平成29年2月15日 M O X 燃 料 加 工 施 設 に お け る 新 規 制 基 準

【公開版】
資料1-4
M O X 燃 料 加 工 施 設 に お け る
新 規 制 基 準 に 対 す る 適 合 性
臨界の発生可能性について(再評価)
平成29年2月15日
目次
1.臨界の発生可能性に係る評価について
2.取扱制限値の設定 質量管理の工程における取扱制限値の設定
3.内的事象を起因とした異常の想定
4.外的事象を起因とした異常の想定
5.異常事象を起因とした臨界の発生可能性の条件整理 評価条件の設定
6.内的事象における臨界の発生可能性
6.1 内的事象における臨界の発生可能性の検討
6.2 ① グローブボックス内への容器の異常搬入
6.3 ② 混合機外へのMOXの漏えいによる堆積
7.外的事象における臨界の発生可能性
7.1 外的事象における臨界の発生可能性の検討
7.2 ① 貯蔵施設の破損による核燃料物質の集積
7.3 ② 水配管の破損による溢水
8.まとめ
補足説明資料1 取扱制限値に対する内的事象の考慮
補足説明資料2 混合機外へのMOXの漏えい・堆積による臨界の発生可能性の検討
~未臨界質量に至る時間算出条件~
補足説明資料3 貯蔵設備における没水の可能性
1
【凡 例】
:事業変更許可申請書(H28.6.30補正)に記載した内容を示す範囲
:事業変更許可申請書(H28.6.30補正)に記載した内容の主旨を示す範囲
:補正予定の内容を示す範囲
枠線なし
:事業変更許可申請書(H28.6.30補正)の記載又は補正予定の内容の補足説明を示す範囲
:設工認申請にて示す範囲
2
はじめに
○平成28年3月28日 第107回審査会合
MOX燃料加工施設の臨界安全設計においては,機械若しくは器具の単一故障若しくはその誤作動又
は運転員の単一の誤操作を想定しても臨界に達するおそれのない設計としている。
また,核燃料物質の異常な集積を想定した結果,臨界の発生可能性は限りなく小さいが,加工施設の
安全設計(影響緩和対策)の妥当性を確認するために,仮にグローブボックス内への核燃料物質の集
積による臨界の発生を想定し,敷地周辺の公衆の実効線量の評価を行った。
○平成28年5月31日 第118回審査会合
重大事故の検討においては,グローブボックス内への核燃料物質の異常な集積による臨界の発生を
想定し,7つのグローブボックスにおいて臨界の発生が物理的に否定できないことを説明した。
○平成28年11月4日 第161回審査会合
MOX燃料加工施設においては現実的に臨界に至る核燃料物質を一箇所に集積することは極めて困
難であり,異常な集積が発生した場合,検知が可能であることから,臨界事故(設計基準事故及び重大
事故)は発生しないことを説明した。
この評価の設定条件として,実際のリスクの所在を特定する観点から現実的な製造条件を用いて解析評価
を行った。しかし,これら評価に用いたパラメータは事業許可申請書において担保している値ではないため,
今回,新たに設定した取扱制限値に基づき,臨界の発生可能性について再評価を行った。
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1.臨界の発生可能性に係る評価について
〔評価の前提条件〕
 取扱制限値(MOX質量,Pu*質量,Pu富化度,含水率等)及び臨界の安全設計を踏まえて,臨界の発生
可能性の評価条件を設定する。
〔評価方法〕
 異常事象(内的事象及び外的事象)を起因とする,取扱制限値のパラメータの逸脱の可能性を検討する。
 パラメータの逸脱の可能性から,具体的な事故シナリオ(内的事象及び外的事象)を想定し,臨界の発生可
能性を検討する。
本評価に当たっては,計算コードシステムSCALE-4のKENO-Ⅴ.aコード及びENDF/B-Ⅳライブラリ
を用いて計算し,標準偏差の3倍を考慮した中性子実効増倍率が,推定臨界下限増倍率0.97を下回る場合,臨
界に至らないと判定する。ただし,円すい形状等KENO-Ⅴ.aコードでは取り扱えないモデルに対してはKEN
O-Ⅴ.aコードと同等(1)であるKENO-Ⅵコードを用いて解析を行う。
具体的な評価の前提条件及び評価方法について次ページ以降に示す。
(1) P. B. Fox and L. M. Petrie. Validation and Comparison of KENO V.a and KENO-VI. Oak Ridge National Laboratory, 2002,
ORNL/TM-2001/110.
4
2. 取扱制限値の設定
質量管理の工程における取扱制限値の設定
取扱上の制限の設定(1/2)
形状や量が不定である非密封の粉末やペレットを取り扱う工程では,取扱制限値として定め
た値以下で取り扱う設計とすることで,臨界安全を確保する。
各単一ユニットでは,取扱制限値以上の厳しい設定条件を設定し,さらに反射条件として水
反射体30cm,球形状モデルとした上で,中性子実効増倍率を算出し,0.95を下回る質量(以下,
「0.95対応質量」という。)を確認する。
各単一ユニットにおいては,取扱制限値が0.95対応質量の設定条件及び0.95対応質量以下
となるように設定する。
形態
取扱単位
プルトニウム 核分裂性プルトニウム
含水率(注2)
0.95対応質量
富化度
富化度(注1)
MOX粉末-1
60%以下
-
1.5%以下
35.0kg・Pu*(注4)
MOX粉末-2
33%以下
-
2.5%以下
45.0kg・Pu*
MOX粉末-3
18%以下
11.6%以下
3.5%以下
29.0kg・Pu*
MOX粉末-4
18%以下
-
0.5%以下
83.0kg・Pu*
ペレット-1
18%以下
11.6%以下
3.5%以下
29.0kg・Pu*
ペレット-2
18%以下
-
0.1%以下
36.0kg・Pu*
ペレット-3
60%以下
-
3.5%以下
7.50kg・Pu*(注5)
MOX
水:30cm
設定条件
注1 核分裂性プルトニウム富化度(%)
=((プルトニウム-239質量+プルトニウム-241質量)/(プルトニウム質量+ウラン質量))×100 以下同じ。
注2 含水率(%)=(水分質量/(MOX質量+水分質量))×100 以下同じ。
注3 再処理施設の混合酸化物貯蔵容器(粉末缶3缶収納)を共用する。
注4 Pu*は,プルトニウム-239,プルトニウム-241及びウラン-235の総称とし,kg・Pu*は,その合計質量とする。以下同じ。
注5 二重装荷を考慮する場合は2分の1とする。
単一ユニット毎の0.95対応質量と取扱制限値を整理した表を次項以降に示す。
5
2. 取扱制限値の設定
質量管理の工程における取扱制限値の設定
取扱上の制限の設定(2/2)
取扱制限値は,工程を単一ユニットに分割し,それぞれのユニットで用いる可能
性のあるMOX形態と,形態毎の量を考慮して設定する。
表:MOX形態とパラメータ
MOX形態
粉末
ペレット
燃料棒
燃料集合体
原料MOX粉末
一次混合粉末
二次混合粉末
添加剤混合粉末
グリーンペレット
焼結ペレット
BWR燃料棒
PWR燃料棒
BWR燃料集合体
PWR燃料集合体
Pu富化度(%)
含水率(%)
核分裂性
Pu割合(%)
ウラン中のU-
235含有率(%)
60以下
30以下
18以下※1
18以下※1
18以下※1
18以下※1
17以下※2
18以下※1
11以下※3
14以下※4
0.5以下
1.0以下
1.5以下
2.5以下
2.5以下
0.1以下
0.1以下
0.1以下
0.1以下
0.1以下
83以下※5
1.6以下※5
添付書類五 添5第4表
※1
※2
※3
※4
※5
核分裂性Pu富化度:11.6%以下で管理する
核分裂性Pu富化度:9.4%以下で管理する
燃料集合体平均としての核分裂性Pu富化度:6.1%以下で管理する
燃料集合体平均としての核分裂性Pu富化度:9.1%以下で管理する
加工施設での最大値を設定する。
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2. 取扱制限値の設定
質量管理の工程における取扱制限値の設定
<粉末調整工程>
表 成形施設の設備,単一ユニット名及び取扱制限値(1/5)
取扱制限値
設備
原料MOX粉末缶
取出設備
一次混合設備
ユニット名
0.95対応質量
MOX質量
Pu*質量
Pu富化度
含水率
原料MOX粉末缶
取出ユニット
35.0kg・Pu*
50kg・MOX
21.9kg・Pu*
60%
0.5%
原料MOX粉末秤量・
分取ユニットA
35.0kg・Pu*
60kg・MOX
26.7kg・Pu*
60%
0.5%
原料MOX粉末秤量・
分取ユニットB
35.0kg・Pu*
60kg・MOX
26.7kg・Pu*
60%
0.5%
ウラン粉末・回収粉末
秤量・分取ユニット
83.0kg・Pu*
258kg・MOX
19.3kg・Pu*
18%※1
0.5%
予備混合ユニット※2
35.0kg・Pu*
87kg・MOX
24.5kg・Pu*
60%
1.0%
一次混合ユニットA※3
36.0kg・Pu*
96kg・MOX
22.1kg・Pu*
30%
1.0%
一次混合ユニットB※3
36.0kg・Pu*
96kg・MOX
22.1kg・Pu*
30%
1.0%
※1 Pu富化度が18%以下の粉末の管理に当たっては,Pu富化度に加え,核分裂性Pu割合との組合せで核分裂性Pu富化度が11.6%以下となるように管理する。
※2 予備混合後の粉末はJ60に収容することから,予備混合機内の粉末の平均Pu富化度はJ60の取扱制限値である30%以下とする。
※3 ウラン合金ボールを使用するユニットであるが,ウラン合金であるためMOX質量には含めない。
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2. 取扱制限値の設定
質量管理の工程における取扱制限値の設定
<粉末調整工程>
表 成形施設の設備,単一ユニット名及び取扱制限値(2/5)
取扱制限値
設備
二次混合設備
分析試料
採取設備
ユニット名
0.95対応質量
MOX質量
Pu*質量
Pu富化度
含水率
一次混合粉末秤量・
分取ユニット
45.0kg・Pu*
258kg・MOX
38.6kg・Pu*
30%
1.0%
均一化混合ユニット※1
45.0kg・Pu*
311kg・MOX
40.4kg・Pu*
30%
1.5%
造粒ユニット
29.0kg・Pu*
128kg・MOX
14.7kg・Pu*
18%※2
1.5%
添加剤混合ユニットA
29.0kg・Pu*
208kg・MOX
23.9kg・Pu*
18%※2
2.5%
添加剤混合ユニットB
29.0kg・Pu*
208kg・MOX
23.9kg・Pu*
18%※2
2.5%
原料MOX分析試料
採取ユニット
35.0kg・Pu*
32kg・MOX
14.0kg・Pu*
60%
0.5%
分析試料採取・詰替
ユニット
29.0kg・Pu*
213kg・MOX
28.2kg・Pu*
30%
2.5%
※1 J85内は異なる富化度の粉末が積層状態となる場合があることから,容器内の平均Pu富化度である18%以下で管理する。それに伴い,J85内粉末を投入する
均一化混合機についても,J85平均Pu富化度の粉末を取り扱うものとする。
※2 Pu富化度が18%以下の粉末の管理に当たっては,Pu富化度に加え,核分裂性Pu割合との組合せで核分裂性Pu富化度が11.6%以下となるように管理する。
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2. 取扱制限値の設定
質量管理の工程における取扱制限値の設定
<粉末調整工程>
表 成形施設の設備,単一ユニット名及び取扱制限値(3/5)
取扱制限値
設備
スクラップ
処理設備
ユニット名
0.95対応質量
MOX質量
Pu*質量
Pu富化度
含水率
回収粉末処理・詰替
ユニット
36.0kg・Pu*
247kg・MOX
28.4kg・Pu*
18%※1
0.5%
回収粉末微粉砕
ユニット※2
36.0kg・Pu*
96kg・MOX
22.1kg・Pu*
30%
1.0%
回収粉末処理・混合
ユニット※3
45.0kg・Pu*
186kg・MOX
32.4kg・Pu*
30%
2.5%
再生スクラップ
焙焼処理ユニット
7.50kg・Pu*
38kg・MOX
7.50kg・Pu*
60%
2.5%
再生スクラップ
受払ユニット
3.75kg・Pu*※4
63kg・MOX
3.75kg・Pu*
60%
2.5%
※1 Pu富化度が18%以下の粉末の管理に当たっては,Pu富化度に加え,核分裂性Pu割合との組合せで核分裂性Pu富化度が11.6%以下となるように管理する。
※2 ウラン合金ボールを使用するユニットであるが,ウラン合金であるためMOX質量には含めない。
※3 混合後の粉末はJ85に収容することから,回収混合機内の粉末の平均Pu富化度はJ85の取扱制限値である18%以下とする。
※4 二重装荷を考慮し,中性子実効増倍率が0.95以下に対応する質量の2分の1とする。
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2. 取扱制限値の設定
質量管理の工程における取扱制限値の設定
<ペレット加工工程>
表 成形施設の設備,単一ユニット名及び取扱制限値(4/5)
取扱制限値
設備
圧縮成形設備
焼結設備
ユニット名
0.95対応質量
MOX質量
Pu*質量
Pu富化度
含水率
プレス・グリーン
ペレット積込ユニットA
29.0kg・Pu*
245kg・MOX
28.1kg・Pu*
18%※
2.5%
プレス・グリーン
ペレット積込ユニットB
29.0kg・Pu*
245kg・MOX
28.1kg・Pu*
18%※
2.5%
空焼結ボート取扱
ユニット
29.0kg・Pu*
36kg・MOX
4.2kg・Pu*
18%※
2.5%
焼結炉ユニットA
29.0kg・Pu*
411kg・MOX
29.0kg・Pu*
18%※
2.5%
焼結炉ユニットB
29.0kg・Pu*
411kg・MOX
29.0kg・Pu*
18%※
2.5%
焼結炉ユニットC
29.0kg・Pu*
411kg・MOX
29.0kg・Pu*
18%※
2.5%
※Pu富化度が18%以下の粉末の管理に当たっては,Pu富化度に加え,核分裂性Pu割合との組合せで核分裂性Pu富化度が11.6%以下となるように管理する。
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2. 取扱制限値の設定
質量管理の工程における取扱制限値の設定
<ペレット加工工程>
表 成形施設の設備,単一ユニット名及び取扱制限値(5/5)
取扱制限値
設備
研削設備
ペレット検査設備
ペレット検査設備
ユニット名
0.95対応質量
MOX質量
Pu*質量
Pu富化度
含水率
ペレット研削・検査
ユニットA
36.0kg・Pu*
301kg・MOX
34.4kg・Pu*
18%※
0.1%
ペレット研削・検査
ユニットB
36.0kg・Pu*
301kg・MOX
34.4kg・Pu*
18%※
0.1%
ペレット立会検査
ユニット
36.0kg・Pu*
47kg・MOX
5.3kg・Pu*
18%※
0.1%
