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2017/2/16
官民データ活用の推進について(コメント)
川島 宏一(筑波大学)
1. 官民データの活用は、日本の社会経済において、これまで活かされず埋もれ
ていた資源を組み合わせ、化学反応を起こし、価値を生み出す形に構成して
ゆくための重要な触媒であって、日本経済の再活性化及び地方経済の振興に
とって、鍵的な意義を有する。
2. 基本計画には、官側からデータを積極公開する原則(Open by Default 原則)
の更なる徹底、重点データ分野の特定、官民対話の場とプロセスの設定が必
要。国における Open by Default 原則の更なる徹底のためには、民間からの
オープン化要請に対してオープン化できないデータがある場合には、その理
由を担当大臣が総理に報告する仕組みも有効。
3. また、公共データのオープン化(オープンデータ)の流れにとどまることな
く、公共的な価値を生み出しうる民間データの積極的な活用も重要。例えば、
民間が保有し、公共利用可能な AED の所在位置データの共有など。
4. さらに、官民データ交流によるイノベーションの創出のためには、これまで
の公共セクターのクローズ指向の組織文化の変革が必要。そのためには、技
術的、経済的、法律的な視点からのアプローチだけではなく、組織変革のマ
ネージメント(Change Management)の視点からの取り組みが重要。
5. なお、国の基本計画策定の際には、G8 オープンデータ憲章アクションプラン
の履行及び Open Government Partnership への参加についても考慮すべき。
6. 最後に、官民データ活用法を有効に機能させるには、IT 総合戦略室など担当
する組織が官民対話の場で十分なファシリテーター機能を発揮する必要が
あり、担当組織の抜本的な機能強化が必須。
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