資料3 少子化、女性活躍 男性の家庭参画のための 労働時間の法的規制のあり方 白河桃子(しらかわとうこ) 相模女子大客員教授 2017/2/14 白河 桃子 1 月45時間を超える場合の時間外労働時間 • 特例の3番で年間720時間以内において一時的に業 務量が増加する場合について、「上回ることの出来な い上限は1か月で75時間以下」になると、「命を守る法 的上限が入った」という社会への強いメッセージとなり、 評価も高まるのではないか? • ここに過労死以上の80時間、100時間という数字が入 ると、バッシングの恐れもある。 • 国民感情としては「また抜け道がある」と思われてしま うし、海外からの評価としても「働く場所としての日本 は魅力的ではない」というメッセージになってしまう。 2017/2/14 白河桃子 2 時間外労働が月45時間を超えた場合の労使協 定について • 特例の4番目に、月45時間以上の時間外労働をさせる場合 は労使協定を結ばせるとある。 • 女性活躍推進法のデータベースに、特例を結んでいるか? 特例時で上限を何時間と結んでいるか?を、301人以上の企 業は開示することを義務化してほしい。各社の数字が並んで 見えると、学生たちが、会社を選ぶ際の大きな目安になり、ミ スマッチも防げる。 • 開示は、生産性が高く、社員の健康や生活を守る優良な企 業が、不利にならないようにするためにも必要だ。現在は平 均残業時間の開示があるが、すぐその横の項目に開示して ほしい。 2017/2/14 白河桃子 3 時間外労働が月45時間を超えた場合の労使協 定について • 時間外労働が65時間を超えた翌月は、産業医の面談の義 務付けと、時間外労働を45時間以下とすることが義務付けら れる。(つまり連続して65時間を越える月を持つことは出来な いようにする) • 65時間を超える月は年間3か月まで。連続してはならない。 • 45時間を超える月は年間6か月まで。3か月以上連続しては ならない。 • 1日12時間を超えて労働したものは勤務間インターバルを空 けないと翌日の業務を開始できないことを義務化してほしい。 (例:インターバルが11時間の場合、朝9時から夜9時まで勤 務したら、翌日の朝8時までは勤務出来ない)。一日12時間 を超えない企業でも、インターバル規制を入れた企業にはイ ンセンティブ、公表などの積極的な評価があってほしい。 2017/2/14 白河桃子 4 その他「実労働時間の把握義務」 • 働き方改革実現のためには「実労働時間の把握」が 重要。罰則付きの労働時間記録管理義務を企業に課 すことを、省令や解釈通達等のレベルではなく、労基 法本体に明記してほしい。現在は339号通達となって いるが、労基法本体に明記する必要性は次の通り。 【必要性】 1 通達、指針、判例レベルでは残念ながら周知徹底されず、 法文化されないと、所詮法律ではないと軽視する使側も少なからずいる 2 裁判例も、把握義務違反を根拠として過労自死等の責任を認めている状況 ガイドラインは通達と同レベルで、これ以上の効果は見込めない 108条の罰則は賃金支払に関する罰則 生命、健康を守るための罰則ではない 【許容性】 1 他の法制化の流れ 均等法・パートタイム労働法なども、ガイドラインや指針から法律にステップアップしていっ たという経緯がある。解雇に関する法も、判例から法律に、という流れ 2017/2/14 白河桃子 5 その他「業界ごとの検討会」 • 業界毎に「長時間労働是正、生産性向上」のための検討会 などをひらき、先進企業の事例を横展開したり、下請け、サ プライチェーン、開店時間、サービス時間などの取り決めをし てほしい。 2017/2/14 白河桃子 6 女性活躍のために必要な上限 一流企業の営業女性の若手エースを集めた 「新世代エイジョカレッジサミット2016のアンケート「エイカレ白書」より 営業女性は10年間で10分の1にまで減る その理由は「両立する未来が見えない」「長時間労働」 働き続け、管理職になるためのボトルネックになっているの は「長時間労働」だった。 