもないミスをする ﹁へっ よりにもよって、よりにもよって 俺 ﹂ ﹁や、山本⋮ そのっ ま、間違えただけッス 気に !! !? つーかほぼ初対面の人に言う台詞じゃないし、そもそも俺の兄じゃ 今のはっ ! ほんっと何いってんだ俺 あのっ ! ないし ﹁いやっ ﹂ !!! ! くなった俺だったけど う、の言葉ばっかで、テンパりすぎて何を言えばいいのかも分かんな カーッと顔に熱が集まるのが分かる。頭ん中はヤバい、どうしよ しないでいいんで ! ! 109 ? ! ぼーっとなんとなくそんな事を考えていたからだろう ? !? !! ? ﹁ん゛ん゛っ⋮﹂ ﹁え ? !? 不意に、一人の笑い声がその場に響いたことで場の空気が変わった ﹁⋮ふふ、ツッ君だけじゃなくて山本君にまで兄呼びされるなんてく すぐったいねぇ﹂ そう微笑んで、こっちを見てくる感じは本当に嬉しそうで、つい呼 んじまっただけなのに、こんなにも温かな眼差しで見られるとなんだ かムズムズしてしまう ﹂ ﹁でも、丁度いい機会だから言っておこうか。ツッ君たちに俺からの ﹂ お願い、いいかな ままに頷いてしまった俺たちだったが ﹂ ﹁これから、〝兄〟呼びは禁止ね♪﹂ ﹂ ﹁エッ、なんで ﹁はいっ ﹁いきなりなんでひろ兄 ﹂ って、ちょっとまってくれよ 俺ちゃんと疑問形で返したぞ ﹁よし、とりあえず山本君からは言質取った∼﹂ !? !? 兄呼びなんてされてたらいつまで ? ﹂ 宙兄ちゃんって親父と10歳くらいしか離れてないのか !!! でも正直年齢不詳ってのは深く納得した なくなり、しばらく落ち込むツナが学校で見られるようになるのだと その後、俺の失言のせいで少しの間、宙兄ちゃんの事を兄呼び出来 !!! てっきり叔父甥といっても一ケタくらいしか違わないと思ってた 嘘だろ ﹁切実だねひろ兄 たっても年齢不詳じゃん。ぶっちゃけそろそろ出会い欲しいんだ﹂ ﹁だ っ て 俺、も う 3 0 な ん だ よ で、言われた理由にもう驚くやら深く納得するやらで が、宙兄ちゃんは物凄くいい笑顔であっさりそれを却下した。つい ﹁ほらほらツッ君も兄呼び禁止だよ∼﹂ けど、俺の内心は伝わらず代わりにツナが頑張って食いつく !? !? だからこそ、その後にどこか悪戯っぽく言われたお願いに流される ﹁兄さんからのお願いって珍しいね。俺に出来ることなら ﹂ ﹁え、あ、はい⋮ ? !? !? 110 ! ? ! !? 俺はまだ知らない 111 気づいたら眼鏡少年を助けてました。⋮ん゛っ 怒涛のテスト採点を終えた麗らかな土曜日 冷蔵庫が味噌と豆腐と納豆という大豆オンリーな現状をどうにか !? 助けてくれてありがとうございましたぁあああ しようと買い物に向かった⋮⋮はずだったんだけどもぉ ﹁あ、あぁああのっ ﹂ ﹁⋮いーえー﹂ アッレ│おかしいなー なんでこうなったのかなぁ !? ︵⋮⋮イヤイヤイヤイヤ ︶ ﹂ どう考えてもおかしすぎ 大丈夫 意味都合よく事が進んじゃうのさ ﹁⋮えーっと、ケガとか無い どうしてこんなある 僕は⋮大丈夫⋮ですケド⋮﹂ ? !! 最後おかしすぎ !!? ︶︶ ? それでも、いつまでもそうしてはいられないのである。選択肢とし ﹁⋮⋮ハァ﹂ 閑話休題 ナー。俺はどこか遠い目でそんな事を考えた 初 対 面 の は ず な の に、こ こ ま で 心 が シ ン ク ロ す る の も 珍 し い よ ︵︵この不良、どうしよう 多分、俺たちの胸中は一緒だろう ﹁うん⋮そうだね⋮﹂ ﹁⋮えぇっと⋮﹂ 君は戸惑うように視線をさまよせた後、不良へと向けた 内心で頭を抱えながら、とりあえずそう言うと少年│││基、入江 ﹁あっ、は、はい ? !! でソレがカツアゲしていた不良の頭上に↓不良死亡︵︶ 石に躓いてうっかり缶詰の入った袋を放り投げる↓素晴らしい奇跡 ↓よし、買出しに行こう↓無事に買えたぜよかったぁ、と思ってたら 朝起きる↓冷蔵庫に上記の食料しかない↓食べ物無い、オワタ︵笑︶ ︵⋮⋮待て待て落ち着け、自分の行動を今一度振り返ってみよう︶ !!? 俺は何故か、一人の涙目の少年にお礼を言われていた ! !! ! 112 !! ては2つ 1つは見なかったふりでこの場を去る。幸い ﹂ ﹂ ここは人気のない 迷惑じゃ無ければ⋮僕もつきあいます ⋮っ僕が絡まれていたのが悪いんで⋮ ﹁い、いいえっ そ、そもそも だから、出来るだけさり気なく逃がそうと思ったんだけど⋮ を巡らせていたとはいえ、肉弾戦なんてものは向いていない だけど、入江君にはそれはない。あの未来の時も匣兵器とその知略 る。恨まれても、対応できるだけの力はある いよう促す。最悪、キレて殴りかかったとしても俺一人なら対処でき そんなことを内心で思いながらも、入江君にそう言って関わらせな 彼が目を覚ましたら、君になんらかの理不尽を行いかねないし﹂ ﹁あー、そうだね。とりあえず、君はここを立ち去った方がいいかな。 ﹁あ、あの⋮ るだろうけど たら左遷させられそう。生徒とかは兇器・缶詰の時点で爆笑してくれ 俺、仮にも教職⋮公務員だからバレた時が怖い。校長とかに知られ でも一応これ傷害罪引っかかりそうなんだよなー う問題点がある。いやマァ正当防衛も何も偶然の産物なんだけど 処する。ただ、これもこれでどこまで正当防衛が認められるか⋮とい 2つ目はここでけがの具合を確かめてから病院なりなんなりと対 られている入江君がのちのちトラブルに巻き込まれる可能性がある するだろう。ただし、相手方の記憶が良ければ関係者であり、姿を知 場所なのでここでそっ⋮と去っても誰にも見られず事件は迷宮入り ? ! 幾つもの世界を亡ぼした。その重すぎる事実に、けれど絶対に逃げず に行ったタイムトラベルで白蘭の能力を開化させてしまったことで 忘れていた。彼は、ただの気弱な少年などではない。自分が知らず それに目を丸くしつつ、内心でこっそりと苦笑を浮かべる ︵⋮⋮参ったな︶ 葉で。同時に、自分も責任を持つという何よりの宣告だった ところどころどもりながらも、彼の口から発せられたのは拒絶の言 !! 113 ? ! に親友でもあった白蘭を倒そうと覚悟を持つことのできる強い人間 だ 逃げればいいのに、誰も責めやしないのに、それなのに、その責任 感と重圧を背負いきることのできる強い意志。純粋な力だけではな い、彼もまた敵に回したら手ごわい敵だった ﹁⋮⋮ふふ﹂ 知らず、笑みが零れる。こんなころから、既に自分の知る彼の片鱗 を持っていることに もし、彼がマフィアに関わらない道を選んでいたら、それこそ己の ﹂ 信念をもって世界に名をはせていたんだろう ﹁あの⋮ ﹁ああ、なんでもないよ﹂ まぁ、入江君の場合はスカウトするの白蘭次第だけど。ていうか白 蘭といえば俺の事本気で忘れてくれてるとイイナー すっかり横道に逸れてしまった思考を頭の隅に追いやりながら、さ て、とばかりに不良君の怪我の状態を見る。とはいえ、血が流れてい る様子もないし、重篤な意識不明にも見えない ﹂ ﹁んー⋮綺麗にたんこぶ出来てるし、病院にもいかなくて大丈夫かな ﹂ ﹁そ、そうなんですか でも一応病院には行った方がいいかなー やっぱり頭だし、何か 偶然だけど、不良を簡単に伸しちゃって⋮そのまま、それこそ僕も不 ﹁なんか⋮僕は不良に絡まれただけで震えて怯えてたのに⋮⋮貴方は 江君が声をかけてくる なんて思考の海に沈んでいると、不意にポツリ、といった風情で入 ﹁⋮⋮凄いですね﹂ を追い払う。⋮考えたって仕方がないよねっ ふとそれに思い至ってまた若干遠い目になりかけるが、すぐにそれ り撃たれたり撃たれたり撃たれたりしてた気もするケド あったら怖いし。⋮⋮この頃の俺、何かあればリボーンに頭蹴られた ? 114 ? ﹁うん、ホラ目も充血してないから脳にも異常はなさそうだし﹂ ? ? 良も見なかったふりをして⋮⋮関わらないようにすればいいのに⋮ ぜ、全然⋮逃げないで⋮﹂ つ い で、言 わ れ た 内 容 に 密 か に 瞠 目 す る。ま さ か、自 分 が 相 手 に 思っていたことを相手もまた自分に思っていたなんて ﹁それどころか⋮不良のことも⋮冷静に対処してて⋮﹂ 僕とは大違いです、と続ける彼はどこか自嘲の笑みを浮かべて泣き 正直、前回学校も引きこもり気味だった俺に比べれば入 そうな顔でいた エエー⋮ 江君十分凄いんだけど で、でも⋮﹂ ﹂ ? ﹂ 怯えてたんだから﹂ ﹁勿論。寧ろ、今の君より酷いね。なんてったって、俺はチワワにすら つけた眼差しで俺を見てきた すると、しばしの沈黙の後、入江君はどこか縋るように⋮希望を見 ﹁⋮貴方も、そうだったんですか 言うんだよ、と最後は少しおちゃらけて話す あ、でも勇気と無謀は違うからその時はちゃんと周りに助けてって か。それが分かれ道なんじゃないかな﹂ えたまま逃げるのか、いつか自分でも対処できるように立ち向かうの いるのかもしれないけど、大抵の人間はそういうものだよ。でも、怯 ﹁君は不良に怯えたこととか、冷静に対処できなかったことを恥じて うん、やっぱり入江君は十分に凄いよ ふりしないでちゃんと対処しようとしてるし 頭いいし、学校ちゃんといってるし、こうして厄介事にも見てみぬ 君を気絶させちゃったときに君の手を引いて逃げてるよ、絶対﹂ きる範囲だったから冷静に見えるだけ。じゃなかったら、最初に不良 ﹁今回はね、関わったのはたまたまだったけど、まだこれは俺の対処で ﹁えっ⋮ しに、ね﹂ 関わったら即座に逃げる自信がある。大人だとかそんなこと関係な ﹁⋮そんなことはないよ。俺は、君が思ってるより臆病だし、厄介事に ? ? ﹁エッ、チワワ !? 115 !? ﹁そ。どう そんな俺と比べれば自信も出てくるでしょ ばお兄さんの名前はなんていうんですか ﹁⋮⋮ごめん、もう一度言ってもらっていい ﹂ ﹂ ﹂ ﹁あ、はい じゃ、じゃあ僕は被害者として証言しま⋮あっ、そういえ 八木沼君なんか典型的なそのタイプだったし ケースの時って親と本人のいざこざが面倒なんだよねえ。この間の だって不良って大抵親と不仲な場合多いし。黒曜中でもこういう ど、ね﹂ ﹁さて、それじゃ一応病院に運んでおこうか。お節介かもしれないけ な返答が返ってきた 目っ気たっぷりに尋ねると、 ﹁え、あ、えぇ、まぁ⋮﹂としどろもどろ 様だった事実に入江君は目を見開く。それをクスクス笑いながら茶 なのでとびっきりのダメダメ話を持ちだすと、予想以上にひどい有 ? ﹁はい ﹂ ﹁あー、うん⋮とりあえず一つ訂正しておこっか﹂ うん、その理由はとても好感度抜群なんだけどね たんで⋮﹂ ﹁お兄さんの⋮その、助けてもらった恩人の名前を知らないままだっ かしくない が、それはともかく。ちょっと待って入江君。今言った俺の呼称お ? ? ガックリしつつ ﹁俺、君と倍近く年離れてるよ﹂ 言った瞬間、入江君の時が止まり ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮ え ぇ え え え え え え え え え ﹂ えぇぇええええええ かっっっ お兄さん二十歳くらいじゃ無いんです !!!??? ことにしておこう 数拍後、心からであろう絶叫に目尻が濡れたのは気のせいだという !!? 116 ? ! ?? 至極不思議そうな表情に、本当に気付いてないんだなー、と内心 ? 気 づ い た ら 毒 蠍 に 手 料 理 を 振 る ま わ れ て ま し た。 ⋮って死ぬ ﹁は⋮はは⋮﹂ ていうかビアンキぃ 意味だよね だって目が笑ってないもん 殺意にまみれてるもん いじゃん今そんな場合じゃ無いし いい年した男が語尾に〟もん〟を付けるなんて気色悪いって !! ! ら死んじゃうよねっ〟と言えるものだ ︵⋮⋮、本当、なんでこうなったんだろ⋮ ﹂ 遠慮せずに﹂ ︶ くー、とか奇跡的にー、なんて言い訳しながら躱せるけど⋮ ﹁さあ、どうぞ ﹁え、ぇーっとぉ⋮ ? ! いくらなんでもこれは死ぬ。死んじゃう。力技とかならまだ運よ ︵はははははーっ⋮⋮ワラエナイ⋮︶ 絶賛、死のピンチ☆で 理を振るまわれて さんに親交を深めてね♪と二人っきりにされ、ビアンキ手ずからの料 いて、すぐさま用件を終えて踵を返そうとしたら善意度100%な母 リボーンはいなかったけど、何故か敵意&殺意MAXなビアンキが 駆使しつつ、学校を早めに終えて平日の昼間にやってきて で、ツッ君たちと会えないのは残念だけど、リボーン対策に超直感を 今日は、この間おすそわけで使われた皿を母さんに返しに来ただけ ? 発する未確認物体。毒々しい色あいで、誰がどう見ても〟これ食べた 目前のテーブルにあるのは、ブショワァアアアッと凶悪な音と煙を ︵⋮⋮ああ、なんでこうなったんだろ⋮︶ い それ言葉通り天国へ召されろというような ﹁さ、どうぞ召し上がれ﹂ 俺は久しぶりに君のお姉さんに命を狙われています 拝啓、獄寺君 !! ? 117 !! ? ! !? これは無理 だって食べるまで逃がさないってオー 食べたら幾らなんでも俺死んじゃうって 絶対に無理 ラでまくりだもん ︵あ│⋮俺、今めっちゃ死ぬ気弾欲しいナー⋮︶ れてた ⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮あれ、俺もしかして死ぬ気弾でリボーンに人体改造さ お蔭でその後の人生でも毒が効きにくい体になって色々と便利に んだよねー 死ぬ気弾⋮アレがあればこれポイズンクッキング食べても死なない 前回のビアンキ遭遇の時にリボーンに撃ってもらった胃袋強化の !! !! ﹁どうしたの ﹂ 早く お あ が り な さ い﹂ なーんて、現実逃避に走っていた俺だったが なしに改造するってありえないって り色々と倫理感ぶっ壊れてるわ。フツー、後継者の身体を本人の許可 チョット気づきたくなかったナー⋮あれじゃん、ボンゴレもやっぱ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮うわぁ﹂ ? 止めて止めて。追加されても俺食べれないから ﹂ ﹁いいから食べなさい。はやく食べなさい。食べて死になさい お嬢さーん いくら考えても今日が初対面なんだけど 思わず年下目線で言いそうになっちゃった ﹁物騒ですねおねっ あっぶね じゃなくて ﹂ リボーンに ﹂ 俺が 宙 ﹂ ﹂ リボーンに気にいられてるなんて男だろうと万死に値す ﹁俺君になんかした ﹁煩いわね ﹂ !!! ﹂ れるコーヒーを淹れられるヒロシという青年 それが貴方だってい リボーンが〟また飲みたい〟なんて言ってく !? ﹁はいぃいいい 気に入られてる ﹁なにかの間違いじゃ !? う事は既に調べ済みなのよ !!! ! ﹁間違いじゃないわ⋮ ! !? !? るわ !! ! !? !!! !!? ! ド ン ッ と 勢 い よ く 追 加 さ れ た メ ニ ュ ー に 今 度 こ そ 顔 が 引 き つ る。 ﹁うわっ、とぉ ? ! ! 118 !! ! !? !!! !!? !! ﹁それかぁ│││││ たまに ﹂ 飲みに来てたなリボーン !!! 〟俺好みの味だゾ☆〟なーんて言ってたけど、そりゃ当然だから 一度ご馳走しただけなのに時たま催促が来てたりもしてたね そういえば ! !!!! いやまぁ俺も喜んで貰えるんならー、ってそこそこ頑張ってたけ 寧ろおね⋮お嬢さんの恋を応援するし ﹂ でも別に俺は家庭教師君に深くかかわる気はないし なにはともあれ どね ら むしろ俺のコーヒー淹れる技術あがったのはお前の扱きのせいだか !! ! ! ! とビアンキの動きが止まる あ、あれ⋮ ﹂ ﹁言ったわね⋮ ﹁え﹂ ﹂ なんか俺の言葉都合よく曲解されてる││││ ﹁私の恋に協力するって言ったわね⋮ ﹁え゛﹂ アッレー ? ? の家へ行くわ﹂ ﹁ゑ﹂ ﹁嗚呼、リボーン と、思ったのが悪かったのか。続いてのビアンキの言葉に俺は思わ !!! ! ヒーを淹れてみせるわ ﹂ 待ってて、すぐに私が貴方のための美味しいコー ﹁でもそうね⋮リボーン好みのコーヒーの淹れ方を教わりに時々貴方 れば問題なさそう あ、でも思ったより大変じゃなさそう。今までみたいに関わらなけ だけで大分いいわ﹂ ﹁ともかく、貴方は私とリボーンの間を邪魔しなきゃいいのよ。それ 嘘だーっ絶対に最初は殺す気まんまんだったーっ だから最初から殺す気はなかったし⋮﹂ ﹁ふ、ふふ⋮そういうことならまぁ、いいわ。ママンの弟でもある貴方 !!? 兎にも角にも、といった風情で口走ったその単語にしかしピタリ、 !! ﹁え、えぇっと ! ! !! ? !? 119 ! ず固まったのだった 120 気づいたら風紀委員長に武器をつきつけられていま した。⋮怖っ みーどーりーたなーびくー、なーみーもーりーのー だーいなーくしょうーなくー、なーみーがーいいー いーつもーかわーらぬー、すーこーやーかーけーなーげー あぁ∼、ともにうたおうー なーみーもーりちゅー ﹁ねぇ、貴方。聞いてるの﹂ はい皆さんこんにちは。絶賛現実逃避中の俺です。 嗚呼、なんでこうなったんだろう 幸い 殺気ではなく怒気だと分かっていたから敢えて避けずに為 つきつけられていて 視界に銀色の光トンファーがうつったと思ったら、こうして武器を と自分を納得させながら並中にやってきて 校長に頼まれて、 ︵超直感が嫌ぁな予感を訴えながらも︶仕事だから ? なのに ︵あと単純にリボーンが近くで見てると超直勘が訴えてるのもある︶ ⋮⋮待って待って待って だとしたらヤ そもそも俺、今回では〟まだ〟雲雀さんと面識ゼロだよね 何でこんなに怒気をぶつけられてんの ︵あ、まさか⋮⋮︶ もしかして、 ︵顔とかで︶ツッ君の親戚ってバレてる バいかも しかしてリボーンボンゴレか母さんチェデフが払ってたりしたり ? しかもしかも、その修繕費云々って俺ツナには来なかったけど、も けど︶って、並中を結構破壊してたような⋮ だって確かこの頃の俺︵というか主なのは獄寺君やリボーンだった ? !? !? !? 121 !! されるがままになっているこの状況 ? だとしたら│││、今回の場合、親戚ってことで俺が払わされるん じゃ ? ︵⋮⋮っっ冗談じゃねぇええええええええ 特にお前だよリボーン ︶ 壊した奴が払 ! 悟は出来てるよね﹂ ﹁それにも関わらず、こうしてノコノコと僕の前に現れたんだ。⋮覚 それに気づいてしまったからで 長年、︵一応仮にも︶彼のボスとしていたから分かる、この後の展開。 ﹁⋮⋮つまり、貴方は並中に対して舐めた行動を取ったってこと﹂ ちの痛ましい死を思いだしから、というだけではなく ついで、続けられた言葉にひくり、と顔が引きつる。それは、真た ﹁そして、5年前。並中の教員でありながら、突然の理由なき退職﹂ みながら︶俺のプロフィールを読み上げ始めた。 なんて思考が逸れていると。唐突に、雲雀さんが︵めちゃくちゃ睨 ﹁││宙、30歳。現在は黒曜中学の国語教員﹂ て厄介なんだろうか、ホント 骸みたいに煽るのもアレだけど、無反応も怒るんだもんなー。なん 忘れそうだけどグイグイ締め上げられてますからね、今まさに ただでさえ戦闘態勢なのにこれ以上刺激したくないじゃん。つい 用で咬み殺されそうだし した声を漏らしておく俺。いやだってこのまま無言でいると問答無 そんな事をつらつらと考えつつ、ドンドン増してくる圧迫感に困惑 ﹁え、えぇっと⋮﹂ どうもツッ君たちの巻き込まれって感じがしないんだよね いてるのは妙だ 仮に、そうだとしたら。雲雀さんの怒気の行き先が俺〟だけ〟に向 何より超直勘はそうじゃないって言ってるんだよなぁ⋮ 落ち着け、落ち着くんだ俺。幾らなんでもそれは不確定すぎるし、 ︵いやいや、待て待て︶ え、壊した奴が しがない一般公務員の身分でそんな金額払えるか !!! !!! ﹂ チ ャ キ、と 構 え な お さ れ る 武 器 ト ン フ ァ ー。う ん、こ こ ま で 来 ちゃったらやっぱり⋮ ﹁││││っっ咬み殺す ! 122 ! ﹂ デ ス ヨ ネ ー ﹁うわぁっ 戦っちゃう 戦う ! この頃の だとしたら即戦力認定マ になっちゃわない 良し大丈夫リボーンマ と対等に渡り合える程度には強いって聞いてるだろうし そも九代目にも一回ちゃんと断ってるし てかそも それに一応、留学時代に中坊ザンザス アッでも俺ラルに師事してたんだった それなら多少の戦闘スタ フィア入り決定この期の平穏人生さようなら│ だ け ど リ ボ ー ン が 見 て る ん だ よ な ー 雲雀さんなら炎なしでも︵余力を残して︶勝てる どうする俺 ! ! ﹁ 、へぇ⋮﹂ ここまで思考する所要時間は約10秒。そうと決まれば⋮ フィアの方は問題なし ! イル見られたって誤魔化せる ! ! ! ﹂ 反撃しないのかって ! 碌な理由説明もなく、突然仕事を止められたら事後処理だって 風紀委員長として間違ってはいない 残された同僚だって迷惑する。だからこそ、雲雀さんの怒りは並中の ろう 人として考えるならこの行動は無責任にも程がある。だってそうだ しかし、それはあくまで俺の感情論でしかない。社会人として、大 細なことだ だから、あの事件でまぁ、俺という個人が職を失ったことは割と些 も、親友の危機に駆けつけることは出来た で、前回とは違って救われる命があった。仮に救えなかったとして を飛びだし、結果的に辞めたことは後悔していない。そうしたこと 勿論、あの時⋮真たちを助ける為、炎真たちの世話を焼く為に並中 ? ﹁ちょこまかと⋮ え いやだって何だかんだ悪いの俺の方で ど、やっぱりここでも戦闘狂なんですね嬉しくないわ に急所狙いでしたねハイ。しかもちょっと嬉しそうな顔してますけ そんなこんなで、叫び声と共に︵自然を装って︶避けた初撃は完全 ! !! ? ! ! ヤバいヤバいヤバい ? ? ! !!! !? すしおすし ? ? 123 ! ! ! !? ! 要するに一発くらいならまぁ、甘んじて受けようかなー、とは思っ てる ︵思っては、いるんだけどもぉ⋮⋮︶ 攻撃を避け続けながら、ますます膨れ上がっている怒気を肌に感じ ながらさてどうしようと困り果てる イヤだって、これ明らかに一発受けたらヤバいでしょ。脳震盪のち 死亡とかありえそうで笑えない ﹁残念ですが⋮﹂と医者が母さんに言う姿が容易く想像できてしまう。 そんな未来は嫌だ、マジで ︵うーん、どうしよー︶ 俺は内心かなり困りながらも、攻撃を避け続けるのだった 124 気づいたら女子組の買い物に付き合わされるようで す。⋮帰りたい このショーツいい感じね│♪﹂ ﹁和西服 似合ってる ﹂ ﹁ママンによく似合ってるわ﹂ ﹁わぁっ、色合いもいいですね∼﹂ ﹁はひっ、本当ですーっ﹂ ﹁あら 突然だが俺は今、窮地に陥ってる ! らいの強敵だ ﹁ねえ、ひー君はどう思う ﹂ ﹂ お伺いを立てるのは止めてくれない ﹁男性としては、どうですか ねぇ ? どナー 具 合 悪 い の ﹁如此糟 好 ﹂ ? ? 大丈夫 だけど二人とも、もう少しイロイロ考慮してくれると助かるんだけ のは嬉しいんだ 京子ちゃん、俺に初恋のお兄さんというフィルターを掛けなくなった ねぇハル、俺、君と︵今回︶会ったのは今日が初めてだよね ﹁⋮えっとー⋮﹂ ﹁やっぱり、気になるよねー﹂ ? ? ねぇ母さん、お願いがあるんだ。頼むから、その商品を持って俺に ? ? ﹁⋮、うん、いいチョイスなんじゃない ﹂ が、今の俺にとって彼女たちは九代目やリボーンなんて目じゃないく 周りを取り囲む、幼女から主婦までの幅広い年代の彼女たち。だ ! ? 係者でユニの次に穏やかというか癒し枠というか ﹁なによ、もう少し気のきいた一言の一つも言えないの これだから もんね。それにしても相変わらずイーピンは俺の知ってる裏社会関 そうだね、イーピンに関してはまだそういった羞恥心は芽生えない ﹁ああうん、心配してくれてありがとイーピン⋮大丈夫だよ⋮﹂ ? 125 ! もうね もう少し場所と状況を考えて ﹂ 相変わらず俺に辛口ですね ﹂ なんというかね ﹁あら、どうして 下着売り場 のだった ﹂ いいけどさそれは別 ﹂ 居たたまれないんですよ ﹂ ! 気まずいし居たたまれないんだよめっちゃ 誰か気づいてよ、店員さんの生暖かい目 続けるのだった その通りですが何か ? 俺はズッシリと重い荷物に辟易しながら、来る筈もない救援を求め ︵あー、もう誰でもいいから助けてヘルプミー︶ 特に精神的に この圧倒的女性に囲まれた中で男一人はキツイんだって イヤ割りとマジでね 同じ不幸とトラブルに愛されたもの同士、苦楽を共にしようよ⋮ ︵嗚呼⋮ツッ君⋮どうして君はここにいないんだ⋮︶ ! ! お言葉をくりだし、俺は溢れそうな涙を堪えて一行の荷物係となった その後、俺の魂の叫びにだがしかし。女性陣はにこやかに却下との ﹁俺がこ こに場違いだからデス ! !? !? リボーン以外の男は駄目ね﹂ ﹁お言葉ですが あとビアンキ に でもね ﹂ なぁに、ひー君 ﹁あの、さ⋮姉さん ﹁うん ? ﹁俺⋮ちょぉおおおっと席を外してもいいかな ? 現実逃避 ? 126 !!!!! !!! ! ! ? ! ?? ? !!?? !! 気 づ い た ら 跳 ね 馬 に 世 話 を 焼 い て い ま し た。⋮ 相 変 わらずだなぁ た ﹁う、ぎゃっ ﹂ !! アレー 聞いたことあるぞこの声ー マ フィ ア 関 係 者 いい人なんだけど。いい人ではあるんだけども ﹂ ︵部下がいるとこれ以上もなく頼りになるのに⋮⋮︶ に、とかとか ボスになって大分たつのに、とか。頭の回転も悪くないはずなの ︵⋮⋮この人も訳わかんない人だよなぁ⋮︶ 首を捻っている そんな俺の心は露知らず、ディーノさんは心底不思議そうな表情で ﹁なんでだろーなー 大人だった。⋮⋮まぁ、ある欠点もあったケド が、あの頃ではほとんどいなかったといっていい数少ない尊敬出来る 俺が彼と出会ったのは、これまた家庭教師の企みに因るものだった を持った昔からのボンゴレの同盟ファミリーのボス 若いながらも有能な人物で、自分のシマの民を大事にするスタンス 跳ね馬ディーノ。キャバッローネファミリーの10代目 だよなぁ⋮ ね。どこまでいってもマフィア関係者であることに変わりはないん や、いい人だよ その現実に思わず遠い目になる あー、うん、これはやっぱり⋮ディーノさんかぁ⋮⋮ い金髪 ピタ、と足を止めてそうっと後ろを盗み見れば、この近辺では珍し ? ? ﹁いってててて⋮⋮なんか今日はよく転ぶなー ﹂ 突如、後方にてそんな叫び声が聞こえてくる ﹁⋮⋮うん ﹂ それは仕事を終えて、一週間分の食料を買いに商店街にいた時だっ ! ? ? 127 ? ? 間 ここまで公私に差がある人も珍しい それ﹂ ﹁オメーもよっぽどだぞ﹂ ﹁君が言うの 仲 ﹁貴方が言うことじゃ無いでしょう﹂ の 批判 因みに速攻脳内リピートされた彼らの声なんて聞こえない聞こえ うん、全く 参ったな∼﹂ ない。自分の事を棚上げになんてしてないよ ﹁あー、ツナん家はどう行くんだっけ ? ら、一人ってことは既に何回か来てるんだろうなとは推察できるけ まぁ、最初に会った時は部下を大勢連れてきて︵くれやがっ︶たか んだな⋮と感慨深く思う と聞こえてきた呟き。その言葉に、あぁ⋮やっぱりもう俺と会ってる ツッ君 なんて、自分でもよく分からない言い訳を内心で呟いていると、ふ ? フィ ア ヤバい人とは︵悲しいことに︶関係あ マ ど。蛇足だが、前回の黒服大勢たむろ事件のせいでしばらくご近所に 嫌ぁな噂が広まった 沢田家 寧ろ本山扱いだけど ウチは借金なんてしてません るけど ! !! ﹂ 前回の大変だった後始末に目から汗が流れそう ﹁んー、確かこっちだったはず⋮⋮うぉわぁっ ﹂ おかげで、最悪の事態は防げた。が ﹁﹁⋮⋮⋮﹂﹂ ガシィッ グイッ ガッ ズボンを抑える 瞬間。むちゃくちゃ強く警鐘を訴えてきた超直感に従い、すぐさま ﹁とぉっ から倒れてき│││ と、そこで。再び聞こえてきた叫び声と共に、ディーノさんが背後 !!? ︶ ドッドッドッドッ⋮と心臓が煩く鳴り響いてるよ ︵⋮⋮あ、あっぶね∼∼∼∼∼ !!!!! 128 ? ︵⋮⋮あ、やばい泣きたくなって来た︶ !! !!? ︶ イヤだって、今ディーノさんが転んだ拍子に俺のズボン引っ張った んだもん。反射的に掴まなかったら俺ヤバかったよ ︵こんな往来でパンツ一丁になるのは二度と御免だ││││││ かった、マジで ︵嗚呼、今ほど自分を褒めたいことはない ︶ 精 神 ダ メ ー ジ 的 に も 社 会 人 生 命 的 に も ア ウ ト だ。間 に 合 っ て よ !!!! ? ﹁わ、わりぃ 大丈夫だったか ﹂ 間に合ったことに全力で安心しつつ、自我絶賛しちゃうね 直感 ナイス俺の反射神経。ありがとう俺の身体能力。流石だよ俺の超 ! ﹂ と思ってね ﹁ほ、本当にすまん 人としてどうよ イエね、冷静に考えたら咄嗟にあそこで最悪の事態防いだ俺って一般 なんて内心では返すが、表面上はただビックリ、という風を装う。 ﹁え、えぇまぁ⋮﹂ ある意味大丈夫じゃないです。俺のライフはもうゼロに近い !? かも商店街という道の往来で ﹁⋮⋮、⋮⋮、⋮⋮﹂ ポク、ポク、ポク、チーン⋮ ただけでしょう ・ ・ ・ ・ 貴方に怪我がなくてよかったですよ﹂ ﹁いえ、そう気にしないで下さい。運悪く転んで偶然掴まってしまっ ・ 大の男二人が︵偶然の産物とはいえ︶なんていう状況だ、オイ。し でズボンを掴んでいて ンに手を掛けていて、方や、茶髪の青年はそれを邪魔するように両手 方や、金髪の青年は茶髪の︵この表現は誠に遺憾だが︶青年のズボ なくともなんてシュールな光景 そういえばズボンを抑えた状況のまま固まってたよ俺。よく考え ︵⋮⋮あ、いけね︶ ディーノさんが慌てて謝罪してきた と、そ こ で よ う や く 自 分 の 起 こ し か け た 惨 事 に 気 付 い た の か、 !! ? ? 129 ! 俺はたっぷり30秒考えた後、何も疚しい事はありませんよと言わ んばかりに必殺アルカイックスマイルを繰り出した 勿論体勢も即座に直し、態度も取り繕う マァ所々強調はさせてもらったけど。いやだってそっち方面の余 計な噂が広がるのは真っ平御免である ﹁あ、ああ⋮俺も大丈夫だが⋮﹂ マフィア時代に身に着けた大きな猫をおぶさって、そう言う俺に対 し、しかしディーノさんは妙に歯切れの悪い対応を返した その反応に、あ、そういえば今回まともに顔を見て相対したのはこ ︶ れが初めてだな、と今更ながらに思いだす ︵なんか⋮スッゲー見覚えあるような⋮⋮ どこか困惑したような、戸惑ったような煮え切らない表情 ま、大方どっかで見た顔だなー、とでも思ってるんだろうけど ︵⋮⋮血縁者云々以前に、本人だしなー︶ ただ、この頃の俺ツナはまだダメダメっぷりが果てしない 観光するような街 ダメツナ時代の俺と、今の色んな経験値をつんだ俺とでは雰囲気が 全く違うといってもいい ﹂ ﹁こ の 辺 り で は 見 な い 顔 だ け ど、外 国 の 方 か な じゃないし⋮知人でも ? ちまってなぁ⋮﹂ 全力でスル│したいから うん危なかったねディーノさん に聞かせないでほしいな !! ! ﹁そうなんだ。どこかで待ち合わせ場所でも決めてない ﹂ お願いだからその手の単語を俺 ﹁ああ、まぁな。可愛い弟分に会いに来たんだが、部⋮⋮仲間とはぐれ のボスと関わりを持つのは避けたい。かなり本気で 平和に平穏に平凡に生きたい俺にとっては、ディーノさんマフィア 沢田家に行くにしても帰るにしても、さっさと別れたいナー そんなことを思いつつ、さり気なく話題を逸らす。てか、これから ? 深くは関わりたくないよ でもだからって部下のい ニコニコと微笑む裏側で、内心はあくまで心中語として胸中に押し ? ! 130 ?? ? とどめる や、確かにね ? ないディーノさんを放置するのは危険だ⋮⋮⋮色んな意味で ﹁あ゛ー、それは、その⋮⋮﹂ が、しかし。相手の反応を見る限り望んだ返答は得られなさそうで ある ︵うーん、残念︶ 待ち合わせ場所があるならさっさとそこに連れてって、後腐れなく サヨナラしたかったのに⋮ しかし、何度でもいうがディーノさんを1人放置するのは無知な赤 ん坊から目を離すのと同じこと。部下がいないと何やらかすか非常 に不安なのだ ︵うーわー⋮︶ 理性では関わるな。経験値では放置ダメ、絶対。進退窮まるとはこ んな状況のことではなかろうか ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮はぁ﹂ 俺は相手に気付かれないよう、ソッと溜息をついた 131 気 づ い た ら 弟 分 た ち に 囲 ま れ て ま し た。⋮ 皆 幼 い なぁ それは、なんとか仕事を平日中にきれいさっぱり終わらせることが 出来、素晴らしい解放感を味わっていた日のことだった ﹁うーん、いい天気だなぁ﹂ 最近、どうにも同じ姿勢でばかりいたから少しは運動しないと、と いうことで開始した散歩。開放感プラス、どこまでも吹き抜ける青空 にやはり心が安らぐ ︵なんとかマフィア関係者とは出来るだけ関わらないでいられてるし ⋮⋮︶ まぁ、それなりに平穏な人世を歩めてるはずだ⋮⋮⋮少なくとも前 回に比べれば ︵大丈夫、大丈夫。ハルみたいに積極的に踏み込もうとしなければ、リ ツナ ボーンだって手を出さないだろ︶ 残念なことに、俺は血縁という縛りから逃げることは出来なかっ た。それこそ、本気でやりたくないなら〟死んでしまう〟か、〟世捨 て人〟として生きるかの2択しかなかったのだ。どちらにせよ平穏 を捨てなければ無理だったろう ︵⋮⋮だけど︶ ハルや京子ちゃん│││││山本、お兄さん、雲雀さん リボーンが彼らを巻き込み、こちらの世界の住人へと誘ったのは、 何も俺の傍にいる実力者だからだけではないのだ 九代目の時代では、死ぬ気の炎を扱えるのはほんの一握りの人間だ ス 守 護 者 け。そしてその条件は、炎を灯すことのできる覚悟を持つことが出来 るかどうか ボ 故にリボーンはその観察眼で見出していた ツナ ボンゴレの大空を守護するに足る6人のファミリーを 年齢・性別・人種・性格その全てを超えても、俺につき従い、巨大 マフィアボンゴレの責務に潰されず支えていくことのできる覚悟を 132 ! もつ人材を そうして集められたファミリーが、何よりも俺の大事なモノになっ ていって⋮⋮ ︵⋮⋮ああ、やめやめ︶ そこまで考え、ゆるりと頭を振って思考を止める 宙 いくら感傷に浸ろうが、今の皆ファミリーに必要とされているのは 俺じゃない 沢 田 綱 吉 宙 ボンゴレを受け継ぎ、ファミリーに支えられて、仲間を守っていく の は ツッ君 の 運 命 で あ り 役 目。俺 に 出 来 る の は 精 々、手 助 け 程 度 で あって⋮⋮⋮そこまで深く、でしゃばるつもりもない ︵⋮⋮参ったなぁ︶ 笑え お腹抱えて笑え ﹂﹂ らしくもなく、表情が曇│││ ﹁﹁笑え ﹂ !! アレ ﹂ てゆーかこの声聞いたことあるよーな ﹂ ﹁楽しくなったモン勝ちだもんね ﹁みなさまもご一緒に∼ ﹁﹁笑え 笑え さぁ声出して笑え ﹂﹂ そしてこんな思考回路を、ついこの間もしたよーな ? る歌というか⋮ ﹁ぎゃほほほほほほ ﹂ ! ない ﹂ バチッ ﹁ほら !! あ、ランボと目が合った。そしてアイコンタクトした2人が合唱し ﹁﹁楽しくなっちゃった ﹂﹂ いきなりの光景に思わず唖然とする俺。しかし、そこで話は終わら ﹁ウフフフフフ ﹂ というか歌だよねこれ。スッゲー懐かしいというか久しぶり過ぎ ? ! ! ! と、その時。直ぐ近くの公園からそんな言葉が飛んできた ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮んっっ⋮ ! ! ! 133 ? ! ? ! ! え ﹂ ながら俺に近づいてくるんですけどぉ ﹁え ﹂ ﹂ まーだーわーかーらーなー そして俺、こんな幼い二人に悟られ 大人はー大変だー あれ、そういえばこの歌詞の次って⋮ こんな歌だったよね ﹁むーずーかーしーいー顔がいぱいー だよね いーけーどー ハイ色々あります ﹂ 大人になっても ずっとずぅっと楽しいもん ずぅ∼っと笑ってるー あああ無垢な瞳がこんなにも心に痛い⋮ ﹁俺っちはー ﹁イーピンもー ﹁﹁だってだって笑ってた方が ﹂ 人様に言えないような事情でいっぱいです ﹁きぃっといーろいーろあーるんだよー るほど難しい顔してた ! お腹抱えて笑え ﹂﹂ ﹂﹂ なんて無邪気パワーに圧倒されてやられそうになるけれど、続けら 笑え !! れた言葉に目を見開く ﹁﹁笑え ! いネガティブに考えがちだし ﹁ち ょ、ち ょ っ と ラ ン ボ に イ ー ピ ン ﹂ ! ﹂ 何言ってるんだもんねフゥ太∼ ちゃ駄目だよ ﹁ん∼ ﹂ イーピン好き !! ∼ ﹁ひろ兄、優しい ! ヒロシはツナの兄貴だじょ ?? !! 知らない人に話しかけたりし やっぱり俺、ダメツナのままかもしれないや。仲間がいないと、つ ︵あーあ、弟分に教えられちゃったなぁ⋮︶ そのことを思いだし、ふわりと口角が上がる というか、表情がころころ変わるというか まぁ確かに、ランボもイーピンも笑う顔がデフォルトだったなー。 大人になっても笑ってる、か⋮⋮。 ︵⋮⋮でも、そっか︶ で最後まで歌い続けてたけど まぁ、そんな俺の変わった様子に気付くこともなく、2人は上機嫌 ! ? 134 !! ! ! !!!!! ? !?? ! ! ! ! ! !! !!? ! ! ! ! ? ? ﹁えっ、そうなの くね﹂ してかな ﹂ ツッ君│││沢田綱吉の叔父の宙っていうんだ。よろし ﹁⋮ふふ、久しぶりだね、ランボ君、イーピンちゃん。それと、初めま 尤も、逆に説得されちゃってたけど てて二人を押さえようとしていた なんて、回想に耽っていると、一緒に遊んでいたらしいフゥ太が慌 ? そんな様子を微笑ましく思いながら、俺は一先ず自己紹介から始め た 135 ? 気づいたら右腕がしょげ返ってました⋮落ち込んで るなぁ それはツッ君たちが中学2年生に進級し、あっという間に夏休みに なったある日のこと 俺は降り注ぐ太陽の日差しに負け、手近なファーストフード店にい た。ついでに、冷房の効いた店内で夏休み明けのテストの草案を作っ ︶ ていたんだけど⋮ ︵⋮⋮ん ふと、一般人とは違う気配に窓の外を見ると、そこにはとんでもな い光景が広がっていた │││なんということでしょう │││黒服が大勢屯たむろっているではありませんか ︶ なんで折角の休日にこんなエンカウ !!!! ! ! ︵ってどんな劇的ビフォーアフターだぁ│││││ 明らかに堅気じゃないよね ントがあるのかな ! なんの用だよ てきたし ﹁で ﹂ ﹁まぁ座れよスモーキン・ボム﹂ ﹂ 思いっきりアウト 獄寺君とディーノさんボンゴレ関係者││││ アウト ﹁しょ、昇進 !! 泣きたい。しかも、それプラスあまり関わりたくない相手が入店し !!? ? だ﹂ やめてー 堂々と裏の内容についてここで話すの止めてー ! ﹁や⋮やったぜ さっそく十代目に報告だ ! ﹂ 仕方なく、表面上はテスト作りを進めるが、内心では滂沱の涙だ 十中八九盗み聞きしていたことがバレる。それはマズイ 思わず顔を覆ってさめざめと泣きたくなるが、そんなことをすれば ! !! 136 ? !! !! ﹁ああ、9代目からのお達しでな。ボンゴレ第6幹部に異例の大抜擢 !? !!!! ? ヨカッタネー、獄寺君。俺、君にそんな話来てたの覚えてないけど ﹂ ﹁そーだな、そんじゃあ荷物まとめとけよ、明日イタリアに帰るから な﹂ ﹁い、イタリア⋮ ﹂ 俺は九代目に仕えてんじゃなく十代目に仕えてんだ そんな条件なら俺は降りる ﹂ ないよね⋮ 釣り、かぁ⋮ ボ ス ︵やっぱり九代目って狸爺だなー︶ ? 力 欲に負けてボスの傍を離 ? 上等 自分の大切な人間を勝手に試されて、黙ってられ ! るような性分じゃない 自分本位 ⋮⋮物凄ーくむかつくよねっ ﹁⋮⋮﹂ ﹁じゃ、また明日な獄寺﹂ 勿論、理屈としちゃ分かる。分かるけど、サァ⋮ れるような奴は信頼できないし そりゃ、命を狙い狙われる世界なんだし ︵あ∼やだやだ、これだからマフィアは胸糞悪いんだよ︶ る奴じゃん⋮ これ、獄寺君が頷いて、ツッ君より地位を求めようとしたら殺され 権 そもそも、美味い話ではあったけど⋮わざわざ獄寺君に言う話でも ﹁ まわって将来のツナの為になるんだ﹂ ﹁大人になれよ、スモーキン・ボム。現在のボンゴレの繁栄が、まわり そり眉を顰める そして告げられた言葉に獄寺君が激昂するが、俺はその内容にこっ !!! ﹁冗談じゃねえ ポートするのが仕事だ﹂ ﹁若輩とはいえ、幹部になるんだ。当然、イタリア本土で9代目をサ と、そこで。不意にディーノさんの声音が若干変わる ? !! ︵あー⋮ということは⋮︶ ? ? 137 !! !!! ﹁あれ そこにいるのってもしかして獄寺君かな ﹂ ? てるし ﹁あ、あの ﹂ 宙さん ﹁う、うん⋮ ﹂ ﹂ 少しいいッスか ﹂ !!!?? めっちゃ焦っ こんな所で。今日はツッ君た なのでディーノさんたちが颯爽と立ち去ったのを確認した後、俺は あ、ひ、宙さん 思案中の獄寺君に声を掛けた ﹁えっ ﹂ ? その⋮今日は十代目とは⋮﹂ ちと遊ばないのかな ﹁あはは、随分驚くねぇ。どうしたの !!? うわちゃー。もう少し待ったほうが良かったかな ﹁い、いや ? !! ? ! ! !!! いた あれ ? !!! だが、だが⋮ いる。同一人物に見るなんてとんでもねぇ 勿論、俺だって十代目と宙さんが別人だということは重々分かって ていたんだ⋮ ソックリなんてもんじゃねぇ。生き写しレベルで、性格までもが似 なんだこの大人版十代目は⋮⋮ に膝をつきそうになってしまった けれど、あの日。初めて会った十代目のお家で、俺はあまりの衝撃 話には何度も聞いていた。その度に嫉妬に駆られていた 起こらなくなるからだ なにせ、宙さんに直接、一度でもあっちまえばそんな気はそうそう い衝動に駆られていたが、今じゃそんなことはねぇ 自慢げになされるもんで、つい、ダイナマイトで吹っ飛ばしちまいた 俺の尊敬する十代目には、叔父がいる。最初はあまりにも十代目が 獄寺Side *** さっきまで悩んでなかったっけ君 なんて考えていると、いつの間にやら獄寺君にそう声をかけられて ﹁あざーす ? ! !! 138 ? ? ? 口でいいくるめたのだ ﹄ ほら、秘密 これじゃ折角の私の美貌でリボーンを落と ﹃あ、そうだ。ビアンキ、今度からこれ着けてたら ﹃なによこれ、ゴーグル ﹃なにいってんの。男は謎のある女の方が好きなんだよ が女を美しくするとかもよく言うし﹄ ﹃⋮⋮⋮それもそうね﹄ 姉貴を しかもその目的 この時の俺の気持ちを、誰が表現できるだろうか⋮ 宙さんはあの ? ? ! ! せないじゃない﹄ ? !! のこと⋮ これこそ真の男 俺の憧れる大人の在り方だぜ⋮ ! !! ﹂ ﹂ ? ﹂ ﹁な、なに言ってるんスか 十代目は俺の事を右腕として日々頼りに い。その事実に、目を背けたくなる 現実として、苦笑しながらも宙さんは先の発言を取り消す様子はな かなかった 心のどこかで、期待していた。けれど、それは、俺の思い込みでし ﹁⋮⋮⋮⋮え゛っ たとしか思わないんじゃない ﹁うーん⋮多分、ツッ君は獄寺君がイタリアに行っちゃっても清々し そして、宙さんなら優しく背中を押してくれるんじゃないかと る十代目の事を思うと気持ちに踏ん切りがつかないというか⋮﹂ ﹁頭ではイタリアへ行った方がいいと思うんですが⋮俺を頼りにして ま声を掛けてきた宙さんにそのことについて相談したんだ だからこそ、俺はディーノの野郎に話を持ってこられた時、たまた 迎だ れる人、十代目に相応しい男で、右腕の座に興味がない奴ならば大歓 俺は基本、年上の男なんて全員敵だが、例外はある。俺の理想とな だぜ かる。あの包容力や寛容さを、少しは姉貴にも見習ってほしいくらい そして、一度それに気づけば十代目がああも自慢気にする理由も分 ! は、十代目のお家で姉貴に遭遇するたびに倒れてしまう俺を気遣って ! ? !!? 139 ! !! して⋮ !! しかし、宙さんはどこまでも俺の思い込みを否定した そ、それは⋮確かに⋮十代目は⋮⋮ ﹁そもそも、ツッ君の右腕って言うのは獄寺君の自称だよね うぐっ ︵⋮十代目は、︶ ﹂ ふと、そこまで考えて気づく。いつも俺は、十代目の右腕を⋮その、 ? 十代目が⋮十代目はっ 俺を頼りにしてくれてます 自称している。だけど、十代目が右腕として俺を頼ったことは⋮⋮ ﹁そ、それでも ﹂ ﹂ なんて⋮⋮そんなことっっ ﹂ ﹁右腕じゃ無くても ﹁そうっす ? ! ﹂ だとしたら⋮俺は十代目の⋮⋮ ? ﹁えっ⋮ 右腕じゃない⋮俺 ? ﹁⋮⋮⋮⋮⋮分かんねーっすよ⋮﹂ ﹂ 俺が⋮俺が十代目に必要とされてねえだ ! !! これ以上考えたくねえ 瞬間、俺は思考に蓋をした !! ﹁じゃあ、右腕じゃない獄寺君はツッ君とどんな関係なのかな !! しての自分を否定されたら、俺は⋮⋮俺には、何が残る⋮ ︵⋮⋮ぜんっぜん分かんねぇ⋮⋮︶ 自然と、視線が下を向く。顔を上げてられなくて、まっ直ぐとこち ﹁⋮⋮っっ﹂ ⋮結局、反論できる言葉が見つからなくて口籠るしかなくて 否定しようと声を荒げて。俺は間違ってなんか、と口を開きかけて には⋮ 勉強なら、いつも分かるのに。なんでこう、人との付き合い方が俺 ? らを見ているであろう宙さんを見れなくて、⋮⋮俯いてしまう⋮そん な時、だった ﹂ くしゃっ ﹁のわっ ﹁あーあ、ごめんごめん。ちょっと苛め過ぎちゃったね﹂ !? 140 !? ? 十代目の右腕たろうと日々研鑽していた。だけど、十代目の右腕と ? !! ﹁え、あのっ ちょ⋮っ、ひ、宙さん ﹂ !!? ﹁へっ ﹂ んと離れがたいって思っててくれてるよ﹂ ﹁お詫びに一つだけ教えてあげる。ツッ君はね、獄寺君のことちゃー が、撫でられてる、という事実であることにすぐに顔に血が上った 不意に、大きな掌が俺の後頭部に触れる感触が訪れる。ついでそれ !? ど﹂ それなら⋮どーゆー⋮ ?? ﹂ ?? 店の代金 いつの間にか俺の分まで払われてる 背を押してそう言うだけだった って ドンッ !! ﹂ ﹁じゃ、頑張ってね﹂ ﹁う、うっす⋮ !!??? でも、ハテナマークを浮かべる俺に構わず、宙さんはぐいっと俺の ﹁え、ええ 音が聞きたいなら、俺に話したようにツッ君に聞いてみるんだね﹂ ﹁さて、俺から出来るアドバイスはこれでお終い。もっとツッ君の本 ﹁ただそれは、獄寺君ももう分かってるように右腕としてじゃないけ !!? ! でなく、友達としても十代目の傍にいれることを知るのだった そんなこんなで、俺はこの後十代目の元へ向かい、右腕としてだけ ? 141 ??? 黒曜編 気 づ い た ら 黒 曜 中 に 転 入 生 が 来 て ま し た。⋮ 面 倒 事 の予感 秋といえば何を思い浮かべるだろう 食欲の秋、運動の秋、芸術の秋、勉学の秋、睡眠の秋⋮⋮なんとな く日本人は、秋という冬に向かう季節に何かを始めようとする傾向が あるんじゃないかと不意に思う ︵だけど、なぁ⋮⋮︶ 俺は なー柿ピー、こいつらで遊ん す、すまないが彼らの校内案内をよろしく頼む 嗚呼、神様仏様初代様 ﹂ ﹁丁度いいところに よ宙くん ﹂ ﹁うへーっ、もー飽きたってんれすー じゃダメかよー ﹁⋮⋮煩いよ、犬﹂ ﹁⋮⋮﹂ マフィア騒動開始コレはちょっとないのではないだろうか ! ! 障りのない案内をする そんなかつての仲間のスペックをつらつらと思いだしつつ、当たり 階も同じ場所にあるから﹂ ﹁えーっと、トイレはここを真っ直ぐ言ったところね。基本的にどの 始利用してるだけと否定してたケド︶。あとパイナップル頭 に負けたのをきっかけにボンゴレの霧の守護者となった男︵本人は終 数々のマフィアを︵善悪問わず︶殲滅した存在。そして、俺沢田綱吉 自 分 た ち を 人 体 実 験 し た エ ス ト ラ ー ネ オ フ ァ ミ リ ー を 皮 切 り に、 六道骸 *** 深い深ーい溜息をついた 校長に擦りつけられた案内役│││もとい、凶悪殺人犯への生贄役に ? ? ﹁げーっ、さっさとしろってんだよー﹂ 142 ? !! !! ﹁⋮これで終わった ﹂ ⋮ってかこいつら本当にどうでもよさそうだなオイ。わざわざ真 面目に案内してる俺が虚しいじゃないかこの野郎ども チラ、と後方の2人を見つつ内心また溜息を零す 柿本千種及び城島犬 骸に命を助けられ、その彼に絶対の忠誠を誓う骸の配下。この頃の 彼らは、骸が誰にも心を許さないということもあって、同じく骸とお 互い以外を信用することはなかった だからまぁ、骸のお遊びとして日本の学生になったとしても、俺な んかに一教師に心を開くどころか興味を持つことがないのも仕方な いのかもしれない ﹁⋮⋮﹂ ⋮⋮まぁ、それよりも正直。俺はこの人に対しての同情心が押さえ きれないんだけど ランチアさん 骸と関わったことで、人生を狂わせてしまった人。何よりも大事な ファミリーをその手で殺してしまい、自分の意志とは関係なく多くの 人間を殺戮してしまった。それはこの先一生│││それこそ、ランチ アさんの死の間際まで付きまとってしまう それらを思えば胸が痛むが、今はそれよりも ︵ラ ン チ ア さ ん ⋮ 今 は 俺 の 6 つ 下 の 2 5 歳 だ っ て い う の に ⋮⋮⋮ッッ︶ その年で学ランコスプレして羞恥心に耐えなくちゃいけないなん て⋮⋮ 業は俺の授業だからクラスにいてくれると嬉しいな﹂ 俺は内心でランチアさんに酷く憐れみの涙を流しながら、表情には 出さずに彼らにそう言っておくのだった *** その翌日。俺は表向きは彼らにも他の生徒と変わらない態度を貫 きながらも、それ以上は不干渉を決めていた 143 ? ﹁ハイ、という訳でここの学校案内は終了です。一応、君たちの次の授 !! イヤだって、俺が動かなくてもこの件はツッ君に任せた方がいいっ て超直感言ってるし。そうでなくても不用意に関わってマフィアに 引きずり込まれる一歩を踏み出したくもないし ⋮⋮⋮と、思ってたんだけどナー ﹁そうだね。でも、頑張ろう﹂ なんでそんなことになってるかだって 思わず遠い目になりながら、つい昨日までの決意を思いだす俺 え ⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮ありがとう﹂ 挙句の精神異常と見做されてただろうけど⋮ ﹁樺根くん⋮⋮⋮ 屍 もし、俺以外の教師や生徒が見たら、現実と理想の違いに苦しんだ 基礎に、一人ででもこの学校を改善しようと邁進していた努力家 兄さんに憧れてここに入学したと言っていた。そして、割れ窓理論を 確か彼は、幼い頃│││まだ、進学校だった黒曜中に通う近所のお ︵ハァ⋮⋮十中八九、骸の幻覚にかかってるんだろうなぁ︶ 人になっちゃってるぅー ウチの生徒会長君が、何もない空間に親しげに語りかけるアブナイ ︵うーん、困ったなー︶ そりゃあもう、この現状を見れば誰だってそうなるよねぇ をならってたけど⋮﹂ ﹁⋮強いって⋮僕は全然そんなことないよ。