地調査 P.1

P.1
現
地調査
調査目的
自然再生計画立案にあたってのスキームの
1つとして現地調査を行いました。
調査目的は、汚染源の有無・水系の流路・
田面現況(湛水機能の有無・植生等田面被
覆の状況・畦畔構造等)・現存生物等の確
認です。
尚、このサイトは、上流域でこの水系から
取水する水系はなく、また、下流域でこの
水系に接続する水田等もないことから、利
水関係の調査・権利処理は必要としていま
せん。
掘削可否が懸念される田面が6枚程確認さ
れましたが、草刈後改めて掘削可否を判断
することとしました。
確認された現存生物は、現地調査に先立ち
実施した文献調査より把握・推察される範
囲内におさまり、特に注視を要する状況に
ありません。ただ、フラスコモ類の確認さ
れたのが1箇所のみであるため、基盤整備
に際してはこの個体群(またはこの子孫)
を保全すべく留意することとしました。
調査概要
調査は、踏査により、EC計測・植生調査・
動物捕獲を実施しました。踏査経路は右図
に示すとおりです。
当基金スタッフに加え、奈良市青少年野外
活動センタのスタッフと飛び入り参加の奈
良教育大学の学生を交えての調査です。
放棄(1995年頃)後20数年を経て、棚田
の区画は既に不明瞭となっています(①)。
背丈を優に越えるジャンクルと化した草む
ら(②)に分け入り、勘を頼りに行軍です。
行く手を阻まれ(③)、空も覆われ(④)、
軽く遭難しつつ、それでも時折、先発隊が
倒伏した草むらの先で歓喜の声が上がりま
す。奇蹟のように開けた空間が忽然と出現
したり(⑤)、昼寝中のウリボウに出くわ
したり、わずかに残る開放水面に網を入れ
ると思いがけずフラスコモ類(⑥)やオオ
コオイムシ(⑦)らが確認されたりします。 踏査経路
生態や生息環境、名前の由来等についての
レクチャーに、同行者達からは改めて感嘆
の声が聞かれます。
調査結果
前日の降雨の影響により、希釈された表層
水からは土壌のようすが把握しづらくなり
ましたが、反面、水系流路が明確となりま
した。
調査の結果、水質に異常は見られません。
ECは全田面に渡り100μmS/cm未満を示し、 ①
むしろ湿原に近い貧栄養状態にあることが
確認されました。ECで異常値が計測され
た場合に備えpH・COD等の追加計測を予
定していましたが、これらが必要となる局
面も出現しませんでした。
水質調査の結果、田面、及び、集水域に汚
染源(e.g.産業廃棄物)はないと推察され
ることから、自然再生を実施できる目処が
たちました。
田面現況として、ネザサ等高茎の植生が過
剰繁茂し踏査に入れず田起こし等の田面の ②
③
④
⑤
⑥
⑦
©自然再生と自然保護区のための基金