逆行ツナは見守りたい 犬伏アオイ ︻注意事項︼ このPDFファイルは﹁ハーメルン﹂で掲載中の作品を自動的にPDF化したもので す。 小説の作者、 ﹁ハーメルン﹂の運営者に無断でPDFファイル及び作品を引用の範囲を 超える形で転載・改変・再配布・販売することを禁じます。 ︻あらすじ︼ id=6107941 pixivにて完結済み。↓ http://www.pixiv.net/nov el/show.php りして更にビックリ。 しかも超見覚えのある女性、母の奈々が記憶よりも若い容貌でこちらを覗き込んでた 目を覚ますと病室に。 ボンゴレ解体を目指しつつ、守護者の皆とわちゃわちゃ過ごしていたはずが、ある日 ボンゴレ十代目としてイタリア裏社会を率いていた沢田綱吉40歳。 ? 詳しく事情を聞けば、自分は︵奈々の︶両親と事故に遭い、今まで意識不明の重体だっ これってネットの小説とかでよくある逆行っ た︵奈々の︶3つ下の弟であることが判明。 イヤでもこの身体俺本人ですらないよ 俺に伯父さんなんかいなかったよね て奴 !!? !? しつつ、奈々を守ろうと奮闘するお話。 まとめれば、イタリア裏社会を支配していたツナ君が、逆行して一般人の平穏を甘受 く手助けしてやろうと決意。 やがて、生まれてきたかつての自分自身を見て、大変だった日々を思いだしそれとな 俺大変だろうなぁ⋮としみじみ思うようになる。 しかし、当然の如く現れたかつての父・家光との結婚話がでてくると、生まれてくる 守ろうと決意。 まぁ逆行しちゃったのはしょうがないし、今まで守ってもらった分、死ぬ気で奈々を 激しくツッコみたかったが、何故か今なお付属している超直感で現実だと認識。 !? らってました。⋮えっ ││││ !? た。⋮帰れ │││ │││││││││ 気 づ い た ら 浅 利 一 味 が 来 日 し て ま し を受けてました。⋮アレ 気づいたら赤髪の青年に骨董品の説明 56 67 目 次 原作前 ││││││││││ ? ゛っ ││││││││││││ │││││││ ││││││││ ││││││││││││ 気づいたら夜が明けてました。⋮んん た。⋮うげっ 気づいたら海の大空とぶつかってまし た。⋮謹賀新年 気 づ い た ら 初 代 が 祝 わ れ に 来 て ま し 断る 気づいたら勧誘されてました。⋮だが !! 気 づ い た ら、母 が 姉 に な っ て ま し た。 ⋮なんで ││││││││ 気 づ い た ら 叔 父 に な る そ う で す。⋮ ちょっと待て │││││││ │││ │││││││ 気 づ い た ら 虹 の 大 空 に 道 案 内 し て も した。⋮危ねえ 気づいたら憤怒の暴君に殺されかけま うです。⋮行きたくねえ 気づいたら俺はイタリアに留学するそ ⋮って早くない 気 づ い た ら 俺 が 生 ま れ る そ う で す。 !! 73 93 107 116 121 !! !! 1 6 10 23 43 !? !? !! !! !? !? │││││ 気 づ い た ら 晴 の 兄 妹 を 助 け て ま し た。 ⋮イロイロと眩しい 気 づ い た ら 大 地 が 蹂 躙 さ れ て い ま し ││││││ ││││││ 気 づ い た ら 野 球 少 年 が 病 院 に い ま し た。⋮諦めないで ││││││││ 気 づ い た ら ご 飯 を 振 る ま っ て ま し た。 ⋮召し上がれ ││││││││││ ││││ 気づいたら毒蠍に手料理を振るまわれ てました。⋮って死ぬ ││ 気づいたら風紀委員長に武器をつきつ けられていました。⋮怖っ │ ! 黒曜編 ││ ││││││ ⋮落ち込んでるなぁ ││││││ 気づいたら右腕がしょげ返ってました た。⋮皆幼いなぁ 気 づ い た ら 弟 分 た ち に 囲 ま れ て ま し した。⋮相変わらずだなぁ 気づいたら跳ね馬に世話を焼いていま 190 193 201 207 !! ! 久しぶりだなぁっ 気づいたら女子組の買い物に付き合わ ││││││││ !! 原作開始 た。⋮くそっ 178 184 !! されるようです。⋮帰りたい !! 131 137 146 152 161 169 ! !! 気づいたら家庭教師が家にいました⋮ !! ! 気 づ い た ら 眼 鏡 少 年 を 助 け て ま し た。 ⋮ん゛っ !? │││││ 気づいたら黒曜中に転入生が来てまし た。⋮面倒事の予感 │││││ 気 づ い た ら 並 中 生 が 襲 わ れ て ま し た。 ⋮骸の馬鹿やろーっ 気づいたら甥っ子が反撃しに来てまし ││││││ ││ 気づいたら大地にお小言を言われまく りました。⋮ごめんってー │││ 気づいたら後日談をまとめられていま した。⋮っておいコラー 指輪編 │ 気づいたら侍少年と傲慢鮫が戦ってま した。⋮また巻き込まれたー た。⋮そっかぁ ││ ││││││ │││││││ 気 づ い た ら 甥 っ 子 に 相 談 さ れ て ま し た。⋮帰れテメェ 気づいたら憤怒の暴君が玄関にいまし た。⋮いっぺん死んで来い 気づいたら父に跳び蹴りかましてまし !! た。⋮が、頑張れ 気づいたら風紀委員長に噛み殺されそ ││││ 260 267 278 283 う に な っ て ま し た。⋮ う わ ー ん ⋮ほんっとありがとう 気 づ い た ら 右 腕 に 助 け ら れ て ま し た。 ! !! !! !! !! !! 217 228 233 248 254 288 297 ! 気づいたら黒曜戦が無事終わったよう ││ ! !! !! です。⋮ツッ君ありがと│ !! 240 │ 気 づ い た ら 打 ち 上 げ に 参 加 し て ま し │││││ │││││││ │││││││││ ⋮いってらっしゃい │││││ た。⋮ っ て ま だ 切 る ん じ ゃ ね え 気 づ い た ら 基 地 攻 略 が 終 わ っ て ま し !! │││││ ││││││││ ││││││││ │││││ 気づいたら戦略撤退をしてました。⋮ です。⋮あっはっは 気づいたら驚きの暴露話になったよう た。⋮あれー 気づいたら色々と打ちのめされてまし は上々ってね 気づいたら暗躍してました。⋮仕込み た。⋮ふ、ファイト 気づいたらボイコットが開始してまし !! た。⋮ す い ま せ ー ん、お か わ り ー 未来編 ││││││││ の視線やめない 気づいたら家政夫やってました。⋮そ なんでバレないんだ 気づいたら基地を脱走してました。⋮ た。⋮はっや 気づいたら10年の月日が経ってまし ! 343 358 369 381 395 !! 気 づ い た ら 鬼 教 官 が 倒 れ て ま し た。 ⋮ッ大丈夫 !! 312 320 327 334 !? !? !! !! !? 気 づ い た ら 襲 撃 が 始 ま っ た よ う で す。 !? 350 306 │ 逃亡開始ぃ │││││││││ │││││ ││││││││ た。⋮マジでか │││││││ ! ││││ │ シモン編 気 づ い た ら 継 承 式 に 乗 り 込 ん で ま し ││││ た。⋮真打登場ってね │ 気 づ い た ら 浅 蜊 に 宣 戦 布 告 し て ま し た。⋮後は野となれ山となれ した。⋮静まり給えー ││││ 気づいたら大地に吊るしあげられてま !! 一休みってことで │││││││ 気づいたらへこたれてました。⋮情け ないなぁ │││││││││││ 気づいたら大地が大空を嫌っていまし 491 495 501 458 !! !! 449 気づいたら立ち止まっていました。⋮ ぶり、親友 ││││││││││ 気づいたら墓参りしてました。⋮久し た。⋮針千本も嫌だけどさぁ 気づいたら大地にぶっ飛ばされてまし ⋮い、いじめてないよ 気 づ い た ら 甥 っ 子 を 泣 か し て ま し た。 463 469 気づいたら詰め寄られてました。⋮う ん一旦落ち着こうか 衛じゃゴルぁ 気づいたら応戦してました。⋮正当防 !? 気づいたら代わってました。⋮ごめん ! !! ね ││││││││││││││ !? 404 414 420 431 479 485 !! 気づいたら家庭教師が大空を見守って │ ⋮ここでリタイアかよ ││││ 気づいたら大地が覚悟を決めたようで ました。⋮なんか悪寒がする す。⋮ 抱 え 込 み す ぎ な い よ う に ね ││ ⋮馬鹿にされてる気配を察知 │ 気 づ い た ら 初 代 霧 が 思 考 し て ま し た。 ⋮俺の酒が飲めないってぇ 気 づ い た ら 初 代 霧 に 愚 痴 っ て ま し た。 548 │ │ 気づいたら初代霧が大地と対峙してま した。⋮ぶっ飛ばしたいなぁ ││││ た。⋮ あ れ っ、嫌 な 予 感 が す る 気づいたら大地が大空と和解してまし 俺の代わりに頑張って 気づいたら大空が決意したようです⋮ 564 573 気づいたら見せしめを懸念されていた ようです。⋮ノープロブレム ││││││ 気 づ い た ら 大 地 が 動 く よ う で す。⋮ さぁ、行動開始だ ││││││ 気づいたら霧を召喚してました。⋮と りあえず落ち着け !! !? 気 づ い た ら 復 讐 者 に 邪 魔 さ れ ま し た。 !? !! !! 556 !? !! !! 527 533 536 542 579 519 510 !! !! │ 原作前 気づいたら、母が姉になってました。⋮なんで 沢田綱吉 イタリア全土を掌握する世界最大のマフィア・ボンゴレの十代目ボス !? マフィアの業をこれ以上引き継がせない為に、ボンゴレ解体とマフィア界の浄化を目 的とし、日夜書類と抗争と守護者の争いに奮闘していた ! ││││その、はずなのに ﹂ ﹁ひー君 ? え、ナニコレどーなってんの ? ﹁よかった、目を覚ましたのねっ﹂ 尚且つ、涙目でこちらを覗き込んでいるわ 容貌︵そりゃ俺に遺伝するほど強力な童顔だったけど ︶でいるわ イタリアに行った時に縁を切ったはずの母さんが、明らかに記憶にあるより若々しい 書類を片付けて、転寝していたかと思えば、何故か病院で寝ているわ ﹂ ﹁⋮⋮ぇ 気づいたら、母が姉になってました。…なんで!? 1 ! リボーンの質の悪い悪戯 ? ﹂ 忘れたことはない⋮けども ﹁ひー⋮くん⋮⋮ ツッ君、やツー君じゃ、なくて ﹁そうよ、貴方は私の3つ下の弟のひー君でしょう ガツンッ それくらいの衝撃が上手く動かない頭に訪れる ﹁お⋮とうと ﹂ ﹁もしかして⋮⋮記憶喪失⋮ イヤ違うけど ﹂ でも、そうした方がいいと、超直感が訴えてる ﹁そう⋮かも⋮﹂ ﹂ ! ? ? ﹁そう⋮それなら、とりあえず先生呼んでくるわね ﹂ リボーンに蹴り飛ばされたくらいのダメージがあった ? ? いくら駄目ツナと言われた俺だって、自分を生んでくれた親を忘れたことはない 分かってます。そりゃもう超分かってます ﹂ ﹁ひー君、私が誰だか分かる ? ? 2 気づいたら、母が姉になってました。…なんで!? 3 どうなってんの なんで俺母さんの弟 次から次へと浮かんでくる疑問 ていうかそれならボンゴレの血は流れてないんだから超直感ないはずじゃ そもそも母さんに弟なんていなかったよね ? きようか まぁ、ともかく やった││││ これでマフィアに関わらずに済む 平々凡々な一般人ライフゲット 内心で、そう狂喜乱舞してしまったのはしょうがないよね、うん *** ? !!!!! !!! その後、俺は一先ず現状確認をした。まず第一はどうして俺が病院にいるのか いて につ まさか過去の自分じゃないポジションに記憶持ったまま収まるだなんて誰が予想で そりゃあ中学生の頃は未来いったりなんだりもしたけど てくる でも、長年俺の相棒・超直感はこれが骸の幻覚でも夢オチでもなく現実だと訴えかけ ? ? ? ! その答えも衝撃を受けるものだったけど ︶だと言うの その続きは言わなくても分かった。恐らく、助かったのは俺だけだったんだろう ﹁ひー君は⋮お父さん達と一緒に交通事故に遇ったの⋮⋮それで⋮﹂ それでも両親を失い、残された弟は記憶喪失︵イヤまぁ嘘なんだけど に、母さんは気丈にも決して泣かなかった い、と決意して中学生でも出来る新聞配達をやったり、家の家事を肩代わりしていた これじゃ中学生の俺は結局母さんに負担を掛けることになってしまう。コレは不味 台とか出せたのはリボーンか雲雀さんのおかげだろう︶ バイトをしようと思っても基本的に高校生からなのだ ︵恐らく逆行前の俺たちが屋 せようと思っても、世間がそれを許してくれない それで一番精神的にキツかったのは、俺がここじゃ中学生だったこと。母さんを楽さ ばかりで、結局は二人暮らしのようなものだったけど それから、親という保護者を失った俺と母さんは親戚に引き取られた。といっても名 *** いんだろうな、なんて実感した。でも、だからこそ母さんを守りたいと決意したんだ 只でさえ、上がらない頭がますますあがらなくなった。きっと俺は一生母さんに敵わな それよりも、記憶喪失の俺が不安にならないよういろんな事を話したりしてくれて。 ! 4 母さんに楽させ ! ︵一度やりすぎて過労で倒れ、めっちゃ怒られたけど︶ と思った矢先に、だ そしてようやく高校生になって本格的にバイトを掛け持ち出来る てやれる ひろし ﹁ひー君あのね、私この人と結婚しようと思うの♪﹂ てーか母さん、コイツだけはやめた方がいい 拝啓、天国のご両親。今日から兄が増えるそうです。 ⋮⋮ふざけんな !! 内心で、盛大にそうツッコんだのは許して欲しい !!! ! ﹁はじめまして、 宙 君。俺は沢田家光と言う﹂ 気づいたら、母が姉になってました。…なんで!? 5 気づいたら叔父になるそうです。⋮ちょっと待て それは晩秋に差し掛かろうという頃 私、できちゃったっ﹂ ⋮⋮⋮⋮⋮ちょっと待てぇえええええ ﹁ええ、あのね ﹁⋮⋮ごめん、姉さん。もう一回言ってくれる ﹂ 予告なく訪れた母さんが、爆弾発言をかましてくれた ていた時だった 新婚生活に配慮し、高校近くの下宿屋で暮らしつつ、珍しくバイトもなくまったりし !! てのは思ってた。思ってたけども、正直グータラ姿しか印象に残って無いし、苦労して そりゃあ、俺が生まれてる時点で遅かれ早かれ母さんと父さんはそうなるだろうなっ てこられた 半年前、高校入学して一ヶ月も経たない内に逆行前の父・家光を結婚相手として連れ 少し、回想しよう *** 脈絡前置きすっ飛ばして、我が母上様はそう申されたのだった !!? ! ? 6 気づいたら叔父になるそうです。…ちょっと待て!! 7 きた母さんをマフィアなんかと関わらせる可能性はぶっちゃけ止めてほしいと願うわ けで 止めた方がいいって 〟 あの内心のツッコミの後、俺がこの世界の父さんに向かって言った初の言葉はこれ だった 〟胡散臭いよこの人 !! 暮らし始めて早数か月 まぁとにかく、それで新婚生活に邪魔するのも悪いと思い、高校近くの安い下宿屋で 拳を決めた。炎使ってないだけマシと思え︶ 格好で式に出やがった父さんはブッ飛ばした。超直感フルに使って不意を突き、鳩尾に だったはずだ︵因みによりによってその結婚式に遅れた挙句、作業服という有りえない それでまぁ、法的手続きを終え、母さんの夢だった結婚式を上げたのが確か先々月 に絆されちゃったんだけど しかし、結局は逆行してからほとんど見たことのない幸せオーラ全開の母さんの笑顔 顔を盛大に引きつらせたわけだが︵ついでに俺は母さんに軽く頭をはたかれた︶ 途端、マフィアボンゴレ関係者という後ろめたさがあったからか父さんはその場で笑 ! との申し出を丁重に断り︵そういえばイーピンもそれでらーめん屋でバイトして 母さんに大学は出ておいた方がいいのよ、と言われ、父さんにいくらでも資金援助す るぞ ! たんだよな、と思いだした︶、バイトを掛け持ちすることで日々の生活費と大学のお金を 溜める日々だ ﹂ これが約半年で起こったことなわけだが⋮⋮ ﹁できちゃった⋮⋮て⋮ どんな意味で言ってるのかは分かってるんだけど ﹁あ、いっけない ﹂ それなら話し込んじゃってごめんなさいね﹂ 俺、この後用事があったんだった ﹁あらそうだったの ! も走ったり転んだりしないよーにね ﹂ ﹁折角だから姉さんはここでゆっくりしてきなよ。子供がいるんだからく・れ・ぐ・れ・ 出かける準備を開始 すっくと立ちあがってサラリと嘘をつくが、謝る母さんに気にしないで、と言いつつ ? ! さて、思い立ったら吉日とゆーすばらしき日本の格言がある訳ですし よし、歯ぁ食いしばれあの野郎 ﹁まだあの人には言ってないんだけどねっ﹂ 幻覚でもないのに、母さんを中心にハートが乱舞している気がするナー ﹁うふふ、ひー君ったら。あの人との赤ちゃんが出来ちゃったのよっ﹂ ! 流石に、流石に、これは受け入れられない。いや、超直感なんてなくたって母さんが ? 8 ? ﹁酷いわ、ひー君ったら が先決だ 姉さん、そこまでおっちょこちょいじゃないのにっ﹂ きをしたりするはず。好意の利用は気が引けるけど、今は兎にも角にもあの男に会うの 世話好きの母さんのことだ、これでしばらくは俺の部屋を片付けたり、ご飯の作り置 なんてやり取りをしつつ、俺は笑顔を浮かべて下宿を出た ﹁じゃ、合鍵で鍵閉めてくれればいーから。それじゃね﹂ いつぞやはスリに遭ったこともあったんだし ﹁えー、でも姉さん結構ヌケてるとこあるだろ﹂ ! 俺は高らかに決意すると、拳を思いっきり握りしめた ﹁毎日会ってる癖に妊娠に気付かなかったとか⋮⋮許せん ﹂ ぶっちゃけ、逆恨みもいいとこだと理解してはいるが⋮ 一発、ぶん殴りに行きますか ﹁さて⋮超直感は家にいる、と教えてくれてるし﹂ 気づいたら叔父になるそうです。…ちょっと待て!! 9 !! 気づいたら俺が生まれるそうです。⋮って早くない 本格的な寒さが襲ってくる10月14日 髪ぐしゃぐしゃだ ﹂ その日の俺は珍しく本気で焦りながら、並盛中央病院へと向かっていた ﹁ああくそっ ! !? 忘れるなんて俺の馬鹿││││ ﹁は⋮着いた⋮ ﹂ な時に限って所持金50円というドジをやらかすなんて情けないにも程がある と内心で己を罵倒しつつ、バイト先に事情を話して全力疾走で搬送先へ向かう。こん !! 慌ててカレンダーをめくれば、かつての自分が生まれた10月14日というオチ う連絡だった バイト先へ来た一本の電話。それは予定日よりも早く、母さんが陣痛へと入ったとい ! なにせ今では自分一人分だけの生活費と大学費用を貯めればそれでいい。その為に と比べると運動不足だよなぁ⋮ 逆行してから前ほどダメダメな人生は送ってないんだけど⋮やっぱりマフィア生活 そう思いながら目的地についたころには、軽く息切れを起こしていた ! 10 労働するものの、基本的に日本の労働法は人権を考えて作られているので比較的無理は しないですむのだ また、顔を突き合わせたら幻術とトンファーを持って戦い合う霧と雲の守護者だと か、なにかと憤怒の炎を周囲に撃つ暴君だとか、こっちはすでに40を過ぎてるのに無 茶苦茶な任務を任せてきたりする漆黒のヒットマンだとかは当然今の俺の周りにはい ない 自然、大したストレスもなく、体力切れがイコールで死につながるわけでもない今の 生活ではやはり運動面で衰えがあるというものだ ﹂ マァ別に今はそれでいいんだけど ! と、そこで。母さんの様子を聞いた俺に対し、父さんが常の様子を放り出したかのよ ﹁先程、分娩室に入ったところだ⋮大分痛がっていたが⋮﹂ よばわりされることに寒気がした今では呼び捨てで呼んで貰っている︶ 言わずもがな、今や俺の義兄となった父さんである︵余談だが、かつての父に〟君〟 を掛けてきた なんて横道に逸れた思考の最中に、こちらを待っていたらしい相手が気付いて俺に声 !? ﹂ ﹁宙 ! どうですか ﹁あ 気づいたら俺が生まれるそうです。…って早くない!? 11 うな表情で完璧に狼狽えていた 門外顧問として、散々人を殺めたことはあるのだろうが、自分の子供が生まれるとな ると落ち着かないらしい。うろうろと何が出来るでもないのに、病院の廊下をクマのよ うに行ったり来たりしている ハッキリ言って超情けない姿だ 九代目と同い年だし イヤだって、俺的には父さんといえば年上だけど、精神年齢的に言えば俺この時代の 思わず沈黙したのは仕方ないだろう ﹁⋮⋮﹂ ﹁いやはや⋮なんだか、年下とは思えないな。まるで俺の方が年下の気分だ﹂ んはどこか感嘆したような表情になった だからこそ、冷静に事態を受け入れていたのである。すると、そんな俺の様子に父さ それに以前、母さんが安産型だというのは何かの折で聞いていた 初めてだが、その前にはラルやその他知り合いの出産に立ち会ったことだってある 。 対して、俺はというとさほど慌てはしない。逆行した今では人の出産に立ち会うのは ないだろ﹂ ﹁陣痛が来てるってことはもうすぐだな。姉さんは比較的安産型だからそう心配は要ら 12 そりゃあまだ20代駆け出し若造の父さんからすれば、俺の落ち着き払った態度は年 上に見えるかもしれない なんとなく、理屈は分かるがイヤしかし ﹁はは⋮冗談が上手いね相変わらず。俺なんか、日々の生活費を稼ぐだけで必死になっ てる唯の若造だって﹂ だからといってよりによって父さんに尊敬の目とかまかり間違っても見られたくな い。そんなことになったら超直感がどれだけ警報ならしても氷漬けにしてしまうこと 間違いなしだ とツッコみたくなったが、やはり極めつけは母さんの妊娠が分かった !! 軽ぅーく、カマをかけてみちゃった☆ 何があったかというと⋮⋮まぁ、つまりは、だ 直後の奇襲のせいだろうな、とは自覚している ちょっと待て てくれる指南役と言ったところか マフィアとは違う、大天然・母さんとも違う、一般人としての常識を身に着けて教え り嫌味を言ったりしているうちに、何故か父さんは俺を頼れる義弟と認識したらしい 逆行後の初対面から、それまでの鬱憤込めたりなんだりでぶん殴ったりぶっ飛ばした ︵まぁ、なんかもう手遅れになってる気がするけど⋮︶ 気づいたら俺が生まれるそうです。…って早くない!? 13 ただ、それだけである *** ﹂ それは遡ること半年前 ﹁ぐぼふぉっ ﹂ 急所の鳩尾を殴り飛ばせるのだから ﹁さーて⋮遺言はあるか !? ? いきなりなんなんだ !? に⋮妊娠⋮ ﹂ ﹂ いきなりも何も⋮一緒に暮らして毎日顔つき合わせてる癖に姉さんの妊娠に気 ⋮⋮⋮⋮て、え ? 付かなかったダメ男をちょっと絶命させようかと思ってるだけだが ﹁それって暗に俺を殺すってことだよな !? ? ! そして、その表情でやはり気づいてなかったんだな、と確信した俺は していた父さんであったが、最後の方になるとかなり間抜けな顔になった 最初こそ、 ︵一般人レベルに抑えてるとはいえ︶殺気満々な俺に冷や汗を垂らして抗議 ? ﹁はっ 後日、この時を振り返った父さんは生まれて初めて走馬灯を経験したと述べている ﹁ちょ、ちょちょ ﹂ の世界の若獅子なんて呼ばれてる人間でも、俺が今は一般人だとしても、外すことなく こういう時、対人において最高の精度を誇る超直感はやはり便利だ。たとえ相手が裏 母さんの妊娠に気付けなかったダメ男を思いっきりバキィッと俺は殴り飛ばした !? 14 ﹁ぐはぁっ ﹂ 子供が出来たってな﹂ ﹁そうだよ妊娠だよ。さっき姉さんが嬉々として俺に報告してきたの。あんたと自分の 父さんを絶対零度の視線で見下しつつ、懇切丁寧に説明してやる 遠慮容赦なく、ゲシィッと父さんの腹部を蹴り飛ばした 。そして腹部を抱えて蹲る !? 俺と奈々の子供か ﹂ なんて良い日だ ! ﹁ぐへぇっ ﹂ ﹂ ああ、こうしちゃいられねえ これは妊娠に気付きもしなかったことに対する俺と、姉さんと、生まれてくる 子供の分だかんな ? いて まぁぶっちゃけ、自分の分は通算2個ある計算になるわけだが。そこは一先ずおいと ! ﹁いーか ゴキュッと俺はもう一発殴っておいた !? !! ついで ﹁そ⋮か⋮そうか 急いで奈々の元に行って⋮ ! 喜色満面で立ち上がり、走りだそうとする父さんを ! ! すると、漸くその顔に驚きと喜びの感情がにじみ出る ﹁子供⋮俺と⋮⋮奈々の⋮﹂ 気づいたら俺が生まれるそうです。…って早くない!? 15 ﹂ ﹁行けよ。姉さんは俺ん家にいるから﹂ ありがとうな宙 ! た。しかもその手には一升瓶を握って ﹁まぁ、ちょっと腹を割って話そうと思ってな♪﹂ ﹁⋮⋮あんた、相変わらず常識ないな﹂ ! そりゃあ逆行前は40代のおっさんで、 俺まだ未成年だぞ、と返せば細かいこと気にすんな ? で、結局なし崩しに酒盛りが始まってしまう訳で ど 0歳だったりする頃に酒を飲ませてたからこれに関してはもう下がる株はないんだけ お酒もそこそこイケた口だけど。ついでに言うならランボが5歳だったりフゥ太が1 イヤだから俺まだ高2の17歳なんだけど と言われてしまう 唐突に、狙ったかのように︵実際狙ったんだろうが︶、父さんが俺のところに尋ねてき ﹁⋮⋮何しに来たんだよ﹂ ﹁よっ、お邪魔するぞ﹂ そして、それから数日後の夜 *** そんなこんなで、俺は今度こそ駆け出した父さんを見送ったのだった ﹁あ⋮ああ ! 16 ﹁いやぁ∼⋮しかし、宙にはホント助かってるんだよ⋮俺が仕事でいないときも奈々の 事見てくれるし⋮﹂ 気づけば、いつの間にやらスッカリ出来上がった父さんは愚痴なのか感謝の言葉なの か分かんないことを言い始めた。正直、今すぐ蹴っ飛ばして部屋の外に追いだしてやり たいが、それをした挙句風邪を引いたりなんだりすると母さんが悲しむ しばしの葛藤の後、俺は軽い嫌がらせをすることにした ﹂ どうだ、答えられまい ﹁家光さんって、なんの仕事してるんだ ? ﹂ ﹁よく海外や出張に行ってるみたいだけど⋮ヤバい仕事なんかじゃないだろうな まぁめちゃくちゃヤバい仕事なんだろうが ﹁⋮⋮⋮﹂ ﹂ 流石にこの若年でチュデフの門外顧問トップを務めることはなくとも、血筋と実力か ? 識のある義弟にもそれを貫こうってんならそれ相応の覚悟しろ すぐさま寒い外に追いだしてやる。子供の俺や天然な母さんは騙せても、それなりに常 もし過去に言ったように世界中で交通整理の仕事をしているんだ、などとほざいたら ! ? ﹁うん ﹁⋮⋮聞こう聞こうと思ってたんだけど﹂ 気づいたら俺が生まれるそうです。…って早くない!? 17 ら見てそれなりのポストにはいるんだろうし ﹁⋮⋮でも﹂ 利なんてない 結局、こちらの世界に巻き込んでしまった。だから本当は⋮俺に父さんを断罪する権 めきれなくて ら、何度も死ぬ目に遭って、巻き込んで、それでも京子ちゃんを好きだと想い続けて諦 正直、俺だって気持ちが分かるのだ。自分がマフィアのボスだって言われたあの時か ︵⋮⋮けどなぁ︶ を分かっているはずなのに一般人と結婚した父さんに非がある、と思えなくもないが 回って母さんが巻き込まれることもなかったんだけど⋮まぁ、元をたどれば自分の立場 ぶっちゃけ、ザンザスが他のボス候補者を殺したりなんだりしなければ俺にお鉢が のはやはり幸福とは言えないだろう 常的に殺し屋が4人も居候したり何かと爆発物が飛来したり毒殺されかかったりする 母さんを巻き込んだ、といえるのは主に未来に行った時位なものだけど、それでも日 そう予測を巡らせつつ、ここぞとばかりに釘を刺しておく らな﹂ ﹁もしアンタがそーゆー危ない仕事に関わってて、姉さんを不幸にするなら許さないか 18 ﹁⋮ ﹁ ﹂ ﹂ 笑うんだろうけど﹂ ﹁それでも⋮もし巻き込まれたとしても、姉さんはきっとあんたといられて幸せだって ? 以上に、どこまでも暖かく慈愛をもって接していた んは変わらなかった。ただ温かく受け入れてきた。ある意味、大空だなんて謳われた俺 これだけのメンツだけでなく、他にもいろいろと出入していたのに、何時だって母さ そして極め付けに世界最高にして最強・最恐・最凶なヒットマン・リボーン ては家具を浮かべてしまう星の王子様 牛。料理を作れば食材器材関係なくポイズンしてしまう毒サソリに、ランキングといっ 5歳の子供とは言え、かたや人間爆弾、かたや手榴弾やらバズーカやらをとりだす子 かったものだ 今にして思えば、よくまぁあれだけのトラブルメーカーが居候としていたのに怒らな !! 〟 ? それに俺がどれだけ勉強も運動も人付き合いも駄目駄目だったとしても、一度だって なーんて受け入れるんだろうし﹂ そーゆー危ない人間だったとしても、関係なしに〟でも家光さんは家光さんでしょ ﹁姉 さ ん は 天 然 で、底 抜 け の お 人 好 し だ。た と え あ ん た が マ フ ィ ア と か ヤ ク ザ と か ⋮ 気づいたら俺が生まれるそうです。…って早くない!? 19 目を吊り上げたことはなかった。ただ、仕方ないわねえ、なんて笑って 〟マフィア〟の単語で少しだけ動きが止まったのを敢えて見逃して、そんなことを何 とはなしに呟いてやる ﹁│││ぉぎゃああああ ﹂ 途端に父さんがそこへ駈け込もうとするけど、まぁすぐに看護婦に追いだされてい ﹁奈々ッ﹂ けたたましい泣き声が分娩室から聞こえてきた なんて回想に耽っていた時だった !!! *** れることになるわけだが。解せぬ ⋮⋮⋮⋮そしてこれ以降、何故か俺は父さんに頼りにできる義弟ポジションを認定さ 俺はただぶっきらぼうに、父さんにそう言ったのだった ﹁ああ﹂ ら問答無用で離婚届を出すからな﹂ ﹁だからさ、覚悟しとけよ。幸せの定義は姉さんが決めることだけど、姉さんを泣かせた だから、そう小さく呟いた言葉も聞こえなかったふりをして ﹁⋮⋮ああ、知っている。奈々が、そういう人間だってことは﹂ 20 た。ちょっとは落ち着けよ あぁーん ﹂ 少しばかり冷めた目でそれを眺めつつ、母さんの無事を確かめる父さんはひとまずお うぎゃあああ ! いといて ﹁おぎゃあああ ! 道を ダメツナと呼ばれ、中学生になった途端リボーンと出会い、マフィアのボスとしての これから⋮この子は俺と同じ道を歩むんだろうか ⋮⋮この世界の、俺 未だ泣いている赤ん坊を、何とも言えない感情で見る ! ない。だから だダメツナのままで、皆に助けられてなんとかやってこれていた。それを忘れたことは 自分一人で全てを背負えるなんて、己惚れるつもりはない。年を取っても俺はまだま リーの事を考えればそうなった場合、自分の時のようにうまく行くか分からない でも、トゥリニセッテの仕組みとリボーンたち赤ん坊、それに炎真たちシモンファミ 譲ってしまえばいい 出来うることなら、そんな道を歩ませたくない。ザンザスにでも他の候補者にでも ? ﹁綱吉⋮いや、ツッ君﹂ 気づいたら俺が生まれるそうです。…って早くない!? 21 そっと、赤ん坊である己を抱きあげて優しく声を掛ける ただ静かに、俺は決意を固めて腕の中の赤ん坊を見つめた らでも、君を手助けしよう 俺が大変だったとき、仲間が大変だったとき、守りたい人を見つけたとき⋮⋮影なが ﹁君のことは⋮俺が守るよ﹂ 22 気づいたら俺はイタリアに留学するそうです。⋮行きた くねえ な ん で こ う な っ た *** ﹂ それなら留学してみるのも なー、なんて思っていた俺に、よく話をする大学の教授がある話を持ちかけてきたのだ 漸く長い試験も終わり、開放的な気分で久しぶりに母さんのところにでも行こうっか 事の起こりは去年の定期末試験の頃 !? 元沢田綱吉こと宙20歳、只今イタリアに留学しに来ました りに充実していた日々を送っていた。⋮⋮そう、既に過去形なんだけどね そんな事を思いながら、日々バイトと学業と姉さんとツッ君の世話に追われるそれな 俺は早くも日本の国籍で成人し、それでもあと数年は気楽な学生 !! ? 貴方、たしか語学系の教員になりたいんでしょう ﹂ ? ﹁交換留学 ﹁そう ! 悪くないんじゃない ? 気づいたら俺はイタリアに留学するそうです。…行きたくねえ!! 23 いえ、確かに前回のボス業で英語、イタリア語、フランス語、中国語その他諸々の諸 外国語は覚えさせられましたので語学系を目指してはいますけども ﹁勿体ないわ ﹁え﹂ ﹂ ラブルも少なくなる その特技は活かすべきよ ﹁貴方のその完璧なネイティブ発音⋮ えぇー⋮ ﹂ !! ! ! ﹁随分太っ腹ですね 学側が負担できるわ ﹂ ﹁大丈夫、今年度から新たな助成金制度が設けられてね。留学費用も生活費も丸っと大 ﹁えーっと⋮それに俺、留学するほどのお金もないですし⋮﹂ なんでそこまで俺なんかに留学進めてくるんだよー⋮ ! それがあれば外国の大学との交換留学だってト だから、それなら母国語である国語にしようと考えていたのに⋮だ を教える場所は少ない イタリア語ならまだ書くのも得意なんだけど⋮悲しいかな、学校の教師でイタリア語 正直、話せるだけで英語の文法などは怪しい部分がある ﹁あのー⋮俺、国語の教員免許を取りたいんですが⋮﹂ 24 ﹂ !? !! おかしい、自分が通っているのは平々凡々な国公立のはず。余分なお金なんてないと 思ったんだけど⋮ ﹂ 今年から始まる試験みたいなものだから後学の子たちのために是非 とも成功させなくちゃいけないのよ ! ﹂ ? ﹂ ? ﹁分かりました。お受けしますよ﹂ の生活よりラクになるかもしれない⋮⋮⋮よし決めた それでも異国とはいえ、生活費も留学費用も全部援助してもらえるならぶっちゃけ今 の父親が認識が俺になりそうで怖い︶ に任せても大丈夫なはずだ ︵というかそろそろ父さんが育児に参加しないと、ツッ君 母さんやツッ君たちを日本に置いていくという不安要素はあるけども、これは父さん 確かに、悪い話じゃない ﹁ええ。悪い話じゃないでしょう ﹁はあ⋮。⋮⋮⋮本当に、生活費留学費まるっとタダなんですね わけね。やはりどこでもお金が絡む問題はイロイロと複雑らしい 今後も国にお金を出させるためにも、安全パイとして発音完璧な俺が選ばれちゃった 成る程、つまりは大学ぐるみの運用実験みたいなものか ﹁それが本音ですね先生﹂ ! ﹁とにかくお願い 気づいたら俺はイタリアに留学するそうです。…行きたくねえ!! 25 ﹁本当 そう言ってくれて助かるわ ﹂ ! 元マフィアボンゴレ十代目・沢田綱吉だったひー君だよ たはずなのに *** Ciao ! 地・イタリアにて暮らしてます やり直してた俺なんだけど⋮⋮なんと 只今、前回の人生を半分以上過ごした懐かしの 何の因果か、数十年前の世界に逆行してかれこれ6年近く。母さんの弟として人生を ! 上手い話には裏がある。いい事尽くしだなんてそんなの有り得ないって身に沁みて そして後に、留学先がイタリアだと知り顔面が盛大に引きつったのは言うまでもない 俺はその場で先生の提案を承諾した ? ! なんでこうなった いんじゃ││││ !!! ﹂ よりにもよって何でここ 何が嬉しくてこんなマフィアのメッカともいえるイタリアで一年も暮らさないけな !? ﹁⋮⋮⋮っっなんでだ││││││ あっれぇ !? アメリカとかの方がメジャ│じゃん 外国に留学って言うなら 今回は大学生で、留学中なんだけど⋮まぁ大人の事情って奴でね☆ ! !? !! !!!??? 26 ﹁うんそうだね俺のミスのせいですね ﹂ 思わず長い長ーい溜息が口から零れてしまう いい加減分かってますよそんな 日本にいた頃は自家食や賄いの出るバイトを優先して選んでいた︵若しくは母さんと んほどじゃないけど⋮それでも男の一人暮らしにしてはまだいい方だろう 余談だが、今の俺はそこそこに料理ができる。主婦業を極め、べらぼうに上手い母さ 回程度︶を止めて、朝ご飯の支度を再開する なんて、この2週間余りで日課になってしまった朝の雄叫び︵因みに頻度は3日に一 ﹁⋮あ、パン焼けた﹂ チーンッ ああ体たらく あればもっと身に沁みてわかってたはずなのに⋮ああ、よりにもよってこの体たらく。 上手い話には気を付けろ。一般人ですら知ってるこの標語を、マフィアであった俺で ⋮⋮ これ⋮絶対リボーンが知ったらねっちょりお仕置きどころか本気で殺されかけるな !! ! よく確認せずに承諾した俺が悪いんですよねええ 事 !! ﹁はぁあああああ∼∼∼∼﹂ 気づいたら俺はイタリアに留学するそうです。…行きたくねえ!! 27 28 こにお邪魔させてもらってた︶が、ここでは生活費を稼ぐことはしなくていい。自然と、 時間に余裕が出来た俺は勉学の傍らどうせだからと料理を始めたのだ︵まぁ、最初こそ ダメツナの名に恥じぬ駄目っぷりを披露したが。生卵を電子レンジに入れると爆発す る、というミスをしてめっちゃ怒られた︶ ともかく、そんなこんなで朝食を作り終えた俺は比較的ゆっくりと食べる 今日の授業は昼からなので午前は丸々開いている。空いた時間はまたこの辺の散策 でもしようか、なんて考えながら まぁ、そんな感じで俺は︵時々情緒不安定になりながらも︶結構イタリア生活に順応 していた *** さて。唐突だけど一つ思い出話をしようか 前回の俺は、自他共に認める童顔だった。そりゃあもう、母さん譲りの見事な童顔っ て奴だ で、おかげで学生でいる間は同年代の女子には可愛い小動物的な目で愛でられ︵特に 京子ちゃんからが。ハルは嬉しいことに〟俺はカッコイイ〟というフィルターを張り 付けていた︶、成人を超えても学生に見られることなんてしょっちゅうあった しかし、俺にとっての不運はこれで終わらない。なんと、30、40を超えてようや く20代という印象しか受け取ってもらえないのだ 年を取るごとに差し引かれる年齢が倍になるってどゆこと 30過ぎてそんな年齢に見られるなんて⋮ 的の学生に見られたんだ が、基本的に俺は気を張りっぱなしという状態が苦手なため、お忍び中は絶対に観光目 ボスとして威厳を出していれば、それでも敵対ファミリーを跪かせることは出来た ? 昔、俺︵沢田綱吉︶は母さん譲りの童顔でハタチを超えてもかーなーり若く見られた さて、ここで問題である 実はこれが沢田綱吉でいた時、プライベートで一番悩んでいた問題だったわけだが⋮ も、これは如何なものか。 泣けばいいのか。非常に迷う選択肢である。いくらアジア系が若く見られるといって 敵対ファミリーに気付かれないことを喜べばいいのか、男としてのプライドを考えて ! そして今、逆行して母さんの弟となった俺︵ひー君︶も、やはり兄弟だからかその童 ﹂ 顔をしっかり受け継いでいる訳で⋮⋮ ﹁さっさと有り金出せよ小僧 !!! 気づいたら俺はイタリアに留学するそうです。…行きたくねえ!! 29 だよね│││ ││ !!! 如何にもなカモが歩いてるように見えて、そりゃあ絡まれるよね││ !! それがこんな白昼堂々、観光者︵勘違い︶ ? ⋮明らかにマフィア関係者だ ビシバシ発せられていた えながら俺の背後を見ている。そしてその背後からは項がチリチリするような殺気が チャキ、と冷たいものが後頭部に当てられ、さっきまで俺を脅していたチンピラが怯 が、しかし。そんな事を考えていられた余裕はそこまでだった ﹁おい﹂ まぁ、これがマフィア関係者でないだけ、適当に蹴散らせば⋮⋮ を恐喝してるんだからやはり治安が悪いと言わざるを得ない だって確かここってボンゴレのシマでしょ 尤も、当の本人である俺はこんな事をのほほんと考えている訳だが ︵治安、悪いなー⋮︶ けば怯えると思ってるのだろう いのは一目瞭然。あと、外国人であれば言葉が分からないからとにかく大声&早口で喚 男にしか見えないだろう。しかも物珍しそう⋮とまではいかないが地元の人間じゃ無 ︵あんまり嬉しくないが︶対外的にみれば、女といっても通用するくらい線の細い若い優 30 ﹂⋮良い子だ﹂ ﹁⋮⋮そこのお前ら、命が惜しかったらさっさと行け。ただし喋ったら│││﹁しゃ、喋 りません われなくちゃいけないのか ︶ 思わず内心の叫び口調がかつての弟分である雷の守護者になるが構ってられない ! ﹁⋮⋮若獅子⋮﹂ 初代の血を継いで尚且つ門外顧問のトップに収まるであ ⋮⋮⋮っっっアイツのせいか│││││││ 考えてみればそうだよね ︶相手の妻の弟だもんね マフィア式に見ればバッチリ関 ろう︵若しくは収まってる ! 係者、抹殺対象だもんね ? ! !!!!! 今回はマフィアとの関係を自分から作ったことは一度もない。だというのに何で狙 !? んだろう こんでる︶である俺がいきなり死体を見れば、最悪会話ができなくなるとでも思ってる 今ここでやらなかったのは、標的である俺に何か用があったからか。一般人︵と思い じゃん ⋮⋮ コ イ ツ、絶 対 見 逃 す 気 な い だ ろ。視 界 か ら 消 え た 途 端、仲 間 に で も 殺 ら せ る 気 ぶるりと、寒気がする嗤い方 ! ︵ていうか何で俺命狙われてんの 気づいたら俺はイタリアに留学するそうです。…行きたくねえ!! 31 ﹁⋮ふ、自分がなぜ殺されるのか分からないと言ったところか﹂ ぶるぶると怒りで震える俺を恐怖に怯えていると受け取った勘違い男が、そんな笑い を零す だがこちとらマフィアのボスを務め、幾度も死戦をくぐった身だ。何より、リボーン や雲や霧の守護者との戦いに比べれば、こんな銃だけで脅してくる輩のなんと可愛いこ とか どうしたボンゴレ めっちゃ情報漏れしちゃっ ! ゴレ継ぐまで保ったな世界最大の名 あ、でもお兄さんや山本︵雲雀さんは含まれない。あの人は更に普通じゃな ? い︶普通に渡り合ってたな。じゃOKかな ? Kな感じ リングや匣無くても倒せると思うが、日本でぬくぬく過ごしてきた一般人が倒してO つコイツどうしよー、と思う とりあえず今度会ったら問答無用でぶっ飛ばそうそうしよう、と内心で決意を固めつ ﹁Arrivederch﹂ よくこれで俺がボン なに普通にマフィアの弱点ともいえるプラ どうした門外顧問 セキュリティザルすぎだろ ていうかオイ ﹁お前に罪はないが⋮あの男の親戚になったことを恨むんだな﹂ てんじゃん !! ! イベートな極秘情報、敵対ファミリーに流出させちゃってんのぉ !! ! !!! !? 32 なんてつらつらつらつら今にも引き金を引かれそうなのにそう呑気に考えていた時 だった ﹂ !? ﹂ !? くる !! ﹂ ! かなり酷い酷評だと、分かってはいたが否定要素は見当たらなかった ⋮⋮ああ、成る程。父さん、一応物考えてたんだな がる 意外性のない捨て台詞を吐きながら男が去ってゆくのを見て、内心に一つの思いが広 ﹁くっ⋮覚えてろ の命を受けて、俺を護衛していたんだろうな⋮ってことも 男らしい口調ながらも、彼女が女性であることは分かる 。そして、彼女が門外顧問 ﹁これ以上こいつに手を出すというなら、容赦しないぜコラ ﹂ 咄嗟に、口をついて出たカテキョーの名前。しかしすぐさま超直感が違う、と告げて ﹁⋮⋮ーン⋮⋮ ついで、俺の前に逆光を浴びながら銃を持った小さな影が下りてきて│││ ﹁そこまでだ﹂ ズガンッと鋭い銃声と共に、男が右手を押さえて俺から離れる ﹁ぐあっ 気づいたら俺はイタリアに留学するそうです。…行きたくねえ!! 33 それはともかく。 俺的には知り合いでも、相手からしてみればこうして会うのは初対面。だから俺は突 ﹁えー⋮と、Grazie﹂ まだ虹の呪い解けてないだよなそりゃあ赤ん坊のままだよな 然の出来事に呆けているかのようにワザと言葉少なにそう礼を述べる ていうかそっかー ! 〟と叫ぼうかどうかとも悩んだが、 力が足りねえだなんだと言われていたが、一先ずは誤魔化せそうである ⋮⋮ああ、ボス業で鍛えた演技力がこんな所でも役に立つとは。リボーンには散々実 を浮かべているのだ 妙な赤ん坊が銃を持った相手を倒したようにしか見えない。だから、敢えて困惑の表情 厳密には彼女はアルコバレーノとは言えないが、一般人︵と思わせてる︶の俺には奇 ﹁⋮ああ、気にするな﹂ ! そうなのだ。父さんに言われて、マフィア関係者が俺を襲ってきた時に護衛の任務を 題を出す そんなことを考えつつ、いつまで経っても立ち去る気配のない彼女⋮⋮ラルにそう話 ﹁えっと⋮君は凄く強いんだね﹂ 流石にそれはやった後自身の恥になるので止めておいた︶ ︵因みに初めてリボーンを見たように〟赤ん坊│ !? 34 護衛任務ってこんなもんだっけ 思わず、前回で部下に下したその内容を反復 果たしてくれたラルなのだが、一向に立ち去らない あれ してしまう ? てことか しかし⋮何故 ? くどいようだが俺は一般人である ? ﹁じゃあさ、お礼がしたいから俺の家に来ない ﹂ 俺は思いきりのよさと考えなしの超突猛進さが、磨きがかかっていたのだった ? だからだろう 飛ばすというチート能力が冴えて以来、その傾向は強い らは益々獄寺君に頼るようになっていた。更に言えば、超直感という根拠も理屈もすっ 元々ダメツナと呼ばれるだけあって頭脳プレイは得意じゃないし、十代目になってか と、そこまで考えて俺は思考を放棄した ︵⋮⋮ま、いっか︶ れば⋮ 理由が分からない。護衛するだけならそれこそ今までのように俺にばれないようにす いくらチュデフが対外的には表の会社という顔を持っていても、だからこそ接触する ? あ、返事返ってきた。ということは最初から護衛対象である俺と接触する気だったっ ﹁⋮⋮まぁな﹂ 気づいたら俺はイタリアに留学するそうです。…行きたくねえ!! 35 36 *** ラルSide 最初にその仕事を家光から下された時、正直やはりか、と思った と本気で聞いた 何を考えてかは理解できんが、マフィアでも業の深いボンゴレの血が流れているにも 拘らず一般人の妻を迎える。それを聞いたとき、正気か すると聞いたとき、やはりか、という感情を持った。守ると誓っても、それが全て叶え そして今回の⋮彼の義弟である宙という青年が大学の留学でイタリアに一年間滞在 自分には不安だった だからこそ、もしその誓いが叶えられなくなった時⋮家光がどうなってしまうのかが 光が本気で彼らを守ろうとしているのも、その覚悟も知っている 今でもそう強く思えるほどに、あまりに暖かく太陽のような家光の妻と、その弟。家 暮らしているから大丈夫、だなんて楽観視だ。 イタリアから遠く離れた極東の日本であれば大丈夫、だなんて戯言だ。一般人として 彼女に、マフィアの業は似合わない ながらして、実際に見聞きした時も強く思ったものだ してそんな決断をしたのか、と。それは家光の子供が生まれる前、沢田奈々の護衛を陰 マフィアとしての闇の深さを見たことのない幼子でもあるまい。だというのにどう ? られるほど世の中は甘くない。 現に彼の義弟は留学という理由で、マフィアの本拠地でもあるイタリアで暮らすこと になってしまった。いくらここがボンゴレのシマであっても、全ての敵を排除できるわ けじゃ無い。だから、彼が暮らし始めて2週間経過した時、その不穏な情報をオレガノ から連絡されてそう思ったのだ そして予想は的中。最初はチンピラに絡まれていたが、彼は敵対マフィアに拘束され てしまった。勿論、護衛としての任務は果たしたが⋮ ⋮⋮随分、落ち着いているな ? は流石に声を失った ⋮⋮なんでそうなる ﹁じゃあさ、お礼がしたいから俺の家に来ない *** ? ﹂ そう微かに違和感を感じつつ、二言三言会話を交わしていた俺だったが、次の言葉に ﹁⋮ああ、気にするな﹂ いと踏んでいたが⋮ 平和ボケしている日本育ちの青年なら、銃を向けられた時点で気を失っても仕方がな ? ﹁えー⋮と、Grazie﹂ 気づいたら俺はイタリアに留学するそうです。…行きたくねえ!! 37 あれから、やや強引にラルを借りている寮に連れてきた俺はとりあえずお茶の用意を していた 何だかんだでもう早めのお昼時だし、スコーンとかサンドイッチも一緒に出しちゃ おっかな どうせ相手はよく知った相手だ。正体がバレるにしたってあまりに荒唐無稽な話、そ うそう信じられるものじゃない ﹂ だからか、俺はごく普通に態度でいた ﹁紅茶でいい た ﹁よかった。はい、どうぞ﹂ ﹁⋮ああ﹂ ? ﹁あと、よかったら昼食も食べていってよ。お手軽であんまりお礼にならないかもしれ だとしたら失敗したよなぁ⋮なんて軽く考えつつ、でも、と否定の言葉が続く だったのかと思ったけど、実は違ったかもしれない あー、これもしかして戸惑ってる 護衛対象︵である俺︶に最初から接触するつもり ん坊。そう考えて2人分の紅茶をポットに注いでいれば、それでいい、と短く返ってき リボーンみたいにエスプレッソも飲めるんだろうけど、常識的にみればラルはまだ赤 ? 38 ないけど﹂ ﹁いや⋮そんな事はない﹂ 今回の件でハッキリしたことは、ボンゴレが実は結構頼りにならないってこと。2週 間足らずで情報が漏れて、暗殺者が送り込まれてくるならこれからの1年間はだいぶき つくなる 俺、留学するためにイタリアに来たばかりだから全然知らなかった ? だからこそ、それだけは絶対にばれないようにしないといけないわけで。あと、一般 や﹂ ﹁うわ、そうなの られた時点で俺の平凡な一般人ライフは終了だ ただ、それをマフィア│││特にボンゴレ関係者に知られるのは非っ常にマズイ。知 ﹁⋮⋮ここいらは治安が悪い。あまり一人で歩かない方がいいぞ﹂ ﹁さっきは本当にありがとうね。おかげで命拾いしたよ﹂ ボンゴレ血統持ってないのにつくづくどうなってんだか は出来るわで負けるとしたら精々油断してくらいだし。 ングなしでも炎は灯せるわ︵火傷はしたけど︶初代零地点突破︵凍傷になりかけたけど︶ そりゃ、一般人と思ってやってくるんだからブッ飛ばすのには異論はない。実際、リ ﹁それはよかった﹂ 気づいたら俺はイタリアに留学するそうです。…行きたくねえ!! 39 人レベルにしても体術とかはどうもやはりレベルが落ちてるのが問題だ。このままだ ﹂ とラルに知られないよう配慮して⋮⋮敵を返り討ち、ていうのはどう考えても無理ゲー だ ﹁参ったなぁ⋮俺、やってけるかな ﹂ ﹁⋮⋮は ﹂ あ、酷いラル。そこまで心から怪訝そうな顔しなくても ﹂ ﹁だって君、さっきも銃を持った相手に余裕で勝ってたでしょ てくれない ? ? ? ︵⋮特に将来絶対やってくるリボーンとかリボーンとかリボーンとか⋮︶ の鈍ってる体術やらを鍛え直してもらえば今後かなり動きやすくなる いっそのこと、ラルには最初から俺の目が届く範囲にいてもらえばいい。ついでに俺 ? だから俺にもそれ、教え ﹁もしよかったらさ、君の時間が空いたときでいいから俺に強くなる特訓してくれない という訳で ﹁あっ、そうだ﹂ だからまぁ。ここでいっそ発想の転換をすればいいかなと思うのである ﹁⋮⋮﹂ ? 40 ﹂ あのラル・ミルチに鍛えてもらったことがある、という言い訳はかなり信憑性がある。 ﹁うーん⋮でも別に俺が何かして狙われるってわけじゃ無いしなぁ⋮﹂ ﹂ ? ﹁うんっ、それは勿論 ﹂ ﹁⋮⋮弱音を吐いたらその場で止めるぞ﹂ そう思いつつ尋ねると、ラルは暫しの沈黙の後 ﹁だから⋮⋮駄目かな ら鍛えておくのも悪いことじゃない 際、母さんとツッ君︵俺︶を守れるのは俺だけになる。だったら、その時のために今か ここまでボンゴレが頼りにならないと分かった時点で、父さんが家庭を放り出した 段くらいは持っていても間違いじゃないと思ったんだよね﹂ ﹁それに、イタリアじゃなくても絡まれるっていうのはありえそうだし⋮せめて自衛手 は予測しておくべきだったとは思うけど いやまぁボンゴレ関係者の父さんと母さんの結婚止めれなかった時点でこうなるの ? うん、考えてみればかなりの名案に思えてきた ﹂ ? あ、そう来たか。確かに平穏を望む一般市民ならそう思うだろうけど⋮ ﹁⋮⋮留学を取り止めようとは思わないのか ﹁これからどうせ、俺絡まれるんだろうし⋮強くなっておいて損はないだろ 気づいたら俺はイタリアに留学するそうです。…行きたくねえ!! 41 ! 俺の望む返答をくれたのだった 第一関門突破 え甲斐がありそうだな︶ よっし ! ︵この方が護衛もしやすいしな⋮それにしても久しぶりに骨のある奴を見つけたぜ。鍛 42 ! 気づいたら憤怒の暴君に殺されかけました。⋮危ねえ イタリアに留学して早半年 ほとんどなく、平穏に過ごせた半年だった 力で逃げられるようになったおかげか、マフィア関係のトラブルはこれと言ったものが それでもラルが護衛してくれているおかげか、一般人として違和感のないレベルで自 !! イタリアにいるのももう折り返し地点だし、このままなんとかなるかなー、なんて考 えて。ぶっちゃけ油断してたんだなと思う ﹂ ? しゃった !! ﹁何見てやがる、カスが﹂ まだコイツ10代だよね何この強面 !! そして当然のように憤怒の炎をスタンバイしてるんじゃねえよ てーか目つき悪っっ が引きつる怖いわ !! こちとら平々凡々な一般人だっつの !! !! あとギロッて睨むな顔 と公言されるわ機嫌が悪いと憤怒の炎大奮発しするわー⋮な、強敵中の強敵がいらっ そして目の前では、かつて死闘を演じるわ隙があればいつでもボスの座を奪ってやる ﹁⋮⋮あぁ 気づいたら憤怒の暴君に殺されかけました。…危ねえ!! 43 ﹂ 突っ込みたいことは沢山あるが、兎に角今やるべきは⋮ ﹂ ﹁⋮⋮そのチンピラ、やりすぎじゃないのか ﹁⋮あぁ らちとキツイ ﹂ 今日は用事あるって言ってたけどヘルプ│ ﹁テメェ⋮俺に指図する気か ていうかラルー ! ? 日護衛してくれてるッポイ人じゃ即死ー ! ﹁⋮指図って言うか⋮それ以上やったらその人たち死んじゃうだろ﹂ ! ザンザス相手じゃ今 という飛技の反則スキルは超直感で避けるとして、憎らしいほどのあの体格で殴られた そう思いつつ、こちらに意識を向けさせながらも微妙に距離はとっておく。憤怒の炎 殺しにはできないんだ だったら、見過ごす訳にはいかない。いくらマフィアに関わりたくなくても、人を見 悪党というのは確かに存在するが、あのチンピラはそこまでじゃない の悪さには涙しか出ないが、これ以上やればあのチンピラは死ぬ。救うことのできない 偶々、運悪く自分のご褒美用にお酒を買った帰り道でこんな場面に遭遇する自分の運 たチンピラはそろそろ顔の原型がなくなりそうであった きっと不幸にも絡んだ相手が誰か知らなかったんだろう 。見事に返り討ちに在っ ? ? 44 こんなとこにも運の悪さは健在である。ボンゴレリングの代わりに貧乏神辺りに呪 われてるんじゃないか俺 って、ちょぉ さは生まれつき 何いきなりコォオの威力強めてんのぉ ﹂ ﹂ ワア ﹂ それともその沸点の低 ﹁いい度胸だ⋮この俺に指図しようなんざテメェを先ずカッ消してやるよ﹂ カッ消す ﹁沸点低ぅうううう !!? さっすが憤怒の名を冠するだけあるね☆ お前実は既に実の息子じゃないって知ってるんじゃないの ﹁カスが !! !!! !? !! !? ! の攻撃を避ける ズルッ ﹁うぎゃっ﹂ ﹁チッ⋮殺れなかったか﹂ 九代目 なんでこんな危険人物一人で放し飼いしてん マ ジ で 殺 す 気 だ っ た ん か い ! もっと護衛というかストッパーつけとけよぉおおお !! なんてふざけてる場合でなく。必死に超直感を働かせつつ、あくまで偶然を装ってそ ﹁ぎゃああああ !!? ! やだもうコイツ危険すぎる の !? ! !!! 気づいたら憤怒の暴君に殺されかけました。…危ねえ!! 45 ﹁気ぃ短すぎだろ どんだけ指図されんの嫌いなんだよ ﹁これが噂の帝王学か ﹂ この頃から暴君気質あんのかよ ﹂ !? スクアーロ⋮これの怒りに惚れたって言ってたけ ﹁ハッ⋮俺は全ての頂点に立つ男だぞ。当然だろう﹂ ! ければならない ! ザンザス相手に炎なしって ⋮⋮⋮⋮何この無理ゲー 条件が厳しすぎる ﹂ ﹂ 相手一般人でも容赦なしで繰り出 !! 争いは何も生まないヨ ! して来てんですけどぉ ﹁てーかちょっとは落ち着こうって !? !!?? ﹁当たったらヤバい予感しかないんだから全力で避けるよそりゃ ﹁チッ⋮ちょこまかと避けやがって⋮ ﹂ も使えないし、玄人すぎる動きもNG。あくまで偶然を装いつつ一般人として対応しな 今の最重要課題はどうやってこいつから逃れてあのチンピラを助けるかだ。勿論炎 ていられる相手じゃないのを思いだして頭を振る 思わずかつての死合を思い出して遠い目になってしまうが、すぐさまそんなことをし うわぁ⋮前回の俺、そんな暴君相手にホントよく生き残れたな⋮ ど⋮よく今までDVで死ななかったな⋮ 真実知ってからは更に横暴になるんだし⋮ ! !! !! !!? !! 46 ﹂ マフィアとしての教育ど 焦りのあまり絶対に相手を止められない⋮寧ろ怒りを増す台詞を言ってしまう俺 ﹁カスが⋮本気で死にたいらしいな ﹂ ! つか今更だけど一般人相手なのに全力出すなよなマジで !! !? いっそ一回復讐者に捕まって一通り習って来い !! ﹁最初から殺す気全開だったよな うなってんだ !? んの レーザー光線でも入ってる義手か何かか ﹂ !? れてマフィア関係 と疑われるのはマジ勘弁 ﹂ そんな親切な人だったらまず声を掛けただけで殺そうとしないよね !! ! !? ﹁カス相手に教える筋合いはねえな ! ﹁カスが⋮いい加減カッ消えろ だが断る│ ! ﹂ ﹂ て助けられるまで軽く3時間は続いたのだった 俺とザンザスの死ぬ気の鬼ごっこは、その後チェデフの護衛の人が呼んだ応援によっ ﹁何という理不尽 !! !!! 悪夢だよ絶対 寧ろお前がそんな善人だったらひたすら恐ろしいわ。骸の六道輪廻を余裕で超える ﹁だよね ﹂ そんでいい加減憤怒の炎に突っ込んでおかないとな。当然のように憤怒の炎受け入 !? ﹁あとさっきから凄い不思議だったんだけどお前のその手は一体どんな仕組みになって 気づいたら憤怒の暴君に殺されかけました。…危ねえ!! 47 *** 絢爛豪華な調度品、周りにはぐるりと黒スーツの男、微かに香るは硝煙の匂い Q、さて問題です。ここはどこでしょう ﹁先程まで私の息子が失礼したね、宙君﹂ ﹁⋮⋮っあ、いえ﹂ なんで俺ボンゴレ本部にいるの め っ ち ゃ 帰 り た い なんで 今までどんだけここに来るフラグを回避 A、嬉し懐かしかつての本拠地・ボンゴレ城 ? チェデフの人が呼んだ応援でようやく助けが来たと思っ まさかのこのルートかよ しまくってたと思ってんの たらまさかの !? !? !? おおお ﹁チッ⋮なんで俺がこんなカスに⋮﹂ 下手なこと言えないじゃん ﹁ザンザス、客人に失礼なことを言うものじゃない﹂ やだよこの人も超直感有るんだよ ﹁すまないね。まだ12歳で生意気盛りなもので⋮﹂ !? ﹁あ、いえ。こちらこそ大人げな⋮く⋮⋮﹂ ! !!? しかも一番会いたくないボンゴレのトップ・九代目が目の前にいるんですけどぉおお ! !? 48 見えねえええ ﹂ なんて内心で悶えながらも、平静を装っていた俺は九代目の放ったある単語に思わず 目を点とした ﹂ ガキ扱いすんじゃねえよ﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮12歳 ﹁あ この尊大さと体格で12歳 ﹂ !!! いやいやいや ﹁カッ消すぞテメェ !? 九代目とその守護者がいる前で身体能力披 ! ! って目ぇつけられたくねえ ⋮⋮多少、手遅れかもしれんが だって九代目、こんなんでもリボーンの知り合いなんだもの ⋮⋮うん、めっちゃ助かった よかった いい人材見つけた !! 露する羽目にならなくて ! ﹁﹂ ﹁ハン⋮こいつが礼を欠くのが悪い﹂ ﹁重ね重ねすまないねぇ⋮。ほらザンザス、君も謝りなさい﹂ ! ! それから九代目の制止で事なきを得て再び座りなおす俺とザンザス *** イして鬼ごっこ二回目に突入しかけたのは言うまでもない そして落とされた爆弾に俺の叫び声が響き、ザンザスがすぐさま憤怒の炎をスタンバ !? ? !!! ? ﹁うっそだろ 気づいたら憤怒の暴君に殺されかけました。…危ねえ!! 49 お 前 に は 負 け る よ ふざけんなこのクソガキ いつだって俺様を崇めたてやがれ な でも ! それどころか殺す気だった 俺だって12歳に見えなくて叫んだのは悪いと思ってるけども 気に入らなきゃすぐさま物投げる乱暴者じゃんんんんん それこそお前年上に敬意払ってね│じゃん 態度じゃん そりゃあね !!! ! お前だって年上︵俺︶に大して最初から礼を欠いてたよな よな !! ! ! ここぞとばかりに張り付けた テメェ⋮精々俺の4つか5つ上だろうが﹂ ナンカ口が勝手ニ動イタヨ ﹁⋮そうだね、子供相手に大人げなくて悪かったよ。子供相手に﹂ ﹂ ⋮⋮⋮⋮アッレ ﹁⋮あぁ ﹂ ﹁⋮誰が子供で誰が大人だと ﹁⋮⋮へぇ ? ﹂ ﹁⋮さっき自分の年齢間違われた時は怒った癖に、相手の年齢も見抜けないんだ⋮ ⋮⋮あ、やばい。もう止まらんなコレ ? ? ? ? イヤだってさ、ザンザスの言葉通りなら俺の年齢4つか3つくらい下に見られてるっ ﹁⋮なんだと ﹂ そんな内心の百万語をなんとか押しとどめて、俺はボス業で身に着けたお愛想笑いを !!? !? ! ? ? 50 てことなんだよね ⋮⋮ちょっと待て 俺はこれでも20 ﹁嘘 じ ゃ ね ー し ﹂ ﹂ ﹂ もっと年上敬えってのこの野 今年で21だよ馬鹿やろう ﹂ ! ﹁テメェどう見たって16か多く見積もって17だろうが 郎 そして精神年齢だけで言えば九代目と同じ60だよ ﹁ふざけんな ! 察せ ﹂ それ位考えろテメェ ﹂ 大体年齢詐欺だっていうならお前だって12歳に見えないだろうが ﹁ガキだって舐められない為に決まってんだろう この童顔は東洋系だからだよ !! ! 別口から、ザンザスと止めてほしいと懇願の言葉が来たのは 。詳しく話を聞けば、 悲しくなりながらも回収を急がせようとしていた時だった それはザンザスが街で暴れていると知り、守るべき住民に危害を加えたのかと思うと 九代目Side *** ることはなく。この果てしなく低レベルな言い合いが約一時間は続くことになった ぎゃあぎゃあ喚く俺とザンザスはさぞかし喧しかっただろうに、何故かストップが入 !! ! !! !! !! ! ! !! ﹁だったらお前こそ考えろ ! ! !!! ﹁嘘つくにしてももっとマシな嘘を付け 気づいたら憤怒の暴君に殺されかけました。…危ねえ!! 51 なんと家光の3年ほど前に迎えた妻の弟が、ザンザスの住民への乱暴を止めようと声を 掛けたという。そしてそれが理由でザンザスの怒りを買い、今まさに攻撃されていると それを聞いた周囲の反応⋮⋮特にザンザスの制止役としてよく動いていた私の守護 者などは一気に緊張をしていた あの子は幼いながらも死ぬ気の炎を扱える。それも、憤怒の炎と呼ばれるレアな炎 を。それを制止できるのは同じ炎を扱える者しかいない。だとしたら今頃その青年は ⋮⋮考えるまでもない また、ただの一般人ならここまで緊張はしなかっただろうが、前も述べたようにその 青年はいわば家光の身内。もしこれでその青年が死に、⋮⋮最悪、家光が敵に回るよう なことになればボンゴレは危機に陥るだろう 争いは何も生まないヨ ﹂ だからこそ、それを懸念した守護者が急いでその現場へ行ったのだが⋮ ﹁てーかちょっとは落ち着こうって !? ﹁最初から殺す気全開だったよな ﹂ ﹂ ﹁カスが⋮本気で死にたいらしいな び声だった 聞こえてきたのは予想外の⋮⋮青年が生きていることを何より明確に示す、そんな叫 ! ! 52 !? どうやら、チェデフの者が我々を呼んでくるまでの間、その青年は一人でザンザスの 攻撃を躱しきっていたらしい。半年前からアルコバレーノであるラル・ミルチに鍛えら れたのだとしても、驚くべきことだ レーザー光線でも入ってる義手か何かか ﹂ ﹁あとさっきから凄い不思議だったんだけどお前のその手は一体どんな仕組みになって んの !? いのだが⋮ ﹁だよね ひろし そんな親切な人だったらまず声を掛けただけで殺そうとしないよね ! ﹂ ⋮⋮それにしてもあの青年⋮宙 君⋮と言ったかな だが断る│ ﹁カスが⋮いい加減カッ消えろ ﹁何という理不尽 ﹂ !! !!! ﹂ !! ﹂ 憤怒の炎をレーザーと言っている辺り、やはりマフィアではなく一般人で間違いはな !? ならば それを見て、超直感が告げる。あの青年は、我々にとって大事な人物になると ﹁⋮ガナッシュ﹂ 怒気にも臆せず、平然と言い返しているのだから あの青年は随分肝が据わっているようだ。12歳といえど、子供と思えないあの子の ! ? ! ﹁カス相手に教える筋合いはねえな 気づいたら憤怒の暴君に殺されかけました。…危ねえ!! 53 ﹁あの青年を、お詫びも兼ねて本部に招いてほしい﹂ なんとしても、家光の義弟というだけではない強力な縁を結ばなくては *** それはザンザスとの言い合いを終え、お互い美味しい紅茶で喉を潤している時だった ﹁ふふ⋮君たちは随分仲がいいんだね﹂ ﹂ ﹂ 九代目が突然、爆弾発言をかましたのは ﹁⋮⋮⋮はっ ﹁⋮⋮既に耄碌したか、爺 どう贔屓目に見たってお互い嫌い合う間柄でしか てっきりいい友人になれたのかと思ったわい﹂ ﹁じゃが、ザンザスが一日でここまで感情を露わにしておるのも珍しいことじゃろう あ、前言撤回。全力でザンザスの意見に賛成したい ﹁今すぐ眼鏡をもってこい爺﹂ ﹁ふぉっほっほ⋮酷いのぅ、ザンザスよ。私はただ見たままに言ってるだけじゃよ﹂ つけるザンザス。反応はだいぶ違うが、俺も一瞬そう考えてしまった 思わず持っていた紅茶を落としそうになる俺。思いっきり怪訝そうに九代目を睨み ? !? ﹁いやいや待ってくださいお爺さん ? 54 ? ないですよ ﹂ ﹁誰がこんな若作りと⋮⋮俺はコイツが友人だなんて認めねえ﹂ と今すぐ病院に行った方がいいと思う 何をどう見てその関係になったと思ったのか。もし本気でそう思ってるならちょっ !? それなんて冗談 お互い殺し合ったんですけど 私はいい友人関係になれると思うがのぅ⋮﹂ を、俺はそっと内心で思うのだった しかも初対 かにちょっとクーデター起こしたくなるかも⋮。前だったら絶対に思わなかったこと 俺とザンザスは図らずも同時に諦めたようにそう呟いた。これが父親だったら⋮確 ﹁⋮これが世に言う狸⋮﹂ ﹁⋮人の話を聞きやがれ﹂ なんていうか⋮前の初対面と違うからか⋮九代目のイメージがガラガラと崩れて⋮ ? て認めたくないんですが⋮﹂ 俺とザンザスが友人 ? 面時どっちも一方的に殺されかかったんですけど ? ⋮⋮うっわー ﹁そうかのう ! ?? ﹁前半は思いっきり抗議する。あとで覚えてろこの野郎。⋮でも実際、俺も友人だなん 気づいたら憤怒の暴君に殺されかけました。…危ねえ!! 55 気 づ い た ら 虹 の 大 空 に 道 案 内 し て も ら っ て ま し た。⋮ えっ 穏をその手にゲットしていた なんせ、なんとか九代目のトンデモ提案︵ザンザスの友人になんない ンザスによる突撃 ! というかなんでわざわざ俺んとこに来るのぉ ︶ お家訪問☆が待ってたり︵本気で驚いた。お前どうやって来たの どうやって俺の家知ったの !? ! ちょっと散歩をすれば、お忍びで来てるであろう九代目とばったり出会ってお茶につ してやった。くらえ、日本の伝統食︶ ポートが消炭になったり ︵2人には超直感駆使して不意を突き、とりもちをお見舞い 父 さ ん が 様 子 見 に 来 た 時 に う っ か り ザ ン ザ ス と 蜂 合 わ せ し ち ゃ っ た り し て 俺 の レ ? ? 豪華なボンゴレ城を後にして漸く、漸っく 庶民の生活に戻ってこれたかと思えばザ だった︶ り︵一般人じゃ無かったら無理だったな、うん。マフィアだったらそれこそ問答無用 ? ﹁ふ、ふふ⋮﹂ ︶を必死に断 衝撃というか、激動の接触をなんとか乗り越えて早2ヶ月。俺はようやくあるべき平 !? 56 き合わされたり︵おかげで俺の九代目の印象は優しそうなお爺さん↓お茶目すぎる狸爺 さんへと変わった。こんな人だったっけマジで︶ まるでそれまでの半年が嘘のようなボンゴレ率の高さ 一体どれだけ凍らせて黙らせてしまおうかと画策したことか ともかく、まるで前の人生のようにハチャメチャでデンジャラス︵バレるか否かのヒ ヤヒヤもん︶な日々だった だがしかし ﹂ ﹂ 今日ばかりは絶対にそんな奴らは来ない 平穏な日々 今日ばかりは キリスト様 クリスマスひゃっほい !! !! こちらに来ることはない ラルもラルで昨日それとなく好きな相手と過ごしたら ﹁ふんふんふ∼ん♪﹂ コロネロの元だろう。喧嘩してなきゃいいけど と促したので今頃はきっと ? !! フィアがパーティを開いたりして、九代目は言わずもがな。ザンザスも父さんも絶対に マフィアだろうと曲がりなりにもキリスト教徒が多いイタリアだ。今日は色んなマ ! !! ! ﹁ありがとう ! ! ﹁ビバ 気づいたら虹の大空に道案内してもらってました。…えっ!? 57 ﹂ そんな訳でチェデフの監視も大分やりやすい相手だし、俺の機嫌は朝から上がりっぱ なしである ﹁大学もクリスマス休学だし⋮やーっぱ本場の食事でも食べようかな この年で迷子とか⋮ ﹂ ! る情報からもたされるものもあるので、案外あっさり帰れたりもする いざとなれば超直感任せに歩けばいい。超直感の判断材料には無意識下の五感によ ﹁⋮まぁいっか﹂ けに留めた 軽く絶望したくなるが、絶望したって状況は変わらないので俺はため息を一つつくだ ﹁⋮嘘だろ⋮ !? されて、気づけば知らない場所だとか 俺は一人、見たことのない通りで途方に暮れていた。クリスマスの人込みに流れに流 ﹁⋮⋮ここ、どこ﹂ それから一時間後 *** そして、俺は自分の認識がとてつもなく甘かった事を知る けたのだった 年甲斐もなく、ウキウキしながら俺は母さん手作りのマフラーを巻いて買い物に出か ? 58 それよりも⋮ ﹁どうせだし、ここら辺も歩いてみようかな﹂ ﹂ 帰還方法は楽観視することにし、辺りをぐるりと見渡した時だった ﹂ ? ? ﹁⋮えーと、分かるの そういうの ﹂ ﹁ええ。だって貴方、この辺で見ない顔だもの﹂ 子ども扱いはヤメテ ﹂ 黒髪に綺麗な青い目、右目の下に小さなオレン ﹂ うーん⋮ 年齢は俺と同じか⋮少し下なくらい ジの花⋮ ﹁そうなんだ⋮﹂ どこかで見たことあるよーな⋮ ? ? 俺こう見えてもハタチ超えてるから ﹂ !! ?? ﹁それで、どうしてこんな所で迷子に 私より年上 !!? ﹁えーと⋮って待って ﹁え、嘘 ! ? ? ? !? ! ? つ後ろを振り返ると、そこには見たことのない女性がいた 背後から、若い女性の姿が聞こえたのは。気配に気付けなかったことに僅かに驚きつ ﹁え ﹁あら、迷子 気づいたら虹の大空に道案内してもらってました。…えっ!? 59 内心で大いに首を捻りつつ、看過できない言葉に思わず突っ込む。というかまた年下 ﹂ に見られたパターン ﹁嘘じゃないよ !? ﹂ それ、とある憤怒の暴君にも言われた年齢 !!! ちょっと本気で怖くなって来たなこの童顔 !? ⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮えっ !? え、ここでも俺そんなに若く見えてるの そ れ で な ん と な く 自 己 紹 介 し て、ふ と 女 性 ⋮⋮ ア リ ア の 胸 元 に 目 が 行 く ﹁いや、俺も叫んだりしてごめん。俺は宙っていうんだ﹂ ﹁本当にごめんなさいね。私はアリアって言うわ﹂ そんなコントみたいな出会いから数分後。俺たちはようやく落ち着きを取り戻した *** 俺は冬の冷たさだけでない寒さに背筋が冷えた !! ! ﹁貴女もデスカ ﹁ごめんなさい⋮。てっきり16か17くらいかと⋮﹂ りだけど 因みに詳しくは21、だ。今回の誕生日は12月2日なので本当に最近年取ったばか ! 60 ﹂ もしかして⋮もしかしなくても⋮⋮アルコバレーノぉ ちょっと親の形見なのよ﹂ ﹁おしゃ⋮ぶり⋮ ﹁ああ、これ ? 考えてみればソックリじゃん うわーっそりゃ見覚えあるはずだよ ちょっと最近似たようなおしゃぶりを持った子と知り合っ ﹂ どうしました ﹂ たので⋮﹂ ﹁⋮あ⋮えっとすみません ﹁えーっと⋮ヒロシさん 気づかなかったんだ俺 ! かもしれない で慌てて適当な誤魔化しをすると、アリアの視線が僅かに鋭くなった。⋮⋮墓穴掘った 思わず自分で自分を殴りたくなっているところで、アリアからの声に我に帰る。それ ﹁え なんで今まで あっでもユニって短命の呪いの代わりに体のサイズは 変わらなかったんだっけそう言えば !? ということは⋮このアリアって人もしかしてユニのお母さん⋮ !? けどそれって確かユニじゃ⋮ ででで、でもおしゃぶりの色はオレンジだよ つまり大空のアルコバレーノだよね え、待って待って待って ? ﹂ !? !? !? ? ! ? !! ! ? ? ? ? ﹁⋮⋮あの 気づいたら虹の大空に道案内してもらってました。…えっ!? 61 ﹂ マフィア関係者 って感じで探られてるぅうう !! ﹁その子⋮どんな子なのかしら 俺一般人なのに ? ? のボス=ばっちしマフィア関係者 ラル・ミルチって言うんだけど、俺が住んでる近くに住んで 疑うよね警戒するよね探るよね誰だってぇえええ ﹁あ、もしかして知り合い !!! そらそうだ。ユニのお母さん=ミルフィオーレ⋮じゃない、ジッリョネロファミリー ! ﹂ ? 俺、日本人で一年間だけイタリアの大学に留学してる最中なん ? どなぁ 信憑性を増すのには、虚実を上手く混ぜること。⋮⋮こーいうのは骸が得意なんだけ さらりと、アリアによる探りをなんなく避けて、小さな種明かし、という風に笑う だ﹂ て言うと俺の方かな ﹁あはは、最近といってももう半年も前だけどね。あと引っ越してきたのはどっちかっ ﹁⋮最近出会ったってことは引っ越してきたってことかしらね た。その為にも演技は欠かせない。この生活を守りたいなら、尚更 を取り繕えなくなった奴は死ぬ。それはよくリボーンに繰り返し言われていた事だっ なんて、そんな内心はおくびにも出さず、ちょっと驚いたような表情を作る。冷静さ るらしくてよく会うんだよ﹂ ? 62 ﹂ アリア ﹁そうだったのね。⋮ ﹁うん。⋮ってあれ 何を驚いてるの ﹂ ? いってことだろうし くも、本人の申告を素直に受け取っておく。超直感が反応しないってことは、害はな こっそり内心でそんなことを思いながら、ふとアリアの様子が一瞬変わったことに驚 ? !! ﹁あ、いえ何でもないわ﹂ ? ならいいけど⋮﹂ ? ⋮じゃあ、お言葉に甘えて﹂ ? 街に繰り出した私は不思議な青年に出会った クリスマスである12月25日。ファミリーの皆の目を盗んで、少しばかり息抜きに アリアSide *** そんなことを思いつつ、俺はアリアの提案に甘えて、道案内をしてもらうことにした ﹁え、いいの の辺を案内させて頂戴﹂ ﹁そうだわ、こうして出会ったのも何かの縁だし⋮。