21世紀科学セミナー ライフサイエンス編 (ケミカルバイオ

平成29年度 大阪府立大学公開講座
ケミカルバイオロジー
研究所
Research Institute for Chemical Biology
第 6 回ライフサイエンス編
4 7
平成29年 月 日(金)
「生体防御の最終兵器“抗体”」
4 21日(金)
平成29年 月
「魔法の弾丸“抗体医薬”」
講師:藤井 郁雄
(大阪府立大学 大学院理学系研究科 教授/
ケミカルバイオロジー研究所 所長/バイオメディカルフォーラム 所長)
講
師
4月7日(金)
藤井 郁雄 教授
「生体防御の最終兵器“抗体”」
私たちは、無数の外敵に囲まれて生きています。
その外敵の代表が、バクテリアやウイルスです。彼らの図体は
とても小さく、音もなくこっそりと私たちの体の中に忍び込む。 しか
も、彼らは水、空気、土という地球のインフラそのものに住みつい
ているので、私たちの体に必ず侵入してきます。
しかし、私たちには、侵入してくる外敵を退治する能力が備わって
いるので、そう簡単には病気になりません。私たちは、二つの方法
で、体を外敵から護っています。物理的な防衛と免疫による防衛
です。物理的な防衛は皮膚や粘膜ですが、それらをくぐり抜けて
きた外敵を最終的に叩くのは、免疫が創り出す抗体です。インフルエンザ・ワクチンの
接種により防御しているのも抗体なのです。本セミナーでは、免疫の主役である抗体に
ついて、その実に巧妙なからくりをできるだけ平易に説明し、次回のセミナー「魔法の弾
丸“抗体医薬”」に繋げていきます。
4月21日(金)
「魔法の弾丸“抗体医薬”」
近年のバイオテクノロジーの発展は、抗体を医薬品として利用
することを可能にしました。抗体医薬は、一つの抗体が一つの
抗原だけと結合する特異性を利用して、病気を治します。最近の
ヒトゲノム解析により、病気を引き起こすタンパク質(標的タンパク
質)が特定されていくことで、抗体医薬の可能性が拡大しています。
これまでの医薬品との大きな違いは、やはり、その特異性です。
これまでの医薬品は、標的タンパク質以外にも作用することが
しばしばあり、時として思わぬ副作用がでることがあります。一方、
抗体医薬品は、標的タンパク質を狙って作ると、標的以外に作用
することがほとんどないため、予想外の副作用がでることがありません。まさに、“魔法
の弾丸”なのです。現在、抗体医薬は、リウマチやアレルギーの治療で高い成果をあげ
ています。がん治療では、白血病、乳がん、大腸がんで抗体医薬が使われており、今後
も抗がん薬開発の主流を占めていくことは間違いありません。
5月26日(金)6月2日(金)
観光産業戦略研究所
6月16日(金)30日(金)
サービスサイエンス研究所