※Pu富化度が18%以下の粉末の管理に当たっては,Pu富化度に加え,核分裂性Pu割合との組合せで核分裂性Pu富化度が11.6%以下となるように管理する。
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2. 取扱制限値の設定
質量管理の工程における取扱制限値の設定
<燃料棒加工工程>
表 被覆施設の設備,単一ユニット名及び取扱制限値
取扱制限値
設備
スタック編成設備
ユニット名
0.95対応質量
MOX質量
Pu*質量
Pu富化度
含水率
スタック編成ユニットA
36.0kg・Pu*
93kg・MOX
10.6kg・Pu*
18%※1
0.1%
スタック編成ユニットB
36.0kg・Pu*
93kg・MOX
10.6kg・Pu*
18%※1
0.1%
空乾燥ボート取扱
ユニット
36.0kg・Pu*
184kg・MOX
21.0kg・Pu*
18%※1
0.1%
スタック乾燥ユニットA
36.0kg・Pu*
266kg・MOX
30.5kg・Pu*
18%※1
0.1%
スタック乾燥ユニットB
36.0kg・Pu*
266kg・MOX
30.5kg・Pu*
18%※1
0.1%
スタック供給・挿入
溶接ユニットA
36.0kg・Pu*
198kg・MOX
22.6kg・Pu*
18%※1
0.1%
スタック供給・挿入
溶接ユニットB
36.0kg・Pu*
198kg・MOX
22.6kg・Pu*
18%※1
0.1%
燃料棒解体ユニット
18.0kg・Pu*※2
79kg・MOX
9.0kg・Pu*
18%※1
0.1%
スタック乾燥設備
挿入溶接設備
燃料棒解体設備
※1Pu富化度が18%以下の粉末の管理に当たっては,Pu富化度に加え,核分裂性Pu割合との組合せで核分裂性Pu富化度が11.6%以下となるように管理する。
※2 二重装荷を考慮し,中性子実効増倍率が0.95以下に対応する質量の2分の1とする。
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2. 取扱制限値の設定
質量管理の工程における取扱制限値の設定
<核燃料物質の検査設備>
表 核燃料物質の検査設備の設備,単一ユニット名及び取扱制限値
取扱制限値
設備
ユニット名
0.95対応質量
MOX質量
Pu*質量
Pu富化度
含水率
受払ユニット
0.25kg・Pu*※1
5kg・MOX
0.25kg・Pu*※2
60%
-
分析ユニット(a)
0.25kg・Pu*※1
8kg・MOX
0.25kg・Pu*※2
60%
-
分析ユニット(b)
0.50kg・Pu*
6kg・MOX
0.50kg・Pu*※2
60%
-
分析済液処理
ユニット
0.25kg・Pu*※1
3kg・MOX
0.25kg・Pu*※2
60%
-
分析設備
※1 二重装荷を考慮し,中性子実効増倍率が0.95以下に対応する質量の2分の1とする。
※2 標準物質等は,Pu*質量で管理を行う。
<実験設備>
表 実験設備の設備,単一ユニット名及び取扱制限値
取扱制限値
設備
小規模試験設備
ユニット名
小規模試験ユニット※1
従来の核的制限値
3.75kg・Pu*※2
MOX質量
Pu*質量
Pu富化度
含水率
103kg・MOX
3.75kg・Pu*
60%
2.5%
※1ウラン合金ボールを使用するユニットであるが,ウラン合金であるためMOX質量には含めない。
※2 二重装荷を考慮し,中性子実効増倍率が0.95以下に対応する質量の2分の1とする。
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2. 取扱制限値の設定
質量管理の工程における取扱制限値の設定
 各容器における取扱制限値を以下に示す。
表 各容器の取扱制限値(1/2 )
容器
取扱制限値注1)
MOX質量
Pu*質量
Pu富化度
含水率
J18
20kg・MOX
8.9kg・Pu*
60%
0.5%
J40
45kg・MOX
5.2kg・Pu*
18%※
0.5%
J60
65kg・MOX
15.0kg・Pu*
30%
1.0%
J85注2)
90kg・MOX
10.4kg・Pu*
18%※
2.5%
CS・RS保管ポット
(粉末)
0.7kg・Pu*
30%
3kg・MOX
0.4kg・Pu*
18%※
CS・RS保管ポット
(ペレット注3))
7kg・MOX
0.8kg・Pu*
18%※
2.5%
原料MOXポット
2kg・MOX
0.7kg・Pu*
60%
2.5%
2.5%
注1)搬送の際には,搬送する容器の取扱制限値に加え,搬送先の単一ユニットの取扱制限値を逸脱していないことを確認する。
注2)J85内は異なる富化度の粉末が積層状態となる場合があることから,容器内の平均Pu富化度で管理する。
注3)焼結ペレット由来の研削粉を含む。
※Pu富化度が18%以下の粉末の管理に当たっては,Pu富化度に加え,核分裂性Pu割合との組合せで核分裂性Pu富化度が11.6%以下となるよう
に管理する。
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2. 取扱制限値の設定
質量管理の工程における取扱制限値の設定
表 各容器の取扱制限値(2/2 )
MOX質量
取扱制限値注)
Pu*質量
Pu富化度
焼結ボート
10kg・MOX
1.2kg・Pu*
18%※
2.5%
スクラップ焼結ボート
9kg・MOX
1.1kg・Pu*
18%※
2.5%
ペレット保管容器
24kg・MOX
2.8kg・Pu*
18%
0.1%
規格外ペレット保管容器
21kg・MOX
2.5kg・Pu*
18%
0.1%
乾燥ボート
21kg・MOX
2.4kg・Pu*
18%
0.1%
容器
含水率
注)搬送の際には,搬送する容器の取扱制限値に加え,搬送先の単一ユニットの取扱制限値を逸脱していないことを確認する。
※Pu富化度が18%以下の粉末の管理に当たっては,Pu富化度に加え,核分裂性Pu割合との組合せで核分裂性Pu富化度が11.6%以下となる
ように管理する。
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3. 内的事象を起因とした異常の想定
 加工施設では,機器の単一の故障若しくはその誤作動又は運転員の単一の誤操作を想
定しても取扱制限値を逸脱しない設計とすることから,これらの事象が発生した場合にお
いても,臨界に達するおそれはない。
 設計上定める条件よりも厳しい条件として,多重の誤動作・誤操作及び設備の多重故障
を想定した場合,取扱制限値を逸脱する可能性のあるパラメータを考慮して臨界の発生
可能性の検討を行う。
•
多重誤操作,多重誤動作及び設備の多重故障が単独で発生したとしても加工施設はバッチ処理で
あり,異常に伴い設備・機器が停止するため,取扱制限値を逸脱する事象は発生しない。
•
ただし,取扱制限値を維持するための動的機能が多重に機能喪失した状態において核燃料物質
量の逸脱が想定され,さらに多重の誤操作の重畳を想定した場合,形状に期待出来ない状態が発
生する可能性がある。
臨界評価に用いるパラメータ
多重の機能喪失によるパラメータ逸脱の可能性
核燃料物質量
多重の誤動作誤操作により取扱制限値を逸脱する可能性があるため事故評価において考慮
する。
U濃縮度
受入制限をしており,工程内で濃縮度が上昇する工程は無いため,逸脱する可能性は無い。
Pu富化度
受入制限をしており,工程内でPu富化度が上昇する工程は無いため,逸脱する可能性は無
い。
核分裂性物質の割合
受入制限をしており,工程内で核分裂性物質の割合が上昇する工程は無いため,逸脱する
可能性は無い。
含水率
多重の誤操作・誤動作によって,添加剤の過剰投入は発生し得るが,機器の体積制限を行う
ため物理的に発生しない。(P.18,19参照)
形状
変わり得るため事故評価において考慮する。
16
3.内的事象を起因とした異常の想定
 設備・機器の多重故障,誤動作,誤操作を考慮し,逸脱が想定されるパラメータとして,核燃料物
質量及び形状の逸脱を以下のように想定する。
 検討のステップとして,異常搬入が発生した際に設備の形状を考慮し物理的に臨界が起こり得る
か,更に設備の故障等により形状に期待出来ない状況において,臨界に至る前に異常の検知が
可能か評価する。
核燃料物質の量
内的ステップ①
内的ステップ②
単一ユニット内に容器が過剰
に誤搬入され,混合機内に投
入され続けることを想定
単一ユニット内に容器が過剰に
誤搬入され,混合機内に投入さ
れ続けることを想定
設備・機器の形状は健全
混合機下部から漏えいし,過剰
に集積することを想定
形状
① グローブボックス内への容器の異常搬入及び
混合機内へのMOXの過剰投入
(6.2において説明)
② 混合機下部からのMOXの漏えいによるグロー
ブボックス底部へ堆積
(6.3において説明)
17
3.内的事象を起因とした異常の想定
混合機の容積制限による臨界安全設計
平成28年3月28日 第107回審査会合において,均一化混合機はMOX粉末と添加剤の如何なる組合せの過剰投入を想定しても
物理的に臨界が発生しないよう,容積を580Lから340L以下に設計変更することを説明した。
今回新たに設定した取扱制限値に基づき再評価し,添加剤を投入する混合機の容積に変更の必要があるか確認する。
第107回審査会合説明時の未臨界質量と,今回の評価条件に基づく未臨界質量は以下のとおり。
第107回審査会合説明時の評価条件
今回の評価条件
モデル形状
球
球
MOX形態
原料MOX粉末
二次混合粉末
10~782kg・MOX(残りの空間は添加剤充満)
10~1700kg・MOX(残りの空間は添加剤充満)
55 %
14%
周囲を2.5cmの水
周囲を2.5cmの水
2.3×103kg/m3
5×103kg/m3
核分裂性Pu割合
83%
83%
ウラン中のウラン-235含有率
1.6%
1.6%
質量
Pu富化度
中性子反射効果
MOX粉末密度
18
3.内的事象を起因とした異常の想定
混合機の容積制限による臨界安全設計
MOX粉末と添加剤割合を変えた場合の中性子実効増倍率の推移を以下に示す。Pu富化度30%,粉末密
度5g/ccにおいて混合機容積が120リットル以下, Pu富化度18%,粉末密度5g/ccにおいて混合機容積が340
リットル以下であれば,推定臨界下限増倍率0.97を超えることはない。
上記の評価結果から,混合機は取扱制限値のPu富化度に応じて以下の容積で設計する。
Pu富化度
容積
30%
120リットル以下
18%
340リットル以下
19
4.外的事象を起因とした異常の想定
加工施設は想定される外部事象に対して事故の誘因とならない設計とすることから,設計
基準の範囲において取扱制限値を逸脱することはない。
ただし,設計上定める条件より厳しい条件の下において発生する事故の起因として選定し
た,基準地震動を超える地震動の発生については,異常事象の特徴を踏まえた上で,取扱
制限値を逸脱する可能性のあるパラメータを考慮して臨界発生の可能性を検討する。
•
地震動の増加に伴い,耐震重要度分類の低い設備から機能喪失していくことが想定される。
•
基準地震動を超える地震動が発生すると,グローブボックスや貯蔵施設が損傷し,設備・機器が
転倒することによる形状変化が想定される。
•
さらに,溢水源となり得る水配管や,建屋及び工程室と同等以上の耐震性を有する設備である堰
についても損傷し,工程室内への水の浸入による含水率の変化が想定される。
臨界評価に用いるパラメータ
地震によるパラメータ逸脱の可能性
核燃料物質量
取扱制限値からの逸脱は外的事象と因果関係がないことから取扱制限値からの逸脱は想定
しない。
U濃縮度
取扱制限値からの逸脱は外的事象と因果関係がないことから取扱制限値からの逸脱は想定
しない。
Pu富化度(核分裂性物質の
割合)
取扱制限値からの逸脱は外的事象と因果関係がないことから取扱制限値からの逸脱は想定
しない。
含水率
工程室外の水配管が破損し,溢水防護区画境界の堰も破損することを想定し,核燃料物質と
溢水の接触による含水率の変化を考慮する。
形状
単一ユニットを構成するグローブボックス及び貯蔵施設において「過大な変形,亀裂,破損」し
た場合,核燃料物質の集積による臨界に至らない設計とした一時保管ピット等の損傷による形
状変化を考慮する。
20
4.外的事象を起因とした異常の想定
 基準地震動を超える地震動の発生を考慮し,逸脱が想定されるパラメータとして,形状及
び含水率を以下のように想定する。
 検討のステップとして,地震によって,単一ユニットを構成するグローブボックス及び貯蔵
施設が損傷し,核燃料物質の形状が維持出来ない場合を想定し,物理的に臨界が起こり
得るか,更に建屋及び工程室と同等以上の耐震性を有する施設である堰が損傷した状況
において,核燃料物質と水の接触を想定し,臨界が起こり得るかを評価する。
外的ステップ①
外的ステップ②
形状
単一ユニットを構成するグローブボッ
クス及び貯蔵施設の過大な変形,亀
裂,破損により,核燃料物質が集積
することを想定
過大な変形,亀裂,破損により,核燃
料物質が集積することを想定
含水率
堰は健全であり,核燃料物質との接
触は想定しない
水配管及び堰が破損し,核燃料物質
と溢水の接触を想定
① 貯蔵施設の破損による核燃料物質の集積
(7.2において説明)
② 水配管及び堰の破損による溢水
(7.3において説明)
21
5.異常事象を起因とした臨界の発生可能性の条件整理
評価条件の設定
臨界の発生可能性を検討するに当たり,各MOX形態の設定を以下のとおりする。
MOX形態
粉末
ペレット
燃料棒
燃料集合体
原料MOX粉末
一次混合粉末
二次混合粉末
添加剤混合粉末
グリーンペレット
焼結ペレット
BWR燃料棒
PWR燃料棒
BWR燃料集合体
PWR燃料集合体
Pu富化度(%)
含水率(%)
60
30
14※1
14※1
14※1
14※1
12※2
14※1
8※3
11※4
0.5
1.0
1.5
2.5
2.5
0.1
0.1
0.1
0.1
0.1
密度
(×103kg/m3)
4
5
5
5
7.9
11.1
11.1
11.1
11.1
11.1
核分裂性
Pu割合(%)
ウラン中のU-
235含有率(%)
83※5
1.6※5
添付書類五 添5第4表
●Pu富化度の設定
※1 今回の評価条件は,次の範囲に対して臨界上保守側となる条件を設定する。
1)核分裂性Pu富化度:11.6%以下
2)Pu富化度:18%以下
臨界評価上は,核分裂性Pu富化度11.6%及び核分裂性Pu割合83%との組合せから,Pu富化度を14%とする。
ただし,
核分裂性Pu富化度(%)=((Pu-239質量+Pu-241質量)/(Pu質量+U質量))×100
※2 今回の評価条件は,次の範囲に対して臨界上保守側となる条件を設定する。
1)核分裂性Pu富化度:9.4%以下
2)Pu富化度:17%以下
臨界評価上は,核分裂性Pu富化度9.4%及び核分裂性Pu割合83%との組合せから,Pu富化度を12%とする。
※3 今回の評価条件は,次の範囲に対して臨界上保守側となる条件を設定する。
1)燃料集合体平均としての核分裂性Pu富化度:6.1%以下
2)燃料集合体平均としてのPu富化度:11%以下
臨界評価上は,核分裂性Pu富化度6.1%及び核分裂性Pu割合83%との組合せから,Pu富化度を8%とする。
※4 今回の評価条件は,次の範囲に対して臨界上保守側となる条件を設定する。