貴方の知ってる道へ送るがてら、こ 際、話してみてもそう思うし ⋮まぁ、ユニのお母さんならあんまり誰かを傷つけるような人だと思わないけど。実 ﹁そう 気づいたら虹の大空に道案内してもらってました。…えっ!? 63 64 日本人だという彼は、あまり日本人らしくない色彩をしていたり、イタリア語を流暢 に話していた。特に驚きだったのはその年齢が、見た目と反して高かった事だ︵正直私 より年上と思わなかった︶ また、一般人にしか見えない彼がどうやらボンゴレの関係者︵といっても本当に本人 自体は一般人のようだが︶であるラル・ミルチと知り合いだったのも驚いた それでも、慣れない土地で道に迷った彼をすぐさま大通りへ返さず、しばらく一緒に 行動したのは一瞬だけ見えたあの予知のせいだろう 私の血筋は代々シャーマンだ。母も、会ったことはない祖母もそうだったと聞く 私の母・ルーチェは予知でアルコバレーノとなるのを知っていながらも、それが星の 定めと受け入れていた。そして私も、母の後を継ぎ、ジッリョネロファミリーのドンナ とアルコバレーノの大空としての運命を受け入れている 数多ある予知、星の定め それらを見極めて、出来るだけ良い未来を作ることが私たちに求められること。⋮⋮ たとえそれで、個を押し殺さなくてはいけないとしても 守りたいものがある。それは、予知という力がなくとも己を奮い立たせる価値があ る。だからこそ、今まで私はより良い未来のために、迷ったことなど無かった。 だけど ﹁アリア どうしたの ﹂ ? んかいなくて。私も当然のようにそれを生きて、その目で見て笑っていて 娘がいて、愛する夫がいて。大事なファミリーも、アルコバレーノの皆も呪われてな ? い出話として話してあげられたらいいなと思ったのだった それでも⋮将来︵俺と同じ道を辿るとすれば︶、現れるであろうユニに、今日の事を思 ない方がよかったんだと思う。俺の前がなんであれ、今は一般人なのだから えれば当然の事で。連絡先などもやはり交換はしていない。⋮本当は最初から関わら 名前を名乗る以外は自分のことを話さなかったけど、それはアリアのいる世界から考 いうことでアリアと別れていた あれから2時間後。思ったより長く道案内をしてもらった俺は見知った道に出た、と ﹁うん、今日はありがとうアリア﹂ ﹁じゃあ、また縁があったら会いましょ﹂ *** 惑ってしまうのだった うと諦めていた幸福そのもので。私らしくもなく、悪魔のように魅力的なそれに揺れ たった一瞬。そんな狭間の瞬間に見えた未来は⋮⋮望んでも手に入れられないだろ ﹁⋮あら、ちょっとボーッとしちゃったみたいね。なんでもないわ﹂ 気づいたら虹の大空に道案内してもらってました。…えっ!? 65 ﹁⋮⋮久しぶりに心から楽しめたなぁ﹂ マフィア関係者と思わなければ、本当に心臓に優しい︵銃で脅されたりなんだりがな い︶時間だった そう考えると、ボンゴレ関係より付き合ってもいいな、と思える。まぁ、もう仮定の 話でしかないけど た ぐいーっと体を伸ばしてそう一人ごちると、俺は今度こそ帰路に向かって足を動かし ﹁さーて、帰ろーっと﹂ 66 気づいたら赤髪の青年に骨董品の説明を受けてました。 ⋮アレ ﹂ めを兼ねて街並みをブラブラを散歩していた時だった それは本来の目的であったイタリアでの大学での授業も大体終わり、暇つぶしと見納 ? ? 古いんだろうけど⋮なんとなく、良い物だって分 ? ﹁う⋮でもこういう洋風人形はちょっと怖いかも⋮﹂ かるな アンティーク⋮っていうんだっけ り重かったドアを押す。そして視界に入ってくる様々な品々に無意識に感嘆する キィ⋮と押さえきれなかった好奇心に背を押され、そんな言葉を言いながら見た目通 ﹁⋮お、お邪魔しまーす﹂ ようにその店が気になってしまう いつもだったら気にも留めないだろう店。だけど何故か、今日はまるで引かれるかの その店は開店時間らしいが⋮ ふと、目の端に入ったある店が意識に残る。ショーウィンドウから見るに、どうやら ﹁⋮⋮アレ 気づいたら赤髪の青年に骨董品の説明を受けてました。…アレ? 67 ビスクドール⋮だったかな 西洋系の人形は何というか本当に魂が宿ってそうで怖 ﹂ ? 声を掛けられるまで全く気付かなかった ﹂ と心臓が跳ねる。 ﹁⋮あれ、もしかしてお客さんだったかい ﹁うわっ 思わず、ドッキィッ 恐らく今も外で そんな事を思いながら遠い目をしていたからだろう。俺は近づいてくる足音の主に、 したって聞いたときはとうとうそこまで人を捨てたのか、と少なからず思ったし 一番身近な例で言えばアレだ、骸。生身の人どころか、匣兵器のムクロウにまで憑依 ﹁⋮⋮まぁ、人形じゃ無くても憑りつく奴は憑りつくだろうけど﹂ 下手に人を模したものは、やはり怖いのだ。何かが憑りついていそうで ﹁おもちゃとかだったら割り切れるのになぁ⋮﹂ い。というか基本的に人形全般が怖いんだけど ? しまった、ラルに鍛え直してもらってたのに全然気づかなかった⋮ ! !? ﹁あ、いえ。こっちこそ返事もまたないで入ってしまいすみません﹂ ﹁おや、すまない。驚かせてしまったみたいだね﹂ かで見たことあるような赤い髪が一番に目に入った 護衛をしてくれるだろう教官に知れたら怒られそうだな、と思いつつ振り返ると、どこ ! 68 それに既視感を覚えつつ、とりあえず謝罪しておく。声を掛けたとはいえ、やってる ことは軽く不法侵入に近い 。下手に出ておくのが一番だろう ﹂ 目の前の相手と同じ⋮赤髪の、大事な親友を ﹁⋮⋮っ ﹂ ああ、そうか⋮。目の前の彼は⋮ ﹁どうかしたかい ? シモンファミリー。 *** 間違いなく、俺の親友・古里炎真の⋮⋮⋮父親だ す﹂ ﹁ああ、これは私としたことが失礼しました。この骨董店を営んでいる、古里真と言いま ? ! ﹁あの⋮俺は宙って言います。貴方の名前を窺っても⋮ ﹂ は、この笑みを。こんな風にどこか悲しそうに笑っていた、彼を と、そこで。ふと相手の困ったよな笑みがまた既視感を呼び起こす。知っている、俺 ﹁そういってもらえると有難いです﹂ ね、こういう場合﹂ ﹁気にしなくていい。滅多に客が入らないからつい作業に没頭していた私が悪いんだし 気づいたら赤髪の青年に骨董品の説明を受けてました。…アレ? 69 それはボンゴレ初代⋮ジョットがその先駆けとなる自警団を作るきっかけを起こし た人物のファミリーだ そのファミリーを起こし、ジョットの友人で在ったシモン・コザァート。彼はD・ス ペードの策略のせいもあり、自らマフィア界の影となることを選んだ その道はとても辛く、子孫である炎真たちも沢山苦しんでいた。それでも、デーチモ の時代である俺たちの時代で、漸くその存在を公にすることが出来るようになった 初めて炎真に会った時は、昔のいじめられっ子の自分みたいだな、と思って。同じマ フィアの人間だって分かった時は、それでも自分と同じ争い事が嫌いな彼の様子に親近 感を抱いて。家族の仇だと告げられた時は、信じられない気持ちになって、でも仲間を 傷つけられても憎むことは出来なくて。真実を知って和解できた時は、背中を預けられ る戦友にも思えた ファミリーを率いるボスなのに、争い事が嫌いで。でも仲間のためには立ち上がって しまう ﹂ なんだかんだで、似たところが多くて。お互いよく相談をしたりしていたんだ *** ⋮ど、どうしたのかな⋮ ? ⋮⋮だけど ﹁ !? 70 それでも、心の中には消えない罪悪感があった ボンゴレのせいで、シモンファミリーは家族を喪った。ボンゴレのせいで、炎真は目 〟 の前で家族を殺された。それを行ったのは主にD・スペードだったけど、でもボンゴレ を継いだ以上、その罪の意識は絶対に持ち続けなければいけない 〟こんな間違いを引き継がせるくらいなら、俺がボンゴレをぶっ壊してやる 未来で、ボンゴレの業を見せられた時に宣言した気持ち ﹂ ずっと持ち続けてこれたのはやはり罪悪感のせいもあるんだろう 一 部 の 者 だ け が 笑 っ て、そ の 陰 で 誰 か が 泣 か な い よ う に 。そ ん な 信 念 を、一 重 に 強者によって、弱者が虐げられることにならないように マフィア界の浄化とボンゴレの解体を た でも何よりも、炎真たちの存在を知って、苦しみを知って、より強く思うようになっ !!! あったなら、絶対に会えなかった人 ﹂ 目の前にいるのは、存在を知った時には既に殺されていた人。俺︵宙︶が俺︵ツナ︶で どうしてか、涙が零れる ﹁すみ⋮ませ⋮ ! ﹁埃が⋮目に⋮入っちゃ、った⋮みたいで⋮ ! 気づいたら赤髪の青年に骨董品の説明を受けてました。…アレ? 71 俺が知るより前に死んでしまった、という条件だけで言えば、アリアも同じ。だけど、 ボンゴレが関わっているかいないかで俺はその自責の念を感じなかった ああ、やっぱり俺は変わってしまったらしい。なんだかんだで、中学生のあの頃のよ うな自分では、既にない。当たり前だ。若干、外見に性格が引きずられてるとはいえ⋮ 俺は30年近く、マフィアのドンとして裏社会を率いていたのだから ボンゴレが関わっていなければ、自分に関係なければ、知ったことかと。どこかでそ ﹂ う割り切ってしまう。ユニが、時折寂しそうな笑顔を浮かべていたことを知っていたの に ﹂ ﹁⋮⋮一先ず、お茶でもどうかな ? ⋮⋮⋮⋮⋮もし、俺が時間を遡っていることに意味があるのなら ⋮⋮⋮⋮⋮彼らの死を、変えたいと思うことはいけないことなのだろうか そんなことも考えられずに、俺は困ったように笑う相手の言葉にただ頷いた どうして涙が流れるのか。どうすれば涙が止まるのか ﹁⋮っはい⋮ ! ? 72 気づいたら浅利一味が来日してました。⋮帰れ けど俺は、やっぱり真を⋮大事な親友を、助けたい。まだシモンファミリーは酷い迫 いかとか⋮難しいことはいっぱいある 過去の世界だとか、パラレルワールドのこととか、もしかしたらDはいないんじゃな 合ってる︶を助けること それは、真︵あれから凄い気があって親友にまでなった。今でも月イチで連絡とり た さて。濃ゆいイタリア留学を終えた俺は、行く前より若干新たな決意を加えたりもし !! 害は受けてないみたいだけど⋮それでも、いつまでその幸せが続くか。だから俺は真と 親友になって、いざという時は力になれるように連絡を取り合っている ﹂ ! ら、ふかふかお布団に焦がれていた時だった ていうか今日が三徹目でそろそろ脳細胞が真面目にヤバい。そんなことを思いなが 日夜お金を稼ぐためバイト三昧である それでもやっぱり庶民平凡並なライフコースを選択する俺は今日も今日とて堅実に ﹁⋮よしっ、帰って寝よう 気づいたら浅利一味が来日してました。…帰れ!! 73 ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮え﹂ 俺はその瞬間、きっとこの上なく絶望した表情をしていたことだろう い や だ っ て 待 っ て。こ こ 日 本。ジ ャ ッ ポ ー ネ。N O T イ タ リ ア。更 に 言 え ば 平 凡 よ ここはイタリアじゃなく りやや質素な下宿屋の前に、なんか見たことある人物が立ってんだから ? なんでいんの そりゃあ誰だって思考停止くらいおかしくないよね なんでいんの !? ﹁⋮⋮遅ぇ、カス﹂ 現実逃避してぇええええ て日本ですよぉおおおおお !? ﹂ ! なんて⋮⋮うぇえええええ !!??? あまつさえスルーされまくったことで憤怒の炎をスタンバイしようとするザンザス ﹁無視すんじゃねえカス るザンザスなんて見てませんよー はっはっは、大丈夫大丈夫。俺は何も見てませんよー。人の下宿屋の前で突っ立って えて遠い目をして相手から必死に視線を逸らした 一度止まった思考が、リバウンドと言わんばかりに脳内で目覚ましく動くが、俺は敢 幻聴だ幻覚だ幻術だ。俺は何も見てない何も聞いてない何も言わない ﹁⋮⋮あ、俺疲れてんだな﹂ !!? !!! 74 ﹁だったらお前はすぐその光球浮かべるんじゃねえ ﹂ も、暴れることが不味いという事は一応分かっているらしい だがしかし。ここは平和で平凡なジャッポーネ。いくら自分がマフィアの御曹司で 元が引きつるのを感じた ビール缶がなくなる。相変わらずこいつの死ぬ気の炎えげつねえー。俺はヒクリと口 な重さを持った水はお前だけだった。しかしそんな謝罪も束の間、コォオッと、一瞬で 俺は大慌てで手に持っていたコンビニ袋からビール缶を投げつけた。すまん、手ごろ !!! ていた ! お宅訪問☆はイタリア留学中、月に一回か二回の頻 ! 度であった。今に至るまで何の理由でお宅訪問なんて迷惑行為を繰り返してんのか知 なんだかんだで、コイツの突撃 そんな事を思いつつ、最早諦めて家の中に入るよう促す ﹁あーもう⋮とりあえず家に入れよ畜生⋮﹂ も大して変わって無かったねこの体力お化け。言うだけ無駄だったか、うん お前、10代と20代の体力の違い舐めんなよ⋮ あ、でもお前それこそ50過ぎて 数分にわたる愉快でバイオレンスな半強制鬼ごっこを終え、俺はぐったりと疲れ切っ ﹁舌打ちすんな。てーかそもそも殺ろうとすんな﹂ ﹁⋮⋮チッ、殺れなかったか﹂ 気づいたら浅利一味が来日してました。…帰れ!! 75 らないけど まぁ、 ︵正直めちゃくちゃ︶関わりたくはない。関わりたくはないが、居留守を使って も何故かバレ、超直感で来てるのを察して寄り道してるとわざわざ探しに来て、ぎゃん ぎゃん喚いて殺気をぶつけて殺し合いに発展するので仕方なく受け入れざるを得ない のである つまりは慣れである、慣れ。⋮⋮⋮こんな慣れは要らない ちゃんだテメェ﹂ ﹁ボンゴレだが文句あんのか﹂ 俺一回︵無理矢理に︶お前ん家連れて行かれて実物見てるもんね ﹁すいません、テンプレだけの台詞を真面目に返されると二の句がつけません﹂ そうでしたね ! ﹁人ん家で堂々とくつろぐな。そして当然のように王様してんじゃねーよ。どこのお坊 ﹁⋮おい、喉乾いた。なんか持ってこい﹂ た︵そして着々とボンゴレとの縁が結ばれてるようで怖い︶けど⋮ たないで平然と話してるのが凄いってよく︵迎えに来た九代目の守護者の人に︶言われ イヤもう本当コイツ何考えてんのか分かんない。そりゃ確かにザンザスに恐れを持 ﹁見れば分かっただろうよ。口に出さない謙虚さを取得しろいい加減﹂ ﹁⋮安っぽくて狭ぇな﹂ 76 ! 知ってて当然っていうのは分かってるからその痴ほう症にでもなったのかテメェ⋮ とでも言いたげな眼差し止めろこの野郎 分なものなど無い ﹁⋮⋮こんな茶、見たことね│ぞ ﹂ ないようにする。いくら単価がほぼ無いといっても貧乏学生には失くして構わない余 パックで購入済みの手作り麦茶を2つのコップに注ぎつつ、怒りで震えて手元が狂わ ? 坊ちゃん﹂ ﹁その苛つく口調止めろ。お茶ぶっかけるぞ﹂ ﹁言いつつ既にぶっかける体勢になるの止めてくんない 誰が後片付けすると思ってんだテメェええええ ﹁ハッ⋮最初からそうしてりゃいいんだよ﹂ ﹂ !? 相も変らぬ喧嘩口調のやり取りをしながら、遠い目をして麦茶をすする 格が全く温和になって無い。寧ろ増している気がする オカシイナ、コイツと最後に会ったの1年か2年くらい前だったと思うんだけど。性 ? !!! ﹁お爺さーん、この暴君気質はどうあっても治らないんですかー ﹂ ﹁貧乏人の身体にも経済にも優しい麦茶です。文句があるならすぐさまお帰り下さいお ? ﹁ほい、お茶﹂ 気づいたら浅利一味が来日してました。…帰れ!! 77 ﹂ あー、水分美味しい。本当はビール飲んでお布団にINしたかったんだけど⋮ 一応聞くけど、ザンザスなんで日本にいんの ? 眼光が を済ませた後、渋々家にあげ、用件を尋ねる↑今ここ 沈黙が ! ﹁⋮⋮﹂ ⋮⋮⋮⋮なんだけどぉおおおおおおお ! ﹁⋮⋮、﹂ !!! 既に立派な体格になりやがって目つきも悪いから14歳でもめっ をもっと自覚しろぉおおおお ﹁⋮⋮﹂ ちゃ怖いんだってお前ぇええええ め っ ち ゃ 怖 い !!! 俺の識ってる大人ザンザスから考えれば雲泥の差なんだけど ! !!! !! そりゃね ! ﹁⋮⋮、、﹂ いやね ! お前はその外見の凶悪さ 家に帰ると、イタリアにいるはずのザンザスが下宿屋の前で佇んでいる。いつもの喧嘩 さて、ここでもう一度状況を整理してみよう。俺はバイト三昧で貫徹3日目。なのに ﹁⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮﹂ そこまで考えて、俺はジト目でちゃぶ台向こうのザンザスを睨んだ ﹁⋮で ? 78 恐怖も威圧感もダンチなんだけど むの止めろぉおおお でもやっぱりその目つきの悪さをどうにかして睨 !! なんて、内心でめったくたに叫んでいたからかもしれない。ザンザスが漸くこぼした ﹁⋮⋮いちゃ、わりぃのかよ﹂ !!! 言葉に、すぐさま反応できなかったのは ⋮⋮ん ? こ れ 誰 っ す か ﹁﹂ なんて知らないヨ ﹂ いや、は⋮ ﹁え⋮ ⋮⋮もしかしてコイツもう、真実知っちゃってるんじゃねー ﹁⋮⋮テメェも⋮俺を⋮﹂ 見せるザンザスなんて俺本当に知らねぇんだけどぉぉおおお ? マジで心中ブレブレ&荒ぶりまくりな俺だが、なんかこれ以上沈黙してるとザンザス !!?? ? ? ? ? ﹁⋮⋮っっ﹂ つーかこんな弱いとこ え、俺知らないヨ こんな辛そうにしながらも自分の本音素直にぶちまけるザンザス ? ﹁俺が⋮⋮テメェのいる場所に来ちゃいけねぇのかよ﹂ 気づいたら浅利一味が来日してました。…帰れ!! 79 が︵俺を︶殺害しそうなんで声を掛けよう ﹂ てか実際は来て欲しくないけど ﹁⋮来ちゃ悪いとは言わねーが、せめて連絡して来い﹂ ﹁は⋮ お前のポカン顔なんて見たくなかったなぁあああ ﹂ どうしてもってんならマフィアとの縁切ってから来いぃいいい ! ⋮俺がたまたま帰らない日だったらどうすんだよ もぉおおおお ﹁ンン⋮ ! ? と続ける ﹁⋮っテメェのバイト事情なんざ保握してる⋮ ﹂ とはいえ、やはり内心の嘆きは押し隠して、一晩中突っ立ってたつもりだったのか ! 今回は特に日本帰ってきたし2年近く音沙汰なかった ? そんな事言って、俺が連絡したらやっぱり逃げるんじゃないのか ﹂ ﹂ しで油断してたとこに現れられたから心臓に悪い悪い。⋮⋮うん、閑話休題 ﹁ハッ⋮ ﹁なっ⋮ ﹁逃げていいならそりゃ勿論﹂ ! !? ? あれ、捻くれたこと言ってるザンザスに思わずあっさりと返してしまったぞ ? イヤもうこれ本当切実にね だってあり得たんだから、やっぱり来るなら事前に連絡はしろ﹂ ﹁そ ん な 所 で 金 に 糸 目 を つ け な い で い ん な や。バ イ ト に よ っ て は シ フ ト が 変 わ る こ と ! ? ? 80 ちょっと待て タンマ ストップぅうう ﹂ !! ﹂ お前待て ! ﹁テメェもやっぱり⋮ ってぎゃぁあああ ここで憤怒の炎出すんじゃねぇええええ ! 内心思いっきりテンパりつつ、表面は平静を装ってそう言う俺。同時進行で走馬灯が ? ! ﹁だって、お前は結局、今までみたいに探しに来てくれるんだろう !!! !! !! 流れております短い人生でしたねうむ ﹂ ? ⋮⋮⋮あっれ ﹁⋮⋮テ、メェ⋮ ﹂ 俺は一つ頷くと、今だ停止状態にあるザンザスの赤面姿をスマホに何枚か収めた。 パシャリ ﹁⋮⋮ふむ﹂ からすればホラーだなこれ 微動だにしないで、顔真っ赤にしてるぞコイツ。レア過ぎて逆に有難みもないし前回 ?? ? !? ﹁⋮⋮どーしたよザンザス ﹂ と、思っていたんだけど ﹁⋮⋮ ﹁⋮⋮﹂ 気づいたら浅利一味が来日してました。…帰れ!! 81 よし、これで未来用に脅すための材料が手に入ったぜ。スクアーロや九代目に見せた らどうなるんだろうな│コレ ? ⋮⋮っっ ﹂ 意地の悪いことを考えつつ、再び麦茶をすすり│││ ﹁⋮⋮っ、⋮⋮ !? ﹃⋮⋮そのチンピラ、やりすぎじゃないのか ﹄ 見る限り、平凡な奴だった。顔も、雰囲気も、身のこなしも⋮⋮そのどれも、裏社会 ? た けど、そんな日々を過ごしていたある日。何故か、そんな俺を制止してくる奴が現れ 殴った。本気で殺す気はなかったが、逆にそれで死んでもその程度だと考えていた だから気に入らない分家の人間や、爺の守護者、喧嘩を売ってきた相手は悉くぶん 増長していた、といっても過言じゃない た は、マフィア界最大と言われるボンゴレの御曹司ということで大いに持ち上げられてい 最初にそいつに会ったのは、引き取られて数年が経った12の頃だった。その頃の俺 ザンザスSide *** ザンザスが行動再開するまで、あと10秒 !? 82 の人間じゃ無いことはすぐに分かった。そしてその頃にはもう、俺の持つ九代目の息子 という地位と、憤怒の炎という観点から俺を恐れるものは多かった ﹄ 平然と。何の恐れも気負いもなく、そいつは次の言葉を言いはなった ﹃それ以上やったらその人たち死んじゃうだろ﹄ だからこそ、最初は威嚇して追い返そうと思った。なのに ﹃⋮⋮⋮⋮あぁ ? らの攻撃を避けられて苛つくことがあっても、だ けれど、それもムカつきはしたが不快感はなかった。相変わらず文句も言うし、こち うな顔をされたが づけばボンゴレの情報網を使って、何度かそいつの家を訪れていた。⋮⋮⋮心から嫌そ 舐められてる、と思ってもいいはずなのに、何故か居心地は悪くない。だからか、気 つく態度に。それどころか、本気で殴り合ったり言い合えたりも出来た 城に招かれた時点で俺が相当の地位にいると分かっただろうに、全く変わらないムカ た て城に戻されたころには頭も冷えていた。そして認めるのは癪だが、確かに興味を覚え その時は俺の意志に反抗するムカつく奴としか思わなかったが、爺の守護者に捕まっ ﹃いい度胸だ⋮この俺に指図しようなんざテメェを先ずカッ消してやるよ﹄ 気づいたら浅利一味が来日してました。…帰れ!! 83 84 ここまでムカつく態度をされていても、自分から関わるのは何故だ いう自問自答に 必死に自分に言い聞かせ、爺への⋮周りの全てへの憎悪をたぎらせた 怒り、憎しみ、恨んだ。そんなことはねぇ、と。俺は選ばれた人間なんだ、と。 持っていたから。他のマフィアにわたると困るから、という理由で囲われた馬鹿な道化 だ、ボンゴレにしか出せないはずの死ぬ気の炎⋮それも憤怒の炎というレアなものを つまり、俺は爺の実の息子じゃない。ブラッド・オブ・ボンゴレも持っていない。た あの日まで全くなかったという事 爺の部屋に行って、偶然目にしてしまった手紙。その内容は、俺の母親と爺の面識が それは、己の存在価値の崩壊だった 事実を知った いた。だからだったんだろう、と妙な喪失感を覚えながら納得していた時に、ふざけた 文句言うのも、怒るのも、嫌そうにするのも⋮⋮全部、〟俺〟という人間をまず見て 九代目の息子じゃない。憤怒の炎を持った人間じゃない そいつは⋮宙は、いつも〟俺〟を見て接していたからだと 答えが出たのは、皮肉にもそいつが母国のジャッポーネに帰ってからだった ? そんな折だった。自分を避けるようになった爺が、ジャッポーネに行くから一緒に来 い、と言ってきたのは。ふざけるな、と思ったけれど何故か、あいつの顔が浮かんだ。 ジャッポーネに行けば会いに行ける。それに気づいて、俺は爺の言葉に二つ返事で了承 していた そして、結論 ﹄ ? 俺にどうしろと ? 言で葛藤し始めてるんだもんよ たハイ。だって最初こそぎゃんぎゃんと騒いでたけど、俺が無視してたら諦めたのか無 なにやらザンザスの葛藤は終わったらしい。あ、らしいと言うのは半分以上寝てまし *** 俺は思わず額に手を当てて深い溜息をついた え ながら、拒絶はしない甘さ。⋮⋮本当にどうかしている。馬鹿以外の表現が見当たらね 一歩間違えば殺されていた相手に、何信頼してやがる。俺が面倒だと、逃げると言い こいつはどうしようもないお人好しバカだった ﹃だって、お前は結局、今までみたいに探しに来てくれるんだろう 気づいたら浅利一味が来日してました。…帰れ!! 85 ﹁⋮⋮おい﹂ で、この一言と共にクッションが俺の頭に降ってきて目が覚めた。お前にしちゃ随分 ﹂ と優しいなオイ ﹁ふぁ⋮何 やっぱちゃんと布団で寝た方がいいな ﹁⋮⋮用件無いなら一先ず俺寝ていいよな ﹁⋮駄目だ﹂ ﹂ という訳で案を出したらすぐ却下された。解せぬ。⋮寝させろよもぉおおおお ﹂ チャクチャ眠いんだって俺ぇええええ ﹁⋮何故に !!! ? ﹂ !!! ﹁⋮テメェが寝たら俺が暇を持て余す﹂ 構 っ て ち ゃ ん か ﹂ ﹁⋮じゃあ貫徹3日目の俺に起きてろと ﹁⋮そうだ﹂ ﹁⋮っふざけんなぁあああ !!! ? ? メ ハイ無言止めましょーねー。なんて思いつつ、身体を伸ばす俺。うお、肩こってる。 ﹁⋮⋮﹂ ? 86 やだ何このザンザス 用件は ﹂ てーかそもそも本当どうやって日本まで来やがった 5W1Hをハッキリしてから出直して来い い !? ツンデレなお前なんて見たくねーし可愛くねーわ つまで滞在すんだ !!! ﹁おーれーは眠いーんーだー !? !! !! ! ﹂ これがなきゃ話すら出来ねーよ まずなんで日本に来た ぜ︵Why︶、どのように︵How︶ ﹂ ホラ答えろ !? ! ﹁⋮あのお爺さんが 部下ってどんな 九代目来ちゃってんのー 拳を握りしめる ﹂ ? とかそんなツッコミもすっ飛ばし、俺はザンザスの言葉に ? プツン ﹁⋮⋮沢田家光とか言う⋮﹂ ? それもまた珍しい姿だが、その瞬間超直感が嫌な予感を告げる ﹁じ⋮爺が部下の顔を見るつって⋮一緒に⋮﹂ たじとなる 最早やけくそである。そしてそんな俺のキレように驚いたのか、あのザンザスがたじ ﹁な、じゃねぇよ ! ! !!! いつ︵When︶、どこで︵Where︶、だれが︵Who︶、なにを︵What︶、な !? ! ﹁な⋮ 気づいたら浅利一味が来日してました。…帰れ!! 87 ﹁あ、あぁんのぉおおお⋮⋮⋮ ﹂ 俺が寝不足に陥るハメになったのはお前のせいか│││││ ﹂ ちょっと待っ﹂ バカ親父││││ ふっははははっ は重いぜぇえええ ﹁うわぁああああん ﹂ 俺の睡眠時間を無くした罪 !!! そんなものとっくになくなってますが何か 待っていろクソ親父ぃいいいいいい ﹂ 理性 ? !!! !! おいっっ !? *** 待てテメェ ! 俺はわき目もふらず父さんのもとへ全力で向かったのだった ﹁待ってろクソが ﹁⋮⋮⋮おい !! ! !! ! ザンザスの驚いた声をBGMに、俺は一路、我が家へと疾走する ﹁おいっ ! ﹁おーいツ﹂ 分と同じサイズの獣に好意だろうとのっかかられたら怖いんだよ。という訳で ⋮チワワに怖がることを、情けないって思うんだろうな 。でも、当人にとっては自 ﹁⋮⋮﹂ 風に呆れている父さんの声も なんて哂っていると、不意にツッ君の泣き声が聞こえた 。ついで、仕方ないという ? !!! ? 88 ﹁お覚悟ぉおおおおお ゲシィッ ﹂ ! ﹂ !! ﹂ !!? ﹁き、君は宙くん⋮ ﹂ ひ、ろ⋮にぃ⋮ ﹂ ﹁ほぉらツッ君、落ち着いて ? !? ?? ! ﹁うんうん、ひろ兄だよ∼﹂ ひろにぃ∼∼∼∼ ﹂ 父さんに改めさせないとなー。その頃30代だし、それで兄呼びはちょっと⋮ね 因みにオレはツッ君にひろ兄と呼ばれている。これ、ツッ君が中学生になるまでに伯 ツッ君を泣き止ませる そんでなんか聞いたことあるよーな声はスルーし、まだチワワが傍にいて泣いてた ﹁ふぇ⋮ 大丈夫大丈夫、怖くないよ﹂ で無様に吹っ飛ばされた。ふぅ、スッキリ そして本来なら気づいて防御するなりしなきゃいけないだろー若獅子さまは生垣ま ﹁いっ、家光っ バキバキバキィッ 俺は走っていた勢いのまま、かつての父・今の義兄の顔面を狙って跳び蹴りした ﹁ぶげぇ !!? ? ﹁ふぇええええっ !!! 気づいたら浅利一味が来日してました。…帰れ!! 89 なんて蛇足的なことを考えつつ、ツッ君をチワワから抱き上げて離れさせる まだ泣き止まないかなー。そろそろ服が冷たくなって来たなー。とか思うが、ここは 成人したいい大人 ﹂ なにより泣く子どもなんてランボで慣れたしねー。我儘言わないし手榴弾投げない し暴言吐かないし我ながら超良い子 ﹁大丈夫だよツッ君、ほら見てごらん ﹂ ﹂ 恐怖に引きつったが見ないふり見ないふり。んで ﹁ツッ君は、わんこの事怖い ﹁う、うん⋮﹂ ﹂ ﹁でもねぇ、わんこはツッ君のこと、嫌いじゃないみたいだよ ﹁う゛⋮で、でも⋮こわい⋮ ﹂ ? ﹂ ? 分かるでしょ ﹂ いやねぇ、これマジなんだよ。獣はいくら品種改良とかされて人間に懐きやすくして ﹁え⋮ てばっかりだとわんこにもそれが伝わっちゃうよ ﹁うーん、そっかぁ。でもツッ君がそうやって怖いなー、近づきたくないなー、って思っ ? ? ! ? 自画自賛しながら、膝を折ってツッ君とチワワを再びご対面させる。瞬間、その顔が ﹁ぐすっ⋮⋮ヒッ ? ? 90 ﹂ もし ても、獣としての本能で相手の感情の機微はよく察知する。ここら辺は超直感も似た よーなものだけど かしたら仲良くなれるかもしれないよ ﹁だからさ、せめてジーってみてあげて、本当に怖いか怖くないか、考えてみない ? になった気分 くなっていた。⋮なんか今日は自画自賛多い気がするなー。白蘭みたいなナルシスト そして言葉を重ねて説得していると、元来素直ーなツッ君は徐々に近づいて見事仲良 ﹁⋮⋮うん﹂ ? ﹁うぐっ ﹂ ドスゥッ ﹁死に晒せ﹂ ﹁いきなり何するんだい宙く﹂ という訳で うん、そうだな。やるべきことはやっておかねば になった元凶を思いだす俺 それに気づいて若干嫌な気分になりつつ、嫌な気分イコールそもそもここに来ること ﹁お∼⋮いてて⋮﹂ 気づいたら浅利一味が来日してました。…帰れ!! 91 !? ﹂ 無防備に近づいてきた父さんを拳に力を入れて鳩尾へ入れる。オプションで低いド テメェのせいで俺の睡眠時間が減ったじゃねぇかぁあああああ !!! ス声も忘れずに ﹁こんのアホが み踏みする なんだっけあれ ﹂ 恨みはらさでおくべきかって奴 ﹁ひろにぃ何してるのー ? そしておどろおどろしく怨念をふりまきながらただ淡々とその腹部をぐりぐりと踏 ! ならおれもやるーっ﹂ ? くったのだった そんな事を思いつつ、俺は最初の一撃で気を失っている父さんをツッ君と共に踏みま ﹁⋮⋮いやはや、驚いたねえ﹂ ﹁それやればお父さん、よくなるの ﹁⋮⋮お前、ガキになんて嘘教えてんだよ﹂ よー﹂ ﹁う ん と ね ー、家 光 さ ん の 背 中 が 凝 っ て る か ら こ う し て 踏 ん で ほ ぐ し て あ げ て る ん だ ? ? 92 気づいたら勧誘されてました。⋮だが断る さて。気づけば俺は客間でまるっと一日寝ていたようである ﹂ ﹁あらあら、ひー君やっと起きたのね。もう、若いからって不規則な生活しちゃダメよ !! ﹁うん、ひるよー、ツッ君﹂ ﹂ ﹁ふふっ、最近はひー君が来てくれなかったから久しぶりに腕を振るっちゃったわ﹂ ﹁いつもありがとう姉さん﹂ ﹁ほらほら、簡単だけどごはん用意したから食べなさいね﹂ 久しぶりにガッツリ寝たわ、ホント それに眉をよせながら軽いタックルしてきたツッ君をわしゃわしゃする。しっかし ? よ。つかなんでまだいるんだよオイ あとザンザス、やはり化物じみた童顔だな⋮とか意味不明なケンカ売ってんじゃねー ぼーっと、布団の上で胡座かいた状態で現状確認する ﹁⋮おはよぉー、姉さん⋮﹂ ? ﹁ひろにぃ、おはよ∼もうおひるだよ∼ 気づいたら勧誘されてました。…だが断る!! 93 ジュースでいいかしら ﹂ 母さんマジ聖母。しばらくまともな食事とってなかったから五臓六腑に染み渡る⋮ ﹂ ﹁そうそう、ツッ君もザン君も何か飲む ﹁ぶふぉっっっっ ? ﹁じゅーすのむー ﹂ 待て待て待て待て そうだ あのザンザスが母さんにザン君呼 鬱陶しそうにしながらも怒らないんだ ツッ君は今更だけどザン君 !! しかもザンザス対応に困ってるー !? ﹁ゲヘッ⋮ガホッ⋮ゴホッ⋮ ばわりされてるだと⋮ !? ﹁⋮⋮お前の姉、なんとかしろ﹂ !? !? ﹂ なんて母の有り難みを味わった瞬間。俺は意外な奇襲に思わず吹いた ? ! ﹂ こ う な る と 暴 力 は 勿 論、暴 言 も 吐 け な い も ん な ちゃったもんなー イヤイヤだって だってザン君って ! お前の出来ること無くなっ ! ザンザスのアイデンティティーであるダブル それに思い至った瞬間、込み上げた衝動を押さえられなかったのは許して欲しい ﹁ふっ⋮くっ⋮ぶふっ !! んね よね、下に父さんと九代目いるもんね 何より母さんもツッ君も一般人で悪意ゼロだも !? !!? ! !! ! ! ! 94 Xがサラッと略されちゃってんだもん 母さんに悪気ないけど 爆笑してんのか不思議そうにしてるけども ! 二人ともなんで俺が ! そこまで考えて俺はもう堪えきれなかった。行儀悪く床とコンニチハしながらも笑 ﹁おまっ⋮お前っに、その⋮ザン君呼び⋮っ似合わねぇえええええ∼∼っ﹂ ! ﹂ いながらザンザスに向かってサムズアップす⋮ ﹁テメェ⋮そんなにカッ消えてぇのか⋮ ﹁﹂ !!!!! ? ザンザスが憤怒の炎スタンバろうとしてるぅぅううううう ⋮⋮っっっアウトぉおおおおおお やっべからかい過ぎた !! 勿論こんなところで戦闘なんざゴメンだ。てなわけで !!! ﹂ !? ﹁⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮﹂ 先手必勝。ザンザスの口に卵焼きをお届けしました。因みに甘いのが俺は好みです ﹁んぐっ ﹁ソォイッ﹂ 気づいたら勧誘されてました。…だが断る!! 95 沈黙の中。ザンザスは目を白黒させながらも大人しく食した 元々俺用だったから毒味の心配をしなかったのか、最初からその手の心配をし忘れた のか。⋮⋮後者なら危機感大丈夫かと疑いたくなるな、うん ﹂ 何しやが﹂ 閑話休題 ﹁お前 ﹂ ﹁旨いか ! 旨いだろ なんてったって俺の姉さんの作った料理だからな﹂ ? ﹂ ! ﹂ ? だった そのまま俺はツッ君と︵あと時々ザンザス︶一緒にお喋りしながら昼食を味わったの ることはなかった。ふぅ、一安心 そして後は放置。毒気が抜かれたようでめっちゃ顰めっ面ながらもその掌に炎が灯 ﹁ん、ツッ君は何食べたいんだー ﹁⋮あ、あの⋮ひろにぃおれも⋮⋮ ﹁分かったんならありがたく食べとけ。俺の分だったんだからな﹂ 怒るな∼怒るな∼。あ、今めっちゃ沈静化するために雨の属性欲しい ﹁旨いか 漸く食べ終えたザンザスが口を開いた途端に食い気味に遮り、問う ﹁は ? ? ? 96 *** 楽しいお食事タイムも終了し、俺は改めて着替えて階下へと降りていた。︵この時気 付いたのだが、ザンザスの足の長さと俺の足の長さは一緒であった。おい待て成長期、 お前これ以上成長するなら座高だけにしろ。それなら許す︶ 順番的には母さん、ツッ君、俺、ちょっと離れてザンザスだ。最初は俺とツッ君の位 置は逆だったのだが、最後尾にいる︵俺に対して睨みがデフォルトな︶ザンザスが怖い とツッ君が泣き出したのでこうなった ごめんな、ツッ君︵俺︶。でもアレの怖さも目つきの悪さもまだまだこんなもんじゃな いんだぜ いぞ。じゃなくて でも、お爺さんと一緒にいる時みたいな⋮いや、あの人相手だと結構腹立つ これって、コイツなりに戸惑ってるってことか ﹁⋮ふーん もんな﹂ ? 奇遇だな。俺もお前がこういう空気で暴れもせずに大人しくしているのは気味が悪 つの間にやら隣に並んでいたザンザスがそうぽつりと呟いた なんてそう遠くない将来に実感するだろう甥っ子に生暖かい眼差しをしていると、い ﹁⋮⋮胸やけするほどここは居心地がわりぃな﹂ 気づいたら勧誘されてました。…だが断る!! 97 ? そう思いつつ九代目と一緒にいる時を思い浮かび⋮⋮訂正した。今のあの人は単な る狸爺です。前の時みたいに優しさオンリー善人100%ではございません。⋮⋮い やまぁそんないい人でもなかったけど。マフィアのボスだし ⋮おい、なんだその信じて無い目﹂ ? わけないだろー な人はいっぱいいたけどさ︶ ︵⋮⋮そりゃ、骸とか雲雀さんとかリボーンとかお前︵ザンザス︶とか なんて密かに拗ねつつ、気にしないふりで言葉を続ける ﹁まぁ、お前がどう思おうが関係ないけどさ﹂ える人間の方が少ないだろ 俺以上にドライ だが、それこそこの目の前にいる幼き頃の俺と今の俺を見て、イコール同一人物と思 ? ? 仮にもマフィアのボスとして数十年いたんだ。いつまでも甘い考えだけを持ってる ﹁俺は結構ドライよ で呑気に生きてこれたもんだ﹂ ﹁⋮⋮テメェも甘っちょろい人間だと思ってたが、こいつらはその上をいく。よく今ま 目が口程に物を言うを此処まで実現するのはコイツ位だ 因みにそんな俺の言葉に無言で肯定してくるザンザス ﹁⋮⋮﹂ 98 ﹂ ﹁もし、お前が俺のこの幸福を壊そうってんなら、覚悟しろよ ﹁っ ﹂ ? ? ? に見えて強張る 何をやっても許してくれると ? ⋮⋮そこまでお前にとっての俺はいつでもカッ消せる相手だと思ってたのか となれば反撃すらしないと そんな訳ないだろう ? いざ 初めて、俺が︵一般人並みとはいえ︶殺気を向けたからだろう。ザンザスの身体が目 !? どんなに時間が経っても、理解する人間がいたとしても、止めてくれる者がいたとし ティでもある憤怒を損なえるとは思えない ⋮⋮それに、こんな〟事情も知らない一般人〟の脅し程度で、コイツのアイデンティ ﹁⋮⋮﹂ りかご事件とリング争奪戦だけだし。俺︵というか沢田家︶に関係するの後者だけだし ま、尤も俺がやるよりツッ君がやりそうだけど。コイツの盛大な反抗期って、結局ゆ ﹁⋮⋮っ﹂ 殴り飛ばすからな﹂ ﹁覚えておけよ、ザンザス。お前が俺の大事なもんに手ぇだそうってんなら、俺はお前を 気づいたら勧誘されてました。…だが断る!! 99 ても。ザンザスは、騙されプライドを傷つけられたことを決して赦しはしない 誇り高き憤怒の暴君なのだから *** ﹂ と喜々として言う母さんが︵後ろと対比 てなことを考えて︵後ろからの妙な空気はスルー︶いると、あっという間に居間につ いていた。今日の夕飯はハンバーグだからね して︶眩しいナー ﹁やぁ宙くんおはよう。昨日は挨拶できなくてすまなかったね﹂ ﹁お、宙起きたみたいだな。昨日はいきなり跳び蹴りされたからビックリしたぞ ! ﹂ ! でもブラック企業ならぬブラックマフィアのボスとその2番目がいうことじゃない ﹁肝に銘じます﹂ ﹁家光の言う通りだね。若いからってあまり無理をしちゃいけないよ﹂ ﹁はっはっは、気にすんなってことよ おいこら後ろのザンザス。気色わりぃな⋮とか呟くなぶん殴るぞ とっちゃったみたいだし⋮。お爺さんも、久しぶりでしたのにすみません﹂ ﹁いやいやこっちこそ、昨日は悪かった。徹夜続きで錯乱してたとはいえ、随分な態度 だけでお話しててよ面倒くせぇ なんて思ってると、いやぁなお二人から声かけられちゃったなぁ無念。そっちで二人 ? 100 よねー。上はともかく、下はかーなーり悲惨だよねー ヤクとか人体実験とかまでは行ってないけど⋮そこまで堕ちきってはいないものの、 ザンザスの兄と ていうかザンザスの ? 日本の法律にあてがったら確実に引っかかるだろう ﹂ 家族枠 ﹁ふふっ、なんだか私も宙くんみたいな家族が欲しいねえ。どうだい ﹂ して養子に来ないかな ﹁きゅ⋮何をっ とか思ってたら爆弾発言キター しかもまさかの勧誘内容が部下とかじゃ無くて養子 あーにーぃー !? ? よ !? もしもーし 俺、貴方と仲良くした記憶は今回全くありませんよー かれた︵しかも下心あるよね、多分︶記憶しかないですよー ? ? 一方的に近づ ? は無理でも仲良くなりたいと思っていたんだ﹂ といるとよく楽しそうだし、私としてもこんなにしっかりした青年なら是非とも息子⋮ ﹁いやねえ、2年前に仲良くなった時からずっと考えていたんだよ。ザンザスも宙くん !! おいコラザンザス、お前なに動揺してんだ いつもどおり傲岸不遜に鼻で笑い飛ばせ !? !? !? !? ﹁は⋮っ⋮お前、が兄だな⋮て⋮⋮⋮﹂ 気づいたら勧誘されてました。…だが断る!! 101 ﹁⋮⋮﹂ おれ、もうひろにぃと会えないの ちらり、と背後を窺うと母さんはまだ料理に夢中の様子 イコール、会話に気付かれることはない ﹁⋮⋮あのですね﹂ 俺は服を掴んでひろにぃどっか行っちゃうの と ? どうしようもないですけど⋮。でも、俺はイタリア ? ﹁ちょ、宙 その話はもう終わったんじゃ !? ﹂ 届を今すぐ承諾させたいくらいですしね﹂ いとは限らない。⋮⋮本音を言うなら、お爺さんと上下関係にある家光さんだって離婚 を築くなら、その分犠牲も多いはずだ。そしてその犠牲に、姉さんたちが巻き込まれな ﹁俺は至って庶民的な人間です。豪華絢爛な衣食住も権力も要らない。あれだけの地位 まった あー、くそ。知らないふりしてられればよかったのに⋮。口調も思わず荒くなっち 事をしてる人間じゃ無いんだろうなって感じました﹂ のあのお城に連れて行かれた時から、アンタたちが少なくとも俺から見て、真っ当な仕 んの夫で、俺の義兄なわけですし ﹁俺は正直、貴方たちとお近づきになる気はないんですよ。そりゃ家光さんはもう姉さ うるうるしているツッ君を撫でることで気を静めながら努めて冷静に口を開く ? 102 !? けど、今回わざわざ九代目自身がこちら側に踏み込んできたんだ。ザンザスにも言っ たけど、この平穏を壊そうって言うなら俺はボンゴレであろうと敵とみなすぞ ないはずですよね あの城にいる連中は、明らかに貴方をトップと認識してた。だった ﹁お爺さん、貴方は俺が欲しいと⋮ザンザスを理由にして言いましたけど、それだけじゃ ? 結局、そこだけは変わらない。変われない。俺︵宙︶が俺︵ツナ︶である限り⋮きっ ど⋮⋮⋮でもやっぱり、大事な人が、家族が、傷つくのは嫌なんだよなぁ 前は叶わなかった、一般人として生きる道。今度こそは、叶えられるかと思ったけれ それは嫌なんだけどなぁ⋮ それによって今後の動き方も変わってくる。変わって⋮しまう たら、超直感が教えてくれるはず ここで腹の探り合いをして⋮⋮もし、この時点で俺が不利な情報を知られてるとなっ バッサリと、裏があるんじゃないのか と問うてみる。 ら、そんなトップの人間のいう言葉を、善意100パーセントだけで頷けるはずがない﹂ ? すまない、気が急いてしまったようだ。今の話はなかった事にしてくれ、 ! と 宙くん﹂ ﹁⋮⋮ははっ 気づいたら勧誘されてました。…だが断る!! 103 そう僅かに自嘲してそれでも覚悟していると、不意に九代目が明るく笑う そして謝罪の言葉を言ってくれたわけだけど⋮。穏やかに、じゃなくて明るく、な時 点で老獪な印象しかしないんですがー、ヤダー 軽くうんざりしながらも、九代目ってこんな人だったっけー、と遠い在りし日に想い を寄せてしまう あ、やっぱこんな人だったかも。十代目正式就任祝い、とか言ってボスだけが知って る秘密の抜け道︵書類逃亡用︶を嬉々として教えてくれたのこの人だったあっはっは ⋮⋮⋮笑えない ﹂ そんなお前が大好きさ 寧ろそ と、そこで。ザンザスが嫌そうに眉根を寄せながら俺を睨んでそう言っていた ﹁ハッ⋮こっちこそ、テメェみたいな甘ちゃんが兄だなんてお断りだ﹂ 俺もそう思う ﹂ つるまない ! うっわ ﹁ありがとうザンザスありがとう カス 慣れ合わない ⋮手ぇ握るんじゃねえ 離せ ﹁ これでこそザンザス ! のまま孤高の浮雲⋮あ、いかん混じった。お前は憤怒の暴君だ ! ! ! ! !! ! ! !? 閑話休題 !! 104 出来れば以後関わりなく ﹂ ﹁という訳でザンザスもこう言ってますし、俺は貴方の養子には絶っっっ対になりませ んから ! ﹂ まさかーありえなーい お前さっき自分で言ってたじゃん﹂ 流石にサムズアップはしない、不敬罪になりそうだし ﹂ ﹂ あぶねぇだろうがぁああああ もしや俺と本気で兄弟になりたかったとか それは⋮ なんでザンザスが口挟む てめっ⋮勝手に⋮ ﹁ああ、分かっているよ﹂ ﹁な⋮ ﹁うん え ? ! ﹁∼∼∼っとりあえずカッ消えろカス !!! ? ! ﹁っていきなり拳を握りしめるな振りかぶるな ﹂ そんなこんなでテンションが上がった俺は、良い笑顔のまま九代目に宣言しておく。 ! ! ? !! ? がる ﹁避けんじゃねえ ﹂ ﹂ 力に抗議している︵因みに九代目と父さんは傍観。おいなんで止めないんだ︶と なんとか一般人枠で避けつつ︵超直感仕込みの運のよさ演出も忘れずに︶、理不尽な暴 ﹁当たったらいてぇだろ !? ! !? なんて呆けていると、突然ザンザスが上記の行動を起こした。おま、いきなり何しや ! !! ﹁⋮っ 気づいたら勧誘されてました。…だが断る!! 105 たのは言うまでもない 本日二度目。母さんによる爆弾発言が投下され、俺とザンザスがぴたりと動きを止め ﹁あらあら、ひー君もザン君も仲良しねえ﹂ 106 気づいたら初代が祝われに来てました。⋮謹賀新年 !! えー、皆様あけましておめでとうございます。俺は今、毎度の如く父さんが仕事の都 合で不在のため、母さんに乞われて沢田家にお邪魔しています ﹂ ! 見てるなんてそんな光景知らないよ ﹂ ! そしてお年玉袋にいれたものを手渡すと、ツッ君はとても目を輝かせていた。うむ、 ﹁ありがとーっ、ひろにぃ ﹁という訳ではい、お年玉だよツッ君﹂ ? 俺に似た顔で金髪の豪華なマントを着た人が、空中にプカプカと浮きながら俺たちを 見てない見てない。俺はなーんも見てない ︽む、目があっていて視線を外すとは酷いではないか、宙よ︾ へと目線を合わせる 行儀よく向かい合わせで挨拶しながらフ、と俺はある人物から視線をずらしてツッ君 ﹁うん、あけましておめでとう、姉さん、ツッ君﹂ ﹁あけましておめれとー、ひろにぃ ﹁あけましておめでとう、ひー君。今年も宜しくね﹂ 気づいたら初代が祝われに来てました。…謹賀新年!! 107 可愛い。中身はお金じゃ無くて単なる味海苔だけど ﹂ ? で諦めてね これ ⋮⋮⋮ヤバいなー、俺。この考えって去年のザンザス訪問でもう平穏ないとかどっか ﹁うん、手伝わなくて大丈夫 ﹁それじゃ、お雑煮よそってくるから待っててね﹂ でもいい。母さんには平穏を贈りたい そして母さんに渡すのは来るときに神社で買ってきた安全祈願のお守りだ。神頼み ﹁まぁ、ひー君ったら。安全祈願のお守り嬉しいわ﹂ ﹁あとこれ、よかったらだけど姉さんにもお年賀どうぞ﹂ き直る そんな事を思いながら、たーっと駆けていったツッ君を見送り、今度は母さんへと向 聞こえない聞こえない。俺にはなーんも聞こえない ︽⋮⋮ふむ。やはりデーチモは愛らしいな︾ で ど、ツッ君にはないので、喜ぶものを適当に入れている。ごめんね、経済力の無い伯父 なにせツッ君にお金という概念が無いからなー。ランボはこんくらいの時あったけ ﹁おもちでまいてたべるーっ﹂ 108 ? ﹁ふふっ、平気よ。その代わりツッ君を見ててくれると嬉しいわ﹂ ﹁ん、りょーかい姉さん﹂ なんて、僅かに遠い目になって意識を逸らしたのが敗因だったのかもしれない ﹂ !? ﹂ ︽いかんぞ、宙よ。諦めたらそこで試合終了だというだろう︾ ひろにぃ⋮ ﹁⋮っっなんで初代様がそんな漫画のネタ知ってるんだよ !? !? ︽そこはほれ、俺はこの通り長生きだからだな︾ 貴方の場合、死んでも魂が残ってるだけで長生きじゃないでしょう ︽ふむ、さすが世界が違ってもデーチモなだけはあるな。そうだ、俺たちはアクマでボ 茶目さんだなんて、部下に示しがつかないもんねえ ういう態度を見せるのは身内だけって知ってはいるけどさ。そりゃあボスがこんなお もうやだ、このプリーモ。狸爺の祖とされるに相応しいよ。いやまぁ、プリーモがこ !? した視線を送る。すると相手は気を害した風もなくひょい、と肩をすくめて笑った そう謝罪しつつ、諦念の思いで声のする方向の人物││ボンゴレプリーモへじとりと ⋮驚かせてすまん、ツッ君 でおせちを堪能していたツッ君が驚いて栗きんとんを落とす 思わず、魂レベルに沁み込んでしまったツッコミが内心に抑えきれなかったのだ。隣 ﹁ふぇっ 気づいたら初代が祝われに来てました。…謹賀新年!! 109 この 自由人に よく従ってたな いやだからこ ス、上に立つものだからな。それなりの威厳がなければならんと⋮⋮よく霧がくどくど お前 !! !? 言ってきおった。姑か、全く︾ !!! 甘いプリーモが嫌だとか言ってたけど、こんな自由人だから反抗したのか ディモォオオオオオンン その謀反か ! なんだ、俺とやりあいたいというのか ⋮⋮⋮⋮仕様のない奴だ、心を込めて相手 !!! !? ヤバい、俺も今物凄く賛同したい ︽む ! あんた〟やる〟の内容勝手に脳内変換してないか トをからげて両腕を広げた おい⋮⋮⋮⋮おい ﹁⋮ひろにぃ ﹂ じゃなくて むしろ当然だ ︽何故だ︾ ﹁あ、ノーサンキューで﹂ !? ﹁あーん﹂ ﹁なんでもないよー。ほらほらツッ君あーん﹂ ? !? 内心でかつての敵に猛烈に同意していると、空中にいる初代様がバサリと優雅にマン ? !? してやろうぞ︾ ? 110 俺は打ちひしがれるポーズをしたプリーモを視界から追いだし、︵独り言を言ってい るようにしか見えない叔父に大して︶不思議そうな顔をしているツッ君の口元へ黒豆を 入れる。勿論誤魔化すために 現実逃避 ナンノコトデスカネ さて。ここまでで戸惑った方もいるだろうと思い、ちょっと回想に入ってみようと思 う ん ? ﹂ ていうかぁ ! ていうか !? 目が覚めると、金髪バージョンの自分が寝転がってる自分の真上にいました☆ ﹁﹂ ︽お、起きたか︾ ﹁う⋮ 元旦の朝の事だった 確実に将来ツッ君︵俺︶の部屋になるだろうけど︶で眠ったのちの日が出た│││所謂、 だかんだで来ることが多いので、母さんが俺用の部屋を沢田家に作っている。とはいえ それは、年越し蕎麦を食べて母さんたちが寝たのを確認した後に俺も自分の部屋︵何 *** ? ? ⋮⋮なんでだぁあああああ !!!?? 気づいたら初代が祝われに来てました。…謹賀新年!! 111 、⋮⋮だれ、ですか ﹂ いるんデスカ でも 何で そんな人が 目の前の人が俺がハチャメチャな人生送るハメになったすべて 浮いて !? ! ﹁⋮っっ ふわふわ ! ! いや知ってますよ ? の元凶│││ボンゴレプリーモだってことは知ってますよ 目の前に ! !? !? !? ! アウトぉ これ完全に俺が沢田綱吉︵ボンゴレデーチモ︶だってバレてるやーん⋮ ﹂ ? 瞬間、間抜けな顔になったのは許してほしい。じゃなくて ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮は ︽なに、簡単なことだ。そもそもデーチモをここに連れてきたのは俺だからな︾ すると、俺の疑問にプリーモは優雅な笑みを浮かべて特大の爆弾を落として下さった あれば、知られるとすれば白蘭かユニかなと思ってたんだけど⋮ 明らかに俺がデーチモとしていた世界のことはパラレルワールドのようなもの。で と知ってるんですか﹂ ﹁⋮っはぁ。お久しぶりです、プリーモ⋮⋮なんで縦の時間軸継承者が横の時間軸のこ !! ﹁⋮⋮っ﹂ くれたお前を忘れたことはないというのに︾ ︽⋮ふむ、忘れたフリとは酷いではないか。俺は一度たりとて、始めのボンゴレに戻して 112 ﹁え プリーモ 今なんて⋮ ていうか何で ? ﹂ !? なんかサラッと聞 デ ー チ モ が 4 0 代 と い う 早 す ぎ る 若 さ で 死 ん だ 時、子 供 が い な ? 俺の再来とまで言われたブラッド・オブ・ボンゴレの血を此処で絶やす ︽覚 え て お ら ぬ の か き逃せないこと聞いた気がするんだけど えええちょっと待ってちょっと待ってちょっと待ってぇえええ ? ? して最終奥義で時間を巻き戻してやったのだ︾ のも勿体ない。何より俺たち歴代のボスは皆デーチモの事が気に入っておった故、こう かっただろう !? !? ? それ理由 てかやっぱり俺あっちで死んでたんだ イヤマァもうこっちの生活に慣 ? ? いだけど じゃあ何 ? 育ててみせるのだ〟という作戦だ︾ ﹂ 作戦名ェ⋮となった俺は悪くない。⋮ってか ﹁何考えてんですかあんたらぁあああああ !!? !! ︽そうだ。〟デーチモよ、子供を作れ。子孫繁栄万歳。その為に自分︵ツッ君︶を上手く ﹁え この不可思議現象ってプリーモたちによる⋮﹂ よく考えなくても発見した後が阿鼻叫喚で後始末大変だったろうなーって思うくら れちゃったしそこはいいけど ? ﹁待って。イロイロ待って。ちょっと理解も感情も追い付かないんで﹂ 気づいたら初代が祝われに来てました。…謹賀新年!! 113 なに俺のために最終奥義とか使っちゃってんの というか歴代ボスが力を合わせる と逆行できるんだ、スゴイナ│ でも内容って要は俺が京子ちゃんと付き合って子ども !? を産んでもらうために恋愛ゲ│ですよね完全に 安全のために我慢してた俺偉くない 京子ちゃんが俺 下手に手を出して妊娠したらそりゃあ嬉しいけどいつ抗争 が起きるか分かんなかったし ら神経とがらせてたんだよ││ !! の弱点なのは結構バレテルし、狙うならか弱い女子って︵胸糞悪いけど︶常套手段だか !? だって仕方ないじゃん !! ! ! ! ﹂ ﹂ ﹂ 機会は認めた 俺のダメダメさに保証までつけられちゃったよ これでもしどちらかが駄目でもなんとかなるだろう︾ まさかのそんな理由 ﹁死角なしですね嬉しくねえ まさかの ﹁流石お爺ちゃん ︽疲れ果てて寝ていたのだ︾ くないけど結構ありましたよね ﹁てかそんな理由だったんならなんで今まで説明に来なかったんですか !! !! そりゃ説明されてもされなくても今後の行動はそう変わん !? !? ! そんな理由でアゲイン ! !! !! 死ぬ気の炎があるかといえば、宙にもブラッド・オブ・ボンゴレを付けておいたからだ。 ︽ついでに今のデーチモ⋮ふむ、紛らわしいから宙と呼ぼう。宙になぜ今も超直感やら 114 ないけどさ ﹁はぁあああ∼∼∼⋮⋮それで、今になってようやく説明しに来たんですか ﹂ この人に自主的に話の続きを促すという事は無駄だろう 素でいられる相手に対してはとことんマイペースなのだ、プリーモは いると ﹂ ? そして冒頭に戻る 酷く愉し気にそう笑う初代様がいらっしゃったのであった らおうかと思ってな︾ 元旦早々 ノは新年のあいさつで忙しそうにしていて、第一俺が見えておらん。故に宙に祝っても ︽前に伝えていなかったか 一月一日⋮元旦は俺の誕生日だ。だが、本部にいてもノー 一人脳内ツッコミをしながら、じゃあ何しに来たんですかアンタ、と胡乱げに眺めて ない 本日二度目の脳内停止。今年一年は退屈しなさそうだウレシイナー。⋮んな訳ない ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮は ? ? !! 盛大に溜息をつきつつ、次の質問をする ? ︽いや、違う。祝われに来たのだ︾ 気づいたら初代が祝われに来てました。…謹賀新年!! 115 気づいたら海の大空とぶつかってました。⋮うげっ やってしまった それが今、俺の心中を占める感情だった 時間にしてほんの数分前。けれど、中々に致命的なミスを俺はした *** ドンッ そんな、軽い衝撃を体に感じるとは反対に、心に来た衝撃は中々のもの ﹂ !? 簡単だ。ぶつかった少年に、もんのすごぉおおおおおく見覚えが ? とかとにかくやったらめったら綺麗な顔だち。猫みたいな目を ? していて、本当に男かよって思いたくなるまつ毛の長さ。そして極め付けというか、あ 幼いながらもV系 どこかぼんやりと〟気にしないで〟とだけ言う白髪の少年 ﹁⋮⋮Non fa niente﹂ あったからだ た。どうしてかって 咄嗟に謝罪したものの、俺は内心の動揺を外に漏らさないようにするのに必死だっ ﹁⋮っScusi ! 116 る意味こいつを象徴するこれ以上はない全身白系の服装 マフィアなの 白蘭は後 こ こ ま で 言 え ば わ か る だ ろ う。俺 は ど う や ら、よ り に も よ っ て、悲 し い こ と に、 どうして ⋮⋮⋮⋮⋮白蘭の幼少期である少年にぶつかってしまったらしい なんで 俺結構気を付けてたつもりだったのに !! イタリアに来ただけでなんなのこの遭遇率│││ !!! つまりは今の内に方向修正しておけばいろいろと大 い、いやいや落ち着け 今までは確かに全員マフィアだった。だがしかし ! ! でも正直関わりたくね││││││ になってマフィアになるタイプ 丈夫なはず !! ﹂ ? り、白蘭に目を合わせた俺だったが⋮ 未来の白蘭を知る俺としては、非常に不気味で⋮ある。だから怪訝に思って膝を折 ﹁⋮ いない それどころかこの白蘭、ぶつかった時の俺の言葉に返したっきり、一言もしゃべって ︵白蘭︶がいつまで経っても身じろぎしないことにふと気づく 俺は、胸中にてもんのすごぉおおおおく葛藤した。が、そこでふと、ぶつかった少年 !!! ! ? !!? ! ﹁⋮⋮っっ﹂ 気づいたら海の大空とぶつかってました。…うげっ!? 117 ﹁っ ﹂ 途端、思わず目を見開く イヤだって、誰が思うよ あの白蘭︵何を考えてるかよく分からない男だったけど︶ あまりの予想外な表情に、思わず眉根がよる たような⋮⋮⋮いや、これはつまらなそうにしている、のか⋮ ? に苦手だ。苦手⋮⋮だけれども 兎にも角にも、俺は白蘭が苦手だ。プライベートであれば会うのは遠慮したいくらい ていた。⋮っと、話が逸れた 蘭と会うのは物凄く苦手だった。ぶっちゃけ、ユニが同席してなかったら心から遠慮し だからだろう。俺はいくら味方にすれば頼もしいと知っていても、プライベートで白 は違う 骸も雲雀さんも、何だかんだで行動は分かりやすかった。でも、白蘭はどこか2人と とに躊躇いが無い部分も、理解できない 正直、俺は白蘭が苦手だ。何考えてるか分かんないし、笑いながら誰かを傷つけるこ ? が、生気の無い目でこっちをぼんやり見てくんだぞ それも表情をどこかに落としてき ? !? ﹁⋮ ﹂ ﹁ragazzo︵少年︶﹂ 118 ? ﹁⋮Fare le cose dolci come ︵⋮甘いものは好きか ? ︶﹂ ? I r o a s p e t t a r e u n p o ︵そ う か。 ︶﹂ .⋮ C o s ︵⋮うん⋮ だからって、こんな死んだ能面みたいな顔してる子供を放っておける性分じゃない ﹁⋮si⋮ ﹁O c o s ? 俺はいきなりの質問に戸惑う白蘭の頭を数回撫でて、近くに在ったジェラートのお店 ì ? ⋮じゃあ少し待ってろ︶﹂ ì fatto aspettare︵ほい、おまたせ︶﹂ に行く。こういう時、骸と白蘭は好きな食べ物が一択だから楽だよな , ì è ﹂ ? d i v e n t a t o è な気分になれるから︶﹂ una sensazione felice︵とりあえず甘いもの食べてみろ。幸せ a l c o s a d i d o l c e. E a l l o r a ﹁P e r o r a, h o i l c o r a g g i o d i m a n g i a r e q u オーレの慣例になった、と聞いたときは笑ったものだけど 様子がおかしい白蘭がいたらとりあえずマシュマロを与えておけばいい、がミルフィ ﹁⋮⋮ らいには言われている んで、勿論かったのはマシュマロ。白蘭といえばマシュマロだと、耳タコができるく ﹁S 気づいたら海の大空とぶつかってました。…うげっ!? 119 そりゃあもう確実に。お前が白蘭ならばこの菓子に食いつかない訳がない 獄寺君の忠犬、山本の天然、了平さんの極限、雲雀さんの咬み殺す、リボーンの横暴、 骸のチョコレート⋮とにかく、確実にそれだけは言える ︶﹂ 思わず遠い目になりながらも再度促すと、白蘭は何故か戸惑ったようなオーラを出し ︵美味しい⋮ ながらもマシュマロに口をつけた ﹁⋮⋮っdelizioso⋮ ⋮⋮うん ! ︵こんな美味しいもの、初めて食べた⋮ ︶﹂ ! あっれ、もしかしてコレ、俺が白蘭がマシュマロ厨になる原因になっ la prima volta⋮ ⋮⋮んんんっ ちゃった系 !!? 俺はその瞬間、やってしまった感が半端なく胸中に広がっていたのだった ? ! ﹁Q u e s t a c o s a d e l i z i o s o, h o m a n g i a t o p e r ? ! 120 気づいたら夜が明けてました。⋮んん゛っ その日の夜 ﹂ !? なんでホテル内で食べないのかって ? を満たしていた え ⋮⋮あーゆーとこって結構金かかるんだ うっかり引きこもりすぎて夕食を頼み忘れた俺は、ホテルから近いところで適当に腹 ﹁ぷはーっ、食べた食べた ! に留学していた頃の場所なので地理にはそれなりに明るいし それくらいなら多少歩いてでも安いとこで食べた方がいい。幸い、この辺りは俺が前 よね ? 超直感駆使して逃げ切って見せますよ イタリアだし、ザンザスとか九代目とかボンゴレ関係が徘徊しててもおかしくないし 知ってんだー、こうゆう時にフラグって回収されるって うのはいかにもーなトラウマが蘇ってきそうなので速足駆け足で進む俺 ついつい、お店のおっちゃんたちと話が盛り上がってしまった。薄暗闇の路地、とい ﹁しかし⋮ちょっと遅くなっちゃったな﹂ 気づいたら夜が明けてました。…んん゛っ!? 121 ? ﹂ と思ったらめっちゃ見覚えある顔 ﹂ ﹂ そんな訳でめっちゃ警戒しながら気を張ってたんだけど⋮ ドンッ ﹁あ、すみませ⋮ ﹁こっちこそ⋮あっ ﹂ なんかぶつかったー ﹁ひ、ヒロシくん れくらい驚いた なにこの今日のミルフィオーレ遭遇率││││ 俺は内心で悲しみに満ちた絶叫をした ! な動作の後、パシ、と俺の腕を握ってきた ﹂ ﹁すまないけどヒロシくん、ちょっと匿ってちょうだい わ、分かった ! ここで繰り返すが、此処からホテルまでは実は少し距離がある。安さを求めたあまり その必死な様子につい頷いた後、咄嗟に俺が泊まっているホテルへ向かう ﹁え ? ﹂ しかし、予想外の再会に驚き固まるのも数分。突如、アリアは背後の気配を探るよう !!? 思わず指差して︵人に指差しちゃいけないよ。リボーンに折られるよ︶しまうが、そ ﹁あああアリアっ !! ! !? !? !? !? 122 だが、そんな事実が今ばかりは恨めしくもある もし、アリアがマフィアの誰かに追われているのだとしたら れこそ芋づる式に巻き込まれるかもしれない マフィアという、一度はまれば逃れられない人生に きたアリアの様子を見れば、否やは言えなかった これ以上関われば、そ でも、そうだとしても。あそこまで必死に、一度しか会っていない俺なんかを頼って ? ﹁⋮こっち ﹂ !? ! わわっ、ちょっと待って ? ﹂ ﹁⋮⋮こ、行っち⋮ったんだ⋮⋮ス ﹁こっちにはいねえよ⋮⋮ぞ ! ﹂ ! 警戒を引き上げてた、んだけど⋮ り警戒した様子で⋮本当に何者かに追われているんだな、と理解すると同時にこちらも ふと、ホテルの正門がある大通りではなく裏通りへと道を抜けるアリア。しかもかな ﹁え ﹂ 自分に少し苦笑しつつ、もうホテルが目前、というところまで近づいたときだった 持ちだされることが多かったけど、どうやらそれは今でも変わって無いらしい。そんな 頼まれたら断れないランキング、第一位。よく、皆で集まった時にネタの一つとして ︵⋮⋮⋮こんなだから、フゥ太のランキングに載せられるんだろうなぁ⋮︶ 気づいたら夜が明けてました。…んん゛っ!? 123 ⋮⋮⋮んんん 一つ聞いてもいい ﹂ ﹂ そこで、聞こえてきた声に、むくり、と疑惑が首をもたげる。これっ てもしかして⋮⋮ ﹂ ﹁⋮⋮あのー、アリア ﹁あら、なぁに ﹂ ? 何 が 起 き た ﹂ 昨日、夕飯を外で食べた帰り道、偶然アリアと遭遇した 。│││OK,ここまでは がくり、とベッドの上で顔面を両手で覆いつつ、必死で昨夜の状況を思いだす ﹁待って待って待って⋮ !? ? ││││││うん、一つ問おう。 わんぐわんと激しく自己主張する頭痛と共に視界には転がった酒瓶が見えて 目に沁みる眩しい日差し。爽やかな初夏の風が寝起きの身体をさらりと撫でて。ぐ *** その瞬間、俺は思いっきり現実逃避をしたくなったのだった ﹁⋮⋮あら、バレちゃった しかし。アリアは暫しだけキョトンとした顔をしたのち、にっこりと微笑んだ そんなまさか。ユニのお母さんのアリアに限って。微かな希望に掛けてみるが、だが ﹁もしかして⋮家族とか、心配してくれる相手から逃げてたりしてない⋮⋮よね ? ? ? ? ? 124 いい 何やら追手に追われているらしく、必死な様子のアリアに言われそのままホテルに匿 う流れに。│││OK,ここまでもあってる しかし、追手の台詞に違和感を覚えアリアに質問すると、実は自分のファミリーから ﹂ 逃亡中なだけだったとかで脱力した。│││OK,ここまでも覚えてる ﹁それで⋮⋮⋮ がって⋮⋮ あれ、何があったんだっけ 確か脱力したのと同時に安心して、次に疑問が湧き上 と、そこまで考えて記憶が曖昧なことに驚く ? ? 見たことも無い︵といってもまだ会って二回︶ほど弱々しい笑みを浮かべたアリアが ちゃったのよ﹄ ﹃⋮分かってるの、これが私の選んだ道で、運命だって。だけど⋮ね、⋮ちょっと疲れ しと言わんばかりに晩酌が始まって⋮ そうだ、思いだした。結局、アリアの逃亡に付き合うことになって、折角会ったんだ ﹁⋮⋮あ﹂ そこまで考えた瞬間、ふと脳裏に昨夜のアリアの声が蘇る ﹃⋮少しだけ、期待されるのに疲れちゃってね﹄ 気づいたら夜が明けてました。…んん゛っ!? 125 そう語り始めたんだ 勿論、どれだけ酔ってもアリアはマフィアのマの字も出さなかったけど、この年で一 ファミリーを率いるという重圧にアリアが疲れているのは容易く見て取れた 考えてみれば、アリアと言いユニと言い、その細い体に凄まじく重い運命を背負って いる 短命の呪い付きである大空のアルコバレーノとしての運命、歴史と伝統あるマフィア のボスという重責、他人の、仲間の、自分自身の未来を知りながら思うように行動でき ないという柵 どれ一つとっても、重いものだろう。俺は精々ボンゴレのボスという地位しか受け継 がなかったけど、これだけのものを抱え込んでいかなくてはいけないアリアの苦労はど れほどのものだろう 俺のようにリボーンといった先人役はいない。俺のように最初がダメダメだったか ら、ダメ元で行動⋮なんてのも出来ないだろうし だか それに俺自身、 ︵自分で最終的には決めたとはいえ︶ボス業で感じる無性な倦怠感には 嫌ってほど身に覚えもあった。 だからだろう ﹃⋮よく、分かんないけどさ。アリアは⋮それでも守りたいものがあるんだよね ? 126 ら必死で⋮頑張ってるんだよね ﹃⋮⋮っっ﹄ ﹃ヒロ⋮シ⋮くん⋮ 吐いていい﹄ ﹄ ﹄ ものはないし、俺に出来るのは︵晩酌に︶付き合うくらいだけど⋮好きなだけ、弱音を ﹃頑張って頑張って⋮疲れちゃうのは仕方ないよ。だから、ここにはアリアの守りたい ? うしね﹄ お酒の上の戯言だもの⋮ ﹄ どうせアリアがこれから言うこともぜーんぶ酔ってるから忘れちゃ ﹃⋮⋮っ、そうね⋮ ? ﹂ をして、ただ交互にお酒を飲みほしていって ていうか何にも知らない一般 !? ﹁⋮⋮あぁあああぁああ∼∼∼∼ !!! なにゆってんの俺ぇええええ ? 酔ってたとはいえこれは酷い ! うわぁ⋮なにやってんの のオンパレードじゃん ! めっちゃ恥ずかしい台詞 気が付けばそんな会話をして、くしゃくしゃに顔を歪ませるアリアに気付かないふり ﹃そうそう。アリアの単なる独り言で、俺は何も聞いてないからさ﹄ ! の殆ど他人だし ﹃いっぱい溜め込んだもの、出しちゃって構わないよ。ほら、俺はどうせ2回会っただけ ? ! 人がうっかりそっちの世界に羽ばたいちゃいそうじゃんあっぶね│││ !!! 気づいたら夜が明けてました。…んん゛っ!? 127 いやまぁ実際アリアの弱音は覚えてないんだけど 俺はとうとう現状一番の謎について突っ込んだ ﹂ !! え、何 俺実は夢 だって女性だし、イ でも問題はそこでは無くて ﹁なんでアリアと俺、同じベッドで寝てんのぉおおおおお そりゃアリアが俺の︵借りたホテルの︶ベッドで寝るのはいいよ なんで俺が一緒に同衾してるかなぁぁああああ ? ? !!?? ! !!? タリア紳士としての教養マナーを叩き込まれた身としては当然の措置だ んなまさか ! だけど⋮だけど ﹂ ! ! 遊病の気があったとか ﹂ ﹁⋮⋮ん⋮ ﹁わっ ? ハイ、オハヨウゴザイマス⋮ ていうか記憶ない ﹂ ちを見ていて⋮え、あ、なんて説明しよぉおおおおお 俺の記憶力 え、えと⋮ ﹁⋮⋮ん、おはよぅ、ヒロシくん⋮﹂ ﹁へっ ? カムバック なんて内心めっちゃビクビクしていると、至ってフツーに挨拶された。何故だ、解せ ? !!! !? それに驚いて隣を見ると、眠そうにしているアリアがうっすらと瞼を開けながらこっ 界から戻ってくる気配がした 悶々と頭を抱えていると、俺の︵叫び︶声に︵当然のことながら︶アリアが睡眠の世 !? ? ! 128 ぬ そう思いながらも、 ︵困惑する俺に構わず︶起き上がってのびをするアリアは、特に何 かに焦ってるようには見えない ﹂ ﹁ん∼∼、久しぶりによく寝たわー。本当、昨日は泊めてくれてありがとねヒロシくん﹂ ﹁いやいやそれは別に⋮っていうかちょっと待ったぁ ﹂ アリアそんな平然としてるのぉ じゃなくてね もうちょっと アリア、今俺と君がどういう状態か分かってる 2人とも服は着てるけどさ、同じベッドで男女が寝ちゃってるんだよ ﹁いやどうかした 危機感とかもとうよ ﹂ しかし思わずそのまま流されそうになるが咄嗟にストップをかける。というか何で !!! にはいかないでしょう ﹂ ﹁いくら泊まらせてくれるって許可は貰っても、まさか部屋の主をソファで寝かせる訳 ロックされてしまう しかし、俺の世間一般的な常識のツッコミはにこりとした邪気の無い笑みで見事にブ ﹁あら、だってベッドが一個しかなかったんだもの﹂ !? !? ! ? !! !? ? ﹁あら、どうかした 気づいたら夜が明けてました。…んん゛っ!? 129 ? ﹂ と続けて言われるがだがしかし だから先に貴方が沈没しちゃったことだし、ベッドに入れてついでに私もそこに潜り 込ませてもらったのよ ﹂ マジで心臓停止するかと思っ ﹂ 事実はどう ! 死亡ルートまっしぐらじゃぁあああん ていうかコレ絶対ジッリョネロのγとかに知れたら俺殺されるじゃん あれ同衾した時点で殺されるじゃん !! !!! ﹁例えそうだとしてもなんか生々しいから女性がそういうこと言うのヤメテ ﹁ダイジョブダイジョブ、お互い服着てるし、してたらなんとなく分かるでしょ た 朝の起き抜けに飛び込んできたあの衝撃と言ったら ﹁寧ろそっちの方がよかったかな ? ︵何故か︶酷く愉し気なアリアとは対照的に、俺は再度、頭を抱え込んだのだった ! ? !! !! !? 130 気づいたら晴の兄妹を助けてました。⋮イロイロと眩し い ﹂ た時だった それはツッ君の誕生日パーティに呼ばれ、手早く仕事を終えて沢田家へと向かってい !! ? ││ガッ │││││バキッ ﹂ ﹁│││おにーちゃ⋮⋮ ﹁ ! ﹁何をしているんだっっ﹂ が1人の小学生を袋叩きにしていた そしてススキ野原をかきわけて人気のない空地へと辿り着けば、そこでは数人の不良 !! ﹂ 別に理由はない。ただ、超直感が警報を鳴らした に思いながら、つられるように血の匂いの濃くなる方へ行く ふと、平穏な街に相応しくない血の匂いが風に混じっているのを感じる。それを怪訝 ﹁⋮ 気づいたら晴の兄妹を助けてました。…イロイロと眩しい!! 131 ﹂ その光景を見た瞬間に、俺は怒鳴り声をあげる。途端に、不良が蜘蛛の子を散らすよ ﹂ うに逃げようとするが、勿論逃がすはずがない ﹁あ゛ ﹂ ﹂ あいつヤバいのと繋がりがあるって聞いたことがあるぞ ﹂ ﹂ 下がるだけだろう ﹂ ﹁年下相手に多対一で情けないと思わねーのか !! しかも人質使うなんてテメェらの男が ることで気絶はできないけどもんどりうつくらいの威力だ。しっかり味わえ てなわけで問答無用で鉄拳を振り下ろし、地に沈める。前世の経験と超直感を駆使す !! ﹁って、やばい先公だ ﹁逃げろ ﹁こんなクソガキに構ってる場合じゃねえ ﹁∼ぐっ !! ﹁でぇっ ﹂ ﹂ ﹂ !? !! !? !! ﹁でっ ﹁だぁっ ﹁うがっ ゴンゴンッッ しかもこいつら、俺の学校の生徒じゃないですか、ヤダー !! ! ! ? !? 132 そんなことを思いながら、ガッチリと説教は降らしておく。別に暴力を完全否定する ﹂ 先公だからって偉そうにすんじゃねえ ﹂ 気はない︵というか前世からしたら結構出来ない︶けど、これは明らかに質が悪い ﹁∼っるせぇよ !! ﹂ くムシャクシャすることもあるだろう ﹁は⋮ ﹁アンタ⋮先公のくせに⋮おかしいんじゃねーの⋮ ﹁あとな、お前ら気づいてるか こうやって年下の相手に人質使って袋叩きってのは、そ うでもしないと勝てないってお前ら自身がすでに負けを認めてんだ。その事をよく考 ? ないのが基本だけど それを発散する方法で、力任せを否定する気はねーよ。ただし極力他人に迷惑をかけ ? ? ﹁誰が変人だ誰が﹂ ﹂ ホントに言葉ですむならそれでいいんだけどな。けど、反抗期とかもあるし、訳もな 気に食わないんだったら、まずは一対一でやり合え。言葉ですむなら一番だがな﹂ ﹁だからってなぁ、お前らのやってることは格好悪いにも程があるぞ。文句があるなら、 尤もかつての強敵たちと比べたらそれこそ大体の敵意なんて可愛くなるんだけどね すると相手の中でもイキがいいのか往生際が悪いのかそんな罵声が飛んでくる。ま、 !! ! ﹁そのガキがムカつくのが悪いんだよ 気づいたら晴の兄妹を助けてました。…イロイロと眩しい!! 133 えろ﹂ 言うだけ言うと、俺は意識をそいつらから外して小学生組の方へ向け││ ﹁﹁⋮⋮﹂﹂ ﹁⋮あ⋮﹂ ポカン ﹂ きっとこの瞬間の俺は間抜けな顔だったに違いない ﹁うぐっ⋮京子⋮ぶじか⋮ ﹁う、うんっ⋮うんっ⋮﹂ いやでも同じ町で住んでるんだからよく ! ︽ほう ﹂ ! ふむ⋮光源氏計画と言う奴か︾ ? いくら京子ちゃんといえど、こんな小さな では今回でもその娘を嫁に迎えるのか ちょ、流石にもう恋愛感情はないからね !? ? ﹁ううん、当然の事だから。それよりごめんね、少し待たせてしまったみたいだし﹂ ﹁あ、あの⋮お兄ちゃんをたすけてくれてありがとうございます そりゃまぁ嬉しいんだけど。頼れる仲間だし、⋮⋮⋮⋮お嫁さんだったし ﹁⋮手当てが遅くなっちゃってごめんね。