小学生の頃ちょっと空手 ? ﹁ ﹂ ﹁おい、日辻﹂ かってしまった。無念 分かりたくないけど骸の意図というか、お遊び相手の選定理由が分 というか妙な人間味というか⋮︶ ︵こーゆー親父ギャグじみたセンスを発揮するのが、骸の謎なところ 生徒会長君│││日辻君と、彼の理想を肯定する存在│││樺根君 羊 あー、うん。ますます骸の仕業っぽーい ? ﹁八木沼⋮﹂ ﹁またオメー一人でそんな事やってるのかよ。ヒマな奴だな﹂ 144 ? と、そこで新たな闖入者が現れる ! うわーぁ⋮これはまた微妙な相手に幻覚にかかってるとこ見られ ちゃったね生徒会長君 ︵⋮⋮八木沼君と生徒会長君は昔馴染みだっけ⋮︶ ある意味、これが彼の黒歴史にならないことを祈ろう、うん ﹁つーかさ⋮⋮﹂ なんて、考えていたからだろうか。俺は次の八木沼君の行動に一瞬 だけ反応が遅れてしまった ﹂ そしてその一瞬は、十分な隙となる ﹁ぐうぅ⋮っ ﹁オ メ ー み て ー の を 見 て る と ム カ つ く ん だ よ。自 分 一 人 だ け 良 い 事 ﹂ や っ て る っ て ツ ラ し や が っ て ⋮⋮⋮ こ ん な 無 駄 な こ と し て い い 子 ぶってんじゃねぇよ ︶ ! ﹂ 今まで気配もなかったのに、気づけば自分の ︶ そんなんじゃ女子にモテないさびし∼い人生送 ることになっちゃうぞー﹂ 力だけじゃないよ ﹁八木沼君、あんまりやんちゃばっかりしないように。男の魅力は腕 の笑みを浮かべる 今更ながらに後悔するが、その内心はおくびにも出さず教師として !!! ! 配くらい最初から出しっぱにしてればよかった 骸がいるって分かってたんだから、気 すぐ脇を通り抜けて喧嘩の仲裁してるんだもんね ! うん、我ながら怪しさ満点 !! ︵そりゃあそうだよね うあちゃー、幻覚で姿誤魔化してる骸の視線がビシバシ刺さるー ﹁ちっ、テメェかよ⋮﹂ ﹁せ、先生⋮ の動きを止めた 口ではそう言いつつ、主に八木沼君の攻撃を無効化するように二人 ﹁│││はい、二人ともそこまでね﹂ 俺はすぐさま現状を把握して跳びだし ︵これ以上はヤバい、な⋮ も、追撃を加えようとする八木沼君 気づけば、不意を突かれた攻撃で蹲る生徒会長君。けれどそれで ! ? 145 !! !? ﹂ ﹁うるっせぇよ童顔センコー 寂しい独り身じゃねーか ﹁あいだだだだだっっ ﹂ ﹂ ﹁せ、先生ぃいいいいい ﹂ テメェだって30過ぎてる癖に独身の 俺の顔がなんだってぇ ?? テメェらなんかに構ってられっか 落とすところだったよ ﹁クソッ ﹂ !! 掛ける ﹁八木沼君ー !? ﹂ ﹁テメェ本当に教師か よ 毎度そのお話︵物理︶でなんで捕まんないんだ ごめんね、だって骸たちにやられるフラグしか見えなかったんでさ 途端に、忽ち顔を引きつらせてUターンしてくる八木沼君 ! ! 室にいるからー ﹂ くれぐれも一人で転入生に突撃しないようにねー 君のお仲間たちは校則違反してたんでお話︵︶して保健 立ち去ろうとしていた。しかし、それに俺は敢えて空気を読まず声を なんて思ってると俺の腕から逃れた八木沼君が捨て台詞を吐いて ﹁えっ、あっ、八木沼 ﹂ おっといけない。ついうっかり八木沼君にアイアンクロ│かけて ? !! ﹁オイこらなんていった八木沼君 !!??? !!!??? !!!! !? ! に﹂ ﹁そのせいで何度殴り込みがポシャッたか分かってんのかド畜生 !!! か俺には出来ないんでね ﹂ ﹁オイ待てこらその呪いじみた捨て台詞だけは止めろぉおおおおおお ﹁こンの一生童顔くそったれセンコ│││││││ !!!!!! い。せめても若さゆえの過ちを犯そうとする前に防止するくらいし 関わりたくないけど、むやみやたらと犠牲を出したいわけでもな ﹂ ﹁人聞き悪いなぁ。俺はただ、彼らが反省するまで擽ってるだけなの !!?? ﹂ しかし八木沼君よ、その捨て台詞は大層オリジナリティがあるが俺 146 ! ! !!!!! に向けて言うのだけは許さん ﹁⋮⋮⋮あ、あの先生⋮⋮﹂ そんなこんなで八木沼君との交流を深め終えると、どこか怯えたよ うに生徒会長君が俺に話しかけてきた あっ、いえ その、勿論先生のやり ﹁どうして⋮⋮どうして、先生は⋮⋮その、教師なのに⋮⋮力を振るう ことに躊躇いがないんですか⋮ で殴られている噂をよく耳にする 今回はそう酷い目には合わなかったが、ああして絡まれては無抵抗 恐らくそれが、生徒会長君にとって最も恐れていることだ なること │││そうした行為を、躊躇いなく喜々として行えてしまう人間に させること。 暴力を振るい、相手を傷つけること。他者を、その力でもって服従 ﹁すみません⋮こんなこと、言って⋮⋮﹂ うものだった そして問いかけられた内容は、彼に取って根本的な恐れであるだろ 方が八木沼たちと一緒とは思わないんですけど⋮﹂ ! ⋮どうして、ですか⋮ ﹂ だからこそ、彼の気持ちは共感できるし、理解できる。だけど ﹁躊躇ったら、守れないから﹂ だけど俺は、生徒会長君の理想を全て肯定することは出来ない。ど うやったって、言葉だけで世の中を変えられないのは、前回で身に沁 みている現実で ﹂ ﹁言葉だけで分かり合えるなら、生きるのはとても楽だろうね。でも、 現実はそう甘くない。それは君も分かってるよね 暴力に暴力を返したらいつまで ? 暴力じゃ無くても、なにか別の方法が││ ﹁で、でもやっぱり暴力は駄目です たっても争いは消えない │﹂ ! ﹁うん、俺もその道を模索し続けることはいい事だと思うよ。けど、そ ! 147 ? ﹁⋮⋮俺にだって迷いはあるよ。でも、確かに躊躇いはないかもね﹂ ﹁ ?? ⋮⋮⋮彼の葛藤は、昔の俺が感じていたことそのものだったなぁ !! ういつもいつも悠長に構えてられるわけじゃ無い﹂ ﹁そ、れは⋮﹂ ﹂ ﹁力は、唯の力だよ。ただ、それを扱う側がどうするかによって変わる んじゃないかな﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮先生は、どうして⋮⋮何の為に力を振るうんですか⋮ ﹁⋮⋮俺の行動原理は簡単だよ。無抵抗でいることで傷つくのが俺だ けならまだいい。だけど、俺が無抵抗である事で、若しくは傍観者で ある事で周囲の人間や、守りたい人を傷つけてしまうのは嫌なんだ。 ただ、それだけの話なんだよ﹂ 彼が、彼らが道を踏み外しませんように そう思いながら、 ﹁まぁ、八木沼君たちみたく暴力で全てを解決しよ うとしたら手痛いしっぺ返しが来るだろうからほどほどが一番だけ どね﹂と言葉を締めくくる俺であった これでなんとか骸のお遊び潰せるといいなー 俺は生徒会長君の頭を撫でながら、そう思っていた 148 ? た ち 慣れてるもん 悲しいことに 明ら 気 づ い た ら 並 中 生 が 襲 わ れ て ま し た。⋮ 骸 の 馬 鹿 や ろーっ 骸 チャオチャオ☆ 今日も徹夜で馬鹿どもが原因の被害届を裁く俺です☆ ⋮⋮ふざっけんなぁあああああ 幾ら教師が子供の不始末を背負わなきゃいかんとはいえ !!! 一般人に収まる類じゃないだろうがァアアアア まだいいよ ! かに一介の 俺はね !? ! まらないわけですよ ﹂ 他の人には当ては !! !! 田中先生が心労と過労とストレスで入院なされましたぁ つまりは何が言いたいかって言うとね ﹁大変です あああ ﹁ぎゃーっ !!? !! そしてその分増 唯一残ってた古参の教師が一人もいなくなったぁあああ !! !? !! もうやめて ﹁おい童顔教師 ﹂ ﹂ 教師のライフは既に0よ ﹂ ﹁おぉっとお手が滑ったぁ ﹁うぎゃ !! よう配慮して、ちゃんとプラスチックの部分が当たるようにな 敢えて躊躇わずに黒板消しを投げた。チョークの粉を吸い込まない そんな最中、突然やってきて無礼な言葉を吐いた彼に対して、俺は !!! !! ! に荒れる生徒に、学校の失敗ばかりあげ連ねていく保護者 やってもやっても終わらない書類、クレームの対応、ここぞばかり らさらに倒れていく悪循環 えた仕事が、残った人間に分配され、負担を支えきれなくなった人か !! ﹂ でもそれはあくまで俺が特殊な事例で在って 没するぐらいの厄介事が大挙してましたからね あのハチャメチャなマフィアの日々じゃ、逆にこれくらいいっそ埋 ! !!? ! 149 !! !!! !! !! !!! 同僚がバタバタ心労で倒れていくんですよええ !!! ﹂ 悪口言われたからだろうって ﹁∼っにすんだテメェ ﹂ イエイエそんな滅相もない ﹂ !!? ど ﹁こンの暴力教師 なんで捕まんねーんだ ﹁教師に対して不適切な発言があったので注意︵物理︶をしただけだけ ? 超絶忙しい俺になんの用 ﹂ ? 閑話休題 ﹁んで られないよ ? ﹂ これからツッ君と戦うのにさ やだなぁ怒りっぽーい、カルシウム足りてないんじゃないの そんなんで大丈夫 ﹁はいはい、そうでしたねー﹂ でもヤバいって分かってたし ? 声音が変わってしまう ﹂と ? 一員どころかボスだったしね !! 曰く、﹁貴方もボンゴレの一員なんでしょう⋮ まぁ間違ってはいないね くせに⋮﹂と続くだろう。けど、八木沼君︵偽︶となると、途端に副 これが八木沼君100%なら、﹁いつも勝手にしゃしゃり出てくる 尋ねてきた そんなことを思っていると、不意に訝し気に八木沼君︵偽︶がそう ﹁あんた⋮⋮なんで動かねーんだよ ﹂ ちゃガンガン警報ならしてたし。それでなくてもこの間のあれ、自分 いやぁね、実は最初から気づいてはいたんだよねー。超直感めっ ﹁チッ⋮﹂ した骸との会話を続ける なんて内心で思ってることはおくびにも出さず、八木沼君のふりを ? ﹁俺 が 普 段 そ ん な こ と し て も ら っ て る よ う な 言 い 方 す ん じ ゃ ね え よ ? 今日はあんまり遊んでも構っても 行の悪いうちの生徒だけで胃がやられるよ イヤまじで。やわな神経してたら骸たちのバカ騒ぎがなくても素 ﹁それぐらいでなきゃ、こんな学校務まんないって﹂ !! ? なーんて、ジョークは置いといて ! 150 !! ? ? !! この場合の一員とはズバリ、ツッ君の叔父であるってこと。つまり この時点でツッ君、君が十代目ボスって情報はバレてるんだよドンマ イ ︵⋮⋮まー、リボーンが来て十代目候補に名を上げたとはいえ、それま で完璧に平穏を送れてたのにコレってことは、高確率で九代目が情報 をリークさせてたんだろうけど︶ とはいえ単純に骸たちが情報収集に優れてるってのも言えなくも ないけど。特に骸の憑依スキルは超直感以外対抗策ないし ﹁見て分かんない 前回なんかいくらヴァリアーが精鋭部隊とは ⋮⋮っ 事後処理だけで手いっぱいなんだよ⋮⋮授業さえ と、また話が逸れた いえ、たった数人でボンゴレ本部制圧できちゃってるんだぜ だってそうじゃん 報とかが杜撰になってそう しかし何年か前にも思ったけど、この頃のボンゴレって慢心故に情 ? ?? ? だが断る ﹂ 本性出しやがってコンニャロ ! ﹁クフフ⋮僕の遊びに付き合っていただきますよ、先生 ﹁八木沼⋮ ﹂ マァそう上手くは行きませんよね ﹁そうかよ⋮⋮それならば、都合がいいですね﹂ ですよー 事もなーんにも知りませんよー、単なる一介の、平凡で凡人で一般人 俺はなんにも知りませんよー、ツッ君の将来のお仕事も義兄のお仕 だいてるけどな ま、勿論副声音ではバッチリ﹁なんのことやら﹂と惚けさせていた た風を装いいかにもな溜息をついておく 聞かれたらヤバい話は心に留めておいて、表向きは仕事に忙殺され 回せないから、今日の午後から休校だってさ﹂ ? ! なってしまう俺は、泣く泣く骸の幻術を受け入れたのだった 151 !! 断固としてそう思うも、ここで幻術に抗ってはマフィア入り確定と !!! ? !? !! 気づいたら甥っ子が反撃しに来てました。⋮が、頑張 れ 拝啓、ツッ君 ﹂ 君の叔父さんは今、職務中のはずなのに青空がよく見えるボロい黒 曜ランドにいます ﹂ ガッ⋮ ﹁痛っ⋮ ﹁クフフ⋮ほらほら、まだ吐く気にならないんですか ﹁だがら⋮知らないって言ってるだろっ﹂ ボグッ ﹁うぐっ﹂ ﹁強情ですねぇ﹂ ーっ、骸の前で妙な行動するんじゃなかったー 来やしねぇ ︵あ とは思いませんでしたよ ﹂ ︶ なんて考えていると、髪を掴まれて上を向かされる !! ? この年になると禿げるのが怖ぇーんだぞー ! ゲーな⋮ ﹂ ﹁僕の会話にしっかりと受け答え出来ているでしょう び甲斐があるというものです﹂ ? くっそ、思いっきり蹴りやがって ! ⋮⋮これ、肋骨折れてるんじぇねーの ? 俺にとっちゃ遊び害だけどな クフフ⋮⋮遊 ﹁おいおい⋮この状況、が⋮耐えられてるように見えるんなら⋮⋮ス やめろー ﹁全く⋮まさかたかがジャッポーネの一教師がここまでされて耐える グイッ じゃなくて 嗚呼、後に悔やむと書いて後悔と読むなんて、先人の発想は偉大だ。 !! いように両手両足首縛られてるせいで、まともに受身を取ることも出 そして、只今絶賛骸のサンドバッグになっていますよ。逃げられな ? ! !? 152 !! " やめろやこのクソナップル。治療費とかどれくらいかかるか考え たくもねーよ まぁ、十中八九ボンゴレの方から慰謝料と口止め料来そうな気はす るけど。出来ればそこら辺は手を付けたくない ﹂ ドガッ ﹁ぐっ ﹁と は い え ⋮⋮ 流 石 に そ ろ そ ろ 飽 き て き ま す し ね ぇ ⋮ 終 わ り に し ま しょうか﹂ とか思ってはいるけども、現実問題状況は最悪だ 先生﹂ ツッ君たち勝てっこねーよ あーあーあー⋮骸の奴、三叉槍だしてきやがって⋮。これ、俺が契 約されたらかなり不味い展開じゃ ﹂ その自信はどこから来るのです ﹂ 事実を指摘しただけで武器を首元に据え置き ﹁お前のその笑い方ほどじゃないけどな﹂ ﹁殺しますよ コイツ沸点低っっ やがったんだけど ﹂ このシチュエーションでそんな事を言ってきたのは ﹁クーリングオフ制度で突き返させろ﹂ ﹁⋮⋮さて、それでは僕と契約しましょう ? 貴方が初めてですよ。全くもって興味深い人ですねぇ ! ﹁いや、お前はそれをしないね﹂ ﹁⋮ほう ! ﹁クフフフフ⋮ ? ? !! ? じゃなきゃわざわざ攫ったりしないだろうしな﹂ ? 知ってたけども !! こうなるって知ってた !! ﹁しかし、別に身体的に殺すことは出来なくとも、精神的に殺すことは けど がどれだけ苦労させられたと思ってやがる お前らのここ数日の暴挙のせいで⋮一体俺が⋮いや、俺たち教師人 ります﹂ ﹁クフフ⋮流石にそれくらいは分かっていましたか。話が早くて助か 人質なんだろう ﹁お前が用があるのは俺じゃなく、俺の関係者。つまり俺は体のいい いーか、骸よ、俺は怒ってんだ ま、だからといって可愛く震えあがってなんてあげないけどな ? 153 ! ! いくらだってできるんですよ ﹂ 骸たちの幼少時は悲惨としか言いようがないし、同 主にお前と雲雀さんの修繕費を稼ぐためにどれだけ苦労したかと ていうか、地獄がどーした。不幸自慢ならいくらでもノッてやるぜ 界の違いすぎる俺の言葉なんかを、聞くはずもない 沢田綱吉 だろう。そうでなければ、いくら負けたからといって、生きてきた世 ランチアさんとそのファミリーは、本当にいいファミリーだったん ︵⋮⋮ランチアさん、は︶ はほんの一握りだけ それに同調し、それ以外の大人たちで骸たちを保護しようとしたもの 親でさえ、自分たちを実験動物として扱った。ファミリーの人間は それに、俺の言葉を、今のこいつらは最初っから拒絶している 大人 だけど⋮⋮まぁ、今のコイツに言っても通じないよなー そーいうことを、俺の知ってるお前は長い時間かけて理解してたん うことにイコールで繋がらない だけどそれは。世界の被害者だったから加害者になっていいとい 情してしまいそうなものではある そりゃあな うわっちゃー、これ、地雷踏んだパターンだー 思わず憎まれ口をたたくと、一転して骸から冷たい殺気が溢れ出る 見てきているのですが、ね﹂ ﹁⋮⋮⋮僕は、平和ボケした貴方方と違ってこの世の何倍もの地獄を ﹁十数年しか生きてないガキが調子のんじゃねー﹂ ? 言葉、知ってるか ﹂ ﹁⋮⋮僕が、物知らずだとでも ﹂ て起き上がり、真っ直ぐと目を見て説教をかましてやる ほんのちょっぴり過去の苦労回想に涙を流しながら、痛む体をおし 世界がどんなに広いかも知らない、ただの物知らずなガキだよ﹂ ﹁ああ、そうだ。お前は、六道骸は。青臭くて、自分がどんなに小さく、 ? ? 154 ? ﹁その年で言うことじゃねーな。井の中の蛙、大海を知らず⋮⋮って か ? ﹁もちろん、お前だけじゃなく、柿本千種や城島犬も総じてだけどな﹂ ﹂ だって、効果がないからと言って黙ってなんかいられないから ﹁⋮⋮ッ何も⋮何も知らない癖に何を言いますか⋮ なら、いくらだって聞いてやるよ﹂ ﹂ ﹁∼っ無駄口はそこまでで結構です ﹂ 屋に放り込んでおきなさい ﹁はーい、骸しゃん 一位の男ってアレだよね、雲雀 出来れば教師として俺は君たちとお話ししたい ってちょっと待ってぇえええええ さんだよね ﹁ちょ、ちょちょー なーっ、なーんて⋮﹂ 貴方、あの男と知り合い⋮⋮それもいい印象を持ってな ﹂ ﹁ぎゃああああ止めろぉおおお骸のサディスト│││││ ﹁クハハハハッ、聞こえませんねぇ ﹂ !!!! う、全身縛って先ほど言った部屋に放り込んでおいてください﹂ いようですね。クフフ丁度いい、犬、この男が決して逃げられないよ ﹁⋮⋮ほう 犬、この男をあの一位と同じ部 い。だけど、お前らはウチの学校の生徒で、俺の生徒だ。愚痴くらい ﹁そうだな、知らない。俺はお前らの過去なんて知らないし、興味もな れくらいの嫌われ役 あーあ、説教の多い大人は嫌われるのが相場だけど⋮⋮いっか、こ !! 引きずられていったのだった ツッ君助けてー 抵抗するも呆気なく、俺は城島犬に引きずられてずるずると地獄へ ! 俺の命が︵物理的に︶終わる前にー !! ! 155 !! ! !?? ! !? !? ? 気づいたら風紀委員長に噛み殺されそうになってま した。⋮うわーん 雲雀Side 僕は群れるのが嫌いだ。群れるのは草食動物の証、僕は弱くなんか いたくない だから目についた群れは片っ端から咬み殺してきたし、風紀を乱し た奴も同じように制裁を加えてきた。なにせ、僕がこの学校を支配し 始めた時は群れが学校中にはびこっていたからね だけど、並中だけでなく並盛全てを支配した後、気まぐれで並中の 歴史を調べたら興味深い人物が上がってきた 国語教員として勤務としていた宙という新人教師。けれど、この教 師が受け持っていたクラスではなにもかもが平穏に、荒れた生徒すら いなかった。それどころか、生徒の受けも、教師の覚えもよく、彼が 居るだけで平和な日々を過ごせるとまで言われていたようだった だというのに、それだけ優秀な彼は、ある日突然に辞職届を出し、並 中から│││並盛町から消えた そんな馬鹿 丁度いい駒だと思って行方を探っても、何故か足取りが全くつかめ ず 僕がこれだけの手間をかけているのに見つからない らない草食動物に会ったことがあった それから、少しして。沢田綱吉という、強いのか弱いのかよく分か かったのが、咬み殺し甲斐のありそうな活きのいい獲物へと変わった その瞬間、僕にとって彼は興味のある程度の丁度いい駒でしかな に見切っていたけどね とりあえず咬み殺そうと攻撃を仕掛けた。尤も、彼は僕の攻撃を完全 だというのに、隣町の黒曜中からやって来たのがその彼で、当時は かりすらつかめない日々が続いた なこと、あるはずない。認めたくなくて、躍起になって探しても手が ? 156 ! その顔が彼にそっくりだったから、邪魔者を排除してからじっくり 咬み殺そうかと思ったらお話にならないほど彼は弱かった。かと思 えば、一転して震えあがっていたのが僕に立ち向かってくる気概を見 せたりと、本当に分からない まぁだけど。彼の関係者ならあの赤ん坊とも一緒にいることだし、 その内強くなるんじゃないかな。そう考えると、早く咬み殺し甲斐の ある獲物になるよう、他の生徒より咬み殺す頻度が上がったりもした けど まぁ彼は、風紀を乱す常習犯だったから別にいいよね。ダメと言わ れても僕がルールだから関係ないけど そんな日々を過ごしていたある日、並中の生徒が襲われるという事 件が起こった 身に覚えなんてないけど、身にかかる火の粉は元から払うに限るよ ね。そしていつものように首謀者を突き止め、隣町の黒曜ランドへと 仮眠をとっていた時だった ﹂ ﹁ほら、入ってろぴょーん﹂ ﹁ぐぇう 打った ⋮⋮なんで彼が⋮⋮いや、そういえば黒曜中の教師だったし、その 辺かも知れない そう考えつつ、確かな根拠を手に入れたいと思った僕は態と寝たフ リをして情報収集をすることにした 157 僕は向かった ⋮⋮けれどそこで。僕は圧倒的な貸を奴に作ることになる 六道骸。この舐めた事件をおこした首謀者 此処から出たら絶対に咬み殺してあげるよ⋮ しかも、何か目的があるのか、一通りいたぶった後奴は僕を此処に 閉じ込めた ああ腹が立つ⋮ !! そう煮えたぎる怒りを滾らせ、その時の為に体力温存でもしようと ! 不意に、ムカつく六道骸の配下の声と共に、彼の呻き声が耳朶を ! ﹁くっそー、骸の奴⋮本当に雲雀さんと一緒の部屋にいれやがって⋮﹂ ⋮ふぅん ﹁バーズ やられた ﹁お、ヒバード﹂ やられた ﹂ ! みーどーりーたなーびくー、なーみー ? に驚く 彼は並中出身じゃないはずだ、それなのに何故 だとしたら余計に、並中で ? た *** ! やぁやぁ皆さんこんにちは 南国果実ー そ 本気で雲雀さんと一緒の部屋にいれる 鬼ー ! ⋮⋮ちっくしょー骸の奴 馬鹿ー ! しかもこれ俺が入れられた時の騒音で起きてるよね雲雀さん ことないじゃないかー ! !! 木の葉が落ちる音でも起きるもんねー ! ! ! 絶賛捕虜のひー君デッス☆ そう結論付けた僕は、トンファーを握りしめると彼に攻撃を仕掛け チャキ⋮ ことやらずに、無理やりにでも聞き出せばいい ああ、もういいや。寝たふりしての情報収集なんて僕らしくもない はなく黒曜中にいるのが腹だたしいんだけど ⋮⋮もしかして彼も並中好きなのかな 分からないけど、音程も歌詞も間違っていない ? そんなことを考えていると、不意に並中の校歌が聞こえてきて密か ﹁ミードーリータナービクー﹂ ﹁違う違う。みーどーりーたなーびくー、だよ﹂ ﹁ミードリータナービクー﹂ もーりーのー﹂ ﹁んー、そうだな。歌えるか か知らないけど、どうやら僕以外にもここに来た奴がいるみたいだ と、そこで。鳥の羽音と共にそんな言葉が耳に届いた。バーズが誰 ! ⋮どうやら彼も随分と彼にやられたみたいだね ﹁あー、もう、腹イテェ⋮骨折れてるよやっぱ﹂ ? りゃそっかー ! 158 ! 何で寝たフリなんかしてるのか皆目見当もつかないけど、現状維持 が好ましいから触れずにおこう、うん ! やられた ﹂ とりあえずぼろを出さないように当たり障りのない独り言を呟く やられた ! 俺 ﹁バーズ ! 変態 が飼ってた鳥 んでおこうかな ﹁んー、そうだな。歌えるか もーりーのー﹂ ? ! ﹁どぅおわぁっ ﹂ 時だった。唐突にユラリ、と後ろで闘気が立ち上る気配がして なのでそれも気づかないフリをして、歌を仕込むのに集中していた 殺されたくないしー ⋮⋮口が裂けても声に出しては言わないけども。だってまだ咬み してみるとちょっと微笑ましいというか可愛いというか 当時の俺としては分かりにくい謎な人でしかなかったけど、今こう この頃の雲雀さん、まだまだ甘いというか隙があるなー がした そう思考しつつ早速行動に移していると、背後で僅かに驚いた気配 ﹁ミードーリータナービクー﹂ ﹁違う違う。みーどーりーたなーびくー、だよ﹂ ﹁ミードリータナービクー﹂ みーどーりーたなーびくー、なーみー す前にここをダイナマイトで吹っ飛ばしてくれるよう今の内に仕込 ら雲雀さん出せたって言ってた気がするし。雲雀さんが俺を咬み殺 でもまぁ、そういえば獄寺君がヒバードが並中の校歌を歌ってたか るわ、鳥としての生き物の枠を超えていく謎 も雲雀さんの雲の属性で増殖はするわ、毛並みがリーゼントみたくな なんでかいつの間にか雲雀さんの鳥になってたんだよなー。しか う と、そこでヒバード登場。あの下衆なー⋮⋮なんだっけ、えっと、そ ﹁お、ヒバード﹂ ! ! ガゴッ !? 159 ! ﹁⋮ 、やっぱり一筋縄ではいかないみたいだね﹂ 遠慮も躊躇も一切なく、壁に凹みが出来る威力でトンファーが俺の ﹂ 首元に振り下ろされたのは。勿論、髪の毛一筋の僅差で避けさせても らったが、いきなり物騒ですね 君、意識なかったんじゃ とはいえ、まずは ﹁あっれぇー ﹁どんだけ神経質なの ﹂ ﹁僕は木の葉が落ちる音でも目覚めるんだよ﹂ !? !? ﹂ ﹂ まぁ十 というポージング、っと。イヤだって俺が狸寝 入りに気付いてたとか知ったら、雲雀さんプライド高いしー 中八九咬み殺されますよね あっれー 犯人は│││雲雀さん一択だ ﹂ 切実に逃げ場が この台詞ってシモンとの戦いの時じゃなかったっけー 密閉空間での殺人 ? ! ﹁マジですか ﹁僕は貴方とは生き物としての性能が違うんだ、よ ﹁ていうか俺に負けず劣らずボロボロなんだけど良く動けるね ! ? 今まさに起きたの !? !? てかこんな狭い部屋で攻撃とか止めて超ヤメテ ない !! !? !? !? !! しまうぞ、畜生 誰でもいいからへるぷー ︶ アッ、雲雀さんなら殺人くらい軽く揉み消せるね、ア いっそ骸ー こんな所でのちのちの死亡フラグも建 ! 獄寺君ー ! ウト ︵ツッ君ー 設したくなぁーい 俺まだ死にたくなぁーい ! !! 俺は内心で涙しながら、雲雀さんの攻撃を避けることに集中した !! !! ! !! 160 ! ! 某少年探偵の出番もないほど分かりやすい密室殺人が展開されて !! !? 気 づ い た ら 右 腕 に 助 け ら れ て ま し た。⋮ ほ ん っ と あ りがとう 獄寺Side アニマルヤローにやられ、それでも諦められずにいると、ウチの そういやぁ十代目が⋮ ダッセー校歌をあのバーズの鳥が歌っているのに気付いた ⋮ !! る ﹁っひゃー どこ打ってんのー ﹂ アニマルヤローがバカにしてくるが、関係ねぇ ガラガラガラ⋮ だガキキンッッ⋮ あ ﹂ ﹂ あの、そんな朗らかな笑みを浮かべてる場合なんッスか⋮ かヒバリの野郎の殺気が増してるような⋮ 六道骸は僕の獲物だ﹂ 肯定しちまうんですか という訳で俺の事は後回しでいいんじゃないかな 何言ってやがる ﹁何言ってるの⋮ ハァ ﹁そうだね って宙さん ていう 十代目とリボーンさんは骸の奴を倒しに先に行 もしかしてツッ君たちも来てるー しかもヒバリから攻撃されて⋮ ﹂ なんでいきなり金属音が⋮ ﹁やったぁ逃げ場が出来た ﹂ ﹂ ﹁逃がさないよ ﹁ひ、宙さん は、はい ﹁あ、やっほぅ獄寺君 え、なんで宙さんがここに !! !!? ﹂ ? !! ﹁貴方を咬み殺してから行けば問題ない﹂ !? !? ! きました、けど⋮﹂ ? ? ? !? ﹁へへっ⋮ウチのダッセー校歌に愛着を持ってんのは⋮おめーぐらい ! ? 今はあの野郎を出せるだけで精一杯だ⋮っ その予想に思い立った俺は、ある方向に向けてダイナマイトを投げ ! ? ﹁えあっ ! !? !? !? 161 ! ! !? ! !? ﹁そこまで体力もつの 嘘だろ ﹂ !! ない﹂ ﹂ ﹁そうかもしれないけど ﹁宙さん ﹂ ﹁っていつまれ俺たちを無視してやがんだてめーら ﹁あの草食動物が、僕が貴方を倒すより先に六道骸を倒せるとは思わ のか それは確かに。ボロボロでフラフラしてやがるのに、そこまで持つ !? ﹂ 一人で全員倒しちまいやがった│ 俺の発作も収まってきたし⋮反撃だぁ 殺る気になった ⋮へっ ﹁煩いよ﹂ ﹁な、なんてヤローだ⋮﹂ ﹁⋮ねぇ﹂ ﹁⋮⋮なんだよ﹂ !!! 代目で⋮ ﹂ ﹁関係ないね﹂ ! 言っとくけどなぁ、ムクロの奴を倒すのは十 ! ﹁あ、そういえば獄寺君。もしかしてツッ君たちから何かを預かって こ、コノヤロー ﹁⋮⋮それがどーした ﹁赤ん坊も、行ってるんだよね﹂ きたことに怪訝に思いながら答えると いきり立ちそうになったが、そこで初めてヒバリが俺に声を掛けて !! ドカバキッ ﹂ あ、あ、あのヤロー ﹂ ﹁ぎゃんっ ﹁││っ ⋮⋮へっ │ ! !? と、そこで。今まで空気になってたアニマルヤロ│と眼鏡ヤローが ﹁⋮⋮骸様のもとには、行かせない﹂ !! !! ! 十代目はヒバリより先に六道骸を倒せますって !!? ! !! ! 162 ? ﹁おおぅ⋮恐ろしや恐ろしや﹂ !! ﹂ ぐはっ ﹂ ﹂ リボーンさんからサクラクラ病の処方 何しやがる 預かりものって⋮⋮あ たりしない ﹁え sバキィッ それが頼む態度かテメー ﹁早く寄越しなよ﹂ ﹁んだとぉ !!? ! くっ⋮ こんな奴の助けも必要だなんて⋮⋮ハッ ! ﹂ 目についた ! くそぅ ﹂ 十代目の救援は俺がやってみせます なんて⋮⋮なにが右腕だ ﹁分かりました で養生していて下さい 宙さんはここ ! !! んだよ﹂ !! ﹁何ッスか ﹂ ﹁あとね、獄寺君﹂ 十代目の叔父上だぜ のことをただの生徒として扱うんだな⋮。なんて器の広さ⋮ !! 流石 ⋮⋮それにしても、宙さんはこんな目に遭わされても、ムクロたち ﹁⋮はいッス ﹂ ﹁うん、ウチの生徒がつくづくごめんね、獄寺君。ツッ君たちの事、頼 !! ! ! 十代目の守りたいと思っている相手を巻き込もうなんて考えちまう これは十代目を狙った、マフィア間の争いだ。だってーのに、俺が に気付き、さっきの自分の台詞に恥じ入る そこまで考えて、宙さんが教師として止めようと尽力していたこと ひ、ヒデー事しやがるぜ⋮ 宙さんは一般人だってのに⋮ でも実際、べろんと服をまくられれば、どす黒い色に染まった腹部が あれ、でもさっきヒバリの攻撃をちゃんと躱しきってたよーな⋮ ﹁え゛ 骨も折れてるんだよねぇ﹂ たんだけど⋮結果はこの通り、ボロボロにやられちゃってねぇ。実は ﹁あー、ごめんねぇ。ウチの生徒が起こした不祥事だし、止めようとし ﹂ 宙さんが救援に行くことは⋮ ! ﹁そうっス、宙さん ! ﹁どーどー獄寺君。骸は実際、ツッ君だけじゃ手強いしさ﹂ !! !? ? ? ! !!? ! ? ! 163 ? !? んじゃ、俺も行ってくるんで ⋮行ってきます 必ず十代目と無事に戻ってきますから ﹂ ﹁言 い 辛 い ん だ け ど ⋮⋮ さ っ き の 黒 髪 の 彼、と っ く に 最 上 階 に 行 っ ﹂ い、いつの間に⋮ ちゃったみたいだよ ﹁んがっ ﹁ ﹁うん、行ってらっしゃい気を付けて﹂ ! ? ! ﹂ !! !! !? そして俺は今度こそ十代目の元へ向かった 164 !! 気 づ い た ら 黒 曜 戦 が 無 事 終 わ っ た よ う で す。⋮ ツ ッ 君ありがと│ 骸Side ボンゴレ十代目に次々と試練を与え、出来うる限りの身体能力を伸 ば し て か ら 僕 の 元 へ と や っ て こ さ せ た。そ う し て 邪 魔 者 が い な く なってから彼を乗っ取ろうとしていた、その時だった ギュルルルッ ﹁おっと﹂ ﹁分かったか骸、俺はツナだけを育ててるわけじゃねーんだぞ﹂ 入口の方から武器が僕の頭部に向かって正確に飛んできた。それ まぁ、そのほ を三叉槍で弾きつつ、入口の方を見れば殺気で溢れた第一位の男がい た おや⋮あの腹立たしい教師は来ていないようですね ですからねぇ ﹁⋮⋮覚悟はいいかい ﹂ うが好都合ですが⋮⋮うっかり、殺してしまったら人質の意味がない ? ﹂ ガギギギギギギ⋮⋮ギンッ ﹁君の一瞬っていつまで ﹁⋮っ﹂ この男⋮強さが増している⋮ れたのが屈辱的でしたか⋮⋮ですが ﹂ クフフ⋮それほどまでに僕にやら そう言いつつ、戦闘へと入った僕でしたが⋮ ﹁クフフ⋮一瞬で終わりますよ﹂ 渉材料になりそうです でボンゴレ十代目が酷似という事は血縁者なのは確実ですし、いい交 兎に角、今は彼を倒してからさっさと交渉に入りましょう。ここま ﹁これはこれは、怖いですねぇ﹂ ? ﹁彼が怪我をしていなければ分からなかったかもしれませんね バキッッ ! !? ? 165 ! ﹁││ッ ﹂ 雲雀さんが ドサッ ﹁ああっ ﹂ ﹂ ﹁クフフ⋮⋮堕ちろ、そして巡れ﹂ ﹁十代目 と、そこで。ボンゴレのお仲間が一人此処にやってきました。やれ とりあえず下で安静にs﹁ひろ兄が⋮ ﹂じゅ、十代 宙さんが⋮ムクロのヤローにやられて肋骨が折れてるみ やれ、千種と犬は何をしているんでしょうねぇ ﹁大変ッス ﹂ たいなんです 目⋮ ? たことに気付く !? ﹂ ? て、目に怒りを宿していました ﹂ ﹁⋮⋮⋮こんな⋮こんな酷い奴に負けたくない⋮ 勝ちたいんだ コイツにだけは ! 何をした ﹂ !? これ以上、時間をかけるのは得策ではないようです。そう結論付 らいにして⋮仕上げです﹂ ﹁いつまでも君たちの遊びにつきあってられません。小休止はこれく ﹁新アイテムを吐き出すぞ。オレの生徒であるツナ専用のな﹂ なれば⋮アルコバレーノの仕業ですね 鋭く誰何しても、ボンゴレ自身も戸惑っている様子が目につく。と ﹁ボンゴレ ﹁とうとうレオンが羽化したな﹂ な⋮ ビビビビビビッ 笑おうとした時でした そしてそんな理想を述べ、現実はそう上手く行くものではないと嘲 !!! ! すると、僕の言葉にボンゴレはさっきまでの怯えた様子と一転し ⋮⋮クフフ、少しばかり遊んだだけですよ ﹁お や お や ⋮ 血 縁 者 と は 思 っ て い ま し た が、ま さ か の 兄 弟 で し た か ﹁骸⋮ひろ兄に⋮ひろ兄に何したんだよ ﹂ そう溜息をつきたくなっていると、不意にボンゴレの気配が変わっ ? !! ! ! 166 !! !! ! ! !? け、ボンゴレへと再び契約するために動き出した僕は、すぐさま相手 を戦闘不能に追いやる ﹁万事休す│。あっけない幕切れでした。さぁ虫の息のその身体を引 き取りましょう﹂ そして、アイテムを使われる前に痛めつけ、今度こそ契約しようと ﹂ しましたが⋮ ﹁ 突然、目を覚ました相手が、揺らがない意思をたたえてこちらを睨 んできました ﹁この期に及んでまだそんな目をしますか。ですがもう幕引きにしま しょう⋮このまま死なれても困りますからね﹂ ﹂ ガッ⋮ ﹁ ﹂ しかも、先程までまともに避けることも出来なかった僕の攻撃を受 け止めることさえ成し遂げました ﹁骸⋮お前を倒さなければ⋮死んでも死にきれねェ 馬鹿な⋮こんなことが も、その劣勢状況は変わらない たるように、逆に僕の攻撃は当たらなくなっていく。人間道を使って それからは完全に形勢は逆転していく。ボンゴレの攻撃が僕に当 !!! して ﹂ 炎を逆噴射だと ﹁うぉおおお ﹁なっ ﹂ 有り得ない事態に、動揺すらも押さえつけられなくなっていき、そ !? !? ! を焼き尽くした ﹂ 世界がどんなに広いかも知らない、ただの物知らずなガキだよ﹄ ﹃ああ、そうだ。お前は、六道骸は。青臭くて、自分がどんなに小さく、 ? ﹁うあぁああ !!! そんな⋮この僕が⋮ここで⋮ ボンゴレがグローブから噴出した炎が、僕の左目を中心に僕の全て ボウッ ! 167 ! !!? ⋮⋮、まさかあの苛立つ教師の言葉をここで思いだしますとはね⋮ クフフ⋮ ええ、悔しいこ、とに⋮その⋮⋮通り⋮だったようです、ね⋮⋮ そうして僕は意識を手放した 168 並 盛 気 づ い た ら 大 地 に お 小 言 を 言 わ れ ま く り ま し た。⋮ ごめんってー あるはれーた日ーのことー ボンゴレ以上に強敵なー 炎真ーたちー現ーれるー どうしーよー ガンガーンとーなっているー超ー直感ー 外れることなく不ー味いぞー 真美ちゃんがー泣いてーいるー 炎真はー怒ってるー 詰ーんでーるねー ﹁⋮⋮宙兄さん、僕たちがどうしてここにいるのか⋮⋮分かってる ﹂ ﹂ ? 一度ガチギレさせちゃったときの真 ? 炎真が怖いよー ﹁え、エーット⋮⋮俺が入院しちゃったから、カナー 怖いよー 並に怖いよー ! 炎真が怒ったら怖いの、身 !! ? だったんだけどー⋮ ﹁⋮⋮そう、本気で分かって無いんだ⋮ まぁ誤魔化されてくれるわけないよね ﹂ 心中で涙しながらも、明後日の方を向いて誤魔化そうと試みる俺、 めてるよ⋮ 嗚呼、我が親友真よ⋮⋮⋮お前の息子は立派に成長して俺を追いつ ! ! ! 169 ⋮⋮ハイ、現実逃避してましたすみません イヤだって予告なしで炎真たちがここに現れるのも驚きだったし !! !! それプラスこんなに感情豊かに乗り込んでくると思わなかったし ! !! に染みて知ってるし ﹂ ﹁とうっっ﹂ ﹁ぐっふぅ ﹂ ! 乗ってきたんだ⋮ そこ、この間骸に肋骨折られたところー ちょ、真美ちゃんどいて後生だからどいてっっ﹂ やめてやめて超痛い ﹁いだだだだっ ﹂ 骨が内臓に刺さっちゃう可能性があるからー 引き続き重しの役割を果たすねっ ﹁どかなくていいよ、真美﹂ ﹁はーいっ ていうか炎真君煽らないでくれるかなぁ ! ﹂ 俺、炎真にここまで恨まれる心当たりないんだけど !? ! 刺さっちゃう ! かべた真美ちゃんが、炎真の一声で体重を乗せて、俺の腹部に飛び な⋮何が起こったかあるがままを話すぜ⋮ 可愛らしい笑みを浮 んがそれにいっそ無邪気な笑みを浮かべて了承を述べ なんて慄いていると、無慈悲な声音で炎真が命令を下し、真美ちゃ ﹁了解、お兄ちゃん ﹁真美、やってよし﹂ !! ! ! ﹁果たさなくていいよ あっるぇー なぁ ! !? ! !? !? ﹂ ようやく真美ちゃんは俺の上からどいてくれた ﹁いって∼∼ び、病院で傷が悪化するかと思った⋮ ﹁痛い 当然だろ 宙兄さんは生きてるんだから ﹂ ﹂ 宙兄さんが怪我をして病院に運ばれたって聞いて ﹁え、炎真く⋮ ﹁突然 !!! 宙兄さんは分かって無い 僕たちが 僕たち ! ! 大した威力ではないけれど、俺の頬を躊躇いなく張り飛ばした パシッ 一定距離をとっていた炎真がツカツカとそれを縮めてきて そのあまりの痛みに若干涙目になって息を整えていると、それまで ! !! どれだけ心配したと思ってるの !! ! ? 170 !!?? ! それでも痛みに悶えつつ、看護師さん呼ぼうかと一歩手前になって !? ? ! ﹂ にとって⋮どれだけ宙兄さんが恩人で、大事な人で、喪いたくない人 なんだってことが そして目を白黒させている間に、溜め込んだものを一気に吐き出す ように炎真が言葉を募らせていく ﹂ ﹁僕たちにとってはもう⋮大事な大人は宙兄さんだけなんだ⋮。お願 い、だから⋮⋮自分をもっと大事にしてよ⋮ 心配しないわけが、ないッッ﹂ ﹁炎真君⋮心配、してくれたんだ﹂ ﹁∼ッ当たり前だよ !! うわけで ﹁こんな時までへらへら笑わないで ﹂ 人でも英雄でもないんだから痛い時は痛いって 助けてって言ってよ ! ! んだから ﹁誤魔化さないで 僕たちは、僕は、貴 ﹂ 別に誤魔化す意図はなかったんだけどなー 方に沢山のお返しをしなくちゃいけないのに⋮ ってあれー ? ? ! そんなに僕たちは頼りないの 俺が慣れてしまった痛みを、慣れちゃ駄目な痛みだって言ってくる ﹁⋮⋮⋮炎真君は優しいなぁ﹂ もんな 囲内なんだけど⋮⋮炎真は、そういうことを言ってるんじゃないんだ いやまぁ痛いけど、そんな死ぬほどの痛みでもないし、まだ許容範 まぁ怒られるよねー 助けてほしい時は 宙兄さんは確かに強いけど、超 ゆえの暴挙って分かってしまった俺は、ついつい笑みを浮かべてしま 胸倉を掴まれた状態だけど、もう完全に炎真の声は涙声だし、心配 !! !! ﹁炎真君たちが頼りないなんてとんでもない。いつだって、頼りにし てるさ﹂ ﹁⋮嘘だよ﹂ 真からの頼みがあったことも確かだけ ﹁嘘じゃない。あと、炎真君。俺は別に見返りが欲しくて炎真君たち を助けてるわけじゃ無いよ ど、俺が君たちを助けたいからそうしてるだけなんだから﹂ ? 171 !!! ! ああ、でもちょっとだけ引っかかったから訂正しておこうか ? そう、そこだけは間違わないでほしい。確かに俺は真からの頼み で、守れなかった罪悪感からで最初は助けていたけどそれ以上に。俺 が、炎真たちを助けたいと思ってるのが一番なんだよ ﹁あ ー、で も 炎 真 は 本 当 に 頑 張 り 屋 さ ん の い い 子 だ な ー。こ れ じ ゃ すーぐ俺なんか追い抜かれて、真似のイイ男になること間違いなし ﹂ そう思いつつよしよしと頭を撫でると、顔を見られないようにか俺 の膝に突っ伏した炎真から蚊の鳴くような声で抗議が来た ﹂ ﹁⋮⋮そういって父さんを引き合いに出すのは狡いよ⋮⋮、宙兄さん はいつもそれで誤魔化すんだ⋮⋮ あははー、めちゃくちゃ拗ねてる&照れてる んー ﹂ お兄ちゃんだけよしよしされてるー 私も頑張ったから撫でてー ﹁あー、いいなぁ 宙お兄ちゃ 本当に、俺くらいしか肩の力を抜ける相手がいないんだよなぁ⋮ また、真美の前でも〟兄〟として力強くいなきゃいけないから⋮⋮ レッシャーがある 炎真は普段、シモンボスとして立派でいなくちゃいけないというプ ﹁褒め言葉と受け取っとくね﹂ ﹁∼っ、やっぱり狡いよ⋮宙兄さんは﹂ きだよー﹂ ﹁俺の意図が分かってて、それでも誤魔化されてくれる炎真君が大好 もんなー、可愛い可愛い でも為されるがままなのはやっぱり中学生なんて甘えたい盛りだ ? ! ! ! ! ﹁へぇ、真美ちゃんは何を頑張ったのかなー よーしよし ﹂ !! ﹂ ! ? ﹁毎日朝起きて、ご飯食べて、学校行ってるよー ﹁おお、それは頑張ったね ! ﹂ なら、俺が今すべきなのは真美ちゃんの考えにノることだね うにかしたいって思ってたんだろう この子も敏い子だからなー、炎真がいつも溜め込んでるの見て、ど に声を上げた と、そこで。今まで静観していた真美ちゃんが場の空気を破るよう ! 172 ! ﹁ちょっと待って 真美のその頑張りと僕の頑張り同列 ﹁﹁あははははっっ﹂﹂ う。うん、やっぱり子供は笑顔が一番だね ﹂ 炎真が復活したのを確認して、真美ちゃんと一緒に思いっきり笑 !? 母さんたちがやってくるまでのしばらくの間、俺の病室からは明る い声が響いていた 173 !? 気 づ い た ら 後 日 談 を ま と め ら れ て い ま し た。⋮ っ て おいコラー ここを覗いたものがいたか⋮。 ははは、青春だな ﹁そうだ、宙お兄ちゃん ﹂ ﹁ん、何を思いついたの ﹁さっきの宙お兄ちゃんが自分を大事にしない話 ﹂ これを約束させ ! 話しかけた ﹂ 無茶しそうになったらシモンを頼ること ﹁私ね、宙お兄ちゃんの真面目さを逆手にとればいいと思うんだ バリ ちゃえばいいんだよ ! 沈黙は金って言うけど、寡黙も過ぎればただのコ ﹁真美ちゃんの俺による信用の無い信用が辛い﹂ ﹁日頃の行いだね ズ まぁ、それはともかく。そういった空気の中、女童が不意に来孫に ! ! ﹁うわ、耳が痛い﹂ ! ﹂ 私いいこと思いついたよ 泣いてしまったことに落ち込み壁に懐いているがな 因みにいった当人であるコザァートの来孫の方は、己が我を忘れて を頼れ﹂と言われたことに来孫はどうやら感動している様子 コザァートの来孫に泣かれながら﹁もっと自分を労われ﹂ ﹁自分たち これはアレだな、コザァートの来孫の女童の方の話だ *** そうだな、まずは│││ 暫し相手をしてもらおうか ⋮ふふ、そうかそうか、そんなにも聞きたいか。ならばよいだろう、 と退屈せぬだろう なに、遠慮するな。俺の楽しい愛しい来孫のほんの日常話さ、きっ いくがいい 丁度いい、俺もほどほどに退屈していたところだ、少し話を聞いて ほう⋮ !! ! 174 ? ? !! !! ミュ障って学校の友達が言ってた ﹂ ﹁真美ちゃんの学校の友達は随分と極論な持ち主だね いえ、甘い男だからな ﹁よーっし、じゃあゆびきりげんまんね ! ﹂ ? を引く女童だ。つまり ﹁大地の炎ーでぶっとーばす ﹂ !! お ﹂ ﹁針千本のーm⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮ちょぉおおおお ゆーびきった そしてお前の前にいるのは長い時を経たとはいえ、コザァートの血 ﹁﹁ゆーびきーりげーんまーん、うっそついたーら﹂﹂ いう男は、俺の俺らしい生き方に平然と付き合えるような人間ぞ だがな、忘れるでないぞ来孫よ。俺の親友のシモン・コザァートと ぞ、﹁子供らしくていいことだ﹂とでも思っているのだろう ははは、俺の超直感が来孫の心中を正確に悟っているな。来孫はさ ﹁はいはい﹂ ﹂ で来孫は押し切られていた。まぁ、来孫は昔前回に比べればマシとは そんな調子で本人たちの掛け合いは続いていたが、結局何だかんだ ??? ! ﹁真美ちゃん 今の替え歌は何カナ ﹂ !? たから約束破っちゃ駄目だよ∼ ﹂ ﹂ お兄ちゃん、怒ったら宙お兄ちゃん だって躊躇いなく吹っ飛ばすからね ﹁親友の娘がなんだか嫌な方面にお茶目化してる││││ まぁ元々素質は大いにあったからな これで、コザァートの来孫との話は終わりだな *** さて、次は来孫とデーチモの話だな 校帰りのデーチモが制服のままおずおずと入ってきた コザァートの来孫たちが帰って一時間ほど経ったことだろうか、学 !!!! ! ? 175 ! ﹁ちょっとマフィア風味にしてみたんだ☆もう〟ゆびきり〟しちゃっ !? はっはっは、油断したなぁ来孫よ !!?? ﹁あれ、ツッ君来てくれたんだ ﹁う、うん⋮俺は⋮全然⋮⋮﹂ 学校の方は大丈夫 ﹂ ? して⋮﹂ ﹁わぁああっ しくしてて ちょ、俺がやるから ﹂ ひろ兄怪我してるんだよ 大人 !? なく失敗せぬよう注意を払っていたぞ ﹁⋮あれ、洗ってないコップが2つある⋮ 少し前に前の学校で教えてた生徒がわざわざお見舞い ? ﹁そんなことないと思うけどな ﹂ ﹁そうなんだ⋮やっぱりひろ兄ってどこでも人気者なんだね﹂ に来てくれたんだ﹂ ﹁ああ、それ ﹂ 因みに、自分がどれだけ不器用だったか知っている来孫は、さり気 お茶を入れることになっていたな それからまぁ、心優しいデーチモとしては当然の成り行きとして、 ! ﹁そっか、ならよかった。じゃあ折角来てくれたツッ君に今お茶を出 ? ? 俺も若いころにはイロイロ楽しんでいたものだしな いやいや、この俺そっくりのその顔ならば、男女関係なくモテるの は当然だろう ! も終わっていたらしい。先程からどうもデーチモが何かを言いかけ ては口を閉じるということを繰り返している ﹂ ﹁え⋮あ、その⋮⋮﹂ ﹁ツッ君 ﹂ ? ﹁んー、まぁちょっとはね。でも一ヶ月もすれば退院までこぎつけら ﹁怪我⋮まだ、痛い⋮よね 遠ざかった分、生も遠ざかっている のこの日本という国はあまりにも平和すぎる。先進国と呼ばれ、死が それも仕方ないことよ。俺たちの時代、俺たちの世界と比べれば今 ﹁ごめ⋮⋮⋮っその⋮⋮けが⋮⋮ッ﹂ まった事をデーチモは悔やんでいるようだ ふむ⋮どうやら今回の件、〟血の繋がった身内〟を巻き込んでし ? 176 !? !! ? そんなことを考えている間に、お茶の準備どころかほのぼのタイム ! れるって言ってたし大丈夫だよ﹂ うん 全然 ﹂ そんな国で生まれ育った者が、俺たちの世界のルールに突然慣れろ と言うのも酷な話だろう ﹁そ、う⋮﹂ 元気がないね﹂ そ、そんなことないよ !! ﹁どうしたの ﹁えっ ! そんなこと気にしてたの いいのにもー﹂ ? だったら俺の方 ? ん ﹂ *** 俺だったら気に食わないものが最も揃う時間帯に、正面 そしてこれで最後だな ﹂ これは来孫が退院し、仕事に復帰したその日のことだった 並中と至門中からの勧誘 ?? ﹁あ、ああ、そうだ⋮。君が入院している間に来て⋮だな⋮流石に本人 ? だか そ、そんなこと⋮俺の方こそひろ兄を助けられなくてごめ 俺か から零地点突破を仕掛けるがな ? そんな感じで、デーチモとの話は終わりだな !!! む ら、謝んなくていいからね。助けてくれてありがと﹂ ﹁なーに言ってんの。ツッ君が頑張ってたって俺は知ってるよ !? ﹁⋮⋮はい ? ﹁ええっ こそ謝らなくちゃ。ウチの生徒が迷惑かけてごめんね﹂ ﹁寧ろウチの生徒をツッ君が止めてくれたんだって 少しずつ縮小していくことが早道だと思っていたからだろうが まぁ来孫の場合は、手っ取り早く壊すためには己がトップに立って ﹁へ ⋮お見舞い、こんなに遅くなって⋮﹂ ﹁あの⋮ごめん、俺⋮獄寺君にひろ兄が怪我してたって聞いてたのに な いない。実際、来孫でさえもそのレールを壊すことをしなかったから だが、これからデーチモはその世界のトップに立つことはほぼ間違 !! ? ﹁クスクス⋮変なツッ君﹂ !? ? 177 ? ! がいない間に決められることではないと保留にしてもらっていたん だが⋮﹂ 退院報告を兼ねて校長室とやらを訪れれば、来孫を待っていたのは ストレスで禿げてしまった哀れな男の末路の代表格とでもいうよう な容姿の校長だった ﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮それはまさか、並中の風紀委員長と、至門中の粛清委員 長の⋮⋮⋮ 項垂れた校長の姿 みぬふりしようとしても無駄だぞ 特に雲が絡んでる場合は余計にな おお やめて俺を君たちの世界に更に巻き込まないで│││││ ︶ !!!!! ︵ぎゃあああ雲雀さんもあーちゃんも何やっちゃってくれてんのぉお ! ! ? かんから、説得するのは骨が折れること骨が折れること あ奴らもマイルールでしか動 はっはっは、来孫よ、俺たちに搭載されている超直感をいくら見て ﹁それで、だが⋮⋮宙先生、どうしますか⋮⋮ ﹂ 沈黙をもって決死の覚悟で問えば、来孫に帰ってきたのはガックリと そして恐る恐ると、なかば間違いであってほしいと言わんばかりの た言葉の中に在ったようだがな まぁ、来孫の頬を引きつらせたのはそれではなく、その校長の発し ?? ! ましたとか容易にありうる リング争奪戦しかり、虹の代理戦争しか ! に⋮⋮ ︵で も だ か ら っ て 至 門 中 も な ー ︶ 一年もしない内に炎真たちいなく いつが好きな小動物の絵をリアルに再現した渾身の作だったという だが、未だになぜアラウディがあそこまで怒ったのか分からん。あ そんな苦労は嫌だ 並中の教員として働いてたら、昨日造った書類が紙吹雪と化して ア騒ぎの爆心地だから却下 ︵と、とにかく雲雀さんのいる並中は何されるか分かんないし、マフィ 走劇を繰り広げていたものだ し、縫製し、箪笥全てを埋めてやった時は半年ほど愉快痛快壮快な逃 かくいう俺も、アラウディの門外顧問としての服を一からデザイン !!?? 