1)燃料集合体平均としての核分裂性Pu富化度:9.1%以下
2)燃料集合体平均としてのPu富化度:14%以下
臨界評価上は,核分裂性Pu富化度9.1%及び核分裂性Pu割合83%との組合せから,Pu富化度を11%とする。
●核分裂性Pu割合及びウラン中のウラン-235含有率の設定
※5 加工施設での最大値を設定する。
22
6.内的事象における臨界の発生可能性
23
6.1 内的事象における臨界の発生可能性の検討
設計基準の範囲において臨界の発生は想定されないが,万一,臨界が発生した場合の影響の大きさを考慮し,
設計基準を超える条件として核燃料物質が自由に移動可能となる状態を想定し,核燃料物質の異常な集積によ
る臨界の発生可能性を検討した。
検討のステップとして,異常搬入が発生した際に設備の形状を考慮し物理的に臨界が起こり得るか,更に設備
の故障等により形状に期待出来ない状況において,臨界に至る前に異常の検知が可能か評価する。
内的事象を起因とした臨界の発生可能性
① グローブボックス内への容器の異常搬入及び
混合機内へのMOXの過剰投入
② 混合機下部からのMOXの漏えいによるグロー
ブボックス底部へ堆積
搬送装置の可動域内で物理的に配置可能な範囲にお
いてグローブボックス内への異常搬入を網羅的に想定
し,未臨界質量と比較
容器の搬送時間に基づき,未臨界質量に至るまで
の所要時間を算出
未臨界質量を超えるMOXが集積し得るグローブボック
スに対し実設計を考慮したモデルで臨界解析を実施
始業前点検を実施する1シフト以上の時間を要す
る場合,異常の検知が可能であり臨界に至らない
漏えい
24
6.2 ① グローブボックス内への容器の異常搬入
MOXが収納された容器が誤搬入され続けることを想定し,搬送装置の可動域内で物理的に配置可能な範囲におけるグロー
ブボックス内への異常な搬入を検討する。さらに,MOXが混合機内に満杯に投入されることを想定する。
異常集積時のMOX量と未臨界質量※を比較する。
(球形状モデルで算出した未臨界質量を下回れば,如何なる集積状態においても臨界に至ることはない。)
MOX形態
原料MOX粉末
一次混合粉末
二次混合粉末
添加剤混合粉末
グリーンペレット
焼結ペレット
未臨界質量(kg・MOX)
300
650
2200
1500
600
850
全てのグローブボックスを対象に評価を行った結果,以下の8グローブボックスのMOX集積量が未臨界質量を超える結果となっ
た。
・原料MOX粉末缶取出装置グローブボックス
・原料MOX粉末秤量・分取装置Aグローブボックス
・原料MOX粉末秤量・分取装置Bグローブボックス
・予備混合装置グローブボックス
・一次混合粉末秤量・分取装置グローブボックス
・均一化混合装置グローブボックス
・回収粉末処理・詰替装置グローブボックス
・回収粉末処理・混合装置グローブボックス
これら8グローブボックスに対し,設計情報に基づきMOXを配置したモデルで別途臨界解析を実施し,臨界に至らないこと
を確認する。
※想定する核燃料物質性状で,水反射体2.5cm,球形状モデルにて計算した中性子実効増倍率が,推定臨界下限増倍率0.97を下回る質量である。
25
6.2 ① グローブボックス内への容器の異常搬入
評価モデルの考え方(集積量の想定)
未臨界質量の評価は,グローブボックス内のMOXが一箇所に球形状に集積したと想定した極めて保守
的な条件である。そのため,MOXを分散配置したモデルを適用し,臨界評価を実施する。
ここでは均一化混合装置を例に,設計情報に基づく分散配置モデル設定の考え方を示す。
均一化混合装置グローブボックスにおいて取り扱うMOX量は最大311kg・MOXであるが,容器の異常搬入
及び混合機への過剰投入により約2400kg・MOXが集積することを想定する。
取扱制限値の設定
J85
均一化混合機
カップ
CS・RS保管ポット
J85
均一化混合機内粉末量:270kg・MOX
5缶バスケット1容器内粉末量:15kg・MOX
CS・RS保管ポット1容器内粉末量:3kg・MOX
粉末回収装置内粉末量:23kg・MOX
総量:311kg・MOX
異常時の想定
均一化混合機内粉末量:1700kg・MOX※1
CS・RS保管ポット1容器内粉末量:3kg・MOX
粉末回収装置内粉末量:23kg・MOX
J85×8容器:720kg・MOX
総量2446kg・MOX
※1 340L×5×103kg/m3= 1700kg・MOX
均一化混合装置グローブボックス内の異常集積イメージ
【約2400kg・MOXが集積するための誤操作・誤動作回数】
誤搬入回数:(2446-23-3)÷90≒27
1回の誤搬入防止機構の確認項目が5項目
誤操作・誤動作回数:27×5=135回
26
6.2 ① グローブボックス内への容器の異常搬入
評価モデルの考え方(球モデルの算出)
均一化混合装置グローブボックスで取り扱うJ85 1容器を一つの核燃料物質の球とし,J85の
取扱制限値に相当する90kg・MOXの体積から球半径を定める。均一化混合機は,内部空間に
MOX粉末が満杯になることを想定し,通常270kg・MOXのところを1700kg・MOXとして球半径を定
める。なお,CS・RS保管ポット,カップは取扱量が小さいことから,最も大きい均一化混合機に合
算して考慮する。
=
J85
粉末充填量:90kg ・MOX
球質量:90kg ・MOX
球半径:16.3cm
カップ
粉末充填量:10kg ・MOX
均一化混合機
容積:340L
粉末密度:5×103kg/m3
粉末充填量:1700kg・MOX
+
カップ
粉末充填量:13kg ・MOX
CS・RS保管ポット
粉末充填量:3kg ・MOX
=
球質量:1726kg・MOX
球半径:43.6cm
27
6.2 ① グローブボックス内への容器の異常搬入
評価モデルの考え方(搬送コンベア上の球の配置方法)
搬送コンベア上にモデル化する球の間隔は,容器同士が接したときの中心位置と同じ間隔で
配置することとし,J85の搬送板の直径は cmであることから,球の中心間距離も cmとす
る。また,グローブボックス外形寸法以上となる数の球を配置することとし,物理的に搬送コン
ベア上に乗載できるJ85は6容器であるが,モデル上は球を10個並べる。
cm
評価モデル上の寸法
cm
評価モデルの配列
MOX
水反射体 2.5cm
容器形状寸法
を考慮した最密配列
cm
cm
グローブボックス外形寸法
については商業機密のため公開できません。
28
6.2 ① グローブボックス内への容器の異常搬入
評価モデルの考え方(床,天井の設定)
搬送コンベア上に相当する球以外は30cm離してそれぞれ配置する。また,最下部
及び最上部に位置する球の表面から50cm離れた位置を床及び天井とし厚さ1mのコ
ンクリートを配置する。これらの離隔距離は実際の設計と比較し保守的に設定してい
る。
コンクリート
約
cm
50cm
J85
J85
約
cm
30cm
カップ
CS・RS保管ポット
均一化混合機
CS・RS保管ポット
約
カップ
30cm
cm
均一化混合機
J85
J85
約
30cm
1m
1m
cm
50cm
約
cm
異常搬入時のMOXの配置
評価モデルのMOXの配置
については商業機密のため公開できません。
29
6.2 ① グローブボックス内への容器の異常搬入
評価モデルの考え方(壁の設定)
最外部に位置する球の表面から1m離れた位置の四方を壁とし厚さ1mのコンク
リートを配置する。実際の設計は,最も距離が短い壁で均一化混合装置グロー
ブボックスの東側約 mである。
1m
1m
1m
1m
実設計に基づくグローブボックスと壁の距離
評価モデルの壁の設定
については商業機密及び防護上の観点から公開できません。
30
6.2 ① グローブボックス内への容器の異常搬入
評価結果
MOX集積量が未臨界質量を超える8つのグローブボックスに対する臨界解析の結
果を以下に示す。
全ての設備において中性子実効増倍率は0.97を下回り,搬送装置の可動域内で物
理的に配置可能な範囲におけるグローブボックス内への異常搬入及び混合機への
MOXの過剰投入を想定した場合においても臨界に至ることはない。
グローブボックス
keff+3σ
原料MOX粉末缶取出装置GB
0.658
原料MOX粉末秤量・分取装置A/B GB
0.763
予備混合装置GB
0.933
一次混合粉末秤量・分取装置GB
0.780
均一化混合装置GB
0.929
回収粉末処理・詰替装置GB
0.851 回収粉末処理・混合装置GB
0.931
31
6.2 ① グローブボックス内への容器の異常搬入
原料MOX粉末缶取出装置グローブボックスの異常集積の想定
原料MOX粉末缶取出装置グローブボックスの取扱制限値は50kg・MOXであるが,MOX粉末の異常搬入により
約440kg・MOXが集積することを想定する。
取扱制限値の設定
原料MOXポット
粉末缶
粉末缶(混合酸化物貯蔵容器)3容器内粉末量
:45.3kg・MOX
粉末缶(仮置き)14容器内粉末量:2.1kg・MOX
粉末缶(除染中)1容器内粉末量:0.15kg・MOX
原料MOXポット1容器内粉末量:1.5kg・MOX
総量:50kg・MOX
異常時の想定
混合酸化物貯蔵容器
粉末缶×29容器:437.9kg・MOX
原料MOXポット:1.5kg・MOX
総量440kg・MOX
32
6.2 ① グローブボックス内への容器の異常搬入
原料MOX粉末缶取出装置グローブボックスの解析モデル
50cm
粉末缶 r=12.2cm
1m
原料MOXポット
原料MOX粉末缶5容器分と
粉末回収装置を合わせた球
r=16.7cm
1m
cm
50cm
粉末缶(2缶分を1つの球にする)
混合酸化物貯蔵容器
については商業機密のため公開できません。
33
6.2 ① グローブボックス内への容器の異常搬入
原料MOX粉末秤量・分取装置A/Bグローブボックスの異常集積の想定
原料MOX粉末秤量・分取装置グローブボックスの取扱制限値は60kg・MOXであるが,MOX粉末の異常搬入によ
り約500kg・MOXが集積することを想定する。
取扱制限値の設定
ホッパ内粉末量:30.2kg・MOX
粉末缶(継ぎ足し用)1容器内粉末量:15.1kg・MOX
原料MOXポット1容器内粉末量:1.5kg・MOX
粉末回収装置内粉末量:13kg・MOX
粉末回収装置
分取ホッパA
分取ホッパB
総量:60kg・MOX
異常時の想定
原料MOXポット
粉末缶
J18
分取ホッパA内粉末量:122.1kg・MOX
分取ホッパB内粉末量:122.1kg・MOX
粉末缶×13:196.3 kg・MOX
原料MOXポット内粉末量:1.5kg・MOX
粉末回収装置内粉末量:13kg・MOX
J18×2:40kg・MOX
※J18は通い缶として2容器のみの運用
総量:495kg・MOX
34
6.2 ① グローブボックス内への容器の異常搬入
原料MOX粉末秤量・分取装置A/Bグローブボックスの解析モデル
50cm
20.6cm
20.6cm
30cm
30cm
20cm
分取ホッパA r=20.2cm
20.6cm
粉末缶 r=9.7cm 粉末回収装置
30cm
30cm
分取ホッパB r=19.4cm
30cm
20.6cm
原料MOXポット
J18 r=10.7cm
20cm
1m
30cm
1m
cm
50cm
については商業機密のため公開できません。
35
6.2 ① グローブボックス内への容器の異常搬入
予備混合装置グローブボックスの異常集積の想定
予備混合装置グローブボックスの取扱制限値は87kg・MOXであるが,MOX粉末の異常搬入により約1050kg・
MOXが集積することを想定する。
取扱制限値の設定
予備混合機内粉末量:65kg・MOX
原料MOXポット1容器内粉末量:1.5kg・MOX
粉末回収装置内粉末量:20kg・MOX
予備混合機
粉末回
収装置
総量:87kg・MOX
異常時の想定
J60
原料MOXポット
予備混合機内粉末量:566kg・MOX
原料MOXポット:1.5kg・MOX
粉末回収装置内粉末量:20kg・MOX
J60×7:455kg・MOX
総量:1043kg・MOX
36
6.2 ① グローブボックス内への容器の異常搬入
予備混合装置グローブボックスの解析モデル
については商業機密のため公開できません。
50cm
30cm 予備混合機 r=30.4cm
30cm
原料MOXポット
粉末回収装置
30cm
J60 r=14.6cm
1m
1m
㎝
50cm
※最も大きい予備混合機の球を中央に配置
37
6.2 ① グローブボックス内への容器の異常搬入
一次混合粉末・秤量分取装置グローブボックスの異常集積の想定
一次混合粉末・秤量分取装置グローブボックスの取扱制限値は258kg・MOXであるが,MOX粉末の異常搬入に
より約1610kg・MOXが集積することを想定する。
取扱制限値の設定
ウラン粉末ホッパ
一次混合粉末ホッパ
篩分粉末ホッパ
篩分ホッパ内粉末量:65kg・MOX
ウランホッパ内粉末量:90kg
J60(継ぎ足し用)1容器内粉末量:65kg・MOX
5缶バスケット内1容器粉末量:15kg・MOX
CS・RS保管ポット1容器内粉末量:3kg・MOX
粉末回収装置内粉末量:20kg・MOX
総量:258kg・MOX
CS・RS保管ポット
粉末回収装置
異常時の想定
J60
篩分ホッパ内粉末量:263.1kg・MOX
J60×16:1040kg・MOX
CS・RS保管ポット内粉末量:3kg・MOX
粉末回収装置内粉末量:20kg・MOX
一次混合粉末ホッパ内粉末量:274.5kg・MOX
総量:1601kg・MOX
38
6.2 ① グローブボックス内への容器の異常搬入
一次混合粉末・秤量分取装置グローブボックスの解析モデル
50cm
一次混合粉末ホッパ
r=24.3cm
ウラン粉末ホッパ
CS/RS保管ポット
J60 r=14.6cm
30cm
粉末回収装置
30cm
30cm
1m
30cm
30cm
篩分粉末ホッパ
r=23.3cm
30cm
1m
cm
50cm
※希釈用ウラン粉末を取り扱うホッパ,容器はモデル上考慮しない。
※最も大きい一次混合粉末ホッパの球を中央に配置
については商業機密のため公開できません。
39
6.2 ① グローブボックス内への容器の異常搬入
回収粉末処理・詰替装置グローブボックスの異常集積の想定
回収粉末処理・詰替装置グローブボックスの取扱制限値は247kg・MOXであるが,MOX粉末の異常搬入により
約2020kg・MOXが集積することを想定する。
取扱制限値の設定
ポット反転装置
9缶バスケット
CS・RS保管ポット
総量:247kg・MOX
ペレット保管容器
反転装置付ホッパ
異常時の想定
粗粉砕機
ペレット保管容器
J85(研削粉)1容器内粉末量:90kg・MOX
ペレット保管容器(ペレットCS詰替え)1容器内粉末量: 24kg・MOX
9缶バスケット(研削分)1容器内粉末量:54kg・MOX
9缶バスケット(ペレットCS詰替え)1容器内粉末量:63kg・MOX
CS・RS保管ポット1容器内粉末量:3kg・MOX
粉末回収装置内粉末量:13kg・MOX
J60
J60×3:195kg・MOX
ペレット保管容器×6:144kg・MOX
9缶バスケット×9:567kg・MOX
CS・RS保管ポット×11:77kg・MOX
粉末回収装置内粉末量:13kg・MOX
反転装置付ホッパ内粉末量:463.1kg・MOX