今、救急車は呼んだから﹂ ぞ今まで会わなかったというべきか ⋮うわちゃー、白蘭に引き続きまたかー、 だって、これまたものすごぉく見覚えのある顔だったからだ ? 134 ﹂ 子にそう言った感情は抱かないからね ﹁⋮⋮ん゛っ !? た。もしかしたら心臓も止まってたかもしれない と、反射的にそう言い返した俺は、聞きなれたある人物の声に数拍体の動きが停止し !? ﹂ ? ﹁⋮⋮⋮うん、これでよし﹂ ! なーんて、考えていられたのもそこまで。再度かけられた妙な威圧感を込めてくるト ︽これ、これ宙よ。俺の事を無視するとは酷いぞ︾ あ、あと母さんにも遅れるかもしれないって連絡しとかなきゃなー つ。因みに連絡してからまだ5分も経ってないのでもうちょっとかかるだろう そんなこんなでちょっと現実逃避しながら手早く処置を終え、大人しく救急車を待 ﹁う、む⋮たすかった、ぞ⋮ ﹂ 頭部は本当にちょっとの怪我でも血が出やすい。だから止血は本当大事 ぐったお兄さんの割れた額に縛りつける もの包めるし、簡単に人形になってツッ君喜ばせられるし超便利なんだよね︶を血をぬ 京子ちゃんの心配そうな声に返事をしつつ、持参の風呂敷︵これ、一枚あると色んな ﹁ナンデモナイヨー﹂ ﹁お兄さん 気づいたら晴の兄妹を助けてました。…イロイロと眩しい!! 135 アル初代様に内心で深ぁい溜息をつく やだなー、無視したから絡むのめんどいなー。そう思いつつ、いやぁな予感と共に目 線をちょっとあげた 途端、全力で目を逸らしたくなった俺は悪くない ︽お、漸く視線を合わせてくれたな︾ 136 気づいたら大地が蹂躙されていました。⋮くそっ 嫌な予感がした 2年ぶりに来た、直接会って話がしたいという旨の手紙 記されていた約束の日時には一週間もあったけど、急かされるように休職届けを出し だけど、その手紙を受け取った瞬間。ひたすらに嫌な予感がして ていたことだった 送り主は親友といって憚らない相手で、家族に会わせたい、というのも常々言い合っ !! て日本を発ったのはやはりうっすらとその最悪の出来事を予感していたからかもしれ ない ﹂ ! その記憶を頼りに走って走って走って そして2年前に直接会った時に教えてもらった、新しい住居の事 前 回 に 一 度 だ け 資 料 を 見 た こ と が あ る。シ モ ン の ⋮ 炎 真 の 家 族 が 襲 撃 さ れ た 場 所。 ない、と 待ち合わせ場所は、そこそこ有名なホテル。けれど、超直感が訴えてくる。そこじゃ ﹁はっ⋮はっ⋮ 気づいたら大地が蹂躙されていました。…くそっ!! 137 ガシャンッ ﹂ 音がする ﹂ ようやくたどり着いたその場所で、既に戦闘音が聞こえることにサッと血の気が引く ﹁っ !! ﹂ ? く ! ﹁⋮⋮っっ﹂ うな朗らかな笑みで その姿らしい声音で、その姿らしい口調で、あっけらかんと、今日の天気でも話すよ ﹁││やぁ、宙くん久しぶりじゃないか こんな所で会うなんて奇遇だなぁっ﹂ その事実に呆然とする間もなく、この惨状を作りだした張本人が俺の姿を見て口を開 遅かった。間に合わなかった。助け⋮られなかった。 ﹁おや そしてそれらを見下すように、中央に君臨する見慣れた〟沢田家光〟の姿 ようにしてくたりと力なく地に横たわる幼子の姿 散乱する家具。血にまみれた真と、恐らく奥さんの⋮女性の骸、その女性に抱かれる バンッと鍵のかかっていなかった玄関から押し入り、中の様子に数瞬絶句する ﹁真っっっ !!! 138 やめろ 日本にまだいると思ってたんだが⋮﹂ ? ﹂⋮おや、これは驚きましたねぇ﹂ ちょっと仕事でね。掃除してたんだが⋮まぁ、宙くんが気にすること ﹁一体どうしたんだ やめろ ﹂ ﹁ああ、コレらか じゃあない やめろ ? ﹂ ? ﹂ !!? が、そんな相手の都合なんか知ったことか 途端に驚きのあまり目を見開くD。その目が雄弁に、俺が何者かと探っている。だ ﹁なっ その激情のまま、額と拳に炎を灯し、真っ直ぐとDを見据える ボウッッ ﹁││黙れ。お前はただ俺に殴られろ﹂ は何者なんでしょうねえ ﹁私の幻術を見破るとは⋮その姿と言い、初代霧の守護者の名を知っているといい、貴方 るのを感じる 嗚呼くそ、不甲斐なさで眩暈がしそうだ。怒りが、ぐらぐらと自分の中で煮だってい !!! ! ﹁それより││﹁っっその口を閉じろD 気づいたら大地が蹂躙されていました。…くそっ!! 139 ! ﹂ ﹁馬鹿な⋮貴方にその血が流れているはずは⋮ ﹂ ﹁戦闘中に動揺している場合か ﹁││っ ? ﹂ !? ﹁ ﹂ ﹂ ﹁⋮⋮ぅ⋮⋮ ﹂ 実体を殴られた、と気づいたDが態勢を整えるより早く、次の一撃を││││ ﹁ヌ゛ハ 腕に伝わる 当然の如く出来た隙を俺が見逃すはずもなく、バキィッと確かな殴った振動が拳から !? !? ! 途端だった ! ﹁ ⋮っ待て D ﹂ !!! ﹂ ! ﹂ 普段なら絶対に出さないような低い声で一度唸るが、そこからは意識的に深呼吸して ﹁くそっ⋮ 追う声も虚しく、今度はこちらが隙をつかれて逃げられてしまった ! お暇させてもらいましょう⋮ ﹁ヌフフフフ⋮ これはこれは手酷くやられました⋮っ⋮貴方と今戦うのは分が悪い⋮ 瞬間、生きた人の呻き声が耳朶を打つ。ついで、その事実に思わず振り返ろうとした !! !? ! 140 怒りを逃がす 頭を切り替えろ⋮呻き声がしたという事は生存者がいるということだ ﹂ ? って、あぁあっ動くなっ動くなよっ今救急車よぶからなっっ﹂ ﹁⋮誰か意識があるのか ﹁⋮あぁ、宙か⋮﹂ まだ意識が⋮ ! ピッ⋮ピッ⋮ピッ⋮ あれから一夜が経過した *** 俺は慌てて真に駆け寄ると、救出作業へと意識を向けた ﹁真っ !? ﹁⋮⋮真⋮⋮﹂ と出血量が多すぎる、ということで今日が峠と言われている ではなかったものの、あの夜の恐怖が悪夢となってよく魘されている。真は真で、傷跡 あの駆けつけた時点で分かってはいたが、真の奥さんは既に死亡。炎真は比較的重傷 Dによる襲撃は、多くの爪跡を残していった る 規則正しく点滅音を繰り返す病室で、俺は親友の血の気の失った横顔を静かに見つめ ﹁⋮⋮⋮﹂ 気づいたら大地が蹂躙されていました。…くそっ!! 141 〟生きてくれ〟 そう、言葉を、祈りを、願いを紡ぎたいのに。無駄に冴えわたる超直感が、助からな いとだけ訴えてきて嫌気がさす ﹂ こんな予感は要らない。心底そう思うが、その勘に今回も救われている あの子も⋮助かったんだぞ⋮ ? ﹁│││っなのに⋮ 真が⋮お前が⋮っ彼らを置いていくのか⋮ ﹂ !? ﹂ ! すまない⋮助けられなかった⋮ ! !! うだけで、随分と俺は弱くなってしまった ﹁真⋮すまない⋮ ﹂ 傍に彼らが⋮ファミリーがいないというだけで、あの黒衣のヒットマンがいないとい 強さも、経験も、知識も。中学生だったあの頃より段違いにあるはずなのに ﹁⋮ああくそ⋮ッ⋮弱く⋮なったなぁ⋮ 語りかけても返ってこない。それを分かっていて、言葉にせずにはいられない ! に真美ちゃんには酷い傷がなかった 真の奥さんが、正に体を張って助けた命。その身体に銃弾が埋まっていたが、それ故 声で話すんだろうな⋮﹂ ﹁まだ目は覚まさないけど⋮確実に助かるそうだ⋮きっと、真が言っていた通り可愛い 前回では助けられなかった命。けれど、奇跡的に今回は助けられた ﹁⋮真美ちゃん、だったか⋮ ? 142 助けたかった。今度こそは、今度こそは助けたかったのに その自責の念に、思わず視線が下がった時だった ⋮真っ ﹂ ﹁⋮そ⋮なこと⋮な、い⋮﹂ ﹁ ﹂ かすれた声ながらも、しっかりと意志のこもった言葉が親友の口から零れる !? 今医者を呼んで⋮﹁なぁ宙、頼みがある⋮﹂⋮なんだ ! ﹁はは⋮情けない、なぁ⋮宙が来てくれなかったらとっくに⋮﹂ !? それ以上喋るな ! ⋮子供たちに⋮先祖の業を背負わせたくはない⋮⋮ ﹂ ﹂ ちらの世界に入るのを避けているのは知っている⋮⋮だが⋮これ以上⋮⋮炎真たちに ﹁お前がボンゴレの⋮それも結構重要な⋮関係者と推測はついていて⋮⋮⋮さらに、こ 真っ直ぐと、見据えた目でそう真は頼み込んできた ﹁⋮⋮頼む、炎真たちを守ってくれ﹂ も思わず真剣になると けど、茶化してとかそういったもので無い⋮⋮静かな、決意のこもった声音にこちら とするが、当の本人に止められた それに気づいて慌てて意識を向け、存外元気そうな口調に安堵しながら医者を呼ぼう ﹁いい ? ! ﹁起きられたのか 気づいたら大地が蹂躙されていました。…くそっ!! 143 !! ついで、言われた言葉はあまりにも衝撃的なもので。知って⋮ らずに宙へと解けていく という疑問は声にな ! 義理の弟、ということを知られているのは⋮ 関係者だと⋮分かっているなら尚更襲撃者が誰なのかも⋮ ﹂ けれど、俺がボンゴレの⋮⋮若獅子と呼ばれるボンゴレナンバー2である沢田家光の いなくシモンのボス9代目なのだから 真が、シモンファミリーの本当の歴史を知っていてもおかしくない。だって彼は間違 ? モンファミリーを⋮⋮守ってほしい⋮ ﹂ そうして告げられた願いに、いよいよ喉が震える │││││││嗚呼、リボーンに今の顔を見られたら │││││││ボスとしてのポーカーフェイスが出来てねぇ うか ! ! 炎真たちを⋮シ ! なんて、蹴られただろ ﹁それでも⋮お前に⋮俺の知っている宙という青年に⋮⋮託したい⋮ その思いが、顔に出ていたのだろうか。真は少しだけ苦笑してみせた くしゃり、とみっともなく顔が歪む。Dが、ボンゴレが、敵だと分かっていたのなら ﹁どうして⋮ !? 144 頭のどこかでそんなことを考えながら、それでも必死に言葉を紡いで、返答する 守って、みせる⋮ ﹂ 何があっても⋮俺は⋮シモンを⋮炎真たちを⋮真の守ろうとしたファミ リーを⋮守る⋮ ﹁⋮っ誓う⋮ !! ! らを守る為に尽力してもいいだろうか │││││││ボンゴレのボスじゃない、一人の青年として、友として。託された彼 │││││││それでも今だけは。今の宙という人生でだけは │││││││きっと、今の俺の顔は凄く情けないだろう ! 白くなるほど拳を握りながら、俺は静かに息を引き取る親友にそう誓ったのだった ﹁⋮⋮うん、任せた﹂ 気づいたら大地が蹂躙されていました。…くそっ!! 145 原作開始 どうしたツッ君 ﹂ ﹂ !? !!! そんな相変わらずの辛辣な言葉と共に、小さな影が階段前に出来た途端、内心大いに ﹁逃げるんじゃねーぞ、ダメツナ﹂ なんて、呑気に思っていた俺だけれども よねこれ つーか最近は呼ばなくなって来たひろ兄呼びするってことはかなり内心テンパってる 玄 関 を 開 け た 瞬 間 に ダ イ ナ ミ ッ ク 突 撃 し て き た ツ ッ 君 を 押 さ え つ つ、受 け 止 め る。 ﹁うおっ !? ﹁ひろ兄助けてぇええええ いつもの如く母さんに夕食に呼ばれ、沢田家へお邪魔した正にその瞬間 ﹁姉さん、ツッ君、来たよー﹂ それは、ツッ君が中学生になってしばらくも経たない内の事だった !! 気づいたら家庭教師が家にいました⋮久しぶりだなぁっ 146 家庭教師ならひろ兄で間に合ってるし ﹂ !!!!! いい加減帰 !! 動揺した ﹁いきなり現れて訳分かんねーよ お前のせいで今日一日最悪だよもう !! う印象しか抱けないけど︶黒い瞳でこちらをじっと見つめてくる黒衣の赤ん坊 ばの部分に緑のカメレオンを乗せ、つぶらな︵その見た目に反して大いに恐ろしいとい ヒットマンの証、とニヒルに笑っていたその特徴の黒いスーツに身を包み、帽子のつ ツッ君がぎゃんぎゃん怒鳴って反論しているけど、正直俺はそれどころじゃ無かった れよ !! ﹂ ? ミスったらその分ねっちょり死ぬ気で特訓だぞ☆⋮⋮なーんて無茶ぶりも当たり前に 立つものならば、厚顔レベルで嘘を付けるようにならないとやっていけないからとと。 目を逸らしたり、言動が怪しくなったら自白しているようなものだからと。人の上に 昔、読心術に対抗する術として教わったこと ││││内心で後ろ暗さがある時こそ真正面から受けて立て 強張る。けど、それを必死に内心に押しとどめて真っ直ぐとその視線を受けて立つ 懐かしくて、愛おしくて、ちょっぴり︵過去のスパルタ経験により︶恐怖で表情筋が ﹁え、あ、あぁうん⋮。えっと、君は⋮ ﹁お前がツナの叔父の宙か。ママンから話は聞いてるぞ﹂ 気づいたら家庭教師が家にいました…久しぶりだなぁっ!! 147 行われたりして でもあって ! !!!!???? ﹂ ﹂ 母さんだってひろ兄がいれば家庭教師なん あ゛ぁああああああああツッ君ンンンンンンン て要らないっていうし ﹂ !! てかナチュラルにヒットマンの カテキョーだとかヒットマンだとか赤ん坊が何言っ リボーンを追い返すための口実で俺を使うの止めてーっ !!!! ﹁ひろ兄はちゃんとした教師なんだからな やめてーっ てんだ !! ! ﹁てゆーかお前怪しすぎるんだよ !!! !!!!! 俺は家庭教師なんて要らないって何度も言ってるだ !? お前みたいな赤ん坊に教わるくらいならひろ兄に教わるし !? まぁ確かに常識的にみれば赤ん坊だしねリボーン !! ろ ﹁ちょっ、何勝手に言ってんだよ が、そんなしみじみとした感傷は次のツッ君の言葉に跡形もなく吹き飛んでいった ⋮⋮っ年のせいか目頭が熱くなりそうだなぁ⋮ しぶりに目にするその姿は、正に青春時代を⋮⋮一番輝いていたあの時代の象徴のよう 虹の呪いが解けてから、ゆっくりではあるものの成長した姿を見慣れていたから。久 ああ、だめだ。やっぱり懐かしくて仕方がない ﹁俺はリボーン。今日からツナのカテキョーになったヒットマンだぞ☆﹂ 148 事口走らないでツッ君 !! その言葉でリボーンの、 それ聞いちゃったら俺も巻き込まれるタイプ ﹂ あああああツッ君の言い分も間違っちゃいないんだけど ﹁俺は母さんみたいに安い口上で騙されないからな !!!!! どん傷つけられていく音が俺に聞こえる訳ですよ 優秀な家庭教師として、世界最高峰のヒットマンとしてのプライドやら矜持やらがどん !!! !! !!! ﹁そうだよ だからさっさと出て行けよ ﹂ !!! まぁ、そもそもブラッド・オブ・ボンゴレを強く継いじゃって、それを九代目どころ ツッ君なんて、勝てるはずもない こんな様子の時のリボーンに勝てた覚えはないのだ。イコール、そんな俺より幼い あ、これツッ君詰んだ 角を上げニヤついてそれを見ている 鬼の首を取ったように出てけコールをするツッ君だけど、リボーンは意地悪そうに口 ! ﹁それがツナの意見なわけだな﹂ 指に入るであろう家庭教師さまなのだから だが、なにせ相手が悪い。だってヒットマンとして世界最高なら、性格の悪さも三本の ふふん、とドヤ顔︵ただし相変わらず俺の腰に引っ付き虫状態︶で言いきったツッ君 ﹁⋮成程な﹂ 気づいたら家庭教師が家にいました…久しぶりだなぁっ!! 149 か初代にまで把握されてる時点でツッ君の未来は決定づけられてたけど ﹂ それを思うとあまりに不憫な甥っ子︵もといかつての自分︶の力になってあげたい、と ﹂ 考えるのは至極当然の事だ だから│││ ﹁なら宙、お前はどう思う ﹁ひろ兄もこんな訳分かんない赤ん坊の家庭教師なんて納得いかないよな ある ﹁勿論⋮⋮⋮⋮家庭教師さんに賛成かなっ﹂ 間。 ﹁うぇえええええひろ兄│││││ ﹂ !!!??? ひろ兄が俺をウラギルなんて 瞬間、ツッ君の魂からの絶叫が我が家に響いた ﹁そんなぁ│││っっ !! ﹂ ごめんね、ツッ君☆でも大変だけど、大切な仲間ができるからイーブンだと思うよ ﹁決まりだな﹂ 大変だけど ? !!!! 当時者の一人として、2人に話題を振られた俺は、ニッコリと笑ってこう答えたので !? ? 150 ﹁ひろ兄なんで ﹂ ﹁え、だってちっちゃい子のなりきりみたいなモノなんでしょこれ ﹂ ﹂ ﹂ !? それもそうだね ﹁ヒットマンなんかに扮して遊ぶ赤ん坊なんて世も末だよひろ兄 ﹂ こっちにその銃向けんじゃね│││っっっ﹂ ﹁おい、なんかってのはどういう意味だダメツナ ﹁うーん、仲いいなぁ﹂ ﹁ぎゃーっ ? 俺ん家の最後の砦のひろ兄が突破されたらもうお終いだぁ│││││ !!! ! 昔ながらの光景を俺は生暖かい目で見守った ! ⋮⋮⋮それにしてもツッ君、俺が国語教えてたから昔の俺より語彙が多いなぁ ﹁うわー ﹂ 本当にゴメンねツッ君。俺は我が身可愛さにツッ君をリボーンに売るよマジごめん ? !? なんて思いつつ、山本節をマネしてすっ呆ける俺 ﹁全く違うよ !? ﹁ほらツッ君もよくやったじゃん、ヒーローごっことか﹂ 気づいたら家庭教師が家にいました…久しぶりだなぁっ!! 151 気づいたら野球少年が病院にいました。⋮諦めないで ﹁うっわ、派手にやったね八木沼君﹂ とだった それは、リボーンと再会し、かつての自分に生暖かいエールを送ってから数日後のこ !! やんちゃしたことで病院に運び込まれた八木沼君は、両親とも不仲なうえ学校一の不 ﹁⋮チッ、テメェかよ⋮﹂ 俺 良生徒。まぁぶっちゃけ関わりたくない生徒ナンバーワンなわけで よく生きてたなー﹂ そりゃあ新人にこれ幸いとぶん投げられるよネー ﹂ ﹁相手、質の悪いチンピラ複数人だったんだって ﹁うるっせぇよ、センコーに関係ねーだろ ﹁こらこら、病院では静かに﹂ ⋮⋮たく、テメェはんとに調子狂う⋮﹂ ! か、元気でいいよね。平和な証 それに悪態ついてるけど本気で殺そうとはしないし、いい子いい子。粋がってると ﹁ガキ扱いすんじゃねーよ いいけどさー、別に。ザンザスと比べれば日本の不良なんて可愛いものだし !! ? 152 ﹂ ﹁ま、それだけ喚ければ大丈夫っぽいね。今度からはもう少し怪我に気を付けなよ んだら見栄も何もないんだからさ﹂ ﹁だっからセンコーの指図は受けねえっての ﹁指図じゃ無くてお願いだよ﹂ 死 ? ツッ君のとこに来てるんだろうけど、まだ会ってないや。⋮⋮思考逸れた それにしてもこの八木沼君って、ホント獄寺君みたいなトコあるよなー。多分、もう !! ただのおくびょーもんじゃねーか﹂ ! ﹁はい、お願いします﹂ ﹁⋮⋮分かりました。ではそのように﹂ に焦点を絞らなくちゃいけないから世知辛いとこだけどね 要な事を聞く。といっても、やっぱり学校としては保険が適用できるかどうかって辺り そんなことを思いつつ、八木沼君を大人しくさせた後は医者に今回の医療費などの必 り可愛いよねぇ。ザンザスとかこんな可愛げまるでないし。あったら怖いけど そう言いつつ頭を撫でると、やはり悪態はつくものの、手を振り払ったりはしない辺 ﹁そ。俺、臆病者なんだ。だから、出来れば八木沼君は無理しないようにね﹂ ﹁ケッ いの﹂ ﹁俺、痛いの駄目なんだー、だから痛そうな八木沼君の姿見てると俺も痛くてしょうがな 気づいたら野球少年が病院にいました。…諦めないで!! 153 通ります ﹂ そうして話を終えて、さて帰ろうかと思った時だった ﹂ ﹁どいて下さい ﹁わっ !! ﹂ !! ﹁武 ﹂ 病院についたぞ ﹁う⋮ぐぅ⋮ ﹂ !! ︶ !! けで山本と仲良くなれたのもあるけど、それは同時に山本を巻き込むきっかけにもなっ 前回、俺の考え無しな言葉で山本が腕を折ることになってしまった日。これがきっか 〟今日〟だったんだ ︵⋮⋮⋮⋮⋮⋮あぁ、そっか︶ であったものの、通常ではありえない色になっていれば、骨折したのだと分かる 既に通り過ぎ去ってしまった彼は、脂汗の浮いた状態で腕を押さえていた。パッと見 ︵⋮⋮山本⋮ とても見覚えのある、黒髪の少年で ! ! そして、その怪我人は ﹁⋮っっ ガラガラと、新たに怪我人が搬送されてきた !? ! 154 た ︵⋮⋮リボーンの事だから、もう山本には目をつけてたんだろうなー︶ 多分、体育が山本の得意な野球の時に獄寺君が外国に行ったのは、俺が一人で山本と 話せるようにだろうし。それに、マフィアとして生きていかせるなら、腕の一本や二本 失いかけた程度で逃げ出すような奴は⋮ 閑話休題 キラキラした、純粋な目は薄汚れた大人には時々キツいんだよネ 父さんと比べたら大体の大人はまともに見えるだろうけどさ。 なんでか、ツッ君は俺をものすごぉおおおく尊敬した目で見てくる。そりゃあまぁ、 ︵⋮⋮⋮ツッ君には見せられないなぁ︶ まっている俺がいて どこまでいっても予測でしかないけど、それもありえない話じゃないと納得してし ない でも、リボーンだからこそ俺をボスにするために多少のリスクを敢えて行ったかもしれ もしかしたらリボーンだってここまでの大事にするつもりはなかったかもしれない。 あーもう、やだなぁ⋮。すっかりマフィアとしての考え方が身についちゃってるよ ﹁⋮⋮⋮⋮はぁ﹂ 気づいたら野球少年が病院にいました。…諦めないで!! 155 ﹁⋮⋮ ⋮﹂ す言葉を ︵⋮⋮⋮駄目だ、冷静じゃないな︶ 何を言えばいいというのだろう ⋮⋮⋮声を、かけるべきだろうか。〟俺〟のせいでこうなってしまった山本を、励ま ﹁⋮⋮﹂ ている様子が伝わってきた 心配そうにかけられた言葉にも、山本はぼんやりと返すだけで。誰が見ても、消沈し ﹁⋮ああ⋮分かってる、親父⋮﹂ ﹁⋮武、あんま⋮気を落とすんじゃねえぞ﹂ 年が出てきた。予想通り、その片腕は痛々しい白い包帯で覆われていて そんなことをうだうだと考えていると、先程運び込まれた部屋からふらりと一人の少 ! 声を、掛けて。何を言うんだろう ? ? ﹁⋮ちくしょう⋮っ﹂ ゴッ そう、一歩を踏み出すのを躊躇った時だった ない。お互いがまだ、そこまでの知り合いじゃない 今の山本にとって、俺は赤の他人、見知らぬ大人。ツッ君との接点さえ、山本は知ら ? 156 鈍い打撃音が、近くの壁から聞こえてきた。気配を探れば、それは山本の起こした音 で ﹂ ! 片腕が使えない故に対した威力はないまでも、繰り返し繰り返し殴り続けていれば拳 ﹁ちくしょうっ⋮ちくしょう⋮ちくしょう⋮ が痛んでもおかしくない ﹂ !! ﹂ !? ﹂ ? 大人 ズキ⋮と、僅かに胸が痛む。仕方がないことだけど、仲間に⋮⋮〟知らない〟と言わ ﹁⋮⋮誰か知んないスけど⋮⋮関係ないじゃねーすか⋮﹂ ﹁何があったかは知らないけど、自分を傷つけるマネは感心しないな﹂ あ、やっと目の焦点があってきた。大分危ない精神状態だったみたいだ ﹁何なん⋮スか⋮ 付いた山本が大きく目を見開いてこちらを凝視してきた パシリ、と振り下ろされた拳を掴み、自傷行為を止める。途端に、漸く俺の存在に気 ﹁ ﹁そこまでだよ﹂ ﹁ちくしょお⋮ 〟ツナ〟としても、〟宙〟としても ともだち ︵⋮⋮どっちにしても、放っとけないな︶ 気づいたら野球少年が病院にいました。…諦めないで!! 157 れるのはやはり辛い ﹁健康的な体だし、何かスポーツでもやってるのかな だったら、余計にその怪我は恨め ﹁⋮⋮﹂ ﹁⋮君は今、若い身空で怪我をして、自棄になってるんだろうね﹂ ある今だからこそ、出来ることを それはもう、俺が沢田綱吉でない代償のようなものだから。それならば、赤の他人で ね︶ ︵⋮⋮仮に本当の事を話したとしても、ツッ君がいる以上は同じ関係にはなれないし、 なんていられない でも、それはこれからずっと覚悟していかなきゃいけない事だ。イチイチ、気にして ﹁⋮そうだね、関係ない。だからこれから俺が話すことは単なるお節介でいいよ﹂ 158 ちゃいけない﹂ ﹁辛いし、苦しいし、諦めた方が楽かもしれない。でも、〟自分を諦めること〟だけはし ﹁⋮⋮え⋮﹂ ﹁だけどね、〟自分にはもう、何もない〟なんて⋮⋮⋮諦めるのだけは駄目だよ﹂ ﹁⋮⋮﹂ しいものかもしれない。│││夢を、見失って絶望したかもしれない﹂ ? 自分で、自分の価値を見失っても。どうすればいいのか分かんなくなっても │││││山本には、山本を心配してくれる、親父さんやクラスメイトがたくさんい るんだから 誰かに必要とされていることを、決して忘れないでほしい。ダメツナ、と呼ばれた俺 なんかとは比べ物にならないくらい、山本は愛されてきたんだから ﹂ ! ﹂ !? そう思いつつ、俺は山本の頭をぽん、と撫でるとその場を後にした ﹁あ、あの⋮ ﹁じゃ、また縁があったら﹂ もなければいいけど⋮そうはいかなそうだって、超直感が言ってるんだよねー そこまで言って、山本と視線を合わせると大分戸惑った様子だった。このまま、何事 ﹁おおい、武 ﹁え、あ、いや⋮その⋮﹂ ﹁⋮⋮じゃ、大人の説教はこれで終わり。ごめんね、いきなりこんな話をしちゃって﹂ と一緒に引っ張り上げてくれたのはいつだって山本だったんだから 山本なら分かるはず。だって、ずっと自分はダメツナだからって卑屈な俺を、獄寺君 と考えるんだよ﹂ ﹁⋮君はまだ若いんだから、簡単に諦めないで。本当に自分には何もないのかを、ちゃん 気づいたら野球少年が病院にいました。…諦めないで!! 159 160 ⋮⋮⋮⋮⋮山本のお父さんに不審者扱いされてないとイイナー ﹂ ﹂ ﹂ 気づいたらご飯を振るまってました。⋮召し上がれ それはとある金曜日。俺は│││ ﹁はーい、じゃんじゃん持ってってねー﹂ ﹂ 本当に俺も食ってっていいんスか ﹂ 宙さんって料理上手いんですね ﹁え、あっ、あの ﹁スッゲー ﹁ぜーんぶ俺っちのものだもんねー それは、なんてことのない母さんの一言がきっかけだった *** かつての仲間たちに、手料理を振る舞ってましたとさ !? ! !! ! う。つまりはツッ君、リボーン⋮この時期ならランボとイーピンもいる可能性が高い 母さんは2人くらいまでなら名前で呼ぶが、それ以上となるとまとめて呼んでしま すね⋮である まず、これを聞いて思った事。ああ、既に我が家にはリボーン以外の居候もいるんで ﹁ひー君、今日のツッ君たちの夕飯づくりお願いしてもいいかしら ? ! ! ! ﹁うわわ、待って待って兄さん作るのはっや 気づいたらご飯を振るまってました。…召し上がれ! 161 ま、人数が増えていようと答えなんて決まってるけどね だって、一気に世話する人数が増えて大変な母さんの頼みだもの。俺が断るはずもな ﹁もちろん、大丈夫だよ姉さん﹂ ﹂ 果たす ﹂ い⋮⋮というか、前回のことを思えば引き受けないと罪悪感で禿げそうだし ﹂ それ俺の分のハンバーグだろ そんな訳で俺はニッコリ笑って引き受けたのだった ﹁あっ、こらランボ ﹂ よりにもよって十代目のものに手ぇつけるだなんて ﹁ランボさんが食べるんだもんねー ﹁テンメェ ﹁おい、しー そんな子供心を掴むようなことなんてしてないと思うんだけど 精々、部下発言も笑って受け流したり、飴あげたりしたくらいで おっかしいな∼ !!! !? そうそう、ランボとイーピンには不思議なことに既に懐かれた ﹁喜んで貰えて何よりだよ﹂ ! ! ? ﹁ほら、山本君も食べて食べて。育ちざかりなんだからこれくらいじゃ足りないだろ ﹂ ? 母さん以外に警戒心を抱いてると思ったんだけどなー この頃の2人って、小さいけどそれなりに裏社会を生きてきた身だからまだツッ君と ? !! ! ! 162 ﹁あ、その、ど⋮どーもっす﹂ 内心でそう首を傾げつつ、カラになっていた山本のご飯茶碗を目ざとくみつけておか わりを促す 因みに山本はあの病院以来会わなかった俺のことを覚えていた。なんでも、やっぱり 屋上ダイブはやったそうなんだけど、ずっと俺の言った言葉が残っていたらしい 俺の言葉じゃ引き止めるまで行かなかったのは残念だけど、ツッ君と仲良くなったな らまぁいっかな、と思ったり ︶ で、それはともかく ︵うーん ﹂ 俺の顔に何かついてるかな ﹂ ﹂ ? ! と獄寺君に事情説明をして ツッ君からは幼い頃からお馴染みの〝やっぱりひろ兄ってすごい 山本君 ラ目線をいただいたりしたのはまぁいい。いい、んだけどー⋮ ? あ、いえ、その⋮何でもないッス ﹁⋮⋮獄寺君 ﹁ハッ !! ? 〟というキラキ そんなこんなで俺に再会して驚いた山本と、そんな山本を見て怪訝そうにするツッ君 ? ﹁え、あ、スッゲー旨いです !! ! なーんか妙に2人が挙動不審なんだよね∼。はてさて、なんでだろう ? 気づいたらご飯を振るまってました。…召し上がれ! 163 山本はまぁ、さっきも言った通り自分が弱ってるとこ見られたから恥ずかしいって思 精神で嫌われると ! うなら分かる ﹂ でも獄寺君は今回、今日が初対面。てっきり、年上の男は皆敵 箸止まってるけどどうかした 思ったんだけど⋮ ﹁兄さん ? だけど、そんな態度悪い俺にも関わらず、その人は怒るでも苛つくでもなくただ静か 知らぬ大人にそんな事言われればいくら俺だって反発する 正直、何だコイツ、と思ったのは仕方ないことだと思う 。自棄になってた時に、見 ﹃なにがあったかは知らないけど、自分を傷つけるマネは感心しないな﹄ に、わざわざ声を掛けてきたのがあの人だった の神さんに見捨てられて、もう生きる理由すらなくなったと思いこんでいた馬鹿な俺 その人に会ったのは、練習のやりすぎで腕をやっちまって、病院に運ばれた時。野球 山本Side *** 俺はのほほーんとそう結論を出した ⋮⋮ま、嫌われてないならいっか ﹁んーん、なんでもないよー﹂ ? 164 に諭してきた。そして、 ﹃〟自分にはもう、何もない〟なんて⋮⋮⋮諦めるのだけは駄目だよ﹄ 一番に響いたのはこの言葉。何よりも自分が思ってたことを言い当てられて、なん で、どうして、初対面なのにわかるんだ、って混乱した 結局、混乱したまま名前も聞けずにその場で別れてしまったけど だけど、だからこそツナの言う兄さんがその時の人で︵病院の時は薄暗かったしまと もに顔見てなかったからツナそっくりにまず驚いた。獄寺も石化してたし︶ 驚いて言葉を失くす俺に、 ﹁よかった、元気になったんだね﹂って言葉じゃ無く雄弁な 眼差しで言われて、ツナに頼られてる人、って事実で一方的に燃え上がってた対抗心が 見る見るうちに消えていった。代わりに情けないところを見られた羞恥心とか、色んな 感情がごちゃまぜになって⋮なのに、そんな俺の変な様子も気にかけず受け入れてくれ るし、ツナの言う通りめっちゃ優しいし、頼れるオーラ出てるし⋮⋮あぁあもう俺自分 ! 囲気も似てるので叔父甥というより兄弟みたいだな、なんて思ったり 食べ終わった食器を片付けながらそんな会話をするツナと⋮宙、さんは、正直顔も雰 ﹁ま、これでも一人暮らしですし でも全然姉さんには敵わないんだけどね∼﹂ 相変わらず兄さん料理上手いよね∼﹂ でも何言ってんだか分かんねえ !!! ? ﹁ごちそーさま 気づいたらご飯を振るまってました。…召し上がれ! 165 そのっ ま、間違えただけッス ﹂ てか、いいなぁツナ。俺兄弟居ないけど、こんな兄なら確かに欲しい⋮ツナがあんだ 味付け薄いとか量が足りなかったとか無かったかな 今のはっ ! ほんっと ? け嬉しそうに話すのも納得だぜ⋮兄ちゃん⋮なーんて⋮ ﹁あ、二人はどうだった ぼーっとなんとなくそんな事を考えていたからだろう 本人の目の前で何言ってんだよ俺 あ、えっと、スッゲー旨かった兄ちゃ⋮⋮⋮⋮あ゛﹂ 俺はこのあと、とんでもないミスをする ﹁へっ ﹂ よりにもよって、よりにもよって ﹁え ﹁ん゛ん゛っ⋮﹂ ﹂ あのっ ! 気にしないでいいんで !! 何いってんだ俺 ! !? つーかほぼ初対面の人に言う台詞じゃないし、そもそも俺の兄じゃないし ﹁や、山本⋮ !? !! ? ﹁いやっ ﹂ ! 不意に、一人の笑い声がその場に響いたことで場の空気が変わった テンパりすぎて何を言えばいいのかも分かんなくなった俺だったけど カーッと顔に熱が集まるのが分かる。頭ん中はヤバい、どうしよう、の言葉ばっかで、 !!! ! ? !? ? 166 ﹁⋮ふふ、ツッ君だけじゃなくて山本君にまで兄呼びされるなんてくすぐったいねぇ﹂ そう微笑んで、こっちを見てくる感じは本当に嬉しそうで、つい呼んじまっただけな のに、こんなにも温かな眼差しで見られるとなんだかムズムズしてしまう ﹂ ﹂ ﹁でも、丁度いい機会だから言っておこうか。ツッ君たちに俺からのお願い、いいかな ﹂ ﹁兄さんからのお願いって珍しいね。俺に出来ることなら まった俺たちだったが ﹂ ﹁これから、〝兄〟呼びは禁止ね♪﹂ ﹂ ﹁エッ、なんで ﹁はいっ !? ﹂ って、ちょっとまってくれよ 俺ちゃんと疑問形で返したぞ ﹁よし、とりあえず山本君からは言質取った∼﹂ !? !? ﹁ほらほらツッ君も兄呼び禁止だよ∼﹂ けど、俺の内心は伝わらず代わりにツナが頑張って食いつく ﹁いきなりなんでひろ兄 !? !? だからこそ、その後にどこか悪戯っぽく言われたお願いに流されるままに頷いてし ! ? ? ﹁え、あ、はい⋮ 気づいたらご飯を振るまってました。…召し上がれ! 167 が、宙兄ちゃんは物凄くいい笑顔であっさりそれを却下した。ついで、言われた理由 でも正直年齢不詳ってのは深く納 宙兄ちゃんって親父と10歳くらいしか離れてないのか てっきり叔父甥 兄呼びなんてされてたらいつまでたっても年齢不詳 にもう驚くやら深く納得するやらで ﹁だ っ て 俺、も う 3 0 な ん だ よ ﹂ じゃん。ぶっちゃけそろそろ出会い欲しいんだ﹂ 嘘だろ ﹁切実だねひろ兄 !!! といっても一ケタくらいしか違わないと思ってた 得した ! !? く落ち込むツナが学校で見られるようになるのだと俺はまだ知らない その後、俺の失言のせいで少しの間、宙兄ちゃんの事を兄呼び出来なくなり、しばら !!! !? ? 168 気づいたら眼鏡少年を助けてました。⋮ん゛っ 怒涛のテスト採点を終えた麗らかな土曜日 !? なんでこうなったのかなぁ ﹂ 冷蔵庫が味噌と豆腐と納豆という大豆オンリーな現状をどうにかしようと買い物に アッレ│おかしいなー !!? ︶ !! ︵︶ !!? どう考えてもおかしすぎ !! ︵⋮⋮イヤイヤイヤイヤ 最後おかしすぎ どうしてこんなある意味都合よく事が 袋を放り投げる↓素晴らしい奇跡でソレがカツアゲしていた不良の頭上に↓不良死亡 に行こう↓無事に買えたぜよかったぁ、と思ってたら石に躓いてうっかり缶詰の入った 朝起きる↓冷蔵庫に上記の食料しかない↓食べ物無い、オワタ︵笑︶↓よし、買出し ︵⋮⋮待て待て落ち着け、自分の行動を今一度振り返ってみよう︶ !? !! 向かった⋮⋮はずだったんだけどもぉ 助けてくれてありがとうございましたぁあああ ! 俺は何故か、一人の涙目の少年にお礼を言われていた ﹁⋮いーえー﹂ ﹁あ、あぁああのっ 気づいたら眼鏡少年を助けてました。…ん゛っ!? 169 進んじゃうのさ 大丈夫 ﹂ 僕は⋮大丈夫⋮ですケド⋮﹂ ﹁⋮えーっと、ケガとか無い ? ︶︶ ? 1つは見なかったふりでこの場を去る。幸い ここは人気のない場所なのでここで それでも、いつまでもそうしてはいられないのである。選択肢としては2つ ﹁⋮⋮ハァ﹂ 閑話休題 目でそんな事を考えた 初対面のはずなのに、ここまで心がシンクロするのも珍しいよナー。俺はどこか遠い ︵︵この不良、どうしよう 多分、俺たちの胸中は一緒だろう ﹁うん⋮そうだね⋮﹂ ﹁⋮えぇっと⋮﹂ 視線をさまよせた後、不良へと向けた 内心で頭を抱えながら、とりあえずそう言うと少年│││基、入江君は戸惑うように ﹁あっ、は、はい ? !! ! 良ければ関係者であり、姿を知られている入江君がのちのちトラブルに巻き込まれる可 そっ⋮と去っても誰にも見られず事件は迷宮入りするだろう。ただし、相手方の記憶が ? 170 能性がある 2つ目はここでけがの具合を確かめてから病院なりなんなりと対処する。ただ、これ もこれでどこまで正当防衛が認められるか⋮という問題点がある。いやマァ正当防衛 も何も偶然の産物なんだけど でも一応これ傷害罪引っかかりそうなんだよなー 俺、仮にも教職⋮公務員だからバレた時が怖い。校長とかに知られたら左遷させられ そう。生徒とかは兇器・缶詰の時点で爆笑してくれるだろうけど ﹂ ? ﹁い、いいえっ 迷惑じゃ無ければ⋮僕もつきあいます そ、そもそも⋮っ僕が絡まれて だから、出来るだけさり気なく逃がそうと思ったんだけど⋮ はいえ、肉弾戦なんてものは向いていない だけど、入江君にはそれはない。あの未来の時も匣兵器とその知略を巡らせていたと の力はある 悪、キレて殴りかかったとしても俺一人なら対処できる。恨まれても、対応できるだけ そんなことを内心で思いながらも、入江君にそう言って関わらせないよう促す。最 ら、君になんらかの理不尽を行いかねないし﹂ ﹁あー、そうだね。とりあえず、君はここを立ち去った方がいいかな。彼が目を覚ました ﹁あ、あの⋮ 気づいたら眼鏡少年を助けてました。…ん゛っ!? 171 ! ! いたのが悪いんで⋮ ﹂ 分も責任を持つという何よりの宣告だった ところどころどもりながらも、彼の口から発せられたのは拒絶の言葉で。同時に、自 !! に名をはせていたんだろう もし、彼がマフィアに関わらない道を選んでいたら、それこそ己の信念をもって世界 に 知らず、笑みが零れる。こんなころから、既に自分の知る彼の片鱗を持っていること ﹁⋮⋮ふふ﹂ だった きることのできる強い意志。純粋な力だけではない、彼もまた敵に回したら手ごわい敵 逃げればいいのに、誰も責めやしないのに、それなのに、その責任感と重圧を背負い きる強い人間だ ぎる事実に、けれど絶対に逃げずに親友でもあった白蘭を倒そうと覚悟を持つことので ラベルで白蘭の能力を開化させてしまったことで幾つもの世界を亡ぼした。その重す 忘れていた。彼は、ただの気弱な少年などではない。自分が知らずに行ったタイムト それに目を丸くしつつ、内心でこっそりと苦笑を浮かべる ︵⋮⋮参ったな︶ 172 ﹁あの⋮ ﹂ も見えない ﹁そ、そうなんですか ﹂ ? や っ ぱ り 頭 だ し、何 か あ っ た ら 怖 い し。 ? なんて思考の海に沈んでいると、不意にポツリ、といった風情で入江君が声をかけて ﹁⋮⋮凄いですね﹂ えたって仕方がないよねっ ふとそれに思い至ってまた若干遠い目になりかけるが、すぐにそれを追い払う。⋮考 してた気もするケド ⋮⋮この頃の俺、何かあればリボーンに頭蹴られたり撃たれたり撃たれたり撃たれたり で も 一 応 病 院 に は 行 っ た 方 が い い か な ー ﹁うん、ホラ目も充血してないから脳にも異常はなさそうだし﹂ ? ﹂ 良君の怪我の状態を見る。とはいえ、血が流れている様子もないし、重篤な意識不明に すっかり横道に逸れてしまった思考を頭の隅に追いやりながら、さて、とばかりに不 本気で忘れてくれてるとイイナー まぁ、入江君の場合はスカウトするの白蘭次第だけど。ていうか白蘭といえば俺の事 ﹁ああ、なんでもないよ﹂ ? ﹁んー⋮綺麗にたんこぶ出来てるし、病院にもいかなくて大丈夫かな 気づいたら眼鏡少年を助けてました。…ん゛っ!? 173 くる けど 正直、前回学校も引きこもり気味だった俺に比べれば入江君十分凄いんだ ? で、でも⋮﹂ !? 頭いいし、学校ちゃんといってるし、こうして厄介事にも見てみぬふりしないでちゃ を引いて逃げてるよ、絶対﹂ ら冷静に見えるだけ。じゃなかったら、最初に不良君を気絶させちゃったときに君の手 ﹁今回はね、関わったのはたまたまだったけど、まだこれは俺の対処できる範囲だったか ﹁えっ⋮ 逃げる自信がある。大人だとかそんなこと関係なしに、ね﹂ ﹁⋮そんなことはないよ。俺は、君が思ってるより臆病だし、厄介事に関わったら即座に ? エエー⋮ 僕とは大違いです、と続ける彼はどこか自嘲の笑みを浮かべて泣きそうな顔でいた ﹁それどころか⋮不良のことも⋮冷静に対処してて⋮﹂ 手もまた自分に思っていたなんて ついで、言われた内容に密かに瞠目する。まさか、自分が相手に思っていたことを相 らないようにすればいいのに⋮ぜ、全然⋮逃げないで⋮﹂ を簡単に伸しちゃって⋮そのまま、それこそ僕も不良も見なかったふりをして⋮⋮関わ ﹁なんか⋮僕は不良に絡まれただけで震えて怯えてたのに⋮⋮貴方は偶然だけど、不良 174 んと対処しようとしてるし うん、やっぱり入江君は十分に凄いよ いけど、大抵の人間はそういうものだよ。でも、怯えたまま逃げるのか、いつか自分で ﹁君は不良に怯えたこととか、冷静に対処できなかったことを恥じているのかもしれな も対処できるように立ち向かうのか。それが分かれ道なんじゃないかな﹂ あ、でも勇気と無謀は違うからその時はちゃんと周りに助けてって言うんだよ、と最 後は少しおちゃらけて話す ﹂ ? ら﹂ そんな俺と比べれば自信も出てくるでしょ ﹁エッ、チワワ ﹁そ。どう ﹂ ? !? えぇ、まぁ⋮﹂としどろもどろな返答が返ってきた 江君は目を見開く。それをクスクス笑いながら茶目っ気たっぷりに尋ねると、 ﹁え、あ、 なのでとびっきりのダメダメ話を持ちだすと、予想以上にひどい有様だった事実に入 ? ﹂ ﹁勿論。寧ろ、今の君より酷いね。なんてったって、俺はチワワにすら怯えてたんだか を見てきた すると、しばしの沈黙の後、入江君はどこか縋るように⋮希望を見つけた眼差しで俺 ﹁⋮貴方も、そうだったんですか 気づいたら眼鏡少年を助けてました。…ん゛っ!? 175 ﹁さて、それじゃ一応病院に運んでおこうか。お節介かもしれないけど、ね﹂ だって不良って大抵親と不仲な場合多いし。黒曜中でもこういうケースの時って親 と本人のいざこざが面倒なんだよねえ。この間の八木沼君なんか典型的なそのタイプ だったし ﹂ じゃ、じゃあ僕は被害者として証言しま⋮あっ、そういえばお兄さんの名前 はなんていうんですか ﹁あ、はい ﹂ が、それはともかく。ちょっと待って入江君。今言った俺の呼称おかしくない ﹁⋮⋮ごめん、もう一度言ってもらっていい ﹁お兄さんの⋮その、助けてもらった恩人の名前を知らないままだったんで⋮﹂ うん、その理由はとても好感度抜群なんだけどね ﹁あー、うん⋮とりあえず一つ訂正しておこっか﹂ ﹂ お兄さん二十歳くらいじゃ無いんですかっっっ !!!??? ﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮えぇええええええええええぇぇええええええ 言った瞬間、入江君の時が止まり ﹁俺、君と倍近く年離れてるよ﹂ 至極不思議そうな表情に、本当に気付いてないんだなー、と内心ガックリしつつ ﹁はい ? ?? ? ? ! 176 !!? 気づいたら眼鏡少年を助けてました。…ん゛っ!? 177 数拍後、心からであろう絶叫に目尻が濡れたのは気のせいだということにしておこう 気づいたら毒蠍に手料理を振るまわれてました。⋮って 死ぬ 拝啓、獄寺君 俺は久しぶりに君のお姉さんに命を狙われています 殺意にまみれてるもん いいじゃん今そんな それ言葉通り天国へ召されろというような意味だよね ﹁さ、どうぞ召し上がれ﹂ 場合じゃ無いし !? ﹁は⋮はは⋮﹂ ていうかビアンキぃ だって目が笑ってないもん !! いい年した男が語尾に〟もん〟を付けるなんて気色悪いって ! ! ? のだ ︵⋮⋮、本当、なんでこうなったんだろ⋮ ︶ 体。毒々しい色あいで、誰がどう見ても〟これ食べたら死んじゃうよねっ〟と言えるも 目前のテーブルにあるのは、ブショワァアアアッと凶悪な音と煙を発する未確認物 ︵⋮⋮ああ、なんでこうなったんだろ⋮︶ !! ? !! 178 今日は、この間おすそわけで使われた皿を母さんに返しに来ただけで、ツッ君たちと 会えないのは残念だけど、リボーン対策に超直感を駆使しつつ、学校を早めに終えて平 日の昼間にやってきて リボーンはいなかったけど、何故か敵意&殺意MAXなビアンキがいて、すぐさま用 件を終えて踵を返そうとしたら善意度100%な母さんに親交を深めてね♪と二人っ きりにされ、ビアンキ手ずからの料理を振るまわれて 絶賛、死のピンチ☆で ﹂ だって食べるまで逃がさないってオーラでまくりだもん 遠慮せずに﹂ にー、なんて言い訳しながら躱せるけど⋮ ﹁さあ、どうぞ ﹁え、ぇーっとぉ⋮ 絶対に無理 食べたら幾らなんでも俺死んじゃうって これは無理 !! !! ? ? ! あればこれポイズンクッキング食べても死なないんだよねー 前回のビアンキ遭遇の時にリボーンに撃ってもらった胃袋強化の死ぬ気弾⋮アレが ︵あ│⋮俺、今めっちゃ死ぬ気弾欲しいナー⋮︶ !! ! いくらなんでもこれは死ぬ。死んじゃう。力技とかならまだ運よくー、とか奇跡的 ︵はははははーっ⋮⋮ワラエナイ⋮︶ 気づいたら毒蠍に手料理を振るまわれてました。…って死ぬ!! 179 お蔭でその後の人生でも毒が効きにくい体になって色々と便利に⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮あ れ、俺もしかして死ぬ気弾でリボーンに人体改造されてた ﹁⋮⋮⋮⋮⋮うわぁ﹂ チョット気づきたくなかったナー⋮あれじゃん、ボンゴレもやっぱり色々と倫理感 ? ぶっ壊れてるわ。フツー、後継者の身体を本人の許可なしに改造するってありえないっ て ﹂ 早く お あ が り な さ い﹂ なーんて、現実逃避に走っていた俺だったが ﹁どうしたの ﹁うわっ、とぉ ? 加されても俺食べれないから お嬢さーん ﹂ ﹁いいから食べなさい。はやく食べなさい。食べて死になさい !!! いくら考えても今日が初対面なんだけど 思わず年下目線で言いそうになっちゃった ﹁物騒ですねおねっ あっぶね じゃなくて !! ! !? ﹂ ﹂ リボーンに気にいられてるなんて男だろうと万死に値するわ !! ﹁俺君になんかした ﹁煩いわね ﹂ ドンッと勢いよく追加されたメニューに今度こそ顔が引きつる。止めて止めて。追 !? !!! ! ! !!! !!? ! 180 ﹁はいぃいいい ﹂ 宙 俺が リボーンに ﹂ リボーンが〟また飲みたい〟なんて言ってくれるコーヒーを淹 ﹂ !!! 寧ろおね⋮お嬢 いやまぁ俺も喜んで貰えるん 〟俺好みの味だゾ☆〟なーんて言ってたけど、そりゃ当然だから ヒー淹れる技術あがったのはお前の扱きのせいだから ならー、ってそこそこ頑張ってたけどね なにはともあれ ! むしろ俺のコー それが貴方だっていう事は既に調べ済みなのよ 飲みに来てたなリボーン ﹂ れられるヒロシという青年 たまに ﹁それかぁ│││││ そういえば !? 一度ご馳走しただけなのに時たま催促が来てたりもしてたね !!! 気に入られてる ﹂ !? !! でも別に俺は家庭教師君に深くかかわる気はないし さんの恋を応援するし ﹁え、えぇっと ! ? が止まる あ、あれ⋮ 兎にも角にも、といった風情で口走ったその単語にしかしピタリ、とビアンキの動き ! ! !!!! !! ! !! ! ! ! !!? ﹁間違いじゃないわ⋮ ! !? !? ﹁なにかの間違いじゃ 気づいたら毒蠍に手料理を振るまわれてました。…って死ぬ!! 181 ﹁言ったわね⋮ ﹁え﹂ ﹂ ﹂ なんか俺の言葉都合よく曲解されてる││││ ﹁私の恋に協力するって言ったわね⋮ ﹁え゛﹂ アッレー !!? ? ﹁ゑ﹂ わ ﹂ ﹁嗚呼、リボーン ! と、思ったのが悪かったのか。続いてのビアンキの言葉に俺は思わず固まったのだっ !!! 待ってて、すぐに私が貴方のための美味しいコーヒーを淹れてみせる ﹁でもそうね⋮リボーン好みのコーヒーの淹れ方を教わりに時々貴方の家へ行くわ﹂ あ、でも思ったより大変じゃなさそう。今までみたいに関わらなければ問題なさそう ﹁ともかく、貴方は私とリボーンの間を邪魔しなきゃいいのよ。それだけで大分いいわ﹂ 嘘だーっ絶対に最初は殺す気まんまんだったーっ す気はなかったし⋮﹂ ﹁ふ、ふふ⋮そういうことならまぁ、いいわ。ママンの弟でもある貴方だから最初から殺 !? ? 182 183 気づいたら毒蠍に手料理を振るまわれてました。…って死ぬ!! た 気づいたら風紀委員長に武器をつきつけられていまし た。⋮怖っ 嗚呼、なんでこうなったんだろう 幸 い 殺気ではなく怒気だと分かっていたから敢えて避けずに為されるがままに なっているこの状況 ? て 視界に銀色の光トンファーがうつったと思ったら、こうして武器をつきつけられてい ながら並中にやってきて 校長に頼まれて、 ︵超直感が嫌ぁな予感を訴えながらも︶仕事だからと自分を納得させ ? はい皆さんこんにちは。絶賛現実逃避中の俺です。 ﹁ねぇ、貴方。聞いてるの﹂ あぁ∼、ともにうたおうー なーみーもーりちゅー いーつもーかわーらぬー、すーこーやーかーけーなーげー だーいなーくしょうーなくー、なーみーがーいいー みーどーりーたなーびくー、なーみーもーりーのー !! 184 なのに何でこんなに怒気 ︵あと単純にリボーンが近くで見てると超直勘が訴えてるのもある︶ ⋮⋮待って待って待って そもそも俺、今回では〟まだ〟雲雀さんと面識ゼロだよね をぶつけられてんの だとしたらヤバいかも !? !? もしかして、︵顔とかで︶ツッ君の親戚ってバレてる !? ボンゴレか母さんチェデフが払ってたりしたり ︶ 壊した奴が払え、壊した奴が 特 ! だとしたら│││、今回の場合、親戚ってことで俺が払わされるんじゃ ! ︵⋮⋮っっ冗談じゃねぇええええええええ にお前だよリボーン しがない一般公務員の身分でそんな金額払えるか !!! うじゃないって言ってるんだよなぁ⋮ 落ち着け、落ち着くんだ俺。幾らなんでもそれは不確定すぎるし、何より超直勘はそ ︵いやいや、待て待て︶ !!! ? ? しかもしかも、その修繕費云々って俺ツナには来なかったけど、もしかしてリボーン を結構破壊してたような⋮ だって確かこの頃の俺︵というか主なのは獄寺君やリボーンだったけど︶って、並中 ? ︵あ、まさか⋮⋮︶ 気づいたら風紀委員長に武器をつきつけられていました。…怖っ!! 185 仮に、そうだとしたら。雲雀さんの怒気の行き先が俺〟だけ〟に向いてるのは妙だ どうもツッ君たちの巻き込まれって感じがしないんだよね 長年、 ︵一応仮にも︶彼のボスとしていたから分かる、この後の展開。それに気づいて ﹁⋮⋮つまり、貴方は並中に対して舐めた行動を取ったってこと﹂ 思いだしから、というだけではなく ついで、続けられた言葉にひくり、と顔が引きつる。それは、真たちの痛ましい死を ﹁そして、5年前。並中の教員でありながら、突然の理由なき退職﹂ ロフィールを読み上げ始めた。 なんて思考が逸れていると。唐突に、雲雀さんが︵めちゃくちゃ睨みながら︶俺のプ ﹁││宙、30歳。現在は黒曜中学の国語教員﹂ か、ホント 骸みたいに煽るのもアレだけど、無反応も怒るんだもんなー。なんて厄介なんだろう イグイ締め上げられてますからね、今まさに ただでさえ戦闘態勢なのにこれ以上刺激したくないじゃん。つい忘れそうだけどグ おく俺。いやだってこのまま無言でいると問答無用で咬み殺されそうだし そんな事をつらつらと考えつつ、ドンドン増してくる圧迫感に困惑した声を漏らして ﹁え、えぇっと⋮﹂ 186 しまったからで ﹂ ﹁││││っっ咬み殺す どうする俺 デ ス ヨ ネ ー ﹂ ヤバいヤバいヤバい この頃の雲雀さんなら炎な だとしたら即戦力認定マフィア入り決定この それなら多少の戦闘スタイル見られたって になっちゃわない だけどリボーンが見てるんだよなー 期の平穏人生さようなら│ 戦っちゃう 戦う ! てかそもそも九代目にも一回ちゃんと断ってるし 良し大丈夫 それに一応、留学時代に中坊ザンザスと対等に渡り合える程度には強いっ て聞いてるだろうし リボーンマフィアの方は問題なし ! ! ここまで思考する所要時間は約10秒。そうと決まれば⋮ ! !! ! 誤魔化せる ? ! アッでも俺ラルに師事してたんだった ! ! !? ﹁うわぁっ ? ! ! しでも︵余力を残して︶勝てる ! ! ! ? ! !!! !? ! チャキ、と構えなおされる武器トンファー。うん、ここまで来ちゃったらやっぱり⋮ ﹁それにも関わらず、こうしてノコノコと僕の前に現れたんだ。⋮覚悟は出来てるよね﹂ 気づいたら風紀委員長に武器をつきつけられていました。…怖っ!! 187 ﹁ 、へぇ⋮﹂ ね嬉しくないわ え 反撃しないのかって ﹁ちょこまかと⋮ いやだって何だかんだ悪いの俺の方ですしおすし ? ﹂ ねハイ。しかもちょっと嬉しそうな顔してますけど、やっぱりここでも戦闘狂なんです そんなこんなで、叫び声と共に︵自然を装って︶避けた初撃は完全に急所狙いでした ! 碌な理由説明もなく、突然仕事 ? 攻撃を避け続けながら、ますます膨れ上がっている怒気を肌に感じながらさてどうし ︵思っては、いるんだけどもぉ⋮⋮︶ 要するに一発くらいならまぁ、甘んじて受けようかなー、とは思ってる 怒りは並中の風紀委員長として間違ってはいない を止められたら事後処理だって残された同僚だって迷惑する。だからこそ、雲雀さんの らこの行動は無責任にも程がある。だってそうだろう しかし、それはあくまで俺の感情論でしかない。社会人として、大人として考えるな だから、あの事件でまぁ、俺という個人が職を失ったことは割と些細なことだ た。仮に救えなかったとしても、親友の危機に駆けつけることは出来た 的に辞めたことは後悔していない。そうしたことで、前回とは違って救われる命があっ 勿論、あの時⋮真たちを助ける為、炎真たちの世話を焼く為に並中を飛びだし、結果 ? ! 188 ようと困り果てる イヤだって、これ明らかに一発受けたらヤバいでしょ。脳震盪のち死亡とかありえそ うで笑えない 俺は内心かなり困りながらも、攻撃を避け続けるのだった ︵うーん、どうしよー︶ だ、マジで ﹁残念ですが⋮﹂と医者が母さんに言う姿が容易く想像できてしまう。そんな未来は嫌 気づいたら風紀委員長に武器をつきつけられていました。…怖っ!! 189 気づいたら女子組の買い物に付き合わされるようです。 ⋮帰りたい このショーツいい感じね│♪﹂ ! ﹂ ! ﹁ねえ、ひー君はどう思う は止めてくれない ﹂ ? ? ﹁男性としては、どうですか ﹂ ねぇ母さん、お願いがあるんだ。頼むから、その商品を持って俺にお伺いを立てるの ? ? ﹁⋮、うん、いいチョイスなんじゃない ﹂ 彼女たちは九代目やリボーンなんて目じゃないくらいの強敵だ 周りを取り囲む、幼女から主婦までの幅広い年代の彼女たち。だが、今の俺にとって ﹁和西服 似合ってる ﹁ママンによく似合ってるわ﹂ ﹁わぁっ、色合いもいいですね∼﹂ ﹁はひっ、本当ですーっ﹂ ﹁あら 突然だが俺は今、窮地に陥ってる ! 190 ﹁やっぱり、気になるよねー﹂ ﹁⋮えっとー⋮﹂ ねぇハル、俺、君と︵今回︶会ったのは今日が初めてだよね ねぇ京子ちゃん、俺に 初恋のお兄さんというフィルターを掛けなくなったのは嬉しいんだ ? 具 合 悪 い の 好 ﹂ ? ? 大丈夫 だけど二人とも、もう少しイロイロ考慮してくれると助かるんだけどナー ? ﹁なによ、もう少し気のきいた一言の一つも言えないの ﹂ これだからリボーン以外の男 いいけどさそれは別に !? !? は駄目ね﹂ 相変わらず俺に辛口ですね ﹂ ﹂ !! もう少し場所と状況を考えて あとビアンキ ﹁お言葉ですが なぁに、ひー君 ﹁あの、さ⋮姉さん ﹁うん ? ? でもね ! !!?? ! ? ? し枠というか ても相変わらずイーピンは俺の知ってる裏社会関係者でユニの次に穏やかというか癒 そうだね、イーピンに関してはまだそういった羞恥心は芽生えないもんね。それにし ﹁ああうん、心配してくれてありがとイーピン⋮大丈夫だよ⋮﹂ ﹁如此糟 気づいたら女子組の買い物に付き合わされるようです。…帰りたい! 191 ﹂ なんというかね ﹂ ?? 居たたまれないんですよ ﹂ !!! ﹁俺⋮ちょぉおおおっと席を外してもいいかな もうね ! し、俺は溢れそうな涙を堪えて一行の荷物係となったのだった 気まずいし居たたまれないんだよめっちゃ 誰か気づいてよ、店員さんの生暖かい目 ! 特に精神的に この圧倒的女性に囲まれた中で男一人はキツイんだって イヤ割りとマジでね 同じ不幸とトラブルに愛されたもの同士、苦楽を共にしようよ⋮ ︵嗚呼⋮ツッ君⋮どうして君はここにいないんだ⋮︶ ! ︵あー、もう誰でもいいから助けてヘルプミー︶ 現実逃避 その通りですが何か ? 俺はズッシリと重い荷物に辟易しながら、来る筈もない救援を求め続けるのだった ! その後、俺の魂の叫びにだがしかし。女性陣はにこやかに却下とのお言葉をくりだ 下着売り場 ﹁あら、どうして ! ﹁俺がこ こに場違いだからデス !!!!! ? 192 ? 気づいたら跳ね馬に世話を焼いていました。⋮相変わら ずだなぁ ﹂ それは仕事を終えて、一週間分の食料を買いに商店街にいた時だった ! !! ﹂ ? アレー 聞いたことあるぞこの声ー ﹁いってててて⋮⋮なんか今日はよく転ぶなー ? ﹂ や、いい人だよ いい人なんだけど。いい人ではあるんだけどもね。どこまでいって その現実に思わず遠い目になる あー、うん、これはやっぱり⋮ディーノさんかぁ⋮⋮ マ フィ ア 関 係 者 ピタ、と足を止めてそうっと後ろを盗み見れば、この近辺では珍しい金髪 ? ? 突如、後方にてそんな叫び声が聞こえてくる ﹁⋮⋮うん ﹁う、ぎゃっ 気づいたら跳ね馬に世話を焼いていました。…相変わらずだなぁ! 193 若いながらも有能な人物で、自分のシマの民を大事にするスタンスを持った昔からの 跳ね馬ディーノ。キャバッローネファミリーの10代目 もマフィア関係者であることに変わりはないんだよなぁ⋮ ? ボンゴレの同盟ファミリーのボス 俺が彼と出会ったのは、これまた家庭教師の企みに因るものだったが、あの頃ではほ とんどいなかったといっていい数少ない尊敬出来る大人だった。⋮⋮まぁ、ある欠点も あったケド ﹂ 間 ここまで公私に差がある人も珍しい それ﹂ ﹁オメーもよっぽどだぞ﹂ ﹁君が言うの 仲 ﹁貴方が言うことじゃ無いでしょう﹂ ? 参ったな∼﹂ うん、全く ﹁あー、ツナん家はどう行くんだっけ ? なんて、自分でもよく分からない言い訳を内心で呟いていると、ふと聞こえてきた呟 ? 棚上げになんてしてないよ 因みに速攻脳内リピートされた彼らの声なんて聞こえない聞こえない。自分の事を の 批判 ︵部下がいるとこれ以上もなく頼りになるのに⋮⋮︶ ボスになって大分たつのに、とか。頭の回転も悪くないはずなのに、とかとか ︵⋮⋮この人も訳わかんない人だよなぁ⋮︶ そんな俺の心は露知らず、ディーノさんは心底不思議そうな表情で首を捻っている ﹁なんでだろーなー ? 194 ツッ君 き。その言葉に、あぁ⋮やっぱりもう俺と会ってるんだな⋮と感慨深く思う まぁ、最初に会った時は部下を大勢連れてきて︵くれやがっ︶たから、一人ってこと フィ ア ﹂ 前回の大変だった後始末に目から汗が流れそう ﹁んー、確かこっちだったはず⋮⋮うぉわぁっ 寧ろ本山 は既に何回か来てるんだろうなとは推察できるけど。蛇足だが、前回の黒服大勢たむろ マ ヤバい人とは︵悲しいことに︶関係あるけど !! │ !!? ﹁﹁⋮⋮⋮﹂﹂ ガシィッ グイッ ガッ 瞬間。むちゃくちゃ強く警鐘を訴えてきた超直感に従い、すぐさまズボンを抑える ﹁とぉっ ﹂ と、そこで。再び聞こえてきた叫び声と共に、ディーノさんが背後から倒れてき││ !!? !! 事件のせいでしばらくご近所に嫌ぁな噂が広まった 沢田家 ウチは借金なんてしてません 扱いだけど ! ︵⋮⋮あ、やばい泣きたくなって来た︶ 気づいたら跳ね馬に世話を焼いていました。…相変わらずだなぁ! 195 おかげで、最悪の事態は防げた。が ︶ に掴まなかったら俺ヤバかったよ ︵こんな往来でパンツ一丁になるのは二度と御免だ││││││ ? ︶ ! ﹁わ、わりぃ 大丈夫だったか ﹂ 間に合ったことに全力で安心しつつ、自我絶賛しちゃうね ︶ ナイス俺の反射神経。ありがとう俺の身体能力。流石だよ俺の超直感 ︵嗚呼、今ほど自分を褒めたいことはない 精神ダメージ的にも社会人生命的にもアウトだ。間に合ってよかった、マジで !!!! イヤだって、今ディーノさんが転んだ拍子に俺のズボン引っ張ったんだもん。反射的 ドッドッドッドッ⋮と心臓が煩く鳴り響いてるよ ︵⋮⋮あ、あっぶね∼∼∼∼∼ !!!!! !? ﹁ほ、本当にすまん ﹂ えたら咄嗟にあそこで最悪の事態防いだ俺って一般人としてどうよ と思ってね なんて内心では返すが、表面上はただビックリ、という風を装う。イエね、冷静に考 ﹁え、えぇまぁ⋮﹂ ある意味大丈夫じゃないです。俺のライフはもうゼロに近い ! と、そこでようやく自分の起こしかけた惨事に気付いたのか、ディーノさんが慌てて !! ? 196 謝罪してきた 道の往来で ﹁⋮⋮、⋮⋮、⋮⋮﹂ ポク、ポク、ポク、チーン⋮ ・ ・ ・ ・ ・ ﹁いえ、そう気にしないで下さい。運悪く転んで偶然掴まってしまっただけでしょう 貴方に怪我がなくてよかったですよ﹂ は真っ平御免である マァ所々強調はさせてもらったけど。いやだってそっち方面の余計な噂が広がるの 勿論体勢も即座に直し、態度も取り繕う ルカイックスマイルを繰り出した 俺はたっぷり30秒考えた後、何も疚しい事はありませんよと言わんばかりに必殺ア ? 大の男二人が︵偶然の産物とはいえ︶なんていう状況だ、オイ。しかも商店街という て、方や、茶髪の青年はそれを邪魔するように両手でズボンを掴んでいて 方や、金髪の青年は茶髪の︵この表現は誠に遺憾だが︶青年のズボンに手を掛けてい シュールな光景 そ う い え ば ズ ボ ン を 抑 え た 状 況 の ま ま 固 ま っ て た よ 俺。よ く 考 え な く と も な ん て ︵⋮⋮あ、いけね︶ 気づいたら跳ね馬に世話を焼いていました。…相変わらずだなぁ! 197 ﹁あ、ああ⋮俺も大丈夫だが⋮﹂ マフィア時代に身に着けた大きな猫をおぶさって、そう言う俺に対し、しかしディー ノさんは妙に歯切れの悪い対応を返した ︶ その反応に、あ、そういえば今回まともに顔を見て相対したのはこれが初めてだな、と 今更ながらに思いだす ︵なんか⋮スッゲー見覚えあるような⋮⋮ ﹂ ﹁この辺りでは見ない顔だけど、外国の方かな も 観光するような街じゃないし⋮知人で 平和に平穏に平凡に生きたい俺にとっては、ディーノさんマフィアのボスと関わりを ても帰るにしても、さっさと別れたいナー そんなことを思いつつ、さり気なく話題を逸らす。てか、これから沢田家に行くにし ? ? もいい ダメツナ時代の俺と、今の色んな経験値をつんだ俺とでは雰囲気が全く違うといって ただ、この頃の俺ツナはまだダメダメっぷりが果てしない ︵⋮⋮血縁者云々以前に、本人だしなー︶ ま、大方どっかで見た顔だなー、とでも思ってるんだろうけど どこか困惑したような、戸惑ったような煮え切らない表情 ?? 198 持つのは避けたい。かなり本気で 全力でスル│したいから うん危なかったねディーノさん しいな ﹂ お願いだからその手の単語を俺に聞かせないでほ ﹁そうなんだ。どこかで待ち合わせ場所でも決めてない ! や、確かにね 深くは関わりたくないよ でもだからって部下のいないディーノさん ? ︵うーわー⋮︶ のと同じこと。部下がいないと何やらかすか非常に不安なのだ しかし、何度でもいうがディーノさんを1人放置するのは無知な赤ん坊から目を離す たのに⋮ 待ち合わせ場所があるならさっさとそこに連れてって、後腐れなくサヨナラしたかっ ︵うーん、残念︶ が、しかし。相手の反応を見る限り望んだ返答は得られなさそうである ﹁あ゛ー、それは、その⋮⋮﹂ を放置するのは危険だ⋮⋮⋮色んな意味で ? ニコニコと微笑む裏側で、内心はあくまで心中語として胸中に押しとどめる ? !! ! ﹁ああ、まぁな。可愛い弟分に会いに来たんだが、部⋮⋮仲間とはぐれちまってなぁ⋮﹂ 気づいたら跳ね馬に世話を焼いていました。…相変わらずだなぁ! 199 理性では関わるな。経験値では放置ダメ、絶対。進退窮まるとはこんな状況のことで はなかろうか 俺は相手に気付かれないよう、ソッと溜息をついた ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮はぁ﹂ 200 気づいたら弟分たちに囲まれてました。⋮皆幼いなぁ 解放感を味わっていた日のことだった それは、なんとか仕事を平日中にきれいさっぱり終わらせることが出来、素晴らしい ! ツナ ハルや京子ちゃん│││││山本、お兄さん、雲雀さん ︵⋮⋮だけど︶ かったのだ。どちらにせよ平穏を捨てなければ無理だったろう でやりたくないなら〟死んでしまう〟か、〟世捨て人〟として生きるかの2択しかな 残念なことに、俺は血縁という縛りから逃げることは出来なかった。それこそ、本気 出さないだろ︶ ︵大丈夫、大丈夫。ハルみたいに積極的に踏み込もうとしなければ、リボーンだって手を まぁ、それなりに平穏な人世を歩めてるはずだ⋮⋮⋮少なくとも前回に比べれば ︵なんとかマフィア関係者とは出来るだけ関わらないでいられてるし⋮⋮︶ た散歩。開放感プラス、どこまでも吹き抜ける青空にやはり心が安らぐ 最近、どうにも同じ姿勢でばかりいたから少しは運動しないと、ということで開始し ﹁うーん、いい天気だなぁ﹂ 気づいたら弟分たちに囲まれてました。…皆幼いなぁ! 201 リボーンが彼らを巻き込み、こちらの世界の住人へと誘ったのは、何も俺の傍にいる 実力者だからだけではないのだ 九代目の時代では、死ぬ気の炎を扱えるのはほんの一握りの人間だけ。そしてその条 守 護 者 件は、炎を灯すことのできる覚悟を持つことが出来るかどうか ス 故にリボーンはその観察眼で見出していた ボ ツナ ボンゴレの大空を守護するに足る6人のファミリーを 年齢・性別・人種・性格その全てを超えても、俺につき従い、巨大マフィアボンゴレ の責務に潰されず支えていくことのできる覚悟をもつ人材を 宙 そうして集められたファミリーが、何よりも俺の大事なモノになっていって⋮⋮ らしくもなく、表情が曇│││ ︵⋮⋮参ったなぁ︶ るつもりもない であり役目。俺に出来るのは精々、手助け程度であって⋮⋮⋮そこまで深く、でしゃば 宙 ボンゴレを受け継ぎ、ファミリーに支えられて、仲間を守っていくのはツッ君の運命 沢 田 綱 吉 いくら感傷に浸ろうが、今の皆ファミリーに必要とされているのは俺じゃない そこまで考え、ゆるりと頭を振って思考を止める ︵⋮⋮ああ、やめやめ︶ 202 ﹁﹁笑え 笑え ﹂ お腹抱えて笑え ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮んっっ⋮ ! ﹂﹂ !! アレ ﹂ ﹂ てゆーかこの声聞いたことあるよーな ﹁みなさまもご一緒に∼ ! 笑え さぁ声出して笑え ﹂﹂ ! ? ! ? そしてこんな思考回路を、ついこの間もしたよーな ﹁﹁笑え ! ﹂ ! ﹂ ! ﹂ バチッ ﹁ほら あ、ランボと目が合った。そしてアイコンタクトした2人が合唱しながら俺に近づい !! ! ﹁﹁楽しくなっちゃった ﹂﹂ いきなりの光景に思わず唖然とする俺。しかし、そこで話は終わらない ﹁ウフフフフフ ﹁ぎゃほほほほほほ というか歌だよねこれ。スッゲー懐かしいというか久しぶり過ぎる歌というか⋮ ! と、その時。直ぐ近くの公園からそんな言葉が飛んできた ? ! ? ﹁楽しくなったモン勝ちだもんね 気づいたら弟分たちに囲まれてました。…皆幼いなぁ! 203 ﹂ てくるんですけどぉ え ﹂ ﹂ ﹂﹂ ﹂ あああ無垢な瞳が まーだーわーかーらーなーいーけーどー そして俺、こんな幼い二人に悟られるほど難しい顔し 大人はー大変だー あれ、そういえばこの歌詞の次って⋮ ﹁え こんな歌だったよね ﹁むーずーかーしーいー顔がいぱいー だよね 笑え お腹抱えて笑え ﹂﹂ !! 開く ﹁﹁笑え ! まぁ、そんな俺の変わった様子に気付くこともなく、2人は上機嫌で最後まで歌い続 ! なんて無邪気パワーに圧倒されてやられそうになるけれど、続けられた言葉に目を見 ずっとずぅっと楽しいもん ずぅ∼っと笑ってるー 人様に言えないような事情でいっぱいです 大人になっても ﹂ ! てた ! ﹁きぃっといーろいーろあーるんだよー ハイ色々あります ! !! !! !?? こんなにも心に痛い⋮ ﹁俺っちはー ﹁イーピンもー ! ﹁﹁だってだって笑ってた方が ! ? ! ! !!!!! ? !!? ! ! ! ! ! 204 けてたけど ︵⋮⋮でも、そっか︶ 大人になっても笑ってる、か⋮⋮。 まぁ確かに、ランボもイーピンも笑う顔がデフォルトだったなー。というか、表情が ころころ変わるというか そのことを思いだし、ふわりと口角が上がる ︵あーあ、弟分に教えられちゃったなぁ⋮︶ ﹂ ﹂ やっぱり俺、ダメツナのままかもしれないや。仲間がいないと、ついネガティブに考 えがちだし ヒロシはツナの兄貴だじょ∼ 知らない人に話しかけたりしちゃ駄目だよ 何言ってるんだもんねフゥ太∼ ? ﹁ちょ、ちょっとランボにイーピン ﹂ ?? ! ようとしていた 尤も、逆に説得されちゃってたけど ﹁⋮ふふ、久しぶりだね、ランボ君、イーピンちゃん。それと、初めましてかな ツッ君 なんて、回想に耽っていると、一緒に遊んでいたらしいフゥ太が慌てて二人を押さえ !! ﹁ん∼ イーピン好き ﹁ひろ兄、優しい ! ﹂ ﹁えっ、そうなの ? ? !! ? 気づいたら弟分たちに囲まれてました。…皆幼いなぁ! 205 206 │││沢田綱吉の叔父の宙っていうんだ。よろしくね﹂ そんな様子を微笑ましく思いながら、俺は一先ず自己紹介から始めた 気づいたら右腕がしょげ返ってました⋮落ち込んでる なぁ それはツッ君たちが中学2年生に進級し、あっという間に夏休みになったある日のこ と 俺は降り注ぐ太陽の日差しに負け、手近なファーストフード店にいた。ついでに、冷 ︶ 房の効いた店内で夏休み明けのテストの草案を作っていたんだけど⋮ ︵⋮⋮ん いた │││なんということでしょう ︶ │││黒服が大勢屯たむろっているではありませんか なんで折角の休日にこんなエンカウントがあるのかな ! ! ︵ってどんな劇的ビフォーアフターだぁ│││││ !!!! ふと、一般人とは違う気配に窓の外を見ると、そこにはとんでもない光景が広がって ? 明らかに堅気じゃないよね !!? ! 泣きたい。しかも、それプラスあまり関わりたくない相手が入店してきたし !! 気づいたら右腕がしょげ返ってました…落ち込んでるなぁ 207 ﹁で なんの用だよ ﹂ ? ﹂ 思いっきりアウト 獄寺君とディーノさんボンゴレ関係者││││ アウト ﹁しょ、昇進 !! !! やめてー 堂々と裏の内容についてここで話すの止めてー ! ﹁や⋮やったぜ さっそく十代目に報告だ ﹂ !! ﹂ ? だ﹂ ﹁若輩とはいえ、幹部になるんだ。当然、イタリア本土で9代目をサポートするのが仕事 と、そこで。不意にディーノさんの声音が若干変わる ﹁い、イタリア⋮ ﹁そーだな、そんじゃあ荷物まとめとけよ、明日イタリアに帰るからな﹂ ヨカッタネー、獄寺君。俺、君にそんな話来てたの覚えてないけど ! 仕方なく、表面上はテスト作りを進めるが、内心では滂沱の涙だ していたことがバレる。それはマズイ 思わず顔を覆ってさめざめと泣きたくなるが、そんなことをすれば十中八九盗み聞き ! ﹁ああ、9代目からのお達しでな。ボンゴレ第6幹部に異例の大抜擢だ﹂ !? !!!! ? ﹁まぁ座れよスモーキン・ボム﹂ 208 ﹂ ﹁冗談じゃねえ 俺は降りる 俺は九代目に仕えてんじゃなく十代目に仕えてんだ !! そんな条件なら !! そして告げられた言葉に獄寺君が激昂するが、俺はその内容にこっそり眉を顰める !!! ﹂ ナの為になるんだ﹂ ﹁ 釣り、かぁ⋮ ︵あー⋮ということは⋮︶ ボ ス 力 ? ? ? ﹁⋮⋮﹂ ﹁じゃ、また明日な獄寺﹂ 勿論、理屈としちゃ分かる。分かるけど、サァ⋮ 頼できないし そりゃ、命を狙い狙われる世界なんだし 欲に負けてボスの傍を離れるような奴は信 ︵あ∼やだやだ、これだからマフィアは胸糞悪いんだよ︶ これ、獄寺君が頷いて、ツッ君より地位を求めようとしたら殺される奴じゃん⋮ 権 そもそも、美味い話ではあったけど⋮わざわざ獄寺君に言う話でもないよね⋮ !!! ︵やっぱり九代目って狸爺だなー︶ ﹁大人になれよ、スモーキン・ボム。現在のボンゴレの繁栄が、まわりまわって将来のツ 気づいたら右腕がしょげ返ってました…落ち込んでるなぁ 209 ﹂ 自分の大切な人間を勝手に試されて、黙ってられるような性分じゃ ⋮⋮物凄ーくむかつくよねっ 上等 ! そこにいるのってもしかして獄寺君かな 自分本位 ない ﹁あれ ? ? あ、ひ、宙さん 声を掛けた ﹁えっ な ﹂ ﹁あはは、随分驚くねぇ。どうしたの !!? 少しいいッスか ﹂ !!!?? めっちゃ焦ってるし こんな所で。今日はツッ君たちと遊ばないのか その⋮今日は十代目とは⋮﹂ ﹂ 宙さん !! うわちゃー。もう少し待ったほうが良かったかな ﹁い、いや ﹁あ、あの ﹂ ﹁う、うん⋮ あれ さっきまで悩んでなかったっけ君 *** ? なんて考えていると、いつの間にやら獄寺君にそう声をかけられていた ﹁あざーす ? ! !!! ? ! ? ? ﹂ なのでディーノさんたちが颯爽と立ち去ったのを確認した後、俺は思案中の獄寺君に ? ? ? 210 獄寺Side 俺の尊敬する十代目には、叔父がいる。最初はあまりにも十代目が自慢げになされる もんで、つい、ダイナマイトで吹っ飛ばしちまいたい衝動に駆られていたが、今じゃそ んなことはねぇ なにせ、宙さんに直接、一度でもあっちまえばそんな気はそうそう起こらなくなるか らだ 話には何度も聞いていた。その度に嫉妬に駆られていた けれど、あの日。初めて会った十代目のお家で、俺はあまりの衝撃に膝をつきそうに なってしまった なんだこの大人版十代目は⋮⋮ ! 見るなんてとんでもねぇ だが、だが⋮ ﹄ 勿論、俺だって十代目と宙さんが別人だということは重々分かっている。同一人物に ソックリなんてもんじゃねぇ。生き写しレベルで、性格までもが似ていたんだ⋮ !!! ? ? ﹃なにいってんの。男は謎のある女の方が好きなんだよ ほら、秘密が女を美しくする ﹃なによこれ、ゴーグル これじゃ折角の私の美貌でリボーンを落とせないじゃない﹄ ? !! ﹃あ、そうだ。ビアンキ、今度からこれ着けてたら 気づいたら右腕がしょげ返ってました…落ち込んでるなぁ 211 とかもよく言うし﹄ 姉貴を 口でいいくるめたのだ これこそ真の男 俺の憧れる大人の在り方だぜ⋮ ! しかもその目的は、十代目のお家で この時の俺の気持ちを、誰が表現できるだろうか⋮ 宙さんはあの !! 姉貴に遭遇するたびに倒れてしまう俺を気遣ってのこと⋮ ! ! !! んじゃない ﹂ ﹁うーん⋮多分、ツッ君は獄寺君がイタリアに行っちゃっても清々したとしか思わない そして、宙さんなら優しく背中を押してくれるんじゃないかと うと気持ちに踏ん切りがつかないというか⋮﹂ ﹁頭ではイタリアへ行った方がいいと思うんですが⋮俺を頼りにしてる十代目の事を思 宙さんにそのことについて相談したんだ だからこそ、俺はディーノの野郎に話を持ってこられた時、たまたま声を掛けてきた 相応しい男で、右腕の座に興味がない奴ならば大歓迎だ 俺は基本、年上の男なんて全員敵だが、例外はある。