PowerPoint プレゼンテーション

本症例で学んだこと
劇症型心筋症の一症例
・やはり 常に心筋炎を念頭に置くこと
・当初は wide QRS tachycardia による ショック?
松山赤十字病院 循環器内科
新富 將央
診断のポイント①
・急性心筋炎の発生頻度は0.6%と決して低くない
Feeley KM,:J Clin Pathol.2000;53:147-149
・身体所見
心音のギャロップの有無
・胸部レントゲン検査
劇症型心筋炎では肺うっ血像が71%見られ
るが、心胸郭比が50%以下の患者も15%、平均でも心胸郭比は55%
診断のポイント②
・心エコー検査
心嚢液貯留 88%, 左室hypokinesis 88%, 左室
壁厚増加 67%, 左房拡大 16%, 左室拡大 12% 心嚢液が検出でき、
左室の壁厚が増加している部位の壁運動低下に注意
・検体検査
AST上昇 98%, CRP陽性 94%, トロポニンT上昇
91%, CPK上昇 91%, LDH上昇 82%, アシドーシス 80%, LDH上昇
82%, 白血球増多 61%, クレアチニン上昇 53%
・心電図検査 ST-T異常 100%, 前胸部誘導でのr波減高 94%,異常Q波
80%,低電位差 58%,洞性頻脈 94%,完全房室ブロック 35%,右脚ブロック 29%,左脚ブ
ロック 17%
治療のポイント
・急性心筋炎のうちどのような患者が劇症化する
のかは分からない 心筋炎を惹き起こす因子と個体の炎症
に対する防御因子(免疫応答)のバランスが負に傾くことで劇症化
すると思われる
・そのため心肺危機(致死的不整脈や低心拍出状態)
に迅速に対応できる体制で患者管理をする
・カテコラミンやPDE阻害薬で循環不全が改善しな
い場合にはIABPを動員し、それでもだめなら
PCPSによる心肺補助を行う
Izumi;Jpn Circ J,2000:64:985-992
予後のポイント
・劇症型心筋炎患者52症例においては 30例(58%)が社会復帰可能
な生存退院。 1名が社会復帰不能例であり、21名(40%)が死亡。
・発病から緊急入院まで平均5日間要し、入院からPCPSを導入す
るまで1日、PCPS運用時間は8日。生存者と死亡者で運用時間の
差異はなかった。
・社会復帰した30症例についての平均3年間観察では再入院10%、
再燃3%、死亡10%であった。
和泉 徹:心肺補助循環を用いた劇症型心筋炎の治療と予後に関する調査研究.日本循環器学会学術委員会
(1997-1999年度報告)
1
まとめ
経胸壁心エコー検査(入院時)
・心筋炎を診断する第一歩は心筋炎を疑い念頭
におくこと 原因不明の重症不整脈、心ブロック、心不全に注意
・心筋炎による血行動態の破綻を回避し、自然回
復の時期までいかに橋渡しするかが重要
・疑わしいとき 呼んでください
経胸壁心エコー検査(第2病日)
経胸壁心エコー検査(第3病日)
経胸壁心エコー検査(第6病日)
経胸壁心エコー検査(第13病日)
2
12誘導心電図検査(入院時)
12誘導心電図検査(第3病日)
12誘導心電図検査(第13病日)
3