粗粉砕機内粉末量:398.1kg・MOX
ポット反転装置内粉末量:158.6kg・MOX
総量:2016kg・MOX
40
6.2 ① グローブボックス内への容器の異常搬入
回収粉末処理・詰替装置グローブボックスの解析モデル
50cm
反転装置 r=15.1cm
9缶バスケット r=11.1cm
30cm
ペレット保管容器 r=8.1cm
ポット反転装置付ホッパ
r=21.8cm
30cm
粗粉砕機 r=20.5cm
30cm
30cm
CS/RS保管ポット
cm
粉末回収装置
30cm
J60 r=14.6cm
1m
1m
cm
cm
cm
50cm
※最も大きいポット反転装置付ホッパの球を中央に配置
については商業機密のため公開できません。
41
6.2 ① グローブボックス内への容器の異常搬入
回収粉末処理・混合装置グローブボックスの異常集積の想定
回収粉末処理・混合装置グローブボックスの取扱制限値は186kg・MOXであるが,MOX粉末の異常搬入により
約1510kg・MOXが集積することを想定する。
取扱制限値の設定
回収粉末ホッパ
回収粉末混合機
CS・RS保管ポット
J60
粉末回
収装置
回収粉末ホッパ(強制篩分機)内粉末量:65kg・MOX
回収粉末混合機内粉末量: 90kg・MOX
5缶バスケット1容器内粉末量:15kg・MOX
CS・RS保管ポット1容器内粉末量:3kg・MOX
粉末回収装置内粉末量:13kg・MOX
総量:186kg・MOX
異常時の想定
回収粉末ホッパ(強制篩分機)内粉末量:274.6kg・MOX
回収粉末混合機内粉末量内粉末量: 566.6kg・MOX
CS・RS保管ポット:3kg・MOX
粉末回収装置内粉末量:13kg・MOX
J60×10:650kg・MOX
総量:1508kg・MOX
42
6.2 ① グローブボックス内への容器の異常搬入
回収粉末処理・混合装置グローブボックスの解析モデル
50cm
30cm
回収粉末ホッパ
r=23.6cm
30cm
cm
30cm
回収粉末混合機 r=30.3
30cm
CS/RS保管ポット
粉末回収装置
J60 r=14.6cm
30cm
30cm
1m
1m
cm
50cm
※最も大きい回収粉末混合機の球を中央に配置
については商業機密のため公開できません。
43
6.3 ② 混合機外へのMOXの漏えいによる堆積
容器を反転させる機構を有する装置を対象に, MOXが混合機下部から漏えいし続けることを想
定し,始業前点検を実施する1シフト以内に未臨界質量を超えて堆積するか検討する。
貯蔵設備から当該グローブボックスへ粉末容器が誤搬入し続ける異常状態を想定し,グローブ
ボックス内に集積したMOX粉末が未臨界質量に至るまでに必要な時間を算定する。
添加剤
粉末容器
混合機
漏えい
粉末容器
44
6.3 ② 混合機外へのMOXの漏えいによる堆積
未臨界質量に至る時間の算定条件
以下の条件に基づき容器の搬送時間を算定し,未臨界質量に至る時間を求める。
 貯蔵設備から当該グローブボックス間の粉末容器の搬送を想定する。
 自動運転において特定の処理をスキップすることはできないため,グローブボックス内に搬入した粉末容
器の上昇,反転,下降や粉末混合処理に要する時間を考慮する。
 搬送装置は同時に複数容器を取り扱うことができず,搬送コンベアは粉末容器同士がすれ違うことができ
ない設計である。したがって,空容器の返送に要する時間を考慮する。
当該グローブボックス
貯蔵設備グローブボックス
搬送装置
グローブボックス
45
6.3 ② 混合機外へのMOXの漏えいによる堆積
未臨界質量に至る時間
容器を反転させる機構を有し,内蔵するMOXを取り出してグローブボックス底部に堆積可能なグローブボックス13箇所に対す
る未臨界質量に至るまでに必要な時間は以下のとおり。
核燃料物質の堆積が可能な
グローブボックス
原料MOX粉末秤量・分取装置A
グローブボックス
原料MOX粉末秤量・分取装置B
グローブボックス
核燃料物質の形態
今回の評価条件
Pu富化
未臨界質量 第161回審査会合説明時
誤搬入に係る
含水率
密度
搬送容器
度
(kg・MOX) 未臨界質量に至る時間(h) 未臨界質量に至る時間 誤動作・誤操作回数
3
(%) (kg/m )
(h)
(%)
(回)
粉末缶
60
0.5
4×103
300
300
137
20
100
粉末缶
60
0.5
4×103
予備混合装置グローブボックス
J60
30
1.0
5×103
650
80
17
50
ウラン粉末・回収粉末秤量・分取
装置グローブボックス
J60
30
1.0
5×103
650
56
12
50
一次混合粉末秤量・分取装置
グローブボックス
J60
30
1.0
5×103
650
61
13
50
均一化混合装置グローブボックス
J85
14
1.5
5×103
2200
55
31
135
回収粉末処理・混合装置
グローブボックス
J60
30
1.0
5×103
650
98
21
50
J85
14
2.5
5×103
1500
117
85
14
2.5
5×103
43
J85
1500
回収粉末処理・詰替装置
グローブボックス
ペレット保
管容器
14
0.1
11.1×103
850
88
32
180
分析試料採取・詰替装置
グローブボックス
5缶バス
ケット
CS・RS
保管
ポット
30
1.0
5×103
650
628
79
220
14
0.1
11.1×103
850
422
154
610
14
1.5
5×103
2200
47*
24*
125*
添加剤混合装置A
グローブボックス
添加剤混合装置B
グローブボックス
再生スクラップ焙焼処理装置
グローブボックス
(造粒装置グローブボックス)
J85
*参考値(造粒装置は核燃料物質が集積し得ない構造である)
46
6.3 ② 混合機外へのMOXの漏えいによる堆積
始業前点検及び運転状況の確認
MOX燃料工場における勤務形態は,第1シフト,第2シフトでMOX燃料加工のメインプロセ
スの運転を行い,第3シフトは再処理工場からの原料MOX粉末の受入れ及び焼結炉のみ運
転を行うことを基本としている。
各シフト(3シフト)では,運転状況の点検・確認を行うことから,各装置で異常状態が発生し
た場合でも検知が可能である。
始業前点検
始業前点検
始業前点検
運転状況の確認
運転状況の確認
第1シフト
第2シフト
メインプロセスの運転
第3シフト
再処理工場から原料MOX粉
末の受入れ,焼結炉のみ運転
始業前点検及び運転状況の確認イメージ図(例)
47
6.3 ② 混合機外へのMOXの漏えいによる堆積
始業前点検及び運転状況の確認
未臨界質量に至るまでに必要な時間を算定した結果,1シフト以内に未臨界質量に
至るグローブボックスはなく,異常の検知が可能であり臨界は発生しない。
さらに,始業前・終業後現場点検及び運転状態の確認以外にも,グローブボックス
内におけるMOXの異常な集積を検知する手段は,以下のものがある。
(1)設備監視カメラによるグローブボックス内部の監視
(2)エリアモニタによる空間線量率の監視
(1)は制御室にて運転員が監視し,(2)は中央監視室において放射線管理員が監
視する計画であり,複数の人間が異なる場所において監視するため,臨界に至る前に
確実に異常を検知することが可能である。
⇒次頁以降に設備監視カメラ及びエリアモニタによる線量率の監視について説明する。
48
6.3 ② 混合機外へのMOXの漏えいによる堆積
始業前点検及び運転状況の確認
異常な集積を防止する仕組み(1/2)
設備監視カメラによる運転状態の監視
グローブボックス内には運転状態を監視するための設備監視カメラを複数台設置する設計で
あり,制御室にて確認をしながら必要な操作を行う。そのため混合機下部からMOXが漏えいし
た場合,目視により異常を検知することが可能である。
振動コンベアの
粉末状態の監視
チルタ接合状態の監視
装置全景の監視
設備監視カメラ
搬送コンベアの搬送
状態の監視
容器接合状態の監視
均一化混合装置グローブボックス内の設備監視カメラ配置例
49
6.3 ② 混合機外へのMOXの漏えいによる堆積
始業前点検及び運転状況の確認
異常な集積を防止する仕組み(2/2)
工程室内線量率の監視
各工程室にはガンマ線及び中性子線のエリアモニタを設置する設計である。各モニタは測定値を随時記録す
る機能を有しており,中央監視室から線量率変動履歴により核燃料物質の異常な集積を検知することが可能
1200
である。
造粒装置
グローブボックス
1000
通常とは異なる線
量率の上昇を検知
エリアモニタ
γ
n
均一化混合装置
グローブボックス
線量率
800
600
400
数十μSv/h程度→
↓通常取扱量
200
0
エリアモニタ配置のイメージ図
(粉末調整第5室の例)
0
5
10
15
容器数
エリアモニタ指示値のイメージ図
均一化混合装置グローブボックスに核燃料物質の異常な集積が発生した場合,室内に設置するエリアモ
ニタは上図のような挙動を示す。
通常,粉末調整第5室では最大約440kg・MOXの核燃料物質を取り扱うが,未臨界質量は2200kg・MOX
であるため,MOXの異常な集積が発生した場合,MOX量が未臨界質量に至る以前に通常とは異なる線量
率の上昇により,異常を検知することが可能である。
50
7.外的事象における臨界の発生可能性
51
7.1 外的事象における臨界の発生可能性の検討(1/2)
設計基準を超える条件として基準地震動を超える地震動の発生を想定し,臨界の発生可能性を検討した。
検討のステップとして単一ユニットを構成するグローブボックス及び貯蔵施設が損傷し,核燃料物質の形状が維持
出来ない場合を想定し臨界が起こり得るか,更に水配管及び堰が損傷した状況において,核燃料物質と水の接触
を想定し,臨界が起こり得るか検討する。
外的事象を起因とした臨界の発生可能性
① 貯蔵施設の破損による核燃料物質の集積
貯蔵施設が破損した際の核燃料物質の集積状
況を想定し,臨界解析を実施
② 水配管及び堰の破損による溢水
基準地震動を超える地震力により水配管及び堰
が破損し,溢水が発生する状況を想定して,水位を
算定
核燃料物質と水の接触が考えられる施設に対し,
施設の破損に加え,没水を想定し,臨界解析を実
施
MOXの異常
集積を想定
異常集積に加え
溢水を想定
52
7.1 外的事象における臨界の発生可能性の検討(2/2)
基準地震動を超える地震動の発生により,設備が破損してMOXが一箇所に集積し,かつ室内の水位が異常に上昇した場合,
臨界が発生する可能性がある。
臨界の発生条件①
設備が破損しMOXが一箇所に集積する
• 単一ユニットを構成するグローブボックスは取扱制限値
を超えないように管理することから,設備が損傷しMOX
がどのように集積したとしても臨界に至る可能性はない。
• MOXを大量に取り扱う貯蔵施設は,ピット若しくは棚構
造となっており,設備が損傷した場合においても構造材
で隔離されていることから,仮に変形した場合において
もMOX同士が近接することはない。また,一部のMOX
が容器等から漏えいしたとしても,粉末やペレットの形
態であることからより広い区域に散乱する。
大規模地震が発生した場合においても,MOXが一箇
所に集積することは考えられない。
臨界の発生条件②
室内の水位が異常に上昇しMOXが没水する
• 工程室内から水配管を極力排除し,溢水防護区画には
堰を設ける設計としており,溢水による水は廊下やMO
Xを取り扱わない部屋等を含め同一フロアレベルの広い
区域に拡散する。
• 燃料加工建屋において発生した溢水は階段やエレベー
タシャフトを通って落水し,地下3階よりも下層の床ドレ
ン回収槽第1,2室及びエレベータピットに全量収容する
ことが可能である。
大規模地震が発生した場合においても,特定の室内の
水位が異常に上昇することは考えられない。
設備が破損しMOXが一箇所に集積すること,室内の水位が異常に上昇しMOXが没水することはそれぞれ起こ
り難く,さらに2つの条件が同時に満たされることは考えられない。以上のとおり,臨界が発生しないことは明らかで
あるが,次頁以降①,②が発生する状況を仮想的に想定し,臨界の発生可能性がないことを解析により確認する。
53
7.2 ① 貯蔵施設の破損による核燃料物質の集積
貯蔵施設が破損した際の核燃料物質の集積状況を想定し,臨界解析を実施
一時保管ピット,原料MOX粉末缶一時保管装置,粉末一時保管装置,ペレット一時保管棚,スク
ラップ貯蔵棚,製品ペレット貯蔵棚,燃料棒貯蔵棚及び燃料集合体貯蔵チャンネルについては,耐
震重要度分類Bクラスであるが,容器等が相互に影響を与えないようにするために,基準地震動
Ssによる地震力により発生する応力を弾性範囲に留める設計としている。
また,基準地震動を超える地震動により「過大な変形,亀裂,破損」が発生したとしても,容器間
にある構造材が喪失することはなく,核燃料物質の近接の障壁となるため,核燃料物質が一箇所
に集積することは考えられないが,仮想的にこれらの構造材による間隔よりも核燃料物質が近接
することを想定し臨界評価を行う。
なお,単一ユニットは取扱制限値を超えないように管理することから,設備・機器が破損した場合
においても未臨界が確保できる。そのため,ここではMOXを一箇所で大量に取り扱う貯蔵施設を
対象に評価を行う。
54
7.2 ① 貯蔵施設の破損による核燃料物質の集積
貯蔵容器一時保管設備
貯蔵容器一時保管設備の概要・ロバスト性
本設備は,原料粉末受入工程において再処理施設から受け入れた,粉末缶が封入された混合酸化物
貯蔵容器と,再処理施設へ返却する粉末缶が封入された混合酸化物貯蔵容器を一時的に保管する設備
である。貯蔵容器一時保管設備は4行8列の一時保管ピットを有し,混合酸化物貯蔵容器(以下,
「貯蔵容器」という。)を32体貯蔵することができる設備である。
臨界評価モデルにおいては,保守側に32体の貯蔵容器の胴部が密接した状態を想定する。モデルの保
守性について以下に整理する。
 貯蔵容器の設置位置は天井に近く,仮に鉛直方向の加速度を受けても貯蔵容器がピットを飛び出すことは
考えられないことから,構造材が健全な状態で,貯蔵容器のみが転倒することはない。
 仮に一時保管ピットが損傷したとしても,損傷したピットの柱,ブレース等の構造材が障害となり,容器のみが近
接することは考えられない。
 貯蔵容器は粉末を密封して取り扱う容器であり,仮に落下しても破損しない高さである4m以下で取り扱っ
ていること,収容する粉末缶についても容易に飛散することのない構造であることから,落下により粉末が
漏えいすることはない。
 貯蔵容器は下図に示すような円筒形状をしており,仮に落下の際に積み上がったとしても,その状態を維
持することは考えられない。
 貯蔵室の床面は,全ての貯蔵容器を横にした状態で1段に並べることができる面積を有することから,貯蔵容器が
積み重なる状態は想定しにくい。
貯蔵容器
上部フランジ部
貯蔵容器胴部
32体
粉末缶
貯蔵容器概略図
55
7.2 ① 貯蔵施設の破損による核燃料物質の集積
貯蔵容器一時保管設備
解析モデルとして貯蔵容器同士が32体隙間なく2行8列2段に近接することを想定し臨界解析を行う。
評価の結果,中性子実効増倍率は最大0.750であり,臨界に至ることはない。
貯蔵容器
上部フランジ部
貯蔵容器胴部
粉末缶
MOX粉末
貯蔵容器概略図