178 ? !!!! り ! !! ! あと一時つきあってたあの先生まだいたら気まずい よし、至門中も断ろう 俺もう、 ﹁男の癖に私より若々しいし、欠点のない男ってツマン なっちゃうし ︶ ナイのよね﹂とか言われたら立ち直れない⋮ しー ! る所存です 俺は、この黒曜中をまっとうにするまでここで尽力す ! ﹂ ﹁、いいえ校長 は、胸の前で一人拳を握りしめ、こう言い放った 気が付けば、わざとらしい程の若干陰りのある笑みを浮かべた来孫 面相をしていた来孫が結論を出し終えたらしい 過去の解せぬ点を考えている内に、引きつった笑顔のまま内心で百 !! ! ﹂ ﹂ 真面目な好青年の雰囲気を出しながら、上 カメラ目線で何を独り言を呟いているかと思え 面白 そんな余裕こいてられないように冷凍してやる ﹂ これは失敗したな、来孫に見つかってしまったようだ 何勝手に人のプライベートを後世に残そうとしてるんですか はっはっは ﹁こんのクソ爺 ぞ ? 歴代ボンゴレ最強と謳われた俺に、その技をかけるか ! ﹁ほう !!!! ! ば⋮ ﹁プーリーイーモー あ あ、そ う そ う 忘 れ て い た が こ こ で 俺 が 話 し た こ と は 来 孫 に は ⋮⋮む *** という訳でこの話も終わりだな ははは、面白い茶番劇だな 孫の迫真の演技に騙されにあおっていた るのは阻止したいところなのだろう。疑問に思うこともなく、寧ろ来 そして校長もここで黒曜中の生徒の手綱を取れる来孫がいなくな 手く本音を隠している ! ! うむ、流石俺の血筋よ そしてガッシと力強く校長の手を握る来孫 ﹁宙先生⋮ ! !! ? 179 !! !!!! ! ? !! ! い、存分に相手してやろう ﹂ だがまぁ、これはこれで愉快 この徘徊爺 ﹂ ﹂ 久しぶりに運動をすることにしよう ﹁そうしたらセコーンドたちから奪って来るまでだな だした炎よこれは その為に編み ﹁いーからさっさと死ぬ気の炎抜き取られてリングの中で隠居してろ ! !! とだ ﹂ ﹂ まだいたのか ﹁減らず口を⋮ む えを食うぞ さっさと逃げるが賢い選択よ Arrivederch ! ﹂ 俺は構わぬがこれ以上ここにいると巻き添 ﹁どんなに下らぬ動機も、ご立派な動機も、やってしまえばみな同じこ ﹁んなしょうもない理由かよ、奥義造られたキッカケ !! ! !!? !!!! ? ? !! !! ? ではな 180 ! ! 指輪編 気 づ い た ら 侍 少 年 と 傲 慢 鮫 が 戦 っ て ま し た。⋮ ま た 巻き込まれたー 街へと足を踏み入れた時だった ﹂ ﹁たくっ、アホ共は呼ぶなっていったのに ﹁誰のことですか ﹂ なんか見知った大所帯がいるなー 巻き込まれるフラグ そして今日は日が悪いからお家に これはマズイ ︵やっべぇえええ今日だったっけリング争奪戦の前哨戦 あっれー ! ﹁ネッチョリやだー ⋮⋮って、え ﹂ ? そんな気はすっごいして ひろ兄 当然のように見つかってたー ︵泣︶ ヤダー たけど ! ? ﹁サボった分の補習の勉強は帰ったらネッチョリやるからな、宙が﹂ 俺はフ、と一瞬で意識を切り替えると、くるりと踵を返し│││ ! スッカリ忘れてた ︵│││うん、俺は何も見てない ︶ !! !? !! 帰って引きこもってよう ! ︶ それは前回の退院祝いに貰ったワインのつまみを買いに、並盛商店 !! ! !!! ツッ 君 今 見抜くの超得意なリボーンと、超直感に目覚め始めた嘘発見器がいる しーぃ ⋮⋮嗚呼、今日も空が青いナァ⋮⋮ ﹂ どうしたのそんな大勢で⋮⋮というか制服 ﹁あれ、ツッ君たち ⋮そ、それはぁ⋮ ﹂ 日って日曜日だよね ﹁うっ ? ﹂ ﹂ にツッ君たちに話題を振った ﹁あっ、宙さん ﹁えっ、なんでここに ! !? ﹁わーっ、こんなところで会えるなんて奇遇ですねー ﹂ 俺は遠い目で数瞬だけ現実逃避をすると、さも今気づいたかのよう ! ? ? !? 181 ! !!! ? ! 心中で嘆くが、今更そ知らぬふりも出来まい。だってあっちにも嘘 !! ! ﹁お久しぶりです宙さん∼ ﹂ ダヨネー ああ゛ああああ 員に関わるよねー ツッ君たちに話しかけたら君ら全 ﹂ ﹂ あっはっは獄寺君、エイプリルフールにしては時期外れだぞー ﹂ ﹂ 俺は関わりたくないんだ│、一般人でいたいんだー ね、ハルちゃん ﹁うーん、こんなオジサンがいて迷惑じゃないかな ﹂ ﹁全然迷惑じゃないですよ ﹁はいですー ? 子ちゃん達に逃げ場を塞がれたよね ﹁うん ﹂ ﹁はい、是非 ﹂ ﹁じゃあご一緒しちゃおっかな﹂ 泣きたいね NOといえる日本人になりたいです、切実に ! ﹁ ﹂ お家に帰りたい⋮⋮って まぁそれはともかく。あわよくば早めに恋愛イベントを終了して ドーン⋮ おっかしーなー、目から塩水が⋮⋮⋮ ドーン⋮ 長続きしないんだよね。最後は大抵俺がフラれる側です ⋮⋮⋮俺 はははははー⋮⋮何人かとは付き合ったことあるけど、 ﹁ツナ君はいつものツナ君で、なんだか安心しちゃった﹂ 早めにくっついてもらって子供を作ってもらいたいんだよねぇ に相手する。忘れがちかもだけど、今度こそツッ君と京子ちゃんには そんなことを思いながら、前回邪魔しまくってくれたランボを中心 ! というわけで穏便に断ろうとしたんだけど⋮⋮善意100%な京 ! 今までほとんど関わらなかったんだから見逃 ﹁うん、久しぶりだねぇ﹂ リボーンのバカー 宙さんも一緒に遊ばないッスか してくれてもいーじゃーん ! ﹁野球バカにしちゃいい案だな。どうッスか宙さん ﹁そうだ ! ! ! ! 182 ! ? ? ? ! ! !! ! ! ! ? ! ひろ兄⋮⋮え、ええ ﹁さっきから煩⋮⋮ツッ君 ﹁へ ﹂ 逃ぃげろ││││││ ぎゃあああ こうなるんだね ﹂ 一般 なんだぁ、カス共がぞろぞろとぉ。邪魔するカスはた ああなんたることだ⋮⋮結局 ﹁う゛ぉおい ﹂ !!!! ││││││てかザンザスは部下にどんな教育してやがる ││││││よし逃げよう この瞬間、俺の胸中に浮かんだ思いは二つ たっ斬るぞぉ !!! !! !? !? ! 人巻き込むなボケェえええええ !? !! ! 主に後者が前者の思いを凌駕したのは言うまでもない 183 ! ? 気 づ い た ら 父 に 跳 び 蹴 り か ま し て ま し た。⋮ い っ ぺ ん死んで来い チャオチャオ皆さんこんにちは て﹂ ! ⋮⋮マジよかったぁああああ めっちゃセーフ リボーンの策略を出し抜いてやったぜ ﹁ま、君たちの倍生きてる大人ですから﹂ ナイス俺 あのままうっか り戦ったり観戦しちゃったりしてたらボロを出してたに違いないし !!! ﹁なんだか宙さんが言うとすごく安心感があります﹂ ﹁はひ、分かりました ﹂ ﹁今日は散々だったね。ツッ君たちは無事だから、家に帰って休んで 繋げられたひー君だよ☆ 京子ちゃん達を避難させる先導役を担ったことでトラブル回避に ! !! ﹁はいですー ﹂ ! なんで京子ちゃん達とここで別れるのかって 更なんのつもりなんだろうねー、あのクソ親父は ? そんなことを思いつつ、一歩敷地に入った途端だった これ干すの手伝ってくれない ! ? そうに干していく母さんの姿 帰ってこなかった2年間、この量ずっと放置 ない親父だなオイ 相変わらず清潔感の 庭の面積全てを覆いつくすほどの洗濯物の山。そしてそれを忙し ﹁あら、ひー君丁度いいところに ﹂ 見苦しいイキモノが家に帰ってきてる感じがするんだよねー。今 ? 言っておく え 内心で狂喜乱舞のガッツポーズをしながら、笑みを浮かべてそう ﹁今日はありがとうございました ﹂ ﹁それじゃ、また明日からツッ君たちをよろしくね﹂ ! ! ﹁うん、またねー﹂ ? 184 !! ! ! ﹁うわ、家光さんまた 姉さんも少しは文句言った方がいいよ こん ? ﹁ごゆっくり∼ ﹂ 家光さんがお家の食材全部食べちゃったから、今 ﹂ ははは、イエイエとんでもない ﹂ ﹁じゃ、行ってくるわね∼ 物騒な思考 イコール、母さんの目がない分、思いっきりぶっ飛ばせるよね☆ だって、これで沢田家には俺と父さんと、チビッ子&ビアンキだけ。 の笑みで了承した と、そこで。母さんが慌てたようにそう言ってきたので、俺は満面 てっ﹂ ﹁⋮⋮うん、了解☆ツッ君たちもお腹空いてると思うし、留守番は任せ から買い物にいってきてもいいかしら ﹁あ、そうだひー君 れよなーあのアホ親父が 内心でぶすくれつつ、手早く洗濯物を干し終える。全く、自分でや 必要ないと思うんだけどナー 女の母さんにはやはり馬耳東風。あんなダメ親父、甘やかしてあげる 内心の険悪な雰囲気をワザと少し表に出して言ってみるが、恋する ﹁いいのよ、ひー君。それだけ家光さんも忙しいんだから﹂ なに沢山の洗濯物、一度に出されても干しきれないんだから﹂ ? 返し、目標へと駆け抜けた そんなわけで ﹂ ﹁一辺死んでこいやぁああああああああ ﹁ぐっふぅううう ﹂ !!!!! ﹂ そして目を白黒させて飛び起きた父さんに絶対零度の視線を向け ﹁やぁ、お久しぶりですねえ、家光さん﹂ ﹁ひ⋮宙くん⋮ 事を増やすわけにはいかないからね あ、因みに靴はちゃんと脱いでから加速したよ☆母さんの余計な仕 ま正確に腹部に跳び蹴りをかました 俺はイビキをかいて寝てる父さんに向けて助走をつけた勢いのま !!? 185 ? ! そして俺は母さんの姿が見えなくなるまで見送ると、その場で踵を ! ? ! !? る。勿論、顔はニコニコ笑顔で、目は笑ってない仕様だけどな 由についてお聞かせ願っても ﹂ ﹁ところで。この2年間、一度も連絡もよこさず、帰ってこなかった理 いのが増えてくると、俺を避けるようになった 実はこのクソ親父。お互い忙しいのもあったが、徐々に家に帰れな ﹁は、はは⋮そうだね⋮いや、ほんと宙くんには感謝して⋮﹂ お久しぶりです﹂ ﹁こうしてお会いできるのはツっ君が小学生になる前ですから本当に ! りだし、魂胆見え見えだわド阿呆 ﹂ ねぇ 厳を失くさせてでも大事な理由だったんでしょう ﹂ ? ! 一歩間違ってたらバジル君が死んでたし、一般人にも死者が出 ﹂ ? 姉 ? 俺の父さんいびりは続いた そういった恨みつらみを込め、ツっ君たちが帰ってくるまでの間、 さんはか弱い女性なんですよ 押し付けて⋮⋮いくらなんでも姉さんの負担が大きいですよね ﹁しかも、帰ってきてそうそうあんなにたくさんの洗濯物を姉さんに ねーか そ れ に 危 う く 俺 が 巻 き 込 ま れ る パ タ ー ン に な る と こ だ っ た じ ゃ てたっての けよ このころのバジル君じゃそこまでできないとかちゃんと把握しと 回の騒動は前もって防げよ ゆう馬鹿だって分かってるんだったら、一般人に迷惑かけるような今 スクアーロがああ 大体、今回のバジル君を囮にしたのもそうだわ ﹁あんなにも健気な姉さんをひたすら待たせて、ツっ君からの父の尊 ﹁え、あ、その、だな⋮ !!!!! まぁ、顔を合わせたら一発叱られると思ってたんだろうが。その通 ? ? !!! ! 186 !? ! ! 気 づ い た ら 憤 怒 の 暴 君 が 玄 関 に い ま し た。⋮ 帰 れ テ メェ 今日は、少しばかり変わったことがある程度の普通の日だったはず だ まだ骸たちの爪跡が残るものの、意欲ある生徒たちに授業をして 反骨精神あるヤンチャな八木沼君たちと触れ合い 進路について悩む生徒会長君などのお悩み相談を受け ある意味時期ピッタリの新しい転校生・クロームの世話をしたり ︵何故かクロームに妙に距離を取られていた。確実に骸の所為だと超 直感が教えてくれたんで登校してきたら宿題をたっぷり出してやる と決意︶ なんでいんのぉ ﹁とうとう気が触れたか ﹂ ﹁今日もいい天気ダナー⋮﹂ ﹁いいから帰りやがれください ﹂ ! 確かにスクアーロ来てから一週 その最高に悪い目つ 心中でガンガン荒ぶりながら現実から必死に逃避する 好きなだけ火花散らして喧嘩 俺じゃなくてツッ君にガン飛ばしに行けよ 間くらい経ってるけどさぁあああああ !? ! 売ってくればいいだろもぉおおおおううううう きで俺の甥っ子ビビらせて来いよ ! !!!! なんでいんの 嗚呼、⋮⋮⋮現実逃避してぇええええええええええええ 思わず近くの壁に勢いよく懐いてしまうぜ ガッ なーんで俺の玄関の前にいちゃ そんなこんなな、極めて通常通りな一日だった その筈だったのだ、が 俺、疲れてんのかなー ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮遅ぇ﹂ あるぇー ? いけない奴の姿が見えるんだろうなー ? いっそ触れちまいたい。もうホントさ ? !!!!! ? !!!! !? 187 !! ﹁ああ゛ ﹂ 威嚇したって駄目だっての さっさと帰れ 仕事帰りなの さっ ﹂ だからテメーの相手してる場合じゃねーんだよ帰れ ﹁なんでいんのか知んねーけど俺は疲れてんの さと寝たいの 俺を巻き込むな 暴君 とにかくさっさ ! ﹂ 事情は全部知ってるけどな 横暴 ⋮ハッ、テメェのいいなりになる筋合いはねぇな この傲慢 ! ﹁なっ⋮ ﹂ ﹁こっちの迷惑も考えろよ と帰れ ! てろ。たっのしいぞーぉ︵棒︶ ﹁暴君じゃねぇ俺なんて吐き気がする、な ﹂ ! ツッ君追いつめる策でも練っ ﹁自覚済みの軌道修正する気ゼロ⋮だと てかコイツはマジで何しに来たの てろよめんどくせえ !? いや、もしツッ君たちが負けて殺されることになっ ? 物 ﹁だぁーもー 帰れ ﹂ アポなしでくるような無計画な馬鹿の相手し ﹂ ﹂ 庶民の社交辞令を覚えてから一昨日きやがれ テメェ、誰が馬鹿だと ﹁お前以外に誰がいる 帰れ 人が来た。見られるのはマズイ。どうする ピタッ、とお互いに動きを止め、視線を合わせる カツカツ⋮ 撃をよけ、帰れコールを繰り返していた時だった 狭いマンションの廊下でぎゃいぎゃい騒ぎながら、必死に相手の攻 !! ﹁あ゛あ たくねーんだよ 兎に角 そしてさり気なく憤怒の炎スタンバイすんじゃねーよこの危険人 たら全力で妨害するけど 油断大敵だぜ ﹂ なんだよそのメンタル。そんだけ言い返せるなら九代目と口論し チッ、先手必勝で強引に言いくるめようとしてもすぐ立ち直ったか !? ! ! !! ? イヤやっぱ来るな !? !! ! !? ! ? ! ! ! ? 188 !! ! ! ! ! ? !? ! !! !! ザンザスの雄弁な視線はそう言ってくるが、それプラス俺は内心ダ ラダラと冷や汗を流す。何故なら、近づいてくる人の気配がとっても 馴染み深いものだったからだ さて。ここで皆様に問題だ。俺の知り合いで、マンションに住んで いるのは誰でしょうか 答え・獄寺君☆ 更に言えば、俺ん家のお隣さんが彼だったりする。獄寺君は未だに 気付いてない模様だけど 生活スタイル違いすぎるもんねー、あと単純に獄寺君ってツッ君以 外に興味ないもんねー 閑話休題 仕方ねーから家入れ。ただし物を壊したら許さん。いいな の沈黙かよ やばい、一気に精神が老けてきた気 だとしたら││ ていうかホントコイツ何年ぶりだ 幼稚園入る4歳頃 ﹁げっ、あれからもう10年近く がした⋮ッ﹂ ﹁いきなり何言ってんだテメェ﹂ ツッ君がまだ小学校⋮⋮いや、 のはまぁ、成り行きだったんだけどもぉ⋮⋮⋮ある意味パターン化 ﹁⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮﹂ ⋮⋮⋮パタン くったが︶、大人しく従った やはり同じく衆目の目に触れるは嫌なのだろう︵その割には口論しま 何故か監視を1人も連れてきていないザンザスは正にお忍び状態。 しだ もしこのやり取りを獄寺君が目撃したら不味い事になるの間違いな そんなことを考えつつ、同じように視線でこちらの意志を伝える。 ? ⋮あと10年したら前回の死亡年齢と同い年じゃん そしてこの年になってもやっぱり子供どころか奥さんもいない⋮ 189 ? 10年、10年かぁあああ⋮⋮うわーっ、俺も年取ってたんだなぁ !? ? ? ! 恋人がいない⋮うっ、胸が ﹁⋮⋮なんだ﹂ あっれぇー ? 10年前と違うことにもう一つ気づいちゃったぞー ていると、怪訝な表情のザンザスと視線がかちあ⋮⋮⋮⋮う 嫌な事実にまで気づいてしまい、胸を押さえて致命傷にフラフラし ! 、⋮⋮だから、なんだ﹂ ﹁今、身長いくつだ ﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮はあ ? ? お前の身長 かないとダメな部類だろ ﹁だーかーらーっ ﹂ 見下ろせたのに 今いくつだよ 俺の事越してないか 188だが、テメェはどうなんだ ﹁ジーザスッッ﹂ ああああマジか ろせることに優越感を抱いていたのに もう勝てるのは年齢だけ 腹立つなちっ し ! しかも状況を理解した途端に鼻で笑いやがったよ 10年で俺より高くなってるんじゃねーよ ! 今すぐ縮め !!! !? くそーっ 密かにこいつを見下 マジで追い抜かれたのか ? じゃないですかー ﹂ と叫びたいが、確実に俺より目線が高い。10年前はまだ !? ! ! ! 嘘だろ ! ! ﹁⋮⋮ハッ ! いやいやいや、そこまで怪訝な顔しなくても。マジでこれは聞いと 約させた ぷり30秒ほど言葉を噛み砕いたのち、たった2音に全ての疑問を集 と、そこで。何故か俺の質問に神妙な顔をしていたザンザスはたっ ﹂ しかもこれはかなりの大事だ。見過ごしちゃなんねぇ相違点だ ﹁⋮⋮﹂ ﹁お前⋮⋮﹂ ﹁ ﹁⋮⋮おい、ザンザス﹂ ? ! ! ! くしょ││││ ﹁縮め ! 190 ?? ! !!? ﹂ かもなんだこのなっっっがい足 きくなるって狡すぎる ﹂ ﹂ 発育よすぎぃ DNAで大 勝 童顔も相まって余計ガキそ これだから外国人は ﹁テメェこそ身長縮んだんじゃねーのか のものだな ! 童顔は髭も生えないから仕方ないんですぅ お前俺より10歳下だよな ち誇った顔すんな殴るぞクソガキ ﹁170ありますぅ ? 追い抜かれたこの絶望感は何とい そこのベランダから落ち 憎まれっ子世に憚る でも今回は勝ってたのに えばいいんだっ ﹁だあああもう帰れ ﹂ 帰れ オラっ ! ﹂ 響いた ﹁フッ ﹁ぐっ ﹂ 気絶しちゃってるよ ﹁⋮⋮はっはっは。是非もなし仕方ない ﹂ 半眼で脳内だけは明るくそう言うが、さてこれの処分どうしよう ? たが、一応ザンザスってボンゴレの御曹司なんだよなー まぁ、本気だったし朝まで起きないだろ。外に放りだすことも考え ! ? やっだぁひー君たら☆うっかり本気でやっちゃったせいでザン君 たようです 瞬間、気づけば俺の右手はザンザスに右ストレートを喰らわせてい ドサッ⋮ どこぞの血まみれ王子さまじゃないが、確実に俺の中でそんな音が カッチーン 上機嫌でこんな事をのたまいましたよ、ええ ﹁俺よりチビの言葉を聞く筋合いはねぇな﹂ は何様俺様暴君さまだ ショックで若干涙目になりながらゲシゲシと蹴りを入れるが、相手 てもテメェなら死なねぇよ ! ! ! ! けど 前回は年齢差が逆転だったから負けてても仕方ないって思ってた !! ! ! 191 ? ! !!! !! !!! ! ! ! !? ! ま、コイツが目を覚ますより先に俺が家を出ればいいよね 俺は自棄になって結論を出すと、情けで毛布だけ掛けた後は至福の 睡眠の世界へと飛びだった ⋮⋮⋮翌朝、当然のようにひと悶着あったことは言うまでもない 192 ! お宅襲撃をなんとか躱して蹴りだし、平々 気 づ い た ら 甥 っ 子 に 相 談 さ れ て ま し た。⋮ そ っ か ぁ それはザンザスの突撃 凡々な公務員としてごく真っ当に仕事に励んで帰宅した時だった ツッ君 ﹂ ﹁ぁ⋮⋮ひ、ひろ兄⋮﹂ ﹁はえ ? ? て中へと促す ご、ごめん迷惑だった⋮ !? うん ザンザスと対応が違うって ﹁お、お邪魔しまーす⋮﹂ あっはっは、可愛い甥っ子と仏 ? ﹂ はちみつを垂らしたものだけど ﹁はい、どうぞ﹂ ﹁わ、ありがとうひろ兄⋮ うーん、なんか本当にツッ君情緒不安定気味 た子じゃないはずなんだけど そう思いつつ、自分もコップを傾けて口をつける。 コーヒーといえば今日はリボーン連れてきて無いんだ しー めっずら ここまでビクビクし る。といっても、俺はブラックコーヒー、ツッ君にはホットミルクに ツッ君に対して標準装備の猫と笑顔を被りつつ、お茶の準備を始め ﹁あはは、もっと気軽に入っていいよー ﹂ 頂面の顔見知りとじゃ対応違うのも当然じゃないですかー ? ﹁今日は大丈夫だったけど、次からはちゃんと連絡してねー﹂ ﹁あっ ﹂ そんなことを思いつつ、くしゃりと頭を撫でながら玄関の鍵を開け ﹁珍しいねー、ツッ君が連絡なしに俺のとこ来るなんて﹂ おどしてるってとこ 玄関前で佇んでいたのは。まぁ、相違点といったらツッ君の方がおど なんだかデジャヴ感たっぷりに、昨日のザンザスよろしくツッ君が ? ! ? 俺はどこか呑気にそんなことを思っていた ? ? ! 193 ! !! *** ツナSide 俺が戦うことになる相手側のボスって人と会ったのはつい昨晩の 事で、その如何にもな強面の顔と、今まで危ない目に遭ってきた中で も、一番怖いくらいの圧迫感 そんな場合じゃ無いのは分かってるけど、あれが本気の殺気なん だって、どこか冷静に考えていた 骸は俺の身体を乗っ取ることが目的だったから、殺されることだけ 絶対勝てっこねーよ ただでさえ争い事なん はなかったけど、でも、昨日の相手は違う。本気で、俺を殺すつもり で見つめていた 無理だよ無理無理 こないひろ兄を見る ちらり、と入れてもらったホットミルクを飲みながら、何も聞いて ﹁⋮⋮﹂ ⋮⋮だけど そう思った ない。ただ、俺の守りたいものはこの皆といる日常なんだって、強く 後継者争いとか、マフィアのボスとかそーゆー難しいことは分から 兄さんと話して︵その時に驚きの接点があったけど︶ 学校に行って、いつもと変わらない笑顔の京子ちゃんと話して、お 寺君だった その絶望感に、思わず俯きかけた時に声を掛けてきたのは山本と獄 て嫌いなのに、あんな人たちと戦わなくちゃいけないなんて⋮ !! 本当は、此処に来るのも迷った。骸たちとの戦いの時みたいに、ひ ろ兄を巻き込んじゃうんじゃないかって ﹂ 194 ! ! でも⋮⋮明日から一緒に戦う獄寺君たちには、どうしても相談出来 ない内容で 何かな ﹁あ、の⋮﹂ ﹁うん ? マフィアの事は話せない。でも、自分の心にだけしまいこんでおく ? こともなんだか気持ち悪くて ﹁俺⋮⋮俺の事を嫌いだって言う怖い人と会ったんだ﹂ ﹁⋮⋮﹂ ﹁その人に会って、多分⋮怒気とかより強い、殺気を向けられて⋮⋮凄 く、怖かった⋮ッ﹂ 今でも、脳裏に鮮やかに思いだせる昨晩の出来事。あんなにも、誰 かを恐ろしいと思ったことはなかった そんな人たちと、俺は⋮俺たちは戦わなくちゃいけなくて 俺のせいで、また誰かを巻き込むのかもしれない。今度は、本当に ﹂ 誰かが死んでしまうのかもしれない。その恐怖が、頭を離れないのに ﹁なのに⋮俺⋮あの人の事、どうしても敵だって思えなく、て⋮ 憎々し気に俺を睨んできた。けれど同時に、どこか切なさや羨望が 混じっていたかのような気もして まだ、躊躇う。負けたら終わりだってリボーンが言っているし、俺 も何となくその通りなんだって思う それなのに、頭のどこかで、敵と判断することに躊躇いが生じてい て、それからはもう、ずっと堂々巡りで、答えが分からなくて ﹁⋮⋮⋮ツッ君﹂ 死 に た く な い。殺 さ れ た く な い。日 常 を 壊 さ れ た く な い。友 達 を 何が正しいのか、どうす た。ザンザスたちを倒すために俺たちを鍛えてくれるリボーンの前 じゃ吐けなかった でも、事情を知らないひろ兄になら。いつだって、俺の事を嗤わな いで応援してくれるひろ兄になら 甘えてるって自覚はあるけど、まさかいつもチビ共の面倒とかで大 195 ! 失いたくない。家族を巻き込みたくない。誰も傷つけたくなんか、な いのに ﹂ ﹁分かんない⋮分かんないんだ、ひろ兄⋮⋮ ればいいのかも⋮⋮ ! 俺の為に頑張って修行してくれる獄寺君たちの前じゃ言えなかっ くしゃくしゃと、顔が歪む ! 変な母さんの前で言えるわけもなくて ﹁⋮⋮⋮詳しいことは分からないけど﹂ ともすればしゃくりあげそうになる呼吸を必死に押さえていると、 俺の言葉が終わるのを待っていたひろ兄がただ静かにこっちを見て きていて ﹂ ﹁ツッ君はさ、もう少し自分を信じてあげていいと思うよ﹂ ﹁え⋮ 俺の、ただの勘を⋮ そうして言われたのは、大分予想と違う言葉だった 自分を、信じる⋮ ? ﹂ ? ? !? ﹁ひろ兄なんで妙なとこで脳筋なの ﹂ ﹁ま、それは置いといて﹂ ﹁アッサリスルー ﹂ ねぇ。ま、男の子なんだから会話で駄目なら後は拳の語らいだね ﹂ ﹁ツッ君がいうなら、憎まれてるって言うのも確かな事実なんだろう 本当はこんな風に思っちゃいけないんじゃ⋮ 憎んでて⋮そのせいで今、獄寺君たちに沢山迷惑をかけてるのに⋮﹂ ﹁で、でも⋮そんな事言っても、相手は俺の事嫌いで、殺したいくらい た、って思うならそれは真実なんじゃない ほんとう けど、ツッ君が相手からの視線に憎しみだけじゃないのが混じって ﹁俺はツッ君と、その話に出てきた人との間に何があるかは知らない。 ? ! 俺がチワワにも負けるような激弱だって知って って信じ だったら、謝 ? るくらいなら、壁を乗り越えてまた笑い合えるようになる てあげな﹂ ﹁信じ、る⋮⋮﹂ ! 寺君たちも、ツッ君とイヤイヤいる訳じゃないんだろ ﹁とりあえず俺が言えることは全部自分で背負いこみすぎない事。獄 るよね というかひろ兄 でこちらを振り回してくる 困惑した俺に対し、しかしひろ兄は相変わらずのマイペースっぷり !? ! 196 ? !? 獄寺君たちを⋮仲間を⋮信じて⋮またいつもの日常に戻れるよう に⋮ そんな風にひろ兄の言葉を咀嚼していた俺は、近づいてくる影に気 が付かなくて ﹁ツッ君﹂ 名前を呼ばれた、と思ったら視界にはひろ兄のシャツが広がってい て。抱きしめられている、と理解したころには優しく頭を撫でられて た。そして ﹁大丈夫、これだけ頑張ってるんだから上手く行くよ﹂ 暖かな人の体温に、ぐっと泣きそうになるのを堪える 堪えて⋮いようとしているのに、ポンポンと小気味よいリズムで背 って叫びながらも笑ってることが多く ツッ君、1年前と比べたらスッゴク明るくなった。毎 中を叩くひろ兄の優しさに、どうしようもなく熱いものがこみ上げて ﹁気づいてる ﹂ 日楽しそうだし、大変だー なったんだよ それなのに、ひろ兄の優しさはとどまる事を知らなくて ﹁中学生になって、あの家庭教師君が来て、沢山の素敵な友達が増えた んだね。そして毎日がキラキラ輝いてる。⋮⋮それを失うかもしれ ﹂ ないっていうのは凄く怖いだろう﹂ ﹁ひ、ろ⋮兄⋮ ﹂ ﹁不安で当たり前、弱音を吐いたっていいんだよ。せめて俺の前でく らいならね﹂ ﹁ふ、ぅ⋮うああああああああああああ 色んなハチャメチャに巻き込まれた。無茶ぶりだってほぼいつも。 するとか言って ずっとずっと怖かった。リボーンが現れて俺をマフィアのボスに もう駄目だ、と思った時には俺の感情は決壊していた !!! 痛いのも嫌だ 争いとか戦争なんて真っ平だ 誰も それでも、そんな非日常が日常になって、いつの間にか当たり前に 怖いよ ! ! 197 ! ? ? ! ! なってて。皆といるのが、居心地よくなって、それなのに、 ﹁怖い ! 傷つけたくない 誰も巻き込みたくない 誰も苦しめたくない け ! 俺のせいで巻き込んでるから、俺のせいで傷ついてるか ! 緊張の糸が切れるその時まで、俺は幼稚園児みたいにひろ兄の服を ろうにそれも出来なくて せめて、相手のボスを憎めたら、嫌えたら、恨めたらどれほど楽だ なっていて で も、も う 駄 目 だ。頭 の ど こ か で、も う 元 に は 戻 れ な い と 警 告 が だった 日常が恋しい。ハチャメチャでも、楽しかった。嬉しかった。幸せ ら、こんな俺にも、助けてくれる仲間がるから⋮ッ﹂ ど、⋮けど ! 掴んで泣き喚いていた 198 ! 気 づ い た ら 打 ち 上 げ に 参 加 し て ま し た。⋮ す い ま せーん、おかわりー みんな元気ー 刻も早く逃げたい でも山本のお父さんの寿司絶品すぎる ! 宙、楽しんでるか ﹂ ドを全てスルーしていた時だった 理性と本能の狭間で舌鼓を打ちつつ、時折聞こえてくる不穏なワー 勝てん⋮ クッ、人間の三大本能には いやぁーもー、ここにいるほとんどが裏社会関係者とかナニそれ一 だよ☆ ん︶ランボ退院祝いという名のリング戦打ち上げに参加してるひー君 母さんに言われて渋々︵決してタダのお寿司に釣られてないよ、う チャオ ! ? あ、家庭教師君﹂ ﹁ちゃおっす ﹁うん ! ? ﹁もちろん、楽しませてもらってるよー﹂ これだから油断できねぇ 神出鬼没のヒットマーン ! ア ッ レ ー さ っ き ま で ビ ア ン キ の ポ イ ズ ン ク ッ キ ン グ 迫 ら れ て な かったっけ !! 一般人生活であるからにして ! そんな風に思っていた時期が俺にもありました、ええ この距離のままで行きたいよなー 探ってこないけど。 ま、リボーンもこちらの立ち位置は分かってるからかあんまり深く ﹁まーな﹂ こういった予防線は大変大事なのですハイ く。俺の人生標語は変わらず、目指せ なんて内心荒ぶりながらも表には一切出さず、のほほんと笑ってお てよかったよねぇ、ほんと﹂ ﹁ランボ君が入院したって聞いたときは驚いたけど、無事に退院でき !? 199 ! ! イヤぁああああリボーン来ちゃったぁああああああ ? ﹁あ、宙さん ︵え、アレ うーん 酒飲みます ﹂ !? 別に俺に対して敬語じゃなくていいんだよ ︶ ﹂ 俺、ディーノさんと会ったのって一回こっきりだよね なーんかディーノさんぐいぐい来るなー ﹁あー、すみません。俺、酒ってあんまり好きじゃなくて⋮﹂ ? なのに何故か妙になつかれてる気がする。解せぬ。ていうか ﹁あの、ディーノ君 ? !? ! これだ。何故に敬語。出会ったときは普通にため口だったじゃん ? ? !? 疑問に思いつつそう言うと、ディーノさんは輝かしい笑顔でこうの たまった ﹂ ﹁いや、あの若獅子に跳び蹴りとかしたって聞いて、スゲー人だなって 思ってたんでスよ ピシッ は ﹁へ 若獅子 そんな名前の人いたかな⋮ ﹂ と装いつつ、浮かびそうになる青筋 ﹂ 親父のころからの知り合いだ から若獅子って強そうなあだ名つけてるんですよ ﹁あ、いや⋮その。家光さんのことで を必死で抑える ? あ、やばい笑顔が一瞬こわばった。いかんいかん、取り繕はなくて ! 俺は裏社会何も知りませんー ? お前か お前のせいで ! !! あ、あ、あんのクソ親父ぃいいいいいい 万死 ! 見かけるとつい鬱憤をぶつけちゃうんだよねー﹂ ﹁まぁ、あの人姉さんのこと放ってどこで何してるかわかんないから、 ディーノさんに妙なところで尊敬されてんのか !!!! ﹂ マジであの宙さんがお父君に跳び蹴りなどを 内心で荒ぶっても表面には出さない俺のポーカーフェイスに今日 も拍手喝采 ﹂ ﹁え⋮あ、あの十代目 ⋮ ﹁宙にーさん、そんなにツエーのか ? ? 200 ? ﹁へぇ、そんな繋がりがあったんだ。世間って狭いねー﹂ ! ! ! ? ? ﹁うん、兄さんはよく父さんのことしばいてるよ。カッコいいよね﹂ ﹁親方様に攻撃を当てられるとは⋮⋮人は見かけによりませんな⋮﹂ 因みにツッ君は毎度のことなので驚きません。寧ろもっとやって 泣いちゃうよ俺 とねだってくるレベルです。あとバジル君、微妙に警戒して距離取 らないで ビアンキのポイズンから逃げつつ、端っこでデザートのメロン 食ってるよ 俺 トに群がったり、各々話したりでゆったりモードになる そんな予想外な絡みもありつつ、打ち上げも終盤に入ると、デザー ! 主賓がどーしたヨ ﹂ ﹁あの、さ⋮ひろ兄⋮﹂ ﹁んむ てかこないだ ! ﹁こないだの⋮あれ、ありがとう⋮﹂ なんかツっ君話しかけてきたー け なんかあったっ ? 内心で首をかしげつつ、こっちも無言でメロンを頬張っていると ? そ ん で そ ん な 俺 の 横 で な ぜ か も そ も そ と ケ ー キ 食 っ て る ツ ッ 君。 ? ? ? アレね 俺が内心で﹁どんどんザンザスぶっ飛 ツっ君が自分で決めて、自分でやった ﹂とか思いながらツっ君の話聞いた時のね あ⋮あーあーあー ばしていいよ ! ング争奪戦起こして母さんたち巻き込んでくれやがったので一発ぶ あ、そうそう。ザンザスといえば10年前に忠告したにも拘らずリ これから必殺技の一つもないとマジで死ぬし にできてよかったよかった ボロだったもんな。凍傷の痕もあったし、ツッ君も零地点突破をもの そういえばここに来る前によった病院で見たザンザス、確かにボロ 殴ってくれたんだね。 でもそっか、思いっきりやれたという事はザンザスを思う存分ぶん んだから。自信を持ちなって﹂ ﹁俺は大したことしてないよ ! ! ? !! 201 ? ! ﹁おかげで俺⋮⋮迷わないで、思いっきりやれたんだ⋮だから﹂ ? ん殴りました☆ そんで全身動けないのをいいことに、包帯に数々の落書きと、チビ と罵ってくれた分には追加でお見舞いに持っていたフルーツバス ノンノン、正当な報復だぜ ケットを頭からかぶせてきました 嫌がらせ だった 冷や汗が流れるが咄嗟に取り繕い、俺は柔らかな笑みを浮かべたの ﹁⋮ふふ、じゃあ受け取っておこうかな。どういたしまして、ツッ君﹂ ﹁だから⋮本当にありがとう、ひろ兄っ﹂ かったしまった あ、やば。愉快痛快爽快な復讐を思い出しててツッ君の話聞いてな じゃなかったら、負けてた﹂ ﹁ううん、俺⋮ひろ兄に話聞いてもらったおかげで勝てたんだ⋮そう 険もバッチリだいえい そしてちゃっかりその写真も証拠に収めたので、いざという時の保 すことになってザマァとか欠片も思っていませんよーっ あの後、部屋にやってきたであろう九代目の部下に無様な姿をさら ! ⋮⋮⋮年々、面の皮が厚くなる気がするナー 202 ? 未来編 気 づ い た ら 1 0 年 の 月 日 が 経 っ て ま し た。⋮ は っ や 前回の今頃、俺は40になったばかりの年頃で死んだ 同じ年齢になった今でも、死因は微妙に分からないが︵あんまり分 かりたくない。実は運悪く守護者の攻撃とかが当たったなんて間抜 沢田綱吉 けな理由もありえそう。一番は過労死だろうけど︶、まぁとにかくそ こで俺の人生は終了した しかし、話はそこで終わらない。 前回の人生で子供を作ることが出来なかった俺は、なんと初代を筆 頭とした歴代ボスの皆様によって時代を逆行させられたのだ 母さんの弟である、一般人の宙︵まぁ初代たちのご都合主義で超直 感もあるんだけど︶として 最初こそ驚いたものの、俺がマフィアとして生き始めた14歳で、 まるで一般人として生きれるはずだった新たな道のような人生だと 思った俺は、今度こそ一度は諦めた一般人として生きようと決意する まぁ、やっぱり俺の記憶通りに母さんが父さんと結婚したり 大学時代に留学したら行き先がイタリアだったせいで九代目やザ 未来での戦い ンザス、ラルといったボンゴレと接点出来ちゃったり しかもしかも、まるでこの時のための伏線と言わんばかりにアリア や白蘭に出会ったり 留学の最後では、生涯の親友となる真とも出会うことが出来たっけ それからは極たまーに、マフィア関係と遭遇することはあったけ ど、比較的平穏な生活を手に入れることが出来ていた ⋮⋮⋮Dの襲撃による、あの事件はあったけど その贖罪から面倒を見ていた炎真たちシモンファミリーは、この時 代 で は フ ァ ミ リ ー の 名 を 一 時 的 に 捨 て る こ と で 難 を 逃 れ た。⋮ と、 203 !! いっても俺がそうしてほしいって頼んだからなんだけどね Dが指摘した通り、トゥリニセッテと違う波動の大地属性は敵にな ればとても脅威かつ希少だ。白蘭に知れれば、一体どんなことになる か分かったもんじゃない だからこそ、俺の身を案じて共に戦うとまで言ってくれた炎真たち には悪いけど身を隠してもらったんだ 最悪の事態になれば、ユニと同じように操られるから それに、前回とは違う行動をすれば、この戦いに勝てないかもしれ ない。事が俺や、最悪ボンゴレだけで終わるならまだいい。少しは納 得しよう だけど、この戦いはこの十年後の世界一つに限った話じゃない。白 蘭が支配する全パラレルワールドにも関わる戦いだ⋮⋮まったく、七 面倒くさいことしてくれやがってあのマシマロ野郎 イ レ ギュ ラー ボ ン ゴ レ っと、それはともかく。結論としていえば、慎重にいこうって話だ ね。俺や炎真たちではなく、ツッ君たちの手によってこの戦いを収束 させる 精々、することなんてその為の後方支援くらいに留めておけばい い。これもまた、ツッ君たちに必要な試練でもあるし ︵⋮⋮⋮ああ、でも。あの出来事だけは変えてみせよう︶ 例え俺がどうなっても、ね *** ツナSide リ ボ ー ン を 探 し て い る 内 に ラ ン ボ の 1 0 年 バ ズ ー カ に 当 た っ ちゃって 10年後の世界に飛ばされたかと思えば俺は棺桶にいるわ 大人獄寺君に入江って人を殺してとか頼まれるわ 理由を聞こうとすれば獄寺君も10年前と入れ替わっちゃうわ ラル・ミルチっていう人が俺に攻撃してきたかと思えば実は味方で ボンゴレの人間と言われるわ ボンゴレの基地に行く途中でモスカに遭遇して危ういところで大 204 人山本に助けられるわ 漸く辿り着いた10年後の俺が造ったって言うボンゴレ基地でリ ボーンとふざけた再会するわ 真面目な話になってこの時代の事を聞けば、ミルフィオーレによる 誰でもいいからどうに ダメツナな俺にどうし ボンゴレ狩りで俺たちも危ないとか聞かされるわ ⋮⋮⋮ あ あ あ も う 訳 わ か ん ね │ │ │ │ ﹂ ろって言うんだよ ﹁待てよ そんじゃ守護者を集める段取りを決めるぞ。まず⋮﹂ それに⋮ ﹂ ﹁わかったな るの⋮ でも、マフィアとか守護者とか言われてもたった6人でどうにかな の仲間たちとな﹂ 歴代ボスたちは困難を打ち破ってきたんだぞ。大空を守護する6人 ﹁ボンゴレの長い歴史上、危機的状況は何度もあった。だが、その度に それは⋮確かにそうかもしれないけど⋮ らって がこの時代に来たことと、この時代の戦いは無関係とは思えないか そうして言われた希望とは、俺の守護者を全員集めること。俺たち らを真っ直ぐと見てきた そんな俺に対し、リボーンは重々しい口調ながらもそう言ってこち ﹁まだ希望が無くなったわけじゃねえ﹂ になってしまう う言って俺を諫めようとするけど、あまりに大きな事態に思わず涙目 混乱して、動揺して、頭の思考回路が真っ白になる。リボーンがそ ﹁うろたえるな﹂ しかしてよ どうやったら元の平和な世界に帰れるの ﹁そ、そんな⋮ !? !!!! ? ! これだけは聞かなくちゃ⋮ ! 205 !! ? ? ! ﹂ ﹁俺達の知り合いもボンゴレ狩りの対象になるって言ってたけど⋮そ れって母さんやひろ兄、京子ちゃんたちも入ってんのか⋮ ﹁⋮⋮﹂ !? なんか⋮なんかいえよって 俺がそう問い詰めた途端、リボーンは黙る。その事が、俺の不安を いっそう募らせていく ﹂ なんで⋮なんで黙ってんだよ ﹁リボーン !? も恐らく⋮﹂ ﹂ ま、まさかもう⋮ ﹁⋮⋮⋮宙の奴は、見る影もねぇな﹂ 目の前が暗くなって、ふらりと体が傾ぐ え、もしかして⋮ ひろ ハッキリと言われずとも、その濁され方で予想がついてしまった。 う、そ⋮⋮あの⋮⋮ひろ兄が⋮死⋮⋮ ﹁⋮⋮⋮ッッ﹂ ? 彼女たちって⋮彼女たちってことはひろ兄は そ、そん⋮⋮⋮ん ﹁り、リボーン あれ、〟彼女たち〟 ﹁⋮ミルフィオーレが標的にする対象は広がり続けている。彼女たち !! !? ? !? 兄はどうしたの !!? ! ﹂ 信じたくない。だけど、リボーンが嘘を言ってるようにも思えなく て そんな時、だった ﹁あら、リボーン君たちここにいたのね⋮⋮⋮ツッ君 ? ご無事だったんスか ﹂ 十年後でも変わらない声音で、部屋の入り口に立つ母さんが驚いた 十代目のお母様 ように俺を見てきたのに気付いたのは ﹁あ⋮ ! ﹁どうも、いろいろあってこっち十年後に来ちまったみてーでな﹂ ﹁ああ、十年前のツナと獄寺だ﹂ !? 206 ! ﹂ ﹂ ﹁十代目 ﹁ツナ !! ﹁嘘⋮⋮ひろ兄、が⋮﹂ !! ! どこか遠くでリボーンたちがそう言ってるのが聞こえてきたけど、 ﹂ 俺は母さんの変わらぬ姿に⋮⋮無事な姿に、一気に感情が溢れて ﹁か、あさん⋮ 母さんにしては妙に固いような ︶ 決壊した感情の奔流のままに、恥も外聞もなく母さんに抱きついた 瞬間だった ︵⋮⋮⋮アレッ ﹁⋮⋮⋮本当に母さん ﹂ もう一度相手を確認して そして疑問を持った一拍後。俺はある予想に恐る恐る顔を上げて、 ? ﹁うぇええええええええ何やってんのひろ兄ぃいいいいいいいいいい 一分後。 チェンジした 無駄に爽やかに肯定し、バサッとカツラを外して好青年へとジョブ ﹁⋮⋮残念、姉さんに変装してたひー君でしたっ☆﹂ 疑惑の眼差しで尋ねると、母さん︵︶はニッコリ笑った後 ? ﹂ !? 抱き着くまで母さんとしか思わなかった ていうか本当に何やってんのぉ 声まで一緒だったよ 確かに見る影もねーよ よ えないんだけど !? ! 実は俺たちと同じように過去から来 !!??? !? ひろ兄ちゃんと年取ってる てない !!? 207 !! ? 俺のこの上ない疑問が基地中に響き渡った いい !!!!??? そして10年の月日が経ってるはずなのに全然老けてるように見 !! なんでか過去から来たツッ君に不老の疑惑 気 づ い た ら 基 地 を 脱 走 し て ま し た。⋮ な ん で バ レ な いんだ はいはーい、皆元気ー を持たれてるひー君だよー 酷いよねぇ、これもツッ君の未来の姿なのにさー ︵十年前から変わって無い、かぁ⋮︶ そりゃあ十年前も30のいいオッサンだったし、成長期はとうの昔 に終わっている。つまりは老けるだけだが、残念なことに俺は脅威の 童顔もち。老化を大幅に上回る童顔だって、俺大昔から知ってたよ。 だって前回もそうだったもーん⋮⋮⋮はっはっは、ワラエナイ ︵⋮⋮⋮これもプリーモの血、だもんなぁ⋮︶ 誠に遺憾である。正直めちゃくちゃ要らねぇ、と声を大にして言い たいが⋮ ︵母さんも母さんで、驚異の童顔なんだよねぇ⋮︶ だって母さんも普通に年取ってるように見えないし。ツッ君も見 れば分かるよ、俺より若々しさを保ってる母さんの童顔の脅威を。 まぁ、結論として俺の事を妖怪か化け物のような目で見てくるツッ とか思って 君が、早く真実にたどり着くといいよねって思うよ。同じ穴の狢、同 病相憐れむ⋮⋮⋮一緒に童顔ゆえの苦しみを嘆こうぜ ませんよええ ! つらつらつら、とそんなことを考えつつ今日の朝食の下ごしらえを している時だった ﹂ カタン ﹁あら の姿が。如何にも見つかっちゃ駄目なのに⋮ 情に遠い昔の記憶が蘇る と言わんばかりの表 ! 私⋮その、﹂ あー、そっか。京子ちゃんの脱走って今日だったっけ ﹁あ、あの⋮ ! 208 ? !? ふと、物音に後ろを向けば、そこには顔を真っ青にした京子ちゃん ? そんな事もあった、と思いだしつつ俺は手に持っていた調理器具を ﹂ 家族が心配なのは、当然のことだもの﹂ 私⋮どうしても家族のことが心配で⋮ キッチンにおいてエプロンを脱ぐ ﹁ごめんなさい ﹁⋮⋮謝らないでいいのよ でなくひー君だと打ち明けてません なんとなく打ち明ける機会がなかったから !! ﹁え⋮﹂ ﹂ の準備を始めた というか俺が 結論を出した俺は、茶目っ気たっぷりにウインクすると手早く脱走 ﹁だから京子ちゃん、絶対に一人で無茶しちゃ駄目よ ﹂ ﹁んー、そうねぇ。なら、私も一緒に行ってあげるわ﹂ 識させた方がいいか 一人で行かせるくらいなら⋮⋮⋮荒療治だけど、現状をキチンと認 ど、今後もそうなるとは限らない それに、京子ちゃんも大分追いつめられてる。今日は阻止できたけ たんだよなー というかそろそろ恒例の母さんの囮で並盛町歩いて来ようと思って でもなー、京子ちゃんの気持ちが分からないでもないんだよなー。 涙を拭きとる俺 ケットからハンカチを取り出して泣き出してしまった京子ちゃんの そんなことを思いながらも、母さんの演技には一切手を抜かずにポ ﹁⋮⋮で、も⋮ とを心配してるの。だから、黙って出て行くのは駄目﹂ ﹁京子ちゃんが家族を心配するように、ツッ君たちも京子ちゃんのこ 俺の男としてのなけなしのプライドが砕ける、確実に ちょっと嫌 で︵本意ではないとはいえ︶女装してたら嫌じゃん あと今回だと俺京子ちゃんの初恋なんだよね。初恋の人がさ、未来 なんでって あ、そうそう。物凄ーく今更だけど、俺は京子ちゃんたちに母さん ﹁でも、誰にも言わないで出て行こうとするのは感心できないわね﹂ ﹁奈々さ⋮﹂ ! ? ? 209 ? ! ? ! さーて、まずは京子ちゃんを簡単に変装させますかー *** ツナSide 京子ちゃん達も未来に来ちゃった翌日。起きてすぐの基地になり 響く警報に驚いた俺たちは、何者かがヒバードによる救難信号を送っ たとの情報を聞かされた ﹂ でも、リボーンの言う通りなら地上はミルフィオーレがうろうろし 大変なんです てる危険な場所なのに⋮一体誰が⋮ ﹁ツナさん !! ? はなった なんだって ﹂ ﹁京子ちゃんがいないんです ﹁なっ そんな⋮ ﹂ 〟一度家に行ってきます。ランボ君たち のおやつをもってくるね〟⋮⋮⋮⋮って﹂ ! 頼まれタ き⋮気づかなかった⋮ これ ﹁あ、ツナさん ﹂ ﹂ 今そんな場合じゃ⋮⋮んなっ イーピン ﹁へ ﹁十代目 ﹂ ﹁ツナ とする。 と、そこで部屋にやって来たイーピンから渡されたある手紙に愕然 ﹂ ﹁沢田 ! !!?? !? ! って、コレ││││││ へ ! ? ﹂ ﹁今思えば京子ちゃん、昨日途中から元気がなくなって⋮﹂ ﹁よほど了平のことが心配だったんだな﹂ ﹁無茶する奴には見えねーのに⋮﹂ ﹁あの笹川が⋮﹂ !? !!! 京子ちゃんがいないってどうゆう⋮ !!? ﹁書き置きが在ったんです 勘違いとかじゃ⋮ そんな時、ハルが会議室に飛び込んできてとんでもない事実を言い !! ! ? ? ? 210 !? !? ? ? こ、これって⋮ ﹁何々⋮〟京子ちゃんのことなら俺も一緒に行くから大丈夫、折を見 ひろ兄がいるなら京子ちゃんはきっと大丈夫⋮ て信用できる子に預けるから。〟⋮⋮宙の奴、京子の不安に気付いて たんだな﹂ 流石ひろ兄⋮ ﹁あっ ﹂ ﹂ ﹂ た、確かに⋮ もしかして何か深刻な理由が⋮ ﹂ ﹂ く気まんまんだな﹂ ﹁緊張感ねえッスね ﹂ 俺の知ってる優しくて格好良くて真面目なひろ 兄がいなくなっちゃった│││ ﹂ かずにはいられなかった 俺は少しの不安と引き換えに、かなり認めたくない未来の現状に嘆 ﹁⋮⋮ほう、いい度胸じゃねーか﹂ 嫌だぁああああああ ﹁ひろ兄がもう一人のリボーンみたくなっちゃったこんな未来なんて !!! うわぁあああん !!?? 君たちのおやつとか買って、今夜はすきやきでーすっ〟⋮⋮買い物行 ﹁〟ついでに俺は姉さんの囮で街をうろちょろしてくるね∼。ランボ ﹁ひろ兄│││││ 2、2枚目⋮ってぇえええええ けどよツナ、宙さんがいるのになんで誰かに預けるって書かれ てるんだ ﹁ん ! ﹁言われてみれば⋮ ? ? ﹁実は本当に母さんが乗り移ってない !? !! !!!!! 211 ! !!? ! ! !!??? !? ! 気 づ い た ら 家 政 夫 や っ て ま し た。⋮ そ の 視 線 や め な い やぁやぁ皆こんにちは 京 子 ち ゃ ん を 無 事 に 黒 川 に 預 け て 母 さ ん の 囮 や っ て た ら 後 で め お願いだから十年前のまともなひろ兄に ちゃくちゃツッ君に怒られたひー君だよ☆ ひろ兄緊張感無さ過ぎ 戻って ! リボーンを見てると、アレ ? んに﹁俺なんかじゃ君の相手は務まらないよ あらゆる表現を駆使してお断りしたり ⋮⋮うん、騒動ばっかりだったネ ﹁ん、イイ感じ﹂ 無理無理 ! ﹂とありと なんでか久しぶりにもかかわらず﹁戦ってよ﹂とか言ってくる雲雀さ その後に黒川の家に京子ちゃんを迎えに行って基地に帰還したら、 ︵ついでに買い物の荷物はこの時にラルに預けた︶ てんでラルの代わりに偽装工作したり んでその後、ボンゴレリングの反応を並盛神社で消しちゃマズいっ はここだけの秘密だ 振り回されてた姿を思いだし、相変わらず苦労性だなー、と思ったの 着しててγを咬み殺してマシタ。γの顔を見て、16年前にアリアに 因みに買い物を済ませてから並盛神社に行くと、既に雲雀さんが到 よりマシだからまだいいかなって思えちゃって↑ でもなんていうかさ、仕方ないじゃん まともじゃないよなって自覚は多少あるけれども ⋮⋮いや、母さんの為とは言え抵抗なしで女装しちゃってる時点で な言い方じゃないですかー と嘆かれました。解せぬ。まるで今の俺がまともじゃないみたい ! ! やっぱりコーヒーは挽きたてが一番だよね∼ を味見して感嘆の声を上げる なんてちょっぴり遠い目をしつつ、出来上がったばかりのコーヒー ! 212 ! !? ︵⋮⋮あれから12日、かぁ︶ 確か、ツッ君たちの怪我もよくなって来たから明日から本格的に修 行を始めるって言ってたっけ ﹂ 頑張れツッ君。雲雀さんにボロボロにされてもめげるなファイト ﹁じゃ、宙さんハルたち次はお洗濯もの干しに行ってきますね ﹁はいっ﹂ ∼﹂ ﹁うん、家事とか任せっきりでごめんね。何かあったら俺に言ってね ! お願いだから基 ﹂と言われたので。なんだかツッ君による俺の扱 ツッ君に﹁囮とかしなくていいから あ、そうそう。因みにあれから母さんの変装は止めました なんでって ? ﹁いや ﹂ 背後の3人の視線がグサグサ刺さって穴が開い ﹂ 旨そうなコーヒーだな。俺にもくれねーか ﹁⋮⋮エート、なにかな ちゃいそうだよ な ん だ ろ う ね ⋮⋮なんだけどぉ⋮ ﹁⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮﹂ 後の一服をする俺 そんなことを思いつつ、やることもないのでのんびりまったりと食 どさ まぁ元々、ツッ君たちが過去から来たらやめようかとは思ってたけ いがさも問題児扱いな事、誠に遺憾である 地でじっとしてて ! ? ? くどく笑いながらそんな事言ってきた ︶ わー、明らかに何か悪だくみしてるーぅ ︵あー、うん。触らぬリボーンに祟りなし けてくる人物・その2であるラルに声を掛ける 俺はすかさず意識を切り替えると、同じように俺に無言の圧力をか ! 213 ! !? ? 結局、無言の圧力に耐えきれずに尋ねると、リボーンはニヤリとあ ? ﹁ラルはどうする コーヒー ﹁⋮⋮紅茶でいい﹂ ﹁ん、了解﹂ 紅茶 ﹂ ? まぁそれはともかく さび付くような音がしたに違いない 閑話休題 ﹁貴方⋮⋮いつになったら僕と本気で戦ってくれるの そりゃ零地点突破は両方使えるけど グも匣も持ってないんだよ いきなり何言ってるのかな雲雀さん ﹂ リン イコー イクスバーナーだって頑張 俺は一般人なんだよ ﹁俺が君と戦ったら確実に俺は死んじゃうと思うんですケド ? ねぇ ﹁敵の幹部を普通に倒せる人が何言ってんの ﹂ ていうかこの論争、もうこの12日ほぼ毎日行ってますよね ル、ちょっと体術が出来るくらいの一般人って認識のはずでしょ でも俺、ボンゴレ関係者の前で炎出したことないじゃん ! ﹁だが、聞くところによると宙はママンだけでなくこの時代のツナの ! !? ! ればできるけど !? ﹂ 今、きっと擬音語が付くなら俺の首周りからギ、ギ、ギ⋮⋮と油の けそうになる心を必死に支えて俺はそっ⋮とその人物の方へ向いた だとか、何よりも雄弁に怒気を語る黒曜石の眼差しとかで思わずくじ その声の低さだとか、短いながらも圧倒的に込められた疑惑の感情 た第3の人物が声を出す と、考えたところで。