俺の理想となれる人、十代目に や寛容さを、少しは姉貴にも見習ってほしいくらいだぜ そして、一度それに気づけば十代目がああも自慢気にする理由も分かる。あの包容力 ! !! ! ! ﹃⋮⋮⋮それもそうね﹄ 212 ? ﹁⋮⋮⋮⋮え゛っ ﹂ 目を背けたくなる ﹂ 十代目は俺の事を右腕として日々頼りにして⋮ しかし、宙さんはどこまでも俺の思い込みを否定した そ、それは⋮確かに⋮十代目は⋮⋮ ﹁そもそも、ツッ君の右腕って言うのは獄寺君の自称だよね うぐっ ﹂ !! ﹂ 十代目が⋮十代目はっ ﹂ 俺を頼りにしてくれてます !! 俺が⋮俺が十代目に必要とされてねえだなんて⋮⋮そんな ! けど、十代目が右腕として俺を頼ったことは⋮⋮ ﹁そ、それでも ことっっ これ以上考えたくねえ 瞬間、俺は思考に蓋をした !! ﹁右腕じゃ無くても ﹁そうっす ? !! !! ﹂ ふと、そこまで考えて気づく。いつも俺は、十代目の右腕を⋮その、自称している。だ ︵⋮十代目は、︶ !? ? !!? 現実として、苦笑しながらも宙さんは先の発言を取り消す様子はない。その事実に、 心のどこかで、期待していた。けれど、それは、俺の思い込みでしかなかった ? ﹁な、なに言ってるんスか 気づいたら右腕がしょげ返ってました…落ち込んでるなぁ 213 ! だとしたら⋮俺は十代目の⋮⋮ ﹁じゃあ、右腕じゃない獄寺君はツッ君とどんな関係なのかな ﹂ 右腕じゃない⋮俺 ﹁えっ⋮ ? ﹂ ? されたら、俺は⋮⋮俺には、何が残る⋮ 十代目の右腕たろうと日々研鑽していた。だけど、十代目の右腕としての自分を否定 ﹁⋮⋮⋮⋮⋮分かんねーっすよ⋮﹂ ? ? ﹂ !? ﹁え、あのっ ちょ⋮っ、ひ、宙さん !? ﹂ ﹁あーあ、ごめんごめん。ちょっと苛め過ぎちゃったね﹂ ﹁のわっ くしゃっ ろう宙さんを見れなくて、⋮⋮俯いてしまう⋮そんな時、だった 自然と、視線が下を向く。顔を上げてられなくて、まっ直ぐとこちらを見ているであ ﹁⋮⋮っっ﹂ る言葉が見つからなくて口籠るしかなくて 否定しようと声を荒げて。俺は間違ってなんか、と口を開きかけて⋮結局、反論でき 勉強なら、いつも分かるのに。なんでこう、人との付き合い方が俺には⋮ ︵⋮⋮ぜんっぜん分かんねぇ⋮⋮︶ ? 214 !!? 不意に、大きな掌が俺の後頭部に触れる感触が訪れる。ついでそれが、撫でられてる、 という事実であることにすぐに顔に血が上った て思っててくれてるよ﹂ ﹁お詫びに一つだけ教えてあげる。ツッ君はね、獄寺君のことちゃーんと離れがたいっ ﹂ !!? それなら⋮どーゆー⋮ ?? ﹂ ?? 店の代金 ﹁う、うっす⋮ いつの間にか俺の分まで払われてる ﹂ そんなこんなで、俺はこの後十代目の元へ向かい、右腕としてだけでなく、友達とし ? !!??? うだけだった って ドンッ ! ﹁じゃ、頑張ってね﹂ !! でも、ハテナマークを浮かべる俺に構わず、宙さんはぐいっと俺の背を押してそう言 ﹁え、ええ 俺に話したようにツッ君に聞いてみるんだね﹂ ﹁さて、俺から出来るアドバイスはこれでお終い。もっとツッ君の本音が聞きたいなら、 ??? ﹁ただそれは、獄寺君ももう分かってるように右腕としてじゃないけど﹂ ﹁へっ 気づいたら右腕がしょげ返ってました…落ち込んでるなぁ 215 216 ても十代目の傍にいれることを知るのだった 黒曜編 気づいたら黒曜中に転入生が来てました。⋮面倒事の予 秋といえば何を思い浮かべるだろう !! ﹂ いう冬に向かう季節に何かを始めようとする傾向があるんじゃないかと不意に思う ︵だけど、なぁ⋮⋮︶ す、すまないが彼らの校内案内をよろしく頼むよ宙くん 嗚呼、神様仏様初代様 なー柿ピー、こいつらで遊んじゃダメかよー !! 俺は校長に擦りつけら ? ﹁丁度いいところに ﹁うへーっ、もー飽きたってんれすー ﹁⋮⋮煩いよ、犬﹂ ! ! マフィア騒動開始コレはちょっとないのではないだろうか ? ﹁⋮⋮﹂ ﹂ 食欲の秋、運動の秋、芸術の秋、勉学の秋、睡眠の秋⋮⋮なんとなく日本人は、秋と ? 感 気づいたら黒曜中に転入生が来てました。…面倒事の予感!! 217 れた案内役│││もとい、凶悪殺人犯への生贄役に深い深ーい溜息をついた *** 六道骸 自分たちを人体実験したエストラーネオファミリーを皮切りに、数々のマフィアを ﹂ ? 柿本千種及び城島犬 チラ、と後方の2人を見つつ内心また溜息を零す 俺が虚しいじゃないかこの野郎ども ⋮ってかこいつら本当にどうでもよさそうだなオイ。わざわざ真面目に案内してる ﹁⋮これで終わった ﹁げーっ、さっさとしろってんだよー﹂ する そんなかつての仲間のスペックをつらつらと思いだしつつ、当たり障りのない案内を るから﹂ ﹁えーっと、トイレはここを真っ直ぐ言ったところね。基本的にどの階も同じ場所にあ ル頭 の守護者となった男︵本人は終始利用してるだけと否定してたケド︶。あとパイナップ ︵善悪問わず︶殲滅した存在。そして、俺沢田綱吉に負けたのをきっかけにボンゴレの霧 218 骸に命を助けられ、その彼に絶対の忠誠を誓う骸の配下。この頃の彼らは、骸が誰に も心を許さないということもあって、同じく骸とお互い以外を信用することはなかった だからまぁ、骸のお遊びとして日本の学生になったとしても、俺なんかに一教師に心 を開くどころか興味を持つことがないのも仕方ないのかもしれない それらを思えば胸が痛むが、今はそれよりも ︵ランチアさん⋮今は俺の6つ下の25歳だっていうのに⋮⋮⋮ッッ︶ その年で学ランコスプレして羞恥心に耐えなくちゃいけないなんて⋮⋮ らクラスにいてくれると嬉しいな﹂ ﹁ハイ、という訳でここの学校案内は終了です。一応、君たちの次の授業は俺の授業だか !! の先一生│││それこそ、ランチアさんの死の間際まで付きまとってしまう 手で殺してしまい、自分の意志とは関係なく多くの人間を殺戮してしまった。それはこ 骸と関わったことで、人生を狂わせてしまった人。何よりも大事なファミリーをその ランチアさん ⋮⋮まぁ、それよりも正直。俺はこの人に対しての同情心が押さえきれないんだけど ﹁⋮⋮﹂ 気づいたら黒曜中に転入生が来てました。…面倒事の予感!! 219 俺は内心でランチアさんに酷く憐れみの涙を流しながら、表情には出さずに彼らにそ う言っておくのだった *** その翌日。俺は表向きは彼らにも他の生徒と変わらない態度を貫きながらも、それ以 上は不干渉を決めていた イヤだって、俺が動かなくてもこの件はツッ君に任せた方がいいって超直感言ってる し。そうでなくても不用意に関わってマフィアに引きずり込まれる一歩を踏み出した くもないし ⋮⋮⋮と、思ってたんだけどナー なんでそんなことになってるかだって 思わず遠い目になりながら、つい昨日までの決意を思いだす俺 ﹁そうだね。でも、頑張ろう﹂ え ? ウチの生徒会長君が、何もない空間に親しげに語りかけるアブナイ人になっちゃって ︵うーん、困ったなー︶ そりゃあもう、この現状を見れば誰だってそうなるよねぇ ⋮﹂ ﹁⋮強いって⋮僕は全然そんなことないよ。小学生の頃ちょっと空手をならってたけど ? 220 るぅー ︵ハァ⋮⋮十中八九、骸の幻覚にかかってるんだろうなぁ︶ 確か彼は、幼い頃│││まだ、進学校だった黒曜中に通う近所のお兄さんに憧れてこ こに入学したと言っていた。そして、割れ窓理論を基礎に、一人ででもこの学校を改善 しようと邁進していた努力家 ﹂ ! 羊 と、そこで新たな闖入者が現れる ﹁ ﹁おい、日辻﹂ 無念 分かりたくないけど骸の意図というか、お遊び相手の選定理由が分かってしまった。 味というか⋮︶ ︵こーゆー親父ギャグじみたセンスを発揮するのが、骸の謎なところというか妙な人間 生徒会長君│││日辻君と、彼の理想を肯定する存在│││樺根君 屍 もし、俺以外の教師や生徒が見たら、現実と理想の違いに苦しんだ挙句の精神異常と 見做されてただろうけど⋮ ⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮ありがとう﹂ ? あー、うん。ますます骸の仕業っぽーい ﹁樺根くん⋮⋮⋮ 気づいたら黒曜中に転入生が来てました。…面倒事の予感!! 221 ﹁八木沼⋮﹂ ﹂ !! ﹂ ! ︵これ以上はヤバい、な⋮ ︶ 俺はすぐさま現状を把握して跳びだし ! とする八木沼君 気づけば、不意を突かれた攻撃で蹲る生徒会長君。けれどそれでも、追撃を加えよう やがって⋮⋮⋮こんな無駄なことしていい子ぶってんじゃねぇよ ﹁オメーみてーのを見てるとムカつくんだよ。自分一人だけ良い事やってるってツラし ﹁ぐうぅ⋮っ そしてその一瞬は、十分な隙となる しまった なんて、考えていたからだろうか。俺は次の八木沼君の行動に一瞬だけ反応が遅れて ﹁つーかさ⋮⋮﹂ ある意味、これが彼の黒歴史にならないことを祈ろう、うん ︵⋮⋮八木沼君と生徒会長君は昔馴染みだっけ⋮︶ 長君 うわーぁ⋮これはまた微妙な相手に幻覚にかかってるとこ見られちゃったね生徒会 ﹁またオメー一人でそんな事やってるのかよ。ヒマな奴だな﹂ 222 ﹁│││はい、二人ともそこまでね﹂ ﹂ 口ではそう言いつつ、主に八木沼君の攻撃を無効化するように二人の動きを止めた ﹁せ、先生⋮ !? ︶ 今まで気配もなかったのに、気づけば自分のすぐ脇を通り抜け うん、我ながら怪しさ満点 骸がいるって分かってたんだから、気配くらい最初から て喧嘩の仲裁してるんだもんね ! !!! ! ﹁うるっせぇよ童顔センコー ﹂ !!??? ﹂ 俺の顔がなんだってぇ ﹂ ?? ねーか ﹁あいだだだだだっっ ? !! ? ﹁オイこらなんていった八木沼君 !!!! テメェだって30過ぎてる癖に独身の寂しい独り身じゃ そんなんじゃ女子にモテないさびし∼い人生送ることになっちゃうぞー﹂ ﹁八木沼君、あんまりやんちゃばっかりしないように。男の魅力は腕力だけじゃないよ 今更ながらに後悔するが、その内心はおくびにも出さず教師としての笑みを浮かべる 出しっぱにしてればよかった !! ︵そりゃあそうだよね うあちゃー、幻覚で姿誤魔化してる骸の視線がビシバシ刺さるー ﹁ちっ、テメェかよ⋮﹂ 気づいたら黒曜中に転入生が来てました。…面倒事の予感!! 223 ﹂ ﹂ !! たよ ﹁クソッ ﹂ テメェらなんかに構ってられっか おっといけない。ついうっかり八木沼君にアイアンクロ│かけて落とすところだっ ﹁せ、先生ぃいいいいい !!!??? ﹂ ﹂ ﹂ 君のお仲間たちは校則違反してたんでお話︵︶して保健室にいるからー いた。しかし、それに俺は敢えて空気を読まず声を掛ける ﹁八木沼君ー くれぐれも一人で転入生に突撃しないようにねー 途端に、忽ち顔を引きつらせてUターンしてくる八木沼君 毎度そのお話︵物理︶でなんで捕まんないんだよ ごめんね、だって骸たちにやられるフラグしか見えなかったんでさ ﹁テメェ本当に教師か ﹁そのせいで何度殴り込みがポシャッたか分かってんのかド畜生 ﹁こンの一生童顔くそったれセンコ│││││││ ﹂ !!!!!! えの過ちを犯そうとする前に防止するくらいしか俺には出来ないんでね 関わりたくないけど、むやみやたらと犠牲を出したいわけでもない。せめても若さゆ !!! !!?? ! ! ! ﹁人聞き悪いなぁ。俺はただ、彼らが反省するまで擽ってるだけなのに﹂ !? ! なんて思ってると俺の腕から逃れた八木沼君が捨て台詞を吐いて立ち去ろうとして ﹁えっ、あっ、八木沼 !? ! 224 けは許さん ﹂ しかし八木沼君よ、その捨て台詞は大層オリジナリティがあるが俺に向けて言うのだ ﹁オイ待てこらその呪いじみた捨て台詞だけは止めろぉおおおおおお !!!!! いんですか⋮ あっ、いえ その、勿論先生のやり方が八木沼たちと一緒とは思わない ! ﹁⋮⋮俺にだって迷いはあるよ。でも、確かに躊躇いはないかもね﹂ をよく耳にする 今回はそう酷い目には合わなかったが、ああして絡まれては無抵抗で殴られている噂 恐らくそれが、生徒会長君にとって最も恐れていることだ │││そうした行為を、躊躇いなく喜々として行えてしまう人間になること 暴力を振るい、相手を傷つけること。他者を、その力でもって服従させること。 ﹁すみません⋮こんなこと、言って⋮⋮﹂ そして問いかけられた内容は、彼に取って根本的な恐れであるだろうものだった んですけど⋮﹂ ? ﹁どうして⋮⋮どうして、先生は⋮⋮その、教師なのに⋮⋮力を振るうことに躊躇いがな 俺に話しかけてきた そんなこんなで八木沼君との交流を深め終えると、どこか怯えたように生徒会長君が ﹁⋮⋮⋮あ、あの先生⋮⋮﹂ 気づいたら黒曜中に転入生が来てました。…面倒事の予感!! 225 ﹁ ⋮どうして、ですか⋮ ﹂ ?? だからこそ、彼の気持ちは共感できるし、理解できる。だけど ⋮⋮⋮彼の葛藤は、昔の俺が感じていたことそのものだったなぁ !! い。それは君も分かってるよね ﹂ ﹁で、でもやっぱり暴力は駄目です ! ? 暴力じゃ無くても、なにか別の方法が│││﹂ ! ﹁⋮⋮⋮⋮先生は、どうして⋮⋮何の為に力を振るうんですか⋮ ﹂ ﹁⋮⋮俺の行動原理は簡単だよ。無抵抗でいることで傷つくのが俺だけならまだいい。 ? ﹁力は、唯の力だよ。ただ、それを扱う側がどうするかによって変わるんじゃないかな﹂ ﹁そ、れは⋮﹂ 長に構えてられるわけじゃ無い﹂ ﹁うん、俺もその道を模索し続けることはいい事だと思うよ。けど、そういつもいつも悠 えない 暴力に暴力を返したらいつまでたっても争いは消 ﹁言葉だけで分かり合えるなら、生きるのはとても楽だろうね。でも、現実はそう甘くな 葉だけで世の中を変えられないのは、前回で身に沁みている現実で だけど俺は、生徒会長君の理想を全て肯定することは出来ない。どうやったって、言 ﹁躊躇ったら、守れないから﹂ 226 気づいたら黒曜中に転入生が来てました。…面倒事の予感!! 227 だけど、俺が無抵抗である事で、若しくは傍観者である事で周囲の人間や、守りたい人 を傷つけてしまうのは嫌なんだ。ただ、それだけの話なんだよ﹂ 彼が、彼らが道を踏み外しませんように そう思いながら、 ﹁まぁ、八木沼君たちみたく暴力で全てを解決しようとしたら手痛い しっぺ返しが来るだろうからほどほどが一番だけどね﹂と言葉を締めくくる俺であった これでなんとか骸のお遊び潰せるといいなー 俺は生徒会長君の頭を撫でながら、そう思っていた た ち 悲しいことに !! 明らかに一介の 一般 気 づ い た ら 並 中 生 が 襲 わ れ て ま し た。⋮ 骸 の 馬 鹿 や ろーっ 骸 チャオチャオ☆ 今日も徹夜で馬鹿どもが原因の被害届を裁く俺です☆ 慣れてるもん !!! ! ⋮⋮ふざっけんなぁあああああ まだいいよ ! 人に収まる類じゃないだろうがァアアアア 俺はね 幾ら教師が子供の不始末を背負わなきゃいかんとはいえ !!! でもそれはあくまで俺が特殊な事例で在って よ ﹂ 他の人には当てはまらないわけです 田中先生が心労と過労とストレスで入院なされましたぁあああ つまりは何が言いたいかって言うとね ﹂ !!! !! 唯一残ってた古参の教師が一人もいなくなったぁあああ !!! ﹁大変です ﹁ぎゃーっ !!? !! !! 介事が大挙してましたからね あのハチャメチャなマフィアの日々じゃ、逆にこれくらいいっそ埋没するぐらいの厄 !? !! !! ! !? !! 228 同僚がバタバタ心労で倒れていくんですよええ そしてその分増えた仕事が、残った 人間に分配され、負担を支えきれなくなった人からさらに倒れていく悪循環 !! !! やってもやっても終わらない書類、クレームの対応、ここぞばかりに荒れる生徒に、学 ﹂ ﹂ 教師のライフは既に0よ ﹁おぉっとお手が滑ったぁ ﹂ !! 校の失敗ばかりあげ連ねていく保護者 もうやめて !! ! の部分が当たるようにな ﹂ 悪口言われたからだろうって ﹁∼っにすんだテメェ イエイエそんな滅相もない ? ! なんで捕まんねーんだ ﹂ ﹁教師に対して不適切な発言があったので注意︵物理︶をしただけだけど ﹁こンの暴力教師 !!? イヤまじで。やわな神経してたら骸たちのバカ騒ぎがなくても素行の悪いうちの生 ? !! ﹁それぐらいでなきゃ、こんな学校務まんないって﹂ !! ﹂ 黒板消しを投げた。チョークの粉を吸い込まないよう配慮して、ちゃんとプラスチック そんな最中、突然やってきて無礼な言葉を吐いた彼に対して、俺は敢えて躊躇わずに ﹁うぎゃ !!? !!! ﹁おい童顔教師 気づいたら並中生が襲われてました。…骸の馬鹿やろーっ!! 229 徒だけで胃がやられるよ 超絶忙しい俺になんの用 ﹂ 今日はあんまり遊んでも構ってもられないよ これからツッ君と戦うのにさ ? ﹂ ? 閑話休題 ﹁んで そんなんで大丈夫 ? やだなぁ怒りっぽーい、カルシウム足りてないんじゃないの ﹁俺が普段そんなことしてもらってるような言い方すんじゃねえよ ? ﹂ ? 曰く、﹁貴方もボンゴレの一員なんでしょう⋮ ﹂と ろう。けど、八木沼君︵偽︶となると、途端に副声音が変わってしまう これが八木沼君100%なら、 ﹁いつも勝手にしゃしゃり出てくるくせに⋮﹂と続くだ そんなことを思っていると、不意に訝し気に八木沼君︵偽︶がそう尋ねてきた ﹁あんた⋮⋮なんで動かねーんだよ らしてたし。それでなくてもこの間のあれ、自分でもヤバいって分かってたし いやぁね、実は最初から気づいてはいたんだよねー。超直感めっちゃガンガン警報な ﹁チッ⋮﹂ 続ける なんて内心で思ってることはおくびにも出さず、八木沼君のふりをした骸との会話を ﹁はいはい、そうでしたねー﹂ ? !! ? 230 ? まぁ間違ってはいないね 一員どころかボスだったしね !! 君、君が十代目ボスって情報はバレてるんだよドンマイ この場合の一員とはズバリ、ツッ君の叔父であるってこと。つまりこの時点でツッ なーんて、ジョークは置いといて ! !! ? だってそうじゃん ⋮⋮っと、また話が逸れた 前回なんかいくらヴァリアーが精鋭部隊とはいえ、たった数人で ボンゴレ本部制圧できちゃってるんだぜ 事後処理だけで手いっぱいなんだよ⋮⋮授業さえ回せないから、今 ? もな溜息をついておく ま、勿論副声音ではバッチリ﹁なんのことやら﹂と惚けさせていただいてるけどな ! 聞かれたらヤバい話は心に留めておいて、表向きは仕事に忙殺された風を装いいかに 日の午後から休校だってさ﹂ ﹁見て分かんない ?? ? なってそう しかし何年か前にも思ったけど、この頃のボンゴレって慢心故に情報とかが杜撰に の憑依スキルは超直感以外対抗策ないし とはいえ単純に骸たちが情報収集に優れてるってのも言えなくもないけど。特に骸 れてたのにコレってことは、高確率で九代目が情報をリークさせてたんだろうけど︶ ︵⋮⋮まー、リボーンが来て十代目候補に名を上げたとはいえ、それまで完璧に平穏を送 気づいたら並中生が襲われてました。…骸の馬鹿やろーっ!! 231 本性出しやがってコンニャロ ﹂ 俺はなんにも知りませんよー、ツッ君の将来のお仕事も義兄のお仕事もなーんにも知 りませんよー、単なる一介の、平凡で凡人で一般人ですよー だが断る は、泣く泣く骸の幻術を受け入れたのだった 断固としてそう思うも、ここで幻術に抗ってはマフィア入り確定となってしまう俺 !! ﹁そうかよ⋮⋮それならば、都合がいいですね﹂ ﹂ マァそう上手くは行きませんよね ﹁八木沼⋮ ! ﹁クフフ⋮僕の遊びに付き合っていただきますよ、先生 !? !!! ? 232 気づいたら甥っ子が反撃しに来てました。⋮が、頑張れ ﹂ ガッ⋮ ﹁痛っ⋮ ﹁うぐっ﹂ ボグッ ﹁だがら⋮知らないって言ってるだろっ﹂ ﹁クフフ⋮ほらほら、まだ吐く気にならないんですか ! ﹁強情ですねぇ﹂ ﹂ 君の叔父さんは今、職務中のはずなのに青空がよく見えるボロい黒曜ランドにいます 拝啓、ツッ君 !! ︵あ ーっ、骸の前で妙な行動するんじゃなかったー " ︶ 首縛られてるせいで、まともに受身を取ることも出来やしねぇ そして、只今絶賛骸のサンドバッグになっていますよ。逃げられないように両手両足 ? !! 気づいたら甥っ子が反撃しに来てました。…が、頑張れ!! 233 嗚呼、後に悔やむと書いて後悔と読むなんて、先人の発想は偉大だ。じゃなくて グイッ したよ ﹂ この年になると禿げるのが怖ぇーんだぞー なんて考えていると、髪を掴まれて上を向かされる やめろー ! うものです﹂ 俺にとっちゃ遊び害だけどな クフフ⋮⋮遊び甲斐があるとい ? くっそ、思いっきり蹴りやがって⋮⋮これ、肋骨折れ ﹁僕の会話にしっかりと受け答え出来ているでしょう ﹁おいおい⋮この状況、が⋮耐えられてるように見えるんなら⋮⋮スゲーな⋮ ! てるんじぇねーの !? !! ? ﹂ ! ﹁とはいえ⋮⋮流石にそろそろ飽きてきますしねぇ⋮終わりにしましょうか﹂ ﹁ぐっ ドガッ そこら辺は手を付けたくない まぁ、十中八九ボンゴレの方から慰謝料と口止め料来そうな気はするけど。出来れば やめろやこのクソナップル。治療費とかどれくらいかかるか考えたくもねーよ ? ﹂ ﹁全く⋮まさかたかがジャッポーネの一教師がここまでされて耐えるとは思いませんで 234 とか思ってはいるけども、現実問題状況は最悪だ 先生﹂ ツッ君たち勝てっこねーよ あーあーあー⋮骸の奴、三叉槍だしてきやがって⋮。これ、俺が契約されたらかなり 不味い展開じゃ ﹂ このシチュエーションでそんな事を言ってきたのは貴方が初めてです ﹁クーリングオフ制度で突き返させろ﹂ ﹁クフフフフ⋮ よ。全くもって興味深い人ですねぇ ﹁殺しますよ ﹂ コイツ沸点低っっ ﹁いや、お前はそれをしないね﹂ その自信はどこから来るのです ﹂ 事実を指摘しただけで武器を首元に据え置きやがったんだけど ﹁お前のその笑い方ほどじゃないけどな﹂ ! ! ﹁お前が用があるのは俺じゃなく、俺の関係者。つまり俺は体のいい人質なんだろう いーか、骸よ、俺は怒ってんだ ま、だからといって可愛く震えあがってなんてあげないけどな ﹁⋮ほう ? !! ? じゃなきゃわざわざ攫ったりしないだろうしな﹂ ? ? ? ? ﹁⋮⋮さて、それでは僕と契約しましょう 気づいたら甥っ子が反撃しに来てました。…が、頑張れ!! 235 ﹁クフフ⋮流石にそれくらいは分かっていましたか。話が早くて助かります﹂ こうなるって知ってたけど 知ってたけども ! お前らのここ数日の暴挙のせいで⋮一体俺が⋮いや、俺たち教師人がどれだけ苦労さ せられたと思ってやがる !! !! ﹂ ? 骸たちの幼少時は悲惨としか言いようがないし、同情してしまいそう ? それに、俺の言葉を、今のこいつらは最初っから拒絶している 大人 今のコイツに言っても通じないよなー そーいうことを、俺の知ってるお前は長い時間かけて理解してたんだけど⋮⋮まぁ、 で繋がらない だけどそれは。世界の被害者だったから加害者になっていいということにイコール なものではある そりゃあな うわっちゃー、これ、地雷踏んだパターンだー 思わず憎まれ口をたたくと、一転して骸から冷たい殺気が溢れ出る すが、ね﹂ ﹁⋮⋮⋮僕は、平和ボケした貴方方と違ってこの世の何倍もの地獄を見てきているので ﹁十数年しか生きてないガキが調子のんじゃねー﹂ るんですよ ﹁しかし、別に身体的に殺すことは出来なくとも、精神的に殺すことはいくらだってでき 236 親でさえ、自分たちを実験動物として扱った。ファミリーの人間はそれに同調し、そ れ以外の大人たちで骸たちを保護しようとしたものはほんの一握りだけ ︵⋮⋮ランチアさん、は︶ 沢田綱吉 ランチアさんとそのファミリーは、本当にいいファミリーだったんだろう。そうでな 主にお前と雲雀 ければ、いくら負けたからといって、生きてきた世界の違いすぎる俺の言葉なんかを、聞 くはずもない ていうか、地獄がどーした。不幸自慢ならいくらでもノッてやるぜ さんの修繕費を稼ぐためにどれだけ苦労したかとか ? ﹁⋮⋮僕が、物知らずだとでも ? ﹂ だって、効果がないからと言って黙ってなんかいられないから ﹁もちろん、お前だけじゃなく、柿本千種や城島犬も総じてだけどな﹂ 真っ直ぐと目を見て説教をかましてやる ほ ん の ち ょ っ ぴ り 過 去 の 苦 労 回 想 に 涙 を 流 し な が ら、痛 む 体 を お し て 起 き 上 が り、 広いかも知らない、ただの物知らずなガキだよ﹂ ﹁ああ、そうだ。お前は、六道骸は。青臭くて、自分がどんなに小さく、世界がどんなに ? ﹂ ﹁その年で言うことじゃねーな。井の中の蛙、大海を知らず⋮⋮って言葉、知ってるか 気づいたら甥っ子が反撃しに来てました。…が、頑張れ!! 237 ﹁⋮⋮ッ何も⋮何も知らない癖に何を言いますか⋮ 役 ﹂ あーあ、説教の多い大人は嫌われるのが相場だけど⋮⋮いっか、これくらいの嫌われ !! きなさい ﹂ ﹁はーい、骸しゃん ﹂ 犬、この男をあの一位と同じ部屋に放り込んでお 一位の男ってアレだよね、雲雀さんだよね 出来れば教師として俺は君たちとお話ししたいなーっ、なーんて ってちょっと待ってぇえええええ ⋮﹂ ﹁ちょ、ちょちょー !? 貴方、あの男と知り合い⋮⋮それもいい印象を持ってないようですね。ク ? 放り込んでおいてください﹂ ﹂ ﹁ぎゃああああ止めろぉおおお骸のサディスト│││││ ﹁クハハハハッ、聞こえませんねぇ !!!! 抵抗するも呆気なく、俺は城島犬に引きずられてずるずると地獄へ引きずられていっ ! ﹂ フフ丁度いい、犬、この男が決して逃げられないよう、全身縛って先ほど言った部屋に ﹁⋮⋮ほう !? ! !! ! !?? ﹁∼っ無駄口はそこまでで結構です らはウチの学校の生徒で、俺の生徒だ。愚痴くらいなら、いくらだって聞いてやるよ﹂ ﹁そうだな、知らない。俺はお前らの過去なんて知らないし、興味もない。だけど、お前 238 239 気づいたら甥っ子が反撃しに来てました。…が、頑張れ!! たのだった ツッ君助けてー 俺の命が︵物理的に︶終わる前にー !! ! 気づいたら風紀委員長に噛み殺されそうになってまし た。⋮うわーん 雲雀Side 盛町から消えた だというのに、それだけ優秀な彼は、ある日突然に辞職届を出し、並中から│││並 ようだった 受けも、教師の覚えもよく、彼が居るだけで平和な日々を過ごせるとまで言われていた たクラスではなにもかもが平穏に、荒れた生徒すらいなかった。それどころか、生徒の 国語教員として勤務としていた宙という新人教師。けれど、この教師が受け持ってい 味深い人物が上がってきた だけど、並中だけでなく並盛全てを支配した後、気まぐれで並中の歴史を調べたら興 ていたからね 制裁を加えてきた。なにせ、僕がこの学校を支配し始めた時は群れが学校中にはびこっ だから目についた群れは片っ端から咬み殺してきたし、風紀を乱した奴も同じように 僕は群れるのが嫌いだ。群れるのは草食動物の証、僕は弱くなんかいたくない ! 240 気づいたら風紀委員長に噛み殺されそうになってました。…うわーん! 241 そんな馬鹿なこと、あるはずな 丁度いい駒だと思って行方を探っても、何故か足取りが全くつかめず 僕がこれだけの手間をかけているのに見つからない だから関係ないけど まぁ彼は、風紀を乱す常習犯だったから別にいいよね。ダメと言われても僕がルール 咬み殺す頻度が上がったりもしたけど じゃないかな。そう考えると、早く咬み殺し甲斐のある獲物になるよう、他の生徒より まぁだけど。彼の関係者ならあの赤ん坊とも一緒にいることだし、その内強くなるん が僕に立ち向かってくる気概を見せたりと、本当に分からない 思ったらお話にならないほど彼は弱かった。かと思えば、一転して震えあがっていたの その顔が彼にそっくりだったから、邪魔者を排除してからじっくり咬み殺そうかと 会ったことがあった それから、少しして。沢田綱吉という、強いのか弱いのかよく分からない草食動物に し甲斐のありそうな活きのいい獲物へと変わった その瞬間、僕にとって彼は興味のある程度の丁度いい駒でしかなかったのが、咬み殺 そうと攻撃を仕掛けた。尤も、彼は僕の攻撃を完全に見切っていたけどね だというのに、隣町の黒曜中からやって来たのがその彼で、当時はとりあえず咬み殺 い。認めたくなくて、躍起になって探しても手がかりすらつかめない日々が続いた ? そんな日々を過ごしていたある日、並中の生徒が襲われるという事件が起こった 身に覚えなんてないけど、身にかかる火の粉は元から払うに限るよね。そしていつも のように首謀者を突き止め、隣町の黒曜ランドへと僕は向かった ⋮⋮けれどそこで。僕は圧倒的な貸を奴に作ることになる 六道骸。この舐めた事件をおこした首謀者 此処から出たら絶対に咬み殺してあげるよ⋮ しかも、何か目的があるのか、一通りいたぶった後奴は僕を此処に閉じ込めた ああ腹が立つ⋮ !! 時だった そう煮えたぎる怒りを滾らせ、その時の為に体力温存でもしようと仮眠をとっていた ! ﹂ ! ⋮ふぅん ﹁くっそー、骸の奴⋮本当に雲雀さんと一緒の部屋にいれやがって⋮﹂ をすることにした そう考えつつ、確かな根拠を手に入れたいと思った僕は態と寝たフリをして情報収集 ⋮⋮なんで彼が⋮⋮いや、そういえば黒曜中の教師だったし、その辺かも知れない 不意に、ムカつく六道骸の配下の声と共に、彼の呻き声が耳朶を打った ﹁ぐぇう ﹁ほら、入ってろぴょーん﹂ 242 ? ﹁あー、もう、腹イテェ⋮骨折れてるよやっぱ﹂ やられた ﹂ ! みーどーりーたなーびくー、なーみーもーりーのー﹂ ? ? だとしたら余計に、並中ではなく黒曜中にい ? 理やりにでも聞き出せばいい ああ、もういいや。寝たふりしての情報収集なんて僕らしくもないことやらずに、無 るのが腹だたしいんだけど ⋮⋮もしかして彼も並中好きなのかな 分からないけど、音程も歌詞も間違っていない 彼は並中出身じゃないはずだ、それなのに何故 そんなことを考えていると、不意に並中の校歌が聞こえてきて密かに驚く ﹁ミードーリータナービクー﹂ ﹁違う違う。みーどーりーたなーびくー、だよ﹂ ﹁ミードリータナービクー﹂ ﹁んー、そうだな。歌えるか どうやら僕以外にもここに来た奴がいるみたいだ と、そこで。鳥の羽音と共にそんな言葉が耳に届いた。バーズが誰か知らないけど、 ! ⋮どうやら彼も随分と彼にやられたみたいだね やられた ! ﹁お、ヒバード﹂ ﹁バーズ 気づいたら風紀委員長に噛み殺されそうになってました。…うわーん! 243 チャキ⋮ 鬼ー 絶賛捕虜のひー君デッス☆ そう結論付けた僕は、トンファーを握りしめると彼に攻撃を仕掛けた *** やぁやぁ皆さんこんにちは 馬鹿ー そりゃそっかー 木 本気で雲雀さんと一緒の部屋にいれることないじゃない 南国果実ー ! ⋮⋮ちっくしょー骸の奴 かー ! !! しかもこれ俺が入れられた時の騒音で起きてるよね雲雀さん ! の葉が落ちる音でも起きるもんねー ! ! れずにおこう、うん やられた やられた ﹂ とりあえずぼろを出さないように当たり障りのない独り言を呟く俺 ﹁バーズ ﹁お、ヒバード﹂ が飼っ ! ! ! ! と、そこでヒバード登場。あの下衆なー⋮⋮なんだっけ、えっと、そう てた鳥 変態 何で寝たフリなんかしてるのか皆目見当もつかないけど、現状維持が好ましいから触 ! ! ! 属性で増殖はするわ、毛並みがリーゼントみたくなるわ、鳥としての生き物の枠を超え なんでかいつの間にか雲雀さんの鳥になってたんだよなー。しかも雲雀さんの雲の ! ! 244 ていく謎 でもまぁ、そういえば獄寺君がヒバードが並中の校歌を歌ってたから雲雀さん出せ たって言ってた気がするし。雲雀さんが俺を咬み殺す前にここをダイナマイトで吹っ 飛ばしてくれるよう今の内に仕込んでおこうかな みーどーりーたなーびくー、なーみーもーりーのー﹂ ? ! ﹁どぅおわぁっ ﹂ ユラリ、と後ろで闘気が立ち上る気配がして なのでそれも気づかないフリをして、歌を仕込むのに集中していた時だった。唐突に しー ⋮⋮ 口 が 裂 け て も 声 に 出 し て は 言 わ な い け ど も。だ っ て ま だ 咬 み 殺 さ れ た く な い と微笑ましいというか可愛いというか 当時の俺としては分かりにくい謎な人でしかなかったけど、今こうしてみるとちょっ この頃の雲雀さん、まだまだ甘いというか隙があるなー そう思考しつつ早速行動に移していると、背後で僅かに驚いた気配がした ﹁ミードーリータナービクー﹂ ﹁違う違う。みーどーりーたなーびくー、だよ﹂ ﹁ミードリータナービクー﹂ ﹁んー、そうだな。歌えるか 気づいたら風紀委員長に噛み殺されそうになってました。…うわーん! 245 !? ガゴッ 、やっぱり一筋縄ではいかないみたいだね﹂ 君、意識なかったんじゃ ﹁どんだけ神経質なの ﹂ ﹂ ﹂ ﹂ ! 密閉空間で まぁ十中八九咬み殺されますよね というポージング、っと。イヤだって俺が狸寝入りに気付いてた とか知ったら、雲雀さんプライド高いしー ﹂ 切実に逃げ場がない この台詞ってシモンとの戦いの時じゃなかったっけー 犯人は│││雲雀さん一択だ てかこんな狭い部屋で攻撃とか止めて超ヤメテ あっれー ﹁マジですか ﹁僕は貴方とは生き物としての性能が違うんだ、よ ﹁ていうか俺に負けず劣らずボロボロなんだけど良く動けるね ? 今まさに起きたの !? !? 某少年探偵の出番もないほど分かりやすい密室殺人が展開されてしまうぞ、畜生 の殺人 !! ! !? ﹁あっれぇー とはいえ、まずは れたのは。勿論、髪の毛一筋の僅差で避けさせてもらったが、いきなり物騒ですね 遠慮も躊躇も一切なく、壁に凹みが出来る威力でトンファーが俺の首元に振り下ろさ ﹁⋮ ! ﹁僕は木の葉が落ちる音でも目覚めるんだよ﹂ !? !! ! !? !! !? !! ? !? !? 246 いっそ骸ー !! 誰でもいいからへるぷー ︶ ! こんな所でのちのちの死亡フラグも建設したくなぁーい ! アッ、雲雀さんなら殺人くらい軽く揉み消せるね、アウト 獄寺君ー ! 俺まだ死にたくなぁーい ! 俺は内心で涙しながら、雲雀さんの攻撃を避けることに集中した !! !! ︵ツッ君ー 気づいたら風紀委員長に噛み殺されそうになってました。…うわーん! 247 気づいたら右腕に助けられてました。⋮ほんっとありが とう ⋮ そういやぁ十代目が⋮ バーズの鳥が歌っているのに気付いた アニマルヤローにやられ、それでも諦められずにいると、ウチのダッセー校歌をあの 獄寺Side ! !! どこ打ってんのー ﹂ 今はあの野郎を出せるだけで精一杯だ⋮っ ガラガラガラ⋮ アニマルヤローがバカにしてくるが、関係ねぇ ﹁っひゃー ? あ ? ﹂ なんでいきなり金属音が⋮ ﹁やったぁ逃げ場が出来た !! ? ﹂ ﹁へへっ⋮ウチのダッセー校歌に愛着を持ってんのは⋮おめーぐらいだガキキンッッ⋮ ! ! その予想に思い立った俺は、ある方向に向けてダイナマイトを投げる ! 248 ﹁逃がさないよ ﹂ ﹂ ﹁そこまで体力もつの 嘘だろ ﹂ しかもヒバリから攻撃されて⋮ ﹂ ﹂ それは確かに。ボロボロでフラフラしてやがるのに、そこまで持つのか !! ていうかヒバリの野郎の 十代目とリボーンさんは骸の奴を倒しに先に行きました、けど⋮﹂ 六道骸は僕の獲物だ﹂ 殺気が増してるような⋮ という訳で俺の事は後回しでいいんじゃないかな 何言ってやがる ﹁何言ってるの⋮ ハァ 肯定しちまうんですか !? ﹁そうだね !!? ﹁貴方を咬み殺してから行けば問題ない﹂ って宙さん !? ﹁ひ、宙さん は、はい もしかしてツッ君たちも来てるー え、なんで宙さんがここに ? ! あの、そんな朗らかな笑みを浮かべてる場合なんッスか⋮ !! ? ﹁そうかもしれないけど ﹂ ﹁あの草食動物が、僕が貴方を倒すより先に六道骸を倒せるとは思わない﹂ ? !? !? ﹁えあっ ! !? !? !? ! !? ? !? ﹁あ、やっほぅ獄寺君 気づいたら右腕に助けられてました。…ほんっとありがとう! 249 ! ﹁宙さん ﹂ ﹂ !! !! ⋮へっ 一人で全員倒しちまいやがった││ 俺の発作も収まってきたし⋮反撃だぁ ﹂ ドカバキッ ﹁煩いよ﹂ ﹁ぎゃんっ あ、あ、あのヤロー ﹂ ⋮⋮へっ !! ﹁││っ ﹁⋮ねぇ﹂ ﹁な、なんてヤローだ⋮﹂ ﹁おおぅ⋮恐ろしや恐ろしや﹂ !? 思いながら答えると いきり立ちそうになったが、そこで初めてヒバリが俺に声を掛けてきたことに怪訝に !! ! ﹁⋮⋮なんだよ﹂ と、そこで。今まで空気になってたアニマルヤロ│と眼鏡ヤローが殺る気になった ﹁⋮⋮骸様のもとには、行かせない﹂ ﹁っていつまれ俺たちを無視してやがんだてめーら 十代目はヒバリより先に六道骸を倒せますって !!? ! !! !!! 250 言っとくけどなぁ、ムクロの奴を倒すのは十代目で⋮ ﹂ 預 か り も の っ て ⋮⋮ あ 何しやがる くっ⋮ リボーンさんからサクラクラ病の処方sバキィッ ﹂ こんな奴の助けも必要だなんて⋮⋮ハッ ﹂ 宙さんが救援に行くことは⋮ ﹂ あれ、でもさっきヒバリの攻撃をちゃんと躱しきってたよーな⋮ !? と服をまくられれば、どす黒い色に染まった腹部が目についた ぐ でも実際、べろん ? ﹁え゛ はこの通り、ボロボロにやられちゃってねぇ。実は骨も折れてるんだよねぇ﹂ ﹁あー、ごめんねぇ。ウチの生徒が起こした不祥事だし、止めようとしたんだけど⋮結果 ﹁そうっス、宙さん ﹂ ﹂ ! ﹁赤ん坊も、行ってるんだよね﹂ ﹁⋮⋮それがどーした こ、コノヤロー ﹁関係ないね﹂ ﹁え はっ それが頼む態度かテメー ! ! ! ! ! ! ? ! !!? ﹁早く寄越しなよ﹂ ﹁んだとぉ !!? ! ﹁どーどー獄寺君。骸は実際、ツッ君だけじゃ手強いしさ﹂ !! !? ? ﹁あ、そういえば獄寺君。もしかしてツッ君たちから何かを預かってたりしない 気づいたら右腕に助けられてました。…ほんっとありがとう! 251 ひ、ヒデー事しやがるぜ⋮ ﹂ 宙さんは一般人だってのに⋮ 十代目の救援は俺がやってみせます くそぅ ! 宙さんはここで養生していて下 と思っている相手を巻き込もうなんて考えちまうなんて⋮⋮なにが右腕だ さい ﹁分かりました ! ﹂ 徒として扱うんだな⋮。なんて器の広さ⋮ ﹂ ﹁あとね、獄寺君﹂ ﹁何ッスか 流石十代目の叔父上だぜ んじゃ、俺も行ってくるんで ﹂ !! ﹂ い、いつの間に⋮ ! ? ﹁んがっ !? !! ﹁言い辛いんだけど⋮⋮さっきの黒髪の彼、とっくに最上階に行っちゃったみたいだよ ? ! ⋮⋮それにしても、宙さんはこんな目に遭わされても、ムクロたちのことをただの生 ﹁⋮はいッス !! !! これは十代目を狙った、マフィア間の争いだ。だってーのに、俺が十代目の守りたい の自分の台詞に恥じ入る そこまで考えて、宙さんが教師として止めようと尽力していたことに気付き、さっき ! ﹁うん、ウチの生徒がつくづくごめんね、獄寺君。ツッ君たちの事、頼んだよ﹂ !! ! 252 必ず十代目と無事に戻ってきますから ! ﹂ !! ﹁うん、行ってらっしゃい気を付けて﹂ ⋮行ってきます !! そして俺は今度こそ十代目の元へ向かった ﹁ 気づいたら右腕に助けられてました。…ほんっとありがとう! 253 気づいたら黒曜戦が無事終わったようです。⋮ツッ君あ りがと│ 骸Side まぁ、そのほうが好都合ですが ? ﹂ ? ﹁これはこれは、怖いですねぇ﹂ ﹁⋮⋮覚悟はいいかい ⋮⋮うっかり、殺してしまったら人質の意味がないですからねぇ おや⋮あの腹立たしい教師は来ていないようですね つ、入口の方を見れば殺気で溢れた第一位の男がいた 入口の方から武器が僕の頭部に向かって正確に飛んできた。それを三叉槍で弾きつ ﹁分かったか骸、俺はツナだけを育ててるわけじゃねーんだぞ﹂ ﹁おっと﹂ ギュルルルッ その時だった へとやってこさせた。そうして邪魔者がいなくなってから彼を乗っ取ろうとしていた、 ボンゴレ十代目に次々と試練を与え、出来うる限りの身体能力を伸ばしてから僕の元 ! 254 兎に角、今は彼を倒してからさっさと交渉に入りましょう。ここまでボンゴレ十代目 が酷似という事は血縁者なのは確実ですし、いい交渉材料になりそうです ﹂ と、そこで。ボンゴレのお仲間が一人此処にやってきました。やれやれ、千種と犬は ﹁十代目 ﹂ クフフ⋮それほどまでに僕にやられたのが屈辱的で そう言いつつ、戦闘へと入った僕でしたが⋮ ﹂ ガギギギギギギ⋮⋮ギンッ ﹁君の一瞬っていつまで ﹁⋮っ﹂ この男⋮強さが増している⋮ したか⋮⋮ですが ﹂ バキッッ ﹁││ッ 雲雀さんが ドサッ ﹁ああっ ﹂ ﹁彼が怪我をしていなければ分からなかったかもしれませんね !? ? ﹁クフフ⋮⋮堕ちろ、そして巡れ﹂ !! !! ! ! ! ﹁クフフ⋮一瞬で終わりますよ﹂ 気づいたら黒曜戦が無事終わったようです。…ツッ君ありがと─! 255 ﹂ と !! 何をしているんでしょうねぇ ﹂じゅ、十代目⋮ 宙さんが⋮ムクロのヤローにやられて肋骨が折れてるみたいなんです りあえず下で安静にs﹁ひろ兄が⋮ ﹁大変ッス ? ﹁骸⋮ひろ兄に⋮ひろ兄に何したんだよ ﹂ そう溜息をつきたくなっていると、不意にボンゴレの気配が変わったことに気付く ? ! ﹂ ? コイツにだけは 勝ちたいんだ ﹂ !!! ていました ﹁⋮⋮⋮こんな⋮こんな酷い奴に負けたくない⋮ ! !? ﹁ボンゴレ 何をした ! ﹂ ﹁とうとうレオンが羽化したな﹂ な⋮ ビビビビビビッ した そしてそんな理想を述べ、現実はそう上手く行くものではないと嘲笑おうとした時で ! すると、僕の言葉にボンゴレはさっきまでの怯えた様子と一転して、目に怒りを宿し り遊んだだけですよ ﹁おやおや⋮血縁者とは思っていましたが、まさかの兄弟でしたか⋮⋮クフフ、少しばか !? 256 !? 鋭く誰何しても、ボンゴレ自身も戸惑っている様子が目につく。となれば⋮アルコバ レーノの仕業ですね ﹂ ! ﹂ !!? しかも、先程までまともに避けることも出来なかった僕の攻撃を受け止めることさえ ﹁ ガッ⋮ 死なれても困りますからね﹂ ﹁この期に及んでまだそんな目をしますか。ですがもう幕引きにしましょう⋮このまま 突然、目を覚ました相手が、揺らがない意思をたたえてこちらを睨んできました ﹁ そして、アイテムを使われる前に痛めつけ、今度こそ契約しようとしましたが⋮ ﹁万事休す│。あっけない幕切れでした。さぁ虫の息のその身体を引き取りましょう﹂ び契約するために動き出した僕は、すぐさま相手を戦闘不能に追いやる これ以上、時間をかけるのは得策ではないようです。そう結論付け、ボンゴレへと再 げです﹂ ﹁いつまでも君たちの遊びにつきあってられません。小休止はこれくらいにして⋮仕上 ﹁新アイテムを吐き出すぞ。オレの生徒であるツナ専用のな﹂ 気づいたら黒曜戦が無事終わったようです。…ツッ君ありがと─! 257 成し遂げました ﹂ !!! !? ﹁なっ ﹂ 炎を逆噴射だと ﹂ !? ! クフフ⋮ ﹂ ⋮⋮、まさかあの苛立つ教師の言葉をここで思いだしますとはね⋮ 広いかも知らない、ただの物知らずなガキだよ﹄ ﹃ああ、そうだ。お前は、六道骸は。青臭くて、自分がどんなに小さく、世界がどんなに ? ﹁うあぁああ !!! そんな⋮この僕が⋮ここで⋮ ボンゴレがグローブから噴出した炎が、僕の左目を中心に僕の全てを焼き尽くした ボウッ ! ﹁うぉおおお 有り得ない事態に、動揺すらも押さえつけられなくなっていき、そして 馬鹿な⋮こんなことが の攻撃は当たらなくなっていく。人間道を使っても、その劣勢状況は変わらない それからは完全に形勢は逆転していく。ボンゴレの攻撃が僕に当たるように、逆に僕 ﹁骸⋮お前を倒さなければ⋮死んでも死にきれねェ 258 気づいたら黒曜戦が無事終わったようです。…ツッ君ありがと─! 259 ええ、悔しいこ、とに⋮その⋮⋮通り⋮だったようです、ね⋮⋮ そうして僕は意識を手放した 気づいたら大地にお小言を言われまくりました。⋮ごめ んってー あるはれーた日ーのことー ボンゴレ以上に強敵なー 炎真ーたちー現ーれるー どうしーよー ガンガーンとーなっているー超ー直感ー 外れることなく不ー味いぞー 真美ちゃんがー泣いてーいるー 炎真はー怒ってるー 詰ーんでーるねー 盛 ⋮⋮ハイ、現実逃避してましたすみません 並 イヤだって予告なしで炎真たちがここに現れるのも驚きだったし ! !! !! 260 それプラスこんなに感情豊かに乗り込んでくると思わなかったし 怖いよー 炎真が怖いよー ﹂ ? ﹂ ? !! 一度ガチギレさせちゃったときの真並に怖いよー ! ﹁え、エーット⋮⋮俺が入院しちゃったから、カナー ! 炎真が怒ったら怖いの、身に染みて知ってる !! ? ⋮ まぁ誤魔化されてくれるわけないよね ﹁⋮⋮そう、本気で分かって無いんだ⋮ し ﹂ ! 無邪気な笑みを浮かべて了承を述べ ﹂ ﹁とうっっ﹂ ! ﹁ぐっふぅ !!?? な⋮何が起こったかあるがままを話すぜ⋮ 可愛らしい笑みを浮かべた真美ちゃん なんて慄いていると、無慈悲な声音で炎真が命令を下し、真美ちゃんがそれにいっそ ﹁了解、お兄ちゃん ﹁真美、やってよし﹂ !! ﹂ 心中で涙しながらも、明後日の方を向いて誤魔化そうと試みる俺、だったんだけどー 嗚呼、我が親友真よ⋮⋮⋮お前の息子は立派に成長して俺を追いつめてるよ⋮ ! ! ﹁⋮⋮宙兄さん、僕たちがどうしてここにいるのか⋮⋮分かってる 気づいたら大地にお小言を言われまくりました。…ごめんってー!! 261 ! が、炎真の一声で体重を乗せて、俺の腹部に飛び乗ってきたんだ⋮ そこ、この間骸に肋骨折られたところー ﹂ 骨が内臓に刺さっちゃう可能性があるからー 引き続き重しの役割を果たすねっ ちょ、真美ちゃんどいて後生だからどいてっっ﹂ やめてやめて超痛い ﹁いだだだだっ 刺さっちゃう ! ﹂ ! 俺、炎真にここまで恨まれる心当たりないんだけどなぁ ていうか炎真君煽らないでくれるかなぁ ! ﹁どかなくていいよ、真美﹂ ﹁はーいっ あっるぇー ﹁果たさなくていいよ !? ! !? ! ﹂ んは俺の上からどいてくれた ﹁いって∼∼ ﹁痛い 当然だろ ? 宙兄さんは生きてるんだから ! ﹂ 大した威力ではないけれど、俺の頬を躊躇いなく張り飛ばした パシッ いた炎真がツカツカとそれを縮めてきて そのあまりの痛みに若干涙目になって息を整えていると、それまで一定距離をとって ! !! び、病院で傷が悪化するかと思った⋮ それでも痛みに悶えつつ、看護師さん呼ぼうかと一歩手前になってようやく真美ちゃ !? !? ! !? !!! 262 ﹂ ﹂ 僕たちがどれだけ心配した 僕たちにとって⋮どれだけ宙兄さんが恩人 宙兄さんが怪我をして病院に運ばれたって聞いて ﹁え、炎真く⋮ ﹁突然 宙兄さんは分かって無い で、大事な人で、喪いたくない人なんだってことが ! を募らせていく そして目を白黒させている間に、溜め込んだものを一気に吐き出すように炎真が言葉 !!! と思ってるの ! ? !! ! ﹂ !! 心配しないわけが、ないッッ﹂ !! いんだから痛い時は痛いって まぁ怒られるよねー ﹂ 宙兄さんは確かに強いけど、超人でも英雄でもな 助けてほしい時は助けてって言ってよ !! ! ⋮⋮炎真は、そういうことを言ってるんじゃないんだもんな いやまぁ痛いけど、そんな死ぬほどの痛みでもないし、まだ許容範囲内なんだけど ! ﹁こんな時までへらへら笑わないで かってしまった俺は、ついつい笑みを浮かべてしまうわけで 胸倉を掴まれた状態だけど、もう完全に炎真の声は涙声だし、心配ゆえの暴挙って分 ﹁∼ッ当たり前だよ ﹁炎真君⋮心配、してくれたんだ﹂ 分をもっと大事にしてよ⋮ ﹁僕たちにとってはもう⋮大事な大人は宙兄さんだけなんだ⋮。お願い、だから⋮⋮自 気づいたら大地にお小言を言われまくりました。…ごめんってー!! 263 ﹁⋮⋮⋮炎真君は優しいなぁ﹂ そんなに僕たちは頼りないの 僕たちは、僕は、貴方に沢山のお返し 俺が慣れてしまった痛みを、慣れちゃ駄目な痛みだって言ってくるんだから ﹁誤魔化さないで ﹂ 別に誤魔化す意図はなかったんだけどなー をしなくちゃいけないのに⋮ ってあれー ? ? 真からの頼みがあったことも確かだけど、俺が君たちを助けたいからそう ? ﹂ ! そう思いつつよしよしと頭を撫でると、顔を見られないようにか俺の膝に突っ伏した 抜かれて、真似のイイ男になること間違いなし ﹁あー、でも炎真は本当に頑張り屋さんのいい子だなー。これじゃすーぐ俺なんか追い が一番なんだよ 悪感からで最初は助けていたけどそれ以上に。俺が、炎真たちを助けたいと思ってるの そう、そこだけは間違わないでほしい。確かに俺は真からの頼みで、守れなかった罪 してるだけなんだから﹂ じゃ無いよ ﹁嘘 じ ゃ な い。あ と、炎 真 君。俺 は 別 に 見 返 り が 欲 し く て 炎 真 君 た ち を 助 け て る わ け ﹁⋮嘘だよ﹂ ﹁炎真君たちが頼りないなんてとんでもない。いつだって、頼りにしてるさ﹂ ああ、でもちょっとだけ引っかかったから訂正しておこうか ? ! ! 264 炎真から蚊の鳴くような声で抗議が来た ﹂ あははー、めちゃくちゃ拗ねてる&照れてる ! しか肩の力を抜ける相手がいないんだよなぁ⋮ お兄ちゃんだけよしよしされてるー ﹂ 宙お兄ちゃんー 私も頑張っ ! 思ってたんだろう この子も敏い子だからなー、炎真がいつも溜め込んでるの見て、どうにかしたいって と、そこで。今まで静観していた真美ちゃんが場の空気を破るように声を上げた たから撫でてー ﹁あー、いいなぁ ! ! ! また、真美の前でも〟兄〟として力強くいなきゃいけないから⋮⋮本当に、俺くらい 炎真は普段、シモンボスとして立派でいなくちゃいけないというプレッシャーがある ﹁褒め言葉と受け取っとくね﹂ ﹁∼っ、やっぱり狡いよ⋮宙兄さんは﹂ ﹁俺の意図が分かってて、それでも誤魔化されてくれる炎真君が大好きだよー﹂ 愛い でも為されるがままなのはやっぱり中学生なんて甘えたい盛りだもんなー、可愛い可 ? 魔化すんだ⋮⋮ ﹁⋮⋮そういって父さんを引き合いに出すのは狡いよ⋮⋮、宙兄さんはいつもそれで誤 気づいたら大地にお小言を言われまくりました。…ごめんってー!! 265 ﹂ ﹂ ﹂ ﹂ なら、俺が今すべきなのは真美ちゃんの考えにノることだね ﹁へぇ、真美ちゃんは何を頑張ったのかなー ? ﹁毎日朝起きて、ご飯食べて、学校行ってるよー よーしよし !! 真美のその頑張りと僕の頑張り同列 ﹁おお、それは頑張ったね ﹁ちょっと待って !? ! 母さんたちがやってくるまでのしばらくの間、俺の病室からは明るい声が響いていた 子供は笑顔が一番だね 炎真が復活したのを確認して、真美ちゃんと一緒に思いっきり笑う。うん、やっぱり ﹁﹁あははははっっ﹂﹂ !? ! 266 気づいたら後日談をまとめられていました。⋮っておい ここを覗いたものがいたか⋮。 因みにいった当人であるコザァートの来孫の方は、己が我を忘れて泣いてしまったこ たことに来孫はどうやら感動している様子 コザァートの来孫に泣かれながら﹁もっと自分を労われ﹂ ﹁自分たちを頼れ﹂と言われ これはアレだな、コザァートの来孫の女童の方の話だ *** そうだな、まずは│││ もらおうか ⋮ふふ、そうかそうか、そんなにも聞きたいか。ならばよいだろう、暫し相手をして なに、遠慮するな。俺の楽しい愛しい来孫のほんの日常話さ、きっと退屈せぬだろう 丁度いい、俺もほどほどに退屈していたところだ、少し話を聞いていくがいい ほう⋮ !! ? コラー 気づいたら後日談をまとめられていました。…っておいコラー!! 267 とに落ち込み壁に懐いているがな 私いいこと思いついたよ ﹂ ﹂ ! ははは、青春だな ﹁そうだ、宙お兄ちゃん ﹁うわ、耳が痛い﹂ ﹁さっきの宙お兄ちゃんが自分を大事にしない話 ﹂ ﹁ん、何を思いついたの ! ﹂ ズバリ これを約束させちゃえばいいんだよ ﹁私ね、宙お兄ちゃんの真面目さを逆手にとればいいと思うんだ になったらシモンを頼ること 無茶しそう !! ﹂ 沈黙は金って言うけど、寡黙も過ぎればただのコミュ障って学校の ﹂ ﹁真美ちゃんの学校の友達は随分と極論な持ち主だね 友達が言ってた !! ﹁はいはい﹂ ﹁よーっし、じゃあゆびきりげんまんね ﹂ れていた。まぁ、来孫は昔前回に比べればマシとはいえ、甘い男だからな そんな調子で本人たちの掛け合いは続いていたが、結局何だかんだで来孫は押し切ら ??? ! ! ﹁日頃の行いだね ﹁真美ちゃんの俺による信用の無い信用が辛い﹂ ! ! まぁ、それはともかく。そういった空気の中、女童が不意に来孫に話しかけた ! ? 268 ! ははは、俺の超直感が来孫の心中を正確に悟っているな。来孫はさぞ、 ﹁子供らしくて いいことだ﹂とでも思っているのだろう だがな、忘れるでないぞ来孫よ。俺の親友のシモン・コザァートという男は、俺の俺 らしい生き方に平然と付き合えるような人間ぞ ? まり ﹁大地の炎ーでぶっとーばす ゆーびきった ﹂ !! ﹁針千本のーm⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮ちょぉおおおおお 今の替え歌は何カナ ﹂ はっはっは、油断したなぁ来孫よ ﹁真美ちゃん !? ね ﹂ ! まぁ元々素質は大いにあったからな ﹂ ﹂ お兄ちゃん、怒ったら宙お兄ちゃんだって躊躇いなく吹っ飛ばすから ? ﹁親友の娘がなんだか嫌な方面にお茶目化してる││││ !!!! ちゃ駄目だよ∼ ﹁ち ょ っ と マ フ ィ ア 風 味 に し て み た ん だ ☆ も う 〟 ゆ び き り 〟 し ち ゃ っ た か ら 約 束 破 っ !? !!?? ! そしてお前の前にいるのは長い時を経たとはいえ、コザァートの血を引く女童だ。つ ﹁﹁ゆーびきーりげーんまーん、うっそついたーら﹂﹂ 気づいたら後日談をまとめられていました。…っておいコラー!! 269 これで、コザァートの来孫との話は終わりだな *** さて、次は来孫とデーチモの話だな ﹂ 大人しくしてて ﹂ コザァートの来孫たちが帰って一時間ほど経ったことだろうか、学校帰りのデーチモ 学校の方は大丈夫 が制服のままおずおずと入ってきた ﹁あれ、ツッ君来てくれたんだ ﹁う、うん⋮俺は⋮全然⋮⋮﹂ ? ひろ兄怪我してるんだよ ! !? ﹁そっか、ならよかった。じゃあ折角来てくれたツッ君に今お茶を出して⋮﹂ ちょ、俺がやるから !? 注意を払っていたぞ ? ﹁ああ、それ 少し前に前の学校で教えてた生徒がわざわざお見舞いに来てくれたんだ﹂ ﹁⋮あれ、洗ってないコップが2つある⋮ ﹂ 因みに、自分がどれだけ不器用だったか知っている来孫は、さり気なく失敗せぬよう になっていたな それからまぁ、心優しいデーチモとしては当然の成り行きとして、お茶を入れること ﹁わぁああっ !! ? 270 ? ﹂ ﹁そうなんだ⋮やっぱりひろ兄ってどこでも人気者なんだね﹂ ﹁そんなことないと思うけどな いやいや、この俺そっくりのその顔ならば、男女関係なくモテるのは当然だろう も若いころにはイロイロ楽しんでいたものだしな 俺 そんなことを考えている間に、お茶の準備どころかほのぼのタイムも終わっていたら ! ! ? しい。先程からどうもデーチモが何かを言いかけては口を閉じるということを繰り返 している ﹂ ? ﹁怪我⋮まだ、痛い⋮よね ﹂ ﹁んー、まぁちょっとはね。でも一ヶ月もすれば退院までこぎつけられるって言ってた ? 国はあまりにも平和すぎる。先進国と呼ばれ、死が遠ざかった分、生も遠ざかっている それも仕方ないことよ。俺たちの時代、俺たちの世界と比べれば今のこの日本という ﹁ごめ⋮⋮⋮っその⋮⋮けが⋮⋮ッ﹂ は悔やんでいるようだ ふむ⋮どうやら今回の件、〟血の繋がった身内〟を巻き込んでしまった事をデーチモ ﹁ツッ君 ﹁え⋮あ、その⋮⋮﹂ 気づいたら後日談をまとめられていました。…っておいコラー!! 271 し大丈夫だよ﹂ 全然 ﹂ そんな国で生まれ育った者が、俺たちの世界のルールに突然慣れろと言うのも酷な話 だろう ﹁そ、う⋮﹂ うん !! 元気がないね﹂ そ、そんなことないよ ! ﹁どうしたの ﹁えっ !! ? に遅くなって⋮﹂ そんなこと気にしてたの ? いくことが早道だと思っていたからだろうが ちゃ。ウチの生徒が迷惑かけてごめんね﹂ ? そ、そんなこと⋮俺の方こそひろ兄を助けられなくてごめん ﹂ ! ﹁寧 ろ ウ チ の 生 徒 を ツ ッ 君 が 止 め て く れ た ん だ っ て ﹁ええっ !? だったら俺の方こそ謝らなく まぁ来孫の場合は、手っ取り早く壊すためには己がトップに立って少しずつ縮小して ﹁へ いいのにもー﹂ ﹁あの⋮ごめん、俺⋮獄寺君にひろ兄が怪我してたって聞いてたのに⋮お見舞い、こんな 孫でさえもそのレールを壊すことをしなかったからな だが、これからデーチモはその世界のトップに立つことはほぼ間違いない。実際、来 ﹁クスクス⋮変なツッ君﹂ !? ? 272 ﹁なーに言ってんの。ツッ君が頑張ってたって俺は知ってるよ 俺か *** そしてこれで最後だな ﹂ これは来孫が退院し、仕事に復帰したその日のことだった 並中と至門中からの勧誘 ?? だから、謝んなくてい ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮それはまさか、並中の風紀委員長と、至門中の粛清委員長の⋮⋮⋮ ﹂ まぁ、来孫の頬を引きつらせたのはそれではなく、その校長の発した言葉の中に在っ ?? しまった哀れな男の末路の代表格とでもいうような容姿の校長だった 退院報告を兼ねて校長室とやらを訪れれば、来孫を待っていたのはストレスで禿げて られることではないと保留にしてもらっていたんだが⋮﹂ ﹁あ、ああ、そうだ⋮。君が入院している間に来て⋮だな⋮流石に本人がいない間に決め ? ? 俺だったら気に食わないものが最も揃う時間帯に、正面から零地点突破を いからね。助けてくれてありがと﹂ む 仕掛けるがな ? そんな感じで、デーチモとの話は終わりだな !!! ? ﹁⋮⋮はい 気づいたら後日談をまとめられていました。…っておいコラー!! 273 たようだがな そして恐る恐ると、なかば間違いであってほしいと言わんばかりの沈黙をもって決死 ﹂ の覚悟で問えば、来孫に帰ってきたのはガックリと項垂れた校長の姿 ﹁それで、だが⋮⋮宙先生、どうしますか⋮⋮ しても無駄だぞ 特に雲が絡んでる場合は余計にな ! 君たちの世界に更に巻き込まないで│││││ ︶ !!!!! ︵ぎゃあああ雲雀さんもあーちゃんも何やっちゃってくれてんのぉおおお のは骨が折れること骨が折れること ! ? やめて俺を ! から却下 リング争奪戦しかり、虹の代理戦争しかり そんな苦労は嫌だ ︶ 並中の教員として働いてたら、 昨日造った書類が紙吹雪と化してましたとか容易にありうる !!!! ! 物の絵をリアルに再現した渾身の作だったというに⋮⋮ だが、未だになぜアラウディがあそこまで怒ったのか分からん。あいつが好きな小動 !! ! ︵と、とにかく雲雀さんのいる並中は何されるか分かんないし、マフィア騒ぎの爆心地だ 全てを埋めてやった時は半年ほど愉快痛快壮快な逃走劇を繰り広げていたものだ かくいう俺も、アラウディの門外顧問としての服を一からデザインし、縫製し、箪笥 !!?? あ奴らもマイルールでしか動かんから、説得する はっはっは、来孫よ、俺たちに搭載されている超直感をいくら見てみぬふりしようと ? 274 ︵でもだからって至門中もなー あと ! よし、至 俺もう、﹁男の癖に私より若々し 一年もしない内に炎真たちいなくなっちゃうし 一時つきあってたあの先生まだいたら気まずいしー ︶ いし、欠点のない男ってツマンナイのよね﹂とか言われたら立ち直れない⋮ 門中も断ろう !! ! ! 俺は、この黒曜中をまっとうにするまでここで尽力する所存です ﹂ 拳を握りしめ、こう言い放った 気が付けば、わざとらしい程の若干陰りのある笑みを浮かべた来孫は、胸の前で一人 孫が結論を出し終えたらしい 過去の解せぬ点を考えている内に、引きつった笑顔のまま内心で百面相をしていた来 !! ﹂ ! ! ! !! 真面目な好青年の雰囲気を出しながら、上手く本音を隠して ! ははは、面白い茶番劇だな いた ところなのだろう。疑問に思うこともなく、寧ろ来孫の迫真の演技に騙されにあおって そして校長もここで黒曜中の生徒の手綱を取れる来孫がいなくなるのは阻止したい いる うむ、流石俺の血筋よ そしてガッシと力強く校長の手を握る来孫 ﹁宙先生⋮ ﹁、いいえ校長 気づいたら後日談をまとめられていました。…っておいコラー!! 275 という訳でこの話も終わりだな *** ⋮⋮む 何勝手に人のプライベートを後 ああ、そうそう忘れていたがここで俺が話したことは来孫には﹁プーリーイーモー カメラ目線で何を独り言を呟いているかと思えば⋮ ﹂ これは失敗したな、来孫に見つかってしまったようだぞ ﹂ ! 世に残そうとしてるんですか はっはっは そんな余裕こいてられないように冷凍してやる !!!! ﹂ ! 久しぶりに運動をすることにしよう ﹁そうしたらセコーンドたちから奪って来るまでだな ﹂ ﹂ その為に編みだした炎よこれは ﹂ ﹁どんなに下らぬ動機も、ご立派な動機も、やってしまえばみな同じことだ !! ﹁んなしょうもない理由かよ、奥義造られたキッカケ ﹂ 歴代ボンゴレ最強と謳われた俺に、その技をかけるか 面白い、存分に相手して ﹁こんのクソ爺 !!!! ? ? だがまぁ、これはこれで愉快 やろう !! ? ﹁いーからさっさと死ぬ気の炎抜き取られてリングの中で隠居してろこの徘徊爺 ! ﹁ほう !! ! ! ! !!? !! !!!! ! 276 む 俺は構わぬがこれ以上ここにいると巻き添えを食うぞ Arrivederch ! ? ﹂ まだいたのか ? !! さっさと逃げるが賢い選択よ ではな ! ? ﹁減らず口を⋮ 気づいたら後日談をまとめられていました。…っておいコラー!! 277 指輪編 込まれたー れた時だった ﹁たくっ、アホ共は呼ぶなっていったのに ﹂ ﹂ ! なんか見知った大所帯がいるなー ﹁誰のことですか あっれー スッカリ忘れてた ︶ ︶ 巻き込まれるフラグ ! そして今日は日が悪いからお家に帰って引きこもっ これはマズイ ! ! ︵やっべぇえええ今日だったっけリング争奪戦の前哨戦 !? !! ︵│││うん、俺は何も見てない てよう !!! ? ﹁サボった分の補習の勉強は帰ったらネッチョリやるからな、宙が﹂ 俺はフ、と一瞬で意識を切り替えると、くるりと踵を返し│││ ! !! それは前回の退院祝いに貰ったワインのつまみを買いに、並盛商店街へと足を踏み入 !! 気づいたら侍少年と傲慢鮫が戦ってました。⋮また巻き 278 ⋮⋮って、え ひろ兄 ﹂ ? そんな気はすっごいしてたけど ︵泣︶ !! ? 当然のように見つかってたー ! ﹁ネッチョリやだー ヤダー !!! ツッ 君 リボーンと、超直感に目覚め始めた嘘発見器がいるしーぃ ﹂ どうしたのそんな大勢で⋮⋮というか制服 ﹂ ? ⋮⋮嗚呼、今日も空が青いナァ⋮⋮ ね ⋮そ、それはぁ⋮ ? 題を振った ﹁あっ、宙さん ﹂ ﹁えっ、なんでここに ﹂ ﹂ ツッ君たちに話しかけたら君ら全員に関わるよねー ﹁わーっ、こんなところで会えるなんて奇遇ですねー ! ダヨネー ! ﹁お久しぶりです宙さん∼ ああ゛ああああ ! ! !? !? ﹁うん、久しぶりだねぇ﹂ ! ﹂ 俺は遠い目で数瞬だけ現実逃避をすると、さも今気づいたかのようにツッ君たちに話 ! ? ﹁うっ ! 今日って日曜日だよ 心中で嘆くが、今更そ知らぬふりも出来まい。だってあっちにも嘘見抜くの超得意な ! ﹁あれ、ツッ君たち 気づいたら侍少年と傲慢鮫が戦ってました。…また巻き込まれたー!! 279 リボーンのバカー じゃーん ﹂ ﹂ ﹂ あっはっは獄寺君、エイプリルフールにしては時期外れだぞー ﹂ ! ? いんだ│、一般人でいたいんだー ね、ハルちゃん ﹁うーん、こんなオジサンがいて迷惑じゃないかな ﹂ ﹁全然迷惑じゃないですよ ﹁はいですー ! 俺は関わりたくな 今までほとんど関わらなかったんだから見逃してくれてもいー 宙さんも一緒に遊ばないッスか ! ﹁野球バカにしちゃいい案だな。どうッスか宙さん ﹁そうだ ! !! 場を塞がれたよね 泣きたいね ! ﹂ ! ﹂ ! がちかもだけど、今度こそツッ君と京子ちゃんには早めにくっついてもらって子供を そんなことを思いながら、前回邪魔しまくってくれたランボを中心に相手する。忘れ ﹁うん ﹁はい、是非 ﹁じゃあご一緒しちゃおっかな﹂ NOといえる日本人になりたいです、切実に ! というわけで穏便に断ろうとしたんだけど⋮⋮善意100%な京子ちゃん達に逃げ ! ? ? ? 280 作ってもらいたいんだよねぇ ﹂ ⋮⋮⋮俺 ! ⋮⋮って はははははー⋮⋮何人かとは付き合ったことあるけど、長続きしないんだ ひろ兄⋮⋮え、ええ ﹁さっきから煩⋮⋮ツッ君 ﹁へ ﹂ 逃ぃげろ││││││ ぎゃあああ こうなるんだね ﹂ !! なんだぁ、カス共がぞろぞろとぉ。邪魔するカスはたたっ斬るぞぉ ああなんたることだ⋮⋮結局 !!! ! ﹁う゛ぉおい ﹂ !! ! ? この瞬間、俺の胸中に浮かんだ思いは二つ ! !? !? ! ま ぁ そ れ は と も か く。あ わ よ く ば 早 め に 恋 愛 イ ベ ン ト を 終 了 し て お 家 に 帰 り た い ドーン⋮ おっかしーなー、目から塩水が⋮⋮⋮ ドーン⋮ よね。最後は大抵俺がフラれる側です ? ﹁ ﹁ツナ君はいつものツナ君で、なんだか安心しちゃった﹂ 気づいたら侍少年と傲慢鮫が戦ってました。…また巻き込まれたー!! 281 282 一般人巻き込むなボ !? ││││││よし逃げよう │ │ │ │ │ │ て か ザ ン ザ ス は 部 下 に ど ん な 教 育 し て や が る ケェえええええ 主に後者が前者の思いを凌駕したのは言うまでもない !!!! 気づいたら父に跳び蹴りかましてました。⋮いっぺん死 チャオチャオ皆さんこんにちは !! ﹂ ! ⋮⋮マジよかったぁああああ めっちゃセーフ ちゃったりしてたらボロを出してたに違いないし ナイス俺 あのままうっかり戦ったり観戦し リボーンの策略を出し抜いてやったぜ ﹁ま、君たちの倍生きてる大人ですから﹂ ﹁はいですー ﹂ ! ! ﹁今日はありがとうございました ﹂ ﹁それじゃ、また明日からツッ君たちをよろしくね﹂ ! ! !! ! !!! ﹁なんだか宙さんが言うとすごく安心感があります﹂ ﹁はひ、分かりました ﹁今日は散々だったね。ツッ君たちは無事だから、家に帰って休んでて﹂ だよ☆ 京子ちゃん達を避難させる先導役を担ったことでトラブル回避に繋げられたひー君 ! んで来い 気づいたら父に跳び蹴りかましてました。…いっぺん死んで来い!! 283 なんで京子ちゃん達とここで別れるのかって 内心で狂喜乱舞のガッツポーズをしながら、笑みを浮かべてそう言っておく え ? んだろうねー、あのクソ親父は そんなことを思いつつ、一歩敷地に入った途端だった ? 一度に出されても干しきれないんだから﹂ ﹁いいのよ、ひー君。それだけ家光さんも忙しいんだから﹂ こんなに沢山の洗濯物、 内心でぶすくれつつ、手早く洗濯物を干し終える。全く、自分でやれよなーあのアホ はり馬耳東風。あんなダメ親父、甘やかしてあげる必要ないと思うんだけどナー 内心の険悪な雰囲気をワザと少し表に出して言ってみるが、恋する女の母さんにはや ? ? ﹁うわ、家光さんまた 姉さんも少しは文句言った方がいいよ ? 帰ってこなかった2年間、この量ずっと放置 相変わらず清潔感のない親父だなオイ 母さんの姿 庭の面積全てを覆いつくすほどの洗濯物の山。そしてそれを忙しそうに干していく これ干すの手伝ってくれない ﹂ 見苦しいイキモノが家に帰ってきてる感じがするんだよねー。今更なんのつもりな ﹁うん、またねー﹂ ? ﹁あら、ひー君丁度いいところに ! 284 親父が け抜けた 家光さんがお家の食材全部食べちゃったから、今から買い物にいっ ﹂ ﹂ ははは、イエイエとんでもない ﹂ そんなわけで ﹂ ﹁一辺死んでこいやぁああああああああ !!? ﹂ 俺はイビキをかいて寝てる父さんに向けて助走をつけた勢いのまま正確に腹部に跳 ﹁ぐっふぅううう !!!!! そして俺は母さんの姿が見えなくなるまで見送ると、その場で踵を返し、目標へと駆 ﹁ごゆっくり∼ ﹁じゃ、行ってくるわね∼ ? ! ! 物騒な思考 んの目がない分、思いっきりぶっ飛ばせるよね☆ だって、これで沢田家には俺と父さんと、チビッ子&ビアンキだけ。イコール、母さ と、そこで。母さんが慌てたようにそう言ってきたので、俺は満面の笑みで了承した ﹁⋮⋮うん、了解☆ツッ君たちもお腹空いてると思うし、留守番は任せてっ﹂ てきてもいいかしら ! ? ﹁あ、そうだひー君 気づいたら父に跳び蹴りかましてました。…いっぺん死んで来い!! 285 び蹴りをかました あ、因みに靴はちゃんと脱いでから加速したよ☆母さんの余計な仕事を増やすわけに ﹂ はいかないからね ﹁ひ⋮宙くん⋮ ! ﹂ ? ﹁え、あ、その、だな⋮ ﹂ !? 見えだわド阿呆 !!!!! まぁ、顔を合わせたら一発叱られると思ってたんだろうが。その通りだし、魂胆見え せ願っても ﹁ところで。この2年間、一度も連絡もよこさず、帰ってこなかった理由についてお聞か と、俺を避けるようになった 実はこのクソ親父。お互い忙しいのもあったが、徐々に家に帰れないのが増えてくる ﹁は、はは⋮そうだね⋮いや、ほんと宙くんには感謝して⋮﹂ ﹁こうしてお会いできるのはツっ君が小学生になる前ですから本当にお久しぶりです﹂ ニコ笑顔で、目は笑ってない仕様だけどな そして目を白黒させて飛び起きた父さんに絶対零度の視線を向ける。勿論、顔はニコ ﹁やぁ、お久しぶりですねえ、家光さん﹂ !? 286 ねぇ ﹂ ﹁あんなにも健気な姉さんをひたすら待たせて、ツっ君からの父の尊厳を失くさせてで も大事な理由だったんでしょう ? 一歩間違っ かってるんだったら、一般人に迷惑かけるような今回の騒動は前もって防げよ このころのバジル君じゃそこまでできないとかちゃんと把握しとけよ ! ! てたらバジル君が死んでたし、一般人にも死者が出てたっての ! ! それに危うく俺が巻き込まれるパターンになるとこだったじゃねーか !!! 大体、今回のバジル君を囮にしたのもそうだわ スクアーロがああゆう馬鹿だって分 ? くらなんでも姉さんの負担が大きいですよね 姉さんはか弱い女性なんですよ ﹂ ? は続いた そういった恨みつらみを込め、ツっ君たちが帰ってくるまでの間、俺の父さんいびり ? ﹁しかも、帰ってきてそうそうあんなにたくさんの洗濯物を姉さんに押し付けて⋮⋮い 気づいたら父に跳び蹴りかましてました。…いっぺん死んで来い!! 287 気づいたら憤怒の暴君が玄関にいました。⋮帰れテメェ 俺、疲れてんのかなー なーんで俺の玄関の前にいちゃいけない奴の姿が ? 見えるんだろうなー あるぇー ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮遅ぇ﹂ その筈だったのだ、が そんなこんなな、極めて通常通りな一日だった きたら宿題をたっぷり出してやると決意︶ に妙に距離を取られていた。確実に骸の所為だと超直感が教えてくれたんで登校して ある意味時期ピッタリの新しい転校生・クロームの世話をしたり ︵何故かクローム 進路について悩む生徒会長君などのお悩み相談を受け 反骨精神あるヤンチャな八木沼君たちと触れ合い まだ骸たちの爪跡が残るものの、意欲ある生徒たちに授業をして 今日は、少しばかり変わったことがある程度の普通の日だったはずだ !! ガッ ? ? 288 その最高に悪い目つきで俺の甥っ子ビ 確かにスクアーロ来てから一週間くらい経ってる !!!!! 思わず近くの壁に勢いよく懐いてしまうぜ なんでいんのぉ 嗚呼、⋮⋮⋮現実逃避してぇええええええええええええ ビらせて来いよ うううう ﹂ 仕事帰りなの からテメーの相手してる場合じゃねーんだよ帰れ さっさと寝たいの だ 好きなだけ火花散らして喧嘩売ってくればいいだろもぉおおおおう ﹂ さっさと帰れ 心中でガンガン荒ぶりながら現実から必死に逃避する ﹂ ﹁今日もいい天気ダナー⋮﹂ ﹂ 威嚇したって駄目だっての ﹁ああ゛ ﹁いいから帰りやがれください いっそ触れちまいたい。もうホントさ ﹁とうとう気が触れたか ? ﹁なんでいんのか知んねーけど俺は疲れてんの 俺を巻き込むな !! なんでいんの けどさぁあああああ !? 俺じゃなくてツッ君にガン飛ばしに行けよ !!!! !? ! 事情は全部知ってるけどな !! ? ! ! ! ! !!!! ! ! ! ! 気づいたら憤怒の暴君が玄関にいました。…帰れテメェ!! 289 暴君 ﹁暴君じゃねぇ俺なんて吐き気がする、な ﹂ ﹂ ﹂ ﹂ ツッ君追いつめる策でも練ってろよめんどくせ !? 兎に角 いや、もしツッ君たちが負けて殺されることになったら全力で妨害す てかコイツはマジで何しに来たの ﹁自覚済みの軌道修正する気ゼロ⋮だと え 油断大敵だぜ ? ﹂ イヤやっぱ来る アポなしでくるような無計画な馬鹿の相手したくねーんだよ そしてさり気なく憤怒の炎スタンバイすんじゃねーよこの危険人物 ﹁だぁーもー ﹂ ! 庶民の社交辞令を覚えてから一昨日きやがれ ! ? テメェ、誰が馬鹿だと ! ﹂ !? 帰れ ﹁あ゛あ 帰れ !! !? !! ! ぞーぉ︵棒︶ なんだよそのメンタル。そんだけ言い返せるなら九代目と口論してろ。たっのしい !! ! とにかくさっさと帰れ ! ⋮ハッ、テメェのいいなりになる筋合いはねぇな 横暴 ! ﹁なっ⋮ この傲慢 ! チッ、先手必勝で強引に言いくるめようとしてもすぐ立ち直ったか ﹁こっちの迷惑も考えろよ !? !? ? ﹁お前以外に誰がいる な ! !! るけど ! 290 気づいたら憤怒の暴君が玄関にいました。…帰れテメェ!! 