2×8 2段積み
解析モデル
100cm
評価対象
貯蔵容器(粉末缶3缶収納)
MOX形態
原料MOX粉末
質量(粉末缶当たり)
13.3kg・HM
Pu富化度
60 %
含水率
0.5%
MOX粉末密度
1.8~4×103kg/m3
核分裂性Pu割合
83%
ウラン中のウラン-235含有率
1.6%
雰囲気中水密度
配列
雰囲気
0~1×103kg/m3
・貯蔵容器の上部フランジ部の直径は,胴部の直径より大
きいが,保守側に貯蔵容器の胴部が密接した状態を想定
・貯蔵室の床面は,全ての貯蔵容器を横にした状態で1段
に並べることができる面積を有するが,貯蔵容器が2段に
積み重なった状態を想定
貯蔵容器
(ステンレス鋼とし
て考慮)
200cm
粉末缶
(アルミニウム
として考慮)
MOX粉末
コンクリート
100cm
解析モデル概略図
56
7.2 ① 貯蔵施設の破損による核燃料物質の集積
原料MOX粉末缶一時保管装置
原料MOX粉末缶一時保管装置の概要・ロバスト性
本装置は,原料MOX粉末を次工程へ払い出すまで一時的に保管する設備である。原料MOX粉末は粉末
缶に収納した状態で保管する。原料MOX粉末缶一時保管装置は,粉末缶を保管するため,2行×12列の
ピットを配置し24缶の保管容量を有する。
臨界評価モデルにおいては,原料MOX粉末缶一時保管装置で取り扱う粉末缶が, 2行近接した状態
で横に無限配列として評価を行う。モデルの保守性について以下に整理する。
 仮に原料MOX粉末缶一時保管装置が損傷したとしても,容器を仕切っているピットの構造材が障害となり,容
器のみが近接することは考えられない。
 粉末缶は下図に示すような円筒形状であることから,仮に粉末缶がピットから飛び出したとしても転倒
し,容器同士が集積することは考えられない。
 粉末缶は下図に示すような円筒形状であることから,仮に粉末缶が転倒し積み上がったとしても,容器
同士が近接して積み重なることは考えられない。
 粉末缶は容易に飛散することのない構造とすることから,仮にピットが損傷したとしても,内部の粉末が漏えい
することはない。
遮蔽蓋
粉末缶
原料MOX粉末缶一時保管装置概略図
57
7.2 ① 貯蔵施設の破損による核燃料物質の集積
原料MOX粉末缶一時保管装置
解析モデルとして加工事業変更許可申請書(平成28年6月30日一部補正)の添付書類五 添5第7表を引用し,原料MOX
粉末缶一時保管装置で取り扱う粉末缶が, 2行無限配列に近接した状態を想定して臨界解析を行う。
評価の結果,中性子実効増倍率は最大0.862であるため,臨界に至ることはない。
100cm
遮蔽蓋
粉末缶
原料MOX粉末缶一時保管装置概略図
140cm
無限配列
100cm
評価対象
粉末缶
MOX形態
原料MOX粉末
質量(粉末缶当たり)
13.3kg・HM
Pu富化度
60 %
含水率
0.5%
MOX粉末密度
1.8~4×103kg/m3
核分裂性Pu割合
83%
ウラン中のウラン-235含有率
1.6%
雰囲気中水密度
配列
解析モデル概略図
0.001×103kg/m3
粉末缶が2行無限配列に近接
58
7.2 ① 貯蔵施設の破損による核燃料物質の集積
粉末一時保管設備
粉末一時保管装置の概要・ロバスト性
粉末一時保管装置は,ウラン粉末,予備混合粉末,一次混合粉末,二次調合粉末,均一化混合粉末,造
粒粉末及び回収粉末を次工程へ払い出すまで一時的に保管する設備である。
粉末一時保管設備は47行2列のピットを有し,J60,J85,U85,5缶バスケット,1缶バスケットを
合計で94容器一時保管することができる設備である。
臨界評価モデルにおいては,Pu富化度30%の粉末が収納されたJ60が2行無限配列で隙間なく集積す
ることを想定して評価を行う。モデルの保守性について以下に整理する。
 仮に粉末一時保管装置が損傷したとしても,容器を仕切っているピットの構
造材が障害となり,容器のみが近接することは考えられない。
 粉末一時保管装置グローブボックスのパネル面から壁までの距離はピットの
高さと同程度であるため,仮にピットが転倒したとしても,壁により容器の飛び
出しが阻害され,容器同士が集積する状態となることは考えられない。
 容器の飛び出しが阻害され,容器がピットを飛び出すことは考えられな
いことから,容器内部の粉末が漏えいすることはない。
 粉末一時保管装置では取扱制限値が異なる容器を取り扱うが,臨界評価
モデルでは,取り扱う容器のうち,Pu富化度が最も高く,MOX質量
も大きいJ60が集積することを想定する。
については商業機密の観点から公開できません。
59
7.2 ① 貯蔵施設の破損による核燃料物質の集積
粉末一時保管装置
解析モデルとして加工事業変更許可申請書(平成28年6月30日一部補正)の添付書類五 添5第7表を引用し,粉末一時保管
装置で取り扱うPu富化度30%の粉末が収納されたJ60又はJ85が2行無限配列に近接した状態を想定して臨界解析を行う。
評価の結果,中性子実効増倍率は最大0.753ため,臨界に至ることはない。
粉末一時保管装置概略図
評価対象
J60/J85
MOX形態
MOX粉末
質量(粉末缶当たり)
30% (J60) / 14% (J85)
含水率
1.0% (J60) / 2.5% (J85)
1.8~5×103kg/m3
核分裂性Pu割合
83%
ウラン中のウラン-235含有率
1.6%
雰囲気中水密度
配列
550cm
65kg・MOX (J60) / 90kg・MOX (J85)
Pu富化度
MOX粉末密度
100cm
100cm
無限配列
0.001×103kg/m3
J60/J85が2行無限配列に近接
解析モデル概略図
60
7.2 ① 貯蔵施設の破損による核燃料物質の集積
スクラップ貯蔵棚・製品ペレット貯蔵棚・ペレット一時保管棚
スクラップ貯蔵棚・製品ペレット貯蔵棚・ペレット一時保管棚の概要・ロバスト性
スクラップ貯蔵棚・製品ペレット貯蔵棚・ペレット一時保管棚については,評価方法が同様であるため,最
大貯蔵能力が一番大きいスクラップ貯蔵棚を代表して評価を行う。
スクラップ貯蔵棚では主に,Pu富化度18%の焼結ペレット及び回収粉末を貯蔵する。これらの核燃料物
質は容器に収納され,更に収納パレットに収納した状態で保管される。
臨界評価モデルにおいては,Pu富化度18%の焼結ペレットがグローブボックス床面に隙間なく集積す
ることを想定して評価を行う。モデルの保守性について以下に整理する。
 核燃料物質が落下する場合,収納パレット及び容器も同時に落下すること
から,核燃料物質のみが密に堆積するような形状になることは考えにくい。
 ペレットは円筒形状をしており,最密で集積した場合でも空隙が生じること
から,核燃料物質が隙間なく集積することは考えにくい。
 スクラップ貯蔵棚が損傷するような状態では,棚を収容するグローブボック
スについても損傷し,核燃料物質は部屋に散乱するが,本評価では保守的
にグローブボックス下部に全量堆積することを想定する。
 貯蔵している粉末ポットは,落下したとしても粉末が飛散しにくい構造とする
ことから,仮に収納パレットが棚から落下したとしても,収納している核燃料
物質が全量漏えいすることは考えられない。
 回収粉末は焼結ペレットに比べて密度が低いが,保守的に全量焼結ペレッ
トとして評価を行う。
61
7.2 ① 貯蔵施設の破損による核燃料物質の集積
スクラップ貯蔵棚・製品ペレット貯蔵棚・ペレット一時保管棚
1棚分の最大貯蔵能力(2.28t・MOX)のペレットが下図の堆積エリアに落下した場合においても,ペレットの堆
積高さは約6.5cm※であり,臨界に至る可能性がある堆積高さは17cm未満であることから臨界に至ることはない。
280cm
100cm
330cm
80cm
水:2.5cm
100cm
堆積エリア
スクラップ貯蔵棚 1台
MOX
解析モデル概略図
MOX形態
Pu富化度
(%)
含水率
(%)
密度
(×103kg/m3)
核分裂性
Pu割合(%)
ウラン中のウラン
-235含有率(%)
未臨界である
堆積高さ
焼結ペレット
14
0.1
11.1
83
1.6
17cm
※ 堆積高さ=
2.28×103 (kg・MOX)
・
11.1×103(kg ・MOX/m3)
1
4(m)×0.8(m)
≒ 0.065(m)
62
7.2 ① 貯蔵施設の破損による核燃料物質の集積
燃料棒貯蔵設備
燃料棒貯蔵設備の概要・ロバスト性
本設備は,被覆施設で加工した燃料棒を貯蔵する設備である。燃料棒は貯蔵マガジンに収納し保管する。ま
た,加工に供する被覆管及び集合体組立に供するウラン燃料棒を貯蔵マガジンに収納して本設備にて保管す
る。
本設備のうち,燃料棒貯蔵棚は4段8行及び4段10行の2台で構成され,貯蔵マガジンを72基収納することが
できる設備である。
臨界評価モデルにおいては,解析モデルとして,貯蔵マガジンが4段積み重なった状態で横に無限配列と
して評価を行う。モデルの保守性について以下に整理する。
 仮に燃料棒貯蔵棚が損傷したとしても,棚の構造材が障害となるため,貯蔵マガジンのみが近接することは考えら
れない。
 評価モデルにおいて,貯蔵マガジンが積層する縦方向については棚の構造材を考慮せず,マガジン同士の間隔が
ないものとして評価する。
 評価モデルにおいて,貯蔵マガジンが集積する横方向については,マガジン及び燃料棒貯蔵棚の構造材の幅に対
して十分保守的な寸法として貯蔵マガジン中心間距離を40cmとした。
 燃料棒貯蔵棚ではマガジンを収納後,カバーを閉止する設計である。加えて,長手方向に出し入れする構造である
ことから,地震の揺れにより燃料棒貯蔵棚から貯蔵マガジンが飛び出すことは容易には考えられない。
63
7.2 ① 貯蔵施設の破損による核燃料物質の集積
燃料棒貯蔵設備
解析モデルとして,貯蔵マガジンが4段積み重なった状態で横に無限配列として評価を行う。なお,貯
蔵マガジンの解析モデルは加工事業変更許可申請書(平成28年6月30日一部補正)の添付書類五 添
5第5表及び第6表から引用し,これに被覆管としてジルカロイを考慮した。
評価の結果,中性子実効増倍率は最大0.967となり,貯蔵マガジン同士が接近することを想定しても臨
界に至ることはない。
コンクリート
無限配列
解析モデル概略図
MOX形態
Pu富化度
(%)
含水率
(%)
密度
(×103kg/m3)
核分裂性
Pu割合(%)
ウラン中のウラン-235
含有率(%)
貯蔵マガジン
BWR:12
PWR:14
0.1
11.1
83
1.6
64
7.2 ① 貯蔵施設の破損による核燃料物質の集積
燃料集合体貯蔵設備
燃料集合体貯蔵設備の概要・ロバスト性
燃料集合体貯蔵設備は燃料集合体を燃料集合体貯蔵チャンネルに収納して貯蔵する設備である。燃料集合
体貯蔵チャンネルは220個あり,燃料集合体貯蔵チャンネル当たりBWR燃料集合体は4体,PWR燃料集合体は
1体を収納可能である。燃料集合体貯蔵チャンネルは,外管及びガイド管から構成する。
臨界評価モデルにおいては,燃料集合体貯蔵チャンネルが南北方向に10個接近した状態で東西方向に無
限配列として評価を行う。モデルの保守性について以下に整理する。
 仮に燃料集合体貯蔵チャンネルが損傷したとしても,燃料集合体貯蔵チャンネルの外管等の構造材により移動が
制限されるため,燃料集合体が集積することは考えられないが,評価においては,貯蔵チャンネルを南北方向に集
積させた無限配列のモデルで評価を行う。
地上1階床面
遮蔽蓋
燃料集合体
貯蔵チャンネル
PWR:1体収納
BWR:4体収納
貫通孔
燃料集合体
貯蔵室床面
ガイド管
外管
ガイド板
架台
65
7.2 ① 貯蔵施設の破損による核燃料物質の集積
燃料集合体貯蔵設備
解析モデルとして,燃料集合体貯蔵チャンネルが南北方向に10個接近した状態で東西方向に無限配列として
評価を行う。なお,燃料集合体貯蔵設備の解析モデルは加工事業変更許可申請書(平成28年6月30日一部補
正)の添付書類五 添5第5表及び第6表から引用し,これに被覆管としてジルカロイを考慮した。
評価の結果,収納物がすべてPWR燃料集合体の場合に中性子実効増倍率は最大0.965となり,燃料集合体
貯蔵チャンネル同士が接近することを想定しても臨界に至ることはない。
PN
貯蔵チャンネル
無限配列
コンクリート
解析モデル概略図
燃料集合体貯蔵設備
MOX形態
Pu富化度
(%)
含水率
(%)
密度
(×103kg/m3)
核分裂性
Pu割合(%)
ウラン中のウラン-235
含有率(%)
燃料集合体
BWR:8
PWR:11
0.1
11.1
83
1.6
66
7.2 ① 貯蔵施設の破損による核燃料物質の集積
以下の貯蔵施設を対象に,仮想的に構造材が喪失し核燃料物質が近接することを想定し評
価をおこなった結果,全ての貯蔵施設において臨界に至ることはないことを確認した。
装置
核燃料物質の形態
最大貯蔵能力
評価モデル
中性子実効増倍率(最大)
一時保管ピット
原料MOX粉末
1.2t・HM(1.4t・MOX)
貯蔵容器が32体隙間なく2行8列2段に近接することを想定
0.750
原料MOX粉末
缶一時保管装置
原料MOX粉末
0.3t・HM(0.4t・MOX)
粉末缶が2行無限配列に近接することを想定
0.862
粉末一時
保管装置
一次混合粉末
二次混合粉末
6.1t・HM(7.0t・MOX)
J60又はJ85が2行無限配列で近接することを想定
0.753
ペレット一時
保管棚
グリーンペレット
焼結ペレット
1.7t・HM(2.0t・MOX)
スクラップ貯蔵棚の評価に包含される
-
スクラップ
貯蔵棚
焼結ペレット
回収粉末
10t・HM(11.4t・MOX)
グローブボックス床面積から貯蔵棚の床面積を除いたスペースへ直方
体状に焼結ペレットが堆積することを想定
0.674
製品ペレット
貯蔵棚
焼結ペレット
6.3t・HM(7.2t・MOX)
スクラップ貯蔵棚の評価に包含される
-
燃料棒貯蔵棚
燃料棒
(貯蔵マガジン)
60t・HM(69t・MOX)
貯蔵マガジンが4段無限配列に近接することを想定
BWR:0.967
PWR:0.878
燃料集合体貯蔵
チャンネル
燃料集合体
(燃料集合体貯蔵チャンネル)
170t・HM(193t・MOX)
燃料集合体が10行無限配列に近接することを想定
BWR:0.913
PWR:0.965
67
7.3 ② 水配管の破損による溢水
溢水高さの設定条件
基準地震動を超える地震動による地震力により水配管及び堰が破損し,溢水が発生する状況
を想定して,水位を算定
以下の条件で溢水時の水位を算定する。
 溢水源として燃料加工建屋内の全ての水配管の破損を想定する。
 廊下と接する部屋の扉は水密性がない扉であっても,保守的に水は通過しないものとして評価する。
 溢水により発生した水は最終的に地下3階に全量落水することを想定するが,地下1階~地下2階については下階に落水しないと仮定
して溢水高さを算出する。なお,地上1階に関しては,燃料集合体貯蔵設備の貫通孔,床の開口部等があることから水の滞留は想定し
ない。
 階ごとに,最も水位が高くなる工程室一室のみが浸水することを想定し,そのときの水位を各階の代表水位として評価する。他エリア
の堰の破損による水の流出は想定しない。
 地下3階の水位算定においては,地下3階より低い場所に位置する以下の区画・槽への落水・排水を考慮する。
・北エレベータ及び南エレベータのピット部:52m3