今まで沈黙の元、こちらをじぃーっと見てき ﹁ねぇ﹂ このまま上手いこと何も追及されないまま│││ ! ⋮リボーンのニヤニヤ笑いは収まってないことが不安を煽るけど は短くお礼を言うだけでそれ以上何かを言う気配はない そして手慣れた動作で2人の飲み物を用意し手渡す。すると2人 ? !? 214 ? ! !? !? !? !? 影武者もやってたんだろ ﹂ つまりはそれなり以上の自衛手段があっ たはずじゃねーか。なのに雲雀と戦えねーってのか ﹂ この戦いでも後方支援以上はしないからね基本 やだよ俺は一 いや、影武者って言ったっ 過剰な期待は止めて ﹁どこからそれ聞き出したの家庭教師君 て大したことしてないし !? !? そしてここぞとばかりに追撃かけないでリボーン 般人でいるの ? !! ? ! 危機だというのに弱いままでいると思えん﹂ 俺の実力はラルが一番分かってるでしょ ﹁ぎゃあラルそんな昔のこと掘り起こさないで を超えたプレッシャー ﹂ !? !? う 絶対修行しないよ なのに嬉しくないのはなんでだろ ﹂ 特に明日の修行ってツッ君がボンゴレの継承 ﹁後生だから過度な期待は止めてってばー ! 俺確実に初代ぶん殴りに行っちゃう自信あるよ !? んかね 家庭教師君とラルも傍観体制に入んないで止めてよ ﹂ ﹁ってさり気なく武器をもってジリジリと近づくのはやめてくれませ ﹁つべこべ煩いな。咬み殺す﹂ する奴じゃん ! わぁ、これ以上もない褒め言葉 れば伸びる。沢田よりも短期間で早くな﹂ ﹁ああ、だからこそお前が今行動しないのが理解できん。お前は鍛え !! そしてここでも期待 やめで無く自衛手段を身につけることを選択したお前が、保護対象の ﹁信じられんな。イタリア留学で危ない目に遭った後でも、留学取り ! ! !! ﹂ !! ええい、三十六計逃げるに如かず !!! ﹁御託はいい。問答無用で││││咬み殺す ﹁ひぃやっぱり ﹂ !! ! 戦略的撤退と言ってほしいね !! した 逃亡なんて情けないって ? 俺は殺気立った雲雀さんから逃げるため、すかさず部屋から飛び出 ﹁逃がさないよ ﹂ やーだー⋮もうこうなったらここ数日恒例の││││ か。苛立った雲雀さんがトンファーを構えていらっしゃった なんて必死に喚いていると、早くもというか予想通りというべき !? 215 ! !? !? 気づいたら鬼教官が倒れてました。⋮ッ大丈夫 つ つ て て の の 俺 俺 も は ﹂ ﹂ 甘いと言われようが、無謀だと罵られようが10年前のどこまでも んじゃない この時代のツッ君がただそれだけで、過去の自分たちに全てを託した か ︵⋮⋮でもね、ラル︶ にしてこの作戦を決行したのだ この時代のツッ君はそれが最善策だと分かっていたからこそ、心を鬼 か に遭わせると分かっていても︶ ︵⋮⋮例えそれで、イーピンや京子ちゃん、ハルに怖い思い、危険な目 けでなく十年前こそが尤も成功率の高い選択だったから 断をするだろう。過去のツッ君たちを呼ぶことはボンゴレリングだ 実際、ボンゴレボスだった俺や、この時代のツッ君はその通りの決 選択をするのがお前の義務だ。それだけを考えろ﹂ ﹁甘い考えを捨てろ。少しでもマシな⋮0.01%でも生存率の高い 葉 ずっと前線で⋮⋮部下の命を預かってきた教官だからこその重い言 どこまでも突き刺さるラルの言葉。それはこの頃の俺とは違って、 の地獄を選ぶかだ﹂ ﹁お前に委ねられているのは生きるか死ぬかの選択ではなく⋮どちら ﹁⋮⋮ッッ﹂ いる多くの人間は死ぬんだ ボンゴレの戦力差は圧倒的だ。参加しようが引きのばそうが、ここに ﹁笹川はお前に甘いがこの際ハッキリ言っておく。ミルフィオーレと と思いつつ行先を変更してその声の聞こえる方へ足を向ける ラルの怒鳴り声が、廊下に響いたのは。その言葉に、あの時のか⋮ ﹁本当にそう思っているのか と戻ろうとしていた時だった それはクロームの治療がひと段落してビアンキに後を任せ、自室へ !? 真っ直ぐに理想の為に突っ走れる力があるから。理想を絵空事でな く、現実にすることが出来たから 216 !!? !! そんな青春だったからこそ、最悪の現実を変えてくれるんだって、 期待してるんだ ﹁⋮⋮ぅ⋮ぐ⋮はっ⋮﹂ まぁ、とはいえ。ラルの言葉も一切間違ってないから否定しないけ どね ラル﹂ ⋮⋮お前、か﹂ ﹁大丈夫 ⋮⋮軽いなぁ。かなり体が弱くなってる証だ ﹂ ﹁ほらラル、肩貸すから﹂ ﹁いらん ﹁はぁ⋮もう我儘言わないの﹂ ⋮おい ﹂ ひょいっ ﹁ ﹁なーに ﹂ やだなぁ、生き返っ 俵担ぎにしろとか下ろせとかは聞かないよ に運ばせてもらうからね﹂ ハイ、問答無用でお姫様抱っこしましたーっ 下ろせ ! あとで作戦会議あるんだから、それ たコロネロに知られたら俺殺されそー ﹁ふざけるな ﹁聞かないっていったデショー ! このまま自室 そんなことを思いつつ、ふらふらと今にも倒れそうなラルを支える ﹁ ? ! ⋮聞いていたのか﹂ にないし﹂ ﹁ ﹂ ﹁偶々ね。⋮⋮⋮ねぇちょっとラル るの ﹁俺の信用ゼロ ﹂ ? ﹂ そりゃあ確かにちょっぴり少しはそんな部分があるっ て自覚してるけど ! ﹁じゃあ家庭教師君は !? !! ひっでー !? なんでそんな疑いの目で見てく まで身体休めな。どうせツッ君もそれまでまともな修行は出来そう ? ! ? ! ? ﹁普段の行動を思いだせ﹂ ? 217 !? !? !! ﹁あれはもう、そういう生態だと思ってる﹂ ﹂ リボーンの神出鬼没さや地獄耳は一種の生態だったの ﹁流石としか言いようがないくらい俺より酷かった 生態って マジで !! ⋮⋮ありえそうで嫌だなぁ にいようかな ﹁ほらラル、目を閉じてるだけでもいいから横になって になったらちゃんと起こすからさ﹂ 俺 大事なお師匠様の身をこんなにも案じて⋮ってラルストーッ ﹁⋮⋮お前のそういう所が本当に苛立つ﹂ ﹁酷い ? そのゴリラの肩当てっぽいのこっちに投げようとしないで ﹂ ちょっとふざけただけなのにー が悪かったから プ 会議の時間 まぁ、このまま去ったら確実に部屋を出るだから見張りとしてここ い続けるラルに適当にハイハイ言いながらベッドへと下ろす ラルの自室へ向かう俺。んで、大丈夫だなんだと根拠のない言葉を言 思わず師弟漫才を繰り広げるが、そんな会話をしつつも真っ直ぐと か !? ! ﹂ ? ナッポー菌の如く移るもんなの やだなぁ ? れた時みたいな気まずさはないけど それから暫しの間沈黙が下りる。といっても、この間の問い詰めら ﹁⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮﹂ だって見せたくないだろうし 座っておく。ラルも自分の弱ってるとこなんて、それこそコロネロに 微妙な表情になりながらも、ベッドで横たわるラルに背を向けて てんの えええ嘘ーん⋮俺ってば、リボーンのあのハチャメチャぶりが移っ ﹁自分の胸に手を当てて考えてみろ﹂ ﹁え、それどういう意味 それは表に出さずに嫌そうな顔をしておく と、そこで。不意打ち気味に言われた言葉に内心でドキッとするが ﹁全く⋮時々お前はリボーンの弟子なんじゃないかと疑う時がある﹂ ! !! !? ! ? 218 !? ! ﹁⋮⋮俺はお前が分からん﹂ そんなことを思いだしていると、不意にラルが不満げにそう呟く ﹁お前が本気で戦えば、作戦の成功率もぐっと上がるだろう⋮。そう ﹂ すれば先程沢田に言った通りこちらの生存者も増える。なのに何故 ⋮お前は動こうとしない ﹂ ﹁でも、一番の理由はツッ君たちを信じてるからだよ。ツッ君たちな たのは だからだろう、いつもみたいに誤魔化すんじゃなく、本音を漏らし ﹁⋮⋮なんだと ﹁⋮⋮⋮まだ、時期尚早だからかな﹂ 上嘘をつくのも気が引けるんだよなー とはいえ、ここまでツッ君たちを心配してくれているラルにこれ以 事だったから、驚くこともない の疑問はずっと雲雀さんやリボーンからも眼差しで訴えられてきた 皺が寄ってるんだろうなとは言われずともわかった。実際、このラル 背中を向けていることでお互い顔は見えないけれど、ラルの眉間に ? あんな甘ちゃんだぞ ﹂ ら、俺の手助けがなくたって大丈夫。ミルフィオーレ相手でもね﹂ ﹁⋮⋮正気か ? あのツッ君にある長所にもなる﹂ きっと次の会議ではラル まぁすぐにやっぱり誤魔化したけど。あんまり深くツッコまれた くないし ﹁馬鹿げたことを⋮﹂ ﹁俺の甥っ子、あんまり馬鹿にしないでよ の予想と違った決断を下すはずだから﹂ ま、これ以上は後の楽しみかな ルの方から憮然とした気配が伝わってくる クスクスと楽しみで仕方ない、と声の調子に含ませれば予想通りラ ? したことを伝えられ、雲雀さんに教えようと部屋を飛びだしたものの この少しあと、顔を真っ青にしたビアンキにクロームの容体が急変 ? 219 ? ﹁うん、そーだね甘ちゃんだ。でもそれが、この時代のツッ君になくて ? 咬み殺されかけるのはまた別のお話 **** おまけ・十年後ひー君とはっちゃけ初代様 そこは巨大なボンゴレの屋敷の美しい庭園の中。幻想的ともいえ こンのクソ爺∼∼ ﹂ うむ愉快愉快 ﹂ る花々の咲き乱れるその景色に、よく似た面立ちの青年︵︶2人が ﹁待て∼ ﹁はっはっは、鬼ごっこか !! ﹂ !!! これ以上の至福はないだろう ﹂ ﹂ ﹁俺はあんたの狂信者じゃねーんだよ が お前はどこぞの骸か !! つかそもそも同じ顔でしょう !! ﹁いやいや何を言う宙よ。この俺の麗しい美貌を毎晩拝めるのだぞ 平穏な睡眠タイムを返せこの野郎 ﹁毎晩毎晩人の夢に出ては安眠妨害しくさって くので目で追えなくなるのも時間の問題だろうが まぁ、煌々と燃え盛るオレンジ色の死ぬ気の炎で推進力が増してい にお互いイイ笑顔で追いかけっこをしていた 音声さえミュートにすれば一昔前のコーラのCMと言わんばかり ! ! そりゃあそうだろう ﹂ ツッ君に頼み込んで、大空のボンゴレ 愛い来孫との触れ合いが何よりも幸福なのだ﹂ ﹁ハッ スカッとしたね リングを俺直々に壊したのはいい思い出だ !! ﹂ 流石俺の血を受け継いだ 血も涙もないとはこの事か よい鬼畜っぷりだ ﹁なんと酷い 者だな ﹂ これ以上あんたとの血の繋がりは要らん ﹁はっはっは、事実は変えられんのだ !!! とはいえ、それを行っている現行犯の片割れはうっとうしい先祖の く荒れ果てていく 幻想的な美しさを保っていた庭園は、夢の中とは言えこれ以上もな 鋭い氷塊が空を切り裂き 時にXバーナーが発射され、時にそれを吸収して回避に使い、時に !!! ﹁って喜ぶなよ !!! ! !? ﹂ ! ! ! ! ! 220 !!! ! ? !! ﹁それに最近はまったく逢えなかったからな⋮⋮寂しい爺の身には可 !! だが私は私のやりたいようにやるだけだ ﹂ !!!!! もう用済みなんだから大人しく隠居 態度にそれどころではないので修復の見込みはないのだが ﹁ツッ君の継承も終わったんだ ﹂ ﹁釣れないことを言うなぁ するなりこの世界から消滅するなりしやがれ !! ﹁⋮⋮ハッ ﹂ ﹂ 直後、今までにない宙の怒号が庭園に響き渡ったのだった ﹁こんの自由人クソ爺││││││││ !!!!! ! 寝 起 き だ と い う の に 疲 労 感 た っ ぷ り の 顔 で 朝 を 迎 え る の だ っ た。 ﹁ちっくしょー⋮また逃げられた⋮ッ﹂ そして今日も、決着はつかずに朝を迎えるひー君は !!? ちゃんちゃん♪ 221 !! 気 づ い た ら 襲 撃 が 始 ま っ た よ う で す。⋮ い っ て ら っ しゃい それは、敵の強襲が始まるつい1時間前のこと ︵⋮⋮ああ、そろそろ入江君が強襲を始めるころだっけ︶ 俺は自室のベッドで横になっていた身体を起こし、ぼりぼりと頭を 掻く 実は、前回と違う点が一つある このメローネ基地に攻め込んでレベルアップし、ボンゴレ側に寝返 るという作戦。実はこれを知っているメンバー︵十年後ツッ君、雲雀 さん、入江君︶の中に、俺も入っているという事 それはある意味、必然ですらあったんだろう。俺は10年前の時点 ですでに入江君と親交があったし、ツッ君ボンゴレ十代目の血の繋 がった叔父でもある いくら一般人と嘯いていても、ミルフィオーレにとっては抹殺対象 になってしまう ︵⋮⋮ま、だから早めに俺は死んだことにしてたんだけど︶ 沢田綱吉の叔父である宙はミルフィオーレの手により死亡。それ を偽装工作したのはツッ君であり入江君だ そして俺は自由に動けるようになった分、ツッ君がミルフィオーレ の目があるところで計画通り殺されるまで、時折影武者を演じた ついでこの時代のツッ君が死亡︵︶した後は、海外に逃がした父さ んと母さんの身代わりになって もうこの時点で︵ラルにはああ言ったものの︶とっくに俺は一般人 であることを止めていた 俺が⋮俺が弱いせいで⋮⋮ 宙兄さんを ⋮⋮この時代のツッ君は最初にそれを伝えた時、酷く嘆かれてし まったけれど ﹃│││ごめん、ごめんっ ! ああ、そういえば入江君にも酷く強張った表情で問われたっけ 一般人でいられなくしちゃって⋮ッッ﹄ ! 222 !! ﹃│││本当に、いいんですか⋮ こちら側にきてしまえば、もう二度 貴方が望み、努力して漸く得た平穏は、永 ことに最後まで難色を示していたんだ ? 〟 ? ヴーヴーヴー を助けることを決めちゃったんだよなぁ ⋮⋮それもあって、俺は炎真たちの心配を振り切って、ツッ君たち ノは白蘭によって殺されていたけれど い、笑みが零れる。とはいえ、あの時点ですでに殆どのアルコバレー クスリ、とその様子までまざまざと思い浮かべることが出来てしま だって怒られそうだけど︶ ︵⋮ も し、こ の や り 取 り を リ ボ ー ン が 知 っ て い た な ら 甘 や か し す ぎ ないからいいガス抜きになったんじゃないかな を撫でて宥めてたっけ。2人共、お互いの立場ゆえに中々弱音を吐け たしか、そういったあと2人に泣かれながら抱き付かれちゃって頭 〟って﹄ 自分で対処できないことがあったなら、周りに助けてって言うんだよ かりを危ない目に遭わせたくない。子供の頃、よく言ったでしょ ﹃君たちが俺を危ない目に遭わせたくないように、俺だって君たちば するより、大事な人たちを守って危険な目に遭う事を選ぶよ﹄ ﹃││2人共ありがとう。でもね、俺は一人安全な場所で幸せを手に 苦笑を浮かべる ふと、その事に気付いて記憶を手繰り寄せるが、すぐに思い至って ︵⋮⋮俺は、それになんて返したんだっけ⋮ ︶ る自分を重ねていた。それもあって、俺が一般人であることをやめる たちが手放した平穏を手にして笑っている俺に、別の人生を歩んでい 優しい二人は、ある意味俺によく似たあの二人は、だからこそ自分 遠に喪われるというのに⋮﹄ と後戻りは出来ませんよ ? つらつらつら、とそこまで考えたところでとうとう強襲の始まりを 告げる警報が鳴り響く。 223 ? ﹁⋮⋮始まったみたいだね﹂ !!! それを聞いて素早く身支度を整えた俺は、部屋を飛びだしツッ君た ﹂ ちが侵入する経路のショッピングモール地下駐車場の発電室に在る ⋮貴方も来たのね﹂ ダクトへと向かう。 ﹁ ﹁まぁね、大事な甥っ子の出撃だから。そっちも、でしょ ﹁⋮⋮ええ、そうよ﹂ そしてツッ君たちが来るより先にそこへ到着すると、同じことを考 えていたビアンキと合流する。そういえば、前回もこうして応援して もらったっけ ⋮来たみたいだね﹂ タタタタタッ ﹁ ﹁私が誘導するわ。貴方はここで周囲の警戒していてちょうだい﹂ ﹁ん、了解﹂ そこで簡単な役割分担をして暫し別れ、任された通り周囲を警戒し ておく。そうはいっても、入江君によって部隊の殆どは基地襲撃に ﹂ ﹂ 行ってるから念のためだけどね ﹁え、ひろ兄も ﹂ まさかのそっち思考 ﹁お前も行くのか ﹁アレ ? ? !? ﹁ひろ兄⋮ うん、皆の事任せた ﹂ !! ﹁足手まといにならなければな﹂ ﹁ツッ君たちの事任せたよ、ラル﹂ つきつけ合わせ、ラルを見つめる ぐしゃっ、と若人たちの頭を一回ずつ撫で、お兄さんとは軽く拳を ! るようにこっちは俺たちで守り抜いてみせるから﹂ ﹁京子ちゃん達や基地の事は任せて。ツッ君たちが安心して暴れられ ﹁そ、そっか⋮﹂ たちを見送ったらすぐに基地に戻るからね﹂ ﹁期待させちゃったみたいだけど、俺はビアンキと同じ理由だよ。君 れるとは↑ これは驚いた。まさかの見送り要員でなく戦闘要員と受け止めら ? 224 ? ! ! ﹁それは大丈夫でしょ。それよりラルも気を付けてね。│││どんな 状況でも、冷静さを忘れないで﹂ ﹁⋮⋮弟子に言われるほど落ちぶれたつもりはないがな﹂ ﹁ま、念の為ってことで﹂ 苦笑を浮かべつつ、時間もないしとダクトに入っていくメンバーを 見守る ﹁│││いってらっしゃい。皆、生きて帰ってくるんだよ﹂ 祈りを込めて放った言葉の返答は、輝かしい笑顔だった それともああ おお、それならば俺の血筋らし ︽全 く 宙 は 相 も 変 わ ら ず デ ー チ モ ら に 甘 い な ぁ。む やって自分に依存させるのが目的か くて納得のいく結論│││︾ いっそのことゴミ箱に放り投げてもいいんだぞこの徘徊ド腐れ低能 クソ爺﹂ ガッ ボスッ 因みに感動的な場面にごちゃごちゃと喧しい先祖の幽体を死ぬ気 ﹂ で引っ掴み、ダクトに放り込んだのは言うまでもない ﹁何を1人で遊んでいるのよ、貴方 ﹁ナンデモナイデスヨー﹂ まぁ、見えてないビアンキには挙動不審だったろうけど さーて、基地の方で出番が来るまで家政夫がんばりますかー 225 ? ﹁いいからさっさと大人しくリングにくっついてダクトに入りやがれ ? ? 気 づ い た ら 基 地 攻 略 が 終 わ っ て ま し た。⋮ っ て ま だ 切るんじゃねえ それはツッ君たちを見送って数時間後のことだった 入江君が計画の真実︵この時、俺も知っていた事まで言われ、めっ ちゃ居心地悪かった︶が語られ、白蘭が通信してきて、ハイハイ中二 病乙、と内心冷めた目で見たりしてやり過ごし ︶ そういえば白蘭俺に何も言及してこなかったけど、も ふと、ある事に思い至る ︵⋮⋮アレッ しや気づいてない 勿論、ここで言う〟気づく〟とは、俺が逆行者であり他のパラレル ワールドにはいないことを指す。白蘭の性格的に、気づいてたら視線 寄越すなりなんなりしそうなんだけど⋮ ﹁この時代のボンゴレ十代目より君たちに託された、ボンゴレ匣だ﹂ 消えたようだ が︶辛辣な白蘭分析をしている間に、白蘭は言いたいことだけ言って どう足掻いても︵といっても実際はたいして足掻くつもりもない ⋮⋮↑ イスペックなせいで誰も止めることができなかっただけって言う 自分の好奇心とか優先して思うがままに行動するけど、 ︵無駄に︶ハ じゃん だってアレじゃん、白蘭ってナリはデカいけど中身はてんで子供 一切手は出さないからのんびり休むといい﹂ ﹁細かいことは10日後に発表するから楽しみにしててね♪それまで ? それに、大人ツッ君がおいてったボンゴレ匣も無事に渡ったみたい ﹂ だし後は│││ ﹁││││ 付く あれ、これってヴァリアーからの⋮ 226 !! ? ? と、そこまで考えたところでふと通信機の一つが光っているのに気 ! ﹂ わわっ、これはいけませ⋮﹁うぉおおい ﹁あのー、通信来てるみたいだけど ﹁え ﹂ひっ !! ? ザスたちも見てたんだっけ ﹁ヴァリアーから通信を繋げとの要請です れる恐れがありますが⋮﹂ ﹂ ﹂ もしかして白蘭、俺の死亡︵︶に気付いてヴァリアー ﹁いいから繋げぇ まてよ ! ? 手で耳を塞いだ。途端 生きてんだろーなぁ ﹂ ﹂ こうなっちまった以上、ボンゴレは一蓮托生だ。てめー らがガキだろーと⋮⋮でぇ ︵⋮じゃなくて 話題逸れすぎぃ ︶ !! ﹁てめっ ﹂ いかんいかん、思考が回り道どころか迷宮入りしていたよ ! の評価は常に不憫枠である、まる しかしそれを上回る暴虐無人なザンザスの下で働いてる以上、彼へ !!? ﹁いいかぁ のかと疑っていた時期が俺にもありました 正直、こんな煩い人に暗殺部隊の基本中の基本、隠密行動ができる おう、相変わらず素晴らしい肺活量で、 ﹁てめーらあ !!!??? と、そこで不意に超直感が強く警報を鳴らしたので、俺は素早く両 保護されてる、と勘違いを起こす可能性もなきにしはあらず のは載ってるはずだし⋮白蘭がその情報を掴んで、俺がヴァリアーに ボンゴレの正式な記録で、俺がザンザスと個人的な知り合いだって の方に何かアクション起こしてる可能性もなくはないか ん !! ミルフィオーレに盗聴さ あ、やっぱりヴァリアーだ。そーいや、さっきの白蘭の通信、ザン !? ? ? !! !! ﹁乳臭さはぬけたか﹂ それじゃ、ザンザスがツッ君との会話終わったら話かけ⋮ ﹁沢田綱吉﹂ な、うん 常性に気付いてるかどうかザンザスに確かめようって考えてたんだ 頭を軽く振って、思考をもとに戻す。えーっと、確か白蘭が俺の異 !!! 227 ? ? ピシッ 瞬間、聞こえた単語に︵今の俺が言われてるわけじゃ無いけど︶思 わず青筋が浮かぶ あーあー、そーいえばこんな事も言われてましたねぇええええ かなー はっはっはー、なーんか愉快な気持ちになってきちゃったなーなんで ???? ﹂ ? 今切ったらツッ君たちに君の恥ずかしい写真 ? た時だった ﹂ ﹁ザーンザースくーん 見せるかんなー ? ﹂ ? ﹁⋮⋮へ ﹂ ﹁あれ、いまの⋮幻聴⋮スか ﹁ハズカシイシャシン⋮ ? ﹂ る時みたいな︶ひろ兄が、衝撃の言葉を紡いだのは 何故か、無線機から酷く愉しそうな︵敢えて言うなら父さんをボコ ? 今切ったらツッ君たちに君の恥ずかしい写真 とにかくもう、色んなことがあって俺の頭が爆発しそうになってい 負けるなと言われて クアーロさんから通信が入ってザンザスに馬鹿にされたのと同時に 入江君から色んな新事実と共にボンゴレ匣を貰って、ヴァリアーのス それは、白蘭からの通信でまだまだ戦いが終わらないことを知り、 ツナSide *** 向こうのザンザスへと語りかけたのだった 俺はとてつもなくイイ笑顔を浮かべて、いっそ優しい声音で無線機 見せるかんなー ﹁ザーンザースくーん 早くしないと通信機壊すからなアイツ。てな訳で げ捨てツカツカと通信機の近くへ移動した 怒りに冷静さを失った俺は、つい数分前までのプランをぽいっと投 ろー よーし、とりあえず喧嘩売られたからその喧嘩倍額にして買ってや ﹁10日後にボンゴレが最強だと、証明してみせろ﹂ ? ? 228 !! ﹁⋮君って⋮⋮ザンザスのぉ ザンザスの ﹂ 何それ│││││ 恥ずかしい写 ﹂ ほ、ほら宙さんは いつから ﹂ ちょっ、ちょちょっ、ちょっと待ってぇえええええ 真 ﹁なんでひろ兄そんなもの持ってるの││││ ていうかそもそもザンザスと知り合いだったの ﹁こ、この十年の間で知り合った⋮とかですかね⋮ うん、きっとそう 成る程ぉ 俺 の代わりしてたんなら、暗殺部隊のボスと ボンゴレボス そうだよね 十代目の影武者をやられていたようですし⋮﹂ ﹁あ、そ、そっか あははははーっ 知り合っててもおかしくないよね !! ﹁⋮⋮テメーがそんなもの持ってるわけねーだろ﹂ ! じゃあザンザスにとっては14歳頃の赤面写真は恥ずかしい写 ﹂ 真じゃなかったんだ ﹁え !? !!? !!? !? ぱり現実は冷たかった !? それぶっちゃけ20年くらい前デスヨ 寧ろ待って。この十年どころかかなり前からのお知り合い ザスが俺と同い年の時って ! ⋮﹂ !! 童顔野郎 ﹂ ブッ飛ばすぞ ﹂ その前に証拠ごとテメェをカッ消してやるから首洗って待っ ﹁だーれが一生モノの童顔だこんの偏食児童 ﹁ハッ !!! !! ﹂ ﹁未だにミルフィオーレの雑魚も片付けられない人が何言ってんのー てろ !! ﹁テメェ今絶対無駄にいい笑顔でサムズアップしてんだろこの破滅的 ﹁ま、それならそれでツッ君たちに問題なく見せられるね ﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮ お い 待 て。テ メ ェ そ れ 以 上 一 言 も 喋 る ん じ ゃ ネ ザン 半ば以上現実逃避でやけくそになっていた俺たちだったけど、やっ かしい写真じゃ無かったんだー、そっかー﹂ あの時の写真もあるんだけど⋮それもザンザスにとっては別に恥ず ﹁ああ、それと十年前の無様に病院で寝転んでる時にイロイロやった ﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮は ? ? ! !!! 229 ! ? !? !? ! ! !! !!? !? ? !!? ハッキリと分かるようにな ﹂ ﹂ 十日後までにドカス含め ﹁ふ ざ け ん な チ ビ 扱 い す ん じ ゃ ね ー よ 強 面 馬 鹿 おーおーそれなら その小さすぎてよく見えねぇ背たけでも この俺が手こずる訳ねーだろうが 大口叩くならそれなりの成果を成し遂げてみやがれ ﹁ああ !!!! ﹂ ﹁言ったなカスが を賭けてもいいね ﹂ こっちはツッ君が無事白蘭から勝利をもぎ取れるってことに俺自身 !!! て全部カッ消してやる !! それなら俺がドカスをカッ消してテメェを小間使 ﹂ 俺が白蘭倒せなかったらひろ兄が ザンザスの小間使いになるとかやめて !!!! !!? これ以上責任背負えないよもぉおおおおおおおお !!? っていうかちょっと待ったぁ とザンザスの口喧嘩はどこまでもヒートアップしていった あんぐり、と開いた口が塞がらない状態の俺たちをよそに、ひろ兄 !!!! いにしてやる ! !! ﹁やれるもんならやってみやがれ !!! 俺はガンガンと頭痛のする頭を抱えてその場に崩れ落ちたのだっ た 230 !!! !!!!! !? ? 気づいたらボイコットが開始してました。⋮ふ、ファ イト それは、チョイスに向けて本格的な修行内容がディーノさんより ツッ君たちに言い渡されたその日の事だった ﹂ ﹂ ﹁バッチリ聞いちゃいましたね♪﹂ ﹁ドキドキしたね ﹂﹂ ﹁そりゃあ、よかったね ﹁﹁きゃっっ ? ! ﹂ い、一体いつから気づいて⋮ ﹁ひ、宙さん ﹁はひっ ! てて敢えて見逃してたんだろうけどさ でもハルたち悪戯とかじゃなくて⋮ ! か ﹂ ﹂ ﹂ こ の事を話すのは俺じゃなく、当事者のツッ君たちから直接聞きだして ﹁うーん、まぁ気にならないわけはないよねぇ⋮。でもゴメンね ハ 今の現状を、私たちにも教えてくれません ルたちだって一緒に戦えます ﹁もう、ハルたちだけが真実を知らないなんてうんざりなんです ! 必死にそういい募ってくる2人は、ちゃんと真剣ではある !! ! ? ﹁宙さんでもいいんです 予想通りというか前回通りというか そんなことを思いつつ、2人の意見を︵知ってるけど︶聞くと、まぁ です ﹁お兄ちゃんやツナ君たちが頑張ってること、私たちも手伝いたいん ﹁あ、あの ﹂ まぁ、リボーンたちはここまで来たら事情説明した方がいいと思っ ﹂ ﹁いや、結構君たちバレバレだったからね !? いだろ│けど、大人組は大体気付いてたよ ツッ君たちは気づいてな ﹂ まったくもー、行動力のある子たちだこと ん2人の頭上から声を掛けると悲鳴が上がる いかにも怪しんで下さい、と言わんばかりのスタイルをしたお嬢さ !? !? ? !! 231 !! !? ? !? ごらん ﹂ ﹂ ﹁そんな⋮ ﹁どうしてですか、宙さん ﹂ が、時に 命の危険に繋がること を想定してい 真剣ではあるけど、彼女たちはまだ事態の重さを分かっていない。 !? ! ? 知ってしまう事 ない " " ﹁え し ﹂ ﹂ ﹂ まぁ、不満げな顔を時々してたから、納得はしてないだろうなー、と ど う や ら 昼 間 の 言 葉 は 彼 女 た ち に 聞 き 届 け ら れ な か っ た よ う だ。 ︵⋮⋮あー⋮やっぱこうなったかー⋮⋮︶ ﹁共同生活をボイコットします ﹂ ﹁ツナさんたちが真実を話してくれるまでハルたちは家事をしません けどまぁ、誘導はあくまで一時しのぎにしかならないって言うか *** そう結論を出した俺は、一先ず2人の意識を誘導させることにした ﹁分かりました⋮﹂ ﹁⋮はい﹂ ﹁じゃ、そろそろ畑に行こうか これ以上は男の俺が言ったところで馬耳東風だろうしね うん、後はビアンキとか女性陣に任せようかな ﹁﹁⋮⋮﹂﹂ 苦笑しつつ、2人の頭をポンポンと撫でてクールダウンをさせる 頑なに秘密にしているのかその理由を考えてみることだね﹂ て何も意地悪で内緒にしているんじゃない。どうして彼らが、ああも ﹁隠されれば知りたくなるのが人情⋮というけどね。ツッ君たちだっ ﹁覚、悟⋮ですか ﹂ 真実を聞いて後、どうするかの覚悟がまだ備わってないからかな﹂ ﹁理由はいくつかあるけど⋮⋮そうだね、少なくとも今の君たちには ⋮まぁ、一般人の真っ当な反応なんてこんなもんだろうけど " ? !!! 232 " ? ? ! 思ってたけど 若 き 俺 ﹁家事と共同生活をボイコット││││ そっ、そんなぁ ﹂ !! そしてツッ君よ、ガンバレ。超ガンバレ。今日から数日はまともな !!? イヤー、家事スキルってマフィア関 飯にありつけなくなるぞ。修行もうまく行かない最悪な日々の幕開 俺は手伝わないのかって けだ ん ? なさを痛感しといた方がいいというか ? どおりで毎回母さんの料理美味しそうに食べるはずだよ ! じゃなくて ﹁ひ、ひろ兄 ﹂ ﹂ ひろ兄はどっち側 ﹂ おいていきやがったぞあのカテキョー 組は︵食事目当てで︶女子組に着いたらしい。うわぁ酷いな、俺の事 つらつらつら、と考え事をしている間に、リボーンたち一部の男子 ﹁お前たち狡いぞ ! !! ﹁修行しっかりね ﹁私たちも京子側につくわ﹂ 前回、知った時に思わずそう突っ込んだ俺は悪くない ね ないけど そりゃまあビアンキのせいで手造りの料理に恐怖を抱くのも無理 たときは開いた口塞がらなかったよ俺 てほしい。あの人、大学出るまで外食オンリーの食事してたって聞い あと個人的に獄寺君がまともな食生活を送れるように料理に慣れ 基本的に、自分の事を自分でするって当たり前だからね 係なく必須スキルだし。会得できるときに会得というか、自分のでき ? !? ﹁⋮確かに同じ男として、君たちが彼女たちを守りたい、巻き込みたく 苦笑で受け流しつつ、俺は率直な意見を言うことにした それら︵ぶっちゃけ、縋りつく目期待に満ちた目は全員がしてた︶を ﹁あー、そうだネー﹂ だ。止めよ 俺を熱い眼差しで見つめて⋮⋮うん、俺がゲシュタルト崩壊しそう そして残された側の俺同士。ミニ俺は縋りつくような目でビッグ ! 233 ! たし。⋮⋮でもねぇ ﹁だけど、今の君たちにそれを貫き通せると言えるのかな ﹂ ﹂ ? ﹁え、ちょ、ひろ兄待ってよ⋮ ﹂ いについてはツッ君の判断に任せるよ。それじゃ ! ﹂ ﹁⋮ま、これはあくまで俺の意見。この基地やミルフィオーレとの戦 いけど は︵悔しいことに︶実力があったんだ ⋮⋮⋮死んでも言ってやんな かったけど⋮⋮⋮でも、平穏な日々を母さんに送らせられるくらいに メチャクチャむかつくし、苛つくし、家でなんてダメ親父でしかな 敬度は壊滅した︶ までこれっぽっちも気づかなかったし︵ただし、息子から父親への尊 母さんにはホントに死ぬまで言わなかったし、俺もリボーンが来る フェクトだったんだよなぁ⋮︶ ︵⋮⋮ そ れ で い く と、認 め た く な い け ど 父 さ ん の ガ ー ド は ほ ぼ パ ー 握が出来ていない。見通しが甘すぎると言わざるを得ない でも、今この現状で。既に巻き込んでいる状況で言うには、現状把 それは正しい理想であるし、叶うなら素晴らしいことだろう 何も知らせないでこちらの懸念事項から全てを守り抜く││││ ﹁ひ、ひろ兄⋮ ばそれはただの絵空事だから、身の程は弁えようね﹂ ﹁理想や男としてのメンツがあるのは結構。でも、実力が伴わなけれ や驕りを斬り捨てる ニコニコニッコリ。笑いながらも、バッサリと彼らの内に在る甘え ﹁⋮⋮⋮え ﹂ 俺も〟そう〟だっ 十代目のお気持ちをよくお分かりで⋮ ない⋮って気持ちは理解できるよ﹂ ﹂ ﹂ 流石だな ﹁それじゃあ⋮ ﹁おお ﹂ ﹁ああ、それでこそ宙さんだ ! ! うん、もんのすごぉおおおおく理解は出来るよ ! ! ! ! 234 ? ? ? ! ﹁あぁっと、一つだけ言い忘れてた。ツッ君たち、どんな結論を出すも 君たち次第だけど│││││後悔だけはしないようにね﹂ 状況判断の遅さは、組織のボスとして致命的な欠点だ。優柔不断さ が原因で部下の命が失われる時だってある ︵⋮⋮リボーンは、これもツッ君俺の成長につながる試練としたんだ ろうなぁ⋮︶ 在りし日の師の意図を思いつつ、俺はツッ君たちの視界から逃れる ように早足で廊下を進んだ *** そして、ツッ君たちの気配が十分に遠ざかった後で ﹁⋮⋮⋮はぁあああ∼∼∼∼∼﹂ 盛大に、溜息をつく。そのままズルズルと壁に背を預けてもたれか かる あー、もう⋮ホント、情けない⋮ ﹂ 235 ﹁⋮⋮ツッ君たちに悪いことしちゃったなぁ⋮﹂ 間違ったことを言ったつもりはない。だけど、正しすぎる正論は時 として人を追いつめる。 ⋮⋮ただでさえ、追いつめられてる彼らにわざわざいうようなこと じゃ無かったのだ、本当は ﹁⋮はぁ⋮ヒッドイ自己嫌悪⋮﹂ 原因は分かっている。もうすぐ、全てに決着という気の緩みからあ れらの言葉が飛び出てしまった ﹁俺が言えた義理じゃないのに⋮﹂ それこそ、かつての沢田綱吉としても、宙としても⋮ 家庭教師君いつの間に うっかり気配探るの忘れてたよ リ ﹁それは、お前がこの時代で死亡扱いにされてたことと関係あんのか ﹂ ﹁うわっ ってビックリした││││ ボーン居たのに気付かなかったよ ⋮あー、 !? ﹁いーから俺の質問に答えやがれ﹂ ﹁言いつつ銃口をこちらに向けないでくれると嬉しいかな ! !? !! !! ! ? まぁ、その通りだよ⋮﹂ 昔懐かしいやり取りをしつつ、観念してリボーンの問いを肯定する そう、同じ道を辿った人間としてだけじゃなく。宙としてだって、 俺はツッ君たちに偉そうなこと言えるわけじゃ無いんだ、本当は ﹁〟ボンゴレボスの叔父は死んだ扱いの方が都合よかった。〟⋮⋮で もそれは、生きてればデメリットしかなかったことでもあったからね ⋮﹂ 俺は確かに戦闘面で言えば強い方だろう。ちょっとやそっとのト ラブルなら自力で対処できる でも、誰か、大事な人を守るという話になった時。しがない一般人 でしかない俺は、残念ながら無力だった 大手を振って使える公の権力はない。それは自分で望んだ人生の 結果だけど、今回のようなケースの場合には最悪の悪手となる オメーは ? 早だからだよ。それにイチオー俺は死人扱いだし ﹂ じゃねーからな。言いたくねーなら深くは聞かねーぞ☆﹂ ﹁こ ん な 死 人 が 居 て た ま る か っ て ん だ ぞ。⋮⋮ け ど、オ メ ー は 馬 鹿 ? 236 ﹁時々ね、考えるんだ。俺がもっと早くに、こちらの世界へ入る覚悟を 持っていたら│││こんな未来はなかったかもしれないって﹂ 一般人であることを止めて。あれほど焦がれていた平穏を手放し て。一度入ったら、一生⋮戻れないと分かっていても大事な存在を守 る為に一歩を踏み出していれば│││ ﹁⋮⋮この未来になったのは、お前のせいなんかじゃないぞ﹂ ﹁分かってる、事の元凶は白蘭だ。⋮⋮だけど、守りたいと決めた相手 がいなくなっていくのを見るだけなのはどうにも歯がゆくてさ﹂ どうしても、突きつけられる。一般人であることの無力さが、知り ボンゴレボスとしての 合いが喪われていくたびに、〟俺は選択肢を間違えたんじゃないのか ﹂ ? ﹁皆それ聞くねぇ⋮。ま、でも一番の理由はまだ俺が動くには時期尚 今のツナ達と一緒に戦う力ぐれーはあるはずだろ ﹁⋮⋮だが、それなら何故事ここに至っても動かないんだ 〟ともう一人の俺が耳打ちしてきて不安に駆られるのだ ? こりゃモテるわけだ∼﹂ ﹁わぉ、家庭教師君に褒められるなんて嬉しいねぇ。ていうかイッケ メーン ﹁俺は最強のヒットマンだが、それだけの男じゃねーからな﹂ ﹁凄い凄い。その調子でツッ君たちの事頼んだよ∼﹂ と、そこまで自嘲したところで。いい加減意識を切り替えて会話を 打ち切る うっわー、久しぶりに愚痴言ったわー。ていうかホント、今も昔も リボーンにはかなわないなー 俺は内心でそう思いつつ、リボーンと暫く軽口を叩きあったのだっ た 237 ! 気 づ い た ら 暗 躍 し て ま し た。⋮ 仕 込 み は 上 々 っ て ね それは、ビアンキから京子ちゃんが買い物に行くから念のため、護 衛としてついていってほしいと言われたことがきっかけだった ︵ツッ君たちの修行も絶不調ここに極まれり、て感じだし⋮⋮⋮そろ そろ動き時かなぁ︶ 確か前回、俺が京子ちゃんにこっちの世界の事を話した日にアホ白 蘭からの通信があったはずだし。 流石に十数年前どころか、60年弱前のことだと記憶も朧げなんだ よなぁ⋮。お爺ちゃんに若人と同じ記憶力は期待しないで、ホント。 じゃなくて ︵んー⋮ま、これで大分今後の目処はたったかな︶ とりあえず、今日から十日後を目安にすればいいだろう ﹁でも、よかったです⋮。ビアンキさんに大丈夫って言われても、やっ ぱり一人で外に行くのはちょっと怖かったんで⋮﹂ ﹁この程度、お安いご用だよ﹂ あ、勿論ビアンキの頼みは快く了承しましたよー 念には念を入れるって大事なことだし。ぶっちゃけ、俺というイレ 無事 ﹂ ギュラーのせいで襲撃が一つ二つ増える可能性もありえる訳だし ﹁京子ちゃん !? え、なんで 方から焦った様子のツッ君が登場 ﹁ってアレっ、ひろ兄 ﹁その憐れんだ視線ストップひろ兄 ﹂ ﹂ ﹁ツッ君⋮ビアンキに騙されちゃったんだね⋮﹂ そして混乱した様子にすぐさまピンとくる訳で !? !! 九州ではさ ここ並盛だけど イヤイヤそんなー、憐れんだ視線なんてしてナイヨ れるは男の度量って言うじゃん ? !? ! ﹁さて、それじゃツッ君も来たことだし俺はここでお暇しよっかな﹂ ? 女に振り回さ なんて、内心は隠して和やかに京子ちゃんとお喋りをしていると後 ! 238 !! ﹂ ツッ君﹂ そんな軽口を叩きつつそう言うと、キョトンとした2人のリアク ションが返ってくる え、え、エスコートって⋮ ﹁んじゃ、京子ちゃんのエスコートは任せたよ ﹁なぁっ ? 置いてきちゃったもんだし 閑話休題 ﹂ ﹁京子ちゃんに話があるんだろう ﹁ひろ兄、分かって⋮ ﹂ だけど羨ましいねー、この初々しい反応。俺がはるか昔にどこぞへ やだなー、そんなツッ君が考えてるような深い意味はないよ !? こないだの忠告ありがとう ﹂ 今、妙にザンザスの声で﹁だからテメェも狸なん ﹂的な台詞が聞こえたやうな ﹁あっ、うん⋮ひろ兄 ﹁⋮ふふっ、どういたしまして﹂ ! ﹁ま、そんな訳で俺はここで失礼するね∼﹂ だ あれ、何故だろ とぐだっぐだなことを考える 苦笑を浮かべつつ、まぁ俺の経験そのまんまとかは言えないしー、 ﹁ツッ君の叔父歴も長いしねぇ﹂ ! ? ? ? たちに軽く手を振り、俺はその場を後にした *** で、それが大体30分前のこと チリン⋮ ﹁あ、炎真君こっちこっちー﹂ ﹁こうして直接会うのは久しぶりですね、宙兄さん﹂ ﹁⋮⋮相変わらず堅苦しいねー、もう﹂ 只今俺は、数年ぶりに炎真とファミレスで会っていた。まぁ、情勢 が危うくなってからシモンは島に引きこもってもらってたし、俺も公 には死んでることになってたしなー それは兎も角 ﹁あとね、俺もう四十路だからいい加減兄呼びは勘弁してほしいんだ 239 ? !? まぁそれは置いといて。尊敬と感謝の目で見送ってくれるツッ君 !! !! けどな ﹂ ﹁炎真君、駆け引き上手くなりすぎぃ ﹂ なんて言うとでも思っ あ く ま で 要 求 を 呑 ん で も 考 え る だ け な ん だ ね これで今後のシモンも安泰だー シモンは必要以上にこの戦いに関わらないで欲しいっ あと敬語、単純に俺への嫌がらせでしょ しょ実際 た ﹁言ったよね ﹂ ! !! ﹁ちょっとー それどういう意味ー ﹂ 確かにどのパラレルワールドでも大地属性は発見 されてないだろうから不意を突けば大打撃間違いなしだけど ダメだからね !? て全世界のマフィアから狙われるよ ﹁あーちゃんも育児にひと段落したばかりなんでしょ ? !? 通り電話ですませばいいはずだから⋮﹂ ﹁⋮だと、思ってました。彼女の様子を知るだけなら、それこそ今まで ﹁今日来てもらったのはちょっとしたお願いがあったからなんだ﹂ り替える なんて、ちょっぴり世界の謎に︵内心で︶遠い目をしつつ話題を切 ﹁はい﹂ ﹁さて、それじゃそろそろ本題に入ろうか﹂ かシモン全体が俺クラスタになりつつあるんだよネー、不思議だネー イヤ結構マジで。なんだかね、長年シモンの保護者やってたら何故 ﹁うん、分かってくれて嬉しいよ﹂ 険にさらす訳にはいかないから﹂ ﹁⋮⋮分かってます。僕もボスだから、ファミリーを軽率な判断で危 させちゃ駄目だよ﹂ だったら無理 そしたら逆にM=ミルフィオーレを容易く倒せるファミリーとし ! !? !? な人だと知っているからこそ、居ても立っても居られないんだ﹂ ﹁忘れてませんよ。でも、貴方恩人が危険に自ら飛び込みに行くよう て ! ! !! 止める気ゼロで ﹁今からでも参戦して、Mを潰していいなら考えます﹂ ? うーん、話が早くて助かるなぁ 240 ? !? ! ﹁因みに彼女の様子はどう ﹂ ﹁変わらないです。ずっと眠ってます﹂ ﹁そっか⋮。これも厄介なお願いだったのに悪いね﹂ 十年前のツッ君若い頃の俺と違って、今目の前にいる炎真は、ボス として酸いも甘いも噛み分けてきた大人だ。だからこそ、話し合いの 内容も前もって予測がある程度されていて、会話のテンポよく話が進 むのでとても楽である ﹂ ﹁気にしないで。ファミリーを疎かにしない内容なら、宙兄さんのお 願い事は叶えてみせるから﹂ ﹁やだどうしよう、教え子が物凄く男前に育ってる⋮ ﹂ 俺の立場がこの上なく低 ? ! ﹁茶化すならアーデルの子供たちにも宙兄さん呼び定着させるよ ﹁すみません調子ノリマシタ﹂ ﹂ あれ、上下関係いつの間に下克上された いぜ、解せぬ ﹁それで、今回のお願いって何なの ﹁ああ、そうだった﹂ ? てあげてほしいんだ﹂ ﹁⋮⋮この子って確か、現・大空のアルコバレーノ⋮⋮だよね ? てきた ﹁救出するのはいいけど⋮⋮移動って言うのは ﹂ そして一枚のユニの写真を炎真に提示すると、訝し気な反応が返っ ﹁流石に知ってるかー﹂ ﹂ ﹁実は十日後。この子の救出、及び彼女の望む場所への移動を手伝っ 葉に相槌を打つ 年上のメンツまるで無しな現状に内心真顔になりつつも、炎真の言 ? へ乗り込んでくると思うんだ﹂ なんでそんなジト目で俺を見るのかなー 敵地に潜入する危険なもの ? ﹁⋮⋮なんだかどこかの誰かを彷彿させるような子だね⋮﹂ あのー炎真さーん ﹁彼女は幼いながらも大空の姫だからね。確実にMを止める為に敵地 ? 241 ? ﹁エート⋮勿論、ただでとは言わないよ ? ? ﹂ だし⋮⋮報酬前払いとして、こっちは初代シモン・コザァートの血・ 一体どうやって⋮ 〟罪〟を渡そう﹂ ﹁それ⋮ !? ﹁どう ﹂ ? ﹂ ? その間は気を付けてね∼﹂ ﹁⋮あの、それってかなりギリギリになるんじゃ⋮﹂ ﹂ ﹁因みにソレ、リングにかけてから10日くらいで馴染む仕様だから そう思考つつ、炎真に罪を渡しておく ﹁うん、よろしく炎真君﹂ もらいます﹂ ﹁⋮⋮そうだね。僕たちはともかく、子供たちの為にも受け取らせて ているのは、俺が頼んでいるから、という一点に尽きる 恩人 けど、ボンゴレの為に動くことは絶対ないだろう。今回動いてくれ ない まりを抱いているものの、積極的に関わって害そうとまでは考えてい この未来の炎真たちシモンは、やはり過去の事でボンゴレにわだか 性格じゃないし︶ ︵⋮それに、炎真たちは大きな力を手にしたからって己惚れるような た方がいいと思うしね ファミリーだけども。それでもレベルアップは出来る時にしておい ぶっちゃけ、炎真たちってリングない方が炎の扱い上手い異色の いいだろう ﹁今後のマフィア界勢力図に自衛するための力は、持っておいた方が く、宙兄さんは僕たちに甘いよね﹂ ﹁⋮悪くないどころじゃ無いね。寧ろ僕たちにばかり利がある⋮。全 悪くない取引でしょ か思い浮かばなかったってのもあって大分前から用意してたんだよ まぁ、炎真たちに何かお礼をしたいなって思ったら、これくらいし ﹁そこは企業秘密という事で♪﹂ はっはっはー、ツッ君の影武者やってた時にちょっとねー ! ﹁いや、無理して10日後にモノにしなくても大丈夫だからね ? 242 ? ﹁そう言われたらやってやろうじゃないですか。絶対間に合わせます ﹂ から宙兄さんは安心して待っていて下さい﹂ ﹁炎真君が男前に育ってて辛いセカンド これでユニの護衛の方は大丈夫かな ﹁おや、来たのか﹂ ﹁ごめんくださーい、川平さんいますかー ﹂ 後にした俺は、もう一人の根回し相手への家へとやってきていた そんで、それから2時間後。炎真と別れを惜しみつつファミレスを *** 俺は久方ぶりの炎真との談笑を楽しみながら、ほっと息をついた !! ﹂ 必要なのがある一定量以上の大空属性の炎だったんだよね。でも、現 ああ、あとどうして仮死状態にしてるかって言うと、起こすために んじゃったし。そこら辺は上手く行かなかったな、ホント それでも大空のおしゃぶりは次のアルコバレーノとしてユニを選 ﹁ははは、上手く行くかどうかは半分以上賭けだったんですけどね﹂ 無いアイディアだよ﹂ 性の炎を注ぐことで生きながらえさせるとは⋮今思っても突拍子の ﹁全く⋮役目を終え、命の尽きた元アルコバレーノに長期間、相手の属 が炎真たちの住むシモン島っていうね そして察しのいい人ならもう分かってると思うけど、その保管場所 すハイ よりチェッカーフェイスの協力を得て一時的な仮死にしてる状態で と思ってるけど、前々からこの時代のヴェルデやリボーン、そして何 うん、実はアリア生きてます。ユニとかジッリョネロとかは死んだ 因みにここでいう彼女とは、ぶっちゃけるとアリアのことだ ように仮死状態から復活させればいいかと﹂ ﹁問題ないらしいです。後は、アルコバレーノが生き返った後に、同じ ﹁彼女の調子はどうかね 様である。ついでに言うと、俺の暗躍の共犯者というか そう、言わずと知れたトゥリニセッテの番人・チェッカーフェイス ? 状はそれだけの実力者を一堂に集めることすら困難だったし、白蘭の 243 ? 監視もあったし 因みに遠隔地に炎を送る手段はヴェルデ博士によるメカで解決し てましたです、ハイ ﹁はぁ⋮それにしても、いくら逆行者とはいえ、よくもまぁこれだけ好 き勝手するものだ﹂ ﹁根が欲張りなんですよ。なにせ、元マフィアのボスだったもので﹂ あ、そうそう。言い忘れてたけどチェッカーフェイスは俺が逆行者 であることを︵歴代ボンゴレボス以外で︶知っている人だ イヤー、まさか一目見ただけで見破られるとは。生粋の地球人や べぇー ま、事情を知っているからこそ、将来的に人柱を必要としない新し いおしゃぶりの仕組みについて取引したらアッサリ協力を得ること になって結果オーライだったわけだけど ⋮⋮今思い返してみても、結構最強な布陣というか、協力メンバー いでしょう ﹂ 遭わせたくはない﹂ 244 の実力が大変凄いことになっているというか ︵欲を言えば、アルコバレーノが死ぬ前に復讐者とも協力体制を作っ ておしゃぶりの世代交代を済ませちゃえればよかったんだけど⋮︶ そうすれば、トゥリニセッテを集める為に白蘭たちミルフィオーレ は復讐者とバトルすることになり、確実に返り討ちにされただろーし ⋮それもこれも、俺が一般人であることに拘ってないでさっさと動 いておけば叶ったもしもの話なんだけどさ ﹂ ﹁それはさておき。実は十日後、こちらにお邪魔させてもらってもい いですか じゃ無いからねー ? ﹁川平さんだって、唯一の同朋の子孫が無残に殺されるのは見たくな ﹁フッ⋮巻き込むの間違いだろう ﹂ そんなことを考えつつ、本題を斬りだす。世間話をしに来たわけ ? ﹁確かに。必要ならともかく、セピラの子孫を無駄にそのような目に ? ﹁別にミルフィオーレと表だって敵対しろ、てことじゃ無いですよ ? ユニに甘いチェッカーフェイ 少々の時間稼ぎをしていただければそれで﹂ 唸れ、ボス時代に培った俺の交渉術 スならイケるイケる ! さ﹂ ﹁ありがとうございます﹂ 最強の鉾盾・チェッカーフェイスGET !! めた 俺はチェッカーフェイスの承諾の言葉に、内心でガッツポーズを決 うおっし ﹁まぁいいだろう。あの子も不憫な子だしね。多少の助力は惜しまん ! さーて、見てろよ白蘭。お前の未来予想図を悉く覆してやるぜ 245 ! 皆から厚い信頼を受けて涙がちょちょ切れそうに 気 づ い た ら 色 々 と 打 ち の め さ れ て ま し た。⋮ あ れ ー ち ゃ お っ す なってるひー君だよっ☆ あれから記憶通り白蘭から連絡があって、根回 ︵イヤー、もう、ね⋮⋮あまりの現実に胸が痛いぜ︶ 何があったかって ! る ﹃あ ﹄ ひろ兄 ? ﹄ 極限に京子たちを頼むぞぉおお ﹃宙さんが来てくれれば安心して任せられるのな ﹃うぉおおお ツッ君たちからは必至にお願いされ からな﹄ ﹃ま、ザンザス相手に啖呵きれる宙さんなら大丈夫ですって 僕一人じゃ無理なんで絶対についてきてくださいね ! ﹄ テメェ一人だけ楽しようなんて思うんじゃねえぞお !? 教師組からは脅されたり根拠のない信頼が寄せられたり ﹃宙さん ﹃う゛ぉおおい ﹄ 宙さんも行くんですか ﹄ ? ﹃⋮メローネ基地の時に行かなかったから⋮今回もそうなのかと⋮﹄ ﹃す、すみません⋮ツナ君たちが行かないって言ってたので⋮﹄ ﹃はひっ ﹄ ﹃またこの基地を守るとか言って敵前逃亡するなら俺がトドメを刺す ﹄ !!! ﹄ 京子ちゃん達も来ることになったから今度は来てくれ てたんだよね、最初から。なのにさ それでも、一応念のためにチョイスにはついていこうって張り切っ は し万端、準備OK、いつでも来いやー って内心思ってたんだよ、俺 ? ﹃宙さん俺からもお願いします ! ! ﹃おい宙、今度は逃げんじゃねーぞ☆﹄ ! ! !? ! あとは逆切れされたり、八つ当たりされたり ! ! ? 246 ! !? !!! 無垢な目で心から驚かれたりもしたなー ︵⋮⋮ハッハッハー︶ ﹂と言われたんだよねー ⋮⋮と、まぁこんな感じで。