291 狭いマンションの廊下でぎゃいぎゃい騒ぎながら、必死に相手の攻撃をよけ、帰れ コールを繰り返していた時だった カツカツ⋮ ピタッ、とお互いに動きを止め、視線を合わせる 人が来た。見られるのはマズイ。どうする うか さて。ここで皆様に問題だ。俺の知り合いで、マンションに住んでいるのは誰でしょ 流す。何故なら、近づいてくる人の気配がとっても馴染み深いものだったからだ ザンザスの雄弁な視線はそう言ってくるが、それプラス俺は内心ダラダラと冷や汗を ? ねー 閑話休題 ? そんなことを考えつつ、同じように視線でこちらの意志を伝える。もしこのやり取り 仕方ねーから家入れ。ただし物を壊したら許さん。いいな 生活スタイル違いすぎるもんねー、あと単純に獄寺君ってツッ君以外に興味ないもん だけど 更に言えば、俺ん家のお隣さんが彼だったりする。獄寺君は未だに気付いてない模様 答え・獄寺君☆ ? を獄寺君が目撃したら不味い事になるの間違いなしだ 何故か監視を1人も連れてきていないザンザスは正にお忍び状態。やはり同じく衆 目の目に触れるは嫌なのだろう︵その割には口論しまくったが︶、大人しく従った ⋮⋮⋮パタン ﹁⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮﹂ ! ツッ君がまだ小学校⋮⋮いや、幼稚園入る4歳頃 のはまぁ、成り行きだったんだけどもぉ⋮⋮⋮ある意味パターン化の沈黙かよ ? やばい、一気に精神が老けてきた気がした⋮ッ﹂ ていうかホントコイツ何年ぶりだ だとしたら││ ﹁いきなり何言ってんだテメェ﹂ ﹁げっ、あれからもう10年近く ? ! 表情のザンザスと視線がかちあ⋮⋮⋮⋮う 嫌な事実にまで気づいてしまい、胸を押さえて致命傷にフラフラしていると、怪訝な うっ、胸が そ し て こ の 年 に な っ て も や っ ぱ り 子 供 ど こ ろ か 奥 さ ん も い な い ⋮ 恋 人 が い な い ⋮ ら前回の死亡年齢と同い年じゃん 10年、10年かぁあああ⋮⋮うわーっ、俺も年取ってたんだなぁ⋮あと10年した !? ? 292 10年前と違うことにもう一つ気づいちゃったぞー 、⋮⋮だから、なんだ﹂ ﹁⋮⋮﹂ ﹂ ﹂ しかもこれはかなりの大事だ。見過ごしちゃなんねぇ相違点だ ﹁今、身長いくつだ ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮はあ お前の身長 今いくつだよ 俺の事越してないか !? ﹂ !!? と叫びたいが、確実に俺より目線が高い。10年前はまだ見下ろせたのに ! 類だろ 嘘だろ ﹁だーかーらーっ ! ! いやいやいや、そこまで怪訝な顔しなくても。マジでこれは聞いとかないとダメな部 葉を噛み砕いたのち、たった2音に全ての疑問を集約させた と、そこで。何故か俺の質問に神妙な顔をしていたザンザスはたっぷり30秒ほど言 ? ? ?? ﹁⋮⋮なんだ﹂ あっれぇー ? ﹁⋮⋮おい、ザンザス﹂ ﹁ ! ﹁お前⋮⋮﹂ 気づいたら憤怒の暴君が玄関にいました。…帰れテメェ!! 293 ! ﹁⋮⋮ハッ ﹂ 188だが、テメェはどうなんだ ああああマジか 感を抱いていたのに くそーっ 腹立つなちっくしょ││││ もう勝てるのは年齢だけじゃないですかー しかも状況を理解した途端に鼻で笑いやがったよ ﹂ ﹂ しかもなんだこの DNAで大きくなるって狡すぎる 10年で俺より高くなってるんじゃねーよ これだから外国人は 今すぐ縮め 発育よすぎぃ 童顔は髭も生えないから仕方ないんですぅ ﹂ でも今回は 勝ち誇った顔すんな ! なっっっがい足 ﹂ 帰れ 憎まれっ子世に憚る そこのベランダから落ちてもテメェなら死 追い抜かれたこの絶望感は何といえばいいんだっ オラっ !!! ﹁縮 め 殴るぞクソガキ お前俺より10歳下だよな ! ! ! 前回は年齢差が逆転だったから負けてても仕方ないって思ってたけど 勝ってたのに なねぇよ ﹁だあああもう帰れ ! ショックで若干涙目になりながらゲシゲシと蹴りを入れるが、相手は何様俺様暴君さ ! ! ! ! ! !!! 童顔も相まって余計ガキそのものだな ﹁テメェこそ身長縮んだんじゃねーのか ! ﹁170ありますぅ ? ? ! !! ! !!! 密かにこいつを見下ろせることに優越 マジで追い抜かれたのか ? !! ! !? ! ﹁ジーザスッッ﹂ ! ! ! ! 294 まだ ﹁俺よりチビの言葉を聞く筋合いはねぇな﹂ 上機嫌でこんな事をのたまいましたよ、ええ カッチーン ﹂ どこぞの血まみれ王子さまじゃないが、確実に俺の中でそんな音が響いた ﹂ ドサッ⋮ ﹁ぐっ !? ! よ 半眼で脳内だけは明るくそう言うが、さてこれの処分どうしよう ﹂ ま、コイツが目を覚ますより先に俺が家を出ればいいよね 俺は自棄になって結論を出すと、情けで毛布だけ掛けた後は至福の睡眠の世界へと飛 ! スってボンゴレの御曹司なんだよなー まぁ、本気だったし朝まで起きないだろ。外に放りだすことも考えたが、一応ザンザ ? ? ﹁⋮⋮はっはっは。是非もなし仕方ない ! やっだぁひー君たら☆うっかり本気でやっちゃったせいでザン君気絶しちゃってる 瞬間、気づけば俺の右手はザンザスに右ストレートを喰らわせていたようです ! ﹁フッ 気づいたら憤怒の暴君が玄関にいました。…帰れテメェ!! 295 296 びだった ⋮⋮⋮翌朝、当然のようにひと悶着あったことは言うまでもない ツッ君 ﹂ !! お宅襲撃をなんとか躱して蹴りだし、平々凡々な公務員とし 気づいたら甥っ子に相談されてました。⋮そっかぁ それはザンザスの突撃 ! てごく真っ当に仕事に励んで帰宅した時だった ﹁はえ ? ﹁あっ うん ご、ごめん迷惑だった⋮ ﹂ !? ザンザスと対応が違うって ? あっはっは、可愛い甥っ子と仏頂面の顔見知りと ? ? ﹁お、お邪魔しまーす⋮﹂ ﹁あはは、もっと気軽に入っていいよー ﹂ じゃ対応違うのも当然じゃないですかー ? ﹁今日は大丈夫だったけど、次からはちゃんと連絡してねー﹂ ! そんなことを思いつつ、くしゃりと頭を撫でながら玄関の鍵を開けて中へと促す ﹁珍しいねー、ツッ君が連絡なしに俺のとこ来るなんて﹂ たのは。まぁ、相違点といったらツッ君の方がおどおどしてるってとこ なんだかデジャヴ感たっぷりに、昨日のザンザスよろしくツッ君が玄関前で佇んでい ? ﹁ぁ⋮⋮ひ、ひろ兄⋮﹂ 気づいたら甥っ子に相談されてました。…そっかぁ!! 297 ツッ君に対して標準装備の猫と笑顔を被りつつ、お茶の準備を始める。といっても、 ﹂ 俺はブラックコーヒー、ツッ君にはホットミルクにはちみつを垂らしたものだけど ﹁はい、どうぞ﹂ ﹁わ、ありがとうひろ兄⋮ なんだけど そう思いつつ、自分もコップを傾けて口をつける。 コーヒーといえば今日はリボーン連れてきて無いんだ 俺はどこか呑気にそんなことを思っていた *** ? ? でも、昨日の相手は違う。本気で、俺を殺すつもりで見つめていた 骸は俺の身体を乗っ取ることが目的だったから、殺されることだけはなかったけど、 に考えていた そんな場合じゃ無いのは分かってるけど、あれが本気の殺気なんだって、どこか冷静 な強面の顔と、今まで危ない目に遭ってきた中でも、一番怖いくらいの圧迫感 俺が戦うことになる相手側のボスって人と会ったのはつい昨晩の事で、その如何にも ツナSide めっずらしー うーん、なんか本当にツッ君情緒不安定気味 ここまでビクビクした子じゃないはず ! 298 無理だよ無理無理 絶対勝てっこねーよ ただでさえ争い事なんて嫌いなのに、あん ! !! じゃうんじゃないかって 本当は、此処に来るのも迷った。骸たちとの戦いの時みたいに、ひろ兄を巻き込ん る ちらり、と入れてもらったホットミルクを飲みながら、何も聞いてこないひろ兄を見 ﹁⋮⋮﹂ ⋮⋮だけど 守りたいものはこの皆といる日常なんだって、強くそう思った 後継者争いとか、マフィアのボスとかそーゆー難しいことは分からない。ただ、俺の の時に驚きの接点があったけど︶ 学校に行って、いつもと変わらない笑顔の京子ちゃんと話して、お兄さんと話して︵そ その絶望感に、思わず俯きかけた時に声を掛けてきたのは山本と獄寺君だった な人たちと戦わなくちゃいけないなんて⋮ ! ﹂ でも⋮⋮明日から一緒に戦う獄寺君たちには、どうしても相談出来ない内容で 何かな ? ﹁あ、の⋮﹂ ﹁うん ? 気づいたら甥っ子に相談されてました。…そっかぁ!! 299 マフィアの事は話せない。でも、自分の心にだけしまいこんでおくこともなんだか気 持ち悪くて うのかもしれない。その恐怖が、頭を離れないのに ! それなのに、頭のどこかで、敵と判断することに躊躇いが生じていて、それからはも りなんだって思う まだ、躊躇う。負けたら終わりだってリボーンが言っているし、俺も何となくその通 ような気もして 憎々し気に俺を睨んできた。けれど同時に、どこか切なさや羨望が混じっていたかの ﹁なのに⋮俺⋮あの人の事、どうしても敵だって思えなく、て⋮ ﹂ 俺のせいで、また誰かを巻き込むのかもしれない。今度は、本当に誰かが死んでしま そんな人たちと、俺は⋮俺たちは戦わなくちゃいけなくて 思ったことはなかった 今でも、脳裏に鮮やかに思いだせる昨晩の出来事。あんなにも、誰かを恐ろしいと ﹁その人に会って、多分⋮怒気とかより強い、殺気を向けられて⋮⋮凄く、怖かった⋮ッ﹂ ﹁⋮⋮﹂ ﹁俺⋮⋮俺の事を嫌いだって言う怖い人と会ったんだ﹂ 300 う、ずっと堂々巡りで、答えが分からなくて ﹁⋮⋮⋮ツッ君﹂ 死 に た く な い。殺 さ れ た く な い。日 常 を 壊 さ れ た く な い。友 達 を 失 い た く な い。家 何が正しいのか、どうすればいいのかも 族を巻き込みたくない。誰も傷つけたくなんか、ないのに ﹂ ! ! ﹁ツッ君はさ、もう少し自分を信じてあげていいと思うよ﹂ のを待っていたひろ兄がただ静かにこっちを見てきていて ともすればしゃくりあげそうになる呼吸を必死に押さえていると、俺の言葉が終わる ﹁⋮⋮⋮詳しいことは分からないけど﹂ 言えるわけもなくて 甘えてるって自覚はあるけど、まさかいつもチビ共の面倒とかで大変な母さんの前で るひろ兄になら でも、事情を知らないひろ兄になら。いつだって、俺の事を嗤わないで応援してくれ を倒すために俺たちを鍛えてくれるリボーンの前じゃ吐けなかった 俺の為に頑張って修行してくれる獄寺君たちの前じゃ言えなかった。ザンザスたち くしゃくしゃと、顔が歪む ⋮⋮ ﹁分かんない⋮分かんないんだ、ひろ兄⋮⋮ 気づいたら甥っ子に相談されてました。…そっかぁ!! 301 ﹁え⋮ ﹂ 自分を、信じる⋮ 俺の、ただの勘を⋮ ? そうして言われたのは、大分予想と違う言葉だった ? ? ﹂ ? ? ﹂ !? ﹂ !? ﹂ ! 俺がチワワにも負けるような激弱だって知ってるよね !? してくる というかひろ兄 ! 困惑した俺に対し、しかしひろ兄は相変わらずのマイペースっぷりでこちらを振り回 ﹁アッサリスルー ﹁ま、それは置いといて﹂ ﹁ひろ兄なんで妙なとこで脳筋なの んだから会話で駄目なら後は拳の語らいだね ﹁ツッ君がいうなら、憎まれてるって言うのも確かな事実なんだろうねぇ。ま、男の子な 本当はこんな風に思っちゃいけないんじゃ⋮ いで今、獄寺君たちに沢山迷惑をかけてるのに⋮﹂ ﹁で、でも⋮そんな事言っても、相手は俺の事嫌いで、殺したいくらい憎んでて⋮そのせ ない 手からの視線に憎しみだけじゃないのが混じってた、って思うならそれは真実なんじゃ ほんとう ﹁俺はツッ君と、その話に出てきた人との間に何があるかは知らない。けど、ツッ君が相 302 ﹁とりあえず俺が言えることは全部自分で背負いこみすぎない事。獄寺君たちも、ツッ だったら、謝るくらいなら、壁を乗り越えてまた って信じてあげな﹂ 君とイヤイヤいる訳じゃないんだろ 笑い合えるようになる ﹁信じ、る⋮⋮﹂ ? そんな風にひろ兄の言葉を咀嚼していた俺は、近づいてくる影に気が付かなくて 獄寺君たちを⋮仲間を⋮信じて⋮またいつもの日常に戻れるように⋮ ! 変だー ﹂ ツッ君、1年前と比べたらスッゴク明るくなった。毎日楽しそうだし、大 って叫びながらも笑ってることが多くなったんだよ ﹁中学生になって、あの家庭教師君が来て、沢山の素敵な友達が増えたんだね。そして毎 ? ? それなのに、ひろ兄の優しさはとどまる事を知らなくて ! ﹁気づいてる 優しさに、どうしようもなく熱いものがこみ上げて 堪えて⋮いようとしているのに、ポンポンと小気味よいリズムで背中を叩くひろ兄の 暖かな人の体温に、ぐっと泣きそうになるのを堪える ﹁大丈夫、これだけ頑張ってるんだから上手く行くよ﹂ ている、と理解したころには優しく頭を撫でられてた。そして 名前を呼ばれた、と思ったら視界にはひろ兄のシャツが広がっていて。抱きしめられ ﹁ツッ君﹂ 気づいたら甥っ子に相談されてました。…そっかぁ!! 303 ﹂ 日がキラキラ輝いてる。⋮⋮それを失うかもしれないっていうのは凄く怖いだろう﹂ ﹁ひ、ろ⋮兄⋮ ﹂ !!! けど、⋮けど 争いとか戦争なんて真っ平だ 誰も苦しめたくない 痛いのも嫌だ なって、それなのに、 怖いよ ! 誰も傷つけたくない 非日常が日常になって、いつの間にか当たり前になってて。皆といるのが、居心地よく 色んなハチャメチャに巻き込まれた。無茶ぶりだってほぼいつも。それでも、そんな ずっとずっと怖かった。リボーンが現れて俺をマフィアのボスにするとか言って もう駄目だ、と思った時には俺の感情は決壊していた ﹁ふ、ぅ⋮うああああああああああああ ﹁不安で当たり前、弱音を吐いたっていいんだよ。せめて俺の前でくらいならね﹂ ! ! 誰も巻き込みたくない 俺のせいで巻き込んでる ! ! ﹁怖い ! ! なくて せめて、相手のボスを憎めたら、嫌えたら、恨めたらどれほど楽だろうにそれも出来 でも、もう駄目だ。頭のどこかで、もう元には戻れないと警告がなっていて 日常が恋しい。ハチャメチャでも、楽しかった。嬉しかった。幸せだった から、俺のせいで傷ついてるから、こんな俺にも、助けてくれる仲間がるから⋮ッ﹂ ! ! 304 気づいたら甥っ子に相談されてました。…そっかぁ!! 305 緊張の糸が切れるその時まで、俺は幼稚園児みたいにひろ兄の服を掴んで泣き喚いて いた 気 づ い た ら 打 ち 上 げ に 参 加 し て ま し た。⋮ す い ま せ ー みんな元気ー ん、おかわりー チャオ でも山本のお父さんの寿司絶品すぎる クッ、人間の三大本能には勝てん⋮ ! 宙、楽しんでるか ていた時だった ﹁ちゃおっす あ、家庭教師君﹂ ﹂ ? イヤぁああああリボーン来ちゃったぁああああああ ﹁うん ! ﹁もちろん、楽しませてもらってるよー﹂ !? ? アッレーさっきまでビアンキのポイズンクッキング迫られてなかったっけ これだ 理性と本能の狭間で舌鼓を打ちつつ、時折聞こえてくる不穏なワードを全てスルーし ! いやぁーもー、ここにいるほとんどが裏社会関係者とかナニそれ一刻も早く逃げたい いという名のリング戦打ち上げに参加してるひー君だよ☆ 母さんに言われて渋々︵決してタダのお寿司に釣られてないよ、うん︶ランボ退院祝 ! ! ? 306 から油断できねぇ 神出鬼没のヒットマーン !! ! ! ど。 この距離のままで行きたいよなー 酒飲みます ﹂ そんな風に思っていた時期が俺にもありました、ええ ﹁あ、宙さん うーん !? 俺、ディーノさんと会ったのって一回こっきりだよね なーんかディーノさんぐいぐい来るなー ﹁あー、すみません。俺、酒ってあんまり好きじゃなくて⋮﹂ ! なのに何故か妙になつかれてる気がする。解せぬ。ていうか ﹂ !? ? 別に俺に対して敬語じゃなくていいんだよ ? ︵え、アレ ? !? ﹁あの、ディーノ君 ? ︶ ま、リボーンもこちらの立ち位置は分かってるからかあんまり深く探ってこないけ ﹁まーな﹂ すハイ は変わらず、目指せ 一般人生活であるからにしてこういった予防線は大変大事なので なんて内心荒ぶりながらも表には一切出さず、のほほんと笑っておく。俺の人生標語 ほんと﹂ ﹁ランボ君が入院したって聞いたときは驚いたけど、無事に退院できてよかったよねぇ、 気づいたら打ち上げに参加してました。…すいませーん、おかわりー! 307 これだ。何故に敬語。出会ったときは普通にため口だったじゃん 疑問に思いつつそう言うと、ディーノさんは輝かしい笑顔でこうのたまった ? ﹂ ﹁いや、あの若獅子に跳び蹴りとかしたって聞いて、スゲー人だなって思ってたんでスよ 308 若獅子 ﹂ ? ﹂ 親父のころからの知り合いだから若獅子って強 と装いつつ、浮かびそうになる青筋を必死で抑える そんな名前の人いたかな⋮ そうなあだ名つけてるんですよ ﹁あ、いや⋮その。家光さんのことで 俺は裏社会何も知りませんー ﹁へ ? 万死 あ、あ、あんのクソ親父ぃいいいいいい ところで尊敬されてんのか ! お前か お前のせいでディーノさんに妙な ! ﹁え⋮あ、あの十代目 マジであの宙さんがお父君に跳び蹴りなどを⋮ ? ﹂ 内心で荒ぶっても表面には出さない俺のポーカーフェイスに今日も拍手喝采 憤をぶつけちゃうんだよねー﹂ ﹁まぁ、あの人姉さんのこと放ってどこで何してるかわかんないから、見かけるとつい鬱 !! !!!! ﹁へぇ、そんな繋がりがあったんだ。世間って狭いねー﹂ ! ! ! ? あ、やばい笑顔が一瞬こわばった。いかんいかん、取り繕はなくては ピシッ ! ? ﹁宙にーさん、そんなにツエーのか ﹂ ﹁うん、兄さんはよく父さんのことしばいてるよ。カッコいいよね﹂ とねだってくる 泣いちゃうよ俺 因みにツッ君は毎度のことなので驚きません。寧ろもっとやって ﹁親方様に攻撃を当てられるとは⋮⋮人は見かけによりませんな⋮﹂ レベルです。あとバジル君、微妙に警戒して距離取らないで ! ビアンキのポイズンから逃げつつ、端っこでデザートのメロン食ってるよ ? 各々話したりでゆったりモードになる 俺 そんな予想外な絡みもありつつ、打ち上げも終盤に入ると、デザートに群がったり、 ? ! ? なんかあったっけ 内心で首をかしげつつ、こっちも無言でメロンを頬張っていると ﹂ ﹁あの、さ⋮ひろ兄⋮﹂ ﹁んむ てかこないだ ? ﹁こないだの⋮あれ、ありがとう⋮﹂ なんかツっ君話しかけてきたー ! ! 俺が内心で﹁どんどんザンザスぶっ飛ばしていいよ ﹂ そんでそんな俺の横でなぜかもそもそとケーキ食ってるツッ君。主賓がどーしたヨ ? ? ﹁おかげで俺⋮⋮迷わないで、思いっきりやれたんだ⋮だから﹂ アレね ! ? ? あ⋮あーあーあー !! 気づいたら打ち上げに参加してました。…すいませーん、おかわりー! 309 とか思いながらツっ君の話聞いた時のね ! ツっ君が自分で決めて、自分でやったんだから。自信を ? 嫌がらせ ノンノン、正当な報復だぜ ! えい そしてちゃっかりその写真も証拠に収めたので、いざという時の保険もバッチリだい マァとか欠片も思っていませんよーっ あの後、部屋にやってきたであろう九代目の部下に無様な姿をさらすことになってザ ? には追加でお見舞いに持っていたフルーツバスケットを頭からかぶせてきました そんで全身動けないのをいいことに、包帯に数々の落書きと、チビと罵ってくれた分 て母さんたち巻き込んでくれやがったので一発ぶん殴りました☆ あ、そうそう。ザンザスといえば10年前に忠告したにも拘らずリング争奪戦起こし これから必殺技の一つもないとマジで死ぬし な。凍傷の痕もあったし、ツッ君も零地点突破をものにできてよかったよかった そういえばここに来る前によった病院で見たザンザス、確かにボロボロだったもん ね。 でもそっか、思いっきりやれたという事はザンザスを思う存分ぶん殴ってくれたんだ 持ちなって﹂ ﹁俺は大したことしてないよ 310 ﹁ううん、俺⋮ひろ兄に話聞いてもらったおかげで勝てたんだ⋮そうじゃなかったら、負 けてた﹂ あ、やば。愉快痛快爽快な復讐を思い出しててツッ君の話聞いてなかったしまった ⋮⋮⋮年々、面の皮が厚くなる気がするナー 冷や汗が流れるが咄嗟に取り繕い、俺は柔らかな笑みを浮かべたのだった ﹁⋮ふふ、じゃあ受け取っておこうかな。どういたしまして、ツッ君﹂ ﹁だから⋮本当にありがとう、ひろ兄っ﹂ 気づいたら打ち上げに参加してました。…すいませーん、おかわりー! 311 未来編 気づいたら10年の月日が経ってました。⋮はっや 前回の今頃、俺は40になったばかりの年頃で死んだ まぁ、やっぱり俺の記憶通りに母さんが父さんと結婚したり 般人として生きようと決意する て生きれるはずだった新たな道のような人生だと思った俺は、今度こそ一度は諦めた一 最初こそ驚いたものの、俺がマフィアとして生き始めた14歳で、まるで一般人とし として 母さんの弟である、一般人の宙︵まぁ初代たちのご都合主義で超直感もあるんだけど︶ の皆様によって時代を逆行させられたのだ 前回の人生で子供を作ることが出来なかった俺は、なんと初代を筆頭とした歴代ボス しかし、話はそこで終わらない。 死だろうけど︶、まぁとにかくそこで俺の人生は終了した 沢田綱吉 は運悪く守護者の攻撃とかが当たったなんて間抜けな理由もありえそう。一番は過労 同じ年齢になった今でも、死因は微妙に分からないが︵あんまり分かりたくない。実 !! 312 気づいたら10年の月日が経ってました。…はっや!! 313 大学時代に留学したら行き先がイタリアだったせいで九代目やザンザス、ラルといっ 未来での戦い たボンゴレと接点出来ちゃったり しかもしかも、まるでこの時のための伏線と言わんばかりにアリアや白蘭に出会った り 留学の最後では、生涯の親友となる真とも出会うことが出来たっけ それからは極たまーに、マフィア関係と遭遇することはあったけど、比較的平穏な生 活を手に入れることが出来ていた ⋮⋮⋮Dの襲撃による、あの事件はあったけど その贖罪から面倒を見ていた炎真たちシモンファミリーは、この時代ではファミリー の名を一時的に捨てることで難を逃れた。⋮と、いっても俺がそうしてほしいって頼ん だからなんだけどね Dが指摘した通り、トゥリニセッテと違う波動の大地属性は敵になればとても脅威か つ希少だ。白蘭に知れれば、一体どんなことになるか分かったもんじゃない だからこそ、俺の身を案じて共に戦うとまで言ってくれた炎真たちには悪いけど身を 隠してもらったんだ 最悪の事態になれば、ユニと同じように操られるから それに、前回とは違う行動をすれば、この戦いに勝てないかもしれない。事が俺や、最 悪ボンゴレだけで終わるならまだいい。少しは納得しよう だけど、この戦いはこの十年後の世界一つに限った話じゃない。白蘭が支配する全パ イ レ ギュ ラー ラレルワールドにも関わる戦いだ⋮⋮まったく、七面倒くさいことしてくれやがってあ のマシマロ野郎 ボ ン ゴ レ っと、それはともかく。結論としていえば、慎重にいこうって話だね。俺や炎真たち ではなく、ツッ君たちの手によってこの戦いを収束させる 精 々、す る こ と な ん て そ の 為 の 後 方 支 援 く ら い に 留 め て お け ば い い。こ れ も ま た、 ツッ君たちに必要な試練でもあるし 理由を聞こうとすれば獄寺君も10年前と入れ替わっちゃうわ 大人獄寺君に入江って人を殺してとか頼まれるわ 10年後の世界に飛ばされたかと思えば俺は棺桶にいるわ リボーンを探している内にランボの10年バズーカに当たっちゃって ツナSide *** 例え俺がどうなっても、ね ︵⋮⋮⋮ああ、でも。あの出来事だけは変えてみせよう︶ 314 ラル・ミルチっていう人が俺に攻撃してきたかと思えば実は味方でボンゴレの人間と 言われるわ ボンゴレの基地に行く途中でモスカに遭遇して危ういところで大人山本に助けられ るわ 漸く辿り着いた10年後の俺が造ったって言うボンゴレ基地でリボーンとふざけた 再会するわ 真面目な話になってこの時代の事を聞けば、ミルフィオーレによるボンゴレ狩りで俺 たちも危ないとか聞かされるわ ⋮⋮⋮あああもう訳わかんね││││ ﹂ どうやったら元の平和な世界に帰れるの ﹁うろたえるな﹂ ダメツナな俺にどうしろって言うんだよ 誰でもいいからどうにしかしてよ !? ﹁まだ希望が無くなったわけじゃねえ﹂ ようとするけど、あまりに大きな事態に思わず涙目になってしまう 混乱して、動揺して、頭の思考回路が真っ白になる。リボーンがそう言って俺を諫め !! ! !!!! ? ﹁そ、そんな⋮ 気づいたら10年の月日が経ってました。…はっや!! 315 そんな俺に対し、リボーンは重々しい口調ながらもそう言ってこちらを真っ直ぐと見 てきた そうして言われた希望とは、俺の守護者を全員集めること。俺たちがこの時代に来た ことと、この時代の戦いは無関係とは思えないからって それは⋮確かにそうかもしれないけど⋮ そんじゃ守護者を集める段取りを決めるぞ。まず⋮﹂ でも、マフィアとか守護者とか言われてもたった6人でどうにかなるの⋮ ﹂ ﹁わかったな ﹁待てよ これだけは聞かなくちゃ⋮ ? ﹂ !? いく それに⋮ 俺がそう問い詰めた途端、リボーンは黙る。その事が、俺の不安をいっそう募らせて ﹁⋮⋮﹂ ろ兄、京子ちゃんたちも入ってんのか⋮ ﹁俺達の知り合いもボンゴレ狩りの対象になるって言ってたけど⋮それって母さんやひ ! ! ? 難を打ち破ってきたんだぞ。大空を守護する6人の仲間たちとな﹂ ﹁ボンゴレの長い歴史上、危機的状況は何度もあった。だが、その度に歴代ボスたちは困 316 ﹂ なんで⋮なんで黙ってんだよ ﹁リボーン なんか⋮なんかいえよって !! あれ、〟彼女たち〟 ﹁⋮⋮⋮ッッ﹂ う、そ⋮⋮あの⋮⋮ひろ兄が⋮死⋮⋮ ひろ兄はどうしたの え、もしかして⋮ ? ﹂ !! ﹂ !! 信じたくない。だけど、リボーンが嘘を言ってるようにも思えなくて ﹁嘘⋮⋮ひろ兄、が⋮﹂ ﹁ツナ ﹁十代目 て、ふらりと体が傾ぐ ﹂ ハッキリと言われずとも、その濁され方で予想がついてしまった。目の前が暗くなっ !? そ、そん⋮⋮⋮ん ﹁⋮ミルフィオーレが標的にする対象は広がり続けている。彼女たちも恐らく⋮﹂ !? ﹁⋮⋮⋮宙の奴は、見る影もねぇな﹂ ま、まさかもう⋮ ! ? !? !!? ! ﹁り、リボーン 彼女たちって⋮彼女たちってことはひろ兄は 気づいたら10年の月日が経ってました。…はっや!! 317 そんな時、だった ﹂ ? 十代目のお母様 ﹂ !! ご無事だったんスか ﹂ 母さんにしては妙に固いような ︶ ? 認して ? ﹁⋮⋮残念、姉さんに変装してたひー君でしたっ☆﹂ 疑惑の眼差しで尋ねると、母さん︵︶はニッコリ笑った後 ﹁⋮⋮⋮本当に母さん ﹂ そして疑問を持った一拍後。俺はある予想に恐る恐る顔を上げて、もう一度相手を確 ︵⋮⋮⋮アレッ ? 決壊した感情の奔流のままに、恥も外聞もなく母さんに抱きついた瞬間だった ﹁か、あさん⋮ らぬ姿に⋮⋮無事な姿に、一気に感情が溢れて どこか遠くでリボーンたちがそう言ってるのが聞こえてきたけど、俺は母さんの変わ ﹁どうも、いろいろあってこっち十年後に来ちまったみてーでな﹂ ! たのに気付いたのは ﹁あ⋮ ! ﹁ああ、十年前のツナと獄寺だ﹂ !? 十年後でも変わらない声音で、部屋の入り口に立つ母さんが驚いたように俺を見てき ﹁あら、リボーン君たちここにいたのね⋮⋮⋮ツッ君 318 声まで一緒 ﹂ !!!!??? 無駄に爽やかに肯定し、バサッとカツラを外して好青年へとジョブチェンジした 一分後。 俺のこの上ない疑問が基地中に響き渡った 抱き着くまで母さんとしか思わなかったよ ていうか本当に何やってんのぉ 確 か に 見 る 影 も ね ー よ だったよ !? !!? 実は俺たちと同じように過去から来てない そして10年の月日が経ってるはずなのに全然老けてるように見えないんだけど ! ひろ兄ちゃんと年取ってる !!??? !? !? !! ﹁うぇええええええええ何やってんのひろ兄ぃいいいいいいいいいいいい 気づいたら10年の月日が経ってました。…はっや!! 319 気づいたら基地を脱走してました。⋮なんでバレないん だ ? り若々しさを保ってる母さんの童顔の脅威を。 だって母さんも普通に年取ってるように見えないし。ツッ君も見れば分かるよ、俺よ ︵母さんも母さんで、驚異の童顔なんだよねぇ⋮︶ 誠に遺憾である。正直めちゃくちゃ要らねぇ、と声を大にして言いたいが⋮ ︵⋮⋮⋮これもプリーモの血、だもんなぁ⋮︶ ラエナイ だって、俺大昔から知ってたよ。だって前回もそうだったもーん⋮⋮⋮はっはっは、ワ つまりは老けるだけだが、残念なことに俺は脅威の童顔もち。老化を大幅に上回る童顔 そりゃあ十年前も30のいいオッサンだったし、成長期はとうの昔に終わっている。 ︵十年前から変わって無い、かぁ⋮︶ 酷いよねぇ、これもツッ君の未来の姿なのにさー 君だよー はいはーい、皆元気ー なんでか過去から来たツッ君に不老の疑惑を持たれてるひー !? 320 まぁ、結論として俺の事を妖怪か化け物のような目で見てくるツッ君が、早く真実に とか思ってませんよええ たどり着くといいよねって思うよ。同じ穴の狢、同病相憐れむ⋮⋮⋮一緒に童顔ゆえの 苦しみを嘆こうぜ ! つらつらつら、とそんなことを考えつつ今日の朝食の下ごしらえをしている時だった カタン ﹂ ? と言わんばかりの表情に遠い昔の記憶が蘇る ! 私⋮その、﹂ ! ﹁ごめんなさい ﹂ 家族が心配なのは、当然のことだもの﹂ 私⋮どうしても家族のことが心配で⋮ ﹁⋮⋮謝らないでいいのよ ﹁奈々さ⋮﹂ ! ﹁でも、誰にも言わないで出て行こうとするのは感心できないわね﹂ ? ! エプロンを脱ぐ そんな事もあった、と思いだしつつ俺は手に持っていた調理器具をキッチンにおいて ﹁あ、あの⋮ あー、そっか。京子ちゃんの脱走って今日だったっけ 見つかっちゃ駄目なのに⋮ ふと、物音に後ろを向けば、そこには顔を真っ青にした京子ちゃんの姿が。如何にも ﹁あら 気づいたら基地を脱走してました。…なんでバレないんだ!? 321 あ、そうそう。物凄ーく今更だけど、俺は京子ちゃんたちに母さんでなくひー君だと なんとなく打ち明ける機会がなかったから 打ち明けてません なんでって !! というか俺がちょっと嫌 ? 俺の男としてのなけなしのプライドが砕ける、確実に とはいえ︶女装してたら嫌じゃん あと今回だと俺京子ちゃんの初恋なんだよね。初恋の人がさ、未来で︵本意ではない ? ﹂ ! か 一人で行かせるくらいなら⋮⋮⋮荒療治だけど、現状をキチンと認識させた方がいい るとは限らない それに、京子ちゃんも大分追いつめられてる。今日は阻止できたけど、今後もそうな 恒例の母さんの囮で並盛町歩いて来ようと思ってたんだよなー でもなー、京子ちゃんの気持ちが分からないでもないんだよなー。というかそろそろ チを取り出して泣き出してしまった京子ちゃんの涙を拭きとる俺 そんなことを思いながらも、母さんの演技には一切手を抜かずにポケットからハンカ ﹁⋮⋮で、も⋮ だから、黙って出て行くのは駄目﹂ ﹁京子ちゃんが家族を心配するように、ツッ君たちも京子ちゃんのことを心配してるの。 322 ﹂ ﹁んー、そうねぇ。なら、私も一緒に行ってあげるわ﹂ ﹁え⋮﹂ のに⋮一体誰が⋮ !! ? 大変なんです !! なんだって ﹂ ﹁京子ちゃんがいないんです ﹁なっ !!? ﹂ そんな時、ハルが会議室に飛び込んできてとんでもない事実を言いはなった ﹁ツナさん ﹂ でも、リボーンの言う通りなら地上はミルフィオーレがうろうろしてる危険な場所な 俺たちは、何者かがヒバードによる救難信号を送ったとの情報を聞かされた 京子ちゃん達も未来に来ちゃった翌日。起きてすぐの基地になり響く警報に驚いた ツナSide *** さーて、まずは京子ちゃんを簡単に変装させますかー 結論を出した俺は、茶目っ気たっぷりにウインクすると手早く脱走の準備を始めた ﹁だから京子ちゃん、絶対に一人で無茶しちゃ駄目よ ? 勘違いとかじゃ⋮ !? !? !!! 京子ちゃんがいないってどうゆう⋮ !? 気づいたら基地を脱走してました。…なんでバレないんだ!? 323 ﹁書き置きが在ったんです くるね〟⋮⋮⋮⋮って﹂ そんな⋮ ! 〟一度家に行ってきます。ランボ君たちのおやつをもって ! ﹁あ、ツナさん ! 頼まれタ ! って、コレ││││││ ﹂ ﹂ ﹁十代目 ﹁ツナ ﹂ !!?? ﹁何々⋮〟京子ちゃんのことなら俺も一緒に行くから大丈夫、折を見て信用できる子に こ、これって⋮ と、そこで部屋にやって来たイーピンから渡されたある手紙に愕然とする。 ﹂ ﹁沢田 ? ! き⋮気づかなかった⋮ イーピン ? ? !? これ ? 今そんな場合じゃ⋮⋮んなっ へ ﹁へ ? ? ﹂ ﹁今思えば京子ちゃん、昨日途中から元気がなくなって⋮﹂ ﹁よほど了平のことが心配だったんだな﹂ ﹁無茶する奴には見えねーのに⋮﹂ ﹁あの笹川が⋮﹂ 324 預けるから。〟⋮⋮宙の奴、京子の不安に気付いてたんだな﹂ ひろ兄がいるなら京子ちゃんはきっと大丈夫⋮ ! ﹂ ﹂ ﹂ 2、2枚目⋮ってぇえええええ けどよツナ、宙さんがいるのになんで誰かに預けるって書かれてるんだ 流石ひろ兄⋮ ﹁ん た、確かに⋮ もしかして何か深刻な理由が⋮ ﹁あっ ! !!??? ﹂ ? ! ﹁ひろ兄│││││ !!? ! ? ﹁緊張感ねえッスね ちゃった│││ う わ ぁ あ あ あ ん ﹂ ﹂ 俺の知ってる優しくて格好良くて真面目なひろ兄がいなくなっ ﹁実は本当に母さんが乗り移ってない !? !! ﹂ 俺は少しの不安と引き換えに、かなり認めたくない未来の現状に嘆かずにはいられな ﹁⋮⋮ほう、いい度胸じゃねーか﹂ あ !!!!! ﹁ひろ兄がもう一人のリボーンみたくなっちゃったこんな未来なんて嫌だぁあああああ !!! !!?? か買って、今夜はすきやきでーすっ〟⋮⋮買い物行く気まんまんだな﹂ ﹁〟ついでに俺は姉さんの囮で街をうろちょろしてくるね∼。ランボ君たちのおやつと !? ! ﹁言われてみれば⋮ 気づいたら基地を脱走してました。…なんでバレないんだ!? 325 326 かった やぁやぁ皆こんにちは 怒られたひー君だよ☆ ひろ兄緊張感無さ過ぎ お願いだから十年前のまともなひろ兄に戻って ! !? なって自覚は多少あるけれども でもなんていうかさ、仕方ないじゃん ? んでその後、ボンゴレリングの反応を並盛神社で消しちゃマズいってんでラルの代わ わらず苦労性だなー、と思ったのはここだけの秘密だ 殺してマシタ。γの顔を見て、16年前にアリアに振り回されてた姿を思いだし、相変 因みに買い物を済ませてから並盛神社に行くと、既に雲雀さんが到着しててγを咬み だいいかなって思えちゃって↑ リボーンを見てると、アレよりマシだからま ⋮⋮いや、母さんの為とは言え抵抗なしで女装しちゃってる時点でまともじゃないよ ですかー と嘆かれました。解せぬ。まるで今の俺がまともじゃないみたいな言い方じゃない ! 京子ちゃんを無事に黒川に預けて母さんの囮やってたら後でめちゃくちゃツッ君に ! 気づいたら家政夫やってました。⋮その視線やめない 気づいたら家政夫やってました。…その視線やめない!? 327 りに偽装工作したり その後に黒川の家に京子ちゃんを迎えに行って基地に帰還したら、なんでか久しぶり ︵ついでに買い物の荷物はこの時にラルに預けた︶ 無理無理 ﹂とありとあらゆる表現を駆使してお断りしたり にもかかわらず﹁戦ってよ﹂とか言ってくる雲雀さんに﹁俺なんかじゃ君の相手は務ま らないよ ⋮⋮うん、騒動ばっかりだったネ ! ﹁じゃ、宙さんハルたち次はお洗濯もの干しに行ってきますね ﹂ 頑張れツッ君。雲雀さんにボロボロにされてもめげるなファイト 言ってたっけ 確か、ツッ君たちの怪我もよくなって来たから明日から本格的に修行を始めるって ︵⋮⋮あれから12日、かぁ︶ やっぱりコーヒーは挽きたてが一番だよね∼ 声を上げる なんてちょっぴり遠い目をしつつ、出来上がったばかりのコーヒーを味見して感嘆の ﹁ん、イイ感じ﹂ ! ! ﹁はいっ﹂ ﹁うん、家事とか任せっきりでごめんね。何かあったら俺に言ってね∼﹂ ! 328 ツッ君に﹁囮とかしなくていいから お願いだから基地でじっとしてて あ、そうそう。因みにあれから母さんの変装は止めました なんでって ! ﹂と言われたので。なんだかツッ君による俺の扱いがさも問題児扱いな事、誠に遺憾 ? ﹁⋮⋮﹂ ⋮⋮なんだけどぉ⋮ 背後の3人の視線がグサグサ刺さって穴が開いちゃいそうだよ ﹂ !? ﹁⋮⋮﹂ なんだろうね ﹂ 旨そうなコーヒーだな。俺にもくれねーか ﹁⋮⋮エート、なにかな ﹁いや ? ? ? わー、明らかに何か悪だくみしてるーぅ そんな事言ってきた 結局、無言の圧力に耐えきれずに尋ねると、リボーンはニヤリとあくどく笑いながら ? そんなことを思いつつ、やることもないのでのんびりまったりと食後の一服をする俺 まぁ元々、ツッ君たちが過去から来たらやめようかとは思ってたけどさ である ! ﹁⋮⋮﹂ 気づいたら家政夫やってました。…その視線やめない!? 329 ︵あー、うん。触らぬリボーンに祟りなし ︶ ! 紅茶 ﹂ 俺はすかさず意識を切り替えると、同じように俺に無言の圧力をかけてくる人物・そ コーヒー ? の2であるラルに声を掛ける ﹁ラルはどうする ? まぁそれはともかく はそっ⋮とその人物の方へ向いた 雄弁に怒気を語る黒曜石の眼差しとかで思わずくじけそうになる心を必死に支えて俺 その声の低さだとか、短いながらも圧倒的に込められた疑惑の感情だとか、何よりも を出す と、考えたところで。今まで沈黙の元、こちらをじぃーっと見てきた第3の人物が声 ﹁ねぇ﹂ このまま上手いこと何も追及されないまま│││ ! ⋮リボーンのニヤニヤ笑いは収まってないことが不安を煽るけど だけでそれ以上何かを言う気配はない そして手慣れた動作で2人の飲み物を用意し手渡す。すると2人は短くお礼を言う ﹁ん、了解﹂ ﹁⋮⋮紅茶でいい﹂ ? 330 ねぇ ﹂ ﹂ イコール、ちょっと体術が イクスバーナーだって頑張ればできるけど 俺は一般人なんだよ リングも匣も持ってな ﹂ 今、きっと擬音語が付くなら俺の首周りからギ、ギ、ギ⋮⋮と油のさび付くような音 がしたに違いない 閑話休題 ﹁貴方⋮⋮いつになったら僕と本気で戦ってくれるの いきなり何言ってるのかな雲雀さん いんだよ そりゃ零地点突破は両方使えるけど ﹂ いや、影武者って言ったって大したことして つまりはそれなり以上の自衛手段があったはずじゃねーか。なのに雲雀と戦 えねーってのか ? ﹁どこからそれ聞き出したの家庭教師君 !? ? んだろ ﹁だが、聞くところによると宙はママンだけでなくこの時代のツナの影武者もやってた ていうかこの論争、もうこの12日ほぼ毎日行ってますよね ﹁敵の幹部を普通に倒せる人が何言ってんの 出来るくらいの一般人って認識のはずでしょ でも俺、ボンゴレ関係者の前で炎出したことないじゃん !? ? !? ! !? !? !? ! ! ! !? !? ﹁俺が君と戦ったら確実に俺は死んじゃうと思うんですケド 気づいたら家政夫やってました。…その視線やめない!? 331 ないし 過剰な期待は止めて ﹂ そしてここぞとばかりに追撃かけないでリボーン やだよ俺は一般人でいるの こ ! !? の戦いでも後方支援以上はしないからね基本 ! !! ! 思えん﹂ シャー 俺の実力はラルが一番分かってるでしょ ﹂ !? ﹁ぎ ゃ あ ラ ル そ ん な 昔 の こ と 掘 り 起 こ さ な い で !? よりも短期間で早くな﹂ わぁ、これ以上もない褒め言葉 絶対修行しないよ なのに嬉しくないのはなんでだろう ﹂ 俺 家庭教師 特に明日の修行ってツッ君がボンゴレの継承する奴じゃん ﹁後生だから過度な期待は止めてってばー 確実に初代ぶん殴りに行っちゃう自信あるよ ﹁つべこべ煩いな。咬み殺す﹂ ﹂ ! !? ﹁ってさり気なく武器をもってジリジリと近づくのはやめてくれませんかね 君とラルも傍観体制に入んないで止めてよ !! !? !? !? ! ! ﹁ああ、だからこそお前が今行動しないのが理解できん。お前は鍛えれば伸びる。沢田 !! そしてここでも期待を超えたプレッ 段を身につけることを選択したお前が、保護対象の危機だというのに弱いままでいると ﹁信じられんな。イタリア留学で危ない目に遭った後でも、留学取りやめで無く自衛手 332 なんて必死に喚いていると、早くもというか予想通りというべきか。苛立った雲雀さ んがトンファーを構えていらっしゃった ﹂ やーだー⋮もうこうなったらここ数日恒例の││││ ﹁御託はいい。問答無用で││││咬み殺す ﹂ !!! !! ええい、三十六計逃げるに如かず ﹂ !! ! 逃亡なんて情けないって 戦略的撤退と言ってほしいね ? 俺は殺気立った雲雀さんから逃げるため、すかさず部屋から飛び出した ﹁逃がさないよ ﹁ひぃやっぱり 気づいたら家政夫やってました。…その視線やめない!? 333 !! 気づいたら鬼教官が倒れてました。⋮ッ大丈夫 ﹁本当にそう思っているのか た時だった ﹂ それはクロームの治療がひと段落してビアンキに後を任せ、自室へと戻ろうとしてい !? ﹂ !! 前の義務だ。それだけを考えろ﹂ ﹁甘い考えを捨てろ。少しでもマシな⋮0.01%でも生存率の高い選択をするのがお 部下の命を預かってきた教官だからこその重い言葉 どこまでも突き刺さるラルの言葉。それはこの頃の俺とは違って、ずっと前線で⋮⋮ だ﹂ ﹁お 前 に 委 ね ら れ て い る の は 生 き る か 死 ぬ か の 選 択 で は な く ⋮ ど ち ら の 地 獄 を 選 ぶ か ﹁⋮⋮ッッ﹂ は圧倒的だ。参加しようが引きのばそうが、ここにいる多くの人間は死ぬんだ ﹁笹川はお前に甘いがこの際ハッキリ言っておく。ミルフィオーレとボンゴレの戦力差 変更してその声の聞こえる方へ足を向ける ラルの怒鳴り声が、廊下に響いたのは。その言葉に、あの時のか⋮と思いつつ行先を !!? 334 実際、ボンゴレボスだった俺や、この時代のツッ君はその通りの決断をするだろう。 過去のツッ君たちを呼ぶことはボンゴレリングだけでなく十年前こそが尤も成功率の 高い選択だったから つ て の 俺 も ︵⋮⋮例えそれで、イーピンや京子ちゃん、ハルに怖い思い、危険な目に遭わせると分 か かっていても︶ この時代のツッ君はそれが最善策だと分かっていたからこそ、心を鬼にしてこの作戦を 決行したのだ つ て の 俺 ラル﹂ ? は ⋮⋮お前、か﹂ !? そんなことを思いつつ、ふらふらと今にも倒れそうなラルを支える ﹁ ﹁大丈夫 まぁ、とはいえ。ラルの言葉も一切間違ってないから否定しないけどね ﹁⋮⋮ぅ⋮ぐ⋮はっ⋮﹂ そんな青春だったからこそ、最悪の現実を変えてくれるんだって、期待してるんだ 為に突っ走れる力があるから。理想を絵空事でなく、現実にすることが出来たから 甘いと言われようが、無謀だと罵られようが10年前のどこまでも真っ直ぐに理想の この時代のツッ君がただそれだけで、過去の自分たちに全てを託したんじゃない か ︵⋮⋮でもね、ラル︶ 気づいたら鬼教官が倒れてました。…ッ大丈夫!? 335 ⋮⋮軽いなぁ。かなり体が弱くなってる証だ ﹂ ﹁ほらラル、肩貸すから﹂ ﹁いらん ⋮おい からね﹂ ﹁なーに ﹂ このまま自室に運ばせてもらう やだなぁ、生き返ったコロネロに知ら 俵担ぎにしろとか下ろせとかは聞かないよ ﹂ ⋮聞いていたのか﹂ ﹂ あとで作戦会議あるんだから、それまで身体休めな。 ハイ、問答無用でお姫様抱っこしましたーっ 下ろせ れたら俺殺されそー ﹁ふざけるな ﹁ ﹁偶々ね。⋮⋮⋮ねぇちょっとラル なんでそんな疑いの目で見てくるの どうせツッ君もそれまでまともな修行は出来そうにないし﹂ ﹁聞かないっていったデショー ! ! ﹁ ひょいっ ﹁はぁ⋮もう我儘言わないの﹂ ! ﹁普段の行動を思いだせ﹂ ﹂ ? ? ! ? ! ? !? !! ﹁俺の信用ゼロ !? ? 336 ひっでー ﹂ ﹂ リボーンの神出鬼没さや地獄耳は一種の生態だったのか マジで ⋮⋮ そりゃあ確かにちょっぴり少しはそんな部分があるって自覚してるけど ﹁じゃあ家庭教師君は ﹁あれはもう、そういう生態だと思ってる﹂ 生態って ﹁流石としか言いようがないくらい俺より酷かった ありえそうで嫌だなぁ !? と起こすからさ﹂ ﹁⋮⋮お前のそういう所が本当に苛立つ﹂ 俺が悪かったから ﹂ そのゴリラの ! ? 大事なお師匠様の身をこんなにも案じて⋮ってラルストーップ 肩当てっぽいのこっちに投げようとしないで !! ﹁酷い ちょっとふざけただけなのにー ! !? ! 会議の時間になったらちゃん まぁ、このまま去ったら確実に部屋を出るだから見張りとしてここにいようかな ながらベッドへと下ろす う俺。んで、大丈夫だなんだと根拠のない言葉を言い続けるラルに適当にハイハイ言い 思わず師弟漫才を繰り広げるが、そんな会話をしつつも真っ直ぐとラルの自室へ向か !? ! ! !! !? !! ﹁ほらラル、目を閉じてるだけでもいいから横になって 気づいたら鬼教官が倒れてました。…ッ大丈夫!? 337 ﹁全く⋮時々お前はリボーンの弟子なんじゃないかと疑う時がある﹂ ナッポー と、そこで。不意打ち気味に言われた言葉に内心でドキッとするがそれは表に出さず ﹂ に嫌そうな顔をしておく ﹁え、それどういう意味 やだなぁ えええ嘘ーん⋮俺ってば、リボーンのあのハチャメチャぶりが移ってんの ﹁自分の胸に手を当てて考えてみろ﹂ 菌の如く移るもんなの 言った通りこちらの生存者も増える。なのに何故⋮お前は動こうとしない ﹂ ﹁お前が本気で戦えば、作戦の成功率もぐっと上がるだろう⋮。そうすれば先程沢田に そんなことを思いだしていると、不意にラルが不満げにそう呟く ﹁⋮⋮俺はお前が分からん﹂ まずさはないけど それから暫しの間沈黙が下りる。といっても、この間の問い詰められた時みたいな気 ﹁⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮﹂ 自分の弱ってるとこなんて、それこそコロネロにだって見せたくないだろうし 微妙な表情になりながらも、ベッドで横たわるラルに背を向けて座っておく。ラルも ? ? ? 338 ? 背中を向けていることでお互い顔は見えないけれど、ラルの眉間に皺が寄ってるんだ ろうなとは言われずともわかった。実際、このラルの疑問はずっと雲雀さんやリボーン からも眼差しで訴えられてきた事だったから、驚くこともない とはいえ、ここまでツッ君たちを心配してくれているラルにこれ以上嘘をつくのも気 が引けるんだよなー ﹂ ? ﹁⋮⋮正気か あんな甘ちゃんだぞ ﹂ ? ﹁俺の甥っ子、あんまり馬鹿にしないでよ 断を下すはずだから﹂ きっと次の会議ではラルの予想と違った決 ? ﹁馬鹿げたことを⋮﹂ まぁすぐにやっぱり誤魔化したけど。あんまり深くツッコまれたくないし 長所にもなる﹂ ﹁うん、そーだね甘ちゃんだ。でもそれが、この時代のツッ君になくてあのツッ君にある ? くたって大丈夫。ミルフィオーレ相手でもね﹂ ﹁でも、一番の理由はツッ君たちを信じてるからだよ。ツッ君たちなら、俺の手助けがな だからだろう、いつもみたいに誤魔化すんじゃなく、本音を漏らしたのは ﹁⋮⋮なんだと ﹁⋮⋮⋮まだ、時期尚早だからかな﹂ 気づいたら鬼教官が倒れてました。…ッ大丈夫!? 339 クスクスと楽しみで仕方ない、と声の調子に含ませれば予想通りラルの方から憮然と した気配が伝わってくる ま、これ以上は後の楽しみかな こンのクソ爺∼∼ ﹂ ﹂ るその景色に、よく似た面立ちの青年︵︶2人が そこは巨大なボンゴレの屋敷の美しい庭園の中。幻想的ともいえる花々の咲き乱れ おまけ・十年後ひー君とはっちゃけ初代様 **** れ、雲雀さんに教えようと部屋を飛びだしたものの咬み殺されかけるのはまた別のお話 この少しあと、顔を真っ青にしたビアンキにクロームの容体が急変したことを伝えら ? うむ愉快愉快 !! ﹁待て∼ ﹁はっはっは、鬼ごっこか !!! まぁ、煌々と燃え盛るオレンジ色の死ぬ気の炎で推進力が増していくので目で追えな で追いかけっこをしていた 音声さえミュートにすれば一昔前のコーラのCMと言わんばかりにお互いイイ笑顔 ! ! 340 くなるのも時間の問題だろうが ﹂ ﹁毎晩毎晩人の夢に出ては安眠妨害しくさって ムを返せこの野郎 ﹂ お前はどこぞの骸か 平穏な睡眠タイ ﹂ これ以上の至福は つかそもそも同じ顔でしょうが ? !! ﹁いやいや何を言う宙よ。この俺の麗しい美貌を毎晩拝めるのだぞ ないだろう !! !! !!! ﹁ハッ そりゃあそうだろう ﹂ ﹂ 流石俺の血を受け継いだ者だな ﹂ よい鬼 ツッ君に頼み込んで、大空のボンゴレリングを俺直々に スカッとしたね 血も涙もないとはこの事か ﹂ ! !! ! これ以上あんたとの血の繋がりは要らん ! 壊したのはいい思い出だ ﹁な ん と 酷 い 畜っぷりだ ﹁って喜ぶなよ !!! ﹁はっはっは、事実は変えられんのだ !? 幻想的な美しさを保っていた庭園は、夢の中とは言えこれ以上もなく荒れ果てていく り裂き 時にXバーナーが発射され、時にそれを吸収して回避に使い、時に鋭い氷塊が空を切 !!! !!! ! ! ! 合いが何よりも幸福なのだ﹂ ﹁それに最近はまったく逢えなかったからな⋮⋮寂しい爺の身には可愛い来孫との触れ !! ! ﹁俺はあんたの狂信者じゃねーんだよ 気づいたら鬼教官が倒れてました。…ッ大丈夫!? 341 とはいえ、それを行っている現行犯の片割れはうっとうしい先祖の態度にそれどころ だが私は私のやりたいようにやるだけだ ﹂ ﹁⋮⋮ハッ ﹂ 寝起きだというのに疲労感たっぷりの顔で朝を迎えるのだった。ちゃんちゃん♪ ﹁ちっくしょー⋮また逃げられた⋮ッ﹂ ﹂ もう用済みなんだから大人しく隠居するなりこの世界 ではないので修復の見込みはないのだが ﹁ツッ君の継承も終わったんだ から消滅するなりしやがれ ﹂ !!!!! 直後、今までにない宙の怒号が庭園に響き渡ったのだった ﹁こんの自由人クソ爺││││││││ ﹁釣れないことを言うなぁ ! !!!!! そして今日も、決着はつかずに朝を迎えるひー君は !!? !! !! 342 気づいたら襲撃が始まったようです。⋮いってらっしゃ い それは、敵の強襲が始まるつい1時間前のこと !! はツッ君であり入江君だ 沢田綱吉の叔父である宙はミルフィオーレの手により死亡。それを偽装工作したの ︵⋮⋮ま、だから早めに俺は死んだことにしてたんだけど︶ いくら一般人と嘯いていても、ミルフィオーレにとっては抹殺対象になってしまう 親交があったし、ツッ君ボンゴレ十代目の血の繋がった叔父でもある それはある意味、必然ですらあったんだろう。俺は10年前の時点ですでに入江君と いるという事 はこれを知っているメンバー︵十年後ツッ君、雲雀さん、入江君︶の中に、俺も入って このメローネ基地に攻め込んでレベルアップし、ボンゴレ側に寝返るという作戦。実 実は、前回と違う点が一つある 俺は自室のベッドで横になっていた身体を起こし、ぼりぼりと頭を掻く ︵⋮⋮ああ、そろそろ入江君が強襲を始めるころだっけ︶ 気づいたら襲撃が始まったようです。…いってらっしゃい!! 343 そして俺は自由に動けるようになった分、ツッ君がミルフィオーレの目があるところ で計画通り殺されるまで、時折影武者を演じた ついでこの時代のツッ君が死亡︵︶した後は、海外に逃がした父さんと母さんの身代 わりになって もうこの時点で︵ラルにはああ言ったものの︶とっくに俺は一般人であることを止め ていた 俺が⋮俺が弱いせいで⋮⋮ 宙兄さんを一般人でいられな ⋮⋮この時代のツッ君は最初にそれを伝えた時、酷く嘆かれてしまったけれど ﹃│││ごめん、ごめんっ くしちゃって⋮ッッ﹄ ! ? 貴方が望み、努力して漸く得た平穏は、永遠に喪われるというのに⋮﹄ ? ︶ ? ふと、その事に気付いて記憶を手繰り寄せるが、すぐに思い至って苦笑を浮かべる ︵⋮⋮俺は、それになんて返したんだっけ⋮ て、俺が一般人であることをやめることに最後まで難色を示していたんだ 穏を手にして笑っている俺に、別の人生を歩んでいる自分を重ねていた。それもあっ 優しい二人は、ある意味俺によく似たあの二人は、だからこそ自分たちが手放した平 せんよ ﹃│││本当に、いいんですか⋮ こちら側にきてしまえば、もう二度と後戻りは出来ま ああ、そういえば入江君にも酷く強張った表情で問われたっけ ! 344 ﹃││2人共ありがとう。でもね、俺は一人安全な場所で幸せを手にするより、大事な人 たちを守って危険な目に遭う事を選ぶよ﹄ 遭わせたくない。子供の頃、よく言ったでしょ 〟自分で対処できないことがあったな ﹃君たちが俺を危ない目に遭わせたくないように、俺だって君たちばかりを危ない目に ら、周りに助けてって言うんだよ〟って﹄ じゃないかな たっけ。2人共、お互いの立場ゆえに中々弱音を吐けないからいいガス抜きになったん たしか、そういったあと2人に泣かれながら抱き付かれちゃって頭を撫でて宥めて ? !!! ヴーヴーヴー めちゃったんだよなぁ ⋮⋮それもあって、俺は炎真たちの心配を振り切って、ツッ君たちを助けることを決 とはいえ、あの時点ですでに殆どのアルコバレーノは白蘭によって殺されていたけれど クスリ、とその様子までまざまざと思い浮かべることが出来てしまい、笑みが零れる。 けど︶ ︵⋮もし、このやり取りをリボーンが知っていたなら甘やかしすぎだって怒られそうだ 気づいたら襲撃が始まったようです。…いってらっしゃい!! 345 ﹁⋮⋮始まったみたいだね﹂ つらつらつら、とそこまで考えたところでとうとう強襲の始まりを告げる警報が鳴り 響く。 それを聞いて素早く身支度を整えた俺は、部屋を飛びだしツッ君たちが侵入する経路 ⋮貴方も来たのね﹂ ﹂ のショッピングモール地下駐車場の発電室に在るダクトへと向かう。 ﹁ ﹁まぁね、大事な甥っ子の出撃だから。そっちも、でしょ ﹁⋮⋮ええ、そうよ﹂ ⋮来たみたいだね﹂ ! ﹁え、ひろ兄も ﹂ いっても、入江君によって部隊の殆どは基地襲撃に行ってるから念のためだけどね そこで簡単な役割分担をして暫し別れ、任された通り周囲を警戒しておく。そうは ﹁ん、了解﹂ ﹁私が誘導するわ。貴方はここで周囲の警戒していてちょうだい﹂ ﹁ タタタタタッ と合流する。そういえば、前回もこうして応援してもらったっけ そしてツッ君たちが来るより先にそこへ到着すると、同じことを考えていたビアンキ ? ! 346 !? ﹂ まさかのそっち思考 ﹁お前も行くのか ﹁アレ ﹂ ? ? これは驚いた。まさかの見送り要員でなく戦闘要員と受け止められるとは↑ ? ﹁ひろ兄⋮ うん、皆の事任せた ﹂ !! ﹁ま、念の為ってことで﹂ ﹁⋮⋮弟子に言われるほど落ちぶれたつもりはないがな﹂ を忘れないで﹂ ﹁それは大丈夫でしょ。それよりラルも気を付けてね。│││どんな状況でも、冷静さ ﹁足手まといにならなければな﹂ ﹁ツッ君たちの事任せたよ、ラル﹂ ルを見つめる ぐしゃっ、と若人たちの頭を一回ずつ撫で、お兄さんとは軽く拳をつきつけ合わせ、ラ ! 俺たちで守り抜いてみせるから﹂ ﹁京子ちゃん達や基地の事は任せて。ツッ君たちが安心して暴れられるようにこっちは ﹁そ、そっか⋮﹂ すぐに基地に戻るからね﹂ ﹁期待させちゃったみたいだけど、俺はビアンキと同じ理由だよ。君たちを見送ったら 気づいたら襲撃が始まったようです。…いってらっしゃい!! 347 苦笑を浮かべつつ、時間もないしとダクトに入っていくメンバーを見守る ? おお、それならば俺の血筋らしくて納得のいく結論│││︾ ? ? に放り込んだのは言うまでもない ﹁何を1人で遊んでいるのよ、貴方 ﹂ 因みに感動的な場面にごちゃごちゃと喧しい先祖の幽体を死ぬ気で引っ掴み、ダクト ガッ ボスッ 箱に放り投げてもいいんだぞこの徘徊ド腐れ低能クソ爺﹂ ﹁いいからさっさと大人しくリングにくっついてダクトに入りやがれいっそのことゴミ せるのが目的か ︽全く宙は相も変わらずデーチモらに甘いなぁ。む それともああやって自分に依存さ 祈りを込めて放った言葉の返答は、輝かしい笑顔だった ﹁│││いってらっしゃい。皆、生きて帰ってくるんだよ﹂ 348 さーて、基地の方で出番が来るまで家政夫がんばりますかー まぁ、見えてないビアンキには挙動不審だったろうけど ﹁ナンデモナイデスヨー﹂ 気づいたら襲撃が始まったようです。…いってらっしゃい!! 349 気づいたら基地攻略が終わってました。⋮ってまだ切る んじゃねえ ︶ ︵⋮⋮アレッ ? ? だってアレじゃん、白蘭ってナリはデカいけど中身はてんで子供じゃん からのんびり休むといい﹂ ﹁細かいことは10日後に発表するから楽しみにしててね♪それまで一切手は出さない ど⋮ いことを指す。白蘭の性格的に、気づいてたら視線寄越すなりなんなりしそうなんだけ 勿論、ここで言う〟気づく〟とは、俺が逆行者であり他のパラレルワールドにはいな ? そういえば白蘭俺に何も言及してこなかったけど、もしや気づいてない ふと、ある事に思い至る やり過ごし た︶が語られ、白蘭が通信してきて、ハイハイ中二病乙、と内心冷めた目で見たりして 入江君が計画の真実︵この時、俺も知っていた事まで言われ、めっちゃ居心地悪かっ それはツッ君たちを見送って数時間後のことだった !! 350 自分の好奇心とか優先して思うがままに行動するけど、 ︵無駄に︶ハイスペックなせい で誰も止めることができなかっただけって言う⋮⋮↑ どう足掻いても︵といっても実際はたいして足掻くつもりもないが︶辛辣な白蘭分析 をしている間に、白蘭は言いたいことだけ言って消えたようだ ﹂ ! あれ、これってヴァリアーからの⋮ ﹂ ? わわっ、これはいけませ⋮﹁うぉおおい ﹂ひっ ﹂ !? ﹁あのー、通信来てるみたいだけど ﹁え ? まてよ ﹂ ミルフィオーレに盗聴される恐れがありま もしかして白蘭、俺の死亡︵︶に気付いてヴァリアーの方に何かアクショ !! すが⋮﹂ ﹁ヴァリアーから通信を繋げとの要請です ? ﹁いいから繋げぇ ん ? ! んだっけ あ、やっぱりヴァリアーだ。そーいや、さっきの白蘭の通信、ザンザスたちも見てた !! と、そこまで考えたところでふと通信機の一つが光っているのに気付く ﹁││││ それに、大人ツッ君がおいてったボンゴレ匣も無事に渡ったみたいだし後は│││ ﹁この時代のボンゴレ十代目より君たちに託された、ボンゴレ匣だ﹂ 気づいたら基地攻略が終わってました。…ってまだ切るんじゃねえ!! 351 ? ン起こしてる可能性もなくはないか 途端 生きてんだろーなぁ と、そこで不意に超直感が強く警報を鳴らしたので、俺は素早く両手で耳を塞いだ。 能性もなきにしはあらず だし⋮白蘭がその情報を掴んで、俺がヴァリアーに保護されてる、と勘違いを起こす可 ボンゴレの正式な記録で、俺がザンザスと個人的な知り合いだってのは載ってるはず ? ﹂ !!!??? こうなっちまった以上、ボンゴレは一蓮托生だ。てめーらがガキだろーと ﹂ 枠である、まる !! ﹁てめっ ﹂ いかんいかん、思考が回り道どころか迷宮入りしていたよ 話題逸れすぎぃ ︶ しかしそれを上回る暴虐無人なザンザスの下で働いてる以上、彼への評価は常に不憫 ⋮⋮でぇ ﹁いいかぁ 時期が俺にもありました 正直、こんな煩い人に暗殺部隊の基本中の基本、隠密行動ができるのかと疑っていた おう、相変わらず素晴らしい肺活量で、 ﹁てめーらあ !! !! !!? ︵⋮じゃなくて ! 352 !!! 頭を軽く振って、思考をもとに戻す。えーっと、確か白蘭が俺の異常性に気付いてる かどうかザンザスに確かめようって考えてたんだな、うん あーあー、そーいえばこんな事も言われてましたねぇええええ んか愉快な気持ちになってきちゃったなーなんでかなー ﹁10日後にボンゴレが最強だと、証明してみせろ﹂ はっはっはー、なー よーし、とりあえず喧嘩売られたからその喧嘩倍額にして買ってやろー ﹂ ﹁ザ ー ン ザ ー ス く ー ん ? 今切ったらツッ君たちに君の恥ずかしい写真見せるかんなー 早くしないと通信機壊すからなアイツ。てな訳で 通信機の近くへ移動した 怒りに冷静さを失った俺は、つい数分前までのプランをぽいっと投げ捨てツカツカと !! ? ???? 瞬間、聞こえた単語に︵今の俺が言われてるわけじゃ無いけど︶思わず青筋が浮かぶ ピシッ ﹁乳臭さはぬけたか﹂ それじゃ、ザンザスがツッ君との会話終わったら話かけ⋮ ﹁沢田綱吉﹂ 気づいたら基地攻略が終わってました。…ってまだ切るんじゃねえ!! 353 ? 俺はとてつもなくイイ笑顔を浮かべて、いっそ優しい声音で無線機向こうのザンザス へと語りかけたのだった *** ツナSide それは、白蘭からの通信でまだまだ戦いが終わらないことを知り、入江君から色んな 新事実と共にボンゴレ匣を貰って、ヴァリアーのスクアーロさんから通信が入ってザン ザスに馬鹿にされたのと同時に負けるなと言われて 今切ったらツッ君たちに君の恥ずかしい写真見せるかんなー とにかくもう、色んなことがあって俺の頭が爆発しそうになっていた時だった ﹁ザ ー ン ザ ー ス く ー ん ﹂ ﹂ ﹂ ろ兄が、衝撃の言葉を紡いだのは ﹁⋮⋮へ ﹂ ﹁あれ、いまの⋮幻聴⋮スか ﹁ハズカシイシャシン⋮ ﹂ ザンザスの !? ﹁⋮君って⋮⋮ザンザスのぉ 恥ずかしい写真 !? ? ? !? ? ちょっ、ちょちょっ、ちょっと待ってぇえええええ !!? 何故か、無線機から酷く愉しそうな︵敢えて言うなら父さんをボコる時みたいな︶ひ ? ? 354 何それ│││││ いつから !? ﹂ ていうかそもそもザンザスと知り合いだったの !!? そうだよね やられていたようですし⋮﹂ ﹁あ、そ、そっか うん、きっとそう ﹂ 俺 の代わりしてたんなら、暗殺部隊のボスと知り合っててもお ボンゴレボス 成る程ぉ あははははーっ かしくないよね !! ﹂ じゃあザンザスにとっては14歳頃の赤面写真は恥ずかしい写真じゃなかったん ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮は ﹂ だ ﹁え ? かった 半ば以上現実逃避でやけくそになっていた俺たちだったけど、やっぱり現実は冷た かー﹂ るんだけど⋮それもザンザスにとっては別に恥ずかしい写真じゃ無かったんだー、そっ ﹁ああ、それと十年前の無様に病院で寝転んでる時にイロイロやったあの時の写真もあ ? ? ﹁⋮⋮テメーがそんなもの持ってるわけねーだろ﹂ !! ! ! ! ! ﹁こ、この十年の間で知り合った⋮とかですかね⋮ ほ、ほら宙さんは十代目の影武者を ? !? !!? ﹁なんでひろ兄そんなもの持ってるの││││ 気づいたら基地攻略が終わってました。…ってまだ切るんじゃねえ!! 355 それぶっちゃけ20年くらい前デスヨネ 寧ろ待って。この十年どころかかなり前からのお知り合い の時って !!? ﹁ま、それならそれでツッ君たちに問題なく見せられるね ﹁だーれが一生モノの童顔だこんの偏食児童 ﹂ ブッ飛ばすぞ ﹂ 大口叩くならそ その前に証拠ごとテメェをカッ消してやるから首洗って待ってろ ﹂ 十日後までにドカス含めて全部カッ消して ﹁未だにミルフィオーレの雑魚も片付けられない人が何言ってんのー れなりの成果を成し遂げてみやがれ ﹂ ﹂ ﹂ ﹂ おーおーそれならこっちはツッ君が無 その小さすぎてよく見えねぇ背たけでもハッキリと分かるようにな この俺が手こずる訳ねーだろうが ﹂ ﹁テメェ今絶対無駄にいい笑顔でサムズアップしてんだろこの破滅的童顔野郎 !! それなら俺がドカスをカッ消してテメェを小間使いにしてやる !! やる !!!!! ﹁ハッ !!! 事白蘭から勝利をもぎ取れるってことに俺自身を賭けてもいいね !!! ﹁ああ !!! !! !! ﹁ふざけんなチビ扱いすんじゃねーよ強面馬鹿 ﹁言ったなカスが ﹁やれるもんならやってみやがれ ! ﹂ ザンザスが俺と同い年 !? ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮おい待て。テメェそれ以上一言も喋るんじゃ⋮﹂ ! あんぐり、と開いた口が塞がらない状態の俺たちをよそに、ひろ兄とザンザスの口喧 !!!! !!! !!!! ? ! !? !!! !! 356 気づいたら基地攻略が終わってました。…ってまだ切るんじゃねえ!! 357 俺が白蘭倒せなかったらひろ兄がザンザスの小間使 嘩はどこまでもヒートアップしていった っていうかちょっと待ったぁ いになるとかやめて 俺はガンガンと頭痛のする頭を抱えてその場に崩れ落ちたのだった !!!! !!? これ以上責任背負えないよもぉおおおおおおおお !!? 気づいたらボイコットが開始してました。⋮ふ、ファイ ト ﹁ドキドキしたね ﹂ ﹁そりゃあ、よかったね ﹂﹂ ? ! ﹁ひ、宙さん ﹂ !? !? い、一体いつから気づいて⋮ !? 組は大体気付いてたよ ﹂ ﹁いや、結構君たちバレバレだったからね ツッ君たちは気づいてないだろ│けど、大人 ﹁はひっ ﹂ まったくもー、行動力のある子たちだこと 声を掛けると悲鳴が上がる いかにも怪しんで下さい、と言わんばかりのスタイルをしたお嬢さん2人の頭上から ﹁﹁きゃっっ !? ﹂ ﹁バッチリ聞いちゃいましたね♪﹂ されたその日の事だった それは、チョイスに向けて本格的な修行内容がディーノさんよりツッ君たちに言い渡 !! 358 ? ? ﹂ ﹂ まぁ、リボーンたちはここまで来たら事情説明した方がいいと思ってて敢えて見逃し でもハルたち悪戯とかじゃなくて⋮ てたんだろうけどさ ﹁あ、あの ! が、時に を想定していない ﹂ ハルたちだって一緒 今の現状を、私たちにも教えてくれませんか 命の危険に繋がること " !? か前回通りというか ﹂ ? 知ってしまう事 この事を話すのは俺 ! ﹁宙さんでもいいんです に戦えます ﹁もう、ハルたちだけが真実を知らないなんてうんざりなんです 必死にそういい募ってくる2人は、ちゃんと真剣ではある ﹂ ﹂ ﹁うーん、まぁ気にならないわけはないよねぇ⋮。でもゴメンね ﹂ じゃなく、当事者のツッ君たちから直接聞きだしてごらん ﹁そんな⋮ ﹁どうしてですか、宙さん !? 真剣ではあるけど、彼女たちはまだ事態の重さを分かっていない。 " ⋮まぁ、一般人の真っ当な反応なんてこんなもんだろうけど " " !! ! ? ! そんなことを思いつつ、2人の意見を︵知ってるけど︶聞くと、まぁ予想通りという !! ! ﹁お兄ちゃんやツナ君たちが頑張ってること、私たちも手伝いたいんです 気づいたらボイコットが開始してました。…ふ、ファイト!! 359 ﹁理由はいくつかあるけど⋮⋮そうだね、少なくとも今の君たちには真実を聞いて後、ど ﹂ ﹂ うするかの覚悟がまだ備わってないからかな﹂ ﹁え ﹁覚、悟⋮ですか ﹂ ? けどまぁ、誘導はあくまで一時しのぎにしかならないって言うか *** そう結論を出した俺は、一先ず2人の意識を誘導させることにした ﹁分かりました⋮﹂ ﹁⋮はい﹂ ﹁じゃ、そろそろ畑に行こうか これ以上は男の俺が言ったところで馬耳東風だろうしね うん、後はビアンキとか女性陣に任せようかな ﹁﹁⋮⋮﹂﹂ 苦笑しつつ、2人の頭をポンポンと撫でてクールダウンをさせる を考えてみることだね﹂ 緒にしているんじゃない。どうして彼らが、ああも頑なに秘密にしているのかその理由 ﹁隠されれば知りたくなるのが人情⋮というけどね。ツッ君たちだって何も意地悪で内 ? ? 360 ﹂ ﹁ツナさんたちが真実を話してくれるまでハルたちは家事をしませんし ﹁共同生活をボイコットします ﹂ ! 若 き 俺 ﹁家事と共同生活をボイコット││││ そっ、そんなぁ ﹂ !! ん 俺は手伝わないのかって イヤー、家事スキルってマフィア関係なく必須スキル なるぞ。修行もうまく行かない最悪な日々の幕開けだ そしてツッ君よ、ガンバレ。超ガンバレ。今日から数日はまともな飯にありつけなく !!? 時々してたから、納得はしてないだろうなー、と思ってたけど どうやら昼間の言葉は彼女たちに聞き届けられなかったようだ。まぁ、不満げな顔を ︵⋮⋮あー⋮やっぱこうなったかー⋮⋮︶ !!! ? か ? そりゃまあビアンキのせいで手造りの料理に恐怖を抱くのも無理ないけど どおり ! 俺 大学出るまで外食オンリーの食事してたって聞いたときは開いた口塞がらなかったよ あと個人的に獄寺君がまともな食生活を送れるように料理に慣れてほしい。あの人、 基本的に、自分の事を自分でするって当たり前だからね だし。会得できるときに会得というか、自分のできなさを痛感しといた方がいいという ? で毎回母さんの料理美味しそうに食べるはずだよね ! 気づいたらボイコットが開始してました。…ふ、ファイト!! 361 前回、知った時に思わずそう突っ込んだ俺は悪くない ﹂ ﹁私たちも京子側につくわ﹂ ﹁修行しっかりね じゃなくて ﹂ つらつらつら、と考え事をしている間に、リボーンたち一部の男子組は︵食事目当て ﹁お前たち狡いぞ ! !! ひろ兄はどっち側 ﹂ で︶女 子 組 に 着 い た ら し い。う わ ぁ 酷 い な、俺 の 事 お い て い き や が っ た ぞ あ の カ テ キョー ﹁ひ、ひろ兄 ! ﹁それじゃあ⋮ ﹂ は理解できるよ﹂ ﹁⋮確かに同じ男として、君たちが彼女たちを守りたい、巻き込みたくない⋮って気持ち つつ、俺は率直な意見を言うことにした それら︵ぶっちゃけ、縋りつく目期待に満ちた目は全員がしてた︶を苦笑で受け流し ﹁あー、そうだネー﹂ 見つめて⋮⋮うん、俺がゲシュタルト崩壊しそうだ。止めよ そして残された側の俺同士。ミニ俺は縋りつくような目でビッグ俺を熱い眼差しで !? 362 ! ﹁おお 流石だな ﹂ ﹁ああ、それでこそ宙さんだ ﹂ ﹂ ﹂ 俺も〟そう〟だったし。⋮⋮でも 十代目のお気持ちをよくお分かりで⋮ うん、もんのすごぉおおおおく理解は出来るよ ねぇ ﹁⋮⋮⋮え ! ! ﹂ ? よなぁ⋮︶ ︵⋮⋮それでいくと、認めたくないけど父さんのガードはほぼパーフェクトだったんだ 見通しが甘すぎると言わざるを得ない でも、今この現状で。既に巻き込んでいる状況で言うには、現状把握が出来ていない。 それは正しい理想であるし、叶うなら素晴らしいことだろう 何も知らせないでこちらの懸念事項から全てを守り抜く││││ ﹁ひ、ひろ兄⋮ 空事だから、身の程は弁えようね﹂ ﹁理想や男としてのメンツがあるのは結構。でも、実力が伴わなければそれはただの絵 る ニコニコニッコリ。笑いながらも、バッサリと彼らの内に在る甘えや驕りを斬り捨て ? ? ? ! ! ﹁だけど、今の君たちにそれを貫き通せると言えるのかな 気づいたらボイコットが開始してました。…ふ、ファイト!! 363 母さんにはホントに死ぬまで言わなかったし、俺もリボーンが来るまでこれっぽっち も気づかなかったし︵ただし、息子から父親への尊敬度は壊滅した︶ メチャクチャむかつくし、苛つくし、家でなんてダメ親父でしかなかったけど⋮⋮⋮ でも、平穏な日々を母さんに送らせられるくらいには︵悔しいことに︶実力があったん だ ⋮⋮⋮死んでも言ってやんないけど ! ﹂ ﹂ そして、ツッ君たちの気配が十分に遠ざかった後で *** を進んだ 在りし日の師の意図を思いつつ、俺はツッ君たちの視界から逃れるように早足で廊下 ︵⋮⋮リボーンは、これもツッ君俺の成長につながる試練としたんだろうなぁ⋮︶ が失われる時だってある 状況判断の遅さは、組織のボスとして致命的な欠点だ。優柔不断さが原因で部下の命 │││││後悔だけはしないようにね﹂ ﹁あぁっと、一つだけ言い忘れてた。ツッ君たち、どんな結論を出すも君たち次第だけど ﹁え、ちょ、ひろ兄待ってよ⋮ ! ! 君の判断に任せるよ。それじゃ ﹁⋮ま、これはあくまで俺の意見。この基地やミルフィオーレとの戦いについてはツッ 364 ﹁⋮⋮⋮はぁあああ∼∼∼∼∼﹂ 盛大に、溜息をつく。そのままズルズルと壁に背を預けてもたれかかる あー、もう⋮ホント、情けない⋮ 出てしまった ﹁俺が言えた義理じゃないのに⋮﹂ それこそ、かつての沢田綱吉としても、宙としても⋮ ? リボーン居たのに気 ﹁それは、お前がこの時代で死亡扱いにされてたことと関係あんのか ﹂ !? うっかり気配探るの忘れてたよ 家庭教師君いつの間に ってビックリした││││ ! ﹁うわっ 付かなかったよ !! !! ! ﹂ 原因は分かっている。もうすぐ、全てに決着という気の緩みからあれらの言葉が飛び ﹁⋮はぁ⋮ヒッドイ自己嫌悪⋮﹂ だ、本当は ⋮⋮ただでさえ、追いつめられてる彼らにわざわざいうようなことじゃ無かったの める。 間違ったことを言ったつもりはない。だけど、正しすぎる正論は時として人を追いつ ﹁⋮⋮ツッ君たちに悪いことしちゃったなぁ⋮﹂ 気づいたらボイコットが開始してました。…ふ、ファイト!! 365 ﹁いーから俺の質問に答えやがれ﹂ ⋮あー、まぁ、その通りだよ !? 一般人であることを止めて。あれほど焦がれていた平穏を手放して。一度入ったら、 │こんな未来はなかったかもしれないって﹂ ﹁時々ね、考えるんだ。俺がもっと早くに、こちらの世界へ入る覚悟を持っていたら││ ようなケースの場合には最悪の悪手となる 大手を振って使える公の権力はない。それは自分で望んだ人生の結果だけど、今回の 念ながら無力だった でも、誰か、大事な人を守るという話になった時。しがない一般人でしかない俺は、残 対処できる 俺は確かに戦闘面で言えば強い方だろう。ちょっとやそっとのトラブルなら自力で ればデメリットしかなかったことでもあったからね⋮﹂ ﹁〟ボンゴレボスの叔父は死んだ扱いの方が都合よかった。〟⋮⋮でもそれは、生きて 偉そうなこと言えるわけじゃ無いんだ、本当は そう、同じ道を辿った人間としてだけじゃなく。宙としてだって、俺はツッ君たちに 昔懐かしいやり取りをしつつ、観念してリボーンの問いを肯定する ⋮﹂ ﹁言いつつ銃口をこちらに向けないでくれると嬉しいかな 366 一生⋮戻れないと分かっていても大事な存在を守る為に一歩を踏み出していれば││ │ ﹁⋮⋮この未来になったのは、お前のせいなんかじゃないぞ﹂ ﹂ ﹁⋮⋮だが、それなら何故事ここに至っても動かないんだ に戦う力ぐれーはあるはずだろ ﹂ ? ボンゴレボスとしての オメーは今のツナ達と一緒 ! いたくねーなら深くは聞かねーぞ☆﹂ テるわけだ∼﹂ ﹁わぉ、家庭教師君に褒められるなんて嬉しいねぇ。