・床ドレン回収槽:60m3(地下3階廊下の床ドレン排水口より排水)
68
7.3 ② 水配管の破損による溢水
溢水高さの設定条件
床ドレン回収槽第1室及び床ドレン回収槽第2室
床ドレン回収槽は,地下3階のフロアレベルよりも下層に位置する床ドレン回収槽第1室と床ドレン回収槽第2室内に設置し,管理
区域で発生する床ドレン,空調などの機器ドレン及び湧水を回収する設備である。
床ドレン回収槽は床ドレン回収槽第1,2室にそれぞれ6台設置し,一台当たり約5m3の容量を有する。また,床ドレン回収槽第1,
2室合計で約350m3の空間体積を有する。総溢水量が225m3であるため,床ドレン回収槽第1,2室に全量収容することが可能であ
るため,地下3階に溢水が滞留することはない。ただし本評価においては,保守的に床ドレン回収槽第1,2室の空間体積を期待
せず溢水高さを算定する。
地下2階
地下3階
廊下
工程室
廊下
地 下 3 階 床 面
2室合計の有効体積:約350m3
約5㎥×6基
約5㎥×6基
床ドレン回収槽第2室
床ドレン回収槽第1室
69
7.3 ② 水配管の破損による溢水
配管の破損による溢水 地下1階
 地下1階における溢水高さは,保守的に約15cm
として,溢水と核燃料物質の接触による臨界の発
生可能性について検討を行う。
:溢水の滞留エリア
▼ :評価時に破損を想定しない堰
※線の隙間は扉の位置
① 地下1階溢水量 : 157m3
② 溢水滞留面積
: 1,117m2
③ 溢水高さ(① / ②) : 約15cm
については防護上の観点から公開できません。
70
7.3 ② 水配管の破損による溢水
配管の破損による溢水 地下2階
 地下2階における溢水高さは,保守的に約15cm
として,溢水と核燃料物質の接触による臨界の発
生可能性について検討を行う。
:溢水の滞留エリア
▼ :評価時に破損を想定しない堰
※線の隙間は扉の位置
① 地下2階溢水量 : 166m3
② 溢水滞留面積
: 1,166m2
③ 溢水高さ(① / ②) : 約15cm
については防護上の観点から公開できません。
71
7.3 ② 水配管の破損による溢水
配管の破損による溢水 地下3階
 地下3階における溢水高さは,保守的に約9cmと
して,溢水と核燃料物質の接触による臨界の発
生可能性について検討を行う。
:溢水の滞留エリア
▼ :評価時に破損を想定しない堰
▼ :評価時に破損を想定する堰
※線の隙間は扉の位置
床ドレン回収槽第1室及び第2室の有効体積は,総溢水量を全量収容
可能であるため,地下3階に溢水が滞留することはない。
については防護上の観点から公開できません。
① 地下3階溢水量 : 225m3
② 溢水滞留面積
: 1,257m2
③ 地下3階より低い場所へ落水,排水する水量
エレベータピット : 52m3
床ドレン回収槽 : 60m3
④ 地下3階に滞留する量(①-③)
: 113m3
⑤ 溢水高さ(④ / ②) : 約9cm
72
7.3 ② 水配管の破損による溢水
溢水との接触を考慮する設備
核燃料物質と水の接触が考えられる施設に対し,施設の破損に加え,没水を想定し,臨界解析
を実施
以下に示す設備及び核燃料物質は溢水との接触を考慮する。
(1) ①において想定した貯蔵設備
①において示した貯蔵施設のうち,以下に示すものについて,溢水との接触を考慮したモデルで臨界解析を行う。
 貯蔵容器一時保管設備(地下3階)
 原料MOX粉末缶一時保管設備(地下3階)
 ペレット一時保管設備(地下3階)
 スクラップ貯蔵設備(地下3階)
 製品ペレット貯蔵設備(地下3階)
※燃料棒貯蔵設備及び燃料集合体貯蔵設備に関しては,溢水と接触するおそれがないため考慮しない。(補足説明資料2)
(2) 単一ユニットを構成するグローブボックス
取扱制限値(Pu*質量)が最も大きい単一ユニットは焼結炉ユニットA/B/Cだが,(1)で示したペレット一時保管設備,スクラップ貯蔵設備及
び製品ペレット貯蔵設備の評価に包含されるため,次いで取扱制限値(Pu*質量)が大きい均一化混合装置グローブボックス(地下3階)を代
表とし,このうち一塊のMOX量が最大である均一化混合機内MOX粉末が一箇所に堆積することを想定し溢水との接触を考慮したモデルで臨
界解析を行う。
(3) 溢水と接触するおそれのある貯蔵マガジン,組立マガジン及び燃料集合体
以下に示す室において取り扱う貯蔵マガジン,組立マガジン及び燃料集合体について,溢水との接触を考慮したモデルで臨界解析を行う。
 燃料集合体組立第1,2室(地下2階):貯蔵マガジン,組立マガジン
 燃料集合体洗浄検査室(地下2階):燃料集合体
 燃料集合体組立クレーン室(地下1階):燃料集合体
 梱包室(地下1階):燃料集合体
73
7.3 ② 水配管の破損による溢水
(1) ①において想定した貯蔵設備
貯蔵容器一時保管設備(地下3階)
解析モデルとして貯蔵容器同士が32体隙間なく2行8列2段に近接した状態で没水することを想定して臨界解析を行う。
評価の結果,中性子実効増倍率は最大0.956であり,臨界に至ることはない。
貯蔵容器
上部フランジ部
貯蔵容器胴部
粉末缶
MOX粉末
貯蔵容器概略図
2×8 2段積み
解析モデル
100cm
評価対象
貯蔵容器(粉末缶3缶収納)
MOX形態
原料MOX粉末
質量(粉末缶当たり)
13.3kg・HM
Pu富化度
60 %
含水率
0.5%
MOX粉末密度
83%
ウラン中のウラン-235含有率
1.6%
配列
貯蔵容器
(ステンレス鋼とし
て考慮)
200cm
1.8~4×103kg/m3
核分裂性Pu割合
雰囲気中水密度
雰囲気
0~1×103kg/m3
・貯蔵容器の上部フランジ部の直径は,胴部の直径より大
きいが,保守側に貯蔵容器の胴部が密接した状態を想定
・貯蔵室の床面は,全ての貯蔵容器を横にした状態で1段
に並べることができる面積を有するが,貯蔵容器が2段に
積み重なった状態を想定
水位(9cm)
MOX粉末
コンクリート
100cm
解析モデル概略図
74
7.3 ② 水配管の破損による溢水
(1) ①において想定した貯蔵設備
原料MOX粉末缶一時保管装置(地下3階)
解析モデルとして加工事業変更許可申請書(平成28年6月30日一部補正)の添付書類五 添5第7表を引用し,原料MOX
粉末缶一時保管装置で取り扱う粉末缶が, 2行無限配列に近接した状態で没水することを想定して臨界解析を行う。
評価の結果,中性子実効増倍率は最大0.789であるため,臨界に至ることはない。
遮蔽蓋
100cm
粉末缶
140cm
原料MOX粉末缶一時保管装置概略図
無限配列
評価対象
粉末缶
MOX形態
原料MOX粉末
質量(粉末缶当たり)
60 %
含水率
0.5%
83%
ウラン中のウラン-235含有率
1.6%
配列
100cm
解析モデル概略図
1.8~4×103kg/m3
核分裂性Pu割合
雰囲気中水密度
解析モデル概略図
9cm
13.3kg・HM
Pu富化度
MOX粉末密度
水
0.001×103kg/m3
粉末缶が2行無限配列に近接
75
7.3 ② 水配管の破損による溢水
(1) ①において想定した貯蔵設備 粉末一時保管装置(地下3階)
解析モデルとして加工事業変更許可申請書(平成28年6月30日一部補正)の添付書類五 添5第7表を引用し,粉末一時保管
装置で取り扱うPu富化度30%の粉末が収納されたJ60又はJ85が2行無限配列に近接した状態で没水することを想定して臨界解
析を行う。
評価の結果,中性子実効増倍率は最大0.667であるため,臨界に至ることはない。
100cm
粉末一時保管装置概略図
評価対象
J60/J85
MOX形態
MOX粉末
質量(粉末缶当たり)
Pu富化度
含水率
MOX粉末密度
65kg・MOX (J60) / 90kg・MOX (J85)
1.0% (J60) / 2.5% (J85)
1.8~5×103kg/m3
83%
ウラン中のウラン-235含有率
1.6%
配列
9cm
30% (J60) / 14% (J85)
核分裂性Pu割合
雰囲気中水密度
550cm
0.001×103kg/m3
無限配列
100cm
水
解析モデル概略図
J60/J85が2行無限配列に近接
76
7.3 ② 水配管の破損による溢水
(1) ①において想定した貯蔵設備
ペレット一時保管設備,スクラップ貯蔵設備,製品ペレット貯蔵設備(地下3階)
スクラップ貯蔵棚GB内底面は床からの高さが25cmあり,ペレット・スクラップ貯蔵室の溢水高さは9cmであることから,スクラッ
プ貯蔵棚GB内底面にペレットが落下した場合においても水と接することはない。したがって,ここでは最大貯蔵能力の焼結ペ
レットが全量スクラップ貯蔵棚GB内底面に落下し,更に床面に落下して平板形状,六方充填又は正方充填に堆積し没水した場
合の臨界の発生可能性について検討する。
評価の結果,中性子実効増倍率は最大0.819であるため,臨界に至ることはない。
30cm
平板形状
水
30cm
30cm
六方充填
30cm
無限配列
100cm
堆積したペレット
解析モデル概略図
スクラップ貯蔵棚 1台
正方充填
評価対象
平板形状
六方充填
正方充填
Pu富化度
(%)
14
ウラン中のウラン
-235含有率(%)
密度
(×103kg/m3)
1.6
11.1
核分裂性
Pu割合(%)
雰囲気中水密度
ペレット堆積
高さ(cm)
中性子実効増
倍率
83
0~1×103kg/m3
4.2
4.6
5.3
0.773
0.791
0.819
77
7.3 ② 水配管の破損による溢水
(2) 単一ユニットを構成するグローブボックス
基準地震動を超える地震動による地震力が発生し,燃料加工建屋内の全ての水配管の破損による溢水が発生したとしても,床
ドレン回収槽及びそれらを収容する室に全量落水するため,地下3階に溢水が滞留することはないが,仮に地下3階において溢
水が滞留することを想定し,以下の条件で臨界発生の可能性について検討する。
【評価条件】
 燃料加工建屋内の全ての水配管及び溢水経路上の堰の破損を想定し,燃料加工建屋内の保有水が全量落水するものとす
る。
 工程室内の水位が最も高くなるような堰の破損の組合わせを検討し,他のエリアの堰の破損による溢水の流出は想定しない。
 通常運転時のMOX粉末取扱量が最も多い均一化混合装置グローブボックスが破損し,保有する全てのMOX粉末が工程室
の床上に堆積することを想定する。
 均一化混合ユニットの取扱制限値は311kg・MOXであり,このうち一塊のMOX量が最大である均一化混合機内MOX粉末
270kg・MOX※1が一箇所に堆積することを想定する。
 自然になり得る最も保守的な形状として,MOX粉末が安息角で円すい形状に堆積することを想定する。
 溢水高さの水とMOX粉末の接触を考慮する。
なお,粉末調整第5室には造粒装置グローブボックスを設置する設計であるが,均一化混合装置グローブボックスと離れており,
保有するMOX粉末が飛散し偶発的に一体化することは考えにくいことから,本評価において考慮しない。
廊下
粉末調整第5室
MOX粉末堆積条件
全ての水配管の損傷を想定
均一化混合装置グローブボックス
270kg・MOX
密度~5×103kg/m3
Pu富化度14%
安息角20~60°
堰の損傷を想定
※1 J85の取扱制限値は90kg・MOXであり,均一化混合装置では最大J85 3容器分270kg・MOXのMOX粉末を混合して所定のPu富化度に均一化する。
78
7.3 ② 水配管の破損による溢水
(2) 単一ユニットを構成するグローブボックス
前項の検討より,以下の保守側の解析条件を設定した。本評価モデルの臨界解析の結果,溢水高さは約
9cmであり,臨界に至る可能性がある溢水高さ12cm未満であることから臨界に至ることはない。
MOX形態
質量
Pu富化度
MOX粉末密度
二次混合粉末
270kg・MOX
14 %
安息角
50°
核分裂性Pu割合
83%
ウラン中のウラン-235含有率
1.6%
MOXの含水率(浸水部)
MOXの含水率(乾燥部)
天井コンクリート
1.5 %
1×103kg/m3
雰囲気中水密度
0.001×103kg/m3
MOX(乾燥部)
雰囲気
300cm
32%
(粉末密度1.8×103kg/m3の場合
に 粉末の空隙に物理的に最大
限侵入する水を想定)
水密度(浸水部)
中性子実効増倍率
100cm
1.8×103kg/m3
MOX(浸水部)
30cm
100cm
水
床面コンクリート
解析モデル概略図
0.935 (水位12cmのとき)
79
7.3 ② 水配管の破損による溢水
(3) 溢水と接触するおそれのある貯蔵マガジン,組立マガジン,
燃料集合体
解析モデルとして加工事業変更許可申請書(平成28年6月30日一部補正)の添付書類五 添5第5表を引用
し,これに被覆管としてジルカロイを考慮した貯蔵マガジン,組立マガジン及び燃料集合体が没水することを想
定して臨界解析を行う。
評価の結果,溢水高さは約15cmであり,中性子実効増倍率が最も高い貯蔵マガジン(PWR用燃料棒収
納時)が臨界に至る可能性がある溢水高さ36cm未満であることから臨界に至ることはない。
評価対象
Pu富化度
含水率
貯蔵マガジン
組立マガジン
燃料集合体
貯蔵マガジン,組立マガジン
(BWR:12% ,PWR:14%)
燃料集合体
(BWR:8% ,PWR:11%)
0.1 %
ペレット密度
11.1×103kg/m3
燃料棒長さ
無限長
核分裂性Pu割合
83%
ウラン中のウラン-235含有率
1.6%
雰囲気中水密度
水
30cm
15cm
無限長
100cm
燃料集合体
解析モデル概略図(燃料集合体の場合)
0.001×103kg/m3
80
7.3 ② 水配管の破損による溢水
以下の施設を対象に,仮想的に構造材が喪失し核燃料物質が近接し,さらに没水することを
想定し評価をおこなった結果,全ての施設において臨界に至ることはないことを確認した。
装置
核燃料物質の形態
評価モデル
中性子実効増倍率
一時保管ピット
原料MOX粉末
貯蔵容器が32体隙間なく2行8列2段に近接し没水することを想定
0.956
(完全水没)
原料MOX粉末
缶一時保管装置
原料MOX粉末
粉末缶が2行無限配列に近接し没水することを想定
0.789
(溢水高さ9cm)
粉末一時
保管装置
一次混合粉末
二次混合粉末
J60又はJ85が2行無限配列で近接し没水することを想定
0.667
(溢水高さ9cm)
ペレット一時
保管棚
グリーンペレット
焼結ペレット
スクラップ貯蔵棚の評価に包含される
-
スクラップ
貯蔵棚
焼結ペレット
回収粉末
焼結ペレットが床上に落下堆積し没水することを想定
0.819
(完全水没)
製品ペレット
貯蔵棚
焼結ペレット
スクラップ貯蔵棚の評価に包含される
-
均一化混合装置
一次混合粉末
均一化混合機内MOX粉末270kg・MOXが一箇所に円すい形状で堆積し没水することを想定
0.852
(溢水高さ9cm)
マガジン編成装
置
燃料棒
貯蔵マガジン(PWR用燃料棒収納時)が床上に落下し没水することを想定
0.893
(溢水高さ18cm)
燃料棒貯蔵棚
燃料棒
(貯蔵マガジン)
燃料棒貯蔵棚から貯蔵マガジンが落下した場合においても,配置上,貯蔵マガジンは走行レールに跨ることから
没水することはない。
-
燃料集合体貯蔵
チャンネル
燃料集合体
(燃料集合体貯蔵
チャンネル)
燃料集合体冷却のための貫通孔を設ける設計であり,ピット内に水が滞留することはない構造である。