満場一致で仲間全員に﹁宙︵兄/さん︶ 行く気だったの 不思議ダナー ある意味ここまで仲間に厚く︵戦わないスタンスだ 今までの一般人偽装が上手く行った証だね と︶信頼されてる人もいないよ、きっと やったねひー君 ! ドゴォオオオオオオン 勝手に喋って なーんてグダグタ考えていると、いつの間にか巨大な入道雲が好き ﹁こうしちゃうかもね♪﹂ ⋮⋮あまりの現実に、目から透明な汁が零れそー ! こいつ、雲雀さんの前で⋮⋮自殺願望者か ? 気づく メール このタイミングで つい、遠い目になっていると炎真たち用のスマホがバイブするのに ︵⋮時の流れは無情だなーぁ︶ ちゃうなんてネー。知ってたけども いやぁ⋮⋮昔はあんなに無表情なガキだったのに⋮こんな成長し ﹁確かに、世界を恐怖で支配する素質ありってとこだな﹂ よ うわぁあああああ⋮⋮ ﹁おっと、ゴメンゴメン。顔がすべっちゃった♪﹂ ⋮ウインク1つで並盛山を吹っ飛ばしやがりました !!!!! ! は終わったか 相変わらず仕事が早いなー、と思いつつ、素早くメールの内容を頭 に叩き込んですぐに仕舞う あ、因みに俺もツッ君たち同様マフィアらしく黒スーツ着てます。 247 ? !? チラリ、と時間を確認して納得する。⋮成る程ね、もうユニの救出 ? 着るときにランボたちと影武者ごっこやってたらツッ君に怒られ ちゃったけどね。遺憾の意。 ﹁じゃあ行こう﹂ あ、いつの間にか移動時間のようだ。ぼーっ、とそんな事を考えて る間に俺たちは光に包まれたのだった、まる ︵⋮⋮に、しても⋮﹁無理に勝たないで下さいね﹂⋮⋮かぁ︶ はてさて、ユニは一体何を予知したのやら *** ﹁やっ♪ようこそ、チョイス会場へ﹂ ﹂ そうこうしている間にチョイス会場へ到着してたわ、うん ﹁超高層ビル群のど真ん中 人思考を進める だってそうだろう 流石に細部までは覚えてないけど、俺たちボン ﹁次のチョイスを始めなきゃ﹂ そうでなければ、ユニのあの言葉はおかしい ︵⋮⋮このチョイス、記憶通りにならないかもしれない︶ に引っかかるというか│││││ いや、だってね このタイミングでユニからの忠告が来ることが妙 予想以上のチョイス会場に驚くツッ君たちの声をしり目に、俺は一 !? ものすっごーく超直感が警報を鳴らし ? !? を纏った音が耳朶を打つ コレ、けっこーヤバくない !!?? ﹁これできまったからね、チョイス参加者♪﹂ え⋮⋮⋮待って待って待ってぇ と、そこで。軽い音にも拘らず地獄からの死者の足音のような響き カチャーンッ てる気がするのはー ⋮⋮なーんでだろーなー るようなメンバーになるかもしれないってことで⋮︶ ︵それはつまり⋮⋮こちら側ボンゴレが︵前回と比べて︶過剰戦力にな はずだ 起こるなら、 ﹁無理をすれば勝てる﹂という意味の言葉を送ってこない ゴレはチョイスで一度負けていた。そしてその記憶通りの出来事が ? ? 248 ? ﹁そうか⋮ 各属性の参加人数 ﹂ !! ツッ君たちが出ればいいんだから︶ だけど、これは ︶ ︵ボンゴレの無属性参加人数が3⋮⋮ も一人足りない⋮ !? 勿論、京子ちゃん達は問答無用で却下だ│││││じゃあ誰がいる ! 入江君とスパナが出るにして ︵ボンゴレの参加人数が大空1、雨1、嵐1⋮⋮なのはいい。予定通り 揺は綺麗に押し隠すけどさポーカーフェイスで。じゃなくて 視界に移るソレに、俺は思わず愕然とする。いやまぁ、勿論その動 ! ジャンニーニは戦闘タイプじゃない。そしてそれはフゥ太も同じ。 ビアンキは京子ちゃん達の傍にいてほしいし、リボーンは戦える状態 ﹂ じ ゃ な い。デ ィ ー ノ さ ん や ス ク ア ー ロ は リ ン グ が あ る か ら 却 下。 ⋮⋮まぁ、これは ﹁白蘭サン⋮リングを持たない僕は無属性でいいですよね さんが適任だ﹂ ﹁嫌な予感命中したぁあああああああ ﹂ ﹂ ちょっと待って本気で待って死ぬ気で待って ひろ兄を 待って ﹁えっ ﹂ ﹂ ﹂ いくらなんでも俺 入江君俺のこと殺したいの ﹁けど待ってくれよ、宙さんも非戦闘員じゃ ﹁全くもってその通りだよね イヤイヤイヤ無理無理無理なにその無茶ぶり に対処できる範囲を超えてるよね ﹁大空は綱吉君、嵐は獄寺君、雨は山本君。⋮無属性は僕とスパナ、宙 と、なるとぉ⋮⋮ ﹁だったら綱吉君、僕らのメンバーは決まったよ﹂ じゃない彼らがどこまでチョイス参加を許されるか 入江君と同じ方法を使えば解決するけど⋮⋮さて、純粋なボンゴレ ! !!? !!? !!!!! じゃあまさか貴方、京子たちにでろって言うの !!? だからそのポイズンしたクッキング下ろして !!!! ﹁なによ ﹂ ﹁滅相もゴザイマセン くれるかな !!? !? !? ! ? ! !? !? ! 249 ? 味方に殺されるー ヘルプーっっ 炎真ー ユニー アリア│ ! 誰でもいいから ! そのエベレスト級に高いハードルは何がどうなってそう ﹂ そしてリアル6弔花相手に本当にそんな事出来 炎真の必殺技より重いよ !! チャ要らない ﹂ し ま っ た ぁ あ あ あ あ あ じゃ無かったぁああああ なんたって宙は20 そのフォロー要らない ﹂ メチャク あぁあっ、くそっ じゃあひろ兄、頼んでもいい⋮ ﹁そしてトドメのツッ君からの掌クルー ? 叔父と !!? で戦うって 自殺願望者は白蘭じゃ無くて俺だったのかー ﹂ 力なし、そもそも武器自体がないっていうナイナイ尽くしのこの状況 ! だってリングなし、匣なし、機動 しての本能で縋りつかれたら断れないじゃんかぁあああああああ !? ﹁あ、それもそっか ! ザンザスと知り合いってことバラすん ﹁っ て 家 庭 教 師 君 ん ん ん ん ん ん 年前からザンザスを相手に生き残ってる猛者だからな☆﹂ ﹁ま、入江の言うことも一理あるんじゃねーか 期待が重いよ ちゃったら俺もう人間じゃないと思うんだけど なったのかな ﹁入 江 君 実力者だからね。きっとどれだけ不利な状況でも無傷だろう﹂ ﹁大丈夫だ、綱吉君。宙さんはボンゴレボスの影武者をやれるほどの ! !!? 君の言う通り俺って危険に自ら飛び込むおバカ ︶ ツッ君=俺であんま意味ないしー ツ ッ 君 の 捨 て ら れ た 子 犬 の よ ー な 目 が 悪 い、と 責 任 転 嫁 す る も、 さんみたいだった ! ! ︵⋮⋮ごめん、炎真 れたに等しい俺には最早どーでもいいが 間に、白蘭の方もつらつらと何かを喋っていたようだ。死刑宣告出さ 頭抱えて隅っこで丸くなりたい、とか割りとダメな思考をしている 梗、ザクロ、トリカブト、デイジー、猿でいくよ♪﹂ ﹁ははっ、そっちはどうやら決まったみたいだね。因みにこっちは桔 あっれー !? ! 250 ! ! !!! !!! !! 見事なまでの死亡フラグだけど !!!!! ! ! !! ? !? ! ﹁僕が今一番欲しいもの、トゥリニセッテだよ﹂ ま、何はともあれお前白蘭の思い通りにはさせないけどな 浮かべてやった *** ⋮⋮とまぁ、いくら白蘭に対し負けねーぞ ところで現実はいつだって無情だよね と意気込みを燃やした 俺はそれまでの自虐思考をすぐさま切り替え、内心で不敵な笑みを ? う﹂ 入江君、マジで俺のこと嫌ってない くしだし 苛めにしても酷すぎるよね ﹂ 俺たちこそひろ兄がこーゆーの苦手だって知ってるの ﹁だから、足手まといかもしれないけどごめんね ﹂ うん、本気で俺死なないように頑張んねーとやべーわ。ナイナイ尽 ることに頑張るし﹂ 方ないって。でもまぁ、俺はこの通り戦えそうにないから精々生き残 ﹁⋮⋮気にしなくていいよ、ツッ君。他に人がいなかったんだから仕 ﹁あ、えと、ひろ兄⋮ごめん、その、俺⋮﹂ と肩を落とす俺 社会に出て数十年、今までにない世間の荒波を感じながらガックリ ? ﹁こ れ 以 上 な い く ら い 簡 潔 明 瞭 に 最 低 最 悪 な 絶 望 の 言 葉 を あ り が と ﹁すみません宙さん。ありません﹂ ﹁入江君、機動力をプラスするものかせめて武器が欲しいな﹂ ! ﹂ ﹁3分たちました。それでは、チョイスバトルスタートです﹂ え うーあー。ツッ君にはああ言ったけど正直行きたくねぇええええ ﹁⋮⋮うんっ ルがガンガン 苦笑しながらツッ君の頭を撫でるが、内心では超直感の危険シグナ ﹁じゃ、おあいこってことで手打ちにしとこうか﹂ に巻き込んじゃって⋮本当にゴメン ﹁う、ううん ? 251 ? !! ! ! ﹂ なんてうだうだしている間に始まっちまったし ﹁沢田機、獄寺機、山本機、進路クリア。発進 ツッ君たちがバイクに乗っていくのを見届けながら、さて俺はどう するかと考える ︵⋮⋮待ってればどうせ敵はここに来る。それを迎撃すればいい⋮と は思うけど⋮︶ 基本的に、俺は近接戦が主なスタイルだ。武器もない状況じゃ、尚 更 ︵⋮⋮それに、零地点突破を使えること以前に、炎を出せることすらバ レたくないんだよねぇ︶ リングがあったら、今まで出してなかっただけ│││で︵後でラル 辺りに折檻される未来はあれど︶問題なく使える。だけど、リングな しで炎が扱えるのは現時点でも一握りの人間だけ その一握りに、入るのはまだマズイ。だから現時点では︵少なくと も大多数に見破られないように︶炎なしで│││戦わなくちゃいけな いわけで 無理ゲーにも程があるーぅ あ、はぁ構いませんけど⋮⋮って宙さん何処に行く気ですか ﹁はぁ∼。入江君、ちょっとマイクとその他諸々貰ってっていいかな ﹂ ﹁エッ ﹂ え だって俺リングもっ 炎も出してなければ敵に気付かれる要因ないもーん ステルス機能つけなくていいのかって てないし なるさー そんな緩い感じで俺は気楽に敵陣へと向かい始めた *** で、その途中。案の定というか当然の帰結というか、まぁ見つかっ たわけで 252 !! ? 一応、入江君と連絡取れるように通信機は持ってきたし、なんとか ? ? そう言いつつ、基地を出て悠然と勘の進むままに歩き始める ﹁ちょっと囮をね﹂ !? ? !? ﹁バーロー、みすみす行かせっかよぉ﹂ ﹁リングなし匣なし武器なしの一般人相手にそう好戦的にならないで ほしいんだけどねぇ﹂ 堂々と大通り歩いてたらザクロに見つかっちゃったぜいえーい ﹁おいおい、この時代のボンゴレボスにそっくりなあんたが一般人だ なんて悪いジョークだぜ﹂ あんたが噂の影武者か ﹂ ﹁そりゃま、血縁関係はあるから似ててもおかしくないっしょ﹂ ﹁そんで ﹁ご想像にお任せするよ﹂ ﹂ ﹁良い子の皆は今すぐ耳を塞いでねー ﹁は 先生との約束だよ ! ﹂ そんでついでに道路に落ちてきたガラス片を手に取り、一言 テップをして相手の放った死ぬ気弾を回避する 超直感が警報を鳴らすまでもなく、避けれるけどな。軽くバッグス ﹁死んどけよ﹂ あ、やべ。戦闘態勢に入りやがった。とはいえ ﹁あ∼あ、ダリーなぁ⋮まぁ、とりあえず﹂ ど⋮ なんて、適当にくっちゃべりつつ時間稼ぎをしようと試みる訳だけ ? !! は真っ直ぐと相手を見据え ﹂ 〟ガラス片〟と説きまして、〟爪とぎ〟と説きます ちょ、おい待てテメェ ﹂ ﹁さて は ﹁││ ギュギギィイイイイイイイイイ ﹁ぐあぁあああぁあああああああ ﹂ !!!!????!!!!! ﹂ この上ない笑顔でガラス片に向けて思いっきり爪を立てた ﹁正解者には〟不協和音〟と三半規管の苦しみをプレゼント ! !!! !? その心 れた表情になるが、勿論スルー。ちゃっかり通信機は切っておき、俺 俺がアッサリ避けたことを面白そうに見ていた相手が意表をつか ? 253 ? ! !? ? 因みに、入江君から貰ってきたマイクの音量はMAX。きっとこの 辺り一帯に、あの背筋が寒くなるような音が響き渡ったことだろうね ︶ ! ﹁ぎゃぁああああああ 耳が 耳がぁああああああ ! ﹂ !!!! ﹂ 慣れが ? こんな小細工でリアル6弔花を倒せるなんて勘違いす ギュギギギギギギギィイッ ﹁ハイ、不協和音もう一丁∼﹂ んじゃ⋮ッッ﹂ ! ﹂ ? ﹂ 今までのうっぷん晴らししてただけだろって ? 止めをしてで遊んでいたのだった ⋮⋮ え ヤ ダ そんなこんなで、俺はチョイス終了を言い渡されるまでザクロの足 ﹁教師舐めんなよ ま、これだけは言っとこうかな るってー えた肉体を持ってるけど、逆に言えばその鋭敏すぎる五感が弱点にな 俺知ってんだー。君らリアル6弔花は修羅開匣によって人間を超 つないよね、ホント 今度は耳元でやってみました。マイク最大音量って我ながらえげ ﹁うぎゃぁあああああああああああ !!!!! ﹁ぐ、ぐぅ⋮ 最早魂レベルに染みついてるんじゃないかな から自然と鍛えられててさ。⋮⋮⋮逆行しても変わらなかったから、 あと元々、 俺 って空を自由自在に飛び回ってする戦闘が多かった 沢田綱吉 黒板を爪で引っ掻くという暴挙も多いし﹂ ﹁だって慣れてるもーん。不良校教師生活じゃ、ヤンチャした馬鹿が あ ﹁なんでテメェは至近距離でアレ聴いてケロッとしてんだぁああああ ﹁目だったらムスカ大佐と呼ぼうか迷うとこだねぇ﹂ !! 戦闘に影響が出ないことを祈ろう。俺、無神論者だけど てたらマジでごめん ︵⋮⋮ツッ君たちや観戦者に影響でないようにはしたけど⋮⋮聞こえ ! ナー、ソンナコト微塵モアリマセンッテー ? 254 !? 気 づ い た ら 驚 き の 暴 露 話 に な っ た よ う で す。⋮ あ っ はっは あれから、記憶通りにボンゴレの負けという形でチョイスが終わっ てしまった。とはいっても、今回はユニからの指示でわざとそうした んだけどさ ﹁そ、君たちの負け♪僕の事こんなによく分かってるのに残念だった ね正チャン﹂ いや、ホントに後先考えずに行動するならチョイスで勝つまでもな く白蘭を暗殺するなりすればよかっただけだし まだ認知されてないであろう夜の炎や、炎真たちに協力を要請して ﹂ 大地の7属性をフル活用すれば余裕で勝てるからね ﹁僕はチョイスの再戦を希望する ﹂ 分はあるはずです﹂ ﹁ユニ⋮貴様⋮ あの子がミルフィオーレのもう一人のボス││││ ﹂ ﹁ミルフィオーレのブラックスペルのボスである私にも、決定権の半 と、そこまで考えたところで懐かしい気配に思考を止める ﹁私は反対です、白蘭﹂ ンゴレリングトゥリニセッテを渡すようなことがあってはいけない だからこそ時間稼ぎの為にも、ここでボンゴレが屈服し、白蘭にボ ﹁ミルフィオーレのボスとして、正式にお断り♪﹂ で多くの人々が生き返ることが出来る きことじゃ無いが、その狂ったバランスを正常に戻すための余剰効果 白蘭がトゥリニセッテを手中に収めようとしたことは許されるべ 生き返らせることは出来ない。 ただ、それをすれば白蘭を倒すことは出来ても犠牲となった人々を ﹁うーん⋮悪いけど、そんな話覚えてないなぁ﹂ ! うん、よかった。無事に来れたみたいだね、ユニ ﹁え││ !? ! 255 !! !? 沢田綱吉 な ん て 安 心 し て い る と、ツ ッ 君 が 思 い っ き り 叫 ん で い た。ま ぁ、 俺 同様マフィアのボスに見えないよねぇ この赤ん坊をおじ ﹁やはりお前のことだったんだな。デカくなったな、ユニ﹂ ていうかおじさま│││ ﹁はい、リボーンおじさま﹂ ﹂ ﹁リボーンの知り合い さまー ﹁うるせーぞ﹂ !? お父さん 父親 ! どういうことひろ !? やホント、数年ぶりだし ﹁⋮⋮っはぁあああ∼∼∼∼∼ ﹂ !!? 釣られて微笑みながら難なく受け止めたユニの頭を撫でる俺。い 嬉しいよ﹂ ﹁うん、久しぶりユニ。やっと顔色がよくなったようで父親としても あー、満面笑顔の娘が眩しいー ﹁お久しぶりです、お父さんっ﹂ は リボーンへの挨拶を済ませたユニが、勢いよく俺に抱きついてきたの なーんて、相変わらず不憫な甥っ子を内心憐れんでいた時だった。 ツッ君⋮雉も鳴かずば撃たれまいに⋮ いた ツッ君の指がグキッて音と共に曲がっちゃいけない方向に曲がって それに苦笑している間に、不用意な言動でリボーンの怒りを買った !? どしたの ﹂ ! 子供がいるって俺全然知らなかったんだけど ﹂ ﹁ひ ろ 兄 ど う い う 事 ﹁うん 律儀だね、ツッ君 ﹁あ、はじめまして⋮⋮じゃなくて ﹁はじめまして、ボンゴレの皆さん﹂ でもあるユニだよ﹂ ﹁あ、ツッ君たちにも紹介するね。俺の娘で現・大空のアルコバレーノ して突っ込みを入れたけども まぁ一拍後。会話の内容を理解したツッ君が、その場の全員を代表 兄ぃいいいいいい !!!??? !? ? 256 !? ? ﹂ ﹂ ﹁⋮⋮言って無かったっけ ﹂ !!? ! いよ ﹂ ﹁素直な良い子に育って叔父さん嬉しいなー﹂ !!! くても じゃ、じゃあもしかしてリボーンも知ってたの !? 因みにリボーンもめちゃくちゃ驚いていたようで。僅かに表情が ぞ﹂ ﹁父親が一般人とは聞いていたが、まさかヒロシだとは思わなかった ﹁ハッ ﹂ 酷いなー、もう。そんな、今の俺がまともじゃ無いみたいに言わな ﹁お願いだから十年前のまともなひろ兄に戻ってぇえええええ ﹂ ﹁う、うん⋮すぅー、はぁー、すぅー、すぅうううーって過呼吸で苦し てー、吸ってー、吸ってー、吸ってー﹂ ﹁は い は い ツ ッ 君 落 ち 着 い て。ほ ら 深 呼 吸 深 呼 吸、吸 っ て ー、吐 い 元が同じなだけあるね 流石ツッ君。一言一句違わず当時の俺と同じリアクションだぜ ﹁う、嘘ぉおおお││││││ その時の俺の気持ちを簡潔に述べよ ﹁ま、何はともあれ血縁上ツッ君の従姉妹ってことになるね☆﹂ いことに 俺が漸くそれを知ったの、アリアが死ぬ目前だったからね、情けな し⋮︶ ︵しかも、アリアもアリアで俺に一切知らせずに女手1つで育ててた が無茶だ だよ、マジで。おかげでヤった記憶すらなかったし⋮気づけという方 俺、ケッコー酒強いのに酔い潰されるって⋮どんだけ飲まされたん た結果だなんてさぁ⋮︶ ︵⋮言ーえないよねぇ⋮まさか、あの酔いつぶされた時にデキちゃっ 身も知らないだろうし だろうねぇ、教えた覚えないもん。それどころか、10年前の俺自 ﹂ ﹁言ってないし聞いてない ? !? ! 257 ! !? 変わった後、ニヤリと俺を見て笑ってきた うーわー、裏事情バレてる気がするのなんでだろー 嫌になるーぅ 察し良すぎて ね、ユニ﹂ いーじゃん、俺基本的には凡人として生きてる んだから。一般人枠でもモーマンタイモーマンタイ そこ、外野煩いよ ﹁ぜってぇ一般人じゃねーだろアイツはぁ⋮﹂ ﹁なんというか⋮いろいろ規格外な方ですね⋮﹂ ﹁⋮じ、ジッリョネロの先代ボスと夫婦で〟まだ〟一般人なのかよ⋮﹂ いないようなのでしらばっくれるけど 若干リボーンの鋭さに憂鬱になりつつも、それ以外には気づかれて ﹁はい。母も私も特に口にすることはなかったので⋮﹂ ﹁多分、本当に俺たち家族しか知らなかったと思うよ ? ? ﹂ ﹁さて、白蘭。どうせ君はユニの言葉があったとしても入江君の再戦 ﹂ を引き受ける気はないんだろう ﹁お、話を戻す気になった ? ﹁あんまり待たせるのも悪いかと思ってね﹂ ? や、超直感がさ、とある南国果実の気配を察 そんなことを思いつつ、話を進める為に白蘭たちの方へと視線を向 なんで今かって ける え ? ﹁へぇ、貴方がそんなことを気にする殊勝な性格をしてるとは思わな かったよ﹂ ﹂ ﹁誰だって初対面の人間の全てを分かるなんて不可能なんだから、予 想が外れても仕方ないんじゃないかな 君はあくま ? さ﹂ で僕の輔佐。全ての最終決定権は僕に在る。その話はここで終わり ﹁⋮頼れる父親が現れて浮かれてるのかな、ユニちゃん ラックスペルのボスとしてボンゴレとの再戦に賛成です﹂ ﹁白 蘭。私 は お 父 さ ん が 言 っ た 通 り ⋮ ミ ル フ ィ オ ー レ フ ァ ミ リ ー ブ ついでに挑発しておこう。意外と煽り耐性ないからな、コイツ ? 258 ? 知しててねー。そろそろ頃合いかと思ったわけさ ? なんてちょっぴりリボーンのような底意地の悪い考えをしている 間に、白蘭はまんまとこちらの思惑通りの返答をした ﹁⋮そうですね、分かりました。では、私はミルフィオーレファミリー を脱会します﹂ そしてユニの言葉に両陣営が驚く。まぁ、トップがいきなりこんな 事言えば普通はそうだろうけど ﹁お父さん⋮﹂ ﹁大丈夫だよ、ユニ。俺の甥っ子だって十分頼もしいから﹂ ﹂ 若い頃の俺 と、そこで。若干不安そうに俺の方を向いたユニにそんなエールと 共に笑みを送る ﹁え、ちょ、ひろ兄 まー⋮こんなだけどね、ツッ君 お、お願い⋮ ﹂ ﹂ ﹁沢田綱吉さん、お願いがあります﹂ ﹁えぇっ ﹁私を守ってください﹂ ﹁え、ええ゛││││││ !? ﹁な、なんで俺ぇ ﹂ ﹂ 俺よりひろ兄の方が︵リボーンに似てこんなんに なっちゃってたけど︶強いし頼りになるのに ﹁ほう、言うじゃねーかダメツナが﹂ ﹂ ﹁ツーッ君、口は災いの元って教えてあげなかったっけー ふ、二人ともタンマ 副声音バッチリ聞こえてるぞー ﹁ヒィイイイッ 全くもう、迂闊だねぇ。ボスとして、それじゃ舐められちゃうよ ! ? ? !? !? ﹂ ! たが もう貴方には、私たちの魂を預ける訳にはいきません なんて事を、ツッ君の悲鳴をBGMにのほほんと考えている俺だっ ︵⋮まぁ、リボーンは単に癇に障ったってのもあるんだろうけど⋮︶ 践してるんだと思うし だからほら、リボーンもそれを懸念して鉄は熱いうちに打て、を実 ? !? 259 !? なんて思ってる間に驚愕の声が辺りに響き渡る !!?? !? ﹁来ないで ! 死んでもユニ それ持って逃げるなら、世界の果て ふと、娘の鋭い声音に意識をパッと切り替える。おっと、そろそろ みたいだ ﹁なーに勝手なこと言ってんの まで追いかけて奪うだけだよ﹂ ﹂ ﹁お前こそ、誰の娘に向かってそんな事を言っている もおしゃぶりも渡さないに決まってるだろう 親 わざと散らしてるんだけどさ そりゃまた、随分な短絡的思考を リングも匣もない部外者が⋮いい加減目障りだよ﹂ 人種だってこと覚えておけ 父 ﹂ ﹁図に乗るなよ、白蘭。お前が相手にしてるのは、この世で一番厄介な ﹁お父さん⋮﹂ ﹁君は、随分自分の立場を分かって無いみたいだね﹂ うん、バチバチと火花が散ってるね お持ちのようだな﹂ ﹁口で敵わないとなれば力づくか ﹁⋮また君かい の身体を背に隠し庇う俺。 身勝手な台詞を言いつつ、魔の手を伸ばす白蘭。それに対し、ユニ ? ? ? 俺たちと一緒に ﹂ !!! に対し不敵に笑う ﹁来るんだ 皆、この子を守ろう 不安げに服を掴んでくるユニの頭を撫でつつ、どこまでも白蘭たち ? ! 260 ! ? ? ⋮⋮とは言っても、まずはここから逃げるんだけどねー ! 気づいたら戦略撤退をしてました。⋮逃亡開始ぃ さり気なく俺たちの転送終了と同時に自爆するようにしこんどい のため今は並盛に戻ってきていた さて。結構な啖呵を切ったのはいいものの、俺たちは形勢立て直し !! たからリアル6弔花もしばらく来ないだろうし。ツッ君たちも着替 え終わって5分後に作戦会議ってなったんだ ﹂ ﹂ ? あの子がひろ兄の娘ってどーゆ│こと ﹂ !? それはまぁいいんだけどね ﹁ひろ兄ちゃんと説明して 要 !!? ! 俺、十年前もぜんっぜん知らなかったんだけど 重 ﹁え、今それ重要 ﹁最 !!! なるものになっているぜ、うん ⋮⋮気になるわなそりゃ み潰された挙句ヤっちゃった話するの いやー、ここまで気になるもんかね ﹁⋮とはいってもなぁ⋮﹂ え、俺がアリアに無様に ? 兎にも角に しかもそれを知ったのがアリアの死ぬ間際 ? ︵︶で、ユニとアリアの2人に阿呆面さらした話しするの ? ﹁それ大人が使う汚い常套句│││││ ﹂ ? じゃあないのさ 元マフィアボスの名は伊達 俺、薄汚れたなんてものじゃなく 俗世に染まり切ってる汚い大人だし ? タップダンスを踊るがごとく躱し続けていた時だった うふふあははと笑いながらポコポコと叩いてくるツッ君の詰問を ? あははー、しょうがないじゃん 俺は慈愛に満ち満ちた笑みと共に、白々しく誤魔化した !!!! ﹁まぁ、大人には色々あったんだよツッ君♪﹂ という訳で 答えは当然NO一択だろう ばらく女性不振に陥った情けない俺の話するの もアリアを助ける為に仮死状態にしてその場を乗り切ったものの、し ? 俺自体も記憶ないのに ? 久方ぶりにツッ君が激オコファナスティックムカ着火ファイヤー ! ? ! 261 ! │││ピシピシッ 僅かながらも不吉な音と共に、超直感が警報を鳴らす。それはツッ 君も同じようで僅かに変わった顔色からバッと周囲を見渡した ﹂ もちろん超直感なんてありません設定ですから怪訝そうな表 ﹁ツッ君 俺 ﹂ 情ですっとぼけましたけど何か ﹁│││何か来る まぁ十中八九ザクロだろうけどねー ヴーヴーヴー そんな事を思っている間に、警戒音が辺りに響く。 ﹂ ツッ 君 ラルを連れてくる ﹂ ツッ君は早くユニたちと同流するんだ ﹂ さて、とりあえずは⋮ ﹂ ﹁敵の強襲かもしれない ﹁ひろ兄は ﹁分かった ! ! にラルを託した俺は、ザクロの隙をつくために⋮⋮ い て み よ う s listen ﹂ ? そ ん な 訳 で ﹁わかってねーなー、バーロー。お前は俺にゃあ勝てねーんだぜ 聞 ! ? ﹁う゛ぉおい、変わった遺言じゃねえか﹂ あ、 ﹁じ ゃ あ 俺 な ら 勝 て る か な さ Now, Let ! ﹂ 必要な物を揃えてからラルの病室へ行き合流する。途中でビアンキ 瞬時にこれだけの策を思いつく自分の冷徹さに苦笑しつつ、今後に ﹁⋮⋮全く、ろくでもない父親だね我ながら﹂ にさせてもらうよユニ そして、その隙をついてザクロにダメージを与える。悪いけど、囮 なり、ユニもいることからザクロの意識は否が応にもそちらに行く 手短に指示を出し、ツッ君と別れる。これで一応あっちが主戦力に !! ! ' 262 ? ﹁強襲ならここに仲間を残すのはマズイ !? !! !! ! ? ? ギュギギギギィイイイイイイイイッッ ﹁﹁ぎゃああああぁああああ ﹂﹂ 僅かな犠牲は仕方ないよ、戦争だし がったけどね てからやったからね !! 彼らに被害が行かないなら多少のことには目 ! その心理 ほら、人間って見目を気にする生き物だからさ。鳴門マークやゴル 遠慮容赦なくザクロの顔に油性マジックで落書きをした↑ キュキュキュ∼ッ して 俺は軽く謝罪すると、黒光りするモノを手に取りキュポンと蓋を外 ﹁うん、ごめんね☆﹂ よし、もうちょっと時間稼ぎの為の細工をしておこう。てな訳で がない ロ︶がそう︵短時間で回復するとは思えずとも︶追いかけてこない訳 はいけない。とはいえ、至近距離であれを浴びたザクロ︵&スクアー しみじみとそう思うが、今は一刻も早くツッ君たちと合流しなくて 脈って本当に大事だなぁ。権力を持たない相手とのコネ最高 トゥリニセッテを務められるだけのリングが手に入るなんて⋮⋮人 り偽物と変えておく。うーん、川平さんを味方にしてるだけで偽の そんなことを思いつつ、さり気なくザクロのマーレリングを抜きと んなとこで活躍するなんて⋮人生って分からないものだねぇ︶ ︵いやー、にしても⋮ザンザス対策で用意していた嫌がらせ用品がこ を瞑るよ俺 まぁ結果として若干︵巻き込まれ犠牲有り︶の物言わぬ骸が出来上 た爪とぎの音も同時に流しているので結構な騒音デス いけない音﹂を大音量で流してみた。因みにさっきのチョイスでやっ 元に︵巻き込まれでスクアーロも︶強制的に﹁人間が絶対に聞いては そっ⋮と︵超直感を駆使して︶背後から忍び寄った俺はザクロの耳 !!!??? 肝心要のツッ君たちとユニが出て行ったのを確認し でも大丈夫 ! ゴみたいな眉になったら外を出歩きたくなくなるじゃん ? 263 ! をちょっと利用してるだけだよ、生易しい悪戯さっ 自分の正当性を主張しつつ、スクアーロに触れてその身体を夜の炎 で基地のなるたけ大丈夫そうな場所へ移動する。超直感頼りだから 今は敵だし死んでも困んないしねぇ。とりあえず二人が 安心して死んでる︵︶といいよ ザクロ 暴れた風を装って基地を爆破しておきますか 結論を出した俺は手早く破壊活動にいそしむのだった *** そんで、あれから何事も無かったかのようにツッ君と合流し数十分 ﹂ 後。ハルの提案で目論見通り川平さん家に向かった俺たちだったん だけど⋮ ﹁ああ、川平さんお久しぶりです﹂ この人もひろ兄の知り合い││││ ﹁なんだい、宙君じゃないか﹂ ﹁えええっ ﹁おい宙、何者だこいつは ﹂ ツッ君たちに更なる質問タイムを与えてしまったようで絶賛困り中 ザクロを先に倒してきちゃったことで余裕が出来た。ぶっちゃけ、 !!?? ﹁彼は俺の⋮⋮友人 知人 ﹂ ﹂ ﹁知人以上友人未満の付き合いだね、恐らく ﹁当人たちが疑問に思ってるし ﹂ 貴方様らアルコバレーノを人柱にした張本人です ? ? ﹂ ﹂⋮君ねぇ﹂ ! が とはいえ、追手がないからさっさと逃げようってのは看過できない れるなんて有難いなぁ。流石川平さん らく旅に出るからこの店の者は好きに使ってく﹁そこまで融通してく ﹁最初からそのつもりだったろう、君は。だが構わんよ、あたしはしば らっても ﹁ま、こ ん な だ け ど 信 頼 は 出 来 る よ。そ ん な 訳 で ち ょ っ と 匿 っ て も リがよくて助かるよ生粋の地球人 なんて口が裂けても今は言えないが、とりあえず遊んでおこう。ノ !! ? ? 264 ? !? ? 約束を破る男は嫌われるよ ﹁⋮別にあたしがやらなくてもいいじゃないか﹂ ﹁⋮言質はとってますよね川平さん ﹂ ? ﹁なんだ、そいつと恋仲だったのか宙 ﹂ 頂こう。若人たちには一体どういう風に移るだろうか さて、こそこそと大の大人2人が揃って隅っこで応酬する姿を想像 いっ﹂ ﹁⋮明らかに自業自得ですよね。そしてどこにもドヤ顔する要素はな ないから問題ない﹂ ﹁⋮それに関しては既に落ちる信用がないからね、これ以上は揺らが ? ? ていうか俺既婚者 可愛い娘もいるんだけど ? 違うそこじゃない じゃあ何⋮﹁ひろ兄に友人って てか川平さん友人じゃないし ツッ君より少ない 衝撃の事実に打ちのめされていると、ふと気づく 隠密値カンストしてんのか ﹂ くっそ、折角の護衛要員が !! しようかと黙考するが、その前に⋮ いで逃げるくらい余裕だろうけどさ 思わず悔しさのあまり床ダン だ ﹁さぁて、﹂ ! るランボ︵︶の襟首をむんずとつかみ上げ 俺は意識を切り替えると、当社比1.5倍の煩さで喚きまくってい ﹁え、ひろ兄﹂ !! そりゃあまぁセーニョリングもってるから俺相手でも気づかれな ﹁っていつの間にか居ないし リボーンの悪質な嘘 お父さん膝から崩れ落ちちゃうよ れば浮気にカウントしないでしょうし私も偏見在りませんから か笑顔で言わないの え ツッ君たちもツッ君たちで顔青ざめないの なんだから ﹂どういう意味かなそれはぁ ? ⋮あれっ、結局俺って友達一人だけ 俺の親友は真だよ真 ! ! ! ! ? ﹂と それとユニよ ﹁大丈夫ですお父さん、お母さんも女性相手で無け ﹂ !!?? ﹁心臓が止まりそうな程笑えないジョークは止めてくれるかな家庭教 師君 ! そりゃあもう目の前にな !? いたの !! 265 ! !! ? !? !? !? !! !? ? ! ﹁俺の娘に断りなく近寄ってんじゃねぇよ、木偶が﹂ ﹂ ﹂ 絶対零度の怒りと共に勢いよく出入り口から空へと放り投げた ﹁星になれぇ ﹁ひろ兄何やってんのぉおおおおおお 近難聴気味でサー はっはっは。ツッ君の叫び 何分︵精神がだけど︶ジジイなもんで最 さり気なく調和の炎を効き腕に纏わせた状態なのでよく飛ぶなー、 !!?? 悟る訳で ﹂ ﹁全員、戦闘配置につけ ﹁来るぞ ﹂ ﹁リアル6弔花の力を見せてあげましょう﹂ の 娘 発 言 そんなこんなでボンゴレVSリアル6弔花、ファイッッ か 思い歴数年の独身貴族γが怖いので娘の傍に張り付いていますが何 さっきの台詞で︵俺限定という器用な真似で︶殺気をぶつけてくる片 俺 ⋮⋮え、俺 たトリカブト。勿論ここまで来れば誰だってどんな状況だったかを そしてあられるはリアル6弔花の桔梗、ブルーベル、ランボに化け ﹁ハハン、流石に一筋縄ではいきませんか﹂ ? ﹁ニュニュッ、調子のるんじゃないわよーだっ﹂ !!! とがあるんだから⋮ いやー⋮人間って失恋の八つ当たりであそこまで強くなれるもん ﹂的な事を なんデスネー。見てみな、トリカブトがまるでぼろ雑巾のようだ 桔梗がね、 ﹁馬鹿な、白蘭様が仰っていた情報と違う⋮ をした バトル音をBGMに、俺は︵勿論ユニを守りつつ︶こっそり遠い目 とりあえず言おう、トリカブトよ。運が悪かったね、どんまい 攻ってパターンがなかったからだと思うよ⋮ 思うよ⋮俺のせいでアリアに失恋しちゃったγの形振り構わぬ猛 言ってるけどそれ、他のパラレルワールドで俺がいなかったからだと ! 266 !!!!! ? !!! !! 腑抜けというなかれ。世の中には力だけではどうにもならないこ ? 気 づ い た ら 詰 め 寄 ら れ て ま し た。⋮ う ん 一 旦 落 ち 着 こうか ちゃおちゃお、皆様こんばんは 結局いつ結婚したの ﹂ この時代の俺や母さんって知っ 只今絶賛質問責めにあってるひー君だよ☆ ﹂ ﹁ねぇひろ兄 てたの ﹁おい宙、あの川平とかゆーやつはなんなんだ !? ﹂ 超直感だってガ 嫌だよ言わないよ どれいっても最悪な未来しか思い浮かばないもん ンガン警報ならしてるからね ﹁⋮⋮﹂ まぁ一番はこの人なんですケドー !? 目つきが獣のソ ! ! 君︵に片思いしてた︶の部下が怖いー アリアー レだよー ! !? !! ていうか答えにくい質問ばっかりやめてよー ﹁そんな一気に言われても俺は聖徳太子じゃないからね ﹁というかお前はまだ何か隠しているだろう⋮さっさと吐け﹂ ? ! ! い痛い どしたの獄寺君 ﹁あの⋮宙さん⋮﹂ ﹁ん 怒気どころか殺気が肌に突き刺さって痛い痛 ﹂ !! ? ラダダ漏れだからね 胡乱げって言葉はこの人の為に在るんじゃないかってくらいオー ! 煩いよツッ君たち らね ﹂ 初対面⋮⋮なんすよね 君の質問には黙秘権を行使するって決めたか そうだね初対面かな ﹁その⋮なんでγの野郎に睨まれてるんスか ﹂ ピシッ⋮ ﹁⋮あ、あぁうん ! ? ! 267 ! !? !? ! そんなこんなで困っていたところに、ある意味助け船 ? ! 数瞬、笑顔が固まった俺だったがだがしかし何とか立て直してみせ ! ? る 純粋ゆえに逃げ場のない質問きたー 奥さんの事も知ってるんじゃ ﹂ いやぁあああ止めてぇえええええ やめてー そこら辺話すと 追いうちダメ、絶対 その人ってユニのファミリーの人だから⋮必然的にひろ兄の ﹁確かにな﹂ ﹁おお、俺も気になるな﹂ なると芋づる式にツッ君の質問にも答えることになっちゃうのー ! 処で発揮しちゃうかな 大丈夫 ﹁あ⋮あはっ、あはははははーっ﹂ よぉし笑って誤魔化せ るは│││ ﹂ ︶ 目つきも声音もオーラも全部怖いよー ⋮ずがなかった││││ γ君こわーい ただでさえ色々と負い目あるのにー ︵全 力 で 逃 げ 出 し て ぇ う わ ー や だ ー ﹁聞いたよー はっ ﹂ このまま いろいろとアリアにアプローチしてたんだって て、テメェなんで知って⋮ んねぇ、俺なんかが射止めちゃって﹂ ﹁なっ ﹁だって当のアリアから愚痴で聞かされてたもーん﹂ ﹂ 歌うように挑発し︵というか揶揄い︶ながら、口撃開始 ﹁はぁあああああああああ !!!??? ごめ 君の片思いの相手だったもんねぇ、アリアっ じゃ⋮このままじゃ⋮俺⋮ッッ ﹁あ、やっぱり気になる て﹂ ﹂ 死ぬ気でやれば有耶無耶に出来 そしてツッ君何故にその一年に一回レベルの頭の回転の良さを此 ! ﹁あっ ! ! ﹁ああ、是非ともそこら辺聞かせてほしいねぇ ! !? ? ⋮⋮γ君巻き込んでの自爆テロするしかないじゃーん ﹁んぁっ ! ! ! !!!! ? ! ! ! ! !? ? !? ? !!?? 268 !!! !? ! ! ﹂ ﹂ プライベートくらい秘密にするでしょ、誰 いつボスはテメェと逢瀬を⋮ ごめんね、γ君。俺の︵周りを誤魔化す︶為に︵羞恥で︶死んでく れ ﹁い、いいいつだ ﹁え、それ答える義理ある ﹁それ、はそうかもしれねーが⋮ だって﹂ !? ﹂ ﹂ ? 番 ﹁その頃俺、イタリアに一年間だけ留学してたんだよ。あと、姉さんと ﹁え、あれ母さんは ﹂ いやー、一人寂しいクリスマスだったからほんっと嬉しかったなー﹂ ﹁因みに俺がアリアと出会ったのは20年前のクリスマスだったよ。 おまけ会話文← *** まま有耶無耶に出来ないかなーなんて考えていたりした 顔色を赤くしたり青くしたりと苦悩するγ君を見ながら、俺はこの うがアリアを怒らせようが、どっちにしろ許さんが ある意味それが今後の︵白蘭以上に︶一番の心配。ユニを泣かせよ ︵後で実はアリア生きてますー、って教えたらどうなるやら⋮︶ 君に声高に非難されるのはムカつくだけで いいけどな、別に でも、こと恋愛感情においてどっちつかずなγ だかんだでお前もうアリアのこと一番に想ってねーだろ、ユニだろ一 後半はγにだけ聞こえるように言ったが、正直これが本音だ。なん ﹁∼∼∼∼っっっ もってる時点で君に俺を責め立てる資格はないと思うな ﹁あとさ、素朴に疑問なんだけど⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮ユニに恋愛感情 ! ? !? !!! 家光さんは新婚真っ最中だったし⋮﹂ ﹁あ、そっか⋮﹂ ﹁そゆこと∼﹂ 269 ? ? おまけ2←会話文 ﹁あっ、じゃあ結局結婚したのは何時頃なの ﹂ ちょ、ユニは分かる ﹂ ﹁んー、さて、どうだったかなぁ⋮﹂ ﹁えええ ﹂ ﹁どうでしたでしょう ﹁えええええ ﹂ ? 調べても証拠が出てくるはずがないという事を⋮︶ ︵言えない⋮実は既婚者云々は事実婚だという事を⋮⋮だからいくら !? と言ってしまったんですよね⋮⋮。︶ 270 !!? ? !? ︵死の間際のお母さんの願いで、お父さんは夫でもなんでもなってや る ! 気 づ い た ら 応 戦 し て ま し た。⋮ 正 当 防 衛 じ ゃ ゴ ル ぁ オカシイ ぐっもーにんえぶりわん。早くも決戦の夜明けということで戦場 にて待機してる俺でっす☆ ﹁⋮⋮はぁ∼﹂ なーんで俺、普通に戦闘要員に数えられてるんだろー れた。解せぬ ﹁頑張ってあいつらをブッ飛ばしましょう宙さん ﹂ 俺はか弱い一般じーん、と歌うように言ったら物凄く呆れた目をさ だよ﹂ ﹁やだなー、ラル。あれは隙をついたからこその云わばまぐれって奴 弔花の一人を戦闘不能にしないだろう﹂ ﹁いつまでグダグダ言っている。そもそも、一般人は無傷でリアル6 ナー、俺はリングも匣もなにもない一般人ナンダケドナー ? ﹂ 体に匣埋め込むような相手に 原始的な肉体言語しかないんだけど﹂ 訳:武器なしの拳で語り合えと 談でしょオイ ﹂ よかったじゃんー、俺が弱い方が ? ﹂は実は言ってみた 俺、娘を自分より弱い奴に渡す気ゼロだし﹂ ﹁そー思うならそーなんじゃない ﹁⋮⋮ハン、その程度の実力だってのか ? ? まぁ、話せば長いことながら│││ ││回想││ *** 故って そこまで考えたところで、脳裏に浮かんだ愛娘に軽く鬱になる。何 ︵あー⋮ユニといえばー⋮︶ い台詞ですハイ。アリアやユニがここにいたら苦笑しそうだけど うん、 ﹁娘が欲しいなら俺を倒してからにしろ ﹁ああ さ ? 冗 ﹁純粋な目で期待してくれるとこ悪いけどね、獄寺君。俺、攻撃手段が ! ! ? ? 271 !! ? ﹁それじゃあ、宙さんには獄寺君くんたちと一緒に守りの要となる地 点で│││﹂ さらっと言われたけどなんで俺が戦闘員に ﹂ 俺がいなくたって何とかなるって あと単純 不意打ちならともかくリングも匣もない状態じゃ無謀 ﹁っ て ち ょ っ と 待 っ て 入ってるの だと思うんですけど やだよ面倒くせー に出来れば体力温存しておきたい チョイスは仕方なくだったけど 負けないで突っ込み役 ﹂ でも武器も そこでなんで﹁アレ、ひろ兄なら大丈夫っぽい⋮ ﹂ みたいな表情になってるの ? る誤解が生まれてる 堪忍してぇな チョイスになんか出たからツッ君の俺への認識に多大な !! !? 俺が貴方に鍛えられたのもう20年も前 ﹂ 酷いよ ! さと作戦に組み込んで次へ行け﹂ ﹁おっ師匠さーん はほぼ平々凡々な一般人だったんですけどー この中で︵ツッ君の次に︶一番長い付き合いなのに 俺の !! !? 事良く分かりすぎィ ! !? その後 ﹁喚くな、煩い。お前ならどうせ飄々と逃げ切るだろうが。入江、さっ !! あかん ! ﹁ちょ、ツッ君 何もないひろ兄じゃなんとか⋮⋮なんと、か⋮無傷⋮で⋮⋮⋮﹂ ﹁そ、そうだよ入江君 ! ! !? ﹂ 娘の !! んか ﹂ ﹁そしてトドメの娘からの全幅の信頼 危機だからこそ離れたくないのに 嬉しいけど嬉しくない ﹁私の予知でも、お父さんなら大丈夫と出ているので戦ってくれませ !! 強制的に作戦会議は終わってしまったのであった││ ││回想終了││ *** そんなこんなで、四面楚歌状態でこんな事になっている訳で ﹁⋮兎に角、宙の事は気にしないで行くぞ。最悪攻撃してもこいつな ら大丈夫だ、ユニの予知があるからな﹂ ﹁確かに。姫の予知があるならうっかり攻撃しても大丈夫そうだな﹂ 272 !? ! !!? ! !! ! いっそさめざめと泣いてやろうかとも思ったけど、それをする前に !! ! ? ﹁宙さんガンガン攻撃してくださいね ﹂ 俺もガンガン攻撃しますから ちゃんと味方ぞ ! そんなー γに関しては昨日の衆目のある場所で恋愛事情バラした ﹂﹂﹂﹂ 少しでも時間稼ぎをする⋮ ﹂ 俺は⋮俺は⋮ここで終わりみたいっス くそ、俺がこんなので⋮ レしましたです ﹁うっ、く⋮ ﹂ ひ、姫逃げてくれ⋮ ﹁す、すみません十代目ぇ⋮ ⋮ E 先ずはテメェを殺してやる ﹂ ﹂ ﹁テメェがやったことは予想ついてんだ ﹁え、なんで俺そんな恨まれてんの ? !!!!! この 顔の落書き 黒々としたМ字型の眉毛、ナルトを進化させてお日様てっかてか と 因 み に 上 空 に て 俺 を 射 殺 さ ん ば か り に 睨 み つ け る ザ ク ロ の 顔 は、 ﹂ 全然と ここで会ったが百年 m o l t o h a u n s a c c o d i p r o b l もれなく俺以外が重傷を負ってしまったよ、腹筋に ﹁ヤバい、戦線がこれ以上もなくガタガタだ﹂ ! ! ! ﹁∼∼∼っ何テメェ一人だけ他人面してんだァ emi ' れなくてどれだけ馬鹿にされたと思ってやがる !!! !!?? ! 目⋮ !! !! ﹁ふっ⋮ ﹂ 喰らわす前にハイ、俺以外の全員が吹き出してしまい居場所が即バ ﹁﹁﹁ぶっふぅううう !!!??? 荒々しい炎の気配に、全員が緊張感を漲らせて初撃を││││ さて。うだうだ言おうが何しようが、戦いはやってくる *** せいだから自業自得だって ⋮⋮え 思わず憮然としてしまった俺はワルクナイ ? ってか大人2人が特にひどい そしてγよ、俺味方ぞ ? れて殺ろうとしてんだてめー なにさり気なく戦いに紛 ﹁全体的に俺の扱いが酷すぎて誠に遺憾である﹂ !! ! !! !! ! ! 273 ? ? ! !! 言わんばかりに頬に☀のマーク、白蘭とお揃いにしてあげようとゆー ﹂ ﹂ 気遣いからガッチリ下まつげ⋮⋮とまぁ、宴会の罰ゲームしようと なっている !!? ぞ ﹂ ﹁え、白蘭に受けなかった ﹂ ﹂ ブルーベルに馬鹿にされまくった ﹁機嫌悪いあの方に殺されかかったっつの !! たね ﹁っんだその憐れみの視線は ﹂ てかテメェが諸悪の根源じゃねーか !! そんな、人を悪の大名みたいに⋮⋮白蘭の方がよっぽどそ チョイスの時といい ﹁えぇー !! ! さもありなん。平常時なら受けたんだろうけど⋮⋮時期が悪かっ !! ﹁いっそ殺された方がよかったわ ﹁なんだよもー、戦争中なのに殺さなかっただけ慈悲深いじゃんー﹂ ? やっぱ落ちなかったかー、油性マジックでやったしなー ﹂ 忘れたとは言わせねぇぞ ﹁あ、あー⋮そういえば⋮そんなこともやったよう、な⋮⋮ ﹁昨日だろうが ! ﹁ごめん、忘れた。爺なもんで⋮﹂ ﹁ ブ ッ 殺 す ! いやん怖い。最近の若者は切れやすくて爺涙目︵︶ ! !! と、兎に角 は言うまでもない ﹁ハッ 俺はテメェを殺す 泣いて謝ろうが命乞いしよ ! ミー﹂ ﹁う え ー ん、す み ま せ ん で し た ー、だ か ら 殺 さ な い で 下 さ い ヘ ル プ ﹂ !!! ! のこと。勿論その後でうん十回目の喧嘩︵被害は甚大︶が起きたこと 曰く、 ﹁食えない奴を狸というのはここからか⋮⋮深く納得した﹂と たら同じこと言ってたな⋮ 人望があるんだかないんだか。そーいえばザンザスに時代劇見せ ﹁真顔でゆうなよ腹心の部下﹂ ﹁それは言えてる﹂ れっぽいのに⋮﹂ ? うが赦さねぇからな !? 274 ! ? !! ﹁ ﹂ ﹂ ﹂ !!!??? !!! あくところだった ﹁雁首揃ってんじゃねーか﹂ ﹂ !!!! というか ﹂ いっそくたばりやがれ !!!!!!! ﹁ドカス共﹂ 憤怒の暴君いらっしゃった そんで、一言物申したい ﹁煩ぇドカス ﹁俺ごと葬る気かこのクソガキぃ !!!! 仮にも世界征 ? 何度目かのザクロの断末魔。あ、危ねぇ⋮危うく俺の身体に風穴が ﹁ぎゃあああああ ドカァアアアアン に従ってすぐさま伏せる俺。そして と、その瞬間。ゾクゥッ⋮ ? と超直感が全力で警報を鳴らしたこと 服に王手をかけてる組織の幹部がさ ぽーい。リアクションが不良と大体一緒ってどうよ というかさー、なんかザクロって⋮⋮下手に実力付けた八木沼君っ フラン風に言ったらめっちゃキレられた ﹁ブッ殺す !!!!!!!! 白蘭との一騎打ちが始まって大空だけのステージが出来、ユニもそ ゴーストが現れたけどツッ君の零地点突破によって倒されたり 戦っている内に他の地点のメンバーと合流したり 順に攻撃を開始したり が笑って使い物にならなくなった。フラン術師に感謝︶メンバーから あれから、 ︵笑いの︶発作がなくなった︵ヴァリアーもあの後、大体 *** さーて、今度こそちゃんとしたバトルで敵を倒しますかー 決めた 度やる時は助走着けて勢い増やそう、そうしよう。俺は固く心にそう 物申すついでに回し蹴りをするがしっかりガードされた、チッ。今 !!! 275 ! !! の中に閉じ込められたりと色々あった訳だけど ﹁その代わりに、枷を外してやろう﹂ やっべ、Xバーナーで粉塵残さず吹っ飛ばしてぇ⋮ ﹁さぁデーチモ、お前の枷を外そう﹂ のムカムカが収まらないよ ツッ君のリングからさも格好つけて出てきやがった初代の爺に胸 ! セコーンドに心労かけて その﹁デーチモ達に力貸してやる俺、格好いい☆﹂ ばっかのお茶目爺だろ 陽炎一つ残さず凍らせるぞご 夜を忍ぶ仮の姿ならぬ子孫にエエカッコシ あんたそんな格好いい奴じゃねーだろ ﹁今のボンゴレリングは仮の姿だ⋮﹂ と言わんばかりのドヤ顔がムカつく あああムカつく ! イする為のキリッとした顔やめい ! !! 後戻りはできないよ 初代の考えを理解できるようになっちゃあかん 俺の意志を分かってもらえそうだからな﹂ あかんツッ君 俺みたいになっちゃうよ !? のつまり ﹁ひ ー ろ ー し ー ﹂ 何をそこで仏頂面しておるのだマイファミリよー 見ないふりしようが、厄災は勝手にやってくるから厄災なのだ。とど しかし、現実はいつだって無情である。ガンガンとならす超直感を ﹁さて﹂ されない快適な未来が⋮っっ そうだ、我慢しろ俺。このまま上手く行けば二度と初代の爺に悩ま 俺はひたすら初代の爺をフッ飛ばさないよう自制していた ボンゴレリングが輝いて原型の姿になろうが知ったこっちゃない。 !? ! ﹁しかしもうその必要はない。お前にならこのリングの本当の意味と るぁ ! !! ! ! ! どーす !! ﹂ やってくれやがったよこのクソ爺 ! 周囲︵主にボンゴレ側︶の空気が停止してんじゃねー やってくれやがった んだこの空気 ! 276 !!! ﹁エ コ ー が 出 来 る ほ ど の 音 量 で 親 し 気 に 話 し か け ん じ ゃ ね ぇ ク ソ 爺 !! !!!! か ﹁クソ爺とはまた酷い⋮ ﹂ 何度も何度も夢の中に出てきやがって⋮ 何度もお茶をした中ではないか⋮ ﹁無理矢理にだったけどな ﹂ ﹂ ﹁ま、俺ほど長生きすればそれくらいの芸当はお茶の子さいさいだ﹂ 悪霊も驚きだわ ! 俺は日本に帰化してからも長生きしたからな。いつだったか ﹁長生きって霊体も加算されるのかよ ﹁いや !? ﹂ これ以上ツッ君の未来に不安要素 死んでも要らん 思い出さんでいい ﹂と驚愕しておったが、果たして幾つの時だったか⋮﹂ ﹁思いだすな を重ねるんじゃない そんな脅威の童顔はいらん !! ! ああ⋮過去の俺、︵爺の発言その他諸々で平穏な生活を送る事︶終 ぜーはー、と息を荒くしながら、俺は器用にも遠い目をする !! !! ! はず⋮ ボンゴレの使いが来て⋮﹁馬鹿な、ボンゴレプリーモは○○歳だった ? ! わったな⋮⋮と 277 !! !? ! !! ﹂ 気づいたら代わってました。⋮ごめんね 凄いよそこの綱吉クン 君は無数のパラレルワール ﹂ ﹁どうした白蘭。翼がなければただの人か ﹁アハハハハッ それとして一先ず置いといて クソ爺いつまでいやがるんですか ? ﹂ ? ﹁それは俺に問うべきことか ヒロシよ﹂ ただ、これ以上喪ってほしくないという自己満足の為に ている も誰も救うことは出来ない。それくらい、無謀な事を俺はしようとし だってありえる訳で。もし失敗したらアルコバレーノもツッ君たち 聞きたかったのはそれだけ。こればかりは初の試みだから、失敗 ﹁⋮俺の計画は、成功しますか まぁ今なら大体の人がツッ君の戦闘に夢中だから丁度いいけど 俺は隣で呑気に白蘭とのバトルを観戦している初代に声をかけた。 ﹁わー、これだから超直感持ちは面倒ダナー﹂ ﹁おや、てっきり俺に聞きたいことがあると思ったが﹂ ﹁⋮⋮で ﹂ さて。先祖の暴挙によって過去の俺終了となったわけだがそれは ドの中でも唯一僕に傷をつけた個体だ ? ! !! ! ﹁む 俺はいつもまともだぞ﹂ ﹁⋮⋮うわー、まともなことも言えたんですねプリーモ﹂ 覚悟と行動のみよ﹂ ﹁何かを為すのに必要なのは確実性ではあるまい。それをやり遂げる ただ、先達としての言葉が俺の中に響く ろう﹂ 未来を手に入れたいか。その覚悟があるならば躊躇いなど不要であ ﹁超直感の裏打ちがあるからではない。自分がどうしたいか。どんな ボンゴレ創立者としての威厳がある訳でもない 普段の憎たらしいほどに飄々とした要素は欠片もない ? 憎まれ口を叩きつつも、心の何処かで安堵する 278 ? ﹁それはない﹂ ? そう、今更失敗を恐れて何になる ﹂ ﹂ ﹂ ﹁ユニ ね ﹁本気なんだねユニ⋮本気で、おしゃぶりに命を捧げて死ぬ気なんだ そこまで考えたところで、状況を再度把握する ﹁ か。