ていうかイッケメーン ﹁俺は最強のヒットマンだが、それだけの男じゃねーからな﹂ こりゃモ ﹁こんな死人が居てたまるかってんだぞ。⋮⋮けど、オメーは馬鹿じゃねーからな。言 れにイチオー俺は死人扱いだし ﹁皆それ聞くねぇ⋮。ま、でも一番の理由はまだ俺が動くには時期尚早だからだよ。そ ? ? て不安に駆られるのだ くたびに、〟俺は選択肢を間違えたんじゃないのか 〟ともう一人の俺が耳打ちしてき ? どうしても、突きつけられる。一般人であることの無力さが、知り合いが喪われてい くのを見るだけなのはどうにも歯がゆくてさ﹂ ﹁分かってる、事の元凶は白蘭だ。⋮⋮だけど、守りたいと決めた相手がいなくなってい 気づいたらボイコットが開始してました。…ふ、ファイト!! 367 俺は内心でそう思いつつ、リボーンと暫く軽口を叩きあったのだった わないなー うっわー、久しぶりに愚痴言ったわー。ていうかホント、今も昔もリボーンにはかな と、そこまで自嘲したところで。いい加減意識を切り替えて会話を打ち切る ﹁凄い凄い。その調子でツッ君たちの事頼んだよ∼﹂ 368 気づいたら暗躍してました。⋮仕込みは上々ってね いってほしいと言われたことがきっかけだった それは、ビアンキから京子ちゃんが買い物に行くから念のため、護衛としてついて !! あ、勿論ビアンキの頼みは快く了承しましたよー ﹁この程度、お安いご用だよ﹂ くのはちょっと怖かったんで⋮﹂ ﹁でも、よかったです⋮。ビアンキさんに大丈夫って言われても、やっぱり一人で外に行 とりあえず、今日から十日後を目安にすればいいだろう ︵んー⋮ま、これで大分今後の目処はたったかな︶ ちゃんに若人と同じ記憶力は期待しないで、ホント。じゃなくて 流石に十数年前どころか、60年弱前のことだと記憶も朧げなんだよなぁ⋮。お爺 あったはずだし。 確か前回、俺が京子ちゃんにこっちの世界の事を話した日にアホ白蘭からの通信が ︵ツッ君たちの修行も絶不調ここに極まれり、て感じだし⋮⋮⋮そろそろ動き時かなぁ︶ 気づいたら暗躍してました。…仕込みは上々ってね!! 369 念には念を入れるって大事なことだし。ぶっちゃけ、俺というイレギュラーのせいで 無事 ﹂ 襲撃が一つ二つ増える可能性もありえる訳だし ﹁京子ちゃん !? のツッ君が登場 ﹁ってアレっ、ひろ兄 え、なんで ﹁その憐れんだ視線ストップひろ兄 ﹂ ﹂ ﹁ツッ君⋮ビアンキに騙されちゃったんだね⋮﹂ そして混乱した様子にすぐさまピンとくる訳で !? !! 九州ではさ ここ並盛だけど イヤイヤそんなー、憐れんだ視線なんてしてナイヨ て言うじゃん ! ﹂ !? 女に振り回されるは男の度量っ ツッ君﹂ ? え、え、エスコートって⋮ ﹁んじゃ、京子ちゃんのエスコートは任せたよ ﹁なぁっ ? !? やだなー、そんなツッ君が考えてるような深い意味はないよ そんな軽口を叩きつつそう言うと、キョトンとした2人のリアクションが返ってくる ﹁さて、それじゃツッ君も来たことだし俺はここでお暇しよっかな﹂ ? ? !? なんて、内心は隠して和やかに京子ちゃんとお喋りをしていると後方から焦った様子 ! 370 だけど羨ましいねー、この初々しい反応。俺がはるか昔にどこぞへ置いてきちゃった もんだし ﹂ で、それが大体30分前のこと *** り、俺はその場を後にした ﹂的な台詞が まぁそれは置いといて。尊敬と感謝の目で見送ってくれるツッ君たちに軽く手を振 !! とを考える こないだの忠告ありがとう ﹂ あれ、何故だろ 今、妙にザンザスの声で﹁だからテメェも狸なんだ 聞こえたやうな ﹁あっ、うん⋮ひろ兄 ! ﹁ま、そんな訳で俺はここで失礼するね∼﹂ ? ﹁⋮ふふっ、どういたしまして﹂ !! ? 苦笑を浮かべつつ、まぁ俺の経験そのまんまとかは言えないしー、とぐだっぐだなこ ? 閑話休題 ﹂ ﹁京子ちゃんに話があるんだろう ﹁ひろ兄、分かって⋮ ! ﹁ツッ君の叔父歴も長いしねぇ﹂ 気づいたら暗躍してました。…仕込みは上々ってね!! 371 チリン⋮ ﹁あ、炎真君こっちこっちー﹂ ﹁こうして直接会うのは久しぶりですね、宙兄さん﹂ ﹁⋮⋮相変わらず堅苦しいねー、もう﹂ 只今俺は、数年ぶりに炎真とファミレスで会っていた。まぁ、情勢が危うくなってか ﹂ らシモンは島に引きこもってもらってたし、俺も公には死んでることになってたしなー それは兎も角 ﹁あとね、俺もう四十路だからいい加減兄呼びは勘弁してほしいんだけどな ﹂ これで今 ? ﹂ あと敬語、単純に俺への嫌がらせで 止める気ゼロでしょ実際 ﹁今からでも参戦して、Mを潰していいなら考えます﹂ ﹁炎真君、駆け引き上手くなりすぎぃ なんて言うとでも思った あくまで要求を呑んでも考えるだけなんだね ! !? !! シモンは必要以上にこの戦いに関わらないで欲しいって 後のシモンも安泰だー しょ ﹁言ったよね ! ! るからこそ、居ても立っても居られないんだ﹂ ﹁忘れてませんよ。でも、貴方恩人が危険に自ら飛び込みに行くような人だと知ってい ? ! !! 372 ﹁ちょっとー それどういう意味ー ﹂ 確かにどのパラレルワールドでも大地属性は発見されてないだろう !? から不意を突けば大打撃間違いなしだけど ダメだからね !? !? よ﹂ だったら無理させちゃ駄目だ ﹁⋮だと、思ってました。彼女の様子を知るだけなら、それこそ今まで通り電話ですませ ﹁今日来てもらったのはちょっとしたお願いがあったからなんだ﹂ なんて、ちょっぴり世界の謎に︵内心で︶遠い目をしつつ話題を切り替える ﹁はい﹂ ﹁さて、それじゃそろそろ本題に入ろうか﹂ クラスタになりつつあるんだよネー、不思議だネー イヤ結構マジで。なんだかね、長年シモンの保護者やってたら何故かシモン全体が俺 ﹁うん、分かってくれて嬉しいよ﹂ いかないから﹂ ﹁⋮⋮分かってます。僕もボスだから、ファミリーを軽率な判断で危険にさらす訳には ? アから狙われるよ そしたら逆にM=ミルフィオーレを容易く倒せるファミリーとして全世界のマフィ ! !? ﹁あ ー ち ゃ ん も 育 児 に ひ と 段 落 し た ば か り な ん で し ょ 気づいたら暗躍してました。…仕込みは上々ってね!! 373 ばいいはずだから⋮﹂ ﹂ うーん、話が早くて助かるなぁ ﹁因みに彼女の様子はどう せるから﹂ ﹁やだどうしよう、教え子が物凄く男前に育ってる⋮ ﹂ 俺の立場がこの上なく低いぜ、解せぬ ? ! ﹁茶化すならアーデルの子供たちにも宙兄さん呼び定着させるよ ﹁すみません調子ノリマシタ﹂ ﹂ あれ、上下関係いつの間に下克上された ﹁それで、今回のお願いって何なの ﹁ああ、そうだった﹂ ? 年上のメンツまるで無しな現状に内心真顔になりつつも、炎真の言葉に相槌を打つ ? ﹂ ﹁気にしないで。ファミリーを疎かにしない内容なら、宙兄さんのお願い事は叶えてみ ていて、会話のテンポよく話が進むのでとても楽である も噛み分けてきた大人だ。だからこそ、話し合いの内容も前もって予測がある程度され 十年前のツッ君若い頃の俺と違って、今目の前にいる炎真は、ボスとして酸いも甘い ﹁そっか⋮。これも厄介なお願いだったのに悪いね﹂ ﹁変わらないです。ずっと眠ってます﹂ ? 374 ﹂ ﹁実は十日後。この子の救出、及び彼女の望む場所への移動を手伝ってあげてほしいん だ﹂ ﹁⋮⋮この子って確か、現・大空のアルコバレーノ⋮⋮だよね ﹁流石に知ってるかー﹂ ? ﹂ そして一枚のユニの写真を炎真に提示すると、訝し気な反応が返ってきた ? と思うんだ﹂ 敵地に潜入する危険なものだし⋮⋮報酬前払 なんでそんなジト目で俺を見るのかなー ? ﹁⋮⋮なんだかどこかの誰かを彷彿させるような子だね⋮﹂ あのー炎真さーん 一体どうやって⋮ ﹂ !? かったってのもあって大分前から用意してたんだよ まぁ、炎真たちに何かお礼をしたいなって思ったら、これくらいしか思い浮かばな ﹁そこは企業秘密という事で♪﹂ はっはっはー、ツッ君の影武者やってた時にちょっとねー ﹁それ⋮ ! いとして、こっちは初代シモン・コザァートの血・〟罪〟を渡そう﹂ ? ? ﹁エート⋮勿論、ただでとは言わないよ ﹁彼女は幼いながらも大空の姫だからね。確実にMを止める為に敵地へ乗り込んでくる ﹁救出するのはいいけど⋮⋮移動って言うのは 気づいたら暗躍してました。…仕込みは上々ってね!! 375 ﹁どう 悪くない取引でしょ ? ﹂ ? たちに甘いよね﹂ ? ﹁⋮あの、それってかなりギリギリになるんじゃ⋮﹂ てね∼﹂ 恩人 ﹁因みにソレ、リングにかけてから10日くらいで馴染む仕様だからその間は気を付け そう思考つつ、炎真に罪を渡しておく ﹁うん、よろしく炎真君﹂ ﹁⋮⋮そうだね。僕たちはともかく、子供たちの為にも受け取らせてもらいます﹂ 頼んでいるから、という一点に尽きる けど、ボンゴレの為に動くことは絶対ないだろう。今回動いてくれているのは、俺が ものの、積極的に関わって害そうとまでは考えていない この未来の炎真たちシモンは、やはり過去の事でボンゴレにわだかまりを抱いている ︵⋮それに、炎真たちは大きな力を手にしたからって己惚れるような性格じゃないし︶ も。それでもレベルアップは出来る時にしておいた方がいいと思うしね ぶっちゃけ、炎真たちってリングない方が炎の扱い上手い異色のファミリーだけど ﹁今後のマフィア界勢力図に自衛するための力は、持っておいた方がいいだろう ﹂ ﹁⋮悪くないどころじゃ無いね。寧ろ僕たちにばかり利がある⋮。全く、宙兄さんは僕 376 ﹁いや、無理して10日後にモノにしなくても大丈夫だからね これでユニの護衛の方は大丈夫かな ﹁炎真君が男前に育ってて辛いセカンド 心して待っていて下さい﹂ ﹂ ﹂ ﹁そう言われたらやってやろうじゃないですか。絶対間に合わせますから宙兄さんは安 ? ? ﹂ ? 因みにここでいう彼女とは、ぶっちゃけるとアリアのことだ ら復活させればいいかと﹂ ﹁問題ないらしいです。後は、アルコバレーノが生き返った後に、同じように仮死状態か ﹁彼女の調子はどうかね に言うと、俺の暗躍の共犯者というか そう、言わずと知れたトゥリニセッテの番人・チェッカーフェイス様である。ついで ﹁おや、来たのか﹂ ﹂ う一人の根回し相手への家へとやってきていた そんで、それから2時間後。炎真と別れを惜しみつつファミレスを後にした俺は、も *** 俺は久方ぶりの炎真との談笑を楽しみながら、ほっと息をついた !! ﹁ごめんくださーい、川平さんいますかー 気づいたら暗躍してました。…仕込みは上々ってね!! 377 うん、実はアリア生きてます。ユニとかジッリョネロとかは死んだと思ってるけど、 前々からこの時代のヴェルデやリボーン、そして何よりチェッカーフェイスの協力を得 て一時的な仮死にしてる状態ですハイ そして察しのいい人ならもう分かってると思うけど、その保管場所が炎真たちの住む シモン島っていうね だ﹂ ﹁はぁ⋮それにしても、いくら逆行者とはいえ、よくもまぁこれだけ好き勝手するもの 因みに遠隔地に炎を送る手段はヴェルデ博士によるメカで解決してましたです、ハイ ることすら困難だったし、白蘭の監視もあったし 定量以上の大空属性の炎だったんだよね。でも、現状はそれだけの実力者を一堂に集め ああ、あとどうして仮死状態にしてるかって言うと、起こすために必要なのがある一 こら辺は上手く行かなかったな、ホント それでも大空のおしゃぶりは次のアルコバレーノとしてユニを選んじゃったし。そ ﹁ははは、上手く行くかどうかは半分以上賭けだったんですけどね﹂ で生きながらえさせるとは⋮今思っても突拍子の無いアイディアだよ﹂ ﹁全く⋮役目を終え、命の尽きた元アルコバレーノに長期間、相手の属性の炎を注ぐこと 378 ﹁根が欲張りなんですよ。なにせ、元マフィアのボスだったもので﹂ あ、そうそう。言い忘れてたけどチェッカーフェイスは俺が逆行者であることを︵歴 代ボンゴレボス以外で︶知っている人だ イヤー、まさか一目見ただけで見破られるとは。生粋の地球人やべぇー ま、事情を知っているからこそ、将来的に人柱を必要としない新しいおしゃぶりの仕 組みについて取引したらアッサリ協力を得ることになって結果オーライだったわけだ けど ⋮⋮今思い返してみても、結構最強な布陣というか、協力メンバーの実力が大変凄い ことになっているというか ﹁それはさておき。実は十日後、こちらにお邪魔させてもらってもいいですか ﹂ そんなことを考えつつ、本題を斬りだす。世間話をしに来たわけじゃ無いからねー ? もしもの話なんだけどさ ⋮それもこれも、俺が一般人であることに拘ってないでさっさと動いておけば叶った することになり、確実に返り討ちにされただろーし そうすれば、トゥリニセッテを集める為に白蘭たちミルフィオーレは復讐者とバトル 代交代を済ませちゃえればよかったんだけど⋮︶ ︵欲を言えば、アルコバレーノが死ぬ前に復讐者とも協力体制を作っておしゃぶりの世 気づいたら暗躍してました。…仕込みは上々ってね!! 379 ﹁フッ⋮巻き込むの間違いだろう ﹂ ? ! ! うおっし 最強の鉾盾・チェッカーフェイスGET !! さーて、見てろよ白蘭。お前の未来予想図を悉く覆してやるぜ 俺はチェッカーフェイスの承諾の言葉に、内心でガッツポーズを決めた ! ﹁ありがとうございます﹂ ﹁まぁいいだろう。あの子も不憫な子だしね。多少の助力は惜しまんさ﹂ る ﹂ 唸れ、ボス時代に培った俺の交渉術 ユニに甘いチェッカーフェイスならイケるイケ していただければそれで﹂ ﹁別にミルフィオーレと表だって敵対しろ、てことじゃ無いですよ 少々の時間稼ぎを ﹁確かに。必要ならともかく、セピラの子孫を無駄にそのような目に遭わせたくはない﹂ ? ? ﹁川平さんだって、唯一の同朋の子孫が無残に殺されるのは見たくないでしょう 380 !? 皆から厚い信頼を受けて涙がちょちょ切れそうになってるひー君だ 気づいたら色々と打ちのめされてました。⋮あれー ち ゃ お っ す よっ☆ ! あれから記憶通り白蘭から連絡があって、根回し万端、準備OK、 ? って内心思ってたんだよ、俺は ! ﹃あ ひろ兄 ﹄ 京子ちゃん達も来ることになったから今度は来てくれる ﹄ 極限に京子たちを頼むぞぉおお ﹄ ﹃宙さんが来てくれれば安心して任せられるのな ﹃うぉおおお ツッ君たちからは必至にお願いされ ﹃おい宙、今度は逃げんじゃねーぞ☆﹄ ﹄ ﹃またこの基地を守るとか言って敵前逃亡するなら俺がトドメを刺すからな﹄ !!! !? ? ﹃宙さん俺からもお願いします ! ! ! ! ! 初から。なのにさ それでも、一応念のためにチョイスにはついていこうって張り切ってたんだよね、最 いつでも来いやー 何があったかって ︵イヤー、もう、ね⋮⋮あまりの現実に胸が痛いぜ︶ 気づいたら色々と打ちのめされてました。…あれー!? 381 ﹃ま、ザンザス相手に啖呵きれる宙さんなら大丈夫ですって ﹄ ﹄ 僕一人じゃ無理なんで絶対についてきてくださいね 教師組からは脅されたり根拠のない信頼が寄せられたり ! テメェ一人だけ楽しようなんて思うんじゃねえぞお !? 宙さんも行くんですか ﹄ ﹃⋮メローネ基地の時に行かなかったから⋮今回もそうなのかと⋮﹄ 無垢な目で心から驚かれたりもしたなー ︵⋮⋮ハッハッハー︶ 不思議ダナー 今までの一般人偽装が上手く行った証だね ! 人もいないよ、きっと やったねひー君 ! ? !? ⋮⋮あまりの現実に、目から透明な汁が零れそー ﹄ ある意味ここまで仲間に厚く︵戦わないスタンスだと︶信頼されてる ﹂と言われたんだよねー ⋮⋮と、まぁこんな感じで。満場一致で仲間全員に﹁宙︵兄/さん︶行く気だったの !!! ﹃宙さん ﹃う゛ぉおおい ﹃はひっ ? ﹃す、すみません⋮ツナ君たちが行かないって言ってたので⋮﹄ ? あとは逆切れされたり、八つ当たりされたり ! ! 382 ﹁こうしちゃうかもね♪﹂ なーんてグダグタ考えていると、いつの間にか巨大な入道雲が好き勝手に喋って ドゴォオオオオオオン ⋮ウインク1つで並盛山を吹っ飛ばしやがりました !!!!! こいつ、雲雀さんの前で⋮⋮自殺願望者かよ ! メール このタイミングで ? に仕舞う 相変わらず仕事が早いなー、と思いつつ、素早くメールの内容を頭に叩き込んですぐ チラリ、と時間を確認して納得する。⋮成る程ね、もうユニの救出は終わったか ? つい、遠い目になっていると炎真たち用のスマホがバイブするのに気づく ︵⋮時の流れは無情だなーぁ︶ 知ってたけども いやぁ⋮⋮昔はあんなに無表情なガキだったのに⋮こんな成長しちゃうなんてネー。 ﹁確かに、世界を恐怖で支配する素質ありってとこだな﹂ うわぁあああああ⋮⋮ ﹁おっと、ゴメンゴメン。顔がすべっちゃった♪﹂ 気づいたら色々と打ちのめされてました。…あれー!? 383 あ、因みに俺もツッ君たち同様マフィアらしく黒スーツ着てます。着るときにランボ たちと影武者ごっこやってたらツッ君に怒られちゃったけどね。遺憾の意。 ﹂ !? ? ﹁次のチョイスを始めなきゃ﹂ そうでなければ、ユニのあの言葉はおかしい ︵⋮⋮このチョイス、記憶通りにならないかもしれない︶ うか│││││ いや、だってね このタイミングでユニからの忠告が来ることが妙に引っかかるとい 予想以上のチョイス会場に驚くツッ君たちの声をしり目に、俺は一人思考を進める ﹁超高層ビル群のど真ん中 そうこうしている間にチョイス会場へ到着してたわ、うん ﹁やっ♪ようこそ、チョイス会場へ﹂ *** はてさて、ユニは一体何を予知したのやら ︵⋮⋮に、しても⋮﹁無理に勝たないで下さいね﹂⋮⋮かぁ︶ に包まれたのだった、まる あ、いつの間にか移動時間のようだ。ぼーっ、とそんな事を考えてる間に俺たちは光 ﹁じゃあ行こう﹂ 384 だってそうだろう はー 流石に細部までは覚えてないけど、俺たちボンゴレはチョイスで ⋮⋮ な ー ん で だ ろ ー な ー ものすっごーく超直感が警報を鳴らしてる気がするの になるかもしれないってことで⋮︶ ︵それはつまり⋮⋮こちら側ボンゴレが︵前回と比べて︶過剰戦力になるようなメンバー いう意味の言葉を送ってこないはずだ 一度負けていた。そしてその記憶通りの出来事が起こるなら、 ﹁無理をすれば勝てる﹂と ? ? !? を打つ コレ、けっこーヤバくない !!?? ﹂ え⋮⋮⋮待って待って待ってぇ 各属性の参加人数 !! ばいいんだから︶ ︵ボンゴレの参加人数が大空1、雨1、嵐1⋮⋮なのはいい。予定通りツッ君たちが出れ すけどさポーカーフェイスで。じゃなくて 視界に移るソレに、俺は思わず愕然とする。いやまぁ、勿論その動揺は綺麗に押し隠 ﹁そうか⋮ ! と、そこで。軽い音にも拘らず地獄からの死者の足音のような響きを纏った音が耳朶 カチャーンッ ? ﹁これできまったからね、チョイス参加者♪﹂ 気づいたら色々と打ちのめされてました。…あれー!? 385 だけど、これは ︶ ︵ボンゴレの無属性参加人数が3⋮⋮ 入江君とスパナが出るにしても一人足りない⋮ 勿論、京子ちゃん達は問答無用で却下だ│││││じゃあ誰がいる !? ﹁白蘭サン⋮リングを持たない僕は無属性でいいですよね アーロはリングがあるから却下。⋮⋮まぁ、これは ﹂ ちゃん達の傍にいてほしいし、リボーンは戦える状態じゃない。ディーノさんやスク ジャンニーニは戦闘タイプじゃない。そしてそれはフゥ太も同じ。ビアンキは京子 ? ! ﹂ !!? ﹁嫌な予感命中したぁあああああああ ﹂ ﹂ ちょっと待って本気で待って死ぬ気で待って ! ひろ兄を !? 待って ! ﹁けど待ってくれよ、宙さんも非戦闘員じゃ !? ﹁えっ !!!!! ﹁大空は綱吉君、嵐は獄寺君、雨は山本君。⋮無属性は僕とスパナ、宙さんが適任だ﹂ と、なるとぉ⋮⋮ ﹁だったら綱吉君、僕らのメンバーは決まったよ﹂ こまでチョイス参加を許されるか 入江君と同じ方法を使えば解決するけど⋮⋮さて、純粋なボンゴレじゃない彼らがど ! 386 ﹁全くもってその通りだよね ユニー アリア│ ﹂ ﹂ ﹂ いくらなんでも俺に対処できる範囲 入江君俺のこと殺したいの イヤイヤイヤ無理無理無理なにその無茶ぶり 炎真ー ! 誰でもいいからヘルプーっっ だからそのポイズンしたクッキング下ろしてくれるかな じゃあまさか貴方、京子たちにでろって言うの を超えてるよね !!? !? ! !? ! ! ﹁なによ 味方に殺されるー !!? !!? ﹁滅相もゴザイマセン ! !!!! ? ﹁入江君 そのエベレスト級に高いハードルは何がどうなってそうなったのかな そし !? けど ﹂ 期待が重いよ 炎真の必殺技より重いよ を相手に生き残ってる猛者だからな☆﹂ メチャクチャ要らない ﹂ なんたって宙は20年前からザンザス そのフォロー要らない !!? ザンザスと知り合いってことバラすんじゃ無かったぁああ !! ﹁ま、入江の言うことも一理あるんじゃねーか しまったぁあああああ ﹁って家庭教師君んんんんんん ああ ! !! !! !!! ? ! てリアル6弔花相手に本当にそんな事出来ちゃったら俺もう人間じゃないと思うんだ ! きっとどれだけ不利な状況でも無傷だろう﹂ ﹁大丈夫だ、綱吉君。宙さんはボンゴレボスの影武者をやれるほどの実力者だからね。 気づいたら色々と打ちのめされてました。…あれー!? 387 !!! ﹁あ、それもそっか あっれー じゃあひろ兄、頼んでもいい⋮ ﹂ ﹂ 自殺願望者は白蘭じゃ無くて俺だったのかー 叔父としての本能で縋り !!? だってリングなし、匣なし、機動力なし、そもそも ! ? あぁあっ、くそっ !!!!! 武器自体がないっていうナイナイ尽くしのこの状況で戦うって ! いいが ︶ ︵⋮⋮ごめん、炎真 ! 意味ないしー ? ﹁僕が今一番欲しいもの、トゥリニセッテだよ﹂ ま、何はともあれお前白蘭の思い通りにはさせないけどな ツッ君の捨てられた子犬のよーな目が悪い、と責任転嫁するも、ツッ君=俺であんま ! 君の言う通り俺って危険に自ら飛び込むおバカさんみたいだった つらつらと何かを喋っていたようだ。死刑宣告出されたに等しい俺には最早どーでも 頭抱えて隅っこで丸くなりたい、とか割りとダメな思考をしている間に、白蘭の方も ブト、デイジー、猿でいくよ♪﹂ ﹁ははっ、そっちはどうやら決まったみたいだね。因みにこっちは桔梗、ザクロ、トリカ !? ! 見事なまでの死亡フラグだけど つかれたら断れないじゃんかぁあああああああ !? ! ﹁そしてトドメのツッ君からの掌クルー 388 俺はそれまでの自虐思考をすぐさま切り替え、内心で不敵な笑みを浮かべてやった *** ⋮⋮とまぁ、いくら白蘭に対し負けねーぞ と意気込みを燃やしたところで現実はい つだって無情だよね ! 入江君、マジで俺のこと嫌ってない 苛めにしても酷すぎるよね ? ﹂ ? ﹂ 俺たちこそひろ兄がこーゆーの苦手だって知ってるのに巻き込んじゃっ て⋮本当にゴメン ! ﹁じゃ、おあいこってことで手打ちにしとこうか﹂ !! ﹁う、ううん ﹁だから、足手まといかもしれないけどごめんね うん、本気で俺死なないように頑張んねーとやべーわ。ナイナイ尽くしだし まぁ、俺はこの通り戦えそうにないから精々生き残ることに頑張るし﹂ ﹁⋮⋮気にしなくていいよ、ツッ君。他に人がいなかったんだから仕方ないって。でも ﹁あ、えと、ひろ兄⋮ごめん、その、俺⋮﹂ 社会に出て数十年、今までにない世間の荒波を感じながらガックリと肩を落とす俺 ? ﹁これ以上ないくらい簡潔明瞭に最低最悪な絶望の言葉をありがとう﹂ ﹁すみません宙さん。ありません﹂ ﹁入江君、機動力をプラスするものかせめて武器が欲しいな﹂ 気づいたら色々と打ちのめされてました。…あれー!? 389 苦笑しながらツッ君の頭を撫でるが、内心では超直感の危険シグナルがガンガン ﹂ ! ﹂ !! 無理ゲーにも程があるーぅ れないように︶炎なしで│││戦わなくちゃいけないわけで その一握りに、入るのはまだマズイ。だから現時点では︵少なくとも大多数に見破ら りの人間だけ 未来はあれど︶問題なく使える。だけど、リングなしで炎が扱えるのは現時点でも一握 リングがあったら、今まで出してなかっただけ│││で︵後でラル辺りに折檻される ねぇ︶ ︵⋮⋮それに、零地点突破を使えること以前に、炎を出せることすらバレたくないんだよ 基本的に、俺は近接戦が主なスタイルだ。武器もない状況じゃ、尚更 ︵⋮⋮待ってればどうせ敵はここに来る。それを迎撃すればいい⋮とは思うけど⋮︶ ツッ君たちがバイクに乗っていくのを見届けながら、さて俺はどうするかと考える ﹁沢田機、獄寺機、山本機、進路クリア。発進 なんてうだうだしている間に始まっちまったし ﹁3分たちました。それでは、チョイスバトルスタートです﹂ うーあー。ツッ君にはああ言ったけど正直行きたくねぇえええええ ﹁⋮⋮うんっ 390 あ、はぁ構いませんけど⋮⋮って宙さん何処に行く気ですか ﹁はぁ∼。入江君、ちょっとマイクとその他諸々貰ってっていいかな ﹁エッ ステルス機能つけなくていいのかって ﹂ ﹂ !? ? だって俺リングもってないし そう言いつつ、基地を出て悠然と勘の進むままに歩き始める ﹁ちょっと囮をね﹂ え してなければ敵に気付かれる要因ないもーん ? 炎も出 で、その途中。案の定というか当然の帰結というか、まぁ見つかったわけで *** そんな緩い感じで俺は気楽に敵陣へと向かい始めた 一応、入江君と連絡取れるように通信機は持ってきたし、なんとかなるさー ? !? ? ﹁そりゃま、血縁関係はあるから似ててもおかしくないっしょ﹂ クだぜ﹂ ﹁おいおい、この時代のボンゴレボスにそっくりなあんたが一般人だなんて悪いジョー 堂々と大通り歩いてたらザクロに見つかっちゃったぜいえーい ねぇ﹂ ﹁リ ン グ な し 匣 な し 武 器 な し の 一 般 人 相 手 に そ う 好 戦 的 に な ら な い で ほ し い ん だ け ど ﹁バーロー、みすみす行かせっかよぉ﹂ 気づいたら色々と打ちのめされてました。…あれー!? 391 ﹁そんで あんたが噂の影武者か ﹂ ? ﹂ ﹁良い子の皆は今すぐ耳を塞いでねー ﹁は 先生との約束だよ ! ﹂ そんでついでに道路に落ちてきたガラス片を手に取り、一言 の放った死ぬ気弾を回避する 超直感が警報を鳴らすまでもなく、避けれるけどな。軽くバッグステップをして相手 ﹁死んどけよ﹂ あ、やべ。戦闘態勢に入りやがった。とはいえ ﹁あ∼あ、ダリーなぁ⋮まぁ、とりあえず﹂ なんて、適当にくっちゃべりつつ時間稼ぎをしようと試みる訳だけど⋮ ﹁ご想像にお任せするよ﹂ ? !! ﹁さて ちょ、おい待てテメェ ﹂ 〟ガラス片〟と説きまして、〟爪とぎ〟と説きます ﹂ その心は この上ない笑顔でガラス片に向けて思いっきり爪を立てた ﹂ 勿論スルー。ちゃっかり通信機は切っておき、俺は真っ直ぐと相手を見据え 俺がアッサリ避けたことを面白そうに見ていた相手が意表をつかれた表情になるが、 ? ﹁││ !? ! ﹁正解者には〟不協和音〟と三半規管の苦しみをプレゼント !? ! !!! ? 392 ギュギギィイイイイイイイイイ ﹂ 背筋が寒くなるような音が響き渡ったことだろうね 因みに、入江君から貰ってきたマイクの音量はMAX。きっとこの辺り一帯に、あの ﹁ぐあぁあああぁあああああああ !!!!????!!!!! ! ん ︶ 耳が 耳がぁああああああ ﹂ !!!! 戦闘に影響が出ないことを祈ろう。俺、無神論者だけど ﹁ぎゃぁああああああ ! ﹁目だったらムスカ大佐と呼ぼうか迷うとこだねぇ﹂ !! ないかな 慣れが れててさ。⋮⋮⋮逆行しても変わらなかったから、最早魂レベルに染みついてるんじゃ あと元々、 俺 って空を自由自在に飛び回ってする戦闘が多かったから自然と鍛えら 沢田綱吉 くという暴挙も多いし﹂ ﹁だって慣れてるもーん。不良校教師生活じゃ、ヤンチャした馬鹿が黒板を爪で引っ掻 !? ! ﹁なんでテメェは至近距離でアレ聴いてケロッとしてんだぁあああああ ﹂ ︵⋮⋮ツッ君たちや観戦者に影響でないようにはしたけど⋮⋮聞こえてたらマジでごめ 気づいたら色々と打ちのめされてました。…あれー!? 393 ? ﹁ぐ、ぐぅ⋮ こんな小細工でリアル6弔花を倒せるなんて勘違いすんじゃ⋮ッッ﹂ ギュギギギギギギギィイッ ﹁ハイ、不協和音もう一丁∼﹂ ! ﹂ ? ⋮⋮え ﹂ 今までのうっぷん晴らししてただけだろって モアリマセンッテー ? ヤダナー、ソンナコト微塵 ? でいたのだった そんなこんなで、俺はチョイス終了を言い渡されるまでザクロの足止めをしてで遊ん ﹁教師舐めんなよ ま、これだけは言っとこうかな るけど、逆に言えばその鋭敏すぎる五感が弱点になるってー 俺知ってんだー。君らリアル6弔花は修羅開匣によって人間を超えた肉体を持って 今度は耳元でやってみました。マイク最大音量って我ながらえげつないよね、ホント ﹁うぎゃぁあああああああああああ !!!!! 394 気づいたら驚きの暴露話になったようです。⋮あっはっ は いっても、今回はユニからの指示でわざとそうしたんだけどさ あれから、記憶通りにボンゴレの負けという形でチョイスが終わってしまった。とは !! ﹂ ! その狂ったバランスを正常に戻すための余剰効果で多くの人々が生き返ることが出来 白蘭がトゥリニセッテを手中に収めようとしたことは許されるべきことじゃ無いが、 は出来ない。 ただ、それをすれば白蘭を倒すことは出来ても犠牲となった人々を生き返らせること ﹁うーん⋮悪いけど、そんな話覚えてないなぁ﹂ ﹁僕はチョイスの再戦を希望する ル活用すれば余裕で勝てるからね まだ認知されてないであろう夜の炎や、炎真たちに協力を要請して大地の7属性をフ なりすればよかっただけだし いや、ホントに後先考えずに行動するならチョイスで勝つまでもなく白蘭を暗殺する ﹁そ、君たちの負け♪僕の事こんなによく分かってるのに残念だったね正チャン﹂ 気づいたら驚きの暴露話になったようです。…あっはっは!! 395 る ﹁ユニ⋮貴様⋮ ﹂ うん、よかった。無事に来れたみたいだね、ユニ !? ! あの子がミルフィオーレのもう一人のボス││││ !? 沢田綱吉 !? ボスに見えないよねぇ この赤ん坊をおじさまー !? ﹁やはりお前のことだったんだな。デカくなったな、ユニ﹂ ていうかおじさま│││ !? ﹁はい、リボーンおじさま﹂ ﹁リボーンの知り合い ﹁うるせーぞ﹂ ﹂ なんて安心していると、ツッ君が思いっきり叫んでいた。まぁ、 俺 同様マフィアの ﹁え││ ﹂ ﹁ミルフィオーレのブラックスペルのボスである私にも、決定権の半分はあるはずです﹂ と、そこまで考えたところで懐かしい気配に思考を止める ﹁私は反対です、白蘭﹂ リニセッテを渡すようなことがあってはいけない だからこそ時間稼ぎの為にも、ここでボンゴレが屈服し、白蘭にボンゴレリングトゥ ﹁ミルフィオーレのボスとして、正式にお断り♪﹂ 396 それに苦笑している間に、不用意な言動でリボーンの怒りを買ったツッ君の指がグ キッて音と共に曲がっちゃいけない方向に曲がっていた ツッ君⋮雉も鳴かずば撃たれまいに⋮ なーんて、相変わらず不憫な甥っ子を内心憐れんでいた時だった。リボーンへの挨拶 を済ませたユニが、勢いよく俺に抱きついてきたのは お父さん 父親 ! どういうことひろ兄ぃいいいいいい !? だし ﹁⋮⋮っはぁあああ∼∼∼∼∼ ﹂ !!!??? ﹁はじめまして、ボンゴレの皆さん﹂ よ﹂ ﹁あ、ツッ君たちにも紹介するね。俺の娘で現・大空のアルコバレーノでもあるユニだ れたけども まぁ一拍後。会話の内容を理解したツッ君が、その場の全員を代表して突っ込みを入 !!? 釣られて微笑みながら難なく受け止めたユニの頭を撫でる俺。いやホント、数年ぶり ﹁うん、久しぶりユニ。やっと顔色がよくなったようで父親としても嬉しいよ﹂ あー、満面笑顔の娘が眩しいー ﹁お久しぶりです、お父さんっ﹂ 気づいたら驚きの暴露話になったようです。…あっはっは!! 397 ﹁あ、はじめまして⋮⋮じゃなくて どしたの ﹂ 律儀だね、ツッ君 ﹁うん ﹂ 子供がいるって俺全然知らなかったんだけど ﹂ ﹁⋮⋮言って無かったっけ ﹁ひろ兄どういう事 ! ﹁う、嘘ぉおおお││││││ ﹂ その時の俺の気持ちを簡潔に述べよ ﹁ま、何はともあれ血縁上ツッ君の従姉妹ってことになるね☆﹂ ﹂ 俺が漸くそれを知ったの、アリアが死ぬ目前だったからね、情けないことに ︵しかも、アリアもアリアで俺に一切知らせずに女手1つで育ててたし⋮︶ かげでヤった記憶すらなかったし⋮気づけという方が無茶だ 俺、ケッコー酒強いのに酔い潰されるって⋮どんだけ飲まされたんだよ、マジで。お さぁ⋮︶ ︵⋮ 言 ー え な い よ ね ぇ ⋮ ま さ か、あ の 酔 い つ ぶ さ れ た 時 に デ キ ち ゃ っ た 結 果 だ な ん て うし だろうねぇ、教えた覚えないもん。それどころか、10年前の俺自身も知らないだろ ﹂ ﹁言ってないし聞いてない ? !? ? ! !? ? 398 !!? 流石ツッ君。一言一句違わず当時の俺と同じリアクションだぜ 元が同じなだけあるね ﹂ !? てー、吸ってー﹂ ﹁素直な良い子に育って叔父さん嬉しいなー﹂ ﹁お願いだから十年前のまともなひろ兄に戻ってぇえええええ ﹁ハッ じゃ、じゃあもしかしてリボーンも知ってたの ﹂ !? ? と俺を見て笑ってきた うーわー、裏事情バレてる気がするのなんでだろー ? しらばっくれるけど 若干リボーンの鋭さに憂鬱になりつつも、それ以外には気づかれていないようなので ﹁はい。母も私も特に口にすることはなかったので⋮﹂ ね、ユニ﹂ ﹁多分、本当に俺たち家族しか知らなかったと思うよ 察し良すぎて嫌になるーぅ 因みにリボーンもめちゃくちゃ驚いていたようで。僅かに表情が変わった後、ニヤリ ﹁父親が一般人とは聞いていたが、まさかヒロシだとは思わなかったぞ﹂ ! 酷いなー、もう。そんな、今の俺がまともじゃ無いみたいに言わなくても !!! ﹂ ﹁はいはいツッ君落ち着いて。ほら深呼吸深呼吸、吸ってー、吐いてー、吸ってー、吸っ ! ﹁う、うん⋮すぅー、はぁー、すぅー、すぅうううーって過呼吸で苦しいよ 気づいたら驚きの暴露話になったようです。…あっはっは!! 399 ﹁⋮じ、ジッリョネロの先代ボスと夫婦で〟まだ〟一般人なのかよ⋮﹂ いーじゃん、俺基本的には凡人として生きてるんだから。一般人 ? ﹂ ﹁お、話を戻す気になった ? え なんで今かって ﹂ や、超直感がさ、とある南国果実の気配を察知しててねー。そ ? ﹂ ? ﹁白蘭。私はお父さんが言った通り⋮ミルフィオーレファミリーブラックスペルのボス ついでに挑発しておこう。意外と煽り耐性ないからな、コイツ ないんじゃないかな ﹁誰だって初対面の人間の全てを分かるなんて不可能なんだから、予想が外れても仕方 ﹁へぇ、貴方がそんなことを気にする殊勝な性格をしてるとは思わなかったよ﹂ ろそろ頃合いかと思ったわけさ ? そんなことを思いつつ、話を進める為に白蘭たちの方へと視線を向ける ﹁あんまり待たせるのも悪いかと思ってね﹂ ? ないんだろう ﹁さて、白蘭。どうせ君はユニの言葉があったとしても入江君の再戦を引き受ける気は 枠でもモーマンタイモーマンタイ そこ、外野煩いよ ﹁ぜってぇ一般人じゃねーだろアイツはぁ⋮﹂ ﹁なんというか⋮いろいろ規格外な方ですね⋮﹂ 400 としてボンゴレとの再戦に賛成です﹂ ﹁⋮頼れる父親が現れて浮かれてるのかな、ユニちゃん の最終決定権は僕に在る。その話はここで終わりさ﹂ とこちらの思惑通りの返答をした 君はあくまで僕の輔佐。全て なんてちょっぴりリボーンのような底意地の悪い考えをしている間に、白蘭はまんま ? ﹂ !? ﹁えぇっ お、お願い⋮ ﹁私を守ってください﹂ 若い頃の俺 ﹂ ﹂ !? ﹁え、ええ゛││││││ !!?? !? ﹁沢田綱吉さん、お願いがあります﹂ まー⋮こんなだけどね、ツッ君 ﹁え、ちょ、ひろ兄 と、そこで。若干不安そうに俺の方を向いたユニにそんなエールと共に笑みを送る ﹁大丈夫だよ、ユニ。俺の甥っ子だって十分頼もしいから﹂ ﹁お父さん⋮﹂ うだろうけど そしてユニの言葉に両陣営が驚く。まぁ、トップがいきなりこんな事言えば普通はそ ﹁⋮そうですね、分かりました。では、私はミルフィオーレファミリーを脱会します﹂ 気づいたら驚きの暴露話になったようです。…あっはっは!! 401 なんて思ってる間に驚愕の声が辺りに響き渡る ﹂ ﹂ 俺よりひろ兄の方が︵リボーンに似てこんなんになっちゃってたけ ど︶強いし頼りになるのに ﹁な、なんで俺ぇ 副声音バッチリ聞こえてるぞー ふ、二人ともタンマ ! ? 全くもう、迂闊だねぇ。ボスとして、それじゃ舐められちゃうよ ﹁ヒィイイイッ ﹂ ﹁ツーッ君、口は災いの元って教えてあげなかったっけー ﹁ほう、言うじゃねーかダメツナが﹂ !? !? ﹁来ないで もう貴方には、私たちの魂を預ける訳にはいきません ﹂ ! うだけだよ﹂ 死んでもユニもおしゃぶりも渡 それ持って逃げるなら、世界の果てまで追いかけて奪 ? ﹁お前こそ、誰の娘に向かってそんな事を言っている ? ﹁なーに勝手なこと言ってんの ふと、娘の鋭い声音に意識をパッと切り替える。おっと、そろそろみたいだ ! なんて事を、ツッ君の悲鳴をBGMにのほほんと考えている俺だったが ︵⋮まぁ、リボーンは単に癇に障ったってのもあるんだろうけど⋮︶ うし だからほら、リボーンもそれを懸念して鉄は熱いうちに打て、を実践してるんだと思 ? !? ? 402 さないに決まってるだろう 庇う俺。 ﹂ うん、バチバチと火花が散ってるね ﹁お父さん⋮﹂ ﹂ ? 俺たちと一緒に 父 わざと散らしてるんだけどさ 皆、この子を守ろう ﹂ !!! ﹁来るんだ ! ⋮⋮とは言っても、まずはここから逃げるんだけどねー ! 不安げに服を掴んでくるユニの頭を撫でつつ、どこまでも白蘭たちに対し不敵に笑う えておけ ﹁図に乗るなよ、白蘭。お前が相手にしてるのは、この世で一番厄介な人種だってこと覚 親 そりゃまた、随分な短絡的思考をお持ちのようだな﹂ リングも匣もない部外者が⋮いい加減目障りだよ﹂ 身勝手な台詞を言いつつ、魔の手を伸ばす白蘭。それに対し、ユニの身体を背に隠し ? ﹁口で敵わないとなれば力づくか ? ﹁君は、随分自分の立場を分かって無いみたいだね﹂ ! ? ﹁⋮また君かい 気づいたら驚きの暴露話になったようです。…あっはっは!! 403 気づいたら戦略撤退をしてました。⋮逃亡開始ぃ さり気なく俺たちの転送終了と同時に自爆するようにしこんどいたからリアル6弔 戻ってきていた さて。結構な啖呵を切ったのはいいものの、俺たちは形勢立て直しのため今は並盛に !! ﹂ 俺、十 年 前 も ぜ 花 も し ば ら く 来 な い だ ろ う し。ツ ッ 君 た ち も 着 替 え 終 わ っ て 5 分 後 に 作 戦 会 議 っ て なったんだ ﹂ ? ﹂ あの子がひろ兄の娘ってどーゆ│こと それはまぁいいんだけどね 要 !!! !? ? んっぜん知らなかったんだけど ﹁ひ ろ 兄 ち ゃ ん と 説 明 し て 重 ﹁え、今それ重要 ﹁最 ! いやー、ここまで気になるもんかね ﹁⋮とはいってもなぁ⋮﹂ ⋮⋮気になるわなそりゃ ? いるぜ、うん 久方ぶりにツッ君が激オコファナスティックムカ着火ファイヤーなるものになって ! !!? ! 404 え、俺がアリアに無様に み潰された挙句ヤっちゃった話するの 俺自体も記憶ない ? 兎にも角にもアリアを助ける為に仮死状態にしてその場を乗り しかもそれを知ったのがアリアの死ぬ間際︵︶で、ユニとアリアの2人に阿呆面 という訳で ﹂ 俺は慈愛に満ち満ちた笑みと共に、白々しく誤魔化した ﹁それ大人が使う汚い常套句│││││ !!!! 俺、薄汚れたなんてものじゃなく俗世に染まり切っ ? 元マフィアボスの名は伊達じゃあないのさ あははー、しょうがないじゃん てる汚い大人だし ! 答えは当然NO一択だろう 切ったものの、しばらく女性不振に陥った情けない俺の話するの さらした話しするの のに ? 僅かながらも不吉な音と共に、超直感が警報を鳴らす。それはツッ君も同じようで僅 │││ピシピシッ るがごとく躱し続けていた時だった うふふあははと笑いながらポコポコと叩いてくるツッ君の詰問をタップダンスを踊 ? ? ? ? ﹁まぁ、大人には色々あったんだよツッ君♪﹂ 気づいたら戦略撤退をしてました。…逃亡開始ぃ!! 405 かに変わった顔色からバッと周囲を見渡した ﹂ ﹂ ﹂ ツッ君は早くユニたちと同流するんだ 君 ラルを連れてくる ツッ ﹂ もちろん超直感なんてありません設定ですから怪訝そうな表情ですっとぼけま ﹂ ﹁敵の強襲かもしれない ﹁ひろ兄は ﹂ ﹁強襲ならここに仲間を残すのはマズイ ! さて、とりあえずは⋮ そんな事を思っている間に、警戒音が辺りに響く。 ヴーヴーヴー まぁ十中八九ザクロだろうけどねー ﹁│││何か来る したけど何か 俺 ﹁ツッ君 ? ﹁分かった !! ? ? ユニ そして、その隙をついてザクロにダメージを与える。悪いけど、囮にさせてもらうよ ことからザクロの意識は否が応にもそちらに行く 手短に指示を出し、ツッ君と別れる。これで一応あっちが主戦力になり、ユニもいる ! !? !! !! ! ! 406 ﹁⋮⋮全く、ろくでもない父親だね我ながら﹂ 瞬時にこれだけの策を思いつく自分の冷徹さに苦笑しつつ、今後に必要な物を揃えて い て ﹂ よ う s listen み ﹂ からラルの病室へ行き合流する。途中でビアンキにラルを託した俺は、ザクロの隙をつ 聞 ? くために⋮⋮ あ、 ! ﹁わかってねーなー、バーロー。お前は俺にゃあ勝てねーんだぜ さ そんな訳でNow, Let ! ﹁う゛ぉおい、変わった遺言じゃねえか﹂ ﹁じゃあ俺なら勝てるかな ﹂﹂ ' 僅 因みにさっきのチョイスでやった爪とぎの音も同時に流しているので結構な騒音デス でスクアーロも︶強制的に﹁人間が絶対に聞いてはいけない音﹂を大音量で流してみた。 そっ⋮と︵超直感を駆使して︶背後から忍び寄った俺はザクロの耳元に︵巻き込まれ ﹁﹁ぎゃああああぁああああ ギュギギギギィイイイイイイイイッッ ? !!!??? まぁ結果として若干︵巻き込まれ犠牲有り︶の物言わぬ骸が出来上がったけどね ! 気づいたら戦略撤退をしてました。…逃亡開始ぃ!! 407 かな犠牲は仕方ないよ、戦争だし !! 肝心要のツッ君たちとユニが出て行ったのを確認してからやったから ! 彼らに被害が行かないなら多少のことには目を瞑るよ俺 でも大丈夫 ね ! 遠慮容赦なくザクロの顔に油性マジックで落書きをした↑ キュキュキュ∼ッ 俺は軽く謝罪すると、黒光りするモノを手に取りキュポンと蓋を外して ﹁うん、ごめんね☆﹂ よし、もうちょっと時間稼ぎの為の細工をしておこう。てな訳で 思えずとも︶追いかけてこない訳がない いえ、至近距離であれを浴びたザクロ︵&スクアーロ︶がそう︵短時間で回復するとは しみじみとそう思うが、今は一刻も早くツッ君たちと合流しなくてはいけない。とは 最高 ングが手に入るなんて⋮⋮人脈って本当に大事だなぁ。権力を持たない相手とのコネ く。うーん、川平さんを味方にしてるだけで偽のトゥリニセッテを務められるだけのリ そんなことを思いつつ、さり気なくザクロのマーレリングを抜きとり偽物と変えてお るなんて⋮人生って分からないものだねぇ︶ ︵いやー、にしても⋮ザンザス対策で用意していた嫌がらせ用品がこんなとこで活躍す 408 その心理をちょっと利用してるだけだよ、生 ほら、人間って見目を気にする生き物だからさ。鳴門マークやゴルゴみたいな眉に なったら外を出歩きたくなくなるじゃん 易しい悪戯さっ ザクロ 今は敵だし死んでも困んないしねぇ。とりあえず二人が暴れた風を装って 大丈夫そうな場所へ移動する。超直感頼りだから安心して死んでる︵︶といいよ 自分の正当性を主張しつつ、スクアーロに触れてその身体を夜の炎で基地のなるたけ ? この人もひろ兄の知り合い││││ ﹁なんだい、宙君じゃないか﹂ ﹁えええっ !? ﹁おい宙、何者だこいつは ﹂ ﹂ る質問タイムを与えてしまったようで絶賛困り中 ザクロを先に倒してきちゃったことで余裕が出来た。ぶっちゃけ、ツッ君たちに更な !!?? 目論見通り川平さん家に向かった俺たちだったんだけど⋮ そんで、あれから何事も無かったかのようにツッ君と合流し数十分後。ハルの提案で *** 結論を出した俺は手早く破壊活動にいそしむのだった 基地を爆破しておきますか ? ﹁ああ、川平さんお久しぶりです﹂ 気づいたら戦略撤退をしてました。…逃亡開始ぃ!! 409 ? 知人 ﹂ ﹁当人たちが疑問に思ってるし ﹂ ﹂ 貴方様らアルコバレーノを人柱にした張本人です ﹁彼は俺の⋮⋮友人 ? ﹁知人以上友人未満の付き合いだね、恐らく ? よ生粋の地球人 ? ﹂⋮君ねぇ﹂ ! ﹁⋮言質はとってますよね川平さん 約束を破る男は嫌われるよ ﹂ ? さて、こそこそと大の大人2人が揃って隅っこで応酬する姿を想像頂こう。若人たち ﹁⋮明らかに自業自得ですよね。そしてどこにもドヤ顔する要素はないっ﹂ ﹁⋮それに関しては既に落ちる信用がないからね、これ以上は揺らがないから問題ない﹂ ? ﹁⋮別にあたしがやらなくてもいいじゃないか﹂ とはいえ、追手がないからさっさと逃げようってのは看過できないが ん この店の者は好きに使ってく﹁そこまで融通してくれるなんて有難いなぁ。流石川平さ ﹁最初からそのつもりだったろう、君は。だが構わんよ、あたしはしばらく旅に出るから ﹁ま、こんなだけど信頼は出来るよ。そんな訳でちょっと匿ってもらっても ﹂ なんて口が裂けても今は言えないが、とりあえず遊んでおこう。ノリがよくて助かる !! ? 410 には一体どういう風に移るだろうか 既婚者 可愛い娘もいるんだけど そりゃあもう目の前にな ﹂ トしないでしょうし私も偏見在りませんから ﹂とか笑顔で言わないの ていうか俺 え お父さん膝か リボーンの悪質な嘘なんだから ? ら崩れ落ちちゃうよ ツッ君たちもツッ君たちで顔青ざめないの !! ! ﹁っていつの間にか居ないし 隠密値カンストしてんのか 衝撃の事実に打ちのめされていると、ふと気づく ツッ君より少ない 俺の親友は真だよ真 じゃあ何⋮﹁ひろ兄に友人っていたの ﹂どういう意味かなそれ てか川平さん友人じゃないし 違うそこじゃない ! !? ! ⋮あれっ、結局俺って友達一人だけ はぁ ! !? ? 余裕だろうけどさ !! ﹂ しようかと黙考するが、その前に⋮だ くっそ、折角の護衛要員が 思わず悔しさのあまり床ダン !! そりゃあまぁセーニョリングもってるから俺相手でも気づかれないで逃げるくらい !! ? !! !? ? !? ! それとユニよ ﹁大丈夫ですお父さん、お母さんも女性相手で無ければ浮気にカウン !!?? ﹁心臓が止まりそうな程笑えないジョークは止めてくれるかな家庭教師君 ﹂ ﹁なんだ、そいつと恋仲だったのか宙 ? ! ! !? ? ! 気づいたら戦略撤退をしてました。…逃亡開始ぃ!! 411 ﹁さぁて、﹂ ﹂ ﹁ひろ兄何やってんのぉおおおおおお ﹂ 何分︵精神がだけど︶ジジイなもんで最近難聴気味でサー ? ﹂ !! ﹂ !!! ﹁リアル6弔花の力を見せてあげましょう﹂ ﹁ニュニュッ、調子のるんじゃないわよーだっ﹂ ﹁来るぞ ﹁全員、戦闘配置につけ 論ここまで来れば誰だってどんな状況だったかを悟る訳で そしてあられるはリアル6弔花の桔梗、ブルーベル、ランボに化けたトリカブト。勿 ﹁ハハン、流石に一筋縄ではいきませんか﹂ 君の叫び さり気なく調和の炎を効き腕に纏わせた状態なのでよく飛ぶなー、はっはっは。ツッ !!?? ﹁星になれぇ !!!!! 絶対零度の怒りと共に勢いよく出入り口から空へと放り投げた ﹁俺の娘に断りなく近寄ってんじゃねぇよ、木偶が﹂ 首をむんずとつかみ上げ 俺は意識を切り替えると、当社比1.5倍の煩さで喚きまくっているランボ︵︶の襟 ﹁え、ひろ兄﹂ 412 気づいたら戦略撤退をしてました。…逃亡開始ぃ!! 413 の 娘 発 言 そんなこんなでボンゴレVSリアル6弔花、ファイッッ 俺 ⋮⋮え、俺 !!! ? 桔梗がね、 ﹁馬鹿な、白蘭様が仰っていた情報と違う⋮ ﹂的な事を言ってるけどそれ、 てみな、トリカブトがまるでぼろ雑巾のようだ いやー⋮人間って失恋の八つ当たりであそこまで強くなれるもんなんデスネー。見 ⋮ 腑抜けというなかれ。世の中には力だけではどうにもならないことがあるんだから 貴族γが怖いので娘の傍に張り付いていますが何か さっきの台詞で︵俺限定という器用な真似で︶殺気をぶつけてくる片思い歴数年の独身 ? バトル音をBGMに、俺は︵勿論ユニを守りつつ︶こっそり遠い目をした とりあえず言おう、トリカブトよ。運が悪かったね、どんまい ちゃったγの形振り構わぬ猛攻ってパターンがなかったからだと思うよ⋮ 他のパラレルワールドで俺がいなかったからだと思うよ⋮俺のせいでアリアに失恋し ! ﹂ この時代の俺や母さんって知ってたの ﹂ 気づいたら詰め寄られてました。⋮うん一旦落ち着こう か ちゃおちゃお、皆様こんばんは 結局いつ結婚したの ﹂ 目つきが獣のソレだよー 嫌だよ言わないよどれいっても最悪 !? 超直感だってガンガン警報ならしてるからね ていうか答えにくい質問ばっかりやめてよー ﹁そんな一気に言われても俺は聖徳太子じゃないからね な未来しか思い浮かばないもん ﹁⋮⋮﹂ ! 君︵に片思いしてた︶の部下が怖いー まぁ一番はこの人なんですケドー アリアー ね 怒気どころか殺気が肌に突き刺さって痛い痛い痛い !! 胡乱げって言葉はこの人の為に在るんじゃないかってくらいオーラダダ漏れだから ! ! !! !? 只今絶賛質問責めにあってるひー君だよ☆ ﹁ねぇひろ兄 ﹁おい宙、あの川平とかゆーやつはなんなんだ !? ﹁というかお前はまだ何か隠しているだろう⋮さっさと吐け﹂ ? ! ! !? ! ! !? 414 ! どしたの獄寺君 ﹁あの⋮宙さん⋮﹂ ﹁ん ﹂ ﹂ 初対面⋮⋮なんすよね ﹂ 君の質問には黙秘権を行使するって決めたからね そんなこんなで困っていたところに、ある意味助け船 そうだね初対面かな ? 煩いよツッ君たち ピシッ⋮ ﹁⋮あ、あぁうん ! ! ? ! 純粋ゆえに逃げ場のない質問きたー やめてー ツッ君の質問にも答えることになっちゃうのー ﹁おお、俺も気になるな﹂ ﹁確かにな﹂ そこら辺話すとなると芋づる式に ! ﹂ 追いうちダメ、絶対 その人ってユニのファミリーの人だから⋮必然的にひろ兄の奥さんの事も知っ てるんじゃ いやぁあああ止めてぇえええええ ! ! かな そしてツッ君何故にその一年に一回レベルの頭の回転の良さを此処で発揮しちゃう !!! !? ﹁あっ ! ! 数瞬、笑顔が固まった俺だったがだがしかし何とか立て直してみせる ! ? ? ﹁その⋮なんでγの野郎に睨まれてるんスか 気づいたら詰め寄られてました。…うん一旦落ち着こうか!? 415 !? 大丈夫 ﹁聞いたよー はっ ﹂ ﹂ ︶ このままじゃ⋮このままじゃ いろいろとアリアにアプローチしてたんだって て、テメェなんで知って⋮ が射止めちゃって﹂ ﹁なっ ﹁はぁあああああああああ ﹂ !!!??? ごめんねぇ、俺なんか 君の片思いの相手だったもんねぇ、アリアって﹂ ただでさえ色々と負い目あるのにー 死ぬ気でやれば有耶無耶に出来るは│││ ﹁あ⋮あはっ、あはははははーっ﹂ よぉし笑って誤魔化せ うわーやだー ⋮俺⋮ッッ ﹁あ、やっぱり気になる ﹂ 目つきも声音もオーラも全部怖いよー ⋮ずがなかった││││ ﹁ああ、是非ともそこら辺聞かせてほしいねぇ ! ︵全 力 で 逃 げ 出 し て ぇ γ君こわーい !!!! ? ! ? ⋮⋮γ君巻き込んでの自爆テロするしかないじゃーん ﹁んぁっ ! ! ! ! ! !? ? !? ﹁だって当のアリアから愚痴で聞かされてたもーん﹂ ! ? !!?? ! 416 歌うように挑発し︵というか揶揄い︶ながら、口撃開始 ﹁それ、はそうかもしれねーが⋮ ﹂ ﹂ プライベートくらい秘密にするでしょ、誰だって﹂ いつボスはテメェと逢瀬を⋮ ごめんね、γ君。俺の︵周りを誤魔化す︶為に︵羞恥で︶死んでくれ ﹁い、いいいつだ !? ﹂ !!! ﹂ ? でも、こと恋愛感情においてどっちつかずなγ君に声高に非難さ ? 来ないかなーなんて考えていたりした 顔色を赤くしたり青くしたりと苦悩するγ君を見ながら、俺はこのまま有耶無耶に出 せようが、どっちにしろ許さんが ある意味それが今後の︵白蘭以上に︶一番の心配。ユニを泣かせようがアリアを怒ら ︵後で実はアリア生きてますー、って教えたらどうなるやら⋮︶ れるのはムカつくだけで いいけどな、別に うアリアのこと一番に想ってねーだろ、ユニだろ一番 後半はγにだけ聞こえるように言ったが、正直これが本音だ。なんだかんだでお前も ﹁∼∼∼∼っっっ に俺を責め立てる資格はないと思うな ﹁あとさ、素朴に疑問なんだけど⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮ユニに恋愛感情もってる時点で君 ! ? !? ﹁え、それ答える義理ある 気づいたら詰め寄られてました。…うん一旦落ち着こうか!? 417 *** おまけ会話文← ﹂ ? 真っ最中だったし⋮﹂ ﹁あ、そっか⋮﹂ ﹁そゆこと∼﹂ ﹂ !? ? おまけ2←会話文 ﹁あっ、じゃあ結局結婚したのは何時頃なの ﹂ ちょ、ユニは分かる ﹁んー、さて、どうだったかなぁ⋮﹂ ﹁えええ ﹁どうでしたでしょう ? !? ﹂ ﹁その頃俺、イタリアに一年間だけ留学してたんだよ。あと、姉さんと家光さんは新婚 ﹁え、あれ母さんは いクリスマスだったからほんっと嬉しかったなー﹂ ﹁因みに俺がアリアと出会ったのは20年前のクリスマスだったよ。いやー、一人寂し 418 ﹁えええええ ﹂ まったんですよね⋮⋮。︶ と言ってし ! てくるはずがないという事を⋮︶ ︵言えない⋮実は既婚者云々は事実婚だという事を⋮⋮だからいくら調べても証拠が出 !!? ︵死 の 間 際 の お 母 さ ん の 願 い で、お 父 さ ん は 夫 で も な ん で も な っ て や る 気づいたら詰め寄られてました。…うん一旦落ち着こうか!? 419 気づいたら応戦してました。⋮正当防衛じゃゴルぁ でっす☆ ﹁⋮⋮はぁ∼﹂ なーんで俺、普通に戦闘要員に数えられてるんだろー も匣もなにもない一般人ナンダケドナー オカシイナー、俺はリング ぐっもーにんえぶりわん。早くも決戦の夜明けということで戦場にて待機してる俺 !! ﹂ ! 体に匣埋め込むような相手に ﹂ 冗談でしょオイ ? しかないんだけど﹂ 訳:武器なしの拳で語り合えと ﹁⋮⋮ハン、その程度の実力だってのか ? ? ﹁純粋な目で期待してくれるとこ悪いけどね、獄寺君。俺、攻撃手段が原始的な肉体言語 ﹁頑張ってあいつらをブッ飛ばしましょう宙さん 俺はか弱い一般じーん、と歌うように言ったら物凄く呆れた目をされた。解せぬ ﹁やだなー、ラル。あれは隙をついたからこその云わばまぐれって奴だよ﹂ 不能にしないだろう﹂ ﹁いつまでグダグダ言っている。そもそも、一般人は無傷でリアル6弔花の一人を戦闘 ? 420 ﹁そー思うならそーなんじゃない り弱い奴に渡す気ゼロだし﹂ ﹂ よかったじゃんー、俺が弱い方がさ 俺、娘を自分よ ? ? アリアやユニがここにいたら苦笑しそうだけど そこまで考えたところで、脳裏に浮かんだ愛娘に軽く鬱になる。何故って せば長いことながら│││ *** ? ! ﹁ってちょっと待って ﹂ さらっと言われたけどなんで俺が戦闘員に入ってるの チョイスは仕方なくだったけど 俺がいなくたって何とかなるって 不意打 !? あと単純に出来れば体力温 ちならともかくリングも匣もない状態じゃ無謀だと思うんですけど やだよ面倒くせー 存しておきたい ﹁そ、そ う だ よ 入 江 君 じゃなんとか⋮⋮なんと、か⋮無傷⋮で⋮⋮⋮﹂ でも武器も何もないひろ兄 ! ! ! ! !!? !? ﹁それじゃあ、宙さんには獄寺君くんたちと一緒に守りの要となる地点で│││﹂ ││回想││ まぁ、話 うん、 ﹁娘が欲しいなら俺を倒してからにしろ ﹂は実は言ってみたい台詞ですハイ。 ﹁ああ ? ︵あー⋮ユニといえばー⋮︶ 気づいたら応戦してました。…正当防衛じゃゴルぁ!! 421 そこでなんで﹁アレ、ひろ兄なら大丈夫っぽい⋮ ﹂ ﹂みたいな表情になっ ? チョイスになんか出たからツッ君の俺への認識に多大なる誤解が生まれて 負けないで突っ込み役 ﹁ちょ、ツッ君 てるの !! !? 堪忍してぇな !! ! ! あかん る !! んで次へ行け﹂ ﹂ ﹂ 嬉しいけど嬉しくない ﹂ 俺の事良く分かりす その後はほぼ平々凡々な 酷いよ 俺が貴方に鍛えられたのもう20年も前 一般人だったんですけどー ﹁おっ師匠さーん この中で︵ツッ君の次に︶一番長い付き合いなのに ぎィ !! ! 娘の危機だからこそ離 ﹁私の予知でも、お父さんなら大丈夫と出ているので戦ってくれませんか れたくないのに ﹁そしてトドメの娘からの全幅の信頼 ! !! *** ││回想終了││ は終わってしまったのであった││ いっそさめざめと泣いてやろうかとも思ったけど、それをする前に強制的に作戦会議 !! ? !! ! !? !? ﹁喚くな、煩い。お前ならどうせ飄々と逃げ切るだろうが。入江、さっさと作戦に組み込 422 そんなこんなで、四面楚歌状態でこんな事になっている訳で 俺もガンガン攻撃しますから γに関しては昨日の衆目のある場所で恋愛事情バラしたせいだから自業自 ﹂﹂﹂﹂ 喰らわす前にハイ、俺以外の全員が吹き出してしまい居場所が即バレしましたです ﹁﹁﹁ぶっふぅううう !!!??? 荒々しい炎の気配に、全員が緊張感を漲らせて初撃を││││ さて。うだうだ言おうが何しようが、戦いはやってくる *** ﹂ ﹁⋮兎に角、宙の事は気にしないで行くぞ。最悪攻撃してもこいつなら大丈夫だ、ユニの 予知があるからな﹂ ってか大人2人が特にひどい なにさり気なく戦いに紛れて殺ろうとして ? ! そしてγよ、俺味方ぞ ちゃんと味方ぞ んだてめー ? 思わず憮然としてしまった俺はワルクナイ ⋮⋮え ? そんなー 得だって ? !! ﹁確かに。姫の予知があるならうっかり攻撃しても大丈夫そうだな﹂ ﹁宙さんガンガン攻撃してくださいね ! ﹁全体的に俺の扱いが酷すぎて誠に遺憾である﹂ 気づいたら応戦してました。…正当防衛じゃゴルぁ!! 423 ﹁うっ、く⋮ くそ、俺がこんなので⋮ ﹂ 少しでも時間稼ぎをする⋮ ﹂ 俺は⋮俺は⋮ここで終わりみたいっス⋮ ひ、姫逃げてくれ⋮ ﹁す、すみません十代目ぇ⋮ ﹁ふっ⋮ メェを殺してやる ﹂ ﹁え、なんで俺そんな恨まれてんの 馬鹿にされたと思ってやがる ﹂ ﹂ ﹁テメェがやったことは予想ついてんだ この 顔の落書き ﹂ 先ずはテ 全然とれなくてどれだけ ここで会ったが百年目⋮ molto ha un sacco di problemi もれなく俺以外が重傷を負ってしまったよ、腹筋に !! !! ﹁∼ ∼ ∼ っ 何 テ メ ェ 一 人 だ け 他 人 面 し て ん だ ァ ' と言わんばかりに頬に☀のマーク、白蘭 ! ムしようとなっている ? やっぱ落ちなかったかー、油性マジックでやったしなー ﹁あ、あー⋮そういえば⋮そんなこともやったよう、な⋮⋮ ﹂ とお揃いにしてあげようとゆー気遣いからガッチリ下まつげ⋮⋮とまぁ、宴会の罰ゲー 眉毛、ナルトを進化させてお日様てっかてか 因みに上空にて俺を射殺さんばかりに睨みつけるザクロの顔は、黒々としたМ字型の !! ? !!! ! E !! ! ﹁ヤバい、戦線がこれ以上もなくガタガタだ﹂ ! ! !!?? !! !!!!! ! ! 424 ﹁昨日だろうが ﹂ 忘れたとは言わせねぇぞ ! ﹁ごめん、忘れた。爺なもんで⋮﹂ ! ﹂ !!? いやん怖い。最近の若者は切れやすくて爺涙目︵︶ ﹁ ブ ッ 殺 す ! ﹂ ﹁いっそ殺された方がよかったわ ﹁え、白蘭に受けなかった ﹂ ブルーベルに馬鹿にされまくったぞ !! い ﹂ てかテメェが諸悪の根源じゃねーか ﹂ チョイスの時とい そんな、人を悪の大名みたいに⋮⋮白蘭の方がよっぽどそれっぽいのに⋮﹂ ﹁っんだその憐れみの視線は ﹁えぇー !! 曰く、 ﹁食えない奴を狸というのはここからか⋮⋮深く納得した﹂とのこと。勿論その てたな⋮ 人望があるんだかないんだか。そーいえばザンザスに時代劇見せたら同じこと言っ ﹁真顔でゆうなよ腹心の部下﹂ ﹁それは言えてる﹂ ? !! ! さもありなん。平常時なら受けたんだろうけど⋮⋮時期が悪かったね ﹁機嫌悪いあの方に殺されかかったっつの !! ? !! ! !! ﹁なんだよもー、戦争中なのに殺さなかっただけ慈悲深いじゃんー﹂ 気づいたら応戦してました。…正当防衛じゃゴルぁ!! 425 俺はテメェを殺す ! 泣いて謝ろうが命乞いしようが赦さねぇから 後でうん十回目の喧嘩︵被害は甚大︶が起きたことは言うまでもない と、兎に角 !? ﹂ !!! ! ﹂ !!!!!!!! ﹂ !! ? 仮にも世界征服に王手をかけてる組織の幹部が ? ﹂ !!!??? !!! ! ﹁雁首揃ってんじゃねーか﹂ 何度目かのザクロの断末魔。あ、危ねぇ⋮危うく俺の身体に風穴があくところだった ﹁ぎゃあああああ ドカァアアアアン 伏せる俺。そして と、その瞬間。ゾクゥッ⋮ と超直感が全力で警報を鳴らしたことに従ってすぐさま ﹁ さ ションが不良と大体一緒ってどうよ というかさー、なんかザクロって⋮⋮下手に実力付けた八木沼君っぽーい。リアク フラン風に言ったらめっちゃキレられた ﹁ブッ殺す ﹁うえーん、すみませんでしたー、だから殺さないで下さいヘルプミー﹂ な ﹁ハッ 426 というか ﹁ドカス共﹂ 憤怒の暴君いらっしゃった !!!! ﹂ いっそくたばりやがれ ﹂ !!!! そんで、一言物申したい ﹁煩ぇドカス !!!!!!! れたりと色々あった訳だけど 白蘭との一騎打ちが始まって大空だけのステージが出来、ユニもその中に閉じ込めら ゴーストが現れたけどツッ君の零地点突破によって倒されたり 戦っている内に他の地点のメンバーと合流したり ならなくなった。フラン術師に感謝︶メンバーから順に攻撃を開始したり あれから、 ︵笑いの︶発作がなくなった︵ヴァリアーもあの後、大体が笑って使い物に *** さーて、今度こそちゃんとしたバトルで敵を倒しますかー けて勢い増やそう、そうしよう。俺は固く心にそう決めた 物申すついでに回し蹴りをするがしっかりガードされた、チッ。今度やる時は助走着 !!! ﹁俺ごと葬る気かこのクソガキぃ 気づいたら応戦してました。…正当防衛じゃゴルぁ!! 427 ﹁その代わりに、枷を外してやろう﹂ やっべ、Xバーナーで粉塵残さず吹っ飛ばしてぇ⋮ ﹁さぁデーチモ、お前の枷を外そう﹂ ! 夜を忍ぶ仮の姿ならぬ子孫にエエカッコシイする為のキリッとした顔やめい あんたそんな格好いい奴じゃねーだろ だろ セコーンドに心労かけてばっかのお茶目爺 その﹁デーチモ達に力貸してやる俺、格好いい☆﹂と言わんばかり ツッ君のリングからさも格好つけて出てきやがった初代の爺に胸のムカムカが収ま らないよ あああムカつく のドヤ顔がムカつく ! ﹁今のボンゴレリングは仮の姿だ⋮﹂ !! ! 陽炎一つ残さず凍らせるぞごるぁ !! ! てもらえそうだからな﹂ 初代の考えを理解できるようになっちゃあかん 後戻りはできないよ あ か ん ツ ッ 君 ちゃうよ !? ! 代の爺をフッ飛ばさないよう自制していた ボンゴレリングが輝いて原型の姿になろうが知ったこっちゃない。俺はひたすら初 !? 俺みたいになっ ﹁しかしもうその必要はない。お前にならこのリングの本当の意味と俺の意志を分かっ !!! ! ! 428 そうだ、我慢しろ俺。このまま上手く行けば二度と初代の爺に悩まされない快適な未 来が⋮っっ やってくれやがったよこのクソ爺 ﹁長生きって霊体も加算されるのかよ ﹂ !? ﹂ ﹂ どーすんだこの空気 ﹂ 俺は日本に帰化してからも長生きしたからな。いつだったかボンゴレの使いが ? たして幾つの時だったか⋮﹂ 来て⋮﹁馬鹿な、ボンゴレプリーモは○○歳だったはず⋮ ﹂と驚愕しておったが、果 ﹁いや 周 しかし、現実はいつだって無情である。ガンガンとならす超直感を見ないふりしよう ﹁さて﹂ 何をそこで仏頂面しておるのだマイファミリよー が、厄災は勝手にやってくるから厄災なのだ。とどのつまり やってくれやがった !!!! !! 何度も何度も夢の中に出てきやがって⋮悪霊も驚きだわ 何度もお茶をした中ではないか⋮ !! ! 囲︵主にボンゴレ側︶の空気が停止してんじゃねーか ﹁クソ爺とはまた酷い⋮ ﹁無 理 矢 理 に だ っ た け ど な ﹂ !? ! !! ! ﹁エコーが出来るほどの音量で親し気に話しかけんじゃねぇクソ爺 ! ﹁ま、俺ほど長生きすればそれくらいの芸当はお茶の子さいさいだ﹂ !! ! ﹁ひーろーしー 気づいたら応戦してました。…正当防衛じゃゴルぁ!! 429 ! い ﹂ これ以上ツッ君の未来に不安要素を重ねるんじゃな ! 死んでも要らん 思い出さんでいい ! そんな脅威の童顔はいらん !! !! ああ⋮過去の俺、︵爺の発言その他諸々で平穏な生活を送る事︶終わったな⋮⋮と ぜーはー、と息を荒くしながら、俺は器用にも遠い目をする !! ﹁思いだすな 430 ﹂ 気づいたら代わってました。⋮ごめんね ﹁どうした白蘭。翼がなければただの人か ﹂ 凄いよそこの綱吉クン に傷をつけた個体だ ﹁アハハハハッ 君は無数のパラレルワールドの中でも唯一僕 ? ! ﹂ さて。先祖の暴挙によって過去の俺終了となったわけだがそれはそれとして一先ず !! ! クソ爺いつまでいやがるんですか ? 置いといて ? ﹂ ? らい、無謀な事を俺はしようとしている で。もし失敗したらアルコバレーノもツッ君たちも誰も救うことは出来ない。それく 聞きたかったのはそれだけ。こればかりは初の試みだから、失敗だってありえる訳 ﹁⋮俺の計画は、成功しますか の人がツッ君の戦闘に夢中だから丁度いいけど 俺は隣で呑気に白蘭とのバトルを観戦している初代に声をかけた。まぁ今なら大体 ﹁わー、これだから超直感持ちは面倒ダナー﹂ ﹁おや、てっきり俺に聞きたいことがあると思ったが﹂ ﹁⋮⋮で 気づいたら代わってました。…ごめんね 431 ただ、これ以上喪ってほしくないという自己満足の為に ヒロシよ﹂ ? 俺はいつもまともだぞ﹂ ? ? そのくらいの覚悟もなくて、マフィアのボスなんてやってられるか。いやもうボス れば無理やりにでも望む未来を手にして見せる 自分でやると決めた。死んでも助けると決めた。人事を尽くして、それでも足りなけ そう、今更失敗を恐れて何になる 憎まれ口を叩きつつも、心の何処かで安堵する ﹁それはない﹂ ﹁む ﹁⋮⋮うわー、まともなことも言えたんですねプリーモ﹂ よ﹂ ﹁何 か を 為 す の に 必 要 な の は 確 実 性 で は あ る ま い。そ れ を や り 遂 げ る 覚 悟 と 行 動 の み ただ、先達としての言葉が俺の中に響く いか。その覚悟があるならば躊躇いなど不要であろう﹂ ﹁超直感の裏打ちがあるからではない。自分がどうしたいか。どんな未来を手に入れた ボンゴレ創立者としての威厳がある訳でもない 普段の憎たらしいほどに飄々とした要素は欠片もない ﹁それは俺に問うべきことか 432 ﹂ じゃないんだけど ﹁ ﹂ ﹁本気なんだねユニ⋮本気で、おしゃぶりに命を捧げて死ぬ気なんだね そこまで考えたところで、状況を再度把握する ! プリーモの姿が消える ﹁ああ、そうだな ユニがどうするにせよあそこは危険すぎる さぁ、始めよう ﹂ ﹂ 俺の覚悟は、ユニもツッ君たちも⋮ここにいる皆を絶対に死なせないこと ﹂ !? ! この結界はビクとも﹁俺が行くから、皆どいてくれる ﹂え、宙さん ? ! 周囲から視線が集まるのをスルーしながら、大空の結界の前に立つ ﹁だがよっ ! ボォオオウッ ﹁なっ !? ﹂ 小声でそうプリーモに感謝の言葉を贈り、気を引き締める。微かに笑んだ気配と共に ﹁Grazie、プリーモ﹂ もう時間がない、な⋮ ﹁ユニ !!? !! ! ﹁我々も手をこまねいてはいられません。結界を破りユニを脱出させるのです﹂ 気づいたら代わってました。…ごめんね 433 ﹁ぜ、全身から炎が ﹂ アルコバレーノでもない宙が何故⋮ ﹂ !? !? ﹂ ﹁お邪魔するよ﹂ これでも一応大空のアルコバレーノ筆頭候補だったからねぇ ﹁ありえん ! ﹂ ﹁まさかこの期に及んで君が邪魔するとはね⋮ ﹁宙兄さん⋮ ﹂ そんな内心は勿論零さず、大空の適合者としてあっさりと結界の中に入る ﹁お父さん⋮ !? !? ﹂ ? 言いつつ、ユニの持ってる全てのおしゃぶりを俺に移し替える。勿論、ユニ自身の大 ﹁ふぅ⋮これでもうユニは大空のアルコバレーノじゃないよ﹂ かった さっさとおしゃぶりの主導権を移させてもらうよ。川平さんに術を習っておいてよ ﹁︳︳︳︳︳︳︳﹂ ﹁え ﹁ユニ⋮⋮ごめんね﹂ ﹁どうして⋮お父さん⋮﹂ いや寧ろ邪魔しない訳がねーだろ。まぁそれはともかく ! 434 待ってくださいお父さん それではアルコバレーノの復活が⋮まさ その聡明さが、ユニ自身を傷つけなければいいんだけれど ! 空のおしゃぶりも ﹂ ﹁え⋮ま、待って か 気づいちゃったかな ! 待ってお父さん それは私の役目なんです はあっさりと結界の外へ投げ出される ﹂ ﹁待 っ て ⋮っ﹂ ! それをγが受け止めたのを確認して、くるりと踵を返す ! 私の代わりにお父さんが死ぬ必要なんかないんです ! ﹁γ君、ユニたちのこと頼んだよ﹂ やめて ! ﹁あんた⋮﹂ ﹁お父さん ﹂ お父さんは 私が受け入れるべき運命で 一度深く抱きしめた後、トン、と優しく、しかし力強く押せばそれだけでユニの身体 じゃないよ﹂ ﹁愛してるよ、ユニ。俺の大事な娘。だから││││││子供は、親より先に死ぬもん ? ! ! これからいくらだって幸せに⋮ ! ! ! ﹁姫 気づいたら代わってました。…ごめんね 435 ああ、ごめんねユニ。やっぱり泣かせちゃったかぁ⋮俺は本当にダメな父親だね でも ﹂ ! だったら お前にユニも宙兄さんも渡さない ﹂ ﹂ ユニに力がないなら君を手に入 生きてさえいれば、手足の一本や二本失ったって問題はない ﹁全く⋮どこまで計画が狂うんだろうね⋮ れる ! 邪魔するなら先に消すまでだ !! ﹂ !! !! ﹁させるか いいさ ! きっとこれが、死の気配 自分の存在が朧になっていくのを感じる 内心で応援しまくりつつ、意識を切り替えて炎の供給に集中する。その内、ドンドン ﹁さぁて、アルコバレーノの皆さん⋮⋮復活を頼んだよ﹂ うわーぁ⋮ツッ君ファイト、行け行けゴーゴー。白蘭なんてやっちまえ ﹁どこまで君は僕の邪魔を⋮ !! !! ! ! 俺が使いきってアルコバレーノを復活させる。││││││ゲームオーバーだ﹂ ﹁そんな訳だから白蘭、もうユニにはお前の望む力はない。そしてお前の望む力は、全て はもう迷わない。振り返ったりしない それでも、譲れないものがある。受け入れがたい未来を変えたいと願う。だから、俺 ﹁そ、んな⋮ ﹁娘を守る為なら、それだけで幸せだよ﹂ 436 前回のユニは怖がっていた。死を、恐ろしいと感じていた。当然だ、若いあの子が、未 練を残していたあの子が、恐ろしく思わないはずもない 苦笑する。既に︵精神でとはいえ︶長生きしてる故に、死への恐怖心が薄い自分自身 ︵⋮⋮でも、俺はそうでもないんだよねぇ︶ に。 嗚呼、やっぱりユニを死なせるくらいなら俺が身代わりになった方がいい 子供は、死ぬもんじゃない。 親とか、そんなこと関係なく純粋にそう思う。 ﹂ 子供はいつの時代も笑っていなくちゃいけないと信じているから。だから ﹁お父さ⋮ ﹂ ? *** そう最期に微笑んで、俺は命の全てをおしゃぶりへと注ぎ込んだ ﹁じゃあ皆、Arrivederch﹂ せめてものプレゼントを贈ろう。炎真なら、きっと上手くやってくれる ﹁え⋮ ﹁アリアと幸せにね﹂ ! ﹁ユニ﹂ 気づいたら代わってました。…ごめんね 437 炎真side いで消えた ﹂ ! ﹂ !!! │││そして、憎らしい んだんだ ﹂ ﹁誰がひろ兄を殺したと思っているんだ。お前がこんな世界にしたから⋮ひろ兄は⋮死 い、 それこそ、ボンゴレだけじゃない。僕たちシモンだって、喪ってとても悲しい、苦し ﹁うぅ⋮ぐっ⋮くそぅっ⋮ ﹁まさか⋮こんなことになるたーな⋮﹂ ﹁そんな⋮宙お兄ちゃん⋮っ﹂ 誰も納得しないだろうに 自分の影響力をまるで分かって無い。大空の姫を助ける為に身代わりになるなんて、 ︵⋮⋮酷い人ですね、宙兄さんは︶ それを見た周囲の中でも、ただ十年前の沢田綱吉だけがその名を呼んで ﹁っっひろ兄│││││││││││ !!!! そう優しく微笑んだあの人は、穏やかな表情のままアルコバレーノ復活の為に命を注 ﹁じゃあ皆、Arrivederch﹂ 438 ﹁俺はお前を赦さない 白蘭 ﹂ !!! に ﹂ 白蘭 ﹂ 折角生き人形にしてでも手に入れようと思ったの お前だけは !! !! ! ﹁まったく余計なことをしてくれた ボンゴレもミルフィオーレもこの場で滅ぼしてしまいたいくらいに 後悔ばかりが押し寄せる。叶うなら、過去をやり直したいと思うほどに。叶うなら、 そうと提案すればよかった かった。ボンゴレもミルフィオーレもどうでもいいと切り捨てて、あの島で静かに暮ら こんな結末になると分かっていたなら、数日前のあの時何が何でも引き止めればよ ! ﹂ ? ﹁うん。宙兄さんなら助けるだろうから﹂ ﹁いいのか、炎真 ﹁手助けはこれっきりだよ、ボンゴレ﹂ だから ていて うん、それが宙兄さんで。しょうがないよね、嫌というほど僕たちはそれが身に沁み ら でも、きっとあの人はそんなことを望まない。見ていて辛くなるほど、優しい人だか ! !! ﹁それ以上ひろ兄を侮辱するな 気づいたら代わってました。