-
81
8.まとめ
内的事象及び外的事象における臨界の発生可能性の検討結果
シナリオ
内
的
事
象
外
的
事
象
臨界の発生可能性
①グローブボックス内への容器の異常搬入及び
混合機内へのMOXの過剰投入
グローブボックス内への容器の異常搬入及び混合機内へのMOXの過
剰投入を想定しても臨界は発生しない。
②混合機下部からのMOXの漏えいによるグロー
ブボックス底部へ堆積
容器を反転させる機構を有し,内蔵するMOXを取り出してグローブボッ
クス底部に堆積が可能な設備は13箇所存在するが,未臨界質量に達
するためには1シフト以上の時間を要するため,臨界に至る前に確実に
検知が可能であることから臨界は発生しない。
①貯蔵施設の破損による核燃料物質の集積
仮想的に容器間にある構造材が喪失し核燃料物質が近接することを想
定しても,臨界は発生しない。
②水配管及び堰の破損による溢水
水と核燃料物質の接触を想定しても臨界は発生しない。
内的事象及び外的事象を起因とする臨界発生の可能性を検討した結果,いずれの場合においてもMOX
燃料加工施設で臨界は発生しない。ただし,万一の事態に備え,臨界発生後に未臨界状態を維持するた
めの中性子吸収材を投入する手段を設けることとする。
82
補足説明資料1
取扱制限値に対する内的事象の考慮
加工施設は,製造工程を乾式プロセスで構成する設計とし,機器の単一の故障若しくはその誤
作動又は運転員の単一の誤操作が発生しても,臨界に達するおそれがないようにする。さらにM
OX粉末に添加剤を投入する機器は,臨界が発生しない機器容積で設計する。
臨界パラメータが取扱制限値を逸脱しないよう,以下のとおり設計とする。
 乾式プロセスで構成する設計とする。
 焼結炉等の冷却に必要な冷却水配管以外の水配管は,溢水防護区画内に敷設しない設計とする。
 堰又は防水扉を設置することにより,工程室外から工程室内への溢水を防止し,工程室内の核燃料物質が浸水
しない設計とする。
 核燃料物質を取り扱う工程室内には,消火剤として水を用いる消火設備を設置しない設計とする。
 質量管理を行う単一ユニットへ核燃料物質を搬入する際は,取扱制限値以下であることが確認できなければ,搬
入を許可しない誤搬入防止機構を設ける。
 添加剤をMOX粉末に投入する際は,取扱制限値(含水率)以下であることが確認できなければ,投入を許可しな
い誤投入防止機構を設ける。
 単一ユニットの内,造粒ユニット,添加剤混合ユニットA及び添加剤混合ユニットBについては,Pu富化度の取扱
制限値(18%)以上のMOX粉末が搬入されない設計とする。
 均一化混合ユニットについては,均一化混合装置に投入するMOX粉末の平均Pu富化度の最大値が18%を超え
ない設計とする。
 予備混合機,均一化混合機,添加剤混合機及び回収粉末混合機では,添加剤を投入しMOX粉末中の含水率が
変動する工程であることを踏まえて,MOX粉末と添加剤をいかなる割合で過剰投入した場合においても,物理的
に臨界に至らない容積で設計する。
 形状寸法管理の工程では核的制限値以上の核燃料物質が入らないような構造で設計する。
臨界パラメータ:核燃料物質の量,U濃縮度,Pu富化度,核分裂性核種の割合,含水率及び形状
83
補足説明資料2
混合機外へのMOXの漏えい・堆積による臨界の発生可能性の検討
~未臨界質量に至る時間算出条件~
6.3において示した粉末容器を反転させる機構を有し,核燃料物質の堆積が可能なグ
ローブボックス13箇所について,未臨界質量に至るまでに要する搬送時間を示す。
未臨界質量に至るまでの搬送時間を算定するにあたり,前提条件を以下のとおりとする。
 粉末調整工程において一次混合後に取り扱う容器はJ60及びJ85の2種類がある。J60
は主にPu富化度30%の一次混合粉末を約65kg・MOX単位で搬送するように設計され
た容器であり,J85は最終Pu富化度に調整した二次混合粉末を約90kg・MOX単位で搬
送するように設計された容器である。
このPu富化度の異なるMOX粉末を収納する2つの容器の取り違いを防止するため,
均一化混合装置GB,造粒装置GB及び添加剤混合装置GBにはJ60が物理的に搬入
されない設計とする。このため,均一化混合装置GB,造粒装置GB,添加剤混合装置
GBについては二次混合粉末の未臨界質量2200kg・MOXと異常時の堆積量を比較し,
臨界の発生可能性を検討する。
 原料MOX粉末を収納した粉末容器は,下流工程で扱う粉末容器と形状が異なるため,
原料MOX粉末が直接下流工程のグローブボックスへ搬送されることは想定しない。
 粉末混合,ID読取,秤量及び誤搬入防止シャッタの開放等に要する諸時間を考慮する。
84
補足説明資料2
混合機外へのMOXの漏えい・堆積による臨界の発生可能性の検討
~未臨界質量に至る時間算出条件~
粉末調整工程設備の構成図
粉末調整工程は,粉末一時保管設備から調整粉末搬送装置を介し各処理設備へMOX粉末を収納した容
器を搬送して処理を行い,処理完了後粉末一時保管設備へ容器を返送する運転を基本とする。
については商業機密の観点から公開できません。
85
補足説明資料2
混合機外へのMOXの漏えい・堆積による臨界の発生可能性の検討
~未臨界質量に至る時間算出条件~
粉末一時保管装置から均一化混合装置への容器搬送
 装置概要
調整粉末搬送装置は,粉末一時保管装置と各工程の装置との間で容器の搬送を中継する装
置である。搬送は1容器単位で行われる。また,2容器以上の取扱い,または,搬送及び返送の
並行については,搬送路が競合することから実施できない。
 搬送能力:約10分/1容器・片道(往復:約20分)
粉末一時保管装置GB
均一化混合装置GB
調整粉末搬送装置GB
J60
J85
調整粉末
搬送装置
GB取合部
注)GBはグローブボックス
:誤搬入防止シャッタ
:秤量器
:ID番号読取機
86
補足説明資料2
混合機外へのMOXの漏えい・堆積による臨界の発生可能性の検討
~未臨界質量に至る時間算出条件~
均一化混合装置グローブボックス内の容器搬送
 装置概要
均一化混合装置は,Pu富化度18%のMOX粉末と希釈用ウラン粉末を収納した容器を最大3
容器受け入れ,均一化混合装置内に設置される混合機により均一に攪拌・混合し,所定のPu富
化度のMOX粉末を得るために用いる装置である。
 搬送頻度
搬送回数/1混合:3回
 取扱量
最大約270kg・MOX (90kg・MOX×3容器)
均一化混合装置GB
①
③
運転フロー(容器受入から払出搬送まで)
①容器受入・投入(3容器合計):約60分
②空容器の退避:約5分
③混合:約 分
④混合粉末排出・容器払出:約40分
注)GBはグローブボックス
:誤搬入防止シャッタ
②
④
:秤量器
:ID番号読取機
については商業機密の観点から公開できません。
87
補足説明資料2
混合機外へのMOXの漏えい・堆積による臨界の発生可能性の検討
~未臨界質量に至る時間算出条件~
造粒装置グローブボックスにおけるMOX粉末集積
本設備は粉末排出位置の奥側に昇降装置があるため,ある程度MOX粉末が堆積した段階
で更なる搬送が困難となる。そのため,核燃料物質の集積が可能なグローブボックスから除
外する。
造粒装置グローブボックス
造粒装置
誤搬入防止シャッタ
漏えい
88
補足説明資料3
貯蔵設備における没水の可能性
燃料棒貯蔵設備における貯蔵マガジン落下時の没水の可能性
貯蔵マガジンが燃料棒貯蔵棚に収納されている状態では,大規模地震により仮に燃料棒貯蔵棚が損傷した場合におい
ても構造材が在ることから貯蔵マガジンが没水することは考えられない。
一方,燃料棒貯蔵棚から貯蔵マガジンが落下した場合においても,配置上,貯蔵マガジンは走行レールに跨り,この走行
レールは床上から頭頂部まで
cmの高さがあり,また地下2階の溢水高さは保守的に15cm以下であることから,貯蔵マ
ガジンが没水することはない。
貯蔵マガジン入出庫装置
貯蔵マガジン
ケーブルベヤ
ケーブルベヤ
走行レール
燃料棒貯蔵棚
溢水高さ:15cm以下
横断面図
については商業機密のため公開できません。
走行レール
床面からの高さ:
cm
89
補足説明資料3
貯蔵設備における没水の可能性
燃料集合体貯蔵設備における燃料集合体の没水の可能性
燃料集合体貯蔵設備の貯蔵チャンネルは外管とガイド管で構成されており,下部に燃料集
合体冷却のための貫通孔を設ける設計である。このため溢水により水が流入した場合にお
いても,貫通孔を通って流れ落ち滞留することはない。
地上1階床面
遮蔽蓋
燃料集合体
貯蔵チャンネル
PWR:1体収納
BWR:4体収納
貫通孔
燃料集合体
貯蔵室床面
ガイド管
外管
ガイド板
架台
水の流れ
地下1階床面
90
「臨界の発生可能性について(再評価)」
臨界解析(パラメータサーベイ)
91
はじめに
内的事象及び外的事象を起因とする臨界発生の可能性を検討した結果,いずれの場合に
おいてもMOX燃料加工施設で臨界は発生しないことを説明した。
本項においては,臨界の発生可能性を検討した際の解析条件設定の考え方について説明
する。
なお,本評価に当たっては,計算コードシステムSCALE-4のKENO-Ⅴ.aコード及びEN
DF/B-Ⅳライブラリを用いて計算し,標準偏差の3倍を考慮した中性子実効増倍率が,推定
臨界下限増倍率0.97を下回る場合,臨界に至らないと判定する。ただし,円すい形状等KENO
-Ⅴ.aコードでは取り扱えないモデルに対してはKENO-Ⅴ.aコードと同等(1)であるKENO
-Ⅵコードを用いて解析を行う。
(1) P. B. Fox and L. M. Petrie. Validation and Comparison of KENO V.a and KENO-VI. Oak Ridge National Laboratory, 2002,
ORNL/TM-2001/110.
92
1.臨界解析評価条件
MOX形態
粉末
ペレット
燃料棒
燃料集合体
原料MOX粉末
一次混合粉末
二次混合粉末
添加剤混合粉末
グリーンペレット
焼結ペレット
BWR燃料棒
PWR燃料棒
BWR燃料集合体
PWR燃料集合体
Pu富化度(%)
含水率(%)
60
30
14※1
14※1
14※1
14※1
12※2
14※1
8※3
11※4
0.5
1.0
1.5
2.5
2.5
0.1
0.1
0.1
0.1
0.1
密度
(×103kg/m3)
4
5
5
5
7.9
11.1
11.1
11.1
11.1
11.1
核分裂性
Pu割合(%)
ウラン中のU-
235含有率(%)
83※5
1.6※5
添付書類五 添5第4表
●Pu富化度の設定
※1 今回の評価条件は,次の範囲に対して臨界上保守側となる条件を設定する。
1)核分裂性Pu富化度:11.6%以下
2)Pu富化度:18%以下
臨界評価上は,核分裂性Pu富化度11.6%及び核分裂性Pu割合83%との組合せから,Pu富化度を14%とする。
ただし,
核分裂性Pu富化度(%)=((Pu-239質量+Pu-241質量)/(Pu質量+U質量))×100
※2 今回の評価条件は,次の範囲に対して臨界上保守側となる条件を設定する。
1)核分裂性Pu富化度:9.4%以下
2)Pu富化度:17%以下
臨界評価上は,核分裂性Pu富化度9.4%及び核分裂性Pu割合83%との組合せから,Pu富化度を12%とする。
※3 今回の評価条件は,次の範囲に対して臨界上保守側となる条件を設定する。
1)燃料集合体平均としての核分裂性Pu富化度:6.1%以下
2)燃料集合体平均としてのPu富化度:11%以下
臨界評価上は,核分裂性Pu富化度6.1%及び核分裂性Pu割合83%との組合せから,Pu富化度を8%とする。
※4 今回の評価条件は,次の範囲に対して臨界上保守側となる条件を設定する。
1)燃料集合体平均としての核分裂性Pu富化度:9.1%以下
2)燃料集合体平均としてのPu富化度:14%以下
臨界評価上は,核分裂性Pu富化度9.1%及び核分裂性Pu割合83%との組合せから,Pu富化度を11%とする。
●核分裂性Pu割合及びウラン中のウラン-235含有率の設定
※5 加工施設での最大値を設定する。
93
2.未臨界質量の評価
本評価において判定基準とした未臨界質量とは,想定する核燃料物質性状において,水反射体2.5cm,
球形状モデルにて計算した中性子実効増倍率が,推定臨界下限増倍率0.97を下回る質量である。
実際にはグローブボックス内に分散しているMOX粉末全量が仮想的に一箇所に球形状で集積すること
を想定し,その条件で未臨界質量に達しなければ,実際の形状や寸法を考慮した詳細なモデルで解析しな
くても臨界に至らないことは明らかである。
MOX
水:2.5cm
ウラン中のウ
ラン-235含有
率(%)
Pu富化度
(%)
含水率
(%)
密度
(×103kg/m3)
原料MOX粉末
60
0.5
4
300
一次混合粉末
30
1.0
5
650
二次混合粉末
14
1.5
5
添加剤混合粉末
14
2.5
5
1500
グリーンペレット
14
2.5
7.9
600
焼結ペレット
14
0.1
11.1
850
MOX形態
核分裂性
Pu割合(%)
粉末
83
1.6
未臨界質量
(kg・MOX)
2200
ペレット
94
2.未臨界質量の評価
(パラメータ:MOX質量)
各MOX形態の質量と中性子実効増倍率の推移を示す。
推定臨界下限増倍率0.97
95
2.未臨界質量の評価
(パラメータ:MOX質量)
各MOX形態の質量と中性子実効増倍率の推移を示す。
推定臨界下限増倍率0.97
96
3.貯蔵容器一時保管設備の集積評価
解析モデルとして貯蔵容器同士が32体隙間なく2行8列2段に近接することを想定し臨界解析を行う。
評価の結果,中性子実効増倍率は最大0.750であり,臨界に至ることはない。
貯蔵容器
上部フランジ部
貯蔵容器胴部
粉末缶
MOX粉末
貯蔵容器概略図
2×8 2段積み
解析モデル
100cm
評価対象
貯蔵容器(粉末缶3缶収納)
MOX形態
原料MOX粉末
質量(粉末缶当たり)
13.3kg・HM
Pu富化度
60 %
含水率
0.5%
MOX粉末密度
1.8~4×103kg/m3
核分裂性Pu割合
83%
ウラン中のウラン-235含有率
1.6%
雰囲気中水密度
配列
雰囲気
0~1×103kg/m3
・貯蔵容器の上部フランジ部の直径は,胴部の直径より大
きいが,保守側に貯蔵容器の胴部が密接した状態を想定
・貯蔵室の床面は,全ての貯蔵容器を横にした状態で1段
に並べることができる面積を有するが,貯蔵容器が2段に
積み重なった状態を想定
貯蔵容器
(ステンレス鋼とし
て考慮)
200cm
粉末缶
(アルミニウム
として考慮)
MOX粉末
コンクリート
100cm
解析モデル概略図
97
3.貯蔵容器一時保管設備の集積評価
(パラメータ:雰囲気中水密度)
推定臨界下限増倍率0.97
98
4.原料MOX粉末缶一時保管設備の集積評価
解析モデルとして加工事業変更許可申請書(平成28年6月30日一部補正)の添付書類五 添5第7表を引用し,原料MOX
粉末缶一時保管装置で取り扱う粉末缶が, 2行無限配列に近接した状態を想定して臨界解析を行う。
評価の結果,中性子実効増倍率は最大0.862であるため,臨界に至ることはない。
100cm
遮蔽蓋
粉末缶
原料MOX粉末缶一時保管装置概略図
140cm
無限配列
100cm
評価対象
粉末缶
MOX形態
原料MOX粉末
