共 同 声 明 アフリカにおける砂漠化対処に向けたパートナーシップ: 国連砂漠化対処条約と国際協力機構の協力 (仮訳) 2017 年 2 月 8 日 本日、国連事務次長・国連砂漠化対処条約(UNCCD)事務局のモニーク・バルビュー 事務局長と国際協力機構(JICA)の鈴木規子理事は、JICA 本部において、アフリカの 発展のための連携可能性について意見交換を行いました。 日本の耕作面積の 20 倍以上にあたる約 8 億 7,400 万ヘクタールものアフリカの土地が 農業生産に適しているにもかかわらず、その 83%が砂漠化の影響を強く受けています。 国連食糧農業機関(FAO)によれば、1 年あたりの砂漠化による自然資本の損失価値は 10〜30 億ドルにものぼると見積もられています。 一方で、サブサハラアフリカの 3 億ヘクタールの農耕地のうち、その四分の一において 土地や水の管理を改善することによって、さらに 2,200 万トンの食糧増産が可能となり ます。これは、経済の 9 割以上を、天水農業や自給自足農業といった天候に大きく左右 される農業に依存するアフリカにとって重要な機会であると言えます。土地の回復は、 貧しい農民が大多数を占める土地利用者の食糧確保と収入の向上につながります。これ により、人々の不要な移動を回避し、土地が劣化した地域で起こっている、もしくは今 後起こり得る資源を巡る争いを減らすことに役立ちます。砂漠化は、貧困の原因であり、 また結果であり、不安定化に繋がる移民の増加の要因でもあります。したがって、砂漠 化対処は、アフリカの持続可能な開発の実現とともに、この地域、そして世界に平和と 安定をもたらす上で重要です。 このような背景を踏まえ、バルビュー事務局長と鈴木理事は、それぞれの機関で実施中 である、特に土地劣化、砂漠化、干ばつ緩和への対応に関する支援事業における相乗効 果の発現を目指し、アフリカにおける連携策を見出すことに合意しました。UNCCD と JICA は、先日、ケニア及びセネガル政府、その他のパートナーと共に「サヘル・アフ リカの角 砂漠化対処による気候変動レジリエンス強化イニシアティブ (African Initiative for Combating Desertification to Strengthen Resilience to Climate Change in the Sahel and the Horn of Africa)」を共同で進めて行くこととしていま す。本イニシアティブに基づき、今後協力可能な事項として、以下の点が議論されまし た。 アフリカの国々による砂漠化対処の推進のためのネットワーク構築、知識共有、資 金へのアクセス改善等を通じた支援。 アフリカの国々が持続可能な開発目標(SDGs)の目標 15 を達成する上で必要な土 地劣化の中立性の達成支援。 持続性(Sustainability)・安全(Security)・安定(Stability)のための「3S イニ シアティブ」とも調和した、アフリカの不安定性の根本的な原因である自然資源の 劣化に関連する移住や紛争への対処。 さらに、砂漠化対処とアフリカの開発も目的とした主要な国際的枠組みであるアフリカ 開発会議(TICAD)や UNCCD の締約国会議(COP)といった機会を捉え、砂漠化対処への 取り組みに関する啓発や働き掛けを共同で行っていくことが提案されました。次回の UNCCD COP13 は、2017 年 9 月 4 日〜15 日に中国オルドス市で開催される予定です。 バルビュー事務局長は、アフリカの土地を回復させることによる国際的な意義を強調し、 「JICA のこれまでの長きに亘る開発支援はアフリカにおいて良く知られています。土 地は何百万人もの人々を貧困から救う最も重要なメカニズムであり、持続可能な土地管 理と干ばつ管理におけるパートナーシップは、アフリカの土地、貧困、気候に関する持 続可能な開発目標の達成を加速させるでしょう。」と述べました。 これに対し、鈴木理事は、「アフリカの山積する開発課題の解決と、誰一人取り残され ない世界の実現には、途上国のオーナーシップと国際的な連携が不可欠です。アフリカ において砂漠化対処条約として重要な役割を果たしている UNCCD とのパートナーシッ プは、JICA のアフリカの開発と平和と世界の安定へ向けた貢献を促進する絶好の機会 です。」と述べました。 面談の終わりに、バルビュー事務局長と鈴木理事は、本パートナーシップにおいて具体 的な成果を得るために対話を続けていくことに合意しました。
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