…ごめんね 439 シモンリングに炎を灯して、白蘭の動きを封じるように大地の炎コーティングをかけ ﹂ る イクスバーナー ﹂ !! ﹁やりましたね !!! ﹁勝ったぞ││││ ﹂ ﹂ ﹁ツナさん ﹁ツナ君 !! 周囲に少し呆れる ﹁やったッスね十代目 ﹂ ! ! ﹁で、でも⋮⋮ひろ兄が⋮⋮ ﹂ 今、沢田綱吉は目の前で人殺しをしたばかりだというのに、あまりにその実感がない ⋮⋮子供だから、しょうがないといえばしょうがないんだろうね 俄かに、ボンゴレ陣営が活気づく。勝利に、酔いしれる !! ﹂ ら、今度は僕たちがやるべきことをやろう。でもまずは⋮ それを淡々と見届けつつ、僕たちは大空の姫の近くに向かう。白蘭を倒し終えたな ﹂ !!!!!! ﹁ 、くらえ ! そして、決着がついた。 ﹁ ! !? 440 まぁ僕たちには関係がないけど、それは渡さない あ、貴方は⋮ ﹂ ﹁これは、僕たちが貰うよ﹂ ﹁え ﹂ !? !!? んだ ﹁何者だ ミルフィオーレか ﹂ !? ﹂ ﹁宙さんを殺したファミリーと一緒にしないでくれる﹂ ? 沢田綱吉が手を伸ばした先にあるのは、宙兄さんの衣服。でもそれは、形見でもある ﹁な、なんだテメェ !? !? ﹂ だからいいだろう ﹂ 僕たちに形見の一つくらいくれても そんな奴が何でここにいやがる ? ? 自身も銃弾を防ぐくらい出来る アルコバレーノが僕に銃を向けても、狼狽えることはない。僕には仲間がいるし、僕 ﹁で ? ? ﹁ひろ兄に⋮ さんに命を助けられた事のある者だよ﹂ ﹁⋮⋮でもそうだね、挨拶くらいはしておこうか。初めましてボンゴレ。僕たちは昔、宙 君たちは、宙兄さんに助けられた。文字通り、命をかけて ﹁え⋮ひろ兄の⋮知り合い⋮ 気づいたら代わってました。…ごめんね 441 ﹁ミルフィオーレもボンゴレもどうでもよかったけど、宙さんに頼まれていたから﹂ それだけだよ、と呟いて視線を背後に向ける。途端に意図を理解したジュリーが砂漠 の幻術を解く ﹂ どうして ボス ﹂ ﹂ そこには、島で保管されて仮死状態の元大空のアルコバレーノの姿 ﹁なっ⋮ ﹁お母さん !? ﹁⋮アリアは死んだと聞いたが、どういうことだ !!? ! で出す訳にはいかないから 今、助けたと言ったのか !? ﹁それじゃ⋮お母さんは⋮生きて⋮ ! ﹁そうだぜ、コラ ﹂ 事情は全部ヒロシって奴から聞いてるぜ。アリアを生き返らせるに しゃぶりから光が溢れて復活したアルコバレーノの姿が現れた 言いつつ、今度は視線を横に向ける。そうすると、丁度いいタイミングだったのかお ﹁そういうことだね。ここから生き返らせる方法については⋮彼らに聞けばいい﹂ ? ﹁待て ﹂ 周囲が騒然となる中、僕はどこまでも淡々と話す。憎しみも恨みもあるけれど、ここ 頼まれていただけだから﹂ ﹁宙さんが助けたんだ。方法は知らないよ。僕たちはこの時まで預かっててくれるよう ? !? 442 !! ﹂ はここにいる全員で死ぬ気の炎を灯して注入すればいいそうだ ﹂ ﹁コロネロ ﹂ 私は⋮死んだはずじゃ⋮﹂ ﹁お母さ⋮⋮っお母さ││ん ? ﹁え⋮ ⋮﹂ ヒロシから 待って、それならどうしてヒロシがそんなまどろっこしい真似を ? なんですって 嘘よ、彼はマフィアでも裏社会の人間でもないはずじゃ⋮ ﹂ ! レーノになって﹂ ﹁なっ ! 本当、嘘だったらどれだけよかったろうにね !? ﹁⋮⋮ 宙 さ ん は 死 ん だ よ。ア ル コ バ レ ー ノ を 復 活 さ せ る た め に、自 ら 大 空 の ア ル コ バ ? ﹁元大空のアルコバレーノ。宙さんから、手紙を預かってる﹂ ⋮⋮そろそろ、立ち去り時かな !!! ﹁ぅ⋮ユ、ニ⋮⋮ た後、とうとう生き返らせることに成功した そしてそのままアルコバレーノの説明が始まり、色々と問題が片付いたことを理解し ﹂ ﹁ヴェルデ まぁ勿論、私の天才的 ﹁因みにリボーン、これはこの時代のお前も関わっていたんだぞ ! ! な頭脳も必要だったのだがな﹂ ? ! 気づいたら代わってました。…ごめんね 443 ﹂ ? ﹁それじゃ、用事は済んだし僕たちは帰るよ﹂ あの、白蘭の動きが最後止まったのは貴方が⋮ ! ﹁なっ テメェ、十代目に向かってなんて口を ﹂ !! ﹂ !? ︵宙兄さん⋮⋮︶ 宙兄さんの手紙が原因なんだろうけど │││ああ、背後で元大空のアルコバレーノが泣いてる気がするね。どうせきっと、 そして僕たちはその場を去った。宙兄さんの形見をもって 言いたいだけ言って、踵を返す。これ以上関わるつもりはない ﹁行こう、皆﹂ ﹁はっ フィア界とも関わるつもりはないから﹂ ﹁黙りなよ、何も知らない癖に。でも安心すればいい。僕たちは今後、ボンゴレともマ !? けさ。│││││本当なら、ボンゴレなんて見たくもないしね﹂ ﹁勘違いしないで。僕たちは宙さんを殺した白蘭が気に入らなかったから手助けしただ ⋮⋮ああもう、煩わしいな。ボンゴレからの好意なんて願い下げなんだよ ﹁あ⋮ま、待って 444 本当に酷い人だ。苦しくて悲しくて辛くて、胸が張り裂けそうなほど心が痛むのに 最期まで優しい人だと見せつけて逝くものだから、恨むことも出来やしない だから僕たちはその遺志を受け取ってボンゴレを亡ぼせやしないんだろう 悲しい運命を、これ以上繰り返したくなかったんだ なかったから 自己犠牲心じゃない、あくまで自己満足でしかないけど、どうしても救いたくて仕方 でも、それでも、俺は譲れなかったんだ 俺だったらそうするしね 面と向かって顔を合わせたら、殴られるかもしれない 俺のこの行動は、きっと非難されるし、詰られることもあるだろう 願わくば、笑っていてほしい 怒っているだろうか、泣いているだろうか、笑っているだろうか この手紙を読んでいる貴方は、何処で何をしているのかな 拝啓 愛しい人へ *** 僕は、僕たちは、そう静かに黙祷をした ﹁⋮今まで、ありがとうございました。貴方の黄泉路が穏やかな事を祈ります⋮﹂ 気づいたら代わってました。…ごめんね 445 446 いつの時代も悲しみを避けては通れないけれど、俺の行動で少しでも笑顔の人が増え てくれたらとても嬉しい あの子には、俺の行動でとても重いものを持たせてしまっただろう 負けそうで、泣きそうで、消えてしまうそうな程に自分を責めるかもしれない でも、伝えて。そんなことはないんだって 俺は、俺のしたいように行動した この未来は誰のせいでもない、あの子の、皆の力で勝ち取った幸せな未来なんだって だから、どうか笑って。精一杯、これからを生きて。 人生の全てに意味があるから、恐れずに貴方の夢を育てて それだけが、俺の望みだから この手紙を読んでいる貴方が、幸せな事を願います││││ *** それは、突然のことだった ドォ⋮⋮⋮⋮⋮オン ! アリアが奥さん 大丈夫ですか ﹂ ボ 待って待って待っ 地震が起きた、と思った次の瞬間には俺でも膨大な量の記憶が頭に伝わって│││ ユニが俺の娘 !? 突っ込みどころ多すぎあのクソ爺なんてことしてくれてんだ阿呆 ってちょっとちょっと待って て色々ヤバい ﹂ ンゴレリングごと砕いてやろうか⋮⋮てぇ ﹁ぐ、ぅううっ⋮ ﹁いやー、凄い地震でしたね宙先生⋮⋮宙先生 ! !? ちょ、誰か 救急車 ! 救急車を呼んでください ﹂ !! 苦しい。辛い。吐きそう。 ﹁ひっ、血 痛い。 ! 気持ち悪い。頭痛い。体が寒い。いや熱い。全身の血がどくどくいっている。痛い。 !? !!? ! !? !? ! ︶ い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い ︵や、ば⋮⋮ ぐらり。 ! !!!! い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛 !? ﹁がはっ﹂ 気づいたら代わってました。…ごめんね 447 448 全身を苛む激痛に、俺の意識はあっという間に刈り取られたのだった 俺はまだ知らない。 これが、未来で無理矢理に大空のアルコバレーノになった代償だという事を シモン編 気づいたら立ち止まっていました。⋮一休みってことで 夢を見た なんで気づかなかったんだ⋮っっ﹄ ﹄ とても懐かしくて、とても愛おしくて、とても大事なファミリーの夢を 俺が、俺がついていながら⋮ ⋮⋮嗚呼、だけど。みんなみんな⋮⋮悲しそうな姿だ ﹃くそっ お兄さんもそんなしかめっ面で⋮ ﹃⋮⋮極限に悲しいぞ、沢田⋮っ﹄ 山本⋮珍しいなぁ、あんなに険のある顔は ! !! ! 獄寺君⋮君がそこまで涙を流すの、久しぶりに見たよ ﹃十代目ッ⋮十代目ぇ⋮ッ 気づいたら立ち止まっていました。…一休みってことで 449 ﹃ボンゴレ⋮ど、うして⋮ ﹃⋮⋮つまらないな﹄ ﹃沢田さん⋮⋮﹄ ﹃⋮⋮馬鹿な子﹄ ﹄ ﹄ !! ⋮⋮げ、雲雀さんすっげー不機嫌顔⋮ ごめんなさい、私が⋮私がいたのに⋮ ﹄ 置いていかないでよ⋮ 骸も骸でなんだよその顔、間抜けだぞ⋮ ﹃ツッ君⋮ ﹃ツナさん⋮嘘でしょう ! ﹃ツナ兄⋮どうしてこうなるまで⋮﹄ ? ! ﹄ ⋮ランボもいい大人なんだからそんな迷子みたいな顔しないの ! 何を謝ってるの ! クローム⋮ ﹃ボス⋮ッボス⋮ッ ? ﹃まさか君が⋮こうもあっけなく⋮﹄ ? 450 ﹃ツナ君が僕より先にいくなんて⋮﹄ と言ってくれた人 生涯をかけて愛し、守ると誓った人 支えます 機械に強い友人たち 心優しい大空の姫 ちょっと苦手だった白い奴 私⋮っ﹄ 同じ立場でよく弱音を言い合った親友 よく女子組の面倒を見てくれた姉のような人 面倒を見てたチビたち ! ! ﹃綱吉クンってば⋮⋮﹄ ﹃沢田さんがこんなことになるなんて⋮ ﹃綱吉君が⋮こんな⋮﹄ ﹄ ? 他にもたくさんの声。コエ。こえ。 ﹃⋮ボンゴレ 気づいたら立ち止まっていました。…一休みってことで 451 そして れて。気が塞いで仕方なかったけど、それでも漸く未来から帰ってこれて てしまって。その後、赤髪の青年に責められるような目でひろ兄の行ったことを説明さ あの時、十年後のひろ兄がユニの代わりにアルコバレーノ復活の為に命を捧げて消え 未来から帰ってしばらく経った ツナSide *** そう、どこか他人事のように思いながら、俺はその光景をただ静かに受け入れた 光景を見ているらしい。平行世界を渡るのは白蘭の十八番なんだけどなー どういう連鎖反応かは分からないが、俺はどうやら以前いた世界の、俺の死んだ後の ︵⋮⋮俺が、死んだ後の⋮⋮︶ ここまでくれば嫌でも分かる。これは、この光景は│││ 中身は血の気の無い、けれど綺麗な姿で花に囲まれ横たわる俺 皆が囲むのは、ボンゴレマークのついた黒い棺桶 俺の最高で最強な人生の恩師の、表情を帽子で隠した姿 ﹃⋮⋮ファミリーを置いて逝っちまうなんて、バカツナが⋮﹄ 452 これでやっと、平和な過去に帰れたんだ⋮ まったら、て考えると指先がどんどん冷えてって だけど、今のひろ兄はそれどころじゃ無くて。このまま、質問するどころか死んでし 話してほしいと思った ひろ兄にはたくさん聞きたいことがあった。未来で知ったこと、俺の知らないことを 悪、このままずっと植物状態かもしれないと言われて 母さんとお医者さんの会話では原因不明で、いつ目を覚ますかも分からなくて。最 兄の姿 色を変えない母さんに無理いって付き添った病院先で見たのは、死んだように眠るひろ そう安心する間もなく、母さんにひろ兄が倒れたと連絡があった。そして、滅多に顔 ! 俺なんかより、実の弟のひろ兄の方が心配で当たり前なのに、こんな時も母さんは気 ﹃母さん⋮﹄ いわ﹄ ﹃ひー君に何が起きたかは分からないけど大丈夫よ。これくらいで家族は壊れたりしな そんな時だった。母さんが、そっと俺の指に手を重ねて温めてくれたのは ﹃⋮⋮大丈夫よ、ツッ君。ひー君はね、絶対に起きてくれるわ﹄ 気づいたら立ち止まっていました。…一休みってことで 453 丈に笑っていた。そしてふいに何かを思いだしたかと思うと、こう言って ﹃え ﹄ ? のにね﹄ 誰、が 思わず頷きかけて言葉を失う ﹃そんなこと、が⋮⋮⋮⋮⋮記、憶喪失⋮ 記憶喪失 ? ? 俺は、ひろ兄のことを知っていたつもりで、何にも知らなかったんだ、って ただ、この時をきっかけに俺は気づいちゃったんだ その後の母さんの話は、正直覚えていない までの記憶を失っていたのよ﹄ ﹃あら、ツッ君には話してなかったかしら ⋮両親を失った時の事故でね、ひー君はそれ ? ﹄ ひー君がよくこうして励ましてくれたの。⋮⋮ひー君の方こそ、記憶喪失で大変だった ? ? ﹃昔はね、正反対だったのよ 両親を失ったばかりで不安で仕方なかったお母さんを、 ﹃⋮⋮ふふ、なんだか少しおかしな気分ね﹄ 454 気づいたら立ち止まっていました。…一休みってことで 455 ザンザスと知り合いだったのも、九代目と知り合いだったのも、初代と知り合いだっ たのも ユニがひろ兄の娘で、アリアって言うお嫁さんがいて ラルとも長い付き合いで、師弟関係で そしてあの赤髪の青年の⋮⋮恩人、で 本当に⋮何も知らなかったんだ、俺は ひろ兄が、俺を信用しなかったから話さなかったんじゃないとは分かってる。ひろ兄 は、必要なければ自分の事を話すことをあまりしなかったから でもそれなら、俺の方からもっとたくさん聞けばよかったんじゃないかって。ずっと ずっと、ひろ兄の無言の甘やかしに甘えてたんじゃないかって ⋮⋮ダメツナだ、なんて自虐も出来ないくらい自分が情けなくて それからは、どこか虚ろに日々を過ごしていた。獄寺君や山本が心配してくれたけ ど、どうしてもショックは抜けきらなくて そうして気づけば、未来から帰ったあの日から大分日にちが過ぎていた ︵⋮⋮⋮そういえば、リボーンがあの赤髪の青年について調べるって言ってたっけ⋮︶ たしか⋮マフィアでなくとも白蘭から逃げおおせたのだからタダ者じゃない⋮とか。 ﹂ もし転校生の中で十代目に舐めたマネするよーな奴がいれ そりゃ、あの人の事は俺も気になるケド⋮ ﹁任 せ て く だ さ い 十 代 目 ﹁席に着け∼﹂ ﹂ 野球好きで野球部に入ってくれる 全く、困ったもんすよね十代目 寧ろ俺は楽しみだぜ ば、十代目の右腕・この獄寺隼人がシメてやりますよ ﹂ ﹁まーまー、落ち着けよ獄寺 奴かもしれねーだろ ﹁テメェはそれしか考えられねーのか野球バカ ﹁⋮あ。う⋮うん、そうだね⋮﹂ ﹁⋮⋮﹂ ﹁⋮⋮﹂ ? なんだこの人 しとぴっちゃんと呼んでクダサーイ イタイっつーか⋮ ﹁マイネームイズ、シット・ピー ってうわっ !? ! !! ﹂ !!! してウチのクラスには転校生が2人来るみたいで⋮ ぼんやりとしている内に、予冷が鳴って先生が来て、ホームルームが始まった。そう ! ! 転校生、かぁ⋮そういえば家でもランボが騒いでたっけ⋮ ! ? ! ! 456 ﹁え、ええー⋮では次、君の自己紹介を⋮﹂ 思わず引いたところで、ふと先生の後ろにもう一人いるのに気付く。最初が派手すぎ て忘れかけて⋮⋮⋮⋮え あの子⋮ ! ﹂ そして、相手から驚きの事実を述べられることになる い それから俺は、ホームルームが終わってすぐに古里君に話しかけたのは言うまでもな りだ⋮ 獄寺君と山本も気づいたみたいだ。あの古里って子、未来で見た赤髪の青年にそっく ﹁お、おいツナあいつ⋮ ﹂ ﹁⋮⋮至門中学からきました、古里炎真です。どうぞよろしく﹂ ? ! ! ! ﹁じゅ、十代目⋮ 気づいたら立ち止まっていました。…一休みってことで 457 気づいたらへこたれてました。⋮情けないなぁ 目を覚ますと、そこは白い空間だった。 病院だ。それは分かる。大方、職場で倒れた俺に同僚が救急車を呼んでくれたのだろ ﹁⋮⋮あ゛∼∼∼∼∼っ﹂ う。⋮何故か一人部屋なのが気にかかったが。うわー、ボンゴレの息がかかってそうで めっちゃ嫌ー⋮⋮イヤイヤ今はそれどころじゃ無くて。 ﹁あー、うん⋮どうすっかなぁ⋮﹂ お手のものだよ 良い子はマネしちゃ駄目だけどね 頭を抱えつつ、腕に刺さっていた点滴を外して袋に刺し直しておく。そして荷物をあ エスケープ ? ﹁はい、○○円になりますー﹂ ﹁すいませーん、これ1つ﹂ なって点滴を受けて、逃げて、叱られて。 ボスに就任して、5年くらいだろうか。よく無茶をして、過労に体がついていかなく ! さって病院服から普段着に着替え、少量の小銭をもって売店へ向かう。 脱走 ? ︵⋮⋮⋮前はよく、獄寺君と山本に怒られたなぁ⋮︶ ! 458 売店で目当てのものを買い、今度は屋上へと向かう。とはいっても、ここは屋上立ち 入り禁止だけど⋮持つべきものは稀有な能力⋮ってね。夜の炎を使って扉を抜け、人目 のつかない死角に座り込んで壁に背中を預ける ﹁⋮⋮はぁー﹂ そうして死ぬ気の炎で先程購入したモノ│││煙草に火を付け、一服する 獄寺君が良く吸っていた銘柄。年を取って、美味しいと感じるようになって⋮⋮でも すぐに、取り上げられたっけ。 ﹄ !!! ﹄ ! ﹄ ! ﹄ ! かったはずなんだけど⋮会う時にタバコの匂いさせてたら問答無用で咬み殺されたん ⋮あ、雲雀さんは普通に嫌いだったな。もう大人だったから風紀には引っかからな ﹃⋮⋮咬み殺す ランボはまず吸えなかったなー。絶対噎せちゃってた ﹃げほっげほっ⋮うぅ、不味いですね⋮ ⋮山本とお兄さんはスポーツマンだったから一度も吸わなかったっけ⋮。 ﹃やめておけ、タバコは害にしかならん ﹃俺も一度は吸ってみたかったんだけどなー﹄ ⋮⋮なんて、そのまま一緒に禁煙生活送ったっけ。 ﹃十代目に害のあるものは何であろうと排除します 気づいたらへこたれてました。…情けないなぁ 459 だったな⋮ ﹄ ? ? あんなにもファミリーを悲しませてしまった俺に、本当 ? あんなものを見てしまったからこそ、どうしても弱気になる に守れるだろうか 今の俺に何が出来るだろう 自分の象徴だった空を見て、考える ﹁⋮⋮⋮時をこーえて⋮君を愛せるか⋮本当に君を⋮まーもれるか⋮﹂ 持ちが胸中に広がる 目を閉じて、物思う。タバコの苦味なんてどうでもいいくらい、もやもやした苦い気 ︵⋮⋮弱く、なったなぁ︶ どっちもかなぁ それは前世の夢を見たせいか、それとも既に平凡ではいられなくなったからか。⋮⋮ だから、雨上がりかもしれない。⋮⋮今日はだいぶ、感傷的だなぁ ゆらゆらと立ち上ぼる煙が、空に解けていく様をぼんやりと見送る。少し湿った空気 ﹁⋮⋮⋮﹂ ことは一度もなかったんだけど⋮。 ああ、そうそう。それを言えば骸も嫌いだったなぁ。⋮でも俺、女子組の前で吸った ﹃僕のクロームに害があるのですが 460 そして、それだけじゃなく ﹁⋮⋮俺が、アルコバレーノ⋮か﹂ ごそりとポケットを探れば、手のひらに収まるおしゃぶりが出てくる。着替えている 時に気付いた、違和感。リボーンや他のアルコバレーノのように首元にではないけれ ど、俺の身体から離れないおしゃぶりの存在。未来の記憶とあわせて考えれば、結論は すぐに出て ことを。その、可能性を。 だけど、それでも俺は嫌だったんだろう。死んで尚、ボンゴレリングに囚われ続ける でも、未来では俺にユニという子供がいた。それで当初の目的は達せられた。 そもそも、俺がこうして逆行しているのは初代たち歴代ボスの思惑のせいだ。 死ねるチャンスを狙っていたんじゃないだろうか。 でも、未来の俺はそれだけじゃなかったんだろうな、とも思う。未来の俺は、確実に とかユニが娘とかイロイロ物申したいことはあるけど、それは置いといて。 えば、あの時代の俺に取ってユニは娘で、余計にそうだったんだろう。まぁアリアが妻 をしただろう。ユニを、仲間を、もう一度目の前で喪うなんて死んでも御免だ。更に言 未来の俺がした選択肢を責める気はない。多分、今の俺があの立場にいても同じこと ﹁はぁ⋮憂鬱だ﹂ 気づいたらへこたれてました。…情けないなぁ 461 だからユニの身代わりになって死んだ。あの時点でツッ君がボンゴレリングの封印 を解除したことでその力は︵一時的とはいえ︶だいぶ減っただろう。あの時点で、同じ トゥリニセッテのおしゃぶりに命を捧げればボンゴレリングから逃げれるんじゃない かと考えたんだろう。 ユニを助けたいというのは本当でも、こうした下心もあったに違いない。 心底、情けないと思う。助けたい,と言うだけでなく下心ありで行動した自分自身が。 そして。 のだった。 ふわりと漂うタバコの煙に包まれながら、俺は酷く情けない、泣き笑いの表情になる そうと分かっていて、未来の自分を非難できない弱さが。 ﹁⋮⋮それでも、と行動してしまった気持ちが理解できちゃうんだよなぁ⋮﹂ 462 気づいたら大地が大空を嫌っていました。⋮マジでか 炎真Side ! 継承式を妨害し、罪を手に入れる為に並中へ転校した僕らシモンファミリー。でも、 ﹄ 転校初日からどうも僕はボンゴレに目をつけられていた。 ちょっと⋮いいかな ! ? *** 古里君 ! レと、その守護者2人。 ﹃その、話が⋮あるんだけど⋮﹄ まさかどこかのファミリーか !? ⋮⋮僕はないんだけど。 本当にね。 ﹃まーまー獄寺、ちょっと落ち着けよ﹄ 当たりだけど、一般人がいる場所で話す内容 ﹃おい、テメェ何者だ ? 随分とマフィアとしての意識の低さに内心で呆れ返ったのを覚えてる。ただ、だから ? ﹄ その日のホームルームの後。そう言って声をかけてきたのは宙兄さんの甥のボンゴ ﹃あ、あのっ 気づいたら大地が大空を嫌っていました。…マジでか! 463 といって人気のない場所でマフィアについて話す気もなかったから ﹄ ? よくいろんな話を聞かせてもらって⋮⋮﹄ ? の無償の愛情を受け取って、幸せな人生を歩んできた次期ボンゴレボス。 宙兄さんが大事に思っている甥。ただ、血が繋がっているというだけで宙兄さんから 知らずに中学まで平和に生きていたとかね。 本当にいろんな話を聞いたよ。マフィアボンゴレの血を引いていながら、それを一切 ﹃君と僕が同い年だったからかな 選んで、必要最低限だけ言えば問題はない。 嘘が通じない超直感は厄介だけど、逆に言えば嘘をつかなければいい。言葉を慎重に ﹃そ、そうだったんだ⋮﹄ はまだそのころ小学生だったけど⋮家が近所でね。よく面倒を見てもらったんだよ﹄ ﹃そう、宙先生って言うんだけど⋮数年前、至門中で教えてくれてた先生なんだ。僕たち ていた。 目元を和ませて、問いかける。するとあっさり食いついたボンゴレは疑問符を浮かべ ﹃先生⋮ ﹃やっぱり。先生からよく聞いてたんだ、甥っ子がいるって﹄ !? ﹄ ? ﹄ な、なんでその呼び名を⋮ ? ﹃えっ ﹃⋮⋮もしかして、君が〟ツッ君〟 464 きっと彼は、いや彼の守護者もボンゴレも、僕たちが味わった屈辱を何一つ知らない んだろう。ああ、本当に││││ 僕は、君が大っ嫌いだ。 ﹃⋮⋮縁があれば、会ってみたいなって思ってたんだ﹄ *** その後は、一限目の授業が始まって有耶無耶になったけど大分ボンゴレの警戒は解け ていたんじゃないかなと思う。休み時間とかは上手く躱したし、放課後も真美に乱入し てもらって誤魔化した。 ﹂ それからは余計な警戒心を抱かれないように接触を避けていたんだけど⋮⋮ ボンゴレもシモンも揃っちゃいねーじゃねぇか ! *** !! 十代目を警護する ﹂ じことが怒らないとは限らない !! そこでボンゴレとシモンが力を合わせ、エリアごとに ﹁昨日十代目が継承式を邪魔しようとするチンピラマフィアに襲われた。継承式まで同 いんだけど⋮。 面倒くさいな⋮。こんな集まりに参加するくらいなら、宙兄さんのお見舞いに行きた とある休日。僕たちシモンとボンゴレは嵐によって呼びだされていた。 ﹁たるんでんぞ 気づいたら大地が大空を嫌っていました。…マジでか! 465 ! ﹂ そんな大掛かりなことしなくていいって ﹂ ボンゴレなら、僕らを利用しなくたって警護の人員くらいいるで ? ﹁な││││ しょ ⋮⋮なんで僕らが !!? ﹁いやいやちょっと待って獄寺君 ! ? ﹂ この巨大パフェ1時間以内に食べきったらタダだって きゃならんのだ﹂ ﹁お兄ちゃん ﹂ ﹁⋮⋮真美、この量を食べきれるの ﹁何事もチャレンジだよ ﹂ だって正直、この話題どうでもいいからね。 ﹁古里君たちマイペースだ││││ ﹂ !! せめて同盟と言え このバカチン共が ボンゴレ傘下のファミリーがボンゴレに協力すんのは当然だろーが はぁ⋮仕方ないか。 ﹁紅葉、落ち着いて﹂ ﹁む⋮﹂ ﹂ !! !! ! ? !!! ! 傘下に入った覚えなどないわ ! ﹁ぅおい ﹁なっ ! ! ⋮⋮でも、これ以上騒ぎになると一般人に迷惑がかかる ! ﹂ ﹁全 く だ、結 局 は 馬 鹿 ら し い の 一 言 に 尽 き る。何 故 客 人 の 僕 ら ま で そ ん な こ と を し な ! 466 ﹁そちらの提案だけど、ここにいない仲間とも話し合いたいんだ。だから考える時間を 含めて、明日まで待ってほしい﹂ 声をかけて紅葉を止め、真っ直ぐと沢田綱吉に目線を向ける。 ﹁どうかな、沢田君﹂ ママンからだな﹂ ? ﹁ちゃお、ママンどうしたんだ ⋮⋮何 ああ、分かった。ツナに伝えとくぞ﹂ ? 一体何だったんだよリボーン﹂ ? っ ﹂ よかった、目を⋮覚ましたんだ⋮ ! !! ボンゴレが喜ぶ中、僕らもこればかりは一緒になって喜ぶ。未来で、ボンゴレを助け !! ﹁ひろ兄が ﹁ああ、朗報だ。喜べ、お前ら。宙が目を覚ましたらしいぞ﹂ ﹁母さんから ? ふと、明るい電子音が周囲になり響く。音源はどうやら赤ん坊らしいけど⋮ ﹁ん その予測に内心で憂鬱になっている時だった。 かないんだろうな。紅葉的に言えば、結局。 ⋮⋮でも、罪を手に入れる為にも継承式は中止にされたら困るし⋮この提案は飲むし 騒いでいたのは主に嵐だけど、ボンゴレのボスは沢田綱吉だ。だから、確認は彼に。 ﹁え、あ⋮う、うん⋮﹂ 気づいたら大地が大空を嫌っていました。…マジでか! 467 る為に命を捧げたことは聞いてる。その影響で、今も意識不明の植物人間だったって事 も。だからこそ、無事に目を覚ましたことが嬉しい。喜ばしい。 喜び一色になる周囲の中で、僕は唇を噛み締めて覚悟を決めた。 これからのことで、話をしたいことがあるんです│││ ︵宙兄さん⋮⋮︶ 468 それはねー それなのに 気づいたら甥っ子を泣かしてました。⋮い、いじめてな いよ 今俺が何してるかって チャオチャオ、とうとう平凡卒業しちゃったひー君だよ☆ え ? 貴方は一月近く意識不明の重体だったんですよ ? !? いうつもりですか ﹂ ハイ、絶賛お医者様に説教されまくってます。 ﹁すいません⋮つい、出来心で⋮﹂ 覚あるんですか ﹂ ﹁しかもタバコも軽いのではなくこんなにも重いのを吸うなんて⋮貴方、入院してる自 ごめん、あの時はそれに配慮できるほど余裕がなかったんですごめんなさい。 じゃ阿鼻叫喚も仕方ないけどさー りゃね、植物人間状態だった人間のベッドがもぬけの殻で、書き置きも何もない状態 ! !? あの後、精神ダメージを回復させて戻ったはいいけど、大騒ぎだったよねうん そ 起きて早々ナースも呼ばずに院内をフラフラと歩き、あまつさえタバコを吸うなどどう ? ? ﹁い い で す か 気づいたら甥っ子を泣かしてました。…い、いじめてないよ!? 469 !? すいません、無かったです で当然の如く服に匂いが移ってバレました。 久しぶりだったんで止まらなかったんだよ⋮ 悔はないっ ! ﹁もう、ひー君たらこんな時くらいやんちゃしちゃ駄目よ ﹂ ﹂ ? ? ガ。 ﹁あらそう なんだかひー君てば年々あの人に似てきてるような気がするのよね∼﹂ 寧ろ、やんちゃ坊主を締め上げ⋮げふんげふん⋮取り締まるのが教師の役目なんデス ﹁ねーさーん、俺普段からやんちゃしてないんだけどー ! かった。苦笑をしておくのも疲れるんだよ。 つらつらと現実逃避をしている間に、どうやらお説教は終わったようだ。あー、よ ﹁はい、すみませんでした﹂ ﹁はぁ⋮今後は二度とこのような行為は控えてくださいね﹂ てたら取り上げなきゃいけないんだけどね、立場的に。 今なら獄寺君といーい話が出来そうだぜ⋮⋮なんちゃって。教師として子供が吸っ ! 吸いすぎて噎せて倒れかけたけど後 そんな本音は勿論しまって、と。ついでに言うとタバコは一箱丸っと吸い尽くしたの ﹁いや、本当に申し訳ない⋮﹂ 470 うっそぉ 主に俺の精神衛生の為に ! 俺が父さんと似てきてる !? ﹁やめて姉さん。その名前は言っちゃいけない ちょ、死んでも御免なんだけど !? い ﹂ 俺姉さんに対しては嘘つかないよ んと同列にされるのは勘弁 ﹂ 確かに誤魔化したり誤魔化したり誤魔化したりはしてるけど ﹁話してるよ !? ? ﹂ !! !! し ツッ君たち知ってるから時間稼ぎにしかならないけどさ だからといって父さ ︶から、本当に未来の俺 ! だけど、今ここで言われたことにドキリとする。母さんには超直感がないはずなの の結末を知る由はない。 ! われていない︵だって未来の記憶でマフィア関連に知られちゃヤバい事いっぱいあった 母さんには、未来の記憶はないはずだ。寧ろ未来の俺の仕業によって記憶の伝達は行 ﹁⋮分かってるよ、姉さん﹂ なくなっちゃうわ﹂ ﹁まぁ、無茶はしてもいいけど無理はしないでね。貴方までいなくなったら私、立ち直れ た。同じ声の調子ながらも、母さんが核心をついた言葉を言ってきたのは。 思わず姉弟漫才を繰り広げながら︵こんな会話は日常茶飯事︶、頭を抱えている時だっ !! ! !? ﹁だって、ひー君てばいっつも笑って誤魔化して⋮大事なことは話してくれないじゃな 気づいたら甥っ子を泣かしてました。…い、いじめてないよ!? 471 に、姉弟故か、勘が鋭い時があるから。 ⋮⋮間違っても未来の俺に共感して自殺まがいの事出来なくなっちゃったなー。別 にしたいわけじゃ無いけども。 義兄さんにじゃなくて ? いるんだから。同じ愚は二度と犯してたまるか。 ﹁⋮でも、そんな台詞俺に言っちゃっていいの ﹁あの人はそうそう倒れないもの。大丈夫よ﹂ ? ﹁ひろ兄 目を覚ましたって ﹂ !? ﹁あらツッ君﹂ て登場。 なんて、笑顔で内心父さんに向けて毒を吐いていると、制服姿のツッ君が息せききっ !! だ謎である。あんなちゃらんぽらんなのに。 信用ゼロになんないんだね、残念無念。何故に母さんがここまで父さんを信じるか甚 ﹁わぁ、信頼しちゃってるぅー﹂ ﹂ へこたれていられない。少なくとも、今の俺をこうして本気で心配してくれる母さんが ファミリーを泣かせてしまったことには精神ダメージ半端なかったけど、いつまでも ︵⋮⋮未来の俺ほど、〟俺〟はまだ生きることに絶望してないし、飽いてもいないし、ね︶ 472 ほんと⋮に⋮目⋮覚ましてる⋮ ﹁やっほー、ツッ君﹂ ﹁ひ、ろ兄⋮ ﹂ 挨拶したのにスルーされた。伯父さん悲しい、そんな子に育てた覚えはないぞ !! ? ︵しかもリボーンが窓の外で見張ってるよー、いーやー ︶ 言わなくちゃいけない。元マフィアのボスだなんて言いたくないよ 秘権を行使するしかないんだけど 絶対 ! ︶、結局黙 勿論、口が裂けてもそんなこと言えないので︵だって説明するなら逆行したことから ⋮⋮ある意味、俺の自殺だったんだからそこまで気にしなくていいんだけどなぁ ら何言われるか分かんないし、そもそもツッ君が際限なく落ち込みそうだ、自責の念で。 今更だけどおしゃぶりズボンのポケットに隠しててよかった。超よかった。バレた ! もあるし。 物凄く気まずい。ツッ君、未来で大分聞きたいことあるだろーし。でも言えないこと ︵⋮あー、どーしよっかなー︶ あれ、安心して腰が抜けた感じ 認したツッ君がそのままへなへなと地面に座り込んだ。 そんな感じで泣き真似の一つでもしようかな、と判断に迷っていると、俺の無事を確 ! ! ﹁よかったぁ⋮っ﹂ 気づいたら甥っ子を泣かしてました。…い、いじめてないよ!? 473 !! こんな気まずい空気の中置いていかないでー ﹁⋮ひー君、私花瓶の水代えてくるわね﹂ かーさーん行かないでーっ ﹂ ﹂ !! ﹁うん、分かった﹂ ﹁さて、ツッ君。とりあえず座ったら 俺は立ったままでいいよ ! ! ﹂ ? なんか随分心配かけちゃったみたいで⋮一ヶ月近く寝てたんだっ ? ﹂ ⋮⋮これ、完全に自責の念で思い詰めてるよね 俺の時ここまで引きずって無かった 困ったように頬を掻きながらそう言うと、ツッ君は掌をギュッと握りしめた。 ﹁⋮⋮ッッ﹂ ビリした方がいいかもって言われちゃった﹂ ﹁うーん、それが流石に寝たきりだったからか大分鈍っちゃっててねー。しばらくリハ ﹁う、うん⋮⋮その、身体⋮⋮大丈夫 いだろうし。それならさっさとやったほうがいいし とりあえず、口火を切ろうかな⋮っと。ここまで来たらある程度の情報開示は仕方な て ﹁いやー、ごめんね たのに断られたのは初めてだぞ。 内心で荒ぶるけど勿論表面に出さないよええ。そしてツッ君どうした。椅子を進め ﹁あ⋮う、ううん ! ? ? 474 ? ? ひろ兄俺のせいで⋮ ﹂ ! と思ったんだけど⋮⋮何故に ﹁⋮⋮ッッごめん ﹂ ! た。 ﹂ 守れなかった ﹂ 俺、俺が弱かったせいで⋮ 未来のひろ兄が死んじゃったんだ⋮⋮ !! ﹁ひろ兄、未来の記憶があるんでしょ だから│││ごめん ひろ兄のこと !! ! ? ﹂ ? ﹂ ! う。⋮いかん、また思考が脇道にそれた。 たら腹が立ったから今度会ったら熱々のステーキを顔面にお見舞いしよう、そうしよ ⋮⋮主に台無しにしてくれたのはあの憤怒の暴君だったよな、そういえば。思い出し そりゃあ隠してたもの。正直、マフィア関連は関わるつもりなかったし。 ⋮ だって⋮。その所為で、ひろ兄がユニの代わりになろうとしてたことに気付けなくって ﹁俺、未来での戦いで知ったんだ。ひろ兄のこと、知ってるつもりで全然知らなかったん ﹁え、ええと⋮ツッ君 バレてーら。ツッ君、超直感のコントロールが大分お上手に。じゃなくて。 ! ? なんて困惑していると、不意に俯いていた顔を上げたツッ君が叫ぶように謝罪してき ﹁うわっ !? ﹁ど、どしたのツッ君 気づいたら甥っ子を泣かしてました。…い、いじめてないよ!? 475 ﹁俺、ひろ兄にいっぱい聞きたいことあった⋮ でも、未来から帰ってきたらひろ兄が血 だ⋮ 俺が⋮俺がもっと未来で、死ぬ気で戦えばよかったって⋮ ﹂ を吐いて倒れたって聞いて⋮そのまま意識がずっと戻らなくて⋮すっごく後悔したん ! !!! ど。 ﹁だから⋮本当にゴメン、ひろ兄⋮ ﹁⋮⋮﹂ 俺の世界に巻き込んで⋮ ﹂ !! うーん⋮⋮こうなったら、アレだね。ケ・セラ・セラ、なるようになる そんな事って⋮ ﹂ ﹁⋮⋮なーんだ、そんな事かぁ﹂ ﹁⋮っひろ兄 ! らんのだろう。実は未来の記憶なんてありませーん、とすっ呆ける案もあったんだけ あと、俺はどこまで︵知ってたとはいえ︶ツッ君のカミングアウトに付き合わねばな ! 未来の俺は│││幸せだったよ、少なくとも﹂ ﹁⋮⋮ッッ﹂ 色々打算があったとはいえ、ユニを助けることに迷いはなかった。 娘 を助ける為に 自分の子供 ﹁確かに、ツッ君たちから見たら未来の俺の死に方は酷いものかもしれない。だけどね、 た。まぁそんな俺にツッ君が愕然としてるけどそれは置いといて。 結論として、考えるのが面倒になった俺は苦笑しながらそう言ってツッ君に笑いかけ !? ! ! 476 命をかけられたなら未来の俺も本望だったろう。それは間違いがない。 ﹁未 来 の 記 憶 は さ、確 か に 俺 に と っ て 衝 撃 的 だ っ た よ。ツ ッ 君 た ち が マ フ ィ ア と し て 戦ったこともそうだし、⋮⋮まだ子供のツッ君や、同じ年齢の子供たちが、命がけで戦っ ていたことなんて、特にね﹂ 今でも思う。昔の︵というかパラレルワールドの︶俺、もっとマシな案はなかったの かと。そして俺ってば知ってたくせに超白々しいなーモー ﹂ !! ﹂ なんか本当にツッ君が卑屈入ってる ﹁⋮っほんと、に⋮ あれ、俺こんなに責任感強かったっけ ? ? ﹁ほんとほんと。未来の記憶がある俺が言うんだから間違いないって。⋮だから、それ ? きる最大限を頑張ってたよ。未来の俺も、そんなツッ君を見て誇らしかっただろうね﹂ ﹁⋮俺はそうやって頑張りすぎたツッ君が潰れちゃう方が嫌だなぁ。ツッ君は自分にで ⋮ ﹁ッ⋮そんな⋮事⋮俺、もっと⋮ひろ兄のことを助けられるくらい⋮頑張んなきゃって は、誰が見てもゆるぎない事実じゃないかな﹂ だったよ。仲間を、皆を守ろうとして、これ以上はないくらい必死に頑張ってた。それ ﹁でもね、未来の記憶を受け取ったからこそ分かる。⋮⋮ツッ君は、いつだって死ぬ気 気づいたら甥っ子を泣かしてました。…い、いじめてないよ!? 477 ごめんなさい 俺、俺ぇ⋮ ﹂ 以上自分を責めなくたっていいんだよ。もう少し肩の力を抜いて、周りを頼っていいん ふ、ぅ⋮うぁああああんん !! と俺は ? ように﹂と男前な宣言をして、子供の成長は早いなぁ⋮としみじみするのはまた別の話 そして泣き止んだツッ君が、 ﹁俺、強くなるよ。今度は皆だけじゃなくひろ兄も守れる *** 首を捻るのだった タックルして泣き出した。それをあやしつつ、なんでこんなに情緒不安定に⋮ ほんの少し疑問を覚えながらも言葉を尽くすと、涙腺が決壊したツッ君が俺に軽く ! だよ﹂ ﹁ひ、ろ⋮兄⋮ ! ﹁うんうん、ツッ君は頑張ったね。偉い偉い﹂ ! 478 未来の件について追及されなかったっのかって ふふーん、それが聞かれてない 原因不明の昏睡状態だったってことで検査しまくってて、気づ 気づいたら大地にぶっ飛ばされてました。⋮針千本も嫌 いえーい、皆元気ー ! けば数日たってたひー君だよー え んだなぁ ? お蔭で常識あるツッ君たちは訪ねてこれないし、リ ! ねー⋮⋮ん 問題を先送りにしただけだろうって ナンノコトカナー ? 深夜2時。 なんてことをつらつらと考えつつ、読んでいた本から目を離す。因みに今の時間帯は ﹁うーん⋮﹂ ? やっぱり質問の嵐に答えるの面倒くさいし。正直今後もマフィアにはなりたくないし い や ー、よ か っ た よ か っ た。既 に ツ ッ 君 に よ る カ ミ ン グ ア ウ ト が あ っ た と は い え、 ボーンもなんでか来てないし。 降面会謝絶になってるんだよね なんと、あの初日の大脱走で︵病院側の︶信頼を思いっきり失くした俺は、あの日以 ! ? ? だけどさぁ 気づいたら大地にぶっ飛ばされてました。…針千本も嫌だけどさぁ! 479 なーんか、目が覚めちゃったというか⋮⋮⋮⋮⋮⋮誰かが、来そうな気がするんだよ ね フッ⋮ と、そこまで考えた時、不意に窓から影が入り込み ﹂ ﹂ てゆーかぁ !? ! ベッドを中心に気を飛ばしかけるレベルの負荷がかけられる⋮ってギブギブギブ てゆーか 再会していきなりこれは酷くない 悠長に解説してられないって ﹁炎真君 !! !!! ﹁え ﹂ ﹁宙兄さん⋮⋮前に会った時の〟約束〟、覚えてますか ﹂ 大地の重力に潰されそうになりながらそう叫ぶ俺。だがしかし。 !? ? ﹂ ! ! そう言ってきた。 ﹄ ﹃ゆ ー び き ー り げ ー ん ま ー ん、う っ そ つ い た ー ら 大 地 の 炎 ー で ぶ っ と ー ば す きった ﹁ま、さか⋮ 途端に、脳裏でいつかの言葉が蘇って !! ゆーび 俺の言葉もなんのその。炎真はひっくい声で⋮⋮つまりは、激怒中だと分かる声音で ? ! ﹁ぐふぅっっ !!?? 480 ﹁言いましたよね 〟自分の身体を大切にしてください〟って﹂ ちょ、タン⋮⋮まうわぁあああああ は大地の炎で拘束されているわけで ﹂ !!?? ﹁こんなとこで有言実行精神発揮しなくていいのにぃいいいいいいい 思わずそう突っ込んでしまった俺はワルクナイ *** ﹂ 己の今後の命運に予想がついて、ひくり、と頬が引きつる俺。逃げようにも、既に体 ? 瞬間。破壊音と共に俺の身体は空中へと投げ出されたのだった。 ! ﹂ ? ジェットコースターとか絶叫系駄目だったんだろうなぁ。⋮⋮閑話休題 というか自分で炎で飛ぶより怖いね、これ。こんなだから俺、高速移動できるくせに ﹁⋮お見通しですか、やっぱり﹂ う。 炎真の力によって浮いているとゆー、恐怖体験をしながら至極真面目な顔でそう問 ﹁⋮⋮で、炎真君。こうして誰にも聞こえない場所に移動した理由は さて。病室から吹っ飛ばされて三千里。只今雲の上にいる俺な訳ですが。 !!!! ﹁炎真君 気づいたら大地にぶっ飛ばされてました。…針千本も嫌だけどさぁ! 481 ﹁お願いがあります﹂ ﹂ なんて雑事を考えていると、炎真はそう言って俺に頭を下げてきた。 ﹁お願い ﹂ ! ﹂ ! それが、分かっているのに⋮我慢なんてできな ! できない。 ﹁⋮⋮茨の道になるよ﹂ ? ﹁はい﹂ ﹁二度とシモンの名を名乗れなくなるかもしれないんだよ ﹁それでも、このままにはしておけないんです﹂ ﹂ けれど、だからこそ。彼はボスとして引き下がれない。逃げられない。戦うことしか 炎真も分かっているのだ。自分が、自分たちがすることがどれだけ無謀なことか。 いんです⋮ ﹁家族の仇がこんなにも近くにいて⋮ 思わず数秒沈黙するも、炎真の辛さのあまり泣きそうなその表情に言葉が止まる。 い⋮ ﹁分かっています、何を頼んでいるのかは。それでも⋮それでも僕たちはもう止まれな ﹁⋮⋮それは、﹂ ﹁ファミリーを守る為に、宙さんを利用させてほしいんです﹂ ? 482 ﹁ファミリーを傷つけることになっても ﹁誇りを汚されたままよりマシです﹂ いるんだ。 ﹂ ? │││だから ﹂ その覚悟は、まさしくシモンボスとして相応しいものだろう に呼び名を変えて。 いつものように、〟宙兄さん〟と呼ばずに。シモンのボスとして対等に交渉するため ただひたすら真っ直ぐと。譲らぬ視線で、覚悟を宿した目で、こちらを見てくる炎真。 ﹁そうさせない為に、宙さんを利用させてください﹂ ﹁ファミリーを⋮家族を全て喪うことになっても ﹂ だからもう、どれだけ俺が言葉を尽くしたとしても彼が止まらないのはよく分かって を言わないのも、よく知っている。 分かっている、炎真の覚悟が口だけじゃないのは。炎真が冗談や嘘でこういったこと それでも、彼の傷つく姿を見たくないエゴで彼を引き止める言葉が口をついて出る。 ﹁本当に守りたいものを守れるならば、汚名の一つ二つ構いません﹂ ? ? ﹁シモンを終わらせた最後のボスとして歴史に残るとしても 気づいたら大地にぶっ飛ばされてました。…針千本も嫌だけどさぁ! 483 ﹁いいよ﹂ 〟我々はボンゴレの罪を許さない〟 かれた文面。 それは、彼の叔父が強襲され、誘拐された事。そして、彼の叔父のいた病室の壁に書 翌日、デーチモにある連絡が届く。 *** 俺は微笑みすら浮かべて、炎真の頼みを了承した。 ﹁俺を利用して、存分に﹂ ﹁⋮⋮え﹂ 484 気づいたら墓参りしてました。⋮久しぶり、親友 さて、シモン陣営につくことを決めた俺は、早速炎真にあることを頼んでいた。それ が何かって ﹁や、ほんとありがとね薫君⋮﹂ ? いやね 大 地 の 重 力 墓参りするのにシモン島へ行くじゃん じゃないじゃん 作 氷 河 の 凍 結 能 力 でも俺、未来でのことで体本調子 操 ? 真 薫 君 キッカケで山本を不意打ちしたのか分からないままだったから、いっそ丸一日連れ出し このタイミング継承式前日で墓参りは、我ながらベストだったと思う。前回は何が ︵⋮⋮ま、これで山本が殺られる可能性はなくなったわけだし︶ 的に墓参りの足要員と、身体の補助要員が必要になる訳で。 炎 んだよね。⋮⋮夜の炎は裏技だから使ったとこ見せたことないしー。そうなると自動 しかもシモン島へ行く方法って基本炎真や真美ちゃんとか、あーちゃんの力が必要な ? ? まぁどっちかっていうと炎真というより薫君にだけど。 ﹁うん﹂ ﹁⋮⋮気にしねーで下さい、宙さん﹂ 気づいたら墓参りしてました。…久しぶり、親友 485 ちゃえばいいと考えたんだよね。白蘭に借りを作りたくないってのもあるし そんなことを思いつつ、久方ぶりのシモン島で感慨にふける ﹁うわー、久しぶりだなぁ﹂ ﹁宙さん、1年半くらい忙しくて来てませんでしたもんね﹂ 因みに来れなかった期間はとある家庭教師の来訪時期と一致していることだけをこ ﹁まーねぇ﹂ ア こに明記しておこう。いやまぁ、単に不良共の相手に忙しかっただけなんだけど。⋮⋮ そして多分、その時からDに潜り込まれたんだろうな。 ﹁それに炎真君たちも中学に進学して、余計ここに来る必要性がなかったしね﹂ ﹁⋮必要があれば、俺たちが出向けばすんだしな﹂ ﹁そうだね、誰かさんが無茶して入院した時とか﹂ 何かなー2人してそんな目で俺を見てー それじゃここからは俺一人で行くから ? ﹂ あっれれー ﹁はっはっはー 急に元気が湧いてきたなぁ ? 参りセットをもって颯爽と歩き始めたのだった。 形勢不利を察知した俺はすぐさまそう言って︵薫君の支えなしで︶立ち上がると、墓 ! 妙に視線が痛いぞー ﹁あぁっとぉ ! ﹂ ? ディオス ! !!! ! 486 え 何言ってんの、シモンファミリーは常に少数精鋭の兵 ぼさっとしてたら俺が︵心に︶重傷負っちゃうでしょ 子供相手に情けないって なんだからね !! ? │││代々の、シモンファミリーが眠る墓地 │││そこは、この島で一番人の入り込みにくい場所 れる。 ぐだぐだと誰にするでもない言い訳を内心で言いつつ、ザク⋮とその場に足を踏み入 ! ? パシャ⋮ 平常でいられないのが人というもので。 別に、ここに来たのは初めてではないのに。それでも、大一番を控えているとなれば、 そうして辿り着いた墓石を見て、年甲斐もなく声が震えそうになる ﹁⋮⋮久しぶり、親友﹂ その中でも、俺が向かうのはシモンボスが眠る最奥の墓。⋮⋮⋮⋮真の、墓 殺されたシモンファミリーの両親たち この墓地で近年の真新しい墓は7ヵ所。それは全て、ボンゴレに属するファミリーに その勝手知ったる場所を無言で進む。 ﹁⋮⋮﹂ 気づいたら墓参りしてました。…久しぶり、親友 487 それでも、それを洗い流すかのように桶から水を汲んで墓石にかける。生憎今日は病 み上がりということで掃除は出来ないけど⋮ 線香に火をつけ、供える。ついでに、こっそり持ってきていたタバコにもつけて、く わえる。 ボスとしての責任感も半端じゃない。ファミリー ゆらゆらとゆれる煙に惑わされそうで、惑わされてしまいたくて ﹁⋮⋮なぁ﹂ を守ろうと必死で頑張ってる﹂ ﹁炎真君は、随分いい男に育ったぞ 石へと目を向ける。 ? ﹃⋮⋮頼む、炎真たちを守ってくれ﹄ 勿論、返事が返ることも、あの姿が視界に移ることもないのだけれど。 ﹁⋮⋮なぁ、真。お前は今、どんな気持ちだろうな ﹂ ぽつり、ぽつり。少しずつ少しずつ、俺宙の知ってるシモンの現在状況を呟いて、墓 があるけども⋮⋮でも、みんなに愛されてる﹂ ﹁真美ちゃんは明るくて良い子だな。シモンのムードメイカーだ。⋮⋮時々、怖いこと 俺は弱い。 目を閉じて、脳裏に浮かぶのは昨日の炎真の姿。覚悟を灯した、緋色の目。あの目に、 ? 488 ﹄ ﹃お前に⋮俺の知っている宙という青年に⋮⋮託したい⋮ リーを⋮⋮守ってほしい⋮ 炎真たちを⋮シモンファミ ! 守って、みせる⋮ ﹄ 何があっても⋮俺は⋮シモンを⋮炎真たちを⋮真の守ろうとしたファミ それでも リーを⋮守る⋮ !! ﹃っ 誓 う ⋮ ! ⋮あの時の誓いは、今も胸にある ! ! ? 罪に悔いるのも、過去に縛られるのも、立ち止まるのも、振り返るのも⋮⋮全て全て、 ﹁ここで、全てを終わらせよう﹂ ああ、勿論だ。これ以上、ボンゴレの罪もシモンの罰も後世には必要ない。 葉を俺がどんなに喜んだか知らないだろう これ以上子供たちに⋮子孫に先祖の業を負わせたくないと悲痛の中で言ったあの言 ﹁⋮⋮真。お前の守りたかったもの、確実に守ってみせよう﹂ │││否 あの行動を、決意を、覚悟を知って。どうして徒労に終わらせようと思えるだろうか 我武者羅にファミリーを守ろうと奔走する炎真は、誰がどう見てもボスのそれだ。 それにもう、シモンを守ろうと立ち上がったのは俺だけじゃない。手段すら問わず、 ﹃お願いがあります。ファミリーを守る為に、宙さんを利用させてほしんです﹄ 気づいたら墓参りしてました。…久しぶり、親友 489 ? 終わらせよう。 ⋮⋮だからさ、全て終わった後にまたここに来てもいいか 俺はふわりと笑って、墓地を後にした ﹁次に来るときは⋮ハッピーエンドを叶えた後だ﹂ 490 ﹂ 継承式当日、気づけば炎真たちにシモン島に置い 気づいたら継承式に乗り込んでました。⋮真打登場って ね はろーはろー、皆さんこんにちは 絶対ぃいいいいい !!! てかれてたひー君だよ☆ 仲間はずれ、ダメ ! けどね その しかもしかも、念のためと言わんばかりに薬盛られて縛られもした 俺の事良く分かってるぅ こうでもしないと無理やりにでも付いてくって思われたんだろーか 懸念は大当たりだよさっすが炎真 !! ? ? え それだけされてどうしたかって ふっふっふ ? そりゃあ勿論、薬は全て飲んだフ ! 縄は縄抜けが面倒だったので炎で燃やしちゃったぜ。 ! かりマジ寝しちゃったのは予想外だったケド。はははははー⋮体が本調子じゃないか ⋮⋮ただ、炎真たちがいなくなってから行動に移そうと思って寝たふりしてたらうっ リ ? が。超直感舐めんな、持ってこられた時点で飲んだフリするに決まってんだろーが ま、それに乗じて一ヶ月くらい眠り続けるよーな劇薬飲ませようとしたDは許さん ! ! れるってどゆこと いやぁもー本気で焦るよね。だって俺も継承式乗り込む気満々だったのに置いてか ! ! !! ﹁うわぁああああん 気づいたら継承式に乗り込んでました。…真打登場ってね!! 491 らシカタナカッタンダー ﹂ !!! ﹁何故だ炎真 お前みたいな奴が何故こんなことを ! ﹂ 粉々に粉砕したい。でも俺がやると初代が嬉々として出てきそうだからなぁ⋮。 本 音 を 言 え ば め ち ゃ く ち ゃ 俺 が や り た い。初 代 が 二 度 と 現 れ な い よ う に 未 来 同 様 ビキビキッ 今後のためにも力を得るために、ボンゴレリングは一度砕かなければならない。 ? ⋮ ﹂ しっかり味わってほしいんだ﹂ ﹁なぜ君にだけ攻撃してないか分かる 炎真 !! 代 理 戦 争 の た め に も ﹁⋮ !! 君には初代シモンがプリーモに受けた苦しみを に出て行けばKY呼ばわりされると俺の超直感が言っている。それは嫌だ。けどなぁ ⋮⋮それはまぁ、いいんだけどーぉ。⋮⋮⋮やっべ、出るタイミング掴めない。下手 レに恐れられ裏切られた﹂ ﹁この力ゆえシモンはボンゴレの兄弟ファミリーたりえた。そしてこの力ゆえ、ボンゴ 場から距離とったけど︶継承式に乗り込んだわけだ。 で、今。俺は夜の炎を存分に活用して︵ただし、実力者にバレないよう着地場所は会 ﹁それこそが大空の7属性に対を為す、大地の7属性 492 !! ﹁⋮君がそうしたんじゃないかっ﹂ ﹂⋮あり うん、よし決めた。ツッ君やられるまで待っ﹁僕は君をずっと前から知ってる。宙兄 さんから教えられた時から大っ嫌いだったさ ! た ? ﹂ 宙兄さんを何度ボンゴレの業に巻き込んで死なせかけた ﹂ ﹂ なんか俺の覚えてる展開じゃなーい な人を奪おうって言うなら⋮⋮ あっれぇー なんかごめんね んね これ以上僕らから大事 ? それとも君にとってファミリー 俺の存在のせいで気づいたら友人ルート無くなってたんだねごめ ﹂ 僕を倒すチャンスは今しかないんだよ がやられたことはどうでもいいことなの ﹁どうしたの ﹂ ? ﹁がはっ ﹂ 思わず内心で謝りまくるが、事態は俺にお構いなしに進むわけで。 ﹁ぐっ⋮なめるな !! !! しかもそんな事考えてる間にツッ君終了ーぅ ﹁ぐあっ ﹁ボンゴレなんて亡ぼすまでだ !? ? ! ! ! ? ! !!! ? ﹁ただでさえ憎いボンゴレの人間で⋮っそれに加えて君は何度宙兄さんを巻き込んでき 気づいたら継承式に乗り込んでました。…真打登場ってね!! 493 ! ﹂ そこまでだぁ ﹂ 再度ツッ君終了のお知らせ。ついでにボンゴレリングも全部壊れてるラッキー。 ﹁ツナ ﹁う゛ぉおおい !! !! ﹂﹂﹂﹂ ! ﹂ !!! ボンゴレの前へと踏み出したのだった。 俺はそう笑いかけながらも、その胸にあるおしゃぶりを輝かせてシモンを庇うように ﹁俺がいるからね﹂ させ、会場全てを跪けさせるように。 それはさながら、ボンゴレのボスであった時のように。存在だけで絶対的強者と認め ﹁子供だけとは限らないんだなぁ﹂ ツリ、カツリと靴音を響かせて会場内へ歩みを進める。 そして殊更ゆっくりと⋮⋮見せつけように、威圧するように、委縮させるように⋮カ ﹁残念、﹂ 瞬間、俺は今まで抑えていた気配を出した。 ﹁﹁﹁ 丁度良く、いい台詞も来たことだし。 ﹁ガキだけで俺たちに敵うと思うなよぉ あぁうん、ディーノさんたち出るみたいだし、俺もいい加減出ようっと。 ! 494 気づいたら浅蜊に宣戦布告してました。⋮後は野となれ !! 昔とった杵柄を最大限活用して継承式にお邪魔しちゃったらもんの ! ﹂ !? ﹂ !? !? ね俺たちってやっぱり。 何故ここに⋮ ? 葉も当然来るか。 ? ﹁宙く﹁ですが、今は昔話をしに来たわけではないので﹂⋮ッッ﹂ とはいえ、分かってて来たんだから上手くあしらわないとね。 ﹁⋮ああ、お久しぶりですねお爺さん。10年ぶりでしょうか ﹂ ま、ここに居るのは次世代のボンゴレとシモンを担うボスだけじゃないからこんな言 ﹁宙くん⋮ ﹂ そしてツッ君と炎真のリアクションがクリソツ。なんだかんだで根っ子が似てるよ ﹁ひろ兄⋮ ﹁宙兄さん⋮ すごーく視線が突き刺さってるひー君でーすっ ちゃおっす ﹁俺がいるからね﹂ 山となれ 気づいたら浅蜊に宣戦布告してました。…後は野となれ山となれ!! 495 言いつつ、微量の殺気を向ければ、息をのむ九代目達 俺 は素質ある一般人、それがボンゴレ内での認識のはずだ。 デーチモの叔父 まー、今まで欠片たりとも裏の人間として殺気を出せるなんてみせてこなかったもん ねー。 ﹂ 俺の努力が実っててなにより。⋮⋮もう意味ないけどねー ﹁うん 見て分からないかな、家庭教師君 ! 止めて│ 未来で戦えるんじゃな 俺が今、どんな立場にいるのか﹂ リボーンがめっちゃ見てくるー ! ﹁⋮⋮﹂ リボーンがー いかって探られてた記憶より居心地悪いよー ﹂ ! ? ﹁宙兄さん﹂ ﹁⋮炎真君たちは下がっててくれる ? 途端に戦闘態勢に入る炎真たちを押さえ、真っ直ぐとツッ君を見る。その表情に浮か ﹁⋮⋮分かりました﹂ ﹂ と、そこで。漸く停止状態が解かれたらしいツッ君が俺を呼んだ。 ﹁ひ⋮ひろ兄 !! ! ! ? 全に警戒と、探るような色が浮かんでいる。やーだーこーわーいー 内心で軽く遠い目をしていると、次に話しかけてきたのはリボーン。その目には⋮完 ﹁おい宙、それは何のマネだ ? 496 ぶのは、疑問、困惑、焦り、│││動揺。 分かってはいたけれど、俺身内がここに敵として立っている事は結構なパンチだった ようだ。同じ〟俺沢田綱吉〟だったからこそ分かるその心境。だとしても。 ﹂ !? ﹂ ? るんじゃない。 てもらおうと思ってここに来た⋮のに⋮ ? に対し、しゃがんで目線を合わせた俺は逆に問い返す。 ﹂ ﹁もし君が、獄寺君や山本君を目の前で殺されたらどうする ﹁え⋮ ? ﹁それ、は⋮ ﹂ ﹁その相手を⋮仇を、取りたいと思わないかい ! ﹂ 静かな声音で、けれど誰にも邪魔されないような強い語気で。 ? ﹂ 未だ炎真の炎によって受けたダメージで地に伏しながらも、問うてくるツッ君。それ ﹁⋮⋮ねぇ、ツッ君﹂ ! ﹁ひろ、兄⋮なんで⋮ なんで⋮炎真たちと⋮ ひろに、誘拐されて⋮俺⋮ひろ兄を返し 俺は敢えて、ニッコリと他人行儀に笑ってみせる。今の俺は沢田綱吉の叔父としてい ﹁│││っっ ﹁やぁ、ツッ君﹂ 気づいたら浅蜊に宣戦布告してました。…後は野となれ山となれ!! 497 ? 予想外な言葉だったのだろう。呆気なく、ツッ君は言葉を喪う。 ノーノ九代目﹂ ? ﹂ !? 門外顧問の管轄で起きた、この惨劇を﹂ ? ﹁そして彼は⋮真犯人によって妻もろとも殺された﹂ ど、その精度は落ちていく。 超直感といえど無敵ではない。動揺すればするほど、感情が乱されれば乱されるほ 立て上げられたのは1人の古美術商の男﹂ ﹁6年前。何者かによって、門外顧問の部下が大量に虐殺された。そしてその犯人に仕 厄介な超直感を、封じるために。 ﹁覚えていますか 鋭く、斬り込むように。否、言葉の刃をもって、斬り込む。 ﹁〟血の洪水事件〟﹂ ﹁⋮っどういう意味かね⋮ 一人の裏社会の人間として対等な目線をもって。 そして敢えて、お爺さんではなくノーノという呼称を使う。一般人としてではなく、 ﹁⋮⋮それがマフィアボンゴレの業でしょう 人行儀な笑みすらなくし、冷え冷えとした表情を浮かべて。 歌うように言いつつ、立ち上がって再度九代目へと視線を向ける。ツッ君に向けた他 ﹁目には目を。歯には歯を。││復讐には復讐を﹂ 498 今はまだ、悟られるわけにはいかない。だからこそ、九代目とツッ君には平常心を 失ってもらう⋮⋮多少の時間稼ぎとして。 わざわざ独壇場にしてトップを抑えたはいいけど、次はどうしようかな ︵さて、と⋮︶ そんな感じで会場の空気を支配しつつ、玲瓏な雰囲気を残したまま九代目に笑いかけ ﹁そんな訳で、俺はシモンの味方で共犯者なんですよ﹂ ンクッキングには劣るだろ│けど。 ないと思う。殺気とか威圧感とか諸々混ぜた特製オーラでござい。ビアンキのポイズ で。自分が一番分かってるから︶はずっと出ていたので、一部以外は皆指一本動かせて 因みにボンゴレボスとしての絶対的強者オーラ︵ネーミングセンス無いとか言わない ? ボンゴレには、シモンに報復されるだけの理由があったのだと知らしめるために。 じゃないけどシモンの復讐に僅かでも正当性を持たせておく。 抗した愚かなファミリーとして舐める奴が出てくる。それ故に、こういうやり方は好き それでも、ここでボンゴレの罪を明らかにしないと⋮⋮以後、シモンをボンゴレに反 ﹁濡れ衣を着せられ、ボンゴレに殺された│││シモンのボスで、俺の親友だ﹂ ⋮だからごめんね。俺は君たちを傷つけるよ。 ﹁⋮⋮その男の名は、古里真﹂ 気づいたら浅蜊に宣戦布告してました。…後は野となれ山となれ!! 499 俺 が相手になってあげる 大空のアルコバレーノ る俺。そしてここぞとばかりにおしゃぶりに繋がっているリボンを掴んで見せびらか す。 ﹂ ? ﹂ ! 背後から掛けられた声に口角を上げながら、俺と炎真たちは会場を後にしたのだった ﹁⋮⋮またね、ツッ君﹂ ﹁ひろ兄⋮ と、そこで制止の意味で声をかけてきた炎真に頷きつつ、踵を返す。 ﹁ん、分かってるよ炎真君。宣戦布告はこれくらいにして帰ろうか﹂ ﹁⋮宙兄さん﹂ めの布石。 これもまた、必要な牽制。確実にツッ君たちだけがシモン島に来るように誘導するた よ ﹁│││だから、シモンを殲滅しようとするなら先ずは 500 気づいたら大地に吊るしあげられてました。⋮静まり給 えー さて、継承式の会場を後にしての帰り道なんだけど。 !! 守 護 者 嵐 の 守 護 者 全 く ⋮ ス ト ー カ ー は 犯 罪 で す よ ー の ﹁馬鹿な 何故貴方がボンゴレの奥義を ﹂ !? ﹂ 尾 行 が 大 体、こーゆーの 得 意 な の っ て 基 本 そう簡単に奥義なんてコピーできませーん ! そしてここぞとばかりに大見得きってみる俺。 ウッソでーす ! ! ? もすぐに出来るようになるとか俺ってば嘘つきにも程があるね 元から出来てたのをさ ﹁たかが一マフィアの奥義ぐらいコピー出来なきゃアルコバレーノは名乗れないだろう ! も。とはいえ、ボンゴレを本気で敵に回す気もないから殺っちゃうのはマズイし。 いやまぁ、こっちにはジ ョ ー カ ー が 2 人もいるからそれもそれで無意味なんだけど 超直感持ちの俺と初代霧の守護者のD クロッカンさんでしょーが。コヨーテさんが来てどうすんのさ、もー。 霧 ? 只今コヨーテさんをファーストエディションで凍らせて足止め真っ最中。 ﹁零地点突破﹂ 気づいたら大地に吊るしあげられてました。…静まり給えー!! 501 ﹁ぐああああっ﹂ ﹁Arrivederch﹂ ボンゴレ側 自分で自分に突っ込みつつ、コヨーテさん氷柱を作成して海中へと落下させる。ま、 あっちにはマーモンいるしちゃんと見つけてもらえるだろ。ファーストエディション 自体は死ぬ気の炎で溶けるし、何だかんだであの氷の中にいれば傷を負わないしね。イ マイチどんな理屈かは分からんけど⋮大丈夫っ、そこら辺はザンザスが生き証人だから なんだい炎真く⋮﹂ ? だけどぉ⋮ や ば い ﹁なんで、継承式に乗り込んできたの 留守番しててもらう約束だったよね ﹂ ? マジでヤバいー 超直感がガンガン警報鳴らしてるー 炎真が久しぶり ﹁わざわざ薬盛ったり、縄で縛って閉じ込めてきたりしたのに⋮⋮なんで、来たの ヤバいー ﹂ ? にマジギレしてるー お、怒っちゃって⋮マス⋮ ? ! ﹂ と、そこで意気揚々と謎の理屈をこねていた俺に炎真が声を掛けてきた、のはいいん ﹁ん ﹁⋮⋮ねぇ、宙兄さん﹂ ! ﹁えっ、いやっ、あのっ、⋮炎真君 !!! ! ? ! ? 502 ! 炎真が敬語じゃない ﹁すみませんでしたぁ ﹂ ため口嬉しいな ﹂ マ これが激怒してるサインと知らなけりゃね 大人としての恥や外聞はどうしたって ﹂ ? ! 思わず空中で土下座しちゃうよね。え ジギレしてる炎真相手にそれが出来るならどうぞやってみなよ、俺には無理無理 ﹂ ﹁どうせ口先だけで反省してないんだから謝らないで﹂ ﹁え、ちょ、そんなことは⋮ ﹁じゃあまたもう一度があったら乗り込まないんだ グラヴィタ・デッラ・テラ ﹁⋮⋮えへ♪﹂ ﹂ ﹁大 地 の 重 力﹂ ﹁わーっ ジュリー君 ! し そりゃ舌の根の乾かぬ内に肯定した俺 ﹂ あーちゃん ! 躊躇なしに吊るしあげなくてもいーじゃん ! !! 薫君 ! が言う台詞じゃないけどさ ! 誰でもいいから炎真から助けてヘルプミー 真美ちゃん とぴっちゃん ﹁ちょ、誰か 紅葉君 らうじくん ! ! ? ! ! ! 軽く死にかけながら助けを乞うが、だがしかし。 ! ! ! ? ! !!! ? !! ﹁へぇ。怒られないとでも思ったんだ 気づいたら大地に吊るしあげられてました。…静まり給えー!! 503 ﹁私知ってる これが自業自得って奴だよね ﹂ ﹂ ﹁そーダネ﹂ ﹁だな♪﹂ ﹁今回ばかりは宙さんが悪いかと⋮﹂ ﹁結局、約束を破る方が悪いのではないか﹂ ﹁おいらもそう思う﹂ ﹁炎真を怒らせた宙さんが悪いかと⋮﹂ あっれぇー ﹁真美ちゃん !? !?! ! ﹂ ! ﹁酷い どっちが !! ﹂ したいだけだろーが 何も満場一致で俺を悪者に仕立て上げなくたって ﹁悉く酷い !!!! ? ? ﹁分かってるの つかD、お前はただ俺の行動束縛 宙兄さんが何をしたか、あの行動の意味を﹂ 裕だった俺だけど、背後から聞こえてきたひっくいドス声にひくり、と頬が引きつる。 吊るしあげられつつ、非難の視線を送るという小器用なことをやって実はそこそこ余 ? !! 504 ﹂ 一般人認識さ うわーあ、数日前にも聞いたばかりなのにこんな短時間でまた聞くハメになるなんて ⋮⋮後戻り、出来なくなったって言うのに⋮ ﹂ !! ﹁炎真君は相変わらず優しいねぇ﹂ そこまで背負わせるつもりはなかった、のに⋮ これでもう、宙兄さんは元の生活に戻れなくなって⋮一生 に縛り付けられるんだよ ﹁茶化さないで ﹂ ! ! ! ﹁会場でも言っただろ ? 俺はシモンの味方で共犯者だって。あの時、真を助けられなく 地帯にいることを了承しないって分かってただろう だけどね、炎真。俺が君の行動を予測できるように、君だって俺が大人しく一人安全 裁にしておけば、万が一が起きたとしても俺の安全は保障される。 どね。俺はあくまでシモンに利用されただけの人質であり一般人被害者。そういう体 まぁ、最初にこの話を持ってこられた時から炎真ならそう考えるだろうと思ってたけ !? マフィア ぎゅうっと拳を固く握り、後悔している炎真の姿を見て⋮⋮つい、笑みが零れる。 ⋮っ。だけど、それはあくまで人質としてだけ利用するつもりだったんだ⋮ ﹁僕 は 確 か に 宙 兄 さ ん を 利 用 し て ⋮ 継 承 式 を 開 か せ、ボ ン ゴ レ を 迎 え 撃 と う と し て る ! 記録更新だ嬉しくなーい⋮ れなくなったんだよ ! しばし遠い目になるけど、続けられた炎真の言葉に目を丸くする。 ? ﹁あれ継承式乱入でもう、宙兄さんは裏社会の人間として考えられた⋮ 気づいたら大地に吊るしあげられてました。…静まり給えー!! 505 ? て後悔したのは他ならぬ俺だから⋮⋮覚悟は、あるよ﹂ ﹂ それに、炎真の思う最悪の事態には決してさせないから、ね。だったら、あそこ継承 式会場で最大限シモンの為になるよう動いた方がいい。 ﹁宙兄さん⋮﹂ ﹁⋮そういえば、そもそもアルコバレーノって ﹂ しまった、シモンはほぼ世捨て人に近いマフィアだった 自分で自分は最強なんだーって ! ﹁あれっ﹂ え、これ俺が説明するの 何その罰ゲーム。 ? ? ﹂ ! ﹁ふむ、成る程 結局宙さんの凄さはマフィア界に知れ渡る凄さだということだな ! ﹂ シストでもリボーンでもないんで、自分で自分を強いって宣言するのはちょっと⋮ 数瞬考えた結果、俺は嘘ではないがぼかした言い方で誤魔化した。いやね、俺はナル れる存在ってことだよ ﹁あー、まー、その⋮なんだ。アルコバレーノって呼ばれる7人はマフィア界で一目置か ? ﹁アルコバレーノの名は、伊達じゃないことをマフィアならよく知ってるからね﹂ 知らしめれれば、これ以上ない牽制となる。 アルコバレーノ、それはマフィア界最強の7人。その一角がシモンの後ろ盾にあると ﹁それに、シモンにも後ろ盾の一つ二つあった方がいいだろう ? 506 ! ﹁俺がっていうよりアルコバレーノの名が、なんだけどね∼﹂ 実際、アルコバレーノになってから俺がしたことって実質未来での身代わりくらいだ し。他はなーんもしてないから強さ自体も知られてないんだけどね。 ﹂ 僕たちの為シモンの後ろ盾だけでなくて ちゃんとあったんだよ ﹁え ﹂ ? ? し﹂ ﹁⋮勧誘とはどういう意味でしょうか ってこと﹂ そうなるとアルコバレーノになれ るほどの力を持つ、若しくはその素質ある逸材を、マフィアが見逃すと思う ﹁えっとねー、未来での戦いの事は聞いてるでしょ ? 未来の俺は記憶は引き継がせなかったけど、どのみちその目で見てきたツッ君たち ? ? ﹂ ﹁うん。寧ろ、あそこで言っとかないとマフィアからの勧誘断りにくくなってただろー ? ? てーか、俺ひとっことも一般人でいること諦めるなんて言ってないんだけどな ﹁⋮それと、言っとくけどあそこでアルコバレーノだっていったのは俺にもメリットが しまったんじゃないかって考えてるんだろ│ケド。 あー、でも炎真はまだ不満顔だなぁ⋮。大方、それでもマフィアの世界に巻き込んで ﹁⋮⋮﹂ 気づいたら大地に吊るしあげられてました。…静まり給えー!! 507 ︵主にリボーンとか︶がいる以上、遅かれ早かれ俺のこと新たなアルコバレーノは九代目 に知られていただろう。 となれば、九代目の事だ。今までの勧誘なんて目じゃないくらい、俺をボンゴレに引 き込もうとするに違いない。 実際、アルコバレーノになれるだけの力がある人材が敵対組織に入ったりしたら苦労 するからね。まぁそれがある意味今の状況な訳なんだけど ! 強者だと思わせればいい。発想の逆転って大事だよね ! 様 ﹁⋮⋮宙兄さん﹂ そう思わない ? ﹂ 素で首を捻る俺に、代表して炎真が口を開く。 戦だと思ってたんだけど⋮ ? ? ﹁え、あれ 俺的にシモンとしても美味しい、俺個人としても美味しい作 言いつつにっこりと笑うと、何故か沈黙が下りる。そして気まずそうなシモンの皆々 ﹂ ﹁⋮⋮誰だって、眠れる龍を起こしたくはないでしょ ? 無力な一般人という言い訳が使えないならいっそ、手を出して機嫌を損ねたらまずい たんだよ。そうすれば無闇に手を出すことはできなくなるしね﹂ ﹁だから敢えてあそこで、既にアルコバレーノであり、御しきれない相手強者だと思わせ 508 ﹂ ﹁⋮その、作戦としては納得⋮うん、できるんだけど⋮﹂ ﹁けど ⋮⋮ ﹁⋮せめて、その体勢を止めてから言ったほうが良かったと思う、よ⋮﹂ ? ? カラ笑いをしつつ、俺は本気で十年バズーカを欲したのだった たんだー ランボ│、ちょっとバズーカ貸してくれるー 過去に戻ってやり直したいことが出来 ﹁⋮ハッハッハー﹂ やっべぇ俺超カッコ悪い。 ﹁あ、そういえば俺土下座したままだったね﹂ 気づいたら大地に吊るしあげられてました。…静まり給えー!! 509 気づいたら家庭教師が大空を見守ってました。⋮なんか 悪寒がする 至っては超直感を持っているのだ、無理に疑う理由もない と結論づけられていたからだ。あの2人が所謂猛者と呼ばれる実力を持ち、九代目に 九代目や家光から聞いた話でも、ザンザス相手に生き残っていたのも運が良いからだ 人どまりだった そんな前情報を調べておきながらも、実際に会うまで俺の評価はやはり運のいい一般 まぁ尤もそれは本人の意向ですぐさま却下されたようだがな して自らボンゴレに迎え入れようとしたこともあるそうだ に渡り合うだけの実力があったという。九代目はそれを気に入り、家光の渋い顔を説得 容姿はそれこそ争い事と無縁な優男に見えるが、10年程前からあのザンザスと対等 校教師 家光の義弟で、ママンの実弟。ツナと同じく争い事が嫌いらしく、職種は平凡な中学 ツナの伯父の宙という男は不思議な奴だった リボーンSide !? 510 気づいたら家庭教師が大空を見守ってました。…なんか悪寒がする!? 511 赤ん坊 とはいえ、俺のこの姿も初対面時から動じず、笑って受け入れるような性格をしてい カ テ キョー たことには驚いたがな。しかし、ママンもなんだかんだですぐ馴染んでいたことから、 姉弟揃って度量が広いのだろうと思っていた ツ ナ か ら そ も そ も、宙 と の 接 点 が 俺 に は 少 な か っ た。ツ ナ の 家庭教師 で あ り、護 衛 の 意 味 も あったのだからそう何度も護衛対象を離れる訳にはいかない それに宙のツナやママン、その他ファミリーに対する表情を見れば、慈しみの感情が 常にある。悪い奴じゃねー、寧ろ典型的なお人好しといってもいいほどの甘さを見せる マ フィ ア の 争 い 宙に警戒する理由もない 実際、骸の時はこちらの世界に巻き込んでしまったが、九代目達の云ったほどの実力 を知る所じゃなかった そういった事柄から、俺は宙に対して守るべき護衛対象の一人︵ただし優先事項はツ ナに比べ低いが︶である一般人でしかなかった ところが、だ。未来での戦いでその認識は一気に変わる 細かいとこは省くが、最初に持った違和感はボンゴレボスとなったツナの影武者とな りえる実力を持ちながらも、戦いに不参加の姿勢を貫いていたことだ マフィアのボスの影武者を務めることは生半可なことではない。それがボンゴレの ボス、それも情勢の危うい時であったのなら尚更。だというのに、それだけの実力を保 512 持しながら︵ツナ達を鍛えるためとはいえ︶一切自ら戦う姿勢を持たなかった。しかも、 実力があると大方の人間にバレていたとしても、平然と一般人だと嘯いて そして極め付けなのが、ユニの身代わりとなる為に大空のアルコバレーノに自らなっ たことだ ⋮⋮そもそも、俺たちがアルコバレーノとなったのは仮面の男の仕業だ。その交代方 法どころか、解呪の仕方も、仮面の男の行方も何も知らないというのに、宙は当然のよ うにその行為を行った それが俺たち現アルコバレーノにとってどれだけの意味を持つのかも、きっと分かっ ているのだろう。マーモンでなくとも、呪いを解きたいと切望するアルコバレーノは少 なくない だからこそ、宙はあのギリギリまで真意を誰にも⋮それこそユニの予知ですらも悟ら せず、多くの謎だけを残して逝ってしまった。もしあの後生き残っていれば、確実に質 問責めにあっていただろうからな そう考えると、未来でのことは悉く宙の掌で踊らされていた気がするぞ そんなこんなで多くの疑惑が宙にはあったわけだが、過去に戻って問い詰める前に宙 の身体に異変が起きた 恐らく、未来でアルコバレーノとなった代償なのだろう。尤も、最初は過去の宙がア ルコバレーノになるとは思わずに未来での後遺症程度にしか思わなかったがな なにはともあれ、職場で血を吐いて倒れ、一時は死ぬまで植物人間状態か、とまで聞 マ フィ ア ボ ン ゴ レ かされたツナのメンタルは大分ヤバかった。元々、ツナは俺より宙を頼りに⋮支えにし ていた節があったからな。それでなくとも血の繋がった叔父が、自分の所属する世界の せいでこうなったと思えば、責任を感じてもなんら不思議はない ⋮⋮未来で宙が死んだ後に現れたシモンの連中のこともあったし尚更だろう 宙 シモン そして、今。攫われた宙を助ける為に一度は中止にしようとしたこの継承式で、更な る試練がツナに襲う 助けようとしていた当の相手が、 敵の味方だったのだ だ マフィアボンゴレとしての業が、最悪の形で膨れ上がって爆発した。それが今の現状 れて⋮⋮恐らく、古里炎真と同じようにボンゴレに家族を殺されたのだろう 勿論、宙があの選択をした理由も十分すぎるほどある。シモンの連中も、長年迫害さ で、俺の親友だ﹄ ﹃その男の名は、古里真。濡れ衣を着せられ、ボンゴレに殺された│││シモンのボス 気づいたら家庭教師が大空を見守ってました。…なんか悪寒がする!? 513 しかも悪いことはそれだけじゃねぇ。ボンゴレリングは古里炎真によって壊され、ク ロームが加藤ジュリーによって攫われた とも⋮ずっと、炎真たちの世話をして⋮⋮親友の仇を憎んでいたことも⋮⋮なんにも、 ﹁ひろ兄が俺くらいの時に記憶喪失になってたことも⋮炎真のお父さんと親友だったこ ついで続けられた言葉は、無知だった自分自身を嘲るようで た⋮﹂ ﹁俺⋮未来でも思い知ったつもりだったけど⋮本当に全然ひろ兄のこと分かって無かっ 不意に押し黙っていたツナが自嘲気に口を開いたのは ﹁⋮⋮なぁ、リボーン⋮俺さ、つくづくひろ兄のこと、分かって無かったんだね⋮﹂ そう、見通しの暗さに眉根を寄せていた時だった が⋮⋮どこまで本気で戦えるか⋮ ツナの精神も大分参っているだろうしな⋮。ボンゴレリングの修復こそ、頼んでいた ﹁⋮⋮﹂ ﹁しかも宙さんまであいつらについちまうなんて⋮﹂ ⋮﹂ ﹁ああ⋮。確かに少し怪しい連中だったが、シモンの奴らは悪い奴には見えなかったぜ ﹁頭では分かっていても今だ信じられん⋮﹂ 514 知らなかった⋮知ろうとも、しなかったんだ⋮﹂ ﹂ ? に獄寺君や山本を目の前で殺されたら、やっぱり相手を憎いって思うよ。