いやもうボスじゃないんだけど そのくらいの覚悟もなくて、マフィアのボスなんてやってられる それでも足りなければ無理やりにでも望む未来を手にして見せる 自分でやると決めた。死んでも助けると決めた。人事を尽くして、 ? ! るのです﹂ ﹁ああ、そうだな ﹁だがよっ ﹂ ユニがどうするにせよあそこは危険すぎる ﹂ この結界はビクとも﹁俺が行くから、皆どいてくれる ! ﹂ ? いこと ﹂ ボォオオウッ ﹁なっ ﹁ぜ、全身から炎が ﹂ !? !? アルコバレーノでもない宙が何故⋮ ! ﹁お父さん⋮ ﹂ ﹁お邪魔するよ﹂ これでも一応大空のアルコバレーノ筆頭候補だったからねぇ ﹁ありえん ﹂ 俺の覚悟は、ユニもツッ君たちも⋮ここにいる皆を絶対に死なせな 周囲から視線が集まるのをスルーしながら、大空の結界の前に立つ え、宙さん !? ! さぁ、始めよう ! ﹁我々も手をこまねいてはいられません。結界を破りユニを脱出させ 笑んだ気配と共にプリーモの姿が消える 小声でそうプリーモに感謝の言葉を贈り、気を引き締める。微かに ﹁Grazie、プリーモ﹂ もう時間がない、な⋮ !!? !? !? 279 ! !! ﹂ ﹂ そんな内心は勿論零さず、大空の適合者としてあっさりと結界の中 に入る ﹁宙兄さん⋮ ﹁まさかこの期に及んで君が邪魔するとはね⋮ ﹂ 待ってくださいお父さん ﹂ その聡明さが、ユニ自身を傷つけなければ ! 論、ユニ自身の大空のおしゃぶりも ﹁え⋮ま、待って いいんだけれど 気づいちゃったかな ノの復活が⋮まさか ! ﹂ 待ってお父さん それは私の役目なんです 私が受け入れ ! ﹁姫 ﹁待って ! ﹁あんた⋮﹂ やめて ! お父さんはこれからいくらだって幸せに⋮ ﹂ ! ﹁お父さん です 私の代わりにお父さんが死ぬ必要なんかないん ﹁γ君、ユニたちのこと頼んだよ﹂ それをγが受け止めたのを確認して、くるりと踵を返す るべき運命で⋮っ﹂ ! だけでユニの身体はあっさりと結界の外へ投げ出される 一度深く抱きしめた後、トン、と優しく、しかし力強く押せばそれ り先に死ぬもんじゃないよ﹂ ﹁愛してるよ、ユニ。俺の大事な娘。だから││││││子供は、親よ ? ! それではアルコバレー 言いつつ、ユニの持ってる全てのおしゃぶりを俺に移し替える。勿 ﹁ふぅ⋮これでもうユニは大空のアルコバレーノじゃないよ﹂ を習っておいてよかった さっさとおしゃぶりの主導権を移させてもらうよ。川平さんに術 ﹁︳︳︳︳︳︳︳﹂ ﹁え ﹁ユニ⋮⋮ごめんね﹂ ﹁どうして⋮お父さん⋮﹂ いや寧ろ邪魔しない訳がねーだろ。まぁそれはともかく ! !? ! 280 ? ! ! ああ、ごめんねユニ。やっぱり泣かせちゃったかぁ⋮俺は本当にダ メな父親だね でも ﹂ ﹁娘を守る為なら、それだけで幸せだよ﹂ ﹁そ、んな⋮ │││││ゲームオーバーだ﹂ だったら ﹂ ユニに力がな 生きてさえいれば、手足の一本や二本失っ ﹁全く⋮どこまで計画が狂うんだろうね⋮ ﹂ いなら君を手に入れる たって問題はない ! 邪魔するなら先に消すまでだ お前にユニも宙兄さんも渡さない いいさ ! ﹁させるか ! ﹁どこまで君は僕の邪魔を⋮ ﹂ !! !! ! 前の望む力は、全て俺が使いきってアルコバレーノを復活させる。│ ﹁そんな訳だから白蘭、もうユニにはお前の望む力はない。そしてお 願う。だから、俺はもう迷わない。振り返ったりしない それでも、譲れないものがある。受け入れがたい未来を変えたいと ! まえ ﹁さぁて、アルコバレーノの皆さん⋮⋮復活を頼んだよ﹂ 内心で応援しまくりつつ、意識を切り替えて炎の供給に集中する。 その内、ドンドン自分の存在が朧になっていくのを感じる きっとこれが、死の気配 前 回 の ユ ニ は 怖 が っ て い た。死 を、恐 ろ し い と 感 じ て い た。当 然 だ、若いあの子が、未練を残していたあの子が、恐ろしく思わないは ずもない ︵⋮⋮でも、俺はそうでもないんだよねぇ︶ 苦笑する。既に︵精神でとはいえ︶長生きしてる故に、死への恐怖 心が薄い自分自身に。 嗚呼、やっぱりユニを死なせるくらいなら俺が身代わりになった方 がいい 子供は、死ぬもんじゃない。 281 !! !! うわーぁ⋮ツッ君ファイト、行け行けゴーゴー。白蘭なんてやっち !! 親とか、そんなこと関係なく純粋にそう思う。 ﹂ 子供はいつの時代も笑っていなくちゃいけないと信じているから。 だから ﹁ユニ﹂ ﹁お父さ⋮ ﹂ 復活の為に命を注いで消えた ﹁っっひろ兄│││││││││││ ﹂ ! ﹂ │││そして、憎らしい 白蘭 ﹂ !!! !!! ら⋮ひろ兄は⋮死んだんだ ﹂ ﹁誰がひろ兄を殺したと思っているんだ。お前がこんな世界にしたか ても悲しい、苦しい、 それこそ、ボンゴレだけじゃない。僕たちシモンだって、喪ってと ﹁うぅ⋮ぐっ⋮くそぅっ⋮ ﹁まさか⋮こんなことになるたーな⋮﹂ ﹁そんな⋮宙お兄ちゃん⋮っ﹂ わりになるなんて、誰も納得しないだろうに 自分の影響力をまるで分かって無い。大空の姫を助ける為に身代 ︵⋮⋮酷い人ですね、宙兄さんは︶ んで それを見た周囲の中でも、ただ十年前の沢田綱吉だけがその名を呼 !!!! そう優しく微笑んだあの人は、穏やかな表情のままアルコバレーノ ﹁じゃあ皆、Arrivederch﹂ 炎真side *** そう最期に微笑んで、俺は命の全てをおしゃぶりへと注ぎ込んだ ﹁じゃあ皆、Arrivederch﹂ れる せめてものプレゼントを贈ろう。炎真なら、きっと上手くやってく ﹁え⋮ ﹁アリアと幸せにね﹂ ! ﹁俺はお前を赦さない ! 282 ? こんな結末になると分かっていたなら、数日前のあの時何が何でも 引き止めればよかった。ボンゴレもミルフィオーレもどうでもいい と切り捨てて、あの島で静かに暮らそうと提案すればよかった 後悔ばかりが押し寄せる。叶うなら、過去をやり直したいと思うほ お前だけは ﹂ 折角生き人形にしてでも手に入 どに。叶うなら、ボンゴレもミルフィオーレもこの場で滅ぼしてしま いたいくらいに ﹂ 白蘭 ﹁まったく余計なことをしてくれた れようと思ったのに ﹁それ以上ひろ兄を侮辱するな ﹂ ? ﹂ イクスバーナー コーティングをかける シモンリングに炎を灯して、白蘭の動きを封じるように大地の炎 ﹁うん。宙兄さんなら助けるだろうから﹂ ﹁いいのか、炎真 ﹁手助けはこれっきりだよ、ボンゴレ﹂ だから はそれが身に沁みていて うん、それが宙兄さんで。しょうがないよね、嫌というほど僕たち ど、優しい人だから でも、きっとあの人はそんなことを望まない。見ていて辛くなるほ !! !! ! !! ﹂ それを淡々と見届けつつ、僕たちは大空の姫の近くに向かう。白蘭 を倒し終えたなら、今度は僕たちがやるべきことをやろう。でもまず は⋮ ﹂ ﹂ !! ﹁やりましたね !!! ﹁勝ったぞ││││ ﹂ ﹂ ﹁ツナさん ﹁ツナ君 !! ⋮⋮子供だから、しょうがないといえばしょうがないんだろうね 俄かに、ボンゴレ陣営が活気づく。勝利に、酔いしれる !! 283 ! !!!!!! ﹁ 、くらえ ! そして、決着がついた。 ﹁ ! !? 今、沢田綱吉は目の前で人殺しをしたばかりだというのに、あまり ﹂ ﹂ にその実感がない周囲に少し呆れる ﹁やったッスね十代目 ﹁で、でも⋮⋮ひろ兄が⋮⋮ ﹁え あ、貴方は⋮ ﹂ ﹁これは、僕たちが貰うよ﹂ まぁ僕たちには関係がないけど、それは渡さない ! ! ﹂ ミルフィオーレか !? は、形見でもあるんだ ﹁何者だ ﹂ 沢田綱吉が手を伸ばした先にあるのは、宙兄さんの衣服。でもそれ ﹁な、なんだテメェ !? !!? ﹂ !? ﹁ひろ兄に⋮ ﹂ だからいいだろう そんな奴が何でここにいやがる ﹂ ? ? ? ﹁なっ⋮ ﹂ どうして ボス ﹁お母さん ﹂ !!? !? ﹁⋮アリアは死んだと聞いたが、どういうことだ ﹂ そこには、島で保管されて仮死状態の元大空のアルコバレーノの姿 たジュリーが砂漠の幻術を解く それだけだよ、と呟いて視線を背後に向ける。途端に意図を理解し れていたから﹂ ﹁ミルフィオーレもボンゴレもどうでもよかったけど、宙さんに頼ま 仲間がいるし、僕自身も銃弾を防ぐくらい出来る アルコバレーノが僕に銃を向けても、狼狽えることはない。僕には ﹁で 僕たちに形見の一つくらいくれても レ。僕たちは昔、宙さんに命を助けられた事のある者だよ﹂ ﹁⋮⋮でもそうだね、挨拶くらいはしておこうか。初めましてボンゴ 君たちは、宙兄さんに助けられた。文字通り、命をかけて ﹁え⋮ひろ兄の⋮知り合い⋮ ﹁宙さんを殺したファミリーと一緒にしないでくれる﹂ ? ! ﹁宙 さ ん が 助 け た ん だ。方 法 は 知 ら な い よ。僕 た ち は こ の 時 ま で 預 ? !? 284 !? ? かっててくれるよう頼まれていただけだから﹂ 周囲が騒然となる中、僕はどこまでも淡々と話す。憎しみも恨みも 今、助けたと言ったのか ﹂ ﹂ あるけれど、ここで出す訳にはいかないから ﹁待て の姿が現れた ﹁そうだぜ、コラ 事情は全部ヒロシって奴から聞いてるぜ。アリア ングだったのかおしゃぶりから光が溢れて復活したアルコバレーノ 言いつつ、今度は視線を横に向ける。そうすると、丁度いいタイミ 聞けばいい﹂ ﹁そういうことだね。ここから生き返らせる方法については⋮彼らに ﹁それじゃ⋮お母さんは⋮生きて⋮ !? ﹂ ﹁因 み に リ ボ ー ン、こ れ は こ の 時 代 の お 前 も 関 わ っ て い た ん だ ぞ ばいいそうだ を生き返らせるにはここにいる全員で死ぬ気の炎を灯して注入すれ !! まぁ勿論、私の天才的な頭脳も必要だったのだがな﹂ ﹂ ﹁コロネロ ! ﹂ ﹁ヴェルデ ! ﹂ 私は⋮死んだはずじゃ⋮﹂ ﹁お母さ⋮⋮っお母さ││ん ? ヒロシから 待って、それならどうしてヒロシがそんなまど ? なんですって ﹂ 嘘よ、彼はマフィアでも裏社会の人間でもな !? ﹁それじゃ、用事は済んだし僕たちは帰るよ﹂ 本当、嘘だったらどれだけよかったろうにね いはずじゃ⋮ ﹁なっ 大空のアルコバレーノになって﹂ ﹁⋮⋮宙さんは死んだよ。アルコバレーノを復活させるために、自ら ろっこしい真似を⋮﹂ ﹁え⋮ ﹁元大空のアルコバレーノ。宙さんから、手紙を預かってる﹂ ⋮⋮そろそろ、立ち去り時かな !!! ﹁ぅ⋮ユ、ニ⋮⋮ いたことを理解した後、とうとう生き返らせることに成功した そしてそのままアルコバレーノの説明が始まり、色々と問題が片付 ? ! ! 285 ? ! ? ! ﹁あ⋮ま、待って あの、白蘭の動きが最後止まったのは貴方が⋮ ﹂ ? もないしね﹂ テメェ、十代目に向かってなんて口を !! ﹂ 拝啓 愛しい人へ *** 僕は、僕たちは、そう静かに黙祷をした 祈ります⋮﹂ ﹁⋮今まで、ありがとうございました。貴方の黄泉路が穏やかな事を んだろう だから僕たちはその遺志を受け取ってボンゴレを亡ぼせやしない やしない 最期まで優しい人だと見せつけて逝くものだから、恨むことも出来 ど心が痛むのに 本当に酷い人だ。苦しくて悲しくて辛くて、胸が張り裂けそうなほ ︵宙兄さん⋮⋮︶ ね。どうせきっと、宙兄さんの手紙が原因なんだろうけど │││ああ、背後で元大空のアルコバレーノが泣いてる気がする そして僕たちはその場を去った。宙兄さんの形見をもって 言いたいだけ言って、踵を返す。これ以上関わるつもりはない ﹁行こう、皆﹂ ﹁はっ ボンゴレともマフィア界とも関わるつもりはないから﹂ ﹁黙りなよ、何も知らない癖に。でも安心すればいい。僕たちは今後、 ﹁なっ ﹂ から手助けしただけさ。│││││本当なら、ボンゴレなんて見たく ﹁勘違いしないで。僕たちは宙さんを殺した白蘭が気に入らなかった んだよ ⋮⋮ああもう、煩わしいな。ボンゴレからの好意なんて願い下げな ! この手紙を読んでいる貴方は、何処で何をしているのかな 286 !? !? 怒っているだろうか、泣いているだろうか、笑っているだろうか 願わくば、笑っていてほしい 俺のこの行動は、きっと非難されるし、詰られることもあるだろう 面と向かって顔を合わせたら、殴られるかもしれない 俺だったらそうするしね でも、それでも、俺は譲れなかったんだ 自己犠牲心じゃない、あくまで自己満足でしかないけど、どうして も救いたくて仕方なかったから 悲しい運命を、これ以上繰り返したくなかったんだ いつの時代も悲しみを避けては通れないけれど、俺の行動で少しで も笑顔の人が増えてくれたらとても嬉しい あの子には、俺の行動でとても重いものを持たせてしまっただろう 287 負けそうで、泣きそうで、消えてしまうそうな程に自分を責めるか もしれない でも、伝えて。そんなことはないんだって 俺は、俺のしたいように行動した この未来は誰のせいでもない、あの子の、皆の力で勝ち取った幸せ な未来なんだって だから、どうか笑って。精一杯、これからを生きて。 人生の全てに意味があるから、恐れずに貴方の夢を育てて それだけが、俺の望みだから この手紙を読んでいる貴方が、幸せな事を願います││││ *** それは、突然のことだった ドォ⋮⋮⋮⋮⋮オン 地震が起きた、と思った次の瞬間には俺でも膨大な量の記憶が頭に ! 伝わって│││ ってちょっとちょっと待って ユニが俺の娘 アリアが奥さん 大丈夫ですか ﹂ ボンゴレリングごと砕いてやろう 突っ込みどころ多すぎあのクソ爺 待って待って待って色々ヤバい なんてことしてくれてんだ阿呆 か⋮⋮てぇ ﹁いやー、凄い地震でしたね宙先生⋮⋮宙先生 ﹁ぐ、ぅううっ⋮ !? 救急車 救急車を呼んでください !! いっている。痛い。苦しい。辛い。吐きそう。 ちょ、誰か ! ﹁がはっ﹂ ﹁ひっ、血 ! ︶ い痛い痛い痛い痛い痛い ︵や、ば⋮⋮ ぐらり。 いう事を これが、未来で無理矢理に大空のアルコバレーノになった代償だと 俺はまだ知らない。 た 全身を苛む激痛に、俺の意識はあっという間に刈り取られたのだっ !!!! い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛 い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛 痛い。 ﹂ 気 持 ち 悪 い。頭 痛 い。体 が 寒 い。い や 熱 い。全 身 の 血 が ど く ど く !? ! !? !? ﹂ ! !? ! 288 ! !!? !? シモン編 気 づ い た ら 立 ち 止 ま っ て い ま し た。⋮ 一 休 み っ て こ とで 夢を見た ﹄ とても懐かしくて、とても愛おしくて、とても大事なファミリーの 夢を 俺が、俺がついていながら⋮ ⋮⋮嗚呼、だけど。みんなみんな⋮⋮悲しそうな姿だ ﹃十代目ッ⋮十代目ぇ⋮ッ !! ﹃⋮⋮つまらないな﹄ ⋮⋮げ、雲雀さんすっげー不機嫌顔⋮ !! ごめんなさい、私が⋮私がいたのに⋮ 骸も骸でなんだよその顔、間抜けだぞ⋮ ﹄ ⋮ランボもいい大人なんだからそんな迷子みたいな顔しないの ﹃ボンゴレ⋮ど、うして⋮ ﹄ お兄さんもそんなしかめっ面で⋮ ﹃⋮⋮極限に悲しいぞ、沢田⋮っ﹄ 山本⋮珍しいなぁ、あんなに険のある顔は ﹃くそっ なんで気づかなかったんだ⋮っっ﹄ 獄寺君⋮君がそこまで涙を流すの、久しぶりに見たよ ! ! 何を謝ってるの ﹃ボス⋮ッボス⋮ッ クローム⋮ ? ! ﹃まさか君が⋮こうもあっけなく⋮﹄ ? 289 ! ﹃ツッ君⋮ ﹄ 置いていかないでよ⋮ ﹃ツナさん⋮嘘でしょう ﹄ と言ってくれた人 ︵⋮⋮俺が、死んだ後の⋮⋮︶ ﹄ 私⋮っ﹄ ここまでくれば嫌でも分かる。これは、この光景は│││ 中身は血の気の無い、けれど綺麗な姿で花に囲まれ横たわる俺 皆が囲むのは、ボンゴレマークのついた黒い棺桶 俺の最高で最強な人生の恩師の、表情を帽子で隠した姿 ﹃⋮⋮ファミリーを置いて逝っちまうなんて、バカツナが⋮﹄ そして 機械に強い友人たち 心優しい大空の姫 ちょっと苦手だった白い奴 同じ立場でよく弱音を言い合った親友 よく女子組の面倒を見てくれた姉のような人 面倒を見てたチビたち 支えます 生涯をかけて愛し、守ると誓った人 他にもたくさんの声。コエ。こえ。 ﹃⋮ボンゴレ ﹃綱吉君が⋮こんな⋮﹄ ﹃沢田さんがこんなことになるなんて⋮ ﹃綱吉クンってば⋮⋮﹄ ﹃ツナ君が僕より先にいくなんて⋮﹄ ﹃⋮⋮馬鹿な子﹄ ﹃沢田さん⋮⋮﹄ ﹃ツナ兄⋮どうしてこうなるまで⋮﹄ ! どういう連鎖反応かは分からないが、俺はどうやら以前いた世界 290 ? ! ? ! ! の、俺の死んだ後の光景を見ているらしい。平行世界を渡るのは白蘭 の十八番なんだけどなー そう、どこか他人事のように思いながら、俺はその光景をただ静か に受け入れた *** ツナSide 未来から帰ってしばらく経った あの時、十年後のひろ兄がユニの代わりにアルコバレーノ復活の為 に命を捧げて消えてしまって。その後、赤髪の青年に責められるよう な目でひろ兄の行ったことを説明されて。気が塞いで仕方なかった けど、それでも漸く未来から帰ってこれて これでやっと、平和な過去に帰れたんだ⋮ そう安心する間もなく、母さんにひろ兄が倒れたと連絡があった。 そして、滅多に顔色を変えない母さんに無理いって付き添った病院先 で見たのは、死んだように眠るひろ兄の姿 母さんとお医者さんの会話では原因不明で、いつ目を覚ますかも分 からなくて。最悪、このままずっと植物状態かもしれないと言われて ひろ兄にはたくさん聞きたいことがあった。未来で知ったこと、俺 の知らないことを話してほしいと思った だけど、今のひろ兄はそれどころじゃ無くて。このまま、質問する どころか死んでしまったら、て考えると指先がどんどん冷えてって ﹃⋮⋮大丈夫よ、ツッ君。ひー君はね、絶対に起きてくれるわ﹄ そんな時だった。母さんが、そっと俺の指に手を重ねて温めてくれ たのは ﹃ひー君に何が起きたかは分からないけど大丈夫よ。これくらいで家 族は壊れたりしないわ﹄ ﹃母さん⋮﹄ 俺なんかより、実の弟のひろ兄の方が心配で当たり前なのに、こん な時も母さんは気丈に笑っていた。そしてふいに何かを思いだした 291 ! かと思うと、こう言って ﹄ 両親を失ったばかりで不安で仕方な ﹃⋮⋮ふふ、なんだか少しおかしな気分ね﹄ ﹃え ﹃昔 は ね、正 反 対 だ っ た の よ かったお母さんを、ひー君がよくこうして励ましてくれたの。⋮⋮ ﹄ ひー君の方こそ、記憶喪失で大変だったのにね﹄ ﹃そんなこと、が⋮⋮⋮⋮⋮記、憶喪失⋮ 誰、が 思わず頷きかけて言葉を失う 記憶喪失 かったから ⋮両親を失った時の事故 かってる。ひろ兄は、必要なければ自分の事を話すことをあまりしな ひろ兄が、俺を信用しなかったから話さなかったんじゃないとは分 本当に⋮何も知らなかったんだ、俺は そしてあの赤髪の青年の⋮⋮恩人、で ラルとも長い付き合いで、師弟関係で ユニがひろ兄の娘で、アリアって言うお嫁さんがいて 代と知り合いだったのも ザンザスと知り合いだったのも、九代目と知り合いだったのも、初 だ、って 俺は、ひろ兄のことを知っていたつもりで、何にも知らなかったん ただ、この時をきっかけに俺は気づいちゃったんだ その後の母さんの話は、正直覚えていない でね、ひー君はそれまでの記憶を失っていたのよ﹄ ﹃あら、ツッ君には話してなかったかしら ? ? ? ? でもそれなら、俺の方からもっとたくさん聞けばよかったんじゃな 292 ? ? いかって。ずっとずっと、ひろ兄の無言の甘やかしに甘えてたんじゃ ないかって ⋮⋮ダメツナだ、なんて自虐も出来ないくらい自分が情けなくて それからは、どこか虚ろに日々を過ごしていた。獄寺君や山本が心 配してくれたけど、どうしてもショックは抜けきらなくて そうして気づけば、未来から帰ったあの日から大分日にちが過ぎて いた ︵⋮⋮⋮そういえば、リボーンがあの赤髪の青年について調べるって 言ってたっけ⋮︶ たしか⋮マフィアでなくとも白蘭から逃げおおせたのだからタダ もし転校生の中で十代目に舐めたマネする 者じゃない⋮とか。そりゃ、あの人の事は俺も気になるケド⋮ ﹁任せてください十代目 ﹂ 野球好きで野球 全く、困ったもんす 寧ろ俺は楽しみだぜ よーな奴がいれば、十代目の右腕・この獄寺隼人がシメてやりますよ ﹂ ? ﹂ ﹁まーまー、落ち着けよ獄寺 部に入ってくれる奴かもしれねーだろ よね十代目 ! ⋮ なんだこの人 ﹁マイネームイズ、シット・ピー ﹂ ってうわっ イタイっつーか⋮ ! !! 思わず引いたところで、ふと先生の後ろにもう一人いるのに気付 ﹁え、ええー⋮では次、君の自己紹介を⋮﹂ !? しとぴっちゃんと呼んでクダサーイ が始まった。そうしてウチのクラスには転校生が2人来るみたいで ぼんやりとしている内に、予冷が鳴って先生が来て、ホームルーム ﹁席に着け∼﹂ 転校生、かぁ⋮そういえば家でもランボが騒いでたっけ⋮ ﹁⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮﹂ ﹁⋮あ。う⋮うん、そうだね⋮﹂ ! 293 ! ﹁テメェはそれしか考えられねーのか野球バカ ? ! ! !!! く。最初が派手すぎて忘れかけて⋮⋮⋮⋮え あの子⋮ ﹁じゅ、十代目⋮ ﹂ 髪の青年にそっくりだ⋮ 獄寺君と山本も気づいたみたいだ。あの古里って子、未来で見た赤 ﹁お、おいツナあいつ⋮ ﹂ ﹁⋮⋮至門中学からきました、古里炎真です。どうぞよろしく﹂ ? のは言うまでもない それから俺は、ホームルームが終わってすぐに古里君に話しかけた ! そして、相手から驚きの事実を述べられることになる 294 ! ! ! 気づいたらへこたれてました。⋮情けないなぁ 目を覚ますと、そこは白い空間だった。 ﹁⋮⋮あ゛∼∼∼∼∼っ﹂ 病院だ。それは分かる。大方、職場で倒れた俺に同僚が救急車を呼 んでくれたのだろう。⋮何故か一人部屋なのが気にかかったが。う わー、ボンゴレの息がかかってそうでめっちゃ嫌ー⋮⋮イヤイヤ今は それどころじゃ無くて。 ﹁あー、うん⋮どうすっかなぁ⋮﹂ 頭を抱えつつ、腕に刺さっていた点滴を外して袋に刺し直してお 良い子はマネしちゃ駄目だ く。そして荷物をあさって病院服から普段着に着替え、少量の小銭を お手のものだよ ! もって売店へ向かう。 エスケープ 脱走 ? になって⋮⋮でもすぐに、取り上げられたっけ。 ﹃十代目に害のあるものは何であろうと排除します ﹄ 獄寺君が良く吸っていた銘柄。年を取って、美味しいと感じるよう 服する そうして死ぬ気の炎で先程購入したモノ│││煙草に火を付け、一 ﹁⋮⋮はぁー﹂ に背中を預ける てね。夜の炎を使って扉を抜け、人目のつかない死角に座り込んで壁 も、ここは屋上立ち入り禁止だけど⋮持つべきものは稀有な能力⋮っ 売店で目当てのものを買い、今度は屋上へと向かう。とはいって ﹁はい、○○円になりますー﹂ ﹁すいませーん、これ1つ﹂ がついていかなくなって点滴を受けて、逃げて、叱られて。 ボスに就任して、5年くらいだろうか。よく無茶をして、過労に体 ︵⋮⋮⋮前はよく、獄寺君と山本に怒られたなぁ⋮︶ けどね ? ﹃俺も一度は吸ってみたかったんだけどなー﹄ ⋮⋮なんて、そのまま一緒に禁煙生活送ったっけ。 !!! 295 ! ﹃やめておけ、タバコは害にしかならん たっけ⋮。 ﹄ ﹄ ? ﹄ あんなにもファミリーを悲しませて る。着 替 え て い る 時 に 気 付 い た、違 和 感。リ ボ ー ン や 他 の ア ル コ バ ごそりとポケットを探れば、手のひらに収まるおしゃぶりが出てく ﹁⋮⋮俺が、アルコバレーノ⋮か﹂ そして、それだけじゃなく あんなものを見てしまったからこそ、どうしても弱気になる しまった俺に、本当に守れるだろうか 今の俺に何が出来るだろう 自分の象徴だった空を見て、考える ⋮﹂ ﹁⋮⋮⋮ 時 を こ ー え て ⋮ 君 を 愛 せ る か ⋮ 本 当 に 君 を ⋮ ま ー も れ る か やもやした苦い気持ちが胸中に広がる 目を閉じて、物思う。タバコの苦味なんてどうでもいいくらい、も ︵⋮⋮弱く、なったなぁ︶ なったからか。⋮⋮どっちもかなぁ それは前世の夢を見たせいか、それとも既に平凡ではいられなく ぶ、感傷的だなぁ る。少し湿った空気だから、雨上がりかもしれない。⋮⋮今日はだい ゆらゆらと立ち上ぼる煙が、空に解けていく様をぼんやりと見送 ﹁⋮⋮⋮﹂ 子組の前で吸ったことは一度もなかったんだけど⋮。 ああ、そうそう。それを言えば骸も嫌いだったなぁ。⋮でも俺、女 ﹃僕のクロームに害があるのですが てたら問答無用で咬み殺されたんだったな⋮ は引っかからなかったはずなんだけど⋮会う時にタバコの匂いさせ ⋮あ、雲雀さんは普通に嫌いだったな。もう大人だったから風紀に ﹃⋮⋮咬み殺す ランボはまず吸えなかったなー。絶対噎せちゃってた ﹃げほっげほっ⋮うぅ、不味いですね⋮ ﹄ ⋮ 山 本 と お 兄 さ ん は ス ポ ー ツ マ ン だ っ た か ら 一 度 も 吸 わ な か っ ! ! ? ? 296 ! レーノのように首元にではないけれど、俺の身体から離れないおしゃ ぶりの存在。未来の記憶とあわせて考えれば、結論はすぐに出て ﹁はぁ⋮憂鬱だ﹂ 未来の俺がした選択肢を責める気はない。多分、今の俺があの立場 にいても同じことをしただろう。ユニを、仲間を、もう一度目の前で 喪うなんて死んでも御免だ。更に言えば、あの時代の俺に取ってユニ は娘で、余計にそうだったんだろう。まぁアリアが妻とかユニが娘と かイロイロ物申したいことはあるけど、それは置いといて。 でも、未来の俺はそれだけじゃなかったんだろうな、とも思う。未 来の俺は、確実に死ねるチャンスを狙っていたんじゃないだろうか。 そもそも、俺がこうして逆行しているのは初代たち歴代ボスの思惑 のせいだ。 でも、未来では俺にユニという子供がいた。それで当初の目的は達 せられた。 だけど、それでも俺は嫌だったんだろう。死んで尚、ボンゴレリン グに囚われ続けることを。その、可能性を。 だからユニの身代わりになって死んだ。あの時点でツッ君がボン ゴレリングの封印を解除したことでその力は︵一時的とはいえ︶だい ぶ減っただろう。あの時点で、同じトゥリニセッテのおしゃぶりに命 を捧げればボンゴレリングから逃げれるんじゃないかと考えたんだ ろう。 ユニを助けたいというのは本当でも、こうした下心もあったに違い ない。 心底、情けないと思う。助けたい,と言うだけでなく下心ありで行 動した自分自身が。 そして。 ﹁⋮⋮それでも、と行動してしまった気持ちが理解できちゃうんだよ なぁ⋮﹂ そうと分かっていて、未来の自分を非難できない弱さが。 ふわりと漂うタバコの煙に包まれながら、俺は酷く情けない、泣き 笑いの表情になるのだった。 297 気 づ い た ら 大 地 が 大 空 を 嫌 っ て い ま し た。⋮ マ ジ で か 炎真Side 継承式を妨害し、罪を手に入れる為に並中へ転校した僕らシモン ちょっと⋮いいかな ﹄ ファミリー。でも、転校初日からどうも僕はボンゴレに目をつけられ ていた。 古里君 ? *** ﹃あ、あのっ ! さんの甥のボンゴレと、その守護者2人。 ﹃その、話が⋮あるんだけど⋮﹄ まさかどこかのファミリーか !? ⋮⋮僕はないんだけど。 ﹃おい、テメェ何者だ 当たりだけど、一般人がいる場所で話す内容 ﹃まーまー獄寺、ちょっと落ち着けよ﹄ ? ? 気もなかったから ﹃⋮⋮もしかして、君が〟ツッ君〟 ﹄ ﹃そ、そうだったんだ⋮﹄ よく面倒を見てもらったんだよ﹄ 生なんだ。僕たちはまだそのころ小学生だったけど⋮家が近所でね。 ﹃そう、宙先生って言うんだけど⋮数年前、至門中で教えてくれてた先 は疑問符を浮かべていた。 目元を和ませて、問いかける。するとあっさり食いついたボンゴレ ﹃先生⋮ ﹃やっぱり。先生からよく聞いてたんだ、甥っ子がいるって﹄ ﹄ な、なんでその呼び名を⋮ ? ﹃えっ ﹄ てる。ただ、だからといって人気のない場所でマフィアについて話す 随分とマフィアとしての意識の低さに内心で呆れ返ったのを覚え 本当にね。 ﹄ その日のホームルームの後。そう言って声をかけてきたのは宙兄 ! ? ? 298 ! !? 嘘が通じない超直感は厄介だけど、逆に言えば嘘をつかなければい よくいろんな話を聞かせてもらっ い。言葉を慎重に選んで、必要最低限だけ言えば問題はない。 ﹃君と僕が同い年だったからかな て⋮⋮﹄ 本当にいろんな話を聞いたよ。マフィアボンゴレの血を引いてい ながら、それを一切知らずに中学まで平和に生きていたとかね。 宙兄さんが大事に思っている甥。ただ、血が繋がっているというだ けで宙兄さんからの無償の愛情を受け取って、幸せな人生を歩んでき た次期ボンゴレボス。 きっと彼は、いや彼の守護者もボンゴレも、僕たちが味わった屈辱 を何一つ知らないんだろう。ああ、本当に││││ ﹃⋮⋮縁があれば、会ってみたいなって思ってたんだ﹄ 僕は、君が大っ嫌いだ。 *** その後は、一限目の授業が始まって有耶無耶になったけど大分ボン ゴレの警戒は解けていたんじゃないかなと思う。休み時間とかは上 手く躱したし、放課後も真美に乱入してもらって誤魔化した。 ボンゴレもシモンも揃っちゃいねーじゃねぇか ﹂ それからは余計な警戒心を抱かれないように接触を避けていたん だけど⋮⋮ *** ﹁たるんでんぞ ! いた。 面倒くさいな⋮。こんな集まりに参加するくらいなら、宙兄さんの お見舞いに行きたいんだけど⋮。 ﹂ そこでボンゴレ ﹁昨日十代目が継承式を邪魔しようとするチンピラマフィアに襲われ た。継承式まで同じことが怒らないとは限らない ﹂ とシモンが力を合わせ、エリアごとに十代目を警護する ﹁な││││ !! ! ボンゴレなら、僕らを利用しなくたって警護の ? 299 ? とある休日。僕たちシモンとボンゴレは嵐によって呼びだされて !! ⋮⋮なんで僕らが !!? 人員くらいいるでしょ ﹂ ﹁いやいやちょっと待って獄寺君 いって そんな大掛かりなことしなくてい ﹁全くだ、結局は馬鹿らしいの一言に尽きる。何故客人の僕らまでそ ﹂ この巨大パフェ1時間以内に食べきったらタダだって んなことをしなきゃならんのだ﹂ ﹁お兄ちゃん ﹂ ﹂ ﹂ せめて同盟と言え このバカ ボンゴレ傘下のファミリーがボンゴレに協力すんのは当然 ﹂ ﹂ 傘下に入った覚えなどないわ だろーが ﹁なっ チン共が ! ﹁ぅおい だって正直、この話題どうでもいいからね。 ﹁古里君たちマイペースだ││││ ﹁何事もチャレンジだよ ﹁⋮⋮真美、この量を食べきれるの ! ﹁ん ママンからだな﹂ その予測に内心で憂鬱になっている時だった。 この提案は飲むしかないんだろうな。紅葉的に言えば、結局。 ⋮⋮でも、罪を手に入れる為にも継承式は中止にされたら困るし⋮ ら、確認は彼に。 騒いでいたのは主に嵐だけど、ボンゴレのボスは沢田綱吉だ。だか ﹁え、あ⋮う、うん⋮﹂ ﹁どうかな、沢田君﹂ 声をかけて紅葉を止め、真っ直ぐと沢田綱吉に目線を向ける。 から考える時間を含めて、明日まで待ってほしい﹂ ﹁そちらの提案だけど、ここにいない仲間とも話し合いたいんだ。だ ﹁む⋮﹂ ﹁紅葉、落ち着いて﹂ はぁ⋮仕方ないか。 ⋮⋮でも、これ以上騒ぎになると一般人に迷惑がかかる ! !! ! !! ! ふと、明るい電子音が周囲になり響く。音源はどうやら赤ん坊らし ? 300 ! ! ? ! ? !!! !! いけど⋮ ﹁ちゃお、ママンどうしたんだ とくぞ﹂ ⋮⋮何 ? ああ、分かった。ツナに伝え 一体何だったんだよリボーン﹂ ? ﹂ よかった、目を⋮覚ましたんだ⋮ ﹁ひろ兄が これからのことで、話をしたいことがあるんです│││ ︵宙兄さん⋮⋮︶ ましたことが嬉しい。喜ばしい。 今も意識不明の植物人間だったって事も。だからこそ、無事に目を覚 で、ボンゴレを助ける為に命を捧げたことは聞いてる。その影響で、 ボンゴレが喜ぶ中、僕らもこればかりは一緒になって喜ぶ。未来 っ ﹁ああ、朗報だ。喜べ、お前ら。宙が目を覚ましたらしいぞ﹂ ﹁母さんから ? ! !! 喜び一色になる周囲の中で、僕は唇を噛み締めて覚悟を決めた。 301 !! 気づいたら甥っ子を泣かしてました。⋮い、いじめて ないよ 今俺が何してるかって それはねー 貴方は一月近く意識不明の重体だったんで き、あまつさえタバコを吸うなどどういうつもりですか ﹁すいません⋮つい、出来心で⋮﹂ ハイ、絶賛お医者様に説教されまくってます。 ﹂ それなのに起きて早々ナースも呼ばずに院内をフラフラと歩 ﹁い い で す か え チャオチャオ、とうとう平凡卒業しちゃったひー君だよ☆ !? そりゃね、植物人間状態だった人間のベッドがもぬけの ! ﹂ !? 吸いすぎて噎せて ! うだ。あー、よかった。苦笑をしておくのも疲れるんだよ。 つらつらと現実逃避をしている間に、どうやらお説教は終わったよ ﹁はい、すみませんでした﹂ ﹁はぁ⋮今後は二度とこのような行為は控えてくださいね﹂ に。 として子供が吸ってたら取り上げなきゃいけないんだけどね、立場的 今なら獄寺君といーい話が出来そうだぜ⋮⋮なんちゃって。教師 倒れかけたけど後悔はないっ 久しぶりだったんで止まらなかったんだよ⋮ と吸い尽くしたので当然の如く服に匂いが移ってバレました。 そんな本音は勿論しまって、と。ついでに言うとタバコは一箱丸っ ﹁いや、本当に申し訳ない⋮﹂ すいません、無かったです 方、入院してる自覚あるんですか ﹁しかもタバコも軽いのではなくこんなにも重いのを吸うなんて⋮貴 んなさい。 ごめん、あの時はそれに配慮できるほど余裕がなかったんですごめ 殻で、書き置きも何もない状態じゃ阿鼻叫喚も仕方ないけどさー たよねうん あの後、精神ダメージを回復させて戻ったはいいけど、大騒ぎだっ !? すよ ? ! 302 ? ? ? ﹂ ﹂ ﹁もう、ひー君たらこんな時くらいやんちゃしちゃ駄目よ ﹁ねーさーん、俺普段からやんちゃしてないんだけどー ! 為に ﹂ うっ 主に俺の精神衛生の なんだかひー君てば年々あの人に似てきてるような気が ちょ、死んでも御免なんだけど そぉ 俺が父さんと似てきてる ﹁やめて姉さん。その名前は言っちゃいけない するのよね∼﹂ ﹁あらそう 師の役目なんデスガ。 寧ろ、やんちゃ坊主を締め上げ⋮げふんげふん⋮取り締まるのが教 ? ﹂ 俺姉さんに対しては嘘つかないよ てくれないじゃない ﹁話してるよ ﹂ 確かに誤魔化したり誤魔化したり誤魔化したりはしてるけど !? ? からといって父さんと同列にされるのは勘弁 ! !? 由はない。 間稼ぎにしかならないけどさ ツッ君たち知ってるから時 ! ︶から、本当に未来の俺の結末を知る 知られちゃヤバい事いっぱいあったし て記憶の伝達は行われていない︵だって未来の記憶でマフィア関連に 母さんには、未来の記憶はないはずだ。寧ろ未来の俺の仕業によっ ﹁⋮分かってるよ、姉さん﹂ なったら私、立ち直れなくなっちゃうわ﹂ ﹁ま ぁ、無 茶 は し て も い い け ど 無 理 は し な い で ね。貴 方 ま で い な く 言葉を言ってきたのは。 抱えている時だった。同じ声の調子ながらも、母さんが核心をついた 思わず姉弟漫才を繰り広げながら︵こんな会話は日常茶飯事︶、頭を !! だ ﹁だって、ひー君てばいっつも笑って誤魔化して⋮大事なことは話し !? ! ? ︵⋮⋮未来の俺ほど、〟俺〟はまだ生きることに絶望してないし、飽い ちゃったなー。別にしたいわけじゃ無いけども。 ⋮⋮間違っても未来の俺に共感して自殺まがいの事出来なくなっ がないはずなのに、姉弟故か、勘が鋭い時があるから。 だけど、今ここで言われたことにドキリとする。母さんには超直感 ! 303 !? !! !! てもいないし、ね︶ ファミリーを泣かせてしまったことには精神ダメージ半端なかっ たけど、いつまでもへこたれていられない。少なくとも、今の俺をこ 義兄さんにじゃなく うして本気で心配してくれる母さんがいるんだから。同じ愚は二度 と犯してたまるか。 ﹂ ﹁⋮でも、そんな台詞俺に言っちゃっていいの て ﹁あの人はそうそう倒れないもの。大丈夫よ﹂ ﹁わぁ、信頼しちゃってるぅー﹂ 信用ゼロになんないんだね、残念無念。何故に母さんがここまで父 ? 目を覚ましたって ﹂ さんを信じるか甚だ謎である。あんなちゃらんぽらんなのに。 ﹁ひろ兄 !? ツッ君が息せききって登場。 ﹁あらツッ君﹂ ほんと⋮に⋮目⋮覚ましてる⋮ ﹁やっほー、ツッ君﹂ ﹁ひ、ろ兄⋮ ﹂ !! なんて、笑顔で内心父さんに向けて毒を吐いていると、制服姿の !! だ。 あれ、安心して腰が抜けた感じ ? でも言えないこともあるし。 ! 限なく落ち込みそうだ、自責の念で。 よかった。バレたら何言われるか分かんないし、そもそもツッ君が際 今更だけどおしゃぶりズボンのポケットに隠しててよかった。超 ︵しかもリボーンが窓の外で見張ってるよー、いーやー ︶ 物凄く気まずい。ツッ君、未来で大分聞きたいことあるだろーし。 ︵⋮あー、どーしよっかなー︶ と、俺の無事を確認したツッ君がそのままへなへなと地面に座り込ん そんな感じで泣き真似の一つでもしようかな、と判断に迷っている ﹁よかったぁ⋮っ﹂ えはないぞ 挨拶したのにスルーされた。伯父さん悲しい、そんな子に育てた覚 ! ! 304 ? ⋮⋮ある意味、俺の自殺だったんだからそこまで気にしなくていい んだけどなぁ 勿論、口が裂けてもそんなこと言えないので︵だって説明するなら 絶対 ︶、結局黙秘権を行使するしかないんだけ 逆行したことから言わなくちゃいけない。元マフィアのボスだなん て言いたくないよ ど ﹁うん、分かった﹂ かーさーん行かないでーっ ないでー ﹂ 俺は立ったままでいいよ ﹁さて、ツッ君。とりあえず座ったら ! なんか随分心配かけちゃったみたいで⋮一ヶ月 ﹁いやー、ごめんね した。椅子を進めたのに断られたのは初めてだぞ。 内心で荒ぶるけど勿論表面に出さないよええ。そしてツッ君どう ﹁あ⋮う、ううん ﹂ こんな気まずい空気の中置いていか ﹁⋮ひー君、私花瓶の水代えてくるわね﹂ !! し ? りしめた。 ⋮⋮これ、完全に自責の念で思い詰めてるよね ひろ兄俺のせいで⋮ ﹂ きずって無かったと思ったんだけど⋮⋮何故に ﹂ ﹁⋮⋮ッッごめん ﹁うわっ ? ? ように謝罪してきた。 なんて困惑していると、不意に俯いていた顔を上げたツッ君が叫ぶ ! 俺の時ここまで引 困ったように頬を掻きながらそう言うと、ツッ君は掌をギュッと握 ﹁⋮⋮ッッ﹂ ねー。しばらくリハビリした方がいいかもって言われちゃった﹂ ﹁う ー ん、そ れ が 流 石 に 寝 た き り だ っ た か ら か 大 分 鈍 っ ち ゃ っ て て ﹁う、うん⋮⋮その、身体⋮⋮大丈夫 ﹂ 情報開示は仕方ないだろうし。それならさっさとやったほうがいい とりあえず、口火を切ろうかな⋮っと。ここまで来たらある程度の ﹂ 近く寝てたんだって ? ? ! 305 ! ! ! ? !! !? ﹁ど、どしたのツッ君 ﹂ 俺、俺が 未来のひろ兄が死 だから│││ごめん 守れなかった ﹁ひろ兄、未来の記憶があるんでしょ ﹂ 弱かったせいで⋮ひろ兄のこと んじゃったんだ⋮⋮ ! なくて。 ろうとしてたことに気付けなくって⋮ ﹂ 然知らなかったんだって⋮。その所為で、ひろ兄がユニの代わりにな ﹁俺、未来での戦いで知ったんだ。ひろ兄のこと、知ってるつもりで全 ﹁え、ええと⋮ツッ君 ﹂ バレてーら。ツッ君、超直感のコントロールが大分お上手に。じゃ !! それた。 ﹁俺、ひろ兄にいっぱい聞きたいことあった⋮ 死ぬ気で戦えばよかったって⋮ ﹂ と戻らなくて⋮すっごく後悔したんだ⋮ でも、未来から帰って 俺が⋮俺がもっと未来で、 きたらひろ兄が血を吐いて倒れたって聞いて⋮そのまま意識がずっ ! を顔面にお見舞いしよう、そうしよう。⋮いかん、また思考が脇道に いえば。思い出したら腹が立ったから今度会ったら熱々のステーキ ⋮⋮主に台無しにしてくれたのはあの憤怒の暴君だったよな、そう たし。 そりゃあ隠してたもの。正直、マフィア関連は関わるつもりなかっ ! ! 俺の世界に巻き込んで⋮ !! ん、とすっ呆ける案もあったんだけど。 ﹁だから⋮本当にゴメン、ひろ兄⋮ ! なる うーん⋮⋮こうなったら、アレだね。ケ・セラ・セラ、なるように ﹁⋮⋮﹂ ﹂ に付き合わねばならんのだろう。実は未来の記憶なんてありませー あと、俺はどこまで︵知ってたとはいえ︶ツッ君のカミングアウト !!! ﹁⋮っひろ兄 そんな事って⋮ ﹂ ! ツッ君に笑いかけた。まぁそんな俺にツッ君が愕然としてるけどそ 306 ! ? ? !! ? 結論として、考えるのが面倒になった俺は苦笑しながらそう言って !? ﹁⋮⋮なーんだ、そんな事かぁ﹂ ! れは置いといて。 ﹁確かに、ツッ君たちから見たら未来の俺の死に方は酷いものかもし れない。だけどね、未来の俺は│││幸せだったよ、少なくとも﹂ ﹁⋮⋮ッッ﹂ 色々打算があったとはいえ、ユニを助けることに迷いはなかった。 娘 を 助 け る 為 に 命 を か け ら れ た な ら 未 来 の 俺 も 本 望 だ っ た ろ う。 自分の子供 それは間違いがない。 ﹁未来の記憶はさ、確かに俺にとって衝撃的だったよ。ツッ君たちが マフィアとして戦ったこともそうだし、⋮⋮まだ子供のツッ君や、同 じ年齢の子供たちが、命がけで戦っていたことなんて、特にね﹂ 今でも思う。昔の︵というかパラレルワールドの︶俺、もっとマシ な案はなかったのかと。そして俺ってば知ってたくせに超白々しい なーモー ﹁でもね、未来の記憶を受け取ったからこそ分かる。⋮⋮ツッ君は、い 俺、俺ぇ て。⋮だから、それ以上自分を責めなくたっていいんだよ。もう少し ごめんなさい ! ! 肩の力を抜いて、周りを頼っていいんだよ﹂ ﹂ ﹁ひ、ろ⋮兄⋮ ふ、ぅ⋮うぁああああんん ⋮ ! 307 つだって死ぬ気だったよ。仲間を、皆を守ろうとして、これ以上はな いくらい必死に頑張ってた。それは、誰が見てもゆるぎない事実じゃ ないかな﹂ ﹂ ﹁ッ⋮そんな⋮事⋮俺、もっと⋮ひろ兄のことを助けられるくらい⋮ 頑張んなきゃって⋮ ツッ君を見て誇らしかっただろうね﹂ ﹂ ? ﹁⋮っほんと、に⋮ なんか本当にツッ君が卑屈入ってる かったっけ あれ、俺こんなに責任感強 ツッ君は自分にできる最大限を頑張ってたよ。未来の俺も、そんな ﹁⋮俺はそうやって頑張りすぎたツッ君が潰れちゃう方が嫌だなぁ。 !! ? ﹁ほ ん と ほ ん と。未 来 の 記 憶 が あ る 俺 が 言 う ん だ か ら 間 違 い な い っ ? ﹁うんうん、ツッ君は頑張ったね。偉い偉い﹂ !! ほんの少し疑問を覚えながらも言葉を尽くすと、涙腺が決壊した と俺は首を捻るのだった ツッ君が俺に軽くタックルして泣き出した。それをあやしつつ、なん でこんなに情緒不安定に⋮ *** そして泣き止んだツッ君が、 ﹁俺、強くなるよ。今度は皆だけじゃな くひろ兄も守れるように﹂と男前な宣言をして、子供の成長は早い なぁ⋮としみじみするのはまた別の話 308 ? 気 づ い た ら 大 地 に ぶ っ 飛 ば さ れ て ま し た。⋮ 針 千 本 も嫌だけどさぁ ふふーん、そ 原因不明の昏睡状態だったってことで検査し 未来の件について追及されなかったっのかって まくってて、気づけば数日たってたひー君だよー え れが聞かれてないんだなぁ お蔭で常識ある ! ﹁うーん⋮﹂ だけだろうって ナンノコトカナー 後もマフィアにはなりたくないしねー⋮⋮ん 問題を先送りにした あったとはいえ、やっぱり質問の嵐に答えるの面倒くさいし。正直今 いやー、よかったよかった。既にツッ君によるカミングアウトが ツッ君たちは訪ねてこれないし、リボーンもなんでか来てないし。 た俺は、あの日以降面会謝絶になってるんだよね なんと、あの初日の大脱走で︵病院側の︶信頼を思いっきり失くし ? いえーい、皆元気ー ! ? ? ﹁ぐふぅっっ ﹂ と、そこまで考えた時、不意に窓から影が入り込み フッ⋮ な気がするんだよね なーんか、目が覚めちゃったというか⋮⋮⋮⋮⋮⋮誰かが、来そう みに今の時間帯は深夜2時。 なんてことをつらつらと考えつつ、読んでいた本から目を離す。因 ? てギブギブギブ ゆーかぁ ﹂ 悠 長 に 解 説 し て ら れ な い っ て て ゆ ー か 再会していきなりこれは酷くない !? ! !! て ベッドを中心に気を飛ばしかけるレベルの負荷がかけられる⋮っ !!?? ! ﹂ ﹂ ? 俺の言葉もなんのその。炎真はひっくい声で⋮⋮つまりは、激怒中 ﹁え ﹁宙兄さん⋮⋮前に会った時の〟約束〟、覚えてますか 大地の重力に潰されそうになりながらそう叫ぶ俺。だがしかし。 ﹁炎真君 !? !!! 309 ! ? ? だと分かる声音でそう言ってきた。 ゆーびきった ﹄ ﹃ゆ ー び き ー り げ ー ん ま ー ん、う っ そ つ い た ー ら 大 地 の 炎 ー で ぶ っ とーばす !! ﹁ま、さか⋮ ﹁炎真君 ﹂ ﹂ ちょ、タン⋮⋮まうわぁあああああ ﹂ ﹁⋮⋮で、炎真君。こうして誰にも聞こえない場所に移動した理由は ですが。 さて。病室から吹っ飛ばされて三千里。只今雲の上にいる俺な訳 *** 思わずそう突っ込んでしまった俺はワルクナイ ﹂ ﹁こんなとこで有言実行精神発揮しなくていいのにぃいいいいいいい 瞬間。破壊音と共に俺の身体は空中へと投げ出されたのだった。 !!?? ようにも、既に体は大地の炎で拘束されているわけで 己の今後の命運に予想がついて、ひくり、と頬が引きつる俺。逃げ ? ! ﹁言いましたよね 〟自分の身体を大切にしてください〟って﹂ 途端に、脳裏でいつかの言葉が蘇って ! ! 炎真の力によって浮いているとゆー、恐怖体験をしながら至極真面 目な顔でそう問う。 ﹁⋮お見通しですか、やっぱり﹂ というか自分で炎で飛ぶより怖いね、これ。こんなだから俺、高速 移動できるくせにジェットコースターとか絶叫系駄目だったんだろ うなぁ。⋮⋮閑話休題 ﹁お願いがあります﹂ ﹂ なんて雑事を考えていると、炎真はそう言って俺に頭を下げてき た。 ﹁お願い ﹁ファミリーを守る為に、宙さんを利用させてほしいんです﹂ ? 310 !!!! ? ﹁⋮⋮それは、﹂ ﹂ ﹁分かっています、何を頼んでいるのかは。それでも⋮それでも僕た ちはもう止まれない⋮ それが、分かっているのに⋮ 思わず数秒沈黙するも、炎真の辛さのあまり泣きそうなその表情に 言葉が止まる。 ﹂ ﹁家族の仇がこんなにも近くにいて⋮ 我慢なんてできないんです⋮ ! い。戦うことしかできない。 ﹁⋮⋮茨の道になるよ﹂ ﹁はい﹂ ﹁二度とシモンの名を名乗れなくなるかもしれないんだよ ﹂ ? ﹁それでも、このままにはしておけないんです﹂ ﹁ファミリーを傷つけることになっても ﹁誇りを汚されたままよりマシです﹂ ? ﹁シモンを終わらせた最後のボスとして歴史に残るとしても ? のはよく分かっているんだ。 ﹁ファミリーを⋮家族を全て喪うことになっても ﹂ だからもう、どれだけ俺が言葉を尽くしたとしても彼が止まらない でこういったことを言わないのも、よく知っている。 分かっている、炎真の覚悟が口だけじゃないのは。炎真が冗談や嘘 口をついて出る。 それでも、彼の傷つく姿を見たくないエゴで彼を引き止める言葉が ﹁本当に守りたいものを守れるならば、汚名の一つ二つ構いません﹂ ﹂ ﹂ けれど、だからこそ。彼はボスとして引き下がれない。逃げられな 無謀なことか。 炎真も分かっているのだ。自分が、自分たちがすることがどれだけ ! 等に交渉するために呼び名を変えて。 いつものように、〟宙兄さん〟と呼ばずに。シモンのボスとして対 らを見てくる炎真。 ただひたすら真っ直ぐと。譲らぬ視線で、覚悟を宿した目で、こち ﹁そうさせない為に、宙さんを利用させてください﹂ ? 311 ! その覚悟は、まさしくシモンボスとして相応しいものだろう │││だから ﹁いいよ﹂ ﹁⋮⋮え﹂ ﹁俺を利用して、存分に﹂ 俺は微笑みすら浮かべて、炎真の頼みを了承した。 *** 翌日、デーチモにある連絡が届く。 それは、彼の叔父が強襲され、誘拐された事。そして、彼の叔父の いた病室の壁に書かれた文面。 〟我々はボンゴレの罪を許さない〟 312 気づいたら墓参りしてました。⋮久しぶり、親友 さて、シモン陣営につくことを決めた俺は、早速炎真にあることを 頼んでいた。それが何かって 大 地 墓参りするのにシモン島へ行くじゃん 重 力 操 作 でも俺、未来での の ? 河 の 凍 結 能 君 力 ﹁⋮必要があれば、俺たちが出向けばすんだしな﹂ かったしね﹂ 真 ﹁そ れ に 炎 真 君 た ち も 中 学 に 進 学 し て、余 計 こ こ に 来 る 必 要 性 が な 込まれたんだろうな。 に忙しかっただけなんだけど。⋮⋮そして多分、その時からDに潜り いることだけをここに明記しておこう。いやまぁ、単に不良共の相手 因みに来れなかった期間はとある家庭教師の来訪時期と一致して ﹁まーねぇ﹂ ﹁宙さん、1年半くらい忙しくて来てませんでしたもんね﹂ そんなことを思いつつ、久方ぶりのシモン島で感慨にふける ﹁うわー、久しぶりだなぁ﹂ 白蘭に借りを作りたくないってのもあるし だったから、いっそ丸一日連れ出しちゃえばいいと考えたんだよね。 う。前回は何がキッカケで山本を不意打ちしたのか分からないまま このタイミング継承式前日で墓参りは、我ながらベストだったと思 ︵⋮⋮ま、これで山本が殺られる可能性はなくなったわけだし︶ 身体の補助要員が必要になる訳で。 薫 と こ 見 せ た こ と な い し ー。そ う な る と 自 動 的 に 墓参りの足要員 と、 炎 あーちゃんの力 が 必 要 な ん だ よ ね。⋮⋮ 夜 の 炎 は 裏 技 だ か ら 使 っ た 氷 し か も シ モ ン 島 へ 行 く 方 法 っ て 基 本 炎真や真美ちゃん と か、 ことで体本調子じゃないじゃん いやね まぁどっちかっていうと炎真というより薫君にだけど。 ﹁うん﹂ ﹁⋮⋮気にしねーで下さい、宙さん﹂ ﹁や、ほんとありがとね薫君⋮﹂ ? ﹁そうだね、誰かさんが無茶して入院した時とか﹂ 313 ? ? ﹂ ﹁はっはっはー 妙に視線が痛いぞー あっれれー ﹂ それじゃここからは俺一 何かなー2人してそんな目で 急に元気が湧いてきたなぁ ﹁あぁっとぉ ? 子供相手に情けないって 常に少数精鋭の兵なんだからね 負っちゃうでしょ 何言ってんの、シモンファミリーは ぼさっとしてたら俺が︵心に︶重傷 ? 線香に火をつけ、供える。ついでに、こっそり持ってきていたタバ る。生憎今日は病み上がりということで掃除は出来ないけど⋮ それでも、それを洗い流すかのように桶から水を汲んで墓石にかけ パシャ⋮ えているとなれば、平常でいられないのが人というもので。 