2017/2/14 白河桃子 7 営業を続けたい、管理職になりたい ともに男性より少ない 2017/2/14 白河桃子 8 「続けたい」「管理職になりたい」 に強い相関のある “認識“ 女性 0.70 管理職になると会社を 変えることができる 0.40 ③期待 ● 心から期待されている 0.20 ● 期待のコトバをかけてもらっている 営業は時間の融通を利かせやすい ①時間 0.30 ④顧客 0.10 女性は顧客に歓迎される 0.00 -0.30 -0.20 -0.10 営業は時短だと 顧客に迷惑がかかる 0.00 0.10 0.20 -0.10 -0.20 営業は子育てとの両立が難しい-0.30 -0.40 「営業を続けたい」への影響 + - 9 管理職はやりがいがある 管理職になると自由度は高まる 0.50 + 「 管 理 職 に な り た い 」 -0.40 へ の 影 - 響 ②管理職 0.60 0.30 0.40 労働時間は女性活躍の強力な ノックアウトファクター 2017/2/14 白河桃子 10 「短時間労働は迷惑がかかる」「両立が難しい」と感じる女性は 続けたい、管理職になりたいと思えない。 2017/2/14 白河桃子 11 長時間労働是正が女性活躍にもたらす効果 負のサイクル 正のサイクル 男女ともに働き やすく時間あたり 生産性アップ 管理職比率アッ プ 労働力不足 競争力不足 消費も減退 退職で 家計も縮小 管理職比 率上がらず 青天井の 長時間労働 制約人材の 女性が評価 されない フェアに競争 できない 2017/2/14 子育てやイ ンプットの時 間ができる 長時間労働 に上限 レバレッジ ポイント 白河桃子 労働力人口増 イノベーション 競争力アップ 12 働くママの4人に1人 昇進望めない マミートラック11月20日 NHK 出産後に復職した女性が、職場で昇進が望めない状況に固定 されてしまう、「マミートラック」と呼ばれる状態を経験した女性 がどのくらいいるのか、NHKがおよそ1300人に調査したとこ ろ、復職した女性の4人に1人に上るという結果がまとまりまし た。 この調査はNHKが出産後に復職した女性の働き方を調べよう と子育て中の女性を支援する複数の団体の協力を得て、今月 4日から2週間、インターネットを通じて行い、復職した女性およ そ1300人から回答がありました。それによりますと、復職した 時に短時間勤務を利用した人は66.3%で3人に2人に上りま した。 2017/2/14 時間差別で女性の活躍意欲が削がれる 白河桃子 13 学生・若手は長時間労働をどう見ているのか? (アンケート紹介) スリール株式会社 堀江敦子 14 ライフも考慮する会社が、人材戦略を制する ①働く場を選ぶ際の優先順位 「第一志望のやりたい仕事のできる会社に 入れました。 しかし、毎日かなりの残業があり、 同じ部署に両立している先輩女性はいません。 30歳以降 転職 73.8% 長時間労働の会社だと、 「30歳以降まで働き続ける」意識が激減する 15 若者の「働く時間」の意識 ④ブラック企業のイメージ ブラック企業の帰宅時間は 「83.1%」が22時以降と答えている 16 ニッポン一億総活躍プラン 2016年6月2日 2017/2/14 白河桃子 17 長時間労働是正が一億総活躍にもたらす効果 負のサイクル 正のサイクル 競争力低下 日本が沈む 労働人口減少 結婚難 超少子化 2017/2/14 出生率アップ 女性活躍で GDPアップ すべての人材 が活躍できる。 青天井の 長時間労働 労働人口アッ に上限 長時間労働 プ、社会保障 費減 国際競争力 GDP600兆円 介護、育児、 介護離職ゼロ 病時、高齢者 レバレッジ など活躍でき 希望出生率1・ ポイント ない 8 白河桃子 18
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