もし、炎真が ﹁俺、中学にあがって⋮お前が来るまで友達なんていなかったし、ひろ兄が言ったみたい さで それは、狂気的な明るさではなく⋮⋮今までの肩の力が抜けたような、自然体の明る んだよね⋮﹂ てるって気づいてただろうに⋮俺の知ってるひろ兄は、一度も俺の事憎んだりしてない た言い訳だっていっぱいしてる時もあったのに、ひろ兄だって俺がボンゴレの血を引い ﹁ひろ兄にとってボンゴレが敵ならさ⋮⋮俺がボス候補になった時⋮それこそ、矛盾し しかしそこでふと、ツナの声の調子がどこか明るさを含む ﹁⋮何がだ ﹁⋮⋮でもさ、おかしいんだ﹂ でなく宙までもが敵に回ったことが一番キツいみたいだな⋮ その憔悴しきった様子に、獄寺たちもかける言葉を喪うう。⋮⋮やはり、シモンだけ ﹁沢田⋮﹂ ﹁ツナ⋮﹂ ﹁十代目⋮﹂ 気づいたら家庭教師が大空を見守ってました。…なんか悪寒がする!? 515 言ったみたいに誰かに母さんやひろ兄を殺されたら、許せないって思う﹂ そして、気づく ⋮って啖呵もきっちゃってる ! ど⋮でも、俺は仲良くしたいと思うから勝手に押しかける。あと、ひろ兄のこと一発殴 ﹁俺、仲間として⋮友達としてクロームの事を助けに行く。炎真たちには嫌われてるけ ダメツナ、と自分を卑下しながらも。その眼差しは真っ直ぐと俺へと向けられていて する﹂ ﹁ダメツナの俺には小難しいこと考えるなんて向いてないよ。だから、考えないことに 申し訳なさそうにしながらも、ツナの口調に揺らぎはない し﹂ り返したくないから、ボンゴレなんてぶっ壊してやる 言われたってそんなの無理だって言っちゃうし。寧ろそーゆー怖い歴史なんてもう繰 てできない。ボンゴレのボスだからシモンをボンゴレが迫害してきた罪を背負えって ﹁俺はプリーモがシモン・コザァートを殺したかなんて分かんないし、証明することなん ツナの目には諦めも絶望も映っていないことに なんて俺には分からないんだ。だけど、それでいいと思う﹂ ﹁でも結局、それはあくまで俺の想像でしか無くて⋮ひろ兄や炎真たちの本当の気持ち 516 る﹂ ﹂ ﹂ ﹂ そして、普段のツナからは考えられないほど強気な言葉を宣言した 十代目 兄にだって色々あるんだろうけどさ ﹂ 事とか、ユニの事とか、炎真たちの事とか、上げたらキリがないくらい ﹁うん、ひろ兄は一発殴る。だって、ひろ兄いろいろ隠し事多すぎるんだよ そんなツナの様子に獄寺たちが驚くが⋮⋮これは俺も驚いたぞ ﹁きょ、極限に友人として同行はするが⋮な、殴るのか 今なんて⋮ !!? いし ザンザスの そりゃあひろ そもそも俺だって巻き込まれた ﹂ マフィアのボスになんかなりたくないって言ってるのに誰も聞いてくれな ! 挙句の果てに何度もマフィアの抗争に巻き込まれて死にかけるし くないし ﹁俺だってマフィアに巻き込んで悪いと思ってるけど 困惑する周囲に構わず、ツナの口調はドンドン荒くなっていく ! !! !! ﹁つ、ツナ !? !? ! 事情があったとしても一言くらい言ってくれたらいいじゃ 確かに俺はダメツナだけど、俺だってひろ兄のこと心配するし支えたいって思って ﹁大体ひろ兄もひろ兄だよ ん !! 未来から帰ってずっと鬱憤が溜まっていたからか、ここぞとばかりに吐き出してるな ! ! ?? !? ﹁って、え 気づいたら家庭教師が大空を見守ってました。…なんか悪寒がする!? 517 ! るのに ﹂ その癖自分以外にはメチャ甘だし ﹁お、おいツナ⋮ !! ﹂ !! ﹂ 本人のほほん どんだけこっちを心配 罪悪感の心労より先に心配で胃が痛むわ ! そんで絶対にひろ兄の思惑越えて、一発 俺知ってる、ああいう時のひろ兄は俺の事試してるんだっ それならいいよ、誘いに乗ってあげる ﹂ !! としてるし、すっごくタバコ臭かったし なにやってんの本当 て 殴ってやるんだ くく、覚悟しろよ、宙 ああなったツナは頑固だからな、殴られる心の準備はしてお ﹁きょ、極限に熱いな沢田⋮﹂ ? 俺は九代目にそう言いながら、ニッと口角を上げた ﹁だんだん宙くんに対する悪口というか愚痴になっているがねぇ⋮﹂ ﹁ツナは問題なさそうだな﹂ け ! ﹁しかもさっきのあの笑顔 ﹂ 十代目ー させたら気がすむんだよ ! ﹁あ、あのー ? ! ? !! ﹁未来から帰って、意識不明の重体だって聞いてすっごく心配したのに ? !!!! ! ? ! 518 ﹂ ﹂ 気づいたら初代霧に愚痴ってました。⋮俺の酒が飲めな それは、シモン島に戻って夜の事 俺ちん ﹂ ﹁ジュリー、宙兄さんが無茶しないよう見張っててくれる ﹁え ﹁炎真君、前提からしておかしくない ていうかホントちょっと待って うわーん、真ぉー ﹂ 何で俺、そんな目を離したらすぐ無茶する奴みたい ﹂ お前の息子 俺はとうの昔に成人してて、目を離したら危ない赤ん坊じゃないんだけど な認識されてんの !? ﹁目を離せないって意味じゃ同類でしょ ! ﹁炎真君 !? ﹁そんな何言ってんのこの人みたいな表情やめようか ﹂ !? ? !? が辛辣ぅー ! !? !? ? 唐突に、しかし至って真面目な顔で炎真がそう言いだしたのだ。 !? ? ? いってぇ 気づいたら初代霧に愚痴ってました。…俺の酒が飲めないってぇ!? 519 ﹁身から出た錆って奴だね 宙お兄ちゃん ﹂ ! ﹂ 流石に泣きはしないけどさぁ ! ! ! ! お前の子供どっちも俺に厳しすぎー 真ぉー ! ﹂ ? ﹂ 息の根止めるって言いかけたよね !!! ⋮⋮締め上げる可能性がある﹂ 今炎真 あれ ス それはもう、物理的にも、精神的にも ボ 炎真の言葉なのだから従いなさい ントロールを失敗して海に堕ちかけないよね 宙さんから目を離してまた倒れられた ﹂⋮あー、いや、それはぁ⋮﹂ ﹁あーちゃんあーちゃん、そんなに心配しなくても俺は大丈﹁夫な人は、帰り際に炎のコ ! ﹁重くない愛がほしいなぁ⋮﹂ ﹁ジュリー ﹂ ﹂ 俺実は炎真に嫌われてるぅ ? ﹁うっかり恐ろしい可能性を口に出された 今 ! ﹁愛故って奴だよ。炎真お兄ちゃん、宙お兄ちゃんの事大好きだもん ! ら困るわ ! ! ! !? !!?? ﹁他 の メ ン バ ー だ と 宙 兄 さ ん の 口 車 に 乗 せ ら れ ち ゃ う し、僕 だ と う っ か り 息 の 根 止 め ればいいじゃん たるいからそれパス∼。つーか、言い出しっぺの炎真とか他の奴らにやらせ ﹁えぇ∼ ? ﹁そして笑顔でトドメを刺してくる真美ちゃんって言うね 520 ? ハイ、因みに炎真が言った言葉は真実です。帰り際にまだ微妙に残ってた体調不良の せいで、あやうく海に堕ちかけるとこだったんだよね、この季節に ﹂ ﹂ この年で、心配されるあまり監視されるって⋮ねぇ ﹁俺の大人としてのプライドが⋮﹂ ﹁そんなプライド、星の彼方に飛ばしてあげようか ﹂ ﹂ ? いやマジで 俺も飛んでくよね星の彼方に ﹂ そんな事の為に大地の奥義使わなくていいから ﹁だから炎真君ソレ物理 ﹁じゃア、私が発酵シて土に返そーカ ﹁ならば僕の炎で細切れに切り刻んでやろう ﹁おいらが地中に埋めてあげるよぉ﹂ ﹁⋮⋮じゃあ、俺は突き刺す﹂ ﹁なら、俺ちんが幻覚で処理するとしますか♪﹂ ﹁⋮プライドってなんだっけ﹂ !! ? あっれー だからまぁ⋮炎真たちの心配もあながち大げさじゃない訳だけどぉ⋮ ﹁⋮⋮ちゃんとした理由でもあるの ? そんな物理的にどうこうできるもんだっけ ? !! ! ﹁私が氷でコーティングしても構わないですよ﹂ ! ? !! ? 気づいたら初代霧に愚痴ってました。…俺の酒が飲めないってぇ!? 521 ﹂ ﹁それじゃ、何も問題はないみたいだし⋮ジュリー、後は頼んだ﹂ ﹁え、マジだったのかよ﹂ ﹂ ﹁え、本気で俺監視されなきゃダメ ﹂﹂ ﹁ 何 か 問 題 が ﹁﹁アリマセン ? けど⋮ ? さー。アレでDが俺のことを、ツッ君を排斥した後の次の傀儡候補として狙わないかと デー チ モ だ か ら わ ざ わ ざ、継承式で 場 の 空 気 を 支 配 す る、な ん て ら し く な い こ と も し た の に 圧倒的オーラで ︵上手くいかないなぁ、もー︶ なぁ⋮⋮クロームだって不憫だし 出来れば術師にそれ専用の肉体与えると厄介極まりないから避けたかったんだけど ︵⋮とりあえず、Dの狙いは前回と同じよーに骸の肉体ってことでいいのかねぇ ︶ さて。炎真の援護射撃によって、ジュリー君inDの監視をする大義名分を得た訳だ *** いまま監視されることになったのだった 息の合ったシモンファミリーの包囲網と炎真の無言の圧力によって、俺は釈然としな !! ? 522 画策してたのに 今この時点で、ボンゴレのボスという候補者はツッ君だけだ。分家の存在は俺沢田綱 吉に話が来る前に殺されてたし、最有力候補となるザンザスはまさかの血の繋がりがな いという欠点がある。となれば、目障りなツッ君デーチモを殺したとしても、ボンゴレ を継ぐ者がいなくなってしまう またとない傀儡人形と考え、狙 けれどそこで。初代ボンゴレボスにそっくりな容姿で、尚且つアルコバレーノになれ るほどの実力者の存在が公に明らかになったとしたら いを変更しようとしないだろうか ? ? ジュリー君 ﹂ ﹂ ?? チーぃ︵死語︶ ﹁そんな訳でちょーっと付き合ってくれるよなぁ ていうかどっから出したんだその酒瓶 !!? え 諸々の八つ当たりだって そんなことないさー ! ﹂ いやまぁ俺ちんは願ったり叶ったりだけどよ アーデルがな ! ? ﹁うるせぇっ、そんな老け顔してんだからちょっとくらい付き合え ﹁それが教師の台詞かっ !? ! ? なんて戯言を考えつつ、監視役という名の監視対象、D君に絡んでみる俺 ﹁どんな訳だよ !? ? やはり、Dの狙いは骸の肉体ってことなんだろ。やーだー、身体目当てとかハレン ︵⋮まぁ、クロームが攫われた時点で目論見は失敗してるんだけどねー︶ 気づいたら初代霧に愚痴ってました。…俺の酒が飲めないってぇ!? 523 ﹂ んていうか⋮ ﹂ 俺の酒が飲めないってかぁ ﹁なんだとぉ ﹁絡み酒かよめんどくせーな ﹂ 全ての元凶が被害者面してんじゃねー やっかましいわ ⋮⋮ !? て、おい これめっちゃ年代物って奴じゃねーのか⋮ いい酒なんだからなっ﹂ めっ ﹁は⋮ !!? ? ﹁何やってんだよ ﹂ !? ナッシング ﹁あ∼ ンだよ、今度はよぉ⋮﹂ 痴の一つや二つ零れるわけで⋮ ﹂ ﹂ そんなこんなでDを潰そうと酒を注いでいたわけだけど、俺も飲んでるわけだから愚 !!! ! ﹁ああもう、マジでどうしよう∼∼∼ ﹂ どーせ何年か後に霧と雲の争いで割れちゃう定めなんだから美味しく呑んでも問題 因みにお酒はDも気づいたとーり、代々のボスにのみ伝えられてきた秘蔵酒だぜ☆ 完全に管を巻いた風を装いつつ、だくだくとDのグラスに酒を注いでいく てーかなんでそんな酒の場所詳しいんだよ ﹁そらそーさ。継承式にお邪魔する前にボンゴレ本部行って頂いてきた奴だからな ! め ! ﹁おら、 ! !? ! !? ! ? ! ? ? ! 524 ? ﹂ 知らぬ間に自分に奥さんと娘がい 家光にすら劣 認知せずに子供が成長してたってそれ ﹁いやもうマジでどうしよう。なぁどうすればいい た時って⋮ ﹂ 俺はなんてサイテイな奴なんだー ﹁若気の至りとはいえヤッといて記憶すらなく うわーっ ﹂ どこのロクデナシ野郎 ﹂ !! 真なんて特にいい父親やっ イヤだよ俺炎真筆頭に純粋なシモンの皆の前でそんな爛れた ﹁⋮それは、俺ちんに言うことか ? われたら動揺するだろ。寧ろしろ。俺だけ動揺するなんて不平等だ﹂ い相手なら、尚更⋮﹂ ﹁いや⋮フツーに自分の子供だったら驚いても祝福して受け入れるもんだろぉ ﹁ケッ、純情ぶってんじゃねーよリア充。爆発しろ﹂ とか言 ⋮愛し ! ? 合ってる女性からいきなり貴方との子供がいます。もう中学生くらいなのよ ﹁おいこら。面倒くせぇなコイツ⋮みたいな目してんじゃねーよ。仮にお前だって付き !? るなんて死にたいー !? !? てかかなりの確率で嫌われるか引かれるだろ ﹂ 話するの ! ? ! ﹁お前以外に誰に言えと てたし !! ﹁⋮⋮⋮﹂ ! ! ? ! ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮はあ 気づいたら初代霧に愚痴ってました。…俺の酒が飲めないってぇ!? 525 ﹁⋮人が真面目に受け答えしてみれば⋮ ⋮っ喧嘩売ってんなら買ってやろーか !! ﹂ !!! ﹂ ? ﹂ あああ娘に会いたいけど会いたくない奥さん怖い奥さんの部下も怖い一生シ ﹂ ﹁だ ぁ あ あ あ も う っ なぁ *** め 死んでも呑め 俺も呑む ! ﹂ こーなったらお前も道連れって ! あんた酒瓶丸ごとこっちに向けて何する気ですかァ ! ﹁こんなめんどくせー人だったのかよ⋮彼と張るぞある意味⋮﹂ モン島に引きこもってたいぃいいい⋮ ! ﹁って、ちょォオオオ !? !!? !! ちたのは言うまでもない 翌朝、シモン島のある場所で酒瓶にまみれたダメ男二人の姿が見られ、盛大な雷が落 !!? ! よぉ⋮ ﹁て ー か イ ロ イ ロ あ っ て 先 延 ば し に し て る だ け だ よ そ ん な の 分 か っ て ん だ よ 俺 が 一 番 ﹁口わっっっっる ﹁うっせ、黙れボケ。ハゲ。マゲ。ナスビ。変な頭﹂ 526 気づいたら初代霧が思考してました。⋮馬鹿にされてる !! 九代目が次のボンゴレボスに内々に選んだのは沢田綱吉という一般人として生きてき ることなど自明の理。そんな風に手を回しながらも、プリーモの血筋を探していれば、 元々、九代目に憎悪と憤怒を滾らせていた相手。多少の情報操作をすれば彼が反逆す の牢獄へと誘導してあげました。殺すにはまだ使える要素がありましたからね。 これには流石の私も怒り狂いましたよ、ええ。ですから彼には少々、反省も兼ねて氷 ようかと思えば│││真実を知った駒の暴走によりプリーモの血筋は途絶えた。 ザンザス だとすれば、多少カリスマ性などが足りなくとも他の分家の誰かをボスに仕立て上げ 何でもなく、厳然とした事実。 ボンゴレリングはプリーモの血を引く者以外を受け入れない。それはただの噂でも が、実は血の繋がっていない役立たずと分かった頃でした。 のこと。その当時に計画していた、私の考える最適なボンゴレボスとして考えていた駒 ザンザス 私が彼││〟宙〟という青年を意識に留めるようになったのはかれこれ6年ほど前 D Side 気配を察知 気づいたら初代霧が思考してました。…馬鹿にされてる気配を察知!! 527 た少年でした。 しかし、多少幼少の頃を観察しただけでも彼には私の望むボスとしての素質はない。 甘いだけ、弱いだけの人間。しかも成長する環境は平和ボケした日本。たとえ、彼が 長じてからマフィアとしての教育を施したとしても、彼は欲のない⋮⋮私の望むボスと は正反対のボスへとなる事が容易に想像出来た。 だからこそ私は、時間稼ぎのためその時は敢えて沢田綱吉が十代目となる流れを放置 することにした。ヌフフ⋮勿論、私が望む最適なボンゴレボスを見つけるまでの、ね⋮。 そして下手に足場が固まらない内に仕掛けが爆発するよう、シモンのボスであった古 ﹄ 里真とその家族を古里炎真以外を残して殺害しようとした、その時でした。 ﹃真っっっ て。 しくこの場を〟沢田家光〟としてやり過ごそうとすれば、彼は更に驚きの言葉を放っ りな青年で。一瞬にも満たない間ですが、私は息を飲みました。それでも、霧の術者ら そう言って飛び込んできたのは、かつてのプリーモに︵色彩こそ違うものの︶そっく !!!! 528 ﹄ !!!! と疑うこともありました。 ? 初代霧の守護者 ことが思いだされたので頭を振り払ってその考えは捨てましたが。⋮⋮⋮何故か妙に、 まぁすぐに、彼なら私と分かった時点ですぐにイイ笑顔で殴り飛ばしてきたであろう リーモの生まれ変わりなのでは⋮ 一時は、あまりに似た容姿と得体のしれぬ強さ、そして何より 私 を知ることに、プ さを手に入れる要素がない。 その個人的な付き合いに至るまでも、多少の不幸はあれどあそこまで不釣り合いな強 うなら確実に白。 一般人 顧問といったボンゴレのトップなどと個人的な付き合いはあるものの、彼は黒か白で言 マフィア 一般人 しかし、妙なことにいくら調べても彼の経歴に不審な点はない。確かに九代目や門外 付けることを果たした私はその場を離脱し、あの青年のことを調べ始めました。 それから、警戒しつつも当初の目的である古里炎真のボンゴレへの憎しみの種を植え ずの私の本当の名を口にしたのですから。 だけでしょう。なにせ彼は、初めて見せる私の幻術をいともたやすく見破り、知らぬは この姿となって長い年月が経ちましたが、あそこまで驚いたのは後にも先にもあの時 ﹃│││っっその口を閉じろD 気づいたら初代霧が思考してました。…馬鹿にされてる気配を察知!! 529 プリーモの気配を強く纏っている時があるのが気になりますがね 何はともあれ。彼の血液から彼がプリーモの血を引いていると分かった時点で、彼を 沢田綱吉を排した後のボスにする計画ができましたからよしとしましょう。 ﹁待ってたよ、ツナヨシ君﹂ ﹂ ﹄ ﹃だぁあああもうっ なぁ 呑め 死んでも呑め 俺も呑む ! ﹄ こーなったらお前も道連れって ! あんた酒瓶丸ごとこっちに向けて何する気ですかァ !!? ! ると信じなければできるものも出来ませんからね。 精神を壊すための手段である幻術はリアリティが命、幻術を掛ける私が何よりも出来 です。 いえ、大丈夫。私なら出来ます。私は実体のつかめぬ幻影と歌われた歴代最強の術師 いでしょうが⋮⋮ ⋮⋮⋮ま、まぁ、彼がもしプリーモと同じ性格ならば精神を破壊するのも容易くはな ﹃ちょォオオオ !!? ! ドコントロールし、私の望む立派なボンゴレボスに仕立ててあげますよ。 ヌフフ⋮もうすぐです⋮六道骸のその肉体をいただいた後、彼の精神を壊してマイン ﹁炎真 ! !! ええ、私ならやれますとも ! 530 ﹁っ ⋮待って、炎真 俺はお前たちと戦う気はない ! ﹂ !! それなら何の為に君は来たって⋮﹂ ? ﹂ !! 飛ばしに来ただけなんだ ﹁﹁﹁⋮⋮⋮﹂﹂﹂ ﹂ ﹁ダメだよ、宙兄さんは僕がすでに潰しといたから﹂ ⋮⋮なんと、いいますか⋮ 葉に不覚にも黙らされたのでした。 私の嫌いな欲のない⋮純粋な炎をその身にまとった状態で沢田綱吉が言い放った言 !!!! ﹁人に心配ばっかりかける癖に全然周りを頼ってくれない、そんな馬鹿なひろ兄をブッ そう内心で含み笑いをしつつ、成り行きを静観していた私でしたが。 ﹁俺は⋮俺はただ⋮ ﹁⋮⋮なに言ってるの その為にまず、目障りな沢田綱吉を古里炎真たちシモンに掃除させましょう。 !! 積み上げられることになっただろうからね﹂ ﹁君たちだけで来たのは正解だと思うよ。大勢で来ればボンゴレ側の夥しい数の死体が 気づいたら初代霧が思考してました。…馬鹿にされてる気配を察知!! 531 ﹁えっ 狡いよ炎真 俺にだって身内の︵ブッ飛ばす︶ケンリがあるのに !! ﹁こればっかりは炎真でも譲れない ﹁っ言葉で駄目なら│││ ﹂ ﹂ ﹂ !! ひろ兄の甥っ子なのが俺の誇りだから ﹁だったら、僕は彼に助けられた今が誇りだ。自分だけだと思わないで﹂ ! ﹁宙兄さんの身内は君だけじゃない﹂ !? 黄のアルコバレーノの言葉に内心で深く頷きつつ、私はそっと遠い目をした ﹁てめぇら、戦う理由がそれでいいのかオイ﹂ ないものです⋮。 倒した人物と、今ここで両ボスにボロクソに言われてる彼が同一人物だなんて信じられ 彼は本当に人望があるんだかないんだか分かりませんねぇ⋮。つい先日の会場を圧 ﹁力で分からせるしかないね﹂ ! !!! 532 気づいたら見せしめを懸念されていたようです。⋮ノー !! 成る程、流石シモンの実行リーダー。マフィアの闇をよく分かっている。 │││答えは、破滅だろう。 ? ンと共に行動している。 しかし、俺は既にアルコバレーノだと周知しているし、そうでなくとも今の俺はシモ 切者の末路はどうなる え、俺はボンゴレどころかマフィアだと宣言した覚えもないけど︶だ。それならば、裏 あそこまで大々的にボンゴレに刃向かった俺は、さながらボンゴレの裏切者︵とはい ? として行った後だったんだけど⋮ ﹂ ﹁そういえば宙さん。今更ではありますが姉君の保護はしなくていいのでしょうか ⋮⋮ああ、〟見せしめ〟で殺されないように ? 不意に、神妙な顔であーちゃんに言われた言葉に目を瞬かせてから、納得が行く。 ﹁へ ? ﹂ 斬り合ってきてたらしい炎真︵何故か機嫌悪かった︶たちが戻ってきて、紅葉君が先発 それは、二日酔いから復活した翌日の昼間の事。何時の間にやらツッ君たちとメンチ プロブレム 気づいたら見せしめを懸念されていたようです。…ノープロブレム!! 533 つまり、実力的にも環境的にも殺す事が難しいのだ。 だがそうなると、裏切者を粛正するために何が効果的か 答えは、身内沢田奈々を出 来るだけ派手に、惨たらしく⋮⋮まさしく〟見せしめ〟として殺す事が考えられる。 ? ﹂ ﹁⋮どういうこと ? ﹂ " ︵妙に器は広いけども︶なのだ。 母さん視点から " もし母さんを殺せば、確実にツッ君たちはボンゴレに不信と敵対意識を持ち、父さん ボンゴレ視点で見れば、母さんほど守るべき対象、殺してはいけない対象はないのだ。 ⋮何より、姉さんは本当に何も知らない一般人だからね﹂ た一人の妻だ。また、次代のボンゴレボス、沢田綱吉ボンゴレデーチモの実母でもある。 ﹁姉さんは自身が知らずとも、ボンゴレNo2であり、門外顧問トップ・沢田家光のたっ しかし、それは 見たものでしかない。 異な能力を持っている訳ではない。本当の本当に、どこにでもいるような平凡な主婦 勿論、母さん自身には何の力もない。俺のように圧倒的な実力や、シモンのように特 ﹁姉さんの立場が、それを許さないのさ﹂ 未だよく分からずに疑問符を浮かべる炎真たちにニッコリと微笑む。 ? ﹁ ﹁⋮⋮まぁ、尤も。そうなる確率は極めて低いんだけどね﹂ 534 も少なからず割り切れずに苦いものを抱え込むだろう。それほどのリスクを持ってま アルコバレーノ で、たかが俺への見せしめの為にボンゴレが母さんを殺そうとするとは思えないって訳 だ。 母 また、わざわざ 俺 の怒りに火を注ぎたい輩は少数だろう。なんたって俺は親友を 殺されたが為にボンゴレに敵対しているのだ。姉を殺されたらマフィア界がどうなる ことか。 ﹂ ? ろう。⋮⋮ま、ラーメン一ヶ月で動いてくれるとは思ってなかったけど 万が一、暴走で母さんを狙う奴がいてもチェッカーフェイスなら負けることはないだ ﹁そ。とあるラーメン好きの人類最強にね﹂ ﹁護衛 ﹁万が一のために、護衛を頼んでるからね﹂ そんなことを考えながら、俺は凄みのある笑みを引っ込めて、安心させるように笑う。 ﹁⋮ま、でも姉さんの件に関してはノープロブレムだよ﹂ 言いつつ、今度は凄絶な笑みを浮かべる俺。因みにマジである。 滅ぼしてしまうよ﹂ うって言うなら天下のボンゴレも救いようがないね。炎真たちには悪いけど俺直々に ﹁⋮⋮これだけの〟殺せない理由〟があるにも関わらず、もし姉さんを見せしめで殺そ 気づいたら見せしめを懸念されていたようです。…ノープロブレム!! 535 気づいたら大地が動くようです。⋮さぁ、行動開始だ ツナSide !! うに見えて目が笑ってなかったから。 ﹃僕は君をずっと前から知ってる。宙兄さんから教えられた時から大っ嫌いだったさ た ﹄ と聞いた時、怒鳴ってきた炎真のこの言葉に納得も 宙兄さんを何度ボンゴレの業に巻き込んで死なせかけた だから、継承式で俺がどうして したんだ。 ? つく姿⋮死にそうになってる、姿。 自分の大事な人が、自分を助けてくれた恩人が、知らない奴の騒動に巻き込まれて傷 ? ? ただでさえ憎いボンゴレの人間で⋮っそれに加えて君は何度宙兄さんを巻き込んでき ! 未来の時ほどあからさまではなかったけど、俺たちと話してる時の炎真は、穏やかそ ﹃⋮⋮縁があれば、会ってみたいなって思ってたんだ﹄ 継承式でシモンファミリー⋮炎真と敵対した時、心のどこかでやっぱり、と思った。 ンゴレへの復讐を果たすことを誓う﹄ ﹃シモンファミリーは、ここに宣言する。古里炎真が10代目のシモンボスを継承し、ボ 536 そんなの、誰だって許せることじゃない。 大事なら大事なだけ、たとえひろ兄自身が気にしてないとしても│││ううん、だか らこそ、ひろ兄の優しさに甘えてる俺たちの事を憎むのもおかしいことじゃない。 それが分かっていたから、正面切って嫌いだと言われても俺は炎真を嫌いになんてな れなかった。寧ろ、仲良くなりたいなんて思ったんだ。 シモン島に来たのは、秘密主義で心配ばっかりかけるひろ兄をぶん殴りに来たのが一 自分のファミリー ﹄ 恩 人 番だけど、クロームを取り返して、炎真とも少しでいいから和解したいと思ったから。 この巨大パフェ1時間以内に食べきったらタダだって ﹄ 妹 !! ⋮⋮だって、炎真は ﹃お兄ちゃん ﹄ ﹃⋮⋮真美、この量を食べきれるの ﹃何事もチャレンジだよ ﹃紅葉、落ち着いて﹄ ﹃む⋮﹄ ﹄ ﹃朗報だ。喜べ、お前ら。宙が目を覚ましたらしいぞ﹄ ! ? ! ボ ン ゴ レ ともかく、 優しい顔を、していたんだ。真美ちゃんと話す時、シ モ ンと話す時、ひろ兄の話題が ﹃ !! 出た時。俺たちと話す時は決して向けない優しい⋮強いて言うなら慈愛の ? 気づいたら大地が動くようです。…さぁ、行動開始だ!! 537 そういった優しい眼差しで、表情で。 ﹄ だから私 ﹃分かんねぇだろうな⋮家族を⋮温もりを⋮奪われていく俺たちの気持ちなんか⋮ ﹃初代シモンはボンゴレプリーモの為に戦って裏切られて殺されたんでしょ ? ﹂ ! ﹁手を出すな、真美。シモンファミリーにボンゴレに負けるような弱者は要らないんだ﹂ ﹁しとぴっちゃん │││そう、思っていたんだ。 ンの為にこうして俺たちと戦ってるんじゃないかって。 そして、そ れをシモンファミリー全員が分かっていて。だからこそ、炎真の為⋮シモ 炎真の覚悟 ﹄ だからこそシモンの絆は固いのだ 懐に入れた相手は絶対に守り抜く覚悟を持ってるんだろうなって。 だから思ったんだ。炎真は、ちゃんと優しい奴なんだろうって。自分の大事な物⋮な んていうんだろう ﹄ ﹃おいら達は迫害の憎しみと悲しみを共有している ﹃貴様らボンゴレとは背負ってる悲しみが違う ? は自分のために生きるって決めたんだよ﹄ !! !! ! !! 538 どうして ﹂ だけど、それなら今⋮俺たちの目の前で起こっているこの出来事は何なんだろう ﹁お兄ちゃん !! ? てそれを妨害しようとした。 仲 間 獄寺君に負けたシット・ピーが投獄されそうになった時、真美ちゃんが飛びだして来 !? そんナ⋮﹂ でも、その真美ちゃんを止めたのは復讐者ではなく⋮ボスであるはずの炎真で ? ﹁てめぇ ﹂ それがファミリーの為に戦った味方に対する言葉か ﹁いくらなんでも酷くねーか ﹂ !? いきった。 そんな炎真の態度に獄寺君と山本が憤慨しても、炎真はただ淡々とした声音でそう言 乗る資格はないんだよ﹂ ⋮⋮⋮紅葉にも、らうじにも、薫にも、しとぴっちゃんにも⋮⋮シモンファミリーを名 ﹁⋮⋮ 何 を 言 っ て る の。そ も そ も、負 け た ら 終 わ り な ん だ。君 た ち に 負 け た 時 点 で ? !! を見向きもしなかった。 に、炎真はさっきの言葉を取り消そうとはしなくて。それどころか、シット・ピーの方 負けたうえに、そんなことを言われたシット・ピーが愕然とした表情になっているの ﹁⋮⋮バイバイ、しとぴっちゃん。二度と会うことはないよ﹂ ﹁ボ⋮ス⋮ 気づいたら大地が動くようです。…さぁ、行動開始だ!! 539 ﹁炎真 何を言っているの ﹂ !? ﹁お兄ちゃん⋮本気で言ってるの⋮ ﹁ひゅー♪こいつぁ驚いたなぁ﹂ ! じように驚愕していた。 ﹂ 侮辱するんじゃない ﹁まさか、全員がボンゴレに負けるなんて⋮⋮役立たずにも程があるね﹂ ﹂ その誇りを ⋮っこれ以上こんな言葉を聞いていられない ﹁炎真 止めろ⋮止めろ、止めろ、止めろ キュォオオオッ ﹁それ以上、ファミリーの為に戦った仲間を ! !! ﹁絶対にその言葉を取り消させてやる ﹂ ﹁⋮どんな誇りを掲げようと、勝たなければ無意味だよ﹂ 気づけば、俺はVGに炎を灯して炎真へと攻撃していた。 ! !!!! ﹂ お前がどんなつもりで言ったかは知らないが、それでもその言葉は絶対に赦せない !!! !!! !!! !!!! そして、驚いているのは俺たちだけで無くて。まだ戦ってないシモンSideでも同 !? 540 541 気づいたら大地が動くようです。…さぁ、行動開始だ!! そして、戦いが始まった。 気づいたら霧を召喚してました。⋮とりあえず落ち着け 同時刻・シモンの屋敷にて !! てーか、この間の酒で酔い潰す作戦が失敗したのは痛かったな∼。まさか、幻術で五 ﹁うん、やっぱりD赦すまじ﹂ んな風にただでさえファミリーを騙してる炎真に辛い思いをさせずに済んだってのに。 それこそが、俺と炎真の狙いだったというのに。Dが俺だけを狙ってくれてたら、こ 敗者が投獄される仕組みが発動される。 のだ。そうすれば、今のシモンとボンゴレの諍いで確実に初代たちの決めた掟によって 本来なら、継承式の出来事によってツッ君たちをシモン島に来させるだけでよかった ﹁全く⋮Dのせいで余計な手間が増えたっつの﹂ によって誘拐され、監禁の身となっているクロームを助ける為だ。 俺は一人、暢気にそう呟きながらジュリーの部屋へと向かう。勿論、狙いは今なおD しますかっと﹂ ﹁さて、Dに唆されたフリをした炎真が皆を引き連れてってくれてる間に俺も行動開始 542 ませたんだろ⋮ ﹂ 思わず翌日は︵二日酔いに悩まされながら︶真剣に考 感を誤魔化すとは⋮⋮基礎すぎて忘れてたわ、うん。俺、何の為にジュリー君が呑める ギリギリまで え込んだよね。 ? 伯父の人 ﹂ ? ? 閑話休題 ﹁⋮ぇ ? ? の俺の認識って︵ツッ君の︶伯父の人なんだね。 すから﹂ ⋮分、かった⋮ ﹂ ﹁あ、よかった起きてて。じゃ、早速で悪いんだけど扉から離れてくれるかな ﹁え ? ﹂ ! 短く息を吐き、バキィッ た。 とその場で一回転して勢いを付け、蹴りで扉をフッ飛ばし ! ﹁フッ り扉から離れたのを確認した俺は。 まぁとにかく、時間もないことだし手っ取りばやく行こう。クロームの気配が言葉通 ? 吹っ飛ば う声を掛けると、戸惑ったようなクロームの声が返ってくる。ていうか、クロームの今 つらつらとそんなことを考えながら、目的地に着いてマナーとしてノックしながらそ ? ﹁クロームちゃん、起きてるー 気づいたら霧を召喚してました。…とりあえず落ち着け!! 543 ﹁きゃ⋮っ ﹂ かわないと。 ﹂ ﹁さて、と。クロームちゃん、説明は道すがらするから俺についてきてくれるかな ﹁⋮⋮貴方は、ボスの味方でいいの⋮ ﹁貴方は⋮どうして、助けてくれたの ﹂ 言葉遊びをしながら、前回に骸とDが戦った場所へと向かう俺とクローム。 ﹁勿論。俺はツッ君たちの味方だよ。ただ、同時にシモンの味方でもあるだけさ﹂ ? ? 骸様が ﹂ ﹁うーん、まぁ色々理由はあるけど⋮一番は敵の狙いが骸だからかな﹂ ﹁え⋮ !? ﹂ それはともかく。完全に困惑してるクロ│ムには悪いけど、今は急いで次の場所へ向 ﹁え、と⋮﹂ 今の俺には炎ステルスの機械なんてないしね。 使わなかったのは、距離があるとはいえDに気付かれたくはないからだ。残念なことに 炎とか使わないで純粋に体術だけだったんだけど、なんとかなるもんだ。因みに炎を ﹁おーお、結構簡単にいったなー﹂ !? 初代ボンゴレ霧の守護者、D・スペード。詳細は省くけど、Dは凄腕の術師で、他人に ﹁そ。⋮⋮そもそも、シモンがボンゴレを憎むように仕組んだ奴がいる。そいつの名は !? ? 544 憑依して今までボンゴレに居続けた奴だ﹂ ﹁D・スペード⋮﹂ ﹂ ﹂ ? ⋮⋮⋮、っ強い術師であることと、他人に憑依できること⋮ ﹁で、ここで問題だ。D・スペードと骸の共通点が何かわかるか ﹁⋮ !? , la risposta corretta︵そう、正解だ︶﹂ ì ? ﹂ ? てね。 ﹁ここは⋮ ﹂ ! 仕組みになってるし﹂ ﹁⋮げ、これってやっぱり術師じゃないと⋮てかシモンリングじゃないと開けられない たあった 言いつつ、事前に炎真に教えられた場所を探す。幻覚を遮断する装置は、と⋮⋮あっ ? ? ﹁んー、この島の防御壁を掌ってるところ、て言えばいいのかな⋮ ﹂ そんなこったろうとは思ってたけどさ。そして会話してる間に第二の目的地到着っ ﹁あー、やっぱりかー﹂ ﹁⋮だめ、繋がらない⋮です﹂ ﹁あ、そういえば一つ聞きたいんだけど⋮今って骸と連絡とれる まぁ、クロームは頭の回転悪くないどころかいい方だし気づくと思ってたけど。 ﹁S 気づいたら霧を召喚してました。…とりあえず落ち着け!! 545 俺にもクロームにも無理じゃーん。クロームも今はリング持ってないしなぁ⋮ ﹂ どうせこの防御壁を解除したらDにバレるんだろうし。ここで炎を使って装置を破 ﹁ま、しょうがない﹂ 壊しても、直ぐにこの場を離れればいっか。 ﹂ ﹁クロームちゃん、今からこれ破壊したらまた移動するから窓際にいてくれる ﹁⋮分かった⋮ きゃあっ ! ガシャンッ ⋮え ﹂ ! ﹁行くよ、クロームちゃん ﹁⋮ぁ⋮⋮骸様⋮ ? ﹂ ﹂ ! 面に足を付けたのを視認して足を動かし始める。 ついで身体能力をフル活用してまた一切炎を使わずに着地し、クロームもちゃんと地 ﹁││っ ! ﹁っと げて、そのまま窓の外の宙へと身を躍らせる。 そして幻覚を遮断する防御壁が壊れたことを確認した俺は、クロームを片手で抱き上 ? ﹂ 躊躇いなく防御壁の装置をぶっ壊す。 てなわけで先にクロームにそう言った俺は、ボウッと拳にオレンジの炎を纏わせると ? ? 546 ﹁走るよ ﹂ 合流してVGを受け取ってもらわないといけないとはいえ、今は安全地帯の確保が先 向かう先は先程から感じる大地の炎とは別方向。いずれクロームにはツッ君たちと ﹁は、はい⋮っ﹂ ! ⋮⋮Dの狙いはこの戦いでツッ君たち⋮自分の気に入らないボスを排除し、かつ自 だ。 ! ⋮⋮さーて、どうやって説得するかなコイツ 忌々し気にこちらを見る姿は、かつて俺の守護者をしていた霧をどこか彷彿させた。 ﹁あの時よりも余程貴方が腹ただしくありますよ、先生﹂ ﹁⋮⋮よぉ、不登校児﹂ ち止まった気配にこちらも足を止めて振り返れば、三叉槍を俺に向ける骸の姿。 すると、予想通り返ってきたのはクロームではなく骸の含み笑い付きの声。ついで立 ﹁クフフ⋮成る程、そういうことですか﹂ 単に今回の裏事情を話す。 そうして走り続ける最中。ふと、クロームの気配が変わったことに気付いた俺は、簡 の人質として連れてこられたんだ﹂ 分の力を発揮できる強い器を手に入れる事。⋮⋮クロームちゃんは、骸を誘き出すため ﹁ 気づいたら霧を召喚してました。…とりあえず落ち着け!! 547 先生﹂ 気づいたら復讐者に邪魔されました。⋮ここでリタイア かよ ちゃおっす 只今教え子に殺気ビシバシ当てられながら武器まで向けられてるひー ﹁クフフ⋮さて、何か弁解は有りますか 君だよ ! が思い浮かばないんだけど。 なんで骸こんなに怒ってんの アレか ︶ さっきクロームちゃんを抱っ ! ﹁いや、心当たり多すぎてどれかなって⋮⋮あ、分かった ﹂ あ、でもクロームの精神世界行ける ? それとも単にクロームを巻きこんだから 未来編は│││そもそも記憶行ってないよね ツッ君の身内だったか 黒曜戦の時に偉そうに説教したから ? 実はあの時からマフィアのこと知ってたのに白切ってたから ︵えー ら からそこから知ったとか うーん、どれだろう ? ? ﹁⋮⋮⋮まさかとは思いますが、心当たりがないとほざくつもりではありませんよね ? ? ? ? ? ? ? てーかマジどうしよー。こいつがこんなに怒ってる心当たりが多すぎて弁解の言葉 ! ? !! 548 こしたから ﹂ ﹁違います﹂ ? え、なんだ違うの お前どうせクロームとくっつくんだから嫉妬とか別に気にしない よ ? ? ﹂ ﹁死にたいんですね、分かりました﹂ ﹁教え子が物騒で先生涙目﹂ ﹁殺しますよ﹂ ﹂ ﹁引きこもりにやられるほど落ちぶれてないし ﹁クフフ⋮面白い、やってみましょうか ? ? いやマジで。 ﹁お前に言われたくねーよ﹂ ﹁貴方⋮相変わらず人を苛立たせる天才ですね﹂ ﹁ま、お遊びはこれくらいで、と﹂ か⋮骸には苦労させられたから、つい⋮⋮。 あー、いかん。ザンザスとは別ベクトルでとりあえずおちょくってしまう。なんてー ? ﹂ ﹁じゃあ9月頃、お前にボコボコにされた時に心の中でクソナップルって罵倒したから 気づいたら復讐者に邪魔されました。…ここでリタイアかよ!! 549 とはいえ、骸も最初から本気で怒ってたわけじゃ無いしなー。大方、黒曜戦で俺が強 者ってことを見抜けなかったことが悔しいって所だろうし。でも素直に言うのも自分 の失態を見せるようでイヤだからとりあえず殺気をぶつけてみたって感じだろ。 はあ ﹁⋮⋮⋮⋮それ、本気で言ってます ﹁おうともよ﹂ ﹂ 面倒見てる親友の息子がシモンボスだと 俺自身がアルコバレーノになっちゃってるとしても たとえ甥っ子がボンゴレデーチモでも しても になるつもりはない ﹂ 俺が望むのは平々凡々ありきたりな一般人ライフだ 諦めた時点で夢は叶わないっていうなら、諦めなければいい話だよね ﹁⋮⋮僕以上にありえない夢想してる人を初めて見ましたよ﹂ ﹁おい、なんだその心底呆れましたと言わんばかりの表情は﹂ !!! 不可能に決まってるじゃないですか、と顔に書いてある骸を睨みつけるが効果はな ! ! ﹁俺はどこそこのマフィアになったなんて宣言した覚えはないし、これからもマフィア ! ! ? ﹂ クフフ⋮やはり貴方も薄汚いマフィアの一員という訳か﹂ ? ﹁だーれがマフィアだこの早とちり南国果実。俺は一般人だっつの ? ! ! ﹁⋮命令ですか ﹁んで、事情が分かったところで俺としてはお前にやってほしいことがあるんだけど﹂ 550 し。⋮ちくせう。 閑話休題。 ﹁⋮⋮は ﹂ ﹂ ? ﹂ ? それでも えないよう暗躍しても、勝機は骸より薄いだろう。 勿論、炎真ではDと相性が悪いことは分かっている。いくら俺がこうしてDに力を与 ︵それに⋮⋮Dは炎真が倒すって宣言してたし︶ に行けばいいとして。 いないし、骸の勝機は薄い。まぁ、Vはシモンがいったん引き上げたタイミングで取り 別に無理して一人でD・スペードを倒す必要はない。ただでさえ今はVGも手にして 隠して、お前は肉体から離れなければソレ乗っ取りは防げるだろ クロームが狙われてる。だったら、媒介のクロームをD・スペードに見つからないよう ﹁んー、⋮さっきも言った通りD・スペードの狙いはお前の肉体だ。その為の媒介として ﹁話が見えないのですが⋮﹂ おっとうっかり本音が。じゃなくて。 ! ? ﹁うわ間抜けな顔⋮ンンッ ﹂ ﹁で、話を戻すけど。骸、ちょっと雲隠れしてくれない 気づいたら復讐者に邪魔されました。…ここでリタイアかよ!! 551 それが、分かっているのに⋮我慢なんてできな ! ﹃お願いがあります﹄ ﹄ ! ﹂ !? ﹂﹂ !? いつらが⋮ 驚愕のあまり思わず骸とハモるがそんな場合じゃ無い。なんでこのタイミングでこ ﹁﹁復讐者⋮ が、しかし。上手く事が運びそうになったところで思わぬ邪魔が入る。 ﹁⋮Grazie、むく﹁それはならぬ﹂⋮ゲッ ⋮もっと説得に手こずるかと思ったんだけど⋮。 は貸ということにしてあげますよ﹂ ﹁クフフフフ⋮いいでしょう。僕もあまりクロームに負担を掛けたくないですし、これ なんてつい思考に耽っていると、意外なことに骸から承諾の言葉が。 ないから。 るのだと。炎真の誇りを、汚したくないのだ。Dに勝てやしないのだと、決めつけたく それでも、炎真のあの覚悟を知っているからこそ、賭けたい。炎真ならば、Dに勝て します﹄ ﹃これ以上、僕の家族を⋮ファミリーを失わせはしない。その為になら、僕はなんだって いんです⋮ ﹃家族の仇がこんなにも近くにいて⋮ 552 !? ︶ それならそれで最初にルールブックに明記しと ﹁守護者同士の戦いを失くそうとしたことは掟の妨害とみなす。よって新たな大空のア これルール違反扱い ﹂ ルコバレーノ、お前を投獄する﹂ ウッソだろ ︵てーかこいつら、俺を投獄する大義名分が欲しいだけじゃん けよ ! !!?? !! ! ! ︶俺、復讐者に連行されるフラグが思いっきり立ってた ! なく。 ﹂ ! ﹁っ、どうする気ですか ﹂ こいつらが説得に応じるタマか ﹁ええい、使えないですね ﹁どうするもこうするも ! !? 焦る骸がそう詰ってくるが、返す言葉もない。とはいえ、復讐者が諦めて撤退してく ! ﹂ 復讐者の攻撃を2人して避けながら、必死に思考を巡らせるが、妙案が浮かぶわけも わ うん、 ︵ほんっと今更だけど しかも未来でアルコバレーノでなくなっても生き残った2 人いる訳だし アリアとユニ 現アルコバレーノだけじゃなくて復讐者元アルコバレーノも興味津々になるよね そりゃあ︵今更ながらに気付いたけど︶代理戦争もなしでおしゃぶりの移行をすれば !! !! !? ﹁はぁああああ 気づいたら復讐者に邪魔されました。…ここでリタイアかよ!! 553 れる可能性はゼロに近い訳で。 ︶ してる=乗っ取れる条件が揃ってるわけだし 骸がクロームに憑依 そもそもシモンリングの覚醒も今日 ︵⋮⋮このまま戦闘になってD・スペードに気付かれたら最悪だ だったはずだし ! ﹂ ﹂ ﹂ シモンとボンゴレが和解した後の前報酬として六道骸を釈放しろ ええい、こうなったら最終手段 ! Dにお前の肉体を奪われたら厄介なんだよ 、何を言っているのですか貴方は 質として俺が和解されるまでそちらに行く ﹁ ﹁喧しい !! ! ! ﹁取引だ、復讐者 ! ! ! !! 超直感がこれでもかってくらい警報鳴らしまくってる !!! ﹁⋮いいダロウ。六道骸の釈放と引き換えに、お前を連れて行く﹂ し 本音としては超嫌だけどな 厭わないだろう。それくらいならば、敢えてあちらの要求を満たした方がいい。 こずらせれば、この場にいる骸と、その憑依されてるクロームが怪我を負わせることも アルコバレーノとなった俺の情報を喉から手が出るほど知りたがっている。あまり手 今のこいつらは一刻も早く大義名分のもと俺を連れて行き、前任を殺さないで新たな 喚く骸を一喝して黙らせ、手っ取り早く交渉のテーブルを作る。 ! !? ! 554 貸でいいからツッ君たち手伝ってくれ ! ﹂ !! 俺がスケット行くの無理そうだ ! 炎真ごめん ! そう叫びつつも、俺は渋々復讐者に連行される道を選ぶのだった。 ﹁⋮骸 気づいたら復讐者に邪魔されました。…ここでリタイアかよ!! 555 気づいたら大地が覚悟を決めたようです。⋮抱え込みす かった。 ﹄ ボンゴレデーチモ ﹃⋮おや、これは驚きましたねぇ。私の幻術を見破るとは⋮その姿と言い、初代霧の守護 思えば良かったんだと思う。 でも、だけど。あの時、僕だけが家族の中で意識を保てるようにされていたことは、今 共滅びの道を進むことになっていたに違いない。 そして、いつか。 襲撃者の思惑通りに、沢田綱吉へ、憎悪を募らせてシモンの皆諸 だせない人生を歩んでいただろう。 もし、あの時。宙兄さんが来なければ、きっと真美さえも失って。生きる意味を見い ﹃真っっっ !!!! 無力で、ただ家族が傷つけられ、殺され、蹂躙されていくのを見ていることしか出来な 大好きな両親と、妹の真美と一緒に自宅で過ごしてる時に訪れた襲撃。あの時の僕は 7歳の頃、世界が一変した。 炎真Side ぎないようにね 556 者の名を知っているといい、貴方は何者なんでしょうねえ おかげで、襲撃者の真の正体を知ることが出来たから。 ﹄ ? ﹄ これはこれは手酷くやられました⋮っ⋮貴方と今戦うのは分が悪い⋮ お暇させてもらいましょう⋮ ! シモンファミリー して僕の家族を傷つけさせやしないと。 ? たくなるくらい。 凄く、幸せだったんだ。叶うならば、このままずっと、Dのことなんか忘れてしまい 惜しみなく、限りなく、優しさと無性の愛情を与えてもらって。 う力も教えてもらって。 た。家事の仕方や料理の仕方、遅れがちだった勉強や、││││││生き残るために、戦 それから、両親を失った僕たちのために宙兄さんはずっと僕たちの世話を焼いてくれ ていうんだ﹄ ﹃⋮初めまして。炎真⋮君と、真美ちゃん⋮だね 真⋮君たちのお父さんの親友の宙っ 僕だけは、何があってもあの日起こったことを忘れないと。シモンのボスとして、決 だから決めた。 襲撃者│││Dは、シモンに災いを為すと幼心にも感じられて。 あの時は宙兄さんのおかげで僕たちは助かることが出来た。でもいつか、きっとあの ! ﹃ヌフフフフ⋮ 気づいたら大地が覚悟を決めたようです。…抱え込みすぎないようにね 557 ﹄ ﹄ だけど、幸福な夢は当然の如くいつまでもなんて続かない。 ﹃シモンの復興をしましょう、炎真 ﹃結局もう虐げられるだけなんて我慢ならん だったら ﹄ ﹃おいらたちが味わった悲しみを、もう繰り返したくないんだ﹄ ﹃炎真⋮俺も立ち上がる時⋮だと思う﹄ ﹃私モこのままナンテ嫌﹄ ﹃お兄ちゃんだって迫害されるの嫌でしょ ! ﹃⋮なぁ、炎真。俺ちんたちファミリーの思いをくみ取ってくれよ ? ﹄ うに眠り続けて⋮とてもじゃないけど、相談なんてできなくて。ずるずると、現状を打 識不明の重体となって病院へと搬送された。そうしてずっと、目を覚まさずに死んだよ しかも、それから一ヶ月ほど経ってまた宙兄さんはボンゴレの方で巻き込まれて、意 に巻き込まれて、入院するほどの怪我を負ったばかりで。 宙兄さんに相談しようかと思ったけど、丁度その頃宙兄さんはボンゴレの方での騒ぎ ていた。 を言っていたアーデルを中心に、気が付けば僕以外の全員がボンゴレへの憎悪を滾らせ 皆の意識が打倒ボンゴレに変わり始めたのは、大体半年ほど前から。昔からその意見 ? ! ! 558 気づいたら大地が覚悟を決めたようです。…抱え込みすぎないようにね 559 破することも出来ずに時間だけが過ぎていった。 嫌だ、と言えればよかった。こんな僕だけど、シモンのボスは僕だから。皆の想いを 拒絶することになっても、打倒ボンゴレなんて止めようと言えればよかった。 だって、結果なんて見えてるんだ。いくらシモンがボンゴレや他のファミリーにない 特異な炎を持っていたとしても、僕たちシモンファミリーはたったの8人しかいない。 数で攻め込まれたら、いつか必ず限界が来る。そうじゃなくて籠城戦となっても、結局 聖地での自給自足が出来なくなったらそこで終わり。一人一人抹殺されて、最後にはシ モンは一人残さず根絶やしにされるだろう。 巨大ボンゴレにかみついた、馬鹿な弱小ファミリーとして。マフィアなんて、そんな ものだから。 それに、確かに僕たちはボンゴレに迫害されてきた。大事な家族を、奪われてきた。 だけど⋮だからって、同じことを仕返したいかって言われたら僕はノーと答える。 だって、そうじゃないか。実際に僕たちを迫害した奴は憎い。でもボンゴレだからっ て全員が迫害してきたわけじゃ無い。 宙兄さんの甥のボンゴレデーチモ⋮沢田綱吉なんて、その最たるものだ。確かに彼は ボンゴレのボスだけど、そもそも僕たちの事どころかマフィアの血筋を引いてることさ え知らなかった。それなのに、関係者だから、ボンゴレだからといって殺そうなんて思 560 えない。⋮⋮まぁ、関係者という括りで言ったら宙兄さんも憎悪対象になるから無理 だっていうのが一番の理由だけど。 でも、それでも。僕は嫌だと言えなかった。打倒ボンゴレなんて諦めて、シモンファ ミリーと宙兄さんだけで静かに生きていこうと言えなかった。 だって、本当は分かってるんだ。皆が今になって、ボンゴレへの復讐心を滾らせてる のが何故かなんて。 簡単な話だ、焚きつける奴がいる。シモンの中で、僕の次に発言権のあるアーデルを いの一番に唆して、シモンを滅亡させようとしている奴が。 ずっと恐れてた⋮あの時の襲撃者、D・スペード。きっと今も、あの時、沢田綱吉の 父親である沢田家光に化けたみたいに僕のファミリーの誰かに成り代わっているんだ ろう。 でも、疑おうにも相手は上手く変装していて。ボンゴレのボスに伝わる超直感なんて ものもない僕じゃ、誰が〟そう〟なのかすら分からなくて。下手に誰かに相談すれば、 そこから全てが崩れ去ってしまうんじゃないかと恐ろしかった。 独 り ぼっ ち で 何より、ファミリーを疑うなんて辛いことを、他の誰にもして欲しくなかった。 だ か ら、フ ァ ミ リ ー が 目 の 前 に い る の に、僕だけで 皆 を 助 け る 作 戦 を 立 て る し か 無 かったんだ。 ⋮⋮だって、もし僕がシモンボスとして打倒ボンゴレに立ち上がらないならば、邪魔 な僕は排除され殺されてしまうだろうから。 死ぬのも嫌だけど、それ以上に不安なことがあった。 もし僕が殺されていなくなったら、次のシモンのボスとして据えられるのは真美だ。 僕と違って、本当の両親の仇も、今もこうしてシモンを滅亡に導こうとしてるD・スペー ドの存在も知らない真美がシモンボスとして打倒ボンゴレに立ち上がれば、捨て駒とし て利用されて終わりだろう。 ⋮真美に、そんな思いはさせられない。真美を、そんな目に遭わせたくはない。 だって、僕は真美のお兄ちゃんなんだ。皆を守る、シモンのボスなんだ。 頼りなくて、勉強だって、運動だって、人付き合いだって、得意じゃない冴えない僕 だけど、それでも守りたいものがある。失いたくないものがある。 だけど、このままじゃ僕は誰も守れない。 シモンファミリーはDに利用され、ボンゴレに報復対象として抹殺される。そんな未 それが、分かっているのに⋮我慢なんてできな 来だけは、絶対に御免で。これ以上、僕の家族をD・スペードに奪わせたくなくて。 ﹄ ! ! 復讐心がないわけじゃ無い。今もこうしてシモンファミリーの誰かに化けたDが身 いんです⋮ ﹃家族の仇がこんなにも近くにいて⋮ 気づいたら大地が覚悟を決めたようです。…抱え込みすぎないようにね 561 近にいると思うだけで、目の前が真っ赤になる。 ﹃⋮⋮茨の道になるよ﹄ ﹃はい﹄ ﹃二度とシモンの名を名乗れなくなるかもしれないんだよ ﹃誇りを汚されたままよりマシです﹄ ﹃ファミリーを傷つけることになっても ﹄ ﹄ のに、それでもDに利用されて終わりになんて認められない。 無謀だなんて百も承知だ。いまだに僕一人じゃDが誰に化けてるのかも分からない くなるだろう。 僕が負けたら、シモンはDの思惑通り利用されて、シモンの名は二度とこの世からな ﹃それでも、このままにはしておけないんです﹄ ? ﹃シモンを終わらせた最後のボスとして歴史に残るとしても ﹄ がやろうとしていることは皆の思いを否定している行為で、裏切りで。 ボンゴレと戦うことになれば、必ず皆は怪我をする。傷つく。それだけじゃなく、僕 ? 二度と、シモンの名を名乗れなくても。 だけどそれでも、皆を死なせたくない。これ以上、家族を失いたくない。たとえもう ﹃本当に守りたいものを守れるならば、汚名の一つ二つ構いません﹄ ? 562 ﹃ファミリーを⋮家族を全て喪うことになっても ﹄ ? に僕は父さんと同じ緋色の炎を拳に灯した│││ 冷たい地中の城の中。広間の椅子に座って。第五の鍵の映像が流れ終わるのと同時 僕はシモンボスとして独りでも皆を守り抜こうと、決めたんだ。 だから、決めた。どれだけ困難だと分かっていても、僕が、D・スペードを倒そうと。 ﹃そうさせない為に、宙さんを利用させてください﹄ 気づいたら大地が覚悟を決めたようです。…抱え込みすぎないようにね 563 気づいたら初代霧が大地と対峙してました。⋮ぶっ飛ば したいなぁ D Side ﹂ ? 家族を切り捨てようとしたあの時の冷酷な面影がなくなっている⋮ しかし、予想外にもしっかりした受け答えに内心で戸惑う。 ⋮妙ですね ﹂ 古里炎真だけに沢田綱吉の父・沢田家光が家族を殺した張本人だと教えた後、ボンゴ てーだ﹂ ﹁⋮あー、それが⋮なぁ⋮。アイツら、初代の記憶を理由に真美を口八丁で丸め込んだみ ﹁⋮⋮真美は ? ? ? ﹁あ、ああ⋮。⋮実は残念なお知らせがあんだが⋮アーデルハイトもやられちまった﹂ ﹁⋮⋮⋮ジュリー⋮⋮皆は ﹁ひょ∼っ、見違えたじゃねーか炎真。シモンリングの覚醒は終わったみてーだなっ﹂ あろう古里炎真の元へ確認しに立ち寄った時の事でした。 それはシモンリングの覚醒を終え、今頃は弱った心をリングに食われて壊れているで !! 564 レへの憎悪を脅かす初代の記憶によって動揺するファミリーを切り捨てたかと思って いたのですが⋮。 ﹁⋮⋮炎真 何言って⋮ ﹂ ? ジュリー⋮いや、D・スペード﹂ に私は瞠目する。 ﹁そうだろう ﹂ ﹂ ﹁ヌフフ⋮これはこれは予想外でしたねぇ⋮ 私の変装は完璧だったと思ったのですが まさかこの男、気づいていたというのですか⋮ ﹁っ ? ⋮いつ気づいたのです !? !! ! すると、ゆらりと立ち上がりながら予想外にもそんなことを言ってきました。 ﹁⋮確証なんてなかったさ﹂ いない私では少々分が悪い⋮。 驚愕しつつ、距離をとる。先程の戦闘ダメージもあり、かつまだ六道骸の肉体を得て ? 私の声に答えず、自分に言い聞かせるような言葉。しかし、その台詞が意味する内容 ない⋮⋮だからもう、シモンを名乗れるのは僕だけだ﹂ ﹁ボンゴレに負けるファミリーも、ボンゴレにつくファミリーもシモンファミリーじゃ ? ﹁⋮そう。じゃあ、シモンファミリーはもう僕だけだね﹂ 気づいたら初代霧が大地と対峙してました。…ぶっ飛ばしたいなぁ!! 565 確証がない⋮ ならばなぜ⋮ ? ? ﹁⋮ ヌ フ フ、ヌ ハ ッ ハ ッ ハ ッ ハ ﹂ これはこれはお見逸れしました ファミリーを牢獄に入れる決断をするとは ﹁ヌフフフ⋮中々に私好みな非情でいい作戦ですねぇ﹂ なる。 まさかボス自らが も器候補は傷だらけになり、かつ牢獄へと入れられれば器としての価値はほとんどなく 曲がりなりにも戦っていた相手はボンゴレデーチモとその守護者。勝っても負けて 確かにそれならば、私は加藤ジュリー以外の器を乗っ取れなくなるでしょう。 の約束を利用して牢獄に隔離したというわけですか﹂ ﹁貴方は私が他人の体に乗り移る術者であることを知り、私の乗っ取れる器候補を初代 ! ! 成る程、それであの時投獄の邪魔をしようとした妹を妨害したのですね !!! ! はない。⋮いいえ、これは寧ろ笑いがこみ上げてきますよ。 真っ直ぐと、揺らぎない眼差しで私を睨んできました。しかし、私はそれに怯むこと ﹁だから、初代の約束を利用して消去法で判断することにした﹂ でも、と古里炎真は言葉を続けて。 うのに、他人が成りすましているのが誰かすら分からなかった不甲斐ないボスだよ﹂ ﹁僕にはボンゴレのボスみたいな超直感なんてない。物心ついたときから一緒だって言 566 軟弱な思想をプリーモに吹き込んだあのシモン・コザァートとは大違いです。このよ うな男だと分かっていたらもう少し別な使い道があったかもしれませんね⋮。 ﹂ 器として使えないどころか、一 歩間違えれば沢田綱吉たちにファミリーを殺されていたかもしれないというのに ? そ賭けたというわけですか ﹂ ﹁おやおや⋮つまり貴方は、私の嫌ったマフィアのボスらしくない沢田綱吉の甘さにこ 田綱吉〝だ﹂ ダメだけど⋮他人の痛みを分かってあげられる優しい人間。それが、僕の知ってる〝沢 ﹁僕は⋮僕が知ってる〝沢田綱吉〟は、宙兄さんに聞いた奴だけだ。運動も勉強もダメ しかも、あれほど嫌っていた沢田綱吉を庇うような言葉を。 ﹁ボンゴレデーチモだとか、門外顧問の息子だとか、そんなこと関係ない﹂ した。 と、そこで。黙って私の言葉を否定せずに聞いていた相手がそんなことを言ってきま ﹁⋮〝沢田綱吉〟はそんなことしない﹂ れば私もこのような手間を掛けずに済んだのですが⋮今さら言っても詮無き事ですね。 まぁ尤も。そこで刃向かった愚か者を血祭りに上げるぐらいの気位が沢田綱吉にあ ? ﹁ですがその作戦は随分と穴があるのではないですか 気づいたら初代霧が大地と対峙してました。…ぶっ飛ばしたいなぁ!! 567 ? ﹁⋮まさか。僕が信頼したのは宙兄さんがそう信じてたから。ボンゴレデーチモとして の〝沢田綱吉〟なんて興味もないよ。⋮宙兄さんの甥っ子の〝沢田綱吉〟だから、信じ たんだ﹂ 体もないでしょうが。 ﹂ ﹁では次に。貴方は私に攻撃ができるので れっきとしたお仲間のものですよ ? そして、気づいているのでしょうか 己の矛盾した言葉に⋮ファミリーの誇りを守る を軽視するとは﹂ ﹁ほぉう⋮中々に素晴らしく冷徹な選択ですねぇ⋮目的のためならば、ファミリーの命 ら、なんだってするさ﹂ ﹁お前に乗り移られたまま、悪行を尽くされるよりマシだ。ジュリーの誇りを守る為な ? 私が乗り移っているとはいえ、この身体は た時の反応が楽しみですねぇ。尤も、その頃には相手は既に死んでいるので反応する身 ヌフフ⋮これは、私が新たなボンゴレボスとしてあの青年をマインドコントロールし そしてまた、驚くほどにあの宙という青年を信頼しているが故の信用です。 ﹁これはまた、随分と不確かな確証ですねぇ﹂ 568 ﹁⋮⋮ファミリーじゃないさ﹂ 為といいながら、そのファミリーの命を失う可能性がある行動をするということに。 ? ﹁ヌフ ﹂ と、そこで私の言葉を部分的に否定した古里炎真に疑問が浮かぶ。 ? ﹂ ? ⋮僕以外のシモンファミリーなんて要らない。そう言ったんだ﹂ ? 成る程、そういうことでしたか シモンのボスである貴方が、シモン ! ! ﹂ ? ﹁⋮⋮お前を倒した後ならば、なに不安なく真美に任せられる﹂ 貴方がいなくなった後のファミリーはどうするおつもりで ﹁そうして貴方はただ一人、シモンボスとしてすべての罪を被る気でいると⋮。ですが、 詭弁もいいところですが、形振り構わぬその覚悟は嫌いではありませんね。 ですか﹂ ミリーとは無関係だと宣言することにより、全てが終わった後に牢獄から出すおつもり ファミリーは自分だけだと⋮⋮牢獄にいる彼らはシモンの人間でないとシモンのファ ﹁⋮ヌハハハハッ 情になる古里炎真。しかし、数拍後に相手の真意を知り驚嘆の声が上がる。 怪訝な表情になる私と対照的に、何処かほっとしたような⋮晴れ晴れとしたような表 ﹁分からない ﹁⋮この期に及んで何を言っているのです しかも重ねて言われたその内容は、更に理解不能な言葉で。 い﹂ ﹁ボ ン ゴ レ に 憑 り つ か れ る よ う な 不 甲 斐 な い フ ァ ミ リ ー は シ モ ン フ ァ ミ リ ー に 要 ら な 気づいたら初代霧が大地と対峙してました。…ぶっ飛ばしたいなぁ!! 569 ﹁これはこれは⋮いざとなれば貴方を殺そうとする私の策も見透かされていましたか﹂ もし邪魔をするならば古里真美をボスに仕立てて裏から操ろうかと思っていました が⋮ヌフフ⋮どうやらそれに関しては先手を打たれていたようですね。だからこその 現状というわけでしょう。 ﹁ぐっ ﹂ グンッ より、私の幻術も見破れぬものが﹂ ﹁いいえ、不可能ですよ。シモンリングの覚醒だとしてもその条件は私とて同じ。なに 相手が緋色の炎を拳に纏わせたのを視認し、こちらも戦闘態勢に入る。 ﹁これから現実にするさ﹂ ﹁ヌフフ⋮私を倒すとはまた大きく出たものですね﹂ ですから。 今すべきことは、妄想甚だしい大言壮語を語る、この愚かな道化を始末することなの ﹁シモンに災いを齎すお前は、今ここで僕が倒す﹂ まぁそれについては後でで構いません。 ﹁御託はもういいよ﹂ 570 ! ⋮面白いではありませんか そこまで言いかけた時、突如体の重心が不自然に揺らぐ。 フッ⋮既に始まっている、という訳ですか⋮ ﹂ ﹁たかだか沢田綱吉を排除する駒の分際で⋮私に勝てると思わないことですね ﹂ ザシュッ ﹁がっ それは呆気なく終わりを迎える。 愚かです⋮本当に愚かですねぇ、古里炎真 ﹂ 奪 さ れ る と い う 事。お 前 は 既 に 私 の 術 中 に 嵌 ! なんとまぁ、喜劇じみた結末でしょうか ﹁ヌハハハハッ ﹂ ことは即ち知覚のコントロール権を まっていたのですよ ? ! ! ! ﹁うっ⋮ぐっ⋮D⋮ ﹂ 時に、手っ取り早く幻術を仕込んでいたに決まっているではないですか。 そもそも、私がただダラダラとお前と話す筈もない。お前から情報を引き出すのと同 ! 幻術を見せられるという へと肉薄する。それを相手が重力で出来た星を使い、妨害しようとする⋮が。 ダッと駆けだすのと同時に有幻覚を織り交ぜた幻覚の複数だし、多方向から古里炎真 ﹁グラヴィッダ・デッラ・テラ !!! ! ! ﹁無駄口をたたく余裕はないよ﹂ 気づいたら初代霧が大地と対峙してました。…ぶっ飛ばしたいなぁ!! 571 ! ﹁おやおや、この程度で死なれては困りますね、古里炎真。見事な悪役を演じたお前に免 ﹂ じて、1つ名誉ある役目を授けましょう﹂ ﹁なに、を⋮ ﹂ !! そうして私は笑いながら、その場を去ったのだった│││ 待っているがいい、六道骸。その肉体を奪うのも時間の問題です。 さて、少々手間取りましたがそろそろクロ│ムの元へと行きましょうか。 から﹂ ﹁ええ、それでいいのです。お前に与えられた役割は最初から沢田綱吉の抹殺なのです ﹁ツナ⋮ヨシ⋮コロス⋮﹂ マインドコントロールが上手く言ったようですね。 そして、相手の目から徐々に意志の力が消えていくのを見て、満足げに立ち上がる。 ﹁⋮⋮っ 上機嫌に笑いながら、真っ直ぐとこちらも古里炎真の目を覗き込んでやる。 ﹁ヌフフフフ⋮﹂ が、その瞳に灯った憎悪の炎は、悪くない。 この期に及んでまだ往生際悪く、重傷の身となりながらも私を睨みつけますか⋮だ ! 572 気づいたら大空が決意したようです⋮俺の代わりに頑 張って 野営の準備をしてたんだけど⋮。 ﹂ だけど、万全の状態じゃ無きゃDは倒せないっていうのが分かってたから、仕方なく じゃないかって。 それを聞いて、不安になった。上手く⋮言えないけど、早くしないと手遅れになるん しい。 Dの目的である骸が釈放された代わりに、ひろ兄が復讐者に連れて行かれてしまったら それからVGを取りに来たクロームと合流して聞いた話は驚くべき内容で。なんと、 の言う通りにしたんだ。 とんどが今日死闘を繰り広げていて、体力も気力も足りてない状態だったからリボーン た。でもリボーンに、一晩しっかり休んだ方がいいって言われて⋮。実際、俺以外はほ Dが正体を現した後、俺たちは真美ちゃんと一緒にすぐに炎真を助けに向かおうとし ツナSide !! ﹁⋮あの、綱吉さん⋮一つ聞いてもいい ? 気づいたら大空が決意したようです…俺の代わりに頑張って!! 573 ﹁真美ちゃん ﹂ だしね⋮︶俺に声を掛けてきたのは。 ﹂ ﹁その⋮どうして、私たちを⋮お兄ちゃんを助けようとしてくれるの ﹁え ﹂ そんな時だった。真美ちゃんが気まずそうに︵まぁ、ボンゴレの中で一人だけシモン ? ﹂ !? お兄ちゃんは綱吉さんに酷い事いっぱい言って⋮ 真美ちゃんの言葉に、少しだけ遠い目になる。思い返しても、炎真に嫌われた目以外 ! ⋮守護者同士の戦いについてはお互い様だと思うし﹂ ﹁で、でも⋮ ! ﹁あーうん、俺⋮炎真に嫌われてるよね⋮﹂ ﹂ ﹁だって、シモンの迫害については結局のところDの仕業とは言えボンゴレのせいだし すぐに、苦笑気味にそう返した。まぁ真美ちゃんはすっごく驚いてたけど。 ﹁えっ なぁ﹂ ﹁う ー ん ⋮ で も 俺、そ も そ も ボ ン ゴ レ と シ モ ン の 諍 い と か 関 係 な し に や っ て き た か ら ついで心細そうに言われた言葉に、俺は数瞬だけ目を見開いて。 ﹁だって⋮Dに騙されてたとはいえ⋮私たち、酷いこといっぱいしたし⋮言ったのに⋮﹂ ? ? 574 で見られたことはほとんどない。でも。 ﹁俺、確かに炎真に嫌われてるけど⋮俺は炎真の事嫌いじゃないよ﹂ ﹁十代目⋮﹂ いかって⋮今ならそう思う。それと⋮。 えなくて、一人で抱え込んで、それで⋮ファミリーの為に、あんなことをしたんじゃな なんでかは分からないけど、炎真はDのことに気付いていて、それをファミリーに言 操られてる⋮とはとても思えなかった。 その目は、何かを必死で我慢しているように見えたんだ。 ファミリーに見せないようにしてて⋮それから戦闘になって、真っ直ぐと見据えた時、 炎真はあの時、酷い事を自分のファミリーに言っていた。けど、絶対に自分の表情を だって、そのほうがしっくりくるんだ。 じゃないかなって思う。 でも、今思えば。炎真はもしかして真実を知っていて⋮敢えて、悪役を担ってたん ふと脳裏に思い浮かぶのは、今日の昼間に見た〟らしくない〟炎真の姿。 ﹃手を出すな、真美。シモンファミリーにボンゴレに負けるような弱者は要らないんだ﹄ ﹁ツナ⋮﹂ 気づいたら大空が決意したようです…俺の代わりに頑張って!! 575 ﹁なんていうか⋮炎真って俺の事嫌いだけど、でもそれがなんでかっていうと⋮ボンゴ 宙兄さんを何度ボンゴレの業に巻き込んで死な レが、シモンがどうこうっていうより⋮俺が、ひろ兄の甥っ子だからって気がするんだ﹂ ﹄ ﹃君は何度宙兄さんを巻き込んできた せかけた ﹂ ? そしてふと、小学校の頃、学校の宿題で夏目漱石の読書感想文を書いたことを思いだ 真美ちゃんの言葉にまた苦笑しちゃうけど、やっぱりその言葉に凄く納得する。 ﹁あはは、凄く分かる﹂ 言ったのでほぼ大当たりだと思うよ。お兄ちゃん、宙お兄ちゃんの事大好きだもん﹂ ﹁ううん、ただ凄いなぁ⋮って思って。多分、お兄ちゃんが綱吉さんの事嫌いな理由は今 ﹁へ ﹁⋮⋮これがボンゴレの超直感なんだ﹂ ほんと、恋愛感情でもないのに使うのって変な感じだけど。 ﹁なんていうか⋮言い方おかしいけど、嫉妬⋮っていうのが一番しっくりくるんだよね﹂ ないほどある。だけど、炎真が俺の事嫌いなのはもっと単純に⋮。 もちろん、俺がボンゴレボスに選ばれたことでひろ兄に迷惑をかけたことは数え切れ ? ? 576 す。とはいえ、今もだけどその時は本を読むのも感想文を書くのも苦手で⋮情けない話 だけど、ひろ兄に泣きついたんだった。国語教師のひろ兄を頼るのって結構ズルだと思 うけど⋮その時は必至だったし。 そしたらひろ兄に渡されたのは﹃吾輩は猫である﹄で、ある一文をさしてひろ兄はこ う言った。 こんな百年ほど前の人が書いた内容に俺たちは共感 ? ﹁俺、炎真ともっといっぱいひろ兄のことについて話をしたい。助けたいと思う理由な だけど、ひろ兄を大好きだっていうことだけは、きっとお互い共感できるから。 俺と炎真は育ってきた環境も、周りの待遇も、ボスとしての覚悟も何もかもが違う。 この言葉の意味が分かる気がして。 説明されて、なんとなくひろ兄の言いたいことは分かった。でも今は、あの時以上に 俺は思うよ﹄ 人と人が分かり合える可能性を身近に感じることができるのは、とても大事なことだと できる。時間も距離も飛び越えて、大空と大地を対のものだと感じることが出来る。⋮ ﹃ねぇツッ君、面白いと思わない 勿論、言われた当時は何のことか分からなかったけど⋮。 が好きだよ﹄ ﹃〟大空は万物を覆ふ為め、大地は万物を載せる為に出来て居る〟⋮⋮俺はね、この一文 気づいたら大空が決意したようです…俺の代わりに頑張って!! 577 578 んてそれだけでいいと思うんだ﹂ ちょっぴり照れくさくなりながらも、俺は笑ってそう言ったのだった。 気づいたら大地が大空と和解してました。⋮あれっ、嫌 !? れこそ短期間で、死に物狂いであれだけの力を手に入れる必要があったのだから。 ずっと虐げられてきて、自衛の力を身に着けるしかなかった僕たちと違って、彼はそ られたら寝耳に水どころじゃ無い。 然自分がマフィアのボス│││それもイタリア一といわれるボンゴレのボスだと教え 勿論彼にだって、大変なことがあっただろう。中学生まで平和に生きてきたなら、突 てを持ってる彼が。 何もかもが、僕と正反対で⋮⋮ただただ、羨ましかった。僕の持っていないもの、全 も、ボスだからってだけじゃなくついてきてくれる仲間も。 両親が生きていることも、マフィアの汚い部分を見ずに平和的に生きてこれたこと たから。でもそれは、負い目のせいで素直に甘えらない僕の嫉妬だって分かってる。 宙兄さんの甥っ子だからって、沢山迷惑をかけて、それを許されて、甘やかされてい 最初は﹁沢田綱吉﹂が嫌いだった。 炎真Side な予感がする 気づいたら大地が大空と和解してました。…あれっ、嫌な予感がする!? 579 ⋮⋮まぁ、その過程で宙兄さんを巻き込んだことは絶対に今でも許せないし、許すつ もりもないけど。 でも、今回。僕たちのせいで宙兄さんを巻き込んでしまってから、一人になった時は ﹄ よくあの思い出が思いだされた。あの⋮宙兄さんから貰った言葉の中で、一番嬉しかっ たあの時の事を。 ﹃⋮ねぇ、宙兄さん。沢田綱吉ってどういう子なの そこら辺にいるような、勉強も運動も苦手で、自分の意見をはっきり言うことが ? ﹃⋮優しい子なんだね﹄ なれる子だよ﹄ ﹃まぁ、だけど。あの子は、自分じゃない他の誰かが傷つかない為なら、ほんの少し強く は僕だけの秘密だ。 でも⋮ついで言われた言葉に。それを言った宙兄さんの表情に少しばかり嫉妬したの まぁ、返答は宙兄さんの甥っ子という期待を裏切ってとても平凡なものだったけど。 もいる普通の子供だよ﹄ 苦手で、でもなんだかんだ傷ついてる人を放っておけないよーなお人好しの⋮どこにで ﹃んー と同い年の甥っ子がいると聞いて、興味を持ったのがキッカケ。 それは、ふとした拍子に問いかけた他愛のない質問。確か、何かの縁で宙兄さんの僕 ? 580 ﹃うん。│││炎真君と同じようにね﹄ だけど、続けて茶目っ気たっぷりに言われた言葉に思わず瞠目した。僕が、優しい 思わず自問自答してしまうくらいには意表を突かれた言葉だった。 その頃から僕は、あんまりファミリー以外に愛想がいいわけでもなかったし、自分た ? と ちが生きるのに必死だったから他人を助けるなんてこともしてなかった。だから、それ こそ〟優しい人の代名詞〟みたいな宙兄さんに不意にそんなこと言われてどこが 思ってしまったんだ。 ? ﹄ ? だよ﹄ 最高のボス 父さんの足元にも及ばない、僕が ? とんでもない、爆弾を放った。それはもう、ビックバンなんて目じゃないくらいの大 るボスが一番好ましいと思う。だから、炎真君は俺の中じゃ最高のボスなんだ﹄ ﹃ファミリーの数だけ、色んなボスの形がある。でも俺は、自分のファミリーを大事にす いまだに納得のいかなかった卑屈な僕を見て、宙兄さんは苦笑して。 ? ﹃ほら。そうやって、ファミリーを守ろうと奮闘する炎真君は優しくて強い、最高のボス ﹃⋮だって、それは⋮僕は⋮僕が、シモンのボス⋮だから﹄ してるだろう ﹃⋮優しいよ、炎真君は。だって、ボスとして真美ちゃんを、皆を守る為に強くなろうと 気づいたら大地が大空と和解してました。…あれっ、嫌な予感がする!? 581 威力で。 ﹃⋮⋮⋮っ宙兄さん 恥ずかしげもなくそんなこと言わないでよっ﹄ ﹃エッ、なんで俺怒られてんの なんで炎真君大地の炎灯そうとしてんのぉ│││ ﹄ !? ! ﹄ ﹄ !!! ドコントロールされてしまったけれど。 スとしての誇りを失わずに済んだ。⋮⋮それでも、力及ばずにDに勝つどころかマイン あの賛辞があったから、僕は逃げださないでいられた。皆を守ろうとする、シモンボ すために対峙した時も。 嘘の言葉で更に傷つけて信じられないような目で見られた時も。たった独りで、Dを倒 Dを倒すためにファミリーを騙すと決意した時も。皆が実際に傷をついて、それでも だから、耐えられたんだ。 なによりの宝物になった。 何はともあれ。あの時、宙兄さんに贈られた﹁最高のボス﹂という賛辞は僕にとって ⋮⋮あの後、照れ隠しに思いっきり大地の炎でふっ飛ばしたっけ。 ﹃うぉわぁああああ !!?? ﹃いっぺん頭冷やして来て さんにお構いなしに炎を灯して。 顔どころか耳まで真っ赤になってるであろう程に羞恥心にまみれた僕は、戸惑う宙兄 ? 582 *** それから、どれくらいの時間が過ぎたのか。 ﹂ ﹂ と思う間もなく、とんでもない言葉が聞こえてきた。 ﹁俺たちはお前を迎えに来た どうして彼が ぶっ飛ばせるのはお兄 何の相談もなく復讐者に連れ去られた宙兄さんを説教するために一緒に来て欲 ﹂ ﹂ 宙お兄ちゃんが自己犠牲精神発揮して大変なの ちゃんしかいないよ ﹁お兄ちゃん ! しい ? ﹁││っまた宙兄さんは無茶したの ﹂ 合じゃ無いなって思ったら自然に解けてただけだよ ! ? これで一緒にひろ兄をぶん殴りに行けるね ﹂ いや、好きでマインドコントロールされてたわけじゃ無いんだけど。正気失ってる場 !!? はなかった。 ついで、被せるように聞こえてきた真美の言葉にもう、正気に戻らないという選択肢 !!! ! ﹁炎真 !!! の嫌いな沢田綱吉のもので。 分からなかったけど、その声は唐突に僕の中へと響いた。そしてその響いた声は、僕 ﹁炎真 !!! ! !!! ﹁よかった炎真、正気に戻って ! 気づいたら大地が大空と和解してました。…あれっ、嫌な予感がする!? 583 ﹁⋮ツナと炎真の宙フルボッココンビが出来たな﹂ ﹂ ﹂ つーか古里だけには宙さんも言われたくねーのな∼﹂ ﹁なんでマインドコントロール解けるんスかこれで ﹁ははっ !? ﹁さっすが宙お兄ちゃんクラスタなだけあるね、お兄ちゃん ! *** ! ておいてね♪﹂ ⋮と言われた僕はどこに逃げればいいんだろ かな⋮ ? をやらかそうとしていることを。 遠い目で現実逃避をしている僕は知らない。今まさにこの瞬間、宙兄さんがあること ? いっそ宙兄さんと一緒に逃亡しよっ ﹁それはそれとして、お兄ちゃんも独りで無茶したんだから後で皆に怒られる覚悟はし あと、真美に笑顔で。 *** ようになった︶は、先にDを倒すことにしたのだった│││ 至った僕とツナヨシ君︵なんだか宙兄さんに対してイロイロ思う所に共感してこう呼ぶ それからまぁ、色々あって。心置きなく宙兄さんをぶっ飛ばしたい という結論に ⋮うん、それだけだよ。だから真美、クラスタって言い方止めて。否定要素ないけど。 ! 584
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