別に、ここに来たのは初めてではないのに。それでも、大一番を控 そうして辿り着いた墓石を見て、年甲斐もなく声が震えそうになる ﹁⋮⋮久しぶり、親友﹂ 真の、墓 その中でも、俺が向かうのはシモンボスが眠る最奥の墓。⋮⋮⋮⋮ するファミリーに殺されたシモンファミリーの両親たち この墓地で近年の真新しい墓は7ヵ所。それは全て、ボンゴレに属 その勝手知ったる場所を無言で進む。 ﹁⋮⋮﹂ │││代々の、シモンファミリーが眠る墓地 │││そこは、この島で一番人の入り込みにくい場所 の場に足を踏み入れる。 ぐだぐだと誰にするでもない言い訳を内心で言いつつ、ザク⋮とそ !! ! え 立ち上がると、墓参りセットをもって颯爽と歩き始めたのだった。 形勢不利を察知した俺はすぐさまそう言って︵薫君の支えなしで︶ アディオス 人で行くから 俺を見てー ! コにもつけて、くわえる。 314 !!! ! ? ! ? ! ? ﹁⋮⋮なぁ﹂ ボスとしての責任感も半端じゃ ゆらゆらとゆれる煙に惑わされそうで、惑わされてしまいたくて ﹁炎真君は、随分いい男に育ったぞ ない。ファミリーを守ろうと必死で頑張ってる﹂ 目を閉じて、脳裏に浮かぶのは昨日の炎真の姿。覚悟を灯した、緋 色の目。あの目に、俺は弱い。 ﹁真 美 ち ゃ ん は 明 る く て 良 い 子 だ な。シ モ ン の ム ー ド メ イ カ ー だ。 ⋮⋮時々、怖いことがあるけども⋮⋮でも、みんなに愛されてる﹂ ﹂ ぽつり、ぽつり。少しずつ少しずつ、俺宙の知ってるシモンの現在 状況を呟いて、墓石へと目を向ける。 ﹁⋮⋮なぁ、真。お前は今、どんな気持ちだろうな ど。 ! ﹃⋮⋮頼む、炎真たちを守ってくれ﹄ ﹄ ﹃お前に⋮俺の知っている宙という青年に⋮⋮託したい⋮ を⋮シモンファミリーを⋮⋮守ってほしい⋮ それでも ! 守って、みせる⋮ ﹄ 何があっても⋮俺は⋮シモンを⋮炎真たちを⋮真の守ろ うとしたファミリーを⋮守る⋮ ﹃っ誓う⋮ 炎真たち 勿論、返事が返ることも、あの姿が視界に移ることもないのだけれ ? ? ああ、勿論だ。これ以上、ボンゴレの罪もシモンの罰も後世には必 中で言ったあの言葉を俺がどんなに喜んだか知らないだろう これ以上子供たちに⋮子孫に先祖の業を負わせたくないと悲痛の ﹁⋮⋮真。お前の守りたかったもの、確実に守ってみせよう﹂ と思えるだろうか│││否 あの行動を、決意を、覚悟を知って。どうして徒労に終わらせよう 誰がどう見てもボスのそれだ。 手段すら問わず、我武者羅にファミリーを守ろうと奔走する炎真は、 それにもう、シモンを守ろうと立ち上がったのは俺だけじゃない。 しんです﹄ ﹃お願いがあります。ファミリーを守る為に、宙さんを利用させてほ !! 315 ? ⋮あの時の誓いは、今も胸にある ! ! 要ない。 ﹁ここで、全てを終わらせよう﹂ 罪に悔いるのも、過去に縛られるのも、立ち止まるのも、振り返る のも⋮⋮全て全て、終わらせよう。 ⋮⋮だからさ、全て終わった後にまたここに来てもいいか 316 ﹁次に来るときは⋮ハッピーエンドを叶えた後だ﹂ 俺はふわりと笑って、墓地を後にした ? 絶対ぃいいいいい ﹂ 継承式当日、気づけば炎真たち 気 づ い た ら 継 承 式 に 乗 り 込 ん で ま し た。⋮ 真 打 登 場ってね はろーはろー、皆さんこんにちは 仲間はずれ、ダメ にシモン島に置いてかれてたひー君だよ☆ ﹁うわぁああああん ! その懸念は大当 こうでもしないと しかもしかも、念のためと言 わんばかりに薬盛られて縛られもしたけどね 俺の事良く分かってるぅ 無理やりにでも付いてくって思われたんだろーか たりだよさっすが炎真 それだけされてどうしたかって リするに決まってんだろーが え そりゃあ勿論、 ! 縄は縄抜けが面倒だったので炎で燃やし ! ﹂ !!! ﹁なぜ君にだけ攻撃してないか分かる 君には初代シモンがプリーモ 言っている。それは嫌だ。けどなぁ⋮ グ掴めない。下手に出て行けばKY呼ばわりされると俺の超直感が ⋮⋮それはまぁ、いいんだけどーぉ。⋮⋮⋮やっべ、出るタイミン の力ゆえ、ボンゴレに恐れられ裏切られた﹂ ﹁この力ゆえシモンはボンゴレの兄弟ファミリーたりえた。そしてこ だ。 よう着地場所は会場から距離とったけど︶継承式に乗り込んだわけ で、今。俺は夜の炎を存分に活用して︵ただし、実力者にバレない ﹁それこそが大空の7属性に対を為す、大地の7属性 ははははー⋮体が本調子じゃないからシカタナカッタンダー ふりしてたらうっかりマジ寝しちゃったのは予想外だったケド。は ⋮⋮ただ、炎真たちがいなくなってから行動に移そうと思って寝た ちゃったぜ。 ふっふっふ したDは許さんが。超直感舐めんな、持ってこられた時点で飲んだフ ま、それに乗じて一ヶ月くらい眠り続けるよーな劇薬飲ませようと ! ? !! ! だったのに置いてかれるってどゆこと い や ぁ も ー 本 気 で 焦 る よ ね。だ っ て 俺 も 継 承 式 乗 り 込 む 気 満 々 ! ? ? ? 317 !!! ! !! 薬は全て飲んだフリ ? ﹂ に受けた苦しみをしっかり味わってほしいんだ﹂ 炎真 お前みたいな奴が何故こんなことを ﹂⋮ ! ﹂ ﹂ 宙兄さんを何度ボンゴレの業に巻き込んで死 これ以上僕らから大事な人を奪おうって言うなら⋮⋮ ﹂ なんか俺の覚えてる展開じゃなーい ﹂ ﹂ それとも君に 俺の存在のせいで気づいたら友人ルート無く 僕を倒すチャンスは今しかないんだよ なってたんだねごめんね ﹂ ! ﹁ツナ ﹂ てるラッキー。 再度ツッ君終了のお知らせ。ついでにボンゴレリングも全部壊れ ﹁がはっ 思わず内心で謝りまくるが、事態は俺にお構いなしに進むわけで。 ﹁ぐっ⋮なめるな とってファミリーがやられたことはどうでもいいことなの ﹁どうしたの ! な ん か ご め ん ね しかもそんな事考えてる間にツッ君終了ーぅ ﹁ぐあっ ﹁ボンゴレなんて亡ぼすまでだ あっれぇー ? ! ! ? ? !! ? ! !!! なせかけた んを巻き込んできた ﹁ただでさえ憎いボンゴレの人間で⋮っそれに加えて君は何度宙兄さ あり ら知ってる。宙兄さんから教えられた時から大っ嫌いだったさ うん、よし決めた。ツッ君やられるまで待っ﹁僕は君をずっと前か !! て出てきそうだからなぁ⋮。 ﹁何故だ炎真 ! ﹁⋮君がそうしたんじゃないかっ﹂ ﹂ ように未来同様粉々に粉砕したい。でも俺がやると初代が嬉々とし 本音を言えばめちゃくちゃ俺がやりたい。初代が二度と現れない ビキビキッ ならない。 今後のためにも力を得るために、ボンゴレリングは一度砕かなければ 代 理 戦 争 の た め に も ﹁⋮ !! ? !! 318 !! ? !? !! ﹁う゛ぉおおい そこまでだぁ ﹂ !! うっと。 ﹁ガキだけで俺たちに敵うと思うなよぉ 丁度良く、いい台詞も来たことだし。 ﹂﹂﹂﹂ !!! 俺はそう笑いかけながらも、その胸にあるおしゃぶりを輝かせてシ ﹁俺がいるからね﹂ 絶対的強者と認めさせ、会場全てを跪けさせるように。 それはさながら、ボンゴレのボスであった時のように。存在だけで ﹁子供だけとは限らないんだなぁ﹂ る。 させるように⋮カツリ、カツリと靴音を響かせて会場内へ歩みを進め そして殊更ゆっくりと⋮⋮見せつけように、威圧するように、委縮 ﹁残念、﹂ 瞬間、俺は今まで抑えていた気配を出した。 ﹁﹁﹁ ﹂ あぁうん、ディーノさんたち出るみたいだし、俺もいい加減出よ ! モンを庇うようにボンゴレの前へと踏み出したのだった。 319 ! 気 づ い た ら 浅 蜊 に 宣 戦 布 告 し て ま し た。⋮ 後 は 野 と なれ山となれ 昔とった杵柄を最大限活用して継承式にお邪魔し ﹁俺がいるからね﹂ ちゃおっす ﹁ひろ兄⋮ ﹂ ﹂ ﹁宙兄さん⋮ ちゃったらもんのすごーく視線が突き刺さってるひー君でーすっ ! !? 何故ここに⋮ ﹂ !? ないからこんな言葉も当然来るか。 ? 俺 は素質ある一般人、それがボンゴレ内 デーチモの叔父 ﹁おい宙、それは何のマネだ ﹂ 俺の努力が実っててなにより。⋮⋮もう意味ないけどねー での認識のはずだ。 てこなかったもんねー。 まー、今まで欠片たりとも裏の人間として殺気を出せるなんてみせ 言いつつ、微量の殺気を向ければ、息をのむ九代目達 ﹁宙く﹁ですが、今は昔話をしに来たわけではないので﹂⋮ッッ﹂ とはいえ、分かってて来たんだから上手くあしらわないとね。 ﹁⋮ああ、お久しぶりですねお爺さん。10年ぶりでしょうか ﹂ ま、ここに居るのは次世代のボンゴレとシモンを担うボスだけじゃ ﹁宙くん⋮ 根っ子が似てるよね俺たちってやっぱり。 そしてツッ君と炎真のリアクションがクリソツ。なんだかんだで !? ? リボーンがめっちゃ見てくるー 見て分からないかな、家庭教師君 だーこーわーいー ﹁うん のか﹂ ﹁⋮⋮﹂ リボーンがー ? 止めて│ で戦えるんじゃないかって探られてた記憶より居心地悪いよー 未来 ! ! ! 俺が今、どんな立場にいる ン。その目には⋮完全に警戒と、探るような色が浮かんでいる。やー 内心で軽く遠い目をしていると、次に話しかけてきたのはリボー ? 320 !! ! ! ? ﹁ひ⋮ひろ兄 ﹂ ﹂ と、そこで。漸く停止状態が解かれたらしいツッ君が俺を呼んだ。 ﹁宙兄さん﹂ ﹁⋮炎真君たちは下がっててくれる ﹁⋮⋮分かりました﹂ ﹂ なんで⋮炎真たちと⋮ 吉の叔父としているんじゃない。 ﹁ひろ、兄⋮なんで⋮ ? 俺⋮ひろ兄を返してもらおうと思ってここに来た⋮のに⋮ ﹁⋮⋮ねぇ、ツッ君﹂ ﹂ ひろに、誘拐されて⋮ 俺は敢えて、ニッコリと他人行儀に笑ってみせる。今の俺は沢田綱 ﹁│││っっ ﹁やぁ、ツッ君﹂ るその心境。だとしても。 構なパンチだったようだ。同じ〟俺沢田綱吉〟だったからこそ分か 分かってはいたけれど、俺身内がここに敵として立っている事は結 る。その表情に浮かぶのは、疑問、困惑、焦り、│││動揺。 途端に戦闘態勢に入る炎真たちを押さえ、真っ直ぐとツッ君を見 ? ? す。 ﹂ ﹁もし君が、獄寺君や山本君を目の前で殺されたらどうする ﹁え⋮ ﹂ くるツッ君。それに対し、しゃがんで目線を合わせた俺は逆に問い返 未だ炎真の炎によって受けたダメージで地に伏しながらも、問うて ! ? ﹂ ﹁その相手を⋮仇を、取りたいと思わないかい ﹁それ、は⋮ ﹂ ? ? かべて。 ﹁⋮⋮それがマフィアボンゴレの業でしょう ノーノ九代目﹂ ツッ君に向けた他人行儀な笑みすらなくし、冷え冷えとした表情を浮 歌うように言いつつ、立ち上がって再度九代目へと視線を向ける。 ﹁目には目を。歯には歯を。││復讐には復讐を﹂ 予想外な言葉だったのだろう。呆気なく、ツッ君は言葉を喪う。 ! 321 !! !? 静かな声音で、けれど誰にも邪魔されないような強い語気で。 ? そして敢えて、お爺さんではなくノーノという呼称を使う。一般人 ﹂ としてではなく、一人の裏社会の人間として対等な目線をもって。 ﹁⋮っどういう意味かね⋮ ﹁〟血の洪水事件〟﹂ かな 門外顧問の管轄で起きた、この惨劇を﹂ わざわざ独壇場にしてトップを抑えたはいいけど、次はどうしよう ︵さて、と⋮︶ しめるために。 ボンゴレには、シモンに報復されるだけの理由があったのだと知ら かでも正当性を持たせておく。 る。それ故に、こういうやり方は好きじゃないけどシモンの復讐に僅 ンをボンゴレに反抗した愚かなファミリーとして舐める奴が出てく それでも、ここでボンゴレの罪を明らかにしないと⋮⋮以後、シモ 親友だ﹂ ﹁濡れ衣を着せられ、ボンゴレに殺された│││シモンのボスで、俺の ⋮だからごめんね。俺は君たちを傷つけるよ。 ﹁⋮⋮その男の名は、古里真﹂ 君には平常心を失ってもらう⋮⋮多少の時間稼ぎとして。 今はまだ、悟られるわけにはいかない。だからこそ、九代目とツッ ﹁そして彼は⋮真犯人によって妻もろとも殺された﹂ れば乱されるほど、その精度は落ちていく。 超直感といえど無敵ではない。動揺すればするほど、感情が乱され してその犯人に仕立て上げられたのは1人の古美術商の男﹂ ﹁6年前。何者かによって、門外顧問の部下が大量に虐殺された。そ 厄介な超直感を、封じるために。 ﹁覚えていますか 鋭く、斬り込むように。否、言葉の刃をもって、斬り込む。 !? 無いとか言わないで。自分が一番分かってるから︶はずっと出ていた ので、一部以外は皆指一本動かせてないと思う。殺気とか威圧感とか 諸々混ぜた特製オーラでござい。ビアンキのポイズンクッキングに 322 ? 因みにボンゴレボスとしての絶対的強者オーラ︵ネーミングセンス ? は劣るだろ│けど。 ﹁そんな訳で、俺はシモンの味方で共犯者なんですよ﹂ そんな感じで会場の空気を支配しつつ、玲瓏な雰囲気を残したまま 俺 が相 大空のアルコバレーノ 九 代 目 に 笑 い か け る 俺。そ し て こ こ ぞ と ば か り に お し ゃ ぶ り に 繋 がっているリボンを掴んで見せびらかす。 ﹂ ﹁│││だから、シモンを殲滅しようとするなら先ずは 手になってあげるよ ﹂ ﹁⋮⋮またね、ツッ君﹂ ﹁ひろ兄⋮ と、そこで制止の意味で声をかけてきた炎真に頷きつつ、踵を返す。 ﹁ん、分かってるよ炎真君。宣戦布告はこれくらいにして帰ろうか﹂ ﹁⋮宙兄さん﹂ ように誘導するための布石。 これもまた、必要な牽制。確実にツッ君たちだけがシモン島に来る ? 背後から掛けられた声に口角を上げながら、俺と炎真たちは会場を 後にしたのだった 323 ! 気 づ い た ら 大 地 に 吊 る し あ げ ら れ て ま し た。⋮ 静 ま り給えー 真っ最中。 の 守 護 者 嵐 の 守 護 尾 者 行 が 大体、こーゆーの得意なのって 超直感持ちの俺と初代霧の守護者のD から殺っちゃうのはマズイし。 何故貴方がボンゴレの奥義を !? 名乗れないだろう ウッソでーす ﹂ そう簡単に奥義なんてコピーできませーん 元か ! ら 屈かは分からんけど⋮大丈夫っ、そこら辺はザンザスが生き証人だか かんだであの氷の中にいれば傷を負わないしね。イマイチどんな理 るだろ。ファーストエディション自体は死ぬ気の炎で溶けるし、何だ 落下させる。ま、あっちにはマーモンいるしちゃんと見つけてもらえ ボンゴレ側 自分で自分に突っ込みつつ、コヨーテさん氷柱を作成して海中へと ﹁Arrivederch﹂ ﹁ぐああああっ﹂ も程があるね ら出来てたのをさもすぐに出来るようになるとか俺ってば嘘つきに ! そしてここぞとばかりに大見得きってみる俺。 ? ﹁たかが一マフィアの奥義ぐらいコピー出来なきゃアルコバレーノは ﹁馬鹿な ﹂ 無意味なんだけども。とはいえ、ボンゴレを本気で敵に回す気もない いやまぁ、こっちにはジ ョ ー カ ー が 2 人もいるからそれもそれで もー。 基本クロッカンさんでしょーが。コヨーテさんが来てどうすんのさ、 霧 全く⋮ストーカーは犯罪ですよー ? 只 今 コ ヨ ー テ さ ん を フ ァ ー ス ト エ デ ィ シ ョ ン で 凍 ら せ て 足 止 め ﹁零地点突破﹂ さて、継承式の会場を後にしての帰り道なんだけど。 !! ! ﹁ん なんだい炎真く⋮﹂ 324 ! ﹁⋮⋮ねぇ、宙兄さん﹂ ! ? 留守番しててもらう約束だっ と、そこで意気揚々と謎の理屈をこねていた俺に炎真が声を掛けて きた、のはいいんだけどぉ⋮ ﹂ ﹁なんで、継承式に乗り込んできたの たよね や ば い ? んで、来たの ヤバいー ﹂ マジでヤバいー 炎真が久しぶりにマジギレしてるー これが激怒してるサイン お、怒っちゃって⋮マス⋮ ﹂ ため口嬉しいな ﹁えっ、いやっ、あのっ、⋮炎真君 炎真が敬語じゃない と知らなけりゃね ﹁へぇ。怒られないとでも思ったんだ ﹂ 大人としての恥や外聞は マジギレしてる炎真相手にそれが出来るならどうぞ ﹁え、ちょ、そんなことは⋮ ﹁私知ってる ﹁真美ちゃん ? ﹂ 紅葉君 これが自業自得って奴だよね ﹂ あーちゃん 誰でもいいから炎真から助けてヘ らうじくん そりゃ舌の根の乾か ﹁じゃあまたもう一度があったら乗り込まないんだ グラヴィタ・デッラ・テラ ﹁⋮⋮えへ♪﹂ ﹂ ﹁大 地 の 重 力﹂ ﹁わーっ 躊躇なしに吊るしあげなくてもいーじゃん 薫君 !! ! ! ぬ内に肯定した俺が言う台詞じゃないけどさ 真美ちゃん しとぴっちゃん ! ﹁ちょ、誰か ﹂ ジュリー君 ルプミー ! ? ! ! ﹂ ﹁どうせ口先だけで反省してないんだから謝らないで﹂ やってみなよ、俺には無理無理 ? ! ! ! どうしたって 思わず空中で土下座しちゃうよね。え ﹁すみませんでしたぁ !!! ! ? ! ! !?! ! ﹂ 軽く死にかけながら助けを乞うが、だがしかし。 ! ﹂ 超直感がガンガン警報鳴らしてるー ﹁わざわざ薬盛ったり、縄で縛って閉じ込めてきたりしたのに⋮⋮な ! ? ! ! 325 ! ? ! !!! ? !! ? ! ! あっれぇー ﹁炎真を怒らせた宙さんが悪いかと⋮﹂ ﹁おいらもそう思う﹂ ﹁結局、約束を破る方が悪いのではないか﹂ ﹁今回ばかりは宙さんが悪いかと⋮﹂ ﹁だな♪﹂ ﹂ ﹁そーダネ﹂ ﹁悉く酷い どっちが ﹂ ただ俺の行動束縛したいだけだろーが ﹁酷い !! つかD、お前は !! !? 何も満場一致で俺を悪者に仕立て上げなくたって !!!! 宙兄さんが何をしたか、あの行動の意味を﹂ ? 一般人認識されなくなったんだよ ﹂ ⋮⋮後戻り、出来なくなっ ? ﹂ !! そこまで背負わせるつ これでもう、宙兄さんは元の生活に戻れなくなって ﹁炎真君は相変わらず優しいねぇ﹂ ﹁茶化さないで ﹂ マフィアに縛り付けられるんだよ もりはなかった、のに⋮ ⋮一生 ! まぁ、最初にこの話を持ってこられた時から炎真ならそう考えるだ ! !? 笑みが零れる。 ぎゅうっと拳を固く握り、後悔している炎真の姿を見て⋮⋮つい、 るつもりだったんだ⋮ 撃とうとしてる⋮っ。だけど、それはあくまで人質としてだけ利用す ﹁僕は確かに宙兄さんを利用して⋮継承式を開かせ、ボンゴレを迎え しばし遠い目になるけど、続けられた炎真の言葉に目を丸くする。 たって言うのに⋮ ⋮ ﹁あれ継承式乱入でもう、宙兄さんは裏社会の人間として考えられた ハメになるなんて記録更新だ嬉しくなーい⋮ うわーあ、数日前にも聞いたばかりなのにこんな短時間でまた聞く ﹁分かってるの ドス声にひくり、と頬が引きつる。 て実はそこそこ余裕だった俺だけど、背後から聞こえてきたひっくい 吊るしあげられつつ、非難の視線を送るという小器用なことをやっ ? ! 326 ? ! ! ろうと思ってたけどね。俺はあくまでシモンに利用されただけの人 質であり一般人被害者。そういう体裁にしておけば、万が一が起きた としても俺の安全は保障される。 だけどね、炎真。俺が君の行動を予測できるように、君だって俺が 俺はシモンの味方で共犯者だって。あの時、 大人しく一人安全地帯にいることを了承しないって分かってただろ う ﹁会場でも言っただろ 真を助けられなくて後悔したのは他ならぬ俺だから⋮⋮覚悟は、ある よ﹂ それに、炎真の思う最悪の事態には決してさせないから、ね。だっ ﹂ たら、あそこ継承式会場で最大限シモンの為になるよう動いた方がい い。 ﹁宙兄さん⋮﹂ ﹁それに、シモンにも後ろ盾の一つ二つあった方がいいだろう の後ろ盾にあると知らしめれれば、これ以上ない牽制となる。 アルコバレーノ、それはマフィア界最強の7人。その一角がシモン ? ﹂ ﹁アルコバレーノの名は、伊達じゃないことをマフィアならよく知っ てるからね﹂ ﹁⋮そういえば、そもそもアルコバレーノって ﹁あれっ﹂ 自分で自分は最強なんだーって しまった、シモンはほぼ世捨て人に近いマフィアだった え、これ俺が説明するの 罰ゲーム。 何その ! ? ? ﹂ ! ﹁ふむ、成る程 結局宙さんの凄さはマフィア界に知れ渡る凄さだと いって宣言するのはちょっと⋮ いやね、俺はナルシストでもリボーンでもないんで、自分で自分を強 数瞬考えた結果、俺は嘘ではないがぼかした言い方で誤魔化した。 フィア界で一目置かれる存在ってことだよ ﹁あー、まー、その⋮なんだ。アルコバレーノって呼ばれる7人はマ ? ﹂ ﹁俺がっていうよりアルコバレーノの名が、なんだけどね∼﹂ いうことだな ! ! 327 ? ? 実際、アルコバレーノになってから俺がしたことって実質未来での 身代わりくらいだし。他はなーんもしてないから強さ自体も知られ てないんだけどね。 ﹁⋮⋮﹂ あー、でも炎真はまだ不満顔だなぁ⋮。大方、それでもマフィアの 世界に巻き込んでしまったんじゃないかって考えてるんだろ│ケド。 ﹂ ﹁⋮それと、言っとくけどあそこでアルコバレーノだっていったのは ﹂ 僕たちの為シモンの後ろ盾だけでなくて 俺にもメリットがちゃんとあったんだよ ﹁え んだけどな てーか、俺ひとっことも一般人でいること諦めるなんて言ってない ? ? くなってただろーし﹂ ﹁⋮勧誘とはどういう意味でしょうか ﹂ ってこと﹂ ? よね を損ねたらまずい強者だと思わせればいい。発想の逆転って大事だ 無力な一般人という言い訳が使えないならいっそ、手を出して機嫌 なくなるしね﹂ 手強者だと思わせたんだよ。そうすれば無闇に手を出すことはでき ﹁だから敢えてあそこで、既にアルコバレーノであり、御しきれない相 なんだけど 入ったりしたら苦労するからね。まぁそれがある意味今の状況な訳 実際、アルコバレーノになれるだけの力がある人材が敵対組織に 俺をボンゴレに引き込もうとするに違いない。 となれば、九代目の事だ。今までの勧誘なんて目じゃないくらい、 こと新たなアルコバレーノは九代目に知られていただろう。 きたツッ君たち︵主にリボーンとか︶がいる以上、遅かれ早かれ俺の 未来の俺は記憶は引き継がせなかったけど、どのみちその目で見て マフィアが見逃すと思う コバレーノになれるほどの力を持つ、若しくはその素質ある逸材を、 ? ? ﹁えっとねー、未来での戦いの事は聞いてるでしょ そうなるとアル ﹁うん。寧ろ、あそこで言っとかないとマフィアからの勧誘断りにく ? ! 328 ? ! ﹁⋮⋮誰だって、眠れる龍を起こしたくはないでしょ ﹂ ? ﹂ 俺的にシモンとしても美味しい、俺個人と 言いつつにっこりと笑うと、何故か沈黙が下りる。そして気まずそ うなシモンの皆々様 そう思わない ﹁⋮⋮宙兄さん﹂ ﹁え、あれ しても美味しい作戦だと思ってたんだけど⋮ ? ⋮﹂ ﹂ ⋮⋮ ﹁あ、そういえば俺土下座したままだったね﹂ やっべぇ俺超カッコ悪い。 ? ﹁⋮ハッハッハー﹂ ランボ│、ちょっとバズーカ貸してくれるー したいことが出来たんだー 過去に戻ってやり直 ﹁⋮せめて、その体勢を止めてから言ったほうが良かったと思う、よ ﹁けど ﹁⋮その、作戦としては納得⋮うん、できるんだけど⋮﹂ 素で首を捻る俺に、代表して炎真が口を開く。 ? ? カラ笑いをしつつ、俺は本気で十年バズーカを欲したのだった 329 ? 気 づ い た ら 家 庭 教 師 が 大 空 を 見 守 っ て ま し た。⋮ な んか悪寒がする リボーンSide ツナの伯父の宙という男は不思議な奴だった 家光の義弟で、ママンの実弟。ツナと同じく争い事が嫌いらしく、 職種は平凡な中学校教師 容姿はそれこそ争い事と無縁な優男に見えるが、10年程前からあ のザンザスと対等に渡り合うだけの実力があったという。九代目は それを気に入り、家光の渋い顔を説得して自らボンゴレに迎え入れよ うとしたこともあるそうだ まぁ尤もそれは本人の意向ですぐさま却下されたようだがな そんな前情報を調べておきながらも、実際に会うまで俺の評価はや はり運のいい一般人どまりだった 九代目や家光から聞いた話でも、ザンザス相手に生き残っていたの も運が良いからだと結論づけられていたからだ。あの2人が所謂猛 者と呼ばれる実力を持ち、九代目に至っては超直感を持っているの 赤ん坊 だ、無理に疑う理由もない とはいえ、俺のこの姿も初対面時から動じず、笑って受け入れるよ うな性格をしていたことには驚いたがな。しかし、ママンもなんだか カ テ キョー んだですぐ馴染んでいたことから、姉弟揃って度量が広いのだろうと 思っていた ツ ナ か ら そ も そ も、宙 と の 接 点 が 俺 に は 少 な か っ た。ツ ナ の 家庭教師 で あ り、護衛の意味もあったのだからそう何度も護衛対象を離れる訳には いかない それに宙のツナやママン、その他ファミリーに対する表情を見れ ば、慈しみの感情が常にある。悪い奴じゃねー、寧ろ典型的なお人好 マ フィ ア の 争 い しといってもいいほどの甘さを見せる宙に警戒する理由もない 実際、骸の時はこちらの世界に巻き込んでしまったが、九代目達の 云ったほどの実力を知る所じゃなかった 330 !? そういった事柄から、俺は宙に対して守るべき護衛対象の一人︵た だし優先事項はツナに比べ低いが︶である一般人でしかなかった ところが、だ。未来での戦いでその認識は一気に変わる 細かいとこは省くが、最初に持った違和感はボンゴレボスとなった ツナの影武者となりえる実力を持ちながらも、戦いに不参加の姿勢を 貫いていたことだ マ フ ィ ア の ボ ス の 影 武 者 を 務 め る こ と は 生 半 可 な こ と で は な い。 それがボンゴレのボス、それも情勢の危うい時であったのなら尚更。 だというのに、それだけの実力を保持しながら︵ツナ達を鍛えるため とはいえ︶一切自ら戦う姿勢を持たなかった。しかも、実力があると 大方の人間にバレていたとしても、平然と一般人だと嘯いて そして極め付けなのが、ユニの身代わりとなる為に大空のアルコバ レーノに自らなったことだ ⋮⋮そもそも、俺たちがアルコバレーノとなったのは仮面の男の仕 業だ。その交代方法どころか、解呪の仕方も、仮面の男の行方も何も 知らないというのに、宙は当然のようにその行為を行った それが俺たち現アルコバレーノにとってどれだけの意味を持つの かも、きっと分かっているのだろう。マーモンでなくとも、呪いを解 きたいと切望するアルコバレーノは少なくない だからこそ、宙はあのギリギリまで真意を誰にも⋮それこそユニの 予知ですらも悟らせず、多くの謎だけを残して逝ってしまった。もし あの後生き残っていれば、確実に質問責めにあっていただろうからな そう考えると、未来でのことは悉く宙の掌で踊らされていた気がす るぞ そんなこんなで多くの疑惑が宙にはあったわけだが、過去に戻って 問い詰める前に宙の身体に異変が起きた 恐らく、未来でアルコバレーノとなった代償なのだろう。尤も、最 初は過去の宙がアルコバレーノになるとは思わずに未来での後遺症 程度にしか思わなかったがな 331 なにはともあれ、職場で血を吐いて倒れ、一時は死ぬまで植物人間 状態か、とまで聞かされたツナのメンタルは大分ヤバかった。元々、 マ フィ ア ボ ン ゴ レ ツナは俺より宙を頼りに⋮支えにしていた節があったからな。それ で な く と も 血 の 繋 が っ た 叔 父 が、自分の所属する世界 の せ い で こ う なったと思えば、責任を感じてもなんら不思議はない ⋮⋮未来で宙が死んだ後に現れたシモンの連中のこともあったし 尚更だろう そして、今。攫われた宙を助ける為に一度は中止にしようとしたこ 宙 シモン の継承式で、更なる試練がツナに襲う 助けようとしていた当の相手が、 敵の味方だったのだ ﹃その男の名は、古里真。濡れ衣を着せられ、ボンゴレに殺された││ │シモンのボスで、俺の親友だ﹄ 勿論、宙があの選択をした理由も十分すぎるほどある。シモンの連 中も、長年迫害されて⋮⋮恐らく、古里炎真と同じようにボンゴレに 家族を殺されたのだろう マフィアボンゴレとしての業が、最悪の形で膨れ上がって爆発し た。それが今の現状だ しかも悪いことはそれだけじゃねぇ。ボンゴレリングは古里炎真 によって壊され、クロームが加藤ジュリーによって攫われた ﹁頭では分かっていても今だ信じられん⋮﹂ ﹁ああ⋮。確かに少し怪しい連中だったが、シモンの奴らは悪い奴に は見えなかったぜ⋮﹂ ﹁しかも宙さんまであいつらについちまうなんて⋮﹂ ﹁⋮⋮﹂ ツナの精神も大分参っているだろうしな⋮。ボンゴレリングの修 復こそ、頼んでいたが⋮⋮どこまで本気で戦えるか⋮ そう、見通しの暗さに眉根を寄せていた時だった ﹁⋮⋮なぁ、リボーン⋮俺さ、つくづくひろ兄のこと、分かって無かっ たんだね⋮﹂ 不意に押し黙っていたツナが自嘲気に口を開いたのは 332 ﹁俺⋮未来でも思い知ったつもりだったけど⋮本当に全然ひろ兄のこ と分かって無かった⋮﹂ ついで続けられた言葉は、無知だった自分自身を嘲るようで ﹁ひろ兄が俺くらいの時に記憶喪失になってたことも⋮炎真のお父さ んと親友だったことも⋮ずっと、炎真たちの世話をして⋮⋮親友の仇 を憎んでいたことも⋮⋮なんにも、知らなかった⋮知ろうとも、しな かったんだ⋮﹂ ﹁十代目⋮﹂ ﹁ツナ⋮﹂ ﹁沢田⋮﹂ その憔悴しきった様子に、獄寺たちもかける言葉を喪うう。⋮⋮や はり、シモンだけでなく宙までもが敵に回ったことが一番キツいみた いだな⋮ ﹂ ﹁⋮⋮でもさ、おかしいんだ﹂ ﹁⋮何がだ しかしそこでふと、ツナの声の調子がどこか明るさを含む ﹁ひろ兄にとってボンゴレが敵ならさ⋮⋮俺がボス候補になった時⋮ それこそ、矛盾した言い訳だっていっぱいしてる時もあったのに、ひ ろ兄だって俺がボンゴレの血を引いてるって気づいてただろうに⋮ 俺の知ってるひろ兄は、一度も俺の事憎んだりしてないんだよね⋮﹂ それは、狂気的な明るさではなく⋮⋮今までの肩の力が抜けたよう な、自然体の明るさで ﹁俺、中学にあがって⋮お前が来るまで友達なんていなかったし、ひろ 兄が言ったみたいに獄寺君や山本を目の前で殺されたら、やっぱり相 手を憎いって思うよ。もし、炎真が言ったみたいに誰かに母さんやひ ろ兄を殺されたら、許せないって思う﹂ そして、気づく ﹁でも結局、それはあくまで俺の想像でしか無くて⋮ひろ兄や炎真た ちの本当の気持ちなんて俺には分からないんだ。だけど、それでいい と思う﹂ 333 ? ツナの目には諦めも絶望も映っていないことに ﹁俺はプリーモがシモン・コザァートを殺したかなんて分かんないし、 証明することなんてできない。ボンゴレのボスだからシモンをボン ゴレが迫害してきた罪を背負えって言われたってそんなの無理だっ ⋮って啖呵もきっちゃって て言っちゃうし。寧ろそーゆー怖い歴史なんてもう繰り返したくな いから、ボンゴレなんてぶっ壊してやる るし﹂ 申し訳なさそうにしながらも、ツナの口調に揺らぎはない ﹁ダ メ ツ ナ の 俺 に は 小 難 し い こ と 考 え る な ん て 向 い て な い よ。だ か ら、考えないことにする﹂ ダメツナ、と自分を卑下しながらも。その眼差しは真っ直ぐと俺へ と向けられていて ﹁俺、仲間として⋮友達としてクロームの事を助けに行く。炎真たち には嫌われてるけど⋮でも、俺は仲良くしたいと思うから勝手に押し かける。あと、ひろ兄のこと一発殴る﹂ 十代目 ﹂ ﹂ ﹂ そりゃあひろ兄にだって色々あるんだろうけ ザンザスの事とか、ユニの事とか、炎真たちの事とか、上げた ﹁うん、ひろ兄は一発殴る。だって、ひろ兄いろいろ隠し事多すぎるん だよ ﹂ らキリがないくらい どさ そもそも俺 困惑する周囲に構わず、ツナの口調はドンドン荒くなっていく ﹁俺 だ っ て マ フ ィ ア に 巻 き 込 ん で 悪 い と 思 っ て る け ど 挙句の果てに何度もマ マフィアのボスになんかなりたくな いって言ってるのに誰も聞いてくれないし だって巻き込まれたくないし ! ﹂ 未来から帰ってずっと鬱憤が溜まっていたからか、ここぞとばかり フィアの抗争に巻き込まれて死にかけるし !! ! ! 334 ! そして、普段のツナからは考えられないほど強気な言葉を宣言した ﹁って、え 今なんて⋮ !? ﹁きょ、極限に友人として同行はするが⋮な、殴るのか ﹁つ、ツナ !? !? そんなツナの様子に獄寺たちが驚くが⋮⋮これは俺も驚いたぞ ?? !!? !! ! ! に吐き出してるな ﹂ 事情があったとしても一言くらい言って その癖自分以外にはメ 確かに俺はダメツナだけど、俺だってひろ兄の ﹁大体ひろ兄もひろ兄だよ チャ甘だし ﹁お、おいツナ⋮ ﹂ こと心配するし支えたいって思ってるのに くれたらいいじゃん !! ﹂ ﹂ 罪悪 なにやっ どんだけこっちを心配させたら気がすむんだよ 本人のほほんとしてるし、すっごくタバコ臭かったし てんの本当 十代目ー 感の心労より先に心配で胃が痛むわ ﹁あ、あのー ﹂ そんで 俺知ってる、ああいう時のひろ兄は俺の ! !! それならいいよ、誘いに乗ってあげる ﹁きょ、極限に熱いな沢田⋮﹂ 絶対にひろ兄の思惑越えて、一発殴ってやるんだ 事試してるんだって ﹁しかもさっきのあの笑顔 ? ? 俺は九代目にそう言いながら、ニッと口角を上げた ﹁だんだん宙くんに対する悪口というか愚痴になっているがねぇ⋮﹂ ﹁ツナは問題なさそうだな﹂ 心の準備はしておけ くく、覚悟しろよ、宙 ああなったツナは頑固だからな、殴られる !!!! ! ! ? !! に ﹁未来から帰って、意識不明の重体だって聞いてすっごく心配したの !! ! ! ? 335 ? !! ! ! ﹂ ﹂ 気 づ い た ら 初 代 霧 に 愚 痴 っ て ま し た。⋮ 俺 の 酒 が 飲 めないってぇ それは、シモン島に戻って夜の事 俺ちん ﹂ ﹁ジュリー、宙兄さんが無茶しないよう見張っててくれる ﹁え じゃないんだけど ﹂ 何で俺、そんな目を離したらすぐ ﹂ ﹂ ! 真ぉー お前の子供どっちも俺に厳しすぎー ﹂ 流石に泣きはしな ! ﹂ かり息の根止め⋮⋮締め上げる可能性がある﹂ 今炎真 !!! 息の根止めるって言いかけたよね あれ 俺実は炎 ? ﹁うっかり恐ろしい可能性を口に出された 今 真に嫌われてるぅ ! ﹂ ﹁愛故って奴だよ。炎真お兄ちゃん、宙お兄ちゃんの事大好きだもん !? !!?? ﹁他のメンバーだと宙兄さんの口車に乗せられちゃうし、僕だとうっ 他の奴らにやらせればいいじゃん ﹂ たるいからそれパス∼。つーか、言い出しっぺの炎真とか いけどさぁ !? ﹁目を離せないって意味じゃ同類でしょ お前の息子が辛辣ぅー 宙お兄ちゃん ﹂ ﹁そ ん な 何 言 っ て ん の こ の 人 み た い な 表 情 や め よ う か 真ぉー ﹁身から出た錆って奴だね ! ﹁そして笑顔でトドメを刺してくる真美ちゃんって言うね ! う わ ー ん、 俺 は と う の 昔 に 成 人 し て て、目 を 離 し た ら 危 な い 赤 ん 坊 無茶する奴みたいな認識されてんの !? ? ﹁えぇ∼ ! ! ! ? ﹁炎 真 君 !? ていうかホントちょっと待って 唐突に、しかし至って真面目な顔で炎真がそう言いだしたのだ。 ﹁炎真君、前提からしておかしくない ? ? !? !? !? ! ? 336 !? ? ! ﹁重くない愛がほしいなぁ⋮﹂ ! ス ﹂ 炎真の言葉なのだから従いなさい ボ それはもう、物理的にも、精神的にも ﹁ジュリー てまた倒れられたら困るわ 宙さんから目を離し ﹂ ? よね、この季節に ? どぉ⋮ ﹁俺の大人としてのプライドが⋮﹂ ﹂ この年で、心配されるあまり監視されるって⋮ねぇ ﹁そんなプライド、星の彼方に飛ばしてあげようか ﹂ ﹂ いやマジで 俺も飛んでくよね星の彼方に ﹁じゃア、私が発酵シて土に返そーカ ﹁⋮プライドってなんだっけ﹂ そんな物理的にどうこうできるもんだっけ ? あっれー ﹁なら、俺ちんが幻覚で処理するとしますか♪﹂ ﹁⋮⋮じゃあ、俺は突き刺す﹂ ﹁おいらが地中に埋めてあげるよぉ﹂ ﹁私が氷でコーティングしても構わないですよ﹂ ﹁ならば僕の炎で細切れに切り刻んでやろう ﹂ そんな事の為に大地の奥義使わなくていいから ﹁だから炎真君ソレ物理 ? ? ﹁え、マジだったのかよ﹂ ﹂ ﹁え、本気で俺監視されなきゃダメ ﹂﹂ ? ﹂ ﹁それじゃ、何も問題はないみたいだし⋮ジュリー、後は頼んだ﹂ !! だ か ら ま ぁ ⋮ 炎 真 た ち の 心 配 も あ な が ち 大 げ さ じ ゃ な い 訳 だ け ﹁⋮⋮ちゃんとした理由でもあるの ﹂ 残ってた体調不良のせいで、あやうく海に堕ちかけるとこだったんだ ハイ、因みに炎真が言った言葉は真実です。帰り際にまだ微妙に ⋮あー、いや、それはぁ⋮﹂ は、帰り際に炎のコントロールを失敗して海に堕ちかけないよね ﹁あーちゃんあーちゃん、そんなに心配しなくても俺は大丈﹁夫な人 ! ? !! ? ! ? !! ! ﹁ 何 か 問 題 が ﹁﹁アリマセン !! 337 ! ! 息の合ったシモンファミリーの包囲網と炎真の無言の圧力によっ て、俺は釈然としないまま監視されることになったのだった *** さて。炎真の援護射撃によって、ジュリー君inDの監視をする大 義名分を得た訳だけど⋮ ︶ ︵⋮とりあえず、Dの狙いは前回と同じよーに骸の肉体ってことでい いのかねぇ 出来れば術師にそれ専用の肉体与えると厄介極まりないから避け たかったんだけどなぁ⋮⋮クロームだって不憫だし 圧倒的オーラで ︵上手くいかないなぁ、もー︶ デー チ モ だからわざわざ、継承式で場の空気を支配する、なんてらしくない こともしたのにさー。アレでDが俺のことを、ツッ君を排斥した後の 次の傀儡候補として狙わないかと画策してたのに 今この時点で、ボンゴレのボスという候補者はツッ君だけだ。分家 の存在は俺沢田綱吉に話が来る前に殺されてたし、最有力候補となる ザンザスはまさかの血の繋がりがないという欠点がある。となれば、 目障りなツッ君デーチモを殺したとしても、ボンゴレを継ぐ者がいな くなってしまう けれどそこで。初代ボンゴレボスにそっくりな容姿で、尚且つアル コバレーノになれるほどの実力者の存在が公に明らかになったとし ねー︶ やはり、Dの狙いは骸の肉体ってことなんだろ。やーだー、身体目 ﹂ ?? 当てとかハレンチーぃ︵死語︶ ﹂ ジュリー君 ていうかどっから出したんだその酒瓶 ﹁そんな訳でちょーっと付き合ってくれるよなぁ ﹁どんな訳だよ !!? ? そんなことないさー なんて戯言を考えつつ、監視役という名の監視対象、D君に絡んで !? 諸々の八つ当たりだって ? ! みる俺 え ? 338 ? またとない傀儡人形と考え、狙いを変更しようとしないだろう たら か ? ︵⋮ ま ぁ、ク ロ ー ム が 攫 わ れ た 時 点 で 目 論 見 は 失 敗 し て る ん だ け ど ? ﹁うるせぇっ、そんな老け顔してんだからちょっとくらい付き合え ﹂ ﹂ いやまぁ俺ちんは願ったり叶ったりだけど ﹂ ﹂ 俺の酒が飲めないってかぁ アーデルがなんていうか⋮ ﹁それが教師の台詞かっ よ ﹁なんだとぉ ﹁絡み酒かよめんどくせーな 全ての元凶が被害者面してんじゃねー やっかましいわ これめっちゃ年代物って奴じゃねーのか⋮ いい酒なんだからなっ﹂ めっ め て、おい ! ﹂ !? た奴だからな てーかなんでそんな酒の場所詳しいんだよ !? ﹂ !!! ! ンだよ、今度はよぉ⋮﹂ でるわけだから愚痴の一つや二つ零れるわけで⋮ ﹁あ∼ ﹁いやもうマジでどうしよう。なぁどうすればいい ﹂ に奥さんと娘がいた時って⋮ ﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮はあ ﹂ 俺はなんてサ 認知せずに子供が成 うわーっ ﹁若気の至りとはいえヤッといて記憶すらなく 長してたってそれどこのロクデナシ野郎 ﹂ 家光にすら劣るなんて死にたいー ﹁⋮それは、俺ちんに言うことか イテイな奴なんだー ? てかかなりの確率で嫌われるか引かれ イヤだよ俺炎真筆頭に純粋なシモンの皆の !? 前でそんな爛れた話するの !! ﹁お前以外に誰に言えと ? ! !? ! ! 知らぬ間に自分 そんなこんなでDを潰そうと酒を注いでいたわけだけど、俺も飲ん ﹁ああもう、マジでどうしよう∼∼∼ んだから美味しく呑んでも問題ナッシング た秘蔵酒だぜ☆どーせ何年か後に霧と雲の争いで割れちゃう定めな 因みにお酒はDも気づいたとーり、代々のボスにのみ伝えられてき でいく 完全に管を巻いた風を装いつつ、だくだくとDのグラスに酒を注い ﹁何やってんだよ ﹂ ﹁そらそーさ。継承式にお邪魔する前にボンゴレ本部行って頂いてき ⋮⋮ ! !? ! !? ! ﹁おら、 ﹁は⋮ ﹂ !!? ? ! ? !! ! ? 339 ! ? ? ! ? ! ! !? るだろ 真なんて特にいい父親やってたし ﹁⋮⋮⋮﹂ もう中学生くらいなのよ ﹂ とか言われたら動揺するだろ。寧ろしろ。 にお前だって付き合ってる女性からいきなり貴方との子供がいます。 ﹁おいこら。面倒くせぇなコイツ⋮みたいな目してんじゃねーよ。仮 ! んだろぉ ⋮愛しい相手なら、尚更⋮﹂ ﹁いや⋮フツーに自分の子供だったら驚いても祝福して受け入れるも 俺だけ動揺するなんて不平等だ﹂ ! てやろーか ﹂ ﹁⋮人が真面目に受け答えしてみれば⋮ ⋮っ喧嘩売ってんなら買っ ﹁ケッ、純情ぶってんじゃねーよリア充。爆発しろ﹂ ? !! ﹂ !!! あああ娘に会いたいけど会いたくない奥さ ! い⋮ ﹂ ん怖い奥さんの部下も怖い一生シモン島に引きこもってたいぃいい んだよ俺が一番よぉ⋮ ﹁てーかイロイロあって先延ばしにしてるだけだよそんなの分かって ﹁口わっっっっる ﹁うっせ、黙れボケ。ハゲ。マゲ。ナスビ。変な頭﹂ ? ﹁だぁあああもうっ 前も道連れってなぁ ﹂ め ﹂ 死んでも呑め ! 俺も呑む ! こーなったらお ! あんた酒瓶丸ごとこっちに向けて何する気で !!? れ、盛大な雷が落ちたのは言うまでもない 翌朝、シモン島のある場所で酒瓶にまみれたダメ男二人の姿が見ら *** すかァ ﹁って、ちょォオオオ !! !? ﹁こんなめんどくせー人だったのかよ⋮彼と張るぞある意味⋮﹂ ! 340 !? !!? 気 づ い た ら 初 代 霧 が 思 考 し て ま し た。⋮ 馬 鹿 に さ れ てる気配を察知 D Side 私が彼││〟宙〟という青年を意識に留めるようになったのはか ザンザス れこれ6年ほど前のこと。その当時に計画していた、私の考える最適 なボンゴレボスとして考えていた駒が、実は血の繋がっていない役立 たずと分かった頃でした。 ボンゴレリングはプリーモの血を引く者以外を受け入れない。そ れはただの噂でも何でもなく、厳然とした事実。 ザンザス だとすれば、多少カリスマ性などが足りなくとも他の分家の誰かを ボスに仕立て上げようかと思えば│││真実を知った駒の暴走によ りプリーモの血筋は途絶えた。 こ れ に は 流 石 の 私 も 怒 り 狂 い ま し た よ、え え。で す か ら 彼 に は 少々、反省も兼ねて氷の牢獄へと誘導してあげました。殺すにはまだ 使える要素がありましたからね。 元々、九代目に憎悪と憤怒を滾らせていた相手。多少の情報操作を すれば彼が反逆することなど自明の理。そんな風に手を回しながら も、プリーモの血筋を探していれば、九代目が次のボンゴレボスに 内々に選んだのは沢田綱吉という一般人として生きてきた少年でし た。 しかし、多少幼少の頃を観察しただけでも彼には私の望むボスとし ての素質はない。 甘いだけ、弱いだけの人間。しかも成長する環境は平和ボケした日 本。たとえ、彼が長じてからマフィアとしての教育を施したとして も、彼は欲のない⋮⋮私の望むボスとは正反対のボスへとなる事が容 易に想像出来た。 だからこそ私は、時間稼ぎのためその時は敢えて沢田綱吉が十代目 となる流れを放置することにした。ヌフフ⋮勿論、私が望む最適なボ ンゴレボスを見つけるまでの、ね⋮。 341 !! そして下手に足場が固まらない内に仕掛けが爆発するよう、シモン のボスであった古里真とその家族を古里炎真以外を残して殺害しよ ﹄ うとした、その時でした。 ﹃真っっっ そう言って飛び込んできたのは、かつてのプリーモに︵色彩こそ違 うものの︶そっくりな青年で。一瞬にも満たない間ですが、私は息を 飲みました。それでも、霧の術者らしくこの場を〟沢田家光〟として ﹄ やり過ごそうとすれば、彼は更に驚きの言葉を放って。 ﹃│││っっその口を閉じろD りました。 を知ることに、プリーモの生まれ変わりなのでは⋮ 一般人 初代霧の守護者 と疑うこともあ 一時は、あまりに似た容姿と得体のしれぬ強さ、そして何より 私 で不釣り合いな強さを手に入れる要素がない。 その個人的な付き合いに至るまでも、多少の不幸はあれどあそこま き合いはあるものの、彼は黒か白で言うなら確実に白。 マフィア 一般人 かに九代目や門外顧問といったボンゴレのトップなどと個人的な付 しかし、妙なことにいくら調べても彼の経歴に不審な点はない。確 年のことを調べ始めました。 憎しみの種を植え付けることを果たした私はその場を離脱し、あの青 それから、警戒しつつも当初の目的である古里炎真のボンゴレへの すから。 をいともたやすく見破り、知らぬはずの私の本当の名を口にしたので にも先にもあの時だけでしょう。なにせ彼は、初めて見せる私の幻術 この姿となって長い年月が経ちましたが、あそこまで驚いたのは後 !!!! は捨てましたが。⋮⋮⋮何故か妙に、プリーモの気配を強く纏ってい してきたであろうことが思いだされたので頭を振り払ってその考え まぁすぐに、彼なら私と分かった時点ですぐにイイ笑顔で殴り飛ば ? 342 !!!! る時があるのが気になりますがね 何はともあれ。彼の血液から彼がプリーモの血を引いていると分 かった時点で、彼を沢田綱吉を排した後のボスにする計画ができまし たからよしとしましょう。 ﹂ ﹁待ってたよ、ツナヨシ君﹂ ﹁炎真 呑め 死んでも呑め 俺も呑む こーなったら ! 仕立ててあげますよ。 ﹃だぁあああもうっ ﹄ ! あんた酒瓶丸ごとこっちに向けて何する気ですかァ !! ! お前も道連れってなぁ ﹃ちょォオオオ ﹄ ! 神を壊してマインドコントロールし、私の望む立派なボンゴレボスに ヌフフ⋮もうすぐです⋮六道骸のその肉体をいただいた後、彼の精 ! ! ﹁っ ⋮待って、炎真 俺はお前たちと戦う気はない ! ﹂ 夥しい数の死体が積み上げられることになっただろうからね﹂ ﹁君たちだけで来たのは正解だと思うよ。大勢で来ればボンゴレ側の ええ、私ならやれますとも 私が何よりも出来ると信じなければできるものも出来ませんからね。 精神を壊すための手段である幻術はリアリティが命、幻術を掛ける た歴代最強の術師です。 いえ、大丈夫。私なら出来ます。私は実体のつかめぬ幻影と歌われ るのも容易くはないでしょうが⋮⋮ ⋮⋮⋮ま、まぁ、彼がもしプリーモと同じ性格ならば精神を破壊す !!? !! ましょう。 ﹁⋮⋮なに言ってるの ? ﹂ !! ﹁人に心配ばっかりかける癖に全然周りを頼ってくれない、そんな馬 が。 そう内心で含み笑いをしつつ、成り行きを静観していた私でした ﹁俺は⋮俺はただ⋮ それなら何の為に君は来たって⋮﹂ その為にまず、目障りな沢田綱吉を古里炎真たちシモンに掃除させ !! 343 !!? 鹿なひろ兄をブッ飛ばしに来ただけなんだ ﹁﹁﹁⋮⋮⋮﹂﹂﹂ ⋮⋮なんと、いいますか⋮ ﹂ 吉が言い放った言葉に不覚にも黙らされたのでした。 私の嫌いな欲のない⋮純粋な炎をその身にまとった状態で沢田綱 !!!! 狡いよ炎真 俺にだって身内の︵ブッ飛ばす︶ケンリがあるの ﹁ダメだよ、宙兄さんは僕がすでに潰しといたから﹂ ﹁えっ ﹂ !! ﹂ ひろ兄の甥っ子なのが俺の誇り ! で﹂ ! 黄のアルコバレーノの言葉に内心で深く頷きつつ、私はそっと遠い ﹁てめぇら、戦う理由がそれでいいのかオイ﹂ てる彼が同一人物だなんて信じられないものです⋮。 い先日の会場を圧倒した人物と、今ここで両ボスにボロクソに言われ 彼は本当に人望があるんだかないんだか分かりませんねぇ⋮。つ ﹁力で分からせるしかないね﹂ ﹁っ言葉で駄目なら│││ ﹂ ﹁だったら、僕は彼に助けられた今が誇りだ。自分だけだと思わない だから ﹁こればっかりは炎真でも譲れない ﹁宙兄さんの身内は君だけじゃない﹂ に !? !!! 目をした 344 !! 気 づ い た ら 見 せ し め を 懸 念 さ れ て い た よ う で す。⋮ ノープロブレム ﹂ ⋮⋮ああ、〟見せしめ〟で殺されないように のでしょうか ﹁へ ﹂ ﹁そういえば宙さん。今更ではありますが姉君の保護はしなくていい ⋮ た︶たちが戻ってきて、紅葉君が先発として行った後だったんだけど ツッ君たちとメンチ斬り合ってきてたらしい炎真︵何故か機嫌悪かっ それは、二日酔いから復活した翌日の昼間の事。何時の間にやら !! えは、破滅だろう。 えもないけど︶だ。それならば、裏切者の末路はどうなる │││答 の裏切者︵とはいえ、俺はボンゴレどころかマフィアだと宣言した覚 あそこまで大々的にボンゴレに刃向かった俺は、さながらボンゴレ いる。 成る程、流石シモンの実行リーダー。マフィアの闇をよく分かって ら、納得が行く。 不意に、神妙な顔であーちゃんに言われた言葉に目を瞬かせてか ? ? とも今の俺はシモンと共に行動している。 つまり、実力的にも環境的にも殺す事が難しいのだ。 ﹁ ﹂ ﹁⋮どういうこと ﹂ ﹁⋮⋮まぁ、尤も。そうなる確率は極めて低いんだけどね﹂ め〟として殺す事が考えられる。 身内沢田奈々を出来るだけ派手に、惨たらしく⋮⋮まさしく〟見せし だがそうなると、裏切者を粛正するために何が効果的か 答えは、 しかし、俺は既にアルコバレーノだと周知しているし、そうでなく ? ? む。 ﹁姉さんの立場が、それを許さないのさ﹂ 345 ? 未だよく分からずに疑問符を浮かべる炎真たちにニッコリと微笑 ? ? 勿論、母さん自身には何の力もない。俺のように圧倒的な実力や、 シモンのように特異な能力を持っている訳ではない。本当の本当に、 母さん視点から 見たものでしかない。 どこにでもいるような平凡な主婦︵妙に器は広いけども︶なのだ。 しかし、それは ﹁護衛 ﹂ ﹁万が一のために、護衛を頼んでるからね﹂ させるように笑う。 そんなことを考えながら、俺は凄みのある笑みを引っ込めて、安心 ﹁⋮ま、でも姉さんの件に関してはノープロブレムだよ﹂ 言いつつ、今度は凄絶な笑みを浮かべる俺。因みにマジである。 ね。炎真たちには悪いけど俺直々に滅ぼしてしまうよ﹂ を見せしめで殺そうって言うなら天下のボンゴレも救いようがない ﹁⋮⋮これだけの〟殺せない理由〟があるにも関わらず、もし姉さん を殺されたらマフィア界がどうなることか。 たって俺は親友を殺されたが為にボンゴレに敵対しているのだ。姉 母 また、わざわざ 俺 の怒りに火を注ぎたい輩は少数だろう。