質量(粉末缶当たり)
13.3kg・HM
Pu富化度
60 %
含水率
0.5%
MOX粉末密度
1.8~4×103kg/m3
核分裂性Pu割合
83%
ウラン中のウラン-235含有率
1.6%
雰囲気中水密度
配列
解析モデル概略図
0.001×103kg/m3
粉末缶が2行無限配列に近接
99
4.原料MOX粉末缶一時保管設備の集積評価
(パラメータ:MOX密度)
推定臨界下限増倍率0.97
100
5.粉末一時保管設備の集積評価
解析モデルとして加工事業変更許可申請書(平成28年6月30日一部補正)の添付書類五 添5第7表を引用し,粉末一時保管
装置で取り扱うPu富化度30%の粉末が収納されたJ60又はJ85が2行無限配列に近接した状態を想定して臨界解析を行う。
評価の結果,中性子実効増倍率は最大0.753ため,臨界に至ることはない。
粉末一時保管装置概略図
評価対象
J60/J85
MOX形態
MOX粉末
質量(粉末缶当たり)
30% (J60) / 14% (J85)
含水率
1.0% (J60) / 2.5% (J85)
1.8~5×103kg/m3
核分裂性Pu割合
83%
ウラン中のウラン-235含有率
1.6%
雰囲気中水密度
配列
550cm
65kg・MOX (J60) / 90kg・MOX (J85)
Pu富化度
MOX粉末密度
100cm
100cm
無限配列
0.001×103kg/m3
J60/J85が2行無限配列に近接
解析モデル概略図
101
5.粉末一時保管設備の集積評価
(パラメータ:MOX密度)
推定臨界下限増倍率0.97
102
6.スクラップ貯蔵設備の集積評価
1棚分の最大貯蔵能力(2.28t・MOX)のペレットが下図の堆積エリアに落下した場合においても,ペレットの堆
積高さは約6.5cmであり,臨界に至る可能性がある堆積高さは17cm未満であることから臨界に至ることはない。
280cm
100cm
330cm
80cm
水:2.5cm
100cm
堆積エリア
スクラップ貯蔵棚 1台
MOX
解析モデル概略図
MOX形態
Pu富化度
(%)
含水率
(%)
密度
(×103kg/m3)
核分裂性
Pu割合(%)
ウラン中のウラン
-235含有率(%)
未臨界である
堆積高さ
焼結ペレット
14
0.1
11.1
83
1.6
17cm
※ 堆積高さ=
2.28×103 (kg・MOX)
・
11.1×103(kg ・MOX/m3)
1
4(m)×0.8(m)
≒ 0.065(m)
103
6.スクラップ貯蔵設備の集積評価
(パラメータ:形状)
ペレットは直径約1cm,高さ約1cmの円筒形状であり粉末と比べ転がり拡散しやす
い特徴がある。仮に堆積する底面積を固定して,ペレットが全量落下し,四角すい
形状に積みあがった場合を想定しても高さは19.5cmである。
四角すい形状の場合中性子実効増倍率は,0.856であり,ペレットがどのように
偏って堆積しても臨界に至ることはない。
80cm
80cm
6.5cm
19.5cm
104
6.スクラップ貯蔵設備の集積評価
(パラメータ:ペレットの堆積高さ)
推定臨界下限増倍率0.97
105
7.燃料棒貯蔵設備の集積評価
解析モデルとして,貯蔵マガジンが4段積み重なった状態で横に無限配列として評価を行う。なお,貯
蔵マガジンの解析モデルは加工事業変更許可申請書(平成28年6月30日一部補正)の添付書類五 添
5第5表及び第6表から引用し,これに被覆管としてジルカロイを考慮した。
評価の結果,中性子実効増倍率は最大0.967となり,貯蔵マガジン同士が接近することを想定しても臨
界に至ることはない。
コンクリート
貯蔵マガジン
無限配列
燃料棒貯蔵棚
解析モデル概略図
MOX形態
Pu富化度
(%)
含水率
(%)
密度
(×103kg/m3)
核分裂性
Pu割合(%)
ウラン中のウラン-235
含有率(%)
貯蔵マガジン
BWR:12
PWR:14
0.1
11.1
83
1.6
106
8.燃料集合体貯蔵設備の集積評価
解析モデルとして,燃料集合体貯蔵チャンネルが南北方向に10個接近した状態で東西方向に無限配列として
評価を行う。なお,燃料集合体貯蔵設備の解析モデルは加工事業変更許可申請書(平成28年6月30日一部補
正)の添付書類五 添5第5表及び第6表から引用し,これに被覆管としてジルカロイを考慮した。
評価の結果,収納物がすべてPWR燃料集合体の場合に中性子実効増倍率は最大0.965となり,燃料集合体
貯蔵チャンネル同士が接近することを想定しても臨界に至ることはない。
PN
貯蔵チャンネル
無限配列
コンクリート
解析モデル概略図
燃料集合体貯蔵設備
MOX形態
Pu富化度
(%)
含水率
(%)
密度
(×103kg/m3)
核分裂性
Pu割合(%)
ウラン中のウラン-235
含有率(%)
燃料集合体
BWR:8
PWR:11
0.1
11.1
83
1.6
107
9.貯蔵容器一時保管設備の没水評価
(パラメータ:ペレットの堆積高さ)
解析モデルとして貯蔵容器同士が32体隙間なく2行8列2段に近接した状態で没水することを想定して臨界解析を行う。
評価の結果,中性子実効増倍率は最大0.956であり,臨界に至ることはない。
貯蔵容器
上部フランジ部
貯蔵容器胴部
粉末缶
MOX粉末
貯蔵容器概略図
2×8 2段積み
解析モデル
100cm
評価対象
貯蔵容器(粉末缶3缶収納)
MOX形態
原料MOX粉末
質量(粉末缶当たり)
13.3kg・HM
Pu富化度
60 %
含水率
0.5%
MOX粉末密度
83%
ウラン中のウラン-235含有率
1.6%
配列
貯蔵容器
(ステンレス鋼とし
て考慮)
200cm
1.8~4×103kg/m3
核分裂性Pu割合
雰囲気中水密度
雰囲気
0~1×103kg/m3
・貯蔵容器の上部フランジ部の直径は,胴部の直径より大
きいが,保守側に貯蔵容器の胴部が密接した状態を想定
・貯蔵室の床面は,全ての貯蔵容器を横にした状態で1段
に並べることができる面積を有するが,貯蔵容器が2段に
積み重なった状態を想定
水位(9cm)
MOX粉末
コンクリート
100cm
解析モデル概略図
108
9.貯蔵容器一時保管設備の没水評価
(パラメータ:雰囲気中水密度)
推定臨界下限増倍率0.97
109
10.原料MOX粉末缶一時保管設備の没水評価
解析モデルとして加工事業変更許可申請書(平成28年6月30日一部補正)の添付書類五 添5第7表を引用し,原料MOX
粉末缶一時保管装置で取り扱う粉末缶が, 2行無限配列に近接した状態で没水することを想定して臨界解析を行う。
評価の結果,中性子実効増倍率は最大0.789であるため,臨界に至ることはない。
遮蔽蓋
100cm
粉末缶
140cm
原料MOX粉末缶一時保管装置概略図
無限配列
評価対象
粉末缶
MOX形態
原料MOX粉末
質量(粉末缶当たり)
60 %
含水率
0.5%
83%
ウラン中のウラン-235含有率
1.6%
配列
100cm
解析モデル概略図
1.8~4×103kg/m3
核分裂性Pu割合
雰囲気中水密度
解析モデル概略図
9cm
13.3kg・HM
Pu富化度
MOX粉末密度
水
0.001×103kg/m3
粉末缶が2行無限配列に近接
110
10.原料MOX粉末缶一時保管設備の没水評価
(パラメータ:溢水高さ)
溢水範囲 0~9cm
推定臨界下限増倍率0.97
111
10.原料MOX粉末缶一時保管設備の没水評価
(パラメータ:MOX密度)
推定臨界下限増倍率0.97
112
11.粉末一時保管設備の没水評価
解析モデルとして加工事業変更許可申請書(平成28年6月30日一部補正)の添付書類五 添5第7表を引用し,粉末一時保管
装置で取り扱うPu富化度30%の粉末が収納されたJ60又はJ85が2行無限配列に近接した状態で没水することを想定して臨界解
析を行う。
評価の結果,中性子実効増倍率は最大0.667であるため,臨界に至ることはない。
100cm
粉末一時保管装置概略図
評価対象
J60/J85
MOX形態
MOX粉末
質量(粉末缶当たり)
Pu富化度
含水率
MOX粉末密度
65kg・MOX (J60) / 90kg・MOX (J85)
1.0% (J60) / 2.5% (J85)
1.8~5×103kg/m3
83%
ウラン中のウラン-235含有率
1.6%
配列
9cm
30% (J60) / 14% (J85)
核分裂性Pu割合
雰囲気中水密度
550cm
0.001×103kg/m3
無限配列
100cm
水
解析モデル概略図
J60/J85が2行無限配列に近接
113
11.粉末一時保管設備の没水評価
(パラメータ:溢水高さ)
溢水範囲 0~9cm
推定臨界下限増倍率0.97
114
11.粉末一時保管設備の没水評価
(パラメータ:MOX密度)
推定臨界下限増倍率0.97
115
12.スクラップ貯蔵設備の没水評価
スクラップ貯蔵棚GB内底面は床からの高さが25cmあり,ペレット・スクラップ貯蔵室の溢水高さは9cmであることから,スクラッ
プ貯蔵棚GB内底面にペレットが落下した場合においても水と接することはない。したがって,ここでは最大貯蔵能力の焼結ペ
レットが全量スクラップ貯蔵棚GB内底面に落下し,更に床面に落下して平板形状,六方充填又は正方充填に堆積し没水した場
合の臨界の発生可能性について検討する。
評価の結果,中性子実効増倍率は最大0.819であるため,臨界に至ることはない。
30cm
平板形状
水
30cm
30cm
六方充填
30cm
無限配列
100cm
堆積したペレット
解析モデル概略図
スクラップ貯蔵棚 1台
正方充填
評価対象
平板形状
六方充填
正方充填
Pu富化度
(%)
14
ウラン中のウラン
-235含有率(%)
密度
(×103kg/m3)
1.6
11.1
核分裂性
Pu割合(%)
雰囲気中水密度
ペレット堆積
高さ(cm)
中性子実効増
倍率
83
0~1×103kg/m3
4.2
4.6
5.3
0.773
0.791
0.819
116
12.スクラップ貯蔵設備の没水評価
(パラメータ:雰囲気中水密度)
推定臨界下限増倍率0.97
117
13.MOX粉末の没水評価
本評価は通常運転時のMOX粉末取扱量が最も多い均一化混合機を対象としているが,他機器で取り扱
うMOX粉末に対して同条件で評価した場合,臨界の可能性が生じる水位は以下のとおりであり,均一化混
合機で取り扱うMOX粉末が堆積した場合の水位が一番厳しい結果である。
床上に堆積したMOX粉末
溢水により工程室に流入した水
MOX形態
(容器又は機器名)
原料MOX粉末
(J18)
一次混合粉末
(J60)
二次混合粉末
(均一化混合機)
質量
(kg・MOX)
Pu富化
度(%)
浸水部
含水率
(%)
乾燥部
含水率
(%)
密度
(×103kg/m3)
20
60
32
0.5
1.8
65
30
32
1.0
1.8
270
14
32
1.5
1.8
核分裂性
Pu割合(%)
ウラン中の
ウラン-235
含有率(%)
未臨界である
水位(cm)
-
(没水しても未臨界)
83
1.6
17
12
118
13.MOX粉末の没水評価
(パラメータ:溢水高さ)
推定臨界下限増倍率0.97
119
13.MOX粉末の没水評価
(パラメータ:形状)
溢水範囲 0~9cm
推定臨界下限増倍率0.97
円すい形状モデル
円筒形状モデル
120
13.MOX粉末の没水評価
(評価条件まとめ)
前項の検討より,以下の保守側の解析条件を設定した。本評価モデルの臨界解析の結果,溢水高さは約
9cmであり,臨界に至る可能性がある溢水高さ12cm未満であることから臨界に至ることはない。
MOX形態
質量
Pu富化度
MOX粉末密度
二次混合粉末
270kg・MOX
14 %
安息角
50°
核分裂性Pu割合
83%
ウラン中のウラン-235含有率
1.6%
MOXの含水率(浸水部)
MOXの含水率(乾燥部)
天井コンクリート
1.5 %
1×103kg/m3
雰囲気中水密度
0.001×103kg/m3
MOX(乾燥部)
雰囲気
300cm
32%
(粉末密度1.8×103kg/m3の場合
に 粉末の空隙に物理的に最大
限侵入する水を想定)
水密度(浸水部)
中性子実効増倍率
100cm
1.8×103kg/m3
MOX(浸水部)
30cm
100cm
水
床面コンクリート
解析モデル概略図
0.935 (水位12cmのとき)
121
13.MOX粉末の没水評価
(パラメータ:溢水高さ)
【評価結果 (パラメータサーベイ:溢水高さ)】
溢水高さの上昇に伴い中性子実効増倍率が増加するが,溢水高さが12cm以下であれば中性子実効増倍率
が0.97を超えることはない。
溢水範囲 0~9cm
推定臨界下限増倍率0.97
(Keff+3σ:0.935)
122
13.MOX粉末の没水評価
(パラメータ:安息角)
推定臨界下限増倍率0.97
123
13.MOX粉末の没水評価
(パラメータ:MOX粉末密度)
【評価結果(パラメータサーベイ:MOX粉末密度)】
燃料加工建屋内の保有水量が全量落水した場合の粉末調整第5室の溢水高さは最大でも約9cmであり,こ
の溢水高さであれば如何なる粉末密度においても臨界に至ることはない。
推定臨界下限増倍率0.97
MOX
水
文献の密度範囲
2.1~2.3×103kg/m3
含水率計算のMOX浸水部概念図
(浸水部のMOX含水率は,粉末空隙部に
最大限水分子が浸透したと仮定した
評価条件を採用)
●参考文献
青木実他. MOX燃料技術開発の動向(3) プルトニウム転換
技術開発. 原子力工業. 1986, 第32巻, 第2号.
124
13.MOX粉末の没水評価
(パラメータ:核分裂性Pu割合)
【評価結果(パラメータサーベイ:Pu富化度)】
核分裂性Pu富化度11.6%の条件下では,Pu富化度14%及び核分裂性Pu割合83%の組合わせが保守側の
評価となる。
溢水範囲 0~9cm
推定臨界下限増倍率0.97
125
14.貯蔵マガジン,組立マガジン及び燃料集合体の没水評価
解析モデルとして加工事業変更許可申請書(平成28年6月30日一部補正)の添付書類五 添5第5表を引用
し,これに被覆管としてジルカロイを考慮した貯蔵マガジン,組立マガジン及び燃料集合体が没水することを想
定して臨界解析を行う。
評価の結果,溢水高さは約15cmであり,中性子実効増倍率が最も高い貯蔵マガジン(PWR用燃料棒収
納時)が臨界に至る可能性がある溢水高さは36cm未満であることから臨界に至ることはない。
評価対象
Pu富化度
含水率
貯蔵マガジン
組立マガジン
燃料集合体
貯蔵マガジン,組立マガジン
(BWR:12% ,PWR:14%)
燃料集合体
(BWR:8% ,PWR:11%)
0.1 %
ペレット密度
11.1×103kg/m3
燃料棒長さ
無限長
核分裂性Pu割合
83%
ウラン中のウラン-235含有率
1.6%
雰囲気中水密度
水
30cm
15cm
無限長
100cm
燃料集合体
解析モデル概略図(燃料集合体の場合)
0.001×103kg/m3
126
14.貯蔵マガジンの没水評価
(パラメータ:溢水高さ)
溢水範囲 0~15cm
推定臨界下限増倍率0.97
127
14.組立マガジンの没水評価
(パラメータ:溢水高さ)
溢水範囲 0~15cm
推定臨界下限増倍率0.97
128
14.燃料集合体の没水評価
(パラメータ:溢水高さ)
溢水範囲 0~15cm
推定臨界下限増倍率0.97
129