なん アルコバレーノ ンゴレが母さんを殺そうとするとは思えないって訳だ。 う。それほどのリスクを持ってまで、たかが俺への見せしめの為にボ 識を持ち、父さんも少なからず割り切れずに苦いものを抱え込むだろ もし母さんを殺せば、確実にツッ君たちはボンゴレに不信と敵対意 い対象はないのだ。 ボンゴレ視点で見れば、母さんほど守るべき対象、殺してはいけな も知らない一般人だからね﹂ 綱吉ボンゴレデーチモの実母でもある。⋮何より、姉さんは本当に何 プ・沢田家光のたった一人の妻だ。また、次代のボンゴレボス、沢田 ﹁姉さんは自身が知らずとも、ボンゴレNo2であり、門外顧問トッ " 万が一、暴走で母さんを狙う奴がいてもチェッカーフェイスなら負 けることはないだろう。⋮⋮ま、ラーメン一ヶ月で動いてくれるとは 思ってなかったけど 346 " ﹁そ。とあるラーメン好きの人類最強にね﹂ ? 気づいたら大地が動くようです。⋮さぁ、行動開始だ ツナSide ﹃シモンファミリーは、ここに宣言する。古里炎真が10代目のシモ ンボスを継承し、ボンゴレへの復讐を果たすことを誓う﹄ 継承式でシモンファミリー⋮炎真と敵対した時、心のどこかでやっ ぱり、と思った。 ﹃⋮⋮縁があれば、会ってみたいなって思ってたんだ﹄ 未来の時ほどあからさまではなかったけど、俺たちと話してる時の 炎真は、穏やかそうに見えて目が笑ってなかったから。 宙兄さんを何度ボンゴレ ただでさえ憎いボンゴレの人間で⋮っそれに加 ﹃僕 は 君 を ず っ と 前 か ら 知 っ て る。宙 兄 さ ん か ら 教 え ら れ た 時 か ら 大っ嫌いだったさ ﹄ えて君は何度宙兄さんを巻き込んできた の業に巻き込んで死なせかけた だから、継承式で俺がどうして と聞いた時、怒鳴ってきた炎真の ? いいから和解したいと思ったから。 殴りに来たのが一番だけど、クロームを取り返して、炎真とも少しで シモン島に来たのは、秘密主義で心配ばっかりかけるひろ兄をぶん だ。 を嫌いになんてなれなかった。寧ろ、仲良くなりたいなんて思ったん それが分かっていたから、正面切って嫌いだと言われても俺は炎真 むのもおかしいことじゃない。 ││ううん、だからこそ、ひろ兄の優しさに甘えてる俺たちの事を憎 大事なら大事なだけ、たとえひろ兄自身が気にしてないとしても│ そんなの、誰だって許せることじゃない。 に巻き込まれて傷つく姿⋮死にそうになってる、姿。 自分の大事な人が、自分を助けてくれた恩人が、知らない奴の騒動 この言葉に納得もしたんだ。 ? ? ! ⋮⋮だって、炎真は 347 !! ﹃お兄ちゃん ﹄ ﹄ 人 ﹄ この巨大パフェ1時間以内に食べきったらタダだって ﹄ ボ ン ゴ レ 妹 自分のファミリー ともかく、そういった優しい眼差しで、表 ? 抜く覚悟を持ってるんだろうなって。 ﹄ ﹄ だからこそシモ 懐に入れた相手は絶対に守り ﹃貴様らボンゴレとは背負ってる悲しみが違う ンの絆は固いのだ でしょ ﹄ 炎真の覚悟 だから私は自分のために生きるって決めたんだよ﹄ ﹃初代シモンはボンゴレプリーモの為に戦って裏切られて殺されたん 持ちなんか⋮ ﹃分かんねぇだろうな⋮家族を⋮温もりを⋮奪われていく俺たちの気 !! ! ? ﹃おいら達は迫害の憎しみと悲しみを共有している !! 分の大事な物⋮なんていうんだろう だから思ったんだ。炎真は、ちゃんと優しい奴なんだろうって。自 情で。 ⋮強いて言うなら慈愛の 時、ひろ兄の話題が出た時。俺たちと話す時は決して向けない優しい 恩 優しい顔を、していたんだ。真美ちゃんと話す時、 シ モ ンと話す ﹃ ﹃朗報だ。喜べ、お前ら。宙が目を覚ましたらしいぞ﹄ ﹃む⋮﹄ ﹃紅葉、落ち着いて﹄ ﹃何事もチャレンジだよ ﹃⋮⋮真美、この量を食べきれるの ! !! ﹂ ! だけど、それなら今⋮俺たちの目の前で起こっているこの出来事は 者は要らないんだ﹂ ﹁手を出すな、真美。シモンファミリーにボンゴレに負けるような弱 ﹁しとぴっちゃん │││そう、思っていたんだ。 かって。 そ、炎真の為⋮シモンの為にこうして俺たちと戦ってるんじゃない そして、 そ れをシモンファミリー全員が分かっていて。だからこ ? 348 ! ? !! !! 何なんだろう どうして ﹂ !! ﹁ボ⋮ス⋮ そんナ⋮﹂ ずの炎真で 仲 間 でも、その真美ちゃんを止めたのは復讐者ではなく⋮ボスであるは んが飛びだして来てそれを妨害しようとした。 獄寺君に負けたシット・ピーが投獄されそうになった時、真美ちゃ ﹁お兄ちゃん !? ? それがファミリーの為に戦った味方に対する言葉か て。それどころか、シット・ピーの方を見向きもしなかった。 ﹁てめぇ ﹂ !? 何を言っているの ﹂ した声音でそう言いきった。 ﹁炎真 ﹁ひゅー♪こいつぁ驚いたなぁ﹂ !? ﹁お兄ちゃん⋮本気で言ってるの⋮ ﹂ そんな炎真の態度に獄寺君と山本が憤慨しても、炎真はただ淡々と にも⋮⋮シモンファミリーを名乗る資格はないんだよ﹂ 負けた時点で⋮⋮⋮紅葉にも、らうじにも、薫にも、しとぴっちゃん ﹁⋮⋮何を言ってるの。そもそも、負けたら終わりなんだ。君たちに ﹁いくらなんでも酷くねーか ﹂ 情になっているのに、炎真はさっきの言葉を取り消そうとはしなく 負けたうえに、そんなことを言われたシット・ピーが愕然とした表 ﹁⋮⋮バイバイ、しとぴっちゃん。二度と会うことはないよ﹂ ? ンSideでも同じように驚愕していた。 侮辱する ﹁まさか、全員がボンゴレに負けるなんて⋮⋮役立たずにも程がある ね﹂ ⋮っこれ以上こんな言葉を聞いていられない ﹂ !! その誇りを ! ﹁炎真 ﹂ ! 止めろ⋮止めろ、止めろ、止めろ !!! ﹁それ以上、ファミリーの為に戦った仲間を んじゃない キュォオオオッ !!!! 349 ? !! そして、驚いているのは俺たちだけで無くて。まだ戦ってないシモ !? ! !!!! 気づけば、俺はVGに炎を灯して炎真へと攻撃していた。 ﹂ ﹁⋮どんな誇りを掲げようと、勝たなければ無意味だよ﹂ ﹁絶対にその言葉を取り消させてやる !!! お前がどんなつもりで言ったかは知らないが、それでもその言葉は 絶対に赦せない そして、戦いが始まった。 350 !!! 気 づ い た ら 霧 を 召 喚 し て ま し た。⋮ と り あ え ず 落 ち 着け 同時刻・シモンの屋敷にて ﹁さて、Dに唆されたフリをした炎真が皆を引き連れてってくれてる 間に俺も行動開始しますかっと﹂ 俺は一人、暢気にそう呟きながらジュリーの部屋へと向かう。勿 論、狙いは今なおDによって誘拐され、監禁の身となっているクロー ムを助ける為だ。 ﹁全く⋮Dのせいで余計な手間が増えたっつの﹂ 本来なら、継承式の出来事によってツッ君たちをシモン島に来させ るだけでよかったのだ。そうすれば、今のシモンとボンゴレの諍いで 確実に初代たちの決めた掟によって敗者が投獄される仕組みが発動 される。 それこそが、俺と炎真の狙いだったというのに。Dが俺だけを狙っ てくれてたら、こんな風にただでさえファミリーを騙してる炎真に辛 い思いをさせずに済んだってのに。 ﹁うん、やっぱりD赦すまじ﹂ てーか、この間の酒で酔い潰す作戦が失敗したのは痛かったな∼。 ませたんだろ⋮ 思 まさか、幻術で五感を誤魔化すとは⋮⋮基礎すぎて忘れてたわ、うん。 俺、何の為にジュリー君が呑めるギリギリまで ? ? ﹂ ﹂ わず翌日は︵二日酔いに悩まされながら︶真剣に考え込んだよね。 閑話休題 伯父の人 ﹁クロームちゃん、起きてるー ﹁⋮ぇ ? ﹁あ、よかった起きてて。じゃ、早速で悪いんだけど扉から離れてくれ 父の人なんだね。 返ってくる。ていうか、クロームの今の俺の認識って︵ツッ君の︶伯 ノックしながらそう声を掛けると、戸惑ったようなクロームの声が つらつらとそんなことを考えながら、目的地に着いてマナーとして ? 351 !! ? ﹂ 吹っ飛ばすから﹂ ⋮分、かった⋮ るかな ﹁え ﹂ ! ﹁フッ 短く息を吐き、バキィッ ﹂ で扉をフッ飛ばした。 ﹁きゃ⋮っ とその場で一回転して勢いを付け、蹴り ムの気配が言葉通り扉から離れたのを確認した俺は。 まぁとにかく、時間もないことだし手っ取りばやく行こう。クロー ? くれるかな ﹂ ? ローム。 ? ﹁え⋮ ﹂ !? た奴だ﹂ くけど、Dは凄腕の術師で、他人に憑依して今までボンゴレに居続け る。そいつの名は初代ボンゴレ霧の守護者、D・スペード。詳細は省 ﹁そ。⋮⋮そもそも、シモンがボンゴレを憎むように仕組んだ奴がい 骸様が ﹁うーん、まぁ色々理由はあるけど⋮一番は敵の狙いが骸だからかな﹂ ﹁貴方は⋮どうして、助けてくれたの ﹂ 言葉遊びをしながら、前回に骸とDが戦った場所へと向かう俺とク あるだけさ﹂ ﹁勿論。俺はツッ君たちの味方だよ。ただ、同時にシモンの味方でも ﹁⋮⋮貴方は、ボスの味方でいいの⋮ ﹂ ﹁さて、と。クロームちゃん、説明は道すがらするから俺についてきて いで次の場所へ向かわないと。 それはともかく。完全に困惑してるクロ│ムには悪いけど、今は急 ﹁え、と⋮﹂ んてないしね。 れたくはないからだ。残念なことに今の俺には炎ステルスの機械な んだ。因みに炎を使わなかったのは、距離があるとはいえDに気付か 炎とか使わないで純粋に体術だけだったんだけど、なんとかなるも ﹁おーお、結構簡単にいったなー﹂ !? ? 352 ? ? ! !? ﹁D・スペード⋮﹂ ﹂ ﹂ , l a r i s p o s t a c o r r e t t a︵そ う、正 解 ⋮⋮⋮、っ強い術師であることと、他人に憑依できること⋮ ﹁で、ここで問題だ。D・スペードと骸の共通点が何かわかるか ﹁⋮ ? 思ってたけど。 ﹁あ、そういえば一つ聞きたいんだけど⋮今って骸と連絡とれる ﹁⋮だめ、繋がらない⋮です﹂ ? ﹂ 二の目的地到着ってね。 ﹁ここは⋮ ﹁んー、この島の防御壁を掌ってるところ、て言えばいいのかな⋮ ! てくれる ﹂ ? ガシャンッ の炎を纏わせると躊躇いなく防御壁の装置をぶっ壊す。 てなわけで先にクロームにそう言った俺は、ボウッと拳にオレンジ ﹁⋮分かった⋮ ﹂ ﹁クロームちゃん、今からこれ破壊したらまた移動するから窓際にい を使って装置を破壊しても、直ぐにこの場を離れればいっか。 どうせこの防御壁を解除したらDにバレるんだろうし。ここで炎 ﹁ま、しょうがない﹂ ないしなぁ⋮ 俺にもクロームにも無理じゃーん。クロームも今はリング持って いと開けられない仕組みになってるし﹂ ﹁⋮げ、これってやっぱり術師じゃないと⋮てかシモンリングじゃな 置は、と⋮⋮あったあった 言いつつ、事前に炎真に教えられた場所を探す。幻覚を遮断する装 ﹂ そんなこったろうとは思ってたけどさ。そして会話してる間に第 ﹁あー、やっぱりかー﹂ ﹂ まぁ、クロームは頭の回転悪くないどころかいい方だし気づくと だ︶﹂ ﹁S !? ? ? ? 353 ? ì ⋮え ﹂ ! きゃあっ ﹂ ! ﹁行くよ、クロームちゃん ﹁⋮ぁ⋮⋮骸様⋮ ? ﹂ ﹂ ﹁││っ ﹁っと ムを片手で抱き上げて、そのまま窓の外の宙へと身を躍らせる。 そして幻覚を遮断する防御壁が壊れたことを確認した俺は、クロー ? ﹂ ! ⋮⋮Dの狙いはこの戦いでツッ君たち⋮自分の気に入らないボス こか彷彿させた。 忌々し気にこちらを見る姿は、かつて俺の守護者をしていた霧をど ﹁あの時よりも余程貴方が腹ただしくありますよ、先生﹂ ﹁⋮⋮よぉ、不登校児﹂ 三叉槍を俺に向ける骸の姿。 きの声。ついで立ち止まった気配にこちらも足を止めて振り返れば、 すると、予想通り返ってきたのはクロームではなく骸の含み笑い付 ﹁クフフ⋮成る程、そういうことですか﹂ 気付いた俺は、簡単に今回の裏事情を話す。 そうして走り続ける最中。ふと、クロームの気配が変わったことに だ﹂ ロームちゃんは、骸を誘き出すための人質として連れてこられたん を排除し、かつ自分の力を発揮できる強い器を手に入れる事。⋮⋮ク ﹁ とはいえ、今は安全地帯の確保が先だ。 にはツッ君たちと合流してVGを受け取ってもらわないといけない 向かう先は先程から感じる大地の炎とは別方向。いずれクローム ﹁は、はい⋮っ﹂ ﹁走るよ ロームもちゃんと地面に足を付けたのを視認して足を動かし始める。 ついで身体能力をフル活用してまた一切炎を使わずに着地し、ク ! ! ⋮⋮さーて、どうやって説得するかなコイツ 354 ! 先生﹂ 気 づ い た ら 復 讐 者 に 邪 魔 さ れ ま し た。⋮ こ こ で リ タ イアかよ 只今教え子に殺気ビシバシ当てられながら武器まで ﹁クフフ⋮さて、何か弁解は有りますか ちゃおっす 向けられてるひー君だよ なんで骸こんなに怒ってんの アレか すぎて弁解の言葉が思い浮かばないんだけど。 ︵えー ? ツッ君の身内だったから 未来編は│││そもそも 実はあの時からマフィアのこと知ってたのに白 ? ︶ あ、でもクロームの精神世界行けるからそこか ? に説教したから 切ってたから 黒曜戦の時に偉そう てーかマジどうしよー。こいつがこんなに怒ってる心当たりが多 ! それとも単にクロームを巻きこんだから 記憶行ってないよね ら知ったとか うーん、どれだろう ? ? ありませんよね ﹁違います﹂ ﹂ え、なんだ違うの ﹂ さっきク ! ルって罵倒したから ﹂ ﹁死にたいんですね、分かりました﹂ ﹁教え子が物騒で先生涙目﹂ ﹁殺しますよ﹂ ﹂ ﹁引きこもりにやられるほど落ちぶれてないし ﹁クフフ⋮面白い、やってみましょうか ? しまう。なんてーか⋮骸には苦労させられたから、つい⋮⋮。 あー、いかん。ザンザスとは別ベクトルでとりあえずおちょくって ? ﹂ ﹁じ ゃ あ 9 月 頃、お 前 に ボ コ ボ コ に さ れ た 時 に 心 の 中 で ク ソ ナ ッ プ か別に気にしないよ ? ? お前どうせクロームとくっつくんだから嫉妬と ロームちゃんを抱っこしたから ﹁いや、心当たり多すぎてどれかなって⋮⋮あ、分かった ? ﹁⋮⋮⋮まさかとは思いますが、心当たりがないとほざくつもりでは ? ? ? ? 355 ? !! ! ? ? ? ﹁ま、お遊びはこれくらいで、と﹂ ﹁貴方⋮相変わらず人を苛立たせる天才ですね﹂ ﹁お前に言われたくねーよ﹂ いやマジで。 とはいえ、骸も最初から本気で怒ってたわけじゃ無いしなー。大 方、黒曜戦で俺が強者ってことを見抜けなかったことが悔しいって所 だろうし。でも素直に言うのも自分の失態を見せるようでイヤだか らとりあえず殺気をぶつけてみたって感じだろ。 ﹁んで、事情が分かったところで俺としてはお前にやってほしいこと クフフ⋮やはり貴方も薄汚いマフィアの一員という があるんだけど﹂ ﹁⋮命令ですか 訳か﹂ はあ ﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮それ、本気で言ってます ﹁おうともよ﹂ がシモンボスだとしても ﹂ 面倒見てる親友の息子 俺自身がアルコバレーノになっちゃっ ! ﹂ !!! 俺が望むのは平々凡々あり ! ね 諦めた時点で夢は叶わないっていうなら、諦めなければいい話だよ きたりな一般人ライフだ れからもマフィアになるつもりはない ﹁俺はどこそこのマフィアになったなんて宣言した覚えはないし、こ てるとしても ! ﹁だ ー れ が マ フ ィ ア だ こ の 早 と ち り 南 国 果 実。俺 は 一 般 人 だ っ つ の ? ! ﹁おい、なんだその心底呆れましたと言わんばかりの表情は﹂ ﹂ 不可能に決まってるじゃないですか、と顔に書いてある骸を睨みつ けるが効果はなし。⋮ちくせう。 閑話休題。 ﹁で、話を戻すけど。骸、ちょっと雲隠れしてくれない ? 356 ? たとえ甥っ子がボンゴレデーチモでも ? ! ﹁⋮⋮僕以上にありえない夢想してる人を初めて見ましたよ﹂ ! ﹁⋮⋮は ﹂ ﹁うわ間抜けな顔⋮ンンッ ﹂ おっとうっかり本音が。じゃなくて。 ﹁話が見えないのですが⋮﹂ ﹁んー、⋮さっきも言った通りD・スペードの狙いはお前の肉体だ。そ の為の媒介としてクロームが狙われてる。だったら、媒介のクローム ﹂ をD・スペードに見つからないよう隠して、お前は肉体から離れなけ ればソレ乗っ取りは防げるだろ それでも ﹃お願いがあります﹄ ﹄ ﹃家族の仇がこんなにも近くにいて⋮ 我慢なんてできないんです⋮ それが、分かっているのに⋮ ! うしてDに力を与えないよう暗躍しても、勝機は骸より薄いだろう。 勿論、炎真ではDと相性が悪いことは分かっている。いくら俺がこ ︵それに⋮⋮Dは炎真が倒すって宣言してたし︶ いったん引き上げたタイミングで取りに行けばいいとして。 は V G も 手 に し て い な い し、骸 の 勝 機 は 薄 い。ま ぁ、V は シ モ ン が 別に無理して一人でD・スペードを倒す必要はない。ただでさえ今 ? ﹂ !? る。 が、しかし。上手く事が運びそうになったところで思わぬ邪魔が入 ﹁⋮Grazie、むく﹁それはならぬ﹂⋮ゲッ ⋮もっと説得に手こずるかと思ったんだけど⋮。 ないですし、これは貸ということにしてあげますよ﹂ ﹁クフフフフ⋮いいでしょう。僕もあまりクロームに負担を掛けたく が。 なんてつい思考に耽っていると、意外なことに骸から承諾の言葉 勝てやしないのだと、決めつけたくないから。 ならば、Dに勝てるのだと。炎真の誇りを、汚したくないのだ。Dに それでも、炎真のあの覚悟を知っているからこそ、賭けたい。炎真 ら、僕はなんだってします﹄ ﹃これ以上、僕の家族を⋮ファミリーを失わせはしない。その為にな ! 357 ! ? ﹁﹁復讐者⋮ ﹂﹂ !? ﹁はぁああああ ウッソだろ ﹂ これルール違反扱い ブックに明記しとけよ !? ︵てーかこいつら、俺を投獄する大義名分が欲しいだけじゃん !! ︶ それならそれで最初にルール て新たな大空のアルコバレーノ、お前を投獄する﹂ ﹁守護者同士の戦いを失くそうとしたことは掟の妨害とみなす。よっ のタイミングでこいつらが⋮ 驚愕のあまり思わず骸とハモるがそんな場合じゃ無い。なんでこ !? ! !! ! 案が浮かぶわけもなく。 ﹂ アリアとユニ ! ﹁っ、どうする気ですか ﹂ こいつらが説得に応じるタマか ﹁ええい、使えないですね ﹁どうするもこうするも ! !? 諦めて撤退してくれる可能性はゼロに近い訳で。 ︵⋮⋮このまま戦闘になってD・スペードに気付かれたら最悪だ そ がクロームに憑依してる=乗っ取れる条件が揃ってるわけだし ! 質として俺が和解されるまでそちらに行く ﹂ ﹂ ﹂ シモンとボンゴレが和解した後の前報酬として六 ええい、こうなったら最終手段 ﹁取引だ、復讐者 道骸を釈放しろ 、何を言っているのですか貴方は ! ! ! Dにお前の肉体を奪われたら厄介なんだよ !! ﹁ ﹁喧しい ︶ ! もそもシモンリングの覚醒も今日だったはずだし ! ! 骸 焦る骸がそう詰ってくるが、返す言葉もない。とはいえ、復讐者が ! ﹂ 復讐者の攻撃を2人して避けながら、必死に思考を巡らせるが、妙 いっきり立ってたわ うん、 ︵ほんっと今更だけど ︶俺、復讐者に連行されるフラグが思 訳だし しかも未来でアルコバレーノでなくなっても生き残った2 人いる バレーノも興味津々になるよね りの移行をすれば現アルコバレーノだけじゃなくて復讐者元アルコ そりゃあ︵今更ながらに気付いたけど︶代理戦争もなしでおしゃぶ !! ! !!?? ! 358 ! ! !? 喚く骸を一喝して黙らせ、手っ取り早く交渉のテーブルを作る。 今のこいつらは一刻も早く大義名分のもと俺を連れて行き、前任を 殺さないで新たなアルコバレーノとなった俺の情報を喉から手が出 るほど知りたがっている。あまり手こずらせれば、この場にいる骸 と、その憑依されてるクロームが怪我を負わせることも厭わないだろ 超直感がこれでもかってくらい警報 う。それくらいならば、敢えてあちらの要求を満たした方がいい。 本音としては超嫌だけどな 鳴らしまくってるし !!! 貸でいいからツッ君たち手伝ってくれ ﹂ !! そう叫びつつも、俺は渋々復讐者に連行される道を選ぶのだった。 ﹁⋮骸 ﹁⋮いいダロウ。六道骸の釈放と引き換えに、お前を連れて行く﹂ !! 俺がスケット行くの無理そうだ ! ! 炎真ごめん 359 ! 気 づ い た ら 大 地 が 覚 悟 を 決 め た よ う で す。⋮ 抱 え 込 みすぎないようにね 炎真Side 7歳の頃、世界が一変した。 大好きな両親と、妹の真美と一緒に自宅で過ごしてる時に訪れた襲 撃。あの時の僕は無力で、ただ家族が傷つけられ、殺され、蹂躙され ﹄ ていくのを見ていることしか出来なかった。 ﹃真っっっ もし、あの時。宙兄さんが来なければ、きっと真美さえも失って。 ボンゴレデーチモ 生きる意味を見いだせない人生を歩んでいただろう。 そして、いつか。 襲撃者の思惑通りに、沢田綱吉へ、憎悪を募ら せてシモンの皆諸共滅びの道を進むことになっていたに違いない。 でも、だけど。あの時、僕だけが家族の中で意識を保てるようにさ れていたことは、今思えば良かったんだと思う。 ﹃⋮おや、これは驚きましたねぇ。私の幻術を見破るとは⋮その姿と ﹄ 言い、初代霧の守護者の名を知っているといい、貴方は何者なんで しょうねえ ﹄ これはこれは手酷くやられました⋮っ⋮貴方と今戦 おかげで、襲撃者の真の正体を知ることが出来たから。 ﹃ヌフフフフ⋮ うのは分が悪い⋮お暇させてもらいましょう⋮ 真⋮君たちのお父 ? それから、両親を失った僕たちのために宙兄さんはずっと僕たちの さんの親友の宙っていうんだ﹄ ﹃⋮初めまして。炎真⋮君と、真美ちゃん⋮だね のボスとして、決して僕の家族を傷つけさせやしないと。 シモンファミリー 僕だけは、何があってもあの日起こったことを忘れないと。シモン だから決めた。 も感じられて。 いつか、きっとあの襲撃者│││Dは、シモンに災いを為すと幼心に あの時は宙兄さんのおかげで僕たちは助かることが出来た。でも ! ! 360 !!!! ? 世話を焼いてくれた。家事の仕方や料理の仕方、遅れがちだった勉強 や、││││││生き残るために、戦う力も教えてもらって。 惜しみなく、限りなく、優しさと無性の愛情を与えてもらって。 ﹄ だって、結果なんて見えてるんだ。いくらシモンがボンゴレや他の ようと言えればよかった。 から。皆の想いを拒絶することになっても、打倒ボンゴレなんて止め 嫌だ、と言えればよかった。こんな僕だけど、シモンのボスは僕だ 来ずに時間だけが過ぎていった。 けど、相談なんてできなくて。ずるずると、現状を打破することも出 てずっと、目を覚まさずに死んだように眠り続けて⋮とてもじゃない 巻き込まれて、意識不明の重体となって病院へと搬送された。そうし しかも、それから一ヶ月ほど経ってまた宙兄さんはボンゴレの方で りで。 ゴレの方での騒ぎに巻き込まれて、入院するほどの怪我を負ったばか 宙兄さんに相談しようかと思ったけど、丁度その頃宙兄さんはボン 外の全員がボンゴレへの憎悪を滾らせていた。 ら。昔からその意見を言っていたアーデルを中心に、気が付けば僕以 皆の意識が打倒ボンゴレに変わり始めたのは、大体半年ほど前か ﹄ 凄く、幸せだったんだ。叶うならば、このままずっと、Dのことな んか忘れてしまいたくなるくらい。 ﹄ ﹄ だけど、幸福な夢は当然の如くいつまでもなんて続かない。 ﹃シモンの復興をしましょう、炎真 ﹃結局もう虐げられるだけなんて我慢ならん だったら ﹃おいらたちが味わった悲しみを、もう繰り返したくないんだ﹄ ﹃炎真⋮俺も立ち上がる時⋮だと思う﹄ ﹃私モこのままナンテ嫌﹄ ﹃お兄ちゃんだって迫害されるの嫌でしょ ! ﹃⋮なぁ、炎真。俺ちんたちファミリーの思いをくみ取ってくれよ ? ファミリーにない特異な炎を持っていたとしても、僕たちシモンファ 361 ? ! ! ミリーはたったの8人しかいない。数で攻め込まれたら、いつか必ず 限界が来る。そうじゃなくて籠城戦となっても、結局聖地での自給自 足が出来なくなったらそこで終わり。一人一人抹殺されて、最後には シモンは一人残さず根絶やしにされるだろう。 巨大ボンゴレにかみついた、馬鹿な弱小ファミリーとして。マフィ アなんて、そんなものだから。 それに、確かに僕たちはボンゴレに迫害されてきた。大事な家族 を、奪われてきた。だけど⋮だからって、同じことを仕返したいかっ て言われたら僕はノーと答える。 だって、そうじゃないか。実際に僕たちを迫害した奴は憎い。でも ボンゴレだからって全員が迫害してきたわけじゃ無い。 宙兄さんの甥のボンゴレデーチモ⋮沢田綱吉なんて、その最たるも のだ。確かに彼はボンゴレのボスだけど、そもそも僕たちの事どころ かマフィアの血筋を引いてることさえ知らなかった。それなのに、関 係者だから、ボンゴレだからといって殺そうなんて思えない。⋮⋮ まぁ、関係者という括りで言ったら宙兄さんも憎悪対象になるから無 理だっていうのが一番の理由だけど。 でも、それでも。僕は嫌だと言えなかった。打倒ボンゴレなんて諦 めて、シモンファミリーと宙兄さんだけで静かに生きていこうと言え なかった。 だって、本当は分かってるんだ。皆が今になって、ボンゴレへの復 讐心を滾らせてるのが何故かなんて。 簡単な話だ、焚きつける奴がいる。シモンの中で、僕の次に発言権 のあるアーデルをいの一番に唆して、シモンを滅亡させようとしてい る奴が。 ずっと恐れてた⋮あの時の襲撃者、D・スペード。きっと今も、あ の時、沢田綱吉の父親である沢田家光に化けたみたいに僕のファミ リーの誰かに成り代わっているんだろう。 でも、疑おうにも相手は上手く変装していて。ボンゴレのボスに伝 わる超直感なんてものもない僕じゃ、誰が〟そう〟なのかすら分から なくて。下手に誰かに相談すれば、そこから全てが崩れ去ってしまう 362 んじゃないかと恐ろしかった。 独 り ぼっ ち で 何より、ファミリーを疑うなんて辛いことを、他の誰にもして欲し くなかった。 だから、ファミリーが目の前にいるのに、僕だけで皆を助ける作戦 を立てるしか無かったんだ。 ⋮⋮だって、もし僕がシモンボスとして打倒ボンゴレに立ち上がら ないならば、邪魔な僕は排除され殺されてしまうだろうから。 死ぬのも嫌だけど、それ以上に不安なことがあった。 もし僕が殺されていなくなったら、次のシモンのボスとして据えら れるのは真美だ。僕と違って、本当の両親の仇も、今もこうしてシモ ンを滅亡に導こうとしてるD・スペードの存在も知らない真美がシモ ンボスとして打倒ボンゴレに立ち上がれば、捨て駒として利用されて 終わりだろう。 ⋮真美に、そんな思いはさせられない。真美を、そんな目に遭わせ ﹄ かに化けたDが身近にいると思うだけで、目の前が真っ赤になる。 ﹃⋮⋮茨の道になるよ﹄ ﹃はい﹄ ﹃二度とシモンの名を名乗れなくなるかもしれないんだよ ? 363 たくはない。 だって、僕は真美のお兄ちゃんなんだ。皆を守る、シモンのボスな んだ。 頼りなくて、勉強だって、運動だって、人付き合いだって、得意じゃ ない冴えない僕だけど、それでも守りたいものがある。失いたくない ものがある。 だけど、このままじゃ僕は誰も守れない。 シモンファミリーはDに利用され、ボンゴレに報復対象として抹殺 それが、分かっているのに⋮ される。そんな未来だけは、絶対に御免で。これ以上、僕の家族をD・ スペードに奪わせたくなくて。 ﹄ ﹃家族の仇がこんなにも近くにいて⋮ 我慢なんてできないんです⋮ ! 復讐心がないわけじゃ無い。今もこうしてシモンファミリーの誰 ! ﹃それでも、このままにはしておけないんです﹄ 僕が負けたら、シモンはDの思惑通り利用されて、シモンの名は二 度とこの世からなくなるだろう。 無謀だなんて百も承知だ。いまだに僕一人じゃDが誰に化けてる ﹄ のかも分からないのに、それでもDに利用されて終わりになんて認め られない。 ﹃ファミリーを傷つけることになっても ﹃誇りを汚されたままよりマシです﹄ ボンゴレと戦うことになれば、必ず皆は怪我をする。傷つく。それ ﹄ だけじゃなく、僕がやろうとしていることは皆の思いを否定している 行為で、裏切りで。 ﹃シモンを終わらせた最後のボスとして歴史に残るとしても ﹃ファミリーを⋮家族を全て喪うことになっても ﹄ ない。たとえもう二度と、シモンの名を名乗れなくても。 だけどそれでも、皆を死なせたくない。これ以上、家族を失いたく ﹃本当に守りたいものを守れるならば、汚名の一つ二つ構いません﹄ ? 冷たい地中の城の中。広間の椅子に座って。第五の鍵の映像が流 僕はシモンボスとして独りでも皆を守り抜こうと、決めたんだ。 ペードを倒そうと。 だから、決めた。どれだけ困難だと分かっていても、僕が、D・ス ﹃そうさせない為に、宙さんを利用させてください﹄ ? れ終わるのと同時に僕は父さんと同じ緋色の炎を拳に灯した│││ 364 ? 気 づ い た ら 初 代 霧 が 大 地 と 対 峙 し て ま し た。⋮ ぶ っ 飛ばしたいなぁ D Side たみてーだなっ﹂ ? くなっている⋮ ⋮妙ですね 家族を切り捨てようとしたあの時の冷酷な面影がな しかし、予想外にもしっかりした受け答えに内心で戸惑う。 やられちまった﹂ ﹁あ、ああ⋮。⋮実は残念なお知らせがあんだが⋮アーデルハイトも ﹁⋮⋮⋮ジュリー⋮⋮皆は ﹂ ﹁ひょ∼っ、見違えたじゃねーか炎真。シモンリングの覚醒は終わっ でした。 れて壊れているであろう古里炎真の元へ確認しに立ち寄った時の事 それはシモンリングの覚醒を終え、今頃は弱った心をリングに食わ !! ﹁⋮⋮炎真 ﹂ 何言って⋮ ﹂ ﹁⋮そう。じゃあ、シモンファミリーはもう僕だけだね﹂ ファミリーを切り捨てたかと思っていたのですが⋮。 教えた後、ボンゴレへの憎悪を脅かす初代の記憶によって動揺する 古里炎真だけに沢田綱吉の父・沢田家光が家族を殺した張本人だと 丁で丸め込んだみてーだ﹂ ﹁⋮あー、それが⋮なぁ⋮。アイツら、初代の記憶を理由に真美を口八 ﹁⋮⋮真美は ? ? ンファミリーじゃない⋮⋮だからもう、シモンを名乗れるのは僕だけ だ﹂ 私の声に答えず、自分に言い聞かせるような言葉。しかし、その台 ジュリー⋮いや、D・スペード﹂ 詞が意味する内容に私は瞠目する。 ﹂ ? 365 ? ? ﹁ボンゴレに負けるファミリーも、ボンゴレにつくファミリーもシモ ? ﹁そうだろう ﹁っ !! !? 私の変装は完璧だった まさかこの男、気づいていたというのですか⋮ ﹂ ﹁ヌフフ⋮これはこれは予想外でしたねぇ⋮ と思ったのですが⋮いつ気づいたのです ! きました。 確証がない⋮ ならばなぜ⋮ すると、ゆらりと立ち上がりながら予想外にもそんなことを言って ﹁⋮確証なんてなかったさ﹂ 道骸の肉体を得ていない私では少々分が悪い⋮。 驚愕しつつ、距離をとる。先程の戦闘ダメージもあり、かつまだ六 ? ま ! ますよ。 ﹁⋮ヌフフ、ヌハッハッハッハ ﹂ !!! すね 成る程、それであの時投獄の邪魔をしようとした妹を妨害したので さかボス自らがファミリーを牢獄に入れる決断をするとは これはこれはお見逸れしました はそれに怯むことはない。⋮いいえ、これは寧ろ笑いがこみ上げてき 真っ直ぐと、揺らぎない眼差しで私を睨んできました。しかし、私 ﹁だから、初代の約束を利用して消去法で判断することにした﹂ でも、と古里炎真は言葉を続けて。 らなかった不甲斐ないボスだよ﹂ から一緒だって言うのに、他人が成りすましているのが誰かすら分か ﹁僕にはボンゴレのボスみたいな超直感なんてない。物心ついたとき ? ! れる器候補を初代の約束を利用して牢獄に隔離したというわけです か﹂ 確かにそれならば、私は加藤ジュリー以外の器を乗っ取れなくなる でしょう。 曲がりなりにも戦っていた相手はボンゴレデーチモとその守護者。 勝っても負けても器候補は傷だらけになり、かつ牢獄へと入れられれ ば器としての価値はほとんどなくなる。 ﹁ヌフフフ⋮中々に私好みな非情でいい作戦ですねぇ﹂ 軟弱な思想をプリーモに吹き込んだあのシモン・コザァートとは大 366 ? ﹁貴方は私が他人の体に乗り移る術者であることを知り、私の乗っ取 ! 器として使え 違いです。このような男だと分かっていたらもう少し別な使い道が あったかもしれませんね⋮。 ﹁ですがその作戦は随分と穴があるのではないですか ﹂ ﹂ ? 私が乗り移っているとは ﹂ ﹁お前に乗り移られたまま、悪行を尽くされるよりマシだ。ジュリー いえ、この身体はれっきとしたお仲間のものですよ ﹁では次に。貴方は私に攻撃ができるので 手は既に死んでいるので反応する身体もないでしょうが。 ドコントロールした時の反応が楽しみですねぇ。尤も、その頃には相 ヌフフ⋮これは、私が新たなボンゴレボスとしてあの青年をマイン 用です。 そしてまた、驚くほどにあの宙という青年を信頼しているが故の信 ﹁これはまた、随分と不確かな確証ですねぇ﹂ の甥っ子の〝沢田綱吉〟だから、信じたんだ﹂ レデーチモとしての〝沢田綱吉〟なんて興味もないよ。⋮宙兄さん ﹁⋮まさか。僕が信頼したのは宙兄さんがそう信じてたから。ボンゴ 田綱吉の甘さにこそ賭けたというわけですか ﹁おやおや⋮つまり貴方は、私の嫌ったマフィアのボスらしくない沢 しい人間。それが、僕の知ってる〝沢田綱吉〝だ﹂ 運動も勉強もダメダメだけど⋮他人の痛みを分かってあげられる優 ﹁僕は⋮僕が知ってる〝沢田綱吉〟は、宙兄さんに聞いた奴だけだ。 しかも、あれほど嫌っていた沢田綱吉を庇うような言葉を。 い﹂ ﹁ボンゴレデーチモだとか、門外顧問の息子だとか、そんなこと関係な ことを言ってきました。 と、そこで。黙って私の言葉を否定せずに聞いていた相手がそんな ﹁⋮〝沢田綱吉〟はそんなことしない﹂ が⋮今さら言っても詮無き事ですね。 位が沢田綱吉にあれば私もこのような手間を掛けずに済んだのです まぁ尤も。そこで刃向かった愚か者を血祭りに上げるぐらいの気 いたかもしれないというのに ないどころか、一歩間違えれば沢田綱吉たちにファミリーを殺されて ? ? ? 367 ? の誇りを守る為なら、なんだってするさ﹂ 己の矛盾した言葉に⋮ファミ ﹁ほ ぉ う ⋮ 中 々 に 素 晴 ら し く 冷 徹 な 選 択 で す ね ぇ ⋮ 目 的 の た め な ら ば、ファミリーの命を軽視するとは﹂ そして、気づいているのでしょうか ﹂ 言ったんだ﹂ ﹁分 か ら な い ﹂ ? ⋮ 僕 以 外 の シ モ ン フ ァ ミ リ ー な ん て 要 ら な い。そ う ﹁⋮この期に及んで何を言っているのです しかも重ねて言われたその内容は、更に理解不能な言葉で。 ミリーに要らない﹂ ﹁ボンゴレに憑りつかれるような不甲斐ないファミリーはシモンファ と、そこで私の言葉を部分的に否定した古里炎真に疑問が浮かぶ。 ﹁ヌフ ﹁⋮⋮ファミリーじゃないさ﹂ がある行動をするということに。 リーの誇りを守る為といいながら、そのファミリーの命を失う可能性 ? ! 知り驚嘆の声が上がる。 成る程、そういうことでしたか ! つもりで ﹂ いると⋮。ですが、貴方がいなくなった後のファミリーはどうするお ﹁そうして貴方はただ一人、シモンボスとしてすべての罪を被る気で せんね。 詭弁もいいところですが、形振り構わぬその覚悟は嫌いではありま ことにより、全てが終わった後に牢獄から出すおつもりですか﹂ シモンの人間でないとシモンのファミリーとは無関係だと宣言する ある貴方が、シモンファミリーは自分だけだと⋮⋮牢獄にいる彼らは ﹁⋮ヌハハハハッ シモンのボスで れとしたような表情になる古里炎真。しかし、数拍後に相手の真意を 怪訝な表情になる私と対照的に、何処かほっとしたような⋮晴れ晴 ? もし邪魔をするならば古里真美をボスに仕立てて裏から操ろうか れていましたか﹂ ﹁これはこれは⋮いざとなれば貴方を殺そうとする私の策も見透かさ ﹁⋮⋮お前を倒した後ならば、なに不安なく真美に任せられる﹂ ? 368 ? と思っていましたが⋮ヌフフ⋮どうやらそれに関しては先手を打た れていたようですね。だからこその現状というわけでしょう。 ﹁御託はもういいよ﹂ まぁそれについては後でで構いません。 ﹁シモンに災いを齎すお前は、今ここで僕が倒す﹂ 今すべきことは、妄想甚だしい大言壮語を語る、この愚かな道化を 始末することなのですから。 ﹁ヌフフ⋮私を倒すとはまた大きく出たものですね﹂ ﹁これから現実にするさ﹂ 相手が緋色の炎を拳に纏わせたのを視認し、こちらも戦闘態勢に入 る。 ﹁いいえ、不可能ですよ。シモンリングの覚醒だとしてもその条件は 私とて同じ。なにより、私の幻術も見破れぬものが﹂ ﹂ グンッ ﹁ぐっ ⋮面白いではありま そこまで言いかけた時、突如体の重心が不自然に揺らぐ。 ﹁無駄口をたたく余裕はないよ﹂ フッ⋮既に始まっている、という訳ですか⋮ せんか とですね ﹂ ﹁グラヴィッダ・デッラ・テラ ﹂ ﹁たかだか沢田綱吉を排除する駒の分際で⋮私に勝てると思わないこ ! い、妨害しようとする⋮が。 ﹂ ザシュッ ﹁がっ それは呆気なく終わりを迎える。 ! 愚かです⋮本当に愚かですねぇ、古里炎真 なんとまぁ、喜劇じみた結末でしょうか ﹁ヌハハハハッ ! 奪されると ? ! 見せられるということは即ち知覚のコントロール権を 幻術を 方向から古里炎真へと肉薄する。それを相手が重力で出来た星を使 ダッと駆けだすのと同時に有幻覚を織り交ぜた幻覚の複数だし、多 !!! ! 369 ! ! いう事。お前は既に私の術中に嵌まっていたのですよ ﹁うっ⋮ぐっ⋮D⋮ ﹂ いるではないですか。 ﹂ を引き出すのと同時に、手っ取り早く幻術を仕込んでいたに決まって そもそも、私がただダラダラとお前と話す筈もない。お前から情報 ! ﹁なに、を⋮ ﹂ を演じたお前に免じて、1つ名誉ある役目を授けましょう﹂ ﹁おやおや、この程度で死なれては困りますね、古里炎真。見事な悪役 ! でやる。 待っているがいい、六道骸。その肉体を奪うのも時間の問題です。 うか。 さて、少々手間取りましたがそろそろクロ│ムの元へと行きましょ 吉の抹殺なのですから﹂ ﹁ええ、それでいいのです。お前に与えられた役割は最初から沢田綱 ﹁ツナ⋮ヨシ⋮コロス⋮﹂ げに立ち上がる。マインドコントロールが上手く言ったようですね。 そして、相手の目から徐々に意志の力が消えていくのを見て、満足 ﹁⋮⋮っ ﹂ 上機嫌に笑いながら、真っ直ぐとこちらも古里炎真の目を覗き込ん ﹁ヌフフフフ⋮﹂ つけますか⋮だが、その瞳に灯った憎悪の炎は、悪くない。 この期に及んでまだ往生際悪く、重傷の身となりながらも私を睨み ! そうして私は笑いながら、その場を去ったのだった│││ 370 !! 気づいたら大空が決意したようです⋮俺の代わりに 頑張って ツナSide Dが正体を現した後、俺たちは真美ちゃんと一緒にすぐに炎真を助 けに向かおうとした。でもリボーンに、一晩しっかり休んだ方がい いって言われて⋮。実際、俺以外はほとんどが今日死闘を繰り広げて いて、体力も気力も足りてない状態だったからリボーンの言う通りに したんだ。 それからVGを取りに来たクロームと合流して聞いた話は驚くべ き内容で。なんと、Dの目的である骸が釈放された代わりに、ひろ兄 が復讐者に連れて行かれてしまったらしい。 それを聞いて、不安になった。上手く⋮言えないけど、早くしない と手遅れになるんじゃないかって。 だけど、万全の状態じゃ無きゃDは倒せないっていうのが分かって ﹂ たから、仕方なく野営の準備をしてたんだけど⋮。 ﹂ ﹁⋮あの、綱吉さん⋮一つ聞いてもいい ﹁真美ちゃん ﹁え ﹂ ﹂ ﹁その⋮どうして、私たちを⋮お兄ちゃんを助けようとしてくれるの で一人だけシモンだしね⋮︶俺に声を掛けてきたのは。 そんな時だった。真美ちゃんが気まずそうに︵まぁ、ボンゴレの中 ? し⋮言ったのに⋮﹂ ついで心細そうに言われた言葉に、俺は数瞬だけ目を見開いて。 ﹁うーん⋮でも俺、そもそもボンゴレとシモンの諍いとか関係なしに ﹂ やってきたからなぁ﹂ ﹁えっ すぐに、苦笑気味にそう返した。まぁ真美ちゃんはすっごく驚いて !? 371 !! ? ﹁だって⋮Dに騙されてたとはいえ⋮私たち、酷いこといっぱいした ? ? たけど。 ﹁だって、シモンの迫害については結局のところDの仕業とは言えボ お兄ちゃんは綱吉さんに酷い事いっぱい言って⋮ ﹂ ンゴレのせいだし⋮守護者同士の戦いについてはお互い様だと思う し﹂ ﹁で、でも⋮ ﹁あーうん、俺⋮炎真に嫌われてるよね⋮﹂ ﹁なんていうか⋮炎真って俺の事嫌いだけど、でもそれがなんでかっ と⋮。 の為に、あんなことをしたんじゃないかって⋮今ならそう思う。それ をファミリーに言えなくて、一人で抱え込んで、それで⋮ファミリー なんでかは分からないけど、炎真はDのことに気付いていて、それ 操られてる⋮とはとても思えなかった。 ているように見えたんだ。 闘になって、真っ直ぐと見据えた時、その目は、何かを必死で我慢し 対に自分の表情をファミリーに見せないようにしてて⋮それから戦 炎真はあの時、酷い事を自分のファミリーに言っていた。けど、絶 だって、そのほうがしっくりくるんだ。 役を担ってたんじゃないかなって思う。 でも、今思えば。炎真はもしかして真実を知っていて⋮敢えて、悪 の姿。 ふと脳裏に思い浮かぶのは、今日の昼間に見た〟らしくない〟炎真 者は要らないんだ﹄ ﹃手を出すな、真美。シモンファミリーにボンゴレに負けるような弱 ﹁ツナ⋮﹂ ﹁十代目⋮﹂ ﹁俺、確かに炎真に嫌われてるけど⋮俺は炎真の事嫌いじゃないよ﹂ に嫌われた目以外で見られたことはほとんどない。でも。 真美ちゃんの言葉に、少しだけ遠い目になる。思い返しても、炎真 ! 宙兄さんを何度ボンゴレの業 ていうと⋮ボンゴレが、シモンがどうこうっていうより⋮俺が、ひろ 兄の甥っ子だからって気がするんだ﹂ ﹃君は何度宙兄さんを巻き込んできた ? 372 ! に巻き込んで死なせかけた ﹂ ﹄ ﹃ねぇツッ君、面白いと思わない こんな百年ほど前の人が書いた内 勿論、言われた当時は何のことか分からなかったけど⋮。 ⋮⋮俺はね、この一文が好きだよ﹄ ﹃〟 大 空 は 万 物 を 覆 ふ 為 め、大 地 は 万 物 を 載 せ る 為 に 出 来 て 居 る 〟 さしてひろ兄はこう言った。 そしたらひろ兄に渡されたのは﹃吾輩は猫である﹄で、ある一文を の時は必至だったし。 だった。国語教師のひろ兄を頼るのって結構ズルだと思うけど⋮そ 想文を書くのも苦手で⋮情けない話だけど、ひろ兄に泣きついたん いたことを思いだす。とはいえ、今もだけどその時は本を読むのも感 そしてふと、小学校の頃、学校の宿題で夏目漱石の読書感想文を書 く納得する。 真美ちゃんの言葉にまた苦笑しちゃうけど、やっぱりその言葉に凄 ﹁あはは、凄く分かる﹂ 宙お兄ちゃんの事大好きだもん﹂ 事嫌いな理由は今言ったのでほぼ大当たりだと思うよ。お兄ちゃん、 ﹁ううん、ただ凄いなぁ⋮って思って。多分、お兄ちゃんが綱吉さんの ﹁へ ﹁⋮⋮これがボンゴレの超直感なんだ﹂ ほんと、恋愛感情でもないのに使うのって変な感じだけど。 くりくるんだよね﹂ ﹁なんていうか⋮言い方おかしいけど、嫉妬⋮っていうのが一番しっ もっと単純に⋮。 たことは数え切れないほどある。だけど、炎真が俺の事嫌いなのは もちろん、俺がボンゴレボスに選ばれたことでひろ兄に迷惑をかけ ? 説明されて、なんとなくひろ兄の言いたいことは分かった。でも今 身近に感じることができるのは、とても大事なことだと俺は思うよ﹄ のものだと感じることが出来る。⋮人と人が分かり合える可能性を 容に俺たちは共感できる。時間も距離も飛び越えて、大空と大地を対 ? 373 ? は、あの時以上にこの言葉の意味が分かる気がして。 俺と炎真は育ってきた環境も、周りの待遇も、ボスとしての覚悟も 何 も か も が 違 う。だ け ど、ひ ろ 兄 を 大 好 き だ っ て い う こ と だ け は、 きっとお互い共感できるから。 ﹁俺、炎真ともっといっぱいひろ兄のことについて話をしたい。助け たいと思う理由なんてそれだけでいいと思うんだ﹂ ちょっぴり照れくさくなりながらも、俺は笑ってそう言ったのだっ た。 374 気づいたら大地が大空と和解してました。⋮あれっ、 嫌な予感がする 炎真Side 最初は﹁沢田綱吉﹂が嫌いだった。 宙兄さんの甥っ子だからって、沢山迷惑をかけて、それを許されて、 甘やかされていたから。でもそれは、負い目のせいで素直に甘えらな い僕の嫉妬だって分かってる。 両親が生きていることも、マフィアの汚い部分を見ずに平和的に生 きてこれたことも、ボスだからってだけじゃなくついてきてくれる仲 間も。 何もかもが、僕と正反対で⋮⋮ただただ、羨ましかった。僕の持っ ていないもの、全てを持ってる彼が。 勿論彼にだって、大変なことがあっただろう。中学生まで平和に生 きてきたなら、突然自分がマフィアのボス│││それもイタリア一と いわれるボンゴレのボスだと教えられたら寝耳に水どころじゃ無い。 ずっと虐げられてきて、自衛の力を身に着けるしかなかった僕たち と違って、彼はそれこそ短期間で、死に物狂いであれだけの力を手に 入れる必要があったのだから。 ⋮⋮まぁ、その過程で宙兄さんを巻き込んだことは絶対に今でも許 せないし、許すつもりもないけど。 でも、今回。僕たちのせいで宙兄さんを巻き込んでしまってから、 一人になった時はよくあの思い出が思いだされた。あの⋮宙兄さん ﹄ から貰った言葉の中で、一番嬉しかったあの時の事を。 ﹃⋮ねぇ、宙兄さん。沢田綱吉ってどういう子なの ﹃んー そこら辺にいるような、勉強も運動も苦手で、自分の意見を がキッカケ。 縁で宙兄さんの僕と同い年の甥っ子がいると聞いて、興味を持ったの それは、ふとした拍子に問いかけた他愛のない質問。確か、何かの ? 375 !? はっきり言うことが苦手で、でもなんだかんだ傷ついてる人を放って ? おけないよーなお人好しの⋮どこにでもいる普通の子供だよ﹄ まぁ、返答は宙兄さんの甥っ子という期待を裏切ってとても平凡な ものだったけど。でも⋮ついで言われた言葉に。それを言った宙兄 さんの表情に少しばかり嫉妬したのは僕だけの秘密だ。 ﹃まぁ、だけど。あの子は、自分じゃない他の誰かが傷つかない為な ら、ほんの少し強くなれる子だよ﹄ ﹃⋮優しい子なんだね﹄ ﹃うん。│││炎真君と同じようにね﹄ 思わず自問自答してしまうくらいには意表を突か だけど、続けて茶目っ気たっぷりに言われた言葉に思わず瞠目し た。僕が、優しい れた言葉だった。 その頃から僕は、あんまりファミリー以外に愛想がいいわけでもな かったし、自分たちが生きるのに必死だったから他人を助けるなんて と思ってしまった こともしてなかった。だから、それこそ〟優しい人の代名詞〟みたい な宙兄さんに不意にそんなこと言われてどこが んだ。 為に強くなろうとしてるだろう ﹄ ﹃⋮優しいよ、炎真君は。だって、ボスとして真美ちゃんを、皆を守る ? 父さんの足元にも及ばない、僕が ? て強い、最高のボスだよ﹄ 最高のボス ﹃ほら。そうやって、ファミリーを守ろうと奮闘する炎真君は優しく ﹃⋮だって、それは⋮僕は⋮僕が、シモンのボス⋮だから﹄ ? て。 ﹃ファミリーの数だけ、色んなボスの形がある。でも俺は、自分のファ ミリーを大事にするボスが一番好ましいと思う。だから、炎真君は俺 の中じゃ最高のボスなんだ﹄ と ん で も な い、爆 弾 を 放 っ た。そ れ は も う、ビ ッ ク バ ン な ん て 目 恥ずかしげもなくそんなこと言わないでよっ﹄ じゃないくらいの大威力で。 ﹃⋮⋮⋮っ宙兄さん ! 376 ? いまだに納得のいかなかった卑屈な僕を見て、宙兄さんは苦笑し ? ﹄ ﹃エッ、なんで俺怒られてんの んのぉ│││ なんで炎真君大地の炎灯そうとして 顔どころか耳まで真っ赤になってるであろう程に羞恥心にまみれ ? ﹄ た僕は、戸惑う宙兄さんにお構いなしに炎を灯して。 ﹄ ﹃いっぺん頭冷やして来て ﹃うぉわぁああああ !!! ﹁炎真 ﹂ それから、どれくらいの時間が過ぎたのか。 *** けれど。 力及ばずにDに勝つどころかマインドコントロールされてしまった とする、シモンボスとしての誇りを失わずに済んだ。⋮⋮それでも、 あの賛辞があったから、僕は逃げださないでいられた。皆を守ろう 見られた時も。たった独りで、Dを倒すために対峙した時も。 をついて、それでも嘘の言葉で更に傷つけて信じられないような目で Dを倒すためにファミリーを騙すと決意した時も。皆が実際に傷 だから、耐えられたんだ。 賛辞は僕にとってなによりの宝物になった。 何はともあれ。あの時、宙兄さんに贈られた﹁最高のボス﹂という ⋮⋮あの後、照れ隠しに思いっきり大地の炎でふっ飛ばしたっけ。 !!?? の響いた声は、僕の嫌いな沢田綱吉のもので。 ﹂ と思う間もなく、とんでもない言葉が聞こえてき ﹁俺たちはお前を迎えに来た どうして彼が ﹂ ぶっ 何の相談もなく復讐者に連れ去られた宙兄さんを説教するた めに一緒に来て欲しい 宙お兄ちゃんが自己犠牲精神発揮して大変なの ﹂ ! た。 !!! 飛ばせるのはお兄ちゃんしかいないよ ﹁お兄ちゃん !!! ﹁炎真 ? ないという選択肢はなかった。 ついで、被せるように聞こえてきた真美の言葉にもう、正気に戻ら !!! ! 377 !? 分からなかったけど、その声は唐突に僕の中へと響いた。そしてそ !!! ! ﹁││っまた宙兄さんは無茶したの だよ ﹁よかった炎真、正気に戻って ﹂ ﹂ ﹂ つーか古里だけには宙さんも言われたくねーのな∼﹂ ﹁⋮ツナと炎真の宙フルボッココンビが出来たな﹂ ﹁さっすが宙お兄ちゃんクラスタなだけあるね、お兄ちゃん ! という結論に至った僕とツナヨシ君︵なんだか宙兄さんに対してイ それからまぁ、色々あって。心置きなく宙兄さんをぶっ飛ばしたい *** 否定要素ないけど。 ⋮うん、それだけだよ。だから真美、クラスタって言い方止めて。 ! けるね ﹂ これで一緒にひろ兄をぶん殴りに行 ど。正気失ってる場合じゃ無いなって思ったら自然に解けてただけ いや、好きでマインドコントロールされてたわけじゃ無いんだけ !!? ﹁なんでマインドコントロール解けるんスかこれで ! ? ﹁ははっ !? ! ロイロ思う所に共感してこう呼ぶようになった︶は、先にDを倒すこ とにしたのだった│││ *** あと、真美に笑顔で。 いっそ宙兄さんと ﹁それはそれとして、お兄ちゃんも独りで無茶したんだから後で皆に 怒られる覚悟はしておいてね♪﹂ ⋮と言われた僕はどこに逃げればいいんだろ 一緒に逃亡しよっかな⋮ ? 兄さんがあることをやらかそうとしていることを。 遠い目で現実逃避をしている僕は知らない。今まさにこの瞬間、宙 ? 378 !
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